説明

画像形成装置、色合わせ補正方法、及び色合わせ補正制御プログラム

【課題】中心位置算出に使用する基準電圧を適宜更新し、色合わせ補正の余裕度を向上させる。
【解決手段】色合わせパターンを作像し(S101)、第1ないし第3の基準電圧のそれぞれにおいて、色合わせパターンを検出する(S102)。第2及び第3の各基準電圧でそれぞれ色合わせパターンを検出できたか否かをチェックし(S103,S104,S107)、第2及び第3の基準電圧で共に検出できれば(S104-Yes)、第1の基準電圧は更新する必要がなく(S106)、第2の基準電圧で検出でき、第3の基準電圧で検出できなければ(S104-No)、第1の基準電圧TH1を計算して更新する。第2、第3の基準電圧でも検出できなかった場合には(S103-No、S107-No)、第1の基準電圧を更新するだけのデータがないので、更新しない(S109)。第3の基準電圧を検出できた場合には(S107-Yes)、第1の基準電圧を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の画像形成部を記録紙搬送方向に沿って並置し、各画像形成部で形成された画像を中間転写部材上に重畳して記録紙上に転写し、あるいは搬送体によって搬送される記録用紙に順次直接重ねて転写してカラー画像を形成する所謂タンデム型画像形成装置に関し、また、この形式の画像形成装置における色合わせ制御方法、及びこの色合わせの補正制御をコンピュータによって実行する色合わせ補正制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式でフルカラー画像を形成する際にタンデム型の画像形成装置が広く用いられている。このタンデム型画像形成装置には、中間転写部材に1次転写された画像を記録紙に2次転写し、記録紙上に画像を形成する間接転写方式、あるいは、転写搬送ベルトに吸着させて搬送する記録紙上に直接画像を転写して画像を形成する直接転写方式の2つの方式が知られている。
【0003】
いずれにしても、各色の画像形成部が所定間隔で記録紙搬送方向に沿って並置していることから、フルカラーの画像を形成する際に色ずれが問題となる。そこで、この形式の画像形成装置では、色ずれの補正が重要となる。色ずれ補正に際しては、一般に、前記中間転写体上、あるいは転写搬送ベルト上に各色毎に色ずれパターンを形成し、この色ずれパターンを光学センサで読み取って、各色毎のずれ量を検出するようになっている。
【0004】
このような色ずれパターンの検出及びその補正に関する技術として、例えば、特許文献1及び2に記載された発明が公知である。このうち、特許文献1記載の発明は、搬送ベルト上に形成された一連の位置ずれ検知パターン像を正反射光学系からなる2つの光センサを介して読み取り、該読み取られる画像データに基づき各色画像間の位置ずれ量を演算し、該演算された位置ずれ量に基づいて、基準色以外の各画像形成ステーションによる画像の位置を補正制御するものである。そして、この構成により、 搬送体の表面状態に左右されることなく、かつ、搬送体の転写面色に左右されることなく、僅かな光量で搬送体に転写される各色ずれパターンと搬送体自体との反射率の差異を検知して色ずれを補正することができるというものである。
【0005】
また、特許文献2記載の発明は、感光体に各色カラー顕像を形成し転写紙上に重ね転写するカラー画像形成装置の、転写ドラム又は転写ベルトである転写媒介体上に、その移動方向に並んだ各色のマークの配列でなるマークセットの複数を形成し、各マークセットの各マークをセンサで検出して、異なるマークセット上の同色マークの基準位置に対するずれ量の平均値を算出するカラー画像形成の色ずれ検出方法において、前記転写媒介体の一周範囲内に前記マークセットの前記複数を形成し、色ずれ検出の信頼性を高くし、テストパターンのマーク配列を確実に検出し、メモリに格納する検出データ量を低減することができるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−312116号公報
【特許文献2】特開2002−207338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、これらの特許文献記載の発明では、色ずれパターンを形成し、その色ずれパターンから色ずれ量を検出して色ずれを補正するようになっているが、特許文献1記載の発明では、パターン検出信号の最大値と最小値に基づいて算出している。また、特許文献2記載の発明では、転写媒介体の一周範囲内にマークセットを複数形成し、色ずれ検出の信頼性を高くするようにしているが、位置ずれ量の平均値をとるものであり、誤検知に対処することはできない。すなわち、この種の色ずれ補正を行うものでは、色ずれ補正の際に、転写ベルト上に付着物や突起物があると、色合わせパターンの信号波形が変化し、また、転写ベルト特性の経時変化によっても色合わせパターンの信号波形が変化するが、色合わせパターンの中心位置算出に使用する基準電圧を前記信号波形の変化に対応して変更することができない。そのため、転写ベルト特性が経時的に変化すると、その変化に対応することができず、色ずれを精度良く補正することが不可能である。
