説明

画像処理装置および画像処理方法

【課題】多重解像度画像を用いた対応点探索処理の処理性能を改善する。
【解決手段】互いに対応する画像内容を含んだ原基準画像と原参照画像とを取得する画像取得手段と、取得した原基準画像と原参照画像とを低解像度化することによって、解像度の異なる複数の画像を階層的に生成する多重解像度画像作成手段と、注目階層に属する注目基準画像に注目点を設定する注目点設定手段と、注目点についての、注目基準画像と注目参照画像との視差を求める視差特定手段と、視差特定手段が視差を求めるにあたって1)注目点を内包するウィンドウが注目基準画像内に収まるときには、ウィンドウ内の画像情報を用いる第1視差特定規則を、2)ウィンドウが注目基準画像からはみ出すときには、注目基準画像の外部領域からの寄与度を第1視差特定規則よりも低めた第2視差特定規則を、選択的にそれぞれ適用させる選択適用手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基準画像に設定された注目点の対応点を参照画像から探索する画像処理装置および画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
異なる視点から撮影された測定対象物に関する複数の画像や、同一視点から時系列に撮影された移動する測定対象物などに関する複数の時系列画像のうち、1の画像を基準画像、他の画像を参照画像として基準画像上の注目点に対応する参照画像上の対応点を、テンプレートマッチングなどを利用したエリアベースの対応点探索方法を用いて探索し、得られた対応点と注目点とに基づいて、測定対象物の3次元形状を求める装置や、測定対象物の移動を追跡する装置が知られている。
【0003】
エリアベースの対応点探索方法においては、基準画像上に、注目点を略中心とする探索ウィンドウ(「基準ウィンドウ」とも称する)を設定するとともに、対応点の存在が見込まれる参照画像上の領域にも基準ウィンドウと同じ大きさの探索ウィンドウ(「参照ウィンドウ」とも称する)を設定する。
【0004】
次に、これらの探索ウィンドウ間の画像の相関が最も高くなる、探索ウィンドウの画像間のずれ量(「視差」とも称する)を求める視差特定処理を行い、求められた視差と注目点の画素座標とから、基準画像上の注目点に対応する参照画像上の対応点を求める対応点探索処理を行う。
【0005】
エリアベースの対応点探索方法においては、通常、参照画像における対応点の存在範囲を予め特定することはできないので、参照画像の全域をカバーするように参照ウィンドウを次々と設定することによって対応点探索処理が行われる。
【0006】
近年、エリアベースの対応点探索方法の1つとして、基準画像と参照画像とを階層毎に解像度が徐々に低くなるように逐次低解像度化することによって、複数階層の画像を生成し、各階層毎に、エリアベースの対応点探索方法を用いつつ、最も低解像度の階層から最も高解像度の階層へ向けて順に対応点を探索する多重解像度戦略を用いた対応点探索手法が注目されている。
【0007】
多重解像度戦略を用いた対応点探索においては、注目階層で求められた視差に基づいて、注目階層の1つ上位階層の参照ウィンドウを定める初期視差を決定することができる。
【0008】
従って、多重解像度戦略を用いた対応点探索手法においては、各階層における参照ウィンドウの設定領域を絞り込みつつ、探索を行うことができる。
【0009】
特許文献1では、多重解像度戦略に基づいた対応点探索を用いる画像処理装置の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−148012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
多重解像度戦略に基づいた対応点探索手法においては、画像の端部の探索ウィンドウが、画像からはみ出す場合には、探索ウィンドウ間の相関を高精度に求めることができないため、対応点探索の精度が悪化するという問題や、階層数の増大に伴って処理時間も増大するといった問題がある。
【0012】
特許文献1の画像処理装置においては、求められた対応点の信頼度が低い場合には、周囲の対応点の情報を用いて信頼度の低い対応点を補正することによって、高精度な対応点探索を可能とする技術が開示されているが、画像の端部において探索領域が画像からはみ出る場合に探索精度を向上させるための対策および階層数の増大に伴う処理時間の増大を抑制するための対策については開示されていない。
【0013】
本発明は、こうした問題を解決するためになされたもので、多重解像度画像を用いた対応点探索処理の処理性能を改善できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、互いに対応する画像内容を含んだ原基準画像と原参照画像とを取得する画像取得手段と、上位階層から下位階層に向かうにつれて解像度が低くなるように、前記原基準画像と前記原参照画像とを低解像度化することによって、解像度の異なる複数の基準画像と複数の参照画像とをそれぞれ階層的に生成する多重解像度画像作成手段と、前記複数の基準画像と前記複数の参照画像とのうち、同じ注目階層に属する画像を注目基準画像と注目参照画像として、前記注目基準画像に注目点を設定する注目点設定手段と、前記注目点についての、前記注目基準画像と前記注目参照画像との視差を求める視差特定手段と、前記視差特定手段が前記視差を求めるにあたって1)前記注目点を内包するウィンドウが前記注目基準画像内に収まるときには、前記ウィンドウ内の画像情報を用いる第1視差特定規則を、2)前記ウィンドウが前記注目基準画像からはみ出すときには、前記注目基準画像の外部領域からの寄与度を前記第1視差特定規則よりも低めた第2視差特定規則を、選択的にそれぞれ適用させる選択適用手段と、を備える画像処理装置であることを特徴とする。
【0015】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載された画像処理装置であって前記第2視差特定規則は、前記注目基準画像において前記注目点よりも中心寄りの点について既に特定された視差を利用する規則であることを特徴とする。
【0016】
また、請求項3の発明は、請求項2に記載された画像処理装置であって、前記第2視差特定規則は、前記注目基準画像において前記注目点よりも中心寄りの1つの代替点について既に特定された視差を用いて、前記注目点についての視差を求める規則であることを特徴とする。
【0017】
また、請求項4の発明は、請求項2に記載された画像処理装置であって、前記第2視差特定規則は、前記注目基準画像において前記注目点よりも中心寄りの複数の代替点について既に特定された視差の外挿によって、前記注目点についての視差を求める規則であることを特徴とする。
【0018】
また、請求項5の発明は、請求項1に記載された画像処理装置であって、前記第2視差特定規則においては、前記注目基準画像からの前記ウィンドウのはみ出し方向について、前記第1視差特定規則で使用されるウィンドウよりも短幅のウィンドウ内の画像情報を用いることを特徴とする。
【0019】
また、請求項6の発明は、請求項1に記載された画像処理装置であって、前記第2視差特定規則は、前記ウィンドウ内の画像情報を用いるとともに、前記ウィンドウのうち基準画像からはみ出る部分の寄与度を前記第1視差特定規則よりも低めた規則であることを特徴とする。
【0020】
また、請求項7の発明は、互いに対応する画像内容を含んだ原基準画像と原参照画像とを取得する工程と、上位階層から下位階層に向かうにつれて解像度が低くなるように、前記原基準画像と前記原参照画像とを低解像度化することによって、解像度の異なる複数の基準画像と複数の参照画像とをそれぞれ階層的に生成する工程と、前記複数の基準画像と前記複数の参照画像とのうち、同じ注目階層に属する画像を注目基準画像と注目参照画像として、前記注目基準画像に注目点を設定する工程と、前記注目点についての、前記注目基準画像と前記注目参照画像との視差を求める視差特定工程と、を備えた画像処理方法であって、前記視差特定工程は、1)前記注目点を内包するウィンドウが前記注目基準画像内に収まるときには、前記ウィンドウ内の画像情報を用いる第1視差特定規則を、2)前記ウィンドウが前記注目基準画像からはみ出すときには、前記注目基準画像の外部領域からの寄与度を前記第1視差特定規則よりも低めた第2視差特定規則を、選択的にそれぞれ適用する工程を備えることを特徴とする。
【0021】
また、請求項8の発明は、互いに対応する画像内容を含んだ原基準画像と原参照画像とを取得する画像取得手段と、上位階層から下位階層に向かうにつれて解像度が低くなるように、前記原基準画像と前記原参照画像とを低解像度化することによって、解像度の異なる複数の基準画像と複数の参照画像とをそれぞれ階層的に生成する多重解像度画像作成手段と、前記複数の基準画像と前記複数の参照画像とのうち、同じ注目階層に属する画像を注目基準画像と注目参照画像として、前記注目基準画像に注目点を設定する注目点設定手段と、前記注目点が前記注目基準画像のうち所定の視差特定領域にあるときに、前記注目点についての、前記注目基準画像と前記注目参照画像との視差を求める視差特定手段と、を備え、各階層における前記視差特定領域と基準画像との面積比は、上位階層ほど大きく設定されている画像処理装置であることを特徴とする。
【0022】
また、請求項9の発明は、請求項8に記載された画像処理装置であって、前記視差特定手段は、前記注目点を内包するウィンドウ内の画像情報を用いて、当該注目点についての、前記注目基準画像と前記注目参照画像との視差を求めるものであり、前記視差特定領域は、前記ウィンドウが前記注目基準画像に収まる範囲の領域であり、上位階層において前記視差を求める際の初期基準として使用される初期視差を、下位階層の視差特定領域内の注目点について得られた視差を利用して求めることを特徴とする。
【0023】
また、請求項10の発明は、請求項1に記載された画像処理装置であって、前記注目基準画像のうち前記第1規則が適用される領域と前記第2規則が適用される領域とからなる領域を視差特定領域として、各階層における前記視差特定領域と基準画像との面積比は、上位階層ほど大きく設定されているとともに、上位階層について前記第1視差特定規則で使用される初期視差を、下位階層について各注目点において得られた視差を利用して求めることを特徴とする。
【0024】
また、請求項11の発明は、互いに対応する画像内容を含んだ原基準画像と原参照画像とを取得する工程と、上位階層から下位階層に向かうにつれて解像度が低くなるように、前記原基準画像と前記原参照画像とを低解像度化することによって、解像度の異なる複数の基準画像と複数の参照画像とをそれぞれ階層的に生成する工程と、前記複数の基準画像と前記複数の参照画像とのうち、同じ注目階層に属する画像を注目基準画像と注目参照画像として、前記注目基準画像に注目点を設定する工程と、前記注目点が前記注目基準画像のうち所定の視差特定領域にあるときに、前記注目点についての、前記注目基準画像と前記注目参照画像との視差を求める工程と、を備え、各階層における前記視差特定領域と基準画像との面積比は、上位階層ほど大きく設定されている画像処理方法であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
請求項1から請求項7の発明によれば、注目点を内包するウィンドウが基準画像からはみ出るときに適用される第2視差特定規則のほうが、ウィンドウが基準画像からはみ出ないときに適用される第1視差特定規則よりも画像外情報の視差特定処理に対する寄与度が小さくなるので、ウィンドウが基準画像からはみ出るときの視差特定精度を向上させることができ、多重解像度画像を用いた対応点探索処理の処理性能を改善することが可能となる。
【0026】
請求項2から4の発明によれば、第2視差特定規則は、注目点よりも基準画像の中心よりの点について既に特定された視差を利用して注目点の視差を求めるので、視差の連続性によって、ウィンドウが基準画像からはみ出るときの視差特定精度を向上させることができ、多重解像度画像を用いた対応点探索処理の処理性能を改善することが可能となる。
【0027】
請求項3の発明によれば、第2視差特定規則は、注目点よりも基準画像の中心よりの1つの代替点について既に特定された視差を利用して注目点の視差を求めるので第2視差特定規則を用いた視差特定処理を高速化することができ、多重解像度画像を用いた対応点探索処理の処理性能を改善することが可能となる。
【0028】
請求項4の発明によれば、第2視差特定規則は、注目点よりも基準画像の中心よりの複数の代替点について既に特定された視差の外挿によって注目点の視差を求めるので、視差の連続性によって、ウィンドウが基準画像からはみ出るときの視差特定精度を向上させることができ、多重解像度画像を用いた対応点探索処理の処理性能を改善することが可能となる。
