説明

産業廃棄物を用いた暗渠排水管構造体製造装置

【課題】使用済の発泡スチロール及びビニールシートを有効活用して水平管路と浸透部とから成る暗渠排水管構造体を成形するのに適した構造の産業廃棄物を用いた暗渠排水管構造体製造装置を提供する。
【解決手段】使用済みの発泡スチロールを破砕搬送する2本の並列に設けられたスクリューコンベア10,11を有する破砕ケース2と、使用済みのビニールシートを細かく切断して、切断後のビニールシート片を前記粉砕ケースの中に供給するビニールシート片切断供給手段3と、暗渠排水管構造体成形部へ送り出す加熱送風手段4と、使用済みのビニールシートを供給するビニールシート供給手段60と、前記加熱送風手段4から供給される熱風によって表面が溶融された発泡スチロール片及びビニールシート片と、浸透部と水平管路とを有する暗渠排水管構造体の形状に成形する暗渠排水管構造体成形部5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業廃棄物として問題になっている使用済みの発泡スチロールとビニールシートの両方を再利用することができる暗渠排水管構造体製造装置の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
日常生活や事業活動における簡便さ快適さを要求し続けた結果、大量生産、大量消費のライフスタイルが定着するようになってきている。特に、発泡スチロールは軽量で弾力性があり断熱性もよく、しかも安価であることから、梱包材、野菜や魚介類等の食品用の容器等、各種の分野で広く製品化されて利用されており、その使用量も増加の一途をたどっている。しかしながら、発泡スチロール製品は、上述のような優れた特性を有する反面、強度及び耐久性は必ずしも優れているとはいえず、また、安価なため品物を輸送する時の梱包等、一時的に使い捨てとして使用されるものが多く、そのため使用済み発泡スチロール製品の廃棄物が大量に発生している。
また、農業ではビニール ハウスのビニールシートを略毎年貼りかえるため、使用済みのビニールシートの廃棄物も大量に発生している。
そして、これらの使用済み発泡スチロール及びビニールシートは、焼却処理又は埋め立て処理される。
しかし、発泡スチロールは焼却する時に煙、悪臭が発生するので、住宅が隣接した市内等では焼却ができず、使用済みの発泡スチロールは、郊外の産業廃棄物焼却施設まで運送しなければならならないという問題があり、前記悪臭等の問題を除去するために触媒等の装置を付けた場合には焼却装置自体が高価なものになり、やはり手軽に使用できるものではなくなるという問題がある。使用済み発泡スチロール製品やビニールシートを埋立処理する場合には、上記煙、悪臭の発生の問題はなくなるが、住宅が隣接している市内では埋め立てるスペースが少なく、また、上述のように発泡スチロール製品の使用量が増加の一途をたどり、それに従って使用後の廃品となった発泡スチロール製品が増大してきているため、土地の利用を妨げる等の二次公害も引き起こしている。上記した問題は発泡スチロール製品に限らず、ビニールシートにも当てはまり、特に、上述のように大量生産大量消費のライフスタイルが定着してきている現在においては、大量に発生する使用済みの発砲スチロール及びビニールシートを適正に処理することは極めて重要な問題となっている。
この出願の発明者は、上記した問題を解決し、使用済みの発砲スチロール及び使用済みのビニールシートを利用して、水田で用いられる暗渠排水管を製造することができる産業廃棄物再利用装置を既に提案している(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2006−320819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した産業廃棄物再利用装置は、
使用済みの発泡スチロールを破砕搬送する2本の並列に設けられたスクリューコンベアを有する破砕ケースと、
使用済みのビニールシートを細かく切断して、粉砕ケースに供給するビニールシート片切断供給手段と、
粉砕後の発泡スチロール片及び切断後のビニールシート片を加熱し、それらの表面を溶融するための加熱手段と、
