説明

画像形成装置、プログラム、コンピュータ読み取り可能な記録媒体、画像形成システム、画像形成装置の制御方法

【課題】カウント値が上限に達して余分に画像形成が行われてしまうのを抑制することのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】複合機100は、カウント値が上限値を超えない範囲で出力が可能な装置であり、上限値記憶部115に格納された上限値とカウント値記憶部117に格納されたカウント値との差を算出する算出部111と、算出部111によって算出された差が閾値よりも大きい場合には、複数枚の記録用紙に対して同時に画像形成を行うように画像形成エンジン20を制御するとともに、算出部111によって算出された差が閾値以下である場合には、記録用紙に対して1枚ずつ画像形成を行うように画像形成エンジン20を制御するエンジン制御部107とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、より詳細には、カウント値が上限値を超えない範囲で画像形成可能な画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、多くのコンビニエンスストア等の店頭には複写機が設置され、訪れた利用者が気軽に複写処理を行えるようになっている。通常、このような複写機には、ユーザに対して複写処理の対価を請求するための料金管理装置が備わっており、ユーザは、複写処理を行う前にこの料金管理装置に料金を投入することで、投入した料金の範囲内で複写処理を行うことができる。そして、複写処理を行った量がユーザの投入した料金に見合う量を超過すると、複写処理が自動的に停止される。
【0003】
このように利用制限が可能な画像形成装置が例えば特許文献1,2に開示されている。
【特許文献1】特開2002−55576号公報(平成14年2月20日公開)
【特許文献2】特開2002−196918号公報(平成14年7月12日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像形成装置は、高速処理を行った場合に、上限枚数で適切に画像形成処理を停止できないおそれがあるという問題を有している。
【0005】
画像形成プロセスは通常、大きく分類して、給紙トレイから記録用紙を取得する給紙プロセス、感光体上に形成されたトナー像を記録用紙に付着(転写)させる転写プロセス、紙に付着したトナー像を熱および圧力で定着させる定着プロセス、定着が行われた記録用紙を排紙トレイに排出する排紙プロセスにより構成される。これらの各プロセスは別々に行われ、一般に高速出力機能を有する画像形成装置では、ある記録用紙に対して上記の何れかのプロセスが行われている最中に、他の記録用紙に対して別のプロセスが行われるマルチプロセス処理がなされるのが一般的である。これにより、高速な画像形成装置では100PPM以上の速度で出力が可能となっている。
【0006】
例えば、高速出力処理が可能なある画像形成装置において、複数の記録用紙に対して下記の表1に示す処理が同時に行われているとする。
【0007】
【表1】

【0008】
このような複数のプロセスが同時に実行される画像形成装置において出力制限を行う場合、次の様な問題が発生する。通常、記録用紙の出力枚数のカウントは排紙プロセスが完了した時点で行われるが、この時点で出力上限値に達していることを検知し、直ちに出力制限をかけたとしても、すでに後続の記録用紙に対して各種プロセスが実行されているため、直ちに出力を停止させることができないのである。上記の表1の例を用いると、少なくとも3枚の記録用紙に対して余分な画像形成が行われてしまう。
【0009】
そのため、従来の画像形成装置では、シングルプロセス処理、すなわちある記録用紙に対して画像が形成され、その用紙の排紙が完了するまで、次の記録用紙に対する画像形成を待機するなどの対応を取る必要があり、画像形成の速度を遅くせざるをえなかった。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、カウント値が上限に達して余分に画像形成が行われてしまうのを抑制することのできる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明に係る第1の画像形成装置は、ジョブの実行命令を受け付けると、シートに対して順次画像形成を行う画像形成部であって複数枚のシートに対して同時に画像形成を行うことが可能な画像形成部を備えた画像形成装置であって、カウント値を格納するカウント値記憶部と、上記カウント値の上限値を格納する上限値記憶部と、上記画像形成部が画像形成を行うたびに、上記カウント値記憶部に格納されたカウント値を増加させる更新手段と、上記上限値記憶部に格納された上限値と上記カウント値記憶部に格納されたカウント値との差を算出する算出手段と、上記算出手段によって算出された差が正の閾値よりも大きい場合には、a枚(ただしaは2以上の整数)のシートに対して同時に画像形成を行うように上記画像形成部を制御し、上記算出手段によって算出された差が0よりも大きくかつ上記閾値以下である場合には、上記a枚よりも少ないb枚のシートに対して同時に画像形成を行うように上記画像形成部を制御し、上記算出手段によって算出された差が0または負である場合には、上記画像形成部が新たなシートに対して画像形成を開始することを禁止する制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る第1の画像形成装置は、より具体的には、カウント値が上限に達し画像形成を停止させた際に、余分に出力されるシートの枚数を少なくとも低減させることのできる画像形成装置を提供することを目的としている。
【0013】
本発明において、カウント値とは、例えば画像形成に使用した記録用紙の枚数もしくはトナー量、または画像形成の代金など、画像形成を行うに連れて増加する値であればよく、画像形成装置は、上記カウント値が上記上限値を超えない範囲で画像形成部が画像形成を行うことができる。
【0014】
ここで、上記構成によれば、算出手段によって、カウント値と上限値との差が算出されるので、カウント値がどの程度上限値に近づいているかを知ることができる。そして、制御部によって、画像形成部は、差の値が閾値よりも大きい場合、換言すればカウント値が上限値から離れている場合には、a枚(ただしaは2以上の整数)のシートに対して同時に画像形成を行うように制御され、差の値が閾値以下の場合、換言すればカウント値が上限値に近づいた場合には、a枚よりも少ないb枚のシートに対して同時に画像形成を行うように制御される。つまり、カウント値が上限値に近づいた時点で、同時に画像形成が行われるシートの枚数が低減される。それゆえ、カウント値が上限値に達して画像形成を停止させた際に、余分に出力されてしまうシートの枚数を低減させることができる。
【0015】
以上のように、本発明に係る第1の画像形成装置によれば、カウント値が上限に達して余分に画像形成が行われてしまうのを抑制することができる。
【0016】
なお、上記第1の画像形成装置は、上記b枚が1枚であることが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、カウント値が上限値に近づくと、シート1枚ずつに対して画像形成が行われるようになる。それゆえ、カウント値が上限値に達して画像形成を停止させた際に、確実に停止させることができ、余分にシートが出力されてしまうのを確実に防止することができる。
【0018】
また、上記カウント値は、上記画像形成部が画像形成を行ったシートの枚数であり、上記更新手段は、上記画像形成部が1枚のシートに対して画像形成を行うたびに、上記カウント値記憶部に格納されたカウント値を1だけ増加させるものであってもよい。
【0019】
上記構成によれば、画像形成に用いたシートの枚数に基づいて画像形成装置の利用制限を行うことができる。また、シートの枚数は、簡単なセンサによって検知できるため、計算による負荷が少なく、装置の速度低減率を抑制することができる。
【0020】
あるいは、上記カウント値は、上記画像形成部が画像形成に使用したトナーの量であり、上記更新手段は、上記画像形成部が1枚のシートに対して画像形成を行うたびに、該画像形成に使用したトナーの量だけ、上記カウント値記憶部に格納されたカウント値を増加させるものであってもよい。
【0021】
上記構成によれば、画像形成に用いたトナーの量に基づいて画像形成装置の利用制限を行うことができる。
【0022】
上記の課題を解決するために、本発明に係る第2の画像形成装置は、ジョブの実行命令を受け付けると、シートに対して順次画像形成を行う画像形成部を備えた画像形成装置であって、カウント値を格納するカウント値記憶部と、上記カウント値の上限値を格納する上限値記憶部と、上記画像形成部が画像形成を行うたびに、該画像形成に使用した資源の量に基づいて、上記カウント値記憶部に格納されたカウント値を増加させる更新手段と、上記上限値記憶部に格納された上限値と上記カウント値記憶部に格納されたカウント値との差を算出する算出手段と、上記算出手段によって算出された差が正の閾値よりも大きい場合には、第1の方法によってシートに対して画像形成を行うように上記画像形成部を制御し、上記算出手段によって算出された差が0よりも大きくかつ上記閾値以下である場合には、第2の方法によってシートに対して画像形成を行うように上記画像形成部を制御する制御手段とを備え、上記第2の方法は、上記第1の方法よりも、上記ジョブによって消費される上記資源の量が少ない方法であることを特徴とする。
【0023】
本発明に係る第2の画像形成装置は、より具体的には、カウント値が上限に達してジョブが中止または中断されてしまう頻度を少なくとも低減させることのできる画像形成装置を提供することを目的としている。
【0024】
本発明において、カウント値とは、例えば画像形成に使用した記録用紙の枚数もしくはトナー量、または画像形成の代金など、画像形成を行うに連れて増加する値であればよく、画像形成装置は、上記カウント値が上記上限値を超えない範囲で画像形成部が画像形成を行うことができる。
【0025】
ここで、上記構成によれば、算出手段によって、カウント値と上限値との差が算出されるので、カウント値がどの程度上限値に近づいているかを知ることができる。そして、差の値が閾値よりも大きい場合、換言すればカウント値が上限値から離れている場合には、第1の方法によって画像形成が行われる一方で、差の値が閾値以下の場合、換言すればカウント値が上限値に近づいた場合には、第2の方法によって画像形成が行われる。この第2の方法は、第1の方法よりも、資源の消費量が少ない方法となっているので、第1の方法から第2の方法に切り換えることにより、カウント値の上昇が抑制される。それゆえ、カウント値が上限に達してジョブが中止または中断されてしまう頻度を低減させることができる。
【0026】
以上のように、本発明に係る第1の画像形成装置によれば、カウント値が上限に達して余分に画像形成が行われてしまうのを抑制することができる。
【0027】
また、上記第2の画像形成装置は、原稿用紙を順次読み取る原稿読取部、および、外部の端末装置から画像データを順次受信する受信部のうちの少なくとも一方と、上記原稿読取部が原稿用紙を読み取って得た画像データ、および、上記受信部が外部の端末装置から受信した画像データのうちの少なくとも一方を格納する画像データ記憶部と、上記画像形成部が上記画像データ記憶部に格納された画像データに対応する画像を上記第1の方法によってシートに対して順次形成した場合に上記カウント値が上記上限値を上回るか否かを推定する推定手段とをさらに備え、上記画像形成部は、上記画像記憶部に格納された画像データに対応する画像をシートに対して順次形成するものであり、上記制御手段は、上記推定手段によって上記カウント値が上記上限値を上回ると推定された場合に、第3の方法によってシートに対して画像形成を行うように上記画像形成部を制御し、上記第3の方法は、上記第1の方法よりも、上記ジョブによって消費される上記資源の量が少ない方法であってもよい。
【0028】
上記構成によれば、推定手段によって、第1の方法によってシートに対して順次画像を形成した場合に、カウント値が上限値を上回るか否かを事前に推定することができる。そして、カウント値が上限値を上回ると推定された場合には、第3の方法によって画像形成が行われる。この第3の方法は、第1の方法よりも、資源の消費量が少ない方法となっているので、第1の方法から第3の方法に切り換えることにより、カウント値の上昇が抑制される。
【0029】
