説明

画像処理装置

【課題】バックライト輝度の低下やバックライトの輝度に応じてフレーム周波数を変えることで得られる省電力化をさらに推し進めることができる画像処理装置を提供する。
【解決手段】輝度制御部5は、動画描画処理において一定時間無操作が検出された場合は、ディスプレイ11の輝度を微灯レベルに設定する微灯制御し、一定時間無操作が検出されずユーザ操作が検出された場合は、ディスプレイ11の輝度を全灯レベルに設定する全灯制御し、動画像処理手段8は、輝度制御部5での輝度制御状態が全灯であれば通常フレームレートでデコード処理を行い、輝度制御部5での輝度制御状態が微灯であれば低フレームレートでデコード処理を行い、表示制御部9は、動画像処理手段8でデコード処理された動画像データを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話等の輝度制御可能なディスプレイを備えた電子機器に用いて好適な画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、表示手段としてのバックライトの輝度が3段階以上に切り換えられるバックライトを備えた液晶表示装置において、切り換えた輝度に応じてフリッカ率がゼロになるように、最適なフレーム周波数に切り換えることにより、液晶表示装置の消費電力を低減する技術が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2008−134291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した技術は、バックライトの輝度の低下と共に表示パネルを駆動するフレーム周波数を下げることで、消費電力の低減を図っているだけであり、更なる低消費電力化が要望されている。例えば、携帯電話では1回の充電で使用できる時間をできるだけ長くしたいという要望がある。
【0005】
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであり、バックライト輝度の低下やバックライトの輝度に応じてフレーム周波数を変えることで得られる省電力化をさらに推し進めることができる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像処理装置は、デコード処理された動画像データを表示する表示手段と、前記表示手段の輝度を調整する輝度調整手段と、前記輝度調整手段で調整された輝度に基づき、前記動画像データのデコード処理を変更する動画像処理手段と、を備えた。
【0007】
上記構成によれば、輝度調整手段で調整された輝度に基づいてデコード処理を変更するので、省電力化が可能となる。
【0008】
前記動画像処理手段は、デコード処理の変更として、前記動画像データのフレームレートを調整する。
【0009】
上記構成によれば、動画像データのフレームレートを低くすることで、単位時間当たりの処理量が減り、省電力化が図れる。
【0010】
前記動画像処理手段は、デコード処理の変更として、前記動画像データが段階的に展開できる圧縮が行われているコンテンツデータの場合、デコード完了の段階を調整する。
【0011】
上記構成によれば、デコード処理の途中でデコード完了として扱うことで、処理量が減り、省電力化が図れる。
【0012】
前記動画像処理手段は、デコード処理の変更として、デコード処理の対象とする、前記動画像データの色空間を構成する成分の数を調整する。
【0013】
上記構成によれば、デコード対象の色成分数を減らすことで、デコード処理量が減り、省電力化が図れる。
【0014】
また、上記構成において、第1の解像度を有する動画像データと、前記第1の解像度より低い第2の解像度を有する動画像データとを記憶する記憶手段をさらに備え、前記動画像処理手段は、前記輝度調整手段で調整された輝度に基づき、前記第1の解像度を有する動画像データと前記第2の解像度を有する動画像データとを差し替える。
【0015】
上記構成によれば、解像度の異なる2つの動画像データを別々に記憶し、低い輝度に調整された場合に解像度の低い動画像データを使用するため、処理量が減り、省電力化が図れる。
【0016】
因みに、輝度が低い状態では表示画面が若干見難くなるので、通常よりも低いフレームレートや、解像度が低いまたは、一部の色成分のみの動画像表示データでも十分実用化が可能である。
【0017】
また、上記構成において、前記動画像処理手段は、前記表示手段が前記動画像データと、前記動画像データとは異なる画像データを表示するとき、前記動画像データのデコード処理を調整する。