【0029】
請求項5の発明によれば、注目点を内包するウィンドウが基準画像からはみ出るときに適用される第2視差特定規則では、ウィンドウのはみ出し方向について、第1視差特定規則で使用されるウィンドウよりも短幅のウィンドウ内の画像情報を用いるので、第2視差特定規則による視差特定精度を向上させることができ、多重解像度画像を用いた対応点探索処理の処理性能を改善することが可能となる。
【0030】
請求項6の発明によれば、第2視差特定規則は、注目点を内包するウィンドウのうち、基準画像からはみ出る部分の寄与度を第1視差特定規則より低めているので、画像外情報の寄与度を第1視差特定規則を用いたときよりも抑制することによって、第2視差特定規則による視差特定精度を向上させることができ、多重解像度画像を用いた対応点探索処理の処理性能を改善することが可能となる。
【0031】
請求項8から請求項11の発明によれば、視差特定処理が下位の階層から上位の階層に向けて逐次実行される過程で、視差特定領域と基準画像との比を、階層が上がるにつれて少しずつ大きくしつつ視差特定処理を行うことができるので、視差特定領域を削減することによって視差特定処理を高速化することができ、多重解像度画像を用いた対応点探索処理の処理性能を改善することが可能となる。
【0032】
請求項9の発明によれば、注目点を内包するウィンドウが、下位階層の基準画像の画像領域からはみ出さない視差特定領域の各注目点について求められた各視差に基づいて、注目階層の視差特定領域の各注目点に対する各初期視差を設定することによって、注目階層の視差特定領域についての各初期視差を適切な値に設定することができるので、視差特定処理を高速化することができ、多重解像度画像を用いた対応点探索処理の処理性能を改善することが可能となる。
【0033】
請求項10の発明によれば、注目階層の視差特定領域のうち、注目点を内包するウィンドウが注目基準画像の画像領域からはみ出さない領域の各注目点に対する各初期視差を、下位階層の視差特定領域の各注目点に対して求められた各視差に基づいて設定することによって、注目階層におけるウィンドウが基準画像からはみ出さない領域についての各初期視差を適切な値に設定することができるので、視差特定処理を高速化することができ、多重解像度画像を用いた対応点探索処理の処理性能を改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施形態に係る画像処理装置を用いた3次元形状測定装置の概略構成を示す図である。
【図2】基準画像の注目点と参照画像の対応点との対応関係を示す図である。
【図3】実施形態に係る画像処理装置の要部の構成例を示す機能ブロック図である。
【図4】多重解像度基準画像を例示する図である。
【図5】多重解像度基準画像を例示する図である。
【図6】多重解像度基準画像を例示する図である。
【図7】多重解像度参照画像を例示する図である。
【図8】多重解像度参照画像を例示する図である。
【図9】多重解像度参照画像を例示する図である。
【図10】解像度変倍率が視差特定処理に与える影響例を説明する図である。
【図11】参照画像の多重解像度画像を例示する図である。
【図12】実施形態にかかる第1領域と第2領域を説明する図である。
【図13】実施形態にかかる第1領域と第2領域を説明する図である。
【図14】上位階層と下位階層の第1領域と第2領域を例示する図である。
【図15】上位階層と下位階層の第1領域と第2領域を例示する図である。
【図16】初期視差の設定を説明する図である。
【図17】初期視差の設定を説明する図である。
【図18】視差特定処理の概要を説明する図である。
【図19】参照画像の探索基準点に対する参照ウィンドウの設定例を示す図である。
【図20】参照画像の探索基準点に対する参照ウィンドウの設定例を示す図である。
【図21】SAD法を用いた視差特定処理の説明図である。
【図22】SAD法における参照ウィンドウの走査態様を例示する図である。
【図23】POC法を用いた視差特定処理の手順を示す図である。
【図24】POC値の例を示す図である。
【図25】第1領域と第2領域のウィンドウを例示する図である。
【図26】実施形態に係る第1の視差特定処理の窓関数を例示する図である。
【図27】実施形態に係る第2の視差特定処理の窓関数を例示する図である。
【図28】実施形態に係る第2の視差特定処理の窓関数を例示する図である。
【図29】実施形態に係る第2の視差特定処理の窓関数を例示する図である。
【図30】第2領域におけるウィンドウの設定例を示す図である。
【図31】第2領域の視差の特定方法の例を示す図である。
【図32】第2領域の視差の特定方法の例を示す図である。
【図33】第2領域の視差の特定方法の例を示す図である。
【図34】変形例に係る視差特定領域の設定例を示す図である。
【図35】変形例に係る初期視差の設定手法例を説明する図である。
【図36】変形例に係る視差特定領域の設定例を示す図である。
【図37】実施形態に係る画像処理装置の動作の概要を例示するフローチャートである。
【図38】実施形態に係る画像処理装置の動作の概要を例示するフローチャートである。
【図39】変形例に係る画像処理装置の動作の概要を例示するフローチャートである。
【図40】変形例に係る画像処理装置の動作の概要を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明に係る画像処理装置は、例えば、2台以上のカメラによって測定対象物を測定し、得られた画像を処理して測定対象物上の注目点を通る各カメラの視線方程式を求めることによって測定対象物の形状を測定する3次元形状測定装置や、1台のカメラによって測定対象物を時系列に測定し、得られた画像を処理して、測定対象物の移動量を求めたり、予め登録された測定対象物の画像と測定した画像とを比較する装置などに適用される。
【0036】
以下、本発明に係る画像処理装置が、2台のカメラ(ステレオカメラとも称する)を用いて測定対象物を測定し、得られたステレオ画像を処理して測定対象物の3次元形状を測定する3次元測定装置に適用される実施形態について図面を参照して説明する。なお、説明のために図面には適宜座標軸を記載している。
【0037】
<3次元形状測定装置>
図1は、実施形態に係る画像処理装置3Aを用いた3次元形状測定装置1Aの概略構成を示す図である。
【0038】
図1に示されるように、3次元形状測定装置1Aは、2眼のステレオカメラ2と、ステレオカメラ2に対してデータ伝送可能に接続する画像処理装置3Aとを備えている。
【0039】
2眼のステレオカメラ2には、それぞれ撮像素子を有する2つの撮像系21、22が設けられている。撮像系21、22は、ほぼ同等の光学的特性と電気的特性を有しており、所定方向に沿って離隔配置され、カメラ正面の測定対象物OBを、同期されつつ同じタイミングで異なる視点から撮像するように構成されている。撮像系21、22によって同じタイミングで撮像される2画像は、いわゆるステレオ画像であり、データ線DLを介して画像処理装置3Aに送信される。
【0040】
ここで、ステレオ画像を構成する2画像のうち、撮像系21によって撮像されて取得される画像を、適宜「基準画像」と称し、撮像系22によって撮影されて取得される画像を、適宜「参照画像」と称する。
【0041】
また、撮像系21、22の焦点距離、主点位置、歪曲収差および基線長などのカメラパラメータは、予め校正されており、該カメラパラメータによって撮像系21、22の撮像素子に結像した測定対象物OBの像上の点と、撮像系の主点とを通るカメラ視線方程式が決定される。
【0042】
図2は、基準画像の注目点と、参照画像の対応点との対応を示す図である。
【0043】
画像処理装置3Aは、先ず、測定対象物OBに関する基準画像BITと参照画像RITとを階層的に繰り返し低解像度化することにより、基準画像BITと参照画像RITとのそれぞれについて、解像度の異なる複数の画像から構成される多重解像度画像を作成し、該多重解像度画像を用いて基準画像BIT上の注目点NTに対応する参照画像RIT上の対応点CTのずれ量(視差)を特定することによって対応点CTを探索する処理を行う。
【0044】
次に、画像処理装置3Aは、探索された注目点NTと対応点CTの座標情報と、撮像系21、22のカメラパラメータとを用いて、注目点NTと対応点CTに関するカメラ視線方程式を作成し、この方程式を連立させて解くことによって注目点CTに対応する測定対象物OBの点の3次元座標を求める3次元化処理を行う。
【0045】
画像処理装置3Aは、複数の注目点についての対応点の探索と3次元化処理を行うことによって測定対象物OBの3次元形状を算出する。
【0046】
ここで、3次元形状測定装置1Aにはステレオカメラが設けられているが、例えば、3個以上のカメラが設けられる場合には、3次元形状測定装置に入力される入力画像のうちの1の入力画像が基準画像、他の入力画像が参照画像として取得され、ステレオカメラ使用時と同様の処理が行われて測定対象物OBの3次元形状が求められる。
【0047】
<画像処理装置3Aの機能説明>
図3は、実施形態に係る画像処理装置3Aの要部の構成例を示す機能ブロック図である。
【0048】
図3に示されるように、画像処理装置3Aは、操作部4、表示部5、通信部6、入出力部7、記憶部9、画像取得部10、多重解像度画像作成部11、注目点設定部12、初期視差設定部14、視差特定部15、および制御部16を主に備えて構成されており、これらの機能ブロックによって基準画像BITと参照画像RITに関する多重解像度画像作成、対応点探索および3次元化処理などを行う。
【0049】
以下、画像処理装置3Aの操作部4から制御部16について説明する。
【0050】
◎操作部4〜記憶部9:
操作部4は、例えば、キーボード、マウスおよび操作ボタンなどを備えて構成されており、制御部16への操作信号の入力や、画像処理装置3Aの各部に関する解像度変倍率RRなどの制御パラメータの設定などの用途に使用され、設定された制御パラメータは、制御部16によって、記憶部9に記憶される。
【0051】
表示部5は、例えば液晶ディスプレイで構成されて動画などを表示可能であり、撮像されたステレオ画像や生成された3次元画像などの画像情報や、各種メッセージなどが表示部5に表示される。また、制御パラメータ設定用の情報も表示部5に表示される。
【0052】
通信部6は、LANやインターネットに接続するためのインタフェースであり、例えばネットワークアダプタなどで構成される。
【0053】
入出力部7は、例えばマルチメディアドライブを備えて構成され、光ディスクなどの記憶媒体8を受け付け、制御部16との間でデータの授受を行うものである。画像処理装置3Aが処理するステレオ画像は、ステレオカメラ2から直接入力されるだけでなく、通信部6や、入出力部7によって、記憶媒体8や、ネットワーク経由でも入力され得る。
【0054】
記憶部9は、例えばハードディスク、ROMおよびRAMなどを備えて構成されており、画像処理装置3Aの各部が出力する情報、画像処理装置3Aの各部を制御するために設定された制御パラメータ、校正されたカメラパラメータおよび制御プログラムなどの恒久的な記憶と、各種情報の一時的な記憶とに使用される。
【0055】
ここで、制御パラメータは、例えば、多重解像度画像の階層数T、解像度変倍率RR、基準ウィンドウと参照ウィンドウの水平と垂直方向のサイズであるウィンドウサイズWXとWY、基準画像に設定される注目点が所定の視差特定領域に属するか否かを判定するための領域情報V1および視差特定処理の信頼度を判定するための閾値などである。
【0056】
なお、領域情報V1としては、領域情報V1によって特定される基準画像中の視差特定領域を特定する情報と、特定された視差特定領域について適用されるべき視差特定処理の選択情報とが含まれている。
【0057】
これらの制御パラメータは、操作部4などによって予め設定されて記憶部9に記憶されている。
【0058】
なお、以下に説明する画像取得部10、多重解像度画像作成部11、注目点設定部12、領域判定部13、初期視差設定部14、視差特定部15および制御部16は、CPUで所定のプログラムを実行することで実現しても良いし、専用のハードウェア回路を用いて実現しても良い。
【0059】
◎画像取得部10:
画像取得部10は、基準カメラ21の撮影する画像と参照カメラ22が撮影する画像とを取得し、それぞれ基準画像BITおよび参照画像RITとして、記憶部9に記憶する。ここで、基準画像BITおよび参照画像RITは、例えば、複数の画素がマトリックス状に配列され、各画素の画素値が所定の階調数で表現されたデジタル画像データである。
【0060】