なお、上記カウント値は、上記画像形成部が画像形成を行ったシートの枚数であり、上記更新手段は、上記画像形成部が1枚のシートに対して画像形成を行うたびに、上記カウント値記憶部に格納されたカウント値を1だけ増加させ、上記第2の方法は、上記第1の方法よりも、上記ジョブによって消費されるシートの枚数が少ない方法であってもよい。
【0030】
上記構成によれば、画像形成に用いたシートの枚数に基づいて画像形成装置の利用制限を行うことができる。また、シートの枚数は、簡単なセンサによって検知できるため、計算による負荷が少なく、装置の速度低減率を抑制することができる。
【0031】
また、この場合、上記第1の方法は、シートの片面に対して画像形成を行う方法であり、上記第2の方法は、シートの両面に対して画像形成を行う方法であることが好ましい。
【0032】
上記構成によれば、カウント値と上限値との差が閾値以下となった時点で、シートの両面に対して画像形成が行われるように画像形成の方法が変更されるので、シートの消費枚数(すなわちカウント値の上昇)を抑制することができる。
【0033】
あるいは、上記カウント値は、上記画像形成部が画像形成に使用したトナーの量であり、上記更新手段は、上記画像形成部が1枚のシートに対して画像形成を行うたびに、上記カウント値記憶部に格納されたカウント値を、該画像形成に使用したトナーの量だけ増加させ、上記第2の方法は、上記第1の方法よりも、上記ジョブによって消費されるトナーの量が少ない方法であってもよい。
【0034】
上記構成によれば、画像形成に用いたトナーの量に基づいて画像形成装置の利用制限を行うことができる。
【0035】
また、上記カウント値は、ユーザに課金される金額であってもよい。
【0036】
上記構成によれば、画像形成の代金に基づいて画像形成装置の利用制限を行うことができる。
【0037】
また、第1および第2の画像形成装置は、上記上限値記憶部に格納される上限値を設定するための操作部を備えていることが好ましい。
【0038】
上記構成によれば、管理者などが一時的に上限値を引き上げるなどすることが可能になる。
【0039】
さらに、第1および第2の画像形成装置は、複数の原稿用紙を順次読み取る原稿読取部と、上記原稿読取部が原稿用紙を読み取って得た画像を格納する画像記憶部と、上記画像記憶部に格納された画像を解析し、上記画像形成部が上記第1の方法によって該画像をシートに対して順次形成した場合に上記カウント値が上記上限値を上回るか否かを推定する推定手段と、上記推定手段によって上記カウント値が上記上限値を上回ると推定された場合に、ユーザに対して通知を行う通知手段とをさらに備え、上記画像形成部は、上記画像記憶部に格納された画像をシートに対して順次形成するものであることが好ましい。
【0040】
上記構成によれば、推定手段によって、第1の方法によってシートに対して順次画像を形成した場合に、カウント値が上限値を上回るか否かを事前に推定することができる。そして、カウント値が上限値を上回ると推定された場合には、ユーザに対して事前に通知が行われるので、管理者などが操作部によって上限値を一時的に引き上げるなどの措置を取ることができる。従って、ジョブが中止されたり中断されたりするのを防止し、ジョブを継続することが可能になる。
【0041】
また、上記上限値記憶部は、ユーザごとに上記上限値を格納し、上記算出手段は、自機にジョブの実行命令を与えたユーザの上記上限値と、上記カウント値記憶部に格納されたカウント値との差を算出するものであってもよい。
【0042】
上記構成によれば、ユーザ単位で利用制限を施すことができる。
【0043】
また、上記第1および第2の画像形成装置は、ジョブの実行命令を受け付けると、管理装置から通信ネットワークを介して上記上限値を受信して上記上限値記憶部に格納する上限値受信手段と、ジョブの実行が完了すると、通信ネットワークを介して上記カウント値を上記管理装置に送信するカウント値送信手段とをさらに備えていてもよい。
【0044】
上記構成によれば、上限値を管理装置から受信するとともに、ジョブの実行によって増加したカウント値を管理装置へ通知するので、画像形成装置は上限値の管理を行う必要がなくなり、負荷が軽減される。さらに、上限値の管理を管理装置側で行うので、画像形成装置が複数存在するような場面において、管理装置による上限値の一括管理が可能になり、個々の画像形成装置ごとに管理を行う必要がなくなる。
【0045】
なお、上記上限値受信手段および上記カウント値送信手段は、HTML、XML、WMLおよびXHTMLからなるグループから選択された何れか1つのマークアップ言語によって記述されたデータコマンドによって、それぞれ上記上限値の受信、上記カウント値の送信を行うことが好ましい。
【0046】
上記構成によれば、汎用のマークアップ言語を用いるため、コマンドの生成が容易になる。
【0047】
さらに、上記上限値受信手段および上記カウント値送信手段は、HTTPおよびSOAPのうちの一方の通信プロトコルによって、それぞれ上記上限値の受信、上記カウント値の送信を行うことが好ましい。
【0048】
上記構成によれば、汎用の通信プロトコルを用いるため、コマンドの送受信が容易になる。
【0049】
さらに、上記上限値受信手段は、暗号化通信によって、上記管理装置から上記上限値を受信することが好ましい。暗号化通信としては、例えば、SSLなどを用いることができる。
【0050】
上記構成によれば、上限値の情報が外部に流出しないよう、セキュリティを向上させることができる。
【0051】
ところで、上記第1および第2の画像形成装置は、ハードウェアで実現してもよいし、プログラムをコンピュータに実行させることによって実現してもよい。具体的には、本発明に係るプログラムは、上記第1または第2の画像形成装置の各手段としてコンピュータを動作させるプログラムであり、本発明に係る記録媒体には、当該プログラムが記録されている。
【0052】
これらのプログラムがコンピュータによって実行されると、当該コンピュータは、上記画像形成装置の各手段として機能する。したがって、同様の効果を奏することができる。
【0053】
また、本発明に係る画像形成システムは、ジョブの実行命令を受け付けると、資源を使用しながら複数のシートに対して同時に画像形成を行う画像形成部を備えた画像形成装置と、通信ネットワークを介して該画像形成装置と通信できる管理装置とを含む画像形成システムであって、上記画像形成装置は、請求項13に記載の画像形成装置であり、上記管理装置は、上記上限値を格納するための上限値保持部と、上記画像形成装置のカウント値送信手段から通信ネットワークを介して上記カウント値を受信するカウント値受信手段と、上記カウント値受信手段が受信した上記カウント値に基づいて、上記上限値保持部に格納された上記上限値を更新する上限値更新手段と、上記上限値保持部に格納された上限値を、通信ネットワークを介して上記画像形成装置の上限値受信手段に送信する上限値送信手段とを備えていることを特徴とする。ここで、画像形成システムには複数の上記画像形成装置が含まれていることが好ましい。
【0054】
上記構成によれば、上述した画像形成装置を備えているので、カウント値が上限に達して余分に画像形成が行われてしまうのを抑制することのできる画像形成システムが実現する。また、利用制限の管理を管理装置が行うので、画像形成装置の負荷を軽減することができるとともに、複数の画像形成装置が存在するような場面において、利用制限の管理が容易になる。
【0055】
上記課題を解決するために、本発明に係る第1の画像形成装置の制御方法は、ジョブの実行命令を受け付けると、シートに対して順次画像形成を行う画像形成部であって複数枚のシートに対して同時に画像形成を行うことが可能な画像形成部と、カウント値を格納するカウント値記憶部と、上記カウント値の上限値を格納する上限値記憶部とを備えた画像形成装置の制御方法であって、上記画像形成部が画像形成を行うたびに、上記カウント値記憶部に格納されたカウント値を増加させる更新工程と、上記上限値記憶部に格納された上限値と上記カウント値記憶部に格納されたカウント値との差を算出する算出工程と、上記算出工程によって算出された差が正の閾値よりも大きい場合には、a枚(ただしaは2以上の整数)のシートに対して同時に画像形成を行うように上記画像形成部を制御し、上記算出手段によって算出された差が0よりも大きくかつ上記閾値以下である場合には、上記a枚よりも少ないb枚のシートに対して同時に画像形成を行うように上記画像形成部を制御し、上記算出手段によって算出された差が0または負である場合には、上記画像形成部が新たなシートに対して画像形成を開始することを禁止する制御工程とを含んでいることを特徴とする。
【0056】
本発明に係る第1の画像形成装置の制御方法は、より具体的には、カウント値が上限に達し画像形成を停止させた際に、余分に出力されるシートの枚数を少なくとも低減させることを目的としている。
【0057】
本発明において、カウント値とは、例えば画像形成に使用した記録用紙の枚数もしくはトナー量、または画像形成の代金など、画像形成を行うに連れて増加する値であればよく、画像形成装置は、上記カウント値が上記上限値を超えない範囲で画像形成部が画像形成を行うことができる。
【0058】
ここで、上記構成によれば、カウント値が上限値に達して画像形成を停止させた際に、余分に出力されてしまうシートの枚数を低減させることができる。それゆえ、カウント値が上限に達して余分に画像形成が行われてしまうのを抑制することができる。
【0059】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る第2の画像形成装置の制御方法は、ジョブの実行命令を受け付けると、シートに対して順次画像形成を行う画像形成部と、カウント値を格納するカウント値記憶部と、上記カウント値の上限値を格納する上限値記憶部とを備えた画像形成装置の制御方法であって、上記画像形成部が画像形成を行うたびに、該画像形成に使用した資源の量に基づいて、上記カウント値記憶部に格納されたカウント値を増加させる更新工程と、上記上限値記憶部に格納された上限値と上記カウント値記憶部に格納されたカウント値との差を算出する算出工程と、上記算出手段によって算出された差が正の閾値よりも大きい場合には、第1の方法によってシートに対して画像形成を行うように上記画像形成部を制御し、上記算出手段によって算出された差が0よりも大きくかつ上記閾値以下である場合には、上記第1の方法よりも上記ジョブによって消費される上記資源の量が少ない第2の方法によってシートに対して画像形成を行うように上記画像形成部を制御する制御工程とを含んでいることを特徴とする。
【0060】
本発明に係る第2の画像形成装置の制御方法は、より具体的には、カウント値が上限に達してジョブが中止または中断されてしまう頻度を少なくとも低減させることのできる画像形成装置を提供することを目的としている。
【0061】
本発明において、カウント値とは、例えば画像形成に使用した記録用紙の枚数もしくはトナー量、または画像形成の代金など、画像形成を行うに連れて増加する値であればよく、画像形成装置は、上記カウント値が上記上限値を超えない範囲で画像形成部が画像形成を行うことができる。
【0062】
ここで、上記構成によれば、カウント値が上限に達してジョブが中止または中断されてしまう頻度を低減させることができる。それゆえ、カウント値が上限に達して余分に画像形成が行われてしまうのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0063】
以上のように、本発明に係る第1の画像形成装置および第1の画像形成装置の制御方法は、上限値とカウント値との差を算出し、算出された差が正の閾値よりも大きい場合には、a枚(ただしaは2以上の整数)のシートに対して同時に画像形成を行うように画像形成部を制御し、差が0よりも大きくかつ上記閾値以下である場合には、上記a枚よりも少ないb枚のシートに対して同時に画像形成を行うように画像形成部を制御し、差が0または負である場合には、画像形成部が新たなシートに対して画像形成を開始することを禁止する構成となっているので、上述したように、カウント値が上限に達して余分に画像形成が行われてしまうのを抑制することができる。
【0064】
また、本発明に係る第2の画像形成装置および第2の画像形成装置の制御方法は、上限値とカウント値との差を算出し、算出された差が正の閾値よりも大きい場合には、第1の方法によってシートに対して画像形成を行うように画像形成部を制御し、差が0よりも大きくかつ上記閾値以下である場合には、上記第1の方法よりもジョブによって消費される上記資源の量が少ない第2の方法によってシートに対して画像形成を行うように画像形成部を制御する構成となっているので、上述したように、カウント値が上限に達して余分に画像形成が行われてしまうのを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0065】
〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について図1から図3に基づいて説明すると以下の通りである。図2は、本実施形態の複合機(画像形成装置)の概略構造を示す縦断面図である。
【0066】
本実施形態の複合機100は、複写処理、原稿読取処理、FAX処理および印刷処理を行うものであって、原稿読取ユニット(原稿読取部)30および画像形成エンジン(画像形成部)20ならびにこれらを制御する制御部50を備えている。複合機100は、原稿読取ユニット30によって原稿を読み取って得た画像(ここではモノクロ)を、画像形成エンジン20によって記録用紙(シート)に対して形成する複写処理や、外部の端末装置から伝送された印刷データに応じた画像を記録用紙に形成する印刷処理を実行する。もちろん、複合機100が形成する画像はモノクロ画像に限定されず、カラー画像であってもよい。
【0067】
複合機100の画像形成エンジン20は、図2に示すように、露光ユニット2、現像器3、感光体ドラム10、転写ユニット13、帯電器4、クリーニングユニット16、定着ユニット6、給紙トレイ8a〜8d、給紙ローラ11a〜11d、排紙トレイ9、および排紙ローラ7などを備えている。
【0068】
帯電器4は、感光体ドラム10の周面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段である。帯電器4としては、スコロトロンなどのチャージャ型を用いてもよいし、接触式のローラ型やブラシ型を用いてもよい。
【0069】
露光ユニット2は、帯電器4によって均一に帯電された感光体ドラム10に対して原稿の画像データに応じて露光を行い、画像データに対応する静電潜像を感光体ドラム10の表面に形成するものである。露光ユニット2としては、レーザ照射部2a及び反射ミラー2bを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)を用いてもよいし、発光素子(例えばELやLED)をアレイ状に並べた書き込みヘッドを用いてもよい。なお、本実施形態の複合機100では、高速印字処理を行うために、複数のレーザ光を利用することにより照射タイミングの高速化を低減する2ビーム手法を採用している。
【0070】
現像器3は、感光体ドラム10の周面上に形成された静電潜像を黒トナーによって顕像化し、トナー像を形成するものである。転写ユニット13は、現像器3によって感光体ドラム10に顕像化されたトナー像を、記録用紙に転写するものである。なお、転写ユニット13は、給紙ローラ11a〜11dによってトレイ8a〜8dからピックアップされ搬送された記録用紙に対して、トナー像の転写を行う。
【0071】
定着ユニット6は、転写ユニット13によって記録用紙上に転写されたトナー像を溶融して記録用紙に圧接することにより、トナー像を記録用紙上に定着させるものである。定着ユニット6は、定着ローラ及び加圧ローラの2つのローラを備えている。定着ローラの外周部には、用紙剥離爪、ローラ表面温度検出部材(サーミスタ)、ローラ表面をクリーニングするクリーニングユニットなどが配置され、さらに、内部には、加熱ローラの表面を所定の温度(概ね160〜200℃)に加熱するために、ハロゲンランプなどの熱源が配置される。他方、加圧ローラには、ローラの両端部で加圧ローラが加熱ローラに対して所定の圧力で圧接することができるように加圧部材が配置され、さらに加圧ローラの外周には加熱ローラの外周と同様に用紙剥離爪、クリーニングユニットなどが配置されている。定着ユニット6は、これらの定着ローラと加圧ローラとの圧接部(以下「定着ニップ部位」という)において、記録用紙上の未定着トナーを定着ローラの表面温度で溶融するとともに2つのローラで圧接することにより、用紙上に定着させる。
【0072】
クリーニングユニット16は、現像・画像転写後における感光体ドラム10上の表面に残留したトナーを、除去・回収するものである。
【0073】
給紙トレイ8は、画像形成に使用する記録用紙を蓄積しておくためのトレイである。本実施形態では、大量の用紙に対して高速印字処理を行うために、本体下部に複数の給紙トレイ8a・8bが配置され、各トレイには定型サイズの用紙がそれぞれ500〜1500枚収納されている。また、給紙トレイ8a・8bに加えて、本体側部には、複数の用紙種類を多量に収納可能な大容量給紙カセット8c、並びに主として不定型サイズの用紙に対して印字を行う際に用いる手差しトレイ8dがさらに配置されている。これらのトレイ8a〜8dに蓄積された記録用紙は、それぞれ給紙ローラ11a〜11dによって給紙された後、感光体ドラム10と転写ユニット13との当接部位である転写ニップ部位へと搬送される。
【0074】
排紙トレイ9には、本体内から排紙ローラ7によって排紙された記録用紙が載置される。排紙トレイ9に載置された記録用紙には、画像形成が完了している。なお、本実施形態の複合機100は、排紙トレイ9に代えて、画像形成後の用紙に対してステープル処理・パンチ処理などを行う後処理装置や、複数段の排紙トレイをオプションとして配置することも可能になっている。
【0075】
原稿読取ユニット30は、主として自動原稿給紙装置31および走査部32を有している。自動原稿給紙装置31の載置台に載置された複数の原稿用紙は、順次走査部32の上部へ供給され、原稿の読み取りが行われる。
【0076】
また、複合機100は、図2には示していない操作部103を有しており、ユーザは、この操作部103によって、複合機100を操作することができるようになっている。例えば、ユーザは、操作部103によって複合機100に対して複写処理の開始を指示したりすることができる。
【0077】
制御部50は、上述した画像形成エンジン20および原稿読取ユニット30の各部に対する動作制御や画像データに対する画像処理を行うためのものである。制御部50は、CPU及びRAMを少なくとも含むマイクロコンピュータであり、図示しない記録媒体に記録されたプログラムを読み込むことによって機能している。
【0078】
次に、複合機100による画像形成工程について説明する。
【0079】
操作部103がユーザから複写処理の実行を受け付けると、原稿読取ユニット30によって原稿用紙が1枚ずつ読み取られ、画像データが作成される。そして、原稿の画像データに応じたサイズの記録用紙が、給紙トレイ8a〜8dのいずれかから給紙され、搬送ローラによってレジストローラまで搬送される。レジストローラに到達した用紙は一旦停止し、用紙の先端と感光体ドラム10上のトナー像の先端とが一致するタイミングで再び搬送される。そして、再び搬送された用紙は、上述した転写ニップ部位においてトナー像が転写された後、定着ユニット6によってトナー像が定着され、排紙トレイ9上に排出される。
【0080】
ここで、複合機100が複数のモード(例えばコピアモード、プリンタモード、FAXモード)や、複数の印字処理手法(例えば片面印字または両面印字)を有している場合、定着ユニット6から排紙トレイ9までの搬送経路は、モードや印字処理手法に応じて変化する。これは、通常、コピアモードでは、ユーザが装置の周辺で操作を行うことから印字面が上側になって排出される「フェースアップ排出」が多く用いられ、一方、プリンタ、FAXの各モードでは、ユーザが装置の周辺に居ないことから排出用紙のページ順を揃える「フェースダウン排出」が多く用いられるためである。従って、複合機100は、定着ユニット6を通過した用紙を排紙トレイ9に排出するまでの間に、複数の搬送経路と複数の分岐爪を有し、目的に応じて搬送経路を選択している。
【0081】
また、本実施形態の複合機100は、単位時間あたりに画像形成可能な記録用紙の枚数を向上させるために、マルチプロセス処理を行っている。具体的には、上述した表1に示すように、1枚目の記録用紙に対して排紙ローラ7によって排紙トレイ9上に排紙する排紙プロセスを行うと同時に、2枚目の記録用紙に対して定着ユニット6によって定着プロセスを行い、また、3枚目の記録用紙に対して転写ユニット13によって転写プロセスを行い、さらに、4枚目の記録用紙に対して給紙ユニット8a〜8dから給紙ローラ11a〜11dによって給紙する給紙プロセスを実行する。本実施形態の複合機100は、複数の記録用紙に対して異なる処理を同時に実行することにより、処理速度が向上している。
【0082】
ところで、この複合機100は、ユーザの利用を制限することができるようになっている。具体的には、例えばユーザが支払った代金に見合った枚数の記録用紙への画像形成のみを許可したり、予め管理者によって設定された枚数またはトナー量の範囲内での画像形成のみを許可したりすることができる。これらの利用制限は、制御部50によって行われている。図1は、複合機100の機能構成を示すブロック図である。
【0083】
図1に示すように、複合機100は、上述した画像形成エンジン20、原稿読取ユニット30に加えて、受信部119、操作部(通知手段)103、ジョブパラメータ記憶部109、画像データ記憶部118、エンジン制御部(制御手段)107、上限値記憶部115、カウント値記憶部117、算出部(算出手段)111、更新部(更新手段)113を備えている。これらの各部のうち、エンジン制御部107、算出部111、更新部113は、制御部50のCPUがRAMにロードされたプログラムを実行することによって実現される。
【0084】
操作部103は、タッチパネルなどによって構成され、ユーザからの入力を受け付けるとともに、ユーザに対して各種情報を通知するためのものである。操作部103がユーザから受け付ける情報としては、(1)複写処理またはFAX送信処理などのジョブの種類を指定する情報およびジョブの実行命令、(2)複写処理またはFAX送信処理を実行する際の詳細な画像形成方法を示す詳細設定情報(出力部数、用紙タイプ、用紙サイズ、メディア量、出力濃度、ホチキス止めリクエスト、穴あけリクエスト、ページ照合リクエスト、カラー/モノクロ、カラー深度、両面印刷/片面印刷、割付形式、用紙トレイ選択、スキャンあて先、印刷あて先など)などが挙げられる。操作部103が受け付けたこれらの情報のうち、ジョブの詳細設定情報は、ジョブパラメータ記憶部109に格納される。
【0085】
受信部119は、例えばネットワークインターフェイスカードなどによって構成され、印刷処理の際に、外部の通信端末から印刷ジョブデータを受信するためのものである。受信部119が受信した印刷ジョブデータには、画像データと、上述した詳細設定情報とが含まれる。受信部119が受信した印刷ジョブデータのうち、画像データは画像データ記憶部118に格納され、詳細設定情報はジョブパラメータ記憶部109に格納される。一方、複写処理の際には、原稿読取ユニット30が原稿用紙を読み取って作成した原稿の画像データが画像データ記憶部118に順次格納される。
【0086】
エンジン制御部107は、複写処理の場合には原稿読取ユニット30が原稿用紙を読み取って作成した原稿の画像データを、また、印刷処理の場合には受信部119が受信した印刷ジョブデータのうちの画像データを、画像データ記憶部118から受け取る。そして、受け取った画像データとジョブパラメータ記憶部109に格納された詳細設定情報とに基づいて、エンジン制御部107が画像形成エンジン20の上述した各部を制御することにより、画像形成エンジン20が記録用紙に対して所望の画像(外部の通信端末から受信した印刷データに応じた画像または原稿用紙に描画された原稿画像に応じた画像)を形成する。このとき、画像の詳細な形成方法は詳細設定情報に従う。
【0087】
カウント値記憶部117は、画像形成エンジン20が記録用紙に対して画像形成を行うたびに増加するカウント値を格納するものである。また、上限値記憶部115は、カウント値の上限値を格納するものである。例えば、出力した記録用紙の枚数に基づいて利用制限を行う場合、カウント値記憶部117には、画像形成の行われた記録用紙の累積枚数がカウント値として格納され、上限値記憶部115には、画像形成を行うことのできる記録用紙の枚数の上限値が格納される。例えば、上限値記憶部115の上限値が1000である場合には、カウント値が1000になるまで(すなわち1000枚の記録用紙に対して)画像形成が可能となる。
【0088】
あるいは、画像形成に使用したトナー量に基づいて利用制限を行う場合、カウント値記憶部117には、画像形成エンジン20が画像形成に用いたトナー量の累積値がカウント値として格納され、上限値記憶部115には、画像形成に使用できるトナー量の上限値が格納される。なお、記録用紙の枚数やトナー量に基づいて利用制限を行う場合、カウント値記憶部117に格納されるカウント値のリセットは、管理者によって、所定の時期に行われる。所定の時期とは、例えば複合機100の画像形成料金の決済が終わった時点や、月の始めなど、様々な時期が挙げられる。また、カウント値のリセットは、それぞれのジョブの実行開始前に行われてもよい。