粉砕された発泡スチロールを所定の形状に圧縮しながら固化させる成形手段と
を備え、
前記粉砕ケース、加熱手段、及び成形手段を直線上に並べて設け、粉砕ケース内のスクリューコンベアを加熱手段を貫通させて成形手段に至るように延長して成り、
これにより、産業廃棄物である粉砕後の発泡スチロール片及び切断後のビニールシート片を成形手段で所定の形状に成形するものである。
しかし、上記した従来の産業廃棄物再利用装置は、前記粉砕ケース、加熱手段、及び成形手段を直線上に並べて設け、粉砕ケース内のスクリューコンベアを加熱手段を貫通させて成形手段に至るように延長することで、スクリューコンベアによって表面が溶融された発泡スチロール片及び切断後のビニールシート片を成形手段まで搬送するように構成されているので幾つかの問題が残っている。
具体的には、スクリューコンベアが加熱手段を貫通しているため、スクリューコンベアに隠れた発泡スチロール片及び切断後のビニールシート片が十分に加熱されないという問題がある。発泡スチロール片及び切断後のビニールシート片が十分に加熱されないと、表面が十分に溶融されずに、これらが相互に溶着しないため完成製品が直ぐに崩れてしまう脆い製品になってしまう。
これを解決するために、加熱手段の温度を上げると、発泡スチロール片及び切断後のビニールシート片が溶融し過ぎてしまい、スクリューコンベアに付着して詰まりの原因になるという問題が生じる。さらに、発泡スチロール片及び切断後のビニールシート片が溶融し過ぎてしまうと完成製品が隙間の殆どない密度の高い製品になってしまうので、これを暗渠排水管の浸透層として用いることができなくなるという問題も生じる。
発明者は、上記した産業廃棄物再利用装置を提案後も、産業廃棄物の再利用について鋭意研究を重ね、上記した問題点を見出し、これを解決するために本発明を発明するに至った。
本発明は、従来の産業廃棄物再利用装置の問題点を解決し、使用済の発泡スチロール及びビニールシートを有効活用して水平管路と浸透部とから成る暗渠排水管構造体を成形するのに適した構造の産業廃棄物を用いた暗渠排水管構造体製造装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した目的を達成するために、本発明に係る産業廃棄物を用いた暗渠排水管構造体製造装置は、使用済みの発泡スチロールを破砕搬送する2本の並列に設けられたスクリューコンベアを有する破砕ケースと、使用済みのビニールシートを細かく切断して、切断後のビニールシート片を前記粉砕ケースの中に供給するビニールシート片切断供給手段と、前記粉砕ケースから排出される発泡スチロール片及びビニールシート片を、それらの表面を溶融可能な温度まで加熱された熱風によって暗渠排水管構造体成形部へ送り出す加熱送風手段と、使用済みのビニールシートを複数枚重ねて成るビニールシートを供給するビニールシート供給手段と、前記加熱送風手段から供給される熱風によって表面が溶融された発泡スチロール片及びビニールシート片と、前記ビニールシート供給手段から供給されるビニールシートとを受け入れて、これらの材料を、浸透部と水平管路とを有する暗渠排水管構造体の形状に成形する暗渠排水管構造体成形部とを備えていることを特徴とする。
前記前記暗渠排水管構造体成形部は、筒状の水平管路の軸線方向に沿った下半分を形成する水平管路下側半体を前記ビニールシートによって成形し、筒状の水平管路の軸線方向に沿った上半分を形成する水平管路上側半体と浸透部とを、前記発泡スチロール片及びビニールシート片によって成形するように構成され得る。
また、前記暗渠排水管構造体成形部は、好ましくは、上下に少なくとも二つの分割した少なくとも二つの浸透部片で、前記浸透部を成形するように構成され得る。
