説明

画像形成装置

【課題】手差しトレイに載置されるシートの載置状態の間違いを抑制できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置100は、手差しトレイ82、液晶表示部83、ロータリーエンコーダ84C,85B、及び制御部30を備える。液晶表示部83は、手差しトレイ82の用紙載置面に操作案内画像を表示する。ロータリーエンコーダ84C,85Bは、用紙載置面のうち用紙が載置された領域である載置領域を検出する。制御部30は、エータリーエンコーダ84C,85Bの検出結果に基づいて液晶表示部83による表示領域のうち用紙が載置されていない領域である非載置領域を取得し、非載置領域に操作案内画像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、手差しトレイに載置されたシートに画像を形成する画像形成装置に関し、特に、両面印刷時において第1面に画像を形成されたシートを手差しトレイに載置することで第2面に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の中には、画像形成部へ供給すべき複数のシートを収容する給紙カセットの他に、シートを手軽にセットできる手差しトレイを備えたものがある。手差しトレイには、シートを手軽にセットできるという長所がある反面、シートのサイズ及び方向を含む載置状態を間違いやすいという短所がある。特に、両面印刷時に、第1面に画像を形成されたシートを手差しトレイにセットし、手差しトレイから画像形成部へシートを供給することで、第2面にも画像を形成するように構成された画像形成装置では、手差しトレイに載置されるシートの載置状態は、非常に重要である。
【0003】
従来の画像形成装置の中には、シートの載置方向を操作パネルに表示するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−286885公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の画像形成装置では、操作パネルの表示を見ながら、操作パネルの表示と手差しトレイとの対応関係を確認して、手差しトレイにシートを載置する必要がある。操作パネルと手差しトレイとは一般的に離間しており、操作パネルの表示と手差しトレイとを視線を移すことなく見ることが困難であるので、シートの載置状態の間違いが生じやすかった。シートの実際の載置状態と適正な載置状態とが相違した状態でシートに画像が形成されると、シートに対する画像の方向の間違いや画像の一部の欠けといった問題が生じることがあり、画像の質が低下する。
【0005】
この発明の目的は、手差しトレイに載置されるシートの載置状態の間違いを抑制できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の画像形成装置は、処理部、取得部、制御部、手差しトレイ、表示部、及び載置領域検出部を備える。処理部は、シートに対して画像データに基づく画像形成処理を含む処理を行う。取得部は、処理部における処理条件及び画像データを取得する。制御部は、取得部が取得した処理条件に基づいて操作案内画像を作成する。手差しトレイは、画像を形成すべきシートが載置されるシート載置面を有する。表示部は、シート載置面の所定の表示領域に操作案内画像を表示する。載置領域検出部は、シート載置面のうちシートが載置された領域である載置領域を検出する。制御部は、載置領域検出部の検出結果に基づいて表示領域のうちシートが載置されていない領域である非載置領域を取得し、非載置領域に操作案内画像を表示する。
【0007】
この構成では、手差しトレイに操作案内画像が表示されるので、視線を移すことなく操作案内画像を見ながら手差しトレイにシートを載置することが可能となる。また、手差しトレイのうち特に非載置領域に操作案内画像が表示されるので、操作案内画像がシートに遮られることがなく、操作案内画像の視認性を向上させることができる。
【0008】
上述の構成において、操作案内画像は、画像データに基づく画像が形成されたシートを表すプレビュー画像を含むものとすることが好ましい。手差しトレイにシートを載置した段階で、画像が形成されたシートを表すプレビュー画像が手差しトレイの非載置領域に表示されるので、画像形成後におけるシートと画像データに基づく画像とのサイズや方向等の関係を視覚的に確認することができる。したがって、手差しトレイに載置されるシートの載置状態の間違いをより抑制できる。
【0009】
