説明

画像形成装置及び画像形成制御方法

【課題】コスト上昇を抑えつつ、記録媒体上に転写された各画像間の位置ずれを精度良く制御することができる画像形成装置及び画像形成制御方法を提供する。
【解決手段】直接転写位置と二次転写位置とを通過するように記録媒体を担持搬送する転写搬送ベルトを有し、第一の像担持体から中間転写ベルトを介して画像を記録媒体上に二次転写し、二次転写位置よりも記録媒体搬送方向上流側に設けられた第二の像担持体から画像を記録媒体上に直接転写する画像形成装置において、第一の像担持体から中間転写ベルト上に転写された位置ずれ検知用の画像と、第二の像担持体から記録媒体を介して中間転写ベルトに転写された位置ずれ検知用の画像と、を光学センサによって検知させ、光学センサの検知結果に基づいて各画像間の位置ずれが抑えられるように画像形成条件を制御する制御手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置及び画像形成制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、黒色を含む複数色それぞれに対応し、自身が有する像担持体上に対応する色の画像を形成する画像形成部が複数設けられた画像形成装置が知られている(特許文献1など)。
【0003】
特許文献1に記載の画像形成装置には、黒色の画像形成部で形成した黒色画像を記録媒体上に直接転写する直接転写位置と、残りの他色の画像形成部から中間転写ベルト上に一次転写された他色画像を中間転写ベルト上から記録媒体上に二次転写する二次転写位置とがある。中間転写ベルトは複数のローラ部材によって回転可能に張架されており、前記複数のローラ部材の1つである駆動ローラによって中間転写ベルトを回転させる。また、前記直接転写位置と前記二次転写位置とを通過するように記録媒体を担持して搬送する、回転可能に複数のローラ部材で張架された転写搬送ベルトが設けられている。特許文献1に記載の画像形成装置では、転写搬送ベルトによって記録媒体を前記直接転写位置と前記二次転写位置とを通過させて、前記直接転写位置から記録媒体上に転写された黒色画像と前記二次転写位置から記録媒体上に転写された他色画像とを記録媒体上で重ね合わせて記録媒体上にフルカラー画像を形成する。
【0004】
市場における画像形成装置の稼動状況をみると、モノクロ画像の占める割合は7〜8割程度であり、フルカラー画像を形成する際にも黒色のトナーが消費されることを考えると、省資源化やコスト面などから画像形成時における黒色のトナーの消費量を抑えることが望ましい。
【0005】
特許文献1に記載の画像形成装置のように、黒色の画像形成部で像担持体上に形成した黒色画像を記録媒体上に直接転写することで、他色の画像形成部のように中間転写ベルトを介して像担持体上から記録媒体上に黒色画像を転写する場合よりも転写効率が高くなる。そのため、像担持体上から記録媒体上に黒色画像を直接転写するほうが、中間転写ベルトを介して像担持体から記録媒体上に黒色画像を転写するよりも、黒色の画像形成部で像担持体上に黒色画像を形成する際の黒色のトナーの消費量を抑えることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の画像形成装置では、転写搬送ベルトに担持される記録媒体上に前記直接転写位置と前記二次転写位置とで各画像が転写されるので、各画像の転写位置が異なることから記録媒体上に転写された各画像間の位置ずれが発生し易くなる。
【0007】
本願出願人は、特願2009−142938号(以下、先願と言う)において、黒色の画像形成部を中間転写ベルトに対向させて設けた他色の画像形成部と分離して備え、黒色画像と他色画像との位置ずれを抑えるように画像形成条件を制御する画像形成装置を提案した。すなわち、黒色の位置ずれ検知用の画像を、黒色の画像形成部の像担持体上から記録媒体を担持搬送する転写搬送ベルト上に転写した後に転写搬送ベルト上から中間転写ベルト上に転写すると共に、他色の位置ずれ検知用の画像を、他色の画像形成部の像担持体上から中間転写ベルト上に転写する。そして、それら位置ずれ検知用の画像を中間転写ベルトに対向させて設けた画像検知手段により検知させ、その検知結果に基づいて各画像間の位置ずれを抑えるように画像形成条件を制御して各画像間の位置合わせを行う。
【0008】
しかしながら、上記先願に記載の画像形成装置では、黒色の位置ずれ検知用の画像を黒色の像担持体上から転写搬送ベルト上に転写して、その後、転写搬送ベルト上から中間転写ベルト上に黒色の位置ずれ検知用の画像を転写する。そのため、本来、記録媒体を担持して搬送する機能さえあればよい転写搬送ベルトに対して表面に画像が転写される中間転写ベルトと同等の性能(表面平滑性や転写性など)が求められることになり、画像形成装置のコスト上昇に繋がってしまう。
【0009】
また、二次転写位置で記録媒体の厚さが考慮されていない分、実際の記録媒体上では各画像間の位置が合わなくなってしまう。図12は、画像形成装置の二次転写位置における中間転写ベルトと転写搬送ベルトとの当接部である二次転写ニップを模式的に示す図である。この図を用いて、二次転写位置で記録媒体Pの厚みtが考慮されていない分、実際の記録媒体上で位置が合わない問題ついて説明する。
【0010】
図12(a)は二次転写ニップに記録媒体Pが無い場合を示しており、図12(b)は二次転写ニップに記録媒体Pがある場合を示している。二次転写ローラ16は対向ローラ17から遠ざかる方向と対向ローラ17に近づく方向とに変位可能に設けられており、二次転写ニップに記録媒体Pが入り込むと、ほぼ記録媒体Pの厚みt分だけ二次転写ローラ16が対向ローラ17から遠ざかる方向に変位する。これにより、二次転写ニップに記録媒体Pがある場合は二次転写ニップに記録媒体Pが無い場合に比べて記録媒体Pの厚さtの分だけ、対向ローラ17と二次転写ローラ16との距離が離れる。つまり、二次転写ニップにおける転写搬送ベルト8の中間転写ベルト側表面の曲率半径をr1としたとき、二次転写ニップにおける記録媒体Pの中間転写ベルト側表面の曲率半径r2は前記曲率半径r1と記録媒体Pの厚さtとを足したものになる。よって、二次転写ニップに記録媒体Pが無い場合に中間転写ベルト6と転写搬送ベルト8との接触開始位置と、二次転写ニップに記録媒体Pがある場合に中間転写ベルト6と転写搬送ベルト8との接触開始位置とが異なる。また、二次転写ローラ16の回転速度が同じであっても、二次転写ニップにおける記録媒体Pの中間転写ベルト側表面の移動速度(線速)は転写搬送ベルト8の中間転写ベルト表面の移動速度(線速)よりも大きい。そのため、二次転写ニップに記録媒体Pがある場合と無い場合とでは、記録媒体Pから中間転写ベルト6に黒色の位置ずれ検知用の画像が転写されるタイミングと、転写搬送ベルト8から中間転写ベルト6に黒色の位置ずれ検知用の画像が転写されるタイミングとが異なる。このようなタイミングのずれがあると、二次転写ニップに記録媒体Pがある場合と無い場合とで、中間転写ベルト上における黒色の位置ずれ検知用の画像と他色の位置ずれ検知用の画像との位置関係が変化する。よって、二次転写ニップに記録媒体Pが無い場合の位置ずれ検知用の画像の検知結果に基づいて各画像間の位置合わせが完全に成功したとしても、実際の記録媒体P上では各画像間に位置ずれが発生する虞がある。
【0011】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、コスト上昇を抑えつつ、記録媒体上に転写された各画像間の位置ずれを精度良く制御することができる画像形成装置及び画像形成制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、回転可能に複数のローラ部材に張架された中間転写ベルトと、該中間転写ベルトのおもて面に対向して配設された第一の像担持体と、該第一の像担持体上に画像を形成する第一の画像形成手段と、該第一の像担持体上に形成された画像を該中間転写ベルト上に一次転写する一次転写手段と、該中間転写ベルト上に転写された画像を記録媒体上に二次転写する二次転写手段と、該中間転写ベルト上から記録媒体上に画像が二次転写される二次転写位置よりも記録媒体搬送方向上流側に設けられた第二の像担持体と、該第二の像担持体上に画像を形成する第二の画像形成手段と、該第二の像担持体上に形成された画像を記録媒体上に直接転写する直接転写手段と、該第二の像担持体上から記録媒体上に画像が直接転写される直接転写位置と前記二次転写位置とを通過するように記録媒体を担持して搬送する、回転可能に複数のローラ部材で張架された記録媒体搬送ベルトと、前記中間転写ベルトに対向させて設けられ各画像間の位置ずれ検知用の画像を検知するための画像検知手段と、前記第一の像担持体と前記第二の像担持体それぞれに形成させた前記位置ずれ検知用の画像を、前記中間転写ベルト上で重ね合わせて前記中間転写ベルトに対向する前記画像検知手段の位置まで至らしめて、該画像検知手段により前記位置ずれ検知用の画像を検知させ、該画像検知手段の検知結果に基づいて各画像間の位置ずれを抑えるように画像形成条件を制御する制御手段と、を備えた画像形成装置において、前記第二の像担持体に形成させた前記位置ずれ検知用の画像を前記記録媒体搬送ベルトに担持された記録媒体上に前記直接転写位置で転写させた後に前記二次転写位置で記録媒体から前記中間転写ベルトに前記位置ずれ検知用の画像を転写することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記二次転写手段が転写バイアス印加手段を備えており、上記中間転写ベルト上の上記第一の像担持体から転写された画像が上記二次転写位置で記録媒体に転写されるときに前記転写バイアス印加手段によって印加される転写バイアスの極性と、上記第二の像担持体から記録媒体上に転写された上記位置ずれ検知用の画像を記録媒体上から前記中間転写ベルト上に転写するときに前記転写バイアス印加手段によって印加される転写バイアスの極性と、が逆であることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の画像形成装置において、上記中間転写ベルト上の上記第一の像担持体から転写された画像が上記二次転写位置で記録媒体に転写されるときに前記転写バイアス印加手段によって印加される転写バイアスの絶対値と、上記第二の像担持体から記録媒体上に転写された上記位置ずれ検知用の画像を記録媒体上から前記中間転写ベルト上に転写するときに前記転写バイアス印加手段によって印加される転写バイアスの絶対値と、が同一であることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項2または3の画像形成装置において、上記転写バイアス印加手段が、上記中間転写ベルトに対向して設けられた二次転写ローラ、もしくは、該二次転写ローラに対向する対向ローラのいずれかにバイアスを印加可能であって、上記中間転写ベルト上の上記第一の像担持体から転写された画像が上記二次転写位置で記録