説明

画像参照装置及び画像分類検索方法

【課題】 客観性及び互換性の高い分類・検索、及び人為的作業負担が少なく所望の画像に容易にアクセスすることができる分類・検索を実行可能な画像参照装置及び画像分類検索方法を提供すること。
【解決手段】 複数のDICOM原画像を入力値として、所定の重み付けによって解剖学的構造を各DICOM原画像の位相特性として自己写像するSOMを繰り返し実行する。これにより、「解剖学的構造情報の位相構造が似ている程近くに配置される。」等の特性を有する配列にてDICOM原画像を分類する。また、SOMによって得られる各出力ユニットに対応するダイジェスト画像を用いて探索空間を組織化し、ダイジェスト画像を用いたDICOM原画像の検索を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば磁気共鳴映像装置(Magnetic Resonance Imaging device)に代表される医用画像機器等に組み込まれる、又は医療用ワークステーション等によって実現される画像参照装置(ビューア)及び画像分類検索方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医用画像機器の高度化に伴って、医用画像の質および量において情報量が飛躍的に増大しており、一回の撮影でスライス画像を数十枚から百枚程度も取得することができる。また、高度化された医用画像機器の導入により、多種多様な画像診断が実施されている。例えば、最近の脳ドックでは、無症候性脳梗塞や大脳白質病変などを早期に発見し、それらの脳疾患と密接な関係にある生活習慣の改善を促すことで、その後の症候性の脳梗塞発生を未然に防ぐことも目的の1つに挙げられている。無症候性脳梗塞の大半は、ラクナ梗塞と呼ばれ、主として穿通枝領域にできる1cm下の小さな梗塞で直径約3〜10mm、不整形,不均質,T1強調水平断では低信号域を,T2強調水平断では高信号域を呈すると定義されている。このようなラクナ梗塞は、高血圧群において脳卒中の発生と深く関連していると考えられており、MR画像上にラクナ梗塞を認め、かつ、高血圧症であった場合には、将来脳卒中を起こす危険性が約10倍高いという報告があることから、適切な血圧管理や生活習慣の改善指導によって、その後に起こり得る重篤な脳卒中の発生を予防できる可能性があると考えられる。
【0003】
脳ドッグ等にも用いられる脳のMR画像は、最も多くスクリーニングが行われる部位である。脳のスクリーニングでは、まず病変を丁寧に探すところから始めなくてはならない。実際には、図13に示した各ステップをほとんど無意識的に繰り返し、鑑別診断をいくつか考え、それに合った所見がないかと自問自答しながら読影していくことになる。特に、ラクナ梗塞等の微小な病巣を発見するには、現在の画像と過去に撮影された画像を比較し経時変化を調べることが重要で、かつ強調種や撮影方向を変えて比較読影することが要求される。
【0004】
この様に近年の画像診断において、撮影された画像から診断目的に沿った関心画像を選択しながら読影することが要求される医師の負担は、膨大の一途をたどっている。日常診療において、目的とする画像の類似性に関する判断を医師に分かり易い形式で伝えることは、医師の読影作業の負担を軽減し効率的な読影作業を進める上で重要といえる。一般に、従来の画像管理システムでは、検索と分類という2つのアプローチが採用されている。画像の検索は、画像に付加されたテキスト情報(キーワードや説明文)によって検索を行う方法と、画像の内容情報(色やテクスチャなどの特徴量)の類似度によって検索を行う方法がある。画像の内容情報を用いた類似検索は、画像全体の色、模様や画像内のオブジェクトの色、形、位置および画像内の直線の長さ、傾き、位置のような特徴量で検索が可能である。一方、画像の分類にも、画像に付加されたテキスト情報を利用して分類を行う方法と画像の内容情報を用いて分類を行う方法がある。画像の内容情報を用いた分類として類似シーン分類があり、画像全体や画像のブロック分割領域の色やテクスチャの特徴量によってクラスタリングが可能である。
【0005】
しかしながら、上記従来の画像管理システムは、例えば以下に示すような問題点を有する。
【0006】
例えば画像検索においてテキスト情報を採用するのか画像の内容情報を採用するのかは、各病院又は医師によって任意に選択される。従って、従来のシステムにおいて画像の分類及び検索に用いられる基準は、病院、医師毎にばらつきがあり、客観性及び互換性に乏しい。
【0007】
また、テキスト情報又は画像の内容情報を用いて実行される従来の分類は、自由度が少なく、膨大な枚数の画像を管理することは困難である。例えば、テキスト情報を用いた分類・検索では、同一ヘッダ情報が付された画像は、解剖学的構造差異が存在する場合であっても同一の画像として分類・検索されてしまう。従って、所望の診断画像にアクセスするのが困難となる場合があり、また同時に検索された複数の診断画像を人為的に区別使用とすれば、多大な労力が必要とされる。
【0008】
なお、本願に関連する公知文献としては、例えば次のようなものがある。
【特許文献1】特開2004−174217号公報
【特許文献2】特開2004−174218号公報
【特許文献3】特開2004−174219号公報
【特許文献4】特開2004−174220号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、客観性及び互換性の高い分類・検索、及び人為的作業負担が少なく所望の画像に容易にアクセスすることができる分類・検索を実行可能な画像参照装置及び画像分類検索方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するため、次のような手段を講じている。