また、操作案内画像は、画像データに基づく画像が形成された後に処理条件に基づく後処理が施されたシートを表すプレビュー画像を含むものとすることが好ましい。手差しトレイにシートを載置した段階で、後処理が施された後のシートを表すプレビュー画像が手差しトレイの非載置領域に表示されるので、シート、後処理を施す位置、及び画像データに基づく画像の互いのサイズや方向等の関係を視覚的に確認することができる。したがって、手差しトレイに載置されるシートの載置状態の間違いをより抑制できる。
【0010】
さらに、制御部は、載置領域検出部の検出結果と処理条件に基づくシートの適正な載置状態とを比較し、シートの載置状態が適正であると判定した場合はシートの載置状態が適正である旨を含む操作案内画像を作成し、シートの載置状態が適正でないと判定した場合はシートの載置状態が適正でない旨を含む操作案内画像を作成するように構成することができる。手差しトレイに載置されたシートの実際の載置状態と処理条件に基づく適正な載置状態とを比較した結果が手差しトレイの非載置領域に表示されるので、現在の載置状態が適正であるか否かを、容易に認識でき、載置状態の間違いを見逃すことがなくなる。
【0011】
また、手差しトレイ上に載置されたシートの搬送方向の上流側端部の位置を規定する長さガイド部材、及びシートの搬送方向に直交する方向の端部の位置を規定する幅ガイド部材を有するガイド部材をさらに備え、載置領域検出部は、ガイド部材の位置に基づいて載置領域を検出するように構成することができる。シートの端部を規定するガイド部材によって、シートの載置領域を正確に検出できる。
【0012】
さらに、制御部は、載置領域検出部の検出結果と処理条件に基づくシートの適正な載置状態とを比較し、長さガイド部材又は幅ガイド部材のいずれか一方の位置が適正でないと判定した場合、適正でない方のガイド部材の位置を正すべき旨を表示するように構成することができる。一方のガイド部材のみについて実際の載置状態が適正な載置状態と異なると判定された場合、一方のガイド部材とシートの端部との間に間隙がある可能性が高い。このため、ガイド部材をシートに突き当てる等のガイド部材の位置を正すべき旨を表示することでガイド部材の位置を正すことができ、これによってシートの載置領域を正確に検出できる。
【0013】
また、表示部は、シート載置面に設けられた液晶表示装置とすることができる。液晶表示装置に操作案内画像が表示されるので、操作案内画像の視認性をより向上させることができる。
【0014】
さらに、載置領域検出部は、液晶表示装置の内部にシート載置面に沿って配置された複数の光センサを含むエリアセンサとすることができる。液晶表示装置上にシートが載置されると、シートの載置領域をエリアセンサによって確実に検出できる。
【0015】
また、表示部は、上方からシート載置面に操作案内画像を投影するプロジェクタとすることができる。さらに、手差しトレイは、半透明の樹脂部材で形成され、表示部は、手差しトレイに下方から操作案内画像を投影するプロジェクタとすることができる。表示部にシートが接触しないので、シートによる表示部の汚損を防止できる。また、プロジェクタを手差しトレイ以外の部分に装着できるので、手差しトレイの軽量化を図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、手差しトレイに載置されるシートの載置状態の間違いを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、この発明を実施するための最良の形態について、図面に基づいて説明する。図1は、この発明の実施形態に係る画像形成装置100の斜視図である。図2は、画像形成装置100の断面図である。なお、図1では、自動原稿読取部120を取り外した状態を図示している。図2では、切断面の断面表記を省略している。図1及び図2では、幅ガイド84A、84B、及び長さガイド85Aを取り外した状態を図示している。
【0018】
画像形成装置100は、画像読取部90、画像形成部110、自動原稿読取部120、制御部30、及び操作パネル(操作部)140を備えている。画像形成装置100は、画像データに応じて用紙(シート)Pに多色又は単色の印刷処理(画像形成処理)を行なう。
【0019】
画像読取部90は、画像形成部110の上部に配置されており、原稿が載置される原稿載置台92を有している。画像読取部90は、透明ガラスで構成されている。自動原稿読取部120は、画像読取部90の上部に配置されており、原稿載置台92上に原稿を自動搬送する。画像読取部90は、原稿載置台92上に載置された原稿、又は自動原稿読取部120によって原稿載置台92上に自動搬送された原稿の画像を読み取って、画像データを取得する。
【0020】
画像形成部110は、露光ユニット1、現像器2、感光体ドラム3、クリーナユニット4、帯電器5、中間転写ベルトユニット6、定着ユニット7、給紙カセット81A、81B、手差しトレイ82、排紙トレイ91、及び後処理ユニット50を有している。画像形成部110は、用紙Pに印刷処理を行なう。画像形成部110は、この発明の処理部に相当する。
