説明

画像形成装置及び像担持体除電方法

【課題】 転写材のトナー汚れによる画像不良を生じさせない画像形成装置を提供する。
【解決手段】 感光体ドラム2の表面を所定電位に帯電するスコロトロン帯電器3と、露光、現像された感光体ドラム2表面の現像像を転写材に転写するため、スコロトロン帯電器3の帯電極性とは逆極性の転写バイアスを印加する転写手段と、転写バイアスとは逆極性の逆転写バイアスを感光体ドラム2に印加する除電帯電装置5と、転写手段によって、スコロトロン帯電器3による帯電極性とは逆極性に帯電した感光体ドラム2の領域を、帯電極性と同極性となるように除電帯電装置5の出力を制御する制御部21とを有する構成としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写手段によって帯電した像担持体を除電する除電帯電器を備えた画像形成装置及び像担持体除電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
感光体上に形成したトナー像を転写紙に直接転写するシステムの場合、帯電器によって感光体の表面を帯電させた極性とは逆の極性となるように転写手段によって帯電させる。ここでは、転写手段は、転写ローラや転写ベルトを指すものとする。例えば、トナー像は帯電器によってマイナスに帯電しているので、転写手段は感光体と転写紙にプラスの帯電をする。
【0003】
そのとき、感光体は転写紙を介して転写手段に接触している領域と、転写手段と直接接触している領域とができる。転写紙は抵抗の役割を果たすため、転写手段によって発生する転写電荷は転写紙を介していない、直接転写手段に接触している領域のほうに多く注入するように流れる。また、転写紙の幅が広くなり、直接転写手段が感光体に接触している領域が狭くなるほど、この直接接触領域への電荷注入量が増加する。
【0004】
このため、従来はもっとも転写紙幅の大きいサイズに転写手段の感光体軸方向幅を合わせることによって、転写手段が直接感光体に接触している領域がないようにして、電荷注入が大きくならないようにしていた。また、転写紙が介在している感光体の領域内への電荷注入を除電できるよう除電出力を制御していた。
【0005】
しかし、“A3伸び用紙”といった非定形サイズの用紙の印刷を保証するため、通常使用されるA系サイズの転写紙幅に比較して転写手段の転写電荷注入領域が定形転写紙幅領域より両端部を広くするシステムにせざるを得なくなってきた。
【0006】
そのため、通常の定形サイズの転写紙に印刷する場合、常に転写手段が直接感光体に接触している領域が狭い状態で存在する。この領域は、転写手段による逆極性電荷注入量が大きくなり、逆極に帯電するので、帯電器による帯電時には所定の帯電電位に達しない。このため直接転写領域は帯電電位が低下し、現像時に転写紙外領域にトナーかぶりが発生する。
【0007】
特許文献1〜3では、静電潜像の電位、転写紙の材質、厚さ、平滑度等の性状、記録材のサイズや種類に基づき、転写紙を介した領域内を基準にして徐電制御を行っている。
【0008】
【特許文献1】特開平6−011932号公報
【特許文献2】特開平6−019262号公報
【特許文献3】特開2000−162851号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、転写紙を基準にした制御では、転写紙内の領域の帯電電位低下は防止できるが、転写紙領域外の除電制御は不十分となる。このため、転写紙外ではかぶりトナーによる用紙端部の汚れや転写手段へかぶりトナーが転写され転写手段端部の汚れが発生し、定形サイズ用紙では用紙端部の汚れが、印刷サイズ用紙を走行したときには用紙裏面汚れになるという問題が生じる。
【0010】
さらに、近年感光体のロングライフ化を狙い感光層膜厚が厚くなってきている。有機系感光体では、感光層膜厚が厚いほど転写手段による逆極電荷注入が大きくなる。よって、常に直接転写手段が接触している領域を除電するには、除電帯電手段の出力は従来より倍以上の非常に高い出力が必要になってきている。
【0011】