【0011】
本発明の第1の視点は、被検体の所定部位に関する複数の第1の画像を記憶する記憶手段と、前記複数の第1の画像を入力とし、所定の重み係数によって前記所定部位の解剖学的構造を前記各第1の画像の位相特性とする自己写像を実行して、それぞれが分類された前記第1の画像から構成される複数の出力ユニットを出力することで、入力した前記複数の第1の画像を分類する自己写像手段と、前記自己写像に用いられる前記所定の重み係数を画像化することで、前記各出力ユニットに対応する第2の画像を生成すると共に、当該第2の画像間の類似度を示す相関係数を計算する画像生成手段と、計算された前記相関係数に基づいて、取得された前記複数の出力ユニットを少なくとも2つのグループに分割する分割手段と、前記自己写像の結果、計算された前記相関係数、前記分割の結果に基づいて、前記自己写像を繰り返し実行するか否かを判断する判断手段と、を具備し、前記判断手段が前記自己写像を繰り返し実行すると判断した場合には、前記自己写像、前記第2の画像の生成、前記相関係数の計算、前記分割、前記判断を繰り返すこと、を具備することを特徴とする画像参照装置である。
【0012】
本発明の第2の視点は、被検体の所定部位に関する複数の第1の画像と、前記複数の第1の画像を入力とし、所定の重み係数によって前記所定部位の解剖学的構造を前記各第1の画像の位相特性として、それぞれが分類された前記第1の画像から構成される複数の出力ユニットを出力する自己写像に用いられる前記所定の重み係数を画像化することで、当該自己写像によって得られる複数の出力ユニットのそれぞれ第2の画像と、前記各出力ユニットに対応する前記第2の画像と当該各出力ユニットを構成する前記第1の画像とを対応付けた接続情報テーブルと、を記憶する記憶手段と、前記各出力ユニットに対応する前記第2の画像のうちのいずれかを選択するための選択手段と、前記接続情報テーブルに基づいて、前記記憶手段から選択された前記第2の画像に対応する前記出力ユニットを構成する前記第1の画像を検索する検索手段と、検索された前記第1の画像を出力する出力手段と、を具備する画像参照装置である。
【0013】
本発明の第3の視点は、被検体の所定部位に関する複数の第1の画像を入力とし、所定の重み係数によって前記所定部位の解剖学的構造を前記各第1の画像の位相特性とする自己写像を実行して、それぞれが分類された前記第1の画像から構成される複数の出力ユニットを出力することで、入力した前記複数の第1の画像を分類する第1のステップと、前記自己写像に用いられる前記所定の重み係数を画像化することで、前記各出力ユニットに対応する第2の画像を生成すると共に、当該第2の画像間の類似度を示す相関係数を計算する第2のステップと、計算された前記相関係数に基づいて、取得された前記複数の出力ユニットを少なくとも2つのグループに分割する第3のステップと、前記自己写像の結果、計算された前記相関係数、前記分割の結果に基づいて、前記自己写像を繰り返し実行するか否かを判断する第4のステップと、前記第4のステップにおいて前記自己写像を繰り返し実行すると判断した場合には、前記自己写像、前記第2の画像の生成、前記相関係数の計算、前記分割、前記判断を繰り返す第5のステップと、を具備することを特徴とする画像分類検索方法である。
【発明の効果】
【0014】
以上本発明によれば、客観性及び互換性の高い分類・検索、及び人為的作業負担が少なく所望の画像に容易にアクセスすることができる分類・検索を実行可能な画像参照装置及び画像分類検索方法を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0016】
図1は、本実施形態に係る画像参照装置1のブロック構成図を示している。同図に示すように、画像参照装置1は、ダイジェスト画像記憶部2、DICOM原画像記憶部3、操作部4、表示部5、送受信部6、学習・分類部7、探索空間組織化部8、制御部9を具備している。
【0017】
ダイジェスト画像記憶部2は、学習・分類部7において生成されたダイジェスト画像、複数のダイジェスト画像を線形結合して生成されるラベル画像を記憶する。このダイジェスト画像の生成、及びダイジェスト画像、ラベル画像を用いた画像管理については、後で詳しく説明する。
【0018】
DICOM原画像記憶部3は、医用画像機器によりDICOM規格に従って取得され当該画像参照装置1における処理の入力情報等として用いられる原画像(DICOM原画像)を格納している。本実施形態では、説明を具体的にするために、DICOM原画像記憶部3に記憶されているDICOM原画像は、磁気共鳴映像装置によって取得された被検体(患者)毎の複数の脳画像であるとする。
【0019】
操作部4は、操作者からの各種指示、条件、関心領域(ROI)の設定指示、後述するDICOM原画像の分類とダイジェスト画像の生成、ダイジェスト画像を用いた探索空間の組織化に関する指示等を当該装置1にとりこむためのトラックボール、各種スイッチ、マウス、キーボード等を有している。
【0020】
表示部5は、DICOM原画像、ダイジェスト画像、ラベル画像等を所定の形態にて表示する。また、表示部5は、DICOM原画像とダイジェスト画像との関連を示す接続情報テーブル(後述)等を所定の形態にて表示する。
【0021】
送受信部6は、ネットワークを介して他の装置と画像データを含む情報の送受信を行う。
