説明

画像形成装置

【課題】 印字画像の画質の安定性を確保しつつ,実際に印字出力される印字画像の濃度(階調)を原稿の画像の濃度に適合させることのできる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 1画素が16階調(4ビット)で表現された画像データが,予め定められた階調変換情報に基づいて,64階調(6ビット)で表現された画像データに変換される階調変換処理が実行され,その階調変換処理後の画像データに基づいてレーザ光源による所定の像担持体への露光が制御される画像形成装置において,16階調(4ビット)で表現されたテストパターン画像を64階調(6ビット)で表現されたテストパターン画像に変換して,その変換後のテストパターン画像に基づいて所定の像担持体上にテストパターン画像を形成し,そのテストパターン画像から検出された濃度に基づいて前記階調変換情報を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,入力された画像データに基づいて印字出力を実行するプリンタ装置や複写機などの画像形成装置に関し,特に,実際に印字出力される印字画像の濃度を前記画像データの画像の濃度に適合させる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から,プリンタ装置や複写機などの画像形成装置においては,入力された画像データに基づく印字出力の実行に際し,該画像データに対してハーフトーン処理やディザ処理などの中間調処理が施される(例えば,特許文献1参照)。そして,中間調処理が施された画像データが,LSU(レーザスキャナユニット)や感光体ドラム,現像装置などを有する画像形成部に出力されることにより,該画像データに基づく印字出力が実行される。
前記中間調処理では,例えば1画素が8ビット256階調で表現された画像データ(以下,「8ビット画像データ)という)が入力された場合に,その8ビット画像データにおける1画素が,1ドットが4ビット16階調で表現された16(4×4のマトリクス)のドットの集合で構成されるように,前記8ビット画像データに変換処理が施される。これにより,前記8ビット画像データは,1ドットが4ビット16階調で表現される画像データ(以下,「4ビット画像データ」という)に変換される。このとき,8ビット画像データは,予め設定された変換テーブル(ディザパターンなど)に基づいて4ビット画像データに変換される。この変換テーブルは,前記LSUの露光特性や前記感光体ドラムの感度特性,現像装置の現像特性などが装置毎に異なるため,画像形成装置各々において設定される。この変換テーブルに基づいて変換された後の4ビット画像データに基づく印字出力では,印字後の印字画像の濃度(階調)が,前記8ビット画像データの画像の濃度(階調)に適合する。
【0003】
ところが,前記各特性は,経時的或いは環境温度の変化等に起因して変化するため,予め設定された固定の変換テーブルでは,実際に印字された印字画像の濃度が原稿の画像の濃度に適合しなくなる。そのため,前記変換テーブルは,例えば累積印字枚数や環境温度の変化に応じて所定のタイミングで再設定する必要がある。
このような前記変換テーブルの再設定手法の一例として,濃度が異なる複数のテストパターンを一の転写材上の異なる領域に形成してこれを現像し,その後,形成された複数の現像されたテストパターンの濃度(階調)を検出し,その検出された濃度に基づいて前記変換テーブルを設定することが考えられる。このように前記変換テーブルを再設定することにより,前記画像形成部における各特性の変化を吸収し,実際に印字された印字画像の濃度を原稿の画像の濃度に適合させることができる。
【特許文献1】特開2005−151286号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら,前記画像形成部における各特性の変化に起因する濃度の変化を補正することができる前記変換テーブルの補正量の特定は困難であり,前記変換テーブルは前記各特性の変化を吸収し得ると推測される補正量で補正されるため補正誤差が生じる。そのため,場合によっては8ビット画像データから4ビット画像データへの変換処理時に大幅な濃度補正が施されることとなり,印字画像の画質の安定性に欠けることが問題となる。具体的には,大量部数の印字処理の実行中に前記変換テーブルの補正が実行された場合に,その連続する印字処理において得られる補正前の印字画像と補正後の印字画像との間に大きな濃度(階調)差が生じるという問題がある。