【0021】
画像形成部110は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色相のカラー画像に応じた4個の画像形成ステーションを有している。画像形成ステーションのそれぞれは、現像器2、感光体ドラム3、帯電器5、クリーナユニット4を有している。各画像形成ステーションでは、各色相に応じた4種類のトナー像が形成される。
【0022】
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させる。帯電器5として、例えばチャージャ型の帯電器が用いられる。
【0023】
露光ユニット1として、例えばレーザ出射部及び反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)が用いられる。露光ユニット1は、帯電した感光体ドラム3を画像データに応じて露光することにより、感光体ドラム3の表面に画像データに応じた静電潜像を形成する。
【0024】
現像器2は、感光体ドラム3のそれぞれの表面に形成された静電潜像を、各画像形成ステーションに応じた色相のトナーで顕像化し、トナー像を形成する。
【0025】
中間転写ベルトユニット6は、感光体ドラム3の上方に配置され、中間転写ベルト61、中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、中間転写ローラ64、及び中間転写ベルトクリーニングユニット65を有している。中間転写ローラ64は、4個備えられ、4個の画像形成ステーションのそれぞれに対応して配置されている。
【0026】
給紙カセット81A、81Bは、画像を形成すべき複数の用紙Pを収容しており、画像形成部110の底部に配置されている。給紙カセット81Aと給紙カセット81Bとには、互いに異なるサイズの用紙Pが収容されている。手差しトレイ82は、画像形成部110の側面に、側方へ突出するように設けられている。手差しトレイ82には、画像を形成すべき用紙が載置される。手差しトレイ82には、不定形の用紙Pを手軽に載置できる。
【0027】
排紙トレイ91は、画像形成部110の上部に配置されている。排紙トレイ91には、印刷処理された用紙Pが排紙される。
【0028】
画像形成部110は、給紙カセット81A、81B、及び手差しトレイ82のそれぞれから排紙トレイ91へ至る用紙搬送路Lを有している。用紙搬送路Lは、給紙カセット81A、81B、又は手差しトレイ82に載置された用紙Pを、所定の二次転写位置を経由して排紙トレイ91へ搬送する。用紙搬送路Lに沿って、ピックアップローラ11A,11B,11C、複数の搬送ローラ対12A、レジストローラ対13、二次転写ローラ10、定着ユニット7,後処理ユニット50が配置されている。
【0029】
ピックアップローラ11A,11Bは、用紙搬送方向において給紙カセット81A,81Bの下流側端部近傍に備えられ、給紙カセット81A,81Bに収容されている用紙Pを1枚ずつピックアップし、用紙搬送路Lへ繰り出す。ピックアップローラ11Cは、用紙搬送方向において手差しトレイ82の下流側端部近傍に備えられ、手差しトレイ82から用紙Pを1枚ずつピックアップして用紙搬送路Lへ繰り出す。用紙Pは、搬送ローラ対12Aによって搬送される。
【0030】
レジストローラ対13は、上流側に隣接する搬送ローラ対12Aとの間で用紙Pを撓ませてレジスト調整を行なう。レジストローラ対13は、感光体ドラム3上のトナー像の先端と用紙Pの先端とを合わせるタイミングで、用紙Pを、中間転写ベルト駆動ローラ62と二次転写ローラ10との間の二次転写位置へ搬送する。
【0031】
中間転写ベルト駆動ローラ62および二次転写ローラ10は、用紙Pを狭持搬送して中間転写ベルト61上に担持されているトナー像を用紙Pへ転写する。
【0032】
定着ユニット7は、二次転写ローラ10の上方に配置されており、ヒートローラ71及び加圧ローラ72から成るローラ対を有し、トナー像が転写された用紙Pを加熱及び加圧して用紙にトナー像を定着させる。
【0033】
定着ユニット7は、ヒートローラ71の外周面に付着した残留トナーを除去するクリーニングユニット40を有している。
【0034】
後処理ユニット50は、搬送ローラ対12Bを有し、定着ユニット7を通過した用紙Pに、パンチ孔開け処理、ステープル処理等の後処理を行なう。後処理ユニット50を通過した用紙Pは、排紙トレイ91へ搬送される。
【0035】
操作パネル140は、用紙Pに対する処理条件の設定操作を受け付ける。設定操作された処理条件は、制御部30へ出力される。制御部30は、入力された処理条件に基づいて、画像形成装置100を統括的に制御する。
