説明

画像形成装置

【課題】現像剤担持体と像担持体との間のギャップが変動することなく、液冷装置の受熱部を現像ユニットの冷却面に密着させることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成動作により温度が上昇する温度上昇部70と、温度上昇部70の冷却面に接触するように配設される受熱部2、冷却液の熱を放出させる放熱手段5、冷却液を受熱部2と放熱手段5との間で循環させるための循環パイプ4、及び、循環パイプ4内の冷却液を搬送するための搬送手段1、を有する液冷装置10と、を備えた画像形成装置において、温度上昇部70に受熱部2を前記冷却面に向かって付勢する付勢手段80を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、装置内に設けられた書込ユニット、定着ユニット及び現像ユニットなどのユニットが発熱し、装置内を温度上昇させることが知られている。
【0003】
例えば、現像ユニットにおいては、現像ユニット内の現像剤を攪拌搬送する現像剤攪拌搬送部材を駆動した際に、現像剤攪拌搬送部材と現像剤との摺擦による摩擦熱や、現像剤同士の摺擦による摩擦熱により装置内を温度上昇させる。また、現像剤を現像領域に搬送する前に現像剤担持体上に担持されている現像剤の層厚を規制する現像剤規制部材と現像剤との摺擦による摩擦熱や、現像剤規制部材による規制の際の現像剤同士の摺擦による摩擦熱により装置内を温度上昇させる。
【0004】
温度上昇によりトナーが溶融して現像剤規制部材や現像剤担持体、像担持体などに固着し、画像にスジ状の異常画像などが生じるおそれがある。さらに、トナーが溶融まで至らなくても、温度上昇したトナーが圧力や摩擦などのストレスを受けることで、トナー表面の外添剤が内部に埋没あるいは表面から離脱し、キャリア表面にトナー成分が固着してしまうなどの不具合が生じる。この不具合により、長期的には現像能力に安定性を欠いてしまう虞がある。特に、近年、定着エネルギーを小さくするために溶融温度の低いトナーを用いた場合は、トナーの固着による異常画像などが生じやすい。
【0005】
そのため、従来から空冷ファンで取り込んだ外気をダクトで現像ユニットの周辺に搬送し、気流を発生させ現像ユニットを空冷して、現像ユニットの温度が過度に上昇するのを抑える画像形成装置が知られている。しかし、近年、画像形成装置の小型化のため、装置内が高密度化して現像ユニットの周囲に空間的余裕がなくなってきている。このため、現像ユニット周辺に空冷ファンの気流を搬送するためのダクトを設置するスペースの確保が難しくなっており、現像ユニットを強制空冷することが困難となっている。
【0006】
特許文献1には、液体を循環させて現像ユニットを冷却する液冷方式を用いた画像形成装置が記載されている。液冷装置は、現像ユニット壁面に接触して冷却液が現像ユニットの熱を受ける受熱部と、冷却液の熱を放熱するための放熱手段と、冷却液が受熱部と放熱手段とを循環するように配管された循環パイプと、循環パイプ内の冷却液を搬送するための搬送手段とを備えている。液冷装置は、空冷装置よりも効率良く冷却できるため、現像ユニットを効率よく冷却することができる。また、冷却液を循環させるための循環パイプは、ダクトよりも小さいため、現像ユニットの周囲の空間が狭くても、現像ユニットの周囲に循環パイプを配置することができる。よって、装置内が高密度化しても現像ユニットを冷却することができる。
【0007】
また、上記特許文献1に記載の画像形成装置においては、現像ユニットを画像形成装置から取り外す際に受熱部を現像ユニットから離間させ、現像ユニットを画像形成装置本体に装着する際に画像形成装置本体に設けられた付勢手段によって受熱部を現像ユニット側へ付勢し、受熱部と現像ユニットとを密着させている。画像形成装置本体に対して現像ユニットを装着したときに、付勢手段によって受熱部を現像ユニット側へ付勢し受熱部と現像ユニットとを密着させることで、現像ユニットから受熱部に熱が効率良く伝達され現像ユニットの効率良く冷却することができる。また、付勢手段による受熱部の付勢を解除することで現像装置から受熱部を離間させることができ、画像形成装置本体に対して現像ユニットを着脱する際に現像ユニットと受熱部とを離間させることで、現像ユニットの着脱を容易に行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、画像形成装置本体に設けられた付勢手段によって受熱部を現像ユニット側へ付勢し受熱部と現像ユニットとを密着させると、付勢手段の付勢力によって画像形成装置内で現像ユニットが変位して現像剤担持体と像担持体との間のギャップが変動する虞がある。現像剤担持体と像担持体とのギャップは高精度(±0.03[mm])に管理することが望ましく、現像剤担持体と像担持体との間のギャップが変動することで安定した画像が得られなくなるといった問題が生じる。
【0009】
現像剤担持体と像担持体との間のギャップが画質の良否に大きな影響を及ぼすため、画像形成装置本体に位置決め手段を設けて、現像ユニットを像担持体に対して精度よく位置決めして画像形成装置本体に取り付けることが考えられる。しかしながら、付勢手段の付勢力で受熱部が現像ユニットを付勢すると現像ユニットに受熱部からの付勢力がかかり、その現像ユニットにかかった付勢力が位置決め手段に作用する。このように前記付勢力が位置決め手段に作用すると位置決め手段が変形する虞がある。位置決め手段が変形してしまうと現像ユニットを像担持体に対して精度良く位置決めできなくなり、現像剤担持体と像担持体との間のギャップが変動してしまう。
【0010】
現像ユニット以外の画像形成装置本体内に設けられたユニット、例えば、書込ユニットについても、像担持体に対する位置決め精度が画質の良否に大きく影響する。また、中間転写ベルトのクリーニングユニットにおいても、中間転写ベルトの表面のクリーニングを行うクリーニングブレードと中間転写ベルトとの距離に変動があると、クリーニングブレードによる中間転写ベルトのクリーニングが機能を満たさなくなってしまう。例えば、規定値よりも前記距離が遠ざかると中間転写ベルト表面上のトナーなどがクリーニングブレードによって掻き取れない状況がおき、中間転写ベルトの表面が汚れたまま次の転写が行われることになる。そのため、画像が汚れたり、前記表面が汚れたままの状態が連続すると粉塵が詰まり機械停止を引き起こしたりする可能性がある。また、逆に前記距離が近づいてしまうとクリーニングブレードが捲くれてしまい、クリーニングブレードの破損または中間転写ベルトの破損を引き起こす可能性がある。
【0011】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、温度上昇部の位置変動を抑えつつ、液冷装置の受熱部を温度上昇部の冷却面に密着させることができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、画像形成動作により温度が上昇する温度上昇部と、該温度上昇部の冷却面に接触するように配設される受熱部、冷却液の熱を放出させる放熱手段、該冷却液を該受熱部と該放熱手段との間で循環させるための循環パイプ、及び、該循環パイプ内の冷却液を搬送するための搬送手段を有する液冷装置と、を備えた画像形成装置において、前記温度上昇部に前記受熱部を前記冷却面に向かって付勢する付勢手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記受熱部が、上記冷却面に近づく方向と前記冷却面から離れる方向とに移動可能に設けられていることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の画像形成装置において、上記冷却面に近づく方向と上記冷却面から離れる方向とに移動可能に上記受熱部が第一の弾性部材を介して装置本体に取り付けられていることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の画像形成装置において、上記第一の弾性部材がゴム部材であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項3の画像形成装置において、上記第一の弾性部材がバネ部材であることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1、2、3、4または5の画像形成装置において、上記付勢手段は、一部が上記温度上昇部に固定された第二の弾性部材からなることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6の画像形成装置において、上記付勢手段は上記第二の弾性部材に接触しつつ回転自在な球体を有しており、該付勢手段は該球体を上記受熱部に当接させて該第二の弾性部材の弾性力により上記受熱部を付勢するものであることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1、2、3、4、5、6または7の画像形成装置において、上記付勢手段を複数備えることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7または8の画像形成装置において、上記温度上昇部は、像担持体に対向し、現像剤を担持搬送する現像剤担持体を有し、該