説明

画像形成装置

【課題】現像剤担持体のチャージアップ現象を抑制して、トナー画像のトナー濃度を所定の範囲内に維持することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置10は、トナー担持体46上の滞留電荷を除去するリフレッシュ動作を行う制御部60を含む。制御部60は、リフレッシュ動作を行うに当たり、まず、現像装置40を制御して、像担持体125上に所定の画像パターンを所定の期間にわたって形成させ、次に、トナー濃度センサ80が検出した画像パターンのトナー濃度に基づき、所定の期間にわたるトナー濃度の経時的変化量を得て、そして、経時的変化量に基づいてリフレッシュ動作の開始タイミングを決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用して画像形成を行う画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置は、像担持体、例えば感光体ドラムのドラム表面上に形成された静電潜像に、現像装置によりトナーを供給してトナー画像を形成し、そのトナー画像を定着部により用紙上に定着させる。
【0003】
画像形成装置として、所謂ハイブリッド現像方式を採用したものが知られている。この種の画像形成装置は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1のハイブリッド現像方式の現像装置は、2成分現像方式と1成分現像方式とを組み合わせたものであって、感光体ドラムに対向配置された現像ローラ(トナー担持体)と、現像ローラに対向配置された磁気ローラ(現像剤担持体)とを含む。磁気ローラ上には、非磁性体のトナーおよび磁性体のキャリアを含む現像剤からなる磁気ブラシ層が形成され、磁気ブラシ層からトナーのみが現像ローラに供給される。そして、現像ローラは、トナーを感光体ドラムに非接触で供給して感光体ドラム上の静電潜像を可視像化する。現像に用いられなかったトナーは磁気ブラシ層によって回収される。
【0004】
特許文献1では、現像ローラを構成するアルミニウム素管の周面に、アルマイトのコーティング層を形成しているので、現像性の向上のために、例えば、現像ローラと感光体ドラムとの間の隙間を狭くしたり、現像ローラに印加される現像バイアスの交流成分の値を大きくしたりしても、現像ローラと感光体ドラムとの間で印加電圧のリークが発生することが抑制される。
【0005】
また、特許文献2には、現像ローラの周面にウレタン樹脂等のコーティング層を形成した技術が開示されている。トナーのエージングに伴ってその表面電荷が大きくなり、トナーが現像ローラの周面上に滞留すると、所謂チャージアップ現象が発生し、トナーが現像ローラの周面に固着しやすくなるが、ウレタン樹脂等のコーティング層によってトナー固着が抑制されている。なお、近年の高画質化や高精細化を図るために小粒径のトナーを用いると、トナー固着が顕著になる。
【0006】
また、特許文献2では、現像ローラのコーティング層中にカーボンブラック等の抵抗調整剤を分散させることにより、現像ローラ周面の体積抵抗値や表面抵抗値を調整して、現像ローラと感光体ドラム間での印加電圧のリーク発生を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−318092号公報
【特許文献2】特開平11−249414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年の画像形成装置は、現像動作のさらなる高速化が要求されている。その手段として、現像バイアスの交流成分をさらに大きな値で現像ローラに印加することにより、現像ローラと感光体ドラムとの間の現像ニップ領域を広げることが考えられる。現像動作の高速化に伴う現像ローラと感光体ドラムとの間の現像ニップ時間の減少分を補うためである。そのため、現像ローラの周面は表面抵抗値の高い構造とするのが望ましい。
【0009】
特許文献1に開示されているように、現像ローラの周面に、アルマイトのコーティング層を単に形成したり、また、特許文献2に開示されているように、ウレタン樹脂のコーティング層中に抵抗調整剤を分散させて表面抵抗値を単に高くしたりするだけでは、連続印字時に、現像ローラ周面に電荷が溜まり、チャージアップ現象が発生しやすくなる。チャージアップ現象により、ベタ画像の濃度が印字枚数の増加に伴って徐々に低くなる。これは、磁気ローラと現像ローラとの間の電位差が小さくなるにつれて、所望量のトナーが現像ローラに供給され難くなるからである。一方、ハーフ画像の濃度は、印字枚数の増加に伴って徐々に高くなる。これは、現像ローラと感光体ドラムとの間の電位差が大きくなるにつれて、トナーが感光体ドラムに過剰に供給されるからである。
【0010】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、現像剤担持体のチャージアップ現象を抑制して、トナー画像のトナー濃度を所定の範囲内に維持することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像形成装置は、トナー画像が形成される像担持体と、トナーおよびキャリアを含む現像剤を担持する現像剤担持体と、前記現像剤担持体から前記トナーのみを受け取って担持し、該トナーを前記像担持体に供給することにより、該像担持体上に前記トナー画像を形成するトナー担持体とを有する現像装置と、前記像担持体上に形成された前記トナー画像のトナー濃度を検出するトナー濃度センサと、前記現像剤担持体および前記トナー担持体のそれぞれに所定のバイアスを印加するバイアス印加手段と、前記現像装置および前記バイアス印加手段を制御するものであって、前記トナー担持体が前記像担持体上に前記トナー画像を形成していない非画像形成時において、前記バイアス印加手段を制御して、前記現像剤担持体が前記トナー担持体から前記トナーを回収することができるように前記現像剤担持体に印加される前記バイアスを第1バイアスに調整した後、前記トナー担持体が前記像担持体上に前記トナー画像を形成する画像形成時に印加される前記バイアスよりも低い値の第2バイアスを前記トナー担持体に印加することにより、前記トナー担持体上の滞留電荷を除去するリフレッシュ動作を行う制御部とを含む。前記制御部は、前記リフレッシュ動作を行うに当たり、まず、前記現像装置を制御して、前記像担持体上に所定の画像パターンを所定の期間にわたって形成させ、次に、前記トナー濃度センサが検出した前記画像パターンのトナー濃度に基づき、前記所定の期間にわたる前記トナー濃度の経時的変化量を得て、そして、前記経時的変化量に基づいて前記リフレッシュ動作の開始タイミングを決定する。
