説明

画像処理装置、画像形成装置及び画像処理方法

【課題】複数色により生成される混色の色味のバランスを崩すことなく濃度ムラを補正する。
【解決手段】混色比情報に基づいて画像データの色変換処理を行なう色変換部110、階調値毎に対して設定されている主走査方向及び副走査方向の複数の測定位置において当該測定位置毎の濃度の測定値からなる測定値情報を色毎に取得する測定値情報取得部121、混色比情報に基づき目標値を補正して階調値毎に対する補正目標値を色毎に算出する補正目標値算出部122、補正目標値と測定値情報とに基づいて階調値毎に対して設定されている主走査方向及び副走査方向の各測定位置における濃度の補正値を色毎に算出する補正値算出部123、色変換部により色変換処理された画像データの各画素の各色の濃度値を前記補正値算出部により算出された色毎の濃度の補正値に基づいて補正する補正部124、を備えた画像処理装置100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像形成装置及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機やプリンタ等の画像形成装置では、用紙に画像形成された出力物の画像の主走査方向又は副走査方向に濃度ムラ(濃度傾き)が生じるという問題がある。この濃度ムラの要因としては、レーザユニット等の光書込装置の取付位置の傾き、光路長の変化、レンズの歪、感光体ドラムの帯電状況や取付位置の傾き等であることが知られている。
【0003】
そこで、画像の濃度ムラを補正する技術として、例えば、回転する像担持体上の回転方向に、回転方向と直行する方向にずらされた複数個所に同一濃度パッチを生成し、生成されたパッチの濃度値を測定し、測定した濃度値とパッチの濃度階調値との対応関係を構築し、当該対応関係に基づいて入力する階調値の変換を行なって、γテーブルを補正することが開示されている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−264371号公報
【特許文献2】特開2007−264264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、C(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の色毎に画像の濃度ムラ補正を実施した場合、これら4色の混合比のバランスを崩すことがある。その結果、グレーバランスや色味のバランスが崩れるという問題が生じている。
【0006】
本発明の課題は、上記問題に鑑みて、複数色により生成される混色の色味のバランスを崩すことなく濃度ムラを補正することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、複数の色において階調値毎に対して設定されている目標値を前記色毎に記憶する記憶部と、前記階調値毎に対して設定されている主走査方向及び副走査方向の複数の測定位置において、当該測定位置毎の濃度の測定値からなる測定値情報を前記色毎に取得する測定値情報取得部と、前記階調値毎に複数色の比が設定されている混色比情報に基づき前記目標値を補正して、前記階調値毎に対する補正目標値を前記色毎に算出する補正目標値算出部と、前記補正目標値と前記測定値情報とに基づいて、前記階調値毎に対して設定されている主走査方向及び副走査方向の各測定位置における濃度の補正値を前記色毎に算出する補正値算出部と、画像データの各画素の各色の濃度値を、前記補正値算出部により算出された前記色毎の濃度の補正値に基づいて補正する補正部と、を備えた画像処理装置である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、予め設定された複数の階調値において、当該階調値毎に複数色の比が設定されている混色比情報を有し、当該混色比情報に基づいて画像データの色変換処理を行なう色変換部をさらに備え、前記補正部は、前記色変換部により色変換処理された画像データの各画素の各色の濃度値を、前記補正値算出部により算出された前記色毎の濃度の補正値に基づいて補正する。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像処理装置において、前記補正値算出部は、前記階調値毎の補正目標値と前記階調値毎に対して設定されている主走査方向及び副走査方向の各測定位置における濃度の測定値との差分値を前記色毎に算出し、当該色毎の差分値を、前記階調値毎に対して設定されている主走査方向及び副走査方向の各測定位置における前記色毎の濃度の補正値として算出する。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の画像処理装置において、前記補正目標値算出部は、前記混色比情報に基づいて、前記階調値毎に対して設定されている目標値をそれぞれ調整するための調整値を前記色毎に算出し、前記階調値毎に対して設定されている目標値に前記調整値を乗算して、前記階調値毎に対する補正目標値を前記色毎に算出する。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の画像処理装置において、前記補正目標値算出部は、前記測定値情報に基づいて、前記階調値毎の階調平均値を色毎に算出し、前記階調値毎に各色の目標値と最も近い前記階調平均値の色を基準色として決定し、当該階調値毎の基準色を基準として、前記混色比情報に基づいて、前記階調値毎に対して設定されている目標値をそれぞれ調整するための調整値を前記色毎に算出する。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の画像処理装置において、前記補正目標値算出部は、前記階調値毎に予め設定された基準色を基準として、前記混色比情報に基づいて、前記階調値毎に対して設定されている目標値をそれぞれ調整するための調整値を前記色毎に算出する。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の画像処理装置において、前記階調値毎に対して設定されている目標値をそれぞれ調整するための調整値を色毎に算出するための調整値情報の入力を受け付ける入力部を備え、前記補正目標値算出部は、前記入力部から前記調整値情報が入力された場合、前記調整値情報に基づいて、前記階調値毎に対して設定されている目標値をそれぞれ調整するための調整値を前記色毎に算出し、前記階調値毎に対して設定されている目標値に前記調整値を乗算して、前記階調値毎に対する補正目標値を前記色毎に算出する。