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、中心位置算出に使用する基準電圧を適宜更新することを可能とし、色合わせパターンの読み取り障害となっている付着物、突起物、転写ベルトの経時変化に対する色合わせ補正の余裕度を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、第1の手段は、単色の画像を移動する中間転写体又は最終転写体に転写し、複数色を重ねてカラー画像を形成する画像形成手段を有する画像形成装置であって、前記中間転写体又は最終転写体を搬送する搬送体に複数色からなる色合わせパターンを形成するパターン形成手段と、前記形成された複数色のパターンを光学的に読み取り、各色毎に電圧信号に変換して電圧信号パターンとして出力する検知パターン出力手段と、前記電圧信号パターンに対して基準電圧値を設定し、当該基準電圧値と前記電圧信号パターンとに基づいて各色のパターンの移動方向における中心位置を算出する中点算出手段と、前記基準電圧値を前記電圧信号パターンの検出状態に応じて更新する基準電圧更新手段と、前記中点算出手段によって算出された中点の位置に応じて前記画像形成手段による各色の画像形成タイミングを制御する制御手段と、を備えていることを特徴とする。
【0010】
第2の手段は、第1の手段において、前記検出信号の最小電圧値を検出する手段と、複数の基準電圧を設定し、当該基準電圧における前記電圧信号パターンとのクロス点を検出する位置検出手段と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
第3の手段は、第2の手段において、前記複数の基準電圧が、前記中心位置の算出に使用される第1の基準電圧と、この第1の基準電圧より高く設定された第2の基準電圧と、前記第1の基準電圧より低く設定された第3の基準電圧からなり、前記位置検出手段は、前記第1ないし第3の基準電圧における前記クロス点を検出することを特徴とする。
【0012】
第4の手段は、第3の手段において、前記第1の基準電圧において前記クロス点を検出し、前記第2の基準電圧おいて位置検出に使用できるクロス点を検出することができなかったとき、前記基準電圧更新手段は、前記第3の基準電圧と前記第1の基準電圧とから新たに第1の基準電圧を算出し、基準電圧値として更新することを特徴とする。
【0013】
第5の手段は、第3の手段において、前記第1の基準電圧において前記クロス点を検出し、前記第3の基準電圧において前記クロス点を検出することができなかったとき、前記基準電圧更新手段は、前記第2の基準電圧と前記電圧最小値とから新たに第1の基準電圧を算出し、基準電圧値として更新することを特徴とする。
【0014】
第6の手段は、第3の手段において、前記第1ないし第3の基準電圧において前記クロス点をすべて検出することができたとき、又は、位置検出に使用できるクロス点を検出することができなかったときは、前記基準電圧更新手段は新たに第1の基準電圧は算出しないことを特徴とする。
【0015】
第7の手段は、第3の手段において、前記中間転写体又は前記最終転写体の回転数を記憶する記憶手段を備え、前記パターン形成手段は、前記回転数が一定回転数に達する毎に色合わせパターンを形成し、前記信号位置検出手段は、前記第2及び第3の基準電圧において前記クロス点の検出処理を実行し、前記基準電圧更新手段は、算出された検出位置に基づいて新たな第1の基準電圧を算出し、基準電圧値として更新することを特徴とする。
【0016】
第8の手段は、第3又は第7の手段において、前記画像形成手段で消費されたトナー量を記憶する記憶手段を備え、前記パターン形成手段は、トナー消費量が一定量に達する毎に色合わせパターンを形成し、前記位置検出手段は、第2及び第3の基準電圧において前記クロス点の検出処理を実行し、前記基準電圧更新手段は、算出された検出位置に基づいて新たな第1の基準電圧を算出し、基準電圧値として更新することを特徴とする。
【0017】
第9の手段は、第3、第7及び第8のいずれかの手段において、前記中間転写体又は最終転写体の脱着を判別する判別手段を備え、前記パターン形成手段は、前記判別手段により前記中間転写体又は最終転写体の脱着を判別する毎に色合わせパターンを形成し、前記位置検出手段は、第2及び第3の基準電圧において前記クロス点の検出処理を実行し、前記基準電圧更新手段は、算出された検出位置に基づいて新たな第1の基準電圧を算出し、基準電圧値として更新することを特徴とする。
【0018】
第10の手段は、第3、第7、第8、及び第9のいずれかの手段において、第1の基準電圧更新時の機内温度を記憶する記憶手段を備え、前記パターン形成手段は、前回更新時の機内温度から一定量の温度差を検出する毎に色合わせパターンを形成し、前記位置検出手段は、第2及び第3の基準電圧において前記クロス点の検出処理を実行し、前記基準電圧更新手段は、算出された検出位置に基づいて新たな第1の基準電圧を算出し、基準電圧値として更新することを特徴とする。
【0019】
第11の手段は、単色の画像を移動する中間転写体又は最終転写体に転写し、複数色を重ねてカラー画像を形成する画像形成手段を有する画像形成装置の色合わせ補正方法であって、移動する中間転写体又は最終転写体を搬送する搬送体に複数色からなる色合わせパターンを形成し、前記形成された複数色のパターンを光学的に読み取り、各色毎に電圧信号に変換して電圧信号パターンとして出力し、前記電圧信号パターンに対して基準電圧値を設定し、当該基準電圧値と前記電圧信号パターンとに基づいて各色のパターンの移動方向における中心位置を算出し、前記基準電圧値を前記電圧信号パターンの検出状態に応じて更新し、前記算出された中点の位置に応じて前記画像形成手段による各色の画像形成タイミングを制御することを特徴とする。
【0020】
第12の手段は、単色の画像を移動する中間転写体又は最終転写体に転写し、複数色を重ねてカラー画像を形成する画像形成手段を有する画像形成装置の色合わせ補正制御をコンピュータによって実行するための色合わせ補正制御プログラムであって、移動する中間転写体又は最終転写体を搬送する搬送体に複数色からなる色合わせパターンを形成する手順と、前記形成された複数色のパターンを光学的に読み取り、各色毎に電圧信号に変換して電圧信号パターンとして出力する手順と、前記電圧信号パターンに対して基準電圧値を設定し、当該基準電圧値と前記電圧信号パターンとに基づいて各色のパターンの移動方向における中心位置を算出する手順と、前記基準電圧値を前記電圧信号パターンの検出状態に応じて更新する手順と、前記算出された中点の位置に応じて前記画像形成手段による各色の画像形成タイミングを制御する手順と、を備えていることを特徴とする。