像担持体に形成された静電潜像に該現像剤を供給して該静電潜像を可視像化する現像ユニットであり、該現像ユニットは装置本体に対して着脱可能に設けられたことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7または8の画像形成装置において、上記温度上昇部は、像担持体と、該像担持体に対向して現像剤を担持搬送する現像剤担持体を有し、該像担持体に形成された静電潜像に該現像剤を供給して該静電潜像を可視像化する現像ユニットとを備えたプロセスカートリッジであり、該プロセスカートリッジは装置本体に対して着脱可能に設けられたことを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項9または10の画像形成装置において、上記受熱部は上記現像剤担持体の軸方向に長尺であり、前記受熱部と対向するように上記付勢手段が現像剤担持体軸方向に複数配設されており、上記温度上昇部を装置本体に装着する際に該受熱部は長尺方向先端から後端に向かって該温度上昇部内に挿入され、該受熱部の幅形状が前記長尺方向先端側から後端側に向かうにつれて段階的に大きくなっており、且つ、上記付勢手段の付勢方向の高さが前記長尺方向先端側から後端側に向かうにつれて低くなっていることを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、像担持体と、該像担持体との対向部へ現像剤を搬送する現像剤担持体を有し、装置本体に対して着脱可能に設けられた温度上昇部と、該温度上昇部の冷却面に接触するように配設される受熱部、冷却液の熱を放出させる放熱手段、該冷却液を該受熱部と該放熱手段との間で循環させるための循環パイプ、及び、該循環パイプ内の冷却液を搬送するための搬送手段を有する液冷装置と、を備えた画像形成装置において、前記受熱部に、前記温度上昇部の前記冷却面と対向する面に当接し該対向する面を付勢する付勢手段を設け、該付勢手段によって該対向する面を付勢した際に該対向する面から該付勢手段に作用する反力によって、該冷却面に該受熱部が押圧されることを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項1または12の画像形成装置において、上記受熱部が、装置本体に備えられた上記温度上昇部に対して着脱するように移動可能に設けられたことを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13の画像形成装置において、上記受熱部または上記冷却面に、該受熱部よりも硬度の低い高効率伝導部材からなる密着シートを設けたことを特徴とするものである。
【0013】
請求項1の発明においては、付勢手段を温度上昇部に設けることで、付勢手段によって受熱部を温度上昇部の冷却面に向かって付勢した際に、付勢手段にかかる受熱部からの反力が、温度上昇部の付勢手段が設けられた箇所に及ぼされる。これにより、付勢手段によって付勢された受熱部から前記冷却面が受ける付勢力は、温度上昇部の内力となるので、付勢手段によって受熱部を前記冷却面に向かって付勢したとしても、装置本体に対して温度上昇部が変位するような力が軽減される。よって、付勢手段で受熱部を前記冷却面に向かって付勢し受熱部を前記冷却面に密着させても、温度上昇部の位置変動を抑制することができる。
請求項12の発明においては、付勢手段を受熱部に設けることで、付勢手段によって受熱部の前記冷却面と対向する面を前記冷却面とは反対方向に向かって押圧した際に、付勢手段にかかる前記対向する面からの反力が受熱部の付勢手段が設けられた箇所に及ぼされ、受熱部が前記冷却面を押圧する。これにより、付勢手段によって押圧された前記対向する面からの反力によって受熱部から前記冷却面が受ける押圧力は、温度上昇部内の内力となり、装置本体に対して温度上昇部が変位するような力が軽減される。よって、温度上昇部の位置変動を抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上、本発明によれば、温度上昇部の位置変動を抑えつつ、液冷装置の受熱部を温度上昇部の冷却面に密着させることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1に係る現像装置と冷却装置とを模式的に表した模式図。
【図2】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図3】液冷方式の冷却装置の概略図。
【図4】現像装置の液冷システムの構成例を示した図。
【図5】液冷装置の第1の変形例を示す図。
【図6】液冷装置の第2の変形例を示す図。
【図7】実施例1に係る現像装置と冷却装置とを画像形成装置上方から見た模式図。
【図8】プランジャを受熱部に設けた場合の現像装置と冷却装置とを模式的に表した模式図。
【図9】プランジャの模式図。
【図10】受熱部を付勢する付勢手段として板バネを用いた場合の現像装置と冷却装置とを模式的に表した模式図。
【図11】実施例2に係る現像装置と冷却装置とを模式的に表した模式図。
【図12】実施例3に係る現像装置と冷却装置とを模式的に表した模式図。
【図13】実施例4に係る現像装置と冷却装置とを模式的に表した模式図。
【図14】実施例5に係る現像装置と冷却装置とを画像形成装置上方から見た模式図。
【図15】実施例6に係る冷却装置の画像形成装置本体内側から受熱部長手方向で見た、受熱部が画像形成装置本体の後側板に取り付けられている箇所の拡大図。
【図16】実施例7に係る中間転写ベルトクリーニングユニットと冷却装置とを模式的に表した模式図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施形態1]
以下、本発明を適用した画像形成装置の第一の実施形態について説明する。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す構成図である。この画像形成装置は、画像形成装置本体100と、この画像形成装置本体100を載置する給紙テーブル200と、画像形成装置本体100上に取り付けられたスキャナ300と、このスキャナ300上に取り付けられた原稿自動搬送装置(ADF)400とから主として構成されている。
【0017】
スキャナ300では、原稿照明用光源やミラーなどを搭載した第一走行体303と、複数の反射ミラーを搭載した第二走行体304とが往復移動するのに伴って、コンタクトガラス301上に載置された図示しない原稿の読取り走査が行われる。第二走行体304から送り出される走査光は、結像レンズ305によってその後方に設置されている読取りセンサ306の結像面に集光せしめられた後、読取りセンサ306によって画像信号として読込まれる。
【0018】
画像形成装置本体100には、潜像担持体としてイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーに対応した感光体ドラム40Y、40C、40M、40Kが設けられている。各感光体ドラム40の周囲には帯電、現像、クリーニング等の電子写真プロセスを実行する各手段が配置され、これによって各画像形成ユニット38が形成されている。画像形成ユニット38は4つ並列されており、これによってタンデム型画像形成部20が形成されている。
【0019】
各画像形成ユニット38の現像装置70においては、それぞれ上記4色のトナーを含んだ現像剤が用いられる。現像装置70は、現像剤担持体である現像スリーブ71が現像剤を担持、搬送して、感光体ドラム40との対向位置において交互電界が印加されて感光体ドラム40上の潜像を現像する。交互電界を印加することで現像剤を活性化させ、トナーの帯電量分布をより狭くすることができ、現像性を向上させることができる。また、現像装置70を感光体ドラム40と共に一体に支持し、画像形成装置本体100に対して着脱自在に形成してプロセスカートリッジとすることができる。これにより、画像形成装置本体100に対する現像装置70や感光体ドラム40など着脱を容易に行うことが可能となり、メンテナンス性を向上させることができる。このプロセスカートリッジは、この他に帯電手段、クリーニング手段を含んだものとすることもできる。
【0020】
タンデム型画像形成部20の上部には、画像情報に基づいて感光体ドラム40をレーザ光又はLED光により露光して潜像を形成する露光装置31が設けられている。
【0021】
また、タンデム型画像形成部20の感光体ドラム40と対向する下方位置には、無端状のベルト部材からなる中間転写ベルト15が配置されている。中間転写ベルト15は支持ローラ34、35及び36によって支持されている。中間転写ベルト15を介して感光体ドラム40と相対する隣接位置には、感光体ドラム40上に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト15に転写する一次転写装置62が配置されている。
【0022】
中間転写ベルト15の下方には、中間転写ベルト15表面に重ね合わせて形成されたトナー像を、給紙テーブル200の給紙カセット44から搬送されてくる転写紙に一括転写する二次転写装置19が配置されている。二次転写装置19は、二次転写ローラ23と、この二次転写ローラ23を中間転写ベルト15に接離可能に支持する接離機構(不図示)とを備えている。二次転写装置19は二次転写ローラ23を中間転写ベルト15を介して支持ローラ36に押し当て、中間転写ベルト15上のトナー像を図示省略した転写紙に転写する。以下、支持ローラ36を二次転写バックアップローラ36と呼ぶ。