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載の画像処理装置において、前記補正目標値算出部は、前記階調値毎に対する補正目標値において、隣接する階調値の補正目標値との関係が、同一又は逆転関係となる場合、1階調値以上の差が発生するように前記補正目標値に補正を行なう。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか一項に記載の画像処理装置において、前記測定値情報は、同一階調値のパッチ画像が前記主走査方向及び副走査方向の各測定位置それぞれに配置された補正チャート画像が用紙上に形成された前記色毎の補正チャート紙において、当該補正チャート紙毎に前記主走査方向及び副走査方向の各測定位置のパッチ画像の濃度が測定値として測定されたものである。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項1から9のいずれか一項に記載の画像処理装置において、前記補正部は、前記色変換部により色変換処理された画像データの各画素の前記主走査方向及び副走査方向の位置に対応する各色の濃度の補正値を、前記階調値毎に設定されている主走査方向及び副走査方向の各測定位置における各色の濃度の補正値を用いた線形補間処理を実行して算出する。
【0017】
請求項11に記載の発明は、請求項1から10のいずれか一項に記載の画像処理装置において、同一階調値のパッチ画像が前記主走査方向及び副走査方向の各測定位置それぞれに配置された補正チャート画像が用紙上に形成された前記色毎の補正チャート紙において、当該補正チャート紙毎に前記主走査方向及び副走査方向の各測定位置のパッチ画像の濃度を測定値として測定し、当該測定結果を測定値情報として前記色毎に前記測定値情報取得部に出力する測定部を備える。
【0018】
請求項12に記載の発明は、同一階調値のパッチ画像が前記主走査方向及び副走査方向の各測定位置それぞれに配置された補正チャート画像を用紙上に形成し、当該用紙を補正チャート紙として前記色毎に出力する画像形成部と、請求項1から11のいずれか一項に記載の画像処理装置と、を備えた画像形成装置である。
【0019】
請求項13に記載の発明は、階調値毎に対して設定されている主走査方向及び副走査方向の複数の測定位置において、当該測定位置毎の濃度の測定値からなる測定値情報を前記色毎に取得する測定値情報取得工程と、前記階調値毎に複数色の比が設定されている混色比情報に基づき、前記色毎に前記階調値毎に対して設定されている目標値を補正して、前記階調値毎に対する補正目標値を前記色毎に算出する補正目標値算出工程と、前記補正目標値と前記測定値情報とに基づいて、前記階調値毎に対して設定されている主走査方向及び副走査方向の各測定位置における濃度の補正値を前記色毎に算出する補正値算出工程と、前記色変換工程により色変換処理された画像データの各画素の各色の濃度値を、前記補正値算出工程により算出された前記色毎の濃度の補正値に基づいて補正する補正工程と、を含む画像処理方法である。
【発明の効果】
【0020】
請求項1、13に記載の発明によれば、複数の色の混合比のバランスによる複数色により生成される混色の色味のバランスを崩すことなく、各色の画像の濃度ムラを補正することができる。
【0021】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1と同様の効果を得られるのは勿論のこと、混色比情報に基づいて色変換処理された画像データの各画素の各色の濃度値を、補正値算出部により算出された色毎の濃度の補正値に基づいて補正することができる。
【0022】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2と同様の効果を得られるのは勿論のこと、画像データの各色の画素の主走査方向及び副走査方向の位置に応じて、各画素の色毎に濃度値を補正することができ、補正ムラ精度の向上を図ることができる。
【0023】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1から3のいずれか一項と同様の効果を得られるのは勿論のこと、色毎に、混色比情報に基づく階調値毎の目標値の調整値を階調値毎の目標値に乗算することにより、階調値毎の補正目標値を色毎に算出することができる。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、請求項4と同様の効果を得られるのは勿論のこと、階調値毎に各色の目標値と最も近い階調平均値の色である基準色を基準として、混色比情報に基づいて階調値毎の目標値の調整値を色毎に算出することができる。
【0025】
請求項6に記載の発明によれば、請求項4と同様の効果を得られるのは勿論のこと、階調値毎に予め設定された基準色を基準として、階調値毎の目標値の調整値を色毎に算出することができる。
【0026】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1から3のいずれか一項と同様の効果を得られるのは勿論のこと、入力部から入力された調整値情報に基づいて算出した階調値毎の目標値の調整値を階調値毎の目標値に乗算して、階調値毎の補正目標値を色毎に算出することができる。
【0027】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1から7のいずれか一項と同様の効果を得られるのは勿論のこと、目標値の補正後に、各色の階調値の順番と同じ順番で補正目標値を算出することができ、各階調値の補正目標値が隣接する階調値の補正目標値と同一又は逆転の関係となることを防止でき、補正目標値の階調濃度変化を滑らかにすることができる。
【0028】
請求項9に記載の発明によれば、請求項1から8のいずれか一項と同様の効果を得られるのは勿論のこと、各色の階調値毎の測定値を、複数の主走査方向及び副走査方向の各測定位置で取得することができる。
【0029】
請求項10に記載の発明によれば、請求項1から9のいずれか一項と同様の効果を得られるのは勿論のこと、画像データの各色の画素の主走査方向及び副走査方向の位置に対応する濃度の補正値を、色毎に、階調値毎に設定されている主走査方向及び副走査方向の各測定位置における濃度の補正値を用いた線形補間処理を実行して算出することができる。