なお、基準画像BIT及び参照画像RITのサイズとしては、例えば、VGA(640画素×480画素)などが採用される。
【0061】
◎多重解像度画像作成部11:
多重解像度画像作成部11は、基準画像BITおよび参照画像RITに多段階の低解像度化処理を施すことによって基準画像BITの多重解像度画像である多重解像度基準画像MBと、参照画像RITの多重解像度画像である多重解像度参照画像MRとを作成し、記憶部9に記憶する。
【0062】
図4〜図6は、多重解像度基準画像MBを例示する図であり、図7〜図9は、多重解像度参照画像MRを例示する図である。多重解像度基準画像MBと多重解像度参照画像MRに関して、図4および図7は、それぞれの最上位の基準画像BIT、参照画像RITを、図5および図8は、それぞれ多重解像度基準画像MB、多重解像度参照画像MRの全体を、図6および図9は、それぞれ最下位の基準画像BI1、参照画像RI1を示している。
【0063】
図4〜図9に示されるように、多重解像度基準画像MBと多重解像度参照画像MRは、それぞれ、解像度が異なる複数の基準画像の集合体と解像度が異なる複数の参照画像の集合体であって、上位階層から下位階層に向かうにつれて解像度が低くなるように階層的に形成されている。
【0064】
多重解像度基準画像MBと多重解像度参照画像MRにおいて、最上位の基準画像BITと参照画像RIT画像は低解像度化されておらず、最下位の基準画像BI1と参照画像RI1画像は、最も解像度が低い画像である。また、多重解像度基準画像MBと多重解像度参照画像MRの階層数Tは等しく、同一階層の基準画像と参照画像の解像度は同じである。
【0065】
なお、基準カメラ21が撮影した基準画像であり、多重解像度基準画像MBの最上位の画像でもある低解像度化されていない基準画像BITを「原基準画像」BITとも称し、参照カメラ22が撮影した参照画像であり、多重解像度参照画像MRの最上位の画像でもある低解像度化されていない参照画像RITを「原参照画像」RITとも称する。
【0066】
また、多重解像度画像の注目する階層(「注目階層」とも称する)の画像に対して、より解像度の高い画像を「上位」(または、「上位階層」)の画像と称し、より解像度の低い画像を「下位」(または、「下位階層」)の画像と称する。さらに、注目階層の画像を低解像度化して1つ下位階層の画像を作成する際の低解像度化の比率を「解像度変倍率」とも称する。
【0067】
ここで、基準画像BIm(図5)および参照画像RIm(図8)は、最下層の1つ上位階層に注目階層が設定された場合の基準画像および参照画像である。なお、注目階層の基準画像および参照画像をそれぞれ「注目基準画像」および「注目参照画像」とも称する。
【0068】
解像度変倍率RRは、多重解像度画像の隣合う2つの階層の画像のうち、上位階層の画像の水平方向の画素数に対する下位階層の画像の水平方向の画素数の比率として与えられ、また、該上位階層の画像の垂直方向の画素数に対する該下位階層の画像の垂直方向の画素数の比率としても与えられる。通常、これら2種類の比率は同じ値に設定される。
【0069】
多重解像度画像は、例えば、記憶部9に予め設定保存された解像度変倍率RRおよび階層数Tに従って、多重解像度画像の階層数が階層数Tになるまで解像度変倍率RRによる低解像度化を繰り返すことや、最下層の画像の画素数が所定値以下になるまで解像度変倍率RRによる低解像度化を繰り返すことなどによって作成される。
【0070】
また、多重解像度画像作成部11は、多重解像度基準画像MBと多重解像度参照画像MRを階層ごとに生成したときに、各階層の基準画像の注目点について、初期視差設定部14によって求められる初期視差と、視差特定部15によって特定される視差とを格納するための記憶領域として、各階層の基準画像の画素数と同じ個数であって、特定される初期視差と視差とを格納できる容量の視差記憶画像を記憶部9に確保する。
【0071】
○低解像度化処理について:
低解像度化処理においては、多重解像度画像作成部11は、例えば、先ず、多重解像度画像の階層数T、解像度変倍率RRおよび最下層の基準画像BI1、参照画像RI1の画素数などの多重解像度画像作成に関係する制御パラメータと、基準画像BIT、参照画像RITを記憶部9から取得する。
【0072】
次に、多重解像度画像作成部11は、基準画像BIT、参照画像RITの水平方向、垂直方向の画素数に解像度変倍率RRを乗じて、1つ下位階層の基準画像BI(T−1)、参照画像RI(T−1)の水平方向、垂直方向の画素数を求め、基準画像BI(T−1)、参照画像RI(T−1)の記憶領域を記憶部9に確保する。
【0073】
記憶領域の確保が終了すると、多重解像度画像作成部11は、基準画像BI(T−1)の1つの画素の画素値を、この画素に対応する基準画像BITの各画素の画素値を平均することなどによって求め、この画素に対応する記憶領域に記憶する画素値の設定処理を行い、この画素値の設定処理を基準画像BI(T−1)、参照画像RI(T−1)の全ての画素について行うことによって、基準画像BI(T−1)、参照画像RI(T−1)の画像を作成する。
【0074】
このように、多重解像度画像の階層間にわたる画素の対応関係は、多重解像度画像作成に関係する制御パラメータなどによって定められる。
【0075】
なお、階層間にわたる画素の対応関係は、例えば、記憶部9に記憶され、必要に応じて画像処理装置3Aの各構成要素によって使用される。
【0076】
以下、上述した低解像度化処理を、画像数が階層数Tになるまで繰り返すことや、最下層の基準画像BI1、参照画像RI1の画素数が所定値以下になるまで繰り返すことによって、上位階層から下位階層に向かうにつれて解像度が低くなるように、画像取得部10によって取得された基準画像BITと参照画像RITとが階層的に低解像度化されて、解像度の異なる複数の階層的な基準画像と参照画像、すなわち多重解像度基準画像MBと多重解像度参照画像MRが作成され、多重解像度基準画像MBと多重解像度参照画像MRは、記憶部9に記憶される。
【0077】
なお、低解像度化処理の手法としては、上述した低解像度化処理の他、例えば、Qubic-Convolution法など種々の手法を採用し得る。
【0078】
○解像度変倍率RRについて:
図10は、解像度変倍率RRが視差特定処理に与える影響例を説明する図である。
【0079】
図10に示される参照画像RImは、注目階層の参照画像であり、参照画像RI(m+1)は、注目階層の1つ上位階層の参照画像である。ここで、図10に示される格子で区切られた各領域は、参照画像RImと参照画像RI(m+1)の個々の画素(「ピクセル」とも称する)を示している。
【0080】
また、参照画像RI(m+1)から参照画像RImを作成する際の解像度変倍率RRは1/4である。
【0081】
参照画像RIm上の対応点CPmTは注目階層の基準画像上に設定された注目点に対して正しく特定された対応点(「正しい対応点」)を示し、対応点CPmFは誤って特定された対応点(「誤った対応点」)を示す。
【0082】
参照画像RI(m+1)上の探索基準点K(m+1)Tは、参照画像RIm上の正しい対応点CPmTに基づいて特定される正しい探索基準点を示し、探索基準点K(m+1)Fは、は参照画像RIm上の誤った対応点CPmFに基づいて特定される誤った探索基準点を示す。
【0083】
なお、各注目階層の基準画像上に設定された注目点と、この注目点についての初期視差とに基づいて、参照ウィンドウを設定するための基準点が各注目階層の参照画像上に特定される。本願発明では、この基準点を「探索基準点」とも称する。
【0084】
図10に示されるように、正しい対応点CPmTと誤った対応点CPmFとのずれは、画素の対角線方向にわずか1画素であるが、探索基準点K(m+1)TとK(m+1)Fとの画素の対角線方向のずれは、解像度変倍率の逆数倍の4画素に拡大する。すなわち、下位階層における対応点探索の誤りは、上位階層で設定される参照ウィンドウの設定位置について、さらに拡大されることになる。
【0085】
参照画像RI(m+1)上の対応点を求めるための視差は、参照画像RI(m+1)に設定された参照ウィンドウを用いて特定されるので、適切な位置からずれて設定された参照ウィンドウを用いて参照画像RI(m+1)上の対応点を探索しても、下位階層の参照画像RImでの対応点探索の誤りを補正できずに、参照画像RI(m+1)においても誤った探索が行われる可能性が増大する。
【0086】
つまり、解像度変倍率RRが小さい場合には、下位階層の画像(低解像度の画像)における対応点探索の小さな誤りが、上位階層の画像(高解像度の画像)における対応点探索の大きな誤りに結びついて対応点探索の精度低下を招き易い。
【0087】
解像度変倍率RRの設定手法は、例えば、表示部5に表示される、2/3、1/2、1/3または1/4(解像度変倍率RRを1より大きな実数(典型的には、有理数)rを用いて1/rで表現すると、rは、3/2、2、3または4)などの適切な範囲の候補中から操作部4を用いて選択する手法などが採用されるが、操作部4からの入力などによって候補値以外の1より小さい解像度変倍率を設定する手法を採用してもよい。設定された解像度変倍率RRは、記憶部9に記憶される。
【0088】
また、多重解像度画像作成部11が専用のハードウェア回路である場合には、解像度変倍率RRの設定は、例えば、複数の異なる解像度変倍率RRにそれぞれ対応した複数の多重解像度画像作成部11の中から、ディップスイッチの切り替えなどによって、所望の解像度変倍率RRに対応した多重解像度画像作成部11を選択する手法などによって設定してもよい。
【0089】
多重解像度画像においては、より下位の階層の画像であればあるほど画像中の各画素の「情報量減少」が生ずるため、対応点探索の誤りが発生しやすい。また、探索ウィンドウの画素数が多重解像度画像の階層にかかわらず一定である場合には、より下位の階層の画像であればあるほど探索ウィンドウには、より広い視野域で撮像された測定対象物OBおよび背景の画像が含まれるので、いわゆる「遠近競合」が発生して対応点探索の誤りが発生しやすい。
【0090】
同様に、上位階層の画像を低解像度化して下位階層の画像を作成する際の解像度変倍率RRが小さければ小さいほど、下位階層の画像において、より「情報量減少」が生ずるとともに、「遠近競合」が発生して対応点探索の誤りが発生しやすい。
【0091】
従って、下位階層における対応点探索の誤りが上位階層における対応点探索の誤りを増幅させる前述の悪影響を抑制するために、図11に示す参照画像の多重解像度画像の例のように、多重解像度画像の作成において複数の解像度変倍率RRを用いて、上位階層側の画像には小さな解像度変倍率を適用し、下位階層側の画像には大きな解像度変倍率を適用してもよい。図11の例では、上位階層側の解像度変倍率を1/4に設定し、下位階層側の解像度変倍率を1/2に設定することによって、前述の悪影響の抑制を行っている。
【0092】
◎注目点設定部12:
注目点設定部12は、注目基準画像上に注目点を設定する。例えば、基準画像上の全画素がそれぞれ各注目点として設定される。設定された各注目点に対しては、それぞれ対応する注目参照画像上の各対応点が視差特定部15によって求められる。
【0093】
また、注目点は、例えば、表示部5に表示された基準画像上の特徴点を操作部4のマウスを用いて手動で設定する手法や、注目点設定部12が基準画像にエッジ検出処理を施して抽出したエッジ位置に自動的に設定する手法などによって選択的に設定してもよい。
【0094】
注目点の設定情報は、例えば、注目点の座標情報として記憶部9に記憶され、画像処理装置3Aの構成要素によって適宜使用される。
【0095】
◎領域判定部13:
領域判定部13は、注目点設定部12によって設定された各注目点が、記憶部9に記憶された領域情報V1に基づいて定められる注目基準画像上の所定の領域に属するかどうかを判定し、得られた判定情報を初期視差設定部14および視差特定部15に直接または制御部16を介するなどして間接的に供給する。
【0096】
本実施形態においては、領域情報V1は、2つの視差特定領域を特定する情報である。
【0097】
具体的には、領域情報V1は、領域の注目点に基づいて設定される基準ウィンドウが基準画像からはみ出ない注目点から構成される視差特定領域(「第1領域」と称する)と、注目点に基づいて設定される基準ウィンドウが基準画像からはみ出る視差特定領域(「第2領域」と称する)とを、それぞれ特定するための情報である。
【0098】
図12および図13は、実施形態にかかる領域情報V1に基づいて注目基準画像BImに特定される第1領域と第2領域とを説明する図である。
【0099】
図12においては、注目点として3つの黒丸が例示されており、所定サイズの基準ウィンドウW1〜W3が、各注目点に基づいて設定されている。
