説明

画像形成装置、ならびに画像形成装置の定着ユニット支持方法および定着ユニット移動調整方法

【課題】簡単な構成で、組み付けが容易であり、しかもユニット保持部材の移動調整を簡易として記録材搬送装置同士の平行度を高精度に調整可能とし、高品質な画像形成を行うことができる画像形成装置、ならびに画像形成装置の定着ユニット支持方法および定着ユニット移動調整方法を提供する。
【解決手段】定着ユニット35の重心Gは、本体構造体の第1側板42の上下2つの突起61により挟まれた位置とされ、互いに係合するガイド溝51およびガイド突起61は、ともに定着ユニット35の重心G位置を通る垂直線L上に設けられる。また、偏心軸部53位置、すなわち偏心カム52がユニット保持部材45に係合する係合位置が、垂直線L上に設けられる。そして、回動中心軸部56と偏心軸部53の互いの中心を結ぶ線Mと、垂直線Lとがなす角度が直角となるようにされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリまたはそれらの複合機など、電子写真方式を用いて記録材上に画像を形成する画像形成装置に関する。ならびに、そのような画像形成装置には、記録材上に転写したトナー像を定着する定着ユニットを備えるが、その定着ユニットを支持する定着ユニット支持方法、およびその定着ユニットの位置を移動調整する定着ユニット移動調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真式の画像形成装置では、ドラム状やベルト状の感光体の回転とともに、その感光体上に帯電、書込みを行って静電潜像を形成して後、現像装置でトナーを付着することにより可視像化してトナー像を形成し、そのトナー像を直接、またはベルト状等の中間転写体を介して間接的に転写して、搬送する用紙、OHPフィルム等の記録材に画像を記録し、定着を行ってその記録材上に画像を形成していた。
【0003】
このような画像形成装置にあっては、画像形成装置本体に加わるねじれやゆがみに対する強度を増強するため、画像形成装置本体内に骨組みを構成する本体構造体を備えていた。本体構造体は、通常、鋼板製で、ベース部材と、その上に立てた一対の対向側板と、それらの対向側板間などに掛け渡すステーやブラケット類などで構成した。そして、そのような本体構造体内に、感光体装置、帯電装置、光書込み装置、現像装置、転写装置、定着装置、中間転写装置、記録材給送装置などを個々にユニット化したり、それらのいくつかをまとめてプロセスカートリッジ化したりしてそれぞれ着脱自在に支持していた。
【0004】
ところで、このような電子写真式の画像形成装置にあって、定着装置としては、定着部材と加圧部材とで定着ニップを形成してその定着ニップに記録材を通すことによりその記録材上の画像を定着するものが多く用いられており、この定着装置もまた、通常は、メンテナンスを簡便とすべく、ユニット化して定着ユニットを構成し、画像形成装置本体に対して一括して着脱自在としていた。
【0005】
しかし、その定着ユニットの定着ニップと、転写位置へと記録材を搬送する記録材給送装置の搬送ローラとの間の平行度が正確に出ていないと、それぞれの記録材搬送方向にずれを生じ、記録材のスキューを発生したり、台形画像などの異常画像を発生したりする不具合を生ずるおそれがあった。
【0006】
【特許文献1】特開2004−13167号公報
【特許文献2】特開2006−258998号公報
【特許文献3】特開2000−318888号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、部品精度を向上することはコスト高につながり、現実的に困難であるとともに、部品精度には限界があり、多くの部品からなる画像形成装置では、部品精度の公差の積み重ねにより、定着ユニットや記録材給送装置などの記録材搬送装置同士の平行度がずれてしまう場合がある。なお、部品精度の向上により記録材搬送装置同士の平行度を保つ場合は、部品自体のバラツキを小さくすることはもちろんであるが、組み付け時の組み付け誤差も小さくする必要がある。そして、この組み付け誤差を小さくすることにも限界がある。
【0008】
また、組み付け冶具を装置の組み立て時に用いる場合では、冶具自体に高精度が要求されることになり、冶具について難易度が高い設計、製造が要求される。さらに、冶具の製造や、冶具を用いた組み立てによる平行度の精度向上にも限界がある。
【0009】
近年の高品位の画像への対応のためには、記録材搬送装置同士の平行度をより高精度に保った画像形成装置が望まれる。
【0010】
この発明は、以上の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構成で、組み付けが容易であり、しかもユニット保持部材の移動調整を簡易として記録材搬送装置同士の平行度を高精度に調整可能とし、高品質な画像形成を行うことができる画像形成装置、ならびに画像形成装置の定着ユニット支持方法および定着ユニット移動調整方法を提供することである。
【0011】
この発明の第2の目的は、市場で行うメンテナンス操作性を向上することにある。この発明の第3の目的は、本体構造体の製作を容易としてコストダウンを図ることにある。この発明の第4の目的は、部品点数を削減してコストダウンを図るとともに、本体構造体へのユニット保持部材の取り付けを一層容易とすることにある。この発明の第5の目的は、ユニット保持部材の移動調整を一層簡易とすることにある。
【0012】
この発明の第6の目的は、定着ユニットの定着ニップと、転写位置へと記録材を搬送する記録材給送装置の搬送ローラとの間の平行度を正確に出して、それぞれの記録材搬送方向にずれを生じないようにし、記録材のスキューを発生したり、台形画像などの異常画像を生じたりする不具合の発生をなくして高画質を得ることにある。
【0013】
この発明の第7の目的は、熱源の余熱によって定着ベルトなどが燃焼したり、定着部材に巻き付いた記録材が熱源に触れて火災を発生したりするおそれをなくし、またそのようなおそれを解消するための回避手段を設けて、複雑化、大型化、高コスト化を招くおそれをなくすことにある。
【0014】
この発明の第8の目的は、記録材サイズに合わせて定着部材の発熱幅を変更可能とすることにある。
【0015】
この発明の第9の目的は、加熱コイルに通電した際に発生する熱により定着部材の誘導発熱層における発熱効率の低下を防止することにある。
【0016】
この発明の第10の目的は、ユニット保持部材の位置を微調整するとき、定着ユニットのユニット本体と誘導加熱装置との距離を一定に保って、定着部材の誘導発熱層を常に効率的に発熱することにある。
【0017】
この発明の第11の目的は、定着部材の誘導発熱層における発熱効率の低下を防止するとともに、同時にリレーの機能低下を防止することにある。
【0018】
この発明の第12の目的は、専用のダクト部材を設けることなく、気流路を形成して、コストの削減を図ることにある。
【0019】
この発明の第13の目的は、誘導発熱装置の筐体内や画像形成装置本体内の温度状況に応じて、冷却ファンとして適宜最適なファンを選択可能とすることにある。
【0020】
この発明の第14の目的は、誘導加熱装置をより効率的に冷却することにある。
【0021】
この発明の第15の目的は、小さな力でユニット保持部材の位置を微調整可能とすることにある。
【0022】
この発明の第16の目的は、画像形成装置本体の外装面が邪魔にならず、しかも定着ユニットの熱によって高温となった部分に手を触れることなく、ジャム紙の取り出しを安心かつ容易とすることにある。
【0023】
この発明の第17の目的は、定着ユニットを強い力で引き出してストッパ部材に多少の衝撃を持って突き当てたとしても問題を生じないようにすることにある。
【0024】
この発明の第18の目的は、操作者が簡単に止め具を取り外してストッパ部材を外し、定着ユニットの取り出しを簡単とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
かかる目的を達成すべく、請求項1に記載の発明は、
画像形成装置本体の骨組みを構成する鋼板製等の本体構造体と、
その本体構造体の第1側板との間に、一方にガイド溝または長孔を設け、他方にそのガイド溝または長孔の幅方向には余裕なくそれに係合するガイド突起を形成し、そのガイド突起とガイド溝または長孔とを互いに係合して、第1側板にガイド溝または長孔の長さ方向に移動調整自在に取り付ける樹脂製等のユニット保持部材と、
そのユニット保持部材で位置決め保持して第1側板とそれに対向する本体構造体の第2側板との間で支持する定着ユニットなどの着脱ユニットと、
本体構造体に対してユニット保持部材を、ガイド溝の長さ方向に移動調整する偏心カムなどの移動調整部材とを備えてなり、
移動調整部材がユニット保持部材に係合する係合位置を、着脱ユニットの重心位置を通る垂直線上に設けてなる、
ことを特徴とする、プリンタ、ファクシミリ、コピーなどの画像形成装置である。
【0026】
請求項2に記載の発明は、上述した第2の目的を達成すべく、請求項1に記載の画像形成装置において、第1側板が、画像形成装置本体の操作者側に設ける鋼板製等の前側板であり、第2側板が、その前側板に対向する鋼板製等の後側板であり、その後側板を、着脱ユニットに駆動力を伝達する駆動伝達側としてなることを特徴とする。
【0027】
請求項3に記載の発明は、上述した第3の目的を達成すべく、請求項2に記載の画像形成装置において、第2側板に取り付けて着脱ユニットの駆動伝達側を支持する後側のユニット保持部材を設けてなることを特徴とする。後側のユニット保持部材も、前側のユニット保持部材と同様に、移動調整部材により後側板に対して移動調整自在に取り付けるとよい。
【0028】
請求項4に記載の発明は、上述した第4の目的を達成すべく、請求項1ないし3のいずれか1に記載の画像形成装置において、第1側板にバーリング加工やエンボス加工などの絞り加工を行って一体でガイド突起を形成する一方、ユニット保持部材にガイド溝または長孔を形成してなることを特徴とする。
【0029】
請求項5に記載の発明は、上述した第5の目的を達成すべく、請求項1ないし4のいずれか1に記載の画像形成装置において、ガイド溝または長孔、およびガイド突起を、ともに着脱ユニットの重心位置を通る垂直線上に設けてなることを特徴とする。
【0030】
請求項6に記載の発明は、上述した第6の目的を達成すべく、請求項1ないし5のいずれか1に記載の画像形成装置において、着脱ユニットが、定着ベルトや定着ローラなどの定着部材と加圧ローラや加圧ベルトや加圧パッドなどの加圧部材とで定着ニップを形成してその定着ニップに、用紙やOHPフィルムなどの記録材を通すことによりその記録材上の画像を定着する定着ユニットであることを特徴とする。
【0031】
