画像形成装置
【課題】ベルトの速度変動を抑制して画像の位置ズレを防ぎ、高品質な画像を得ることのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】中間転写ベルト2に転写ローラ6が圧接される二次転写部の上流側に位置する入口ローラ4に対して所定の負荷を付与及び解除可能な負荷付与手段10を設ける。負荷付与手段10は予め所定の負荷トルクを入口ローラ4に付与している。厚紙Paが転写ニップに突入してベルト2が変位し、変位センサ7からベルト2までの距離が所定の閾値を下回るタイミングで負荷付与手段10は負荷トルクを解除する。それによって、負荷解除による見かけ上の加速トルクが入口ローラ4に付与され、ベルト2の減速が抑制される。
【解決手段】中間転写ベルト2に転写ローラ6が圧接される二次転写部の上流側に位置する入口ローラ4に対して所定の負荷を付与及び解除可能な負荷付与手段10を設ける。負荷付与手段10は予め所定の負荷トルクを入口ローラ4に付与している。厚紙Paが転写ニップに突入してベルト2が変位し、変位センサ7からベルト2までの距離が所定の閾値を下回るタイミングで負荷付与手段10は負荷トルクを解除する。それによって、負荷解除による見かけ上の加速トルクが入口ローラ4に付与され、ベルト2の減速が抑制される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の記録媒体へ記録する電子写真方式、静電記録方式、イオノグラフィー、磁気記録方式等の画像形成方式を採用した複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関し、特に感光体等の像担持体あるいは中間転写体上の可視像を記録媒体上に転写する転写部材を用いた転写装置及び記録媒体を搬送する記録媒体搬送装置において、記録媒体が像担持体と転写部材との圧接部に突入する際に発生する像担持体や中間転写体の速度変動を抑制するようにした画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特許第3528342号公報
【特許文献2】特開2007−286383号公報
【0003】
図18は、従来の画像形成装置の一例における中間転写部の構成を模式的に示す図である。この図において、中間転写ベルト102は駆動ローラ103によって駆動され、駆動ローラ103,入口ローラ104,テンションローラ105に張架されている。一方、図示しない給紙部から用紙Pが給紙され、レジストローラ対108,109でいったん待機する。中間転写ベルト102に感光体101より画像が転写されると、レジスト駆動ローラ108が駆動モータによって駆動され、中間転写ベルト102上のトナー像先端と同期をとって用紙Pが駆動ローラ103と二次転写ローラ106の圧接部(転写ニップ)に搬送され、加圧力と二次転写ローラ106に印加された転写バイアスによって、中間転写ベルト102に担持されているトナー像が用紙Pに転写される。
【0004】
ただし、用紙が二次転写ニップ部に突入する際、一次転写面におけるベルトには図19に示すような速度変動が発生する。図19のグラフにおいて、縦軸はベルト線速、横軸は経過時間である。なお、一次転写面におけるベルトの速度変動は入口ローラ104の速度変動とほぼ同様の挙動であるので、入口ローラ104の速度変動で代用している。
【0005】
それに対して、感光体ドラム101は用紙の二次転写部への突入時においてもほぼ同速で回転駆動されるので、感光体ドラム101と中間転写ベルト102との間で速度差が発生する。この速度差によって、一次転写部において転写位置ずれが発生する。
【0006】
用紙突入時に発生した一次転写部における転写位置ずれを含むトナー像は、一次転写部から二次転写部までの距離をLとすると、用紙先端からLの位置で用紙に転写、定着され、図20に示すような濃い部分Kと薄い部分Uという局所的な濃度ムラを持った最終画像となって排紙される。
【0007】
このように、用紙突入時に発生する一次転写部における転写位置ずれを防ぐには、用紙突入時における入口ローラ104の速度変動を抑制する必要がある。この入口ローラの速度変動がどのようなメカニズムで発生するのかについて以下に説明する。
【0008】
入口ローラの速度変動は、大きく分けて以下の3つの変動から成り立っている。
1)プレニップ突入による速度変動
これは、図21に示すように用紙先端がプレニップ部(駆動ローラ103に接していない部分におけるベルト102と二次転写ローラ106のニップ)に突入する際に発生する変動である。用紙先端によってプレニップ部におけるベルトが内側に押されることにより、駆動ローラ103が減速し、入口ローラ104が加速する現象である。
【0009】
2)本ニップ突入による速度変動
これは、図22に示すように用紙先端が本ニップ部(駆動ローラ103に接している部分におけるベルト102と二次転写ローラ106のニップ)に突入する際に発生する変動である。用紙先端が本ニップ部に噛み込むことによって、駆動ローラ103,入口ローラ104共に減速する現象である。
【0010】
3)ベルトが戻ることによる速度変動
これは、図23に示すように用紙先端が本ニップ部を通過し、二次転写ローラ106が押し下げられる際に発生する変動である。これまで内側に押し込まれていたベルトが元に戻るので、1)のプレニップ突入による速度変動とは逆の変動が発生する。すなわち、駆動ローラ103は加速し、入口ローラ104は減速する。
【0011】
中間転写ベルトや搬送ベルト等のベルトの速度変動あるいは像担持体の速度変動を抑制することを目的とした技術が例えば特許文献1,2等により提案されている。
特許文献1に記載された発明は、用紙先端が転写圧接部に突入する際の像担持体速度変動の抑制を目的として、用紙が転写圧接部に突入する前に前記像担持体の制動負荷を所定の大きさまで徐々に増加させ、突入タイミングに合わせて制動負荷を減少、除去するものである。
【0012】
特許文献2に記載された発明は、用紙先端が二次転写部に突入する際および用紙後端が二次転写部を抜ける際の中間転写ベルト速度変動の抑制を目的として、中間転写ベルトを張架するローラの回転軸に対して制動力を直接付与する制動力付与手段を設け、用紙が二次転写部に進入する際に、制動力を進入直前よりも弱める制御を実施し、用紙が二次転写部を抜ける際に、制動力を排出直前よりも強める制御を実施するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記特許文献1に記載のものにおいては、用紙突入に合わせて制動力を減少・除去するタイミングの設定において、転写、レジスト間に設置した光学センサで用紙を検知してから所定の時間後と設定しているが、センサで検知してから用紙突入までの時間がばらつく可能性がある。それによって、抑制効果がばらつき、場合によっては悪化させてしまうという問題がある。また、上記特許文献2に記載のものも同様の問題を有している。
【0014】
本発明は、従来の画像形成装置における上述の問題を解決し、ベルトの速度変動を抑制して画像の位置ズレを防ぎ、高品質な画像を得ることのできる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記の課題は、本発明により、複数の支持ローラに張架された無端状ベルトと、前記無端状ベルトに圧接されて転写ニップを形成し該転写ニップを通過する記録媒体に画像を転写させる転写部材とを有する画像形成装置において、前記無端状ベルトに所定の走行負荷を付与及び付与解除可能な負荷付与手段を設け、前記負荷付与手段により予め前記無端状ベルトに対して所定の負荷を付与するとともに、前記転写ニップ上流側における前記無端状ベルトのベルト内側方向への変位に応じて前記予め付与した負荷を解除するよう制御する制御手段を備えることにより解決される。
【0016】
本発明においては、転写ニップ上流側における無端状ベルトの内側への変位に応じて、あらかじめ付与していたベルト走行負荷の解除と付与の切り替えを行なう。用紙の転写ニップへの突入の際に、プレニップ部においてベルトは内側に変位するので、この内側への変位に応じて、その後発生するベルトの減速を走行負荷の解除によって抑制する。このような制御によって、用紙がより転写ニップに接近したタイミングで走行負荷の解除ができるので、従来の用紙先端の通過を検知して行なうものよりも正確にベルトの減速に合わせて負荷解除を行なうことができる。
【0017】
また、前記転写ニップ上流側における前記無端状ベルトの変位量を検出する検出手段を有し、前記制御手段は、前記検出手段で検出した前記無端状ベルトのベルト内側方向への変位量が所定値より大きくなった場合に前記負荷付与手段により予め付与した負荷の解除を行なうと好ましい。
【0018】
また、前記転写ニップ上流側における前記無端状ベルトの変位量を検出する検出手段を有し、前記制御手段は、前記検出手段で検出した前記無端状ベルトのベルト内側方向への変位量が第1の所定値より大きくなった場合に前記負荷付与手段により予め付与した負荷の解除を行ない、前記無端状ベルトのベルト内側方向への変位量が第2の所定値より小さくなったときに前記負荷付与手段により前記無端状ベルトに対して所定の負荷を付与すると好ましい。
【0019】
用紙の転写ニップへの突入時に走行負荷の解除を行なってベルトの減速を抑制することに加えて、解除した負荷を用紙抜け時に再度を付与することによってベルトの加速を抑制することができる。また、後続用紙の突入までに負荷を付与することができるので、連続通紙にも対応することができる。
【0020】
また、前記負荷付与手段は、前記転写ニップ上流側に配置された支持ローラの軸端部に設けられ該支持ローラの軸に摺動するトルクリミッタと、前記トルクリミッタの回転動作を抑制する抑制手段とを有すると好ましい。
【0021】
また、前記負荷付与手段は、前記無端状ベルトに付与する負荷の量を変更可能に設けられ、前記制御手段は、記録媒体の厚さに応じて前記無端状ベルトに付与する負荷の量を変更すると好ましい。
【0022】
また、前記負荷付与手段は、前記転写ニップ上流側に配置された支持ローラの軸の両側端部にそれぞれ設けられ該支持ローラの軸に摺動する限界トルク値の異なるトルクリミッタと、前記各トルクリミッタの回転動作を個別に抑制する抑制手段とを有すると好ましい。
【0023】
また、前記制御手段は、前記負荷付与手段の前記抑制手段により前記トルクリミッタの回転動作を抑制することで前記無端状ベルトに負荷を付与し、前記抑制手段による前記トルクリミッタの回転動作抑制を解除することで前記無端状ベルトに対する負荷付与を解除すると好ましい。
【0024】
また、前記無端状ベルトが中間転写ベルトであり、該中間転写ベルト上に複数色の画像を順次重ねて転写することによりカラー画像を形成可能であると好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の画像形成装置によれば、負荷付与手段によって無端状ベルトに所定の走行負荷を予め付与しておき、その負荷を解除することによって、負荷解除による見掛け上の加速トルクを与えることができるので、用紙先端が転写ニップに突入する際に発生するベルトの速度変動を抑制することが可能となる。