【0089】
一方、ユーザが支払った金額に基づいて利用制限を行う場合、カウント値記憶部117には、画像形成エンジン20が行った画像形成の対価となる金額(代金)がカウント値として格納され、上限値記憶部115には、ユーザが複合機100に対して事前に支払った金額が上限値として格納される。そして、複合機100による画像形成の代金がユーザの支払った金額に達するまで、画像形成が可能となる。この場合、カウント値記憶部117に格納されるカウント値のリセットは、ジョブの実行が完了し、ユーザが事前に支払った金額から画像形成代金を差し引いた残金がユーザに返金され、決済が済んだ時点で行ってもよいし、ジョブの実行命令を受け付けた時点で行ってもよい。これにより、カウント値記憶部117には、複合機100がジョブの実行命令を受け付けた時点からの、画像形成代金の累積値がカウント値として格納されることになる。
【0090】
なお、上限値記憶部115に何も値が格納されていない場合、複合機100は、無制限に画像形成を行うことができる。また、上限値記憶部115に格納された上限値は、管理者が操作部103を用いて変更可能となっている。これにより、カウント値が上限値に達した場合などに、管理者が一時的に上限値を引き上げることができる。
【0091】
更新部113は、画像形成エンジンが画像を形成するたびに、画像形成に使用した上記資源の量に基づいて、カウント値記憶部117に格納されたカウント値を更新する。例えば、上述したように記録用紙の枚数に基づいて利用制限を行う場合、更新部113は、画像形成エンジン20が1枚の記録用紙に対して画像形成を行うたびに、カウント値記憶部117に格納されたカウント値を1つ増加させる。また、トナー量に基づいて利用制限を行う場合、更新部113は、画像形成エンジン20が1枚の記録用紙に対して画像形成を行うたびに、その画像形成によって消費されたトナー量をカウント値記憶部117に格納されたトナー量の累積値と足し合わせ、その結果をカウント値記憶部117に格納する。なお、画像形成によって消費されたトナー量は、例えば、画像形成に用いた画像データのピクセルカウント値を求めることにより推定してもよい。
【0092】
また、ユーザの支払った金額に基づいて利用制限を行う場合、更新部113は、画像形成エンジン20が1枚の記録用紙に対して画像形成を行うたびに、その画像形成の対価となる金額をカウント値記憶部117に格納された金額と足し合わせ、その結果をカウント値記憶部117に格納する。この場合、画像形成の対価となる金額は、基本的には画像形成に用いた資源の量(記録用紙の枚数やトナー量など)に基づいて算出される。より詳細には、画像形成の対価となる金額を、記録用紙の出力枚数、記録用紙の種類、記録用紙のサイズ、ページごとの画像量、ピクセルカウントデータ、イメージ、仕上げ作業の有無、ホチキス止めリクエストの有無、穴あけリクエストの有無、ページ照合リクエストの有無、カラー属性、カラー深度、カラー量、インク消費量、トナー消費量、造影剤消費量、モノクロ属性、階調度属性、両面特性、片面特性、N−Up(割付)形式、用紙トレイ選択、スキャンあて先、印刷あて先、電源消費、ジョブの種類などに基づいて算出することができる。
【0093】
なお、上記カラー属性には、全ての色トナーを用いる「フルカラー」、色トナーのうちの2色を用いる「2色カラー」、および色トナーのうちの1色を用いる「1色カラー」の3種類があり、「フルカラー」が最も金額が高く、「1色カラー」が最も金額が低い。また、上記カラー深度とは、カラー画像における情報量を指し、解像度と同義である。カラー深度が高ければ高いほど、データのサイズが大きくなるために金額が高くなる。また、上記カラー量とは、カラー色材の消費量を指す。
【0094】
上記モノクロ属性には、色トナーのうちの2色を用いる「グレースケール」と、黒トナーのみを使用する「モノクロ2値」との2種類があり、グレースケールの方が金額が高くなる。また、上記階調度属性とは、各ドットの階調度を指し、階調度が高くなるほど画像がきれいになるが、その分データのサイズが大きくなるため、金額が高くなる。
【0095】
算出部111は、上限値記憶部115およびカウント値記憶部117からそれぞれ上限値およびカウント値を取得し、上限値からカウント値を差し引くことによって、上限値とカウント値との差を算出する。算出された差の値は、エンジン制御部107へ送られる。
【0096】
エンジン制御部107は、算出部111から受け取った差の値に基づいて、画像形成エンジン20が同時に画像形成を行う記録用紙の枚数を制御する。具体的には、エンジン制御部107は、差の値が正の閾値よりも大きい場合には、a枚(ただしaは2以上の整数)の記録用紙に対して同時に画像形成を行うように画像形成エンジンを制御し、差の値が0よりも大きくかつ閾値以下である場合には、上記a枚よりも少ないb枚の記録用紙に対して同時に画像形成を行うように画像形成エンジンを制御する。そして、差の値が0または負である場合には、エンジン制御部107は、画像形成エンジン20が新たな記録用紙に対して画像形成を開始することを禁止する。
【0097】
つまり、算出部111によって算出される差の値は、画像形成エンジン20が画像形成を行うたびに減少していくが、カウント値が上限値に近づいたとき(すなわち差の値が閾値以下になったとき)に、エンジン制御部107は、同時に画像形成を行う記録用紙の枚数を減少させる。そして、カウント値が上限値に到達すると(すなわち差の値が0または負の値になったとき)、エンジン制御部107は、新たな記録用紙に対する画像形成を開始させないように、画像形成エンジン20を制御する。
【0098】
このように、本実施形態の複合機100は、カウント値が上限値に近づいた時点で、同時に画像形成を行う記録用紙の枚数を低減させるので、カウント値が上限値に達した際に、余分な画像形成が行われてしまう記録用紙の枚数を低減させることができる。そして、カウント値が上限値から離れている場合は、同時に画像形成を行う記録用紙の枚数を低減させないので、常にシングルプロセス処理を行う従来の画像形成装置に比べて、高速な処理が可能となる。それゆえ、本実施形態の複合機をコンビニエンスストア等の店頭に設置すれば、ユーザが大量の原稿をコピー等する際にも、短時間で出力が可能となり、利便性が大きく向上する。
【0099】
なお、カウント値が上限値に近づいたとき(すなわち差の値が閾値以下になったとき)に、エンジン制御部107は、画像形成エンジン20が記録用紙に対して1枚ずつ(すなわちシングルプロセス処理で)画像形成を行うように、画像形成エンジン20を制御することが好ましい。このようにすれば、複合機100は、カウント値が上限値に近づいた時点で、マルチプロセス処理からシングルプロセス処理に切り換えるので、カウント値が上限値に達した際に、余分な記録用紙に対して画像形成を行うことなく、確実に画像形成を停止させることができる。
【0100】
ところで、複合機100の制御部50に含まれる各機能ブロック、すなわち、エンジン制御部107、算出部111、および更新部113は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0101】
すなわち、複合機100の制御部50は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである複合機100の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記複合機100に供給し、制御部50のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0102】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0103】
また、複合機100を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0104】
〔実施例1〕
以下では、上述した実施形態1に基づいた一実施例について説明する。本実施例では、出力枚数に基づいて利用を制限する構成となっている。上限値記憶部115には、複合機単位で上限値が設定されている。下記の表2は、上限値記憶部115の内容を示すものである。この場合、複合機100による出力枚数が1000枚に達した時点で、新たな出力が禁止される。
【0105】
【表2】

【0106】
図3は、本実施例における複合機100の画像形成方法を示すフロー図である。
【0107】
図3に示すように、まず、操作部103または受信部119から、ジョブの実行命令を受け付ける(S101)。次に、エンジン制御部107が原稿読取ユニット30または受信部119から受け取った画像データと、ジョブパラメータ記憶部109に格納された詳細設定情報とに基づいて、画像形成エンジン20を制御する。これにより、画像形成エンジン20は、画像データに応じた画像を、詳細設定情報に示された画像形成方法によって記録用紙に形成する(S103)。
【0108】
なお、ジョブの受け付け時には、画像形成エンジン20がマルチプロセス処理を行うように設定されている。この場合、画像形成エンジン20は、1枚の記録用紙に対する画像形成が完了する前に、次の記録用紙に対する画像形成を開始し、同時に複数枚の記録用紙に対して画像形成を行う。
【0109】
そして、記録用紙が排紙トレイ9に排出されたことを図示しないセンサが検知する(S105)と、更新部113が、カウント値記憶部117に格納されている出力枚数値(カウント値)を1つだけ増加させる(S107)。続いて、算出部111が、カウント値記憶部117に格納された出力枚数値を上限値記憶部115に格納された上限値(ここでは1000)から差し引くことにより、出力枚数値と上限値との差の値を算出する(S109)。算出された差の値は、エンジン制御部107に送られる。
【0110】
エンジン制御部107は、受け取った差の値が0以下であるか否かを判定し(S111)、0よりも大きい場合には(S111にてNo)、差の値が閾値(例えば20)以下であるか否かを判定する(S115)。そして、差の値が閾値よりも大きい場合には、ステップS119に進み、画像形成を行うべきデータが残っているか否かをエンジン制御部107が判断する(S119)。ここで、残っている場合には、ステップS103に進み、エンジン制御部107が画像形成エンジン20に次の画像データを送信し、画像形成エンジン20に画像データに応じた画像を形成させる。
【0111】
ステップS111において差の値が閾値(例えば20)以下であると判定された場合、エンジン制御部107は、画像形成エンジン20に対して、出力速度を低下させるよう指示する(S117)。通常、画像形成エンジン20による処理速度は一定である。よって、エンジン制御部107は、ステップS117において、出力速度を減速させるために、エンジン制御部107から画像形成エンジン20に対して送信する個々の画像データの転送間隔、または、ページ単位の画像データの転送間隔を広げ、全体として出力速度を減速させる。その結果、画像形成エンジン20によって同時に画像形成が行われる記録用紙の枚数が少なくなる。そして、ステップS103に戻る。
【0112】
なお、画像形成エンジン20自体に速度を制御する仕組みがある場合、エンジン制御部107が画像形成エンジン20に対して送信する画像データの転送速度の制御は行わず、画像形成エンジン20内部の処理で速度を減速してもよい。
【0113】
また、上記の閾値を複数用意し、画像形成エンジン20による出力速度を段階的に下げることにより、画像形成エンジン20によって同時に画像形成が行われる記録用紙の枚数を段階的に減らしてもよい。次の表3は、この場合の例を示すものである。
【0114】
【表3】

【0115】
上記の表3の場合、差の値が5以下になると、画像形成エンジン20の出力速度は6枚/分に減速される。この出力速度では、画像形成エンジン20の処理がシングルプロセス処理となる。この場合、1枚の記録用紙に対する画像形成処理が完了するまで、次の画像形成処理が開始されないので、カウント値が上限値に達したときに(S111においてYes)、エンジン制御部107が画像形成エンジン20に対して新たな記録用紙に対する画像形成を禁止すれば(S113)、余分な記録用紙に対して画像形成が行われるのを防止し、確実に画像形成を停止させることができる。
【0116】
〔実施例2〕
以下では、上述した実施形態1に基づいた別の実施例について説明する。なお、実施例1と同じ部材・工程については、説明を省略する。上述した実施例1では、上限値が複合機単位で設けられていたが、本実施例では、上限値がユーザごとに設けられている。下記の表4は、ユーザごとに上限値が格納された上限値記憶部115の内容を示すものである。