媒体に転写されるときには、前記第一の像担持体から前記中間転写ベルトに転写された画像のトナーの帯電極性とは逆極性の転写バイアスを前記二次転写ローラに印加するか、もしくは、同極性の転写バイアスを前記対向ローラに印加し、上記第二の像担持体から記録媒体上に転写された上記位置ずれ検知用の画像を記録媒体上から前記中間転写ベルト上に転写するときには、前記第二の像担持体から記録媒体に転写された上記位置ずれ検知用の画像のトナーの帯電極性と同極性の転写バイアスを前記二次転写ローラに印加するか、もしくは、逆極性の転写バイアスを前記対向ローラに印加することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項2、3または4の画像形成装置において、上記第二の像担持体に形成される上記位置ずれ検知用の画像は、上記制御手段による制御時に使用する記録媒体の記録媒体搬送方向長さよりも短いことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項2、3、4または5の画像形成装置において、上記第一の像担持体を含めた複数の像担持体が前記中間転写ベルトのおもて面に対向して配設されており、前記複数の像担持体上に形成させて該複数の像担持体上から前記中間転写ベルト上に転写した位置ずれ検知用の画像を上記画像検知手段によって検知し、前記複数の像担持体で形成された各画像間の位置ずれを抑えるように上記制御手段によって該複数の像担持体への画像形成条件を制御することを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項2、3、4または5の画像形成装置において、上記第一の像担持体を含めた複数の像担持体が前記中間転写ベルトのおもて面に対向して配設されており、上記第二の像担持体上に形成された、上記位置ずれ検知用の画像とは異なる画像のみを記録媒体上に転写して記録媒体上に単色の画像を形成する単色モードを有し、前記単色モードで記録媒体上に単色の画像を形成するのに並行して、前記複数の像担持体上に形成させて該複数の像担持体上から前記中間転写ベルト上に転写した位置ずれ検知用の画像を上記画像検知手段によって検知し、前記複数の像担持体で形成された各画像間の位置ずれを抑えるように上記制御手段によって該複数の像担持体への画像形成条件を制御することを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項6または7の画像形成装置において、前記複数の像担持体のうちの一つの像担持体と前記第二の像担持体とに上記位置ずれ検知用の画像を形成し、それら位置ずれ検知用の画像を最終的に上記中間転写ベルト上に転写して、前記中間転写ベルト上でそれら位置ずれ検知用の画像の位置を上記画像検知手段によって検知し、その検知結果に基づいて前記複数の像担持体及び前記第二の像担持体で形成された各画像間の位置ずれを抑えるように上記制御手段により各像担持体への画像形成条件を制御することを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項8の画像形成装置において、上記複数の像担持体で形成された各画像間の位置ずれを抑えるように該複数の像担持体への画像形成条件を制御する実行間隔は、前記複数の像担持体で形成された画像と上記第二の像担持体で形成された画像との間の位置ずれを抑えるように各像担持体への画像形成条件を制御する実行間隔よりも短いことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項8または9の画像形成装置において、使用する記録媒体の紙厚が所定値と異なる場合に、上記複数の像担持体で形成された画像と上記第二の像担持体で形成された画像との間の位置ずれを抑えるように各像担持体への画像形成条件の制御を実行することを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項10の画像形成装置において、使用する記録媒体の紙厚に関する情報を設定するための記録媒体情報設定手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項11の画像形成装置において、記録媒体を使用して位置合わせ制御を実行して良いか否かの判断を使用者に促す通知を行う通知手段と、記録媒体を使用して位置合わせ制御を実行するか実行しないかの指示を上記制御手段に対して行う指示手段と、を備え、前記制御手段は、前記指示手段から記録媒体を使用する旨の指示を受けたときは、上記複数の像担持体と上記第二の像担持体それぞれに画像を形成して最終的に記録媒体上に画像を転写し、前記指示手段から記録媒体を使用しない旨の指示を受けたときは、上記複数の像担持体にのみ画像を形成して最終的に記録媒体上に画像を転写することを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、回転可能に複数のローラ部材に張架された中間転写ベルトと、該中間転写ベルトのおもて面に対向して配設された第一の像担持体と、該第一の像担持体上に画像を形成する第一の画像形成手段と、該第一の像担持体上に形成された画像を該中間転写ベルト上に一次転写する一次転写手段と、該中間転写ベルト上に転写された画像を記録媒体上に二次転写する二次転写手段と、該中間転写ベルト上から記録媒体上に画像が二次転写される二次転写位置よりも記録媒体搬送方向上流側に設けられた第二の像担持体と、該第二の像担持体上に画像を形成する第二の画像形成手段と、該第二の像担持体上に形成された画像を記録媒体上に直接転写する直接転写手段と、該第二の像担持体上から記録媒体上に画像が直接転写される直接転写位置と前記二次転写位置とを通過するように記録媒体を担持して搬送する、回転可能に複数のローラ部材で張架された記録媒体搬送ベルトと、前記中間転写ベルトに対向させて設けられ各画像間の位置ずれ検知用の画像を検知するための画像検知手段と、前記第一の像担持体と前記第二の像担持体それぞれに形成させた前記位置ずれ検知用の画像を、前記中間転写ベルト上で重ね合わせて前記中間転写ベルトに対向する前記画像検知手段の位置まで至らしめて、該画像検知手段により前記位置ずれ検知用の画像を検知させ、該画像検知手段の検知結果に基づいて各画像間の位置ずれを抑えるように画像形成条件を制御する制御手段と、を備えた画像形成装置の画像形成制御方法において、前記第二の像担持体に形成させた前記位置ずれ検知用の画像を前記記録媒体搬送ベルトに担持された記録媒体上に前記直接転写位置で転写させた後に前記二次転写位置で記録媒体から前記中間転写ベルトに前記位置ずれ検知用の画像を転写することを特徴とするものである。
【0013】
本発明においては、第二の像担持体に形成させた位置ずれ検知用の画像を直接転写位置で第二の像担持体上から記録媒体搬送ベルトに担持された記録媒体上に転写させた後に二次転写位置で中間転写ベルトに転写する。これにより、第二の像担持体に形成させた位置ずれ検知用の画像を記録媒体搬送ベルト上に転写しないので、記録媒体搬送ベルトに対して中間転写ベルトと同等の性能が必要なく、コスト上昇を抑えることができる。また、二次転写位置における記録媒体の厚みを考慮した前記画像形成条件の制御が行えるので、前記位置ずれ検知用の画像を記録媒体搬送ベルト上から中間転写ベルト上に転写する構成よりも、記録媒体上で各画像間の位置を精度良く合わせることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上、本発明によれば、コスト上昇を抑えつつ、記録媒体上に転写された各画像間の位置ずれを精度良く制御することができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す概略構成図。
【図2】本発明の実施形態1の転写部を模式的に示す図。
【図3】中間転写ベルト上に形成されたトナーパターンを模式的に示す図。
【図4】中間転写ベルト上に形成されたカラー色のみの位置合わせ制御パターンを模式的に示す図。
【図5】接離装置の一例を示した模式図。
【図6】中間転写ベルトと転写搬送ベルトとが離間した状態を示す模式図。
【図7】中間転写ベルト上に形成されたカラー色のうちの一色のトナーパターンとブラックのトナーパターンとを模式的に示す図。
【図8】カラー色の位置合わせ制御の実行間隔、ブラックとカラー一色との位置合わせ制御の実行間隔、モノクロ画像及びフルカラー画像出力時に使用するトナーの関係を示す概念図。
【図9】画像形成装置の一部に設けられたオペレーションパネルの表示部を示す図。
【図10】紙種が選択されてから画像形成装置が画像を出力するまでのステップをあらわすフローチャート図。
【図11】紙厚検知手段を示す模式図。
【図12】(a)二次転写ニップに記録媒体がない場合を模式的に示す図。(b)二次転写ニップに記録媒体がある場合を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施形態1]
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す概略構成図である。なお、図1に示す画像形成装置は、イエロー、シアン、マゼンタ(以下、Y,C,Mと略する)の3つの画像形成ユニット30Y,C,Mが中間転写ベルト6に沿って直列に配置されたタンデム方式であり、ブラック(以下、Bと略する)の画像形成ユニット30Bは前記タンデム配列より記録媒体移動方向の上流位置に独立して設けられたカラー画像形成装置(カラーデジタル複合機)であるが、本実施の形態においては画像形成ユニット30Bで形成された黒画像が記録媒体Pに直接転写されるように配置されている。
【0017】
図1示す各色の潜像担持体である感光体1Y,C,M,Bそれぞれの周りには、感光体1Y,C,M,Bの表面を帯電せしめる帯電装置2Y,C,M,B、帯電せしめられた感光体1Y,C,M,Bの表面にレーザーにより潜像を形成する露光装置5、感光体1Y,C,M,B上の潜像にトナーを供給してトナー像を形成する現像装置3Y,C,M,B、感光体1Y,C,M,B表面に付着したトナーなどの付着物を除去するクリーニング装置4Y,M,C,Bが備えている。なお、本実施形態で用いたクリーニング装置4Y,C,M,Bはブレードタイプのものであるが、本発明においてはこれに限定されるものではなく、ファーブラシローラ、磁気ブラシクリーニング方式であっても良い。また、露光装置5についてもレーザー方式に限定するものではなく、LED方式などの方式であっても良い。また、感光体1Y,C,M,B、帯電装置2Y,C,M,B、現像装置3Y,C,M,B及びクリーニング装置4Y,C,M,Bは、画像形成ユニット30Y,C,M,Bとして一体で構成されている。
【0018】
スキャナで読み取られた原稿、ファクシミリなどの受信データ、またはコンピュータから送信されるカラー画像情報は、各色に色分解され、各色の版のデータが形成され、露光装置5に送られる。均一に帯電された感光体1Y,C,M,Bは、露光装置5によって、画像部を露光され、現像装置3Y,C,M,Bによってトナー像が作られる。