【0036】
図3は、手差しトレイ82から搬送ローラ対12Aへ至る用紙搬送路L周辺の構成を示す図である。なお、図3では、手差しトレイ82の詳細な構成についての図示を省略している。図4(A)は、手差しトレイ82の正面図である。図4(B)は、手差しトレイ82の平面図である。
【0037】
手差しトレイ82は、トレイ本体82A、幅ガイド(幅ガイド部材)84A,84B、ロータリーエンコーダ84C、用紙検知センサ84D、長さガイド(長さガイド部材)85A、ロータリーエンコーダ85B、及び液晶表示部(液晶表示装置)83を有している。幅ガイド84A,84B、及び長さガイド85Aは、ガイド部材を構成する。ロータリーエンコーダ84C、及びロータリーエンコーダ85Bは、この発明の載置領域検出部を構成する。液晶表示部83はこの発明の表示部に相当する。
【0038】
幅ガイド84A,84Bは、用紙突き当て部及びアーム部を有し、L字状を呈している。幅ガイド84A,84Bは、用紙突き当て部が用紙搬送方向と平行になる方向であってアーム部が互いに接近する方向に配置され、用紙搬送方向に直交する幅方向に変位自在にトレイ本体82Aに支持されている。幅ガイド84A,84Bのそれぞれの用紙突き当て部は、用紙Pの幅方向の両端部のそれぞれに付き当てられ、用紙Pの幅方向の両端部のそれぞれの位置を規定する。これによって、用紙Pは、サイズに関わらず、幅方向の中央揃えで手差しトレイ82にセットされる。このため、幅方向の中央部に配置されているピックアップローラ11Cが、用紙Pのサイズに関わらず、用紙Pをスムーズに用紙搬送路Lに沿って繰り出すことができる。
【0039】
幅ガイド84A,84Bのそれぞれのアーム部の互いに対向する面は、ギア状に形成されている。ロータリーエンコーダ84Cは、用紙搬送路Lの幅方向の中央部に配置され、幅ガイド84A,84Bのそれぞれのアーム部の間に挟まれるように配置されている。ロータリーエンコーダ84Cの外周面はギア状に形成されており、幅ガイド84A,84Bのそれぞれのアーム部のギアと噛み合っている。これにより、幅ガイド84A,84Bのいずれか一方がユーザによって幅方向へ変位させられると、他方は幅方向に沿った反対方向へ等距離変位する。
【0040】
ロータリーエンコーダ84Cの回転量は、制御部30へ出力される。制御部30は、ロータリーエンコーダ84Cの回転量に基づいて幅ガイド84A,84Bの位置を検出し、これによって、手差しトレイ82に載置された用紙Pの幅寸法を検出する。
【0041】
長さガイド85Aは、用紙突き当て部及びアーム部を有し、L字状を呈している。長さガイド85Aは、用紙突き当て部が幅方向と平行となる方向に配置されている。長さガイド85Aの用紙突き当て部は、用紙Pの用紙搬送方向の上流側端部に突き当てられ、用紙Pの用紙搬送方向の上流側端部の位置を規定する。アーム部の一方の側面は、ギア状に形成されている。
【0042】
用紙突き当て部は、手差しトレイ82の支持端すなわちピックアップローラ11C側から開放端側へ手差しトレイ82の側端に沿って用紙搬送方向に延伸している。アーム部は、開放端側で用紙突き当て部に対して直角に折れ曲がり、液晶表示部83の上面を跨いで手差しトレイ82の他方の側端に至り、用紙搬送方向に沿って変位自在にトレイ本体82Aに支持されている。
【0043】
ロータリーエンコーダ85Bは、幅方向の一方の側端部であって手差しトレイ82の支持端近傍に配置されている。ロータリーエンコーダ85Bの外周面は、ギア状を呈している。ロータリーエンコーダ85Bは、長さガイド85Aのアーム部のギアと噛み合っている。
【0044】
ロータリーエンコーダ85Bの回転量は、制御部30へ出力される。制御部30は、ロータリーエンコーダ85Bの回転量に基づいて長さガイド85Aの用紙突き当て部の位置を検出し、これによって、手差しトレイ82に載置された用紙Pの長さを検出する。
【0045】
用紙検知センサ84Dは、ピックアップローラ11Cの近傍に配置されている。用紙Pが手差しトレイ82に載置されると、用紙検知センサ84Dの下方に延設された先端部が用紙Pに付勢されることで用紙搬送方向に揺動する。用紙検知センサ84Dの先端部が揺動することで、手差しトレイ82に用紙Pが載置されたことが検出される。用紙検知センサ84Dは、手差しトレイ82に用紙Pが載置されたことを制御部30へ出力する。
【0046】
液晶表示部83は、手差しトレイ82の用紙載置面のほぼ全域に配設されている。液晶表示部83は、手差しトレイ82に載置され得る最大サイズの用紙より大きいサイズを有する。液晶表示部83は、制御部30から出力される表示データに基づいて操作案内画像を表示する。
【0047】