さらに、暗渠排水管構造体製造装置は、水平管路下側半体を製造装置の上側で巻き取る第一巻取りリールと、水平管路上側半体を製造装置の前方で巻き取る第二巻取りリールと、前記浸透部片を製造装置の側方で巻き取る第三巻取りリールとを有することができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る産業廃棄物を用いた暗渠排水管構造体製造装置は、使用済みの発泡スチロールを破砕搬送する2本の並列に設けられたスクリューコンベアを有する破砕ケースと、使用済みのビニールシートを細かく切断して、切断後のビニールシート片を前記粉砕ケースの中に供給するビニールシート片切断供給手段と、前記粉砕ケースから排出される発泡スチロール片及びビニールシート片を、それらの表面を溶融可能な温度まで加熱された熱風によって暗渠排水管構造体成形部へ送り出す加熱送風手段と、使用済みのビニールシートを複数枚重ねて成るビニールシートを供給するビニールシート供給手段と、前記加熱送風手段から供給される熱風によって表面が溶融された発泡スチロール片及びビニールシート片と、前記ビニールシート供給手段から供給されるビニールシートとを受け入れて、これらの材料を、浸透部と水平管路とを有する暗渠排水管構造体の形状に成形する暗渠排水管構造体成形部とを備えているので、溶融した発泡スチロール片及びビニールシート片がスクリューコンベア等に付着して詰まりの原因になることがなく、かつ、発泡スチロール片及びビニールシート片を満遍なく加熱溶融して、これらの材料で、水平管路上側半体及び浸透部を成形することができる。
さらに、熱風を利用して発泡スチロール片及びビニールシート片を加熱溶融しながら暗渠排水管構造体成形部へ送るように構成することにより、溶融した発泡スチロール片及びビニールシート片が極端に高い密度で溶着することがなくなるので、完成した暗渠排水管構造体に適度な密度を持たせることが可能になり、設置した時に浸透部が十分に水を通すようになる。
さらにまた、水平管路下側半体は、発泡スチロール片及びビニールシート片ではなく、使用済みのビニールシートを複数枚重ねて成るビニールシートを使って成形するので、使用時に水平管路の下側に水が漏れ出す心配がない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係る暗渠排水管構造体製造装置の一実施例の内部構造を示す概略縦断面図である。
【図2】図1に示した暗渠排水管構造体製造装置の概略横断面図である。
【図3】図1におけるA−A断面図である。
【図4】図1におけるB−B断面図である。
【図5】無端ベルト40における一組のチェーン片40b及びU字状型片40cを示す図である。
【図6】暗渠排水管構造体成形部5における無端ベルト40とスクリューコンベア11の拡大図縦断面図である。
【図7】本発明に係る暗渠排水管構造体製造装置で製造された暗渠排水管構造体の横断面図である。
【図8】本発明に係る暗渠排水管構造体製造装置で製造された暗渠排水管構造体の設置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面に示した一実施例を参照しながら、本発明に係る産業廃棄物を利用した暗渠排水管構造体製造装置(以下、単に、暗渠排水管構造体製造装置と称する。)の実施の形態を説明していく。
図1は本発明に係る暗渠排水管構造体製造装置の一実施例の内部構造を示す概略縦断面図、図2は図1に示した暗渠排水管構造体製造装置の概略横断面図を各々示している。
図中符号1は暗渠排水管構造体製造装置を示しており、この暗渠排水管構造体製造装置1は粉砕ケース2、ビニールシート片切断供給手段3、加熱送風手段4、ビニールシート供給手段60及び暗渠排水管構造体成形部5を有する。
前記破砕ケース2は箱型に形成され、その上面には使用済み発泡スチロールaを投入するためのホッパ6が設けられている。
また、この破砕ケース2は2つの脚体7,8によって基礎台9上に支持されている。
破砕ケース2の内部には2本のスクリューコンベア10及び11がケース2の長手方向に平行に設けられており、一方のスクリューコンベア10は、その前端が破砕ケース2の前板に回動自在に支持され、その後部が破砕ケース2の後板を通って前記脚体8に回動自在に軸支されている。
他方のスクリューコンベア11は、破砕ケース2の前板に形成された開口を通って、破砕ケース2の前方に位置する暗渠排水管構造体成形部5の内部まで伸びている。
2本のスクリューコンベア10及び11は、その後端が各々前記脚体8の後方まで延出しており、その延出した部分には各々ギヤが取り付けられている。