【0100】
基準ウィンドウW1およびW2は、ともに注目基準画像BImからはみ出ていないが、基準ウィンドウW3は、注目基準画像BImからはみ出ている。
【0101】
図13に示される第1領域Dmは、注目点に対して設定される基準ウィンドウが注目基準画像BImからはみ出ないときの各注目点によって定められる領域である。
【0102】
第2領域Emは、注目点に対して設定される基準ウィンドウが注目基準画像BImからはみ出るときの各注目点によって定められる領域である。
【0103】
また、境界線Gmは、第1領域Dmと第2領域Emとの境界線を示している。
【0104】
本実施形態の領域情報V1は、各階層毎に第1領域と第2領域とを特定する情報である。
【0105】
図14および図15は、上位階層である注目基準画像BIm、およびその1つ下位階層の基準画像BI(m−1)のそれぞれの画像における第1領域と第2領域とを例示する図である。
【0106】
図14に示される注目基準画像BImは、20画素×20画素の基準画像を例示しており、図15に示される基準画像BI(m−1)は、注目基準画像BImから解像度変倍率RRを1/2として低解像度化された10画素×10画素の基準画像を例示している。
【0107】
ここでは、注目基準画像BImと、基準画像BI(m−1)とが同じ画像サイズで表示されるように、基準画像BI(m−1)の縮尺を調整して表示している。
【0108】
図14に示される基準ウィンドウWBmは、注目点Paに対して設定された5画素×5画素の基準ウィンドウの例であり、図15に示される基準ウィンドウWBmは、注目点Pbに対して設定された5画素×5画素の基準ウィンドウの例である。
【0109】
また、図14には、注目基準画像BImにおける第1領域と第2領域との境界線Gmが示されており、図15には、基準画像BI(m−1)における第1領域と第2領域との境界線Gmが示されるとともに、注目基準画像BImにおける境界線Gmが、想像線で示されている。
【0110】
ここで、図15においては境界線Gmの内部に境界線G(m−1)が存在しており、注目基準画像BImと基準画像BI(m+1)とでは、基準画像に対する第1領域の面積比は、基準画像BImの方が大きくなっている。
【0111】
このように、各階層の画像を同じ縮尺で表示すると下位階層ほど見かけ上の画素サイズが大きくなるのに対して、ウィンドウサイズが階層間で同じである場合は、基準ウィンドウが基準画像からはみ出る第2領域の各座標方向の画素数は、例えば、図14および図15ではX軸、Y軸方向ともに2画素であるように一定数であるため、基準画像に対する第1領域の面積比は、上位階層ほど大きく(下位階層ほど小さく)なる。
【0112】
◎初期視差設定部14:
初期視差設定部14は、視差特定部15が行う、注目基準画像の注目点と、注目点に対応する、注目参照画像の対応点との視差を特定する視差特定処理の基準となる初期視差を、注目点に対して設定する初期視差設定処理を行う。また、設定された初期視差は、視差記憶画像のうち、注目点に対応する領域に記憶される。
【0113】
なお、注目点について視差特定部15によって視差が特定されたときは、視差記憶画像に記憶された初期視差は、例えば、特定された視差に書き換えられる。
【0114】
図16および図17は、注目基準画像BImと、その1つ下位階層の基準画像BI(m−1)における一部の画素を例として、初期視差設定部14が行う初期視差設定処理を、説明する図である。
【0115】
図16では、注目基準画像BImの一部の画素と、解像度変倍率RRを1/2として注目基準画像BImが低解像度化された1つ下位階層の基準画像BI(m−1)の一部の画素との対応関係を示している。
【0116】
図16では解像度変倍率RRが1/2であるので、基準画像BI(m−1)の斜線部分の2画素の注目点が、注目基準画像BImの斜線部分の8画素の注目点に対応している。
【0117】
図17は、基準画像BI(m−1)の斜線部分の2画素の注目点p1、p2と、注目点p1およびp2にそれぞれ対応する注目基準画像BImの斜線部分の8画素の注目点p3〜p6およびp7〜P10に対応する視差記憶画像を示している。
【0118】
注目点p1およびp2について視差特定部15によって特定された視差は、Q1およびQ2である。
【0119】
注目点p1に対応する注目点p3〜p6に設定された初期視差は、それぞれq1〜q4であり、初期視差q1〜q4は、視差Q1に解像度変倍率RRの逆数を乗算することによって求められる。
【0120】
同様に、注目点p2に対応する注目点p7〜p10に設定された初期視差は、それぞれq5〜q8であり、初期視差q5〜q8は、視差Q2に解像度変倍率RRの逆数を乗算することによって求められる。
【0121】
このように、注目基準画像の注目点についての初期視差設定処理は、注目基準画像BImの注目点に対応する、1つ下位階層の基準画像BI(m−1)の注目点について特定された視差に基づいて設定される。
【0122】
また、初期視差設定部14は、領域判定の結果を用いることによって、例えば、注目基準画像の注目点が、初期視差を用いない視差特定規則が適用される領域に属すると判定できる場合には、この注目点について初期視差の設定を行わないようにしても良い。
【0123】
なお、採用された視差特定領域の設定方法に起因して注目基準画像の注目点に対応する1つ下位階層の基準画像の注目点についての視差が特定されていない場合や、多重解像度画像の作成方法に起因して注目基準画像の注目点に対応する1つ下位階層の基準画像の注目点が存在しない場合には、注目基準画像のこれらの注目点についての初期視差は、注目基準画像の初期視差が設定された他の注目点についての初期視差に基づいて、外挿演算などによって設定される。
【0124】
外挿演算による初期視差の設定については、変形例の説明において後述する。
【0125】
◎視差特定部15:
視差特定部15は、多重解像度基準画像MB中の注目階層の基準画像上に設定された注目点と、この注目点に対応する多重解像度参照画像MR中の注目階層の参照画像上の対応点との視差を特定する視差特定処理を行うことによって、当該対応点を探索する。
【0126】
また、特定された視差は、視差記憶画像の注目点に対応する記憶領域に記憶される。
【0127】
本実施形態においては、視差特定部15は、基準画像BImの注目点が図12に示される第1領域Dmに属する場合、すなわち、注目点を内包する基準ウィンドウが注目基準画像内に収まるときには、基準ウィンドウ内の画像情報と、注目点についての初期視差に基づいて注目参照画像に設定される参照ウィンドウの画像情報とを用いる第1の視差特定処理によって、注目点についての視差を特定する。
【0128】
また、注目点が図12に示される第2領域Emに属する場合、すなわち、注目点を内包する基準ウィンドウが前記注目基準画像からはみ出すときには、視差特定部15は、注目基準画像の外部領域からの視差特定処理への寄与度を、注目点が第1領域に属するときよりも低めた第2の視差特定処理によって注目点についての視差を特定する。
【0129】
注目点を内包するウィンドウが基準画像からはみ出る第2領域Emの注目点に適用される第2の視差特定処理のほうが、基準ウィンドウが基準画像BImからはみ出ない第1領域の注目点に適用される第1の視差特定処理よりも、画像外情報の視差特定処理に対する寄与度が小さくなるので、ウィンドウが基準画像からはみ出るときの視差特定精度を向上させることができ、多重解像度画像を用いた対応点探索処理の処理性能を改善することが可能となる。
【0130】
第1の視差特定処理と第2の視差特定処理とは、例えば、第1の視差特定処理用と第2の視差特定処理用の処理プログラムを注目点の所属領域に応じて選択的に切り替えることによって行われる。
【0131】
また、視差特定部15内に、第1の視差特定処理用と第2の視差特定処理用の処理装置をそれぞれ備えおり、これらの処理装置を注目点の所属領域に応じて選択的に切り替えることによって行ってもよい。
【0132】
上述した処理プログラムや処理装置の切り替えについては、例えば、領域判定部13の判定結果を取得した制御部16が、領域情報V1に含まれる視差特定処理の選択情報に基づいて視差特定部15などを制御することなどによって行われる。
【0133】
また、視差特定部15自体が、領域情報V1に含まれる視差特定処理の選択情報を取得して、領域判定部13から供給される判定結果に基づいて、視差特定処理方法の切り替えを行っても良い。
【0134】
なお、視差特定処理において用いられる基準ウィンドウと参照ウィンドウのサイズは、記憶部9から取得される制御パラメータであるウィンドウサイズWX、WYによって決定される。
【0135】
◎制御部16:
制御部16は、画像処理装置3Aの各部を統括的に制御することによって、視差特定処理や3次元データ作成などの情報処理を実現する。
【0136】
視差特定処理においては、制御部16は、視差特定処理の対象となる多重解像度基準画像MBおよび多重解像度参照画像MR中の注目階層を、下位の階層から上位の階層に向けて注目点設定部12、初期視差設定部14および視差特定部15などの画像処理装置3Aの各部に対して逐次設定しつつ、視差特定処理が下位の階層から上位の階層に向けて階層的に繰り返し実行されるように画像処理装置3Aの各部を制御する。
【0137】
また、制御部16は、記憶部9に記憶された領域情報V1を取得して領域判定部13に供給するとともに、領域情報V1に含まれる視差特定処理識別情報を取得し、領域判定部13によって求められる、注目点が属する視差特定領域ついての判定情報に基づいて、各視差特定領域について適用されるべき視差特定処理に関する情報を取得する。
【0138】
制御部16は、取得した視差特定領域と、該視差特定領域に適用される視差特定処理との関係に基づいて、視差特定部15が、注目点の属する視差特定領域に応じた視差特定処理を行うように視差特定部15などを制御する。
【0139】
視差特定処理において、上述したように第1の視差特定処理用と第2の視差特定処理用の処理とを注目点の所属領域に応じて選択的に切り替える制御も行う。
【0140】
以上に説明された構成によって、画像処理装置3Aは、多重解像度戦略に基づく視差特定処理を行って対応点を探索する。
【0141】
<画像処理装置3Aの動作説明>
次に、画像処理装置3Aの視差特定処理などついてさらに詳しく説明し、その後、画像処理装置3Aが行う多重解像度画像を用いた対応点の探索処理の全体処理フローを説明する。
【0142】
◎第1の視差特定処理:
図18は、注目点に設定される基準ウィンドウが基準画像からはみ出ない第1領域において、視差特定部15が行う第1の視差特定処理の概要を説明する図である。図18では、注目点設定部12によって、多重解像度基準画像MB中の注目階層の基準画像BIm上に注目点Nmが設定されている。
【0143】
また、図18では、注目点Nmと、初期視差設定部14によって注目点Nmに設定された初期視差とによって多重解像度参照画像MR中の該注目階層の参照画像RIm上に探索基準点Kmが特定されている。
【0144】
視差特定部15は、記憶部9に格納されたウィンドウサイズWX、WYに基づいて、注目点Nmに対して基準ウィンドウWBmを、探索基準点Kmに対して参照ウィンドウWRmをそれぞれ設定し、基準ウィンドウWBm内の画像と参照ウィンドウWRm内の画像との相関を求めることによって、注目点Nmに対応する対応点CPmを求める。
【0145】
○基準ウィンドウと参照ウィンドウ:
図19および図20は、参照画像WBmに設定された基準ウィンドウWBmの設定例を示す図である。
【0146】
図19に例示される基準ウィンドウWBmは、水平方向画素数と垂直方向画素数がともに奇数であり、注目点Nmの座標は、基準ウィンドウWBmの重心Wgと一致する。
【0147】
図20に例示される基準ウィンドウWBmは、水平方向画素数と垂直方向画素数とがともに偶数であり、注目点Nmの座標は、基準ウィンドウWBmの重心Wgに対して−X方向、−Y方向に1画素ずれている。
【0148】
図19および図20に示される例の他に、基準ウィンドウWBmの水平方向画素数と垂直方向画素数とは、それぞれ奇数と偶数(順不同)との組でもよい。
【0149】
なお、基準ウィンドウWBmと参照ウィンドウWRmとのそれぞれの水平方向(X方向)画素数は同じであり、それぞれの垂直方向(Y方向)画素数もまた同じである。
【0150】
ここで、基準ウィンドウWBmと参照ウィンドウWRmの画像間の相関を求める手法としては、例えばSAD法(差分絶対値和法)などのように周波数分解を行わない手法と、POC法(位相限定相関法)などのように周波数分解を行う手法とがあり、周波数分解を行う手法を用いる場合には、高速フーリエ変換(FFT)を用いて必要な演算回数を抑制し、処理の高速化を図る観点から、水平方向画素数と垂直方向画素数とを2のべき乗で表される画素数とすることが望ましい。