【0018】
また、上記構成において、前記表示手段に対する前記動画像データの表示を制御する表示制御手段をさらに備え、前記表示制御手段は、前記輝度調整手段で調整された輝度に基づき、前記動画像データの表示制御を変更する。
【0019】
上記構成によれば、輝度調整手段で調整された輝度に基づいて動画像データの表示制御を変更するので、通常よりも処理量を減らしての制御となり、省電力化が可能となる。
【0020】
前記表示制御手段は、動画像データの表示制御を変更として、前記デコード処理された動画像データを減色処理し、前記表示手段への転送レートを変化させる。
【0021】
前記表示制御手段は、動画像データの表示制御を変更として、前記画像データをフレーム数分デコードし、前記表示手段へは該フレーム数より少ないフレーム数のデータのみ転送する。
【0022】
前記表示制御手段は、動画像データの表示制御を変更として、前記デコード処理された動画像データの色成分数を減らし、前記表示手段へ転送する。
【0023】
また、上記構成において、入力指示を受付ける入力手段と、前記入力手段への入力指示が所定時間あるか否かを監視する時間監視手段と、をさらに備え、前記輝度調整手段は、前記時間監視手段の監視結果に応じて、前記表示手段の輝度を調整する。
【0024】
上記構成によれば、輝度調整手段は、入力指示が所定時間無い場合に表示手段の輝度を調整するので、無操作時における消費電力の低減が図れ、全体的に省電力化が可能となる。
【0025】
また、上記構成において、各手段に電力を供給する電池の残量を検出する電池残量検出手段をさらに備え、前記輝度調整手段は、前記電池残量検出手段の検出結果に応じて、前記表示手段の輝度を調整する。
【0026】
上記構成によれば、輝度調整手段は、電池残量に応じて表示手段の輝度を調整するので、電池残量低減時における消費電力の低減が図れ、全体的に省電力化が可能となる。
【0027】
また、上記構成において、各手段に電力を供給する電池の残量を検出する電池残量検出手段をさらに備え、前記電池残量検出手段の検出結果に応じて、前記動画像データのデコード処理を変更する。
【0028】
上記構成によれば、電池残量に応じて動画像データのデコード処理を変更するので、電池残量低減時における消費電力の低減が図れ、全体的に省電力化が可能となる。
【0029】
また、上記構成において、前記輝度調整手段は、輝度の異なる複数の段階を有し、前記動画像処理手段は、前記輝度調整手段で調整された輝度に対応するフレームレートで前記動画像データを処理する。
【0030】
上記構成によれば、2段階以上の輝度調整ができ、調整された輝度に基づいてデコード処理を変更するので、省電力化が可能となる。
【0031】
本発明の画像処理方法は、デコード処理された動画像データを表示する表示ステップと、前記表示ステップでの輝度を調整する輝度調整ステップと、前記輝度調整ステップで調整された輝度に基づき、前記動画像データのデコード処理を変更する動画像処理ステップと、を備えた。
【0032】
上記方法によれば、輝度調整ステップで調整された輝度に基づいてデコード処理を変更するので、省電力化が可能となる。
【発明の効果】
【0033】
本発明は、表示手段としてのバックライトの輝度の低下やバックライトの輝度に応じてフレーム周波数を変えることで得られる省電力化をさらに推し進めることができる画像処理装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明を実施するための好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像処理装置の概略構成を示すブロック図である。本実施の形態の画像処理装置1は、携帯電話機に適用したものとする。図1に示すように、本実施の形態の画像処理装置1は、ユーザ入力部2と、時間監視部3と、輝度制御部5と、動画制御部6と、デコーダ7と、表示制御部9と、背景表示制御部10と、輝度制御可能なディスプレイ(以下、単に「ディスプレイ」と言う。)11とを備える。ユーザ入力部2は、キー操作などによる入力指示を受け付ける。時間監視部3は、ユーザ入力部2への入力指示が一定時間無いかどうか監視し、一定時間を超えて入力指示が無い場合は、その旨を輝度制御部5に通知する。背景表示制御部10は、動画制御部6により制御される動画像以外の静止画像データもしくは動画像データを表示制御する。
【0036】