請求項7に記載の発明は、上述した第6の目的を達成すべく、請求項1ないし6のいずれか1に記載の画像形成装置において、定着ニップに記録材を通す方向と、ユニット保持部材を移動調整する方向とを同方向としてなることを特徴とする。
【0032】
請求項8に記載の発明は、上述した第7の目的を達成すべく、請求項6または7に記載の画像形成装置において、定着ユニットが、誘導加熱装置の加熱コイルに通電して定着部材の誘導発熱層を発熱することにより定着部材を加熱する電磁誘導加熱方式であることを特徴とする。磁束発生装置も含めた定着ユニットの重心位置を通る垂直線上に、移動調整部材がユニット保持部材に係合する係合位置を設ける。
【0033】
請求項9に記載の発明は、上述した第8の目的を達成すべく、請求項8に記載の画像形成装置において、前記誘導加熱装置に、前記加熱コイルの磁力で電磁誘導により電流を発生してその電流により前記加熱コイルで発生する磁束を弱める消磁コイルと、その消磁コイルの電流の発生をオンオフ制御するリレーとが備えられていることを特徴とする。そして、記録材のサイズに応じてリレーをオンオフ制御し、加熱コイルの磁力で電磁誘導により消磁コイルに電流を発生したり発生しなかったりし、リレーをオンして消磁コイルに電流を発生したときは、加熱コイルで発生する磁束を弱めて、定着部材の誘導発熱層の発熱幅を狭める。
【0034】
請求項10に記載の発明は、上述した第9の目的を達成すべく、請求項8または9に記載の画像形成装置において、定着ユニットの誘導加熱装置を冷却する冷却装置を備えてなることを特徴とする。冷却装置には、冷却ファンとして、シロッコファンや軸流ファンなどを用いた吸気ファンまたは/および排気ファンを設ける。
【0035】
請求項11に記載の発明は、上述した第10の目的を達成すべく、請求項10に記載の画像形成装置において、前記冷却装置が、前記定着ユニットを保持する前記ユニット保持部材で冷却ファンを保持していることを特徴とする。そして、ユニット保持部材の位置を微調整するとき、定着ユニットのユニット本体とともに誘導加熱装置も移動する。
【0036】
請求項12に記載の発明は、上述した第11の目的を達成すべく、請求項10または11に記載の画像形成装置において、前記誘導加熱装置に、前記加熱コイルおよび前記消磁コイルを冷却する第1気流路と、前記リレーを冷却する第2気流路とが設けられていることを特徴とする。
【0037】
請求項13に記載の発明は、上述した第12の目的を達成すべく、請求項12に記載の画像形成装置において、前記第2気流路が、前記誘導加熱装置の筐体と、前記第1側板と前記第2側板とに掛け渡したステーとの間に形成されていることを特徴とする。
【0038】
請求項14に記載の発明は、上述した第13の目的を達成すべく、請求項11ないし13のいずれか1に記載の画像形成装置において、前記冷却ファンが、外気を吸い込む吸気ファンであることを特徴とする。
【0039】
請求項15に記載の発明は、上述した第13の目的を達成すべく、請求項11ないし13のいずれか1に記載の画像形成装置において、前記冷却ファンが、空気を外部に排出する排気ファンであることを特徴とする。
【0040】
請求項16に記載の発明は、上述した第14の目的を達成すべく、請求項11ないし15のいずれか1に記載の画像形成装置において、前記冷却ファンとして、空気の取り込み口側に吸気ファンを、排気口側に排気ファンをともに設けていることを特徴とする。
【0041】
請求項17に記載の発明は、上述した第15の目的を達成すべく、請求項1ないし16のいずれか1に記載の画像形成装置において、移動調整部材が、第1側板に回動自在にはめ付けることにより係合する回動中心軸部と、その回動中心軸部に対して偏心して設け、ユニット保持部材に回動自在にはめ付けることにより係合する偏心軸部とを有する偏心カムであることを特徴とする。
【0042】
請求項18に記載の発明は、上述した第5の目的を達成すべく、請求項17に記載の画像形成装置において、回動中心軸部と偏心軸部との互いの中心を結ぶ線が、垂直線と直角に交わることを特徴とする。
【0043】
請求項19に記載の発明は、上述した第16の目的を達成すべく、請求項6に記載の画像形成装置において、定着ユニットを画像形成装置本体に対して引き出し可能に備え、定着ニップが画像形成装置本体の外装面の外に出たところで、定着ユニットが突き当たって止まるストッパ部材を備えることを特徴とする。
【0044】
請求項20に記載の発明は、上述した第16の目的を達成すべく、請求項6に記載の画像形成装置において、定着ユニットを画像形成装置本体に対して引き出し可能に備え、定着ユニットの記録材排出口が画像形成装置本体の外装面の外に出たところで、定着ユニットが突き当たって止まるストッパ部材を備えることを特徴とする。
【0045】
請求項21に記載の発明は、上述した第16の目的を達成すべく、請求項19または20に記載の画像形成装置において、定着ユニットをその長手方向と直角な方向に引き出し可能に備えることを特徴とする。
【0046】
請求項22に記載の発明は、上述した第16の目的を達成すべく、請求項19ないし21のいずれか1に記載の画像形成装置において、定着ユニットとユニット保持部材とに、互いに係合して定着ユニットの引き出しを案内する、溝や突起などのガイド形状を形成することを特徴とする。
【0047】
請求項23に記載の発明は、上述した第16の目的を達成すべく、請求項22に記載の画像形成装置において、ガイド形状の係合終端位置にストッパ部材を備えることを特徴とする。
【0048】
請求項24に記載の発明は、上述した第17の目的を達成すべく、請求項19ないし23のいずれか1に記載の画像形成装置において、定着ユニットをストッパ部材に突き当てたとき、それらに互いにせん断方向の力が加わるようにしたことを特徴とする。
【0049】
請求項25に記載の発明は、上述した第18の目的を達成すべく、請求項19ないし24のいずれか1に記載の画像形成装置において、ストッパ部材を、止め具をねじ付けて固定する構造となっていることを特徴とする。
【0050】
請求項26に記載の発明は、上述した第18の目的を達成すべく、請求項19ないし25のいずれか1に記載の画像形成装置において、画像形成装置本体の外装カバーを開放したとき、ストッパ部材の止め具が露出する構造となっていることを特徴とする。
【0051】
請求項27に記載の発明は、上述した第1の目的を達成すべく、
画像形成装置本体の骨組みを構成する鋼板製等の本体構造体と、定着ユニットを位置決め保持する樹脂製等のユニット保持部材とのいずれか一方にガイド溝または長孔を設け、他方にそのガイド溝または長孔の幅方向には余裕なくそれに係合するガイド突起を形成して、そのガイド突起とガイド溝または長孔とを係合してそのガイド溝または長孔の長さ方向に移動調整自在にユニット保持部材を取り付け、
本体構造体に回動自在にはめ付けることにより係合する回動中心軸部と、その回動中心軸部に対して偏心して設け、ユニット保持部材に回動自在にはめ付けることにより係合する偏心軸部とを有する偏心カムよりなる移動調整部材を、その偏心軸部が、定着ユニットの重心位置を通る垂直線上で、ユニット保持部材に係合するように設けてなる、
ことを特徴とする、画像形成装置の定着ユニット支持方法である。
【0052】
請求項28に記載の発明は、上述した第1の目的を達成すべく、請求項27に記載の定着ユニット支持方法において、移動調整部材を回動して、本体構造体に対してユニット保持部材をガイド溝の長さ方向に移動調整することを特徴とする、画像形成装置の定着ユニット移動調整方法である。
【発明の効果】
【0053】
請求項1に記載の発明によれば、本体構造体の第1側板に取り付けて着脱ユニットを保持するユニット保持部材と、そのユニット保持部材を移動調整する移動調整部材とを設け、第1側板とユニット保持部材の一方にガイド溝または長孔を設け、他方にそのガイド溝または長孔の幅方向には余裕なくそれに係合するガイド突起を形成する一方、移動調整部材がユニット保持部材に係合する係合位置を、着脱ユニットの重心位置を通る垂直線上に設けるのみであるから、構成簡単である。また、ガイド突起とガイド溝または長孔とを互いに係合して第1側板にユニット保持部材を取り付けるのみであるから、組み付けも容易である。
【0054】
さらに、1つの移動調整部材を操作して、本体構造体に対してユニット保持部材を、ガイド溝の長さ方向に移動調整するのみであるから、ユニット保持部材の移動調整を簡易として記録材搬送装置同士の平行度を高精度に調整可能とし、高品質な画像形成を行うことができる画像形成装置を提供することができる。加えて、移動調整部材がユニット保持部材に係合する係合位置を、着脱ユニットの重心位置を通る垂直線上に設けるので、着脱ユニットを傾きなく、バランスよく、安定的に移動することができる。
【0055】
請求項2に記載の発明によれば、第1側板が、画像形成装置本体の操作者側に設ける鋼板製等の前側板であるので、メンテナンス時、市場で行う操作を簡単とし、サービス性を向上することができる。また、第2側板が、前側板に対向する鋼板製等の後側板であり、その後側板を、着脱ユニットに駆動力を伝達する駆動伝達側とするので、駆動伝達力がかからない側を面倒なく簡易に、かつ安定した調整を行うことができる。
【0056】
請求項3に記載の発明によれば、第2側板に取り付けて着脱ユニットの駆動伝達側を支持する後側のユニット保持部材を設けるので、着脱ユニットを支持する部分を別途形成して鋼板製等の第2側板の製作を容易とし、コストダウンを図ることができる。
【0057】
請求項4に記載の発明によれば、第1側板に絞り加工を行って一体でガイド突起を形成する一方、ユニット保持部材にガイド溝または長孔を形成するので、ガイド突起を別部品とすることなく安価とするとともに、第1側板の外側にユニット保持部材を取り付けるとき、ガイド溝または長孔に対するガイド突起の係合状態を、外側からガイド溝または長孔を通して目視可能として、作業性を向上することができる。
【0058】
請求項5に記載の発明によれば、ガイド溝または長孔、およびガイド突起を、ともに着脱ユニットの重心位置を通る垂直線上に設けるので、横方向の荷重を受けることなく、ユニット保持部材を垂直方向にスムーズに移動することができる。
【0059】
請求項6に記載の発明によれば、着脱ユニットが、定着部材と加圧部材とで定着ニップを形成してその定着ニップに記録材を通すことによりその記録材上の画像を定着する定着ユニットであるので、移動調整部材により移動調整することにより、定着ユニットの定着ニップと、転写位置へと記録材を搬送する記録材給送装置の搬送ローラとの間の平行度を正確に出して、それぞれの記録材搬送方向にずれを生じないようにし、記録材のスキューを発生したり、台形画像などの異常画像を生じたりする不具合の発生をなくして高画質を得ることができる。
【0060】
