現像装置及びプロセスカートリッジ
【課題】現像剤シール部材を備える現像装置及びプロセスカートリッジにおいて、使用時に容易に現像剤シール部材を剥がすことが可能な現像装置及びプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】現像ローラ10が設けられている現像室13a、現像剤を収容する現像剤収容室14c、現像剤収容室14cと現像室13aとを連通する連通口14d、連通口14dを塞ぐ現像剤シール部材21、及び現像剤シール部材21の一端を固定し、把持部24が装着されている把持装着部14hを備える現像装置19において、把持部24が把持装着部14hに対して回転可能に連結されている。
【解決手段】現像ローラ10が設けられている現像室13a、現像剤を収容する現像剤収容室14c、現像剤収容室14cと現像室13aとを連通する連通口14d、連通口14dを塞ぐ現像剤シール部材21、及び現像剤シール部材21の一端を固定し、把持部24が装着されている把持装着部14hを備える現像装置19において、把持部24が把持装着部14hに対して回転可能に連結されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置及びプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を採用した画像形成装置には、像担持体の表面に現像剤を供給して静電潜像を現像剤像として現像する現像装置が用いられている。また、近年では、このような現像装置、像担持体、及びその他のプロセス手段をプロセスカートリッジとして一体に保持し、画像形成装置の装置本体に対して着脱可能とすることで、メンテナンス作業の簡易化を図った構成が提案されている。
【0003】
現像装置には、現像剤担持体が設けられている現像室と、現像室に供給される現像剤を収容する現像剤収容室とが設けられており、両者を連通する連通口を介して、現像剤収容室から現像室に現像剤を供給するように構成されている。また、使用前における連通口からの現像剤の漏れ出しを抑制すべく、連通口を塞ぐ現像剤シール部材が知られている。さらに特許文献1には、ユーザが現像剤シール部材を剥がしやすくするために、リング形状の把持部を現像剤シール部材に設ける構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−039603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記従来の構成では、現像剤シール部材に設けられている把持部の姿勢が固定されており、ユーザが現像剤シール部材を剥がす際に、ユーザの手と把持部との相対位置関係によっては現像剤シール部材を剥がしにくくなるといった課題がある。
【0006】
そこで本発明は、現像剤シール部材を備える現像装置及びプロセスカートリッジにおいて、使用時に容易に現像剤シール部材を剥がすことが可能な現像装置及びプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
電子写真画像形成装置で用いられる現像装置において、現像剤を担持する現像剤担持体が設けられている現像室と、前記現像室に供給される現像剤を収容する現像剤収容室と、前記現像剤収容室と前記現像室とを連通する連通口と、前記連通口を塞ぐ、除去可能に設けられた現像剤シール部材と、前記現像剤シール部材の一端を保持する固定部であって、前記現像装置に設けられた枠体から分離可能に設けられた固定部と、前記現像剤シール部材を除去する際に把持する把持部であって、前記固定部に回転可能に設けられた把持部と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明のプロセスカートリッジは、
上記記載の現像装置と、
前記現像剤担持体から現像剤が供給されることで現像剤像が形成される像担持体と、
前記像担持体の表面を帯電する帯電部材と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、現像剤シール部材を備える現像装置及びプロセスカートリッジにおいて、使用時に容易に現像剤シール部材を剥がすことが可能な現像装置及びプロセスカートリッジを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態における画像形成装置の概略構成図。
【図2】第1実施形態に係るプロセスカートリッジの概略断面図。
【図3】第1実施形態に係るプロセスカートリッジを着脱する際の様子を示す図。
【図4】第1実施形態に係るプロセスカートリッジを着脱する際の様子を示す図。
【図5】第1実施形態における現像剤収容枠体の概略構成図。
【図6】第1実施形態における現像剤収容枠体の側面を示す図。
【図7】第1実施形態における現像剤収容枠体の側面を示す図。
【図8】第1実施形態における現像剤収容枠体の概略構成図(把持部取付け前)。
【図9】第1実施形態における把持部の概略構成図。
【図10】第1実施形態において把持部を現像剤収容枠体に取付ける際の説明図。
【図11】第1実施形態における把持部の装着状態を示す図。
【図12】第1実施形態における把持部の装着状態を示す図。
【図13】第1実施形態における把持部の装着状態を示す図。
【図14】第2実施形態における把持装着部と把持部の概略構成図。
【図15】第2実施形態における把持部の装着状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<1:第1実施形態>
図1〜図13を参照して、本発明を適用可能な第1実施形態に係る現像装置及びプロセスカートリッジについて説明する。
【0012】
<1−1:画像形成装置の全体構成について>
図1を参照して、本実施形態に係る現像装置及びプロセスカートリッジを適用可能な電子写真画像形成装置について説明する。ここでは、電子写真方式を採用するレーザビームプリンタについて説明する。しかし、本発明はこれ以外の画像形成装置に対しても適用することができ、例えば、電子写真複写機、ファクシミリ装置、及びワードプロセッサ等にも適用することが可能である。
【0013】
画像形成装置Aは、像担持体として電子写真感光体ドラム7(以下、「感光体ドラム7」)を有している。感光体ドラム7の近傍には、帯電ローラ8(帯電部材)、現像ローラ10(現像剤担持体)、クリーニングユニット17が設けられており、これらの部材はプロセスカートリッジB(以下、カートリッジB)に一体に保持されている。なお、カートリッジBの構成は後述する。
【0014】
画像形成プロセスが開始されると、まず、回転する感光体ドラム7の表面を帯電ローラ8によって現像剤(以下、トナー)と同極性に一様に帯電する。本実施形態では、負極性のトナーを用いているので、ここでは感光体ドラム7の表面が負極性に一様に帯電されることになる。感光体ドラム7の表面が一様に帯電されると、カートリッジBの上方に設けられているスキャナユニット1から画像情報に基づいて変調されたレーザ光が射出され、感光体ドラム7の表面には静電潜像が形成される。そして、このようにして形成された静電潜像に対して、現像ローラ10からトナーが供給され、静電潜像がトナー像(現像剤像)として現像される。
【0015】
一方、画像形成装置Aの下部には、記録媒体としてのシート材2が収容されたカセット
