説明

生体情報測定器

【課題】被験者に装着負担感をなるべく与えず、長時間に亘る生体情報測定に適し、且つ取り扱い性に優れた生体情報測定器を提供する。
【解決手段】生体情報測定器Sは、機能部Fが実装されたフレキシブル基板10と、このフレキシブル基板10を覆う外装部材20とを備える。フレキシブル基板10の機能部Fは、所定の生体情報に関連するパラメータを連続測定するセンサ部30と、該センサ部30から出力される測定信号に対して所定の処理を行う回路部40と、前記測定信号若しくは回路部40による処理後の測定データを記憶可能なメモリ部50と、測定に関連する所定の情報を表示する表示部60と、各部に駆動電圧を供給する電源部70とが実装されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体から各種の生体情報を非侵襲で検出する生体情報測定器に関し、特に長時間に亘っての生体情報測定に好適な生体情報測定器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人体から生体情報を非侵襲で検出する生体情報測定器であって、特に長時間の生体情報測定が求められる生体情報測定器としては、例えばパルスオキシメータや、ポリソムノグラフィ(PSG;polysomnography)、ホルター心電計等が知られている。図25に示すように、パルスオキシメータ100は、発光部と受光部とを備えるプローブ101をユーザ(被験者)の指に装着し、光を生体(指)に向けて投光し、生体を経由した光の光量変化をパルス信号として測定し、サンプリング周期毎の測定値を移動平均することによって睡眠期間中の血中酸素飽和度の時間変化を求めるものである。このようなパルスオキシメータ100は、前記プローブ101と装置本体部102とが別体で構成され、両者はケーブル103にて電気的に接続されてなる。かかるパルスオキシメータ100は、被験者の手首付近に装置本体部102がリストバンド104で装着され、ケーブル103を手の甲に沿わせると共にプローブ101が指先にクリッピングされる態様で取り付けられるのが一般的である。
【0003】
一方PSGは、上記血中酸素飽和度のほか、脳波、口・鼻のフロー、いびき音、体位乃至は体動、胸・腹の呼吸運動、心電波形などの評価パラメータを各々検出するセンサ部を備え、得られた測定結果を解析、表示することで睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診断等に供される測定器である。このPSGも、装置本体部と各センサ部とは別体で構成され、一般に装置本体部は胴部付近に装着され、人体の各部に装着されたセンサ部と前記装置本体部とは各々ケーブルにて電気的に接続される態様で取り付けられる。
【0004】
またホルター心電計は、一般に心臓の活動電位を検出する電極と、該電極により検出されたデータを受信する受信機とからなる。かかるホルター心電計は、被験者の胸に前記電極を5個程度取り付けると共に前記受信機を腰に装着し、被験者に1日間程度通常の生活を行ってもらいつつデータ計測を行う測定器である。そして測定終了後、前記受信機に保存されたデータを所定の解析機器に取り込んで心電波形解析を行うことで、心電R波の発生間隔(R−R間隔)等が求められるものである。前記電極と受信機とは、通常ケーブルで接続されるが、両者間で無線通信を行うようにしたワイヤレスタイプも知られている。
【0005】
さらに、特許文献1には、パルスオキシメトリ測定の用途において、発光部と受光部とを備えるセンサ部分のみをフレキシブル基板に搭載し、これを使い捨てにしたパルスオキシメータが開示されている。また、特許文献2には、被験者に取り付けられ生体情報を検出するセンサに無線送信機能を具備させ、前記センサの動作制御を行う一方でセンサから送信される生体情報を受信する制御装置を備えた生体情報測定器が開示されている。
【特許文献1】特開平5−200017号公報
【特許文献2】特開2003−275183号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記パルスオキシメータやPSGでは、上述の通りセンサ部と装置本体部とを電気的に接続するケーブル(例えば図25に示すケーブル103)が存在する。これら測定器は、被験者の睡眠期間中における継続的な長期装着が求められるが、前記ケーブルが寝具等に引っ掛かり、センサ部が装着部位から外れてしまうことがあった。また、ケーブルが引き回された状態で測定器が体に装着されていることに伴う装着負担感を被験者に与えてしまい、特にPSGではセンサ部の数が多いことから寝返りを打つことすら困難な負担を被験者に現に与えてしまうこととなり、安眠を阻害し、ひいては的確な測定データが得られない懸念もある。この点、特許文献1の使い捨て型パルスオキシメータにおいても、センサ部分が搭載されたフレキシブル基板とパルスオキシメータ本体部とはケーブルで接続される構成であることから、同様の問題が生じることとなる。
【0007】
一方、ワイヤレス型とされた上記ホルター心電計や、特許文献2の生体情報測定器によれば、ケーブルの引っ掛かりの問題は生じないものの、ホルター心電計では電極からの検出信号を無線受信する受信機を、特許文献2の生体情報測定器ではセンサにて検出された生体情報を無線受信する制御装置を被験者に携帯させねばならない。従って、ケーブルが存在しないとはいえ、やはり被験者の装着負担感を払拭することはできず、またセンサ部と装置本体部とが分離していることに伴う扱いの不便さを本質的に解消することはできない。
【0008】
本発明は以上のような問題点に鑑みてなされたもので、被験者に装着負担感をなるべく与えず、長時間に亘る生体情報測定に適し、且つ取り扱い性に優れた生体情報測定器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係る生体情報測定器は、所定の生体情報に関連するパラメータを連続測定するセンサ部と、該センサ部から出力される測定信号に対して所定の処理を行う回路部と、前記測定信号若しくは前記回路部による処理後の測定データを記憶可能なメモリ部と、測定に関連する所定の情報を表示する表示部と、各部に駆動電圧を供給する電源部とを含む機能部と、前記機能部を実装する一枚のフレキシブル基板と、前記フレキシブル基板を覆う外装部材とを具備することを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、一枚のフレキシブル基板に、生体情報を測定するために必要な機能部であるセンサ部、回路部、メモリ部、表示部及び電源部が実装されることから、従来のようにセンサ部と装置本体部とを電気的に接続するケーブルや、両者間で無線通信を行わせるための機構が不必要となる。また、外装部材により、フレキシブル基板が保護されるようになる。
【0011】
上記構成において、前記回路部に、前記測定信号をデジタル信号に変換するA/D変換部と、前記デジタル信号に対して所定のデータ解析処理を行う解析処理部とが含まれていることが望ましい(請求項2)。この構成によれば、フレキシブル基板に搭載される機能部にデータ解析処理機能まで具備されることになり、その解析結果を表示部にて表示させるようにすることで、被験者は直ちに病状等を簡易に知見できるようになる。
【0012】
また、前記回路部に、前記機能部の動作を制御する制御部が備えられ、前記制御部は、少なくともセンサ部による生体情報の測定動作、前記測定信号若しくは測定データを前記メモリ部へ測定時刻情報に関連付けて記録する記録動作、測定中の状態情報若しくは測定した生体情報に関連する所定の情報を表示させる表示動作のうちの、1つ以上の動作を制御するものであることが望ましい(請求項3)。この構成によれば、制御部により、機能部における測定動作、記録動作及び表示動作のうちの少なくとも1つ以上が制御される。
【0013】
上記いずれかの構成において、前記センサ部に発光部と受光部とが備えられ、前記外装部材が遮光性を有する部材から構成されるものとすることができる(請求項4)。この構成によれば、例えば血中酸素飽和度や脈波波形等のように、センサ部にて発光部と受光部とを用いて光学的な測定が行われる場合において、外装部材が遮光性を有することから外光の影響が測定に及ばないようにすることができる。
【0014】
上記いずれかの構成において、測定される生体情報が、血中酸素飽和度、脈波波形、口・鼻のフロー、いびき音、体位乃至は体動、胸・腹の呼吸運動及び心電波形から選ばれる1つ以上の生体情報を含むことが望ましい(請求項5)。
【0015】
上記いずれかの構成において、前記表示部が、測定中の状態情報若しくは測定した生体情報に関連付けられた点灯動作を行うLED表示部を含む構成とすることができる(請求項6)。この構成によれば、測定中の状態情報若しくは測定した生体情報が、LED(Light Emitting Diode)の点灯動作により表示される。
【0016】
また、上記いずれかの構成において、前記表示部が、測定中の状態情報若しくは測定した生体情報に関連付けられた表示情報を表示するフレキシブル液晶表示部を含む構成とすることができる(請求項7)。この構成によれば、測定中の状態情報若しくは測定した生体情報が、フレキシブル液晶表示部により表示される。
【0017】
上記いずれかの構成において、前記電源部が、人体の熱エネルギーを利用して発電する発電部を具備することが望ましい(請求項8)。
【0018】
また、上記いずれかの構成において、前記電源部が電池からなり、その電池電極と電源供給を行う回路配線端末との間に、引き抜き容易な絶縁シートが介在されている構成とすることができる(請求項9)。この構成によれば、絶縁シートを引き抜くことで、電源部から機能部の各部への電源供給が開始されるようになる。