請求項7に記載の発明によれば、定着ニップに記録材を通す方向と、ユニット保持部材を移動調整する方向とを同方向とするので、移動調整部材により、定着ニップに記録材を通す方向にのみユニット保持部材を移動調整することにより、定着ユニットの定着ニップと、転写位置へと記録材を搬送する記録材給送装置の搬送ローラとの間の平行度をより正確に出して、それぞれの記録材搬送方向にずれを生じないようにし、より一層の高画質を得ることができる。
【0061】
請求項8に記載の発明によれば、定着ユニットが、誘導加熱装置の加熱コイルに通電して定着部材の誘導発熱層を発熱することにより定着部材を加熱する電磁誘導加熱方式であるので、定着部材に熱源を有する構成とすることなく、熱源の余熱によって定着ベルトなどが燃焼したり、定着部材に巻き付いた記録材が熱源に触れて火災を発生したりするおそれをなくすことができる。また、そのようなおそれを解消するための回避手段を設けて、複雑化、大型化、高コスト化を招くおそれをなくすことができる。
【0062】
請求項9に記載の発明によれば、記録材のサイズに応じてリレーをオンオフ制御し、加熱コイルの磁力で電磁誘導により消磁コイルに電流を発生したり発生しなかったりし、リレーをオンして消磁コイルに電流を発生したときは、加熱コイルで発生する磁束を弱めて、定着部材の誘導発熱層の発熱幅を狭めるので、記録材サイズに応じて定着部材の発熱幅を変更し、定着部材の端部が高温になることを防止することができる。
【0063】
請求項10に記載の発明によれば、定着ユニットの誘導加熱装置を冷却する冷却装置を備えるので、稼動時には冷却装置により誘導加熱装置を冷却して、加熱コイルに通電した際に発生する熱により、定着部材の誘導発熱層における発熱効率が低下することを防止することができる。
【0064】
請求項11に記載の発明によれば、ユニット保持部材の位置を微調整するとき、定着ユニットのユニット本体とともに誘導加熱装置も移動するので、ユニット本体と誘導加熱装置との距離を一定に保って、誘導発熱層を常に効率的に発熱することができる。
【0065】
請求項12に記載の発明によれば、誘導加熱装置に、加熱コイルおよび消磁コイルを冷却する第1気流路と、リレーを冷却する第2気流路とが設けられているので、稼動時には誘導加熱装置の筐体の内外に分けて効率的に風を通し、冷却装置によりコイルを冷却して、定着部材の誘導発熱層における発熱効率の低下を防止するとともに、同時にリレーを冷却して、その機能低下を防止することができる。
【0066】
請求項13に記載の発明によれば、第2気流路が、誘導加熱装置の筐体と、第1側板と第2側板とに掛け渡したステーとの間に形成されているので、専用のダクト部材を設けることなく、気流路を形成して、コストの削減を図ることができる。
【0067】
請求項14に記載の発明によれば、冷却ファンが、外気を吸い込む吸気ファンであるので、誘導発熱装置の筐体内や画像形成装置本体内の温度状況に応じて、冷却ファンとして適宜吸気ファンを選択することができる。
【0068】
請求項15に記載の発明によれば、冷却ファンが、空気を外部に排出する排気ファンであるので、誘導発熱装置の筐体内や画像形成装置本体内の温度状況に応じて、冷却ファンとして適宜排気ファンを選択することができる。
【0069】
請求項16に記載の発明によれば、冷却ファンとして、空気の取り込み口側に吸気ファンを、排気口側に排気ファンをともに設けているので、冷却ファンで吸排気して誘導加熱装置をより効率的に冷却することができる。
【0070】
請求項17に記載の発明によれば、移動調整部材が、第1側板に回動自在にはめ付けることにより係合する回動中心軸部と、その回動中心軸部に対して偏心して設け、ユニット保持部材に回動自在にはめ付けることにより係合する偏心軸部とを有する偏心カムであるので、移動調整部材を回動調整することにより、小さな力でユニット保持部材の位置を微調整することができる。
【0071】
請求項18に記載の発明によれば、回動中心軸部と偏心軸部との互いの中心を結ぶ線が、垂直線と直角に交わるので、移動調整部材の偏心軸部の移動方向とユニット保持部材の移動方向とを同一としてユニット保持部材をスムーズに移動することができる。
【0072】
請求項19に記載の発明によれば、画像形成装置本体に対して定着ユニットを引き出したとき、定着ニップが画像形成装置本体の外装面の外に出たところで、定着ユニットがストッパ部材に突き当たって止まるので、誤って画像形成装置本体から抜き出した定着ユニットを画像形成装置本体に再セットする面倒がなく、画像形成装置本体の外装面が邪魔にならず、しかも定着ユニット、その熱によって高温となった本体構造体部分や排紙ユニットや搬送ローラなどに手を触れることなく、安心かつ容易にジャム紙の取り出しを行うことができる。
【0073】
請求項20に記載の発明によれば、画像形成装置本体に対して定着ユニットを引き出したとき、定着ユニットの記録材排出口が画像形成装置本体の外装面の外に出たところで、定着ユニットがストッパ部材に突き当たって止まるので、誤って画像形成装置本体から抜き出した定着ユニットを画像形成装置本体に再セットする面倒がなく、画像形成装置本体の外装面が邪魔にならず、しかも定着ユニット、その熱によって高温となった本体構造体部分や排紙ユニットや搬送ローラなどに手を触れることなく、安心かつ容易にジャム紙の取り出しを行うことができる。
【0074】
請求項21に記載の発明によれば、定着ユニットをその長手方向と直角な方向に引き出し可能に備えるので、引き出し長さを短くしてより簡単に定着ユニットをジャム処理位置へと移動することができる。
【0075】
請求項22に記載の発明によれば、定着ユニットとユニット保持部材とに、互いに係合して定着ユニットの引き出しを案内するガイド形状を形成するので、定着ユニットの引き出しを容易とし、より簡単に定着ユニットをジャム処理位置へと移動することができる。
【0076】
請求項23に記載の発明によれば、ガイド形状の係合終端位置にストッパ部材を備えるので、簡単な構成で、引き出した定着ユニットを確実にストップし、誤って画像形成装置本体から抜き出した定着ユニットを画像形成装置本体に再セットする面倒をなくすことができる。
【0077】
請求項24に記載の発明によれば、定着ユニットをストッパ部材に突き当てたとき、それらに互いにせん断方向の力が加わるようにしたので、ともに突き当てたときの変形を少なくし、定着ユニットを強い力で引き出してストッパ部材に多少の衝撃を持って突き当てたとしても問題を生じないようにすることができる。
【0078】
請求項25に記載の発明によれば、ストッパ部材を、止め具をねじ付けて固定する構造となっているので、操作者が簡単に止め具を取り外してストッパ部材を外し、定着ユニットを容易に取り出すことができる。
【0079】
請求項26に記載の発明によれば、画像形成装置本体の外装カバーを開放したとき、ストッパ部材の止め具が露出する構造となっているので、止め具の取り外しを簡単として、ストッパ部材を外して定着ユニットを容易に取り出すことができる。
【0080】
請求項27に記載の発明によれば、本体構造体の第1側板に取り付けて着脱ユニットを保持するユニット保持部材と、そのユニット保持部材を移動調整する偏心カムよりなる移動調整部材とを設け、第1側板とユニット保持部材の一方にガイド溝または長孔を設け、他方にそのガイド溝または長孔の幅方向には余裕なくそれに係合するガイド突起を形成する一方、移動調整部材がユニット保持部材に係合する係合位置を、着脱ユニットの重心位置を通る垂直線上に設けるのみであるから、構成簡単である。また、ガイド突起とガイド溝または長孔とを互いに係合して第1側板にユニット保持部材を取り付けるのみであるから、組み付けも容易である。
【0081】
加えて、移動調整部材がユニット保持部材に係合する係合位置を、着脱ユニットの重心位置を通る垂直線上に設けるので、着脱ユニットを傾きなく、バランスよく、安定的に移動することができる。
【0082】
請求項28に記載の発明によれば、1つの移動調整部材を回動して、本体構造体に対してユニット保持部材をガイド溝の長さ方向に移動調整するのみであるから、ユニット保持部材の移動調整を簡易として記録材搬送装置同士の平行度を高精度に調整可能とし、高品質な画像形成を行うことができる画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0083】
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の最良形態につき説明する。
図1には、電子写真式画像形成装置の一例であるカラー複写機の外観を示す。
図示例は、カラー複写機であるが、LANケーブルや電話回線で接続することにより、プリンタ、スキャナ、ファクシミリとしても用いることができる。
【0084】
図示カラー複写機の複写機本体1は、画像形成装置本体である複写機本体1の骨組みを構成する後述する本体構造体40のまわりを外装カバーで被ってなり、中段部の、画像を形成して記録材に転写する画像形成部2、その下の、記録材を収納して順次画像形成部2に向けて送出する記録材収納部3、記録済みの記録材を排出する胴内排紙部4、原稿画像を読み取る画像読取部5、画像読取部5の矢印Aで示す正面側にある操作部6、記録済みの記録材の裏面にも記録を行うときに反転して画像形成部2に再給紙する両面装置7などが備えられている。
【0085】
操作部6は、複写機本体1の複数の機能を操作するための入力手段(スタートキー、テンキー、機能設定キー、リセットキー、クリア/ストップキーなどの各種キー)と、各種入力情報や装置の状態を表示する表示手段(液晶表示パネル、または入力手段を兼ねた液晶タッチパネルなど)とを有する。
【0086】
図中の矢印Aは、上述したとおり複写機本体1の操作者側である前側であり、矢印Bは後側、矢印Cは左側面側、矢印Dは右側面側である。また、符号8は手差し用の給紙テーブル、9は横開閉扉、10は前開閉扉であり、それぞれ複写機本体1に開閉可能に設けられている。
【0087】
図2には、図1に示すカラー複写機の内部構成を示す。
複写機本体1の画像形成部2内には、イエロ(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(B)の各色の画像を形成するための4つの作像ステーションが、無端ベルト状の中間転写ベルト17aを有する中間転写ユニット17に沿ってタンデム型に並べて配置されており、4つの作像ステーションの下には光書込装置13が設置されている。
【0088】
各作像ステーションの構成は同じであり、像担持体としての感光体ドラム11Y,11C,11M,11Bをそれぞれ有し、そのまわりに、それぞれ専用の帯電装置12Y,12C,12M,12B、現像装置14Y,14C,14M,14B、一次転写ローラ15Y,15C,15M,15B、クリーニング装置16Y,16C,16M,16Bが配置されている。