3aが設けられており、トナー像の形成と同期して、カセット3aからシート材2が一枚ずつ給送されるように構成されている。具体的には、給送ローラ3bによってシート材2がカセット3a内から給送され、給送されたシート材2が搬送ローラ対3c、3d、3eによって1枚ずつ搬送されることになる。
【0016】
搬送されたシート材2は、感光体ドラム7とそれに対向配置される転写ローラ4との転写ニップ部(転写位置)に搬送され、転写ニップ部においてトナー像が感光体ドラム7からシート材2上に転写される。この際、転写ローラ4には不図示の電圧印加部からトナーと逆極性の転写電圧が印加されており、これにより、感光体ドラム7の表面からトナー像を静電的にシート材2上に転写することができる。
【0017】
トナー像が転写されたシート材2は、搬送ガイド3fにガイドされながら搬送され、定着装置5に搬送される。定着装置5は、ヒータ5aを内蔵する定着ローラ5bと、定着ローラ5bに圧接する加圧ローラ5cとを有しており、両ローラによって形成される加圧ニップ部において、シート材2上のトナー像を加圧・加熱してシート材2上に定着させることが可能である。トナー像が定着されたシート材2は、その後、ローラ対3g、3hによって搬送され、排出トレイ6上に排出されることになる。
【0018】
<1−2:カートリッジの構成について>
図2を参照して、本実施形態に係るカートリッジBの構成について説明する。図2は、カートリッジBの概略断面図である。図示するように、カートリッジBは、大きく分けると、ドラムユニット20と現像ユニット19(現像装置)とから構成されており、画像形成装置Aの装置本体に対して着脱可能に構成されている。
【0019】
ドラムユニット20は、感光体ドラム7、帯電ローラ8、及びクリーニングユニット17を有しており、ドラム枠体18内に一体に保持されている。帯電ローラ8は、画像形成装置Aの装置本体側の電圧印加部(不図示)と接続されており、感光体ドラム7表面に接触して感光体ドラム7と従動回転するように構成されている。また、クリーニングユニット17は、クリーニングブレード17a(弾性ブレード)と除去トナー溜め17bとを有しており、クリーニングブレード17aによって感光体ドラム7表面に残留する残留トナーを除去するものである。
【0020】
一方、現像ユニット19は、現像室13aと現像剤収容室14cとを有している。これらは、カートリッジ枠体の一部を形成する現像枠体13、現像剤収容枠体14によって形成されるスペースであり、さらに現像剤収容枠体14には、現像室13aと連通する連通口14dが形成されている。
【0021】
現像室13aには、マグネットローラ(固定磁石)11を内蔵する現像ローラ10、現像ブレード12が設けられており、現像ローラ10に現像電圧が印加されることにより、現像ローラ10から感光体ドラム7表面にトナーを供給するように構成されている。なお、現像ブレード12は現像ローラ10の周面に接触し、周面上におけるトナー量(トナーtの層厚)を規制しつつ、トナーを摩擦帯電させるためのものである。
【0022】
現像剤収容室14cは、現像ローラ10に供給するトナーtが収容される空間であって、その内部には攪拌部材15、16が設けられている。攪拌部材15、16は不図示の駆動源によって回転され、現像剤収容室14c内においてトナーtを攪拌しつつ、現像剤収容枠体14に形成された連通口14dからトナーtを現像室13aに供給するものである。
【0023】
ここで説明したドラムユニット20と現像ユニット19は、不図示の接続手段によって
一体に保持されており、これによりカートリッジBが構成されている。なお、両者の接続にあたっては、例えば感光体ドラム7表面に対して現像ローラ10が接離可能となるように、ドラムユニット20に対して現像ユニット19を揺動可能となるように構成してもよい。
【0024】
<1−3:カートリッジの着脱について>
図3、図4を参照して、カートリッジBを画像形成装置Aの装置本体に対して着脱する際のプロセスについて説明する。図3、図4は、本実施形態に係るカートリッジBを着脱する際の様子を示す図である。
【0025】
カートリッジBの装着を行う際は、まず、ユーザが画像形成装置Aの装置本体に設けられているカートリッジドア9を開き、カートリッジBを装置本体側のカートリッジ装着手段30に対して装着する。装着手段30は、装置本体側でカートリッジBの着脱方向をガイドする本体ガイド30R1,30R2,30L1,30L2を有している。カートリッジBの装着時は、カートリッジガイド40R1,40R2を本体ガイド30R1,30R2に沿って、又、カートリッジガイド40L1,40L2を本体ガイド30L1,30L2に沿ってカートリッジBを装着部30aに挿入する。
【0026】
この構成によると、カートリッジBの一方の側は、カートリッジガイド40R1が本体ガイド30R1の位置決め部30R1aに嵌合して、又、カートリッジガイド40R2が本体ガイド30R2の位置決め部30R2aに当接して位置決めされる。また、カートリッジBの他方の側は、カートリッジガイド40L1が本体ガイド30L1の位置決め部30L1aに嵌合して、又、カートリッジガイド40L2が本体ガイド30L2の位置決め部30L2aに当接して位置決めされる。なお、カートリッジBを取り外す場合も、上述とは逆のプロセスを行うことで取り外すことができる。
【0027】
カートリッジBが画像形成装置Aの装置本体に対して装着された状態では、装置本体側に設けられているカップリング(不図示)と、カートリッジBに設けられているカップリング7a(図4)とが互いに嵌合する。これにより、装置本体からカートリッジBに対して駆動力を伝達することができ、感光体ドラム7を回転させることが可能になる。なお、カートリッジBの着脱時は、装置本体側のカップリングが退避するように構成されており、装置本体側のカップリングがカートリッジBの着脱動作に干渉することはない。
【0028】
<1−4:現像剤収容枠体について>
図5を参照して、上述した現像剤収容枠体14について説明する。図5は、現像剤収容枠体14の概略構成を示すものである。
【0029】
現像剤収容枠体14は、上方枠体14aと下方枠体14bとによって構成されている。この上方枠体14aのフランジ14a1を下方枠体14bのフランジ14b1に合わせて超音波溶着により溶着リブ(不図示)を溶かすことで両枠体14a,14bが一体に接合されている。なお、本実施形態では超音波溶着によって両枠体を接合しているが、接合方法はこれに限られるものではなく、熱溶着、接着等でも良い。なお、製造過程では、両枠体14a,14bを接合する前に、下方枠体14bの内部に攪拌部材15,16を組み込むようにしている。
【0030】
また、現像剤収容枠体14には、現像室13aに現像剤を供給するための連通口14dが形成されている。さらに、この連通口14dを塞ぐように、現像剤収容枠体14には現像剤シール部材21(詳細は後述)が溶着されている。これによりカートリッジB使用前の段階でトナーが現像剤収容室14cから現像室13aに漏れ出すことを防止できる。そして、このようにして連通口14dを塞いだ後、現像剤充填口14eからトナーを充填し
、現像剤充填口14eをキャップ22で塞ぐ。
【0031】
<1−5:現像剤シール部材について>
図5〜図7を参照して、本実施形態における現像剤シール部材21について説明する。図6、図7は、現像剤収容枠体14の一側面(現像剤シール部材21が固定されている側)を示すものである。