従って,本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,印字画像の画質の安定性を確保しつつ,実際に印字出力される印字画像の濃度(階調)を原稿の画像の濃度に適合させることのできる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために本発明は,1画素が第1の階調数で表現された画像データが,予め定められた階調変換情報に基づいて,1画素が前記第1の階調数よりも多い第2の階調数で表現された画像データに変換される階調変換処理が実行され,その階調変換処理後の画像データが,入力された画像データに基づいてレーザ光源による所定の像担持体への露光を制御する光源制御手段に出力される画像形成装置であって,前記第1の階調数で表現されたテストパターン画像データを前記第2の階調数で表現されたテストパターン画像データに変換して,その変換後のテストパターン画像データに基づいて所定の像担持体上に形成されたテストパターン画像の濃度を検出し,検出された前記テストパターン画像の濃度に基づいて前記階調変換情報を設定することを特徴とする画像形成装置として構成される。なお,前記階調変換処理や出力処理,設定処理などが,前記光源制御手段によって実行されることも考えられる。
本発明によれば,前記光源制御手段やその後段に配置される感光体ドラムや現像装置などの各特性に起因する濃度誤差の発生を防止し,実際に印字出力された印字画像の濃度を前記第1の階調数で表現された画像の濃度に適合させることができる。また,従来のように中間調処理で用いられるディザパターン等の所定の中間調変換情報を設定する場合と異なり,前記階調変換処理で用いられる前記階調変換情報が設定される構成であるため,大幅な濃度変化が生じることがなく,印字画像の画質の安定性が確保される。具体的には,大量部数の印字処理の実行中に前記階調変換情報が再設定されたとしても,その連続する印字処理において得られる再設定前の印字画像と再設定後の印字画像との間に大きな濃度差が生じない。
【0006】
また,1画素が前記第1の階調数よりも多い第3の階調数で表現された画像データを,前記第3の階調数で表現された1画素を前記第1の階調数で表現された複数画素により表現する画像データに変換する中間調処理が行われる画像形成装置では,その中間調処理後に出力される前記第1の階調数で表現された画像データに対して前記階調変換処理が施される。
ここで,本発明によれば,前記光源制御手段やその後段に配置される感光体ドラム,現像装置などの各特性に起因する濃度誤差の発生が防止されているため,前記中間調処理において用いられるディザパターン等の所定の中間調変換情報を,理論的に定義することが可能となる。例えば,前記中間調変換情報を所定の計算式によって定義することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば,前記光源制御手段やその後段に配置される感光体ドラム,現像装置などの各特性に起因する濃度誤差の発生を防止し,実際に印字出力された印字画像の濃度を前記第1の階調数で表現された画像の濃度に適合させることができる。また,従来のように中間調処理で用いられるディザパターン等の所定の中間調変換情報を設定する場合と異なり,前記階調変換処理で用いられる前記階調変換情報が設定される構成であるため,大幅な濃度変化が生じることがなく,印字画像の画質の安定性が確保される。
また,前記光源制御手段やその後段に配置される感光体ドラム,現像装置などの各特性に起因する濃度誤差の発生が防止されているため,前記中間調処理において用いられるディザパターン等の所定の中間調変換情報を,理論的に定義することが可能となる。例えば,前記中間調変換情報を所定の計算式によって定義することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係るカラー複写機1の概略構成を示す断面模式図,図2は前記カラー複写機1における制御システムを示すブロック図,図3は階調変換情報の一例を示す図,図4は前記カラー複写機1において実行される階調変換情報設定処理を説明するための図,図5は前記階調変換情報設定処理の手順の一例を説明するフローチャートである。
本発明の実施の形態に係る前記カラー複写機1は,実際に印字された印字画像の濃度を原稿の画像の濃度に適合させるべく中間調処理で用いられるディザパターン等を再設定する従来装置とは異なり,光源による所定の像担持体への露光を制御する光源制御手段において行われる4ビット16階調の画像データの6ビット64階調の画像データへの変換処理時に用いられる階調変換情報を再設定することにより該光源制御手段よりも後段における階調誤差を皆無とし得る構成に特徴を有している。なお,前記カラー複写機1は本発明が適用される画像形成装置の単なる一例であって,他の例として,例えばモノクロ複写機,プリンタ装置,ファクシミリ装置,或いはこれらの各機能を有する複合機が該当する。
【0009】
まず,図1を用いて,本発明の実施の形態に係るカラー複写機1(画像形成装置の一例)の概略構成について説明する。