【0023】
中間転写ベルト15の表面に残留するトナーを取り除くために中間転写ベルトクリーニングユニット90が設けられている。中間転写ベルトクリーニングユニット90は、例えばファーブラシやウレタンゴムで形成されたクリーニングブレードを中間転写ベルト15に当接させて、中間転写ベルト15に付着している二次転写残トナーを掻き取る。
【0024】
二次転写装置19に隣接するように定着装置60が設けられており、定着装置60は転写紙上の画像を定着する。定着装置60は、内部に熱源としてのヒータが組み込まれた加熱ローラ66と、この加熱ローラ66に押し当てられる加圧ローラ67とから主として構成されている。
【0025】
二次転写装置19及び定着装置60の下方には、転写紙を反転する反転装置28が配置されている。反転装置28は、転写紙の両面に画像を記録すべく転写紙を反転させる。
【0026】
次に、上記構成の画像形成装置の動作について説明する。
図2の原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットするか、または、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス301上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。この状態で、図示省略した起動スイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス301上へと移動した後、他方コンタクトガラス301上に原稿をセットしたときは直ちにスキャナ300が駆動し、第一走行体303および第二走行体304を走行させる。そして、第一走行体303で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光を受け、これを第二走行体304に向けて反射し、第二走行体304のミラーで反射光を更に反射して結像レンズ305を通して読取りセンサ306に入射させ、読取りセンサ306で原稿内容を読取る。
【0027】
また、装置の起動スイッチを押すことによって、図示省略した駆動モータを駆動させて支持ローラ34、35、36の1つを回転駆動し、他の2つの支持ローラを従動回転させ、これによって中間転写ベルト15を回動させる。同時に、各画像形成ユニット38において、帯電器によって感光体ドラム40を一様に帯電し、次いでスキャナ300の読取り内容に応じて露光装置31からレーザやLED等による書込み光を照射して帯電した各感光体ドラム40上に静電潜像を形成する。静電潜像が形成された感光体ドラム40に現像装置70からトナーを供給し、静電潜像を可視像化し、各感光体ドラム40上にそれぞれブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の単色画像を形成する。単色画像を順次一次転写装置62によって中間転写ベルト15上に重なるように一次転写し、中間転写ベルト15上に合成カラー画像を形成する。画像転写後の感光体ドラム40の表面は、感光体クリーニング装置によって残留トナーを除去し、図示省略した除電装置で除電して再度の画像形成に備える。
【0028】
起動スイッチを押すことにより、また給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つが選択されて回転し、ペーパーバンク43に多段に設けられた給紙カセット44の1つから転写紙を繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に挿入し、搬送ローラ47で搬送して画像形成装置本体100内の給紙路48に導き、レジストローラ49に突き当てて停止させる。次に、中間転写ベルト15上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写ベルト15と二次転写装置19との間にシートPを送り込み、二次転写装置19で転写して転写紙上にカラー画像を転写する。
【0029】
二次転写ローラ23を通過した未定着トナー像を担持した転写紙を、定着装置60へ搬送し、定着装置60で熱と圧力とを加えて転写画像を永久画像として定着する。画像定着後の転写紙は、切換爪55で切り換えて排出ローラ対56によって排出し、排紙トレイ57上にスタックするか、又は切換爪55で切り換えてシート反転装置に導入し、ここで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録し、その後、排出ローラ対56で排紙トレイ57上に排出する。このとき、画像転写後の中間転写ベルト15上に残留する残留トナーを中間転写ベルトクリーニングユニット90で除去し、タンデム型画像形成部20による再度の画像形成に備える。
【0030】
図3は、液冷方式の冷却装置10の概略図である。図3に示すように、冷却装置10は、冷却液を内包するパイプ4と、ラジエータ5a及び冷却ファン5bで構成されパイプ4内の冷却液の熱を空気中へ放出する放熱部5と、装置の温度上昇箇所8に密着させて設けられ、冷却液が温度上昇箇所8の熱を奪う受熱部2と、パイプ4内の冷却液を放熱部5と受熱部2との間で循環させるための搬送手段たるポンプ1と、パイプ4内への冷却液の注入などに用いるタンク3とを備えている。放熱部5で空気中に熱を放出され冷却されたパイプ4内の冷却液が受熱部2へ流れ、温度上昇箇所8の熱を奪って温度上昇箇所8を冷却する。受熱部2で加熱されたパイプ4内の冷却液は、放熱部5のラジエータ5aへ流れ、冷却液の熱が冷却ファン5bによって空気中へ放熱されて冷却される。そして、冷却されたパイプ4内の液体は、再びポンプ1によって受熱部2へ向けて送られる。放熱部5のラジエータ5aは、良熱伝導部材に形成された流路と、この流路と接続される良熱伝導部材によるフィンからなり、流路及びフィンを冷却ファン5bを用いて強制対流熱伝達により冷却することで流路内を流れる冷却液の温度を低下させる。冷却液を水とすると、定積熱容量が空気の3000倍以上であり、少ない流量で大きな熱量を移送できるので、強制空冷に比べ効率のよい冷却が可能である。
【0031】
図4に現像装置70の液冷システムの構成例を示す。図4において、4つの現像装置70(イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック)にそれぞれ受熱部2が密着しており、パイプ4により各受熱部2、タンク3、ポンプ1、ラジエータ5aが環状に連結され、冷却液は図中に示した矢印の方向に循環する。
【0032】
本構成例においては、全ての現像装置70を冷却する受熱部2が直列に連結されるようにパイプ4を構成しているが、例えば図5に示すように各現像装置70それぞれに対応した各受熱部2が並列に連結される構成も可能であり、連結される順序もこの限りではない。また、図6に示すようにY色の現像装置70、M色の現像装置70、ポンプ1、タンク3及びラジエータ5aをパイプ4で環状に連結しY色の現像装置70とM色の現像装置70とを冷却する第1の冷却装置10aと、C色の現像装置70、K色の現像装置70、ポンプ1、タンク3及びラジエータ5aをパイプ4で環状に連結しC色の現像装置70とK色の現像装置70とを冷却する第2の冷却装置10bと、を設けて、2つの冷却装置10を用いて、各現像装置70を冷却しても良い。
【0033】
[実施例1]
図1は、本実施例に係る画像形成装置に設けられる現像装置70や冷却装置10などを模式的に表したものである。現像装置70は樹脂製のケーシング79内に、現像剤の攪拌混合および搬送を行う攪拌搬送スクリュー73aおよび攪拌搬送スクリュー73b、現像剤を表面に担持する現像スリーブ71、及び、現像スリーブ71上の現像剤の厚さを規制するドクターブレード76を備えている。また、ドクターブレード76はアルミニウム製のヒートシンク74に固定されている。
【0034】
現像剤は攪拌搬送スクリュー73aにより紙面裏から表方向に攪拌されながら移動し、攪拌搬送スクリュー73bにより紙面表から裏方向に移動する。また、攪拌搬送スクリュー73a、攪拌搬送スクリュー73bの両端部において攪拌部72aおよび攪拌部72bは連結されており現像剤は攪拌部72aと攪拌部72bを循環する。
【0035】
さらに、攪拌部72bの片方の端部に図示しないトナー補給口がありトナー濃度に基づいて図示しないトナー補給手段により補給され、攪拌搬送スクリュー73aおよび攪拌搬送スクリュー73bで攪拌混合されることによって、トナー濃度が均一化されるとともにトナーが帯電する。
【0036】
攪拌部72a内の現像剤が現像スリーブ71内部のマグネットにより現像スリーブ71表面に担持され、現像スリーブ71の回転(矢印方向)によりドクターブレード76で掻き取られることで現像スリーブ71上に現像剤の均一且つ一様な層が形成される。
【0037】
さらに、現像スリーブ71と対向するように配置され静電潜像が記録された感光体ドラム40の表面と現像スリーブ71が接触または近接して、静電潜像部分に現像剤中のトナーが付着することで感光体ドラム40上にトナー像が形成される。なお、本実施例における現像装置70は、トナーとキャリアとからなる現像剤を用いて現像を行う2成分現像方式の現像装置について説明したが、本発明はこの現像装置に限られず、トナーからなる現像剤を用いた1成分現像方式の現像装置にも適用可能である。