【0019】
さらに、上記いずれかの構成において、前記フレキシブル基板の一部に易破壊部が形成されていると共に、該易破壊部を横切るように回路配線の一部が配線されてなり、前記易破壊部が破壊されることにより、前記機能部の各部への電源供給が開始若しくは停止されるよう構成することができる(請求項10)。この構成によれば、前記易破壊部の破壊を契機として、電源供給の開始若しくは停止が行われるようになる。
【0020】
上記いずれかの構成において、前記外装部材が、前記フレキシブル基板を防水する防水機能を有することが望ましい(請求項11)。また、前記外装部材が、人体の皮膚に対して粘着性を有する粘着層を有することが望ましい(請求項12)。
【0021】
また、上記いずれかの構成において、前記外装部材が、前記フレキシブル基板を一体的に保持する着脱自在な保持構造を備えることが望ましい(請求項13)。この構成によれば、外装部材に設けられた保持構造部にフレキシブル基板が保持され、これによりフレキシブル基板と外装部材とが一体化されるようになる。
【0022】
この場合、前記外装部材を人体の一部に装着させるための係止部が、外装部材に一体的に設けられていることが望ましい(請求項14)。この構成によれば、例えば指先等の生体情報測定箇所に係止部を係止させることで、フレキシブル基板を所定部位に装着できるようになる。
【0023】
ここで、前記外装部材が指に装着されるものであって、前記表示部が横長の表示面を具備する場合において、前記外装部材を指に装着した状態において前記表示面の長手方向が指の延在方向と略一致するように、前記フレキシブル基板が前記外装部材に保持されることが望ましい(請求項15)。
【0024】
上記いずれかの構成において、前記フレキシブル基板の一方の面に少なくとも前記表示部が実装され、他方の面に前記機能部の残りの各部が実装されてなり、前記外装部材に、前記表示部を視認可能とする窓部が設けられている構成とすることができる(請求項16)。この構成によれば、フレキシブル基板の一方の面を利用して表示部が実装されると共に、窓部を介して表示部が視認されるようになる。
【0025】
また、上記いずれかの構成において、他の電気機器とデータ通信を行うための通信部が、前記フレキシブル基板に実装されていることが望ましい(請求項17)。この構成によれば、測定終了後に、通信部を介して測定された生体情報データや解析データをパーソナルコンピュータ等の他の電気機器に移送することが可能となる。
【0026】
この場合、前記通信部が、他の電気機器と電気接続するためのコネクタ部を有し、該コネクタ部は前記外装部材の一部を破ることで表出するよう構成されていることが望ましい(請求項18)。
【発明の効果】
【0027】
請求項1に係る発明によれば、従来品とは異なりセンサ部と装置本体部とを分離しない構成であるので、接続ケーブルや無線通信機構が不要となって構成が簡素化され、またケーブルの引っ掛かりの問題は発生せず、被験者の装着負担感を大幅に軽減することができる。従って、長時間に亘る生体情報測定に適し、且つ取り扱い性に優れた生体情報測定器を提供できるようになる。また、フレキシブル基板を採用しているので、湾曲している測定部位や指先などの末梢部位への装着性にも優れたものとなる。さらに、構成が簡素化できることから、生体情報測定器のコストダウンを図ることが可能となり、使い捨てタイプの生体情報測定器として提供することも可能となる。
【0028】
請求項2に係る発明によれば、被験者が、測定した生体情報に関連するデータ解析結果を直ちに知見できることから、被験者が自宅でスクリーニングに利用できるようになり、疾病の早期発見に一層有用な生体情報測定器を提供できるようになる。
【0029】
請求項3に係る発明によれば、制御部により、機能部における測定動作、記録動作及び表示動作のうちの少なくとも1つ以上が制御されるので、使い勝手の良い生体情報測定器を提供できるようになる。
【0030】
請求項4に係る発明によれば、センサ部にて光学的な測定を行う場合において、誤差要因となる外光のセンサ部への混入を防止でき、正確な測定が行えるようになる。
【0031】
請求項5に係る発明によれば、従来のPSGにおいて測定されていた評価パラメータを当該生体情報測定器により測定でき、その測定結果に基づき、PSGと同様な医療診断を行うことが可能となる。
【0032】
請求項6に係る発明によれば、LEDを用いた簡易な表示部により、測定状態や生体情報の解析結果等が表示されるので、利便性に優れると共に、安価に生体情報測定器を提供できるようになる。
【0033】
請求項7に係る発明によれば、フレキシブル液晶表示部を用いるので、測定状態や生体情報の解析結果等を高度な情報として液晶表示できると共に、湾曲している測定部位や指先などの末梢部位へ生体情報測定器が装着された場合でも、そのフィッティング性が損なわれることがない。
【0034】
請求項8に係る発明によれば、人体の熱エネルギーを利用して発電するので、電源部に電池の組み入れが不要となる。また、被験者に生体情報測定器が装着されることで体温を感知して発電が始まり、これを契機として測定を開始させることも可能となり、利便性を向上させることができる。
【0035】
請求項9に係る発明によれば、絶縁シートを引き抜くことで生体情報の測定が開始されるような生体情報測定器を提供できるようになる。
【0036】
請求項10に係る発明によれば、前記易破壊部の破壊を契機として、電源供給の開始若しくは停止が行われるので、測定開始スイッチ等の部品をフレキシブル基板に搭載する必要がなくなり、生体情報測定器を一層シンプルな構成とすることができる。
【0037】
請求項11に係る発明によれば、フレキシブル基板を防水できるようになり、被験者が当該生体情報測定器を体に装着した状態で入浴等を行えるだけでなく、入浴前後の急激な温度変化時や入浴中の生体情報の測定が行えるという利点がある。さらに、心電波形の測定のように、センサ部に体表面へ当接させる電極が用いられる場合に、漏電等が防止できるようになる。
【0038】
請求項12に係る発明によれば、粘着層を用いて簡単に当該生体情報測定器を体に装着できるようになり、取り扱い性に優れ、被験者の装着負担感を一層軽減できる。
【0039】
請求項13に係る発明によれば、外装部材に対するフレキシブル基板の脱着が容易に行え、取り扱い性を向上させることができる。
【0040】
請求項14に係る発明によれば、係止部を指先等に係止するだけでフレキシブル基板を所定部位に装着できることから、被験者が自宅等で容易に生体情報測定器の装着を行えるようになる。
【0041】
請求項15に係る発明によれば、生体情報測定器を指に装着する場合において、表示面の視認性を良好なものとすることができる。
【0042】
請求項16に係る発明によれば、フレキシブル基板の片面に全ての機能部を実装する場合に比べて表示部の面積を比較的大きく取れ、見やすい表示部とすることができる。
【0043】
請求項17に係る発明によれば、生体情報データや解析データをパーソナルコンピュータ等の他の電気機器に移送することで、一層高度なデータ解析等を行うことができるようになる。
【0044】
請求項18に係る発明によれば、測定完了まではコネクタ部は外装部材で保護される一方で、測定完了後に測定データを移送する場合等に外装部材の一部を破ってコネクタ部を露出させれば良く、ユーザの利便性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき説明する。
[基本的実施形態の説明]
図1は、本発明の実施形態に係る生体情報測定器Sの構成を簡略的に示す平面図である。この生体情報測定器Sは、機能部Fが実装されたフレキシブル基板10と、このフレキシブル基板10を覆う外装部材20とを備えて構成されている。ここでは、フレキシブル基板10に機能部Fとして、所定の生体情報に関連するパラメータを連続測定するセンサ部30と、該センサ部30から出力される測定信号に対して所定の処理を行う回路部40と、前記測定信号若しくは回路部40による処理後の測定データを記憶可能なメモリ部50と、測定に関連する所定の情報を表示する表示部60と、各部に駆動電圧を供給する電源部70とが実装されている例を示している。
【0046】
フレキシブル基板10は、例えばポリイミドやポリエステルなどのプラスチックフィルムの上に、銅又は銅合金の導体パターンが形成された可撓性を有する基板であり、上述の通り、機能部Fを構成する各種パーツが実装される。
【0047】
外装部材20は、フレキシブル基板10を外力から保護する機能を果たすと共に、必要に応じて防水性を有する部材、或いは遮光性を有する部材にて構成することで、フレキシブル基板10を防水保護、或いは遮光シールドする機能も果たす。例えば、生体情報測定器Sを長期間に亘って装着し連続測定を行う必要がある場合には、外装部材20にて防水性を担保することで、被験者は当該生体情報測定器Sを装着したままで、入浴したりシャワーを浴びたりすることが可能となる。また、センサ部30においてLEDや受光素子を用いて光学的な測定を行う場合は、外装部材20にてフレキシブル基板10を遮光シールドすることで、外光の影響が測定結果に及ばないようにすることができる。
【0048】
外装部材20の形態は特に限定はなく、例えばフレキシブル基板10の片面側を覆うシート状のもの、フレキシブル基板10を収納する袋状のもの等として構成することができる。フレキシブル基板10と外装部材20とは分離乃至は遊動可能とされていても良いが、センサ部30の位置決め性を良好とするためには、外装部材20に対してフレキシブル基板10が一体化されていることが望ましい。この意味で外装部材20は、フレキシブル基板10を密着封止する封着乃至はコーティングタイプのものであっても良い。或いは、フレキシブル基板10を一体的に保持する着脱自在な保持構造を備える構造とすることもできる。この場合、前記保持構造部にてフレキシブル基板10の位置決めが行えると共に、フレキシブル基板10を容易に外装部材20から取り外すことができるので、取り扱い性を向上させることができる。