図1に示すように,前記カラー複写機1は,該カラー複写機1の上面に配置された原稿台111及び不図示の操作パネルと,前記原稿台111の上面に該原稿台111に対して開閉可能な状態で支持された両面自動原稿送り装置(RADF)112と,画像読取部110と,画像形成部210とを備えて概略構成されている。
前記両面自動原稿送り装置112は,原稿の一方の面が原稿台111の所定位置において画像読取部110に対向するよう原稿を搬送し,この一方の面についての画像読み取りが終了した後に,他方の面が原稿台111の所定位置において画像読取部110に対向するよう原稿を反転して原稿台111に向かって搬送することが可能である。そして,前記両面自動原稿送り装置112は,1枚の原稿について両面の画像読み取りが終了した後にこの原稿を排出し,次の原稿についての両面搬送動作を実行する。
【0010】
前記画像読取部110は,前記原稿台111上に載置された原稿,或いは前記両面自動原稿送り装置112により前記原稿台111上に搬送されてきた原稿の画像を読み取るために,前記原稿台111の下方に配置されている。前記画像読取部110は,前記原稿台111の下面に沿って平行に往復移動する原稿走査体113,114と,光学レンズ115と,光電変換素子であるCCD116とを有している。
前記第1の走査ユニット113は,原稿表面を露光する露光ランプと,原稿からの反射光像を所定の方向に向かって偏向する第1ミラーとを有し,前記原稿台111の下面に対して一定の距離を保ちながら所定の走査速度で平行に往復移動するものである。
前記第2の走査ユニット114は,前記第1の走査ユニット113の第1ミラーにより偏向された原稿からの反射光像をさらに所定の方向に向かって偏向する第2ミラー及び第3ミラーとを有し,前記第1の走査ユニット113と一定の速度関係を保って平行に往復移動するものである。
前記光学レンズ115は,前記第2の走査ユニットの第3ミラーにより偏向された原稿からの反射光像を縮小し,縮小された光像をCCD116上の所定位置に結像させるものである。
前記CCD116は,結像された光像を順次光電変換して電気信号として出力するものである。前記CCD116は,白黒画像あるいはカラー画像を読み取り,R(赤),G(緑),B(青)の各色成分に色分解したラインデータを出力することのできる3ラインのカラーCCDである。なお,このCCD116により電気信号に変換された画像データは,後述する読取処理部40(図2参照)に入力される。
【0011】
次に,前記画像形成部210について説明する。
前記画像形成部210の下方には,用紙トレイ内に積載収容されている用紙(記録媒体)Tを1枚ずつ分離して前記画像形成部210に向かって供給する給紙機構211が設けられており,該給紙機構211から1枚ずつ分離供給された用紙Tは,前記画像形成部210の手前に配置された一対のレジストローラ212によりタイミングが制御されて該画像形成部210に搬送される。前記画像形成装置210に搬送された前記用紙Tは,該画像形成部210の下方に配置された転写搬送ベルト機構213によって搬送される。前記転写搬送ベルト機構213は,駆動ローラ214と従動ローラ215との間に略平行に伸びるように張架された転写搬送ベルト216に用紙Tを静電吸着させて搬送する。
【0012】
また,画像形成部210における転写搬送ベルト216の上方には,転写搬送ベルト216に近接して,画像形成ステーションPa,Pb,Pc及びPdが,用紙搬送経路上流側から順に並設されている。
前記転写搬送ベルト216は,前記駆動ローラ214によって,図1において矢印Zで示す方向に摩擦駆動され,前述したように前記給紙機構211を通じて給送される用紙Tを担持し,該用紙Tを前記画像形成ステーションPa〜Pdへと順次搬送する。
ここで,前記画像ステーションPa〜Pd各々は,実質的に同一の構成を有しているため,前記画像ステーションPaを中心に説明し,前記画像ステーションPb〜Pdについては括弧書きで示す。前記画像ステーションPa(Pb〜Pd)は,図1に示す矢印F方向に回転駆動される感光体ドラム222a(222b〜222d)を含んでいる。
前記感光体ドラム222a(222b〜222d)の周辺には,該感光体ドラム222a(222b〜222d)を一様に帯電する帯電器223a(223b〜223d)と,前記感光体ドラム222a(222b〜222d)上に形成された静電潜像を現像する現像装置224a(224b〜224d)と,前記感光体ドラム222a(222b〜222d)上に現像されたトナー像の濃度を検出する濃度検出センサ36(37〜39)と,前記感光体ドラム222a(222b〜222d)上のトナー像を用紙Tへ転写する転写用放電器225a(225b〜225d)と,感光体ドラム222a(222b〜222d)上に残留するトナーを除去するクリーニング装置226a(226b〜226d)とが前記感光体ドラム222a(222b〜222d)の回転方向に沿って順次配置されている。