【0012】
本発明に係る画像形成装置によれば、制御部は、リフレッシュ動作を行うに当たり、現像装置を制御して像担持体上に所定の画像パターンを所定の期間にわたって形成した後、トナー濃度センサの検出により、画像パターンのトナー濃度が経時的に変化する量、言い換えれば、トナー担持体上において経時的に変化するトナーの電荷量を知ることができる。そして、制御部は、トナーの電荷量の経時的変化に基づいてリフレッシュ動作の開始タイミングを決定するので、トナー担持体上に電荷が滞留することに起因して発生するチャージアップ現象を抑制することができる。これにより、像担持体上に形成されるトナー画像のトナー濃度は、所定の範囲内に維持される。
【0013】
本発明の好ましい実施形態では、前記制御部は、前記経時的変化量に基づき、前記画像パターンの前記トナー濃度が所定の濃度範囲から逸脱するまでに要する期間を推定し、その推定期間が終了する前に前記リフレッシュ動作が行われるように前記開始タイミングの決定を行う。
【0014】
上記構成によれば、制御部は、所定の画像パターンのトナー濃度が所定の濃度範囲から逸脱するまでに要する期間を推定する、言い換えれば、トナー担持体上に電荷が滞留してチャージアップ現象が発生するまでの期間を推定する。そして、制御部は、その推定期間が終了する前にリフレッシュ動作が行われるように開始タイミングの決定を行うことにより、チャージアップ現象を抑制している。
【0015】
本発明の他の好ましい実施形態では、画像形成装置は、さらに、温度および湿度を検出する温湿度センサを含み、前記制御部は、前記温湿度センサによる検出結果に基づき、前回のリフレッシュ動作を行ってから前記温度および前記湿度のうちの少なくとも一方が所定範囲を超えて変化していると判断した場合、前記リフレッシュ動作の前記開始タイミングの決定を再び行う。
【0016】
トナー担持体上における電荷の滞留の度合いは、温度および湿度の変化に伴って変動するので、温度および湿度の変化に対応してリフレッシュ動作の開始タイミングを決定する必要がある。本発明に係る画像形成装置では、温度および湿度を検出することが可能な温湿度センサをさらに設け、かつ、前回のリフレッシュ動作を行ってから温度および湿度のうちの少なくとも一方が所定範囲を超えて変化した場合にリフレッシュ動作の開始タイミングの決定を再び行うように制御部を構成することで、温度および湿度の変化に伴って電荷の滞留の度合いが変化した場合であっても、チャージアップ現象を抑制している。
【0017】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、前記制御部は、前記温度および前記湿度のうちの少なくとも一方が低下するにつれて前記リフレッシュ動作の前記開始タイミングを早くする一方で、前記温度および前記湿度のうちの少なくとも一方が高くなるにつれて前記リフレッシュ動作の前記開始タイミングを遅らせる。
【0018】
チャージアップ現象は、温度や湿度が低下するにつれて発生しやすくなり、温度や湿度が高くなると発生し難くなる。そこで、本発明に係る画像形成装置では、温度および湿度のうちの少なくとも一方が低下するにつれてリフレッシュ動作の開始タイミングが早くなる一方で、温度および湿度のうちの少なくとも一方が高くなるにつれてリフレッシュ動作の開始タイミングが遅くなるように制御部を構成することで、チャージアップ現象を抑制している。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る画像形成装置によれば、現像剤担持体のチャージアップ現象を抑制して、トナー画像のトナー濃度を所定の範囲内に維持することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の内部構造を示す断面図である。
【図2】画像形成装置において用いられている現像装置の内部構造を概略的に示す断面図である。
【図3】現像装置の磁気ローラおよび現像ローラに印加される電圧の系統を示す図である。
【図4】カーボン添加率を異ならせた2つの現像スリーブが示す表面抵抗値およびリーク発生電圧を示す図である。
【図5】異なる表面抵抗値を有する現像スリーブを用いて同一環境下で連続印字を行った場合のトナー濃度の変化を示す図である。
【図6】所定の表面抵抗値を有する現像スリーブを用いて異なる環境下で連続印字を行った場合のトナー濃度の変化を示す図である。
【図7】中間転写ベルト上に形成されるパッチパターンを示す図である。
【図8】バイアス制御部のブロック図である。
【図9】バイアス制御部のリフレッシュ動作部によるリフレッシュ動作のタイミングチャートである。
【図10】バイアス制御部の環境比較部が用いる温湿度テーブルを示す図である。
【図11】トナー濃度センサによるセンサ出力値とトナー濃度との関係を示す図である。
【図12】トナー濃度センサによるセンサ出力値と、パッチパターンの各パッチのトナー濃度とを対数曲線近似させた図である。
【図13】所定の表面抵抗値を有する現像スリーブを用いて連続印字を行い、所定枚数の印字が終了する度にリフレッシュ動作を行ったときのトナー濃度の変化を示す図である。
