説明

画像形成装置

【課題】画像を用紙に転写する前に、中間転写体上に画像を1次転写して、さらに2次転写ローラにて用紙上に画像を転写する画像形成装置において、2次転写ローラへのトナーの付着を効果的に防止する。
【解決手段】中間転写ベルト21の回転方向において、2次転写部4の上流にチャージャ22を設ける。チャージャ22には、正極性の電圧を印加する第1電源E1及び負極性の電圧を印加する第2電源E2が接続されており、印刷実行中には第1電源E1から、それ以外においては第2電源E2から、チャージャ22へ電圧が印加されるように、スイッチSWが切り換わるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中間転写体に一旦画像を転写して、最終的に用紙等の記録媒体上に画像を転写する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、現像装置によって帯電したトナーからなる画像を形成し、これを1次転写部にて中間転写体上に1次転写して、中間転写体上の画像を2次転写部にて用紙上に2次転写する画像形成装置が提案されている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開平10−274892号公報(図1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
中間転写体上に付着したトナーは、2次転写部の部材(例えばローラ等)に付着することがある。2次転写部の部材へのトナーの付着は、用紙の汚れを引き起こす。従来の技術では、この汚れを充分に防止することができておらず、改良の余地がある。
【0004】
本発明は、このような従来の技術の問題点に鑑みたものであり、画像形成装置において、2次転写部へのトナー付着を効果的に防止することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1の画像形成装置は、トナーを含む現像剤にて記録媒体上に画像を形成する画像形成装置であって、上記現像剤によりトナー像を作成する画像形成ユニットと、上記トナー像を保持可能な中間転写体と、上記トナー像を上記画像形成ユニットから上記中間転写体に転写する1次転写部と、上記トナー像中のトナーの帯電極性とは逆の極性のバイアスによって、上記トナー像を上記中間転写体から上記記録媒体上に転写する2次転写部と、上記画像形成ユニットと上記2次転写部との間で、上記中間転写体に電界を付与する帯電装置と、上記帯電装置により印加される電界の極性を切り換える切換部と、上記切換部によって、画像形成時は上記電界をトナーの帯電極性と同極性とし、非画像形成時は上記電界をトナーと逆極性とすることができる帯電制御部と、を備える。
【0006】
この画像形成装置は、画像形成時には、中間転写体上のトナーに、トナーと同極性の電界を印加することができるので、トナー像中のトナーの帯電極性を安定化させ、2次転写効率を向上させることができる。さらに、非画像形成時には、中間転写体上のトナーに、逆極性の電界を印加することができるので、非画像形成時の中間転写体上のトナーが2次転写部に付着することを防ぐことができる。
【0007】
また、請求項2に記載するように、請求項1の画像形成装置は、非画像形成時に、上記画像形成ユニットによって上記中間転写体上にテスト画像を形成し、かつ、上記テスト画像を用いて、上記画像形成ユニットの動作条件を設定するキャリブレーションを行うキャリブレーション実行部をさらに備えていてもよい。この画像形成装置において、上記帯電制御部は、上記キャリブレーション実行中は、上記電界を上記テスト画像中のトナーと逆の極性とするようになっていることが好ましい。
【0008】
この画像形成装置によれば、テスト画像中のトナーが2次転写部に付着することを、効果的に防止することができる。
【0009】
また、請求項3に記載するように、請求項1又は2の画像形成装置において、上記画像形成ユニットは、感光体と、上記感光体を帯電させる帯電部と、帯電した上記感光体に光を照射して静電潜像を形成する露光部と、キャリア液及びトナーを含む現像剤にて上記静電潜像を現像する現像装置と、を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の画像形成装置は、画像形成時には、中間転写体上のトナーに、トナーと同極性の電界を印加することができるので、トナー像中のトナーの帯電極性を安定化させ、2次転写効率を向上させることができる。さらに、非画像形成時には、中間転写体上のトナーに、逆極性の電界を印加することができるので、非画像形成時の中間転写体上のトナーが2次転写部に付着することを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面に基づいて、本発明の画像形成装置の実施の一形態について説明する。