輝度制御部5は、本実施の形態の画像処理装置1が適用された携帯電話機に搭載されたディスプレイ11の輝度を制御する。輝度制御部5は、ディスプレイ11が例えば液晶ディスプレイの場合はバックライトの明るさを調整し、有機ELディスプレイの場合は有機ELディスプレイ自体の明るさを調整する。なお、ディスプレイ11は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイに限定されず、他のディスプレイであっても良いことは勿論である。本実施の形態では、ディスプレイ11のバックライトの輝度を“全灯”と“微灯”の2段階とする。輝度制御部5は、時間監視部3からユーザ操作による入力指示が無い旨の通知を受けると、ディスプレイ11のバックライトの輝度を“全灯”から“微灯”に切り換え、“微灯”の状態で入力指示がある旨の通知を受けると”全灯”に切り換える。
【0037】
動画制御部6は、デコーダ7におけるデコード処理を輝度制御部5による輝度設定に応じて変更する制御を行う。デコード処理として、動画像データのフレームレートを調整する。例えばディスプレイ11の輝度が“全灯”に切り換わった場合は、図2に示すように単位時間当たりのフレーム描画枚数を6fpsに調整し、“微灯”に切り換わった場合は、図3に示すように単位時間当たりのフレーム描画枚数を4fpsに調整する。各フレームの描画時にはデコーダ7と表示制御部9が動作し、その単位あたりの積算動作時間はフレーム描画枚数が少なくなるに従って短くなる。デコーダ7と表示制御部9の動作時間が短くなることで電力消費が低減する。微灯の状態ではディスプレイ11の画面が若干見難くなり、この見え難い画面では低フレームレートであっても通常のフレームレートでの描画と同等の視聴感覚を与えることが可能である。
【0038】
動画制御部6とデコーダ7は動画像処理手段8を構成し、動画像処理手段8は、動画像データのデコード処理の変更として動画像データのフレームレートを調整する以外に、(1)動画像データがスケーラブル圧縮コンテンツデータの場合に、デコードの段階を調整する方法や、(2)動画像データをデコードする色成分を調整する方法が挙げられる。スケーラブル圧縮とは、段階的にデコードが可能且つ、デコードを段階的に行うことで画質を高めることが可能な圧縮方式である。動画像データをデコードする色成分を調整する場合、例えば輝度成分のみに調整するか、輝度と青色差成分又は、輝度と赤色差成分のみに調整する。
【0039】
また、動画制御部6とデコーダ7により構成される動画像処理手段8は、ディスプレイ11が動画像データと、該動画像データとは異なる画像データ(背景表示制御部10による背景の静止画像データもしくは動画像データ)とを同時に表示するときは、動画像データ及び背景画像データの両方のデコード処理あるいは動画像データのみのデコード処理を行う。なお、デコーダ7は、動画制御部6と背景表示制御部10の両方に対して同じデコーダを使用しても良いし、別々なデコーダを使用しても良い。
【0040】
表示制御部9は、前記デコーダによりデコードされた動画像データをディスプレイ11に表示する制御を行う。このとき、表示制御部9は、輝度制御部5で調整された輝度に基づき、前記デコーダによりデコードされた動画像データの表示制御を、調整された前記フレームレートで、動画像データの表示制御を行う。また、表示制御部9は動画制御部6と背景表示制御部10からの表示制御を独立して行っても良い。例として、動画制御部6は画面の一部分へキャラクタのアニメーションについてのデコードと表示制御を行い、背景表示制御部10は、画面全体へ待ち受け画面やメニュー画面、状態表示アイコン等についてのデコードと表示制御を行う。表示制御部9はキャラクタのアニメーションと待ち受け画面やメニュー画面、状態表示アイコン等を、ディスプレイ11に表示する制御を行う。
【0041】
次に、本実施の形態の画像処理装置1の動作を説明する。図4は、動画像データのデコード処理の変更として、フレームレートの調整を行う場合の動作を示すフローチャートである。図4において、まず動画描画処理かどうか判定し(ステップS1)、動画描画処理でない場合は本処理を終える。動画描画処理の場合は一定時間無操作検出を行う(ステップS2)。一定時間無操作を検出した場合は微灯制御を行い、ディスプレイ11のバックライトの輝度を微灯レベルに設定してステップS6に移行する(ステップS3)。一方、一定時間無操作を検出しない場合はユーザ操作検出を行う(ステップS4)。ユーザ操作を検出した場合は全灯制御を行い、ディスプレイ11の輝度を全灯レベルに設定してステップS6に移行する(ステップS5)。一定時間無操作を検出せず、かつユーザ操作を検出しない場合は、全灯制御も微灯制御もせずステップS6に移行する。
【0042】