【図14】バイアス制御部によるリフレッシュ動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の内部構造を概略的に示す。画像形成装置10は、例えばタンデム式のカラープリンタであり、箱形を呈する装置本体11を含む。装置本体11は、内部に、コンピュータ等の外部機器から伝送された画像情報に基づき画像を形成する画像形成部12と、画像形成部12によって形成され、用紙Pに転写された画像に定着処理を施す定着部13と、転写用の用紙Pを貯留する用紙貯留部14とを含む。装置本体11の上部には、定着処理後の用紙Pが排出される用紙排出部15が設けられている。
【0023】
画像形成部12は、用紙貯留部14から給紙された用紙Pにトナー画像を形成するものであって、本実施形態では、上流側(図1の紙面の右方)から下流側へ向けて順次配設された、マゼンタ色のトナーを用いるマゼンタ用ユニット12Mと、シアン色のトナーを用いるシアン用ユニット12Cと、イエロー色のトナーを用いるイエロー用ユニット12Yと、ブラック色のトナーを用いるブラック用ユニット12Kとを含む。
【0024】
各ユニット12M,12C,12Y,12Kは、感光体ドラム121および現像装置40を含む。感光体ドラム121は、ドラム表面に静電潜像およびこの静電潜像に沿ったトナー像(可視像)を形成するものであって、図1において反時計方向に回転しつつ対応する現像装置40からトナーの供給を受ける。各現像装置40は、対応する感光体ドラム121のドラム表面上の静電潜像にトナーを供給してトナー画像を形成する。各現像装置121は図略のトナーカートリッジからトナーの補給を受ける。
【0025】
各感光体ドラム121の直下位置には、帯電装置123が設けられていると共に、帯電装置123の下方位置には露光装置124が設けられている。各感光体ドラム121は、帯電装置123によってドラム表面が一様に帯電され、コンピュータ等から入力された画像データに基づく各色に対応したレーザー光が露光装置124から帯電後の感光体ドラム121のドラム表面に照射される。これにより、各感光体ドラム121のドラム表面に静電潜像が形成される。そして、静電潜像に現像装置40からトナーが供給されると、感光体ドラム121のドラム表面にトナー画像が形成される。
【0026】
感光体ドラム121の上方には、駆動ローラ125aと従動ローラ125bとの間に張設された中間転写ベルト125(像担持体)が配設されている。中間転写ベルト125は、各感光体ドラム121に対応して設けられた転写ローラ126によって感光体ドラム121の周面に押し付けられた状態で、各感光体ドラム121と同期しながら駆動ローラ125aと従動ローラ125bとの間を周回する。
【0027】
駆動ローラ125aと従動ローラ125bとの間であって、従動ローラ125b側へ寄った位置にテンションローラ125cが設けられている。テンションローラ125cは、中間転写ベルト125に張力を与えるものであり、図略の付勢部材の付勢力で上方に付勢されている。
【0028】
中間転写ベルト125の周回と共に、中間転写ベルト125の表面に対して、まず、マゼンタ用ユニット12Mの感光体ドラム121によるマゼンタのトナー画像の一次転写が行なわれる。ついで、中間転写ベルト125におけるマゼンタトナー画像の転写位置に、シアン用ユニット12Cの感光体ドラム121によるシアンのトナー画像の転写が重ね塗り状態で行なわれる。以下同様にして、イエロー用ユニット12Yによるイエローのトナー画像の転写、およびブラック用ユニット12Kによるブラックのトナー画像の転写が重ね塗り状態で行なわれる。これにより、中間転写ベルト125の表面にカラーのトナー画像が形成される。
【0029】
各感光体ドラム121の図1における左方位置には、感光体ドラム121のドラム表面上の残留トナーを除去して清浄化するドラムクリーニング装置127が設けられている。ドラムクリーニング装置127によって清浄化処理された感光体ドラム121のドラム表面は、新たな帯電処理のために帯電装置123へ向かう。ドラムクリーニング装置127で感光体ドラム121のドラム表面から取り除かれた廃トナーは、所定の経路を通って図略のトナー回収ボトルに回収される。
【0030】
画像形成部12の図1における左方位置には、上下方向に延びる用紙搬送路111が形成されている。用紙搬送路111には、適所に搬送ローラ対112が設けられており、用紙貯留部14からの用紙Pは、搬送ローラ対112の駆動で中間転写ベルト125へ向けて搬送される。また、用紙搬送路111には、駆動ローラ125aと対向した位置で中間転写ベルト125の表面と当接した二次転写ローラ113が設けられている。二次転写ローラ113は中間転写ベルト125の表面との間で転写ニップ部を形成する。用紙Pは、転写ニップ部において中間転写ベルト125と二次転写ローラ113とに押圧挟持され、これにより、中間転写ベルト125上のトナー画像が用紙Pに二次転写される。
【0031】
用紙貯留部14は、装置本体11の図1における右側壁に開閉自在に設けられた手差しトレイ141と、装置本体11内における露光装置124より下方位置に挿脱可能に装着された用紙トレイ142とを含む。用紙トレイ142には複数枚の用紙Pが積層されてなる用紙束P1が貯留される。用紙トレイ142は、上方に開口した箱体で構成され、用紙束P1が貯留可能になっている。用紙トレイ142に貯留された用紙束P1の最上位の用紙Pは、ピックアップローラ143の駆動で用紙搬送路111へ向けて1枚ずつ繰り出される。用紙トレイ142から繰り出された用紙Pは、搬送ローラ対112の駆動で用紙搬送路111を通って前記転写ニップ部へ向けて搬送される。
【0032】
定着部13は、二次転写された用紙P上のトナー画像に対して定着処理を施す。定着部13は、内部に加熱源である通電発熱体を有する加熱ローラ131と、加熱ローラ131と対向配置された定着ローラ132と、定着ローラ132および加熱ローラ131間に張設された定着ベルト133と、定着ベルト133を介して定着ローラ40と対向配置された加圧ローラ134とを含む。定着部13へ供給された用紙Pは、加圧ローラ134と高温の定着ベルト133との間を通過しながら定着ベルト133からの熱を得て定着処理が施される。