【0019】
感光体1Y,C,M上にそれぞれ形成されたカラートナー像は、タイミングを合わせて中間転写体である中間転写ベルト6に各色のトナー像が重なり合うように転写され、色重ねされたトナー像が形成される。
【0020】
感光体1B上に作られたブラックトナー像は、転写搬送ベルト8によって搬送される記録媒体Pに直接転写され、その後、中間転写ベルト6上に色重ねされたYCMトナー像が記録媒体P上に転写される。
【0021】
また、給紙トレイ40には出力画像が形成される記録紙などの記録媒体Pがセットされており、記録媒体Pは給紙トレイ40から給紙コロ等(図示せず)により転写搬送ベルト8に向かって搬送され、転写搬送ベルト8のループ外側面であるおもて面に担持される。
【0022】
転写搬送ベルト8を介して感光体1Bに対向する位置には直接転写ローラ15が設けられており、転写搬送ベルト8を介して感光体1Bと直接転写ローラ15とにより直接転写ニップが形成されている。
【0023】
直接転写ローラ15にはトナーと逆極性の電圧がかけられており、この電圧によって直接転写ニップで感光体1Bと転写搬送ベルト8とに挟まれた記録媒体Pへ感光体1B上に形成されたブラックトナー像が転写される。
【0024】
図1では、3つの画像形成ユニット30Y,C,Mが中間転写ベルト6に沿って直列に配置されている。画像形成ユニット30Y,C,Mに設けられた感光体1Y,C,Mに中間転写ベルト6を介して対向して中間転写ベルト回転方向の若干下流側に一次転写ローラ14Y,C,Mが各感光体1Y,C,Mに対応して設けられている。
【0025】
一次転写ローラ14Y,C,Mにもトナーと逆極性の高電圧が印加されており、この電圧による電界で感光体1Y,C,M上の各色トナー像は中間転写ベルト6上に各色トナー像が重なり合うように順次転写され、中間転写ベルト6上にY,M,Cの三色からなるカラー画像が形成される。
【0026】
中間転写ベルト6上のカラー画像は、中間転写ベルト6を介して二次転写ローラ16と対向ローラ17とで形成される二次転写ニップで、二次転写ローラ16と対向ローラ17間に印加された電圧により、転写搬送ベルト8によって二次転写ニップまで搬送された記録媒体Pに転写される。この際、二次転写ローラ16にトナーの帯電極性とは逆極性の高電圧を印加しても良いし、対向ローラ17にトナーの帯電極性と同極性の電圧を印加しても良い。
【0027】
二次転写ローラ16にトナーの帯電極性とは逆極性の高電圧を印加する場合は、直接転写ローラ15への電圧印加のための高圧電源を利用することが可能となり、二次転写ローラ16に電圧を印加するため専用の電源を設ける必要が無い分、コスト削減や画像形成装置の小型化を図ることができる。一方、対向ローラ17にトナーの帯電極性と同極性の電圧を印加する場合は、中間転写ベルト6を介してトナーに電圧がかかるため、記録媒体Pが吸湿して抵抗が低下していても良好な転写が可能となる。また、二次転写ローラ16と、対向ローラ17と、これらに高電圧を印加する電源(図示せず)が二次転写装置を構成している。
【0028】
なお、二次転写ローラ16は対向ローラ17から遠ざかる方向と対向ローラ17に近づく方向とに変位可能に装置本体に設けられており、二次転写ニップに記録媒体Pが入り込むと、ほぼ記録媒体Pの厚み分だけ二次転写ローラ16が対向ローラ17から遠ざかる方向に変位する。そして、二次転写ニップから記録媒体Pが抜け出ると二次転写ローラ16は対向ローラ17に近づく方向に変位して初期の所定位置に戻る。
【0029】
このようにして、Y,C,M,Bのトナー像が転写された記録媒体Pは、二次転写ニップよりも転写搬送ベルト回転方向下流側で転写搬送ベルト8を張架するローラ部材の曲率によって転写搬送ベルト8の回転方向が急激に変化した屈曲部で、記録媒体Pの腰により転写搬送ベルト8から曲率分離して定着装置10に到達し、記録媒体P上のY,C,M,Bのトナー像を最後に定着装置10により定着され、記録媒体P上にカラー画像が形成される。その後、記録媒体Pは機外の排紙トレイ13上に排紙される。
【0030】
なお、本実施形態で用いたブラックトナー像の転写は記録媒体Pへの直接転写であるが、この直接転写は、構成部品を少なくすることと、露光装置5から露光するブラック画像のレーザー書込み像が、Y,C,M画像のレーザー書込み像と同じ方向に書込みができるというメリットがある。さらに、黒色の画像形成ユニット30Bで感光体1B上に形成したブラック画像を記録媒体P上に直接転写することで、Y,M,C画像のように中間転写ベルト6を介して感光体1B上から記録媒体P上にブラック画像を転写する場合よりも転写効率が高くなる。そのため、感光体1B上から記録媒体P上にブラック画像を直接転写するほうが、中間転写ベルト6を介して感光体1Bから記録媒体P上にブラック画像を転写するよりも、黒色の画像形成ユニット30Bで感光体1B上にブラック画像を形成する際の黒色のトナーの消費量を抑えることができる。とは言え、本発明は感光体1Bから記録媒体P上にブラック画像を直接転写する構成に限定されるものではなく、感光体1Bから中間転写ベルト6とは異なる中間転写ベルトや中間転写ドラムなどの中間転写体を介して記録媒体Pへブラック画像を転写する構成であっても良い。ただし、この場合は露光装置5から露光するブラック画像のレーザー書込み像が、YCM画像のレーザー書込み像の鏡像となり、書込み制御が複雑になる。
【0031】
これまで、記録媒体P上にY,C,M,Bのトナー像からなるフルカラー画像を作成するフルカラーモードについて説明したが、本実施形態の画像形成装置においては、記録媒体P上にBのトナー像だけからなるモノクロ画像を作成するモノクロモード(単色モード)も有している。モノクロモードにおけるモノクロ画像作成時においては、スキャナで読み取られた原稿、ファクシミリなどの受信データ、または、コンピュータから送信される画像情報などに基づいて形成されたブラック画像のデータにより、露光装置5から、感光体1B上の画像部を露光され、現像装置3Bによってブラックトナー像が作られ、転写搬送ベルト8によって搬送される記録媒体P上に感光体1B上からブラックトナー像が直接転写され、記録媒体P上のブラックトナー像が定着装置10により記録媒体P上に定着され、モノクロ画像が形成される。
【0032】
また、モノクロモードでは、中間転写ベルト6と転写搬送ベルト8との接触部(二次転写ニップ)を図示しない機構により解除して離間させる。これにより、画像形成ユニット30Y,C,M及び中間転写ベルト6を動作させなくてもモノクロ画像の作像に影響が生じない。そのため、モノクロモード時に画像形成ユニット30Y,C,M及び中間転写ベルト6を動作させなければ、その分、画像形成ユニット30Y,C,M及び中間転写ベルト6などの劣化を抑えられ、画像形成ユニット30Y,C,M及び中間転写ベルト6の長寿命化を図ることができるというメリットが得られる。
【0033】
なお、図1において、符号7は中間転写ベルト6のおもて面に付着したトナーや紙粉などの付着物を除去する中間転写ベルトクリーニング装置、符号9は転写搬送ベルト8のおもて面に付着したトナーや紙粉などの付着物を除去する転写搬送ベルトクリーニング装置、符号12は現像装置3に補給されるトナーを収容するトナー収容容器を示す。
【0034】
ここで、従来より、複数色からなるフルカラー画像を形成する画像形成装置として、複数色の画像形成ユニットが転写体に対して並んで配置され、それぞれの画像形成ユニットで形成したトナー像を順次転写体上に転写することで、フルカラー画像を得るタンデム方式の画像形成装置が採用されている。また、このような画像形成装置は、前記転写体が紙などの記録媒体である直接転写方式と、前記転写体が中間転写体である中間転写ベルトであり、その中間転写ベルト上にフルカラー画像を形成した後に、中間転写ベルト上から記録媒体上に転写する間接転写方式とに分類される。間接転写方式では、直接転写方式と比較して記録媒体の紙種への対応などが有利であり安定した画質が得られることから、間接転写方式が主流となっている。
【0035】
しかしながら、このような間接転写方式の画像形成装置を使用して単色のモノクロ画像を記録媒体上に形成する場合においても、中間転写ベルトを介して記録媒体上にモノクロ画像を転写する必要があるため、複数色のフルカラー画像を形成する場合と同程度の時間がかかってしまうといった課題がある。
【0036】
特開2002−182447号公報では、単色のトナー像のみを記録媒体上に直接転写する画像形成部と、複数色のトナー像を中間転写ベルトを介して記録媒体上に転写する画像形成部とを有する構成の画像形成装置が提案されている。また、このような画像形成装置は、特開2006−251535号公報、特開2006−85138号公報、特開平10−55094号公報にも提案されている。
【0037】
また、複数色を重ね合わせてフルカラー画像を形成する画像形成装置では、各画像間の位置ずれ、言い換えれば、色ずれの発生を抑制するために、各色の画像間の記録媒体上における位置合わせを行う必要があり、特開2006−43966号公報、特開2004−34487号公報、特開2007−298859号公報には、各色の画像間の記録媒体上における位置ずれ(色ずれ)を補正する制御方法が示されている。
【0038】
また、単色のトナー像のみを記録媒体上に直接転写位置で直接転写する画像形成部と、複数色のトナー像を中間転写ベルトを介して記録媒体上に二次転写位置で転写する画像形成部とを有する構成の画像形成装置においては、前記直接転写位置と前記二次転写位置とを通るように記録媒体を担持搬送する転写搬送ベルト上に各色の位置ずれ検知用の画像を転写して、その位置ずれ検知用の画像を転写搬送ベルト上で光学センサなどによって検知し、その検知結果に基づいて画像形成条件を制御し各色の画像間の位置合わせを行うことが可能である。ところが、この場合、転写搬送ベルトには中間転写ベルトと同等の性能(表面平滑性、光沢度、記録媒体を担持していないときのトナー転写性など)が求められることになり、コスト上昇に繋がってしまう。さらには、そもそも従来の従来の全ての色の画像形成部を中間転写ベルトに対向させて設けたタンデム間接転写方式に対して、単色の画像形成部を分離することでモノクロ画像形成時に中間転写ベルトなどの動作を停止させ、中間転写ベルトなどの劣化を抑えられるというメリットが、結局、中間転写ベルトと同等のスペックを有する転写搬送ベルトを動かし続けることにより、同じようなコストの部品を劣化させてしまうことになるので意味のないものになってしまう。
【0039】