【0012】
なお、説明の便宜上、図面では部材の位置及び大きさ等は適宜強調して描かれている。
【0013】
また、以下の実施形態は、本発明の画像形成装置の一例として、カラープリンタを挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明の画像形成装置は画像形成部を備えていればよく、コピー機、ファクシミリ機としての機能を有する所謂複合機(MFP、Multi Function Peripheral)やコピー機能のみを備えたものでもよい。以下に説明するこれらの部材の具体的な構成や、その他の部材等については、適宜変更可能である。
【0014】
<1.プリンタ1>
まず、図1を参照してプリンタ1全体の構成について説明する。図1はプリンタ1の要部構成を示す正面図である。
【0015】
プリンタ1は、カラー画像を形成する画像形成部2、用紙Pを収容する用紙収容部3、画像形成部2が形成した画像を用紙P上へ転写する2次転写部4、用紙P上に画像を定着させる定着部5、画像が定着した後の用紙Pを受け取る用紙排出トレイ6、及び、用紙収容部3から用紙排出トレイ6まで用紙Pを搬送する用紙搬送部7等を備える。
【0016】
画像形成部2は、無端状、すなわち環状であって一方向に回転可能な中間転写体としての中間転写ベルト21を備え、さらに、中間転写ベルト2の回転方向に沿って、それぞれイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の4色の現像剤によってトナー像を形成し、上記中間転写ベルト21の表面(中間転写ベルト21の環形状の外側)に1次転写する画像形成ユニットFY,FM,FC,及びFB、中間転写ベルト21に電界を印加する帯電装置としてのチャージャ22、並びに、上述の2次転写部4による転写後に中間転写ベルト21から現像剤を除去するベルトクリーニング部23等を備える。
【0017】
より具体的には、画像形成部2は、中間転写ベルト21の裏側(中間転写ベルト21の環形状の内側)に、中間転写ベルト21に接するよう、ベルト駆動ローラ211、第1従動ローラ212、第2従動ローラ213を、中間転写ベルト21の回転方向に沿ってこの順に備える。ベルト駆動ローラ211は回転することで転写ベルト21を時計回りに回転移動させ、第1及び第2従動ローラ212及び213は中間転写ベルト21の回転に従動して回転する。ベルト駆動ローラ211は、中間転写ベルト21を挟んで上述の2次転写部4の2次転写ローラ41と対向するように設けられており、2次転写ローラ41と共に2次転写部4を構成している。
【0018】
中間転写ベルト21においては、電気抵抗が10Ω程度又はそれ以下の材料が好適に用いられる。その結果、中間転写ベルト21の体積抵抗は10Ω・cm程度又はそれ以下となる。このように低抵抗の中間転写ベルトを用いることが好ましいのは、中間転写ベルトの抵抗が低い方が、転写効率が良いためである。
【0019】
特に、本実施形態のように湿式現像方式を採用した場合には、低抵抗の中間転写ベルト21を用いることが可能となる。一般的に、乾式現像方式の場合は、画像域と非画像域における感光体と中間転写ベルトとの間、あるいは、中間転写ベルトと2次転写ローラとの間で、トナーの抵抗による抵抗差が大きくなる。それゆえ、中間転写ベルトの抵抗が低すぎると、転写電流が非画像域(中間転写ベルト上でトナー像の載っていない領域)に多く流れ込むことにより、画像域のトナーに関わる電流値が不足し、その結果、転写性が悪化する傾向にある。
【0020】
これに対して、湿式の場合は、非画像域において、感光体と中間転写ベルトとの間、中間転写ベルトと用紙との間に、高抵抗のキャリア液が存在するので、乾式のように非画像域への転写電流の大量の流れ込みが起こりにくい。なお、抵抗値は中間転写ベルトの基材の材質だけでなく、各種添加物を加えることによって、調整される。
【0021】
画像形成ユニットFY,FM,FC,及びFBは、第2従動ローラ213からベルト駆動ローラ211に向かってこの順に配される。画像形成ユニットの配置順序はこれに限定されるものではないが、各色の混色による完成画像への影響を配慮すると、この配置が好ましい。画像形成ユニットの詳細については後述する。
【0022】