【0033】
定着処理の完了したカラー印刷済みの用紙Pは、定着部13の上部から延設された排紙搬送路114を通って用紙排出部15の排紙トレイ151へ向けて排出される。
【0034】
図2は、現像装置40の内部構造を概略的に示す断面図である。現像装置40は、該現像装置40の内部空間を画定する現像容器42を含む。現像装置40は、前記内部空間内において、現像容器42の底部分に形成された現像剤貯留部41と、現像剤貯留部41の上方に配置された磁気ローラ45(現像剤担持体)と、磁気ローラ45の斜め上方位置で磁気ローラ45に対向配置された現像ローラ46(トナー担持体)と、磁気ローラ45に対向配置された現像剤規制ブレード55とを含む。
【0035】
現像剤貯留部41は、非磁性体のトナーおよび磁性体のキャリアを含む現像剤を攪拌しつつ貯留することが可能とされたものであって、現像装置40の長手方向に延びる2つの隣り合う現像剤貯留室41a,41bを有する。現像剤貯留室41a,41bは、現像容器42に一体に形成された仕切り板50によって長手方向において互いに仕切られているが、長手方向における両端部において互いに連通されている。また、各現像剤貯留室41a,41bには、回転により現像剤を攪拌するスクリューフィーダ43,44が回転可能に装着されている。スクリューフィーダ43,44は、回転方向が互いに逆方向に設定されているので、現像剤は、現像剤貯留室41aおよび現像剤貯留室41b間を攪拌されつつ搬送される。この攪拌により、非磁性体からなるトナーと磁性体からなるキャリアとが混合され、トナーが例えばプラスに帯電され、キャリアが例えばマイナスに帯電される。また、キャリアおよびトナー間の静電気力により、キャリアにトナーが付着する。
【0036】
磁気ローラ45は、現像装置40の長手方向に延びるように配設され、回転可能な中空の磁気スリーブ47と、磁気スリーブ47を回転させる図略の回転軸とを含む。磁気スリーブ47は、図2では時計回りに前記回転軸回りに回転しつつ、現像剤貯留部41から現像剤を受け取って担持し、現像剤中のトナーのみを後述する現像ローラ46に供給するものである。また、磁気スリーブ47は非磁性材料から形成されている。
【0037】
磁気スリーブ47の内部空間には、該磁気スリーブ47の軸方向に延びる磁石ロール56が内蔵されている。磁石ロール56は、支持軸57に固定状態で支持されており、磁気スリーブ47と共に回転しない。磁石ロール56には、現像剤貯留部41から現像剤を磁気スリーブ47の周面48上に汲み上げるための磁極を含む複数の磁極(図示せず)が形成されている。
【0038】
磁気スリーブ47の周面48上に汲み上げられた現像剤は、現像剤層として磁気的に保持され、磁気スリーブ47の回転に伴って現像剤規制ブレード55に向けて搬送される。なお、磁気スリーブ47、磁石ロール56および支持軸57は互いに同軸に設定されている。
【0039】
現像剤規制ブレード55は、磁気スリーブ47の周面48上の現像剤層の層厚を規制するものである。現像剤規制ブレード55は、磁気スリーブ47の長手方向に沿って延びる磁性材料からなる板部材であり、現像容器42の所定の箇所に固定された支持部材52に支持されている。また、現像剤規制ブレード55は、磁気スリーブ47の周面48との間で所定の規制ギャップGを形成する先端部51を有する。
【0040】
磁気スリーブ47内の磁石ロール56には、現像剤規制ブレード55の先端部51に対向する位置に磁極が形成されている。したがって、磁性材料から形成された現像剤規制ブレード55は、前記磁極によって磁化され、現像剤規制ブレード55の先端部51と規制極59との間に、つまり規制ギャップGにおいて磁界が形成される。
【0041】
現像ローラ46は、磁気スリーブ47に対して平行に延びるように配設され、図2では時計回りに回転可能な中空の現像スリーブ53と、現像スリーブ53を支持しつつ該現像スリーブ53を回転させる図略の回転軸とを含む。現像スリーブ53は、磁気スリーブ47の周面48上の現像剤層からトナーのみを受け取り、該トナーをその周面54上に担持するものである。また、現像スリーブ53は、非磁性材料から形成され、磁気スリーブ47と略同一の長手方向寸法を有する。
【0042】
図3は、磁気スリーブ47および現像スリーブ53に印加される電圧の系統を示す図である。磁気スリーブ47には、直流電圧源57Aと交流電圧源57Bとが直列に接続されており、直流電圧源57Aから出力された直流バイアスに交流電圧源57Bから出力された交流バイアスが重畳されてバイアス印加される。また、現像スリーブ53には、直流電圧源56Aと交流電圧源56Bとが直列に接続されており、直流電圧源56Aから出力された直流バイアスに交流電圧源56Bから出力された交流バイアスが重畳されてバイアス印加される。本実施形態では、直流電圧源57Aおよび交流電圧源57Bと、直流電圧源56Aおよび交流電圧源56Bとがバイアス印加手段を構成する。
【0043】
画像形成装置10は、図3に示すように、前記バイアス印加手段を制御する、すなわち、直流電圧源57Aおよび交流電圧源57Bと直流電圧源56Aおよび交流電圧源56Bとを制御するバイアス制御部をさらに含む。また、画像形成装置10は、中間転写ベルト125上に転写されたトナー画像のトナー濃度を検出するトナー濃度センサ80と、装置本体11内の適所に配置され、温度および湿度を検出する温湿度センサ81とをさらに含む。バイアス制御部60は、トナー濃度センサ80および温湿度センサ81に接続されている。
【0044】
次に、上記構成の現像装置40による現像動作について、図2および図3を参照しながら説明する、
【0045】
まず、非磁性体のトナーTは、現像剤貯留部41において磁性体のキャリアCと共に攪拌されることで帯電され、キャリアCに付着する。キャリアCと帯電されたトナーTとを含む現像剤は、磁気ローラ45の磁石ロール56に形成された前記磁極の磁力によって現像剤貯留部41から磁気スリーブ47の周面48上に汲み上げられる。周面48上に汲み上げられた現像剤は、磁気スリーブ47の周面48上に現像剤層Dとして磁気的に保持され、磁気スリーブ47の回転に伴って現像剤規制ブレード55に向けて搬送される。