なお,前記濃度検出センサ36(37〜39)は,後述する階調変換情報設定処理(図5のフローチャート参照)において,前記感光体ドラム222a(222b〜222d)に形成されるテストパターン画像の濃度を検出する濃度検出手段の一例である。
【0013】
また,前記感光体ドラム222a(222b〜222d)の上方には,LSU(レーザースキャナユニット)32(33〜35)がそれぞれ設けられている。前記LSU32(33〜35)は,入力された画像データに基づいて不図示の半導体レーザ素子による前記感光体ドラム222a(222b〜222d)への露光を制御する光源制御手段の一例であって,該半導体レーザ素子からのレーザービームを主走査方向に偏向させるためのポリゴンミラー(偏向装置)240a(240b〜240d),該ポリゴンミラー240a(240b〜240d)により偏向されたレーザービームを感光体ドラム222a(222b〜222d)表面に結像させるためのfθレンズ241a(241b〜241d),ミラー242a(242b〜242d)及びミラー243a(243b〜243d)などを有している。
前記LSU32にはカラー原稿の黒色成分像に対応する画素信号が,LSU33にはカラー原稿のシアン色成分像に対応する画素信号が,LSU34にはカラー原稿のマゼンタ色成分像に対応する画素信号が,そして,LSU35にはカラー原稿のイエロー色成分像に対応する画素信号がそれぞれ入力される。そして,前記LSU32〜35によって前記感光体ドラム222a〜222dへのレーザービームの走査が行われることによって,色変換された画像データに対応する静電潜像が,該感光体ドラム222a〜222d上に形成される。なお,前記LSU32〜35に代えて,発光ダイオードアレイと結像レンズアレイからなるLEDヘッドを書き込み光学系として用いても良い。このLEDヘッドは,LSUに比べ,サイズも小さく,また可動部分がなく無音であるため,複数個の光書き込みユニットを必要とするタンデム方式のデジタルカラー複写機などの画像形成装置で好適に用いられる。
【0014】
また,前記現像装置224aには黒色のトナーが,前記現像装置224bにはシアン色のトナーが,前記現像装置224cにはマゼンタ色のトナーが,前記現像装置224dにはイエロー色のトナーがそれぞれ収容されており,前記感光体ドラム222a〜222d上の静電潜像は,これら各色のトナーにより現像される。これにより,前記画像形成部210にて色変換された画像データが各色のトナー像として再現される。
【0015】
前記画像形成ステーションPaと前記給紙機構211との間には,前記転写搬送ベルト216の表面を帯電させる用紙吸着用帯電器228が設けられている。これにより,前記給紙機構211から供給された用紙Tは,前記転写搬送ベルト216上に確実に吸着させた状態で前記画像形成ステーションPaから前記画像形成ステーションPdの間をずれることなく搬送される。
一方,前記画像ステーションPdと後記する定着装置217との間で前記駆動ローラ214のほぼ真上部には,前記転写搬送ベルト216に静電吸着されている用紙Tを前記転写搬送ベルト216から分離するための交流電流が印加された除電器229が設けられている。
前記除電器229により前記転写搬送ベルト216から分離された前記用紙Tの搬送経路上には,該用紙Tを一対の定着ローラ間のニップを通過させることにより,前記用紙T上に転写形成されたトナー像を該用紙T上に定着する定着装置217が設けられている。
また,前記定着装置217の後段には,前記用紙Tの搬送経路を,当該カラー複写機1の外壁に設けられた排紙トレイ220に排出する排出ローラー219が設けられた搬送経路218aと,前記用紙Tを該用紙Tの表裏面を反転させるスイッチバック搬送経路221を経て前記画像形成部210に向かって再供給する搬送経路218bと,の間で選択的に切り換える切換ゲート218が設けられている。
【0016】
このように構成された前記カラー複写機1においては,用紙トレイから送り出された用紙Tが給紙機構211の給紙搬送経路のガイド内に供給されると,その用紙Tの先端部分がセンサー(図示せず)にて検知され,このセンサから出力される検知信号に基づいて一対のレジストローラ212により一旦停止される。
そして,前記用紙Tは前記画像ステーションPa〜Pd各々とタイミングをとって図1の矢印Z方向に回転している前記転写搬送ベルト216上に送られる。このとき前記転写搬送ベルト216には前述したように前記吸着用帯電器228により所定の帯電が施されているので,前記用紙Tは,前記画像ステーションPa〜Pdを通過する間,安定して搬送供給される。
前記画像ステーションPa〜Pdにおいては,各色のトナー像がそれぞれ形成され,前記転写搬送ベルト216により静電吸着されて搬送される用紙Tの支持面上で重ね合わされる。このとき,前記画像ステーションPa〜Pd各々では,必要に応じて前記感光体ドラム222a〜222d上に形成されたトナー像の濃度が,前記濃度検出センサ36〜39によって検出される。具体的には,後述する階調変換情報設定処理(図5のフローチャート参照)において前記感光体ドラム222a〜222d上にテストパターン画像が形成されたときにその濃度が検出される。