【0117】
【表4】

【0118】
表4の場合、例えば、ユーザ「山田太郎」はトータルで100枚の記録用紙に画像形成を行うことが許可され、また、ユーザ「山田花子」はトータルで150枚の記録用紙に画像形成を行うことが許可される。なお、本実施例では、カウント値記憶部117に格納されるカウント値も、ユーザごとに用意される。
【0119】
本実施例では、図3のステップS101の前に、ユーザが、操作部103を操作してログインを行う。これにより、複合機100は、ステップS101においてどのユーザからのジョブの実行命令を受け付けたかを知ることができる。
【0120】
そして、ステップS107では、更新部113が、カウント値記憶部117に格納されている出力枚数値のうち、ログインしたユーザの出力枚数値を1つだけ増加させる。続いて、ステップS109では、算出部111が、カウント値記憶部117に格納された出力枚数値のうち、ログインしたユーザの出力枚数値を、上限値記憶部115に格納された上限値のうち、ログインしたユーザの上限値から差し引くことにより、出力枚数値と上限値との差の値を算出する。算出された差の値は、エンジン制御部107に送られる。その他の工程は実施例1と同一である。
【0121】
以上の構成により、ユーザごとに利用制限をかけることができる。
【0122】
〔実施例3〕
以下では、上述した実施形態1に基づいたさらに別の実施例について説明する。なお、実施例1と同じ部材・工程については、説明を省略する。上述した実施例1では、上限値が複合機単位で設けられていたが、本実施例では、上限値がジョブの種類ごとに設けられている。下記の表5は、ジョブの種類ごとに上限値が格納された上限値記憶部115の内容を示すものである。
【0123】
【表5】

【0124】
表5の場合、例えば、複写処理の場合は、100枚の記録用紙に画像形成を行うことが許可され、また、印刷処理の場合は、150枚の記録用紙に画像形成を行うことが許可される。なお、本実施例では、カウント値記憶部117に格納されるカウント値も、ジョブの種類ごとに用意される。
【0125】
本実施例では、図3のステップS101において、複合機100は、ユーザからジョブの選択を受け付けた後に、ジョブの実行命令を受け付ける。これにより、複合機100は、ステップS101においてどの種類のジョブの実行命令を受け付けたかを知ることができる。
【0126】
そして、ステップS107では、更新部113が、カウント値記憶部117に格納されている出力枚数値のうち、S101において選択されたジョブに対応する出力枚数値を1つだけ増加させる。続いて、ステップS109では、算出部111が、カウント値記憶部117に格納された出力枚数値のうち、S101において選択されたジョブに対応する出力枚数値を、上限値記憶部115に格納された上限値のうち、S101において選択されたジョブに対応する上限値から差し引くことにより、出力枚数値と上限値との差の値を算出する。算出された差の値は、エンジン制御部107に送られる。その他の工程は実施例1と同一である。
【0127】
以上の構成により、ジョブの種類ごとに利用制限をかけることができる。
【0128】
なお、上限値記憶部115に格納される上限値は、ユーザごと、かつ、ジョブの種類ごとに格納する構成(実施例2と実施例3とを組み合わせた構成)であってもよい。
【0129】
〔実施形態2〕
次に、本発明の他の実施形態について図4から図7に基づいて説明すると以下の通りである。なお、上述した実施形態1と同じ部材については同じ番号を付し、説明を省略する。
【0130】
上述した実施形態1では、カウント値が上限値に近づいたときに、同時に画像形成を行う記録用紙の枚数を減らす構成としたが、本実施形態では、カウント値が上限値に近づいたときに、詳細設定情報を変更して画像形成の方法を切り換える構成となっている。
【0131】
図4は、本実施形態の複合機200の機能構成を示すブロック図である。図4に示すように、複合機200は、実施形態1のエンジン制御部107とは異なるエンジン制御部(制御手段)121を備え、さらに、推定部(推定手段)125および設定変更部123を備えている。なお、エンジン制御部121、推定部125および設定変更部123は、制御部50のCPUがRAMにロードされたプログラムを実行することによって実現される。
【0132】
本実施形態において、エンジン制御部121は、画像形成エンジン20が同時に画像形成を行う記録用紙の枚数を制御しないが、それ以外は上述した実施形態1のエンジン制御部107と同様である。また、本実施形態において、画像形成エンジン20は、マルチプロセス処理、シングルプロセス処理の何れを行うものであってもよい。以下の説明では、画像形成エンジン20が基本的にシングルプロセス処理を行うものとする。
【0133】
また、算出部111は、上述した実施形態1と同様に、カウント値と上限値との差の値を算出するが、算出された差の値が設定変更部123に送られる点が上述した実施形態1と異なっている。
【0134】
推定部125は、ジョブの最後の画像データが画像データ記憶部118に格納された時点で、画像データ記憶部118に格納されている画像データを解析することにより、ジョブパラメータ記憶部109に格納された詳細設定情報の示す方法で画像形成エンジン20がジョブを最後まで実行した場合に、カウント値が上限値を上回るか否かを事前に推定するものである。この推定は、具体的には以下のようにして行うことができる。
【0135】
例えば、記録用紙の枚数をカウント値として、ユーザの利用を記録用紙の枚数に基づいて制限する場合について考える。本実施形態において、画像データ記憶部118は、原稿読取ユニット30または受信部119から受け取った画像データを格納するが、画像形成エンジン20による画像形成が完了した画像データはエンジン制御部121によって消去される。画像データ記憶部118は、利用可能な記憶容量に限りがあるため、大量の印刷ジョブデータを受信したり、大量の原稿を読み取ったりしなければならない場合には、一度に全ての画像データを格納することができない場合もあるが、画像形成が完了したものから順に画像データを削除し、削除して得られた領域に新たな画像データを格納していくことにより、画像形成を大量に行う必要がある場合でも問題なく対応することができるようになっている。
【0136】
ここで、割付印刷を行わない場合に記録用紙の片面に対して形成される画像の画像データを1個の画像データとすると、推定部125は、画像データ記憶部118にこの画像データがいくつあるかを数えるとともに、ジョブパラメータ記憶部109に格納された詳細設定情報を参照することによって、画像形成が行われる記録用紙の残り枚数を求めることができる。例えば、画像データ記憶部118に10個の画像データがあり、ジョブパラメータ記憶部109に格納された詳細設定情報が片面印刷でかつ割付なしを指定する情報の場合には、残り枚数は10枚と推定される。そして、求めた残り枚数を、カウント値記憶部117に格納されているカウント値に足し合わせて、推定出力枚数値を算出する。この推定出力枚数値は、受け付けたジョブの実行に必要な記録用紙の枚数の推定値である。推定部125は、この推定出力枚数値が上限値よりも大きい場合には、ジョブの実行中にカウント値が上限値を上回ると判断し、推定出力枚数値が上限値以下の場合には、カウント値が上限値を上回らないと判断する。
【0137】
また、別の例として、トナー量をカウント値として、ユーザの利用をトナー量に基づいて制限する場合について考える。この場合、推定部125は、上記と同様にして画像形成が行われる記録用紙の残り枚数を求める。そして、1枚の記録用紙に対して画像形成を行う際に平均的に用いられるトナー量に、記録用紙の残り枚数を掛け合わせることにより、残りの記録用紙に対して画像形成を行うために必要と推定されるトナー量を算出する。そして、算出したトナー量を、カウント値記憶部117に格納されているカウント値と足し合わせて、推定トナー消費量を算出する。この推定トナー消費量は、受け付けたジョブの実行に必要なトナー量の推定値である。推定部125は、この推定トナー消費量が上限値よりも大きい場合には、ジョブの実行中にカウント値が上限値を上回ると判断し、推定トナー消費量が上限値以下の場合には、カウント値が上限値を上回らないと判断する。
【0138】
なお、本実施形態において、推定部125は、原稿読取ユニット30が最後の原稿を読み取って得た画像データが画像データ記憶部118に格納された時点で上記の推定を行うが、本発明はこれに限定されず、最後の原稿の画像データが格納されるまで、繰り返し上記の推定を行ってもよい。
【0139】
このように、本実施形態では、原稿読取ユニット30が全ての原稿を読み取った時点、あるいは、受信部119が全ての印刷ジョブデータを受信した時点で、推定部125が上記の推定を行うので、ジョブの実行開始時点で全ての画像データが画像データ記憶部118に収まりきらない場合であっても、カウント値が上限値を上回るか否かを確実に推定できるようになっている。
【0140】
設定変更部123は、ジョブパラメータ記憶部109に格納された詳細設定情報を変更するものである。ジョブの受け付け時には、ユーザによって指定された詳細設定情報がジョブパラメータ記憶部109に格納されているが、ジョブの実行中にカウント値が上限値を上回ると推定された場合、あるいは、ジョブの実行中にカウント値が上限値を上回りそうになった場合には、カウント値が上限値を上回らないよう設定変更部123によってジョブの詳細設定情報が変更される。
【0141】
より具体的には、設定変更部123は、(1)算出部111によって算出された差の値が所定の閾値以下になった場合、および(2)推定部125によってカウント値が上限値を上回ると推定された場合、の2つの場合に詳細設定情報を変更する。このとき、詳細設定情報は、ジョブによって消費される資源の量が少なくなるように(すなわち以降のカウント値が小さくなるように)変更される。
【0142】
例えば、カウント値が記録用紙の枚数であり、ユーザの利用を記録用紙の枚数に基づいて制限する場合において、ユーザの設定した詳細設定情報が片面印刷を指定するものであるとき、設定変更部123は、詳細設定情報を両面印刷を指定するものに変更してもよい。その結果、以降に使用される記録用紙の枚数が変更前の1/2になり、カウント値が上限値以下に収まるようになる。また、ユーザの設定した詳細設定情報が割付なしを指定するものである場合、設定変更部123は、詳細設定情報を割付ありを指定するものに変更してもよい。ここで、割付なしから2−Up形式や4−Up形式に変更することにより、以降に使用される記録用紙の枚数が変更前の1/2,1/4になり、カウント値が上限値以下に収まるようになる。
【0143】
なお、上記の例は、使用した記録用紙の枚数に応じて課金された金額がカウント値としてカウント値記憶部117に格納される場合においても同様に適用することができる。
【0144】
また、例えば、カウント値がカラートナー量であり、ユーザの利用をカラートナーの消費量に基づいて制限する場合において、ユーザの設定した詳細設定情報がカラー印刷を指定するものであるとき、設定変更部123は、詳細設定情報をモノクロ印刷を指定するものに変更してもよい。その結果、以降の画像形成ではカラートナーが消費されないので、カウント値が上限値以下に収まるようになる。
【0145】
また、例えば、カウント値が黒トナー量であり、ユーザの利用を黒トナーの消費量に基づいて制限する場合は、設定変更部123は、印刷濃度が薄くなるように詳細設定情報を変更してもよいし、割付印刷を行うように詳細設定情報を変更してもよい。これらの結果、黒トナーの消費量が抑制され、カウント値が上限値以下に収まるようになる。
【0146】
以上のように、本実施形態の複合機200では、カウント値が上限値に近づいたとき(算出部111によって算出された差の値が閾値以下になったとき)に、設定変更部123がジョブパラメータ記憶部109に格納された詳細設定情報を変更し、変更された詳細設定情報に基づいて画像形成を行うようにエンジン制御部121が画像形成エンジン20を制御する構成となっている。それゆえ、画像形成エンジン20は、カウント値が上限値に近づくまでは、ユーザによって指定された第1の方法で記録用紙に対して画像形成を行う一方で、カウント値が上限値に近づいたときには、設定変更部123によって指定され、第1の方法よりも資源の消費が少ない第2の方法で記録用紙に対して画像形成を行う。その結果、カウント値の上昇を抑え、ジョブが中止(または中断)されてしまうのを防止することができる。
【0147】