【0046】
そして、現像剤規制ブレード55は、規制ギャップGにおいて周面48上の現像剤層Dを規制して均一化かつ薄層化する。これにより、周面48上には、所定厚さの現像剤層D(以下、磁気ブラシ層という)が形成される。
【0047】
周面48上の磁気ブラシ層Dは、磁気スリーブ47の回転に伴い、磁気スリーブ47と現像スリーブ53との対向位置に向けて搬送される。バイアス制御部60は、直流電圧源57Aおよび交流電圧源57Bと直流電圧源56Aおよび交流電圧源56Bとを制御して、磁気スリーブ47および現像スリーブ53のそれぞれに所定のバイアスを印加する。磁気スリーブ47および現像スリーブ53間の電位差により、磁気ブラシ層DからトナーTのみが現像スリーブ53の周面54に移動する。これにより、周面54上に所定厚さのトナー層が形成される。
【0048】
周面54上のトナー層は、現像スリーブ53の回転に伴って感光体ドラム121のドラム表面に向けて搬送される。感光体ドラム121にも所定の電圧が印加されているので、感光体ドラム121と現像スリーブ53との間の電位差によってトナー層のトナーがドラム表面に移動する。これにより、ドラム表面上の静電潜像が現像される。
【0049】
ところで、上記構成の画像形成装置10は、近年、現像動作のさらなる高速化が要求されている。高速化の手段として、現像スリーブ53に印加されるバイアスの交流成分をさらに大きな値に設定することにより、現像スリーブ53と感光体ドラム121との間の現像ニップ領域を広げることが考えられる。現像動作の高速化に伴う現像スリーブ53と感光体ドラム121との間の現像ニップ時間の減少分を補うためである。そのため、現像スリーブ53の周面54は表面抵抗値の高い構造とすることが必要である。
【0050】
現像スリーブ53に高い表面抵抗を付与する手段として、例えば、周面54上にアルミニウムの酸化皮膜を形成し、その酸化皮膜の表面に抵抗調整剤としてカーボンを分散させたウレタン樹脂層を形成することが挙げられる。そして、表面抵抗値は、カーボンの添加率を調整することで調整することができる。
【0051】
図4に示すように、カーボン添加率を7wt%に設定した現像スリーブAは、表面抵抗値が8.1E+06Ω/□となり、カーボン添加率を4wt%に設定した現像スリーブBは、表面抵抗値が現像スリーブAのそれよりも高い8.0E+09Ω/□となる。このような現像スリーブAおよび現像スリーブBのそれぞれに交流バイアスを印加すると、現像スリーブBと感光体ドラム121との間でリークが発生し得る電圧は、1680Vであるのに対し、現像スリーブAと感光体ドラム121との間でリークが発生し得る電圧は、1480Vである。このように、表面抵抗値の高い現像スリーブBは、リーク発生電圧が現像スリーブBよりも200V高く、したがって、現像スリーブBは、現像スリーブAよりも現像動作の高速化の要求に応えることができる。
【0052】
しかしながら、現像スリーブBは、高速化の要求に応えることができるものの、環境の変化に対して現像スリーブAよりも信頼性が低い。
【0053】
具体的には、トナーのエージングにより、トナーはアルミニウムの酸化皮膜上で摩擦帯電しやすくなり、トナーの表面電荷が大きくなる。そのため、トナーが現像スリーブ53の周面54上に滞留しやすくなり、所謂チャージアップ現象が発生する。チャージアップ現象が発生すると、トナーが現像スリーブ53の周面54上に固着しやすくなる。チャージアップ現象により、ベタ画像の濃度が印字枚数の増加に伴って徐々に低くなる。これは、磁気スリーブ47と現像スリーブ53との間の電位差が小さくなるにつれて、所望量のトナーが現像スリーブ53に供給され難くなるからである。一方、ハーフ画像の濃度は、印字枚数の増加に伴って徐々に高くなる。これは、現像スリーブ53と感光体ドラム121との間の電位差が大きくなるにつれて、トナーが感光体ドラム121に過剰に供給されるからである。
【0054】
そして、現像スリーブ53の周面54上におけるトナー電荷の滞留の度合いは、温度および湿度の変化に伴って大きく変化する。つまり、チャージアップ現象の発生は、温度および湿度の変化によって影響される。チャージアップ現象は、温度や湿度が低下するにつれて発生しやすくなり、温度や湿度が高くなると発生し難くなる。
【0055】
図5は、温度を10℃とし、湿度を15%とした環境下で、図7に示す25%濃度(ハーフ画像)のパッチパターンを、現像スリーブAおよび現像スリーブBを用いて連続印字した場合におけるトナー濃度(画像濃度)の変化を示す図である。
【0056】
図5に示すように、破線で示すトナー濃度変化の許容範囲を0.1とした場合、現像スリーブAは、温度が10℃、湿度が15%という低温かつ低湿度という環境下(乾燥時)において、印字枚数が30枚を超えてもトナー濃度を許容範囲内に収めることができる。
【0057】
一方、現像スリーブBは、印字枚数が4枚まではトナー濃度を許容範囲内に収めることができるものの、印字枚数が5枚以上になると、トナー濃度を許容範囲内に収めることができない。具体的には、印字枚数が5枚以上になると、トナー濃度が許容範囲の上限値を超えてしまい、ハーフ画像であるパッチパターンのトナー濃度が高くなる。
【0058】
しかしながら、現像スリーブBであっても、温度を23℃とし、湿度を50%とした環境下(常温時)で図7に示す25%濃度のパッチパターンを連続印字した場合、図6に示すように、印字枚数が30枚を超えてもトナー濃度を許容範囲内に収めることができる。
【0059】
このように、表面抵抗値が高い現像スリーブBは、常温時ではチャージアップ現象が発生し難いものの、乾燥時ではチャージアップ現象が発生しやすい。そこで、本実施形態では、高い表面抵抗値を有する現像スリーブBを用いる場合であっても、温度および湿度の変化に対応して現像スリーブ53上でチャージアップ現象が発生することを抑制できるようにバイアス制御部60を構成している。