その後,前記画像ステーションPdによる前記用紙Tへの画像の転写が完了すると,前記用紙Tは,その先端部分から順次,前記除電器229により前記転写搬送ベルト216上から剥離され,前記定着装置217へと導かれる。そして,前記定着装置217によりトナー像が定着された前記用紙Tは,前記切換ゲート218によって切り換えられた前記搬送路218a或いは218bに搬送される。
【0017】
次に,図2を用いて,前記カラー複写機1の制御システムについて説明する。
図2に示すように,前記カラー複写機1は,大別すると,前記CCD116から入力された画像データに各種の画像処理を施す読取処理部40,前記読取処理部40から出力された画像データに各種の画像処理を施す画像処理部41と,後述する階調変換情報設定処理(図5のフローチャート参照)で用いられるテストパターン画像や種々のデータを記憶するハードディスク等の記憶部43と,画像データを一時的記憶する半導体メモリ等のバッファメモリ49と,前記LSU32〜35(図1参照)の駆動を制御するLSU制御部31と,画像編集部45と,外部インターフェース(外部I/F)46と,外部画像データ入力部47と,前記各構成要素を所定のシーケンスプログラムに基づいて統括的に制御するCPU(中央演算処理装置)44とを備えてなり,これらの各構成要素がデータバス48にデータ通信可能に接続されて構成されている。
前記外部インターフェース(外部I/F)46は,当該カラー複写機1に接続される通信携帯端末,デジタルカメラ,デジタルビデオカメラ等の画像入力処理装置から画像データを受け入れるための通信インターフェース手段である。また,前記外部画像データ入力部47は,当該カラー複写機1とネットワーク等を介して外部接続されたパーソナルコンピュータ等の情報処理装置或いはファクシミリ装置において作成された画像データを入力するプリンタインタフェース或いはFAXインターフェースである。
【0018】
前記読取処理部40は,前記CCD116により原稿から読み取られた画像のRGB各色のラインデータのライン画像レベルを補正するシェーディング補正部(シェーディング補正回路)40bと,前記各色のラインデータのずれを補正するラインバッファなどのライン合わせ部40cと,前記各色のラインデータの各色相(色データ)を補正するセンサ色補正部(センサ色補正回路)40dと,各画素の信号の変化にめりはりを持たせるよう補正するMTF補正部(MTF補正回路)40eと,画像の明暗を補正して視感度補正を行うγ補正部(γ補正回路)40fとを備えて構成される。
【0019】
前記画像処理部41は,モノクロコピーモード時に前記読取処理部40から入力されるカラー画像信号であるRGB信号からモノクロデータを生成するモノクロデータ生成部41aと,フルカラーコピーモード時に入力されたRGB信号を前記画像形成部210が備えるYMC(イエロー,マゼンタ,シアン)の各色に対応する画像形成ステーションPb〜Pd(図1参照)に適用し得るYMC信号に変換すると共にクロック変換する入力処理部41bと,領域分離部41cと,黒生成部41dと,色補正部(色補正回路)41eと,ズーム処理部(ズーム処理回路)41fと,空間フイルタ41gと,中間調処理部41h(中間調処理手段の一例)と,前記各構成要素における各処理を実行するDSP等の半導体プロセッサ(不図示)とを少なくとも有する。
【0020】
ここで,前記画像処理部41で前記半導体プロセッサによって行われる画像処理手順について簡単に説明する。
前記入力処理部41bにおいてRGB信号からYMC信号に変換された画像データは,その後,前記領域分離部41cに転送される。ここに,前記画像データは,1画素が8ビット256階調(第3の階調数の一例)で表現されたものである。
前記領域分離部41cでは,前記画像データに含まれる画像の種類(例えば,文字,網点写真,画紙写真等)が判断された後に,前記画像データが文字領域(テキスト領域),網点写真領域,印画紙写真領域等の画像の種類毎の領域に分離される。続いて,前記各領域に分離された画像データは,前記黒生成部41dで下地色除去処理が行われる。このとき,画像データのYMC信号に基づいてK(ブラック)信号が生成される(黒生成処理)。
【0021】
このようにして生成されたYMCK各色の画像データは,後段に設けられた前記色補正部(色補正回路)41eに転送される。この色補正部41eでは,YMCK各色の画像データの印字濃度を整合させるように色補正処理が行われる。その後,前記色補正部41eで補正された画像データは,後段のズーム処理部(ズーム処理回路)41fで利用者により予め設定された倍率に応じた倍率変換処理がなされ,続いて前記空間フイルタ41gによるフィルタ処理がなされる。