【0049】
さらに外装部材20には、生体情報測定器Sの被験者への装着を簡易に行うことができるよう、人体の皮膚に対して粘着性を有する粘着層や、人体の一部と係合可能な係止部等が一体的に備えられていることが望ましい。上記フレキシブル基板10及び外装部材20の外形形状は、被験者への装着部位やセンサ部30の形態に応じて適宜な形状とされる。この点については、後記の各種実施形態において、いくつかの具体例を示す。
【0050】
センサ部30は、被験者について生体情報に関連する所定のパラメータを連続測定するための部位であって、該センサ部30には、検出すべき生体情報に応じたセンシングエレメントが配置される。例えば血中酸素飽和度(SpO)や脈波波形を測定する場合は、LED等の発光部(SpOの測定の場合は2波長LED)とシリコン受光素子等の受光部とが配置される。この場合、外装部材20としては遮光性を有する部材が用いられる。被験者の体位乃至は体動、胸・腹の呼吸運動を測定する場合は、加速度センサ等が配置される。心電波形や筋電波形等を測定する場合は、活動電位を検出するための電極が配置される。この場合、外装部材20としては、漏電等を防止する意味でも、防水性を有する部材が用いられる。口・鼻のフロー(呼吸運動)を測定する場合は、呼吸の吹き当たりに伴う温度上昇を検出する温度センサが配置される。さらに、いびき音を検出する場合は、小型マイク等が配置される。
【0051】
回路部40は、前記センサ部30から出力される生体情報の測定信号に対して所定の処理を行うもので、各種電子部品や集積回路部品、CPU(Central Processing Unit)等から構成される。この回路部40には、機能的に、前記センサ部30から出力されるアナログ測定信号をデジタル信号に変換するA/D変換部、前記デジタル信号に対して所定のデータ解析処理を行う解析処理部、前記機能部Fの各部の動作を制御する制御部等が備えられる。また前記制御部には、例えばセンサ部30による生体情報の測定動作、前記測定信号若しくは測定データをメモリ部50へ測定時刻情報に関連付けて記録する記録動作、測定中の状態情報若しくは測定した生体情報に関連する所定の情報を表示部60へ表示させる表示動作等を制御する機能が備えられる。
【0052】
メモリ部50は、当該生体情報測定器Sの制御プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)、演算処理や制御処理などのデータを一時的に格納するEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)やフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを備え、前記測定信号若しくは解析処理後の測定データが時刻情報に関連付けて格納される。このように時刻情報に関連付けることで、事後的なデータ解析が容易に行えると共に、2以上の測定データを取得した場合(例えば、SpOと脈波波形とを求めるデータを同じセンサ部30で取得したような場合)に、測定データの時刻合わせが行えるようになる。
【0053】
表示部60は、1又は複数のLEDを備えたLED表示装置、フレキシブル液晶表示装置、有機フォトルミネセンス表示装置等からなり、測定中の状態情報(測定中であることを示す情報や、測定情報をライブ表示する情報等)若しくは測定した生体情報に関連付けられた情報(測定結果の解析情報等)を、点灯・点滅情報、文字・数字・記号情報、絵記号やキャラクタ情報として表示するものである。前記LED表示装置では、測定中の状態情報若しくは測定した生体情報に関連付けられた点灯(点滅)動作が行われる。また、前記フレキシブル液晶表示装置では、測定中の状態情報若しくは測定した生体情報に関連付けられた適宜な表示情報が液晶表示面に表示されることとなる。この他、表示部60としては、電流容量に応じて表示色が変わる表示素子等も用いることができる。
【0054】
電源部70は、所定の電源回路、ボタン電池等の電源電池等を備え、機能部Fの各部へ駆動電圧を供給するものである。前記電源回路には、オートパワーオフ(APO)機能が備えられていることが望ましい。また、駆動電圧の供給を開始させるためのスイッチ等を備えていても良いが、前記スイッチに代えて、当該生体情報測定器Sを体に装着することで若しくは装着した際に体の一部と電池とが干渉することで通電が開始されたり、フレキシブル基板10の一部破壊や一部部品の除去により通電が開始されたりする構成を採用しても良い(これらについては、後記で具体例を示す)。
【0055】
また、上記電源電池に代えて、人体の熱エネルギーを利用して発電する発電部(熱発電部)を具備させた構成とすることもできる。このような熱発電部は、熱電変換素子を用い、人体に接し体温で暖められる部分と、人体から離間している部分との温度差を利用してゼーベック効果に基づき発電を行うものである。かかる熱発電部を用いれば、被験者の体温を利用して発電するので、ボタン電池等の組み入れが不要となり、また被験者に生体情報測定器Sが装着されることで体温を感知して発電が始まり、これを契機として測定を開始させることが可能となる。
【0056】
以上の通り構成された生体情報測定器Sの動作例を簡単に説明する。測定が開始されると、センサ部30により、所定のサンプリング周期毎に生体情報が計測され、測定信号がセンサ部30から出力される。この測定信号は、回路部40でデジタル信号に変換された後、回路部40に備えられているタイマー機能を用いて時刻情報に関連付けてメモリ部50に格納される。このような測定動作が測定期間中繰り返され、メモリ部50に測定データが蓄積される。そして、測定終了後、回路部40の解析処理部によりメモリ部50の測定データが読み出され、病状等の知見に有用な所定のデータ解析処理が行われ、その結果が適宜な点灯情報若しくは文字・数字・記号情報等として、表示部60へ表示されるものである。なお、測定期間中において、測定結果若しくはその解析結果を、表示部60へライブ表示させるようにしても良い。
【0057】
このような生体情報測定器Sによれば、一枚のフレキシブル基板10に、生体情報を測定するために必要な機能部であるセンサ部30、回路部40、メモリ部50、表示部60及び電源部70が実装されていることから、従来のようにセンサ部と装置本体部とを電気的に接続するケーブルや、両者間で無線通信を行わせるための機構が不必要となる。従って、構成が簡素化され、またケーブルの引っ掛かりの問題は発生せず、被験者の装着負担感を大幅に軽減することができる。
【0058】
[パルスオキシメータとしての実施形態の説明]
続いて、本発明をSpOの測定を行うパルスオキシメータに適用する場合の実施形態について説明する。被験者の睡眠中におけるSpOの変動を測定することで、睡眠時無呼吸症候群(SAS)のスクリーニングを行うことができる。かかるスクリーニングを行うには、パルスオキシメータを一晩中装着しておく必要があることから、被験者に装着負担感を可及的に与えないことが望ましく、長時間装着に適した本発明に係る生体情報測定器の好適な用途の一つである。
【0059】
<電気的構成の説明>
図2は、本発明に係る生体情報測定器をパルスオキシメータとして構成する場合における、フレキシブル基板11に搭載される機能部の電気的構成を示すブロック図である。このフレキシブル基板11には、機能部として、センサ部30を構成する発光部31及び受光部32と、図1に示す回路部40に相当する測定回路部41及び制御部42と、図1と同様なメモリ部50、表示部60及び電源部70(ここでは説明を省略する)と、他の電気機器とデータ通信を行うための通信部80と、所定の操作情報を入力するための操作部90とが備えられている。なお、前記通信部80及び操作部90は、フレキシブル基板11への実装を省略しても良い。
【0060】
センサ部30の発光部31は、異なる2つの波長λ1、λ2を発生するLEDから構成され、例えば赤色領域の波長λ1の赤色光を発生する赤色LEDと、赤外線領域の波長λ2の赤外光を発生する赤外LEDとが用いられる。一方、受光部32は、発光部31から発せられた光を受光し、その受光した光強度に応じた電流を生成する光電変換素子からなる。該光電変換素子としては、少なくとも前記波長λ1および波長λ2に対して光感応性を有するシリコンフォトダイオード(Silicon Photo Diode)等の受光素子を用いることができる。
【0061】
発光部31と受光部32とは、SpOを測定する生体組織(例えば指先)を挟み生体の透過光を検出できるように対向配置されるか、生体からの反射光を検出できるように隣接配置される。これにより、発光部31から発せられる両波長λ1、λ2の光が、生体を経由した上で、受光部32にて受光されるようになる。
【0062】
測定回路部41は、発光部31に接続される発光制御部411と、受光部32に接続されるA/D変換部412とを備えている。発光制御部411は、後述する制御部42の測定制御部421から所定のサンプリング周期で与えられる発光制御信号に基づき、発光部31の赤色LEDと赤外LEDとを交互に発光させる制御を行う。これにより、発光部31から赤色光(λ1)と赤外光(λ2)とが交互に射出される。A/D変換部412は、同様に測定制御部421により制御され、発光部31の発光に同期して受光部32から出力される光電変換信号(測定信号)を取得し、これをデジタル信号に変換して制御部42へ向けて出力する。
【0063】