【0026】
また、無端状ベルトのベルト内側方向への変位に応じて負荷解除を行なうことにより、転写ニップとレジスト手段との間で用紙先端を検知して負荷解除を行なう構成と比べて、用紙先端がより転写ニップに接近したタイミングで負荷解除を行なうことができ、より高精度に負荷を解除してベルトの速度変動を適切に抑制することができる。
【0027】
請求項2の構成により、所定値(閾値)の設定により負荷を解除するタイミングを調整することができ、ベルト搬送レイアウトや物性値等の違いにより負荷を解除する最適なタイミングが異なる場合であっても、最適な負荷解除タイミングを設定することができる。
【0028】
請求項3の構成により、用紙突入に合わせた負荷の解除だけでなく、用紙が転写ニップを抜けたタイミングで負荷を付与することができるので、用紙抜け時のベルトが加速されることを抑制することができる。また、用紙が抜けた後に無端状ベルトに走行負荷を付与した状態とすることができるので、連続通紙におけるベルトの速度変動を抑制することができる。
【0029】
請求項4の構成により、転写ニップ上流側に配置された支持ローラの軸に対し、トルクリミッタの持つ限界トルク分だけの負荷を掛けることができ、所望の走行負荷を無端状ベルトに付与することができる。また、負荷の付与と解除とを自由に制御することができる。負荷付与手段にトルクリミッタを用いることにより、低コストに走行負荷の解除と付与とを行なうことができ、その切り替えも容易である。
【0030】
請求項5の構成により、用紙厚さによる用紙突入時と抜け時における無端状ベルトの速度変動の違いに対応して適切な走行負荷を付与又は解除することができるので、用紙の厚さが異なる場合であってもベルト速度変動の抑制効果を得ることができる。
【0031】
請求項6の構成により、無端状ベルトを張架する支持ローラの軸に異なる(2種類の)トルクを選択的に付与することができ、2種類の用紙厚さに対応したベルト走行負荷を解除あるいは付与することができる。
【0032】
請求項7の構成により、トルクリミッタの回転抑制時には、無端状ベルトを張架する支持ローラの軸とトルクリミッタがトルクリミッタの限界トルクを超えて空転するので、限界トルク分の負荷トルクを支持ローラの軸に付与することができる。また、トルクリミッタの回転抑制を解除すると、支持ローラの軸に対してトルクリミッタが連れ回りするので、付与していた負荷トルクを解除することができる。
【0033】
請求項8の構成により、中間転写ベルトの速度変動を抑制することができるため、一次転写部での各色画像の位置ズレを防ぎ、色ズレのない高品質なカラー画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る画像形成装置の一例であるフルカラープリンタの概略構成を示す断面図である。このカラープリンタの全体的構成と動作については後述し、先に本発明の要旨であるベルトの速度変動抑制について説明する。
【0035】
図2は、図1のカラープリンタの二次転写部付近を示す斜視図である。この図に示すように、中間転写ベルト2は駆動ローラ3,入口ローラ4及びクリーニング対向ローラ5に張架され、駆動源であるモータ16からギヤを介して駆動ローラ3を回転駆動することにより、中間転写ベルト2が図中反時計回りに走行駆動される。なお、ギヤを介さずにモータ16から直接駆動ローラ3を駆動する構成でも良い。また、駆動源であるモータの種類に関しては特別な制約はなく、例えばパルスモータであれば一定パルスを入力し、例えばブラシレスDCモータであれば内部FG信号などよりモータを高精度に駆動することができる。さらに、中間転写ベルト2にテンションを付与するローラ機構などを加えた構成としても良い。
【0036】
駆動ローラ3に対向して二次転写手段である転写ローラ6が配置され、所定の圧力で中間転写ベルト2を挟んで駆動ローラ3に圧接され、二次転写部を形成している。その二次転写部の用紙搬送方向上流側(本例では図の下方)には、用紙をタイミングをとって送出するためのレジストローラ対8,9が配設されている。
【0037】
上記二次転写部の手前側であるプレニップ部のベルト内側には、中間転写ベルト2の変位を測定する変位センサ7が、入口ローラ4と駆動ローラ3間でベルト辺に対向するように配置されている。変位センサ7としては、例えば反射型光学センサを用いることができる。そして入口ローラ4の軸には、入口ローラ4に負荷を与える(入口ローラ4を介して中間転写ベルト2に負荷を与える)負荷付与手段10が設けられている。負荷付与手段10は、本例では、入口ローラ4の軸に摺動するトルクリミッタ11,一方側端部を支点として揺動可能に支持されたラチェット12,ラチェット12の支点と反対側端部に係止され、該端部を上方に引っ張る付勢手段である引張りバネ13,引張りバネ13の付勢力に抗してラチェット12を引き下げてトルクリミッタ11との接触を解除させるための電磁ソレノイド14,電磁ソレノイド14を駆動するための駆動回路15等で構成される。
【0038】
図3は、上記負荷付与手段10を用いたベルト速度変動抑制の概念を示すものである。図3において、上段のグラフは、用紙(厚紙)が転写ニップ(二次転写部)に突入することによって生じる中間転写ベルト2の変位(変位センサ7とベルト2間の距離)を示したものである。グラフの横軸は経過時間である。なお、非通紙時における変位センサ7から中間転写ベルト2までの距離をD[mm]としている。下段のグラフは、入口ローラ4の線速が変化する様子を示すものであり、負荷付与手段10による速度変動抑制制御を行なわない場合を実線で示し、速度変動抑制制御を行った場合(負荷解除後の変動波形)を点線にて示している。
【0039】
本実施例(実施例1)では、用紙が転写ニップに突入する前にあらかじめ、ベルト速度変動の減速部分{背景技術にて説明した入口ローラ速度変動のうちの、2)本ニップ突入による速度変動、3)ベルトが戻ることによる速度変動}に相当する大きさの負荷トルクを入口ローラ4に付与しておき、変位センサ7から中間転写ベルト2までの距離が所定の閾値を下回る(ベルトの変位量が所定値より大きくなる)タイミングで、負荷トルクを解除する(負荷付与手段10の電磁ソレノイド14をONする)。それによって、ベルト速度変動の減速部分で、負荷解除による見かけ上の加速トルクが入口ローラ4に付与されることになるので、減速が抑制されることになる。なお、閾値により検知してから実際にベルトが減速するまでには、線速205mm/sec搬送時において約10msec程度の時間が存在する。ただ、装置(負荷付与手段)の性能等の制約により、検知してから負荷解除により加速トルクが付与されるまでには、この程度の時間遅れは発生すると想定されるので、むしろ都合が良い。
【0040】
図4は負荷付与手段10の動作を示す模式図であり、(a)は負荷付与時の状態を、(b)は負荷解除時の状態を示す。
図4に示すように、ベルト走行負荷を付与するときは、電磁ソレノイド14をOFFにしているので、引張りバネ13の引張り力により、ラチェット12(の突部)がトルクリミッタ11の歯部に噛み合う状態になる。それによって、トルクリミッタ11の回転運動が抑制された状態となる。ベルト駆動開始時において、入口ローラ4の軸4aは回転しようとするので、トルクリミッタ11と入口ローラ軸4aとの間にトルクが発生する。そのトルクがトルクリミッタ11の持つ限界トルクを越えると、入口ローラ軸4aは回転し始め、トルクリミッタ11と入口ローラ軸4aは空転する。このように、入口ローラ軸4aが回転している間は、入口ローラ軸4aにトルクリミッタ11の持つ限界トルク分の負荷が付与されていることになる。
【0041】
ベルト走行負荷解除時は、電磁ソレノイド14をONにしてラチェット12を引張り、トルクリミッタ11の回転運動の抑制を解除する。それによって、トルクリミッタ11は入口ローラ軸4aに対して従動し、入口ローラ軸4aに付与されていた負荷トルクが解除されることになる。
【0042】
図5は、負荷付与手段10を制御する制御部を示すブロック図である。
この図において、変位センサ7の出力はCPU17に入力される。CPU17にはメモリ18が接続されている。ソレノイド14を制御するための信号はCPU17から駆動回路15を介してソレノイド14に送られる。なお、図2では、図5におけるCPU17及びメモリ18は図示されていない。
【0043】
図6は、負荷付与手段10の制御フローチャートである。
本実施例において、ジョブ待機状態では電磁ソレノイド14をOFFにしているので、中間転写ベルト2に走行負荷を付与する状態になっている。プリントジョブが開始され用紙が二次転写部に突入し、変位センサ7とベルト2間の距離が所定の閾値を下回る(ベルトの変位量が所定値より大きくなる)と(S1)、電磁ソレノイド14をONにする(S2)。それにより、用紙突入によるベルト減速時においてベルトの走行負荷が解除され、負荷解除による加速トルクが入口ローラ4に付与されることになるので、ベルト2の減速が抑制されることになる。
【0044】
ここでは、220kg紙(256/m2 紙)以上の通紙時に負荷解除を行うことを想定しており、変位センサ7とベルト2間の距離の閾値をD−0.4[mm]としている。この閾値は、ベルトを張架するローラのレイアウトや用紙の搬送方向等によって調整する必要があるが、二次転写部ニップ方向と用紙搬送方向の為す角度が大きくなるほど、よりベルトが内側に押し込まれる量が大きくなるので、閾値は大きめに設定するのが良い。なお、閾値であるD−0.4[mm]を超えないような普通紙等の通紙の場合は、負荷解除は行なわれないので、負荷解除により逆に加速方向に変動が大きくなってしまうようなこともない。また、解除、付与を行なう負荷の量は0.01[N・m]と設定しているが、これも閾値と同様に調整する必要があり、特に二次転写ニップ圧が大きくなるにつれて、解除する負荷、付与の量を大きく設定する必要がある。
【0045】
そして、S3で印刷終了を判断し、印刷が終了すると電磁ソレノイド14をOFFにする(S4)。なお、S2の「ソレノイドON」は、ソレノイド駆動回路15をONしてベルト2に対する走行負荷解除状態とするものである。また、S4の「ソレノイドOFF」は、ソレノイド駆動回路15をOFFしてベルト2に対する走行負荷付与状態とするものである。
【0046】
次に、負荷付与手段10の制御が異なる第2実施例について説明する。
上記説明した第1実施例では、1枚目の用紙が二次転写部突入時に負荷を解除した後、プリントジョブが終わるまで(待機状態になるまで)電磁ソレノイド14はOFFされないので、ジョブ終了まで負荷は解除されたままの状態である。そのため、連続通紙時において、2枚目の用紙が突入するときにあらかじめ走行負荷を付与しておくことができない。したがって、第1実施例では2枚目以降の厚紙突入に関してはベルト減速を抑制する効果がない。その点を改善したのが本第2実施例である。