そして,前記空間フィルタ41gによるフィルタ処理がなされた画像データには,前記中間調処理部41hにおいて既定のディザパターンに基づくディザ処理が施される。このディザ処理では,1画素が8ビット256階調で表現された画像データ(以下,「8ビット画像データ」という)が,1ドットが4ビット16階調(第1の階調数の一例)で表現された16(4×4のマトリクス)のドットの配列で巨視的に1画素が256階調で表現される画像データ(以下,「4ビット画像データ」という)に変換される。換言すれば,前記4ビット画像データは,前記8ビット画像データにおける1画素を16のドットに細分化して,その1ドットを1画素として表現するものである。なお,前記中間調処理部41hによって実行される中間調処理としては,前記ディザ処理の他に,例えばハーフトーン処理が一例に考えられる。
【0022】
前記画像処理部41において上述の各構成部により各種処理がなされたYMCK各色の4ビット画像データは,前記画像処理部41からシリアル出力されて前記記憶部43に格納される。そして,前記記憶部43に格納された4ビット画像データが後述するLSU制御部31に出力されるタイミングになると,前記バッファメモリ49に記憶された4ビット画像データは,記憶された順に読み出されて,前記バッファメモリ49に一旦記憶され,それぞれ出力タイミングがずらされて出力される。ここに,前記中間調処理後の画像データを前記LSU制御部31に出力するときの前記半導体プロセッサが中間調画像出力手段に相当する。
このように,前記カラー複写機1では,前記画像処理部41において前記8ビット画像データが前記4ビット画像データに変換されてその後の処理が行われるため,前記画像処理部41よりも後段に設けられた前記バッファメモリ49や画像データの伝送ライン等は,4ビットの画像データを処理し得るものであればよいため,構成が簡素化され処理速度の向上が図られる。
【0023】
前記4ビット画像データが入力された前記LSU制御部31では,該4ビット画像データが,予め設定された階調変換情報に基づいて,1ドットが6ビット64階調(第2の階調数の一例)で表現された16(4×4のマトリクス)のドットの配列で巨視的に1画素を256階調で表現する画像データ(以下,「6ビット画像データ」という)に変換される。このように前記LSU制御部31では,1ドットで表現し得る階調数が増加される。なお,前記階調変換情報は,図3に示すように,前記LSU制御部31に入力される16階調の入力値Dと該入力値Dに対応して出力するべき64階調の出力値Gとの変換関係を定義するものであって,前記LSU制御部31に設けられた不図示の記憶メモリに記憶されている。
そして,前記LSU制御部31で変換されたYMCK各色の前記6ビット画像データ各々が,該LSU制御部31によって前記LSU32〜35各々に出力されることにより,該LSU32〜35による前記感光体ドラム222a〜222dへのレーザービームの走査が行われる。
【0024】
ここで,図4を用いて,前記記憶部43に記憶されたテストパターン画像について説明する。
前記テストパターン画像は,後述する階調変換情報設定処理に用いられるものであって,4ビットで表現し得る16階調のテストパッチ(パッチNo1〜16)がYMCK各色毎に一連に配列されたものである。前記テストパッチのパッチNo1〜16各々は,16階調の階調値0〜15各々に対応したものであって,各々の階調値によって塗りつぶされた矩形状のベタ画像である。実際に出力された前記パッチNo1〜16のテストパッチの濃度が,256階調で表現される目標値Eに適合している場合には,前記カラー複写機1において実際に印字出力された印字画像の濃度は,原稿の画像の印字濃度に適合する。
【0025】
しかし,前述したように,前記LSU制御部31よりも後段に配置されたLSU32〜35や感光体ドラム222a〜222d,現像装置224a〜224dなどの各特性が経時的或いは温度変化によって変化した場合には,実際に印字出力された印字画像の濃度が,原稿の画像の印字濃度に適合しなくなる。
そのため,前記カラー複写機1では,実際に印字出力された印字画像の濃度を,原稿の画像の印字濃度に適合させるべく,所定のタイミングで前記階調変換情報を再設定する階調変換情報設定処理が実行される。
【0026】
以下,図4を参照しながら図5のフローチャートを用いて,当該カラー複写機1において実行される階調変換情報設定処理の手順の一例について説明する。図中のS1,S2…は処理手順(ステップ)番号を示し,処理はステップS1より開始される。なお,ここでは説明を簡易化するため,Y(イエロー)色画像データの階調変換処理に用いられるY色階調変換情報の設定処理について説明し,他色については前記Y色画像データについての処理手順と同じであるため説明を省略する。