【0038】
図7は、本実施例に係る現像装置70と冷却装置10とを画像形成装置上方から見た様子を模式図で表している。本実施例においては、冷却装置10の受熱部2はゴム部材102を介して画像形成装置本体100の後側板101に固定されており、ゴム部材102の弾性によって受熱部2がプランジャ80の押圧方向に移動可能になっている。また、受熱部2の流路6は、後側板101の後ろでパイプ4と連結している。
【0039】
現像装置70の画像形成装置本体100との着脱は、図示しないガイドにそって画像形成装置本体100に対し図中矢印方向に現像装置70を移動させることで行われる。その際、受熱部2は後側板101にゴム部材102を介して固定されているので、現像装置70を移動させるだけで、現像装置70と受熱部2との着脱も可能となる。
【0040】
現像装置70に設けられたヒートシンク74の断面形状は、図1に示すように受熱部2が配設される内部空間が図中下、左、右の各壁部に囲まれ上方が開放された形状をしており、画像形成装置本体100内に現像装置70を装着した際に、このヒートシンク74の図1中左右方向で対向する内面の間に、内部に冷却液の流路6を有するアルミニウム製の受熱部2が配設される。ヒートシンク74の前記対向する内面の図1中右側の面は冷却面であり、この冷却面を形成するヒートシンク74の壁部の反対側の壁部にプランジャ80が固定されている。前記冷却面には熱伝導シート75が貼り付けられており、前記対向する内面の間に配設された受熱部2は、プランジャ80によって図1中右方向に付勢され熱伝導シート75を介して冷却面に密着している。なお、熱伝導シート75は受熱部2に貼り付けられていても良い。また、冷却装置10の受熱部2はゴム部材102を介して画像形成装置本体100の後側板101に固定されているので、現像装置70を着脱する際の位置のズレや部品の誤差を吸収して受熱部2とヒートシンク74を密着させることができる。
【0041】
また、本実施例においては、図7に示すようにヒートシンク74に固定されている3つのプランジャ80が受熱部2の長手方向に等間隔で配置されており、この3つのプランジャ80によって受熱部2を付勢することで受熱部2とヒートシンク74とが前記長手方向に均一な押圧力で密着される。
【0042】
本実施例においては、プランジャ80を現像装置70のヒートシンク74に設けることで、プランジャ80によって受熱部2を前記冷却面に向かって押圧した際に、プランジャ80にかかる受熱部2からの反力が、ヒートシンク74のプランジャ80が設けられた箇所に及ぼされる。これにより、プランジャ80によって押圧された受熱部2から前記冷却面が受ける押圧力は、現像装置内の内力となるので、プランジャ80によって受熱部2を前記冷却面に向かって押圧したとしても、画像形成装置本体100に対して現像装置70が変位するような力が生じるのを抑えられる。よって、プランジャ80で受熱部2を前記冷却面に向かって押圧し受熱部2を熱伝導シート75を介して前記冷却面に当接させても、現像スリーブ71と感光体ドラム40との位置関係を維持することができ、現像スリーブ71と感光体ドラム40との間のギャップが変動するのを抑制することができる。
【0043】
また、プランジャ80をヒートシンク74には設けず、図8に示すようにプランジャ80を受熱部2に設けても良い。プランジャ80によってヒートシンク54の前記冷却面と対向する面を前記冷却面とは反対方向に向かって押圧した際に、プランジャ80にかかる前記対向する面からの反力が受熱部2のプランジャ80が設けられた箇所に及ぼされ、受熱部2がヒートシンク74の前記冷却面を押圧する。これにより、プランジャ80によって押圧された前記対向する面からの反力によって受熱部2から前記冷却面が受ける押圧力は、現像装置内の内力となり、画像形成装置本体100に対して現像装置70が変位するような力が生じるのを抑えられる。よって、現像スリーブ71と感光体ドラム40との位置関係を維持することができ、現像スリーブ71と感光体ドラム40との間のギャップが変動するのを抑制することができる。
【0044】
受熱部2の流路6は図示しないパイプ4を介して図示しない他の色の現像装置70それぞれに設けられた冷却装置10(ポンプ1、受熱部2、タンク3、ラジエータ5a)と連結されており、冷却液(水、プロピレングリコール、防食剤からなる)が循環されている。冷却液がラジエータ5aにより常に放熱しながら受熱部2内を流れることで、受熱部2と密着するヒートシンク74が冷却され、現像剤およびドクターブレード76を冷却することができる。ヒートシンク74および受熱部2は熱伝導性良い材質が望ましく、銅製のものも用いられる。
【0045】
熱伝導シート75は、ヒートシンク74や受熱部2の形状の誤差を吸収して密着できるように、弾性を有するシリコーンやアクリルをベースとして特殊フィラーを配合して熱伝導性を向上させたものが多く用いられる。本実施例では、シリコーン系の熱伝導シート75に摺動性や耐摩耗性などを向上させるため、熱伝導シート75の受熱部2と接触する面にPET(ポリエチレンテレフタレート)の保護層(厚さ25[μm])を接着している。本実施例では保護層をPETとしているが、この限りではない。
【0046】
また、ドクターブレード76によって現像スリーブ71上の現像剤が掻き取られることで、ドクターブレード76の下流側には現像剤が多く留まっており、ヒートシンク74やドクターブレード76と高い圧力で接触しているので現像剤を効率よく冷却することができる。
【0047】
図9は、本実施例のプランジャ80を示す模式図である。本実施例では所謂ボールプランジャを用いている。プランジャ80は、図9に示すようにヒートシンク74とケーシング79とを連通する連通孔内に、プランジャ本体81に設けられた引っ掛かり部85によって図中左方向、言い換えれば、プランジャ80によって図示しない受熱部2を付勢する方向とは反対方向に移動しないように取り付けられている。プランジャ本体81の内部には有底円筒82が形成されており、その有底円筒82内の底面にばね83が固定されている。そのバネ83によって有底円筒82の開口した側の先端に配置されるボール84を有底円筒外向きに付勢している。また、ボール84は、ばね83には固定されておらず回転自在に図示しない受熱部2を付勢するので、受熱部2との相対的な動きに合わせてボール84が回転する。これにより、画像形成装置本体100に対して現像装置70を着脱する際にスムーズに着脱を行うことができる。
【0048】
また、上述したようなプランジャ80によって受熱部2を前記冷却面に向かって押圧した際に、プランジャ80にかかる受熱部2からの反力は、プランジャ本体81に設けられた引っ掛かり部85を介して、ヒートシンク74のプランジャ80が設けられた箇所に及ぼされる。
【0049】
なお、本実施例においては、受熱部2を押圧する付勢手段としてボールプランジャを用いているが押圧力を発生できればよく、付勢手段として図10に示すように板バネ78などを用いる構成も可能である。
【0050】
[実施例2]
図11は、本実施例に係る画像形成装置に設けられる現像装置70や冷却装置10などを模式的に表したものである。本実施例は、実施例1と同様の現像装置70において、受熱部2をヒートシンク74の2面に接触させる構成である。
【0051】
本実施例においては、図11に示すようにヒートシングの断面形状は、受熱部2が配設される内部空間が図中上下左右の各壁部に囲まれた形状をしており、ヒートシンク内面の図中上面と左面との2面それぞれにプランジャ80が固定されており、それぞれの面に対向するヒートシンク内面それぞれには、熱伝導シート75が貼り付けられている。画像形成装置本体100に対して現像装置70を装着すると、内部に冷却液の流路6を有するアルミニウム製の受熱部2がヒートシンク74の中空内部に配設されるとともにプランジャ80によって付勢されて熱伝導シート75を介してヒートシンク内面の2面に密着する。
【0052】
本実施例においても、プランジャ80を現像装置70のヒートシンク74に設けることで、プランジャ80によって受熱部2を前記冷却面に向かって押圧した際に、プランジャ80にかかる受熱部2からの反力が、ヒートシンク74のプランジャ80が設けられた箇所に及ぼされる。これにより、プランジャ80によって押圧された受熱部2から前記冷却面が受ける押圧力は、現像装置内の内力となるので、プランジャ80によって受熱部2を前記冷却面に向かって押圧したとしても、画像形成装置本体100に対して現像装置70が変位するような力が生じるのを抑えられる。よって、プランジャ80で受熱部2を前記冷却面に向かって押圧し受熱部2を熱伝導シート75を介して前記冷却面に当接させても、現像スリーブ71と感光体ドラム40との位置関係を維持することができ、現像スリーブ71と感光体ドラム40との間のギャップが変動するのを抑制することができる。
【0053】
また、本実施例においては、受熱部2が熱伝導シート75を介してヒートシンク内面の2面に密着するので、実施例1よりも熱伝導シート75を介して受熱部2とヒートシンク74とが接触する接触面積が大きくなるため伝熱効率が高くなり、液冷システムの冷却効率が向上する。
【0054】