酸素は、血液中のヘモグロビンの酸化・還元によって運搬されている。このヘモグロビンは、酸化されると赤色光(λ1)の吸収が減少して赤外光(λ2)の吸収が増加し、逆に還元されると赤色光(λ1)の吸収が増加して赤外光(λ2)の吸収が減少するという光学的特性を有している。センサ部30はこの特性を利用すべく構成されたものであり、受光部32で検出された赤色光(λ1)及び赤外光(λ2)の透過光量の変動を計測することで、SpOを求めることが可能となる。
【0064】
制御部42は、CPU等からなり、フレキシブル基板11に搭載される各部の動作制御を行うもので、機能的に測定制御部421、記録制御部422、表示制御部423及び解析処理部424を備えて構成されている。測定制御部421は、所定の測定プログラムに則りセンサ部30による測定動作(生体情報の測定動作)を制御する。具体的には、前記発光制御部411及びA/D変換部412にタイミングパルス等を与え、サンプリング周期毎に発光部31を発光させると共に、その発光タイミングに同期させて受光部32から光電変換信号(測定信号)を取得させる。
【0065】
記録制御部422は、CPUに備えられているタイマー機能等を用い、A/D変換部412から出力されるデジタル測定信号、或いは解析処理部424により所定の解析処理が行われた測定データを、測定時刻情報に関連付けてメモリ部50に記録する動作を制御する。
【0066】
表示制御部423は、SpO測定中の状態情報若しくは測定したSpO情報を解析処理部424にて解析した結果(被験者の睡眠中におけるSpOの変動度合い等)を、所定の表示形態で表示部60へ表示させる表示動作等を制御する。
【0067】
解析処理部424は、センサ部30にて取得された測定信号に基づき所定のデータ解析を行う。例えば、SASのスクリーニングのためのデータ解析を行う場合、解析処理部424は、メモリ部50に記録されているSpO値を読み出して測定期間中(睡眠期間中)の時間変化データ(SpO曲線)を生成し、該SpO曲線においてSpO値が一時的に落ち込んだ部分(SpO値の低下ピーク;被験者が呼吸不全状態に陥った場合に表出する)の出現回数、SpO値の低下度合い(血中酸素飽和度低下指数)等を演算により求める。
【0068】
通信部80は、メモリ部50に記録されているデータを、パーソナルコンピュータ等の他の電気機器へ移送する際など、データ通信を可能とするためのインターフェイス装置からなる。操作部90は、操作ボタン等からなり、制御部42に対して測定開始指示や各種の操作指示情報を入力するためのものである。
【0069】
このように構成されたフレキシブル基板11の動作の概略は次の通りである。測定が開始されると、測定制御部421によりセンサ部30が動作され、センサ部30から所定のサンプリング周期毎に透過光(又は反射光)に応じた測定信号が出力される。この測定信号は、A/D変換部412でデジタル信号に変換された後、記録制御部422により測定時刻毎のSpO値としてメモリ部50に格納される。このような測定動作が測定期間中繰り返され、メモリ部50に測定時刻毎のSpO値が蓄積される。そして、測定終了後、例えばSASのスクリーニングを行う場合は、解析処理部424によりメモリ部50のSpO値が読み出され、これを時間軸に展開してSpO曲線が作成される。さらに解析処理部424は、かかるSpO曲線におけるSpO値の低下ピークの出現回数、低下ピーク部におけるSpO値の低下度合い等に基づいて、SASのスクリーニング結果情報を求める。この結果情報は、表示制御部423により、適宜な表示形態で表示部60に表示されるものである。
【0070】
以上説明したような、パルスオキシメータとして用いることができるフレキシブル基板は、適宜な外装部材と組み合わされて、生体情報測定器として提供される。フレキシブル基板及び外装部材の形状については、人体への装着性、表示部の見やすさを考慮して様々な形態を取ることができる。以下、フレキシブル基板に対する機能部の実装態様を含め、フレキシブル基板及び外装部材の形状に関する各種実施形態につき説明する。
【0071】
<形状に関する各種実施形態の説明>
まず、フレキシブル基板に対する機能部の好ましい実装態様について説明する。図3は、機能部を構成する部品が実装されたフレキシブル基板11を示す斜視図である。図3(a)に示すように、フレキシブル基板11の一方の面(表面11a)には、横長の表示部60が実装されている。また、図3(b)に示すように、フレキシブル基板11の他方の面(裏面11b)には、発光部31と受光部32、測定回路部41、制御部42、メモリ部50及び電源部70が実装されている。
【0072】
このようなフレキシブル基板11によれば、表面11aが視認面となり、裏面11bが測定面(発光部31及び受光部32により投受光が行われる面)となる。従って、裏面11bを体表の所定部位(指先等)に当接させるようにすれば、生体情報の測定を行いつつ表示部60を視認することが可能となる。また、フレキシブル基板11の一方の面(表面11a)を利用して表示部60を配置できるので、表示部60の面積を大きく取ることが可能となる。さらに、フレキシブル基板11の両面を有効利用するので、フレキシブル基板11のサイズを小型化できるという利点もある。なお、当該フレキシブル基板11において、発光部31及び受光部32を除き、裏面11bに実装されている部品の一部が表面11aの側に搭載されていても良い。
【0073】
図4は、上記フレキシブル基板11を用いた第1実施形態に係る生体情報測定器S1を示す図であって、同図(a)は正面図、同図(b)は側面図をそれぞれ示している。この生体情報測定器S1は、フレキシブル基板11と、このフレキシブル基板11の一方の面(表面11a)を覆い隠すように配置される外装部材21とから構成されている。
【0074】
外装部材21は、可撓性を有し、さらに遮光性、防水性を有する樹脂素材等で形成され、フレキシブル基板11よりも十分に大きい縦長のシート状を呈している。このような縦長のシート状としているのは、絆創膏の要領で、当該生体情報測定器S1を指先へ巻回係止できるようにするためである(図6参照)。外装部材21の片面には人体の皮膚に対して粘着性を有する粘着層21Aが備えられ、また中央部付近には窓部21Tが形成されている。この窓部21Tは、表示部60の表示面を外装部材21越しに視認可能とするためのもので、窓部21Tに相当する部位を切り欠く、透明樹脂層で形成する(例えば、透明シートに窓部21Tに相当する部位が切り欠かれた非透光性シートを重ね合わせる)等の方法で設置される。
【0075】
フレキシブル基板11は、その表面11a(図3参照)が外装部材21の粘着層21Aに対向するようにして、外装部材21と一体化されている。勿論、表面11aに実装された表示部60と前記窓部21Tとが位置合わせされて一体化されており、これにより窓部21Tを介して、表示部60の表示面が観察できるようになっている。なお、フレキシブル基板11は、粘着層21Aの粘着力に基づき外装部材21と一体化されるものでも良いし、別途の接着層で強固に外装部材21と一体化されるものでも良い。或いは、フレキシブル基板11と外装部材21とが、実質的に粘着乃至は接着されない別体構造とすることも可能である。
【0076】
以上の通り構成された生体情報測定器S1は、図6に示すように、外装部材21の長手方向両端部が測定指fの指先に巻き付けられるようにして装着される。この際、フレキシブル基板11は、指先形状に沿って湾曲変形することとなり、また発光部31及び受光部32は指先に当接されるようになる。さらに、粘着層21Aは、指先表面と粘着する(外装部材21の表面側の一部とも粘着する)こととなる。
【0077】
ここで、フレキシブル基板11に横長の表示部60を実装している関係上、外装部材21の窓部21T及び表示部60の長手方向と、指の延在方向とが略一致するような配置関係とされる。すなわち、図5(a)〜(c)に示すように、表示部60の長手方向が矢印a1の方向であるとき、測定指fの延在方向を示す矢印a2の方向と前記矢印a1の方向とが略一致するように、フレキシブル基板11が測定指fに添設されることが、表示面の平坦性を確保して視認性を良好とする点で望ましい。このため、外装部材21を指先に装着した状態において、表示部60の長手方向(矢印a1)が測定指fの延在方向(矢印a2)に沿うように、フレキシブル基板11が外装部材21に挟持される。換言すると、窓部21Tの長手方向が、外装部材21の指先への装着時において測定指fの延在方向に沿うように設けられている。このように構成することで、図6に示すように表示部60の表示面の視認性が良好となり、特に横書き表示(同図では「95%」という数値が横書き表示されている例を示している)をさせることで、被験者の視線における視認性を一層向上させることができる。
【0078】
図7は、第2実施形態に係る生体情報測定器S2を示す正面図(同図(a))及び背面図(同図(b))、図8は、生体情報測定器S2の測定指fへの装着状態を示す斜視図である。この生体情報測定器S2は、フレキシブル基板12と、このフレキシブル基板12の一方の面を覆い隠すように配置される外装部材22とから構成される点で上記第1実施形態と同様であるが、測定指fへの装着安定性並びにフィティング性を向上させる形状的工夫を行っている点で相違している。
【0079】
フレキシブル基板12は、表示部60が表面側に、測定回路部41、制御部42、メモリ部50及び電源部70が裏面側にそれぞれ実装される矩形状の主基板部121と、発光部31及び受光部32が実装される細長いプローブ基板部122と、前記主基板部121とプローブ基板部122とを一体化する細長い連絡基板部123とを備えている。図7(a)に示すように、プローブ基板部122に対して連絡基板部123は直交しており、両者は「T字型」を呈する形態で一体化されている。なお、この実施形態では、発光部31と受光部32とは離間配置されており、指先に測定光を透過させる光学系が採用されている例を示している。