【0021】
なお、後述の実施形態では、中間転写体は中間転写ベルト150に、最終転写体は記録紙Pに、画像形成手段はプリンタエンジン100に、搬送体は転写搬送ベルト110に、色合わせパターンはCPNに、パターン形成手段は作像ステーション101に、電圧信号パターンはSGP,SGP1,SGP2,SGP3に、検知パターン出力手段は光センサ130及び制御部140に、中点算出手段、基準電圧更新手段、制御手段、最小電圧値を検出する手段及び位置検出手段は制御部140に、第1の基準電圧はTH1に、第2の基準電圧はTH2に、第3の基準電圧はTH3に、クロス点はt1,t2,t11,t21に、記憶手段は記憶部141に、それぞれ対応する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、基準電圧更新手段によって中心位置算出に使用する基準電圧を適宜更新することが可能なので、色合わせパターンの読み取り障害となっている付着物、突起物、転写ベルトの経時変化に対する色合わせ補正の余裕度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の本実施形態に係る直接転写方式のタンデム型画像形成装置のプリンタエンジンの要部の概念的な構成を示す図である。
【図2】本実施形態の他の例に係る間接転写方式のタンデム型画像形成装置のプリンタエンジンの要部の概念的な構成を示す図である。
【図3】転写搬送ベルトあるいは中間転写ベルト上に形成される色合わせパターンを概念的に示す図である。
【図4】(a)は本実施形態における光センサの回路構成を示す図、(b)は光センサのハード構成の概略を示す図である。
【図5】光センサによって検出された色合わせパターン信号の例であり、光センサの出力端子から出力される信号の出力電圧波形を示す。
【図6】色合わせパターンを光センサで読み取ったときの出力端子からの出力波形の例を概念的に示す図である。
【図7】転写搬送ベルトの交換前後の位置の位置ずれ状態を示す図である。
【図8】第1の基準電圧を更新するときの処理手順を示すフローチャートである。
【図9】機内温度差の検出結果に基づいて第1の基準電圧の更新開始時の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0025】
図1は本発明の実施形態に係る直接転写方式のタンデム型画像形成装置のプリンタエンジンの要部の概念的な構成を示す図である。図1において、プリンタエンジン100は、シアンC、マゼンタM、イエローY、ブラックBkの4色の作像ステーション101C,101M,101Y,101Bk、転写搬送ローラ110、書込ユニット120、及び制御部130を含み、搬送されている記録紙Pに可視画像を形成する。
【0026】
作像ステーション101C,101M,101Y,101Bkは転写搬送ベルト110の回転方向に沿って回転方向下流側から前記順序で所定間隔を持って配置され、その上方に書込ユニット120が設けられている。転写搬送ベルト110は駆動ローラ111と従動ローラ112間に掛け渡され、図示反時計方向(矢印方向)に、図示しない駆動モータにより回転駆動される。
【0027】
各作像ステーション101(以下、各色共通の場合には、色を示すCMYBkの添え字は省略する)は、感光体ドラム102と、その外周に沿って配置された帯電ユニット、現像ユニット、転写ユニット、クリーニングユニット、除電ユニットとからなり、帯電ユニットと現像ユニットとの間に前記書込ユニット120から変調されたレーザ光が照射される露光部が設けられている。各作像ステーション101は、感光体ドラム102と現像ユニットを構成する現像剤カートリッジが一体化したプロセスユニットをそれぞれ備え、転写ユニットは転写搬送ベルト110を挟んで各感光体ドラム102に対向するように配置された転写ローラ103からなる。転写搬送ベルト110の表面側の黒色の作像ステーション101Bkの回転方向上流側には、転写ベルトクリーナ113が設置され、転写前の転写搬送ベルト表面のクリーニングを行う。また、このクリーナ113側から画像転写用の記録紙Pが供給され、転写搬送ベルト110に静電的に吸着された状態で搬送される。
【0028】
書き込みユニット120では、光書き込みのためのレーザダイオード(以下、LDと称す)から出射されたレーザ光はシリンドリカルレンズ等の光学系を通り、高速で回転する回転多面鏡(ポリゴンミラー)で反射され、fθレンズを含む結像光学系によって各感光体ドラム102の主走査方向に沿って偏向走査される。この光走査によって感光体ドラム102の表面に光書き込みが行われる。光書き込みは、レーザ光を画像信号に基づいて変調し、レーザ光の点灯、消灯を繰り返し、ポリゴンミラーの回転に従って主走査方向に反復して走査されると同時に、感光体ドラム102が回転して副走査を行い、各感光体ドラム102上に画像信号に対応する静電潜像を形成する。本実施形態の場合4色あることから、4色それぞれの静電潜像が各感光体ドラム102C,102M,102Y,102Bk毎に形成される。
【0029】
各感光体ドラム102に形成された各色毎の静電潜像は、帯電した現像剤によって各色毎に各作像ステーション101で現像され、転写搬送ベルト110に吸着されて搬送されてくる記録紙Pに各作像ステーション101毎に各色のトナー画像が転写され、最終的に4色重畳されたカラー画像が記録紙P上に形成される。各作像ステーション101の転写位置では、必要に応じて転写ローラ103C,103M,103Y,103Bkが上下動する。記録紙Pに転写された画像は、図示しない定着装置に送られ、加熱及び加圧によりトナーが記録紙上に溶着し、定着される。