【0022】
学習・分類部7は、DICOM原画像記憶部3に記憶された複数のDICOM原画像を入力値とし、所定の重み付けWijによって解剖学的構造を各DICOM原画像の位相特性として、自己組織化マップ(以下、「SOM」とも称する。)を用いて自己写像する。これにより、入力した複数のDICOM原画像は、解剖学的構造を基準として分類される。
【0023】
探索空間組織化部8は、学習・分類部7において実行された各SOMでの重み係数を用いてダイジェスト画像を生成する。また、探索空間組織化部8は、ダイジェスト画像を用いて、DICOM原画像が配置された探索空間を組織化する。
【0024】
制御部9は、当該画像参照措置を構成する各ユニットを動的又は静的に制御する。特に、制御部9は、DICOM原画像分類・ダイジェスト画像生成、及び探索画像組織化(共に後述)において、ダイジェスト画像記憶部2、DICOM原画像記憶部3、操作部4、表示部5、学習・分類部7、探索空間組織化部8等を統括的に制御する。
【0025】
図2は、学習・分類部7、探索空間組織化部8の構成を説明するためのブロック図である。同図に示すように、学習・分類部7は、自己学習部11、部分問題分割部13、部分問題学習部15、再学習判断部17を有している。また、探索空間組織化部8は、探索空間管理部19、ダイジェスト画像生成部21、接続情報テーブル作成部23、SOM管理ラベル生成部25、画像対応部27を有している。
【0026】
自己学習部11は、複数のMR画像を入力値としてSOMを実行し、複数の出力ユニットにマッピングすることにより、患者の所定部位の位相構造を学習する。この自己学習部11によって実行されるSOMについては、後で詳しく説明する。
【0027】
部分問題分割部13は、自己学習部11、部分問題学習部15によるSOMで得られた写像結果(複数の出力ユニット)を二つの部分問題に分割する。ここで、部分問題とは、さらに階層的に展開されるSOMの対象を意味する。この分割は、所定のルールに従って、SOM毎に取得されるダイジェスト画像間の類似度を示す相関係数を比較することにより実行される。
【0028】
部分問題学習部15は、部分問題分割部13によって分割された各部分問題に属するDICOM原画像を入力値としてSOMを実行し、複数の出力ユニットにマッピングすることにより、患者の所定部位の位相構造を再学習する。この再学習は、再学習判断部17の判断結果に応じて、繰り返し実行される。
【0029】
再学習判断部17は、部分問題学習部15におけるSOMによって得られたダイジェスト画像間の相関係数を比較し、SOMを用いた再学習を実施するか否かを決定する。
【0030】
探索空間管理部19は、操作部4から入力された指示に応答して、組織化された探索空間を管理する。より具体的には、操作部4からの操作によって選択されたダイジェスト画像(又はDICOM原画像)に関連付けられたDICOM原画像(又はダイジェスト画像)を、接続情報テーブルに基づいて読み出す等の管理を実行する。
【0031】
ダイジェスト画像生成部21は、SOMを通じて得られる重み係数を画像化したダイジェスト画像を出力ユニット毎に生成する。また、ダイジェスト画像生成部21は、生成されたダイジェスト画像間の相関係数を計算する。
【0032】
接続情報テーブル作成部23は、各ユニットに対応するダイジェスト画像と各ユニットに分類された(各ユニットを構成する)複数枚のDICOM原画像とを対応付けると共に、当該対応付けられたDICOM原画像のヘッダ情報に基づいて、どのダイジェスト画像がどのDICOM原画像に接続されているのかを示す接続情報テーブルを作成する。
【0033】
SOM管理ラベル生成部25は、ダイジェスト画像を線形結合してラベル画像を生成する。
【0034】
画像対応部27は、各DICOM原画像のプライベートタグに対応するダイジェスト画像を書き込む。書き込まれたダイジェスト画像は、SOM管理ラベルとして、後述する検索処理において用いられる。
【0035】
なお、図1においては、ダイジェスト画像記憶部2、DICOM原画像記憶部3をそれぞれ別の構成としたが、これに拘泥されることなく、単一のハードウェアによって実現する構成であってもよい。また、同じく図1において、説明を解りやすくするため、自己学習部11、部分問題学習部15を別の構成要素としたが、これに拘泥されることなく、単一の学習部とするようにしてもよい。
【0036】
(自己組織化マップ:Self-Organizing Map)
次に、SOMについて説明する。SOMは、入力データの位相を保存し、トポロジカルなマッピングを行うものであり、その学習課程では、明示的な教師を必要としない。
【0037】
一般のSOMは、図3に示すように、入力ユニットを含む入力層と、出力ユニットを含むマッピング層との二層からなる。典型的なSOMの学習アルゴリズムは、次の様である。
【0038】
(1)wij(1≦i≦n)を時刻tにおける入力ユニットiから出力ユニットjへの重み係数とする。ユニットの重み係数を乱数で初期化し、ノードjの近傍の初期範囲を大きく設定する。
【0039】
(2)x(1≦i≦n)を時刻tにおけるノードiへの入力とする。
【0040】
(3)入力データと出力ノードjとのユークリッド距離dを次の式(1)にて計算する。
【数1】

【0041】
(4)ユークリッド距離dが最小となる出力ユニットを検索する。
【0042】
(5)N(t)で定義される近傍に含まれるユニットへの重み係数を、次の式(2)にて更新する。