ステップS6では、輝度制御状態が微灯か全灯かを判定する。この判定において、輝度制御状態が全灯であれば、例えば図2に示すように通常フレームレートでのデコード処理を行い(ステップS7)、その動画像をディスプレイ11に表示する(ステップS8)。これに対して、輝度制御状態が微灯であれば、例えば図3に示すように低フレームレートでのデコード処理を行い(ステップS9)、その動画像をディスプレイ11に表示する(ステップS8)。全灯又は微灯での表示処理を行った後、ステップS1に戻り、上記同様の処理を繰り返す。
【0043】
以上のように本実施の形態の画像処理装置1によれば、輝度制御部5は、動画描画処理において一定時間無操作が検出された場合は、ディスプレイ11の輝度を微灯レベルに設定する微灯制御し、一定時間無操作が検出されずユーザ操作が検出された場合は、ディスプレイ11の輝度を全灯レベルに設定する全灯制御し、動画像処理手段8は、輝度制御部5での輝度制御状態が全灯であれば通常フレームレートでデコード処理を行い、輝度制御部5での輝度制御状態が微灯であれば低フレームレートでデコード処理を行い、表示制御部9は、動画像処理手段8でデコード処理された動画像データを表示する。このように、消費電力の抑制のための一定時間経過時のディスプレイ11のバックライトの輝度制御に応じてデコード処理及び表示制御を可変的に変更するので、ユーザに違和感を与えることなく省電力化が図れる。
【0044】
なお、上記実施の形態では、動画像処理手段8による省電力化として、輝度調整に基づく動画像データのフレームレートを調整する等を行ったが、次の方法も採用可能である。すなわち、第1の解像度を有する動画像データと、第1の解像度より低い第2の解像度を有する動画像データとを記憶するメモリ(記憶手段、図示略)を設け、動画像処理手段8が、輝度制御部5で調整された輝度に基づき、第1の解像度を有する動画像データと第2の解像度を有する動画像データとを差し替える。例えば、ディスプレイ11を微灯制御する場合、第1の解像度を有する動画像データを第2の解像度を有する動画像データに差し替える。
【0045】
なお、上記実施の形態では、輝度調整を“全灯”と“微灯”の2段階としたが、3段階以上にしてもよい。輝度調整を3段階以上にする場合、輝度制御部5は、輝度の異なる複数の段階を有し、動画像処理手段8は、輝度制御部5で調整された輝度に対応するフレームレートで動画像データを処理する。
【0046】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2に係る画像処理装置の概略構成を示すブロック図である。本実施の形態の画像処理装置1Aは、実施の形態1の画像処理装置1の構成に加えて、電池残量検出部4を設けている。電池残量検出部4は、本実施の形態の画像処理装置1Aが適用された携帯電話機に搭載された電池(図示略)の電圧を検出し、検出値を出力するものである。なお、実施の形態1の画像処理装置1と同一の部分には同一の符号を付し説明を省略する。
【0047】
本実施の形態において、電池残量検出部4は、電池電圧の検出値に基づき、電池残量または、推定使用可能時間が所定値以下になった場合に、輝度制御部5に通知する。輝度制御部5は、ディスプレイ11が例えば液晶ディスプレイの場合はバックライトの明るさを調整し、有機ELディスプレイの場合は有機ELディスプレイ自体の明るさを調整する。輝度制御部5は、電池残量検出部4から電池残量所定値以下である旨の通知を受けると、ディスプレイ11のバックライトの輝度を“全灯”から“微灯”に切り換え、“微灯”の状態で充電開始または、充電により電池残量が所定値以上または、推定使用可能時間が所定値以上に回復した旨の通知を受けると“全灯”に切り換える。
【0048】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る画像処理装置の構成は実施の形態1の画像処理装置1の構成と同様であり、説明を省略する。本実施の形態において、デコーダ7におけるデコード処理を輝度制御部5による輝度設定に応じて変更する制御を行う。デコード処理として、デコードする色成分を一部色成分のみに調整する。例えばディスプレイ11の輝度が“全灯”に切り換わった場合は、輝度と青色差成分と赤色差成分の全成分を対象にデコードするように調整し、“微灯”に切り換わった場合は、輝度成分のみに調整又は、輝度と青色差成分又は、輝度と赤色差成分のみを対象にデコードするように調整する。各フレームのデコード処理にはデコーダ7が動作し、1フレームあたりに要するデコード処理時間が短くなることで電力消費が低減する。微灯の状態ではディスプレイ11の画面が若干見難くなり、この見え難い画面では一部の輝度または色成分によるデコード処理であっても通常のデコード結果の描画と同等の視聴感覚を与えることが可能である。表示制御部は、前記デコーダでデコードされた動画像データをディスプレイ11に表示する制御を行う。