基礎台9のスクリューコンベア11の後端に対応する位置にはモータ12が設けられており、これらのモータ12のスプロケットとスクリューコンベア11に取り付けられたスプロケットとの間にはチェーンが掛け渡されている。
前記スクリューコンベア10及び11は、モータ12によって、チェーン、スプロケット及びギヤを介して、各々内側に向かって回転させられ、ホッパ6から投入される使用済み発泡スチロールaを2つのスクリューコンベア10及び11の間に巻き込み、破砕するように作動する。
【0009】
上記したように構成された粉砕ケース2の前部には、ビニールシート片切断供給手段3が接続されている。
ビニールシート片切断供給手段3は、案内樋20、縦切回転刃21、受けホイル22、排出羽根付きホイル23、横切回転刃24、排出管25、ビニールシート片供給用ホッパ26、及び落下調整装置27を備えている。
前記案内樋20は、使用済みのビニールシートbを案内する樋であり、この案内樋20には複数の縦切回転刃21及び受けホイル22が設けられている。
これら縦切回転刃21によりビニールシートbは、複数の細長いビニール帯体に切断される。
縦切回転刃21で切断されたビニールシート帯体は、排出羽根付きホイル23により排出管25へ排出される時に、横切回転刃24により、さらに細かいビニールシート片に切断される。
排出管25に排出されたビニールシート片は、ビニールシート片供給用ホッパ26に送り出される。
ビニールシート片供給用ホッパ26は、前記粉砕ケース2の前部に接続されており、ホッパ26に溜められたビニールシート片は、落下調整装置27を介して、適当量、粉砕ケース2に供給される。
【0010】
図3は、図1におけるA−A断面図である。
図面に示すように、粉砕ケース2は、連結管30を介して加熱送風手段4に接続されている。
加熱送風手段4は、内部にファン31を備えたハウジング32、粉砕ケース2とハウジング32とを繋ぐ前記連結管30、前記ファン31を駆動するモータ33、ハウジング32内に熱風を吹き込む加熱送風機34、及び、前記ハウジング32と暗渠排水管構造体成形部5とを繋ぐ排出管35を備えている。
粉砕ケース2で処理された発泡スチロール片及びビニールシート片は、連結管30を介して加熱送風手段4のハウジング32の中に供給される。
前記ハウジング32の内部には、加熱送風機34から熱風が送り込まれており、発泡スチロール片及びビニールシート片はこの熱風によって加熱されて表面が溶融される。
発泡スチロール片及びビニールシート片は、モータ33で駆動されるファン31の作用で、排出管35を介して暗渠排水管構造体成形部5へ送り出される。
【0011】
ビニールシート供給手段60は、使用済のビニールシートを複数枚重ねて溶着してなるビニールシートcを巻き取ったロール61を有し、ビニールシートcを暗渠排水管構造体成形部5へ送り出す。
【0012】
図4は、図1におけるB−B断面図である。
図面に示すように、暗渠排水管構造体成形部5は、無端ベルト40,41,42,43、後壁44、及び前壁(図示せず)とを備え、これらの構成部材で前後左右上下が囲まれており、これらの構成部材で浸透部と水平管路とを有する暗渠排水管構造体の成形型を作り出している。
図1に示すように、上側に位置している無端ベルト40は、一対のスプロケット40aに掛け渡されたチェーンベルトから成る。図中、符号40dは、テンション用ローラである。図5及び図6に示すように、各チェーン片40bには下向きに開くU字状の型片40cが溶接されている。隣接する型片40cの間隔及び寸法は、中空軸11bにスクリュー11aを設けて成るスクリューコンベア11のスクリュー11aの間隔に合わせて決められており、使用時に、ビニールシート供給手段60から供給されてくるビニールシートcが、型片40cとスクリューコンベア11のスクリュー11aとの間に挟まれて、蛇腹状の水平管路下側半体50に成形されるように構成されている。前記水平管路下側半体50は、暗渠排水管構造体における筒状の水平管路の軸線方向に沿った下半分を形成する半体である。
図1に示すように、無端ベルト41は、一対のローラ41aに掛け渡されたステンレスベルトから成り、暗渠排水管構造体成形部5の下側に位置する。