【0089】
光書込装置13は、4つの作像ステーションに対して配置され、中央に1つの偏向器を有し、4つの光源からの光束を一つの偏向器で4系統に振り分けて偏向走査し、4つの感光体ドラム11Y,11C,11M,11Bにそれぞれ潜像を書込むものであり、各色毎に用意されたレーザダイオード(LD)を使用する4つの光源と、光源から出射されたレーザ光束をコリメートする光学系と、ポリゴンミラー(回転多面鏡)とポリゴンモータから構成される1つの偏向器(ポリゴンスキャナ)と、各光源の光路に配置されたfθレンズ等の走査・結像用のレンズや補正用レンズ、ミラー等からなる光学系とで構成されている。そして、各色の画像情報に応じてレーザダイオードから射出されたレーザ光は、ポリゴンスキャナにより偏向走査され、各色の感光体ドラム11Y,11C,11M,11Bに照射される。
【0090】
また、画像形成部2内には、胴内排紙部4の下に、各作像ステーションの現像装置14Y,14C,14M,14Bにトナーを補給するためのトナーボトル32Y,32C,32M,32Bが設けられている。各トナーボトル32Y,32C,32M,32Bには、図中左からイエロ(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(B)のトナーが充填されており、ここから図示しない搬送経路によって、所定の補給量だけ各色の現像装置14Y,14C,14M,14Bに各色のトナーが補給される。
【0091】
中間転写ユニット17の中間転写ベルト17aは、駆動ローラや従動ローラなどにより支持されており、図中の矢印の向きに回動される。この中間転写ベルト17aの右側には、二次転写ローラ22が設けられている。また、中間転写ベルト17aの左側には、中間転写ベルトクリーニング装置18が設けられている。
【0092】
一方、複写機本体1の下に設ける記録材収納部3には、記録材としての記録用紙Sが収納された2段の給紙カセット3a,3bが設置されており、いずれか一方の給紙カセットから給紙装置19a,19bにより記録用紙Sが給紙され、記録材給送装置で給送される。すなわち、記録用紙Sは、搬送ローラ20a,20bを介してレジストローラ21に向けて給紙され、レジストローラ21により所定のタイミングで、二次転写ローラ22と中間転写ベルト17aの間の2次転写ニップ部に向けて送り出される。
【0093】
二次転写ローラ22の上方には、定着ユニット35が設置されている。この定着ユニット35内には、例えば定着ローラ36と加熱ローラ37に支持された定着部材としての定着ベルト38と、該定着ベルト38に圧接する加圧部材としての加圧ローラ39とで定着ニップが形成されている。
【0094】
定着ユニット35の上方には、記録用紙Sを搬送し、胴内排紙部4に向けて排紙する搬送ローラ23や排紙ローラ24が設けられており、さらにその上には、両面プリント時に搬送路を切換える切換え爪25や、スイッチバック式に記録用紙Sの搬送向きを反転するための反転搬送ローラ26や、反転搬送路27が設けられている。そして、反転搬送路27に一時的にスタックされた記録用紙Sは、反転搬送ローラ26で搬送向きを反転されて、両面用搬送路を通して搬送ローラ28,29により搬送され、レジストローラ21に再給紙される。
【0095】
複写機本体1の上部に配置される原稿読取部5には、原稿が載置される原稿台としてのコンタクトガラス5aと、原稿を照明する照明光源5bと、原稿からの反射光を反射する第1ミラー5c、第2ミラー5d、第3ミラー5eと、原稿からの反射光を結像する結像レンズ5fと、その結像位置に配置されて原稿画像を読み取る読取手段としてのCCD等のイメージセンサ5gとが備えられている。
【0096】
この原稿読取部5の上には、コンタクトガラス5aに載置された原稿を押さえる圧板33、または圧板33に代えて、コンタクトガラス5aに原稿を自動給紙する自動原稿給紙装置(ADF)が設けられる。
【0097】
次に、この画像形成装置を用いてコピーを取る場合について説明する。
コピーを取るときは、まず圧板33を開いて原稿読取部5のコンタクトガラス5a上に原稿がセットされ、または圧板33に代えてADFを設けるときは、ADFの原稿台上に原稿がセットされる。
【0098】
次いで、操作部6のスタートスイッチを押すと、コンタクトガラス5a上に原稿をセットしたときは、直ちに原稿読取部5を駆動し、またADFの原稿台上に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス5a上へと移動した後に原稿読取部5が駆動される。そして、光源5bと第1ミラー5cを搭載する第1走行体、および第2ミラー5dと第3ミラー5eを搭載する第2走行体を各々走行し、光源5bから発した光を原稿面に当て、原稿面からの反射光を第1走行体の第1ミラー5cで反射して第2走行体に向け、第2走行体の第2、第3のミラー5d,5eで反射して結像レンズ5fを通して読取手段であるCCD等のイメージセンサ5gに入れ、イメージセンサ5gで原稿内容が読み取られる。その後、操作部6でのモード設定、または操作部6で自動モード選択が設定されている場合には、原稿の読み取り結果にしたがい、フルカラーモードまたは白黒モードで画像形成動作が開始される。
【0099】
画像形成部2では、まず、帯電装置12Y,12C,12M,12Bによって各感光体ドラム11Y,11C,11M,11Bが一様に帯電された後、各感光体ドラム11Y,11C,11M,11Bは、それぞれ4つのレーザ光源と共通の偏向器と4系統の走査光学系を有する光書込装置13によりレーザ光にて露光走査され、感光体ドラム11Y,11C,11M,11B上に静電潜像がつくられる。
【0100】
各静電潜像は、4色の現像装置14Y,14C,14M,14Bによりそれぞれ異なる色のトナーが付着されることにより現像され、個々の感光体ドラム11Y,11C,11M,11Bの表面にそれぞれイエロ、シアン、マゼンタ、ブラックのトナー像が形成される。
【0101】
次に、一次転写ローラ15Y,15C,15M,15Bに一次転写電圧が印加され、感光体ドラム11Y,11C,11M,11B上のトナーが、中間転写ベルト17a上に順次転写されていく。このとき、各色の作像動作は、そのトナー像が中間転写ベルト17aの同じ位置に重ねて転写されるように、上流側から下流側に向けてタイミングをずらして実行される。
【0102】
一方、上記の一次転写動作にタイミングを合わせて、記録材収納部3に備えるいずれかの給紙カセット3a,3bから、記録材としての記録用紙Sが給紙装置19a,19bで給紙され、または手差し用テーブル8に手差し記録用紙Sがセットされた場合には、その手差し記録用紙Sが手差し用テーブル8から給紙ローラ30により給紙され、搬送ローラ31で複写機本体1内に送り込まれる。そして、記録用紙Sの先端がレジストローラ21まで到達したところで、図示しないセンサによって検知されて、この検出信号に基づきタイミングを取られ、レジストローラ21によって記録用紙Sが、二次転写ローラ22と中間転写ベルト17aの間の2次転写ニップ部に向けて送り出される。
【0103】
2次転写ニップ部に向けて送り出された記録用紙Sには、前述したごとく中間転写ベルト17a上に形成された画像が、2次転写ニップ部まで搬送されて、一括して二次転写される。画像が転写された記録用紙Sは、定着ユニット35に搬送されて定着ニップを通すことにより熱と圧力とが加えられてその上の画像が定着され、搬送ローラ23で搬送されて排紙ローラ24で胴内排紙部4に排紙される。これにより、記録用紙S上にカラー画像が形成される。
【0104】
また、操作部6で両面モードが選択され、両面コピーを行うときには、切換え爪25で搬送路を切換え、定着済みの記録用紙Sを反転搬送路27に一時的にスタックした後、反転搬送ローラ26でスイッチバック式に進行方向が反転され、両面用搬送路を搬送ローラ28,29により搬送し、画像形成動作にタイミングを合わせて、レジストローラ21に再給紙される。
【0105】
そして、レジストローラ21で再び2次転写ニップ部に給紙し、次に中間転写ベルト17a上に形成された画像が記録用紙Sの裏面側にも転写される。裏面側にも画像が転写された記録用紙Sは、定着ユニット35に搬送されて熱と圧力により画像が定着され、搬送ローラ23で胴内排紙部4に向けて搬送され、排紙ローラ24で排紙される。これにより、記録用紙Sの両面にカラー画像が形成される。
【0106】
なお、感光体ドラム11Y,11C,11M,11B上の残留トナーは、それぞれのクリーニング装置16Y,16C,16M,16Bでクリーニングされ、その後、直流に交流成分のバイアスが重畳印加された帯電装置12Y,12C,12M,12Bによって除電と同時に帯電され、次の作像に備えられる。また、中間転写ベルト17a上の残留トナーは、中間転写ベルトクリーニング装置18によってクリーニングされ、次の作像工程に備えられている。
【0107】
図3には、複写機本体1の骨組みを構成する本体構造体40を示す。
本体構造体40は、鋼板製で、ベース部材41と、その上に立てた一対の対向する第1側板42と第2側板43と、それらの対向側板42、43間などに掛け渡すステーやブラケット類44などで構成する。第1側板42は、複写機本体1の矢印Aで示す操作者側に設ける前側板であり、第2側板43は、その前側板とは反対側の、定着ユニット等へ駆動力を伝達する駆動伝達側に設ける後側板である。
【0108】
そして、そのような本体構造体40内には、上述した感光体ドラム11Y,11C,11M,11B、帯電装置12Y,12C,12M,12B、光書込装置13、現像装置14Y,14C,14M,14B、一次転写ローラ15Y,15C,15M,15B、クリーニング装置16Y,16C,16M,16B、二次転写ローラ22、定着ユニット35、中間転写ユニット17、記録材給送装置などが、個々にユニット化したり、それらのいくつかをまとめてプロセスカートリッジ化したりして、それぞれ着脱自在に支持されている。
【0109】
そのうち、定着ユニット35は、本体構造体40の第1側板42に取り付ける前側のユニット保持部材45と、第2側板43に取り付ける後側のユニット保持部材46で位置決め保持して、第1側板42と第2側板43との間で支持される。なお、図3において、矢印Aは、上述したとおり複写機本体1の操作者側である前側であり、矢印Bは後側、矢印Cは左側面側、矢印Dは右側面側である。
【0110】
図4には、前側のユニット保持部材45の取付部分を外側から見て拡大して示し、図5には内側から見て拡大して示す。
【0111】
図5に示すように、前側のユニット保持部材45には、長いストレートな主基準係合溝47と、短い従基準係合溝48とが互いに平行方向に形成されている。さらに、図4に示すように、ユニット保持部材45の上部には、それらの主基準係合溝47および従基準係合溝48と平行な方向に長い長孔50があけられる。また、図4では、下方のガイド溝は隠れて見えないが、ユニット保持部材45の上下には、主基準係合溝47、従基準係合溝48、長孔50とそれぞれ直交する一直線上に長いガイド溝51が各々1つずつ形成されている。