【0030】
請求項11に記載の発明によれば、請求項1から10のいずれか一項と同様の効果を得られるのは勿論のこと、測定部により、色毎の補正チャート紙における主走査方向及び副走査方向の各測定位置のパッチ画像の濃度の測定結果を、色毎の測定値情報として得ることができる。
【0031】
請求項12に記載の発明によれば、請求項1から11のいずれか一項と同様の効果を得られるのは勿論のこと、補正チャート紙を出力する画像形成部を備えた画像形成装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】画像形成装置の機能的構成図である。
【図2】補正チャート画像の例を示した図である。
【図3】補正チャート画像の例を示した図である。
【図4】画像処理装置の構成を示した図である。
【図5】混色比情報として墨版カーブ情報の例を示した図である。
【図6】補正値算出処理のフローチャートである。
【図7】測定値情報のイメージ図である。
【図8】図8(a)は、Y(イエロー)の階調値が125の各主走査方向の測定平均値及び階調平均値の算出例を示した図、図8(b)は、Y(イエロー)の階調値が125の各副走査方向の測定平均値及び階調平均値の算出例を示した図である。
【図9】CMYK混色比設定画面の例を示した図である。
【図10】補正値テーブルのイメージ図である。
【図11】補正処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
まず、構成を説明する。
図1に、画像形成装置1の機能的構成図を示す。
【0034】
図1に示すように、画像形成装置1は、本体部10、画像読取部20、操作部30、タッチパネル40、表示部50、プリンタ部60等を備えて構成されている。また、本体部10は、画像処理装置100、制御部200、メモリ300、画像制御部400、画像メモリ500等から構成されている。
【0035】
画像読取部20は、光源、CCD(Charge Coupled Device)、A/D変換器等を備えている。画像読取時には、光源から原稿へ走査した光の反射光を結像してCCDにより光電変換することにより原稿画像を読み取り、画像信号(アナログ信号)を生成する。その後、画像信号をA/D変換器によりRGB表色系のデジタルカラー画像データに変換し、本体部10の画像処理装置100に出力する。ここで、画像は図形や写真等のイメージに限らず、文字や記号等のキャラクタイメージ等も含む。
【0036】
また、画像読取部20は、同一階調値のパッチ画像が主走査方向及び副走査方向の各測定位置それぞれに配置された補正チャート画像が用紙上に形成された色毎の補正チャート紙において、補正チャート紙毎に主走査方向及び副走査方向の各測定位置のパッチ画像の濃度を測定値として測定する。そして、画像読取部20は、当該補正チャート紙毎の測定結果を色毎の測定値情報として画像処理装置100に出力する。即ち、画像読取部20は、測定部として機能する。
【0037】
操作部30は、用紙上に画像形成の開始を指示するためのスタートキーやテンキー等の各種機能キーを備え、これら機能キーやタッチパネル40が操作されると、対応する操作信号を本体制御部200に出力する。
【0038】
また、操作部30又は表示部50に表示される画面及びタッチパネル40は、後述する補正値算出処理において、階調値毎に対して設定されている目標値をそれぞれ調整するための調整値を算出するための調整値情報(後述するCMYK混合比)の入力を受け付ける入力部として機能する。
【0039】
表示部50は、タッチパネル40と一体に形成されたLCD(Liquid Crystal Display)を備え、このLCD上に各種操作画面を表示させる。
【0040】
プリンタ部60は、本体部10の画像処理装置100から入力される画像データに基づいて用紙上に画像形成処理を行い出力するものである。
プリンタ部60は、例えば電子写真方式を採用する場合には、感光ドラムを有する露光部、トナーを付着させる現像部、トナーの定着処理を行う定着部等を備えて構成されている。画像形成時には露光部において画像データに基づく静電潜像を感光体ドラムに書き込み、現像部において当該感光ドラムにトナーを付着させトナー像を形成する。このトナー像は給紙トレイから搬送された用紙上に転写される。その後、当該用紙は定着部に搬送され、定着処理されて指定された排出先のトレイへ出力される。なお、画像形成方式は電子写真方式以外の方式であってもよい。
【0041】
また、プリンタ部60は、同一階調値のパッチ画像が主走査方向及び副走査方向の各測定位置それぞれに配置された補正チャート画像を用紙上に形成し、当該用紙を補正チャート紙として色毎に出力する画像形成部として機能する。
【0042】
図2、図3に、補正チャート画像の例を示す。
【0043】
図2に示す補正チャート画像は、第1パッチ画像群Aと、第2パッチ画像群Bと、第3パッチ画像群Cと、第4パッチ画像群Dとから成る。
【0044】
第1パッチ画像群Aと第2パッチ画像群Bとは、主走査方向における同一階調値のパッチ画像の濃度値を測定するための画像である。第1パッチ画像群Aと第2パッチ画像群Bとは、互いに副走査方向に隣接して配置されている。第2パッチ画像群Bは、第1パッチ画像群Aと同一の構成であるため説明は省略する。
【0045】
第1パッチ画像群Aは、同一階調値のパッチ画像Pが主走査方向Xにパッチ画像の1つ分の間をあけて配置されたパッチ列(例えば、副走査方向の位置がY5で、主走査方向の位置がX1、X3、X5、・・・、X23のパッチ画像からなるパッチ列A1)が、副走査方向Yにパッチ画像の1つ分をあけて複数配置されてなる。各パッチ列は、互いに異なる階調値(濃度値)である。
【0046】
第3パッチ画像群Cと第4パッチ画像群Dとは、副走査方向における同一階調値のパッチ画像の濃度値を測定するための画像である。第3パッチ画像群Cと第4パッチ画像群Dとは、互いに主走査方向に隣接して配置されている。第4パッチ画像群Dは、第3パッチ画像群と同一の構成であるため、説明は省略する。
【0047】