【0049】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係る画像処理装置の構成は実施の形態1の画像処理装置1の構成と同様であり、説明を省略する。本実施の形態において、デコーダ7におけるデコード処理を輝度制御部5による輝度設定に応じて変更する制御を行う。動画像データがスケーラブル圧縮コンテンツデータの場合に、デコード処理として、段階的に行われているデコード処理を途中段階でデコード完了として扱うようにデコード段階を調整する。例えばディスプレイ11の輝度が“全灯”に切り換わった場合は、6回繰り返しデコードを行うことで完成するデコード処理を、6回繰り返しデコードを行うように調整し、“微灯”に切り換わった場合は、6回繰り返しデコードを行うことで完成するデコード処理を、4回繰り返しデコードを行うように調整する。各フレームのデコード処理にはデコーダ7が動作し、1フレームあたりに要するデコード処理時間が短くなることで電力消費が低減する。微灯の状態ではディスプレイ11の画面が若干見難くなり、この見え難い画面ではデコード途中段階であっても通常のデコード結果の描画と同等の視聴感覚を与えることが可能である。表示制御部は、前記デコーダでデコードされた動画像データをディスプレイ11に表示する制御を行う。
【0050】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5に係る画像処理装置の構成は実施の形態1の画像処理装置1の構成と同様であり、説明を省略する。本実施の形態において、デコーダ7でデコード処理を行い、表示制御部9における表示制御処理を、輝度制御部5による輝度設定に応じて表示転送レートを変更する。例えば転送レートの変更処理として(1)画像データをフレーム数分デコードされていても、ディスプレイ11へは該フレーム数より少ないフレーム数のデータのみに間引いて転送する方法、(2)画像データのデコード結果がYUV444の場合にディスプレイ11へ転送の際にYUV420で転送し転送データ量を減らす(3)ディスプレイ11への動画像データの転送に対してその他の手段により転送レートを変化させる方法であってもよい。これにより、本来必要とする処理時間よりも短くなることで電力消費が低減する。微灯の状態ではディスプレイ11の画面が若干見難くなり、この見え難い画面では表示に要しているデータ量が抑えられている条件下であっても通常の表示制御結果の描画と同等の視聴感覚を与えることが可能である。
【0051】
本発明は上記実施の形態に限定されず、適宜変更して実施することができる。上記実施の形態における動画像データのデコード処理の変更方法、動画像データの表示制御の変更方法などは一例であり、本発明の効果を発揮する範囲内において組み合わせや、種々変更して実施することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、バックライトの輝度に応じてフレーム周波数を変えることで得られる省電力化をさらに推し進めることができるといった効果を有し、携帯電話等の輝度制御可能なディスプレイを備えた電子機器への適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態1に係る画像処理装置の概略構成を示すブロック図
【図2】図1の画像処理装置における動画像データのフレームレート調整を説明するための図
【図3】図1の画像処理装置における動画像データのフレームレート調整を説明するための図
【図4】図1の画像処理装置の動作を説明するためのフローチャート
【図5】本発明の実施の形態2に係る画像処理装置の概略構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0054】
1、1A 画像処理装置
2 ユーザ入力部
3 時間監視部
4 電池残量検出部
5 輝度制御部
6 動作制御部
7 デコーダ
8 動画像処理手段
9 表示制御部
10 背景表示制御部
11 ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デコード処理された動画像データを表示する表示手段と、
前記表示手段の輝度を調整する輝度調整手段と、
前記輝度調整手段で調整された輝度に基づき、前記動画像データのデコード処理を変更する動画像処理手段と、