【0151】
次に、SAD法とPOC法を例として、基準ウィンドウWBmと参照ウィンドウWRmの画像間の相関を求める手法について説明する。
【0152】
○SAD法:
図21は、SAD法を用いた視差特定処理の手順を示す図である。
【0153】
図21に示される注目階層の基準画像BIm上にはX座標がh2である注目点Nmが設定されており、注目点Nmに対して基準ウィンドウWBmが設定されている。基準ウィンドウWBmのX方向の両端のX座標は、h1とh3である。また、該注目階層の参照画像RIm上には、注目点Nmに対応する対応点CPmが示されている。
【0154】
ここでは、SAD法を用いて対応点CPmを求める例について説明する。
【0155】
参照画像RIm上には、X座標がxsである探索基準点KmsからX座標がxeである探索基準点Kmeまで、X座標がxs≦x≦xeの範囲で1画素ごとに複数の探索基準点が設定されており、これら複数の探索基準点の代表として両端の探索基準点Kms、Kmeのみが記載されている。
【0156】
また、該複数の探索基準点には、それぞれ基準ウィンドウWBmと、同サイズの複数の参照ウィンドウとが設定されており、該複数の参照ウィンドウの代表として両端の参照ウィンドウWRms、WRmeのみが記載されている。
【0157】
ここで、図21においては説明を簡単にするため、注目点Nmと複数の探索基準点Kms〜KmeのY座標は同じであり、従って、基準ウィンドウWBmと、参照ウィンドウWRms〜WRmeのY方向の座標のずれ量は無いように設定されている。また、注目点Nmと、求められるべき対応点CPmのY座標も一致するように設定されている。
【0158】
次に、参照ウィンドウWRms〜WRmeの各参照ウィンドウ内の各画像と、基準ウィンドウWBm内の画像との相関値を演算する。基準ウィンドウと参照ウィンドウのX方向、Y方向の座標のずれ量(「視差」とも称する)をそれぞれ視差xd、ydとする。図21の例では、視差xdの範囲はxs−h2〜xe−h2であり、視差ydは0である。
【0159】
基準ウィンドウWBm内の各画素(xi,yj)の画素値をImg1(xi,yj)、X方向、Y方向の視差が、視差xd、ydである参照ウィンドウWRm内の各画素(xi+xd,yj+yd)の画素値をImg2(xi+xd,yj+yd)とすると、(1)式、(2)式を用いた演算によって基準ウィンドウWBm内の画像と参照ウィンドウWRm内の画像の相関値CORpが算出される。
【0160】
【数1】

【0161】
参照ウィンドウがWRmsからWRmeにわたって走査されるように、X方向の視差xdをxs−h2〜xe−h2の範囲で変更しつつ、(1)式および(2)式によって各視差xdに対する相関値CORpが算出されると、図21に示すグラフU1のように参照画像RImのX座標と相関値CORpとの関係が明らかになる。
【0162】
図21の例では、座標xMにおいて、グラフU1における相関値CORpの最大値が与えられているので、探索基準点のX座標がxMと一致する参照ウィンドウが、相関値CORpの最大値を与える参照ウィンドウであり、該参照ウィンドウの探索基準点と、注目点Nmに対応する対応点CPmとは一致する。
【0163】
図22はSAD法における参照ウィンドウWRmの走査態様を例示する図であり、注目階層の参照画像RImの全域に参照ウィンドウWRmを走査させている。SAD法はPOC法に比べて演算量が少なく高速な処理が可能であるので、画素数が多い参照画像RImにSAD法による視差特定処理を適用し、図22に示される全域走査を行っても処理時間が短くなる。
【0164】
従ってSAD法を用いる場合には、周波数分解を行う手法を用いる場合に比べて多重解像度画像の階層数を減らすことができる。また、対応点に近い探索基準点を求めることなく、画像の全域にわたって参照ウィンドウの走査を行って視差特定をしても、周波数分解を行う手法を用いる場合に比べて短時間で視差特定処理を行うことができるので、探索基準点を求める処理コストを削減することが可能となる。
【0165】
○POC法:
図23は、POC法を用いた視差特定処理手順を示す図である。
【0166】
POC法は、周波数分解を使用した相関法であって、かつ、振幅成分を抑制した相関法である。同様の相関法として、DCT符号限定相関法(参考論文:「画像信号処理と画像パターン認識の融合−DCT符号限定相関とその応用」貴塚仁志)などが知られている。これらの相関法は、パターンの周波数分解信号から、振幅成分を抑制した位相成分のみの信号を用いて類似度演算を行うため、画像を取得するためのステレオカメラ2における撮影条件の差(ここでは、撮像系21、22における撮影条件の差)や、ノイズなどの影響を受けにくく、ロバストな対応点検索が可能である。
【0167】
また、SAD法が、1組の基準ウィンドウと参照ウィンドウに対して1つの相関値(CORp値)のみを出力するため、相関値が最も高い参照ウィンドウ、すなわち、相関値が最も高い視差を特定するためには複数の参照ウィンドウにわたって、参照ウィンドウの走査を行う必要があるのに対して、POC法などの周波数分解を使用した相関法は、1組の基準ウィンドウと参照ウィンドウの画像に対して、画像間の相関値とともに、相関値が最も高くなる画像間の視差が求められるので、対応点が該参照ウィンドウ内に存在する場合には、参照ウィンドウの走査を行う必要がない。
【0168】
このため、多重解像度画像にPOC法を用いる対応点探索法によれば、画素数の最も少ない多重解像度画像の最下位の基準画像と参照画像の画像全域をそれぞれ当初の基準ウィンドウと参照ウィンドウに設定して正しい対応点を探索した後、該対応点に基づいて1つ上位階層に参照ウィンドウを設定して該参照ウィンドウを走査することなく該階層における正しい対応点を求める探索処理を全ての階層にわたって繰り返すことが可能となる。従って、POC法を用いる視差特定手法は、多重解像度画像を対象とする視差特定処理に好適な手法となる。
【0169】
以下に、ある注目階層における基準画像BImに対する基準ウィンドウWBm内の画像と、該注目階層の参照画像RImに対する参照ウィンドウWRm内の画像とを視差特定処理の対象として注目点についての視差を求める場合を例に、POC法の基本原理を説明する。
【0170】
先ず、注目階層における基準画像BImに対して基準ウィンドウWBmを設定する基準ウィンドウ設定処理T1a、および注目階層における参照画像RImに対して参照ウィンドウWRmを設定する参照ウィンドウ設定処理T1bが行われる。
【0171】
基準ウィンドウWBm内の画像領域と、参照ウィンドウWRm内の画像領域とは、次の(3)式、(4)式のように表されるものとする。
【0172】
【数2】

【0173】
ここで、(3)式のf0(n1,n2)および(4)式のg0(n1,n2)は、基準ウィンドウWBm内および参照ウィンドウWRm内の画素の画素値を示している。また、N1およびN2は、例えばN1=2M1+1、N2=2M2+1と設定されている。
【0174】
次に、周波数分解を行う前に、ウィンドウ領域の端部での不連続性の影響を取り除くために窓関数を用いた窓関数処理T2aおよびT2bを行う。
【0175】
窓関数は、例えば、(5)式のH(n1,n2)で与えられるハニング窓が採用され、窓関数処理T2aおよびT2bは、基準ウィンドウWBm内および参照ウィンドウWRm内の各画素の画素値に(5)式の窓関数の出力値を乗ずる演算(6)式および(7)式でそれぞれ与えられる。
【0176】
【数3】

【0177】
窓関数としては、ハニング窓の他に、例えば、ハミング窓、カイザー窓などが採用される。
【0178】
次に、基準ウィンドウWBm、参照ウィンドウWRm内の各画像領域に対し、(8)式、(9)式で示す演算式を用いて、図23に示される2次元のフーリエ変換処理T3a、T3bが行われる。
【0179】
【数4】

【0180】
なお、(8)式、(9)式の下部ただし書におけるWの添字Pには、N1、N2が代入され、またkの添字sには、1、2が代入される。ここで、周波数分解の処理は必ずしもフーリエ変換である必要はなく、離散コサイン変換、離散サイン変換、ウェーブレット変換又はアダマール変換の何れかを含んでいても良い。
【0181】
このようなフーリエ変換処理T3a、T3bが施された各画像領域に対しては、(10)式で示す演算式を用いて、画像の振幅成分を除去するための正規化処理T4a、T4bが行われる。
【0182】
【数5】

【0183】
規格化処理T4a、T4bが完了すると、(11)式で示す演算式を用いた正規化クロス・パワースペクトル算出処理T5が行われる。
【0184】
【数6】

【0185】
正規化クロス・パワースペクトル算出処理T5が完了すると、(12)式で示す演算式を用いた2次元の逆フーリエ変換処理T6が行われる。これにより、基準ウィンドウWBmと参照ウィンドウWRm内の各画像間の相関演算が実施されることとなり、その結果(POC値)が出力される。
【0186】
【数7】

【0187】
以上の処理により、基準ウィンドウWBm内の画像と参照ウィンドウWRm内の画像との相関を示す演算結果(POC値)が得られ、例えば、図24で示すような結果(POC値)が得られる。
【0188】
図24は、POC値の例を示す図である。図24においては、ウィンドウ(N1×N2)内で相関が高い箇所のPOC値が大きくなっており、POC値のピークSを与える座標が、基準ウィンドウWBm内の画像と参照ウィンドウWRm内の画像との相関が最も高くなる視差を示す。この視差を特定する処理が視差特定T7であり、特定された視差に基づいて、基準ウィンドウWBm内の注目点Nmに対応した参照ウィンドウWRm内の対応点Cpmが求められる。
【0189】
以上のように、POC法を用いた視差特定処理によれば、画像の振幅成分が除去され、画像の位相成分のみで相関演算が行われるため、輝度変動やノイズの影響が抑制されて対応点が精度良く検出される。
【0190】
◎第2の視差特定処理:
次に、注目点が第2領域に属する場合に適用される第2の視差特定処理について幾つかの手法例を説明する。
【0191】
○第2の視差特定処理の手法例1:
第2の視差特定処理の手法例1として、POC法を用いる例を説明する。
【0192】
図25は、注目基準画像BImの第1領域Dmと第2領域Emの基準ウィンドウを例示する図であり、図25に示される境界線Gmは、第1領域Dmと第2領域Emとの境界線を示している。
【0193】
図25では、第1領域Dmの注目点に基づいて基準ウィンドウW1が、第2領域Emの注目点に基づいて基準ウィンドウW1と同じサイズの基準ウィンドウW2が、それぞれ設定されており、基準ウィンドウW2は、基準画像BImからはみ出している。
【0194】
この基準ウィンドウW2を用いて第1の視差特定処理におけるPOC法をそのまま適用する場合には、基準ウィンドウW2が基準画像BImからはみ出る部分についても相関演算ができるようにする必要がある。
【0195】
図26は、第1の視差特定処理におけるPOC法において(5)式を用いて説明した窓関数の例を示す図であり、(5)式で示される窓関数の形状を基準ウィンドウの重心pcを通り、基準ウィンドウの幅が2M1+1となる方向について関数値WF0として表示している。
【0196】
また、はみ出し部Exは、図25において窓関数が基準画像BImからはみ出ている部分に対応している。
【0197】
ここで、基準ウィンドウW2が基準画像からはみ出た部分の仮の画素値として、例えば、予め定められた固定値、または基準画像の画像端部の画素値など採用することで、探索ウィンドウ間の相関値を求めて対応点の探索を行う手法が考えられる。
【0198】
しかし、この場合は、第1の視差特定処理における(5)式の窓関数では、はみ出し部Exの部分に設定された仮の画素値によって、相関演算の精度が低下しやすくなる。
【0199】
すなわち、第1領域Dmに適用されるPOC法をそのまま適用すると、基準画像から基準ウィンドウがはみ出る部分に設定される画素値によって、視差特定処理の精度が低下しやすくなる。
【0200】
そこで、第2の視差特定処理の手法例1として、窓関数にウィンドウ領域の端部での不連続性の影響を取り除くという窓関数本来の機能に加えて、第1の視差特定処理の窓関数に比べて、画像外にはみ出たウィンドウ領域の第2の視差特定処理への寄与度を低める機能をも備えた(13)式で示される窓関数などが採用される。
【0201】
【数8】

【0202】
図27は、実施形態に係る第2の視差特定処理のPOC法において用いられる窓関数として(13)式の窓関数を例示する図である。
【0203】