【0112】
長孔50には、移動調整部材である偏心カム52の偏心軸部53が挿入される。偏心カム52は、図6(A)ないし(C)に示すように、円板カム部54と、その周面から径方向にのびるレバー状のつまみ部55と、円板カム部54の一面に設ける大円形の回動中心軸部56と、円板カム部54の他面に、回動中心軸部56に対して偏心する位置に設ける小円形の上述した偏心軸部53と、回動中心軸部56を中心とする円弧孔57とからなる。偏心軸部53は、その径を長孔50の幅とほぼ等しくし、長孔50の幅方向にはガタなくそれに係合される。
【0113】
そして、図5に示すように、回動中心軸部56を第1側板(前側板)42のレバー嵌合孔58に回動自在にはめ付けることにより係合して、図4に示すように、第1側板42の外側に偏心カム52の円板カム部54を重ね合わせ、円弧孔57に通して固定ねじ59を第1側板42にねじ付けることにより固定される。このとき、偏心カム52のつまみ部55の先端で、第1側板42に刻む目盛り60を指示するようにされる。
【0114】
その後、偏心軸部53を長孔50にはめ付けることにより係合するとともに、第1側板42の上下2つのガイド突起61を各々ガイド溝51に挿入して第1側板42に前側のユニット保持部材45を重ね合わせ、ユニット保持部材45の4つのねじ挿通長孔にそれぞれ取付ねじ63を通して第1側板42のねじ孔にねじ付け、第1側板42にユニット保持部材45が取り付けられる。
【0115】
上下2つのガイド突起61は、この例では、第1側板42に、例えばバーリング加工やエンボス加工などの絞り加工を行って一体で形成され、定着ニップに記録用紙Sを通す垂直方向と同方向である1つの垂直線L上に設けられている。よって、ユニット保持部材45の2つのガイド溝51は、垂直線Lの方向となり、主基準係合溝47、従基準係合溝48、長孔50は、垂直線Lと直交する方向となる。また、4つのねじ挿通長孔62も、同様に垂直方向に長く形成されるようになる。そして、後述する図10に示すように、回動中心軸部56と偏心軸部53との互いの中心を結ぶ線が、垂直線Lと直角に交わるようにされる。
【0116】
したがって、ユニット保持部材45は、つまみ部55を持って偏心カム52を回動することにより、上下2つのガイド突起61で案内されて、本体構造体40の第1側板42に対して、定着ニップに記録用紙Sを通す垂直方向と同方向である垂直方向に移動調整可能とされる。なお、ガイド溝51は、その幅をガイド突起61の直径とほぼ等しくし、ガイド突起61がガイド溝51の幅方向に余裕なく係合するようにして垂直線Lと直交する方向にガタが生じないようにされている。
【0117】
さて、上述した例では、ユニット保持部材45にガイド溝51を、本体構造体40の第1側板45にそのガイド溝51の幅方向に余裕なく係合するガイド突起61を形成したが、逆にユニット保持部材45にガイド突起を、第1側板にガイド溝を形成するようにしてもよい。また、ガイド溝に代えて、ユニット保持部材または第1側板に長孔を形成するようにしてもよい。
【0118】
図7には、前側のユニット保持部材45内側から見て示す。
図5では図示省略したが、従基準係合溝48位置には、図示するように、抜け止めレバー73が基端側を支点として先端側が矢示するごとく上方へと回動するように設けられている。
【0119】
図8には、後側のユニット保持部材46の取付部分を内側から見て拡大して示す。
図8に示すように、後側のユニット保持部材46には、前側のユニット保持部材45と同様に、長いストレートな主基準係合溝65と短い従基準係合溝66とが互いに平行方向に形成されている。そして、そのユニット保持部材46を第2側板43の外側に重ね合わせ、ユニット保持部材46の複数のねじ挿通長孔にそれぞれ取付ねじを通して第2側板43のねじ孔にねじ付け、ユニット保持部材46が第2側板43に取り付けられる。これにより、主基準係合溝65が前側のユニット保持部材45の主基準係合溝47と対向され、従基準係合溝66が前側のユニット保持部材45の従基準係合溝48と対向される。この図8でも図示省略されるが、従基準係合溝66位置には、抜け止めレバーが基端側を支点として先端側が上方へと回動するように設けられている。
【0120】
図9には、定着ユニット35の外観を、左側面側の斜め上方から見て示す。
図示するように、定着ユニット35の前側および後側には、各々主基準突起70と軸状の従基準突起71とが間隔をあけてそれぞれ前方または後方に向けて突出して設けられている。また、上向きに取手72が形成されている。そして、図1に示す複写機本体1の横開閉扉9を開けて複写機本体1の右側面から、取手72を持って、主基準突起70を前後のユニット保持部材45、46の主基準係合溝47、65に入れ、従基準突起71を前後のユニット保持部材45、46の従基準係合溝48、66に入れて、定着ユニット35が前後のユニット保持部材45、46間に挿入される。
【0121】
すると、やがて従基準突起71が、前後のユニット保持部材45、46に設ける定着ロックレバー73の湾曲面73a(図7参照)に当たり、それを重力に抗して押し開いて定着ユニット35がさらに奥に押し込まれる。そして、主基準突起70が各々主基準係合溝47、65の溝奥に突き当てられたところで、定着ロックレバー73が重力により復帰して従基準突起71に掛け止められ、従基準突起71の戻りが阻止される。これにより、定着ユニット35が、本体構造体40の第1側板42と第2側板43とで支持されて複写機本体1に取り付けられる。この取り付けられた定着ユニット35は、後側から駆動力が伝達されて駆動される。
【0122】
定着ユニット35を複写機本体1から取り出すときは、手を掛けて定着ロックレバー73を回動することにより開いて従基準突起71に対する掛け止めを外して後、主基準突起70を主基準係合溝47、65で案内して、また従基準突起71を従基準係合溝48、66で案内して、取手72を持って定着ユニット35を引き出す。
【0123】
図10には、定着ユニット35が、前後のユニット保持部材45、46を介して本体構造体40の第1側板42と第2側板43とで支持されているときの状態を示す。
【0124】
このとき、定着ユニット35の重心Gは、図示するように、本体構造体40の第1側板42の上下2つの突起61により挟まれた位置とされ、ガイド溝51およびガイド突起61は、ともに定着ユニット35の重心G位置を通る垂直線L上に設けられる。また、偏心軸部53位置、すなわち偏心カム52がユニット保持部材45に係合する係合位置が、垂直線L上に設けられる。そして、回動中心軸部56と偏心軸部53の互いの中心を結ぶ線Mと、垂直線Lとがなす角度が直角となるようにされている。
【0125】
いま、定着ユニット35の傾きを調整するときは、固定ねじ59および取付ねじ63を緩めた状態で、つまみ部55を持って目盛り60を目安に回動中心軸部56を中心として偏心カム52を回動する。図6(A)に示す状態から偏心カム52を時計方向に回動すると、(B)に示すように偏心軸部53を垂直線Lの方向上に距離y1だけ移動してその偏心軸部53で押し上げて前側のユニット保持部材45を垂直線Lに沿って上に移動することができ、(C)に示すように反時計方向に回動すると、偏心軸部53を垂直線Lの方向下に距離y2だけ移動してその偏心軸部53で押し下げて前側のユニット保持部材45を垂直線Lに沿って下に移動することができる。そして、いったん固定ねじ59を締め付けて後、取付ねじ63を締め付けて、この状態で画像形成を行ってレジストローラ21との平行度を確認する。
【0126】
平行度が十分に出ていないときは、取付ねじ63および固定ねじ59を緩めて再度偏心カム52を回動してユニット保持部材45を移動し、固定ねじ59を締め付けて後、取付ねじ63を締め付けて、再び画像形成を行ってレジストローラ21との平行度を確認する。この繰り返しにより、定着ユニット35の前側を上下に調整してレジストローラ21との平行度を完全に出す。なお、偏心軸部53を垂直線L方向に移動することで、ユニット保持部材45は、垂直線L方向にスムーズに移動させることができる。
【0127】
図11には、定着ユニット35が電磁誘導加熱方式である場合の例を示す。
この場合、定着ユニット35は、ユニット本体75と誘導加熱装置76とで構成する。ユニット本体75には、定着部材である定着ローラ77と加圧部材である加圧ローラ78とで定着ニップが形成され、その定着ニップに記録用紙Sを通すことによりその記録用紙S上の画像が定着される。定着ローラ77の周面には、誘導発熱層が設けられている。なお、この例では、定着部材として定着ローラ77を用いるが、表面に誘導発熱層を有する図2に示すような定着ベルト38を使用してもよい。また、加圧部材として加圧ローラ78を用いるが、回転しない加圧パッドでもよい。なお、図11中において付したその他の符号は、図10の対応部分において付した符号をそのまま使用してなる。
【0128】
この電磁誘導加熱方式の定着ユニット35を用いた場合にも、定着ユニット35の重心Gは、本体構造体40の第1側板42の上下2つの突起61により挟まれた位置とされ、ガイド溝51およびガイド突起61は、ともに定着ユニット35の重心G位置を通る垂直線L上に設けられる。
【0129】
図12には、その電磁誘導加熱方式の定着ユニット35の外観を示す。
定着ユニット35のユニット本体75の前側および後側には、各々主基準突起70と軸状の従基準突起71とが間隔をあけてそれぞれ前方または後方に向けて突出して設けられている。また、上向きに取手72が形成されている。そして、取手72を持って同様に取り付けられ、定着ユニット35が前後のユニット保持部材45、46間に挿入されて、本体構造体40の第1側板42と第2側板43とで支持されて複写機本体1に取り付けられる。
【0130】
ところで、定着ユニット35は、連結部材80を用いて、ユニット本体75と誘導加熱装置76とが連結されている。
【0131】
図13には、その連結部材80の形状とその取り付けを示す。
連結部材80は、折曲プレート79に位置決めピン81を立てるとともに、ねじ挿通孔82をあけてなり、ねじ挿通孔82に取付ねじ83を挿入してユニット本体75に固定される。そして、位置決めピン81の先端を誘導加熱装置76の筐体84の位置決め孔85(図14参照)に挿入して、ユニット本体75に対して位置決めピン81を中心として揺動自在に誘導加熱装置76が取り付けられ、不図示の付勢部材により誘導加熱装置76を付勢してユニット本体75に押し付けられている。これにより、記録材の詰まり等で取り外したユニット本体75を再び複写機本体1に取り付けるときも、誘導加熱装置76との位置関係を確実に維持することができる。