【0030】
一方、転写搬送ベルト110の表面に対向し、4色の各作像ステーション101よりも転写搬送ベルト回転方向下流側の所定位置に色ずれパターン検出用の光センサ130が設けられている。光センサ130の設置位置は、図1では転写搬送ベルト110を挟んで従動ローラ112と対向した位置に設定されている。光センサ130の検知出力は制御部140に入力される。この制御部140では、書込ユニット120、その他の作像要素を含むプリンタエンジン100の制御を司る。制御部140は記憶部141を含み、図示しないCPUが図示しないROMに格納されたプログラムを図示しないRAMをワークエリアとして使用し、前記プログラムを実行することによって各種制御が行われる。
【0031】
光センサ130は、各感光体ドラム102上に作像される各色の静電潜像の理想位置からの位置ずれを検出するために用いられ、位置ずれ検出のための色合わせパターンを読み取り、光電変換により電圧信号に変換された色合わせパターン信号131として制御部140に出力する。制御部140では、入力された色合わせパターン信号131に基づいて各色の画像の位置ずれ量を検出し、検出された位置ずれ量をCPUにより書込ユニット120にフィードバックし、位置ずれが生じないようにレーザ光の点灯タイミングを制御する。これにより、より高品質な画像を形成することができる。
【0032】
図2は、間接転写方式のタンデム型画像形成装置のプリンタエンジンの要部の概念的な構成を示す図である。図2に示した例は、図1に示した直接転写方式のタンデム型画像形成装置における転写搬送ベルト110を中間転写ベルト150とし、2次転写ユニット(ベルト)155によって記録紙P上に画像を転写するものである。すなわち、各感光体ドラム102上にそれぞれ単色のトナー画像を形成し、それらの単色トナー画像を中間転写(1次転写ベルト)ベルト150に接触させて中間転写ベルト150上に順次転写し、中間転写ベルト150上複数のトナー画像を重畳させて合成カラー画像を形成する。一方、中間転写ベルト150は駆動ローラ111と第1及び第2の従動ローラ112,114間に張設され、駆動ローラと従動ローラ間に張設された2次転写ベルト155とのニップに転写媒体としての記録紙Pを搬送すると、中間転写ベルト150上の合成カラー画像が記録紙Pに一括転写され、図示しない定着装置に導かれて定着された後、排紙される。
【0033】
その他の各部は図1に示した直接転写方式のタンデム型画像形成装置と同等なので重複する説明は省略する。
【0034】
図3は転写搬送ベルト110あるいは中間転写ベルト150上に形成される色合わせパターンを概念的に示す図である。色合わせパターンCPNは、各作像ステーション101によって各色毎に形成される。この例では、主走査にn個(nは1以上の整数)形成され、各色Y,Bk,C,Mのパターン(線)が所定幅で主走査方向に形成されている。ここでは、最上流に位置するBkのステーションで作成されたBkパターン201を基準として各色Y,C,Mの色パターン202,203,204間の間隔(副走査方向の間隔)を、
Y−Bk間の間隔:FRy
Bk−C間の間隔:FRc
Bk−M間の間隔:FRm
とし、主走査方向にn個作成する。n個のパターンCPNの各色パターンの間隔は添え字として1からnを添えて示す。したがって光センサ130は主走査方向に前記パターンCPNに対向する位置にパターンの数nだけ設けられる。更に、図3の例は、副走査方向の1セット目の色合わせパターンであり、このn個のパターンCPNが1セットとなり、副走査方向に所定セット数形成される。
【0035】
以下、直接転写方式のタンデム型画像形成装置を例に取って説明するが、間接転写方式のタンデム型画像形成装置においても差異はない。
【0036】
色合わせ補正を行う場合には、各作像ステーション101で転写搬送ベルト110に図3に示すような全色の色合わせパターンCPN1〜CPNnを形成する。転写搬送ベルト101上に転写された色合わせパターンCPN1〜CPNnは、光センサ130によって各色パターン201〜204を検出し、電圧信号に変換して色合わせパターン信号131を得る。そして、各色パターン200,201,202,203の中心位置を算出し、前記間隔FRy、FRc、FRmを算出するが、算出したパターンの中心位置がずれると、前記間隔を揃えたとしても、中心位置のずれが含まれており、その分位置ずれしていることになる。
【0037】
図4(a)は本実施形態における光センサ130の回路構成を示す図、図4(b)は光センサ130のハード構成の概略を示す図である。光センサ130は図4(b)に示すように発光素子20a及び受光素子20bが配置され、色パターンを読み取る。この光センサ130fは光反射型センサであり、受光素子20bは光の正反射を検出する正反射型光センサである。また、この実施形態では特に触れていないが、図において左側の受光素子20gは光の拡散反射を検出するものである。パターン検出に拡散反射光(散乱光)を検知するものもあるが、ここでは省略する。
【0038】
図4(b)に示すように、光センサ130は発光素子20aと受光素子20bを備え、トランジスタ20tへの印加電圧に応じた出力の光が発光素子20aから出射され、この出射光がパターンに照射され、その反射光を受光素子20bで検出する。このときの転写媒体への照射径は例えば2.2mm、反射径は0.5〜0.6mmである。受光素子20bは前記反射光を受光すると、受光した光量に応じた電圧を出力する。前記受光した光量は反射したパターンの色や幅に応じて異なるので、この受光した光量に応じた出力が電圧信号として出力端子20dから出力される。図5は光センサ130によって検出された色合わせパターン信号131の例であり、前記出力端子20dから出力される信号の出力電圧波形(電圧信号パターンSGP1,SGP2,SGP3)を示す。