ij(t+1)=wij(t)+α(t)(x(t)−wij(t)) (2)
ここで、α(t)は学習率係数(0<α<1)、N(t)は近傍領域のサイズであり、時間とともに減少させる。
【0043】
(6)上記(2)〜(5)の処理を繰り返す。
【0044】
本実施形態に係る画像参照装置1は、上記SOMを用いて、具体的には次の様な処理を実行する。
【0045】
(a)自己学習部11は、図4に示すように複数のDICOM原画像(例えばm枚)を入力値とし、所定の重み付けWijによって解剖学的構造を各DICOM原画像の位相特性として、出力ユニット数が5ユニットの1次元SOMを用いて自己写像する。
【0046】
(b)ダイジェスト画像生成部21は、上記(a)でのSOMに用いられた重み係数を画像することで、各出力ユニットに対応するダイジェスト画像を生成する。また、ダイジェスト画像生成部21は、隣接するダイジェスト画像間の類似度を表す相関係数を計算する。
【0047】
(c)部分問題分割部13は、隣接するダイジェスト画像間の相関係数を比較し、相関係数が最も小さいユニットの境界で、上記(a)における写像結果を2つの部分問題に分割する(すなわち、2つのグループA1、A2に分割する)。
【0048】
(d)部分問題学習部15は、図4に示すように、部分問題分割部13によって分割されたグループA1に属する複数のDICOM原画像(例えばn枚)を入力値とし、所定の重み付けWijによって解剖学的構造を各DICOM原画像の位相特性として、出力ユニット数が5ユニットの1次元SOMを用いて自己写像する。グループA2に属する複数のDICOM原画像(m−n枚)についても同様の処理を行う。
【0049】
(e)ダイジェスト画像生成部21は、上記(d)でのSOMに用いられた重み係数を画像することで、各出力ユニットに対応するダイジェスト画像を生成する。また、ダイジェスト画像生成部21は、生成したダイジェスト画像間の類似度を表す相関係数を計算する。
【0050】
(f)再学習判断部17は、グループA1についてのSOMによって得られた各出力ユニットに対応するダイジェスト画像間の相関係数を比較し、さらに階層的なSOMを用いた再学習を実施するか否かを判断する。この判断においては、マップ層ユニット間(ダイジェスト画像間)の相関係数に着目した下記の再学習ルールを採用する。なお、グループA2についても同様の処理が実行される。
【0051】
<ルール1>相関係数の最も低い境界で、ユニットが1:4に分割される場合(図5(a)参照)。
【0052】
・1ユニット:独立とみなし、再学習は行わない。
【0053】
・4ユニット:相関係数に関係なく再学習を行う。
【0054】
<ルール2>相関係数の最も低い境界で、ユニットが2:3に分割される場合(図5(b)参照)。
【0055】
・1度目の学習で2:3に分割された場合、それぞれ必ず再学習を行う。
【0056】
・2ユニット:2つのユニット間の相関係数が「0.95」以上ならば、2ユニットは独立とみなし、再学習は行わない。
【0057】
・2つのユニット間の相関係数が「0.95」以下ならば、再学習を行う。
【0058】
・3ユニット:相関係数がすべて「0.95」以上ならば、3ユニットは独立とみなし、再学習は行わない。
【0059】
・全ての相関係数の中で「0.95」以下があれば、再学習を行う。
【0060】
<ルール3>
・操作者とのインタラクティブなやり取りの中で、「終了」を決定する。
【0061】
・発火しないユニットが出現するまで、部分問題として再学習可能。
【0062】
(g)再学習判断部17によってさらに階層的な再学習を実施すると判断された場合には、上記(c)〜(f)の処理が繰り返される。一方、再学習判断部17によってさらに階層的な再学習を実施しないと判断された場合には、DICOM原画像分類・ダイジェスト画像生成処理を終了する。
【0063】
上記(a)〜(g)の一連の処理によって最終的に取得される複数のDICOM原画像は、図6に示すように最終的に所定の配列によって分類される。この最終結果として得られるDICOM原画像の配列は、「解剖学的構造情報の位相構造が似ている程相互に近くに配置される。」、「解剖学的構造情報の位相構造が非似である程相互に遠くに配置される。」という2つの特性をもつ。この配列の基準は、解剖学的位相構造を自己写像するSOMを用いているため、極めて客観的な基準に従ったものと言える。
【0064】
この様に、本画像参照装置1によって実行されるSOMは、判断結果に応じて繰り返し実行される。図6に示したように、SOMの繰り返しにより展開される処理は、階層的な展開と捉えることもできる。以下、SOMの繰り返しによる階層的展開を、繰り返し回数が少なくなるに従って「上位である」とし、繰り返し回数が多くなるに従って「下位である」とする。
【0065】
また、各SOMでの重み係数を用いて生成された各出力ユニットに対応するダイジェスト画像は、各出力ユニットを構成する各DICOM原画像の内容が何らかの情報として反映されており、従って出力ユニットに属する複数のDICOM原画像を代表するという特性を有する。従って、操作者は、ダイジェスト画像を観察することで、各出力ユニットを構成する多大な枚数に及ぶDICOM原画像を全て観察することなしに、各DICOM原画像の情報を間接的に取得することができる。このダイジェスト画像の特性を利用して、本画像参照装置1は、DICOM原画像の検索利便性を図っている。この内容については、後で詳しく説明する。
【0066】