まず,ステップS1,S2では,前記階調変換情報の設定を実行する所定のタイミングであるかどうかが判断される。この判断は,前記カラー複写機1のCPU44により行われる判断処理であって,具体的には,前記ステップS1では周囲の温度が10℃以上変化したか否かが判断され,前記ステップS2では累積印字枚数が2000枚以上であるか否かが判断される。ここで,前記ステップS1の判断は周囲の温度を検出する不図示の温度センサの検出値,前記ステップS2の判断は印字枚数のカウンタ(不図示)のカウント値に基づいて行われる。
なお,前記温度変化や前記累積印字枚数は,前記カラー複写機1において入出力画像に濃度誤差が生じている可能性があることを検知するための指標の一例に過ぎない。例えば,前記カラー複写機1の主電源が投入されたこと,或いは前記感光体ドラム222dが交換されたことが検知された場合に,前記所定のタイミングであると判断してもよい。この場合には,電源スイッチ(不図示)からの出力信号,前記感光体ドラム222d近傍に設けられた該感光体ドラム222dの着脱を検知するための着脱センサ(不図示)の出力信号等に基づいて判断処理が行われる。
【0027】
前記ステップS1或いはS2で前記所定のタイミングであると判断されると(S1のYes側或いはS2のYes側),続いて,前記CPU44によって,1ドットが4ビット16階調で表現された前記テストパターン画像が前記記憶部43から読み出されて,前記LSU制御部31に出力される(S3)。即ち,前記テストパターン画像は,前記画像処理部41を経由することなく,前記LSU制御部31に出力される。ここに,かかる出力処理を実行するときの前記CPU44がテストパターン出力手段に相当する。なお,前記出力処理は前記LSU制御部31によって実行されてもかまわない。この場合,前記LSU制御部31がテストパターン出力手段に相当する。
【0028】
そして,前記LSU制御部31では,1ドットが4ビット16階調で表現された前記テストパターン画像が,予め設定された階調変換情報(図3参照)に基づいて,1ドットが6ビット64階調で表現される6ビット画像データに変換される(S4)。ここに,かかる変換処理を実行するときの前記LSU制御部31が階調変換手段に相当する。
続くステップS5では,前記LSU制御部31によって変換された前記テストパターン画像の前記6ビット画像データが,該LSU制御部31から前記LSU35に出力される。ここに,かかる出力処理を実行するときの前記LSU制御部31が変換画像データ出力手段に相当する。これにより,前記LSU35による前記感光体ドラム222dへのレーザビームの露光走査が開始され,該感光体ドラム222dに前記6ビット画像データに基づく前記テストパターン画像の静電潜像が形成される。
【0029】
前記現像装置224dによって前記テストパターン画像が前記感光体ドラム222d上に現像されると,そのテストパターン画像の濃度が前記濃度検出センサ39によって検出される(S6)。なお,前記濃度検出センサ39によって検出された濃度は,前記LSU制御部31に入力される。ここでは,図4(a)及び図4(b)に示すように,前記濃度検出センサ39によって,前記目標値Eとは異なる検出値Fが検出されたものとする。
【0030】
続いて,ステップS7では,前記LSU制御部31によって,前記濃度検出センサ39により検知された検知値Fに基づいて,図4(a),(b)に示す設定値Hが設定され,前記Y色画像データの階調変換処理に用いられる新たなY色の階調変換情報として,前記LSU制御部31に設けられた不図示の記憶メモリに記憶された階調変換情報が更新される。ここに,かかる設定処理を実行するときの前記LSU制御部31が階調変換情報設定手段に相当する。なお,当該一連の階調変換情報設定処理(S1〜7)において前記CPU44及び前記LSU制御部31により実行される前記各処理は,該CPU44及び該LSU制御部31のいずれで実行されてもかまわない。
【0031】
ここで,前記ステップS7における階調変換情報設定手法の一例について説明する。
例えば,図4(a)に示すように,16階調表現時に階調値が4である前記パッチNo5のテストパッチが,該16階調表現時の階調値4に対応する64階調表現時の階調値30に変換されて前記LSU22に出力されたにもかかわらず,実際に前記濃度検出センサ39によって検出された検出値Fは,目標値Eの階調値68とは異なる階調値29となっている。
一方,図4(a)に示すように,16階調表現時に階調値が7である前記パッチNo8のテストパッチが,該16階調表現時の階調値7に対応する64階調表現時の階調値44に変換されて前記LSU22に出力されたにもかかわらず,実際に前記濃度検出センサ39によって検出された検出値Fは,目標値Eの階調値119とは異なる階調値68となっている。
これにより,16階調表現における階調値4を64階調表現における階調値44に変換すれば,前記パッチNo4のテストパッチの実際の濃度の検出値Fを階調値68とすることができることがわかる。したがって,前記パッチNo5,即ち16階調表現における階調値4に対応する64階調表現における設定値Hとして階調値44が設定される。なお,前記パッチNo6,11(16階調表現における階調値5,10)についても同様のことが言える。