【0039】
図6は色合わせパターンCPNを光センサ130で読み取ったときの出力端子20dからの出力波形(電圧信号パターンSGP)の例を概念的に示す図で、ここでは対称波形として示している。本実施形態では、予め設定したスレッシュ値Vth下1(基準電圧)で読み取った値(時刻)t11(立下り)とt21(立上り)の値を使って信号の中点値(時刻)を求め、その各色の中点値を基準にして各色間の色ずれ量を算出する。すなわち、図6の例では、
(t11+t21)/2 ・・・(1)
によって波形の中点値が求められる。いずれにしても出力波形とスレッシュ値Vth下1との間にクロス点t1,t2,t11,t21が存在し、このクロス点t1,t2,t11,t21からクロスした位置の時刻を読み取ることができる。この時刻は色パターンが形成された媒体が移動していることから位置情報となり、時刻差、あるいは位置差は距離(幅)情報となる。
【0040】
ここでは図5(a)、(b)、(c)に示すように3つの基準電圧に対して3つの信号パターン(SGP1,SGP2,SGP3)が示されている。色合わせパターン信号SGP1が上方にシフトした場合(SGP2)には、図5(b)に示すように最小電圧値が第3の基準電圧(図では基準電圧3と記す)より高くなり、第3の基準電圧では前記時刻を検出することができず、信号の中点値を求めることはできない。一方、図5(c)では、色合わせパターン信号SGP3は第2の基準電圧(図では基準電圧2と記す)をノイズで切っており、時刻が4点検出されることからこれを基準に中点を求めることはできない。すなわち、図5の例は、図5(b)では第3の基準電圧において検出失敗、図5(c)では第2の基準電圧において検出失敗となり、クロス点は位置検出上有効なものとして取り扱うことはできない。第2の基準電圧、及び第3の基準電圧においてそれぞれ検出失敗となった場合には最小電圧値を考慮し第1の基準電圧(図では基準電圧1と記す)を算出し、更新する。
【0041】
図5の例では、第1の基準電圧に対して高い電圧の基準を第2の基準電圧、低い電圧の基準を第3の基準電圧としている。ここでは、基準電圧としているが、予め設定したスレッシュ値と考えて良い。そこで、本実施形態では、
第1の基準電圧:TH1
第2の基準電圧:TH2
第3の基準電圧:TH3
最小電圧値:Vmin
とした場合、第3の基準電圧検出失敗時には第1の基準電圧を
TH1new=(TH2+Vmin)/2 ・・・(2)
とする。また、第2の基準電圧検出失敗時には、
TH1new=(TH1+TH3)/2 ・・・(3)
とする。
【0042】
第1の基準電圧の更新は、検出失敗時のみならず、外乱因子の発生の蓋然性が高いときに実行される。外乱因子が発生する蓋然性が高い条件とは、経時的条件、機構上の条件、あるいは環境条件がある。経時的条件としては、例えば画像形成装置の使用時間がある。そこで、この経時的条件に対応するため、転写搬送ベルト110の回転数をカウントしておき、このカウント値を制御部140の記憶部141に記憶し、所定回転数毎、例えば500回転に達すると、色合わせパターンCPNを形成し、色合わせパターンCPNを光センサ130で読み取る。そして、得られた色合わせパターン信号131を第2及び第3の基準電圧TH2、TH3で読み取り(クロス点を検出し)、その中央値に基づいて第1の基準電圧TH1を求め、更新する。
【0043】
また、経時的条件としては使用期限に伴う問題がある。転写搬送ベルト110は使用期限、使用時間、あるいは印刷枚数が設定されており、前記期限あるいは時間が経過する前、あるいは経過した直後に転写搬送ベルト110は交換される。交換されたときには、交換の前後で転写搬送ベルトの位置はばらつく。この状態を図7に示す。すなわち、図7に示すように、転写搬送ベルト110を交換すると、転写搬送ベルト110が新品となるが、それまで使用されていた転写搬送ベルト110は新品時より延びている可能性が高い。そのため、転写搬送ベルト110を交換すると、従動ローラ112の位置が駆動ローラ111側にずれる。
【0044】
他方、光センサ130は、予め設定された位置に固定されているので、従動ローラ112がずれると、検出すべき色合わせパターンCPNとの距離が遠くなる。距離が遠くなると検出出力が下がり、従前までの第1ないし第3の基準電圧TH1,TH2,TH3では、適切に中点値を検出することができなくなる。そこで、このような場合も第1の基準電圧TH1を更新する。なお、前記転写ベルト110の位置ずれは、機構上の条件にも該当する。
【0045】
なお、印刷枚数で転写搬送ベルト110を交換する場合もある。この場合には、例えば、転写搬送ベルト110の寿命を9万ページ印刷として、印刷ページ枚数が9万枚に達した時点で、転写搬送ベルト110を交換する。この交換により、前述のように転写搬送ベルト110のずれが生じるので、交換後に前述のように第2及び第3の基準電圧TH2,TH3で読み取った色合わせパターン信号に基づいて第1の基準電圧TH1を更新する。
【0046】
更に、画像形成時間(使用時間)とトナーの使用量は比例関係にあることから、各作像ステーション101のトナー使用量を記憶部141に記憶しておき、1つでも一定のトナー使用量に達すると、そのたびに色合わせパターン検出を実行し、第2、第3の基準電圧Th2,TH3で読み取り、同様にして第1の基準電圧TH1を更新する。
【0047】