チャージャ22は、中間転写ベルト21に電界を印加する帯電装置の一例であり、中間転写ベルト21の移動方向においてブラックの画像形成ユニットFBの下流、かつ2次転写部4の上流で、中間転写ベルト21の表面に対向するように配置される。チャージャ22は、中間転写ベルト21には接触しないように配置される。チャージャ22には、帯電方式としてコロトロン方式が採用されている。すなわち、チャージャ22は、タングステンワイヤに金メッキを施したコロナワイヤ22aを備える。なお、チャージャ22には、コロナワイヤ22aに代えて、針電極等を用いてもよい。
【0023】
コロナワイヤ22aには、スイッチ(切換部)SWを介して第1電源E1及び第2電源E2が接続されている。スイッチSWは、コロナワイヤ22aに接続する電源を、第1電源E1及び第2電源E2とで切り換える。
【0024】
第1電源E1及び第2電源E2はDC電源であり、第1電源E1からは正極性の、そして第2電源E2からは負両極性の電圧が、それぞれコロナワイヤ22aに印加される。第1電源E1からコロナワイヤ22aへ印加される電圧は、好ましくは3.5kV〜8kV程度、さらに好ましくは4.0kV〜5.5kV程度であり、このときの電流値は300μA〜1000μA程度である。
【0025】
第2電源E2からコロナワイヤ22aに印加される負極性の電圧のバイアスは、第1電源E1からの正極性の電圧と同程度でなくてもよいが、第1電源E1からの印加電圧が上述の範囲内であれば、第2電源E2からの印加電圧は−5.0kV以下(例えば‐5.5kV、−6.0kV等)であってよい。
【0026】
ベルトクリーニング部23は、中間転写ベルト21の移動方向において2次転写部4の下流、かつ画像形成ユニットのうちで最上流の画像形成ユニットFYの上流に配される。より具体的には、ベルトクリーニング部23は、第2従動ローラ213の近傍で中間転写ベルト21に接触するブレード23aと、ブレード23aによって掻き取られた現像剤を収納する収納ケース23bとを備える。
【0027】
また、ブラックの画像形成ユニットFBとチャージャ22との間、中間転写ベルト21の表面に対向する位置に、画像濃度センサ24が設けられる。画像濃度センサ24は、反射型の光学センサであり、光源及び受光素子を備える(図示せず)。光源は、中間転写ベルト21の表面に光を照射し、受光素子は、中間転写ベルト21の表面からの反射光を検知して、受光量に応じた電気信号を出力する。
【0028】
なお、画像形成部2は、キャリア除去部(図示せず)をさらに備えていてもよい。キャリア除去部は、例えばブラックの画像形成ユニットFBと画像濃度センサ24との間に配置される。キャリア除去部は、中間転写ベルト21に対向するように配置されたローラを備え、このローラによって、中間転写ベルト21上の1次転写された画像から余剰のキャリアを除去することができる。
【0029】
用紙収納部3は、図1に示すように、トナー像を定着させる用紙を収納する部分であって、プリンタ1の下部に配置されている。用紙収納部3は、用紙を収納している給紙カセット31、及び給紙カセット31内の一番上の用紙Pを用紙搬送部7へ供給する給紙ローラ222等を備える。
【0030】
2次転写部4は、2次転写ローラ41及びバイアス印加部42等を備える。また、上述のベルト駆動ローラ211は、2次転写部4にも含まれる。2次転写ローラ41は、中間転写ベルト21を挟んでベルト駆動ローラ211と対向する位置に配置され、中間転写ベルト21を介してベルト駆動ローラ211に押圧されている。バイアス印加部42は、2次転写ローラ41に負極性の2次転写バイアスを印加する。本実施形態において、トナー像中のトナーは正極性に帯電しているので、この2次転写バイアスによって中間転写ベルト21から用紙Pにトナー像が転写される。
【0031】
定着部5は、用紙Pにトナー像を定着させる部分であって、用紙搬送方向において2次転写部4の下流に配置されている。定着部5は、用紙に転写されたトナー像に接する加熱ローラ51、及び加熱ローラ52に対向して配置された加圧ローラ52等を備える。
【0032】
用紙搬送部7は、複数のローラ対等を備えている。
【0033】
なお、プリンタ1は、図示しない液体現像剤循環装置をさらに備えていてもよい。液体現像剤循環装置は、中間転写ベルト21へと転写されなかった現像剤を、画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBから回収して、濃度を調整し、再び画像形成ユニット(具体的には後述の現像剤供給部94に供給することができる。
【0034】
<2.画像形成ユニット>