図5は、画像形成装置100の構成を示すブロック図である。制御部30は、記憶部30Aを有している。記憶部30Aには、画像読取部90、又はパソコンPCから画像データ入力部150を介して入力される画像データが記憶される。画像データ入力部150として、例えばNIC(Network Interface Card)が用いられる。画像読取部90及び画像データ入力部150は、画像データの入力部である。
【0048】
操作パネル140は、例えば液晶タッチパネルを含み、用紙に対する処理条件の設定操作を受け付ける。制御部30は、画像データを画像データ入力部150から取得する場合、処理条件を画像データとともに画像データ入力部150から取得することもできる。画像読取部90、画像データ入力部150、及び操作パネル140は、この発明の取得部に相当する。
【0049】
制御部30は、操作パネル140から設定操作された処理条件、又は画像データ入力部150から取得した処理条件に基づいて、自動原稿読取部120、画像形成部110、画像読取部90、操作パネル140、及び手差しトレイ82の液晶表示部83の動作を制御する。
【0050】
制御部30は、手差しトレイ82に用紙Pが載置されたことを、用紙検知センサ84Dによって検出する。また、制御部30は、ロータリーエンコーダ84C及びロータリーエンコーダ85Bの回転量に基づいて、長さガイド85A、及び幅ガイド84A、84Bの位置を検出することで、手差しトレイ82に載置された用紙のサイズ、及び、液晶表示部83の表示領域のうち用紙が載置された領域である載置領域を検出する。さらに、制御部30は、載置領域に基づいて、液晶表示部83の表示領域のうち用紙が載置されていない領域である非載置領域を検出する。
【0051】
制御部30は用紙の供給元として給紙カセット81A又は給紙カセット81Bが選択された場合、操作案内情報を操作パネル140に表示する。制御部30は、用紙の供給元として手差しトレイ82が選択された場合、操作案内画像を液晶表示部83に表示する。
【0052】
操作案内情報及び操作案内画像は、画像を形成すべき用紙のサイズ、方向、位置等を適正なものとすべく、ユーザに案内するための情報を含む。操作案内情報は、主として文字、記号、又は簡易な図形からなるのに対して、操作案内画像は、画像データが印刷された用紙を表すプレビュー画像や、用紙のサイズ、方向、位置等を適正なものとすべく案内する情報を含むイメージ画像等である。
【0053】
図6は、制御部30の処理手順を示すフローチャートである。
【0054】
制御部30は、画像読取部90又は画像データ入力部150から画像データが入力され(S1)、操作パネル140又は画像データ入力部150から処理条件が入力されると(S2)、処理条件に基づいて、用紙の供給元として手差しトレイ82が選択されたか否かを判定する(S3)。
【0055】
制御部30は、用紙の供給元として手差しトレイ82ではなく給紙カセット81A又は給紙カセット81Bが選択された場合、操作案内情報を操作パネル140に表示する(S4)。
【0056】
制御部30は、用紙の供給元として手差しトレイ82が選択された場合であって手差しトレイ82に用紙が載置されていないとき、処理条件に基づいて手差しトレイ82に載置すべき用紙のサイズ、方向、及び位置を特定し、表示領域のうち用紙を載置すべき領域を載置領域として設定する。制御部30は、用紙Pの供給元として手差しトレイ82が選択された場合であって手差しトレイ82に用紙Pが載置されていないとき、図7(A)に示すように、操作案内画像として、画像データが印刷された用紙Pを表すプレビュー画像PVを用紙Pの実寸大で載置領域に表示する(S6)。
【0057】
制御部30は、プレビュー画像PVを、画像読取部90が読み取った原稿の画像データ、又はパソコンPCから入力された画像データに基づいて作成する。なお、画像データが複数ページを含む場合は、例えば最初のページの画像データに基づく画像がプレビュー画像PVとして表示される。
【0058】
手差しトレイ82に操作案内画像が表示されるので、ユーザが視線を移すことなく操作案内画像を見ながら手差しトレイ82に用紙を載置することが可能となる。このため、手差しトレイ82に載置すべき用紙Pの、サイズ、方向、及び位置を含む載置状態の間違いが抑制される。これによって、図7(B)に示すように、ユーザは、適正なサイズの用紙Pを、適正な方向及び位置に、容易に載置することができる。
【0059】
手差しトレイ82に用紙Pが載置されると、制御部30は、用紙検知センサ84Dによって用紙Pが載置されたことを検出する。また、図8に示すように、ユーザによって幅ガイド84A,84Bが用紙Pの幅方向の両端部のそれぞれに突き当てられ、長さガイド85Aが用紙Pの用紙搬送方向の上流側端部に突き当てられる。
【0060】