【0080】
一方、外装部材22は、フレキシブル基板12の主基板部121を覆う矩形部221と、プローブ基板部122を覆うと共に該プローブ基板部122部分を測定指fの指先に装着させる係止機能を兼ねる第1帯状部222と、前記矩形部221の端縁部位から延設され主基板部121を測定指fの根元部分に装着させるための係止機能を備える第2帯状部223と、前記連絡基板部123を覆うように前記矩形部221と前記第1帯状部222とを橋絡する第3帯状部224とを備えて構成されている。
【0081】
かかる外装部材22において、前記矩形部221には窓部22Tが形成されており、外装部材22越しにフレキシブル基板12に実装された表示部60が視認可能とされている。また、前記第1帯状部222の両端は、測定指fの指先に巻回される第1巻回部222a、第2巻回部222bとされており、第1巻回部222aには粘着層222cが設けられている。同様に、前記第2帯状部223の両端は、測定指fの根元に巻回される第1巻回部223a、第2巻回部223bとされており、第1巻回部223aには粘着層223cが設けられている。
【0082】
このように構成された生体情報測定器S2は、図8に示すように、第1帯状部222及び第2帯状部223を用いて、測定指fに装着される。すなわち、プローブ基板部122は、第1帯状部222が測定指fの指先へ巻回されることで、発光部31及び受光部32が指先に当接するように装着される。この装着の際、第1巻回部222aの粘着層222cの上に第2巻回部222bが重合されることで係止される。また、表示部60を備える主基板部121は、第2帯状部223が測定指fの根元へ巻回されることで、表示部60が露呈するようにして装着される。この装着の際、第1巻回部223aの粘着層223cの上に第2巻回部223bが重合されることで係止される。
【0083】
以上説明した生体情報測定器S2によれば、第1帯状部222と第2帯状部223とにより、測定指fの指先と根元との2カ所で係止されるので、測定指fへの装着安定性を向上させることができる。また、図8に示すように、第3帯状部224の長さを、測定指fの第1関節、第2関節が露呈する長さとすることで、指の屈曲動作を阻害せずフィティング性を良好なものとすることができる。
【0084】
図9は、第3実施形態に係る生体情報測定器S3を示す正面図(同図(a))及び背面図(同図(b))、図10は、生体情報測定器S3の測定指fへの装着状態を示す斜視図である。この生体情報測定器S3は、フレキシブル基板13と、このフレキシブル基板13の一方の面を覆い隠すように配置される外装部材23とから構成され、2カ所の係止部を備えている点で上記第2実施形態と同様であるが、フレキシブル基板13及び外装部材23が、より簡素化された形状とされている点で相違している。
【0085】
この実施形態では、フレキシブル基板13は、指の幅よりも細い幅のシンプルな長方形のものが用いられている。そして、このフレキシブル基板13の表面側に表示部60が、裏面側に発光部31と受光部32、測定回路部41、制御部42、メモリ部50及び電源部70が直線状にそれぞれ実装されている。なお、この実施形態では、発光部31と受光部32とは近接配置されており、指先の背側若しくは腹側に両者が並んで当接され、測定光を照射してその反射光を受光する光学系が採用されている例を示している。
【0086】
外装部材23は、フレキシブル基板13を覆う矩形部231と、この矩形部231の長手方向両端部から各々延設される第1帯状部232及び第2帯状部233とを備えている。かかる外装部材23において、前記矩形部231には窓部23Tが形成されており、外装部材23越しにフレキシブル基板13に実装された表示部60が視認可能とされている。また、前記第1帯状部232及び第2帯状部233は、当該生体情報測定器S3を測定指fへ装着させる係止部として機能する。すなわち、第1帯状部232の両端は、測定指fの先端付近へ巻回される第1巻回部232a、第2巻回部232bとされており、第2帯状部233の両端は、測定指fの中程付近へ巻回される第1巻回部233a、第2巻回部233bとされている。なお、前記第1巻回部232a、233aには、それぞれ粘着層232c、233cが備えられている。
【0087】
このように構成された生体情報測定器S3は、図10に示すように、第1帯状部232及び第2帯状部233とを用いて、測定指fの延在方向に沿うように装着される。すなわち、前記矩形部231の長手方向と測定指fの延在方向とを略一致させた状態で矩形部231を測定指fの指先付近に添設し、第1帯状部232及び第2帯状部233が測定指fへ各々巻回されることで装着される。この装着の際、第1巻回部232a、233aの粘着層232c、233cの上に、第2巻回部232b、233bが重合されることで係止される。また、この装着により、発光部31及び受光部32が指先(図10の場合は背部)に当接するようになる。
【0088】
以上説明した生体情報測定器S2によれば、第1帯状部232と第2帯状部233とにより2カ所で係止されるので、測定指fへの装着安定性を向上させることができる一方で、フレキシブル基板13及び外装部材23の形状をシンプル化できるのでコストダウンを図ることができるという利点がある。
【0089】
図11は、第4実施形態に係る生体情報測定器S4を示す断面図(同図(a))及び上面図(同図(b))、図12は、生体情報測定器S4の測定指fへの装着状態を示す斜視図である。この生体情報測定器S4は、長方形のフレキシブル基板14と、このフレキシブル基板14を収納する指サックの形状を呈する外装部材24とで構成されている。
【0090】
図11に示すように、この実施形態におけるフレキシブル基板14は、上記第3実施形態と同様に、指の幅よりも細い幅のシンプルな形態であり、その表面側に表示部60が、裏面側に発光部31と受光部32、その他機能部の部品(図略)が実装されている。なお、発光部31と受光部32とは離間配置されており、図11(a)に示す通り、両者の間において180度方向を転換する湾曲部141が形成された状態で外装部材24の内部にフレキシブル基板14が収容されている。このような湾曲部141が形成されることで、指先への装着時において例えば指先の背側に発光部31が、腹側に受光部32がそれぞれ位置するよう両者が対向配置されるようになり、測定光を照射してその透過光を受光する光学系が構成されるようになる。
【0091】
外装部材24は、測定指fの指先に被嵌可能な内径を有する有底筒状を呈している。該外装部材24の周壁部には窓部24Tが形成されており、この窓部24Tを介して内部に収容されているフレキシブル基板14に実装された表示部60の表示面が視認可能とされている。また、有底筒状を呈する外装部材24の開口部24H近傍における内周壁には、皮膚に対して粘着性を有する環状の粘着層241が設けられている。
【0092】
このように構成された生体情報測定器S4は、図12に示すように、外装部材24の開口部24Hに測定指fの指先を嵌め入れるようにして取り付けられる。取り付け後、前記粘着層241と指先周りの皮膚とが粘着されることにより、生体情報測定器S4は指先に装着されるものである。なお、前記粘着層241に代えて、指先に対して締め付け力を与えるようなゴム弾性層を形成しても良い。かかる生体情報測定器S4によれば、指先への装着が極めて簡単に行えるという利点がある。
【0093】
図13は、第5実施形態に係る生体情報測定器S5を示す正面図(同図(a))、背面図(同図(b))、及び分解図(同図(c))である。この生体情報測定器S5は、細長い長方形のフレキシブル基板15と外装部材25とからなるが、フレキシブル基板15の片面ではなく、両面が外装部材25で覆われ、且つフレキシブル基板15が脱着自在とされた実施形態を示すものである。
【0094】
フレキシブル基板15は、第3実施形態で示したフレキシブル基板13と同様な、その表面側に表示部60が、裏面側に測定回路部等の機能部が直線状にそれぞれ実装されてなる基板である。
【0095】
一方、外装部材25は、図13(a)に示すように、その裏面251側にフレキシブル基板15が収納可能な透明ポケット252(着脱自在な保持構造)を備えている。一方、外装部材25の表面253側には、図13(b)に示すように、フレキシブル基板15の表示部60を視認可能とする窓部25Tが形成されている。なお、外装部材25は、測定指fの指先を1.5周程度周回できる長さを有し、裏面251には面ファスナー層が設けられている。
【0096】
図13(c)に示すように、フレキシブル基板15は、前記透明ポケット252に対して着脱自在とされ、該透明ポケット252に収納されることで外装部材25に一体的に保持される。この場合、フレキシブル基板15の発光部31及び受光部32が実装されている面が、透明ポケット252を介して視認されるように、また表示部60が前記窓部25Tと位置合わせされるように収納される。これにより、発光部31及び受光部32による投受光動作は透明ポケット252を通して支障なく行われ、また表示部60の表示面は窓部25Tを介して視認できるようになる。
【0097】
このように構成された生体情報測定器S5は、面ファスナー層が形成された外装部材25の裏面251を指先に沿わせるようにして周回させ、その両端部の面ファスナー層同士を係合されることで指先に装着される。かかる生体情報測定器S5によれば、指先への装着が極めて簡単に行えるだけでなく、フレキシブル基板15のみを取り替えて外装部材25を再利用することも可能となり、リサイクル性に優れた生体情報測定器S5を提供できるという利点がある。