コロトロン除電帯電装置の出力が大きいとオゾンや放電生成物もほぼ比例して多量に発生し、タルク含有紙による像流れや、連続稼動後に数時間放置すると発生する感光体の表面層が変質する帯電不良のレベルが大きく悪化する。さらに出力が高くなれば消費電力も高くなる。一方感光層膜厚が薄くなれば電荷注入は小さくなり、常に直接転写手段が接触している領域が狭い状態になっても、電荷注入により逆極化しなくなる。これまでの制御ではさらに感光体の膜厚が薄くなってきたときでも除電帯電の出力はそのままの出力のため、感光体膜厚が薄くなって大きな除電帯電装置の出力が必要なくなっても、出力は大きいまま制御することになり、放電生成物の低減化ができない。
【0012】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、転写材のトナー汚れによる画像不良を生じさせない画像形成装置及び像担持体除電方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる目的を達成するために本発明の画像形成装置は、像担持体の表面を所定電位に帯電する帯電手段と、露光、現像された前記像担持体表面の現像像を転写材に転写するため、前記帯電手段の帯電極性とは逆極性の転写バイアスを印加する転写手段と、前記転写バイアスとは逆極性のバイアスを前記像担持体に印加する除電帯電手段と、前記転写手段によって、前記帯電手段による前記帯電極性とは逆極性に帯電した前記像担持体の前記転写材を介さずに前記転写手段が直接接触する領域を、前記帯電極性と同極性となるように除電帯電手段の出力を制御する制御手段とを有する構成としている。このように帯電電極とは逆極性に帯電した像担持体の領域を、帯電極性と同極性となるように除電するので、かぶりトナーによって転写材や、転写手段の端部が汚れる、またこれによって転写ベルトで搬送中の転写材の裏面が汚れる等の不具合を防止し、転写材のトナー汚れによる画像不良を生じさせない。
【0014】
上記画像形成装置において、前記像担持体の領域は、前記像担持体が、前記転写材を介さずに前記転写手段に直接接触する領域であるとよい。転写材を介さずに転写手段に直接接触する像担持体の領域は、転写電荷注入が多くなり逆極化すると、帯電器によって帯電しても正常な表面電位に戻らないことがある。この領域を帯電極性と同極性となるように除電しておくことで、現像時のかぶりトナーの発生を防止することができる。
【0015】
上記画像形成装置において、前記像担持体の膜厚を測定する膜厚測定手段を有し、前記制御手段は、前記像担持体の膜厚に応じて前記除電帯電手段の出力を制御するように構成するとよい。像担持体の膜厚に応じて、逆極性の転写電荷注入量が変化する。このため、像担持体の膜厚に応じて除電帯電手段の出力を制御することで、精度よく像担持体の除電を行うことができる。また像担持体膜厚が薄くなれば、除電帯電手段を完全に停止させることも可能となるため、省エネルギー化を図ることができる。また、除電帯電手段の運転時間を抑えることで、オゾンや放電生成物の発生を抑えることが可能となり、タルク含有紙による像流れや、連続稼働後に数時間放置すると発生する、像担持体の表面層が変質する帯電不良を低減させることができる。
【0016】
上記画像形成装置において、周囲の温度と湿度を計測する計測手段を有し、前記制御手段は、前記温度及び前記湿度と、前記転写材の種別とに基づいて前記除電帯電手段の出力を制御するように構成するとよい。温度と湿度によって転写材の含水率が変化すると転写材の抵抗値が変動し、転写材を介さずに転写手段に直接接触する像担持体の領域の転写電荷注入量が変動する。このため、温度及び湿度と、転写材の種別とに基づいて除電帯電手段の出力を制御することで、精度よく像担持体の除電を行うことができる。
【0017】
上記画像形成装置において、前記制御手段は、前記転写材の前記像担持体軸方向サイズに応じて、前記除電帯電手段の出力を制御するように構成するとよい。転写材を介さずに転写手段に直接接触する像担持体の領域は、転写材の幅によって変わるため転写電荷注入量が変動するので、転写材の像担持体軸方向サイズに応じて除電帯電手段の出力を制御することで、精度よく像担持体の除電を行うことができる。
【0018】
上記画像形成装置において、前記転写手段は、前記転写バイアスを印加する転写ローラを含み、前記制御手段は、前記転写ローラの抵抗を測定する抵抗測定手段によって測定された抵抗値に基づいて、前記除電帯電手段の出力を制御するように構成するとよい。転写ローラの抵抗値に応じて、転写材を介さずに転写手段に直接接触する像担持体の領域の転写電荷注入量が変動する。このため、転写ローラの抵抗値に基づいて除電帯電手段の出力を制御することで、精度よく像担持体の除電を行うことができる。