一方、単色の画像形成部から位置ずれ検知用の画像を転写搬送ベルト上に転写した後に転写搬送ベルト上から中間転写ベルト上に転写すると共に、複数色の位置ずれ検知用の画像を、複数色の画像形成部の像担持体から中間転写ベルト上に転写し、それら位置ずれ検知用の画像を中間転写ベルトに対向させて設けた光学センサにより検知させ、その検知結果に基づいて各色の画像間の位置ずれを抑えるように画像形成条件を制御して各色の画像間の位置合わせを行うことも可能である。ところが、この場合でも、転写搬送ベルトには中間転写ベルトと同等の性能(表面平滑性、光沢度、記録媒体を担持していないときのトナー転写性など)が求められることになりコスト上昇に繋がったりしてしまうし、二次転写位置などで記録媒体の厚みが考慮されていない分、実際の記録媒体上では各色の画像間の位置が合わなかったりしてしまう。
【0040】
そのため、本実施形態では、これらの点をふまえて各色の画像間の位置合わせ制御を行っており、次に、ブラックを含む全色のトナー像の位置合わせ制御について説明する。
【0041】
まず、レジストローラ対45から転写搬送ベルト8に記録媒体Pが供給される。転写搬送ベルト8に吸着された記録媒体Pはブラック画像の作像部に搬送され、直接転写ニップで感光体1B上に形成されたブラックの位置合わせ制御パターンが記録媒体P上に直接転写される。その後、更に二次転写ニップに搬送された記録媒体P上のブラックの位置合わせ制御パターンは、対向ローラ17にトナーと逆極性のバイアスを印加する(このとき二次転写ローラ16は接地)、または、二次転写ローラ16にトナーと同極性のバイアスを印加する(このとき対向ローラ17は接地)ことで、中間転写ベルト6上に転写される。
【0042】
一方、それと同期して形成されるイエロー、シアン、マゼンタの各位置合わせ制御パターンは感光体1Y,C,M上から中間転写ベルト6上に転写され中間転写ベルト6の回転により二次転写ニップに向かうが、通常フルカラー画像出力時の二次転写バイアスとは逆極性のバイアスが対向ローラ17または二次転写ローラ16に印加されているため、ブラックの位置合わせ制御パターンが載っている記録媒体Pへは転写されず、中間転写ベルト6上に保持されたままとなる。このようにして、感光体1Yよりも中間転写ベルト回転方向上流側で二次転写ニップよりも中間転写ベルト回転方向下流側の中間転写ベルト6上にはブラック、イエロー、シアン、マゼンタの全ての色の位置合わせ制御パターンが保持される。これらの位置合わせ制御パターンを感光体1Yよりも中間転写ベルト回転方向上流側で二次転写ニップよりも中間転写ベルト回転方向下流側の中間転写ベルト6の外周面と対向する位置に設けられた光学センサ18で読み取り、各色のトナー像の位置合わせ制御を行う。
【0043】
図2は本発明の実施形態1の転写部を模式的に示す図である。
本実施形態では二次転写ローラ16に印加するバイアスを、通常の画像形成時と位置合わせ制御時で切り替える構成としており、対向ローラ17は常に接地状態としている。通常の画像形成時には、二次転写ローラ16に印加するバイアスVbがトナーの正規帯電極性(本実施形態ではマイナス極性)とは逆極性であり、中間転写ベルト6上のカラートナー画像を、バイアスVbが印加された二次転写ローラ16と対向ローラ17との間で形成される電界により静電的な力によって二次転写ローラ16側、言い換えれば、記録媒体Pに引き付けることで転写する所謂引力転写を行う。
【0044】
一方、位置合わせ制御時には、二次転写ローラ16に印加するバイアスVaがトナーの正規帯電極性と同極性であり、記録媒体P上のブラックの位置合わせ制御パターンを、バイアスVaが印加された二次転写ローラ16と対向ローラ17との間で形成される電界により静電的な力によって記録媒体Pから対向ローラ17側に引き離して中間転写ベルト6上に転写する所謂斥力転写で行う。この転写動作によってブラックおよびカラーのトナーパターンを中間転写ベルト6上に転写できる。
【0045】
また、記録媒体Pを介してブラックの位置合わせ制御パターンを中間転写ベルト6上に転写しているので、実際の画像形成時に使用する記録媒体Pの厚みを考慮した位置合わせ制御を行うことができる。すなわち、記録媒体Pの有無によって、記録媒体Pがある場合は無い場合に比べて記録媒体Pの厚さtの分だけ、対向ローラ17と二次転写ローラ16との距離が離れる。その結果、中間転写ベルト6上のトナーが転写される位置が異なる。また、二次転写ニップにおける記録媒体Pの表面の曲率半径に対して転写搬送ベルト8の曲率半径は記録媒体Pの厚さtだけ小さいので、転写搬送ベルト8内側の二次転写ローラ16の回転速度が同じであっても、記録媒体Pの表面の移動速度(線速)は転写搬送ベルト8の表面の移動速度(線速)よりも大きい。このように、記録媒体Pがある場合と無い場合では二次転写ニップでの線速やトナーの転写位置が異なり、トナー像が中間転写ベルトから記録媒体P上に転写されるタイミングも異なる。この転写位置やタイミングのずれがあるために、記録媒体Pが無い場合の位置合わせ制御が完全に成功した場合であっても、実際に出力された記録媒体P上では各画像間に位置ずれが発生する可能性がある。そのため、本実施形態のように、記録媒体Pを介してブラックの位置合わせ制御パターンを中間転写ベルト6上に転写することで、実際の画像形成時に使用する記録媒体Pの厚みを考慮した高精度の位置合わせ制御を行うことができ、その分、実際の記録媒体紙上で各画像間に位置ずれが発生するのを抑えることができる。
【0046】
また、ブラックの画像形成ユニット30Bの感光体1Bで形成させた、ブラックの位置合わせ制御パターンを直接転写ニップで転写搬送ベルト8上に担持された記録媒体P上に転写させた後に二次転写ニップで記録媒体Pから中間転写ベルト6に転写するので、転写搬送ベルト8に対して中間転写ベルト6と同等の性能(表面平滑性や記録媒体Pを担持していないときの転写性など)が必要ない。よって、その分、ブラックの位置合わせ制御パターンを感光体1B上から転写搬送ベルト8上に転写させた後に転写搬送ベルト8上から中間転写ベルト6上に転写する構成よりも、転写搬送ベルト8のコスト上昇を抑えることができる。
【0047】
電源25のバイアスVaとバイアスVbとの切り替えは、バイアス制御手段26によって行う。図2では簡易にスイッチによる切り替えの例を示しているが、バイアスの切り替えが行えればよく、切り替えの構成はこれに限らない。
【0048】
バイアスの切り替え動作のみによって通常の画像形成時と位置合わせ制御時とでトナーの転写方向を逆向きにすることができる。また、対向ローラ17は常に接地状態としてよい。バイアスを印加するローラを二次転写ローラ16と対向ローラ17との間で変更する場合は接地するローラも変更する必要があるが、本構成ならば接地するローラの変更が不要で切り替え動作が簡単である。なお、二次転写ローラ16にバイアス印加手段である電源25を設ける代わりに、対向ローラ17にバイアス印加手段(電源)を設け、そのバイアスの切り替え動作をバイアス制御手段によって行い、通常の画像形成時と位置合わせ制御時とでトナーの転写方向を逆向きにする構成としてもよい。
【0049】
ここで、本実施形態ではバイアスVaとバイアスVbとは極性が逆で絶対値が等しい。すなわち、Va=−Vbである。このようにバイアスVaとバイアスVbとは極性が逆で絶対値が等しいため、電界の大きさが等しくて極性だけが逆の転写電界が二次転写ローラ16と対向ローラ17との間に作り出される。このような転写電界によって逆向き転写した場合、通常とは転写方向だけが逆で転写位置と転写タイミングとが同じ転写動作をおこなうことができる。したがって、バイアスVaで中間転写ベルト6上に転写されたブラックのトナーパターンを用いて位置合わせ制御をおこなえば、バイアスVbでイエロー、シアン、マゼンタの各色のトナーパターンを記録媒体P上の正確な位置に転写することができる。
【0050】
また、本実施形態では、ブラックのトナー画像転写手段である直接転写ローラ15が二次転写手段である二次転写ローラ16よりも記録媒体搬送方向上流側に配置される構成なので、通常の画像形成時と同一の方向に記録媒体Pを搬送させれば、直接転写ローラ15で記録媒体P上に転写されたブラックトナー画像(トナーパターン)を二次転写ローラ16で中間転写ベルト6に転写することが可能である。
【0051】
図3は中間転写ベルト上に形成されたトナーパターンを模式的に示す図である。
【0052】
本実施形態では、中間転写ベルト6上に位置ずれ(色合わせ)検知用のパターン画像を作成して、そのパターン画像を光学センサ18によって検知する。これにより、Y,C,M,Bの各画像間の位置ずれ量を検出することができる。よって、光学センサ18による検知結果に基づいて上記制御部により各色作像位置の調整や画像形成条件の調整を行うことで、Y,C,M,Bの画像の位置合わせを行うことができる。
【0053】
例えば、中間転写ベルト6における幅方向の両端付近及び中央付近に、図3に示すようなレジストスキュー検知用のパターン画像を形成する。両端付近及び中央付近にそれぞれ形成されるこれら3つのパターン画像は、それぞれ副走査方向に所定の間隔で並ぶ4つのY,C,M,B基準トナー像Sy、Sc、Sm、Sbからなり、同色の基準トナー像がそれぞれ主走査方向に並ぶように形成される。
【0054】
図3中でベルト幅方向の手前側端部付近に形成されたパターン画像内の各基準トナー像は、第一端部光センサ18aによって検知される。また、ベルト幅方向の中央付近に形成されたパターン画像内の各基準トナー像は、中央光センサ18bによって検知される。また、ベルト幅方向の奥側端部付近に形成されたパターン画像内の各基準トナー像は、第二端部光センサ18cによって検知される。
【0055】
各色の基準トナー像の形成タイミングが互いに適切であれば、各基準トナー像の検知間隔がそれぞれ等しくなるが、不適切であると、各色の基準トナー像の形成間隔が等しくなくなる。そして、検知間隔も等しくなくなる。また、光学系に光書込のスキューが生じていなければ、3つのパターン画像の間において、それぞれ同色の基準トナー像が同じタイミングで検知されるが、スキューが生じていると検知タイミングが異なってくる。画像形成装置本体内に設けられた図示しない制御部は、主走査方向や副走査方向における各色トナー像の検知間隔や検知タイミングのずれに基づいて、露光装置5による感光体1への光書込開始タイミングを調整したり、光学ミラーの傾きを調整したりして、各色の重ね合わせずれや画像スキューを抑える。
【0056】
ここで、各色のトナーパターン(Sy、Sm、Sc、Sb)は、それぞれ中間転写ベルト回転方向に複数個設けることが望ましい。トナーパターンのサンプル数を複数個形成することによって個々のパターン形成の誤差の影響を減らすことができるためである。
【0057】
なお、位置合わせ制御パターンの中間転写ベルト回転方向長さは任意であり、記録媒体Pの搬送方向長さよりも長くても良いが、その場合は記録媒体Pを複数枚使用し、ブラックの位置合わせ制御パターンが記録媒体Pの紙間に来ないように制御する必要がある。一方、位置合わせ制御パターンの長さ(図3のL)が記録媒体Pの搬送方向長さよりも短いと、位置合わせ制御に用いる記録媒体Pが1枚で済み、制御時間の短縮及び位置合わせ制御による記録媒体Pの使用量を減らすことができる。ブラックトナーパターン(Sb)を記録媒体1枚に収まる範囲でなるべく多く形成することにより、個々のパターン形成の誤差の影響を減らすとともに記録媒体Pの使用量を減らすことができる。