【0032】
現像剤シール部材21は、現像剤収容枠体14の連通口14dを塞ぐように、連通口14dの周りの面14fに溶着されている(図5)。現像剤シール部材21は、少なくとも製品出荷時には連通口14dを塞ぐように溶着されるものである。しかし、使用時には、連通口14dを露出させるために剥がされる必要がある。そこで本実施形態では、現像剤シール部材21を容易に除去可能となるように次の構成が採用されている。
【0033】
即ち、現像剤シール部材21は連通口14dの長手方向一端14gで折り返されており、折り返された一端21aが連通口14dの長手方向他端において外部へ引き出されている(図6)。より具体的には、現像枠体13の長手方向他端には、現像剤収容枠体14と対向する弾性シール部材23が設けられているが、現像剤シール部材21は、この弾性シール部材23と現像剤収容枠体14との間を通って外部へ引き出されている(図6)。
【0034】
引き出された現像剤シール部材21の端部21aは、現像剤収容枠体14(現像装置の枠体ともいえる)と一体的に形成された把持装着部14h(固定部)に溶着等の方法によって貼り付けられている(図7)。把持装着部14hは、現像剤収容枠体14と一体に成形(分離可能に連結)されており、現像剤シール部材21の端部21aが通過する穴14pが形成されている。また、把持装着部14hには、現像剤シール部材21を剥がす際に現像ユニット19外部からユーザが把持する把持部(詳細は後述する)が連結されている。
【0035】
<1−6:把持装着部及び把持部について>
図8〜図12を参照して、把持装着部14h及び把持部24について説明する。図8は、把持部24を取付ける前における現像剤収容枠体14の概略構成図、図9は、把持部24の概略構成図、図10は、把持部24を現像剤収容枠体14に取付ける際の説明図、図11、図12は、把持部24の装着状態を示す図である。
【0036】
図8(a)に示すように、把持装着部14hは、接続部14iを介して現像剤収容枠体14と一体に連結されており、さらに把持装着部14hには、把持部24に形成されている孔部24aに嵌合する突起部14mが設けられている。さらに突起部14mには、スナップフィット部14rと嵌合部14sとが設けられている(スナップフィット部14rと嵌合部14sに関しては図10参照)。
【0037】
また、図8(b)(図8(a)のT−T断面)に示すように、接続部14iには断面が略三角形状の切り込みが入れられており、これによって接続部14iは薄肉状に形成されている。即ち、この薄肉状に形成された部分において、把持装着部14hが現像剤枠体14に対して折り曲げられることで、把持装着部14hと現像剤収容枠体14とを分離させることができる。
【0038】
次に図9を参照して、把持部24の概略構成について説明する。把持部24は、把持装着部14hの突起部14mに嵌合する孔部24aと、ユーザが指を引っ掛ける(把持する)ためのリング部24dとによって構成されている。孔部24aは、鍵穴形状になっており、長方形状に形成されている第2の係合部である嵌合部24b(回転抑制部)と、第1の係合部である円状の回転部24c(回転可能部)とを備えている。また、回転部24c
は、現像剤シール部材21を除去する際に操作者が把持部24を把持して引き抜く引き抜き方向において、嵌合部24bよりも上流側に設けられている。
【0039】
図10、図11を参照して、上述の把持部24を把持装着部14hに連結する際のプロセスについて説明する。
【0040】
把持装着部14hに把持部24を取付ける際には、まず、孔部24aとスナップフィット部14rとを嵌合させ、その状態で把持部24を押しこむ。把持部24を押しこんで孔部24aがスナップフィット部14rを通過した状態では、スナップフィット部14rの突出部分が引っ掛かることにより、孔部24aにおいて把持部24が意図せず抜けることはない。次に、嵌合部24bに把持装着部14hの嵌合部14sを嵌合させ、把持部24の取付けを完了させる。なお、この状態では把持部24が把持装着部14hに対して回転することはなく、よって、孔部24aの嵌合部24bは、孔部24aにおける「回転抑制部」といえる。
【0041】
両者の連結が完了した状態を図11に示す。本実施形態では、把持部24の嵌合部24bの幅L1(図9参照)の方が、把持装着部14hの嵌合部14sの幅L2(図10参照)よりも若干狭いため、連結完了状態では、把持部24は把持装着部14hに対してガタなしの圧入状態で嵌合されている。すなわち、回転を抑制された状態である。
【0042】
なお、カートリッジBの出荷時には、図12のように把持部24及び把持装着部14hは矢印Q方向に折り曲げられている。これにより、省スペース化が図れるのみならず、現像剤収容枠体14と把持装着部14hとの接続部14iに亀裂が生じ、互いに分離しやすい状態で両者が連結することになる(図12では説明のため現像剤シール部材21を省略している)。
【0043】
<1−7:現像剤シール部材の引き出しについて>
カートリッジBの使用開始の際、ユーザが現像剤シール部材21を剥がす時は、まず、ユーザが把持部24を矢印P方向(図12)に倒立させる。これにより、薄肉部14kにおいて、現像収容枠体14と把持装着部14hとが分離され、容易に把持装着部14hを切り離すことができる。
【0044】
把持装着部14hが切り離されると、ユーザが把持部24のリング部24dに指を入れて現像剤シール部材21を、その長手方向(図13矢印G方向)に引っ張る。すると、図13に示すように、把持部24の孔部24aにおいて突起部14mと嵌合する部分が、嵌合部24bから回転部24cへと移動する。回転部24cにおいて両者が嵌合している状態では、把持部24は把持装着部14hに対して回転することができる。つまり、孔部24に形成されている回転部24cとは、把持部24の把持装着部14hに対する回転を許容する「回転可能部」といえ、突起部14mは、上述の「回転抑制部」と「回転可能部」とを移動可能に構成されている。
【0045】
なお、把持装着部14hの嵌合部24bにおける係合力(圧入力)よりも、上述の現像剤シール部材21の現像剤供給開口の周りの面14f(図5)への溶着力のほうが大きいため、把持部24を引っ張ると、まず把持装着部14hに対して把持部24が移動する。つまり、突起部14mと嵌合部24bとが嵌合した状態(図11の状態)で把持部24を引っ張っても、把持部24は移動するが現像剤シール部材21は剥がれることはない。
【0046】
突起部14mと回転部24cとが嵌合した状態からさらに把持部24を引き続けると、把持部24と共に把持装着部14h、さらには現像剤シール部材21が引っ張られることになる。これにより、現像剤シール部材21において、折り返された長手方向一端14g
が開口周りの面14fから剥がれて、現像剤シール部材21がカートリッジ外へ剥がされ始める。
【0047】
孔部24aに形成されている回転部24cと突起部14mとが嵌合している状態では、回転部24cの内径D1(図9)が、嵌合部14sの最大幅L3(図10)よりも大きいため、把持装着部14hと把持部24とが、互いにガタのある状態で嵌合する。この際、スナップフィット部14rの寸法の方が回転部24cの内径D1よりも大きいため、把持部24が把持装着部14hから容易に離脱することはないが、把持装着部14hに対して把持部24は図13(b)の矢印V、W方向に回転可能な状態となる。