【0047】
図7を参照して第2実施例の概念を説明する。
図7において、上段のグラフは、用紙が転写ニップ(二次転写部)に突入することによって生じる中間転写ベルト2の変位(変位センサ7とベルト2間の距離)を示したものである。グラフの横軸は経過時間である。なお、本第2実施例では、用紙突入を検知するための閾値を閾値1(D−0.4[mm])、用紙抜けを検知するための閾値を閾値2(D+0.3[mm])としている。下段のグラフは、入口ローラ4の線速が変化する様子を示すものであり、負荷付与手段10による速度変動抑制制御を行なわない場合を実線で示し、速度変動抑制制御を行った場合(負荷解除後の変動波形)を点線にて示している。
【0048】
用紙突入時における負荷解除は第1実施例と同じであるが、本第2実施例では、用紙抜け時における変位センサからベルトまでの距離の変化を用いて負荷解除状態から負荷付与状態へと切り替える。つまり、用紙抜け時では、センサ7からベルト2までの距離が突入時とは逆に大きくなるので、閾値2を上回った時にソレノイド14をOFFにして、負荷付与状態にする。
【0049】
元々の変動が加速変動なので、そのタイミングで負荷を付与することによって、入口ローラ4に減速方向のトルクが付与されることになり、加速変動を抑制することになる。このように、2枚目の用紙が突入する前には負荷付与状態になっているので、1枚目と同様の動作を行うことによって、連続通紙にも対応でき、さらに用紙抜け時における加速変動も抑制できる。3枚目以降の用紙の場合も同様である。
【0050】
図8は、第2実施例における負荷付与手段10の制御フローチャートである。
図8のフローチャートにおいて、S11で変位センサ7とベルト2間の距離が閾値1より小さくなった(ベルトの変位量が第1の所定値より大きくなった)かどうかを見て、閾値1より小さくなったらソレノイド14をONさせる(S12)。そして、S13で変位センサ7とベルト2間の距離が閾値2よりも大きくなった(ベルトの変位量が第2の所定値より小さくなった)かどうかを見る。閾値2よりも大きくなったらソレノイド14をOFFさせ(S14)、印刷ジョブが終了したかどうかを判断する(S15)。まだ、印刷すべきページがあればS11の前に戻り、前ページ印刷が終了したら制御終了である。なお、ソレノイドのON,OFFについては図6の場合と同様である。
【0051】
次に、3段階の用紙厚さに対応可能な第3実施例について説明する。
上記した第1及び第2実施例では、負荷解除を行う厚紙の厚さは1段階だけであった(普通紙と厚紙の2種類の用紙に対応して負荷を付与または解除する)が、本第3実施例では、2段階の厚紙に対応して負荷解除を行うことで、普通紙、中厚紙、最厚紙の3種類に対応可能とし、それぞれ適切な大きさの負荷の付与と解除とを行うものである。
【0052】
図9は第3実施例における負荷付与手段を備えたプリンタの二次転写部付近を示す斜視図である。なお、負荷付与手段以外の基本的構成は図2(第1、第2実施例)と同様であるので、重複する説明は省略し、異なる部分を中心に説明する。
【0053】
図2の構成では、入口ローラ4に負荷を与える負荷付与手段は1つだけであったが、本第3実施例では、図9に示すように、入口ローラ4の両側(両端)に、それぞれ限界トルクの異なるトルクリミッタを持つ負荷付与手段20A,20Bを設けている。ここでは、限界トルクの小さい方の負荷付与手段を20A,限界トルクの大きい方の負荷付与手段を20Bとしている。負荷付与手段20A,20Bの構造自体は同じであり、図10にも示すように、トルクリミッタ11,ラチェット12,引張りバネ13,電磁ソレノイド14,駆動回路15及び偏芯カム16等で構成される。なお、図9では偏芯カム16は図示していない。また、図の煩雑を避けるため、負荷付与手段を構成する各部材のうち、トルクリミッタ11,電磁ソレノイド14及び偏芯カム16にのみa,bを付して区別し、他の部材には付していない。さらに、偏芯カム16a,16bは、それぞれ図示しないカム駆動手段により駆動される。
【0054】
本第3実施例において、ジョブ待機時は、電磁ソレノイド14a,14b及び偏芯カム16a,16bは駆動OFFの状態であり、両方の負荷付与手段10A,10Bとも引張りバネ13によりラチェット12が引き上げられ、トルクリミッタ11a,11bの回転が抑制された(負荷が付与された)状態である。なお、偏芯カム16a,16bは、駆動ONでラチェット12を押し下げる位置(図10の位置)、駆動OFFで押し下げ解除位置(このとき、ソレノイド14がOFFであれば引張りバネ13によりラチェット12が引き上げられる位置=図12の負荷付与手段20Aの状態)になるものとする。
【0055】
以下、第3実施例における、普通紙モード、中厚紙モード、最厚紙モードのそれぞれについて、各モードごとにフローチャート及び動作説明図を参照して説明する。なお、各モードは、プリンタに対する印刷指示の中で用紙厚さを設定することによりモード選択可能であり、あるいはプリンタの操作部(操作パネル)等からの入力によってモード選択することも可能である。
【0056】
まず、図10,11により普通紙モードを説明する。普通紙モード時は、入口ローラ4(中間転写ベルト2)に対する走行負荷の解除・付与の動作を行わなくても良いので、図10に示すように、偏芯カム16a,16bともに駆動ONにし、両方の負荷付与手段10A,10Bとも常にラチェット12を押し下げた状態とし、トルクリミッタ11a,11bの回転を抑制しないように(負荷を付与しないように)する。こうすることで、普通紙の通紙時にはトルクリミッタ11a,11bは入口ローラ軸4aに対して従動し、常に負荷が付与されない状態となる。
【0057】
図11のフローチャートにおいて、偏芯カム16a,16bの駆動をONにし(S21)、印刷ジョブが終了したかどうかを見る(S22)。全ページの印刷が終了したら、偏芯カム16a,16bの駆動をOFFにして(S23)、待機状態となる。なお、上記したように、偏芯カム16の駆動ONは、ラチェット12を押し下げた状態にすることであり、ベルト走行負荷解除状態にすることを意味する。また、偏芯カム16の駆動OFFは、ラチェット12が引張りバネ13により引き上げられる状態にすることであり、ベルト走行負荷付与状態にすることを意味する。
【0058】
次に、中厚紙モードを図12〜14を参照して説明する。
中厚紙モード時は、限界トルクが小さいトルクリミッタ(11a)のみ作用させる必要があり、大きい方の負荷付与手段20Bは、図12,13に示すように、常に走行負荷解除状態にしておく。すなわち、中厚紙モードのジョブを受けた時点で、偏芯カム16bを駆動ONして常にラチェット12を押し下げておき、走行負荷解除状態を保持するようにしておく。一方、限界トルクが小さい方の負荷付与手段20Aに関しては、偏芯カム16aの駆動を常にOFFの状態にし、ソレノイド14aの動作は図7で説明したように、所定の閾値1を下回れば、ソレノイド14aをONにしてトルクリミッタ11aの回転抑制を解除し(図13)、所定の閾値2を上回れば、ソレノイド14aをOFFにしてトルクリミッタ11aの回転を抑制する動作を行なう(図12)。このときの、対応する紙厚及びセンサ7からベルト2までの距離の閾値であるが、例えば、180kg(220g/m2 紙)から258kg紙(300g/m2 紙)程度までの紙厚で、閾値1はD−0.36[mm]、閾値2はD+0.27[mm]程度に設定しておく。
【0059】
また、中厚紙モードにおける解除、付与を行なう負荷の量は0.008[N・m]と設定しているが、これも閾値と同様に調整する必要があり、特に二次転写ニップ圧が大きくなるにつれて、解除する負荷、付与の量を大きく設定する必要がある。
【0060】
図14のフローチャートにおいて、偏芯カム16bの駆動をONにし(S31)、変位センサ7とベルト2間の距離が閾値1より小さくなったかどうかを見る(S32)。センサ−ベルト間の距離が閾値1より小さければ、ソレノイド14aをONにする(S33)。そして、変位センサ7とベルト2間の距離が閾値2より大きくなったかどうかを見る(S34)。センサ−ベルト間の距離が閾値2より大きければ、ソレノイド14aをOFFにする(S35)。そして、印刷ジョブが終了したかどうかを見る(S36)。印刷が終了していなければS32の前に戻り、全ページの印刷が終了したら、偏芯カム16bの駆動をOFFにして(S37)、待機状態となる。なお、ソレノイドのON,OFFについては図6の場合と同様である。また、偏心カムのON,OFFについては図11の場合と同様である。
【0061】
次に、最厚紙モードを図15〜17を参照して説明する。
最厚紙モード時は、限界トルクが大きいトルクリミッタ(11b)のみ作用させる必要があり、小さい方の負荷付与手段20Aは、図15,16に示すように、常に走行負荷解除状態にしておく。ここでは、電磁ソレノイド14aは常にOFFにしておき、偏芯カム16aをONさせて常にラチェット12を押し下げておき、走行負荷解除状態を保持するようにしておく。一方、限界トルクが大きい方の負荷付与手段20Bに関しては、偏芯カム16bの駆動を常にOFFの状態にし、ソレノイド14bの動作は図7で説明したように、所定の閾値1を下回れば、ソレノイド14bをONにしてトルクリミッタの回転抑制を解除し(図16)、所定の閾値2を上回れば、ソレノイド14bをOFFにしてトルクリミッタの回転を抑制する動作を行なう(図15)。このときの、対応する紙厚及びセンサ7からベルト2までの距離の閾値であるが、例えば、258kg紙(300g/m2 紙)以上までの紙厚で、閾値1はD−0.5[mm]、閾値2はD+0.37[mm]程度に設定しておく。
【0062】
また、最厚紙モードにおける解除、付与を行なう負荷の量は0.012[N・m]と設定しているが、これも閾値と同様に調整する必要があり、特に二次転写ニップ圧が大きくなるにつれて、解除する負荷、付与の量を大きく設定する必要がある。
【0063】
図18のフローチャートにおいて、偏芯カム16aの駆動をONにし(S41)、変位センサ7とベルト2間の距離が閾値1より小さくなったかどうかを見る(S42)。センサ−ベルト間の距離が閾値1より小さければ、ソレノイド14bをONにする(S43)。そして、変位センサ7とベルト2間の距離が閾値2より大きくなったかどうかを見る(S44)。センサ−ベルト間の距離が閾値2より大きければ、ソレノイド14bをOFFにする(S45)。そして、印刷ジョブが終了したかどうかを見る(S46)。印刷が終了していなければS42の前に戻り、全ページの印刷が終了したら、偏芯カム16aの駆動をOFFにして(S47)、待機状態となる。なお、ソレノイドのON,OFFについては図6の場合と同様である。また、偏心カムのON,OFFについては図11の場合と同様である。