第3パッチ画像群Cは、同一階調値のパッチ画像Pが副走査方向Yにパッチ画像の1つ分の間をあけて配置されたパッチ列(例えば、主走査方向の位置がX2で、副走査方向の位置がY1、Y3、Y5、・・・、Y31のパッチ画像からなるパッチ列C1)が、主走査方向Xにパッチ画像の1つ分をあけて複数配置されてなる。各パッチ列は、互いに異なる階調値(濃度値)である。
【0048】
図2に示すように、第1パッチ画像群Aと同様の構成の第2パッチ画像群Bが、副走査方向に隣接して配置され、また、第3パッチ画像群Cと同様の構成の第4パッチ画像群Dが、主走査方向に隣接して配置されているため、同一階調値のパッチ画像が、主走査方向X及び副走査方向Yの各測定位置に配置された補正チャート画像が構成されることとなる。
【0049】
例えば、125の階調値のパッチ画像Pは、副走査方向の位置がY5で主走査方向の位置がX1、X3、X5、・・・、X23、副走査方向の位置がY21で主走査方向の位置がX1、X3、X5、・・・、X23、主走査方向の位置がX2で副走査方向の位置がY1、Y3、Y5、・・・、Y31、主走査方向の位置がX14で副走査方向の位置がY1、Y3、Y5、・・・、Y31の各測定位置に配置されている。
なお、本実施の形態における測定位置としては、パッチ画像の中心座標とする。
【0050】
図3に示す補正チャート画像は、第5パッチ画像群Eと第6パッチ画像群Fとから成る。第5パッチ画像群Eと第6パッチ画像群Fとは、互いに副走査方向に隣接して配置されている。第6パッチ画像群Fは、第5パッチ画像群Eと同一の構成であるため説明は省略する。
【0051】
第5パッチ画像群Eは、副走査方向Yに隣接して配置された複数のパッチ列(例えば、副走査方向の位置がY1で主走査方向の位置がX1〜X20のパッチ画像からなるパッチ列E1)から構成される。各パッチ列は、同一階調値のパッチ画像Pが主走査方向Xに隣接して複数配置されてなる。また、各パッチ列は、隣接するパッチ列とは異なる階調値(濃度値)であり、用紙の搬送方向(副走査方向Y)に沿って、各パッチ列の濃度が順次濃く又は薄くなるように配列されている。
【0052】
図3に示すように、第5パッチ画像群Eと同様の構成の第6パッチ画像群Fが、副走査方向Yに隣接して配置されているため、同一階調値のパッチ画像が、主走査方向X及び副走査方向Yの各測定位置に配置された補正チャート画像が構成されることとなる。
例えば、125の階調値のパッチ画像Pは、主走査方向の位置がX1〜X20で副走査方向の位置がY1、主走査方向の位置がX1〜X20で副走査方向の位置がY13の各測定位置に配置されている。
【0053】
次に、本体部10の各部について説明する。
本体部10は、図1に示すように画像処理装置100、制御部200、メモリ300、画像制御部400、画像メモリ500等を備えて構成されている。
【0054】
制御部200は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、メモリ300に記憶されている各種制御プログラムに従って画像形成装置1の各部の動作を統括制御する。また、各種演算を行う。例えば、操作部30から入力される操作信号に従って、コピー、プリンタ、スキャナのモードを切り替え、画像読取部20による原稿の読み取り、画像メモリ500への保存、プリンタ部60への画像データの出力等の処理制御を行う。
【0055】
また、制御部200は、タッチパネル40又は操作部30の各種キーにより受け付けられた調整値情報(後述するCMYK混合比)を画像処理装置100に出力する。
【0056】
メモリ300は、各種プログラムの他、プログラムの実行に必要なファイルやデータ等を記憶している。
【0057】
画像制御部400は、制御部200の制御に従って画像メモリ500に対する画像データの入出力を制御する。
【0058】
画像メモリ500は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、ハードディスク等から構成されており、圧縮メモリ領域、ページメモリ領域から構成されている。圧縮メモリ領域は画像処理装置100により処理された画像データを保存するための領域であり、ページメモリ領域は画像形成対象の画像データを画像形成前に一時的に格納するための領域である。
【0059】
次に、画像処理装置100について説明する。
図4に、本実施の形態における画像処理装置100の構成を示す。
図4に示すように、画像処理装置100は、色変換部110、濃度ムラ補正部120等を備えている。本実施の形態の画像処理装置100は、制御部200からの指示に従って、後述する補正値算出処理及び補正処理を実行する。
【0060】
色変換部110は、混色比情報110aを有する。色変換部110は、当該混色比情報110aに基づいて、入力されるRGBの画像データをCMYKの画像データに変換する色変換処理を行ない、変換したCMYKの画像データを濃度ムラ補正部120の補正部124に出力する。
【0061】
混色比情報は、予め設定された複数の階調値において、階調値毎に複数の色(CMYK)の比が設定されているものであり、グレーバランス情報又は墨版カーブ情報等と称される。
図5に、混色比情報として墨版カーブ情報の例を示す。
図5に示す墨版カーブ情報は、横軸が階調値、縦軸が各色の最大出力階調濃度値に対する比[%]である。例えば、階調値が72の場合には、C(シアン)が75%、M(マゼンタ)が70%、Y(イエロー)が65%、K(ブラック)が30%であることが設定されている。
【0062】
濃度ムラ補正部120は、測定値情報取得部121、補正目標値算出部122、補正値算出部123、補正部124、記憶部125等を備えている。
なお、測定値情報取得部121、補正目標値算出部122、補正値算出部123、補正部124は、ソフトウェア又はハードウェアで構成されている。
【0063】
測定値情報取得部121は、画像読取部20又は外部測定装置から制御部200を介して入力される測定値情報を色毎に取得し、取得した色毎の測定値情報を補正目標値算出部122、補正値算出部123に出力する。
【0064】
補正目標値算出部122は、色毎の測定値情報と混色比情報とに基づき、各色の階調値毎に対して設定されている目標値を補正して、階調値毎に対する補正目標値を色毎に算出し、色毎に算出した階調値毎に対する補正目標値を補正値算出部123に出力する。
【0065】
補正値算出部123は、補正目標値算出部122から入力された色毎の階調値毎に対する補正目標値と各色の階調値毎の測定値情報とに基づいて、階調値毎に対して設定されている主走査方向及び副走査方向の各測定位置における濃度の補正値を色毎に算出し、階調値毎の補正値テーブルを色毎に生成して記憶部125に保存する。