【0048】
<1−8:本実施形態の効果>
上述の構成によると以下の効果を得ることができる。
【0049】
効果1:カートリッジBを出荷してからユーザが把持装着部14hを切り離すまでは、把持部24の嵌合部24bと、把持装着部14hの嵌合部14sとがガタがほとんどない状態で嵌合している。よって、把持部24は把持装着部14hに対して回転することなく、図12P方向に把持部24を引き起こす際に、容易に把持装着部14hの切り離しを行うことができる。
【0050】
効果2:現像剤シール部材21を剥がす作業では、把持装着部14hに対して把持部24が回転可能となるため、従来のように姿勢が固定された把持部と比較して、例えばユーザが手首をひねったりしても、容易に現像剤シール部材21を剥がすことができる。
【0051】
以上より、本実施形態によれば、現像剤シール部材を備える現像装置及びプロセスカートリッジにおいて、使用時に容易に現像剤シール部材を剥がすことが可能な現像装置及びプロセスカートリッジを提供することが可能になる。
【0052】
<2:第2実施形態>
図14、図15を参照して、本発明を適用可能な第2実施形態に係る現像装置及びプロセスカートリッジについて説明する。なお、画像形成装置、現像装置、及びプロセスカートリッジの概略構成については、上記第1実施形態と同一であるのでその説明は省略し、ここでは、把持装着部14tと把持部25についてのみ説明を行う。
【0053】
<2−1:把持装着部及び把持部について>
図14(a)は、本実施形態における把持装着部14t(固定部)の概略構成図、図14(b)は、本実施形態における把持部25の概略構成図、図15(a)、図15(b)は、本実施形態における把持部25の装着状態を示す図である。
【0054】
図14(b)に示すように、本実施形態の把持部25はリング形状であり、これに対して図14(a)に示すように、把持装着部14tには孔部14nが形成されている。把持部25を把持装着部14tに連結させる際は、把持部25を孔部14nに押し込み、把持部25の取付け部25bと把持装着部14tの孔部14nとを嵌合させる。
【0055】
図15(a)は、把持部25の連結が完了した状態を表す概略構成図、図15(b)は図15(a)のZ−Z断面図である。図15(b)に示すように、本実施形態では、把持部25の外径D2よりも把持装着部14tの内径D3の方が大きいので、把持部25と把持装着部14tは互いにガタ(隙間26)を有した状態で嵌合する。よって、装着状態では、把持部25が把持装着部14tに対して矢印V、W両方向に回転することができる。
【0056】
また、把持部25の連結が完了した状態では、図15(b)の上下方向において把持部
25と把持装着部14tとが互いに係止し合っている。よって、把持装着部14tを現像剤収容枠体14から分離させる際は、把持部25を持ち上げることによって、把持装着部14tを現像剤収容枠体14から分離させることができる。
【0057】
<2−2:本実施形態の効果>
第1実施形態と同様に、ユーザが把持部25の孔部25aに指を入れて現像剤シール部材21を剥がす際に手首のひねりを加えても、把持部25が把持装着部14t対して回転できるので、容易に現像剤シール部材21を剥がすことができる。また、把持部25を引き起こす際に、安定して把持装着部14tの切り離しを行うことも可能になる。
【0058】
以上より、本実施形態によれば、現像剤シール部材を備える現像装置及びプロセスカートリッジにおいて、使用時に容易に現像剤シール部材を剥がすことが可能な現像装置及びプロセスカートリッジを提供することが可能になる。
【0059】
<3:その他の実施形態>
第1実施形態では、把持装着部14hに設けられている突起部14mに対して、把持部24の孔部24aが嵌合する構成であった。しかしながら、把持部24に突起部を設け、把持装着部14hに孔部を設ける構成であってもよい。また、第2実施形態では、把持装着部14tに設けられた孔部14nに対して、把持部25の取付け部25bが嵌合する構成であった。しかしながら、把持部25に孔部を設け、把持装着部14tに取付け部を設ける構成であってもよい。即ち、把持装着部と把持部は、一方に設けられた突起部と他方に設けられた孔部とが嵌合することで連結されていればよい。
【0060】
第1、第2実施形態では、把持装着部14h、14tと現像剤収容枠体14とを同一材料によって一体的に形成している。しかしながら、これらをそれぞれ別に形成し、分離可能となるように連結する構成であってもよい。この際、把持装着部14h、14tに関しては、ユーザが把持部24、25に外力を加えることで把持部24、25を介して力が作用するので、それに耐えうる剛性を有した材料(樹脂材料等)を選択する必要がある。
【0061】
第1、第2実施形態では、現像ユニット19がカートリッジBに保持されており、カートリッジBを画像形成装置Aの装置本体に対して着脱可能としたが、現像ユニット19自体を装置本体に対して着脱可能とする構成に対しても本発明を適用可能である。
【0062】
以上、ここで説明した実施形態によっても、現像剤シール部材を備える現像装置及びプロセスカートリッジにおいて、使用時に容易に現像剤シール部材を剥がすことが可能な現像装置及びプロセスカートリッジを提供することが可能になる。
【符号の説明】
【0063】
7…感光体ドラム 10…現像ローラ 13a…現像室 14…現像剤収容枠体 14c…現像剤収容室 14h…把持装着部 14i…接続部 19…現像ユニット 把持部…24 A…画像形成装置 B…プロセスカートリッジ
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置及びプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を採用した画像形成装置には、像担持体の表面に現像剤を供給して静電潜像を現像剤像として現像する現像装置が用いられている。また、近年では、このような現像装置、像担持体、及びその他のプロセス手段をプロセスカートリッジとして一体に保持し、画像形成装置の装置本体に対して着脱可能とすることで、メンテナンス作業の簡易化を図った構成が提案されている。
【0003】
現像装置には、現像剤担持体が設けられている現像室と、現像室に供給される現像剤を収容する現像剤収容室とが設けられており、両者を連通する連通口を介して、現像剤収容室から現像室に現像剤を供給するように構成されている。また、使用前における連通口からの現像剤の漏れ出しを抑制すべく、連通口を塞ぐ現像剤シール部材が知られている。さらに特許文献1には、ユーザが現像剤シール部材を剥がしやすくするために、リング形状の把持部を現像剤シール部材に設ける構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−039603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記従来の構成では、現像剤シール部材に設けられている把持部の姿勢が固定されており、ユーザが現像剤シール部材を剥がす際に、ユーザの手と把持部との相対位置関係によっては現像剤シール部材を剥がしにくくなるといった課題がある。
【0006】
そこで本発明は、現像剤シール部材を備える現像装置及びプロセスカートリッジにおいて、使用時に容易に現像剤シール部材を剥がすことが可能な現像装置及びプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