を備えた画像処理装置。
【請求項2】
前記動画像処理手段は、前記動画像データのフレームレートを調整する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記動画像処理手段は、前記動画像データが段階的に展開できる圧縮が行われているコンテンツデータの場合、デコード完了の段階を調整する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記動画像処理手段は、デコード処理の対象とする、前記動画像データの色空間を構成する成分の数を調整する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
第1の解像度を有する動画像データと、前記第1の解像度より低い第2の解像度を有する動画像データとを記憶する記憶手段をさらに備え、前記動画像処理手段は、前記輝度調整手段で調整された輝度に基づき、前記第1の解像度を有する動画像データと前記第2の解像度を有する動画像データとを差し替える請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記動画像処理手段は、前記表示手段が前記動画像データと、前記動画像データとは異なる画像データを表示するとき、前記動画像データのデコード処理を調整する請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記表示手段に対する前記デコード処理された動画像データの表示を制御する表示制御手段をさらに備え、前記表示制御手段は、前記輝度調整手段で調整された輝度に基づき、前記動画像データの表示制御を変更する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記表示制御手段は、前記デコード処理された動画像データを減色処理し、前記表示手段への転送レートを変化させる請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記表示制御手段は、前記画像データをフレーム数分デコードし、前記表示手段へは該フレーム数より少ないフレーム数のデータのみ転送する請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記表示制御手段は、前記デコード処理された動画像データの色成分数を減らし、前記表示手段へ転送する請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項11】
入力指示を受付ける入力手段と、前記入力手段への入力指示が所定時間あるか否かを監視する時間監視手段と、をさらに備え、前記輝度調整手段は、前記時間監視手段の監視結果に応じて、前記表示手段の輝度を調整する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項12】
各手段に電力を供給する電池の残量を検出する電池残量検出手段をさらに備え、前記輝度調整手段は、前記電池残量検出手段の検出結果に応じて、前記表示手段の輝度を調整する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項13】
各手段に電力を供給する電池の残量を検出する電池残量検出手段をさらに備え、前記電池残量検出手段の検出結果に応じて、前記動画像データのデコード処理を変更する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記輝度調整手段は、輝度の異なる複数の段階を有し、前記動画像処理手段は、前記輝度調整手段で調整された輝度に対応するフレームレートで前記動画像データを処理する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項15】
デコード処理された動画像データを表示する表示ステップと、
前記表示ステップでの輝度を調整する輝度調整ステップと、
前記輝度調整ステップで調整された輝度に基づき、前記動画像データのデコード処理を変更する動画像処理ステップと、
を備えた画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−85683(P2010−85683A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−254259(P2008−254259)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】