環境条件としては、温度及び湿度がある。本実施形態では、環境条件として機内温度をパラメータとして採用している。このため、画像形成装置の機内には、温度センサ160が設けられている。温度センサ160は温度変化が激しい個所、例えば図示しない定着装置近傍や定着装置の上方が望ましいが、特にこれらの個所に限定するものではない。そこで、本実施形態では、機内温度についても基準電圧を更新し、温度変化に対応できるようにしている。すなわち、第1の基準電圧TH1の更新時に温度センサ160によって検出した機内温度を記憶部141に記憶しておき、画像形成時に温度計測も並行して行う。そして、記憶部141に記憶されている機内温度に対して5℃以上の温度差が検出されたとき、色合わせパターン検出を実行し、第2、第3の基準電圧Th2,TH3で読み取って同様にして第1の基準電圧TH1を更新する。
【0048】
これにより、外乱因子に対する色合わせパターンの読み取り余裕度を最適に維持することができる。なお、ここで更新動作を実行するタイミングを記憶部141に記憶されている機内温度に対して5℃以上の温度差に設定しているのは、反射型センサの種類にもよるが、相対出力−周囲温度特性から約0.5〜0.6%/℃の出力電圧変動があることから、3%以上の出力電圧変動、すなわち5℃の温度差が発生した場合に基準電圧を更新するようにした。
【0049】
図8はこれまでに説明した第1の基準電圧TH1を更新するときの処理手順を示すフローチャートである。同図において、色合わせ制御がスタートし、色合わせパターンを作像する(ステップS101)。次いで、第1ないし第3の基準電圧TH1、TH2、TH3のそれぞれにおいて、色合わせパターンを検出する(ステップS102)。次いで、第2及び第3の各基準電圧Th2,TH3でそれぞれ色合わせパターンを検出できたか否かをチェックする(ステップS103,S104,S107)。このチェックで、第2の基準電圧TH2及び第3の基準電圧TH3で共に検出できれば(ステップS104−Yes)、第1の基準電圧TH1は更新する必要がなく(ステップS106)、第2の基準電圧TH2で検出でき、第3の基準電圧TH3で検出できなければ(ステップS104−No)、第1の基準電圧TH1を式(2)に基づいて更新する。なお、ここでいう検出の可不可は前記クロス点が位置検出に関して有効か無効かということを意味する。
【0050】
他方、第2の基準電圧TH2でも第3の基準電圧TH3でも検出できなかった場合には(ステップS103−No、S107−No)、第1の基準電圧TH1を更新するだけのデータがないので、更新しない(ステップS109)。しかし、第3の基準電圧TH3を検出できた場合には(ステップS107−Yes)、第1の基準電圧TH1を式(3)に基づいて更新する。
【0051】
図9は機内温度差の検出結果に基づいて第1の基準電圧TH1の更新開始時の処理手順を示すフローチャートである。この処理手順は、電源投入時(ステップS201−Yes)、色合わせパターンの作像を開始し(ステップS203)、第1の基準電圧TH1を更新するかどうか判断して(ステップS204)、更新するのであれば(ステップS204−Yes)、そのときの機内温度を記憶部141に記憶してこの処理を終了し(ステップS205)、更新しないのであれば(ステップS204−No)、そのまま終了する。
【0052】
一方、電源投入時機内温度の温度差が記憶部141に記憶されている前回更新時の温度に対して指定値、本実施形態では5℃以下であれば(ステップS202−Yes)、そのまま処理を終え、5℃を越えていればステップS203以降の処理を実行し、処理を終える。
【0053】
なお、本実施形態では、図1に示した直接転写方式のタンデム型画像形成装置を例に取って説明しているが、図2に示した間接転写方式のタンデム型画像形成装置でも同様であることはいうまでもない。
【0054】
以上のように本実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
1)従来色合わせパターン検出時の基準電圧は固定値であったが、色合わせパターン検出における外乱因子の影響に応じて第1の基準電圧TH1を更新するようにしたので、色合わせパターンCPNの検出ミスのリスクが低減され、色合わせ制御の精度向上を図ることができる。
【0055】
2)複数の基準電圧TH1〜3による色合わせパターン検出を実行し、中心位置(中点値)算出に使用する基準電圧を適宜更新するので、色合わせパターンCPNの読み取り障害となっている付着物、突起物、及び転写搬送ベルト110あるいは中間転写ベルト150の経時変化に対する基準電圧の余裕度の向上を図ることができる。
【0056】
3)色合わせパターン信号において、最小電圧値Vminと複数の基準電圧TH1〜3における検出位置情報(本実施形態では時刻情報)に基づいて中心位置算出に使用する基準電圧を算出することができる。
【0057】
4)中心位置算出に使用する第1の基準電圧TH1より大きい第2の基準電圧TH2と小さい第3の基準電圧TH3を設定し、第2及び第3の基準電圧TH2,3においてパターン検出を行うことにより、外乱因子に対して第1の基準電圧TH1の余裕度を大きくすることができる。
【0058】
5)第2の基準電圧TH2における色合わせパターン検出が失敗した場合、第1の基準電圧TH1の外乱因子に対する余裕度が小さくなっていることを示しているが、第3の基準電圧TH3と色合わせパターン信号の最小電圧値Vminとから第1の基準電圧TH1を式(3)によって設定することにより、第1の基準電圧TH1を低くすることが可能となる。その結果、外乱因子に対する色合わせ補正の余裕度を向上させることができる。
【0059】
6)第3の基準電圧TH3における色合わせパターン検出が失敗した場合、第1の基準電圧TH1の外乱因子に対する余裕度が少なくなっていることを示しているが、第2の基準電圧TH2と色合わせパターン信号の最小電圧値Vminとから第1の基準電圧TH1を式(2)によって設定することにより、第1の基準電圧TH1を高くすることが可能となる。その結果、外乱因子に対する色合わせ補正の余裕度を向上させることができる。