電子写真画像形成装置で用いられる現像装置において、現像剤を担持する現像剤担持体が設けられている現像室と、前記現像室に供給される現像剤を収容する現像剤収容室と、前記現像剤収容室と前記現像室とを連通する連通口と、前記連通口を塞ぐ、除去可能に設けられた現像剤シール部材と、前記現像剤シール部材の一端を保持する固定部であって、前記現像装置に設けられた枠体から分離可能に設けられた固定部と、前記現像剤シール部材を除去する際に把持する把持部であって、前記固定部に回転可能に設けられた把持部と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明のプロセスカートリッジは、
上記記載の現像装置と、
前記現像剤担持体から現像剤が供給されることで現像剤像が形成される像担持体と、
前記像担持体の表面を帯電する帯電部材と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、現像剤シール部材を備える現像装置及びプロセスカートリッジにおいて、使用時に容易に現像剤シール部材を剥がすことが可能な現像装置及びプロセスカートリッジを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態における画像形成装置の概略構成図。
【図2】第1実施形態に係るプロセスカートリッジの概略断面図。
【図3】第1実施形態に係るプロセスカートリッジを着脱する際の様子を示す図。
【図4】第1実施形態に係るプロセスカートリッジを着脱する際の様子を示す図。
【図5】第1実施形態における現像剤収容枠体の概略構成図。
【図6】第1実施形態における現像剤収容枠体の側面を示す図。
【図7】第1実施形態における現像剤収容枠体の側面を示す図。
【図8】第1実施形態における現像剤収容枠体の概略構成図(把持部取付け前)。
【図9】第1実施形態における把持部の概略構成図。
【図10】第1実施形態において把持部を現像剤収容枠体に取付ける際の説明図。
【図11】第1実施形態における把持部の装着状態を示す図。
【図12】第1実施形態における把持部の装着状態を示す図。
【図13】第1実施形態における把持部の装着状態を示す図。
【図14】第2実施形態における把持装着部と把持部の概略構成図。
【図15】第2実施形態における把持部の装着状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<1:第1実施形態>
図1〜図13を参照して、本発明を適用可能な第1実施形態に係る現像装置及びプロセスカートリッジについて説明する。
【0012】
<1−1:画像形成装置の全体構成について>
図1を参照して、本実施形態に係る現像装置及びプロセスカートリッジを適用可能な電子写真画像形成装置について説明する。ここでは、電子写真方式を採用するレーザビームプリンタについて説明する。しかし、本発明はこれ以外の画像形成装置に対しても適用することができ、例えば、電子写真複写機、ファクシミリ装置、及びワードプロセッサ等にも適用することが可能である。
【0013】
画像形成装置Aは、像担持体として電子写真感光体ドラム7(以下、「感光体ドラム7」)を有している。感光体ドラム7の近傍には、帯電ローラ8(帯電部材)、現像ローラ10(現像剤担持体)、クリーニングユニット17が設けられており、これらの部材はプロセスカートリッジB(以下、カートリッジB)に一体に保持されている。なお、カートリッジBの構成は後述する。
【0014】
画像形成プロセスが開始されると、まず、回転する感光体ドラム7の表面を帯電ローラ8によって現像剤(以下、トナー)と同極性に一様に帯電する。本実施形態では、負極性のトナーを用いているので、ここでは感光体ドラム7の表面が負極性に一様に帯電されることになる。感光体ドラム7の表面が一様に帯電されると、カートリッジBの上方に設けられているスキャナユニット1から画像情報に基づいて変調されたレーザ光が射出され、感光体ドラム7の表面には静電潜像が形成される。そして、このようにして形成された静電潜像に対して、現像ローラ10からトナーが供給され、静電潜像がトナー像(現像剤像)として現像される。
【0015】
一方、画像形成装置Aの下部には、記録媒体としてのシート材2が収容されたカセット
3aが設けられており、トナー像の形成と同期して、カセット3aからシート材2が一枚ずつ給送されるように構成されている。具体的には、給送ローラ3bによってシート材2がカセット3a内から給送され、給送されたシート材2が搬送ローラ対3c、3d、3eによって1枚ずつ搬送されることになる。
【0016】
搬送されたシート材2は、感光体ドラム7とそれに対向配置される転写ローラ4との転写ニップ部(転写位置)に搬送され、転写ニップ部においてトナー像が感光体ドラム7からシート材2上に転写される。この際、転写ローラ4には不図示の電圧印加部からトナーと逆極性の転写電圧が印加されており、これにより、感光体ドラム7の表面からトナー像を静電的にシート材2上に転写することができる。
【0017】
トナー像が転写されたシート材2は、搬送ガイド3fにガイドされながら搬送され、定着装置5に搬送される。定着装置5は、ヒータ5aを内蔵する定着ローラ5bと、定着ローラ5bに圧接する加圧ローラ5cとを有しており、両ローラによって形成される加圧ニップ部において、シート材2上のトナー像を加圧・加熱してシート材2上に定着させることが可能である。トナー像が定着されたシート材2は、その後、ローラ対3g、3hによって搬送され、排出トレイ6上に排出されることになる。
【0018】
<1−2:カートリッジの構成について>
図2を参照して、本実施形態に係るカートリッジBの構成について説明する。図2は、カートリッジBの概略断面図である。図示するように、カートリッジBは、大きく分けると、ドラムユニット20と現像ユニット19(現像装置)とから構成されており、画像形成装置Aの装置本体に対して着脱可能に構成されている。
【0019】
ドラムユニット20は、感光体ドラム7、帯電ローラ8、及びクリーニングユニット17を有しており、ドラム枠体18内に一体に保持されている。帯電ローラ8は、画像形成装置Aの装置本体側の電圧印加部(不図示)と接続されており、感光体ドラム7表面に接触して感光体ドラム7と従動回転するように構成されている。また、クリーニングユニット17は、クリーニングブレード17a(弾性ブレード)と除去トナー溜め17bとを有しており、クリーニングブレード17aによって感光体ドラム7表面に残留する残留トナーを除去するものである。
【0020】
一方、現像ユニット19は、現像室13aと現像剤収容室14cとを有している。これらは、カートリッジ枠体の一部を形成する現像枠体13、現像剤収容枠体14によって形成されるスペースであり、さらに現像剤収容枠体14には、現像室13aと連通する連通口14dが形成されている。
【0021】
現像室13aには、マグネットローラ(固定磁石)11を内蔵する現像ローラ10、現像ブレード12が設けられており、現像ローラ10に現像電圧が印加されることにより、現像ローラ10から感光体ドラム7表面にトナーを供給するように構成されている。なお、現像ブレード12は現像ローラ10の周面に接触し、周面上におけるトナー量(トナーtの層厚)を規制しつつ、トナーを摩擦帯電させるためのものである。