【0132】
図14には、誘導加熱装置76の外観を示す。
誘導加熱装置76には、筐体84内に加熱コイル(図19の符号93)が備えられている。そして、加熱コイルに通電して磁力を発生し、電磁誘導により定着ローラ77の誘導発熱層を発熱することにより定着ローラ77が加熱されるようになっている。筐体84の前側には、気流取入れ口86が設けられ、またその上には上述の位置決め孔85があけられている。また、筐体84の後側には、位置決め孔85と対応する位置に位置決めピン87が立てられている。そして、位置決めピン87は、後側のユニット保持部材46の位置決め孔に挿入して、誘導加熱装置76は、位置決めピン81と位置決めピン87を中心として揺動自在に支持される。
【0133】
図15には前側のユニット保持部材45を外側から見て示し、図16には内側から見て示す。
この例の前側のユニット保持部材45も、上述した例の図4および図5に示す前側のユニット保持部材45と同様に、長いストレートな主基準係合溝47と、短い従基準係合溝48とが互いに平行に形成されている。また、従基準係合溝48位置には、抜け止めレバー73が、基端側を支点として先端側が図示するごとく重力に抗して上方へと回動可能に設けられている。さらに、この例では、気流の取り込み孔88が形成され、そのまわりに矩形枠状のファン保持形状89が形成されている。
【0134】
図17には、定着ユニット35を、前側のユニット保持部材45と後側のユニット保持部材46間に取り付けた状態を示す。
図18には、前側のユニット保持部材45のファン保持形状89に冷却ファン90を取り付けた状態を示す。
【0135】
図19には、冷却ファン90を用いた冷却装置91の概略構成を示す。
図示するように、第1側板(前側板)42の前側には、前側のユニット保持部材45が取り付けられ、そのファン保持形状89に冷却ファン90が取り付けられる。第1側板42の内面には、シール部材92を挟んで誘導加熱装置76の前側が押し当てられる。誘導加熱装置76内には、加熱コイル93が収納され、また気流路94が形成されている。誘導加熱装置76の後側は、シール部材95を挟んで第2側板(後側板)43に押し当てられる。第2側板43には、後側のユニット保持部材46が取り付けられ、そのユニット保持部材46に排気ダクト96が接続される。
【0136】
そして、誘導加熱装置76の稼動時に、冷却ファン90が駆動されて外気を前側のユニット保持部材45の取り込み孔88からユニット保持部材45と第1側板42との間に入れ、第1側板42の気流口97から誘導加熱装置76の筐体84の前側の気流取り入れ口86を通して気流路94に取り込み、気流路94を通して、誘導加熱装置76の筐体84の後側の気流排出口98から出し、第2側板43の排気口99から後側のユニット保持部材46の排気孔100を通して排気ダクト96内に排出し、誘導加熱装置76の加熱コイル93を冷却して定着ローラ77の発熱効率が落ちないようにする。
【0137】
なお、図示例では、冷却ファン90として、誘導過熱装置76の気流路94に外気を吹き込む吸気ファンを用いるが、誘導過熱装置76の気流路94から排気する排気ファンを用いてもよいし、吸気ファンと排気ファンの両方を用いるようにしてもよい。また、軸流ファンを用いたが、図20や図21に示す冷却ファン90のようにシロッコファンを用いてもよい。
【0138】
図22には、別の電磁誘導加熱方式の定着ユニット35がユニット保持部材45、46により保持されている状態を示す。
【0139】
図示するとおり、前側のユニット保持部材45と後側のユニット保持部材46により、誘導加熱装置76を有する定着ユニット35が保持されている。前側のユニット保持部材45には、冷却ファン90を保持するファン保持形状89が形成されており、誘導加熱装置76の筐体84内の後述する第1気流路102に通ずるダクト形状102Aと、誘導加熱装置76の筐体84外の後述する第2気流路103に通ずるダクト形状103Aとが形成されて、効率よく空気が流れるようにされる。
【0140】
図23には、図22に示す定着ユニット35の誘導加熱装置76の電気的構成を示す。
図示するように、加熱コイル93は、筐体84内に、記録材幅方向に巻き付けて備えられており、両端が各々、筐体84外に設置する加熱コイル専用電源105に接続されている。そして、加熱コイル専用電源105により高周波AC電圧が印加されて加熱コイル93に磁力を発生し、電磁誘導により定着ローラ77の誘導発熱層を発熱する。
【0141】
また、筐体84内の記録材の最小通紙幅を除いた部分には、3つ以上でもよいが、この例では2つの消磁コイル106が設置されている。これらの消磁コイル106は、筐体84外で、リレー107を介してI/O基板108に接続されている。そして、例えば、定着を行う記録材が最小通紙幅の記録材である場合には、I/O基板108でリレー107がオンされ、加熱コイル93に磁力を発生するとともにその磁力で電磁誘導により消磁コイル106に電流を発生し、その電流により加熱コイル93で発生する磁束を弱めて誘導発熱層の発熱をなくし、紙サイズに合わせて定着ローラ77の発熱幅が狭くされる。
【0142】
一方、定着を行う記録材が幅の大きな記録材である場合には、I/O基板108よりDC電圧が印加されてリレー107がオフされることにより消磁コイル106に電流の発生をなくし、紙サイズに合わせて発熱幅が大きくされる。
【0143】
図24には、誘導加熱装置76の外観を示す。
図示するように、誘導加熱装置76には、筐体84内に加熱コイル93および消磁コイル106が設置され、筐体84外にはリレー107がブラケット110上に載せて設置されている。そして、筐体84内には、点線矢印方向に空気が流れて、加熱コイル93および消磁コイル106を冷却する第1気流路102が設けられ、筐体84外には、実線矢印方向に空気が流れて、リレー107を冷却してその機能低下を防止する第2気流路103が設けられている。なお、上述した例と同様に、図中符号77は誘導発熱層を有する定着ローラ、78は加圧ローラであり、90は冷却ファンである。
【0144】
図25には、冷却装置91の構成を示す。
前側のユニット保持部材45のファン保持形状89に取り付けた冷却ファン90が駆動されると、外気を取り込んで、ダクト形状102Aから筐体84内に入れ、第1気流路102を通って、加熱コイル93および消磁コイル106に吹き付けてそれらを冷却後、反対側から排出される。また、ダクト形状103Aから筐体84の外面に沿う第2気流路103を通ってリレー107に吹き付けてそれらを冷却後、反対側から排出される。
【0145】
図26には、複写機本体1に対する定着ユニット35の取り付け状態を示す。
定着ユニット35を取り付けたとき、シール部材112、113を介してステー114に押し当てる。ステー114は、上述した前側板42と後側板43間に掛け渡して設けられている。そして、筐体84とステー114とで囲んでシール部材112、114でシールし、第2気流路103を形成する空間が設けられている。
【0146】
さて、この図22〜26で示す例でも、冷却ファン90として空気の取り込み口側に吸気ファンを設けるが、筐体84内や複写機本体1内の温度状況によっては、排気口側に排気ファンを設けてもよい。また、空気取り込み口側に吸気ファンを、排気口側に排気ファンをともに設けるようにしてもよい。
【0147】
ところで、近年、オフィスの省スペース化が進み、画像形成装置の小型化が求められており、複写機として今日上述したような縦搬送方式のものが主流となってきている。このような方式の画像形成装置では、記録材である記録用紙Sの詰まりは、多くの場合、図2に示すレジストローラ21と定着ユニット35間で起こり、そのときは両面装置7の上方を開いて記録用紙Sの除去作業を行っている。両面装置7を開いた際は、定着ユニット35の定着ローラ36と加圧ローラ39との圧接を解除する機構となっており、記録用紙Sの除去作業は、定着ユニット35の上方にはみ出た記録用紙Sを上方に引き出すことにより行っている。
【0148】
しかし、加熱ローラ37を有する定着ユニット35には熱がこもっており、またその熱により本体構造体40の定着ユニット35付近の部分や、定着ユニット35の上方に設けられている搬送ローラ23などが高温となっており、定着ユニット35に挟まっている記録用紙Sを取り除く際にそれらに触れるおそれがあって、やけどなどの注意が必要となっていた。
【0149】
そこで、上述したような縦搬送方式の複写機では、定着ユニット35や本体構造体40や搬送ローラ23などに手を触れることなく、ジャムした記録用紙Sを容易に取り出すことができるように、外装カバーを兼ねる両面装置7を開いて複写機本体1から定着ユニット35を外部に引き出せるようにしている。図27には、複写機本体1に対して両面装置7を開いた状態を、複写機本体1の正面から見て示す。
【0150】
図28には、複写機本体1から定着ユニット35を引き出せるようにした場合の本体構造体40の第1側板42側の構成の一例を示す。
この例でも、上述した例と同様に、第1側板42には、前側のユニット保持部材45を取り付け、その前側のユニット保持部材45には、定着ユニット35の引き出しを案内するガイド形状として長いストレートな主基準係合溝47と、短い従基準係合溝48とを平行に形成している。
【0151】
さて、この例で、前側のユニット保持部材45には、主基準係合溝47の入口下に、溝奥に向けて若干低くなる小さな段差45aを設けて、ストッパ部材120の取付台45bを上向きに形成し、その取付台45bの外端側に挿入溝45cを正面側に向けて開放するように設ける。また、その挿入溝45c外端側の端縁45dには、止め具121を取り付ける止め具溝45eを、同じく正面側に向けて開放するように設ける。
【0152】
ストッパ部材120は、細長板材を長さ方向に階段状に折り曲げた形状をなし、ねじ孔120aを有する取付板部120bと、それから直角に曲げた載置板部120cと、それから再び直角に曲げてから載置板部120cと平行に曲げる「く」の字形状のストッパ板部120dとからなり、ストッパ板部120dの片側からは垂れ下げて側板部120eを設けている。一方、止め具121は、ツマミ部121aと、ねじ部121bとからなる。
【0153】
図29には、前側のユニット保持部材45に止め具121を用いてストッパ部材120を取り付けた状態を示す。
ストッパ部材120は、正面側から挿入溝45cに取付板部120bを挿入してその取付板部120bを端縁45dの内側に位置するとともに、取付台45b上に載置板部120cを載せ、主基準係合溝47の入口にストッパ板部120dを位置して側板部120eの下端一側を段差45aに当てて前側のユニット保持部材45に取り付けることができるようになっている。そして、止め具溝45eに止め具121のねじ部121bを挿入してねじ孔120aにねじ込み、止め具121でストッパ部材120を確実に固定することができるようにする。