上記(a)、(d)において実行されるSOMにおいては、写像結果として得られる出力ユニット数を5とした。これは、本実施形態に係る画像参照装置1が最大第2近傍までを考慮する一次元SOMを採用したからである(例えば、図4において、出力ユニット1及び5は、出力ユニット3から見て第2近傍となる)。しかしながら、これに拘泥されることなく、最大第n近傍までを考慮する一次元SOM(ただし、nは2以外の自然数)を採用する構成としてもよい。
【0067】
上記(c)において、部分問題分割部13は、ダイジェスト画像間の相関係数によって5つの出力ユニットを2つの部分問題に分割している。これは、クラスタリングにおいて最も基本的な例である二分木を採用したものである。しかしながら、これに拘泥されることなく、ダイジェスト画像間の相関係数を用いてさらに複数の部分問題に分割する様にしてもよい。
【0068】
上記(f)においては、ダイジェスト画像間の相関係数値が「0.95」を基準として、再学習を行うか否かの判断を行っている。この値「0.95」は慣用に従ったものである。従って、この例に拘泥されることなく、他の基準値を採用して再学習判断を行う構成であってもよい。
【0069】
(DICOM原画像の分類とダイジェスト画像の生成)
次に、SOMを用いて実現されるDICOM原画像の分類とダイジェスト画像の生成について説明する。
【0070】
図7は、本画像参照装置1によりDICOM原画像の分類・ダイジェスト画像の生成において実行される各処理の流れを示したフローチャートである。同図に示すように、まず、操作部4からの「自己学習・分類開始」の操作に応答して、磁気共鳴映像装置によって取得された複数のDICOM原画像が、探索空間管理部19を介して自己学習部11に入力される(ステップS1)。
【0071】
次に、自己学習部11は、マップ層ユニット(出力ユニット)が5ユニットの一次元SOMを用いて、自己写像を実行する(ステップS2)。ダイジェスト画像生成部21は、SOMの重み係数を画像化して、各出力ユニットに対応するダイジェスト画像を生成すると共に(ステップS3)、生成したダイジェスト画像間の相関係数を計算する(ステップS4)。
【0072】
次に、部分問題分割部13は、隣接するダイジェスト画像間の相関係数を比較し、相関係数が最も小さいユニットの境界で、ステップS2における写像結果を2つの部分問題に分割する(2つのグループA1、A2に分割する。ステップS5)。また、部分問題分割部13は、実行されたSOMが1回目であるか否かを判定し(ステップS6)する。部分問題分割部13によってSOMが一回目であると判定された場合には、部分問題学習部15は、分割された各グループにつき、それぞれを構成するDICOM原画像を入力値としたマップ層ユニット(出力ユニット)が5ユニットの一次元SOMを用いて自己写像を実行し(ステップS2)、ステップS3〜S5の処理を繰り返す(ステップS3〜S5)。
【0073】
一方、部分問題分割部13によって実行されたSOMが1回目でないと判定した場合(すなわち、SOMが部分問題学習部15によって実行されたものである場合)には、再学習判断部17は、SOMの繰り返しを終了するか否かを判断する(ステップS7)。SOMの繰り返しを終了すると判断した場合には、本DICOM原画像分類・ダイジェスト画像生成は終了する。また、SOMの繰り返しを終了しないと判断した場合には、再学習判断部17は、上記(f)のルールに従って、各出力ユニットに対応するダイジェスト画像間の相関係数を比較し、さらに階層的なSOMを用いた再学習を実施するか否かを判断し(ステップS8、S9、S10)、部分問題学習部15において再学習が実行され(ステップS2)、さらにステップS3〜S5の処理を繰り返す(ステップS3〜S5)。
【0074】
次に、再学習判断部17は、発火しない出力ユニットが存在すると判断した場合には、対象問題に対するユニット数とダイジェスト画像とを決定し(ステップS13)、DICOM原画像分類・ダイジェスト画像生成処理を終了する。
【0075】
(ダイジェスト画像を用いた探索空間の組織化)
次に、生成されたダイジェスト画像を用いた探索空間の組織化について説明する。ここで、探索空間とは、概念的には複数のDICOM原画像が存在する抽象的空間であり、検査ID、シリーズID、撮影部位、強調種、撮影方向、スライス番号等の種々の情報を座標軸とするものである。一方、実体的には、探索空間とは、種々のタグ情報が付された複数のDICOM原画像が存在するDICOM原画像記憶部3のメモリ領域を意味する。また、ダイジェスト画像を用いた探索空間の組織化とは、各SOMに対応するダイジェスト画像を用いて複数のDICOM原画像を組織化(体系化)することで、DICOM原画像記憶部3に記憶されたDICOM原画像の検索を容易にするものである。
【0076】
図8は、探索空間の組織化において本画像参照装置1により実行される処理の流れを示したフローチャートである。同図に示すように、画像対応部27は、各SOMによって得られた各出力ユニットに対応するダイジェスト画像と、当該各ユニットに分類された複数枚のDICOM原画像との対応付けを行う(ステップA)。この対応付けは、画像対応部27が、例えばDICOM原画像記憶部3に記憶されている各DICOM原画像のヘッダ情報中のプライベートタグに、分類されたユニットに対応するダイジェスト画像を付することで実行される。従って、学習・分類部7においてSOMの階層がk層まで実行された場合には、各DICOM原画像にはk個のダイジェスト画像が付されることになる。
【0077】
次に、接続情報テーブル作成部23は、画像対応部27によって対応付けられたDICOM原画像のヘッダ情報に基づいて、接続情報テーブルを作成する(ステップB)。