【0022】
現像剤収容室14cは、現像ローラ10に供給するトナーtが収容される空間であって、その内部には攪拌部材15、16が設けられている。攪拌部材15、16は不図示の駆動源によって回転され、現像剤収容室14c内においてトナーtを攪拌しつつ、現像剤収容枠体14に形成された連通口14dからトナーtを現像室13aに供給するものである。
【0023】
ここで説明したドラムユニット20と現像ユニット19は、不図示の接続手段によって
一体に保持されており、これによりカートリッジBが構成されている。なお、両者の接続にあたっては、例えば感光体ドラム7表面に対して現像ローラ10が接離可能となるように、ドラムユニット20に対して現像ユニット19を揺動可能となるように構成してもよい。
【0024】
<1−3:カートリッジの着脱について>
図3、図4を参照して、カートリッジBを画像形成装置Aの装置本体に対して着脱する際のプロセスについて説明する。図3、図4は、本実施形態に係るカートリッジBを着脱する際の様子を示す図である。
【0025】
カートリッジBの装着を行う際は、まず、ユーザが画像形成装置Aの装置本体に設けられているカートリッジドア9を開き、カートリッジBを装置本体側のカートリッジ装着手段30に対して装着する。装着手段30は、装置本体側でカートリッジBの着脱方向をガイドする本体ガイド30R1,30R2,30L1,30L2を有している。カートリッジBの装着時は、カートリッジガイド40R1,40R2を本体ガイド30R1,30R2に沿って、又、カートリッジガイド40L1,40L2を本体ガイド30L1,30L2に沿ってカートリッジBを装着部30aに挿入する。
【0026】
この構成によると、カートリッジBの一方の側は、カートリッジガイド40R1が本体ガイド30R1の位置決め部30R1aに嵌合して、又、カートリッジガイド40R2が本体ガイド30R2の位置決め部30R2aに当接して位置決めされる。また、カートリッジBの他方の側は、カートリッジガイド40L1が本体ガイド30L1の位置決め部30L1aに嵌合して、又、カートリッジガイド40L2が本体ガイド30L2の位置決め部30L2aに当接して位置決めされる。なお、カートリッジBを取り外す場合も、上述とは逆のプロセスを行うことで取り外すことができる。
【0027】
カートリッジBが画像形成装置Aの装置本体に対して装着された状態では、装置本体側に設けられているカップリング(不図示)と、カートリッジBに設けられているカップリング7a(図4)とが互いに嵌合する。これにより、装置本体からカートリッジBに対して駆動力を伝達することができ、感光体ドラム7を回転させることが可能になる。なお、カートリッジBの着脱時は、装置本体側のカップリングが退避するように構成されており、装置本体側のカップリングがカートリッジBの着脱動作に干渉することはない。
【0028】
<1−4:現像剤収容枠体について>
図5を参照して、上述した現像剤収容枠体14について説明する。図5は、現像剤収容枠体14の概略構成を示すものである。
【0029】
現像剤収容枠体14は、上方枠体14aと下方枠体14bとによって構成されている。この上方枠体14aのフランジ14a1を下方枠体14bのフランジ14b1に合わせて超音波溶着により溶着リブ(不図示)を溶かすことで両枠体14a,14bが一体に接合されている。なお、本実施形態では超音波溶着によって両枠体を接合しているが、接合方法はこれに限られるものではなく、熱溶着、接着等でも良い。なお、製造過程では、両枠体14a,14bを接合する前に、下方枠体14bの内部に攪拌部材15,16を組み込むようにしている。
【0030】
また、現像剤収容枠体14には、現像室13aに現像剤を供給するための連通口14dが形成されている。さらに、この連通口14dを塞ぐように、現像剤収容枠体14には現像剤シール部材21(詳細は後述)が溶着されている。これによりカートリッジB使用前の段階でトナーが現像剤収容室14cから現像室13aに漏れ出すことを防止できる。そして、このようにして連通口14dを塞いだ後、現像剤充填口14eからトナーを充填し
、現像剤充填口14eをキャップ22で塞ぐ。
【0031】
<1−5:現像剤シール部材について>
図5〜図7を参照して、本実施形態における現像剤シール部材21について説明する。図6、図7は、現像剤収容枠体14の一側面(現像剤シール部材21が固定されている側)を示すものである。
【0032】
現像剤シール部材21は、現像剤収容枠体14の連通口14dを塞ぐように、連通口14dの周りの面14fに溶着されている(図5)。現像剤シール部材21は、少なくとも製品出荷時には連通口14dを塞ぐように溶着されるものである。しかし、使用時には、連通口14dを露出させるために剥がされる必要がある。そこで本実施形態では、現像剤シール部材21を容易に除去可能となるように次の構成が採用されている。
【0033】
即ち、現像剤シール部材21は連通口14dの長手方向一端14gで折り返されており、折り返された一端21aが連通口14dの長手方向他端において外部へ引き出されている(図6)。より具体的には、現像枠体13の長手方向他端には、現像剤収容枠体14と対向する弾性シール部材23が設けられているが、現像剤シール部材21は、この弾性シール部材23と現像剤収容枠体14との間を通って外部へ引き出されている(図6)。
【0034】
引き出された現像剤シール部材21の端部21aは、現像剤収容枠体14(現像装置の枠体ともいえる)と一体的に形成された把持装着部14h(固定部)に溶着等の方法によって貼り付けられている(図7)。把持装着部14hは、現像剤収容枠体14と一体に成形(分離可能に連結)されており、現像剤シール部材21の端部21aが通過する穴14pが形成されている。また、把持装着部14hには、現像剤シール部材21を剥がす際に現像ユニット19外部からユーザが把持する把持部(詳細は後述する)が連結されている。
【0035】
<1−6:把持装着部及び把持部について>
図8〜図12を参照して、把持装着部14h及び把持部24について説明する。図8は、把持部24を取付ける前における現像剤収容枠体14の概略構成図、図9は、把持部24の概略構成図、図10は、把持部24を現像剤収容枠体14に取付ける際の説明図、図11、図12は、把持部24の装着状態を示す図である。
【0036】
図8(a)に示すように、把持装着部14hは、接続部14iを介して現像剤収容枠体14と一体に連結されており、さらに把持装着部14hには、把持部24に形成されている孔部24aに嵌合する突起部14mが設けられている。さらに突起部14mには、スナップフィット部14rと嵌合部14sとが設けられている(スナップフィット部14rと嵌合部14sに関しては図10参照)。
【0037】
また、図8(b)(図8(a)のT−T断面)に示すように、接続部14iには断面が略三角形状の切り込みが入れられており、これによって接続部14iは薄肉状に形成されている。即ち、この薄肉状に形成された部分において、把持装着部14hが現像剤枠体14に対して折り曲げられることで、把持装着部14hと現像剤収容枠体14とを分離させることができる。
【0038】