【0064】
このように、本第3実施例では、入口ローラ4の軸の両端部に限界トルクの異なるトルクリミッタを選択的に作用させることで、普通紙,中厚紙,最厚紙と3段階の用紙厚さに対応することができ、中厚紙および最厚紙に対してそれぞれ適切な大きさの走行負荷の付与と解除を切り替え、二次転写ニップへの用紙突入時の中間転写ベルト2の速度変動を抑制することができる。
【0065】
最後に、図1に示すカラープリンタの全体的構成と動作について説明する。
図1に示すカラープリンタは、本体のほぼ中央部に4つの(4色分の)作像ユニット50Y,50C,50M,50Kを並設している。その4連の作像ユニットの上側にベルトユニット1を、下側に光書込み装置60を配設している。なお、作像ユニット50の色の並べ順はこれに限定されるものではない。
【0066】
各作像ユニット50は像担持体としての感光体ドラム51をそれぞれ有し、その回りには専用の帯電器52、現像装置53、一次転写ローラ54、クリーニング装置55等を備えている。なお、これらの機器については、図中スペースの関係で、黒用作像ユニット50Kの各機器にのみ符号を付しており、他色の作像ユニットにおける符号は省略する。
【0067】
ベルトユニット1については図2により先に説明したが、二次転写部と反対側の支持ローラ5に対向するように、ベルトクリーニング装置19がベルト2の外側に配置される。
【0068】
ベルトユニット1の上方には4本のトナーボトル32が配置されている。各トナーボトル32には、左からイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナーが充填されており、ここから不図示の搬送経路によって、所定の補給量だけ各色作像ユニット50の現像装置にトナーが補給される。
【0069】
装置本体の最下部には、例えば転写紙等の記録媒体を収納する給紙カセット26がセットされる。給紙カセット26は、用紙を押し上げる底板25を有している。給紙カセット26の一方側端部に位置するように、給紙分離装置27が設けられる。
【0070】
また、給紙分離装置27の上方で二次転写部の手前に位置するように、レジストローラ対8,9が配設されている。二次転写部の下流側(図の上方)には、定着装置28が設けられる。
【0071】
カラー画像の形成動作は、用紙が給紙カセット26から給紙分離装置27によって給送され、用紙先端がレジストローラ対8,9まで到達すると不図示のセンサによって検知され、この検出信号でタイミングを取りながら、レジストローラ対8,9によって用紙を二次転写ローラ6と中間転写ベルト2のニップ部に送出する。
【0072】
一方、各色作像ユニット50では、あらかじめ帯電装置52によって一様に帯電させられた感光体ドラム51は、光書込み装置60によりレーザー光にて露光走査され、感光体ドラム51上に静電潜像が作られる。各静電潜像は、それぞれ各色の現像装置53により現像され、感光体ドラム51の表面にイエロー、シアン、マゼンタ、黒のトナー像が形成される。
【0073】
次に一次転写ローラ54に電圧が印加され、感光体ドラム51上のトナーが、中間転写ベルト2上に順次転写されていく。この時、各色の作像動作は、そのトナー像が中間転写ベルト2の同じ位置に重ねて転写されるように、上流側から下流側に向けてタイミングをずらして実行される。中間転写ベルト2上に形成された画像は、二次転写部まで搬送され、用紙に二次転写される。各色のトナー像が転写された用紙は、定着装置28に搬送されて熱定着され、排紙ローラ29により装置上面の排紙トレイ30に排出され、スタックされる。
【0074】
感光体ドラム51上に残留したトナーは、それぞれのクリーニング装置55でクリーニングされ、その後、帯電装置52によって除電と同時に帯電され、次の作像に備えられる。また、中間転写ベルト2上の残留トナーは、ベルトクリーニング装置19によってクリーニングされ、次の作像工程に備えられる。
【0075】
以上、本発明を図示例により説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。速度変動の抑制対象であるベルトは中間転写ベルトに限らず、転写ベルトや搬送ベルトであっても良い。また、ベルト状像担持体(例えば感光体ベルト)に対しても本発明は適用可能である。また、ベルトの張設形態や、ベルト位置を検知するセンサの種類及び位置等は適宜に設定できるものである。また、負荷付与手段における、負荷の付与と解除を切り替える閾値の値も適宜に設定できるものである。負荷付与手段構成も任意であり、適宜な構成のものを使用可能である。
【0076】
本発明による画像形成装置は、中間転写方式に限らず、直接転写方式にも適用可能である。画像形成装置の作像部の構成も任意であり、タンデム式における各色作像ユニットの配置順などは任意である。また、タンデム式に限らず、一つの感光体の周囲に複数の現像装置を配置したものや、リボルバ型現像装置を用いる構成も可能である。また、3色のトナーを用いるフルカラー機や、2色のトナーによる多色機、あるいはモノクロ装置にも本発明を適用することができる。もちろん、画像形成装置としてはプリンタに限らず、複写機やファクシミリ、あるいは複数の機能を備える複合機であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例であるフルカラープリンタの概略構成を示す断面図である。
【図2】図1のカラープリンタの二次転写部付近を示す斜視図である。
【図3】本発明によるベルト速度変動抑制の概念を説明するためのグラフである。
【図4】負荷付与手段の動作を示す模式図である。
【図5】負荷付与手段の制御部を示すブロック図である。
【図6】負荷付与手段の制御フローチャートである。
【図7】連続通紙に対応したベルト速度変動抑制の概念を説明するためのグラフである。
【図8】第2実施例における負荷付与手段の制御フローチャートである。
【図9】第3実施例の二次転写部付近を示す斜視図である。
【図10】第3実施例における普通紙モードの動作説明図である。
【図11】第3実施例の普通紙モードにおける負荷付与手段の制御フローチャートである。
【図12】第3実施例における中厚紙モードの動作説明図で、走行負荷付与状態を示すものである。
【図13】第3実施例における中厚紙モードの動作説明図で、走行負荷解除状態を示すものである。
【図14】第3実施例の中厚紙モードにおける負荷付与手段の制御フローチャートである。
【図15】第3実施例における最厚紙モードの動作説明図で、走行負荷付与状態を示すものである。
【図16】第3実施例における最厚紙モードの動作説明図で、走行負荷解除状態を示すものである。
【図17】第3実施例の最厚紙モードにおける負荷付与手段の制御フローチャートである。
【図18】従来の画像形成装置の一例における中間転写部の構成を模式的に示す図である。
【図19】用紙が転写ニップ部に突入する際のベルトの速度変動を示すグラフである。
【図20】濃度ムラを持った画像を示す模式図である。
【図21】用紙の転写ニップ突入による速度変動を説明するための図で、プレニップ突入による速度変動を示す模式図及びグラフである。
【図22】用紙の転写ニップ突入による速度変動を説明するための図で、本ニップ突入による速度変動を示す模式図及びグラフである。
【図23】用紙の転写ニップ突入による速度変動を説明するための図で、ベルトが戻ることによる速度変動を示す模式図及びグラフである。
【符号の説明】
【0078】
1 ベルトユニット
2 中間転写ベルト
3 駆動ローラ
4 入口ローラ
4a 入口ローラ軸
6 転写ローラ(二次転写手段)
8,9 レジストローラ対
7 変位センサ
10 負荷付与手段
11 トルクリミッタ
12 ラチェット
13 引張りバネ
14,14a,14b 電磁ソレノイド
15 駆動回路
16,16a,16b 偏芯カム
20A,20B 負荷付与手段
50 作像ユニット
51 感光体ドラム
60 光書込み装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の記録媒体へ記録する電子写真方式、静電記録方式、イオノグラフィー、磁気記録方式等の画像形成方式を採用した複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関し、特に感光体等の像担持体あるいは中間転写体上の可視像を記録媒体上に転写する転写部材を用いた転写装置及び記録媒体を搬送する記録媒体搬送装置において、記録媒体が像担持体と転写部材との圧接部に突入する際に発生する像担持体や中間転写体の速度変動を抑制するようにした画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特許第3528342号公報
【特許文献2】特開2007−286383号公報
【0003】
図18は、従来の画像形成装置の一例における中間転写部の構成を模式的に示す図である。この図において、中間転写ベルト102は駆動ローラ103によって駆動され、駆動ローラ103,入口ローラ104,テンションローラ105に張架されている。一方、図示しない給紙部から用紙Pが給紙され、レジストローラ対108,109でいったん待機する。中間転写ベルト102に感光体101より画像が転写されると、レジスト駆動ローラ108が駆動モータによって駆動され、中間転写ベルト102上のトナー像先端と同期をとって用紙Pが駆動ローラ103と二次転写ローラ106の圧接部(転写ニップ)に搬送され、加圧力と二次転写ローラ106に印加された転写バイアスによって、中間転写ベルト102に担持されているトナー像が用紙Pに転写される。
【0004】
ただし、用紙が二次転写ニップ部に突入する際、一次転写面におけるベルトには図19に示すような速度変動が発生する。図19のグラフにおいて、縦軸はベルト線速、横軸は経過時間である。なお、一次転写面におけるベルトの速度変動は入口ローラ104の速度変動とほぼ同様の挙動であるので、入口ローラ104の速度変動で代用している。
【0005】
それに対して、感光体ドラム101は用紙の二次転写部への突入時においてもほぼ同速で回転駆動されるので、感光体ドラム101と中間転写ベルト102との間で速度差が発生する。この速度差によって、一次転写部において転写位置ずれが発生する。
【0006】
用紙突入時に発生した一次転写部における転写位置ずれを含むトナー像は、一次転写部から二次転写部までの距離をLとすると、用紙先端からLの位置で用紙に転写、定着され、図20に示すような濃い部分Kと薄い部分Uという局所的な濃度ムラを持った最終画像となって排紙される。
【0007】
このように、用紙突入時に発生する一次転写部における転写位置ずれを防ぐには、用紙突入時における入口ローラ104の速度変動を抑制する必要がある。この入口ローラの速度変動がどのようなメカニズムで発生するのかについて以下に説明する。
【0008】
入口ローラの速度変動は、大きく分けて以下の3つの変動から成り立っている。