【0098】
図14は、第6実施形態に係る生体情報測定器S6を示す正面図(同図(a))、背面図(同図(b))、及び側断面図(同図(c))である。この生体情報測定器S6は、指先ではなく、呼吸動作等により動きが激しい胸部や腹部への装着に適した実施形態を示すものである。
【0099】
当該生体情報測定器S6は、正方形に近いフレキシブル基板16と外装部材26とから構成され、フレキシブル基板16は外装部材26の裏面側中央部付近に添うように配置されている。また、外装部材26には窓部26Tが設けられており、フレキシブル基板16に実装された表示部60の表示面が視認可能とされている。
【0100】
そして、図14(a)、(c)に示すように、フレキシブル基板16は、透明な粘着シート層261により裏面側(発光部及び受光部が実装されている側)の全面が覆われている。すなわち、フレキシブル基板16は、外装部材26及び粘着シート層261により封止されている。このように構成された生体情報測定器S6によれば、粘着シート層261により体表の所定部位に強固に面粘着することができ、動きが激しい胸部や腹部に装着してもズレや外れが生じ難いという利点がある。
【0101】
<表示部の各種実施形態の説明>
次に、表示部の具体的実施形態につき説明する。図15は、上述の表示部60の具体例を示すもので、同図(a)は複数のLEDを用いたLED表示部60A、同図(b)はフレキシブル液晶を用いた液晶表示部60Bをそれぞれ示す平面図である。
【0102】
図15(a)に例示したLED表示部60Aは、表示基板61上に赤色LED61R、黄色LED61Y及び青色LED61Bの、発光波長が異なる3つのLEDを備えて構成されている。このようなLED表示部60Aによれば、各LEDの点灯(点滅)動作により、各種の表示を行うことが可能となる。例えば、解析処理部424(図2参照)による測定データの解析結果に応じて、青色LED61Bが点灯=正常、黄色LED61Yが点灯=要注意、赤色LED61R=精密検査要、という具合に、測定したSpO値に関連付けた表示を行わせることができる。
【0103】
また、該LED表示部60Aにより、測定状態を表す表示を行わせるようにしても良い。例えば、測定中においてセンサ部30が指先から外れてしまったような場合、A/D変換部412からの出力は、生体を経由した透過光若しくは反射光に基づく出力に比べて明らかに異常なものとなる。このような異常を制御部42で検知可能としておき、正常な測定が行われているときは青色LED61Bを点灯させ、異常時には赤色LED61Rを点灯させるようにすれば、ユーザは正常な測定が行われているか否かを一目で確認できるようになる。
【0104】
次に、図15(b)に例示した液晶表示部60Bは、表示基板62上に搭載された液晶表示面62Dを備えて構成されている。かかる液晶表示面62Dに、上述した測定データの解析結果や測定状態を表す情報若しくはライブ測定結果を、適宜な文字、数字、図形、絵記号、キャラクタ等として表示することができる。図例では、ライブ測定結果の表示画面として、SpO値を表示するSpO表示部621、脈拍数を表示する脈拍表示部622、SpO値及び脈拍数が正常であるか否かをキャラクタの表情で簡易表示する判定表示部623が備えられている例を示している。このような液晶表示面62Dに、例えばSASのスクリーニング結果を表示させる場合は、その結果に応じた点数表示、○×等の記号表示、「優」「良」「注」「危」等の文字種別表示、「精密検査が必要です」などといった忠告表示、顔文字表示等を行わせるようにすれば良い。
【0105】
<電源部の各種実施形態の説明>
続いて、電源部に特徴を有する各種実施形態につき説明する。本発明にかかる生体情報測定器は、使い捨てタイプのパルスオキシメータ等として好適に適用できることから、なるべく構成をシンプル化することが望ましく、例えば測定開始スイッチの類も省略することが望ましい。このため、被験者が生体情報測定器を指先等に装着したことを契機として通電が開始され、測定が自動的に行われるようにすることが望ましい。また、かかる構成とすることで、電源電池の無駄な消耗を抑止できるという利点もある。以下、このような要請を満たす各種実施形態について説明する。
【0106】
図16は、先に説明した第4実施形態の変形実施形態に係る生体情報測定器S4’を示す斜視図である。この生体情報測定器S4’も、指サック型の外装部材24の内部に、長方形のフレキシブル基板140が収納されてなるが、電源電池71の保持状態を工夫し、被験者が外装部材24の開口部24Hから指先を挿入すると、電源電池71からフレキシブル基板140に実装された機能部の各部へ通電が開始されるように構成されている。
【0107】
すなわち、フレキシブル基板140の電池保持面には、塑性変形可能な電池保持部材142が立設されている。また、電池保持部材142が立設されているフレキシブル基板140の基板面には、電源端子143が設けられている。前記電池保持部材142は、指先が挿入される前においては、電源電池71の電極面711と前記電源端子143との間を離間させる態様で電源電池71を保持している。
【0108】
一方、開口部24Hから指先が挿入されると、指先にて電源電池71は上方向へ押圧されるようになり、かかる押圧力を受けて電池保持部材142が塑性変形し、電源電池71の電極面711が電源端子143に接触する。これにより、電源電池71から機能部の各部へ通電が開始されるものである。このように構成することで、測定開始スイッチ等を設けることなく、当該生体情報測定器S4’を指先に装着することを契機として自動的に測定を開始させることができる。なお、電極面711が電源端子143に接触後に離間しないように、両者の接触部付近に適宜な粘着層を設けたり、両者の接触姿勢を保持するための電池固定溝等を付設したりすることが望ましい。
【0109】
図17は、先に説明した第1実施形態の変形実施形態に係る生体情報測定器S1’を示す斜視図である。この生体情報測定器S1’は、フレキシブル基板110、外装部材210及び電源電池71を備えると共に、前記電源電池71からの通電を開始させるための絶縁シート713を備えて構成されている。
【0110】
フレキシブル基板110の電池保持面には、電池支持ピン712が立設されている。この電池支持ピン712は、電源電池71をフレキシブル基板110に押し付ける方向の付勢力を有し、これにより電源電池71の電極面711はフレキシブル基板110の電源端子114に接近するよう付勢されている。前記電極面711と電源端子114との間には、帯状の絶縁シート713が介在され、両者間は絶縁されている。絶縁シート713は、外装部材210に穿設された引き出し孔211を通して、外装部材210の表面側にその遠端部が引き出されており、該遠端部を摘んで容易に引き抜くことが可能とされている。なお、前記引き出し孔211には、絶縁シート713の引き抜き後に生じる空隙を埋めることができるよう、自己融着性のコンパウンドが充填されている。
【0111】
このような生体情報測定器S1’において、測定開始時に絶縁シート713を引き抜くと、電源電池71は電池支持ピン712により付勢されていることから、その電極面711と電源端子114とが接触する。これにより、電源電池71から機能部の各部へ通電が開始され、生体情報測定器S1’による測定が開始されるものである。
【0112】
図18は、第7実施形態に係る生体情報測定器S7を示す正面図(同図(a))、側面図(同図(b))、及び使用状態を示す側面図(同図(c))である。この生体情報測定器S7は、矩形のフレキシブル基板17と、一端側が幅狭部271とされ他端側が幅広部272とされた外装部材27とから構成されている。
【0113】
フレキシブル基板17は、図略の電源回路から引き出されている細幅の第1電極片171と、広幅の第2電極片172とが、フレキシブル基板17の対向する側辺からそれぞれ延出されている。図18(b)に示すように、第1電極片171はフレキシブル基板17が実装されている側の面であって外装部材27の幅広部272に向けて、また第2電極片172は外装部材27を貫通しその幅狭部271に向けて延在している。詳細な回路構造は図示省略しているが、第1電極片171と第2電極片172とが導通することで、図略の電源電池から機能部の各部へ通電が行われるようになっている。
【0114】
このように構成された生体情報測定器S7は、図18(c)に示すように、使用時には幅狭部271が内側になるようにして指先等に巻回される。かかる巻回により、第2電極片172に対して外側から第1電極片171が重ね合わされることとなり、両者は導通状態となる。これにより、電源電池から機能部の各部へ通電が開始され、生体情報測定器S7による測定が開始されるものである。
【0115】
以上のような電源電池を用いたメカニカルな機構だけでなく、先に説明した熱発電部を具備させることで、人体との接触により熱エネルギーが与えられることを契機として、生体情報測定器による測定が開始されるよう構成することもできる。図19は、フレキシブル基板11’上に体温電池72を実装し、外装部材21’にて封止した構成例を示す断面図である。
【0116】
上記体温電池72は、熱電変換素子を備え、人体に接し体温で暖められる部分と、人体から離間している部分との温度差を利用してゼーベック効果に基づき発電を行うものである。該体温電池72は、フレキシブル基板11’からの熱影響を受けないよう、断熱板721の上に実装されている。このような体温電池72が測定指fに当接されると、体温電池72は体温により暖められ電力を発生するようになる。従って、被験者への生体情報測定器の装着を契機として測定を開始させることが可能となる。
【0117】