図27においては、図26の窓関数の関数値WF0が幅方向に圧縮されて幅が2L1+1の関数値WF1になっている。他の符号については、図26と同じであり、また、比較のために図26の窓関数の関数値WF0も表示している。
【0204】
図27に示されるように、はみ出し部Exにおいては、関数値WF0よりも関数値WF1の方が小さくなっている。
【0205】
すなわち、第2の視差特定処理の手法例1では、注目点を内包する基準ウィンドウのうち、基準画像からはみ出る部分の第2の視差特定処理への寄与度を、この部分の第1の視差特定処理への寄与度よりも低めている。
【0206】
このように、第2の視差特定処理の手法例1では、画像外情報の寄与度を第1の視差特定処理を用いたときよりも抑制することによって、第2の視差特定処理による視差特定精度を向上させることができ、多重解像度画像を用いた視差特定処理の処理性能を改善することが可能となる。
【0207】
また、手法例1によれば、位相相関法などの周波数解析を利用する視差特定処理において、信号の不連続性を除去するために必須の窓関数に、第2領域の注目点に設定された基準ウィンドウの基準画像の画像外情報の視差特定処理に対する寄与度を、同一の注目点についての基準ウィンドウに第1の視差特定処理の窓関数を適用する場合に比べて下げる機能を兼ねさせることができるので、POC法による視差特定処理の処理過程に新たな処理を追加することなく、第2領域の注目点についての視差特定精度を向上させることができ、多重解像度画像を用いた視差特定処理の処理性能を改善することができる。
【0208】
なお、ここでは、関数値WF1に示される窓関数に代えて、幅2L1+1の矩形波の窓関数を採用しても同様の効果が得られる。
【0209】
図28および図29は、実施形態に係る第2の視差特定処理の手法例1の窓関数の他の態様を例示する図である。
【0210】
図28および図29においては、図27の関数値WF1に代えて、それぞれ関数値WF2およびWF3が採用されており、他の符号は図27と同じである。
【0211】
図28に示される関数値WF2は、基準ウィンドウの重心pcから、図28に向かって右側の、基準ウィンドウが基準画像からはみ出す方向の関数値については、同一部分に対応する関数値WF1が採用されており、基準ウィンドウの重心pcから、図28に向かって左側の、基準画像の中心よりの画素に対する関数値としては、関数値WF0が採用されている。
【0212】
図27に関数値WF1で示される窓関数を用いても、本発明の有用性を損なうものではないが、図28に例示される関数値WF2で示される窓関数を用いれば、注目点を内包する基準ウィンドウのうち、基準画像からはみ出る部分の第2の視差特定処理への寄与度を、この部分の第1の視差特定処理への寄与度よりも低めることができる。
【0213】
さらに基準ウィンドウの重心pcから、図28に向かって左側の、基準画像の中心よりの部分の画素については、第1の視差特定処理に用いられる窓関数WF0と同じ寄与度を維持することができるので、視差特定処理において、基準画像の中心よりの、はみ出し部分Exの画素に比べて信頼性の高い画素の画素値を有効に利用することができ、視差特定精度を向上させることができる。
【0214】
また、図29に示される関数値WF3は、基準ウィンドウの重心pcから、図29に向かって右側の、基準ウィンドウが基準画像からはみ出す方向の関数値については、同一部分に対応する関数値WF1が採用されており、基準ウィンドウの重心pcから、図28に向かって左側の、基準画像の中心よりの画素に対する関数値WF3としては、関数値WF0よりも視差特定処理への寄与度が高い関数値が採用されている。
【0215】
つまり、関数値WF3で示される窓関数は、基準ウィンドウのうち基準画像からはみ出る部分の寄与度を第1の視差特定処理よりも低めるとともに、基準ウインドウのうち注目基準画像の中心寄りの部分の寄与度を第1の視差特定処理よりも高めている。
【0216】
関数値WF3に示される窓関数を用いれば、注目点を内包する基準ウィンドウのうち、基準画像からはみ出る部分の第2の視差特定処理への寄与度を、この部分の第1の視差特定処理への寄与度よりも低めることができる。
【0217】
さらに、基準ウィンドウの重心pcから、図29に向かって左側の、基準画像の中心よりの部分の画素については、第1の視差特定処理に用いられる窓関数WF0よりも寄与度を高くすることができるので、視差特定処理において、基準画像の中心よりの、はみ出し部分Exの画素に比べて信頼性の高い画素の画素値を関数値WF0よりもさらに有効に利用することができ、視差特定精度を向上させることができる。
【0218】
○第2の視差特定処理の手法例2:
図30は、第2の視差特定処理の手法例2で採用される第2領域Emにおける基準ウィンドウW3の設定例を示す図であり、基準ウィンドウW3を除いて、図25の各領域、境界線、基準ウィンドウが、図25と同じ符号で示されている。
【0219】
図30に示される基準ウィンドウW3では、図25に示される基準ウィンドウW2と同一の注目点に対して設定されており、注目基準画像BImから基準ウィンドウW2のはみ出し方向について、基準ウィンドウW2よりも短幅のウィンドウ内の画像情報を用いたPOC法によって第2領域の注目点についての視差特定処理が行われる。
【0220】
従って、注目点を内包する基準ウィンドウが基準画像からはみ出る第2領域の注目点に適用される第2の視差特定処理では、基準ウィンドウのはみ出し方向について、第1の視差特定処理で使用される基準ウィンドウよりも短幅のウィンドウ内の画像情報を用いるので、第2の視差特定処理による視差特定精度を向上させることができ、多重解像度画像を用いた対応点探索処理の処理性能を改善することが可能となる。
【0221】
○第2の視差特定処理の手法例3、手法例4:
図31は、第2の視差特定処理の手法例3における第2領域の視差の特定方法の例を説明する図である。
【0222】
また、図32および図33は、第2の視差特定処理の手法例4における第2領域の視差の特定方法の例を説明する図である。
【0223】
図31および図32においては、図30の基準画像BImに対応する視差記憶画像SImが示されており、視差記憶画像SImには、図30の基準画像BImと同じ各領域、境界線が、図30と同じ符号で示されている。
【0224】
この手法例3および手法例4においては、先ず、第1領域に属する注目点についての視差を先ず算出し、第2領域の注目点についての視差は、この第2領域の注目点よりも基準画像の中心寄りの注目点に対して、既に特定されている視差を用いて特定される。
【0225】
手法例3および手法例4による第2の視差特定処理では、注目点よりも基準画像の中心よりの点について既に特定された視差を利用して注目点の視差を求めるので、視差の連続性によって、注目点に設定されるウィンドウが基準画像からはみ出るときの視差特定精度を向上させることができ、多重解像度画像を用いた対応点探索処理の処理性能を改善することが可能となる。
【0226】
先ず、手法例3について具体的に説明する。図31における注目点p1は第1領域に属しており、注目点p2は、第2領域に属している。
【0227】
注目点p1についての視差Q1は、既に第1の視差特定処理によって既に特定されている視差である。
【0228】
注目点p2についての視差Q2としては、注目点p2よりも基準画像の中心よりの注目点p1を注目点p2の代替点として、この代替点について特定済みの視差Q1をそのまま視差Q2として採用する。
【0229】
なお、代替点について算出済みの視差をそのまま視差Q2として採用するだけでなく、例えば、視差Q1に、注目点p1およびp2の間隔に応じた重み係数を乗じた視差を視差Q2として採用しても良い。
【0230】
また、注目点p1と注目点p2との間に位置する他の注目点についての視差を注目点p1についての視差Q1を用いて当該他の注目点についての視差を特定し、この視差を用いて注目点p2についての視差を特定しても良い。
【0231】
すなわち、手法例3においては、第2の視差特定処理として、注目基準画像において注目点よりも基準画像の中心寄りの1つの代替点について既に特定された視差を用いて、当該注目点についての視差を特定する処理が行われる。
【0232】
手法例3による第2の視差特定処理では、注目点よりも基準画像の中心よりの1つの代替点について既に特定された視差を利用して注目点の視差を求める。
【0233】
この場合は、1つの注目点について特定された視差を用いるだけであるので、手法3による第2視差特定処理を高速化することができ、多重解像度画像を用いた対応点探索処理の処理性能を改善することが可能となる。
【0234】
次に、手法例4について具体的に説明する。図32における注目点p1〜p4は第1領域に属しており、注目点p5は、第2領域に属している。
【0235】
第1領域の注目点p1〜p4については、既に第1の視差特定処理によって視差Q1〜Q4が既に特定されている。注目点p5についての視差Q5の特定については、図33を用いて説明する。
【0236】
図33は、図32に示される注目点p1からp4について図32のX軸方向の座標x1〜x4に対する各視差Q1〜Q4がグラフ表示されている。
【0237】
図33では、注目点p5ついての視差Q5を特定するときに、各視差Q1〜Q4の座標を通る直線を近似し、この直線に注目点p5のX座標x5を代入することによって視差Q5を求めている。
【0238】
すなわち、手法例4においては、第2の視差特定処理として、注目基準画像において注目点よりも基準画像の中心寄りの複数の代替点について既に特定された視差の外挿によって、当該注目点についての視差を特定する処理が行われる。
【0239】
図33に示す例では、直線近似の外挿演算を用いているが、例えば、直線近似に代えて曲線を近似して外挿演算を行っても良い。
【0240】
手法例4による第2の視差特定処理では、注目点よりも基準画像の中心よりの複数の代替点について既に特定された視差の外挿によって注目点の視差を求めるので、複数の注目点に渡る視差の連続性を活かした視差特定処理を行うことができ、ウィンドウが基準画像からはみ出る第2領域の注目点についての視差特定精度を向上させることができ、多重解像度画像を用いた対応点探索処理の処理性能を改善することが可能となる。
【0241】
◎全体処理フロー:
次に、画像処理装置3Aが行う多重解像度画像を用いた対応点探索処理の全体処理フローを説明する。
【0242】
図37は、実施形態に係る画像処理装置3Aが行う多重解像度画像を用いた視差特定処理S100Aの手順の概要を例示するフローチャートである。
【0243】
図37のフローチャートにおいて、先ず、画像取得部10は、基準カメラ21の撮影する画像と参照カメラ22が撮影する画像とを、それぞれ基準画像BITおよび参照画像RITとして取得し、記憶部9に記憶する(ステップS10)。
【0244】
画像の取得が終了すると、多重解像度画像作成部11は、記憶部9から多重解像度画像の階層数T、解像度変倍率RRなどの多重解像度画像作成に関係する制御パラメータと、基準画像BIT、参照画像RITを取得し、該制御パラメータを用いて基準画像BITと参照画像RITに多段階の低解像度化処理を施して多重解像度基準画像MBと多重解像度参照画像MRを作成し、記憶部9に記憶する(ステップS20)。
【0245】
多重解像度画像の作成が終了すると、制御部16は、注目階層が未設定であれば、多重解像度基準画像MB、多重解像度参照画像MRのそれぞれの最下位の基準画像BI1、参照画像RI1を注目階層の基準画像BIm、参照画像RImとして新規に設定し、既存の基準画像BIm、参照画像RImがあれば、基準画像BIm、参照画像RImの1つ上位階層の基準画像BI(m+1)と参照画像RI(m+1)を、それぞれ新たな注目階層の基準画像BImと参照画像RImとして再設定し、該設定情報を初期視差設定部14、視差特定部15などに供給する(ステップS30)。
【0246】
注目階層の設定が終了すると、制御部16は、記憶部9から当該注目階層についての第1領域および第2領域の領域情報V1を取得し、領域判定部13へ供給する(ステップS40)。
【0247】
なお、領域情報V1を用いることなく、注目点の座標と探索ウィンドウのサイズWX、WYを用いることによって、注目点についての基準ウィンドウが基準画像からはみ出るか否かを判定することによって注目点が第1領域に属するか、第2領域に属するかを判定することができるので、この場合には、ステップS40の処理は行わなくても良い。
【0248】
領域情報の取得が終了すると、注目点設定部12は基準画像の画素を注目点として背設定する(ステップS50)。
【0249】
注目点の設定が終了すると、処理は、注目点の視差を特定する処理ステップS60Aに移される。
【0250】
図38は、実施形態に係る注目点の視差を特定する処理ステップS60Aの処理の概要を例示するフローチャートである。