さらに、本実施形態の複合機200では、ジョブの実行中に、カウント値が上限値を上回るか否かを推定部125が事前に推定し、上回ると推定された場合には、設定変更部123がジョブパラメータ記憶部109に格納された詳細設定情報を変更し、変更された詳細設定情報に基づいて画像形成を行うようにエンジン制御部121が画像形成エンジン20を制御する構成となっている。それゆえ、画像形成エンジン20は、カウント値が上限値を上回らないと推定された場合には、ユーザによって指定された第1の方法で記録用紙に対して画像形成を行う一方で、カウント値が上限値を上回ると推定された場合には、設定変更部123によって指定され、第1の方法よりも資源の消費が少ない第3の方法で記録用紙に対して画像形成を行う。その結果、カウント値の上昇を抑え、ジョブが中止(または中断)されてしまうのを防止することができる。
【0148】
なお、上記の(1)および(2)により、詳細設定情報が複数回変更される場合は、資源の消費量(記録用紙の出力枚数やトナー消費量)が段階的に少なくなるように、詳細設定情報を段階的に変更してもよい。この例としては、まず、割付なしから2−Up形式に変更し、その後2−Up形式から4−Up形式に変更することなどが挙げられる。
【0149】
また、設定変更部123がジョブパラメータ記憶部109に格納された詳細設定情報を変更してもなお、カウント値が上限値を上回る場合を想定して、実施形態1と同様に、算出部111によって算出された差の値が0または負である場合に、画像形成エンジン20が新たな記録用紙に対して画像形成を開始することをエンジン制御部121が禁止する構成にしてもよい。これにより、ジョブの実行中にカウント値が上限値を超えてしまった場合にはジョブを中止(または中断)させることができ、ユーザの利用を確実に制限することができる。
【0150】
〔実施例4〕
以下では、上述した実施形態2に基づいた一実施例について説明する。本実施例では、複合機200がカラー画像の形成を行うことができ、各色のトナー量に基づいて利用を制限する構成となっている。上限値記憶部115には、トナーの色ごとに、下記の表6に示す上限値が設定されている。本実施例では、表6に示すように、黒トナーの使用量が5mg以内、シアントナー・マゼンタトナー・イエロートナーの使用量が2mg以内になるように利用制限がかけられている。
【0151】
【表6】

【0152】
また、カウント値記憶部117には、画像形成によって消費された各色トナーの累積量がカウント値として色ごとに格納される。
【0153】
そして、算出部111が用いる閾値は、下記の表7に示すようになっている。
【0154】
【表7】

【0155】
従って、本実施例では、何れか1色のトナーについて、算出部111によって算出されるカウント値と表6の上限値との差の値が表7の閾値以下となった場合に、ジョブパラメータ記憶部109に格納された詳細設定情報の変更が設定変更部123によって実施される。
【0156】
図5は、本実施例における複合機200の複写処理の全体的な工程を示すフロー図である。図6は、図5のスキャン・印刷並行処理の詳細な工程を示すフロー図である。図7は、図5のスキャン後印刷処理の詳細な工程を示すフロー図である。
【0157】
図5に示すように、まず、ユーザによって原稿用紙の束が原稿読取ユニット30の自動原稿給紙装置31にセットされる。そして、操作部103が、ユーザからジョブ(ここでは複写処理)の実行命令とジョブの詳細設定情報とを受け付ける(S201)。すると、図示しないリセット部がカウント値記憶部117に格納されたカウント値を0にリセットする(S203)とともに、操作部103がステップS201にて受け付けたジョブの詳細設定情報をジョブパラメータ記憶部109に格納する(S205)。
【0158】
次に、原稿読取ユニット30において、自動原稿給紙装置31が1枚の原稿用紙を走査部32に給紙し、走査部32がこれをスキャンする(S207)。そして、走査部32は、原稿用紙をスキャンして生成した画像データを画像データ記憶部118に格納する。続いて、画像データ記憶部118の空き容量が不足しているか否か(空き容量が閾値以下であるか否か)と、さらにスキャンするべき原稿用紙があるか否かとを、図示しない判定部が判定する(S211)。なお、さらにスキャンするべき原稿用紙があるか否かは、自動原稿給紙装置31にスキャン前の原稿用紙が残っているか否かを図示しないセンサにより検出することにより判断する。ここで、画像データ記憶部118の空き容量が不足しており、かつ、さらにスキャンするべき原稿用紙がある場合(S211にてYes)には、後述するスキャン・印刷並行処理を行い(S213)、処理を終了する。
【0159】
一方、上記の条件を満たさない場合(S211にてNo)には、さらにスキャンするべき原稿用紙があるか否かを上記の判定部が判定する(S215)。ここで、さらにスキャンするべき原稿用紙がある場合(S211にてYes)には、ステップS207に戻り次の原稿用紙をスキャンする。一方、さらにスキャンするべき原稿用紙がない場合(S215にてNo)には、全ての原稿用紙のスキャンが完了したことになるので、後述するスキャン後印刷処理を行い(S217)、処理を終了する。
【0160】
図6に示すように、スキャン・印刷並行処理では、ステップS301〜S313に示すスキャン処理と、ステップS321〜S333に示す印刷処理とが並行して行われる。スキャン処理では、まず、画像データ記憶部118に、次の画像データを格納するための空き容量があるか否かを図示しない判定部が判定する(S301)。ここで、空き容量がない場合には、ステップS301に戻り、空き容量ができるまで待機する。なお、画像データ記憶部118に空き容量がない場合であっても、後述する印刷処理によって画像形成が行われると、画像データ記憶部118から画像形成に使用した画像データが削除され、空き容量が増加する。
【0161】
ステップS301において空き容量があると判定された場合には、上述したステップS207,S209と同様に、1枚の原稿用紙をスキャンし、その画像データが画像データ記憶部118に格納される(S303・S305)。そして、ステップS211と同様に、さらにスキャンするべき原稿用紙があるか否かを判定する(S307)。ここで、さらにスキャンするべき原稿用紙がある場合(S307にてYes)には、ステップS301に戻り、次の原稿用紙をスキャンする。
【0162】
一方、さらにスキャンするべき原稿用紙がない場合(S307にてNo)には、推定部125が、画像データ記憶部118に格納されている画像データと、ジョブパラメータ記憶部109に格納されている詳細設定情報とに基づいて、上述した方法により推定トナー消費量を算出する(S309)。この推定トナー消費量は、それぞれの色のトナーについて算出される。続いて、推定部125は、算出した各色トナーの推定トナー消費量が表6の上限値を上回っているか否かを判定する(S311)。ここで、上回っていない場合(S311にてNo)には、スキャン処理を終了する。一方、上回っている場合(S311にてYes)には、設定変更部123が、ジョブパラメータ記憶部109に格納された詳細設定情報を変更し(S313)、スキャン処理を終了する。
【0163】
例えば、ステップS201においてユーザがカラーコピーを指定し、ステップS311において、シアン・マゼンタ・イエローのうちの少なくとも1色のトナーの推定トナー消費量が表6の上限値を上回っている場合、設定変更部123は、以降の印刷処理においてモノクロ印刷が行われるよう、詳細設定情報の内容を、モノクロ印刷を指定する内容に変更する。これにより、詳細設定情報が変更された後の印刷処理では、黒トナーしか消費されないため、カラートナーの消費量が増加せずに、カウント値が上限値を上回らなくなる。
【0164】
一方、印刷処理では、まず、エンジン制御部121が、画像データ記憶部118から、1枚の記録用紙に対して画像形成を行う際に必要となる画像データを取得し、これを画像形成エンジン20に転送する。その結果、画像形成エンジン20は、1枚の記録用紙に対して画像形成を行う(S321)。そして、記録用紙が排紙トレイ9に排出されたことを図示しないセンサが検知すると、更新部113が、カウント値記憶部117に格納されているカウント値と、ステップS321における画像形成によって消費された各色のトナー量とを足し合わせ、得られた結果を新たなカウント値としてカウント値記憶部117に格納する。そして、エンジン制御部121が、画像データ記憶部118から、ステップS321において画像形成に使用した画像データを削除する(S325)。
【0165】
続いて、算出部111が、カウント値記憶部117に格納されたカウント値を上限値記憶部115に格納された表6の上限値から差し引くことにより、カウント値と上限値との差の値を算出する(S327)。算出された差の値は、設定変更部123に送られる。
【0166】
設定変更部123は、受け取った差の値が表7の閾値以下か否かを判定する(S329)。ここで、差の値が閾値以下である場合(S329にてYes)には、設定変更部123は、ステップS313と同様に、ジョブパラメータ記憶部109に格納された詳細設定情報を変更し(S331)、ステップS333に進む。一方、差の値が閾値を上回っている場合(S329にてNo)には、ステップS333に進む。
【0167】
ステップS333では、さらに画像形成するべき画像データが画像データ記憶部118に格納されているか否かと、原稿読取ユニット30によるスキャン処理が未完了であるか否かとを、図示しない判定部が判定する。ここで、さらに画像形成するべき画像データがなく、かつ、スキャン処理が完了していると判定された場合(S333にてNo)には、印刷処理を終了する。そうでない場合(S333にてYes)は、ステップS321に戻り、次の記録用紙に対して画像形成を行う。
【0168】
次に、スキャン後印刷処理について説明すると、図7に示すように、スキャン後印刷処理では、上述したステップS321〜S333と同様に、記録用紙に対して画像形成を順次行う(S407〜S419)。なお、スキャン後処理の場合、原稿用紙のスキャンは完了しているので、ステップS419では、画像形成を行うべき画像データが画像データ記憶部118に残っているか否かのみを判定する。
【0169】
以下では、上記の複合機200において、50枚の原稿用紙を複写するジョブを実行した例について説明する。このジョブにおいて、30枚の記録用紙に対して画像形成を行った時点でのカウント値(トナー消費量)が下記の表8のようになった場合、ステップS327(またはステップS413)にて算出される差の値は、下記の表9のようになる。
【0170】
【表8】

【0171】
【表9】

【0172】
表9に示された差の値のうち、シアン・マゼンタ・イエローのトナーについての差の値は、表7に示す閾値と等しくなっている。従って、この場合、ステップS331(またはステップS417)において設定変更部123は、モノクロ印刷を行うよう、ジョブパラメータ記憶部109に格納された詳細設定情報を変更する。これにより、50枚の原稿用紙を複写した後の各色トナーの消費量(カウント値)が下記の表10のようになり、何れのトナーについても消費量を表6の上限値以下に抑えることができる。
【0173】
【表10】

【0174】
トナーの消費量については、実際に画像形成を行わないと正確な値を求められないため、ジョブの実行開始時にカウント値が上限値を上回るか否かの判断は難しいが、スキャン後印刷処理では、ジョブの実行中にカウントが上限値に近づいた時点で詳細設定情報の変更要否を判断するので、実際のトナー消費に即した対応を取ることができる。
【0175】
また、スキャン・印刷並行処理では、カウント値が上限値を上回るか否かを事前に推定する構成となっているため、詳細設定情報を変更する必要があるか否かの判断を早い段階で行うことができる。
【0176】
さらに、本実施例では、全ての原稿用紙の読み取りが完了した時点で推定する構成となっているので、スキャンするべき原稿用紙が大量にあり、ジョブの開始時点ではジョブの量がどれくらいあるかわからない場合であっても、ジョブの実行中に確実に推定できるようになっている。
【0177】
例えば、画像データ記憶部118に、スキャンして得た原稿用紙の画像を画像データとして記憶しておく領域が30枚分しかない複合機200において、50枚の原稿用紙を複写するジョブが命令されると、読み込んだ原稿用紙の枚数が30枚に達した時点で、画像形成が開始される。しかしながら、この時点では、画像データ記憶部118には全ての画像データが格納されていないため、その後の出力枚数が何枚になるかは分からない。それゆえ、トナー消費量が上限に達するかどうかの判断を行うことができない。しかしながら、本実施例では、全ての原稿用紙のスキャンが完了した時点で推定を行うため、スキャン処理と出力が同じ処理速度で行われる場合、50枚のスキャン処理が完了した時点では、残出力予想値が30枚と算出でき、トナー消費量が上限値に達するか否かを推定することができる。