【0078】
図9は、接続情報テーブル作成部23によって作成される接続テーブルの一例を説明するための図である。例えば、原画像情報テーブル30の一段目に記載された特性を有するMR画像をDICOM原画像として入力し、既述のDICOM原画像の分類とダイジェスト画像の生成処理を実行した場合を想定する。係る場合に、接続情報テーブル作成部23は、画像対応部27によって対応付けられたDICOM原画像のヘッダ情報に基づいて、例えばダイジェスト画像とDICOM原画像とを相互に関連づける接続情報テーブル31(ダイジェスト画像をラベルとして管理されるテーブル)、接続情報テーブル32(DICOM原画像をラベルとして管理されるテーブル)を作成する。
【0079】
なお、上記接続情報テーブル31、接続情報テーブル32は一例であり、接続情報テーブル作成部23が実際に作成する接続情報テーブルには図9に示すように、現物のダイジェスト画像等が張り付けられている必要はない。従って、ダイジェスト画像とDICOM原画像とを相互に関連づけるものであれば、どのような形態であってもよく、例えば図9に示した接続情報テーブル31と、図10に示した接続情報テーブル33とを作成する構成であってもよい。
【0080】
次に、SOM管理ラベル生成部25は、各SOMにおいて生成される5つのダイジェスト画像を線形結合(重み付け加算処理)し、ダイジェスト画像を管理・識別するためのラベル画像を生成する(ステップC)。このラベル画像は、例えばダイジェスト画像記憶部2に自動的に記憶される。
【0081】
本画像参照装置1によって実行されるSOMは、解剖学的構造情報を各DICOM原画像の位相特性として自己写像するものである。そのため、SOM処理が進むにつれ(すなわち、SOMの階層が進むにつれ)、入力されたDICOM原画像は、撮影方向、画像強調種、部位等によって自然に分類されることになる。従って、各SOMに対応するダイジェスト画像の線形結合で得られるラベル画像は、撮影方向、画像強調種、部位等の画像の属性を象徴するものであり、どのSOMがどの属性を含むDICOM原画像を入力としているかを象徴するものであるため、当該ラベル画像を利用することで、ダイジェスト画像の管理をより容易にすることが可能である。
【0082】
図11は、本ダイジェスト画像を用いた探索空間の組織化処理によって得られる結果を説明するための概念図である。同図に示すように、DICOM原画像とダイジェスト画像とは接続情報テーブルにより関連付けられ、ラベル画像とダイジェスト画像とは線形結合によって関連付けられている。操作者は、頭部を対象としたダイジェスト画像からなるラベル画像(又は、T2強調画像と対象としたダイジェスト画像からなるラベル画像、前額断を対象としたダイジェスト画像からなるラベル画像)によって、当該ラベル画像を構成するダイジェスト画像に対応付けられたDIOCM原画像が、頭部を対象としたもの(又は、T2強調画像と対象としたもの、前額断を対象としたもの)であることを、即座に判断することができる。
【0083】
なお、本処理により組織化された探索空間へのアクセスは、どの様な形態であってもよい。例えば、操作者は、まずラベル画像によって画像に関する所望の属性(例えば、「頭部前額断に関するT2強調画像」等)を選択することで、図12に示すようなインターフェースにて組織化された探索空間を提示する構成であってもよい。同図においては、画面右上に表示された複数のダイジェスト画像のうちのいずれかを選択すると、接続情報テーブルによって当該ダイジェスト画像に関連付けられたDICOM原画像のサムネイル画像が画面右下に表示される。このサムネイル画像のうち、所望のDICOM原画像を選択することで、画面左側に当該DICOM原画像をフル画像(すなわち、圧縮や間引きされていない画像)として表示することができる。この様に必要に応じてサムネイル画像を用いることで、ダイジェスト画像に対応する大量のDICOM原画像の中から、診断画像をより迅速に選択することが可能となる。
【0084】
以上述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
【0085】
本画像参照装置によれば、複数のDICOM原画像を入力値として、所定の重み付けWijによって解剖学的構造を各DICOM原画像の位相特性として自己写像するSOMを繰り返し実行する。これにより、最終的に取得される複数のDICOM原画像の配列は、「解剖学的構造情報の位相構造が似ている程近くに配置される。」、「解剖学的構造情報の位相構造が非似である程遠くに配置される。」という2つの特性をもつ。従って、未整理、未分類の多量のDICOM原画像を客観的基準に従って自動的に分類することができ、人為的負担を軽減することができる。また、解剖学的位相構造に基づく新たな画像配列(画像分類)を提供できるため、人為的配列(分類)に比してばらつきがなく互換性が高い。その結果、医療行為の質の向上に貢献することができる。
【0086】
特に、最終的に取得される複数のDICOM原画像の配列は、「解剖学的構造情報の位相構造が似ている程近くに配置される。」、「解剖学的構造情報の位相構造が非似である程遠くに配置される。」という特性をもつため、操作者は、システムが判断した類似度の定量的な性質、検索結果相互の類似性(秩序)を判断することができる。
【0087】