【0019】
上記画像形成装置において、前記転写手段は、前記転写バイアスを印加する転写ローラと前記転写ローラによって帯電された転写ベルトとを含み、前記制御手段は、前記転写ベルトの抵抗を測定する抵抗測定手段によって測定された抵抗値に基づいて、前記除電帯電手段の出力を制御するように構成するとよい。転写ベルトの抵抗値に応じて、転写材を介さずに転写手段に直接接触する像担持体の領域の転写電荷注入量が変動する。このため、転写ベルトの抵抗値に基づいて除電帯電手段の出力を制御することで、精度よく像担持体の除電を行うことができる。
【0020】
上記画像形成装置において、前記転写手段は、前記転写バイアスを印加する転写ローラと前記転写ローラによって帯電された転写ベルトとを含み、前記制御手段は、前記転写ローラと前記転写ベルトの抵抗を測定する抵抗測定手段によって測定された抵抗値に基づいて、前記除電帯電手段の出力を制御するように構成するとよい。転写ローラと転写ベルトの抵抗値に応じて、転写材を介さずに転写手段に直接接触する像担持体の領域の転写電荷注入量が変動する。このため、転写ローラと転写ベルトの抵抗値に基づいて除電帯電手段の出力を制御することで、精度よく像担持体の除電を行うことができる。
【0021】
上記画像形成装置において、前記膜厚測定手段は、前記像担持体の回転数から前記膜厚を予測する手段であるとよい。また前記膜厚測定手段は、ワイヤとグリッドからなるスコロトロン帯電器のグリッド電圧と、前記スコロトロン帯電器によって帯電した前記像担持体の帯電表面電位との電位差から前記膜厚を予測する手段であってもよい。
【0022】
上記画像形成装置において、前記抵抗測定手段は、前記転写ローラに定電流を流した時に測定される電圧値から抵抗を計測する手段、又は前記転写ベルトの抵抗値を前記転写ベルトの駆動時間から予測する手段であるとよい。
【0023】
上記画像形成装置において、前記除電帯電手段は、コロトロン帯電器であり、前記制御手段によって定電流制御されるとよい。
【0024】
本発明の像担持体除電方法は、像担持体の表面を所定電位に帯電する帯電ステップと、露光、現像された前記像担持体表面の現像像を転写材に転写するため、前記帯電手段の帯電極性とは逆極性の転写バイアスを印加する転写バイアス印加ステップと、前記転写バイアスとは逆極性のバイアスを前記像担持体に印加し、前記像担持体表面の電荷を除電する除電ステップとを有し、前記除電ステップは、前記帯電ステップによって帯電した帯電極性とは逆極性に帯電した前記像担持体の前記転写材を介さずに前記転写手段が直接接触する領域が、前記帯電極性と同極性となるように除電するステップであるとよい。このように帯電電極とは逆極性に帯電した像担持体の領域を、帯電極性と同極性となるように除電するので、かぶりトナーによって転写材や、転写手段の端部が汚れる、またこれによって転写ベルトで搬送中の転写材の裏面が汚れる等の不具合を防止し、転写材のトナー汚れによる画像不良を生じさせない。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、転写材のトナー汚れによる画像不良を生じさせない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例を説明する。
【実施例1】
【0027】
まず、図1を参照しながら本実施例の構成を説明する。図1に電子写真方式の画像形成装置の構成を示す。図1に示す矢印方向に回転する感光体ドラム(像担持体)2の周囲に、感光体ドラム2を所定電位に帯電するスコロトロン帯電器3、感光体2上に静電潜像を書き込むレーザ走査装置(ROS:Raster Output Scanner)などの画像書込装置(本例では同装置からのレーザ光のみを示す)、感光体ドラム2上に形成された静電潜像をトナーにて可視像化する現像装置4、転写ベルト8、転写ローラ9等の転写手段から感光体ドラム2に注入された電荷を除電する除電帯電装置5、感光体ドラム2表面の未転写トナーをクリーニングするクリーニング装置6、感光体2表面の静電残像を除電するイレーズランプ7、転写材を搬送する転写ベルト8と現像装置4により現像された現像像を転写材に転写する転写ローラ9とからなる転写手段等を備えている。なお、除電帯電装置5として、コロトロン帯電器を用いることができ、後述する制御部21によって定電流制御される。
【0028】