【0154】
図30には、複写機本体1から定着ユニット35を引き出せるようにした場合の本体構造体40の第2側板43側の構成の一例を示す。
上述した例と同様に、第1側板42の前側のユニット保持部材45と対応して、第2側板43には、後側のユニット保持部材46を取り付け、その後側のユニット保持部材46には、前側のユニット保持部材45の主基準係合溝47と対応して長いストレートな主基準係合溝65と、従基準係合溝48と対応して短い従基準係合溝66とを平行に形成している。
【0155】
後側のユニット保持部材46には、前側のユニット保持部材45と多少形状が異なるが、同様に、主基準係合溝65の入口下に、溝奥に向けて若干低くなる小さな段差46aを設けて、ストッパ部材122の取付台46bを上向きに形成し、その取付台46bの外端側に挿入溝46cを正面側に向けて開放するように設ける。また、その挿入溝46c外端側の端縁46dには、止め具123を取り付ける止め具溝46eを、上方に向けて開放するように設ける。
【0156】
ストッパ部材122は、前側のストッパ部材120と形状が異なるが、同様に、細長板材を折り曲げた形状をなし、ねじ孔122aを有する取付板部122bと、それから直角に曲げた細長な載置板部122cと、それから若干傾斜後に再びまっすぐにのばすストッパ板部122dとからなり、ストッパ板部120dの両側からは垂れ下げて側板部122eを設けている。一方、止め具123は、前側の止め具121とまったく同様に、ツマミ部123aと、ねじ部123bとからなる。
【0157】
図31には、後側のユニット保持部材46に止め具123を用いてストッパ部材122を取り付けた状態を示す。
ストッパ部材122は、正面側から挿入溝46cに取付板部122bを挿入してその取付板部122bを端縁46dの内側に位置するとともに、取付台46b上に載置板部122cを載せ、主基準係合溝65の入口にストッパ板部122dを設けて側板部122eの下端一側を段差46aに当てて後側のユニット保持部材46に取り付けることができるようになっている。そして、止め具溝46eに止め具123のねじ部123bを挿入してねじ孔122aにねじ込み、止め具123でストッパ部材122を確実に固定することができるようにする。
【0158】
図32には、この例で用いる定着ユニット35を示す。
図示するように、定着ユニット35は、細長な筐体124の不図示の底部に画像転写後の記録用紙Sの記録材挿入口をあけ、頂部に記録材排出口125をあける。右側面には、前側と後側に間隔をあけて取っ手126を設けている。また、前側および後側の側面には、図9に示す定着ユニット35と同様に、定着ユニット35の引き出しを案内するガイド形状として主基準突起70と従基準突起71とを設ける。他方、筐体124の内部には、ローラ内部やローラ周囲に熱源を有する定着ローラ127に加圧ローラ128を圧接して定着ニップNを形成している。
【0159】
図33には、第1側板42の前側のユニット保持部材45と第2側板43の後側のユニット保持部材46間への定着ユニット35の取り付け状態を示す。
図32に示す定着ユニット35は、取っ手126を両手で持って、前側では、定着ユニット35の前側の主基準突起70を前側のユニット保持部材45の主基準係合溝47に、従基準突起71を従基準係合溝48に各々挿入し、また後側では、定着ユニット35の後側の主基準突起70を後側のユニット保持部材46の主基準係合溝65に、従基準突起71を従基準係合溝66に各々挿入する。
【0160】
図34には、前後のユニット保持部材45、46間への定着ユニット35の取り付け後の状態を示す。
図33に示すように、前後の主基準突起70を前後のユニット保持部材45、46の主基準係合溝47、65に、前後の従基準突起71を前後の従基準係合溝48、66にそれぞれ挿入した定着ユニット35を平行移動し、それらの主基準突起70および従基準突起71をそれぞれ主基準係合溝47、65および従基準係合溝48、66の溝奥に突き当てて、図示する位置で定着ユニット35を位置決めする。
【0161】
その後、前側のユニット保持部材45の主基準係合溝47の入口に、図29に示すように止め具121を用いてストッパ部材120を取り付け、後側のユニット保持部材46の主基準係合溝65の入口に、図31に示すように止め具123を用いてストッパ部材122を取り付ける。なお、止め具121、123は、各々ツマミ部121a、123aを持って簡単にまわすことができるトルクでねじ込んむようにする。
【0162】
図35には、記録用紙Sがジャムしたときに複写機本体1から定着ユニット35を引き出した状態を示す。
この例で、記録用紙Sが通紙途中で紙詰まりを起こしてしまった場合には、図27に示すように両面装置7を下方を支点として回動して上方を外向きに開き、取っ手126を持って定着ユニット35をその長手方向と直交する方向に、前後の主基準係合溝47、65および従基準係合溝48、66で案内してスライドし、図35に示すように引き出す。
【0163】
図36(A)には、定着ユニット35を引き出す前の、前側の主基準突起70とストッパ部材120との位置関係を示し、(B)には、引き出し後のそれらの位置関係を示す。
定着ユニット35を引き出す前には、図36(A)に示すように前側の主基準突起70とストッパ部材120とは離れた位置にあるが、引き出したときには、(B)に示すように前側の主基準突起70がストッパ部材120のストッパ板部120dおよび側板部120eに突き当たる。なお、図示省略するが、定着ユニット35の後側の主基準突起70とストッパ部材122もはじめ離れた位置にあるが、引き出したとき、後側の主基準突起70がストッパ部材122のストッパ板部122dおよび側板部122eに突き当たるようになっている。
【0164】
このとき、前後の主基準突起70を突き当てる側板部120e、122eの下端一側を図29、31に示すように段差45a、46aに当てるとともに、主基準突起70およびストッパ部材120、122を端面同士で互いにせん断方向の力が加わるように当てるので、ともに突き当てたときの変形を少なくし、定着ユニット35を強い力で引き出して主基準突起70をストッパ部材120、122に多少の衝撃を持って突き当てたとしても問題を生じないようにしている。
【0165】
そして、主基準突起70をストッパ部材120、122に突き当てる位置まで定着ユニット35を引き出したときには、図35に示すように定着ユニット35の定着ニップNが複写機本体1の外装面130よりも外側に位置するようにする。または、定着ユニット35の記録材排出口125が、外装面130よりも外側に位置するようにしてもよい。このようにすると、複写機本体1の外装面130が邪魔にならず、しかも定着ユニット35、その熱によって高温となった本体構造体40部分や排紙ユニットや搬送ローラなどに手を触れることなく、安心かつ容易に記録用紙Sの取り出しを行うことができる。
【0166】
ところで、主基準突起70をストッパ部材120、122に突き当てる位置まで定着ユニット35を引き出したとき、それ以上の定着ユニット35の引き出しは阻止され、複写機本体1から定着ユニット35を取り出すことはできない。定着ユニット35を取り出す場合には、両面装置7を開いたときに露出している止め具121、123を外して定着ユニット35をさらに引き出し、前後の主基準係合溝47、65および従基準係合溝48、66に係合している主基準突起70および従基準突起71を外す。
【0167】
なお、図示例では、止め具121、123をねじ止めしてストッパ部材120、122を固定したが、止め具をパッチン止めなどで取り付けてストッパ部材を固定するようにしてもよい。工具を使用することなく、操作者が簡単に取り付け取り外しできるようにすることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】電子写真式画像形成装置の一例であるカラー複写機の外観図である。
【図2】そのカラー複写機の内部構成図である。
【図3】そのカラー複写機の複写機本体の骨組みを構成する本体構造体の斜視図である。
【図4】その前側のユニット保持部材の取付部分を外側から見て拡大して示す斜視図である。
【図5】内側から見て拡大して示す斜視図である。
【図6】(A)ないし(C)は、前側のユニット保持部材を移動調整する偏心カムの回動状態を示す図である。
【図7】前側のユニット保持部材を内側から見て示す斜視図である。
【図8】その取付部分を内側から見て拡大して示す斜視図である。
【図9】図1に示すカラー複写機に備える定着ユニットの外観斜視図である。
【図10】定着ユニットが、前後のユニット保持部材を介して本体構造体の第1側板と第2側板とで支持されているときの状態を示す図である。
【図11】その定着ユニットが電磁誘導加熱方式の場合である他例を示す図である。
【図12】その他例の定着ユニットの外観斜視図である。
【図13】その他例で用いる連結部材の形状とその取り付けを示す斜視図である。
【図14】その定着ユニットの誘導加熱装置の斜視図である。
【図15】その他例の前側のユニット保持部材を外側から見て示す斜視図である。
【図16】内側から見て示す斜視図である。
【図17】定着ユニットを、前側のユニット保持部材と後側のユニット保持部材間に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図18】前側のユニット保持部材のファン保持形状に冷却ファンを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図19】冷却ファンを用いた冷却装置の概略構成図である。
【図20】冷却ファンとしてシロッコファンを用いた場合の斜視図である。
【図21】同じくシロッコファンを用いた場合の他例の斜視図である。
【図22】別の電磁誘導加熱方式の定着ユニットがユニット保持部材により保持されている状態を示す斜視図である。
【図23】図22に示す定着ユニットの誘導加熱装置の電気的構成図である。
【図24】その誘導加熱装置の外観斜視図である。
【図25】その誘導加熱装置に設ける冷却装置の概略構成図である。
【図26】その定着ユニットの複写機本体に対する取り付け状態図である。
【図27】両面装置を開いた状態の複写機本体の正面図である。
【図28】複写機本体から定着ユニットを引き出せるようにした場合における本体構造体の第1側板側の構成の一例を示す斜視図である。
【図29】前側のユニット保持部材に止め具を用いてストッパ部材を取り付けた状態における本体構造体の第1側板側の構成を示す斜視図である。
【図30】複写機本体から定着ユニットを引き出せるようにした場合における本体構造体の第2側板側の構成の一例を示す斜視図である。