【0066】
補正部124は、色変換部110により色変換処理された画像データの各画素の各色の濃度値を、記憶部125に保存されている各色の階調値毎の補正値テーブルに基づいて補正し、補正した画像データをプリンタ部60に出力する。
【0067】
記憶部125は、不揮発性の記録媒体であり、目標値情報125aや各色の階調値毎の補正値テーブル125bを記憶する記憶部として機能する。目標値情報125aは、各色の階調値毎に対して設定されている目標値であり、各色の階調値毎に予め定められた濃度値の情報である。
【0068】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
図6に、本実施の形態における補正値算出処理のフローチャートを示す。
本処理は、制御部200からの指示に応じて、画像処理装置100の各部が協働して実行されるものである。
【0069】
まず、操作部30又はタッチパネル40を介して補正値算出処理の指示が入力されると、各色の補正チャート紙がプリンタ部60により出力される(ステップS1)。
なお、本実施の形態で用いる各色の補正チャート紙は、図2に示した補正チャート画像が色毎に用紙上に形成されたものを用いる。
【0070】
そして、各色の補正チャート紙において、補正チャート紙毎に、主走査方向及び副走査方向の各測定位置のパッチ画像の濃度が測定値として測定され(ステップS2)、当該測定結果が測定値情報として色毎に測定値情報取得部121により取得される(ステップS3)。
【0071】
ステップS2での補正チャート紙の測定は、本実施の形態においては、画像読取部20により各色の補正チャート紙の画像データが読み取られることにより得られるものとするが、これに限らない。例えば、補正チャート紙を測定して補正値情報を生成する専用の測定装置を用いてもよい。この測定装置の例としては、例えば、i1iSis(アイワン・アイシス)(エックスライト株式会社製)、i1XTreme(アイワン・エクストリーム)(エックスライト株式会社製)等を挙げることができる。
【0072】
図7に、測定値情報のイメージ図を示す。
図7に示す測定値情報のイメージ図は、図2に示す補正チャート画像が形成された補正チャート紙を用いた場合において、色がY(イエロー)、階調値が125の測定値情報の例である。図2に示す□(矩形)で囲まれたパッチ画像が、色がイエローで階調値が125のパッチ画像とする。この場合、色がY(イエロー)で階調値が125のパッチ画像の測定位置は、副走査方向の位置がY5で主走査方向の位置がX1、X3、X5、・・・、X23、副走査方向の位置がY21で主走査方向の位置がX1、X3、X5、・・・、X23、主走査方向の位置がX2で副走査方向の位置がY1、Y3、Y5、・・・、Y31像、主走査方向の位置がX14で副走査方向の位置がY1、Y3、Y5、・・・、Y31となる。この各測定位置の濃度の測定値が、色がY(イエロー)で階調値が125の測定値情報として取得される。
なお、測定値が得られない位置(例えば、主走査方向の位置がX1、副走査方向の位置がY1)においては、測定値を「−」で示している。
【0073】
階調値毎の測定値情報が色毎に取得されると、補正目標値算出部122では、階調値毎に各主走査方向の測定平均値が色毎に算出され(ステップS4a)、また、階調値毎に各副走査方向の測定平均値が色毎に算出される(ステップS4b)。
【0074】
そして、補正目標値算出部122において、階調値毎に各主走査方向の測定平均値の平均値が、階調値毎の主走査方向の階調平均値として色毎に算出される(ステップS5a)。また、階調値毎に各副走査方向の測定平均値の平均値が、階調値毎の副走査方向の階調平均値として色毎に算出される(ステップS5b)。
【0075】
補正目標値算出部122において、階調値毎に主走査方向の階調平均値と副走査方向の階調平均値との平均値が算出され、当該平均値が階調値毎の階調平均値として色毎に算出される(ステップS6)。
【0076】
図8(a)に、色がY(イエロー)で階調値が125の各主走査方向の測定平均値及び階調平均値の算出例を示し、図8(b)に、色がY(イエロー)で階調値が125の各副走査方向の測定平均値及び階調平均値の算出例を示す。
【0077】
図8(a)に示すように、第1パッチ画像群Aの副走査座標がY5の主走査方向の各測定位置(X1、X3、X5、・・・、X23)での測定値の平均値が測定平均値として算出される。同様に、第2パッチ画像群Bの副走査座標がY21の主走査方向の各測定位置(X1、X3、X5、・・・、X23)での測定値の平均値が測定平均値として算出される。そして、第1パッチ画像群Aの測定平均値と第2パッチ画像群Bの測定平均値との平均値が、色がY(イエロー)で階調値が125の主走査方向の階調平均値として算出される。
【0078】
また、図8(b)に示すように、第3パッチ画像群Cの主走査座標がX2の副走査方向の各測定位置(Y1、Y3、Y5、・・・、Y31)での測定値の平均値が測定平均値として算出される。同様に、第4パッチ画像群Dの主走査座標がX14の副走査方向の各測定位置(Y1、Y3、Y5、・・・、Y31)での測定値の平均値が測定平均値として算出される。そして、第3パッチ画像群Cの測定平均値と第4パッチ画像群Dの測定平均値との平均値が、色がY(イエロー)で階調値が125の副走査方向の階調平均値として算出される。
【0079】
そして、色がY(イエロー)で階調値が125の主走査方向の階調平均値と副走査方向の階調平均値との平均値が、色がY(イエロー)で階調値が125の階調平均値として算出される。他の色、他の階調値でも同様に階調平均値が算出される。
【0080】
階調値毎の階調平均値が色毎に算出されると、補正目標値算出部122において、階調値毎に基準色が選出される(ステップS7)。
【0081】
ステップS7では、補正目標値算出部122は、例えば、階調値毎に、各階調値の目標値と最も近い階調平均値の色を基準色として決定して選出したり、階調値毎に予め設定された色を基準色として選出したりする。
【0082】
補正目標値算出部122は、階調値に各色の比(C(シアン):M(マゼンタ):Y(イエロー):K(ブラック))(CMYK混合比)を算出する(ステップS8)。
【0083】