【0060】
7)ステップS103,S104,S107で判断される第2の基準電圧TH2、第3の基準電圧TH3の検出成功、失敗に応じて、ステップS105,S106,S108,S109で処理されるように第1基準電圧TH1の更新を制御するので、常に外乱因子に対する色合わせ補正の余裕度を最善に保つことができる。
【0061】
8)転写搬送ベルト110あるいは中間転写ベルト150の回転数が多くなることにより、これらのベルト表面の状態が変化する。そこで、本実施形態では、所定回数回転したときに、色合わせパターンを形成し、第2及び第3の基準電圧TH2,TH3で前記パターンを検出した結果に基づいて第1の基準電圧TH1を更新するので、色合わせパターンの読み取り失敗を防ぎ、外乱因子に対する色合わせ補正の余裕度を向上させることができる。
【0062】
9)画像形成の時間経過に伴って画像形成部におけるトナー充填量が少なくなり、作像される色合わせパターン濃度が変化する。そこで、本実施形態では、このパターン濃度の変化に対応して色合わせパターンを形成し、第1の基準電圧TH1を第2及び第3の基準電圧TH2,TH3における前記パターン検出結果に基づいて更新するようにした。これにより、色合わせパターンの読み取りミスを防ぎ、外乱因子に対する色合わせ補正の余裕度を向上させることができる。
【0063】
10)転写搬送ベルト110、中間転写ベルト150、各作像ステーション101に設けられているプロセスユニットの脱着により、色合わせパターンの作像位置及び/又は読み取り位置が変化する。そこで、本実施形態では、転写搬送ベルト110、中間転写ベルト150、プロセスユニットを取り外し後、装着したときに、色合わせパターンを形成し、第1の基準電圧TH1を第2及び第3の基準電圧TH2,TH3における前記パターン検出結果に基づいて更新するようにした。これにより、色合わせパターンの読み取りミスを防ぎ、外乱因子に対する色合わせ補正の余裕度を向上させることができる。
【0064】
11)使用頻度の多寡に応じて画像形成装置の機内温度が変化し、温度変化により検出誤差が変化する。そこで、本実施形態では、所定の温度変化が生じたときに、色合わせパターンCPNを形成し、第1の基準電圧TH1を第2及び第3の基準電圧TH2,TH3における前記パターン検出結果に基づいて更新するようにした。これにより、色合わせパターンCPNの読み取りミスを防ぎ、外乱因子に対する色合わせ補正の余裕度を向上させることができる。
【0065】
なお、本発明は本実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが対象となる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、複数色のトナーを重畳してカラー画像を形成するカラー画像形成装置、特に、作像ステーションが転写媒体の移動方向に沿って並置された形式のタンデム型画像形成装置だけではなく、光センサの出力信号に対して制御を行うので、光センサを用いての距離測定や位置測定を行う分野の装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0067】
101、101C,101M,101Y,101Bk 作像ステーション
100 プリンタエンジン
110 転写搬送ベルト
120 書込ユニット
130 光センサ
140 制御部
141 記憶部
150 中間転写ベルト
200,201,202,203 色パターン
CPN 色合わせパターン
P 記録紙
SGP,SGP1,SGP2,SGP3 電圧信号パターン
t1,t2,t11,t21 クロス点
TH1 第1の基準電圧
TH2 第2の基準電圧
TH3 第3の基準電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単色の画像を移動する中間転写体又は最終転写体に転写し、複数色を重ねてカラー画像を形成する画像形成手段を有する画像形成装置であって、
前記中間転写体又は最終転写体を搬送する搬送体に複数色からなる色合わせパターンを形成するパターン形成手段と、
前記形成された複数色のパターンを光学的に読み取り、各色毎に電圧信号に変換して電圧信号パターンとして出力する検知パターン出力手段と、
前記電圧信号パターンに対して基準電圧値を設定し、当該基準電圧値と前記電圧信号パターンとに基づいて各色のパターンの移動方向における中心位置を算出する中点算出手段と、
前記基準電圧値を前記電圧信号パターンの検出状態に応じて更新する基準電圧更新手段と、
前記中点算出手段によって算出された中点の位置に応じて前記画像形成手段による各色の画像形成タイミングを制御する制御手段と、
を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置であって、
前記検出信号の最小電圧値を検出する手段と、
複数の基準電圧を設定し、当該基準電圧における前記電圧信号パターンとのクロス点を検出する位置検出手段と、
を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像形成装置であって、
前記複数の基準電圧が、前記中心位置の算出に使用される第1の基準電圧と、この第1の基準電圧より高く設定された第2の基準電圧と、前記第1の基準電圧より低く設定された第3の基準電圧からなり、
前記位置検出手段は、前記第1ないし第3の基準電圧における前記クロス点を検出すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3記載の画像形成装置であって、