【図31】後側のユニット保持部材に止め具を用いてストッパ部材を取り付けた状態における本体構造体の第2側板側の構成を示す斜視図である。
【図32】図28〜図31で示すカラー複写機で用いる定着ユニットの外観斜視図である。
【図33】第1側板の前側のユニット保持部材と第2側板の後側のユニット保持部材間への定着ユニットの取り付け状態を示す図である。
【図34】前後のユニット保持部材間への定着ユニットの取り付け後の状態を示す図である。
【図35】記録用紙がジャムしたときに複写機本体から定着ユニットを引き出した状態を示す図である。
【図36】(A)は、定着ユニットを引き出す前の、前側の主基準突起とストッパ部材との位置関係を示し、(B)は、引き出し後のそれらの位置関係を示す図である。
【符号の説明】
【0169】
1 複写機本体(画像形成装置本体)
7 両面装置(外装カバー)
35 定着ユニット(着脱ユニット)
38 定着ベルト(定着部材)
39 加圧ローラ(加圧部材)
40 本体構造体
42 第1側板(前側板)
43 第2側板(後側板)
45 前側のユニット保持部材
46 後側のユニット保持部材
47 主基準係合溝(ガイド形状)
48 従基準係合溝(ガイド形状)
51 ガイド溝
52 偏心カム(移動調整部材)
53 偏心軸部
56 回動中心軸部
61 ガイド突起
65 主基準突起(ガイド形状)
66 従基準突起(ガイド形状)
76 誘導加熱装置
77 定着ローラ(定着部材)
78 加圧ローラ(加圧部材)
91 冷却装置
93 加熱コイル
120 ストッパ部材
121 止め具
122 ストッパ部材
123 止め具
125 記録材排出口
130 外装面
G 重心
L 垂直線
M 回転中心軸部と偏心軸部との互いの中心を結ぶ線
N 定着ニップ
S 記録用紙(記録材)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体の骨組みを構成する本体構造体と、
その本体構造体の第1側板との間に、一方にガイド溝または長孔を設け、他方にそのガイド溝または長孔の幅方向には余裕なくそれに係合するガイド突起を形成し、そのガイド突起と前記ガイド溝または長孔とを係合して、前記第1側板に前記ガイド溝または長孔の長さ方向に移動調整自在に取り付けるユニット保持部材と、
そのユニット保持部材で位置決め保持して前記第1側板とそれに対向する前記本体構造体の第2側板との間で支持する着脱ユニットと、
前記本体構造体に対して前記ユニット保持部材を、前記ガイド溝の長さ方向に移動調整する移動調整部材とを備えてなり、
前記移動調整部材が前記ユニット保持部材に係合する係合位置を、前記着脱ユニットの重心位置を通る垂直線上に設けてなることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
前記第1側板が、前記画像形成装置本体の操作者側に設ける前側板であり、前記第2側板が、その前側板に対向する後側板であり、その後側板を、前記着脱ユニットへの駆動伝達側としてなることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2側板に取り付けて前記着脱ユニットの駆動伝達側を支持する後側のユニット保持部材を設けてなることを特徴とする、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1側板に絞り加工により一体で前記ガイド突起を形成する一方、前記ユニット保持部材に前記ガイド溝または長孔を形成してなることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ガイド溝または長孔、および前記ガイド突起を、ともに前記着脱ユニットの重心位置を通る垂直線上に設けてなることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記着脱ユニットが、定着部材と加圧部材とで定着ニップを形成してその定着ニップに記録材を通すことによりその記録材上の画像を定着する定着ユニットであることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記定着ニップに記録材を通す方向と、前記ユニット保持部材を移動調整する方向とを同方向としてなることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記定着ユニットが、誘導加熱装置の加熱コイルに通電して前記定着部材の誘導発熱層を発熱することにより前記定着部材を加熱する電磁誘導加熱方式であることを特徴とする、請求項6または7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記誘導加熱装置に、前記加熱コイルの磁力で電磁誘導により電流を発生してその電流により前記加熱コイルで発生する磁束を弱める消磁コイルと、その消磁コイルの電流の発生をオンオフ制御するリレーとが備えられていることを特徴とする、請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記定着ユニットの誘導加熱装置を冷却する冷却装置を備えてなることを特徴とする、請求項8または9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記冷却装置が、前記定着ユニットを保持する前記ユニット保持部材で冷却ファンを保持していることを特徴とする、請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記誘導加熱装置に、前記加熱コイルおよび前記消磁コイルを冷却する第1気流路と、前記リレーを冷却する第2気流路とが設けられていることを特徴とする、請求項10または11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記第2気流路が、前記誘導加熱装置の筐体と、前記第1側板と前記第2側板とに掛け渡したステーとの間に形成されていることを特徴とする、請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記冷却ファンが、外気を吸い込む吸気ファンであることを特徴とする、請求項11ないし13のいずれか1に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記冷却ファンが、空気を外部に排出する排気ファンであることを特徴とする、請求項11ないし13のいずれか1に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記冷却ファンとして、空気の取り込み口側に吸気ファンを、排気口側に排気ファンをともに設けていることを特徴とする、請求項11ないし15のいずれか1に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記移動調整部材が、前記第1側板に回動自在にはめ付けることにより係合する回動中心軸部と、その回動中心軸部に対して偏心して設け、前記ユニット保持部材に回動自在にはめ付けることにより係合する偏心軸部とを有する偏心カムであることを特徴とする、請求項1ないし16のいずれか1に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記回動中心軸部と前記偏心軸部との互いの中心を結ぶ線が、前記垂直線と直角に交わることを特徴とする、請求項17に記載の画像形成装置。
【請求項19】
前記定着ユニットを画像形成装置本体に対して引き出し可能に備え、前記定着ニップが画像形成装置本体の外装面の外に出たところで、前記定着ユニットが突き当たって止まるストッパ部材を備えることを特徴とする、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項20】
前記定着ユニットを画像形成装置本体に対して引き出し可能に備え、前記定着ユニットの記録材排出口が画像形成装置本体の外装面の外に出たところで、前記定着ユニットが突き当たって止まるストッパ部材を備えることを特徴とする、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項21】
前記定着ユニットをその長手方向と直角な方向に引き出し可能に備えることを特徴とする、請求項19または20に記載の画像形成装置。
【請求項22】
前記定着ユニットと前記ユニット保持部材とに、互いに係合して前記定着ユニットの引き出しを案内するガイド形状を形成することを特徴とする、請求項19ないし21のいずれか1に記載の画像形成装置。
【請求項23】
前記ガイド形状の係合終端位置に前記ストッパ部材を備えることを特徴とする、請求項22に記載の画像形成装置。
【請求項24】
前記定着ユニットを前記ストッパ部材に突き当てたとき、それらに互いにせん断方向の力が加わるようにしたことを特徴とする、請求項19ないし23のいずれか1に記載の画像形成装置。
【請求項25】
前記ストッパ部材を、止め具をねじ付けて固定する構造となっていることを特徴とする、請求項19ないし24のいずれか1に記載の画像形成装置。
【請求項26】
画像形成装置本体の外装カバーを開放したとき、前記ストッパ部材の止め具が露出する構造となっていることを特徴とする、請求項19ないし25のいずれか1に記載の画像形成装置。
【請求項27】
画像形成装置本体の骨組みを構成する本体構造体と、定着ユニットを位置決め保持するユニット保持部材とのいずれか一方にガイド溝または長孔を設け、他方にそのガイド溝または長孔の幅方向には余裕なくそれに係合するガイド突起を形成して、そのガイド突起と前記ガイド溝または長孔とを係合してそのガイド溝または長孔の長さ方向に移動調整自在に前記ユニット保持部材を取り付け、
前記本体構造体に回動自在にはめ付けることにより係合する回動中心軸部と、その回動中心軸部に対して偏心して設け、前記ユニット保持部材に回動自在にはめ付けることにより係合する偏心軸部とを有する偏心カムよりなる移動調整部材を、その偏心軸部が、前記定着ユニットの重心位置を通る垂直線上で、前記ユニット保持部材に係合するように設けてなる、
ことを特徴とする、画像形成装置の定着ユニット支持方法。
【請求項28】
請求項27に記載の定着ユニット支持方法において、前記移動調整部材を回動して、前記本体構造体に対して前記ユニット保持部材を前記ガイド溝の長さ方向に移動調整することを特徴とする、画像形成装置の定着ユニット移動調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2009−42735(P2009−42735A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−57251(P2008−57251)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】