【0060】
バイアス制御部60は、図8に示すように、リフレッシュ動作部61、環境比較部62、画像パターン作成部63および期間推定部64を含む。環境比較部62には、温湿度センサ81が接続されている。期間推定部64には、トナー濃度センサ80が接続されている。
【0061】
リフレッシュ動作部61は、現像スリーブ53の周面54上に滞留するトナー電荷を除去するリフレッシュ動作を行う。リフレッシュ動作は、現像ローラ46が感光体ドラム121にトナーを供給して静電潜像を可視像化していない、ひいては中間転写ベルト125上にトナー画像が転写(形成)されていない非画像形成時(紙間時)において行われる動作である。リフレッシュ動作部61は、前記バイアス印加手段を制御して、磁気スリーブ47が現像スリーブ53からトナーを回収することができるように直流電圧源57Aから磁気スリーブ47に印加される直流バイアスを第1バイアスに調整した後、トナー画像形成時に直流電圧源56Aから現像スリーブ53に印加される直流バイアスよりも低い値の第2バイアスを現像スリーブ53に印加することにより、現像スリーブ53の周面54上に滞留するトナー電荷を除去する。
【0062】
次に、図9に示すリフレッシュ動作のタイミングチャートを参照しながら、リフレッシュ動作について具体的に説明する。リフレッシュ動作部61は、まず、I期間に示すように、磁気スリーブ47に印加されている直流バイアスを370Vから70V(第1バイアス)に引き下げて維持する。I期間では、現像スリーブ53に印加されている直流バイアスは70Vに維持される。これは、磁気スリーブ47に印加されている直流バイアスと、現像スリーブ53に印加されている直流バイアスとを等しくして、現像スリーブ53の周面54上のトナーを磁気スリーブ47に回収するためである。I期間は、例えば現像スリーブ53の一回転分の時間に相当する。なお、磁気スリーブ47に印加されている直流バイアスを、現像スリーブ53に印加されている直流バイアスよりも小さくしてもよい。
【0063】
次に、リフレッシュ動作部61は、II期間に示すように、現像スリーブ53に印加されている直流バイアスを70Vから0V(第2バイアス)に引き下げて維持する。これにより、現像スリーブ53の周面54上に滞留しているトナー電荷を逃すことができ、その結果、チャージアップ現象を抑制することができる。同時に、磁気スリーブ47に印加されている直流バイアスも70Vから0Vに引き下げて維持する。これは、磁気スリーブ47上の磁気ブラシ層から現像スリーブ53に向けてトナーを移動させないためである。I期間も現像スリーブ53の一回転分の時間に相当する。
【0064】
そして、リフレッシュ動作部61は、III期間に示すように、現像スリーブ53の直流バイアスを画像形成時のバイアス値である70Vに引き上げて維持すると共に、磁気スリーブ47の直流バイアスも画像形成時のバイアス値である370Vに引き上げて維持する。これは、現像スリーブ53の周面54上にトナー層を形成させるため、つまり、現像スリーブ53から感光体ドラム121にトナーを供給して静電潜像を可視像化し、トナー画像を中間転写ベルト125上に転写させる画像形成動作を行うためである。III期間も現像スリーブ53の一回転分の時間に相当する。
【0065】
リフレッシュ動作は、所定の枚数(つまり、図9の実施間隔)が印字される度に繰り返し行われる。所定の枚数の印字が完了したときが、リフレッシュ動作の開始タイミングである。
【0066】
環境比較部62は、温湿度センサ81による検出結果に基づき、前回のリフレッシュ動作が行われたときの温度および湿度と、現時点での温度および湿度とを比較して、前回のリフレッシュ動作が行われてから温度および湿度のうちの少なくとも一方が所定範囲を超えて変化しているか否かを判断する。
【0067】
環境比較部62は、図10に示す温湿度テーブルを用いることにより、前回のリフレッシュ動作が行われたときの温度および湿度と、現時点での温度および湿度とを比較する。前回のリフレッシュ動作が行われたときの温度が25℃で湿度が50%であった場合、前回のリフレッシュ動作が行われたときの環境は、環境Eに属する。そして、現時点での温度が10℃で湿度が15%である場合、現時点での環境は環境Aに属する。環境比較部62は、前回のリフレッシュ動作が行われたときの温度および湿度が例えば環境Eから環境Aに変化していると判断した場合、画像パターン作成部63に信号を送る。
【0068】
なお、環境Bは、温度が15℃未満で、湿度が25%以上かつ50%未満のときであり、環境Cは、温度が15℃未満で、湿度が50%以上のときであり、環境Dは、温度が25℃以上で、湿度が25%未満のときであり、環境Fは、温度が25℃以上で、湿度が50%以上のときである。
【0069】
画像パターン作成部63は、環境比較部62から信号を受け取ると、現像装置40を制御して、図7に示すように、25%濃度(ハーフ画像)のパッチパターン(画像パターン)を、所定の期間、例えば10秒間にわたって中間転写ベルト125上に形成させる。パッチパターンはトナー濃度センサ80によってトナー濃度が測定される。画像パターン作成部63によるパッチパターンの形成は、前回のリフレッシュ動作時から環境が変化した場合や、画像形成装置10の電源立ち上げ時等に行われる。
【0070】
期間推定部64は、トナー濃度センサ80が検出したパッチパターンのトナー濃度に基づき、前記所定の期間(10秒間)にわたるトナー濃度の経時的変化量を得て、その経時的変化量に基づき、リフレッシュ動作の開始タイミング、つまりリフレッシュ動作間に印字される枚数を決定する。前記トナー濃度の経時的変化量は、言い換えれば、現像スリーブ53の周面54上において経時的に変化するトナーの電荷量のことである。25%濃度のパッチパターンを、温度が10℃で、湿度が15%の環境(環境A)下で印字した場合、パッチパターンのトナー濃度は経時的に高くなる。一方、ベタ画像のパッチパターンを同環境下で印字した場合、パッチパターンのトナー濃度は経時的に低下する。
【0071】