次に図9を参照して、把持部24の概略構成について説明する。把持部24は、把持装着部14hの突起部14mに嵌合する孔部24aと、ユーザが指を引っ掛ける(把持する)ためのリング部24dとによって構成されている。孔部24aは、鍵穴形状になっており、長方形状に形成されている第2の係合部である嵌合部24b(回転抑制部)と、第1の係合部である円状の回転部24c(回転可能部)とを備えている。また、回転部24c
は、現像剤シール部材21を除去する際に操作者が把持部24を把持して引き抜く引き抜き方向において、嵌合部24bよりも上流側に設けられている。
【0039】
図10、図11を参照して、上述の把持部24を把持装着部14hに連結する際のプロセスについて説明する。
【0040】
把持装着部14hに把持部24を取付ける際には、まず、孔部24aとスナップフィット部14rとを嵌合させ、その状態で把持部24を押しこむ。把持部24を押しこんで孔部24aがスナップフィット部14rを通過した状態では、スナップフィット部14rの突出部分が引っ掛かることにより、孔部24aにおいて把持部24が意図せず抜けることはない。次に、嵌合部24bに把持装着部14hの嵌合部14sを嵌合させ、把持部24の取付けを完了させる。なお、この状態では把持部24が把持装着部14hに対して回転することはなく、よって、孔部24aの嵌合部24bは、孔部24aにおける「回転抑制部」といえる。
【0041】
両者の連結が完了した状態を図11に示す。本実施形態では、把持部24の嵌合部24bの幅L1(図9参照)の方が、把持装着部14hの嵌合部14sの幅L2(図10参照)よりも若干狭いため、連結完了状態では、把持部24は把持装着部14hに対してガタなしの圧入状態で嵌合されている。すなわち、回転を抑制された状態である。
【0042】
なお、カートリッジBの出荷時には、図12のように把持部24及び把持装着部14hは矢印Q方向に折り曲げられている。これにより、省スペース化が図れるのみならず、現像剤収容枠体14と把持装着部14hとの接続部14iに亀裂が生じ、互いに分離しやすい状態で両者が連結することになる(図12では説明のため現像剤シール部材21を省略している)。
【0043】
<1−7:現像剤シール部材の引き出しについて>
カートリッジBの使用開始の際、ユーザが現像剤シール部材21を剥がす時は、まず、ユーザが把持部24を矢印P方向(図12)に倒立させる。これにより、薄肉部14kにおいて、現像収容枠体14と把持装着部14hとが分離され、容易に把持装着部14hを切り離すことができる。
【0044】
把持装着部14hが切り離されると、ユーザが把持部24のリング部24dに指を入れて現像剤シール部材21を、その長手方向(図13矢印G方向)に引っ張る。すると、図13に示すように、把持部24の孔部24aにおいて突起部14mと嵌合する部分が、嵌合部24bから回転部24cへと移動する。回転部24cにおいて両者が嵌合している状態では、把持部24は把持装着部14hに対して回転することができる。つまり、孔部24に形成されている回転部24cとは、把持部24の把持装着部14hに対する回転を許容する「回転可能部」といえ、突起部14mは、上述の「回転抑制部」と「回転可能部」とを移動可能に構成されている。
【0045】
なお、把持装着部14hの嵌合部24bにおける係合力(圧入力)よりも、上述の現像剤シール部材21の現像剤供給開口の周りの面14f(図5)への溶着力のほうが大きいため、把持部24を引っ張ると、まず把持装着部14hに対して把持部24が移動する。つまり、突起部14mと嵌合部24bとが嵌合した状態(図11の状態)で把持部24を引っ張っても、把持部24は移動するが現像剤シール部材21は剥がれることはない。
【0046】
突起部14mと回転部24cとが嵌合した状態からさらに把持部24を引き続けると、把持部24と共に把持装着部14h、さらには現像剤シール部材21が引っ張られることになる。これにより、現像剤シール部材21において、折り返された長手方向一端14g
が開口周りの面14fから剥がれて、現像剤シール部材21がカートリッジ外へ剥がされ始める。
【0047】
孔部24aに形成されている回転部24cと突起部14mとが嵌合している状態では、回転部24cの内径D1(図9)が、嵌合部14sの最大幅L3(図10)よりも大きいため、把持装着部14hと把持部24とが、互いにガタのある状態で嵌合する。この際、スナップフィット部14rの寸法の方が回転部24cの内径D1よりも大きいため、把持部24が把持装着部14hから容易に離脱することはないが、把持装着部14hに対して把持部24は図13(b)の矢印V、W方向に回転可能な状態となる。
【0048】
<1−8:本実施形態の効果>
上述の構成によると以下の効果を得ることができる。
【0049】
効果1:カートリッジBを出荷してからユーザが把持装着部14hを切り離すまでは、把持部24の嵌合部24bと、把持装着部14hの嵌合部14sとがガタがほとんどない状態で嵌合している。よって、把持部24は把持装着部14hに対して回転することなく、図12P方向に把持部24を引き起こす際に、容易に把持装着部14hの切り離しを行うことができる。
【0050】
効果2:現像剤シール部材21を剥がす作業では、把持装着部14hに対して把持部24が回転可能となるため、従来のように姿勢が固定された把持部と比較して、例えばユーザが手首をひねったりしても、容易に現像剤シール部材21を剥がすことができる。
【0051】
以上より、本実施形態によれば、現像剤シール部材を備える現像装置及びプロセスカートリッジにおいて、使用時に容易に現像剤シール部材を剥がすことが可能な現像装置及びプロセスカートリッジを提供することが可能になる。
【0052】
<2:第2実施形態>
図14、図15を参照して、本発明を適用可能な第2実施形態に係る現像装置及びプロセスカートリッジについて説明する。なお、画像形成装置、現像装置、及びプロセスカートリッジの概略構成については、上記第1実施形態と同一であるのでその説明は省略し、ここでは、把持装着部14tと把持部25についてのみ説明を行う。
【0053】
<2−1:把持装着部及び把持部について>
図14(a)は、本実施形態における把持装着部14t(固定部)の概略構成図、図14(b)は、本実施形態における把持部25の概略構成図、図15(a)、図15(b)は、本実施形態における把持部25の装着状態を示す図である。
【0054】
図14(b)に示すように、本実施形態の把持部25はリング形状であり、これに対して図14(a)に示すように、把持装着部14tには孔部14nが形成されている。把持部25を把持装着部14tに連結させる際は、把持部25を孔部14nに押し込み、把持部25の取付け部25bと把持装着部14tの孔部14nとを嵌合させる。
【0055】
図15(a)は、把持部25の連結が完了した状態を表す概略構成図、図15(b)は図15(a)のZ−Z断面図である。図15(b)に示すように、本実施形態では、把持部25の外径D2よりも把持装着部14tの内径D3の方が大きいので、把持部25と把持装着部14tは互いにガタ(隙間26)を有した状態で嵌合する。よって、装着状態では、把持部25が把持装着部14tに対して矢印V、W両方向に回転することができる。
【0056】
また、把持部25の連結が完了した状態では、図15(b)の上下方向において把持部
25と把持装着部14tとが互いに係止し合っている。よって、把持装着部14tを現像剤収容枠体14から分離させる際は、把持部25を持ち上げることによって、把持装着部14tを現像剤収容枠体14から分離させることができる。