1)プレニップ突入による速度変動
これは、図21に示すように用紙先端がプレニップ部(駆動ローラ103に接していない部分におけるベルト102と二次転写ローラ106のニップ)に突入する際に発生する変動である。用紙先端によってプレニップ部におけるベルトが内側に押されることにより、駆動ローラ103が減速し、入口ローラ104が加速する現象である。
【0009】
2)本ニップ突入による速度変動
これは、図22に示すように用紙先端が本ニップ部(駆動ローラ103に接している部分におけるベルト102と二次転写ローラ106のニップ)に突入する際に発生する変動である。用紙先端が本ニップ部に噛み込むことによって、駆動ローラ103,入口ローラ104共に減速する現象である。
【0010】
3)ベルトが戻ることによる速度変動
これは、図23に示すように用紙先端が本ニップ部を通過し、二次転写ローラ106が押し下げられる際に発生する変動である。これまで内側に押し込まれていたベルトが元に戻るので、1)のプレニップ突入による速度変動とは逆の変動が発生する。すなわち、駆動ローラ103は加速し、入口ローラ104は減速する。
【0011】
中間転写ベルトや搬送ベルト等のベルトの速度変動あるいは像担持体の速度変動を抑制することを目的とした技術が例えば特許文献1,2等により提案されている。
特許文献1に記載された発明は、用紙先端が転写圧接部に突入する際の像担持体速度変動の抑制を目的として、用紙が転写圧接部に突入する前に前記像担持体の制動負荷を所定の大きさまで徐々に増加させ、突入タイミングに合わせて制動負荷を減少、除去するものである。
【0012】
特許文献2に記載された発明は、用紙先端が二次転写部に突入する際および用紙後端が二次転写部を抜ける際の中間転写ベルト速度変動の抑制を目的として、中間転写ベルトを張架するローラの回転軸に対して制動力を直接付与する制動力付与手段を設け、用紙が二次転写部に進入する際に、制動力を進入直前よりも弱める制御を実施し、用紙が二次転写部を抜ける際に、制動力を排出直前よりも強める制御を実施するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記特許文献1に記載のものにおいては、用紙突入に合わせて制動力を減少・除去するタイミングの設定において、転写、レジスト間に設置した光学センサで用紙を検知してから所定の時間後と設定しているが、センサで検知してから用紙突入までの時間がばらつく可能性がある。それによって、抑制効果がばらつき、場合によっては悪化させてしまうという問題がある。また、上記特許文献2に記載のものも同様の問題を有している。
【0014】
本発明は、従来の画像形成装置における上述の問題を解決し、ベルトの速度変動を抑制して画像の位置ズレを防ぎ、高品質な画像を得ることのできる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記の課題は、本発明により、複数の支持ローラに張架された無端状ベルトと、前記無端状ベルトに圧接されて転写ニップを形成し該転写ニップを通過する記録媒体に画像を転写させる転写部材とを有する画像形成装置において、前記無端状ベルトに所定の走行負荷を付与及び付与解除可能な負荷付与手段を設け、前記負荷付与手段により予め前記無端状ベルトに対して所定の負荷を付与するとともに、前記転写ニップ上流側における前記無端状ベルトのベルト内側方向への変位に応じて前記予め付与した負荷を解除するよう制御する制御手段を備えることにより解決される。
【0016】
本発明においては、転写ニップ上流側における無端状ベルトの内側への変位に応じて、あらかじめ付与していたベルト走行負荷の解除と付与の切り替えを行なう。用紙の転写ニップへの突入の際に、プレニップ部においてベルトは内側に変位するので、この内側への変位に応じて、その後発生するベルトの減速を走行負荷の解除によって抑制する。このような制御によって、用紙がより転写ニップに接近したタイミングで走行負荷の解除ができるので、従来の用紙先端の通過を検知して行なうものよりも正確にベルトの減速に合わせて負荷解除を行なうことができる。
【0017】
また、前記転写ニップ上流側における前記無端状ベルトの変位量を検出する検出手段を有し、前記制御手段は、前記検出手段で検出した前記無端状ベルトのベルト内側方向への変位量が所定値より大きくなった場合に前記負荷付与手段により予め付与した負荷の解除を行なうと好ましい。
【0018】
また、前記転写ニップ上流側における前記無端状ベルトの変位量を検出する検出手段を有し、前記制御手段は、前記検出手段で検出した前記無端状ベルトのベルト内側方向への変位量が第1の所定値より大きくなった場合に前記負荷付与手段により予め付与した負荷の解除を行ない、前記無端状ベルトのベルト内側方向への変位量が第2の所定値より小さくなったときに前記負荷付与手段により前記無端状ベルトに対して所定の負荷を付与すると好ましい。
【0019】
用紙の転写ニップへの突入時に走行負荷の解除を行なってベルトの減速を抑制することに加えて、解除した負荷を用紙抜け時に再度を付与することによってベルトの加速を抑制することができる。また、後続用紙の突入までに負荷を付与することができるので、連続通紙にも対応することができる。
【0020】
また、前記負荷付与手段は、前記転写ニップ上流側に配置された支持ローラの軸端部に設けられ該支持ローラの軸に摺動するトルクリミッタと、前記トルクリミッタの回転動作を抑制する抑制手段とを有すると好ましい。
【0021】
また、前記負荷付与手段は、前記無端状ベルトに付与する負荷の量を変更可能に設けられ、前記制御手段は、記録媒体の厚さに応じて前記無端状ベルトに付与する負荷の量を変更すると好ましい。
【0022】
また、前記負荷付与手段は、前記転写ニップ上流側に配置された支持ローラの軸の両側端部にそれぞれ設けられ該支持ローラの軸に摺動する限界トルク値の異なるトルクリミッタと、前記各トルクリミッタの回転動作を個別に抑制する抑制手段とを有すると好ましい。
【0023】
また、前記制御手段は、前記負荷付与手段の前記抑制手段により前記トルクリミッタの回転動作を抑制することで前記無端状ベルトに負荷を付与し、前記抑制手段による前記トルクリミッタの回転動作抑制を解除することで前記無端状ベルトに対する負荷付与を解除すると好ましい。
【0024】
また、前記無端状ベルトが中間転写ベルトであり、該中間転写ベルト上に複数色の画像を順次重ねて転写することによりカラー画像を形成可能であると好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の画像形成装置によれば、負荷付与手段によって無端状ベルトに所定の走行負荷を予め付与しておき、その負荷を解除することによって、負荷解除による見掛け上の加速トルクを与えることができるので、用紙先端が転写ニップに突入する際に発生するベルトの速度変動を抑制することが可能となる。
【0026】
また、無端状ベルトのベルト内側方向への変位に応じて負荷解除を行なうことにより、転写ニップとレジスト手段との間で用紙先端を検知して負荷解除を行なう構成と比べて、用紙先端がより転写ニップに接近したタイミングで負荷解除を行なうことができ、より高精度に負荷を解除してベルトの速度変動を適切に抑制することができる。
【0027】
請求項2の構成により、所定値(閾値)の設定により負荷を解除するタイミングを調整することができ、ベルト搬送レイアウトや物性値等の違いにより負荷を解除する最適なタイミングが異なる場合であっても、最適な負荷解除タイミングを設定することができる。
【0028】
請求項3の構成により、用紙突入に合わせた負荷の解除だけでなく、用紙が転写ニップを抜けたタイミングで負荷を付与することができるので、用紙抜け時のベルトが加速されることを抑制することができる。また、用紙が抜けた後に無端状ベルトに走行負荷を付与した状態とすることができるので、連続通紙におけるベルトの速度変動を抑制することができる。
【0029】
請求項4の構成により、転写ニップ上流側に配置された支持ローラの軸に対し、トルクリミッタの持つ限界トルク分だけの負荷を掛けることができ、所望の走行負荷を無端状ベルトに付与することができる。また、負荷の付与と解除とを自由に制御することができる。負荷付与手段にトルクリミッタを用いることにより、低コストに走行負荷の解除と付与とを行なうことができ、その切り替えも容易である。
【0030】
請求項5の構成により、用紙厚さによる用紙突入時と抜け時における無端状ベルトの速度変動の違いに対応して適切な走行負荷を付与又は解除することができるので、用紙の厚さが異なる場合であってもベルト速度変動の抑制効果を得ることができる。
【0031】
請求項6の構成により、無端状ベルトを張架する支持ローラの軸に異なる(2種類の)トルクを選択的に付与することができ、2種類の用紙厚さに対応したベルト走行負荷を解除あるいは付与することができる。
【0032】
請求項7の構成により、トルクリミッタの回転抑制時には、無端状ベルトを張架する支持ローラの軸とトルクリミッタがトルクリミッタの限界トルクを超えて空転するので、限界トルク分の負荷トルクを支持ローラの軸に付与することができる。また、トルクリミッタの回転抑制を解除すると、支持ローラの軸に対してトルクリミッタが連れ回りするので、付与していた負荷トルクを解除することができる。
【0033】
請求項8の構成により、中間転写ベルトの速度変動を抑制することができるため、一次転写部での各色画像の位置ズレを防ぎ、色ズレのない高品質なカラー画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る画像形成装置の一例であるフルカラープリンタの概略構成を示す断面図である。このカラープリンタの全体的構成と動作については後述し、先に本発明の要旨であるベルトの速度変動抑制について説明する。
【0035】
図2は、図1のカラープリンタの二次転写部付近を示す斜視図である。この図に示すように、中間転写ベルト2は駆動ローラ3,入口ローラ4及びクリーニング対向ローラ5に張架され、駆動源であるモータ16からギヤを介して駆動ローラ3を回転駆動することにより、中間転写ベルト2が図中反時計回りに走行駆動される。なお、ギヤを介さずにモータ16から直接駆動ローラ3を駆動する構成でも良い。また、駆動源であるモータの種類に関しては特別な制約はなく、例えばパルスモータであれば一定パルスを入力し、例えばブラシレスDCモータであれば内部FG信号などよりモータを高精度に駆動することができる。さらに、中間転写ベルト2にテンションを付与するローラ機構などを加えた構成としても良い。
【0036】
駆動ローラ3に対向して二次転写手段である転写ローラ6が配置され、所定の圧力で中間転写ベルト2を挟んで駆動ローラ3に圧接され、二次転写部を形成している。その二次転写部の用紙搬送方向上流側(本例では図の下方)には、用紙をタイミングをとって送出するためのレジストローラ対8,9が配設されている。