また、図2に示すように、無端ベルト42は、一対のローラ42aに掛け渡されたステンレスベルトから成り、暗渠排水管構造体成形部5の左側に位置する。無端ベルト43は、一対のローラ43aに掛け渡されたステンレスベルトから成り、暗渠排水管構造体成形部5の右側に位置する。
これらの無端ベルト41〜43は、その表面に溶融された発泡スチロール片やビニールシート片が付着しないように、ベルトの表面に油が塗布されている。
図面に示すように、スクリューコンベア11の前部は、後壁44を貫通して成形型内まで伸びている。スクリューコンベア11の成形型内に位置する部分にはスクリューコンベア11を加熱するためにニクロム線が設けられている。
また、特に図4に示すように、加熱送風手段4における排出管35は、後板44に接続されている。
前板は図示していないが、スクリューコンベア11の軸線方向に沿って前後に移動可能であり、最初は成形型の前端を塞いでいるが、成形型内で暗渠排水管構造体が大きくなるにつれて、スクリューコンベア11の軸線方向に後退する。
【0013】
次に、上記したように構成された暗渠排水管構造体製造装置の作用について簡単に説明していく。
始めに、ホッパ6から粉砕ケース2に入れられた使用済の発泡スチロールが粉砕ケース2内で発泡スチロール片に粉砕される。
これと同時に使用済のビニールシートがビニールシート片切断供給手段3によって細かいビニールシート片に切断される。ビニールシート片は、切断後、粉砕ケース2の内部に供給され発泡スチロール片と混ざり合う。
粉砕ケース2内の発泡スチロール片及びビニールシート片は、連結管30を介して加熱送風手段4のハウジング32の内部に供給され、ここで、熱風によって溶融された状態で排出管35を通して、暗渠排水管構造体成形部5の成形型内部に吹き込まれる。
同時に、ビニールシート供給手段60からビニールシートcが、暗渠排水管構造体成形部5におけるスクリューコンベア11と無端ベルト40との間に供給される。
成形型内に吹き込まれた発泡スチロール片及びビニールシート片は、熱風によって表面が溶融されているため相互に溶着して、成形型の形状に応じた形で固まる。具体的には、スクリューコンベア11と、無端コンベア41,42,43と、後壁44と、前壁とで囲まれた空間内で、暗渠排水管構造体における筒状の水平管路の軸線方向に沿った上半分を形成する水平管路上側半体51と、浸透部52とを一体にした暗渠排水管構造体片の形状に成形される(図7参照)。
成形型を構成する四つの無端ベルト40〜43及びスクリューコンベア11は、成形型内で形成される暗渠排水管構造体片を順次前方に送り出すように駆動し、これにより、成形型内の後部に新たな空間が形成され、その空間に発泡スチロール片及びビニールシート片が吹き込まれ、連続した暗渠排水管構造体片が形成されていく。
【0014】
上記したように成形される暗渠排水管構造体片は、暗渠排水管構造体成形部5の出口付近で不図示の適当な切断手段により三つに切断される。
具体的には、暗渠排水管構造体片は、筒状の水平管路の軸線方向に沿った上半分を形成する水平管路上側半体51と、浸透部52を構成する二つの浸透部片52a及び52bに切断される(図7参照)。
【0015】
上記したように成形された
ビニールシートから成る水平管路下側半体50と、
発泡スチロール片及びビニールシート片から成る水平管路上側半体51、浸透部片52a及び52bとは、
それぞれ、暗渠排水管構造体成形部5を出た後に、それぞれ、不図示のローラに巻き取られる。
具体的には、例えば、水平管路下側半体50及び水平管路上側半体51は、暗渠排水管構造体成形部5の上方に設置したローラに巻き取られ、
浸透部片52aは、暗渠排水管構造体成形部5の左側に設置したローラに巻き取られ、
浸透部片52bは、暗渠排水管構造体成形部5の右側に設置したローラに巻き取られ得る。
【0016】
図7は、本発明に係る暗渠排水管構造体製造装置で製造された暗渠排水管構造体の横断面図である。