【0058】
以上では、画像形成の制御のうちの位置合わせ制御について説明したが、位置合わせとあわせて各色のトナーの濃度制御を本実施形態の構成でおこなってもよい。
【0059】
また、ブラックの位置合わせ制御パターンを記録媒体P上から中間転写ベルト6上に転写した後の記録媒体Pは、定着装置10に搬送され二次転写ニップで中間転写ベルト6上に転写されずに記録媒体P上に残留した転写残トナーを定着装置10によって記録媒体P上に定着させてから機外の排紙トレイ13上に排紙する。このように排紙トレイ13上に排紙された位置合わせ制御に用いた記録媒体Pの片面には転写残トナーが付着しているため、新品と同等の記録媒体Pとして扱うことはできないが、この記録媒体Pの残りの他面にはトナーが付着していないので、その他面に画像を形成する所謂裏紙といった再利用紙として使用することが可能である。この際、複数の排紙トレイが設けられているような画像形成装置であれば、位置合わせ制御で用いた記録媒体Pを特定の排紙トレイ上に排紙し集めておくという対応を採ることで、位置合わせ制御で用いた記録媒体Pを再利用し易くすることができる。
【0060】
[実施形態2]
次に、本発明の第二の実施形態について説明する。
【0061】
本実施形態では、上述した位置合わせ制御による記録媒体Pの枚数を必要最小限にするため、位置合わせ制御の実行間隔を従来より長く設定している。ただし、単に位置合わせ制御の実行間隔を従来より長くしたのでは各色のトナー像の位置ずれが悪くなり許容されなくなる。
【0062】
一方で、モノクロ画像出力におけるブラックトナーの記録媒体Pに対する位置ずれは、フルカラー出力におけるブラックトナー像と他色トナー像との間の位置ずれに比べて、一般的に許容される位置ずれ量が大きい。これは、ブラックトナー像と他色トナー像との間の位置ずれは位置ずれ量が200[μm]程度でも目視で異常が確認されやすいのに対し、モノクロ画像の記録媒体P上のブラックトナー像の位置は、例えば1[mm]程度本来の位置からずれたとしても認識できない場合がほとんどである。したがって、記録媒体Pを使用する全色の位置合わせ制御は実行間隔を長く設定してもモノクロ画像では問題ない。
【0063】
このように位置合わせ制御の実行間隔を従来より長くした場合には、フルカラー画像においてブラックトナー像と他色トナー像との位置ずれが悪くなる。これに対しては、従来と同等の実行間隔でカラー色(イエロー、シアン、マゼンタの3色)の位置合わせ制御を行っておき、カラー色(イエロー、シアン、マゼンタの3色)の位置ずれがない状態を保っておき、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの全色の位置合わせ制御実行時から実行間隔が一定程度空いたときのフルカラー画像出力時には、ブラックトナーは使用せず、イエロー、シアン、マゼンタの3色のトナー像を重ね合わせてブラックを表現することで位置ずれのないフルカラー画像出力が可能となる。
【0064】
図4は、中間転写ベルト6上に形成されたカラー色(イエロー、シアン、マゼンタの3色)のみの位置合わせ制御パターン(Sy、Sm、Sc)を模式的に示す図である。図4に示す位置合わせ制御パターンは、ブラックの位置合わせ制御パターンが形成されない点のみが図3と異なる。カラー色(イエロー、シアン、マゼンタの3色)の位置合わせ制御の方法は上述したブラック、イエロー、シアン、マゼンタの全色の位置合わせ制御の方法と同様である。なお、このカラー色(イエロー、シアン、マゼンタの3色)のみの位置合わせ制御は、中間転写ベルト6と転写搬送ベルト8とを離間した状態でおこなう。
【0065】
次に、本実施形態の画像形成装置における中間転写ベルト6と転写搬送ベルト8との離間動作と、カラー色(イエロー、シアン、マゼンタの3色)のみの位置合わせ制御とについて説明する。
【0066】
また、本実施形態においては、二次転写装置の領域で中間転写ベルト6と転写搬送ベルト8との接離を行う接離装置20を設けている。この接離装置20は、公知の様々な形態が考えられるが、例えば図5のように二次転写ローラ16の軸19を画像形成装置本体内の壁部に形成された溝21に入れバネ22でカム23に押し当て、このカム23を図示しないパルスモータで回転させることにより、中間転写ベルト6と転写搬送ベルト8とを接離させる構成が考えられる。
【0067】
二次転写装置の領域で接している中間転写ベルト6と転写搬送ベルト8とを離間させる場合には、カム23を図5中時計回りに回転させて軸19をバネ22からの付勢力に抗して溝21内を移動させ、二次転写ローラ16を対向ローラ17から遠ざかる方向に変位させることで、中間転写ベルト6と転写搬送ベルト8とを介して接する二次転写ローラ16と対向ローラ17と離間させる。このように二次転写ローラ16と対向ローラ17とを離間させることで転写搬送ベルト8は自身の張力によって二次転写ローラ16の変位に連動して中間転写ベルト6から遠ざかる方向に変位し、図6に示すように中間転写ベルト6と転写搬送ベルト8とが離間する。
【0068】
また、二次転写装置の領域で離間している中間転写ベルト6と転写搬送ベルト8とを接触させる場合には、カム23を図5中反時計回りに回転させて軸19をバネ22からの付勢方向に溝21内を移動させ、二次転写ローラ16を対向ローラ17に近づく方向へ変位させる。このように二次転写ローラ16を対向ローラ17に近づく方向へ変位させることで、二次転写ローラ16の変位に連動して転写搬送ベルト8も中間転写ベルト6に近づく方向へ変位する。よって、中間転写ベルト6と転写搬送ベルト8とを介して二次転写ローラ16と対向ローラ17とを接触させることで、中間転写ベルト6と転写搬送ベルト8とが接触する。
【0069】
通常のモノクロ画像出力では中間転写ベルト6と転写搬送ベルト8とを離間しておき、ブラックの画像形成ユニット30B、転写搬送ベルト8、定着装置10を動作させるが、カラー色(イエロー、シアン、マゼンタの3色)の位置合わせ制御を同時に行う場合は、中間転写ベルト6と転写搬送ベルト8とを離間した上で、フルカラー画像出力動作と同様の動作を行い、ブラックでは出力画像を描き、カラー色(イエロー、シアン、マゼンタの3色)では位置合わせ制御パターンを描くことで、ブラックの画像形成ユニット30B、転写搬送ベルト8、定着装置10でモノクロ画像を出力する一方、光学センサ18でカラー色(イエロー、シアン、マゼンタの3色)の位置合わせ制御パターンを読み取り、カラー色(イエロー、シアン、マゼンタの3色)の位置合わせ制御を行う。このように、カラー色(イエロー、シアン、マゼンタの3色)の位置合わせ制御をモノクロ画像出力動作と同時に行うことで、位置合わせ制御による通常の画像形成の待たせ時間を短縮することができる。
【0070】
次に、ブラックとカラー色(イエロー、シアン、マゼンタの3色)との位置合わせ制御について説明する。
【0071】
図7は、中間転写ベルト6上に形成されたカラー色であるイエロー、シアン、マゼンタのうちの一色のトナーパターン(図7ではマゼンタのトナーパターンSm)とブラックのトナーパターン(Sb)とを模式的に示す図である。図7に示すトナーパターンは、カラー色がマゼンタの一色(Sm)のみである点が図3と異なる。カラー1色とブラック色の位置合わせ制御の方法は上述したブラックとカラー色(イエロー、シアン、マゼンタの3色)との位置合わせ制御の方法と同様である。
【0072】
カラー色(イエロー、シアン、マゼンタの3色)の位置は上述の方法(図4)で実施済みなので、ブラックとカラー色(イエロー、シアン、マゼンタの3色)との位置あわせは、カラー色(イエロー、シアン、マゼンタの3色)のうちの少なくとも一色とブラックとを用いれば可能である。これにより、新たにカラー色であるイエロー、シアン、マゼンタの全色及びブラックの位置合わせ制御パターンを使用する場合にくらべてカラー色のトナー使用量を減らすことが出来、位置合わせのための制御のステップ(画像形成ステップ、光学センサ18での位置合わせ制御パターンの読み取り時間、処理時間、画像形成位置補正の処理など)も色数が少ない分だけ時間短縮を図ることができる。
【0073】
本実施形態のように位置合わせ制御を二段階に分けることで、モノクロ画像出力の時間を利用してカラー色(イエロー、シアン、マゼンタの3色)同士の位置合わせを予めおこなえるので、画像形成装置使用者の待たせ時間の短縮をすることができる。
【0074】
さらに、カラー色(イエロー、シアン、マゼンタの3色)の位置合わせの実行間隔をブラックとカラー色であるイエロー、シアン、マゼンタのうちの一色との位置合わせよりも短くすることもできる。ブラックトナー像と他色トナー像との間の位置ずれは200[μm]程度でも目視して異常が確認されやすいのに対して、ブラックトナー像(モノクロ画像)の記録媒体P上の位置は、例えば1[mm]程度本来の位置からずれたとしても認識できない場合がほとんどである。したがって、異常が確認されやすいカラー色(イエロー、シアン、マゼンタの3色)の位置のずれ補正は実行間隔を短くする一方、位置ずれが認識されにくいブラックの位置ずれ補正を長くすれば、全体としての待たせ時間を減らせると共に、異常と認識される画像の出力を抑制することができる。
【0075】
カラー色(イエロー、シアン、マゼンタの3色)の位置合わせを実行した後、次のブラックとカラー一色との位置合わせを実行するまでの間は、ブラックに対するカラー色の位置がずれている可能性があるため、フルカラー画像をカラー色のトナーのみ、すなわち、イエロー、シアン、マゼンタのトナーのみで形成、出力するようにしてもよい。
【0076】
図8は、カラー色(イエロー、シアン、マゼンタの3色)の位置合わせ制御の実行間隔、ブラックとカラー一色との位置合わせ制御の実行間隔、モノクロ画像及びフルカラー画像出力時に使用するトナーの関係を示す概念図である。
【0077】
ブラック及びカラー一色の位置合わせ制御(C1)を実行してから、時間taが経過するごとにカラー色(イエロー、シアン、マゼンタの3色)の位置合わせ(C2)を実行する。C2はC1実行後、複数回(N回)実行する。そして最後のカラー色(イエロー、シアン、マゼンタの3色)の位置合わせ制御を実行後、時間tb経過後に再度、ブラックとカラー一色との位置合わせ制御(C1)を実行する。時間tbをtaよりも短くすれば、C1実行時にカラー色(イエロー、シアン、マゼンタの3色)同士のずれ量が少ないので、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの全色の位置合わせ精度の向上が図れる。
【0078】