制御部30は、ロータリーエンコーダ84C,85Bの回転量に基づいて幅ガイド84A,84B及び長さガイド85Aの位置を検出することで、手差しトレイ82に載置された用紙Pの幅寸法及び長さを検出し、用紙Pの実際の載置領域を特定する。制御部30は、載置領域を特定することで、用紙Pのサイズ、方向を含む実際の載置状態(第1載置状態)を取得することができる。また、制御部30は、液晶表示部83の表示領域のうち載置領域以外の部分を非載置領域として特定する(S7)。
【0061】
制御部30は、手差しトレイ82に用紙が載置されると、図9に示すように、操作案内画像160を非載置領域に表示する(S8)。
【0062】
一例として、制御部30は、図9に示すように、操作案内画像160として、画像データに基づく画像が形成された後に処理条件に基づく後処理が施された用紙Pを表すプレビュー画像を表示する。後処理として、例えばステープル処理、パンチ孔開け処理等が挙げられる。
【0063】
また、他の例として、制御部30は、処理条件に基づく用紙Pの適正な載置状態(第2載置状態)と実際に検出した第1載置状態とに基づいて、図10〜図12に示すような画像を、操作案内画像160として表示することもできる。
【0064】
即ち、制御部30は、用紙Pを載置する方向が間違っていると判定した場合、図10に示すように、用紙Pの方向を正すべき旨の情報を、用紙Pの載置状態に注意を向けさせる画像とともに表示する。用紙Pの載置状態に注意を向けさせる画像として、例えば図10に示すように、載置状態の特徴部分に注意を向けさせる吹き出し画像が挙げられる。用紙Pの方向を正すべき旨の情報として、例えば「用紙のセット方向が間違っています。横送り方向にセットしてください。」とのメッセージが挙げられる。用紙Pの方向を正すべき旨の情報は、例えば吹き出し画像の中に表示される。用紙Pの方向を正すべき旨の情報を、用紙Pの載置状態に注意を向けさせる画像とともに表示することで、用紙Pの載置状態の間違いをより分かりやすく案内することができる。
【0065】
また、制御部30は、用紙Pの方向が正しい場合は、図11に示すように、用紙Pの方向が適正である旨の情報を、用紙Pの載置状態に注意を向けさせる画像とともに表示することもできる。用紙Pの方向が適正である旨の情報として、例えば「用紙のセット方向は適正です。」とのメッセージが挙げられる。
【0066】
さらに、制御部30は、第1載置状態と第2載置状態とを比較し、長さガイド85A又は幅ガイド84A,84Bのいずれか一方について第1載置状態と第2載置状態とが異なると判定した場合、図12に示すように、異なる方のガイドをシートに突き当てる等することでガイドの位置を正すべき旨の情報を表示することもできる。この際、制御部30は、用紙Pの載置状態に注意を向けさせる画像をともに表示する。第1載置状態と第2載置状態とが異なる方のガイドの位置を正すべき旨の情報として、例えば「用紙ガイドが用紙の両端に突き当たるよう、用紙をセットして下さい。」とのメッセージが挙げられる。
【0067】
なお、操作案内画像160として、図9に示すようなプレビュー画像を所定時間表示した後に、図10〜図12に示すようなメッセージを含む画像を表示することもできる。
【0068】
手差しトレイ82の非載置領域に操作案内画像160が表示されるので、操作案内画像160が用紙Pに遮られることがなく、操作案内画像160の視認性が向上する。
【0069】
したがって、両面印刷時に、第1面に画像が形成された用紙Pの第2面に画像を形成するために、用紙Pを手差しトレイ82に載置する際、用紙Pの載置状態の間違いを抑制することができる。
【0070】
制御部30は、操作パネル140からの設定操作、又は画像データ入力部150からの入力によって、印刷処理の開始指示があると(S9)、図13に示すように、ピックアップローラ11Cを駆動して用紙を給紙し、印刷処理を実行する(S10)。
【0071】
なお、液晶表示部83は、タッチパネル方式の液晶表示装置で構成することもできる。この構成では、制御部30は、図14に示すように、ユーザが用紙Pの用紙搬送方向の上流側端部の角部LP,RPをタッチすることで、用紙Pのサイズ、方向、位置を含む第1載置状態を取得することができる。この構成において、タッチパネル方式の液晶表示装置は、この発明の載置領域検出部に相当する。
【0072】
図15は、載置領域検出部として用いることができるエリアセンサ内蔵型液晶表示部170を示す図である。載置領域検出部として、エリアセンサ内蔵型液晶表示部170を用いることができる。エリアセンサ内蔵型液晶表示部170は、バックライト171、液晶層172、複数の微小な光センサ173、及び遮光層174を備えている。
【0073】