画像形成装置の作像プロセスについて説明する。先ず、スコロトロン帯電器3にて感光体ドラム2を帯電した後、画像書込装置からのレーザ光にて感光体ドラム2上に静電潜像を書き込む。その後、現像装置4にて静電潜像をトナー像として可視像化し、所定のタイミングで転写部位へと移動させる。一方、転写材は、転写ベルト8にて所定のタイミングで転写部位へと搬送され、転写ローラ9と、帯電された転写ベルト8によって転写バイアスを印加されることで、感光体ドラム2上のトナー像が転写材に転写される。なお、転写ベルト8及び転写ローラ9とからなる転写手段は、スコロトロン帯電器3による帯電とは逆極性となるように転写電界をかける。
【0029】
図2に、感光体ドラム2と、転写手段の転写領域と、印刷サイズの対応幅との感光体ドラム2の軸方向での位置関係を示す。図2に示すように本実施例の画像形成装置は、感光体ドラム2の感光層領域が、A系転写材幅領域より両端部が片側約14mm程度広く、通常のA系サイズ用紙を使用した場合、常に感光体ドラム2が転写材を介さずに直接転写手段に接触する。このため、転写手段による転写バイアス印加時に、感光体は、転写紙を介して転写手段に接触している領域と、転写手段と直接接触している領域とで転写電荷注入量に差ができる。なお、これらの領域を以下では、転写材介在領域と、直接転写領域と呼ぶ。
【0030】
図3を参照しながら、測定部10とコントローラ20との構成を説明する。図3には、画像形成装置1の状態を測定する測定部10と、画像形成装置の駆動を制御するコントローラ20との構成が示されている。図3に示す測定部10は、感光体膜厚測定部11と、転写ローラ抵抗値計測部12と、転写ベルト駆動時間測定部13と、温度測定部14と、湿度測定部15とを備えている。またコントローラ20は、制御部21と、記憶部22とを備えている。
【0031】
制御部21は、感光体膜厚測定部11によって測定された感光体ドラム2の膜厚に応じて、除電帯電装置5の出力を制御する。感光体ドラム2の膜厚の測定方法には種々の方法が考えられる。例えば、感光体ドラム2の総回転数から測定する方法がある。感光体ドラム2には、クリーニングブレートや、転写ベルト8などが当接しているので、感光体ドラム2の回転数に比例して膜厚が減っていく。従って、初期段階での感光体ドラム2の膜厚を測定しておき、感光体ドラム2の回転数に応じて膜厚を減らしていくことで、現在の膜厚を予測する。他の方法として、ワイヤとグリッドからなるスコロトロン帯電器3のグリッド電圧と、スコロトロン帯電器3によって帯電した感光体ドラム2の帯電表面電位との電位差から膜厚を測定することもできる。
【0032】
感光体ドラム2をOPC感光体(Organic Photo−Conductor:有機光感光体)として、直接転写領域の転写電荷注入後の帯電後の帯電表面電位の低下量は、例えば標準環境で転写電流値が90μA程度の場合、正常な帯電表面電位−700Vに対して、膜厚32μmでは転写材介在領域では35V低下の表面電位−665V程度であるが、直接転写領域では130V低下の表面電位−570V程度に低下量が増大する。
【0033】
これを定電流制御のコロトロン除電帯電器で除電するには、転写材領域は−200μAの出力程度でよいが、直接転写領域では−600μA程度の出力が必要になる。
【0034】
また、膜厚24μmのとき、転写材介在領域では15V低下の帯電電位−685V程度だが、直接転写領域では50V低下の帯電電位−650V程度に電位低下量が増大する。これを除電帯電装置5で除電するには転写材領域は−100μA程度、直接転写領域では−300μA程度の出力が必要になる。
【0035】
また膜厚20μmの時には、転写材介在領域は0Vで電位低下は発生せず、直接転写領域では−20V低下の帯電電位−680V程度になる。
【0036】
20V程度の電位低下ならかぶりトナーは発生しないため、除電帯電の出力をオフにすることもできる。このように、感光体の膜厚が薄くなってくると、転写電荷注入による表面電位の低下量は小さくなり、膜厚に応じて除電帯電器の出力を低くでき、オフにすることもできる。
【0037】
図4(A)に記憶部22に記録した管理テーブルを示す。制御部21は、膜厚の初期値と、回転数から得られる目減り量とから図4(A)に示す管理テーブルを参照し除電帯電装置5の出力を制御する。
【0038】