【0178】
〔実施形態3〕
次に、本発明のさらに他の実施形態について図8から図11に基づいて説明すると以下の通りである。なお、上述した実施形態1,2と同じ部材については同じ番号を付し、説明を省略する。
【0179】
本実施形態では、上述した実施形態2と同様に、画像データ記憶部118に格納された画像データと、ジョブパラメータ記憶部109に格納された詳細設定情報とに基づいて、カウント値がジョブの実行中に上限値を上回るか否かを推定するとともに、カウント値が上限値を上回ると推定された場合には、ユーザに対してその旨を通知する構成となっている。
【0180】
図8は、本実施形態の複合機300の機能構成を示すブロック図である。図8に示すように、複合機300は、実施形態2の推定部125とは異なる推定部(推定手段)131を備えている。
【0181】
推定部131は、上述した実施形態2の推定部125と基本的に同様であり、画像データ記憶部118に格納された画像データと、ジョブパラメータ記憶部109に格納された詳細設定情報とに基づいて、ジョブが最後まで実行されたときにカウント値記憶部117に格納されるカウント値が上限値を上回るか否かを推定するものである。
【0182】
ただし、本実施形態では、推定部131によってカウント値が上限値を上回ると推定された場合であっても、設定変更部123は、ジョブパラメータ記憶部109に格納された詳細設定情報を変更しない。その代わりに、操作部103が、ユーザに対してカウント値が上限値を上回ることを通知する。
【0183】
なお、上記のユーザへの通知は、例えば、図6のステップS313の代わりに行ったり、図7のステップS407の前に行ったりすることが好ましい。例えば、スキャン・印刷並行処理を行う場合、原稿読取ユニット30による原稿用紙のスキャン処理と、画像形成エンジン20による画像形成処理との間には、図11に示すようにタイムラグがある。従って、原稿用紙のスキャンが完了した時点でユーザに対して通知すれば、ジョブの実行が中止(または中断)されたり、ジョブの詳細設定情報が変更されたりする前に、ユーザが上限値記憶部115に格納された上限値を増加させるなどの対応を取ることができる。
【0184】
図9および図10は、推定部131によってカウント値が上限値を上回ると推定された場合に、操作部103がユーザに対して通知の例を示す図である。例えば、複合機300が管理者の下で管理されながらユーザに利用されている場合、操作部103は、図9に示す画面を表示する。この表示画面には、管理者に連絡し、上限値を増やす処理を行ってもらうよう指示するメッセージが含まれているため、この表示画面を見たユーザが管理者に連絡し、管理者が操作部103を操作して、上限値記憶部115に格納されている上限値を増加させる。その結果、ユーザは、複合機300にジョブを最後まで実行させることができるようになる。
【0185】
また、別の例として、複合機300がコンビニエンスストアなどに設置され、ユーザの投入した金額を上限値として利用制限が行われている場合、操作部103は、図10に示す画面を表示する。この表示画面には、コインを投入するよう指示するメッセージが含まれているため、この表示画面を見たユーザは、コインを追加で投入する。その結果、上限値記憶部115に格納されている上限値が増加し、ユーザが複合機300にジョブを最後まで実行させることができるようになる。
【0186】
なお、本実施形態では、上述した実施形態2の構成を改変した例について説明したが、本発明はこれに限定されず、実施形態1の構成に上記の推定部131を加えた構成としてもよい。この場合も同様の効果が得ることができる。
【0187】
〔実施形態4〕
次に、本発明のさらに他の実施形態について図12および図13に基づいて説明すると以下の通りである。なお、上述した実施形態1から3と同じ部材については同じ番号を付し、説明を省略する。
【0188】
本実施形態では、複合機とともに、該複合機を管理する管理装置を含んだ画像形成システムについて説明する。一般に、複合機における認証情報管理、出力制限管理および集計情報管理は複合機単体でも実現可能であるが、この場合、複合機単位での情報管理となるため、複数台の複合機が使用されている現場などでは管理が煩雑となってしまう。これを解決する手段として、複数台の複合機を外部の管理装置のアカウントサーバーアプリケーションを用いて一括管理する方法が挙げられる。
【0189】
そこで、本実施形態の画像形成システムでは、複合機の上限値記憶部115に格納される上限値を外部の管理装置が管理することにより、複合機の出力制限を管理装置が制御する構成となっている。図12は、本実施形態の画像形成システム600の機能構成を示すブロック図である。
【0190】
図12に示すように、画像形成システム600には、複合機400および管理装置500が含まれる。なお、図12では、一台の複合機400のみが含まれた構成が示されているが、複数台の複合機400が含まれていてもよいのはいうまでもない。
【0191】
複合機400は、基本的には、実施形態1の複合機100と同様であるが、コマンド送受信部(上限値受信手段・カウント値送信手段)141をさらに備えている。一方、管理装置500もコマンド送受信部(上限値送信手段・カウント値受信手段)501を備えており、複合機400のコマンド送受信部141と管理装置500のコマンド送受信部501との間でデータのやり取りが可能になっている。また、管理装置500は、管理部(上限値更新手段)503、上限値記憶部(上限値保持部)505、集計値記憶部507をさらに備えている。
【0192】
上限値記憶部505は上限値を格納している。複合機400の利用制限を複合機単位で行う場合、上限値記憶部505は複合機ごとに上限値を格納する。一方、複合機400の利用制限をユーザごとに行う場合、上限値記憶部505は、ユーザごとに上限値を格納する。集計値記憶部507は、複合機400の利用状況などを解析するための各種集計値を格納している。
【0193】
管理部503は、上限値記憶部505に格納された上限値および集計値記憶部507に格納された各種集計値を管理するものである。なお、コマンド送受信部141・501、管理部503は、CPUがプログラムを実行することによって実現される機能ブロックである。
【0194】
コマンド送受信部141・501は、上限値やカウント値などのデータをやり取りする際に、HTTP(hypertext transfer protocol)、SSL(Secure Socket Layer)を使用したHTTPS、および/または、SOAP(Simple Object Access Protocol)などの汎用通信プロトコルを使用する。上記の各プロトコルのうち、HTTPSを用いた場合、暗号化通信が実現されるためセキュリティが向上する。HTTPやHTTPSを用いる場合は、そのマークアップ言語として、HTML(Hypertext Markup Language)、XML(eXtensible Markup Language)、WML(Wireless Markup Language)、XHTML(eXtensible HyperText Markup Language)などを用いることができる。なお、XMLは、HTMLと同様の手軽さでデータ送受信できる文書構造の記述言語であり、(1)利用者が文書中の文字列に意味付けできる、(2)特定のソフトウェアに依存しない、(3)プログラムが容易、などの利点がある。
【0195】
一方、通信プロトコルとしてSOAPを用いる場合は、そのマークアップ言語としてXMLなどを用いることができる。SOAPは、データやサービスを呼び出すのに好適なプロトコルであるため、複合機400と管理装置500とを高度に連携させることができる。
【0196】
図13は、複合機400と管理装置500との間でのデータのやり取りを示すタイミング図である。複合機400において、操作部103がユーザからジョブの実行命令を受け付けると、複合機400のコマンド送受信部141は、管理装置500に対して上限値のリクエストを送信する(S501)。管理装置500のコマンド送受信部501がこのリクエストを受信すると、管理部503が上限値記憶部505から上限値を取得する(S503)。管理部503が取得した上限値は、コマンド送受信部501によって、複合機400へ送信される(S505)。
【0197】
管理装置500から上限値を受信した複合機400のコマンド送受信部141は、上限値記憶部115に上限値を格納する(S507)。そして、実施形態1にて説明したように、複合機400の各部によってジョブが実行される(S509)。そして、ジョブが完了すると、コマンド送受信部141は、カウント値記憶部117に格納されているカウント値を取得して管理装置500に送信する(S511)。管理装置500のコマンド送受信部501は、このカウント値を受信して管理部503に送る。管理部503は、上限値記憶部505から上限値を取得し、取得した上限値から受け取ったカウント値を差し引いた値を新たな上限値として上限値記憶部505に格納する(S513)。また、管理部503は、複合機400の利用状況のログを作成するために、取得したカウント値を集計値記憶部507に格納する。
【0198】
このように、本実施形態では、複合機400は、ジョブの実行開始時に管理装置500から上限値を受信し、ジョブの完了時に、ジョブによって増加したカウント値(具体的には、ジョブに使用した記録用紙の枚数もしくはトナー量、または、ジョブの代金など)を管理装置500に送信し、上限値の管理は管理装置500が行う構成となっている。それゆえ、複合機400が上限値の管理を行う必要がなく、複数台の複合機がある場合でも、管理装置500が一括して管理することができるという利点がある。
【0199】
なお、本実施形態では、上述した実施形態1と略同一の複合機が管理装置と通信する構成としたが、本発明はこれに限定されず、実施形態2と略同一の複合機が管理装置と通信する構成であってもよい。この場合も同様の効果を得ることができる。
【0200】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0201】
本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリおよび複合機など、画像形成を行う装置一般に好適に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0202】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すものであり、複合機の機能構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態を示すものであり、複合機の概略構造を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態を示すものであり、複合機の処理工程を示すフロー図である。
【図4】本発明の第2の実施形態を示すものであり、複合機の機能構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施形態を示すものであり、複合機の概略的な処理工程を示すフロー図である。
【図6】図5のステップS213の詳細な処理工程を示すフロー図である。
【図7】図5のステップS217の詳細な処理工程を示すフロー図である。
【図8】本発明の第3の実施形態を示すものであり、複合機の機能構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第3の実施形態を示すものであり、操作部に表示される画面の一例を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施形態を示すものであり、操作部に表示される画面の別の例を示す図である。
【図11】スキャン処理および画像形成処理の流れを示す図である。
【図12】本発明の第4の実施形態を示すものであり、画像形成システムの機能構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の第4の実施形態を示すものであり、画像形成システムの処理工程を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0203】
20 画像形成エンジン(画像形成部)
30 原稿読取ユニット(原稿読取部)
100,200,300,400 複合機(画像形成装置)
103 操作部(操作部・通知手段)
107,121 エンジン制御部(制御手段)