【0037】
上記二次転写部の手前側であるプレニップ部のベルト内側には、中間転写ベルト2の変位を測定する変位センサ7が、入口ローラ4と駆動ローラ3間でベルト辺に対向するように配置されている。変位センサ7としては、例えば反射型光学センサを用いることができる。そして入口ローラ4の軸には、入口ローラ4に負荷を与える(入口ローラ4を介して中間転写ベルト2に負荷を与える)負荷付与手段10が設けられている。負荷付与手段10は、本例では、入口ローラ4の軸に摺動するトルクリミッタ11,一方側端部を支点として揺動可能に支持されたラチェット12,ラチェット12の支点と反対側端部に係止され、該端部を上方に引っ張る付勢手段である引張りバネ13,引張りバネ13の付勢力に抗してラチェット12を引き下げてトルクリミッタ11との接触を解除させるための電磁ソレノイド14,電磁ソレノイド14を駆動するための駆動回路15等で構成される。
【0038】
図3は、上記負荷付与手段10を用いたベルト速度変動抑制の概念を示すものである。図3において、上段のグラフは、用紙(厚紙)が転写ニップ(二次転写部)に突入することによって生じる中間転写ベルト2の変位(変位センサ7とベルト2間の距離)を示したものである。グラフの横軸は経過時間である。なお、非通紙時における変位センサ7から中間転写ベルト2までの距離をD[mm]としている。下段のグラフは、入口ローラ4の線速が変化する様子を示すものであり、負荷付与手段10による速度変動抑制制御を行なわない場合を実線で示し、速度変動抑制制御を行った場合(負荷解除後の変動波形)を点線にて示している。
【0039】
本実施例(実施例1)では、用紙が転写ニップに突入する前にあらかじめ、ベルト速度変動の減速部分{背景技術にて説明した入口ローラ速度変動のうちの、2)本ニップ突入による速度変動、3)ベルトが戻ることによる速度変動}に相当する大きさの負荷トルクを入口ローラ4に付与しておき、変位センサ7から中間転写ベルト2までの距離が所定の閾値を下回る(ベルトの変位量が所定値より大きくなる)タイミングで、負荷トルクを解除する(負荷付与手段10の電磁ソレノイド14をONする)。それによって、ベルト速度変動の減速部分で、負荷解除による見かけ上の加速トルクが入口ローラ4に付与されることになるので、減速が抑制されることになる。なお、閾値により検知してから実際にベルトが減速するまでには、線速205mm/sec搬送時において約10msec程度の時間が存在する。ただ、装置(負荷付与手段)の性能等の制約により、検知してから負荷解除により加速トルクが付与されるまでには、この程度の時間遅れは発生すると想定されるので、むしろ都合が良い。
【0040】
図4は負荷付与手段10の動作を示す模式図であり、(a)は負荷付与時の状態を、(b)は負荷解除時の状態を示す。
図4に示すように、ベルト走行負荷を付与するときは、電磁ソレノイド14をOFFにしているので、引張りバネ13の引張り力により、ラチェット12(の突部)がトルクリミッタ11の歯部に噛み合う状態になる。それによって、トルクリミッタ11の回転運動が抑制された状態となる。ベルト駆動開始時において、入口ローラ4の軸4aは回転しようとするので、トルクリミッタ11と入口ローラ軸4aとの間にトルクが発生する。そのトルクがトルクリミッタ11の持つ限界トルクを越えると、入口ローラ軸4aは回転し始め、トルクリミッタ11と入口ローラ軸4aは空転する。このように、入口ローラ軸4aが回転している間は、入口ローラ軸4aにトルクリミッタ11の持つ限界トルク分の負荷が付与されていることになる。
【0041】
ベルト走行負荷解除時は、電磁ソレノイド14をONにしてラチェット12を引張り、トルクリミッタ11の回転運動の抑制を解除する。それによって、トルクリミッタ11は入口ローラ軸4aに対して従動し、入口ローラ軸4aに付与されていた負荷トルクが解除されることになる。
【0042】
図5は、負荷付与手段10を制御する制御部を示すブロック図である。
この図において、変位センサ7の出力はCPU17に入力される。CPU17にはメモリ18が接続されている。ソレノイド14を制御するための信号はCPU17から駆動回路15を介してソレノイド14に送られる。なお、図2では、図5におけるCPU17及びメモリ18は図示されていない。
【0043】
図6は、負荷付与手段10の制御フローチャートである。
本実施例において、ジョブ待機状態では電磁ソレノイド14をOFFにしているので、中間転写ベルト2に走行負荷を付与する状態になっている。プリントジョブが開始され用紙が二次転写部に突入し、変位センサ7とベルト2間の距離が所定の閾値を下回る(ベルトの変位量が所定値より大きくなる)と(S1)、電磁ソレノイド14をONにする(S2)。それにより、用紙突入によるベルト減速時においてベルトの走行負荷が解除され、負荷解除による加速トルクが入口ローラ4に付与されることになるので、ベルト2の減速が抑制されることになる。
【0044】
ここでは、220kg紙(256/m2 紙)以上の通紙時に負荷解除を行うことを想定しており、変位センサ7とベルト2間の距離の閾値をD−0.4[mm]としている。この閾値は、ベルトを張架するローラのレイアウトや用紙の搬送方向等によって調整する必要があるが、二次転写部ニップ方向と用紙搬送方向の為す角度が大きくなるほど、よりベルトが内側に押し込まれる量が大きくなるので、閾値は大きめに設定するのが良い。なお、閾値であるD−0.4[mm]を超えないような普通紙等の通紙の場合は、負荷解除は行なわれないので、負荷解除により逆に加速方向に変動が大きくなってしまうようなこともない。また、解除、付与を行なう負荷の量は0.01[N・m]と設定しているが、これも閾値と同様に調整する必要があり、特に二次転写ニップ圧が大きくなるにつれて、解除する負荷、付与の量を大きく設定する必要がある。
【0045】
そして、S3で印刷終了を判断し、印刷が終了すると電磁ソレノイド14をOFFにする(S4)。なお、S2の「ソレノイドON」は、ソレノイド駆動回路15をONしてベルト2に対する走行負荷解除状態とするものである。また、S4の「ソレノイドOFF」は、ソレノイド駆動回路15をOFFしてベルト2に対する走行負荷付与状態とするものである。
【0046】
次に、負荷付与手段10の制御が異なる第2実施例について説明する。
上記説明した第1実施例では、1枚目の用紙が二次転写部突入時に負荷を解除した後、プリントジョブが終わるまで(待機状態になるまで)電磁ソレノイド14はOFFされないので、ジョブ終了まで負荷は解除されたままの状態である。そのため、連続通紙時において、2枚目の用紙が突入するときにあらかじめ走行負荷を付与しておくことができない。したがって、第1実施例では2枚目以降の厚紙突入に関してはベルト減速を抑制する効果がない。その点を改善したのが本第2実施例である。
【0047】
図7を参照して第2実施例の概念を説明する。
図7において、上段のグラフは、用紙が転写ニップ(二次転写部)に突入することによって生じる中間転写ベルト2の変位(変位センサ7とベルト2間の距離)を示したものである。グラフの横軸は経過時間である。なお、本第2実施例では、用紙突入を検知するための閾値を閾値1(D−0.4[mm])、用紙抜けを検知するための閾値を閾値2(D+0.3[mm])としている。下段のグラフは、入口ローラ4の線速が変化する様子を示すものであり、負荷付与手段10による速度変動抑制制御を行なわない場合を実線で示し、速度変動抑制制御を行った場合(負荷解除後の変動波形)を点線にて示している。
【0048】
用紙突入時における負荷解除は第1実施例と同じであるが、本第2実施例では、用紙抜け時における変位センサからベルトまでの距離の変化を用いて負荷解除状態から負荷付与状態へと切り替える。つまり、用紙抜け時では、センサ7からベルト2までの距離が突入時とは逆に大きくなるので、閾値2を上回った時にソレノイド14をOFFにして、負荷付与状態にする。
【0049】
元々の変動が加速変動なので、そのタイミングで負荷を付与することによって、入口ローラ4に減速方向のトルクが付与されることになり、加速変動を抑制することになる。このように、2枚目の用紙が突入する前には負荷付与状態になっているので、1枚目と同様の動作を行うことによって、連続通紙にも対応でき、さらに用紙抜け時における加速変動も抑制できる。3枚目以降の用紙の場合も同様である。
【0050】
図8は、第2実施例における負荷付与手段10の制御フローチャートである。
図8のフローチャートにおいて、S11で変位センサ7とベルト2間の距離が閾値1より小さくなった(ベルトの変位量が第1の所定値より大きくなった)かどうかを見て、閾値1より小さくなったらソレノイド14をONさせる(S12)。そして、S13で変位センサ7とベルト2間の距離が閾値2よりも大きくなった(ベルトの変位量が第2の所定値より小さくなった)かどうかを見る。閾値2よりも大きくなったらソレノイド14をOFFさせ(S14)、印刷ジョブが終了したかどうかを判断する(S15)。まだ、印刷すべきページがあればS11の前に戻り、前ページ印刷が終了したら制御終了である。なお、ソレノイドのON,OFFについては図6の場合と同様である。
【0051】
次に、3段階の用紙厚さに対応可能な第3実施例について説明する。
上記した第1及び第2実施例では、負荷解除を行う厚紙の厚さは1段階だけであった(普通紙と厚紙の2種類の用紙に対応して負荷を付与または解除する)が、本第3実施例では、2段階の厚紙に対応して負荷解除を行うことで、普通紙、中厚紙、最厚紙の3種類に対応可能とし、それぞれ適切な大きさの負荷の付与と解除とを行うものである。
【0052】
図9は第3実施例における負荷付与手段を備えたプリンタの二次転写部付近を示す斜視図である。なお、負荷付与手段以外の基本的構成は図2(第1、第2実施例)と同様であるので、重複する説明は省略し、異なる部分を中心に説明する。
【0053】
図2の構成では、入口ローラ4に負荷を与える負荷付与手段は1つだけであったが、本第3実施例では、図9に示すように、入口ローラ4の両側(両端)に、それぞれ限界トルクの異なるトルクリミッタを持つ負荷付与手段20A,20Bを設けている。ここでは、限界トルクの小さい方の負荷付与手段を20A,限界トルクの大きい方の負荷付与手段を20Bとしている。負荷付与手段20A,20Bの構造自体は同じであり、図10にも示すように、トルクリミッタ11,ラチェット12,引張りバネ13,電磁ソレノイド14,駆動回路15及び偏芯カム16等で構成される。なお、図9では偏芯カム16は図示していない。また、図の煩雑を避けるため、負荷付与手段を構成する各部材のうち、トルクリミッタ11,電磁ソレノイド14及び偏芯カム16にのみa,bを付して区別し、他の部材には付していない。さらに、偏芯カム16a,16bは、それぞれ図示しないカム駆動手段により駆動される。
【0054】