[実施例3]
図12は、本実施例に係る画像形成装置に設けられる現像装置70や冷却装置10などを模式的に表したものである。本実施例は、実施例1と同様の現像装置70において、冷却装置10の受熱部2を現像装置70のケーシング79外側の側面に接触させる構成である。
【0055】
本実施例においては、現像装置70のケーシング79がアルミニウム製であり、現像スリーブ71が設けられている側とは反対側のケーシング79の外側側面にジャケットガイド部77を有している。前記ケーシング79の外側側面には熱伝導シート75が貼り付けられており、前記ケーシング79の外側側面と対向するジャケットガイド部77の面にプランジャ80が固定されている。
【0056】
本実施例においては、受熱部2がゴム部材102を介して現像装置70よりも上方にある画像形成装置本体100の構造材103に固定されている。現像装置70の画像形成装置本体100との着脱は、図示しないガイドにそって画像形成装置本体100に対し図中矢印方向に現像装置70を移動させることで行われる。その際、受熱部2は画像形成装置本体100の構造材103にゴム部材102を介して固定されているので、現像装置70を移動させるだけで、現像装置70と受熱部2との着脱も可能となる。
【0057】
また、受熱部2が画像形成装置本体100の構造材103にゴムを介して固定されていることで、受熱部2はゴムの弾性によってプランジャ80の押圧方向に移動可能であり、画像形成装置本体100に対して現像装置70を装着すると、内部に冷却液の流路6を有するアルミニウム製の受熱部2がジャケットガイド部77内に配設されるとともに、プランジャ80によって付勢され熱伝導シート75を介して前記ケーシング79の外側側面に密着する。
【0058】
受熱部2がゴムの弾性によってプランジャ80の押圧方向に移動可能になっていることで、画像形成装置本体100に対して現像装置70を着脱する際の位置のズレや部品の誤差を吸収して受熱部2とケーシング79の外側側面とを密着させることができる。
【0059】
本実施例においては、プランジャ80を現像装置70のケーシング79の外側側面に有するジャケットガイド部77に設けることで、プランジャ80によって受熱部2を前記冷却面に向かって押圧した際に、プランジャ80にかかる受熱部2からの反力が、ジャケットガイド部77のプランジャ80が設けられた箇所に及ぼされる。これにより、プランジャ80によって押圧された受熱部2から前記冷却面が受ける押圧力は、現像装置内の内力となるので、プランジャ80によって受熱部2を前記冷却面に向かって押圧したとしても、画像形成装置本体100に対して現像装置70が変位するような力が生じるのを抑えられる。よって、プランジャ80で受熱部2を前記冷却面に向かって押圧し受熱部2を熱伝導シート75を介して前記冷却面に当接させても、現像スリーブ71と感光体ドラム40との位置関係を維持することができ、現像スリーブ71と感光体ドラム40との間のギャップが変動するのを抑制することができる。
【0060】
なお、本実施例では、熱伝導性を良くするためにケーシング79全体をアルミニウム製としているが、これに限るものではなく、ケーシング79の受熱部2が接触する部分のみアルミニウムにする構成や、ケーシング79の受熱部2が接触する部分とケーシング79内の現像剤が重力で留まりやすいケーシング79下面とを一体にアルミニウムで形成する構成も有効である。
【0061】
[実施例4]
図13は、本実施例に係る画像形成装置に設けられる現像装置70や冷却装置10などを模式的に表したものである。
【0062】
本実施例の現像装置70は樹脂製のケーシング79内に、現像剤の攪拌混合および搬送を行う攪拌搬送スクリュー73aおよび攪拌搬送スクリュー73b、現像剤を表面に担持する現像スリーブ71、現像スリーブ71上の現像剤の厚さを規制するドクターブレード76を備えている。ドクターブレード76はアルミニウム製のヒートシンク74に固定されている。
【0063】
ヒートシンク74の断面形状は、受熱部2が配設される内部空間の周りが複数の壁部で囲まれた形状をしており、ヒートシンク内面の図中下面と右面との2面それぞれを形成するヒートシンク74の下壁部と右壁部それぞれにプランジャ80が固定されており、前記右壁部に固定されたプランジャ80と対向する、ヒートシンク内面の一つである斜面には、熱伝導シート75が貼り付けられている。画像形成装置本体100に対して現像装置70を装着すると、内部に冷却液の流路6を有するアルミニウム製の受熱部2がヒートシンク74の中空内部に配設されるとともに各プランジャ80によって付勢されて熱伝導シート75を介してヒートシンク内面の図中左面に密着する。
【0064】
本実施例においても、プランジャ80を現像装置70のヒートシンク74に設けることで、プランジャ80によって受熱部2を前記冷却面に向かって押圧した際に、プランジャ80にかかる受熱部2からの反力が、ヒートシンク74のプランジャ80が設けられた箇所に及ぼされる。これにより、プランジャ80によって押圧された受熱部2から前記冷却面が受ける押圧力は、現像装置内の内力となるので、プランジャ80によって受熱部2を前記冷却面に向かって押圧したとしても、画像形成装置本体100に対して現像装置70が変位するような力が生じるのを抑えられる。よって、プランジャ80で受熱部2を前記冷却面に向かって押圧し受熱部2を熱伝導シート75を介して前記冷却面に当接させても、現像スリーブ71と感光体ドラム40との位置関係を維持することができ、現像スリーブ71と感光体ドラム40との間のギャップが変動するのを抑制することができる。
【0065】
また、本実施例においては、受熱部2が熱伝導シート75を介してヒートシンク内面の前記斜面に密着するので、実施例1よりも熱伝導シート75を介して受熱部2とヒートシンク74とが接触する接触面積が大きくなるため伝熱効率が高くなり、液冷システムの冷却効率が向上する。
【0066】
受熱部2の流路6は図示しないパイプ4を介して図示しない他の色の現像装置70それぞれに設けられた冷却装置10(ポンプ1、受熱部2、タンク3、ラジエータ5a)と連結されており、冷却液(水、プロピレングリコール、防食剤からなる)が循環されている。冷却液がラジエータ5aにより常に放熱しながら受熱部2内を流れることで、受熱部2と密着するヒートシンク74が冷却され、現像剤およびドクターブレード76を冷却することができる。ヒートシンク74および受熱部2は熱伝導性が良い材質からなるもの、例えば銅製のものが望ましい。
【0067】
本実施例では、攪拌部72a内の現像剤が現像スリーブ71内部のマグネットにより現像スリーブ71表面に担持され、現像スリーブ71の回転(矢印方向)によりドクターブレード76で掻き取られることで現像スリーブ71上に現像剤の均一且つ一様な層が形成される。ドクターブレード76によって現像スリーブ71上の現像剤が掻き取られることで、ドクターブレード76の下流側には現像剤が多く留まっており、重力によりヒートシンク74と接触しているので現像剤を効率よく冷却することができる。
【0068】
[実施例5]
図14は、本実施例に係る画像形成装置に設けられる現像装置70と冷却装置10とを模式的に表したものであり、現像装置70を上から見た様子を模式図で表している。本実施例は、実施例1と同様の現像装置70および液冷システムの構成において、受熱部2の形状が変わっている構成である。
【0069】
本実施例において、冷却装置10の受熱部2はゴム部材102を介して画像形成装置本体100の後側板101に固定されており、ゴムの弾性によってプランジャ80の押圧方向に±2.5[mm]程度移動可能になっている。また、受熱部2の流路6は、後側板101の後ろでパイプ4と連結している。
【0070】
現像装置70の画像形成装置本体100との着脱は、図示しないガイドにそって画像形成装置本体100に対し図中矢印方向に現像装置70を移動させることで行われる。その際、受熱部2は後側板101にゴム部材102を介して固定されているので、現像装置70を移動させるだけで、現像装置70と受熱部2との着脱も可能となる。
【0071】
本実施例においても、プランジャ80が現像装置70のヒートシンク74に設けられており、プランジャ80によって受熱部2を前記冷却面に向かって押圧した際に、プランジャ80にかかる受熱部2からの反力が、ヒートシンク74のプランジャ80が設けられた箇所に及ぼされる。これにより、プランジャ80によって押圧された受熱部2から前記冷却面が受ける押圧力は、現像装置内の内力となるので、プランジャ80によって受熱部2を前記冷却面に向かって押圧したとしても、画像形成装置本体100に対して現像装置70が変位するような力が生じるのを抑えられる。よって、プランジャ80で受熱部2を前記冷却面に向かって押圧し受熱部2を熱伝導シート75を介して前記冷却面に当接させても、現像スリーブ71と感光体ドラム40との位置関係を維持することができ、現像スリーブ71と感光体ドラム40との間のギャップが変動するのを抑制することができる。
【0072】
また、冷却装置10の受熱部2はゴム部材102を介して画像形成装置本体100の後側板101に固定されているので、現像装置70を着脱する際の位置のズレや部品の誤差を吸収して受熱部2とヒートシンク74を密着させることができる。
【0073】