一方,16階調表現における他の階調値に対応する64階調表現における設定値Hは,既定の換算係数から求められる濃度差を前記出力値Gに加減算することによって,或いは,濃度差と補正量との対応関係を示す既定の補正テーブルに基づいて設定される。
【0032】
以上のように,前記カラー複写機1では,前記中間調処理部41hで用いられるディザパターンを変更する従来装置とは異なり,前記所定のタイミングで前記階調変換情報を変更することによって前記LSU制御部31よりも後段における階調誤差の発生を防止することができる。したがって,例えば大量部数の印字処理の実行中に前記変換テーブルの再設定が実行されたとしても,その連続する印字処理において得られる前記階調変換情報の再設定前の印字画像と前記階調変換情報の再設定後の印字画像との間に大きな階調差が生じない。
【0033】
さらに,前記カラー複写機1では,前記階調変換情報設定処理が実行されることにより,前記LSU制御部31よりも後段における階調誤差の発生が防止されるため,その後,前記中間調処理部41hで用いられるディザパターンを理論的に定義することが可能となる。例えば,所定の計算式によって前記ディザパターンを設定,変更することができる。
なお,前記ディザパターンの設定,変更時には,実際の印字画像における1画素毎の階調表現のザラツキを防止して階調精度を向上させるため,近接するドット間の階調差を極力小さくするように該ディザパターンを設定することが望ましい。具体的には,前記ディザパターンを複数設定しておき,表現するべき階調数の大小などに応じて,異なるディザパターンを選定して中間調処理を実行することが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態に係るカラー複写機1の概略構成を示す断面模式図。
【図2】本発明の実施の形態に係るカラー複写機1における制御システムを示すブロック図。
【図3】階調変換情報の一例を示す図。
【図4】本発明の実施の形態に係るカラー複写機1において実行される階調変換情報設定処理を説明するための図。
【図5】本発明の実施の形態に係るカラー複写機1において実行される階調変換情報設定処理の手順の一例を説明するフローチャート。
【符号の説明】
【0035】
1…カラー複写機
31…LSU制御部
32〜35…LSU
36〜39…濃度検出センサ
41h…中間調処理部
44…CPU
222a〜222d…感光体ドラム
224a〜224d…現像装置
S1,S2,,,…処理手順(ステップ)番号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された画像データに基づいてレーザ光源による所定の像担持体への露光を制御する光源制御手段を備えてなる画像形成装置であって,
1画素が第1の階調数で表現された画像データを,予め定められた階調変換情報に基づいて,1画素が前記第1の階調数よりも多い第2の階調数で表現された画像データに変換する階調変換手段と,
前記階調変換手段によって変換された画像データを前記光源制御手段に出力する変換画像データ出力手段と,
前記第1の階調数で表現されたテストパターン画像データを前記階調変換手段に出力するテストパターン出力手段と,
前記テストパターン出力手段により出力されたテストパターン画像データに基づいて所定の像担持体上に形成されたテストパターン画像の濃度を検出する濃度検出手段と,
前記濃度検出手段により検出された前記テストパターン画像の濃度に基づいて前記階調変換情報を設定する階調変換情報設定手段と,
を備えてなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記階調変換手段,前記変換画像データ出力手段,前記テストパターン出力手段及び前記変換情報設定手段のいずれか一又は複数が,前記光源制御手段に含まれてなる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
1画素が前記第1の階調数よりも多い第3の階調数で表現された画像データを,前記第3の階調数で表現された1画素を前記第1の階調数で表現された複数画素により表現する画像データに変換する中間調処理手段と,
前記中間調処理手段により変換された画像データを前記階調変換手段に出力する中間調画像出力手段と,
を更に備えてなる請求項1又は2のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−79222(P2007−79222A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−268250(P2005−268250)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】