図8に示すように、フルカラー画像出力は、C1実行後の最初のC2実行までは全色(ブラック、イエロー、シアン、マゼンタ)のトナーでおこない、C2実行以後はカラー色(イエロー、シアン、マゼンタの3色)のトナーだけでおこなう。モノクロ画像出力は上述したのと同様に、中間転写ベルト6と転写搬送ベルト8とを離間させた状態でブラックトナーのみを用いておこなう。このようにすれば、ブラックトナー像に対するカラー色(イエロー、シアン、マゼンタの3色)のトナー像の位置ずれの影響を抑えることができる。なお、C2はモノクロ画像出力と並行して実行可能なので、短い時間間隔で実行しても待たせ時間増加にはならない。また、C1の実行間隔(ta×N+tb)がC2(ta)よりも長いので、毎回ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの全色の位置合わせ制御を実行する場合よりも、さらに位置合わせのための待たせ時間を減らすことができる。
【0079】
なお、時間taと時間tbとは同じとしてもよい。また、C1の実行と無関係にC2を一定間隔で実行してもよい。図8では横軸は時間(t)だが、記録媒体Pの出力枚数(枚)にしても良い。すなわち、位置合わせ制御の実行間隔を記録媒体Pの出力枚数(枚)などを基準に設定してもよい。モノクロ出力枚数、フルカラー出力枚数の一方または両方を基準に設定してもよい。また、位置合わせ制御の実行間隔を等間隔ではなく、たとえば画像形成装置の使用状況に応じて可変としてもよい。
【0080】
また、複数の記録媒体Pに続けて画像を形成する連続印刷を行う際に、連続印刷で排紙トレイ13上に排紙され積み重なった記録媒体Pに位置合わせ制御で用いた記録媒体が混在してしまうのを避けることを優先する場合は、連続印刷中に記録媒体Pを用いた全色の位置合わせ制御を行わず、上述したカラー色(イエロー、シアン、マゼンタの3色)の位置合わせ制御を行い、イエロー、シアン、マゼンタの3色のトナーを重ね合わせることでブラックを表現できることを利用して、ブラック単色のモノクロ画像やフルカラー画像をカラー色のトナーのみ、すなわち、イエロー、シアン、マゼンタのトナーのみで形成し出力するようにしてもよい。これにより、連続印刷されて排紙トレイ13上に積み重なった記録媒体Pの束から位置合わせ制御で用いた記録媒体Pを抜き取るといった作業を使用者が行う必要が無くなり利便性が良い。
【0081】
[実施形態3]
次に、本発明の第三の実施形態について説明する。
【0082】
給紙トレイ40に異なる紙種がセットされた場合、使用者は装置本体のオペレーションパネルやプリンタードライバーにて紙種設定を変更する。この変更があったことを検知し、その紙種で全色の位置合わせ制御を行うことで、後述するように紙種変更時の各色間の色ずれを抑制することができる。
【0083】
本実施形態の画像形成装置を用いてフルカラー画像出力をおこなう際の動作について説明する。図9は画像形成装置の一部に設けられた記録媒体情報設定手段であるオペレーションパネル60の表示部61を示す図である。オペレーションパネル60は画像形成装置上面に設けられ、液晶モニタ画面である表示部61に紙種選択メニュー62が表示される。紙種には図中のように普通紙、薄紙、中厚口紙、厚紙、特殊紙などがあり、紙厚に関する情報を含んでいる。
【0084】
使用者は液晶モニタ内の操作手段であるタッチパネル63を操作し、画像形成装置で使用される紙種一覧が表示された紙種選択メニュー62の中から使用する記録媒体Pと一致する紙種を選択し設定する。このように紙種を設定することにより、記録媒体の紙厚に関する情報を設定することができる。
【0085】
一方で、使用者が設定した紙種が通常のコピー用紙とは異なる特殊紙だった場合、その特殊紙を使用者が位置合わせ制御に利用されたくないことも考えられる。そこで、紙種設定(紙種変更)を検知した後に、オペレーションパネル60上またはプリンタードライバー上で紙種設定に伴う位置合わせ制御を実行して良いかを画像形成装置の使用者にたずねる表示を位置合わせ制御実行前に行い、使用者がOKとした場合にのみ、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの全色の位置合わせ制御を行うようにしておくことで、使用者が許可しない特殊紙を使った位置合わせ制御を禁止することができる。なお、使用者がNGとした場合には、フルカラー画像出力時にはブラックトナーは使用せず、イエロー、シアン、マゼンタの3色のトナーを重ね合わせてブラックを表現することで位置ずれのないフルカラー画像出力が可能となる。
【0086】
ここで、特殊紙とは、背景画像があらかじめ印刷された紙などを指す。また、記録媒体として特殊紙を用いる場合に限らず、用意された記録媒体の枚数が限られていたり記録媒体が高価であったりする場合など、位置合わせ制御に記録媒体を用いたくない場合もあり、そのような場合に使用者がオペレーションパネル60などで特殊紙を選択し設定することにより後述のような位置合わせ動作の実行有無の判断を求めるようにしている。
【0087】
次に位置合わせ制御の動作について説明する。図10は、記録媒体の紙種が選択されてから画像形成装置が画像を出力するまでのステップをあらわすフローチャート図であり、図10を用いて画像形成装置の動作を説明する。
【0088】
まず、画像形成装置の使用者が画像形成装置に設けられたオペレーションパネル60を操作して紙種を設定する(S1)。次に設定された紙種が普通紙(すなわち通常使用される紙)であるかどうかを装置本体内に設けられた制御部で判定する(S2)。普通紙である場合は(S2でYes)、ブラック(B)、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)の全色のトナーを用いて記録媒体(普通紙)に画像を形成して出力する(S9)。普通紙で無い場合は(S2でNo)、設定された紙種が特殊紙かどうかを前記制御部で判定する(S3)。特殊紙でない場合は(S3でNo)、記録媒体(薄紙、中厚口紙、厚紙など普通紙と紙厚の異なる紙)を用いて上述の実施形態1と同様の方法で各色のトナーパターンを中間転写ベルト6上に形成し、位置合わせ動作(S8)をおこなった後、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの全色のトナーを用いて記録媒体に画像を形成して出力する。特殊紙である場合は(S3でYes)、オペレーションパネル60上に記録媒体(特殊紙)を使用して位置合わせを実行してよいかどうかの表示(通知)をする(S4)。この表示を受けて画像形成装置の使用者がオペレーションパネル60を操作し、位置合わせ制御に特殊紙を使用するもしくは使用しない旨の指示を行う。この指示結果を受けて(S5)、特殊紙を位置合わせ制御に使用するか否か、言い換えれば、特殊紙を位置合わせ制御に用いるブラック、イエロー、シアン、マゼンタの全色の位置合わせを実行するか、特殊紙を位置合わせ制御に用いないカラー色(イエロー、シアン、マゼンタの3色)のみの位置合わせを実行するか、の判断を前記制御部が行う(S6)。特殊紙を位置合わせ制御に使用する場合(S6でYes)は、特殊紙を使用してブラック、イエロー、シアン、マゼンタの全色の位置合わせをしてから(S8)、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの全色の全色を用いて特殊紙に画像を形成して出力する。特殊紙を位置合わせ制御に使用しない場合(S6でNo)は、カラー色(イエロー、シアン、マゼンタの3色)のみの位置合わせを実行(S7)したのち、カラー色(イエロー、シアン、マゼンタの3色)のトナーのみを用いて特殊紙に画像を形成して出力する(S10)。
【0089】
上述した位置合わせ制御の動作をおこなえば、通常使用している記録媒体(普通紙)と紙厚のことなる記録媒体を使用する際に位置合わせ制御を実行するので、紙厚が異なることによるブラックトナー像とカラー色(イエロー、シアン、マゼンタの3色)のトナー像との画像位置ずれを抑制するができる。
【0090】
また、画像形成装置の使用者が紙厚に関する情報をオペレーションパネル60で設定する構成とすることにより、画像位置ずれをより確実に抑制することができる。
【0091】
また、上述した特殊紙を使用する場合に特殊紙を使用して位置合わせ制御を実行するかどうかの判断を使用者に求めるよう構成しているので、記録媒体を使用する場合にはブラックトナー像とカラー色(イエロー、シアン、マゼンタの3色)のトナー像との画像位置ずれを抑えて、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの全色のトナーを用いて画像を出力できる。位置合わせ制御に記録媒体を使用しない場合には、記録媒体を消費することなく、カラー色(イエロー、シアン、マゼンタの3色)のみの位置合わせ制御を実行してカラー色(イエロー、シアン、マゼンタの3色)間の画像位置ずれを抑制して、カラー色(イエロー、シアン、マゼンタの3色)のトナーのみを用いて画像を出力できる。
【0092】
なお、本実施形態では画像形成装置に設けられたオペレーションパネル60を用いて使用者が紙厚に関する情報を設定しているが、画像形成装置にネットワークで接続されたコンピュータを用いて使用者が紙厚に関する情報を設定する構成等としてもよい。
【0093】
[実施形態4]
次に、本発明の第四の実施形態について説明する。
【0094】
本実施形態の画像形成装置は、ブラックの画像形成ユニット30Bよりも記録媒体搬送方向上流側に記録媒体Pの紙厚を検知する紙厚検知手段を有し、その紙厚検知手段が検知した紙厚が異なる場合に位置合わせ制御を実施する。位置合わせ制御方法は上述したのと同様である。
【0095】
図11は紙厚検知手段50を示す模式図である。紙厚検知手段50は記録媒体Pの搬送路を挟んで設けられた固定ローラ51と可動ローラ52と、可動ローラ52の上面に当接する反射板53と、光学式反射型変位センサ54と、を備える。固定ローラ51は回転軸51aが図示しない回転軸固定手段によって固定されており、記録媒体Pの通紙に関わらず中心位置が移動せず回転する。可動ローラ52は、回転軸52aが図示しない回転軸支持手段が移動することによって移動可能であって、記録媒体Pの通紙時に記録媒体Pの厚みtの分だけ固定ローラ51から離間して回転する。可動ローラ52の上面には反射板53が当接しており、反射板53は図示しない弾性部材によって可動ローラ52側(図で下向き)に付勢され、通紙時に可動ローラ52の移動に伴って記録媒体Pの厚みtの分だけ記録媒体Pから離れる方向(図で上向き)に移動する。光学式反射型変位センサ54が光を照射して反射面で反射した光を読取って反射板53の変位量を得ることができる。このような構成を直接転写ニップ(ブラックの画像形成ユニット30B)よりも記録媒体搬送方向上流に設けることにより、通紙される記録媒体Pの紙厚tを検知することができる。このように紙厚検知手段50を設けることで、ユーザが紙厚に関する情報をオペレーションパネル60などを用いて設定しなくても、紙厚検知手段50で記録媒体Pの厚みを検知して確実に位置合わせ制御を実行できる。また、使用者による紙種設定の設定作業の手間も省くことができる。
【0096】