感光体ドラム2の膜厚に応じて除電帯電装置5の出力を制御することで、精度よく像担持体の除電を行うことができる。また感光体ドラム2の膜厚が薄くなれば、除電帯電装置5を完全に停止させることも可能となるため、省エネルギー化を図ることができる。また、除電帯電装置5の運転時間を抑えることで、オゾンや放電生成物の発生を抑えることが可能となり、タルク含有紙による像流れや、連続稼働後に数時間放置すると発生する、感光体ドラム2の表面層が変質する帯電不良を低減させることができる。
【0039】
また制御部21は、転写ローラ9の抵抗値と転写ベルト8の抵抗値とに基づいて、除電帯電装置5の出力を制御する。転写ローラ9と転写ベルト8の抵抗値に応じて、直接転写領域の転写電荷注入量が変動する。転写手段の抵抗が小さい程、転写手段による直接転写領域への電荷注入量は少ない。このため、転写ローラ9の抵抗を転写ローラ抵抗値計測部12で計測し、または、転写ベルト8の抵抗を転写ベルト駆動時間測定部13で測定する。転写ローラ抵抗値計測部12は、転写ローラ9に定電流を流した時に測定される電圧値から抵抗を計測する。また転写ベルト駆動時間測定部13は、転写ベルト8の抵抗値を転写ベルト8の駆動時間から予測する。
【0040】
図4(B)に記憶部22に記憶した管理テーブルの構成を示す。制御部21は、測定した転写ローラ9の抵抗と転写ベルト8の抵抗から図4(B)に示す管理テーブルを参照し、除電帯電装置5の出力を制御する。
【0041】
また制御部21は、周囲の温度及び湿度と、転写材の種類と、転写材の感光体軸方向サイズに基づいて除電帯電装置5の出力を制御する。温度と湿度によって転写材の含水率が変化すると転写材の抵抗値が変動するため、直接転写領域の転写電荷注入量が変動する。転写材が乾燥するほど抵抗は高くなる。例えば、転写電流値が90μA程度の場合、正常な帯電電位−700Vに対して、直接転写領域の帯電後の表面電位の低下量は、標準環境の普通紙では、130Vなのが、低湿では250V程度になり、さらに厚紙になると、350Vも帯電電位が低下する。このため種類や温湿度で変わる転写材の抵抗によって除電帯電装置5の出力を制御する。また直接転写領域の範囲を転写材の感光体軸方向サイズを基に判定し、判定結果に応じて除電帯電装置5の出力を制御する。
【0042】
図4(C)に、記憶部22に記憶した管理テーブルの構成を示す。制御部21は、転写材の種類と、温度、湿度、転写材の感光体軸方向サイズとから図4(C)
に示す管理テーブルを参照し、除電帯電装置5の出力を制御する。
【0043】
上述した実施例は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。例えば、上述した実施例では感光体ドラム2の膜厚と、温度、湿度と、転写手段の抵抗によってそれぞれ管理テーブルを設けているが、これらの測定値を一つにまとめた管理テーブルを作成し、全ての条件を満たすように除電帯電装置5の出力を制御することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】画像形成装置1の構成を示す図である。
【図2】感光体ドラム2と、転写手段の転写領域と、印刷サイズの対応幅との感光体ドラム2の軸方向での位置関係を示す図である。
【図3】測定部10とコントローラ部20との構成を示すブロック図である。
【図4】記憶部22に記憶した管理テーブルの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
1 画像形成装置 2 感光体ドラム
3 スコロトロン帯電器 4 現像装置
5 除電帯電装置5 6 クリーニング装置
7 イレーズランプ 8 転写ベルト
9 転写ローラ 10 測定部
11 感光体膜厚測定部 12 転写ローラ抵抗値計測部
13 転写ベルト駆動時間測定部 14温度測定部
15 湿度測定部 20 コントローラ
21 制御部 22 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体の表面を所定電位に帯電する帯電手段と、
露光、現像された前記像担持体表面の現像像を転写材に転写するため、前記帯電手段の帯電極性とは逆極性の転写バイアスを印加する転写手段と、
前記転写バイアスとは逆極性のバイアスを前記像担持体に印加する除電帯電手段と、
前記転写手段によって、前記帯電手段による前記帯電極性とは逆極性に帯電した前記像担持体の前記転写材を介さずに前記転写手段が直接接触する領域を、前記帯電極性と同極性となるように除電帯電手段の出力を制御する制御手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記像担持体の膜厚を測定する膜厚測定手段を有し、