【0251】
先ず、初期視差設定部14は、初期視差設定部14についての説明欄で記述した初期視差設定処理を行い、注目点について初期視差を設定する(ステップS210)。
【0252】
なお、注目階層が最下位の階層である場合には、1つ下位階層での視差を用いて注目階層での初期視差を設定できないので、例えば、初期視差0が注目点について設定される。
【0253】
注目点について初期視差の設定が終了すると、領域判定部13によって注目点が、領域情報V1で定められる視差特定領域に属するかどうかが判定される(ステップS220)。本実施形態においては、具体的には、注目点が、第1領域と第2領域とのいずれに属するかが判定され、判定結果は、制御部16などへと供給される。
【0254】
制御部16は、注目点の所属領域についての判定結果を取得し、注目点について設定される基準ウィンドウが基準画像からはみ出るか否か、すなわち、注目点が第1領域に属するか否かを判断する(ステップS230)。
【0255】
判断の結果、注目点が第1領域に属する場合には、制御部16は、記述した第1の視差特定処理を視差特定部15に実行させて処理を図37のステップS60Aへと戻す(ステップS240)。
【0256】
判断の結果、注目点が第2領域に属する場合には、制御部16は、記述した第2の視差特定処理を視差特定部15に実行させて処理を図37のステップS60Aへと戻す(ステップS250)。
【0257】
ステップS60Aへと処理が戻されると、制御部16は、注目階層の全ての注目点について視差特定処理が終了したかどうかを判定し、判定の結果、注目階層の全ての注目点について視差特定処理が終了していなければ、処理をステップS50へと戻し、注目階層の全ての注目点について視差特定処理が終了していれば、処理をステップS80に移す(ステップS70)。
【0258】
ステップS80においては、制御部16は、全ての階層について視差特定処理が終了したか否かを判定し、終了していなければ、1つ上位の階層を注目階層として設定し(ステップS30)、終了していれば、制御部16は、多重解像度画像を用いた視差特定処理S100Aを終了させる。
【0259】
以上の処理によって、本実施形態に係る視差特定処理が実行される。
【0260】
<変形例>
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
【0261】
◎例えば、記憶部9の領域情報V1として、各階層における基準画像に対する各階層における視差特定処理の面積比が、上位階層ほど大きくなるような領域情報V1が設定されてもよい。以下、具体例として変形例1および変形例2について説明する。
【0262】
なお、変形例1および変形例2に係る画像処理装置は、実施形態に係る画像処理装置3Aと同じ各構成要素を採用し、記憶部9に記憶される領域情報V1のみを実施形態と異なる設定に変更するだけで構成することができる。
【0263】
従って、変形例1および変形例2については、変形例1および変形例2に係る画像処理装置の各構成要素についての説明は省略し、領域情報V1の変更によって生ずる、実施形態との差異のみを以下で説明する。
【0264】
<変形例1に係る画像処理装置について>
変形例1においては、各階層の基準画像における視差特定領域は、実施形態において記述した第1領域のみから構成されるように、領域情報V1が設定されている。
【0265】
なお、各階層の基準画像における視差特定領域は、第1領域が取り得る最大範囲に限定されることはなく、各階層における基準画像に対する各階層における視差特定処理の面積比が、上位階層ほど大きくなる条件が満たされるならば、第1領域が取り得る最大範囲のうちの一部であってもよい。
【0266】
すなわち、変形例1に係る視差特定領域は、注目基準画像の注目点について設定される基準ウィンドウが注目基準画像に収まる範囲の領域である。
【0267】
また、領域情報V1に含まれる視差特定処理の選択情報としては、第1の視差特定処理を選択する情報が採用される。
【0268】
従って、変形例1における視差特定部15は、基準画像の注目点に基づいて設定される基準ウィンドウ内の画像情報を用いて、当該注目点についての注目基準画像と注目参照画像との視差を求める第1の視差特定処理を行う。
【0269】
図34は、変形例1に係る複数の階層の基準画像についての視差特定領域の設定例を示す図である。
【0270】
図34には、連続する3つ階層の基準画像BI(m−1)、BImおよびBI(m+1)が下位階層から上位階層へ向けて、示されている。
【0271】
基準画像BI(m−1)、BImおよびBI(m+1)には、それぞれ視差特定領域D(m−1)、Dm、およびD(m+1)が設定されており、これらの視差特定領域は、それぞれ基準画像BI(m−1)、BImおよびBI(m+1)における第1領域である。
【0272】
ここで図34においては、BI(m−1)、BIm、およびBI(m+1)は全て同じ画像サイズで表示されるように、基準画像BI(m+1)を基準として、基準画像BI(m−1)および基準画像BImの縮尺を調整して表示している。
【0273】
実施形態の説明に係る図14、図15において説明したように、変形例1の視差特定領域が各階層における基準画像の第1領域の最大範囲である場合には、ウィンドウのサイズ(画素数)と形状が階層間で同じであれば、各階層における基準画像に対する各階層における視差特定処理の面積比が、上位階層ほど大きくなる。
【0274】
変形例1で採用される第1の視差特定処理は、基準ウィンドウに対する参照ウィンドウを設定するための初期視差を、視差特定領域の注目点について設定する必要がある。
【0275】
ここで実施形態に係る初期視差設定部14の説明においても言及したように、注目階層の注目点と対応関係のある、下位階層における注目点に、視差が特定されていない場合における初期視差の設定方法を説明する。
【0276】
図35は、変形例1に係る初期視差の設定手法例を説明する図である。
【0277】
図35においては、注目基準画像BImと、1つ下位階層の基準画像BI(m−1)が示されている。
【0278】
基準画像BI(m−1)における領域D(m−1)は、第1領域を構成する注目点からなる視差特定領域であり、境界線G(m−1)は視差特定領域D(m−1)の外縁である。
【0279】
また、基準画像BImにおける視差特定領域Dmは、境界線G(m−1)で囲まれる領域と、ハッチングを施された領域とからなる領域であり、境界線Gmは、視差特定領域Dmの外縁を成している。
【0280】
ここで基準画像BImにおける境界線G(m−1)は、基準画像BI(m−1)の境界線G(m−1)と同じ範囲に設定されている。
【0281】
従って、注目基準画像BImの境界線G(m−1)で囲まれる領域の注目点については、下位階層の基準画像BI(m−1)において特定された視差に基づいて、図17の方法と同じ手法によって初期視差を設定することができる。
【0282】
次に、注目基準画像のハッチングを施された領域については、対応する下位階層の注目点について視差が特定されていないため、図17の方法によっては初期視差を設定することができない。
【0283】
そこで、ハッチングを施された領域の初期視差は、注目基準画像BImの境界線G(m−1)で囲まれる領域の注目点についてすでに設定されている初期視差に基づいて設定される。
【0284】
具体的には、図31〜図33を用いて説明した実施形態についての第2の視差特定処理の手法例3、手法例4と同様に、すでに初期視差が設定されている1つまたは複数の注目点を代替点として、代替点の初期視差を用いて初期視差が設定されていないハッチング領域の注目点についての初期視差を外挿などによって求める。
【0285】
視差特定領域Dmの全ての注目点について初期視差が設定されると、第1の視差特定処理によって視差が特定される。
【0286】
基準画像BImより上位の階層についても、同様に初期視差の設定と、視差特定処理を繰り返していくことで、上位階層ほど視差特定領域の基準画像に対する面積比を大きくしながら、多重解像度画像を用いた視差特定処理を行うことができる。
【0287】
<変形例2に係る画像処理装置について>
変形例2に係る画像処理装置の領域情報V1によって特定される視差特定領域は、実施形態にかかる領域情報と同様に第1領域と、第1領域の外側に分布する第2領域とから構成される。
【0288】
また、領域情報V1に含まれる視差特定処理の選択情報は、第1領域の注目点については第1の視差特定処理が適用され、第2領域の注目点については第2の視差特定処理が適用されることを定めている。
【0289】
ここで、変形例2に係る第2領域と、実施形態にかかる第2領域との違いを図36を用いて説明する。
【0290】
図36は、変形例2に係る視差特定領域の設定例を示す図である。
【0291】
図36においては、連続する3つ階層の基準画像BI(m−1)、BImおよびBI(m+1)が下位階層から上位階層へ向けて、並べられている。
【0292】
また、第1領域D(m−1)、Dm、およびD(m+1)、ならびに第2領域E(m−1)、Em、およびE(m+1)がそれぞれの基準画像に設定されている。
【0293】
図36に示されるように、第1領域と第2領域とから構成される視差特定領域の基準画像に対する面積比は、上位階層ほど大きくなるように設定されている。
【0294】
第1領域については、必ず初期視差の設定が必要であるため、実施形態および変形例1と同様の手法によって、設定される。
【0295】
すなわち、注目基準画像BImの第1領域の注目点についての初期視差設定処理は、この注目点に対応する、1つ下位階層の基準画像BI(m−1)の注目点について特定された視差が存在するときは、この視差に基づいて設定される。
【0296】
1つ下位階層の基準画像BI(m−1)の注目点について特定された視差が存在しないときは、変形例1で説明した初期視差設定手法を用いて、すでに初期視差が設定されている基準画像BImの注目点についての初期視差から外挿や、代用によって、注目点についての初期視差を設定する。
【0297】
第2領域について適用される第2の視差特定処理としては、実施形態に係る第2の視差特定処理と同様に手法例1〜手法例4が採用される。
【0298】
第2領域の注目点について、初期視差の設定が必要な第2の視差特定処理を採用する場合における初期視差の設定は、第1領域についての初期視差の設定と同様に行うことができる。
【0299】
すなわち、変形例2においては、上位階層について前記第1の視差特定処理で使用される初期視差を、下位階層について各注目点において得られた視差を利用して求める。
【0300】
このように、領域情報V1によって視差特定領域が設定され、領域情報V1に含まれる視差特定処理の選択情報によって、第1領域の注目点については第1の視差特定処理が特定され、第2の視差特定処理が特定されるとともに、初期視差の設定が必要な注目点についての初期視差設定も可能である。
【0301】
従って、変形例2においても、変形例1と同様に多重解像度画像を用いた初期視差設定処理(対応点探索処理)を行うことができる。
【0302】
変形例1、変形例2の手法を用いれば、視差特定処理が下位の階層から上位の階層に向けて逐次実行される過程で、視差特定領域と基準画像との比を、階層が上がるにつれて少しずつ大きくしつつ視差特定処理を行うことができるので、視差特定領域を削減することによって視差特定処理を高速化することができ、多重解像度画像を用いた対応点探索処理の処理性能を改善することが可能となる。
【0303】
また変形例1の手法を用いれば、注目点を内包する基準ウィンドウが、下位階層の基準画像の画像領域からはみ出さない視差特定領域の各注目点について求められた各視差に基づいて、注目階層の視差特定領域の各注目点に対する各初期視差を設定することによって、注目階層の視差特定領域についての各初期視差を適切な値に設定することができるので、視差特定処理を高速化することができ、多重解像度画像を用いた対応点探索処理の処理性能を改善することが可能となる。
【0304】
変形例2の手法を用いれば、注目階層の視差特定領域のうち、注目点を内包する基準ウィンドウが注目基準画像の画像領域からはみ出さない領域の各注目点に対する各初期視差を、下位階層の視差特定領域の各注目点に対して求められた各視差に基づいて設定することによって、注目階層におけるウィンドウが基準画像からはみ出さない領域についての各初期視差を適切な値に設定することができるので、視差特定処理を高速化することができ、多重解像度画像を用いた対応点探索処理の処理性能を改善することが可能となる。
【0305】
<変形例の全体処理フロー>
○変形例1の全体処理フロー:
図37は、変形例1に係る画像処理装置3Aが行う多重解像度画像を用いた視差特定処理S100Bの手順の概要を例示するフローチャートである。