画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBは略同様の構成となっているので、以下では図2を参照してイエロー用の画像形成ユニットFYについて説明し、他の画像形成ユニットについては説明を省略する。図2は、画像形成ユニットFYの要部構成を示す正面図である。
【0035】
図2に示すように、画像形成ユニットFYは、回転可能な感光体ドラム10を備え、その回転方向に沿って、感光体ドラム10を一様に帯電させる帯電部11、帯電した感光体ドラム10表面に光を照射することによって静電潜像を形成する露光部12、静電潜像を現像剤で現像する現像装置9、現像された画像を中間転写ベルト21に転写する1次転写ローラ(1次転写部)13、転写後の感光体ドラム10上に残存する現像剤を除去するドラムクリーニング部14、感光体ドラム10上にキャリア液を塗布するキャリア塗布装置15、光源を備え、クリーニング後の感光体ドラム10の表面を光源からの光によって除電して次の画像形成に備える除電部16等を備える。
【0036】
感光体ドラム10は、その表面がアモルファスシリコン感光体で構成されたローラ状の部材であり、回転可能である。
【0037】
帯電部11は、コロナ放電によって、感光体ドラム10を帯電させることができる。
【0038】
クリーニング部14は、感光体ドラム10に接触するように配置されたクリーニングブレード141を備える。なお、上述のキャリア除去部は、クリーニング部14に組み込まれていてもよい。
【0039】
キャリア塗布装置15は塗布ローラ151を備える。キャリア塗布装置15の詳細については後述する。
【0040】
(2-1)現像装置9
現像装置9は、現像ローラ91と、供給ローラ92と、支持ローラ93と、現像剤供給部94と、現像剤除去装置96と、現像剤帯電装置97と、以上の各部材を収容する現像容器99と、を備える。
【0041】
現像ローラ91は、感光体ドラム10に接触するように配置され、回転することで現像剤を感光体ドラム10に供給する。
【0042】
供給ローラ92は、現像ローラ91に現像剤を供給するための部材であって、現像ローラ91の下部に接触するよう配される。この供給ローラ92には、ドクターブレード921が接触させられている。このドクターブレード921によって現像ローラ91に供給するために供給ローラ92上に担持されている現像剤の層厚が所定値に規制される。
【0043】
支持ローラ93は、現像剤を供給ローラ92とともに支持するための部材であって、供給ローラ92の下部に接触するように配される。
【0044】
現像剤供給部94は、供給ローラ92と支持ローラ93との接触部分付近の支持ローラ93に現像剤を供給するための部材である。現像剤供給部94には、図1に示すトナータンク217及びキャリアタンク218から、トナーとキャリアとが混合された液体現像剤が供給される。
【0045】
現像剤除去装置96は、感光体ドラム10に供給されずに現像ローラ91上に残留した現像剤を除去するための装置であって、現像剤除去ブレード961を有している。現像剤除去装置96は、この現像剤除去ブレード961によって現像ローラ91上の現像剤を掻き取る。
【0046】
現像剤帯電装置97は、現像ローラ91の近傍に配される。現像剤帯電装置97は、現像ローラ91に担持された現像剤に、現像剤中のトナーの帯電極性と同極性(つまり正極性)の電界を与える。こうすることで、現像ローラ91に担持された液体現像剤層中のトナーが現像ローラの表面側に移動し、現像効率が向上する。
【0047】
<4.制御機構>
図3を参照して、プリンタ1の制御機構について説明する。図3は、プリンタ1の要部構成を示すブロック図であり、特に、印刷の説明に要する機能部を示す図面である。図6に示すように、プリンタ1は、上述の部材に加えて、CPU(Central Processing Unit)100、RAM(Random Access Memory)101、ROM(Read Only Memory)102を、制御装置103として備える。
【0048】
制御装置103は、プリンタ1の各部の動作を制御して、印刷等の各種動作を実行させることができる。制御装置103の機能は、CPU100が、ROM102内のプログラムを読み出して実行することによって実現される。ROM102には、印刷実行プログラム102a及びキャリブレーション実行プログラム102b等のプログラムが格納される。RAM101はCPU100の作業領域として機能したり、情報を一時的に記憶したりする。制御装置103は特に、スイッチSWによるチャージャ22への印加電圧の切り換えを行う帯電制御部、及び装置のキャリブレーションを実行するキャリブレーション実行部として機能する。