本実施形態では、図示しないメモリなどの記憶手段によって使用した記録媒体Pの紙厚tを記憶する。そして、紙厚検知手段50によって得た記録媒体Pの紙厚と、記憶手段が記憶する前回使用した記録媒体Pの紙厚とを比較して、これらが異なる場合に上述の位置合わせ制御を実行する。位置合わせの精度は紙厚に影響するので、紙厚が前回使用したものと異なる場合に位置合わせを実行すれば精度が確保できる。また、厚みが同じ記録媒体を使用し続ける場合に位置合わせ制御を実行しない分だけ、使用者に対し位置合わせ制御実行のための待たせ時間を減らすことができる。
【0097】
なお、紙厚が前回と比べて所定量変化した場合にのみ位置合わせを実行しても良い。この場合、位置合わせの精度を一定程度確保するとともに、使用者に対してさらに位置合わせ制御実行のための待たせ時間を減らすことができる。
【0098】
以上、本実施形態によれば、回転可能に複数のローラ部材に張架された中間転写ベルト6と、中間転写ベルト6のおもて面に対向して配設された第一の像担持体と、第一の像担持体上に画像を形成する第一の画像形成手段と、第一の像担持体上に形成された画像を中間転写ベルト6上に一次転写する一次転写手段である一次転写ローラ14と、中間転写ベルト6上に転写された画像を記録媒体上に二次転写する二次転写手段である二次転写装置と、中間転写ベルト6上から記録媒体上に画像が二次転写される二次転写位置よりも記録媒体搬送方向上流側に設けられた第二の像担持体と、第二の像担持体上に画像を形成する第二の画像形成手段と、第二の像担持体上に形成された画像を記録媒体上に直接転写する直接転写手段である直接転写ローラ15と、第二の像担持体上から記録媒体上に画像が直接転写される直接転写位置と前記二次転写位置とを通過するように記録媒体を担持して搬送する、回転可能に複数のローラ部材で張架された記録媒体搬送ベルトである転写搬送ベルト8と、中間転写ベルト6に対向させて設けられ各画像間の位置ずれ検知用の画像を検知するための画像検知手段である光学センサ18と、第一の像担持体と第二の像担持体それぞれに形成させた前記位置ずれ検知用の画像を、中間転写ベルト6上で重ね合わせて中間転写ベルト6に対向する光学センサ18の位置まで至らしめて、光学センサ18により前記位置ずれ検知用の画像を検知させ、光学センサ18の検知結果に基づいて各画像間の位置ずれを抑えるように画像形成条件を制御する制御手段である上記制御部と、を備えた画像形成装置において、第二の像担持体に形成させた前記位置ずれ検知用の画像を転写搬送ベルト8に担持された記録媒体P上に前記直接転写位置で転写させた後に前記二次転写位置で記録媒体Pから中間転写ベルト6に前記位置ずれ検知用の画像を転写する。これにより、第二の像担持体で形成した位置ずれ検知用の画像を転写搬送ベルト8に担持された記録媒体Pを介して中間転写ベルト6上に転写するので、記録媒体Pの厚みを考慮した前記画像形成条件の制御を行うことができる。よって、記録媒体上Pで各画像間の位置を精度良く合わせることができる。また、従来のような第二の像担持体に形成させた位置ずれ検知用の画像を転写搬送ベルト8上に転写することがないので、転写搬送ベルト8に対して中間転写ベルト6と同等の性能が必要ない。よって、その分、転写搬送ベルト8のコストアップを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、前記二次転写装置が転写バイアス印加手段を備えており、中間転写ベルト6上の前記第一の像担持体から転写された画像が前記二次転写位置で記録媒体に転写されるときに前記転写バイアス印加手段によって印加される転写バイアスの極性と、前記第二の像担持体から記録媒体上に転写された前記位置ずれ検知用の画像を記録媒体上から中間転写ベルト6上に転写するときに前記転写バイアス印加手段によって印加される転写バイアスの極性と、が逆であることで、前記二次転写位置において通常の画像形成時とは逆方向、すなわち、記録媒体から中間転写ベルト6上へ前記位置ずれ検知用の画像を容易に転写することができる。
また、本実施形態によれば、中間転写ベルト6上の前記第一の像担持体から転写された画像が前記二次転写位置で記録媒体に転写されるときに前記転写バイアス印加手段によって印加される転写バイアスの絶対値と、前記第二の像担持体から記録媒体上に転写された前記位置ずれ検知用の画像を記録媒体上から中間転写ベルト6上に転写するときに前記転写バイアス印加手段によって印加される転写バイアスの絶対値と、が同一であることで、大きさが等しく極性だけが逆の転写電界を形成できる。このような転写電界によって逆向き転写した場合、通常とは方向だけが逆で転写位置と転写タイミングとが同じ転写動作を行うことができる。このような転写動作によって転写された位置ずれ検知用の画像を中間転写ベルト6上で検出して各画像の位置合わせを行えば、記録媒体の紙厚を考慮した通常の転写動作の位置合わせができることになる。よって、前記二次転写位置における中間転写ベルト6から記録媒体への通常の転写動作の位置合わせ制御の精度が確保できる。
また、本実施形態によれば、前記転写バイアス印加手段が、中間転写ベルト6に対向して設けられた二次転写ローラ16、もしくは、二次転写ローラ16に対向する対向ローラ17のいずれかにバイアスを印加可能であって、中間転写ベルト6上の前記第一の像担持体から転写された画像が前記二次転写位置で記録媒体に転写されるときには、前記第一の像担持体から中間転写ベルト6に転写された画像のトナーの帯電極性とは逆極性の転写バイアスを二次転写ローラ16に印加するか、もしくは、同極性の転写バイアスを対向ローラ17に印加し、前記第二の像担持体から記録媒体上に転写された前記位置ずれ検知用の画像を記録媒体上から中間転写ベルト6上に転写するときには、前記第二の像担持体から記録媒体に転写された位置ずれ検知用の画像のトナーの帯電極性と同極性の転写バイアスを二次転写ローラ6に印加するか、もしくは、逆極性の転写バイアスを対向ローラ17に印加することで、上述したように、簡易な構成で転写バイアスの切り替えを行うことができる。
また、本実施形態によれば、前記第二の像担持体に形成される位置ずれ検知用の画像は、前記制御部による制御時に使用する記録媒体の記録媒体搬送方向長さよりも短い。これにより、前記第二の像担持体に形成される位置ずれ検知用の画像を記録媒体1枚分に収めることができ、前記制御で使用する記録媒体を最小枚数に抑えることができるとともに、前記制御にかかる時間を短縮することができる。
また、本実施形態によれば、前記第一の像担持体を含めた複数の像担持体である感光体1Y,C,Mが中間転写ベルト6のおもて面に対向して配設されており、前記第二の像担持体である感光体1B上に形成された、前記位置ずれ検知用の画像とは異なる画像のみを記録媒体上に転写して記録媒体上に単色の画像を形成する単色モードを有し、前記単色モードで記録媒体上に単色の画像を形成するのに並行して、感光体1Y,C,M上に形成させて感光体1Y,C,M上から中間転写ベルト6上に転写した位置ずれ検知用の画像を光学センサ18によって検知し、感光体1Y,C,Mで形成された各画像間の位置ずれを抑えるように上記制御部によって感光体1Y,C,Mへの画像形成条件を制御する。これにより、イエロー、シアン、マゼンタの3色(カラー色)の位置合わせ制御を単色モードでモノクロ画像出力動作と同時に行うことで、位置合わせ制御による通常の画像形成の待たせ時間を短縮することができる。
また、本実施形態によれば、感光体1Y,C,Mのうちの一つの感光体1と感光体1Bとに前記位置ずれ検知用の画像を形成し、それら位置ずれ検知用の画像を最終的に中間転写ベルト6上に転写して、中間転写ベルト6上でそれら位置ずれ検知用の画像の位置を光学センサ18によって検知し、その検知結果に基づいて感光体1Y,C,M,Bで形成された各画像間の位置ずれを抑えるように上記制御部により感光体1Y,C,M,Bへの画像形成条件を制御する。これにより、通常の全色の位置ずれ検知用の画像を作成して全色の画像の位置合わせを行うよりも短い時間で且つ少ないトナー量で全色の画像の位置合わせを行うことができる。
また、本実施形態によれば、感光体1Y,C,Mで形成された各画像間の位置ずれを抑えるように感光体1Y,C,Mへの画像形成条件を制御する実行間隔は、感光体1Y,C,Mで形成された画像と感光体1Bで形成された画像との間の位置ずれを抑えるように感光体1Y,C,M,Bへの画像形成条件を制御する実行間隔よりも短いことで、異常が確認されやすいカラー色(イエロー、シアン、マゼンタの3色)の位置のずれ補正は実行間隔を短くする一方、位置ずれが認識されにくいブラックの位置ずれ補正を長くすれば、全体としての待たせ時間を減らせると共に、異常と認識される画像の出力を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、使用する記録媒体の紙厚が所定値と異なる場合に、感光体1Y,C,Mで形成された画像と感光体1Bで形成された画像との間の位置ずれを抑えるように感光体1Y,C,M,Bへの画像形成条件の制御を実行する。記録媒体の紙厚やコシが異なると記録媒体の搬送速度などがわずかに変化するため、使用する記録媒体の紙厚が所定値と異なる場合に全色の位置合わせを行うことで、記録媒体の紙厚に起因する各色間の位置ずれを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、使用する記録媒体の紙厚に関する情報を設定するための記録媒体情報設定手段であるオペレーションパネル60を有する。これにより、画像形成装置の使用者が紙厚に関する情報をオペレーションパネル60で設定する構成とすることによって、画像位置ずれをより確実に抑制することができる。
また、本実施形態によれば、記録媒体を使用して位置合わせ制御を実行して良いか否かの判断を使用者に促す通知を行う通知手段でもあるオペレーションパネル60と、記録媒体を使用して位置合わせ制御を実行するか実行しないかの指示を前記制御部に対して行う指示手段でもある前記オペレーションパネル60と、を備え、前記制御部は、オペレーションパネル60から記録媒体を使用する旨の指示を受けたときは、感光体1Y,C,Mと感光体1Bそれぞれに画像を形成して最終的に記録媒体上に画像を転写し、オペレーションパネル60から記録媒体を使用しない旨の指示を受けたときは、感光体1Y,C,Mにのみ画像を形成して最終的に記録媒体上に画像を転写することで、位置合わせ制御に記録媒体を使用したくない場合に、記録媒体を使用せずに位置合わせがなされたカラー色のみを用いて位置ずれのない画像を提供できる。
【符号の説明】
【0099】
1 感光体
2 帯電装置
3 現像装置
4 クリーニング装置
5 露光装置
6 中間転写ベルト
7 中間転写ベルトクリーニング装置
8 転写搬送ベルト
9 転写搬送ベルトクリーニング装置
10 定着装置
12 トナー収容容器
13 排紙トレイ
14 一次転写ローラ
15 直接転写ローラ
16 二次転写ローラ
17 対向ローラ
18 光学センサ
18a 第一端部光センサ
18b 中央光センサ
18c 第二端部光センサ
19 軸
20 接離装置
21 溝
22 バネ
23 カム
25 電源
26 バイアス制御手段
30 画像形成ユニット