具体的には、期間推定部64は、パッチパターンのトナー濃度の経時的変化量に基づき、パッチパターンのトナー濃度が所定の濃度範囲(図5および図6に示す濃度変化許容範囲)から逸脱するまでに要する期間を推定し、その推定期間が終了する前にリフレッシュ動作が行われるように開始タイミングの決定を行う。本実施形態では、推定期間とは、現像スリーブ53の周面54上にトナー電荷が滞留して、チャージアップ現象が発生するまでに要する期間のことである。
【0072】
期間推定部64は、推定期間を次のようにして得る。図11に示すように、ハーフ画像(パッチパターン)が形成される場合、トナー濃度センサ80のセンサ出力値と、トナー濃度(画像濃度)とは比例する関係にあり、濃度差0.1(つまり、図5および図6に示す濃度変化許容範囲)に対応するセンサ出力値は0.25Vであることが分かる。そして、例えば温度が10℃で、湿度が15%の環境(環境A)下で現像ローラB(図4)を用いてパッチパターン(図7)を形成させ、図12に示すように、各パッチのトナー濃度に対応するプロットを対数曲線近似すると、0.25Vを超えるまでに要する時間、つまり、トナー濃度が所定の濃度範囲(図5および図6に示す濃度変化許容範囲)から逸脱するまでに要する期間を推定することができる。本実施形態では、前記期間は約15秒間であると推定できる。約15秒という期間は、印字枚数に換算すると、5枚を印字するのに要する時間である。期間推定部64は、25%濃度のパッチパターンを、環境A以外の環境、すなわち、環境B〜F下で印字した場合においても前記推定期間を得ることができるように構成されている。
【0073】
上記した例(環境A下)では、約15秒の期間は5枚を印字するのに要する時間であるため、期間推定部64は、4枚の印字が終了し、5枚目の印字が行われる前がリフレッシュ動作を行う開始タイミングであると決定し、その後、リフレッシュ動作部61に対してその開始タイミングでリフレッシュ動作を行うように指示を送る。バイアス制御部60は、印字枚数をカウントするカウンタをさらに含んでおり、カウンタ65はリフレッシュ動作部61に接続されている。そして、リフレッシュ動作部61は、カウンタ65から印字枚数を取得しつつ、所定の枚数(ここでは4枚)の印字が終了したか否かを判断し、4枚の印字が終了する度にリフレッシュ動作を行う。なお、カウンタ65は、リフレッシュ動作が終了する度にリセットされる。
【0074】
図13は、温度が10℃で、湿度が15%の環境A下で、パッチパターンを、現像スリーブB(図4)を用いて連続印字し、4枚の印字が終了する度にリフレッシュ動作を行ったときのトナー濃度の変化を示す図である。同図に示すように、リフレッシュ動作を、4枚の印字が終了する度に行うことで、表面抵抗値の高い現像スリーブBを用いた場合であっても、トナー濃度を、印字枚数が30枚を超えても濃度変化許容範囲内に収めることができる。
【0075】
また、期間推定部64は、環境が変化するたびに、例えば環境Aから環境Fに変化したとき、上記のように、環境比較部62および画像パターン作成部63の動作に基づき、トナー濃度が所定の濃度許容範囲から逸脱するまでに要する期間を推定し、リフレッシュ動作の開始タイミングの決定を再び行う。期間推定部64は、温度および湿度のうちの少なくとも一方が低下するにつれて、例えば環境Bから環境Aに変化すると、リフレッシュ動作の開始タイミングを早くする一方で、温度および湿度のうちの少なくとも一方が高くなるにつれて、例えば環境Dから環境Eに変化すると、リフレッシュ動作の開始タイミングを遅らせる。
【0076】
リフレッシュ動作部61は、期間推定部64が決定した新たな開始タイミングでリフレッシュ動作を行う。
【0077】
次に、上記構成のバイアス制御部60によるリフレッシュ動作の手順について図14を参照しながら説明する。図14はバイアス制御部60によるリフレッシュ動作のフローチャートである。
【0078】
まず、ユーザによって連続印字の開始が指示されると(スタート)、環境比較部62は、温湿度センサ81の検出に基づき、現時点の環境が前回のリフレッシュ動作時の環境と同一であるか否かを判断する(ステップS1)。
【0079】
環境が同一ではないと判断された場合(ステップS1でNO)、画像パターン作成部63は、環境比較部62から信号を受け取り、25%濃度のパッチパターンを中間転写ベルト125上に形成する(ステップS2)。期間推定部64は、トナー濃度センサ80によるパッチパターンのトナー濃度検出に基づいてトナー濃度の経時的変化量を得た後、その経時的変化量に基づき、トナー濃度が所定の濃度範囲から逸脱するまでに要する期間を推定して、リフレッシュ動作の開始タイミングを決定する(ステップS3)。また、このステップS3において、期間推定部64はリフレッシュ動作部61にその開始タイミングを知らせる。
【0080】
期間推定部64がリフレッシュ動作のタイミングを決定した後、バイアス制御部60は、直流電圧源57Aおよび交流電圧源57Bと直流電圧源56Aおよび交流電圧源56Bとからなる前記バイアス印加手段を制御して連続印字を開始する(ステップS4)。
【0081】
なお、ステップS1において、YESと判断された場合、つまり、現時点の環境が前回のリフレッシュ動作時の環境と同一であると判断された場合、バイアス制御部60は前記バイアス印加手段を制御して直ぐに連続印字を開始する(ステップS4)。
【0082】
ステップS5では、リフレッシュ動作部61が、カウンタ65から印字枚数を取得しつつ、所定の枚数(例えば4枚)の印字が終了したか否かを判断する(ステップS5)。所定の枚数の印字が終了したと判断された場合(ステップS5でYES)、リフレッシュ動作部61はリフレッシュ動作を開始する(ステップS6)。一方、所定の枚数の印字が終了していないと判断された場合(ステップS5でNO)、リフレッシュ動作部61は所定の枚数が印字されるまで待機する。
【0083】