【0049】
なお、制御装置103は、本実施形態のようにソフトウェアによって実現されてもよいし、制御回路等のハードウェアによって構成されてもよい。
【0050】
また、プリンタ1は、画像形成駆動部71、ベルト駆動部72、2次転写駆動部73、定着駆動部74を備える。
【0051】
画像形成駆動部71は、画像形成ユニットFY,FM,FC,及びFBを駆動し、中間転写ベルト21上にトナー像を形成する。
【0052】
ベルト駆動部72は、ベルト駆動ローラ211を回転させることで、中間転写ベルト21を回転させる。
【0053】
2次転写駆動部73は、2次転写部4を稼動させることで、2次転写を実現する。
【0054】
定着駆動部74は、定着部5の加熱ローラ51及び加圧ローラ52を稼動させ、加熱ローラ内の図示しない加熱ヒータを規定温度に制御することで、用紙P上にトナー像を定着させる。
【0055】
図3に示すように、プリンタ1内の各部は、バスで接続されており、信号のやり取りが可能である。
【0056】
<5.動作>
(5-1)印刷動作
外部PC(Personal Computer)から送られてきた画像データを、図示しない通信インターフェースによって受け取ると、プリンタ1では、制御装置103が、印刷実行プログラム102aに則って各部を制御することで、印刷動作を実行する。
【0057】
なお、印刷動作とは、図1を参照して説明した各機構が稼動することで、画像形成部2によるトナー像形成が行われ、そのトナー像が用紙上に転写、定着されて排紙トレイ6に排出されるまでの一連の動作である。
【0058】
このとき、制御装置103は、スイッチSWによって、チャージャ22と第1電源E1とを接続させる。すなわち、印刷動作実行時(画像形成時)には、チャージャ22には、正極性の電圧が印加される。この電圧印加によってコロナワイヤ22aはコロナ放電を起こすので、中間転写ベルト21上のトナー像に正極性の電界が印加される。その結果、トナー像中のトナーの帯電極性が正方向に安定し、2次転写部4にてトナー像を用紙に転写する際に良好な転写効率が得られる。
【0059】
(5-2)キャリブレーション
プリンタ1においては、電源オン後などのプリンタ1のイニシャライズ時、印刷枚数が所定値に達したとき、稼動時間が所定値に達したとき等のタイミングで、制御装置103が、キャリブレーション実行プログラム102bに則って各部を制御することで、画像のキャリブレーションを実行する。画像のキャリブレーションとは、テスト画像の画像濃度を取得して、画像濃度を適正値になるように画像形成条件を補正したり、各色に対応した画像形成ユニットが形成するトナー像相互の位置情報を取得して、トナー像相互の位置ずれが規格値内に入るように画像形成タイミングを補正したりすることである。
【0060】
具体的には、制御装置103は、画像形成駆動部71及びベルト駆動部72を稼動させて、中間転写ベルト21上にトナーによるテスト画像を形成させる。そして、制御装置103は、画像濃度センサ24の検知結果に基づいて、上述の画像キャリブレーションを行うことができる。
【0061】
このキャリブレーション中は、制御装置103は、スイッチSWによって、チャージャ22と第2電源E2とを接続させる。よって、チャージャ22には負極性の電圧が印加される。この電圧印加によってコロナワイヤ22aはコロナ放電を起こし、中間転写ベルト21上のテスト画像に負極性の電界が印加される。その結果、テスト画像中のトナーは負極性に帯電するので、トナーが2次転写ローラ41に移動しなくなり、2次転写ローラ41の汚れが防止される。
【0062】
なお、キャリブレーション中も、印刷動作中と同様に、2次転写ローラ41には負極性の電圧が印加される。
【0063】
また、以上では、スイッチSWが切り換えられるタイミングの例として、画像間隔のキャリブレーションを例に説明したが、この他にも、画像濃度のキャリブレーション時や、紙ジャム発生後の中間転写ベルト21のクリーニング時等、用紙Pに画像を印刷するとき以外(非画像形成時)で、中間転写ベルト21上にトナーが付着するときに、スイッチSWが第2電源E2に切り換えられる。こうして、非画像形成時における2次転写ローラ41の汚れが防止される。
【0064】