111 算出部(算出手段)
113 更新部(更新手段)
115 上限値記憶部
117 カウント値記憶部
125,131 推定部(推定手段)
141 コマンド送受信部(上限値受信手段・カウント値送信手段)
500 管理装置
501 コマンド送受信部(上限値送信手段・カウント値受信手段)
503 管理部(上限値更新手段)
505 上限値記憶部(上限値保持部)
600 画像形成システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジョブの実行命令を受け付けると、シートに対して順次画像形成を行う画像形成部であって複数枚のシートに対して同時に画像形成を行うことが可能な画像形成部を備えた画像形成装置であって、
カウント値を格納するカウント値記憶部と、
上記カウント値の上限値を格納する上限値記憶部と、
上記画像形成部が画像形成を行うたびに、上記カウント値記憶部に格納されたカウント値を増加させる更新手段と、
上記上限値記憶部に格納された上限値と上記カウント値記憶部に格納されたカウント値との差を算出する算出手段と、
上記算出手段によって算出された差が正の閾値よりも大きい場合には、a枚(ただしaは2以上の整数)のシートに対して同時に画像形成を行うように上記画像形成部を制御し、上記算出手段によって算出された差が0よりも大きくかつ上記閾値以下である場合には、上記a枚よりも少ないb枚のシートに対して同時に画像形成を行うように上記画像形成部を制御し、上記算出手段によって算出された差が0または負である場合には、上記画像形成部が新たなシートに対して画像形成を開始することを禁止する制御手段とを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
上記b枚が1枚であることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
上記カウント値は、上記画像形成部が画像形成を行ったシートの枚数であり、
上記更新手段は、上記画像形成部が1枚のシートに対して画像形成を行うたびに、上記カウント値記憶部に格納されたカウント値を1だけ増加させることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
上記カウント値は、上記画像形成部が画像形成に使用したトナーの量であり、
上記更新手段は、上記画像形成部が1枚のシートに対して画像形成を行うたびに、該画像形成に使用したトナーの量だけ、上記カウント値記憶部に格納されたカウント値を増加させることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
ジョブの実行命令を受け付けると、シートに対して順次画像形成を行う画像形成部を備えた画像形成装置であって、
カウント値を格納するカウント値記憶部と、
上記カウント値の上限値を格納する上限値記憶部と、
上記画像形成部が画像形成を行うたびに、該画像形成に使用した資源の量に基づいて、上記カウント値記憶部に格納されたカウント値を増加させる更新手段と、
上記上限値記憶部に格納された上限値と上記カウント値記憶部に格納されたカウント値との差を算出する算出手段と、
上記算出手段によって算出された差が正の閾値よりも大きい場合には、第1の方法によってシートに対して画像形成を行うように上記画像形成部を制御し、上記算出手段によって算出された差が0よりも大きくかつ上記閾値以下である場合には、第2の方法によってシートに対して画像形成を行うように上記画像形成部を制御する制御手段とを備え、
上記第2の方法は、上記第1の方法よりも、上記ジョブによって消費される上記資源の量が少ない方法であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
原稿用紙を順次読み取る原稿読取部、および、外部の端末装置から画像データを順次受信する受信部のうちの少なくとも一方と、
上記原稿読取部が原稿用紙を読み取って得た画像データ、および、上記受信部が外部の端末装置から受信した画像データのうちの少なくとも一方を格納する画像データ記憶部と、
上記画像形成部が上記画像データ記憶部に格納された画像データに対応する画像を上記第1の方法によってシートに対して順次形成した場合に上記カウント値が上記上限値を上回るか否かを推定する推定手段とをさらに備え、
上記画像形成部は、上記画像記憶部に格納された画像データに対応する画像をシートに対して順次形成するものであり、
上記制御手段は、上記推定手段によって上記カウント値が上記上限値を上回ると推定された場合に、第3の方法によってシートに対して画像形成を行うように上記画像形成部を制御し、
上記第3の方法は、上記第1の方法よりも、上記ジョブによって消費される上記資源の量が少ない方法であることを特徴とする、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
上記カウント値は、上記画像形成部が画像形成を行ったシートの枚数であり、
上記更新手段は、上記画像形成部が1枚のシートに対して画像形成を行うたびに、上記カウント値記憶部に格納されたカウント値を1だけ増加させ、
上記第2の方法は、上記第1の方法よりも、上記ジョブによって消費されるシートの枚数が少ない方法であることを特徴とする、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項8】
上記第1の方法は、シートの片面に対して画像形成を行う方法であり、上記第2の方法は、シートの両面に対して画像形成を行う方法であることを特徴とする、請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
上記カウント値は、上記画像形成部が画像形成に使用したトナーの量であり、
上記更新手段は、上記画像形成部が1枚のシートに対して画像形成を行うたびに、上記カウント値記憶部に格納されたカウント値を、該画像形成に使用したトナーの量だけ増加させ、
上記第2の方法は、上記第1の方法よりも、上記ジョブによって消費されるトナーの量が少ない方法であることを特徴とする、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項10】
上記カウント値は、ユーザに課金される金額であることを特徴とする、請求項1または5に記載の画像形成装置。
【請求項11】
上記上限値記憶部に格納される上限値を設定するための操作部をさらに備えていることを特徴とする、請求項1または5に記載の画像形成装置。
【請求項12】
複数の原稿用紙を順次読み取る原稿読取部と、
上記原稿読取部が原稿用紙を読み取って得た画像を格納する画像記憶部と、
上記画像記憶部に格納された画像を解析し、上記画像形成部が上記第1の方法によって該画像をシートに対して順次形成した場合に上記カウント値が上記上限値を上回るか否かを推定する推定手段と、
上記推定手段によって上記カウント値が上記上限値を上回ると推定された場合に、ユーザに対して通知を行う通知手段とをさらに備え、
上記画像形成部は、上記画像記憶部に格納された画像をシートに対して順次形成するものであることを特徴とする、請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
上記上限値記憶部は、ユーザごとに上記上限値を格納し、
上記算出手段は、自機にジョブの実行命令を与えたユーザの上記上限値と、上記カウント値記憶部に格納されたカウント値との差を算出することを特徴とする、請求項1または5に記載の画像形成装置。
【請求項14】
ジョブの実行命令を受け付けると、管理装置から通信ネットワークを介して上記上限値を受信して上記上限値記憶部に格納する上限値受信手段と、
ジョブの実行が完了すると、通信ネットワークを介して上記カウント値を上記管理装置に送信するカウント値送信手段とをさらに備えていることを特徴とする、請求項1または5に記載の画像形成装置。
【請求項15】
上記上限値受信手段および上記カウント値送信手段は、HTML、XML、WMLおよびXHTMLからなるグループから選択された何れか1つのマークアップ言語によって記述されたデータコマンドによって、それぞれ上記上限値の受信、上記カウント値の送信を行うことを特徴とする、請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
上記上限値受信手段および上記カウント値送信手段は、HTTPおよびSOAPのうちの一方の通信プロトコルによって、それぞれ上記上限値の受信、上記カウント値の送信を行うことを特徴とする、請求項15に記載の画像形成装置。
【請求項17】
上記上限値受信手段は、暗号化通信によって、上記管理装置から上記上限値を受信することを特徴とする、請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項18】
請求項1または5に記載の画像形成装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項19】
請求項18に記載のプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項20】
ジョブの実行命令を受け付けると、資源を使用しながら複数のシートに対して同時に画像形成を行う画像形成部を備えた画像形成装置と、通信ネットワークを介して該画像形成装置と通信できる管理装置とを含む画像形成システムであって、
上記画像形成装置は、請求項13に記載の画像形成装置であり、
上記管理装置は、
上記上限値を格納するための上限値保持部と、
上記画像形成装置のカウント値送信手段から通信ネットワークを介して上記カウント値を受信するカウント値受信手段と、
上記カウント値受信手段が受信した上記カウント値に基づいて、上記上限値保持部に格納された上記上限値を更新する上限値更新手段と、
上記上限値保持部に格納された上限値を、通信ネットワークを介して上記画像形成装置の上限値受信手段に送信する上限値送信手段とを備えていることを特徴とする画像形成システム。
【請求項21】
ジョブの実行命令を受け付けると、シートに対して順次画像形成を行う画像形成部であって複数枚のシートに対して同時に画像形成を行うことが可能な画像形成部と、
カウント値を格納するカウント値記憶部と、
上記カウント値の上限値を格納する上限値記憶部とを備えた画像形成装置の制御方法であって、
上記画像形成部が画像形成を行うたびに、上記カウント値記憶部に格納されたカウント値を増加させる更新工程と、
上記上限値記憶部に格納された上限値と上記カウント値記憶部に格納されたカウント値との差を算出する算出工程と、
上記算出工程によって算出された差が正の閾値よりも大きい場合には、a枚(ただしaは2以上の整数)のシートに対して同時に画像形成を行うように上記画像形成部を制御し、上記算出手段によって算出された差が0よりも大きくかつ上記閾値以下である場合には、上記a枚よりも少ないb枚のシートに対して同時に画像形成を行うように上記画像形成部を制御し、上記算出手段によって算出された差が0または負である場合には、上記画像形成部が新たなシートに対して画像形成を開始することを禁止する制御工程とを含んでいることを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項22】
ジョブの実行命令を受け付けると、シートに対して順次画像形成を行う画像形成部と、
カウント値を格納するカウント値記憶部と、
上記カウント値の上限値を格納する上限値記憶部とを備えた画像形成装置の制御方法であって、
上記画像形成部が画像形成を行うたびに、該画像形成に使用した資源の量に基づいて、上記カウント値記憶部に格納されたカウント値を増加させる更新工程と、
上記上限値記憶部に格納された上限値と上記カウント値記憶部に格納されたカウント値との差を算出する算出工程と、
上記算出手段によって算出された差が正の閾値よりも大きい場合には、第1の方法によってシートに対して画像形成を行うように上記画像形成部を制御し、上記算出手段によって算出された差が0よりも大きくかつ上記閾値以下である場合には、上記第1の方法よりも上記ジョブによって消費される上記資源の量が少ない第2の方法によってシートに対して画像形成を行うように上記画像形成部を制御する制御工程とを含んでいることを特徴とする画像形成装置の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2008−152138(P2008−152138A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−341744(P2006−341744)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】