また、受熱部2は、プランジャ80と接触する面に、画像形成装置本体100に現像装置70を装着した際に各プランジャ80が接触する箇所よりも受熱部長手方向先端側に段差部A、段差部Bを備えていて、受熱部長手方向後端側から先端側に向かうにつれて段階的に幅形状が細くなっている。また、受熱部長手方向先端側にあるプランジャ80のほうが受熱部長手方向後端側にあるプランジャ80よりも、段差部Bにおける段差分だけ(受熱部2と接触する方向に)突出している。これにより、受熱部2とプランジャ80とが現像装置70のセット位置近傍のみで接触するため、現像装置70の着脱の際に受熱部2がプランジャ80の押圧を受けることが少なくなり、画像形成装置本体100に対する現像装置70の着脱を容易に行うことができる。
【0074】
[実施形態2]
以下、本発明を適用した画像形成装置の第二の実施形態について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置、現像装置70及び冷却装置10などの基本的な構成は実施形態1と同様なので、それらの説明は省略する。
【0075】
[実施例6]
本実施例では現像装置70として図1に示す実施例1と同様のものを用いている。現像装置70は樹脂製のケーシング79内に、現像剤の攪拌混合および搬送を行う攪拌搬送スクリュー73aおよび攪拌搬送スクリュー73b、現像剤を表面に担持する現像スリーブ71、及び、現像スリーブ71上の現像剤の厚さを規制するドクターブレード76を備えている。また、ドクターブレード76はアルミニウム製のヒートシンク74に固定されている。
【0076】
現像剤は攪拌搬送スクリュー73aにより紙面裏から表方向に攪拌されながら移動し、攪拌搬送スクリュー73bにより紙面表から裏方向に移動する。また、攪拌搬送スクリュー73a、攪拌搬送スクリュー73bの両端部において攪拌部72aおよび攪拌部72bは連結されており現像剤は攪拌部72aと攪拌部72bを循環する。
【0077】
さらに、攪拌部72bの片方の端部に図示しないトナー補給口がありトナー濃度に基づいて図示しないトナー補給手段により補給され、攪拌搬送スクリュー73aおよび攪拌搬送スクリュー73bで攪拌混合されることによって、トナー濃度が均一化されるとともにトナーが帯電する。
【0078】
攪拌部72a内の現像剤が現像スリーブ71内部のマグネットにより現像スリーブ71表面に担持され、現像スリーブ71の回転(矢印方向)によりドクターブレード76で掻き取られることで現像スリーブ71上に現像剤の均一且つ一様な層が形成される。
【0079】
さらに、現像スリーブ71と対向するように配置され静電潜像が記録された感光体ドラム40の表面と現像スリーブ71が接触または近接して、静電潜像部分に現像剤中のトナーが付着することで感光体ドラム40上にトナー像が形成される。
【0080】
図15は、画像形成装置本体内側から受熱部長手方向で見た、冷却装置10の受熱部2が画像形成装置本体100の後側板101に取り付けられている箇所の拡大図である。本実施例においては、冷却装置10の受熱部2は画像形成装置本体100の後側板101に形成された開口部104内に配設されている。この開口部104の上側内壁面及び下側内壁面がそれぞれ受熱部2の上面及び下面と摺擦し合って受熱部2の図中左右方向(後述するプランジャ80の押圧方向とその逆方向)への移動をガイドする上ガイド面105aと下ガイド面105bとして機能する。また開口部104の左側内壁面及び右側内壁面それぞれに受熱部2の左側面及び右側面をそれぞれ付勢するバネ106が設けられており、受熱部2がプランジャ80によって付勢されていないときに受熱部2を後側板101に対して予め設定された初期位置に位置させる。また、受熱部2の流路6は、後側板101の後ろで図示しないパイプ4と連結している。
【0081】
図1に示すように、現像装置70に設けられたヒートシンク74の断面形状は、図1に示すように受熱部2が配設される内部空間が図中下、左、右の各壁部に囲まれ上方が開放された形状をしており、画像形成装置本体100内に現像装置70を装着した際に、このヒートシンク74の図1中左右方向で対向する内面の間に、内部に冷却液の流路6を有するアルミニウム製の受熱部2が配設される。ヒートシンク74の前記対向する内面の図1中右側の面は冷却面であり、この冷却面を形成するヒートシンク74の壁部の反対側の壁部にプランジャ80が固定されている。前記冷却面には熱伝導シート75が貼り付けられており、前記対向する内面の間に配設された受熱部2は、プランジャ80によって図1中右方向に付勢され熱伝導シート75を介して冷却面に密着している。
【0082】
また、ヒートシンク74にプランジャ80を受熱部2の長手方向に等間隔で2つ以上配置することで、受熱部2とヒートシンク74とが前記長手方向に均一な押圧力で密着される。
【0083】
本実施例においては、プランジャ80を現像装置70のヒートシンク74に設けることで、プランジャ80によって受熱部2を前記冷却面に向かって押圧した際に、プランジャ80にかかる受熱部2からの反力が、ヒートシンク74のプランジャ80が設けられた箇所に及ぼされる。これにより、プランジャ80によって押圧された受熱部2から前記冷却面が受ける押圧力は、現像装置内の内力となるので、プランジャ80によって受熱部2を前記冷却面に向かって押圧したとしても、画像形成装置本体100に対して現像装置70が変位するような力が生じるのを抑えられる。よって、プランジャ80で受熱部2を前記冷却面に向かって押圧し受熱部2を熱伝導シート75を介して前記冷却面に当接させても、現像スリーブ71と感光体ドラム40との位置関係を維持することができ、現像スリーブ71と感光体ドラム40との間のギャップが変動するのを抑制することができる。
【0084】
受熱部2の流路6は図示しないパイプ4を介して図示しない他の色の現像装置70それぞれに設けられた冷却装置10(ポンプ1、受熱部2、タンク3、ラジエータ5a)と連結されており、冷却液(水、プロピレングリコール、防食剤からなる)が循環されている。冷却液がラジエータ5aにより常に放熱しながら受熱部2内を流れることで、受熱部2と密着するヒートシンク74が冷却され、現像剤およびドクターブレード76を冷却することができる。ヒートシンク74および受熱部2は熱伝導性良い材質が望ましく、銅製のものも用いられる。
【0085】
また、本実施形態においては、実施形態1で説明した各実施例の構成に対して、冷却装置10の受熱部2の画像形成装置本体100への取り付け方が異なっているが、それ以外の構成については実施形態1で説明した各実施例の構成を本実施形態においても適用可能である。
【0086】
[実施形態3]
以下、本発明を適用した画像形成装置の第三の実施形態について説明する。本実施形態では、図2に示した画像形成装置本体100に設けられた中間転写ベルトクリーニングユニット90において、廃トナー冷却に本発明を用いた場合について以下に示す。本実施形態に係る画像形成装置本体や冷却装置10などの基本的な構成は実施形態1などと同様なので、それらの説明は省略する。
【0087】
[実施例7]
図16は、温度上昇部としての中間転写ベルトクリーニングユニット90の廃トナー回収部97に液冷方式の冷却装置10を装着した図である。
【0088】
中間転写ベルトクリーニングユニット90は、中間転写ベルト15の表面に付着した紙粉やトナーなどを中間転写ベルト15の表面に摺擦して取り除くクリーニングブラシローラ91、クリーニングブラシローラ91に付着した紙粉やトナーなどをクリーニングブラシローラ91から掻き出すフリッカー96、中間転写ベルト15の表面に接触して設けられ中間転写ベルト15の表面からトナーなどを取り除くクリーニングブレード92、クリーニングブラシローラ91やクリーニングブレード92によって中間転写ベルト15の表面から取り除いたトナーなどを回収する廃トナー回収部97、廃トナー回収部97に回収されたトナーなどを画像形成装置100の他の箇所で回収された廃トナーなどと合流させて集積する廃トナー集積部(図示しない)に搬送する回転可能に設けられた搬送スクリュー98、中間転写ベルト15の表面に潤滑剤93を塗布する潤滑剤塗布ブラシローラ94、潤滑剤塗布ブラシローラ94によって塗布された中間転写ベルト表面上の潤滑剤を伸ばして均す潤滑剤均しブレード95で構成される。また、クリーニングブラシローラ91、フリッカー96、クリーニングブレード92、廃トナー回収部97、潤滑剤塗布ブラシローラ95、及び、潤滑剤均しブレード95などは、中間転写ベルトクリーニングユニット90の支持板99に一体で設けられておりユニット化されている。
【0089】
クリーニングブラシローラ91とトナー等を取り除くクリーニングブレード92とで取り除かれたトナーなどは、廃トナー回収部97に回収されてから搬送スクリュー98により、画像形成装置内の他の箇所で回収された廃トナーと前記廃トナー集積部で合流し集積される。
【0090】
ここで、図2からわかるように、中間転写ベルトクリーニングユニット90は定着装置60の近くに位置している。そのため、廃トナー回収部内のトナーが画像形成動作時に定着装置60から発生する熱によって溶融し、その溶融したトナーが画像形成動作終了後などに定着装置60からの熱の影響を受けなくなって、廃トナー回収部97の内側側面や搬送スクリュー98などに固着することがある。また、搬送スクリュー98の回転による発熱により廃トナー回収部内のトナーが溶融し、その溶融したトナーが廃トナー回収部97の内側側面や搬送スクリュー98などに固着することがある。そのため、このようなトナーの固着を防ぐために、本実施例では液冷方式の冷却装置10を中間転写ベルトクリーニングユニット90内の廃トナー回収部97に取り付けた。つまり、廃トナー回収部97の外側側面を冷却面として、冷却装置10の受熱部2を接触させる構成である。