比較例として、プリンタ1において、チャージャ22を設けず、2次転写部4のバイアス印加部42が、用紙Pにトナー像を2次転写するとき以外は、2次転写バイアスを逆極性に切り換えられるようになっていたとする。この場合は、2次転写ローラ41へのトナー付着は防止されるかもしれないが、2次転写ローラ41と中間転写ベルト21との間に過渡電流が瞬時に流れ、電気的なノイズ源となり得る。そのノイズによって、CPU100が機能停止する場合、さらにはCPU100が破壊される場合がある。また、ノイズを緩和するために、正逆切換時に2次転写バイアスを一旦0Vにしてから切換動作を行っても、その場合は、2次転写バイアス印加に時間がかかるため、高速システムには向いていない。
【0065】
これに対して、本実施形態のプリンタ1は、2次転写ローラ41とは異なり、中間転写ベルト21と接触しないように配されたチャージャ22のバイアスを切り換えている。よって、チャージャ22と中間転写ベルト21との間に過渡電流の発生が起きず、上述の比較例のような問題は起こりにくい。
【0066】
特に、湿式の画像形成装置においては、中間転写ベルトの電気抵抗値が10Ω以下レベルとされ、乾式の中間転写ベルトと比べて小さいので、過渡電流の問題が大きくなる。これに対して、プリンタ1では、このような中間転写ベルトを用いつつ、過渡電流の発生を避けることができる。
【0067】
〔2〕その他の実施形態
(a)プリンタ1において、画像形成ユニットによって形成されたトナー像中のトナーが負極性に帯電していれば、印刷時には、スイッチSWによって第2電圧E2とチャージャ22とが接続され、それ以外のときには、第1電圧E1とチャージャ22とが接続されるように、スイッチSW及び制御装置103が設定されていればよい。
【0068】
(b)プリンタ1では、湿式の画像形成方式が採用されているが、本発明は、固体のキャリアを用いる乾式の画像形成装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施の一形態に係るプリンタ1の要部構成を示す正面図である。
【図2】プリンタ1における画像形成ユニットの要部構成を示す正面図である。
【図3】プリンタ1の要部構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0070】
1 プリンタ(画像形成装置)
2 画像形成部
21 中間転写ベルト(中間転写体)
22 チャージャ(帯電装置)
E1 第1電源
E2 第2電源
SW スイッチ(切換部)
4 2次転写部
9 現像装置
91 現像ローラ
10 感光体ドラム
11 帯電部
103 制御装置(帯電制御部)
FY、FM、FC、FK 画像形成ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを含む現像剤にて記録媒体上に画像を形成する画像形成装置であって、
上記現像剤によりトナー像を作成する画像形成ユニットと、
上記トナー像を保持可能な中間転写体と、
上記トナー像を上記画像形成ユニットから上記中間転写体に転写する1次転写部と、
上記トナー像中のトナーの帯電極性とは逆の極性のバイアスによって、上記トナー像を上記中間転写体から上記記録媒体上に転写する2次転写部と、
上記画像形成ユニットと上記2次転写部との間で、上記中間転写体に電界を付与する帯電装置と、
上記帯電装置により印加される電界の極性を切り換える切換部と、
上記切換部によって、画像形成時は上記電界をトナーの帯電極性と同極性とし、非画像形成時は上記電界をトナーと逆極性とすることができる帯電制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
非画像形成時に、上記画像形成ユニットによって上記中間転写体上にテスト画像を形成し、かつ、上記テスト画像を用いて、上記画像形成ユニットの動作条件を設定するキャリブレーションを行うキャリブレーション実行部をさらに備え、
上記帯電制御部は、上記キャリブレーション実行中は、上記電界を上記テスト画像中のトナーと逆の極性とするようになっている、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
上記画像形成ユニットは、
感光体と、
上記感光体を帯電させる帯電部と、
帯電した上記感光体に光を照射して静電潜像を形成する露光部と、
キャリア液及びトナーを含む現像剤にて上記静電潜像を現像する現像装置と、を備える、
請求項1又は2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−14995(P2010−14995A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175213(P2008−175213)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】