ステップS8では、補正目標値算出部122は、色変換部110から混色比情報110aを取得し、取得した混色比情報に基づいて、階調値毎のCMYK混色比を算出する。例えば、混色比情報として図5に示す墨版カーブ情報を用いた場合、階調値が72の場合には、C(シアン)が75%、M(マゼンタ)が70%、Y(イエロー)が65%、K(ブラック)が30%である。このことから、階調値が72のCMYK混色比は、C:M:Y:K=15:14:13:6となる。
【0084】
また、ステップS8では、予めCMYK混色比設定画面等から入力されたCMYK混色比が記憶部125内に記憶されている場合には、当該記憶されているCMYK混色比を階調値毎のCMYK混色比として用いる。
【0085】
図9に、CMYK混色比設定画面の例を示す。
図9に示すCMYK混色比設定画面G1には、登録データ選択領域E10、CMYK混合比表示領域E20、登録ボタンB1等が設けられている。
【0086】
登録データ選択領域E10には、複数の登録データ選択ボタンが設けられている。この登録データ選択ボタンのいずれかが押下されると、押下された登録データ選択ボタンと対応付けられて記憶されているCMYK混合比が記憶部125から読み出され、CMYK混合比表示領域E20に表示される。
【0087】
CMYK混合比表示領域E20には、押下された登録データ選択ボタンに対応するC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の比がそれぞれ表示される領域Ec、Em、Ey、Ekと、各色を選択可能なボタンBc、Bm、By、Bkが設けられている。各色のいずれかを選択するボタンが押下され、テンキー等により数値が入力されると、当該入力された数値が当該選択されたボタンの色に対応する比として表示される。
【0088】
登録ボタンB1が押下されると、CMYK混合比表示領域E20に表示されているCMYK混合比が、選択されている登録データ選択ボタンに対応付けられて、記憶部125に記憶される。
【0089】
補正目標値算出部122により、階調値毎の基準色と階調値毎のCMYK混合比とに基づいて、階調値毎に対して設定されている目標値をそれぞれ調整するための調整値(目標値調整比)が算出される(ステップS9)。
【0090】
ステップS9では、例えば、階調値が72において、基準色がY(イエロー)で、CMYK混色比がC:M:Y:K=15:14:13:6の場合、Yの比の値を1(基準)として、C:M:Y:K=1:14/15:13/15:2/5が目標値調整比として算出される。この階調値毎の目標調整比において、各色の比が各色の各階調値における調整値となる。
【0091】
従って、CMYK混色比設定画面は、階調値毎に対して設定されている目標値それぞれを調整するための調整値を色毎に算出するための調整値情報(CMYK混合比)の入力を受け付ける入力部として機能する。
【0092】
補正目標値算出部122により、記憶部125に記憶されている目標値情報から階調値毎の目標値が色毎に読み出され、当該階調値毎の目標値に調整値が色毎に乗算され、階調値毎の補正目標値が色毎に算出される(ステップS10)。
【0093】
ステップS10では、例えば、色がY(イエロー)で階調値が72の場合において、目標値が72、目標値調整比がC:M:Y:K=1:14/15:13/15:2/5である場合には、色がY(イエロー)で階調値が72の補正目標値は、目標値72に調整値13/15が乗算された値の62.4となる。
【0094】
階調値毎に対する補正目標値が色毎に算出されると、補正目標値算出部122により、補正目標値チェックが色毎に行なわれる(ステップS11)。
【0095】
ステップS11では、以下の処理が色毎に実行される。
まず、算出された階調値毎の補正目標値が階調値順に配列される。
そして、各階調値の補正目標値と隣接する前後の階調値順の階調値の補正目標値との関係が、同値又は逆関係となるか否かが判別される。
各階調値の補正目標値と隣接する前後の階調値順の階調値の補正目標値との関係が、同値又は逆関係となる場合には、同値又は逆関係となる隣接する階調値との階調値差が1階調値以上となるように、各階調値の補正目標値に補正が行われる。
【0096】
ステップS11後、算出された各色の階調値毎の補正目標値は、補正値算出部123に出力される。補正値算出部123では、各色の測定値情報において、階調値毎の各測定位置に対する補正値が算出され、当該算出された階調値毎の補正値が補正値テーブルとして色毎に記憶部125に記憶され(ステップS12)、本処理が終了される。
【0097】
ステップS12では、階調値毎の各測定位置における濃度の測定値と階調値毎の補正目標値との差分値とが色毎に算出される。色毎に算出された階調値毎の当該差分値が、階調値毎の各測定位置における濃度に対する補正値となる。
【0098】
図10に、補正値テーブルのイメージ図を示す。
図10に示す補正値テーブルのイメージ図は、図7に示す色がY(イエロー)で階調値が125の測定値情報と、色がY(イエロー)で階調値が125の補正目標値が126である場合の例である。
図10に示すように、色がY(イエロー)で階調値が125の各測定位置において、測定値と補正目標値との差分が補正値として算出される。例えば、主走査方向の位置がX2で副走査方向の位置がY1の測定位置では、図7に示すように測定値が126であることから、補正目標値との差分値が0となり、補正値が0として算出される。
なお、測定値が得られていない位置(例えば、主走査方向の位置がX1、副走査方向の位置がY1)においては、測定値がないため測定値と補正目標値とからは補正値を算出できず、補正値を「−」で示している。
【0099】
図11に、本実施の形態における補正処理のフローチャートを示す。
本処理は、制御部200からの指示に応じて、画像処理装置100の各部が協働して実行されるものである。
【0100】
まず、色変換部110に画像読取部20からRGBの画像データが入力されることにより取得されると(ステップS21)、色変換部110において、混色比情報に基づき、RGBの画像データがCMYKの画像データに色変換される色変換処理が実行される(ステップS22)。
【0101】
そして、CMYKの画像データが補正部124に入力される。補正部124に入力された画像データの各画素の画素値が取得される(ステップS23)。
【0102】