【0091】
本実施例においては、廃トナー回収部97の外側側面にジャケットガイド部77を有している。廃トナー回収部97の外側側面と対向するジャケットガイド部77の面にプランジャ80が固定されている。
【0092】
本実施例においては、受熱部2がゴム部材(図示せず)を介して画像形成装置本体100の側壁(図示しない)に固定されている。中間転写ベルトクリーニングユニット90の画像形成装置本体100に対する着脱は、図示しないガイドにそって画像形成装置本体100に対し紙面垂直方向に中間転写ベルトクリーニングユニット90を移動させることで行われる。その際、中間転写ベルトクリーニングユニット90の支持板99には受熱部2が通過可能な開口(図示しない)が開けられており、画像形成装置本体100の側壁にゴム部材を介して固定された受熱部2が前記開口を通過することでジャケットガイド部77と受熱部2との着脱も可能となる。
【0093】
また、受熱部2が画像形成装置本体100の側壁にゴム部材を介して固定されていることで、受熱部2はゴム部材の弾性によってプランジャ80の押圧方向に移動可能であり、画像形成装置本体100に対して中間転写ベルトクリーニングユニット90を装着すると、内部に冷却液の流路6を有するアルミニウム製の受熱部2がジャケットガイド部77内に配設されるとともに、プランジャ80によって付勢され廃トナー回収部97の外側側面に密着する。
【0094】
受熱部2がゴム部材の弾性によってプランジャ80の押圧方向に移動可能になっていることで、画像形成装置本体100に対して中間転写ベルトクリーニングユニット90を着脱する際の位置のズレや部品の誤差を吸収して受熱部2と廃トナー回収部97の外側側面とを密着させることができる。
【0095】
本実施例においては、中間転写ベルトクリーニングユニット90に受熱部2を装着する際に、プランジャ80にかかる受熱部2からの反力が、ジャケットガイド部77のプランジャ80が設けられた箇所に及ぼされる。これにより、プランジャ80によって押圧された受熱部2から前記冷却面が受ける押圧力は、中間転写ベルトクリーニングユニット内の内力となる。そのため、プランジャ80によって受熱部2を前記冷却面に向かって押圧したとしても、画像形成装置本体に対して中間転写ベルトクリーニングユニット90が変位するような力が生じるのを抑えられる。よって、中間転写ベルト表面のクリーニングを行うクリーニングブレード92と中間転写ベルト15との距離に変動が生じるのを抑制しつつ、廃トナー回収部内の廃トナーを冷却することができ、トナー固着による搬送スクリュー98の停止や機械の停止などを起こすことがない。
【0096】
したがって、中間転写ベルト15とクリーニングブレード92などとの距離が、クリーニングブレード92などによって中間転写ベルト15の表面を良好にクリーニングできるように予め設定された規定値よりも遠ざかった場合に、中間転写ベルト15に付着したトナーなどがクリーニングブレード92などによって掻き取れない状況がおき、中間転写ベルト15の表面が汚れたまま次の転写が行われてしまい、画像が汚れたりするなどの不具合が生じるのを抑制することができる。
【0097】
また、逆に中間転写ベルト15とクリーニングブレード92などとの距離が、前記規定値よりも近づいてしまうことにより、クリーニングブレード92が捲れてしまい、クリーニングブレード92の破損や中間転写ベルト15の破損を引き起こしてしまうことを抑制することができる。
【0098】
以上、各実施形態によれば、像担持体である感光体ドラム40と、感光体ドラム40との対向部へ現像剤を搬送する現像剤担持体である現像スリーブ71を有し、画像形成装置本体100に対して着脱可能に設けられた現像ユニットであり画像形成動作により温度が上昇する温度上昇部でもある現像装置70と、現像装置70の冷却面に接触するように配設される受熱部2、冷却液の熱を放出させる放熱手段である放熱部5、冷却液を受熱部2と放熱部5との間で循環させるための循環パイプであるパイプ4、及び、パイプ4内の冷却液を搬送するための搬送手段であるポンプ1、を有する液冷装置である冷却装置10と、を備えた画像形成装置において、現像装置70に受熱部2を前記冷却面に向かって付勢する付勢手段であるプランジャ80を設ける。本実施形態においては、プランジャ80を現像装置70に設けることで、プランジャ80によって受熱部2を現像装置70の冷却面に向かって付勢した際に、プランジャ80にかかる受熱部2からの反力が、現像装置70のプランジャ80が設けられた箇所に及ぼされる。これにより、プランジャ80によって付勢された受熱部2から前記冷却面が受ける付勢力と前記反力とが現像装置70内で互いに弱め合うので、プランジャ80によって受熱部2を前記冷却面に向かって付勢したとしても、画像形成装置本体100に対して現像装置70が変位するような力を低減することができる。よって、プランジャ80で受熱部2を前記冷却面に向かって付勢し受熱部2を前記冷却面に密着させても、現像スリーブ71と感光体ドラム40との位置関係が変化し難くなるので、現像スリーブ71と感光体ドラム40との間のギャップの変動を抑制できる。
また、各実施形態によれば、上記冷却面に近づく方向と上記冷却面から離れる方向とに移動可能に受熱部2が第一の弾性部材、例えば、ゴム部材102またはバネ106を介して画像形成装置本体100に取り付けられていることで、現像装置70を着脱する際の位置のズレや部品の誤差を吸収して受熱部2と冷却面とを密着させることができる。
また、各実施形態によれば、上記付勢手段は、一部が現像ユニットに固定された第二の弾性部材からなることで、付勢手段によって受熱部2を付勢した際の付勢力の反作用が現像装置70の付勢手段が固定された箇所に作用するので、前記付勢力を現像装置70内の内力に換えられ、画像形成装置体に対して現像装置70が変位するような力が生じるのを抑制できる。
また、各実施形態によれば、上記付勢手段であるプランジャ80は第二の弾性部材であるバネ83に接触しつつ回転自在な球体であるボール84を有しており、プランジャ80はボール84を受熱部2に当接させてバネ83の弾性力により受熱部2を付勢するものである。これにより、受熱部2とプランジャ80との相対移動の際にボール84が回転し、受熱部2とボール84との間で生じる摩擦力を小さくすることができる。よって、画像形成装置本体100に対して現像装置70の着脱をスムーズに行うことができる。
また、各実施形態によれば、プランジャ80を複数備えることで、受熱部2と冷却面との間に均一な押圧力を作用させることが可能となるので、受熱部2と冷却面とをより密着させることができる。
また、実施形態1によれば、受熱部2は現像スリーブ71の軸方向に長尺であり、受熱部2と対向するようにプランジャ80が現像スリーブ軸方向に複数配設されており、現像装置70を装置本体に装着する際に受熱部2は長尺方向先端から後端に向かって現像装置70内に挿入され、受熱部2の幅形状が前記長尺方向先端側から後端側に向かうにつれて段階的に大きくなっており、且つ、プランジャ80の付勢方向の高さが前記長尺方向先端側から後端側に向かうにつれて低くなっている。これにより、画像形成装置本体100に対して現像装置70を装着した際の装着位置近傍から離れた場所では、各プランジャ80によって受熱部2を前記冷却面に向かって付勢する付勢力が抑えられ、その分、画像形成装置本体100に対して現像装置70を着脱する際の抵抗が低減され、現像装置70の着脱を容易に行うことができる。
また、各実施形態によれば、受熱部2または上記冷却面に、受熱部2よりも硬度の低い高効率伝導部材からなる密着シートである熱伝導シート75を設けたことで受熱部2と前記冷却面との間の熱移動の効率を高めることができる。
また、実施形態1によれば、像担持体である感光体ドラム40と、感光体ドラム40との対向部へ現像剤を搬送する現像剤担持体である現像スリーブ71を有し、画像形成装置本体100に対して着脱可能に設けられた現像ユニットである現像装置70と、現像装置70の冷却面に接触するように配設される受熱部2、冷却液の熱を放出させる放熱手段である放熱部5、冷却液を受熱部2と放熱部5との間で循環させるための循環パイプであるパイプ4、及び、パイプ4内の冷却液を搬送するための搬送手段であるポンプ1、を有する液冷装置である冷却装置10と、を備えた画像形成装置において、受熱部2に、現像装置70の前記冷却面と対向する面に当接し前記対向する面を付勢する付勢手段であるプランジャ80を設け、プランジャ80によって前記対向する面を付勢した際に前記対向する面からプランジャ80に作用する反力によって、前記冷却面に受熱部2が押圧される。プランジャ80によってヒートシンク54の前記冷却面と対向する面を前記冷却面とは反対方向に向かって押圧した際に、プランジャ80にかかる前記対向する面からの反力が受熱部2のプランジャ80が設けられた箇所に及ぼされ、受熱部2がヒートシンク74の前記冷却面を押圧する。これにより、プランジャ80によって押圧された前記対向する面からの反力によって受熱部2から前記冷却面が受ける押圧力は、現像装置内の内力となり、画像形成装置本体100に対して現像装置70が変位するような力が生じるのを抑えられる。よって、現像スリーブ71と感光体ドラム40との位置関係を維持することができ、現像スリーブ71と感光体ドラム40との間のギャップが変動するのを抑制することができる。