バックライト171の上に液晶層172が配置され、バックライト171と液晶層172との間に、複数の光センサ173が用紙載置面に沿って縦横に均等配置されている。また、バックライト171と光センサ173のそれぞれとの間に、遮光層174が配置されている。遮光層174は、バックライト171の光が光センサ173に直接入射することを防いでいる。
【0074】
液晶層172の上に用紙Pが載置されると、バックライト171から照射された光が用紙Pで反射し、光センサ173に入射する。用紙Pが載置されていない箇所については、バックライト171から照射された光が用紙Pで反射されないので光センサ173に入射しない。したがって、光センサ173に光が入射した箇所が、用紙Pが載置されている箇所として検出され、用紙Pの載置領域が取得される。
【0075】
図16は、エリアセンサ内蔵型液晶表示部170によって非載置領域を特定する場合の制御部30の処理手順を示すフローチャートである。図17は、エリアセンサ内蔵型液晶表示部170で取得した画像データに基づいて取得したエッジ強調データの一例を示す図である。
【0076】
制御部30は、光センサ173が用紙Pからの反射光を検出すると(S11)、エリアセンサ内蔵型液晶表示部170の全面において光センサ173によって画像データを取得し、この画像データに対して空間フィルタ(微分フィルタ)処理することで、図17に示すようなエッジ強調データを取得する(S12)。
【0077】
制御部30は、エッジ強調データの中から、エッジ部182で囲まれた閉領域181を特定する(S13)。なお、制御部30は、閉領域181が複数ある場合でも、閉領域181を特定することができる。制御部30は、閉領域181のそれぞれの大きさを判定する(S14)。制御部30は、閉領域181の大きさを、閉領域181の最大座標(Xmax,Ymax)と最小座標(Xmin,Ymin)との差分値に基づいて判定する。制御部30は、差分値が処置の閾値(例えば、名刺サイズ)以上である場合に、閉領域が用紙の載置領域であると判定するとともに、A6、B6、A5、B5、A4、B4、及びA3等の所定のサイズのいずれに相当するかを判定する。
【0078】
制御部30は、エリアセンサ内蔵型液晶表示部170の表示領域のうち、載置領域以外の領域を非載置領域と特定する(S15)。
【0079】
画像形成装置100は、図18に示すように、液晶表示部83に代えてプロジェクタ191を備えることができる。プロジェクタ191は、画像形成部110の側面であって手差しトレイ82より上方に配置され、手差しトレイ82の用紙載置面に上方から操作案内画像を投影する。
【0080】
また、画像形成装置100は、図19に示すように、液晶表示部83に代えてプロジェクタ192を備えることもできる。手差しトレイ82は、半透明の樹脂部材で形成される。プロジェクタ192は、画像形成部110の側面であって手差しトレイ82より下方に配置される。プロジェクタ192は、手差しトレイ82に下方から操作案内画像を投影する。
【0081】
液晶表示部83に代えてプロジェクタ191又はプロジェクタ192を備えることで、プロジェクタ191,192に用紙が接触しないので、用紙によるプロジェクタ191,192の汚損を防止できる。また、プロジェクタ191,192を手差しトレイ82以外の部分に装着できるので、手差しトレイ82の軽量化を図ることができる。
【0082】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】この発明の実施形態に係る画像形成装置の斜視図である。
【図2】画像形成装置の断面図である。
【図3】手差しトレイから搬送ローラ対へ至る用紙搬送路周辺の構成を示す図である。
【図4】(A)は、手差しトレイの正面図であり、(B)は、手差しトレイの平面図である。
【図5】画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図6】制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】(A)は載置領域にプレビュー画像が表示された手差しトレイを示す図であり、(B)は用紙が載置された手差しトレイを示す図である。
【図8】用紙に幅ガイド及び長さガイドが突き当てられた状態の手差しトレイを示す図である。
【図9】非載置領域に操作案内画像が表示された手差しトレイの一例を示す図である。
【図10】非載置領域に操作案内画像が表示された手差しトレイの一例を示す図である。
【図11】非載置領域に操作案内画像が表示された手差しトレイの一例を示す図である。
【図12】非載置領域に操作案内画像が表示された手差しトレイの一例を示す図である。
【図13】給紙中の手差しトレイを示す図である。
【図14】液晶表示部としてタッチパネル方式の液晶表示装置を用いた構成を示す図である。
【図15】載置領域検出部として用いることができるエリアセンサ内蔵型液晶表示部を示す図である。