この暗渠排水管構造体は、図面に示すように、水平管路下側半体50、水平管路上側半体51及び二つの浸透部片52a,52bから成り、水平管路下側半体50及び水平管路上側半体51で水平管路が形成されており、この水平管路が排水管として機能する。また、水平管路の上側には、二つの浸透部片52a,52bにより浸透層52が形成されており、使用時には、浸透層52に浸透した水が水平管路上側半体51を介して水平管路に入り、水平管路を通して水が排水されることになる。尚、水平管路の下側に位置する水平管路下側半体50は、複数のビニールシートを重ねて成るビニールシートで形成されているので、水平管路の下側に水が漏れ出すことはない。
図8は、本発明に係る暗渠排水管構造体製造装置で製造された暗渠排水管構造体の設置例を示す図である。
【符号の説明】
【0017】
a 使用済発泡スチロール
b 使用済みのビニールシート
c ビニールシート

1 暗渠排水管構造体製造装置
2 粉砕ケース
3 ビニールシート片切断供給手段
4 加熱送風手段
5 暗渠排水管構造体成形部

6 ホッパ
7 脚体
8 脚体
9 基礎台
10 スクリューコンベア
11 スクリューコンベア
11a スクリュー
11b 中空軸
12 モータ

20 案内樋
21 縦切回転刃
22 受けホイル
23 排出羽根付きホイル
24 横切回転刃
25 排出管
26 ビニールシート片供給用ホッパ
27 落下調整装置

30 連結管
31 ファン
32 ハウジング
33 モータ
34 加熱送風機
35 排出管

40 無端ベルト
40a スプロケット
40b チェーン片
40c U字状型片
40d テンション用ローラ
41 無端ベルト
41a ローラ
42 無端ベルト
42a ローラ
43 無端ベルト
43a ローラ
44 後壁


50 水平管路下側半体
51 水平管路上側半体
52 浸透部
52a 浸透部片
52b 浸透部片

60 ビニールシート供給手段
61 ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済みの発泡スチロールを破砕搬送する2本の並列に設けられたスクリューコンベアを有する破砕ケースと、
使用済みのビニールシートを細かく切断して、切断後のビニールシート片を前記粉砕ケースの中に供給するビニールシート片切断供給手段と、
前記粉砕ケースから排出される発泡スチロール片及びビニールシート片を、それらの表面を溶融可能な温度まで加熱された熱風によって暗渠排水管構造体成形部へ送り出す加熱送風手段と、
使用済みのビニールシートを複数枚重ねて成るビニールシートを供給するビニールシート供給手段と、
前記加熱送風手段から供給される熱風によって表面が溶融された発泡スチロール片及びビニールシート片と、前記ビニールシート供給手段から供給されるビニールシートとを受け入れて、これらの材料を、浸透部と水平管路とを有する暗渠排水管構造体の形状に成形する暗渠排水管構造体成形部と
を備えていることを特徴とする産業廃棄物を用いた暗渠排水管構造体製造装置。
【請求項2】
前記暗渠排水管構造体成形部が、
筒状の水平管路の軸線方向に沿った下半分を形成する水平管路下側半体を前記ビニールシートによって成形し、
筒状の水平管路の軸線方向に沿った上半分を形成する水平管路上側半体と浸透部とを、前記発泡スチロール片及びビニールシート片によって成形する
ように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の暗渠排水管構造体製造装置。
【請求項3】
前記暗渠排水管構造体成形部が、
上下に少なくとも二つの分割した少なくとも二つの浸透部片で、前記浸透部を成形するように構成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の暗渠排水管構造体製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−173142(P2010−173142A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−16797(P2009−16797)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000225094)
【Fターム(参考)】