補正部124において、取得した画像データの各画素の画素値から、各画素の主走査方向及び副走査方向の位置、色、濃度値(階調値)が取得される(ステップS24)。
【0103】
各画素の色及び濃度値(階調値)に対応する色及び階調値の補正値テーブルが参照され、当該画素の主走査方向及び副走査方向の位置に対応する補正値が読み出される(ステップS25)。
【0104】
ステップS25において、各画素の主走査方向及び副走査方向の位置に対応する色の濃度値(階調値)の補正値が補正値テーブルにない場合には、当該補正値がない色及び濃度値(階調値)に対応する補正値テーブルの各測定位置における各色の濃度の補正値を用いた線形補間処理が実行され、補正値が算出される。
【0105】
補正部124において、画像データの各画素の各色の階調値に、補正値テーブルから読み出した又は算出した補正値がそれぞれ加算される(ステップS26)。そして、各画素の各色の階調値に補正値が加算された画像データが、補正済み画像データとしてプリンタ部60に出力され(ステップS27)、本処理が終了される。
【0106】
以上のように、本実施の形態によれば、予め設定された複数の階調値において、当該階調値毎に複数色の比が設定されている混色比情報に基づいて、階調値毎に対して設定されている目標値が色毎に補正された各色の階調値毎に対する補正目標値と、階調値毎に設定されている主走査方向及び副走査方向の複数の測定位置における測定位置毎の濃度の測定値からなる色毎の測定値情報と、に基づいて、階調値毎に対して設定されている主走査方向及び副走査方向の各測定位置における濃度の補正値を色毎に算出し、当該補正値を用いて画像データの各色の画素の濃度値を補正することができる。従って、複数の色の混合比のバランスによる複数色により生成される混色の色味のバランスを崩すことなく、各色の画像の濃度ムラを補正することができる。
【0107】
特に、階調値毎の補正目標値と階調値毎に対して設定されている主走査方向及び副走査方向の各測定位置における濃度の測定値との差分値を色毎に算出し、当該色毎の差分値を、階調値毎に対して設定されている主走査方向及び副走査方向の各測定位置における前記色毎の濃度の補正値として算出することができる。そのため、画像データの各色の画素の主走査方向及び副走査方向の位置に応じて、各画素の色毎に濃度値を補正することができ、補正ムラ精度の向上を図ることができる。
【0108】
また、 色毎に、混色比情報に基づく階調値毎の目標値の調整値を階調値毎の目標値に乗算することにより、階調値毎の補正目標値を色毎に算出することができる。
この目標値の調整値は、階調値毎に各色の目標値と最も近い階調平均値の色である基準色を基準として混色比情報から算出、又は、階調値毎に予め設定された基準色を基準として、階調値毎の目標値の調整値を色毎に算出することができる。
【0109】
また、CMYK混色比設定画面から入力された調整値情報(CMYK混合比)に基づいて算出した階調値毎の目標値の調整値を階調値毎の目標値に乗算して、階調値毎の補正目標値を色毎に算出することができる。従って、ユーザの所望の色味のバランスで各色の画像の濃度ムラを補正することができる。
【0110】
更に、階調値毎の補正目標値において、隣接する階調値の補正目標値との関係が、同一又は逆転関係となる場合、1階調値以上の差が発生するように補正目標値に補正を行なうことができる。そのため、目標値の補正後に、各色の階調値の順番と同じ順番で補正目標値を算出することができ、各階調値の補正目標値が隣接する階調値の補正目標値と同一又は逆転の関係となることを防止でき、補正目標値の階調濃度変化を滑らかにすることができる。
【0111】
また、同一階調値のパッチ画像が主走査方向及び副走査方向の各測定位置それぞれに配置された補正チャート画像が用紙上に形成された色毎の補正チャート紙において、補正チャート紙毎に主走査方向及び副走査方向の各測定位置のパッチ画像の濃度が測定値として測定されたものを測定値情報として取得できる。そのため、各色の階調値毎の測定値を、複数の主走査方向及び副走査方向の各測定位置で取得することができる。
【0112】
画像データの各色の画素の主走査方向及び副走査方向の位置に対応する濃度の補正値を、色毎に、階調値毎に設定されている主走査方向及び副走査方向の各測定位置における濃度の補正値を用いた線形補間処理を実行して算出することができる。
【0113】
画像読取部により、補正チャート紙の測定専用の装置を用いずとも、色毎の補正チャート紙における主走査方向及び副走査方向の各測定位置のパッチ画像の濃度の測定結果を、色毎の測定値情報として得ることができる。またプリンタ部により、補正チャート紙を出力することができる。
【0114】
また、本発明は、上記実施の形態の内容に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0115】
1 画像形成装置
10 本体部
20 画像読取部
30 操作部
40 タッチパネル
50 表示部
60 プリンタ部
100 画像処理装置
110 色変換部
110a 混色比情報
120 濃度ムラ補正部
121 測定値情報取得部
122 補正目標値算出部
123 補正値算出部
124 補正部
125 記憶部
125a 目標値情報
125b 補正値テーブル
200 制御部
300 メモリ
400 画像制御部
500 画像メモリ
A 第1パッチ画像群
A1 パッチ列
B 第2パッチ画像群
B1 登録ボタン
C 第3パッチ画像群
C1 パッチ列
D 第4パッチ画像群
E 第5パッチ画像群
E1 パッチ列
F 第6パッチ画像群
E10 登録データ選択領域
E20 CMYK混合比表示領域
P パッチ画像
X 主走査方向
Y 副走査方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の色において階調値毎に対して設定されている目標値を前記色毎に記憶する記憶部と、
前記階調値毎に対して設定されている主走査方向及び副走査方向の複数の測定位置において、当該測定位置毎の濃度の測定値からなる測定値情報を前記色毎に取得する測定値情報取得部と、
前記階調値毎に複数色の比が設定されている混色比情報に基づき前記目標値を補正して、前記階調値毎に対する補正目標値を前記色毎に算出する補正目標値算出部と、
前記補正目標値と前記測定値情報とに基づいて、前記階調値毎に対して設定されている主走査方向及び副走査方向の各測定位置における濃度の補正値を前記色毎に算出する補正値算出部と、