【図16】エリアセンサ内蔵型液晶表示部によって非載置領域を特定する場合の制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【図17】エリアセンサ内蔵型液晶表示部で取得した画像データに基づいて取得したエッジ強調データの一例を示す図である。
【図18】液晶表示部に代えてプロジェクタを備えた画像形成装置を示す図である。
【図19】液晶表示部に代えてプロジェクタを備えた画像形成装置を示す図である。
【符号の説明】
【0084】
30 制御部
82 手差しトレイ
83 液晶表示部(表示部)
84A,84B 幅ガイド(幅ガイド部材)
85A 長さガイド(長さガイド部材)
84C,85B ロータリーエンコーダ(載置領域検出部)
90 画像読取部
140 操作パネル(操作部)
150 画像データ入力部
160 操作案内画像
170 エリアセンサ内蔵型液晶表示部(載置領域検出部)
191,192 プロジェクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに対して画像データに基づく画像形成処理を含む処理を行う処理部と、
前記処理部における処理条件及び画像データを取得する取得部と、
前記取得部が取得した処理条件に基づいて操作案内画像を作成する制御部と、
画像を形成すべきシートが載置されるシート載置面を有する手差しトレイと、
前記シート載置面の所定の表示領域に前記操作案内画像を表示する表示部と、
前記シート載置面のうちシートが載置された領域である載置領域を検出する載置領域検出部と、を備え、
前記制御部は、前記載置領域検出部の検出結果に基づいて前記表示領域のうちシートが載置されていない領域である非載置領域を取得し、前記非載置領域に前記操作案内画像を表示する画像形成装置。
【請求項2】
前記操作案内画像は、画像データに基づく画像が形成されたシートを表すプレビュー画像を含む請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記操作案内画像は、画像データに基づく画像が形成された後に処理条件に基づく後処理が施されたシートを表すプレビュー画像を含む請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記載置領域検出部の検出結果と処理条件に基づくシートの適正な載置状態とを比較し、シートの載置状態が適正であると判定した場合はシートの載置状態が適正である旨を含む操作案内画像を作成し、シートの載置状態が適正でないと判定した場合はシートの載置状態が適正でない旨を含む操作案内画像を作成する請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記手差しトレイ上に載置されたシートの搬送方向の上流側端部の位置を規定する長さガイド部材、及び前記搬送方向に直交する方向の端部の位置を規定する幅ガイド部材を有するガイド部材をさらに備え、
前記載置領域検出部は、前記ガイド部材の位置に基づいて前記載置領域を検出する請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記載置領域検出部の検出結果と処理条件に基づくシートの適正な載置状態とを比較し、前記長さガイド部材又は前記幅ガイド部材のいずれか一方の位置が適性でないと判定した場合、適正でない方のガイド部材の位置を正すべき旨を表示する請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記表示部は、前記シート載置面に設けられた液晶表示装置である請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記載置領域検出部は、前記液晶表示装置の内部に前記シート載置面に沿って配置された複数の光センサを含むエリアセンサである請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記表示部は、上方から前記シート載置面に操作案内画像を投影するプロジェクタである請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記手差しトレイは、半透明の樹脂部材で形成され、
前記表示部は、前記手差しトレイに下方から操作案内画像を投影するプロジェクタである請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−8839(P2010−8839A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−169934(P2008−169934)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】