また、本画像参照装置は、各出力ユニットに対応するダイジェスト画像を用いて探索空間を組織化し、ダイジェスト画像を用いたDICOM原画像の検索を可能としている。従って、ダイジェスト画像を指標として視覚的に検索対象を確認でき、検索の進行具合を確かめつつ適切且つ迅速に所望のDICOM原画像にアクセスすることができる。その結果、読影医等の作業負担を軽減させることができると共に、診断画像の選択ミス等の誘発を防止することができ、医療行為の質の向上に貢献することができる。
【0088】
また、本画像参照装置によれば、ダイジェスト画像を検索対象とすることができる。従って、個人情報であるDICOM原画像に直接アクセスする回数を削減でき、プライバシーの安全性を確保することができる。
【0089】
また、近年、医用画像機器の高度化に伴って、医用画像の質および量において情報量が飛躍的に増大しており、一回の撮影でスライス画像を数十枚から百枚程度も取得することができる。一方、それらの画像から診断目的に沿った関心画像を選択しながら読影し、更に、現在の画像と過去の画像とを比較読影する必要性が高まっており、医師の負担は、膨大の一途をたどっている。例えば、初期の癌等の微小な病巣を発見するには、経時的変化を調べることが重要である。この様な現況において、ダイジェスト画像を用いたサムネイル表示を行うことで、比較読影の対象画像を効率的に表示することが可能となり、医師の負担を軽減できる。発明の基盤となるダイジェスト画像生成法は、未分類・未整理のマルチメディアDBを自動的に分類・整理できる可能性を有することから、マルチメディアデータ検索の基礎となる可能性有する。
【0090】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
【0091】
(1)本実施形態に係る各機能は、当該処理を実行するプログラムをワークステーション等のコンピュータにインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても実現することができる。コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記録媒体に格納して頒布することも可能である。このとき、図2に示した学習・分類部7及び探索空間組織化部8の少なくとも一方の構成が、展開されたプログラムによって医用ワークステーションのメモリ領域に構築されることになる。
【0092】
(2)上記実施形態では、画像と通信に関する規格としてDICOMを利用した原画像を用いて、そのヘッダ情報(付帯情報)を利用する例を説明した。しかしながら、DICOM規格は必須ではなく、他の規格であれば、それに従って付された画像に関する付帯情報を利用することで、同様の効果を得ることができる。
【0093】
(3)上記実施形態では、説明を具体的にするために、分類・検索対象とする画像として所定患者の複数の脳画像(MR画像)を用いて説明した。しかしながら、これに限定する趣旨ではなく、例えばX線CT装置等の他のモダリティによって収集されたDICOM原画像、複数のモダリティによって収集された画像が混在するDICOM原画像、解剖学的見地から標準化された模式的画像、アニメーション画像等を分類・検索対象とする画像とする構成であってもよい。また、異なる撮影部位、強調種、撮影方向が混在するものを分類・検索対象とする構成であってもよい。
【0094】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0095】
以上本発明によれば、客観性及び互換性の高い分類・検索、及び人為的作業負担が少なく所望の画像に容易にアクセスすることができる分類・検索を実行可能な画像参照装置及び画像分類検索方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】図1は、本実施形態に係る画像参照装置1の構成を説明するためのブロック図を示している。
【図2】図2は、学習・分類部7、探索空間組織化部8の構成を説明するためのブロック図である。
【図3】図3は、一般的なSOMを説明するための図である。
【図4】図4は、本画像参照装置1が実行するSOMを説明するための図である。
【図5】図5は、再学習判断部17が実行する判断におけるルールを説明するための概念図である。
【図6】図6は、本実施形態に係る画像参照装置1のSOMを用いた処理によって得られる最終結果の一例を示した図である。
【図7】図7は、本画像参照装置1によりDICOM原画像の分類・ダイジェスト画像の生成において実行される各処理の流れを示したフローチャートである。
【図8】図8は、探索空間の組織化において本画像参照装置1により実行される処理の流れを示したフローチャートである。
【図9】図9は、接続情報テーブル作成部23によって作成される接続テーブルの一例を説明するための図である。
【図10】図10は、接続情報テーブル作成部23によって作成される接続テーブルの他の例を説明するための図である。
【図11】図11は、ダイジェスト画像を用いた探索空間の組織化処理によって得られる結果を説明するための概念図である。
【図12】図12は、組織化された探索空間を提示するインターフェースの一例を示した図である。
【図13】図13は、従来の画像管理における典型的な処理の流れを示した図である。
【符号の説明】
【0097】
1…画像参照装置
2…ダイジェスト画像記憶部
3…DICOM原画像記憶部
4…操作部
5…表示部
6…送受信部
7…学習・分類部
8…探索空間組織化部
11…自己学習部
13…部分問題分割部
15…部分問題学習部
17…再学習判断部
18…探索空間組織化部
19…探索空間管理部
21…ダイジェスト画像生成部