画像データの各画素の各色の濃度値を、前記補正値算出部により算出された前記色毎の濃度の補正値に基づいて補正する補正部と、
を備えた画像処理装置。
【請求項2】
予め設定された複数の階調値において、当該階調値毎に複数色の比が設定されている混色比情報を有し、当該混色比情報に基づいて画像データの色変換処理を行なう色変換部をさらに備え、
前記補正部は、
前記色変換部により色変換処理された画像データの各画素の各色の濃度値を、前記補正値算出部により算出された前記色毎の濃度の補正値に基づいて補正する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記補正値算出部は、
前記階調値毎の補正目標値と前記階調値毎に対して設定されている主走査方向及び副走査方向の各測定位置における濃度の測定値との差分値を前記色毎に算出し、
当該色毎の差分値を、前記階調値毎に対して設定されている主走査方向及び副走査方向の各測定位置における前記色毎の濃度の補正値として算出する、
請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記補正目標値算出部は、
前記混色比情報に基づいて、前記階調値毎に対して設定されている目標値をそれぞれ調整するための調整値を前記色毎に算出し、
前記階調値毎に対して設定されている目標値に前記調整値を乗算して、前記階調値毎に対する補正目標値を前記色毎に算出する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記補正目標値算出部は、
前記測定値情報に基づいて、前記階調値毎の階調平均値を色毎に算出し、
前記階調値毎に各色の目標値と最も近い前記階調平均値の色を基準色として決定し、
当該階調値毎の基準色を基準として、前記混色比情報に基づいて、前記階調値毎に対して設定されている目標値をそれぞれ調整するための調整値を前記色毎に算出する、
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記補正目標値算出部は、
前記階調値毎に予め設定された基準色を基準として、前記混色比情報に基づいて、前記階調値毎に対して設定されている目標値をそれぞれ調整するための調整値を前記色毎に算出する、
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記階調値毎に対して設定されている目標値をそれぞれ調整するための調整値を色毎に算出するための調整値情報の入力を受け付ける入力部を備え、
前記補正目標値算出部は、
前記入力部から前記調整値情報が入力された場合、
前記調整値情報に基づいて、前記階調値毎に対して設定されている目標値をそれぞれ調整するための調整値を前記色毎に算出し、前記階調値毎に対して設定されている目標値に前記調整値を乗算して、前記階調値毎に対する補正目標値を前記色毎に算出する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記補正目標値算出部は、
前記階調値毎に対する補正目標値において、隣接する階調値の補正目標値との関係が、同一又は逆転関係となる場合、1階調値以上の差が発生するように前記補正目標値に補正を行なう、
請求項1から7のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記測定値情報は、
同一階調値のパッチ画像が前記主走査方向及び副走査方向の各測定位置それぞれに配置された補正チャート画像が用紙上に形成された前記色毎の補正チャート紙において、
当該補正チャート紙毎に前記主走査方向及び副走査方向の各測定位置のパッチ画像の濃度が測定値として測定されたものである、
請求項1から8のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記補正部は、
前記色変換部により色変換処理された画像データの各画素の前記主走査方向及び副走査方向の位置に対応する各色の濃度の補正値を、前記階調値毎に設定されている主走査方向及び副走査方向の各測定位置における各色の濃度の補正値を用いた線形補間処理を実行して算出する、
請求項1から9のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
同一階調値のパッチ画像が前記主走査方向及び副走査方向の各測定位置それぞれに配置された補正チャート画像が用紙上に形成された前記色毎の補正チャート紙において、
当該補正チャート紙毎に前記主走査方向及び副走査方向の各測定位置のパッチ画像の濃度を測定値として測定し、当該測定結果を測定値情報として前記色毎に前記測定値情報取得部に出力する測定部を備える、
請求項1から10のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項12】
同一階調値のパッチ画像が前記主走査方向及び副走査方向の各測定位置それぞれに配置された補正チャート画像を用紙上に形成し、当該用紙を補正チャート紙として前記色毎に出力する画像形成部と、
請求項1から11のいずれか一項に記載の画像処理装置と、
を備えた画像形成装置。
【請求項13】
階調値毎に対して設定されている主走査方向及び副走査方向の複数の測定位置において、当該測定位置毎の濃度の測定値からなる測定値情報を前記色毎に取得する測定値情報取得工程と、
前記階調値毎に複数色の比が設定されている混色比情報に基づき、前記色毎に前記階調値毎に対して設定されている目標値を補正して、前記階調値毎に対する補正目標値を前記色毎に算出する補正目標値算出工程と、
前記補正目標値と前記測定値情報とに基づいて、前記階調値毎に対して設定されている主走査方向及び副走査方向の各測定位置における濃度の補正値を前記色毎に算出する補正値算出工程と、
画像データの各画素の各色の濃度値を、前記補正値算出工程により算出された前記色毎の濃度の補正値に基づいて補正する補正工程と、
を含む画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−256764(P2010−256764A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−108986(P2009−108986)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】