前記第1の基準電圧において前記クロス点を検出し、前記第2の基準電圧において位置検出に使用できるクロス点を検出することができなかったとき、
前記基準電圧更新手段は、前記第3の基準電圧と前記第1の基準電圧とから新たに第1の基準電圧を算出し、基準電圧値として更新すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項3記載の画像形成装置であって、
前記第1の基準電圧において前記クロス点を検出し、前記第3の基準電圧において前記クロス点を検出することができなかったとき、
前記基準電圧更新手段は、前記第2の基準電圧と前記電圧最小値とから新たに第1の基準電圧を算出し、基準電圧値として更新すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項3記載の画像形成装置であって、
前記第1ないし第3の基準電圧において前記クロス点をすべて検出することができたとき、又は、位置検出に使用できるクロス点を検出することができなかったときは、前記基準電圧更新手段は新たに第1の基準電圧は算出しないこと
を特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項3記載の画像形成装置であって、
前記中間転写体又は前記最終転写体の回転数を記憶する記憶手段を備え、
前記パターン形成手段は、前記回転数が一定回転数に達する毎に色合わせパターンを形成し、
前記信号位置検出手段は、前記第2及び第3の基準電圧において前記クロス点の検出処理を実行し、
前記基準電圧更新手段は、算出された検出位置に基づいて新たな第1の基準電圧を算出し、基準電圧値として更新すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項3又は7記載の画像形成装置であって、
前記画像形成手段で消費されたトナー量を記憶する記憶手段を備え、
前記パターン形成手段は、トナー消費量が一定量に達する毎に色合わせパターンを形成し、
前記位置検出手段は、第2及び第3の基準電圧において前記クロス点の検出処理を実行し、
前記基準電圧更新手段は、算出された検出位置に基づいて新たな第1の基準電圧を算出し、基準電圧値として更新すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項3、7及び8のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、
前記中間転写体又は最終転写体の脱着を判別する判別手段を備え、
前記パターン形成手段は、前記判別手段により前記中間転写体又は最終転写体の脱着を判別する毎に色合わせパターンを形成し、
前記位置検出手段は、第2及び第3の基準電圧において前記クロス点の検出処理を実行し、
前記基準電圧更新手段は、算出された検出位置に基づいて新たな第1の基準電圧を算出し、基準電圧値として更新すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項3、7、8及び9のいずれか1項に記載の画像形成装置であって、
第1の基準電圧更新時の機内温度を記憶する記憶手段を備え、
前記パターン形成手段は、前回更新時の機内温度から一定量の温度差を検出する毎に色合わせパターンを形成し、
前記位置検出手段は、第2及び第3の基準電圧において前記クロス点の検出処理を実行し、
前記基準電圧更新手段は、算出された検出位置に基づいて新たな第1の基準電圧を算出し、基準電圧値として更新すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
単色の画像を移動する中間転写体又は最終転写体に転写し、複数色を重ねてカラー画像を形成する画像形成手段を有する画像形成装置の色合わせ補正方法であって、
移動する中間転写体又は最終転写体を搬送する搬送体に複数色からなる色合わせパターンを形成し、
前記形成された複数色のパターンを光学的に読み取り、各色毎に電圧信号に変換して電圧信号パターンとして出力し、
前記電圧信号パターンに対して基準電圧値を設定し、当該基準電圧値と前記電圧信号パターンとに基づいて各色のパターンの移動方向における中心位置を算出し、
前記基準電圧値を前記電圧信号パターンの検出状態に応じて更新し、
前記算出された中点の位置に応じて前記画像形成手段による各色の画像形成タイミングを制御すること
を特徴とする色合わせ補正方法。
【請求項12】
単色の画像を移動する中間転写体又は最終転写体に転写し、複数色を重ねてカラー画像を形成する画像形成手段を有する画像形成装置の色合わせ補正制御をコンピュータによって実行するための色合わせ補正制御プログラムであって、
移動する中間転写体又は最終転写体を搬送する搬送体に複数色からなる色合わせパターンを形成する手順と、
前記形成された複数色のパターンを光学的に読み取り、各色毎に電圧信号に変換して電圧信号パターンとして出力する手順と、
前記電圧信号パターンに対して基準電圧値を設定し、当該基準電圧値と前記電圧信号パターンとに基づいて各色のパターンの移動方向における中心位置を算出する手順と、
前記基準電圧値を前記電圧信号パターンの検出状態に応じて更新する手順と、
前記算出された中点の位置に応じて前記画像形成手段による各色の画像形成タイミングを制御する手順と、
を備えていることを特徴とする色合わせ補正制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−160349(P2010−160349A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2807(P2009−2807)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】