23…接続情報テーブル作成部
25…SOM管理ラベル生成部
27…画像対応部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の所定部位に関する複数の第1の画像を記憶する記憶手段と、
前記複数の第1の画像を入力とし、所定の重み係数によって前記所定部位の解剖学的構造を前記各第1の画像の位相特性とする自己写像を実行して、それぞれが分類された前記第1の画像から構成される複数の出力ユニットを出力することで、入力した前記複数の第1の画像を分類する自己写像手段と、
前記自己写像に用いられる前記所定の重み係数を画像化することで、前記各出力ユニットに対応する第2の画像を生成すると共に、当該第2の画像間の類似度を示す相関係数を計算する画像生成手段と、
計算された前記相関係数に基づいて、取得された前記複数の出力ユニットを少なくとも2つのグループに分割する分割手段と、
前記自己写像の結果、計算された前記相関係数、前記分割の結果に基づいて、前記自己写像を繰り返し実行するか否かを判断する判断手段と、を具備し、
前記判断手段が前記自己写像を繰り返し実行すると判断した場合には、前記自己写像、前記第2の画像の生成、前記相関係数の計算、前記分割、前記判断を繰り返すこと、
を具備することを特徴とする画像参照装置。
【請求項2】
前記各出力ユニットに対応する前記第2の画像と当該各出力ユニットを構成する前記第1の画像とを対応付けた接続情報テーブルを作成する接続情報作成手段と、
前記各出力ユニットに対応する前記第2の画像のうちのいずれかを選択するための選択手段と、
前記接続情報テーブルに基づいて、前記記憶手段から選択された前記第2の画像に対応する前記出力ユニットを構成する前記第1の画像を検索する検索手段と、
検索された前記第1の画像を出力する出力手段と、
をさらに具備する請求項1記載の画像参照装置。
【請求項3】
被検体の所定部位に関する複数の第1の画像と、
前記複数の第1の画像を入力とし、所定の重み係数によって前記所定部位の解剖学的構造を前記各第1の画像の位相特性として、それぞれが分類された前記第1の画像から構成される複数の出力ユニットを出力する自己写像に用いられる前記所定の重み係数を画像化することで、当該自己写像によって得られる複数の出力ユニットのそれぞれ第2の画像と、
前記各出力ユニットに対応する前記第2の画像と当該各出力ユニットを構成する前記第1の画像とを対応付けた接続情報テーブルと、
を記憶する記憶手段と、
前記各出力ユニットに対応する前記第2の画像のうちのいずれかを選択するための選択手段と、
前記接続情報テーブルに基づいて、前記記憶手段から選択された前記第2の画像に対応する前記出力ユニットを構成する前記第1の画像を検索する検索手段と、
検索された前記第1の画像を出力する出力手段と、
を具備する画像参照装置。
【請求項4】
前記第1の画像は、磁気共鳴映像装置、X線CT装置、超音波診断装置、核医学診断装置、X線診断装置その他の医用画像機器によって取得された画像であることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の画像参照装置。
【請求項5】
被検体の所定部位に関する複数の第1の画像を入力とし、所定の重み係数によって前記所定部位の解剖学的構造を前記各第1の画像の位相特性とする自己写像を実行して、それぞれが分類された前記第1の画像から構成される複数の出力ユニットを出力することで、入力した前記複数の第1の画像を分類する第1のステップと、
前記自己写像に用いられる前記所定の重み係数を画像化することで、前記各出力ユニットに対応する第2の画像を生成すると共に、当該第2の画像間の類似度を示す相関係数を計算する第2のステップと、
計算された前記相関係数に基づいて、取得された前記複数の出力ユニットを少なくとも2つのグループに分割する第3のステップと、
前記自己写像の結果、計算された前記相関係数、前記分割の結果に基づいて、前記自己写像を繰り返し実行するか否かを判断する第4のステップと、
前記第4のステップにおいて前記自己写像を繰り返し実行すると判断した場合には、前記自己写像、前記第2の画像の生成、前記相関係数の計算、前記分割、前記判断を繰り返す第5のステップと、
を具備することを特徴とする画像分類検索方法。
【請求項6】
前記各出力ユニットに対応する前記第2の画像と当該各出力ユニットを構成する前記第1の画像とを対応付けた接続情報テーブルを作成する第6のステップと、
前記各出力ユニットに対応する前記第2の画像のうちのいずれかを選択するための第7のステップと、
前記接続情報テーブルに基づいて、前記記憶手段から選択された前記第2の画像に対応する前記出力ユニットを構成する前記第1の画像を検索する第8のステップと、
検索された前記第1の画像を出力する第9のステップと、
をさらに具備する請求項5記載の画像分類検索方法。
【請求項7】
前記第1の画像は、磁気共鳴映像装置、X線CT装置、超音波診断装置、核医学診断装置、X線診断装置その他の医用画像機器によって取得された画像であることを特徴とする請求項5又は6記載の画像分類検索方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−235971(P2006−235971A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−49320(P2005−49320)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【Fターム(参考)】