この他、フレキシブル基板の一部に易破壊部を形成し、この易破壊部が破壊されることにより、機能部の各部への電源供給が開始若しくは停止されるよう構成することもできる。図20は、このような易破壊部を備えた実施態様を実現する具体的回路構成が備えられたフレキシブル基板11Aを示すブロック図である。
【0118】
フレキシブル基板11Aは、基板本体部111と、該基板本体部111の一側辺から延出されている延出部112とから構成されている。そして、延出部112には貫通孔が一列に連続形成されたミシン目状のパーフォレーション部113(易破壊部)が設けられ、延出部112はパーフォレーション部113で先端部112aと根元部112bとに分離可能とされている。
【0119】
フレキシブル基板11Aには、バッファゲート701、ラッチ回路702、電源回路703及び回路部400(上述の測定回路部41や制御部42等がこれに相当する)が実装されている。バッファゲート701はゲートIC等からなり、その入力部Qの入力ライン701aは延出部112のパーフォレーション部113を超えて先端部112aまで延びる比較的長い直線部を有し、折り返して再びパーフォレーション部113を横断して根元部112bにおいてGNDに接続されている。なお入力部に配置されているダイオードD1、D2は、バッファゲート701の保護ダイオードである。
【0120】
ラッチ回路702は、バッファゲート701の出力L又はHに応じた出力を電源回路703に与える。ここでは、バッファゲート701の出力がLからHに変化した瞬間に、該ラッチ回路702の出力がHに固定されるものが用いられる。電源回路703はラッチ回路702の出力に応じてONとされ回路部400に駆動電圧を供給するもので、例えばラッチ回路702からH出力が与えられた場合にONとなるよう制御される。
【0121】
このようなフレキシブル基板11Aにおいて、パーフォレーション部113にて先端部112aが切り離されると、バッファゲート701の入力ライン701aにおける入力部Q〜切断端Pの部分は電気的にGNDから切り離されるようになり、また相当の長さを有していることから電気的な誘導ノイズを拾うアンテナ部Anとして機能する。バッファゲート701の入力部Qには、前記アンテナ部Anから与えられる不安定な入力電位が与えられるようになり、いずれバッファゲート701の入力閾値を超える場合が生じる。これにより、バッファゲート701の出力がLからHに変化し、かかる出力変化を受けてラッチ回路702はH出力に固定される。該ラッチ回路702のH出力を受けて、電源回路703がONとされ、以降回路部400への駆動電圧供給が行われるものである。なお、これ以降にアンテナ部Anが誘導ノイズを拾ったとしても、ラッチ回路702の出力は固定されていることから、電源回路703がOFFとされることはない。
【0122】
以上説明したようなフレキシブル基板11Aを用いれば、その一部に形成された易破壊部を破壊(切断)することを契機として、生体情報測定器による測定を開始させることが可能となる。図21は、このような易破壊構造を備えた、第8実施形態に係る生体情報測定器S8を示す平面図である。この生体情報測定器S8は、発光部31と受光部32、測定回路部41、制御部42、表示部60、電源部70等が実装されたフレキシブル基板18と、このフレキシブル基板18を覆う外装部材28とを備えると共に、前記易破壊部としての第1パーフォレーション部281と第2パーフォレーション部282とを備えて構成されている。
【0123】
前記第1パーフォレーション部281は、上述した図20のパーフォレーション部113と同様に、これを切り離すことで電源部70からの通電が開始される切り離し部である。一方、第2パーフォレーション部282は、発光部31及び受光部32と測定回路部41との電気的接続を遮断するような切り離し部である。つまり、第2パーフォレーション部282を切り離すことで発光部31の発光動作及び受光部32の受光動作が行われなくなり、結果として測定動作が停止されるものである。
【0124】
かかる生体情報測定器S8において、初期状態(図21に示す状態)では、第1パーフォレーション部281及び第2パーフォレーション部282は、いずれも切り離されていないことから、フレキシブル基板18において電源部70から機能部の各部への駆動電圧は供給されない。次に、図22(a)に示すように、第1パーフォレーション部281が切り離されると、フレキシブル基板18の一部18Cも切り離され、先に図20に基づいて説明した原理で電源部70から機能部の各部への電圧供給が開始され、測定動作が開始される。この際、外装部材28の切り離し部28Cを利用し、該切り離し部28Cを指先等に巻き付けることで、当該生体情報測定器S8を指先に装着することができる。
【0125】
そして、所定時間の測定が完了すると、図22(b)に示すように、さらに第2パーフォレーション部282を切り離す(結果的に、フレキシブル基板18の一部18Dと外装部材28の一部28Dとが除去される)ことで、発光部31及び受光部32への駆動信号の供給が停止され、測定動作を強制終了させることができる。この場合、表示部60と電源部70とを接続する回路配線は切断されないようにしておき、表示部60による表示動作が継続されるようにすることが望ましい。以上説明したような生体情報測定器S8によれば、易破壊部である第1パーフォレーション部281及び第2パーフォレーション部282の適宜な時期における切り離しを契機として、測定動作(電源供給)の開始、並びに停止を行わせることができる。
【0126】
<その他各種実施形態の説明>
図2に示したように、フレキシブル基板11には、パーソナルコンピュータ等の他の電気機器とデータ通信を行うための通信部80を有していることが望ましい。この場合、前記通信部80には、通信ケーブル端末部を接続するためのコネクタ部、或いは無線通信部等を具備させる必要がある。
【0127】
図23は、コネクタ部を備えた第9実施形態に係る生体情報測定器S9を示す斜視図である。この生体情報測定器S9は、図23(a)に示すように、フレキシブル基板19と、該フレキシブル基板19を覆う外装部材29とを備え、前記外装部材29にのみパーフォレーション部291が設けられている。
【0128】
このような生体情報測定器S9において、測定が完了すると、図23(b)に示すように、パーフォレーション部291にて外装部材29の端部29Dを切り離すことで、フレキシブル基板19の端部19Eが露呈され、該端部19Eに形成された導体露出部からなるコネクタ部191が表出されるようになっている。このようなコネクタ部191に、例えば挟み込み式のコネクタを有する通信ケーブルを接続することで、パーソナルコンピュータ等とのデータ通信が行えるようになる。
【0129】
[生体情報測定器の他例の説明]
<R−R間隔測定器>
以上、パルスオキシメータを例示して、本発明に係る生体情報測定器の各種実施形態を説明したが、本発明はその他の生体情報測定器にも適用可能であり、例えば心電R−R間隔測定器として構成することができる。前記R−R間隔は、一回の心拍で心電図に表れるP,Q,R,S,T波のうち、最も顕著に観察されるR波のピーク間隔であって、このR−R間隔を時系列化して表示すると心拍変動を知見することができる。このような心拍変動は、生体活動に伴う自律神経の生物学的制御機能の評価指標として広く臨床応用されている。
【0130】
この場合、図1に示すセンサ部30として、心臓の活動電位を検出する電極が用いられることとなる。或いは、脈波データから前記R−R間隔に相当する情報(脈波のピーク間隔;脈波P−P間隔)を抽出するために、図2で説明した2波長型の発光部31に代えて、単波長型の発光部とした脈波測定器として構成すればよい。このようなR−R間隔測定器によれば、従前のホルター心電計に比べて装着負担感を格段に軽減することができる。従って、例えば心房細動を計測する場合、1〜2週間程度の長期計測が必要となるが、このような長期計測でも被験者にさほど不快感を与えることなく測定を行うことができる。
【0131】
<PSG測定器>
1時間当たりの無呼吸及び低呼吸回数であるAHI(Apnea Hipopnea Index)を求める場合に、脳波、口・鼻のフロー、いびき音、胸・腹の動き、体位乃至は体動などの評価パラメータを検出するポリソムノグラフィ(PSG;polysomnography)が用いられる。従来のPSG測定器では、前記評価パラメータを取得するためのセンサを被験者の所定部位に装着され、これらと測定器本体とがケーブルで接続される。このため、被験者はPSG測定中において寝返りを打つことすらままならない状態である。
【0132】
しかし、本発明に係る生体情報測定器をPSG測定に適用すれば、被験者の装着負担感を大幅に軽減することができる。例えば、図24に示すように、口・鼻のフローセンサとしての第1生体情報測定器S11と、呼吸運動(胸・腹の動き)を検出するセンサとしての第2生体情報測定器S12と、SpOを測定するパルスオキシメータとしての第3生体情報測定器S13とを準備し、所定箇所に装着する。この場合、第1生体情報測定器S11のセンサ部は温度センサ、第2生体情報測定器S12は加速度センサ又は歪みゲージ、第3生体情報測定器S13は上記で説明したような発光部及び受光部を備えたフレキシブル基板が用いられる。そして、個々の測定器S11〜S13による測定値を各々のメモリ部に時刻情報に関連付けて格納し、測定完了後にパーソナルコンピュータ等に測定データをダウンロードし、時刻情報を用いて時間合わせしつつデータ解析を行うようにすることで、AHI等の解析データを求めることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明の実施形態に係る生体情報測定器Sの構成を簡略的に示す平面図である。