【0306】
ここで、変形例1の視差特定処理S100Bは、注目点の視差を特定する処理ステップS60Bを除いて、実施形態にかかる画像処理装置3Aが行う多重解像度画像を用いた視差特定処理S100Aと同じであるので、視差特定処理S100Bについては、説明を省略する。
【0307】
図39は、変形例1に係る注目点の視差を特定する処理ステップS60Bの処理の概要を例示するフローチャートである。
【0308】
図39のフローチャートにおいては、先ず、注目点設定部12によって設定された注目点が領域情報V1で定められる視差特定領域に属するか否かの領域判定が領域判定部13によって行われる(ステップS310)。
【0309】
具体的には、変形例1においては、注目点に設定される基準ウィンドウが基準画像からはみ出るか否かが判定され、判定結果は、制御部16などに供給される。
【0310】
制御部16は、注目点の所属領域についての判定結果を取得し、注目点について設定される基準ウィンドウが基準画像からはみ出るか否か、すなわち、注目点が第1領域に属するか否かを判断する。
【0311】
判断の結果、注目点が第1領域に属さない場合には、制御部16は、処理をステップS60B(図37)へ戻す(ステップS320)。
【0312】
また、判断の結果、注目点が第1領域に属する場合には、初期視差設定部14は、注目点について、既述した設定方法によって初期視差を設定する(ステップS330)。
【0313】
注目点について初期視差が設定されると、制御部16は、視差特定部15に対して第1の視差特定処理を実行させて処理をステップS60B(図37)へ戻す(ステップS340)。
【0314】
以上の処理によって、変形例1に係る注目点の視差を特定する処理ステップS60Bが行われる。
【0315】
○変形例2の全体処理フロー:
図37は、変形例2に係る画像処理装置3Aが行う多重解像度画像を用いた視差特定処理S100Cの手順の概要を例示するフローチャートである。
【0316】
ここで、変形例2の視差特定処理S100Cは、注目点の視差を特定する処理ステップS60Cを除いて、実施形態にかかる視差特定処理S100Aと同じであるので、視差特定処理S100Cについては説明を省略する。
【0317】
図40は、変形例2に係る注目点の視差を特定する処理ステップS60Cの処理の概要を例示するフローチャートである。
【0318】
図40のフローチャートにおいては、先ず、注目点設定部12によって設定された注目点が領域情報V1で定められる視差特定領域に属するか否かの領域判定が領域判定部13によって行われる(ステップS410)。
【0319】
具体的には、変形例2においては、注目点に設定される基準ウィンドウが基準画像からはみ出るか否か、および、注目点が第2領域に属するか否かが判定され、判定結果は、制御部16などに供給される。
【0320】
制御部16は、先ず、注目点の所属領域についての判定結果を取得し、注目点について設定される基準ウィンドウが基準画像からはみ出るか否か、すなわち、注目点が第1領域に属するか否かを判断する(ステップS420)。
【0321】
判断の結果、注目点が第1領域に属する場合には、初期視差設定部14は、第1領域の注目点について、既述した設定方法によって初期視差を設定する(ステップS430)。
【0322】
注目点について初期視差が設定されると、制御部16は、視差特定部15に対して第1の視差特定処理を実行させて処理をステップS60C(図37)へ戻す(ステップS440)。
【0323】
ステップS420の判断の結果、注目点が第1領域に属さない場合には、制御部16は、注目点が第2領域の所定領域からはみ出るか否かを判断する(ステップS450)。
【0324】
判断の結果、注目点が所定領域に属する場合には、初期視差設定部14は、所定領域の注目点について、既述した設定方法によって初期視差を設定する(ステップS460)。
【0325】
注目点について初期視差が設定されると、制御部16は、視差特定部15に対して第2の視差特定処理を実行させて処理をステップS60C(図37)へ戻す(ステップS470)。
【0326】
また、ステップS450の判断の結果、注目点が所定領域に属さない場合には、制御部16は、処理をステップS60C(図37)へ戻す。
【0327】
以上の処理によって、変形例2に係る注目点の視差を特定する処理ステップS60Cが行われる。
【符号の説明】
【0328】
1A 3次元形状測定装置
2 ステレオカメラ
3A 画像処理装置
4 操作部
5 表示部
6 通信部
7 入出力部
8 記憶媒体
9 記憶部
10 画像取得部
11 多重解像度画像作成部
12 注目点設定部
13 領域判定部
14 初期視差設定部
15 視差特定部
16 制御部
21,22 撮像系
DL データ線
OB 測定対象物
BIT,BI(T−1),BI(m+1),BIm,BI1 基準画像
RIT,RI(T−1),RI(m+1),RIm,RI1 参照画像
MB 多重解像度基準画像
MR 多重解像度参照画像
Nm,N(m+1) 注目点
CPm,CPmT,CPmF 対応点
Km,K(m+1),K(m+1)T,K(m+1)F 探索基準点
SIm 視差記憶画像
WBm 基準ウィンドウ
WRm 参照ウィンドウ
Wg 探索ウィンドウの重心
RR 解像度変倍率
WX,WY 探索ウィンドウサイズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対応する画像内容を含んだ原基準画像と原参照画像とを取得する画像取得手段と、
上位階層から下位階層に向かうにつれて解像度が低くなるように、前記原基準画像と前記原参照画像とを低解像度化することによって、解像度の異なる複数の基準画像と複数の参照画像とをそれぞれ階層的に生成する多重解像度画像作成手段と、
前記複数の基準画像と前記複数の参照画像とのうち、同じ注目階層に属する画像を注目基準画像と注目参照画像として、前記注目基準画像に注目点を設定する注目点設定手段と、
前記注目点についての、前記注目基準画像と前記注目参照画像との視差を求める視差特定手段と、
前記視差特定手段が前記視差を求めるにあたって、
1)前記注目点を内包するウィンドウが前記注目基準画像内に収まるときには、前記ウィンドウ内の画像情報を用いる第1視差特定規則を、
2)前記ウィンドウが前記注目基準画像からはみ出すときには、前記注目基準画像の外部領域からの寄与度を前記第1視差特定規則よりも低めた第2視差特定規則を、
選択的にそれぞれ適用させる選択適用手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載された画像処理装置であって、
前記第2視差特定規則は、前記注目基準画像において前記注目点よりも中心寄りの点について既に特定された視差を利用する規則であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載された画像処理装置であって、
前記第2視差特定規則は、前記注目基準画像において前記注目点よりも中心寄りの1つの代替点について既に特定された視差を用いて、前記注目点についての視差を求める規則であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項2に記載された画像処理装置であって、
前記第2視差特定規則は、前記注目基準画像において前記注目点よりも中心寄りの複数の代替点について既に特定された視差の外挿によって、前記注目点についての視差を求める規則であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載された画像処理装置であって、
前記第2視差特定規則においては、前記注目基準画像からの前記ウィンドウのはみ出し方向について、前記第1視差特定規則で使用されるウィンドウよりも短幅のウィンドウ内の画像情報を用いることを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載された画像処理装置であって、
前記第2視差特定規則は、前記ウィンドウ内の画像情報を用いるとともに、前記ウィンドウのうち基準画像からはみ出る部分の寄与度を前記第1視差特定規則よりも低めた規則であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
互いに対応する画像内容を含んだ原基準画像と原参照画像とを取得する工程と、
上位階層から下位階層に向かうにつれて解像度が低くなるように、前記原基準画像と前記原参照画像とを低解像度化することによって、解像度の異なる複数の基準画像と複数の参照画像とをそれぞれ階層的に生成する工程と、
前記複数の基準画像と前記複数の参照画像とのうち、同じ注目階層に属する画像を注目基準画像と注目参照画像として、前記注目基準画像に注目点を設定する工程と、
前記注目点についての、前記注目基準画像と前記注目参照画像との視差を求める視差特定工程と、
を備えた画像処理方法であって、
前記視差特定工程は、
1)前記注目点を内包するウィンドウが前記注目基準画像内に収まるときには、前記ウィンドウ内の画像情報を用いる第1視差特定規則を、
2)前記ウィンドウが前記注目基準画像からはみ出すときには、前記注目基準画像の外部領域からの寄与度を前記第1視差特定規則よりも低めた第2視差特定規則を、
選択的にそれぞれ適用する工程を備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
互いに対応する画像内容を含んだ原基準画像と原参照画像とを取得する画像取得手段と、
上位階層から下位階層に向かうにつれて解像度が低くなるように、前記原基準画像と前記原参照画像とを低解像度化することによって、解像度の異なる複数の基準画像と複数の参照画像とをそれぞれ階層的に生成する多重解像度画像作成手段と、
前記複数の基準画像と前記複数の参照画像とのうち、同じ注目階層に属する画像を注目基準画像と注目参照画像として、前記注目基準画像に注目点を設定する注目点設定手段と、
前記注目点が前記注目基準画像のうち所定の視差特定領域にあるときに、前記注目点についての、前記注目基準画像と前記注目参照画像との視差を求める視差特定手段と、
を備え、
各階層における前記視差特定領域と基準画像との面積比は、上位階層ほど大きく設定されていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載された画像処理装置であって、
前記視差特定手段は、前記注目点を内包するウィンドウ内の画像情報を用いて、当該注目点についての、前記注目基準画像と前記注目参照画像との視差を求めるものであり、
前記視差特定領域は、前記ウィンドウが前記注目基準画像に収まる範囲の領域であり、
上位階層において前記視差を求める際の初期基準として使用される初期視差を、下位階層の視差特定領域内の注目点について得られた視差を利用して求めることを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
請求項1に記載された画像処理装置であって、
前記注目基準画像のうち前記第1規則が適用される領域と前記第2規則が適用される領域とからなる領域を視差特定領域として、各階層における前記視差特定領域と基準画像との面積比は、上位階層ほど大きく設定されているとともに、
上位階層について前記第1視差特定規則で使用される初期視差を、下位階層について各注目点において得られた視差を利用して求めることを特徴とする画像処理装置。
【請求項11】
互いに対応する画像内容を含んだ原基準画像と原参照画像とを取得する工程と、
上位階層から下位階層に向かうにつれて解像度が低くなるように、前記原基準画像と前記原参照画像とを低解像度化することによって、解像度の異なる複数の基準画像と複数の参照画像とをそれぞれ階層的に生成する工程と、
前記複数の基準画像と前記複数の参照画像とのうち、同じ注目階層に属する画像を注目基準画像と注目参照画像として、前記注目基準画像に注目点を設定する工程と、
前記注目点が前記注目基準画像のうち所定の視差特定領域にあるときに、前記注目点についての、前記注目基準画像と前記注目参照画像との視差を求める工程と、
を備え、
各階層における前記視差特定領域と基準画像との面積比は、上位階層ほど大きく設定されていることを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公開番号】特開2011−48416(P2011−48416A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193800(P2009−193800)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】