前記制御手段は、前記像担持体の膜厚に応じて前記除電帯電手段の出力を制御することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
周囲の温度と湿度を計測する計測手段を有し、
前記制御手段は、前記温度及び前記湿度と、前記転写材の種別とに基づいて前記除電帯電手段の出力を制御することを特徴とする請求項1又は2のいずれか一項記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記転写材の前記像担持体軸方向サイズに応じて、前記除電帯電手段の出力を制御することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記転写手段は、前記転写バイアスを印加する転写ローラを含み、
前記制御手段は、前記転写ローラの抵抗を測定する抵抗測定手段によって測定された抵抗値に基づいて、前記除電帯電手段の出力を制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記転写手段は、前記転写バイアスを印加する転写ローラと前記転写ローラによって帯電される転写ベルトとを含み、
前記制御手段は、前記転写ベルトの抵抗を測定する抵抗測定手段によって測定された抵抗値に基づいて、前記除電帯電手段の出力を制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記転写手段は、前記転写バイアスを印加する転写ローラと前記転写ローラによって帯電される転写ベルトとを含み、
前記制御手段は、前記転写ローラと前記転写ベルトの抵抗を測定する抵抗測定手段によって測定された抵抗値に基づいて、前記除電帯電手段の出力を制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記膜厚測定手段は、前記像担持体の回転数から前記膜厚を測定する手段であることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記膜厚測定手段は、ワイヤとグリッドからなるスコロトロン帯電器のグリッド電圧と、前記スコロトロン帯電器によって帯電した前記像担持体の帯電電圧との差から前記膜厚を測定する手段であることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記抵抗測定手段は、前記転写ローラに定電流を流した時に測定される電圧値から抵抗を測定する手段であることを特徴とする請求項5又は7記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記抵抗測定手段は、前記転写ベルトの抵抗値を前記転写ベルトの駆動時間から測定する手段であることを特徴とする請求項6又は7記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記除電帯電手段は、コロトロン帯電器であり、前記制御手段によって定電流制御されることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項記載の画像形成装置。
【請求項13】
像担持体の表面を所定電位に帯電する帯電ステップと、
露光、現像された前記像担持体表面の現像像を転写材に転写するため、前記帯電手段の帯電極性とは逆極性の転写バイアスを印加する転写バイアス印加ステップと、
前記転写バイアスとは逆極性のバイアスを前記像担持体に印加し、前記像担持体表面の電荷を除電する除電ステップとを有し、
前記除電ステップは、前記帯電ステップによって帯電した帯電極性とは逆極性に帯電した前記像担持体の前記転写材を介さずに前記転写手段が直接接触する領域が、前記帯電極性と同極性となるように除電するステップであることを特徴とする像担持体除電方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−84877(P2006−84877A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−270453(P2004−270453)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】