本第3実施例において、ジョブ待機時は、電磁ソレノイド14a,14b及び偏芯カム16a,16bは駆動OFFの状態であり、両方の負荷付与手段10A,10Bとも引張りバネ13によりラチェット12が引き上げられ、トルクリミッタ11a,11bの回転が抑制された(負荷が付与された)状態である。なお、偏芯カム16a,16bは、駆動ONでラチェット12を押し下げる位置(図10の位置)、駆動OFFで押し下げ解除位置(このとき、ソレノイド14がOFFであれば引張りバネ13によりラチェット12が引き上げられる位置=図12の負荷付与手段20Aの状態)になるものとする。
【0055】
以下、第3実施例における、普通紙モード、中厚紙モード、最厚紙モードのそれぞれについて、各モードごとにフローチャート及び動作説明図を参照して説明する。なお、各モードは、プリンタに対する印刷指示の中で用紙厚さを設定することによりモード選択可能であり、あるいはプリンタの操作部(操作パネル)等からの入力によってモード選択することも可能である。
【0056】
まず、図10,11により普通紙モードを説明する。普通紙モード時は、入口ローラ4(中間転写ベルト2)に対する走行負荷の解除・付与の動作を行わなくても良いので、図10に示すように、偏芯カム16a,16bともに駆動ONにし、両方の負荷付与手段10A,10Bとも常にラチェット12を押し下げた状態とし、トルクリミッタ11a,11bの回転を抑制しないように(負荷を付与しないように)する。こうすることで、普通紙の通紙時にはトルクリミッタ11a,11bは入口ローラ軸4aに対して従動し、常に負荷が付与されない状態となる。
【0057】
図11のフローチャートにおいて、偏芯カム16a,16bの駆動をONにし(S21)、印刷ジョブが終了したかどうかを見る(S22)。全ページの印刷が終了したら、偏芯カム16a,16bの駆動をOFFにして(S23)、待機状態となる。なお、上記したように、偏芯カム16の駆動ONは、ラチェット12を押し下げた状態にすることであり、ベルト走行負荷解除状態にすることを意味する。また、偏芯カム16の駆動OFFは、ラチェット12が引張りバネ13により引き上げられる状態にすることであり、ベルト走行負荷付与状態にすることを意味する。
【0058】
次に、中厚紙モードを図12〜14を参照して説明する。
中厚紙モード時は、限界トルクが小さいトルクリミッタ(11a)のみ作用させる必要があり、大きい方の負荷付与手段20Bは、図12,13に示すように、常に走行負荷解除状態にしておく。すなわち、中厚紙モードのジョブを受けた時点で、偏芯カム16bを駆動ONして常にラチェット12を押し下げておき、走行負荷解除状態を保持するようにしておく。一方、限界トルクが小さい方の負荷付与手段20Aに関しては、偏芯カム16aの駆動を常にOFFの状態にし、ソレノイド14aの動作は図7で説明したように、所定の閾値1を下回れば、ソレノイド14aをONにしてトルクリミッタ11aの回転抑制を解除し(図13)、所定の閾値2を上回れば、ソレノイド14aをOFFにしてトルクリミッタ11aの回転を抑制する動作を行なう(図12)。このときの、対応する紙厚及びセンサ7からベルト2までの距離の閾値であるが、例えば、180kg(220g/m2 紙)から258kg紙(300g/m2 紙)程度までの紙厚で、閾値1はD−0.36[mm]、閾値2はD+0.27[mm]程度に設定しておく。
【0059】
また、中厚紙モードにおける解除、付与を行なう負荷の量は0.008[N・m]と設定しているが、これも閾値と同様に調整する必要があり、特に二次転写ニップ圧が大きくなるにつれて、解除する負荷、付与の量を大きく設定する必要がある。
【0060】
図14のフローチャートにおいて、偏芯カム16bの駆動をONにし(S31)、変位センサ7とベルト2間の距離が閾値1より小さくなったかどうかを見る(S32)。センサ−ベルト間の距離が閾値1より小さければ、ソレノイド14aをONにする(S33)。そして、変位センサ7とベルト2間の距離が閾値2より大きくなったかどうかを見る(S34)。センサ−ベルト間の距離が閾値2より大きければ、ソレノイド14aをOFFにする(S35)。そして、印刷ジョブが終了したかどうかを見る(S36)。印刷が終了していなければS32の前に戻り、全ページの印刷が終了したら、偏芯カム16bの駆動をOFFにして(S37)、待機状態となる。なお、ソレノイドのON,OFFについては図6の場合と同様である。また、偏心カムのON,OFFについては図11の場合と同様である。
【0061】
次に、最厚紙モードを図15〜17を参照して説明する。
最厚紙モード時は、限界トルクが大きいトルクリミッタ(11b)のみ作用させる必要があり、小さい方の負荷付与手段20Aは、図15,16に示すように、常に走行負荷解除状態にしておく。ここでは、電磁ソレノイド14aは常にOFFにしておき、偏芯カム16aをONさせて常にラチェット12を押し下げておき、走行負荷解除状態を保持するようにしておく。一方、限界トルクが大きい方の負荷付与手段20Bに関しては、偏芯カム16bの駆動を常にOFFの状態にし、ソレノイド14bの動作は図7で説明したように、所定の閾値1を下回れば、ソレノイド14bをONにしてトルクリミッタの回転抑制を解除し(図16)、所定の閾値2を上回れば、ソレノイド14bをOFFにしてトルクリミッタの回転を抑制する動作を行なう(図15)。このときの、対応する紙厚及びセンサ7からベルト2までの距離の閾値であるが、例えば、258kg紙(300g/m2 紙)以上までの紙厚で、閾値1はD−0.5[mm]、閾値2はD+0.37[mm]程度に設定しておく。
【0062】
また、最厚紙モードにおける解除、付与を行なう負荷の量は0.012[N・m]と設定しているが、これも閾値と同様に調整する必要があり、特に二次転写ニップ圧が大きくなるにつれて、解除する負荷、付与の量を大きく設定する必要がある。
【0063】
図18のフローチャートにおいて、偏芯カム16aの駆動をONにし(S41)、変位センサ7とベルト2間の距離が閾値1より小さくなったかどうかを見る(S42)。センサ−ベルト間の距離が閾値1より小さければ、ソレノイド14bをONにする(S43)。そして、変位センサ7とベルト2間の距離が閾値2より大きくなったかどうかを見る(S44)。センサ−ベルト間の距離が閾値2より大きければ、ソレノイド14bをOFFにする(S45)。そして、印刷ジョブが終了したかどうかを見る(S46)。印刷が終了していなければS42の前に戻り、全ページの印刷が終了したら、偏芯カム16aの駆動をOFFにして(S47)、待機状態となる。なお、ソレノイドのON,OFFについては図6の場合と同様である。また、偏心カムのON,OFFについては図11の場合と同様である。
【0064】
このように、本第3実施例では、入口ローラ4の軸の両端部に限界トルクの異なるトルクリミッタを選択的に作用させることで、普通紙,中厚紙,最厚紙と3段階の用紙厚さに対応することができ、中厚紙および最厚紙に対してそれぞれ適切な大きさの走行負荷の付与と解除を切り替え、二次転写ニップへの用紙突入時の中間転写ベルト2の速度変動を抑制することができる。
【0065】
最後に、図1に示すカラープリンタの全体的構成と動作について説明する。
図1に示すカラープリンタは、本体のほぼ中央部に4つの(4色分の)作像ユニット50Y,50C,50M,50Kを並設している。その4連の作像ユニットの上側にベルトユニット1を、下側に光書込み装置60を配設している。なお、作像ユニット50の色の並べ順はこれに限定されるものではない。
【0066】
各作像ユニット50は像担持体としての感光体ドラム51をそれぞれ有し、その回りには専用の帯電器52、現像装置53、一次転写ローラ54、クリーニング装置55等を備えている。なお、これらの機器については、図中スペースの関係で、黒用作像ユニット50Kの各機器にのみ符号を付しており、他色の作像ユニットにおける符号は省略する。
【0067】
ベルトユニット1については図2により先に説明したが、二次転写部と反対側の支持ローラ5に対向するように、ベルトクリーニング装置19がベルト2の外側に配置される。
【0068】
ベルトユニット1の上方には4本のトナーボトル32が配置されている。各トナーボトル32には、左からイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナーが充填されており、ここから不図示の搬送経路によって、所定の補給量だけ各色作像ユニット50の現像装置にトナーが補給される。
【0069】
装置本体の最下部には、例えば転写紙等の記録媒体を収納する給紙カセット26がセットされる。給紙カセット26は、用紙を押し上げる底板25を有している。給紙カセット26の一方側端部に位置するように、給紙分離装置27が設けられる。
【0070】
また、給紙分離装置27の上方で二次転写部の手前に位置するように、レジストローラ対8,9が配設されている。二次転写部の下流側(図の上方)には、定着装置28が設けられる。
【0071】
カラー画像の形成動作は、用紙が給紙カセット26から給紙分離装置27によって給送され、用紙先端がレジストローラ対8,9まで到達すると不図示のセンサによって検知され、この検出信号でタイミングを取りながら、レジストローラ対8,9によって用紙を二次転写ローラ6と中間転写ベルト2のニップ部に送出する。
【0072】
一方、各色作像ユニット50では、あらかじめ帯電装置52によって一様に帯電させられた感光体ドラム51は、光書込み装置60によりレーザー光にて露光走査され、感光体ドラム51上に静電潜像が作られる。各静電潜像は、それぞれ各色の現像装置53により現像され、感光体ドラム51の表面にイエロー、シアン、マゼンタ、黒のトナー像が形成される。
【0073】
次に一次転写ローラ54に電圧が印加され、感光体ドラム51上のトナーが、中間転写ベルト2上に順次転写されていく。この時、各色の作像動作は、そのトナー像が中間転写ベルト2の同じ位置に重ねて転写されるように、上流側から下流側に向けてタイミングをずらして実行される。中間転写ベルト2上に形成された画像は、二次転写部まで搬送され、用紙に二次転写される。各色のトナー像が転写された用紙は、定着装置28に搬送されて熱定着され、排紙ローラ29により装置上面の排紙トレイ30に排出され、スタックされる。
【0074】
感光体ドラム51上に残留したトナーは、それぞれのクリーニング装置55でクリーニングされ、その後、帯電装置52によって除電と同時に帯電され、次の作像に備えられる。また、中間転写ベルト2上の残留トナーは、ベルトクリーニング装置19によってクリーニングされ、次の作像工程に備えられる。
【0075】
以上、本発明を図示例により説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。速度変動の抑制対象であるベルトは中間転写ベルトに限らず、転写ベルトや搬送ベルトであっても良い。また、ベルト状像担持体(例えば感光体ベルト)に対しても本発明は適用可能である。また、ベルトの張設形態や、ベルト位置を検知するセンサの種類及び位置等は適宜に設定できるものである。また、負荷付与手段における、負荷の付与と解除を切り替える閾値の値も適宜に設定できるものである。負荷付与手段構成も任意であり、適宜な構成のものを使用可能である。