また、各実施形態によれば、現像装置70を、感光体ドラム40と一体的に装置本体から着脱可能に構成したことで、画像形成装置本体100に対する現像装置70や感光体ドラム40など着脱を容易に行うことが可能となり、メンテナンス性を向上させることができる。
【0099】
また、各実施形態においては、受熱部2が画像形成装置本体の後側板に固定され、着脱可能な温度上昇部を移動させることによって、温度上昇部と受熱部との着脱を行う構成について説明したが、受熱部が温度上昇部に対して着脱するように移動可能に設けても良い。
【0100】
また、実施形態1や実施形態2においては画像形成動作により温度が上昇する温度上昇部として現像装置70を用いて説明し、実施形態3においては前記温度上昇部として中間転写ベルトクリーニングユニット90に設けられた廃トナー回収部97を用いて説明したが、温度低減を行いたい他の画像形成装置本体内のユニットに対しても本発明を適用することができる。例えば、露光装置31は、感光体ドラム40に対してレーザー光またはLED光を照射して感光体ドラム40上に潜像を形成するため、露光装置31に外力がかかると潜像形成に影響を与えてしまう。したがって、温度上昇部である露光装置31に本発明を適用することによって、露光装置31の位置変動を抑制しつつ、液冷装置により露光装置31を冷却することができるので、画像品質に影響を与えることがない。
【符号の説明】
【0101】
1 ポンプ
2 受熱部
3 タンク
4 パイプ
5 放熱部
5a ラジエータ
5b 冷却ファン
6 流路
8 温度上昇箇所
10 冷却装置
15 中間転写ベルト
19 二次転写装置
20 タンデム型画像形成部
23 二次転写ローラ
28 反転装置
30 原稿台
31 露光装置
34 支持ローラ
36 支持ローラ(二次転写バックアップローラ)
37 クリーニング装置
38 画像形成ユニット
40 感光体ドラム
42 給紙ローラ
43 ペーパーバンク
44 給紙カセット
45 分離ローラ
46 給紙路
47 搬送ローラ
48 給紙路
49 レジストローラ
55 切換爪
56 排出ローラ対
57 排紙トレイ
60 定着装置
62 一次転写装置
66 加熱ローラ
67 加圧ローラ
70 現像装置
71 現像スリーブ
72a 攪拌部
72b 攪拌部
73a 攪拌搬送スクリュー
73b 攪拌搬送スクリュー
74 ヒートシンク
75 熱伝導シート
76 ドクターブレード
77 ジャケットガイド部
78 板バネ
79 ケーシング
80 プランジャ
81 プランジャ本体
82 有底円筒
83 バネ
84 ボール
85 引っ掛かり部
90 中間転写ベルトクリーニングユニット
91 クリーニングブラシローラ
92 クリーニングブレード
93 潤滑剤
94 潤滑剤塗布ブラシローラ
95 潤滑剤均しブレード
96 フリッカー
97 廃トナー回収部
98 搬送スクリュー
99 支持板
100 画像形成装置本体
101 後側板
102 ゴム部材
103 構造材
104 開口部
105a 上ガイド面
105b 下ガイド面
106 バネ
200 給紙テーブル
300 スキャナ
301 コンタクトガラス
303 第一走行体
304 第二走行体
305 結像レンズ
306 センサ
400 原稿自動搬送装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0102】
【特許文献1】特開2005−164927号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成動作により温度が上昇する温度上昇部と、
該温度上昇部の冷却面に接触するように配設される受熱部、冷却液の熱を放出させる放熱手段、該冷却液を該受熱部と該放熱手段との間で循環させるための循環パイプ、及び、該循環パイプ内の冷却液を搬送するための搬送手段を有する液冷装置と、を備えた画像形成装置において、
前記温度上昇部に前記受熱部を前記冷却面に向かって付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記受熱部が、上記冷却面に近づく方向と前記冷却面から離れる方向とに移動可能に設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2の画像形成装置において、
上記冷却面に近づく方向と上記冷却面から離れる方向とに移動可能に上記受熱部が第一の弾性部材を介して装置本体に取り付けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3の画像形成装置において、
上記第一の弾性部材がゴム部材であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項3の画像形成装置において、
上記第一の弾性部材がバネ部材であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5の画像形成装置において、
上記付勢手段は、一部が上記温度上昇部に固定された第二の弾性部材からなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6の画像形成装置において、
上記付勢手段は上記第二の弾性部材に接触しつつ回転自在な球体を有しており、該付勢手段は該球体を上記受熱部に当接させて該第二の弾性部材の弾性力により上記受熱部を付勢するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6または7の画像形成装置において、
上記付勢手段を複数備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1、2、3、4、5、6、7または8の画像形成装置において、
上記温度上昇部は、像担持体に対向し、現像剤を担持搬送する現像剤担持体を有し、該像担持体に形成された静電潜像に該現像剤を供給して該静電潜像を可視像化する現像ユニットであり、該現像ユニットは装置本体に対して着脱可能に設けられたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1、2、3、4、5、6、7または8の画像形成装置において、
上記温度上昇部は、像担持体と、該像担持体に対向して現像剤を担持搬送する現像剤担持体を有し、該像担持体に形成された静電潜像に該現像剤を供給して該静電潜像を可視像化する現像ユニットとを備えたプロセスカートリッジであり、
該プロセスカートリッジは装置本体に対して着脱可能に設けられたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項9または10の画像形成装置において、
上記受熱部は上記現像剤担持体の軸方向に長尺であり、
前記受熱部と対向するように上記付勢手段が現像剤担持体軸方向に複数配設されており、
上記温度上昇部を装置本体に装着する際に該受熱部は長尺方向先端から後端に向かって該温度上昇部内に挿入され、
該受熱部の幅形状が前記長尺方向先端側から後端側に向かうにつれて段階的に大きくなっており、且つ、上記付勢手段の付勢方向の高さが前記長尺方向先端側から後端側に向かうにつれて低くなっていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
像担持体と、
該像担持体との対向部へ現像剤を搬送する現像剤担持体を有し、装置本体に対して着脱可能に設けられた温度上昇部と、
該温度上昇部の冷却面に接触するように配設される受熱部、冷却液の熱を放出させる放熱手段、該冷却液を該受熱部と該放熱手段との間で循環させるための循環パイプ、及び、該循環パイプ内の冷却液を搬送するための搬送手段を有する液冷装置と、を備えた画像形成装置において、
前記受熱部に、前記温度上昇部の前記冷却面と対向する面に当接し該対向する面を付勢する付勢手段を設け、
該付勢手段によって該対向する面を付勢した際に該対向する面から該付勢手段に作用する反力によって、該冷却面に該受熱部が押圧されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項1または12の画像形成装置において、
上記受熱部が、装置本体に備えられた上記温度上昇部に対して着脱するように移動可能に設けられたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13の画像形成装置において、
上記受熱部または上記冷却面に、該受熱部よりも硬度の低い高効率伝導部材からなる密着シートを設けたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−244010(P2010−244010A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253359(P2009−253359)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】