40 給紙トレイ
45 レジストローラ対
50a 回転軸
50 固定ローラ
51 可動ローラ
51a 回転軸
52 反射板
53 光学式反射型変位センサ
60 オペレーションパネル
61 表示部
62 紙種選択メニュー
63 タッチパネル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0100】
【特許文献1】特開2006−201743号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に複数のローラ部材に張架された中間転写ベルトと、
該中間転写ベルトのおもて面に対向して配設された第一の像担持体と、
該第一の像担持体上に画像を形成する第一の画像形成手段と、
該第一の像担持体上に形成された画像を該中間転写ベルト上に一次転写する一次転写手段と、
該中間転写ベルト上に転写された画像を記録媒体上に二次転写する二次転写手段と、
該中間転写ベルト上から記録媒体上に画像が二次転写される二次転写位置よりも記録媒体搬送方向上流側に設けられた第二の像担持体と、
該第二の像担持体上に画像を形成する第二の画像形成手段と、
該第二の像担持体上に形成された画像を記録媒体上に直接転写する直接転写手段と、
該第二の像担持体上から記録媒体上に画像が直接転写される直接転写位置と前記二次転写位置とを通過するように記録媒体を担持して搬送する、回転可能に複数のローラ部材で張架された記録媒体搬送ベルトと、
前記中間転写ベルトに対向させて設けられ各画像間の位置ずれ検知用の画像を検知するための画像検知手段と、
前記第一の像担持体と前記第二の像担持体それぞれに形成させた前記位置ずれ検知用の画像を、前記中間転写ベルト上で重ね合わせて前記中間転写ベルトに対向する前記画像検知手段の位置まで至らしめて、該画像検知手段により前記位置ずれ検知用の画像を検知させ、該画像検知手段の検知結果に基づいて各画像間の位置ずれを抑えるように画像形成条件を制御する制御手段と、を備えた画像形成装置において、
前記第二の像担持体に形成させた前記位置ずれ検知用の画像を前記記録媒体搬送ベルトに担持された記録媒体上に前記直接転写位置で転写させた後に前記二次転写位置で記録媒体から前記中間転写ベルトに前記位置ずれ検知用の画像を転写することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記二次転写手段が転写バイアス印加手段を備えており、
上記中間転写ベルト上の上記第一の像担持体から転写された画像が上記二次転写位置で記録媒体に転写されるときに前記転写バイアス印加手段によって印加される転写バイアスの極性と、
上記第二の像担持体から記録媒体上に転写された上記位置ずれ検知用の画像を記録媒体上から前記中間転写ベルト上に転写するときに前記転写バイアス印加手段によって印加される転写バイアスの極性と、が逆であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2の画像形成装置において、
上記中間転写ベルト上の上記第一の像担持体から転写された画像が上記二次転写位置で記録媒体に転写されるときに前記転写バイアス印加手段によって印加される転写バイアスの絶対値と、上記第二の像担持体から記録媒体上に転写された上記位置ずれ検知用の画像を記録媒体上から前記中間転写ベルト上に転写するときに前記転写バイアス印加手段によって印加される転写バイアスの絶対値と、が同一であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項2または3の画像形成装置において、
上記転写バイアス印加手段が、上記中間転写ベルトに対向して設けられた二次転写ローラ、もしくは、該二次転写ローラに対向する対向ローラのいずれかにバイアスを印加可能であって、
上記中間転写ベルト上の上記第一の像担持体から転写された画像が上記二次転写位置で記録媒体に転写されるときには、前記第一の像担持体から前記中間転写ベルトに転写された画像のトナーの帯電極性とは逆極性の転写バイアスを前記二次転写ローラに印加するか、もしくは、同極性の転写バイアスを前記対向ローラに印加し、
上記第二の像担持体から記録媒体上に転写された上記位置ずれ検知用の画像を記録媒体上から前記中間転写ベルト上に転写するときには、前記第二の像担持体から記録媒体に転写された上記位置ずれ検知用の画像のトナーの帯電極性と同極性の転写バイアスを前記二次転写ローラに印加するか、もしくは、逆極性の転写バイアスを前記対向ローラに印加することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項2、3または4の画像形成装置において、
上記第二の像担持体に形成される上記位置ずれ検知用の画像は、上記制御手段による制御時に使用する記録媒体の記録媒体搬送方向長さよりも短いことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項2、3、4または5の画像形成装置において、
上記第一の像担持体を含めた複数の像担持体が前記中間転写ベルトのおもて面に対向して配設されており、
前記複数の像担持体上に形成させて該複数の像担持体上から前記中間転写ベルト上に転写した位置ずれ検知用の画像を上記画像検知手段によって検知し、前記複数の像担持体で形成された各画像間の位置ずれを抑えるように上記制御手段によって該複数の像担持体への画像形成条件を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項2、3、4または5の画像形成装置において、
上記第一の像担持体を含めた複数の像担持体が前記中間転写ベルトのおもて面に対向して配設されており、
上記第二の像担持体上に形成された、上記位置ずれ検知用の画像とは異なる画像のみを記録媒体上に転写して記録媒体上に単色の画像を形成する単色モードを有し、
前記単色モードで記録媒体上に単色の画像を形成するのに並行して、前記複数の像担持体上に形成させて該複数の像担持体上から前記中間転写ベルト上に転写した位置ずれ検知用の画像を上記画像検知手段によって検知し、前記複数の像担持体で形成された各画像間の位置ずれを抑えるように上記制御手段によって該複数の像担持体への画像形成条件を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項6または7の画像形成装置において、
前記複数の像担持体のうちの一つの像担持体と前記第二の像担持体とに上記位置ずれ検知用の画像を形成し、それら位置ずれ検知用の画像を最終的に上記中間転写ベルト上に転写して、前記中間転写ベルト上でそれら位置ずれ検知用の画像の位置を上記画像検知手段によって検知し、その検知結果に基づいて前記複数の像担持体及び前記第二の像担持体で形成された各画像間の位置ずれを抑えるように上記制御手段により各像担持体への画像形成条件を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8の画像形成装置において、
上記複数の像担持体で形成された各画像間の位置ずれを抑えるように該複数の像担持体への画像形成条件を制御する実行間隔は、前記複数の像担持体で形成された画像と上記第二の像担持体で形成された画像との間の位置ずれを抑えるように各像担持体への画像形成条件を制御する実行間隔よりも短いことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項8または9の画像形成装置において、
使用する記録媒体の紙厚が所定値と異なる場合に、上記複数の像担持体で形成された画像と上記第二の像担持体で形成された画像との間の位置ずれを抑えるように各像担持体への画像形成条件の制御を実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項10の画像形成装置において、
使用する記録媒体の紙厚に関する情報を設定するための記録媒体情報設定手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項11の画像形成装置において、
記録媒体を使用して位置合わせ制御を実行して良いか否かの判断を使用者に促す通知を行う通知手段と、
記録媒体を使用して位置合わせ制御を実行するか実行しないかの指示を上記制御手段に対して行う指示手段と、を備え、
前記制御手段は、前記指示手段から記録媒体を使用する旨の指示を受けたときは、上記複数の像担持体と上記第二の像担持体それぞれに画像を形成して最終的に記録媒体上に画像を転写し、前記指示手段から記録媒体を使用しない旨の指示を受けたときは、上記複数の像担持体にのみ画像を形成して最終的に記録媒体上に画像を転写することを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
回転可能に複数のローラ部材に張架された中間転写ベルトと、
該中間転写ベルトのおもて面に対向して配設された第一の像担持体と、
該第一の像担持体上に画像を形成する第一の画像形成手段と、
該第一の像担持体上に形成された画像を該中間転写ベルト上に一次転写する一次転写手段と、
該中間転写ベルト上に転写された画像を記録媒体上に二次転写する二次転写手段と、
該中間転写ベルト上から記録媒体上に画像が二次転写される二次転写位置よりも記録媒体搬送方向上流側に設けられた第二の像担持体と、
該第二の像担持体上に画像を形成する第二の画像形成手段と、
該第二の像担持体上に形成された画像を記録媒体上に直接転写する直接転写手段と、
該第二の像担持体上から記録媒体上に画像が直接転写される直接転写位置と前記二次転写位置とを通過するように記録媒体を担持して搬送する、回転可能に複数のローラ部材で張架された記録媒体搬送ベルトと、
前記中間転写ベルトに対向させて設けられ各画像間の位置ずれ検知用の画像を検知するための画像検知手段と、
前記第一の像担持体と前記第二の像担持体それぞれに形成させた前記位置ずれ検知用の画像を、前記中間転写ベルト上で重ね合わせて前記中間転写ベルトに対向する前記画像検知手段の位置まで至らしめて、該画像検知手段により前記位置ずれ検知用の画像を検知させ、該画像検知手段の検知結果に基づいて各画像間の位置ずれを抑えるように画像形成条件を制御する制御手段と、を備えた画像形成装置の画像形成制御方法において、
前記第二の像担持体に形成させた前記位置ずれ検知用の画像を前記記録媒体搬送ベルトに担持された記録媒体上に前記直接転写位置で転写させた後に前記二次転写位置で記録媒体から前記中間転写ベルトに前記位置ずれ検知用の画像を転写することを特徴とする画像形成制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−95371(P2011−95371A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−247528(P2009−247528)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】