【0076】
本発明による画像形成装置は、中間転写方式に限らず、直接転写方式にも適用可能である。画像形成装置の作像部の構成も任意であり、タンデム式における各色作像ユニットの配置順などは任意である。また、タンデム式に限らず、一つの感光体の周囲に複数の現像装置を配置したものや、リボルバ型現像装置を用いる構成も可能である。また、3色のトナーを用いるフルカラー機や、2色のトナーによる多色機、あるいはモノクロ装置にも本発明を適用することができる。もちろん、画像形成装置としてはプリンタに限らず、複写機やファクシミリ、あるいは複数の機能を備える複合機であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例であるフルカラープリンタの概略構成を示す断面図である。
【図2】図1のカラープリンタの二次転写部付近を示す斜視図である。
【図3】本発明によるベルト速度変動抑制の概念を説明するためのグラフである。
【図4】負荷付与手段の動作を示す模式図である。
【図5】負荷付与手段の制御部を示すブロック図である。
【図6】負荷付与手段の制御フローチャートである。
【図7】連続通紙に対応したベルト速度変動抑制の概念を説明するためのグラフである。
【図8】第2実施例における負荷付与手段の制御フローチャートである。
【図9】第3実施例の二次転写部付近を示す斜視図である。
【図10】第3実施例における普通紙モードの動作説明図である。
【図11】第3実施例の普通紙モードにおける負荷付与手段の制御フローチャートである。
【図12】第3実施例における中厚紙モードの動作説明図で、走行負荷付与状態を示すものである。
【図13】第3実施例における中厚紙モードの動作説明図で、走行負荷解除状態を示すものである。
【図14】第3実施例の中厚紙モードにおける負荷付与手段の制御フローチャートである。
【図15】第3実施例における最厚紙モードの動作説明図で、走行負荷付与状態を示すものである。
【図16】第3実施例における最厚紙モードの動作説明図で、走行負荷解除状態を示すものである。
【図17】第3実施例の最厚紙モードにおける負荷付与手段の制御フローチャートである。
【図18】従来の画像形成装置の一例における中間転写部の構成を模式的に示す図である。
【図19】用紙が転写ニップ部に突入する際のベルトの速度変動を示すグラフである。
【図20】濃度ムラを持った画像を示す模式図である。
【図21】用紙の転写ニップ突入による速度変動を説明するための図で、プレニップ突入による速度変動を示す模式図及びグラフである。
【図22】用紙の転写ニップ突入による速度変動を説明するための図で、本ニップ突入による速度変動を示す模式図及びグラフである。
【図23】用紙の転写ニップ突入による速度変動を説明するための図で、ベルトが戻ることによる速度変動を示す模式図及びグラフである。
【符号の説明】
【0078】
1 ベルトユニット
2 中間転写ベルト
3 駆動ローラ
4 入口ローラ
4a 入口ローラ軸
6 転写ローラ(二次転写手段)
8,9 レジストローラ対
7 変位センサ
10 負荷付与手段
11 トルクリミッタ
12 ラチェット
13 引張りバネ
14,14a,14b 電磁ソレノイド
15 駆動回路
16,16a,16b 偏芯カム
20A,20B 負荷付与手段
50 作像ユニット
51 感光体ドラム
60 光書込み装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の支持ローラに張架された無端状ベルトと、前記無端状ベルトに圧接されて転写ニップを形成し該転写ニップを通過する記録媒体に画像を転写させる転写部材とを有する画像形成装置において、
前記無端状ベルトに所定の走行負荷を付与及び付与解除可能な負荷付与手段を設け、
前記負荷付与手段により予め前記無端状ベルトに対して所定の負荷を付与するとともに、前記転写ニップ上流側における前記無端状ベルトのベルト内側方向への変位に応じて前記予め付与した負荷を解除するよう制御する制御手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記転写ニップ上流側における前記無端状ベルトの変位量を検出する検出手段を有し、
前記制御手段は、前記検出手段で検出した前記無端状ベルトのベルト内側方向への変位量が所定値より大きくなった場合に前記負荷付与手段により予め付与した負荷の解除を行なうことを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記転写ニップ上流側における前記無端状ベルトの変位量を検出する検出手段を有し、
前記制御手段は、前記検出手段で検出した前記無端状ベルトのベルト内側方向への変位量が第1の所定値より大きくなった場合に前記負荷付与手段により予め付与した負荷の解除を行ない、前記無端状ベルトのベルト内側方向への変位量が第2の所定値より小さくなったときに前記負荷付与手段により前記無端状ベルトに対して所定の負荷を付与することを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記負荷付与手段は、前記転写ニップ上流側に配置された支持ローラの軸端部に設けられ該支持ローラの軸に摺動するトルクリミッタと、前記トルクリミッタの回転動作を抑制する抑制手段とを有することを特徴とする、請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記負荷付与手段は、前記無端状ベルトに付与する負荷の量を変更可能に設けられ、
前記制御手段は、記録媒体の厚さに応じて前記無端状ベルトに付与する負荷の量を変更することを特徴とする、請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記負荷付与手段は、前記転写ニップ上流側に配置された支持ローラの軸の両側端部にそれぞれ設けられ該支持ローラの軸に摺動する限界トルク値の異なるトルクリミッタと、前記各トルクリミッタの回転動作を個別に抑制する抑制手段とを有することを特徴とする、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記負荷付与手段の前記抑制手段により前記トルクリミッタの回転動作を抑制することで前記無端状ベルトに負荷を付与し、前記抑制手段による前記トルクリミッタの回転動作抑制を解除することで前記無端状ベルトに対する負荷付与を解除することを特徴とする、請求項4又は6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記無端状ベルトが中間転写ベルトであり、該中間転写ベルト上に複数色の画像を順次重ねて転写することによりカラー画像を形成可能なことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
複数の支持ローラに張架された無端状ベルトと、前記無端状ベルトに圧接されて転写ニップを形成し該転写ニップを通過する記録媒体に画像を転写させる転写部材とを有する画像形成装置において、
前記無端状ベルトに所定の走行負荷を付与及び付与解除可能な負荷付与手段を設け、
前記負荷付与手段により予め前記無端状ベルトに対して所定の負荷を付与するとともに、前記転写ニップ上流側における前記無端状ベルトのベルト内側方向への変位に応じて前記予め付与した負荷を解除するよう制御する制御手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記転写ニップ上流側における前記無端状ベルトの変位量を検出する検出手段を有し、
前記制御手段は、前記検出手段で検出した前記無端状ベルトのベルト内側方向への変位量が所定値より大きくなった場合に前記負荷付与手段により予め付与した負荷の解除を行なうことを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記転写ニップ上流側における前記無端状ベルトの変位量を検出する検出手段を有し、
前記制御手段は、前記検出手段で検出した前記無端状ベルトのベルト内側方向への変位量が第1の所定値より大きくなった場合に前記負荷付与手段により予め付与した負荷の解除を行ない、前記無端状ベルトのベルト内側方向への変位量が第2の所定値より小さくなったときに前記負荷付与手段により前記無端状ベルトに対して所定の負荷を付与することを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記負荷付与手段は、前記転写ニップ上流側に配置された支持ローラの軸端部に設けられ該支持ローラの軸に摺動するトルクリミッタと、前記トルクリミッタの回転動作を抑制する抑制手段とを有することを特徴とする、請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記負荷付与手段は、前記無端状ベルトに付与する負荷の量を変更可能に設けられ、
前記制御手段は、記録媒体の厚さに応じて前記無端状ベルトに付与する負荷の量を変更することを特徴とする、請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記負荷付与手段は、前記転写ニップ上流側に配置された支持ローラの軸の両側端部にそれぞれ設けられ該支持ローラの軸に摺動する限界トルク値の異なるトルクリミッタと、前記各トルクリミッタの回転動作を個別に抑制する抑制手段とを有することを特徴とする、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記負荷付与手段の前記抑制手段により前記トルクリミッタの回転動作を抑制することで前記無端状ベルトに負荷を付与し、前記抑制手段による前記トルクリミッタの回転動作抑制を解除することで前記無端状ベルトに対する負荷付与を解除することを特徴とする、請求項4又は6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記無端状ベルトが中間転写ベルトであり、該中間転写ベルト上に複数色の画像を順次重ねて転写することによりカラー画像を形成可能なことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2010−85907(P2010−85907A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−257294(P2008−257294)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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