【図2】本発明に係る生体情報測定器をパルスオキシメータとして構成する場合における、フレキシブル基板に搭載される機能部の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】機能部を構成する部品が実装されたフレキシブル基板を示す斜視図であり(a)は表面側斜視図、(b)は裏面側斜視図である。
【図4】第1の実施形態に係る生体情報測定器S1を示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図5】(a)〜(c)は、表示部の設定方向を説明するための説明図である。
【図6】上記生体情報測定器S1の測定指fへの装着状態を示す斜視図である。
【図7】第2実施形態に係る生体情報測定器S2を示す図であって、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【図8】上記生体情報測定器S2の測定指fへの装着状態を示す斜視図である。
【図9】第3実施形態に係る生体情報測定器S3を示す図であって、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【図10】上記生体情報測定器S3の測定指fへの装着状態を示す斜視図である。
【図11】第4実施形態に係る生体情報測定器S4を示す図であって、(a)は側断面図、(b)は上面図である。
【図12】上記生体情報測定器S4の測定指fへの装着状態を示す斜視図である。
【図13】第5実施形態に係る生体情報測定器S5を示す図であって、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は分解図である。
【図14】第6実施形態に係る生体情報測定器S6を示す図であって、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は断面図である。
【図15】(a)は複数のLEDを用いたLED表示部60A、(b)はフレキシブル液晶を用いた液晶表示部60Bをそれぞれ示す平面図である。
【図16】第4実施形態の変形実施形態に係る生体情報測定器S4’を示す斜視図である。
【図17】第1実施形態の変形実施形態に係る生体情報測定器S1’を示す斜視図である。
【図18】第7実施形態に係る生体情報測定器S7を示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は使用状態を示す側面図である。
【図19】体温電池を用いる場合の実施形態を示す断面図である。
【図20】易破壊部を備えた実施態様を実現する具体的回路構成が備えられたフレキシブル基板を示すブロック図である。
【図21】第8実施形態に係る生体情報測定器S8を示す平面図である。
【図22】(a)、(b)は、上記生体情報測定器S8の使用状態を説明するための平面図である。
【図23】第9実施形態に係る生体情報測定器S9を示す斜視図である。
【図24】PSG測定器としての実施形態を示す説明図である。
【図25】従来のパルスオキシメータの装着状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0134】
10,11〜19 フレキシブル基板
20,21〜29 外装部材
21T〜26T 窓部
30 センサ部
31 発光部
32 受光部
40 回路部
41 測定回路部
42 制御部(解析処理部)
50 メモリ部
60 表示部
60A LED表示部
60B フレキシブル液晶表示部
70 電源部
71 電源電池
72 体温電池
80 通信部
113、281、291 パーフォレーション部(易破壊部)
713 絶縁シート
F 機能部
S,S1〜S9,S11〜S13 生体情報測定器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の生体情報に関連するパラメータを連続測定するセンサ部と、該センサ部から出力される測定信号に対して所定の処理を行う回路部と、前記測定信号若しくは前記回路部による処理後の測定データを記憶可能なメモリ部と、測定に関連する所定の情報を表示する表示部と、各部に駆動電圧を供給する電源部とを含む機能部と、
前記機能部を実装する一枚のフレキシブル基板と、
前記フレキシブル基板を覆う外装部材とを具備することを特徴とする生体情報測定器。
【請求項2】
前記回路部に、前記測定信号をデジタル信号に変換するA/D変換部と、前記デジタル信号に対して所定のデータ解析処理を行う解析処理部とが含まれていることを特徴とする請求項1に記載の生体情報測定器。
【請求項3】
前記回路部に、前記機能部の動作を制御する制御部が備えられ、
前記制御部は、少なくともセンサ部による生体情報の測定動作、前記測定信号若しくは測定データを前記メモリ部へ測定時刻情報に関連付けて記録する記録動作、測定中の状態情報若しくは測定した生体情報に関連する所定の情報を表示させる表示動作のうちの、1つ以上の動作を制御するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の生体情報測定器。
【請求項4】
前記センサ部に発光部と受光部とが備えられ、前記外装部材が遮光性を有する部材から構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の生体情報測定器。
【請求項5】
測定される生体情報が、血中酸素飽和度、脈波波形、口・鼻のフロー、いびき音、体位乃至は体動、胸・腹の呼吸運動及び心電波形から選ばれる1つ以上の生体情報を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の生体情報測定器。
【請求項6】
前記表示部が、測定中の状態情報若しくは測定した生体情報に関連付けられた点灯動作を行うLED表示部を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の生体情報測定器。
【請求項7】
前記表示部が、測定中の状態情報若しくは測定した生体情報に関連付けられた表示情報を表示するフレキシブル液晶表示部を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の生体情報測定器。
【請求項8】
前記電源部が、人体の熱エネルギーを利用して発電する発電部を具備することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の生体情報測定器。
【請求項9】
前記電源部が電池からなり、その電池電極と電源供給を行う回路配線端末との間に、引き抜き容易な絶縁シートが介在されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の生体情報測定器。
【請求項10】
前記フレキシブル基板の一部に易破壊部が形成されていると共に、該易破壊部を横切るように回路配線の一部が配線されてなり、
前記易破壊部が破壊されることにより、前記機能部の各部への電源供給が開始若しくは停止されるよう構成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の生体情報測定器。
【請求項11】
前記外装部材が、前記フレキシブル基板を防水する防水機能を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の生体情報測定器。
【請求項12】
前記外装部材が、人体の皮膚に対して粘着性を有する粘着層を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の生体情報測定器。
【請求項13】
前記外装部材が、前記フレキシブル基板を一体的に保持する着脱自在な保持構造を備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の生体情報測定器。
【請求項14】
前記外装部材を人体の一部に装着させるための係止部が、外装部材に一体的に設けられていることを特徴とする請求項13に記載の生体情報測定器。
【請求項15】
前記外装部材が指に装着されるものであって、前記表示部が横長の表示面を具備する場合において、
前記外装部材を指に装着した状態において前記表示面の長手方向が指の延在方向と略一致するように、前記フレキシブル基板が前記外装部材に保持されることを特徴とする請求項14に記載の生体情報測定器。
【請求項16】
前記フレキシブル基板の一方の面に少なくとも前記表示部が実装され、他方の面に前記機能部の残りの各部が実装されてなり、
前記外装部材に、前記表示部を視認可能とする窓部が設けられていることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の生体情報測定器。
【請求項17】
他の電気機器とデータ通信を行うための通信部が、前記フレキシブル基板に実装されていることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の生体情報測定器。
【請求項18】
前記通信部が、他の電気機器と電気接続するためのコネクタ部を有し、該コネクタ部は前記外装部材の一部を破ることで表出するよう構成されていることを特徴とする請求項17に記載の生体情報測定器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2007−105316(P2007−105316A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−300610(P2005−300610)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(303050160)コニカミノルタセンシング株式会社 (175)
【Fターム(参考)】