【0057】
<2−2:本実施形態の効果>
第1実施形態と同様に、ユーザが把持部25の孔部25aに指を入れて現像剤シール部材21を剥がす際に手首のひねりを加えても、把持部25が把持装着部14t対して回転できるので、容易に現像剤シール部材21を剥がすことができる。また、把持部25を引き起こす際に、安定して把持装着部14tの切り離しを行うことも可能になる。
【0058】
以上より、本実施形態によれば、現像剤シール部材を備える現像装置及びプロセスカートリッジにおいて、使用時に容易に現像剤シール部材を剥がすことが可能な現像装置及びプロセスカートリッジを提供することが可能になる。
【0059】
<3:その他の実施形態>
第1実施形態では、把持装着部14hに設けられている突起部14mに対して、把持部24の孔部24aが嵌合する構成であった。しかしながら、把持部24に突起部を設け、把持装着部14hに孔部を設ける構成であってもよい。また、第2実施形態では、把持装着部14tに設けられた孔部14nに対して、把持部25の取付け部25bが嵌合する構成であった。しかしながら、把持部25に孔部を設け、把持装着部14tに取付け部を設ける構成であってもよい。即ち、把持装着部と把持部は、一方に設けられた突起部と他方に設けられた孔部とが嵌合することで連結されていればよい。
【0060】
第1、第2実施形態では、把持装着部14h、14tと現像剤収容枠体14とを同一材料によって一体的に形成している。しかしながら、これらをそれぞれ別に形成し、分離可能となるように連結する構成であってもよい。この際、把持装着部14h、14tに関しては、ユーザが把持部24、25に外力を加えることで把持部24、25を介して力が作用するので、それに耐えうる剛性を有した材料(樹脂材料等)を選択する必要がある。
【0061】
第1、第2実施形態では、現像ユニット19がカートリッジBに保持されており、カートリッジBを画像形成装置Aの装置本体に対して着脱可能としたが、現像ユニット19自体を装置本体に対して着脱可能とする構成に対しても本発明を適用可能である。
【0062】
以上、ここで説明した実施形態によっても、現像剤シール部材を備える現像装置及びプロセスカートリッジにおいて、使用時に容易に現像剤シール部材を剥がすことが可能な現像装置及びプロセスカートリッジを提供することが可能になる。
【符号の説明】
【0063】
7…感光体ドラム 10…現像ローラ 13a…現像室 14…現像剤収容枠体 14c…現像剤収容室 14h…把持装着部 14i…接続部 19…現像ユニット 把持部…24 A…画像形成装置 B…プロセスカートリッジ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真画像形成装置で用いられる現像装置において、
現像剤を担持する現像剤担持体が設けられている現像室と、
前記現像室に供給される現像剤を収容する現像剤収容室と、
前記現像剤収容室と前記現像室とを連通する連通口と、
前記連通口を塞ぐ、除去可能に設けられた現像剤シール部材と、
前記現像剤シール部材の一端を保持する固定部であって、前記現像装置に設けられた枠体から分離可能に設けられた固定部と、
前記現像剤シール部材を除去する際に把持する把持部であって、前記固定部に回転可能に設けられた把持部と、
を有することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記固定部は、
前記現像剤収容室の枠体と一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記固定部と前記把持部は、
一方に設けられた突起部と他方に設けられた孔部とが係合することで連結されており、
さらに前記孔部は、
前記固定部に対して前記把持部が回転することを許容する第1の係合部と、
前記固定部に対して前記把持部が回転することを規制する第2の係合部と、を有しており、
前記第1の係合部と前記第2の係合部との間を前記突起部が移動可能な構成であることを特徴とする請求項1又は2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記現像剤シール部材を除去する際に前記把持部を把持して引き抜く引き抜き方向において、前記第1の係合部は前記第2の係合部よりも上流側に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の現像装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の現像装置と、
前記現像剤担持体から現像剤が供給されることで現像剤像が形成される像担持体と、
前記像担持体の表面を帯電する帯電部材と、
を備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項1】
電子写真画像形成装置で用いられる現像装置において、
現像剤を担持する現像剤担持体が設けられている現像室と、
前記現像室に供給される現像剤を収容する現像剤収容室と、
前記現像剤収容室と前記現像室とを連通する連通口と、
前記連通口を塞ぐ、除去可能に設けられた現像剤シール部材と、
前記現像剤シール部材の一端を保持する固定部であって、前記現像装置に設けられた枠体から分離可能に設けられた固定部と、
前記現像剤シール部材を除去する際に把持する把持部であって、前記固定部に回転可能に設けられた把持部と、
を有することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記固定部は、
前記現像剤収容室の枠体と一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記固定部と前記把持部は、
一方に設けられた突起部と他方に設けられた孔部とが係合することで連結されており、
さらに前記孔部は、
前記固定部に対して前記把持部が回転することを許容する第1の係合部と、
前記固定部に対して前記把持部が回転することを規制する第2の係合部と、を有しており、
前記第1の係合部と前記第2の係合部との間を前記突起部が移動可能な構成であることを特徴とする請求項1又は2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記現像剤シール部材を除去する際に前記把持部を把持して引き抜く引き抜き方向において、前記第1の係合部は前記第2の係合部よりも上流側に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の現像装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の現像装置と、
前記現像剤担持体から現像剤が供給されることで現像剤像が形成される像担持体と、
前記像担持体の表面を帯電する帯電部材と、
を備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−221176(P2011−221176A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88748(P2010−88748)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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