次に、リフレッシュ動作部61は、ステップS6においてリフレッシュ動作を完了した後、前記バイアス印加手段を制御して、磁気スリーブ47および現像スリーブ53のそれぞれに印加されるバイアスをトナー画像の形成に必要な値にまで引き上げる。そして、連続印字が再開始され(ステップS7)、ユーザが指定した印字枚数に達すると画像形成動作が完了する(ステップS8)。
【0084】
以上説明した本実施形態に係る画像形成装置10によれば、バイアス制御部60は、リフレッシュ動作を行うにあたり、画像パターン作成部63によって所定の画像パターン(25%濃度のパッチパターン)を中間転写ベルト125上に実際に形成させ、バイアス制御部60の期間推定部64は、トナー濃度センサ80によるパッチパターンのトナー濃度検出に基づき、連続印字時の(画像形成時の)環境下においてパッチパターンのトナー濃度が濃度変化許容範囲から逸脱するまでに要する期間を推定する。そして、リフレッシュ動作部61は、ユーザが指示した連続印字を実際に行うとき、その推定期間が終了する前のタイミングでリフレッシュ動作を行うように構成されているので、現像スリーブ53の周面54上にトナー電荷が滞留することに起因して発生するチャージアップ現象が抑制される。これにより、感光体ドラム121、ひいては中間転写ベルト125上に形成されるトナー画像のトナー濃度は、所定の濃度変化許容範囲内に維持される。
【0085】
また、本実施形態に係る画像形成装置10では、環境比較部62により、現時点での環境が前回のリフレッシュ動作が行われたときの環境と異なっていると判断された場合、例えば現時点の環境が環境E(図10)であり、前回のリフレッシュ動作が行われたときの環境が環境A(図10)であった場合、画像パターン作成部63は、パッチパターンを転写ベルト125上に再び形成し、期間推定部64は、トナー濃度センサ80によるパッチパターンのトナー濃度検出に基づき、パッチパターンのトナー濃度が濃度変化許容範囲から逸脱するまでに要する期間を再び推定して、リフレッシュ動作の新たな開始タイミングを決定する。そして、リフレッシュ動作部61はその新たな開始タイミングでリフレッシュ動作を行う。したがって、画像形成装置10では、環境の変化に伴ってトナー電荷の滞留の度合いが変化した場合であっても、チャージアップ現象が抑制される。
【符号の説明】
【0086】
10 画像形成装置
40 現像装置
45 磁気ローラ
46 現像ローラ
47 磁気スリーブ
53 現像スリーブ
60 バイアス制御部
61 リフレッシュ動作部
62 環境比較部
63 画像パターン作成部
64 期間推定部
65 カウンタ
80 トナー濃度センサ
81 温湿度センサ
121 感光体ドラム
125 中間転写ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー画像が形成される像担持体と、
トナーおよびキャリアを含む現像剤を担持する現像剤担持体と、前記現像剤担持体から前記トナーのみを受け取って担持し、該トナーを前記像担持体に供給することにより、該像担持体上に前記トナー画像を形成するトナー担持体とを有する現像装置と、
前記像担持体上に形成された前記トナー画像のトナー濃度を検出するトナー濃度センサと、
前記現像剤担持体および前記トナー担持体のそれぞれに所定のバイアスを印加するバイアス印加手段と、
前記現像装置および前記バイアス印加手段を制御するものであって、前記トナー担持体が前記像担持体上に前記トナー画像を形成していない非画像形成時において、前記バイアス印加手段を制御して、前記現像剤担持体が前記トナー担持体から前記トナーを回収することができるように前記現像剤担持体に印加される前記バイアスを第1バイアスに調整した後、前記トナー担持体が前記像担持体上に前記トナー画像を形成する画像形成時に印加される前記バイアスよりも低い値の第2バイアスを前記トナー担持体に印加することにより、前記トナー担持体上の滞留電荷を除去するリフレッシュ動作を行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記リフレッシュ動作を行うに当たり、まず、前記現像装置を制御して、前記像担持体上に所定の画像パターンを所定の期間にわたって形成させ、次に、前記トナー濃度センサが検出した前記画像パターンのトナー濃度に基づき、前記所定の期間にわたる前記トナー濃度の経時的変化量を得て、そして、前記経時的変化量に基づいて前記リフレッシュ動作の開始タイミングを決定する画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、前記制御部は、前記経時的変化量に基づき、前記画像パターンの前記トナー濃度が所定の濃度範囲から逸脱するまでに要する期間を推定し、その推定期間が終了する前に前記リフレッシュ動作が行われるように前記開始タイミングの決定を行う画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、さらに、温度および湿度を検出する温湿度センサを備え、
前記制御部は、前記温湿度センサによる検出結果に基づき、前回のリフレッシュ動作を行ってから前記温度および前記湿度のうちの少なくとも一方が所定範囲を超えて変化していると判断した場合、前記リフレッシュ動作の前記開始タイミングの決定を再び行う画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置において、前記制御部は、前記温度および前記湿度のうちの少なくとも一方が低下するにつれて前記リフレッシュ動作の前記開始タイミングを早くする一方で、前記温度および前記湿度のうちの少なくとも一方が高くなるにつれて前記リフレッシュ動作の前記開始タイミングを遅らせる画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−150184(P2011−150184A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12209(P2010−12209)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】