説明

画像形成装置

【課題】長期使用においても安定した高画質画像を、待機時間を延長することなく得られる画像形成装置を提供することであり、特に、高温高湿環境下において帯電装置の近傍で発生しやすい、NOxやオゾン等の活性ガスによる画像流れ等の画像欠陥を改善した画像形成装置を提供する。
【解決手段】有機感光体と、該感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、該静電潜像をトナーとキャリアとを含む二成分現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像手段とを、少なくとも有する画像形成装置において、該感光体が、少なくとも反応性基を有する硬化性化合物の反応生成物を含有する表面層を有し、かつ該感光体の表面にキャリアを供給するキャリア供給手段と、該感光体の表面に供給されたキャリアを除去するキャリア除去手段とを有し、画像形成時外に作動させる画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、電子写真方式の画像形成に用いる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、電子写真式画像形成装置の小型化が進む中で感光体の小径化が進み、該装置の高速化やメンテナンスフリー化の動きも加わり感光体の高耐久化が切望されるようになってきた。
【0003】
この観点からみると、有機感光体は、表面層が低分子電荷輸送物質と不活性高分子を主成分としているため一般的に柔らかく、画像形成に繰り返し使用された場合、現像工程やクリーニング工程による物理的な負荷により摩耗が発生しやすいという欠点を有している。加えて高画質化の要求からトナー粒子の小粒径化に伴い、クリーニング性を上げる目的でクリーニングブレードのゴム硬度の上昇と、当接圧力の上昇を余儀なくされ、感光体の摩耗を促進する要因となっている。このような感光体の摩耗は、感度の劣化、帯電性の低下などの電気的特性を劣化させ、画像濃度低下、地肌汚れ等の異常画像の原因となる。また摩耗が局所的に発生した傷は、クリーニング不良によるスジ状汚れ画像をもたらす。現状では感光体の寿命はこの摩耗や傷が要因となり、交換に至っている。
【0004】
有機感光体の高耐久化においては前述の摩耗量を低減することが不可欠であり、更に優れたクリーニング性、転写性を付与させるために、良好な表面性を有する有機感光体が必要とされており、これらが当技術分野でもっとも解決が迫られている課題である。
【0005】
感光層の耐摩耗性を改良する技術としては、(1)表面層に硬化性バインダーを用いたもの(特許文献1)、(2)高分子型電荷輸送物質を用いたもの(特許文献2)、(3)表面層に無機フィラーを分散させたもの(特許文献3)等が挙げられる。これらの技術は、いずれもある程度の耐摩耗性は得られるものの、未反応基の残存、電荷輸送物質自身の極性、粒子表面の極性基等の存在により、NOxやオゾン等の活性ガスの影響を受けやすく、特に高温高湿環境下において画像流れといわれる現象を引き起こし、画像特性が不十分であった。
【0006】
一方、トナー粒子の表面に、チタン酸ストロンチウムといった無機微粒子を含有させ、この無機微粒子の研磨作用によって、高温高湿環境下の画像特性を改良する技術が開示されている(特許文献4、特許文献5)。しかしながら、これらの技術を用いても耐摩耗性の向上と画像流れ欠陥の防止を両立させ、市場の要求を満足するには至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭56−48637号公報
【特許文献2】特開昭64−1728号公報
【特許文献3】特開平4−281461号公報
【特許文献4】特開2000−284509号公報
【特許文献5】特開2007−33485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願発明の課題は、耐摩耗性の高い有機系感光体を用いた時の、特に高温高湿環境下で発生しやすい画像流れ等の画像欠陥を防止し、耐久性と画質を高い次元で両立させることである。
【0009】
感光体の耐摩耗性を向上させるためには、硬化型バインダーを用いた表面層を形成することが効果的であるが、耐摩耗性を上げると、トナー粒子やトナーに添加した無機微粒子などの成分による感光体表面の擦過では、擦過力が低く不十分である。感光体表面の適度な摩耗によるリフレッシュ機能が期待できず繰り返し使用時、特に高湿環境下で画像欠陥(画像流れ)が発生する。
【0010】
この対策として、特に長時間停止後の画像形成装置起動時に、感光体表面に堆積した放電生成物を除去するために、感光体の空回転を行い、クリーニングブレードや、二成分現像剤の磁気ブラシなどで感光体表面を擦過するモードが設けられている。しかし、耐摩耗性の高い表面層を採用した感光体においては、この方法を用いても正常画像が得られるまでの時間が長くなり実用的でなくなる。
【0011】
本願発明の目的は、長期使用においても安定した高画質画像を、待機時間を延長することなく得られる画像形成装置を提供することであり、特に、高温高湿環境下において帯電装置の近傍で発生しやすい、NOxやオゾン等の活性ガスによる画像流れ等の画像欠陥を改善した画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明者等は、高い耐摩耗性を有する感光体を用い、トナーよりも比重が高く、粒径も大きいキャリアを擦過粉体とすることにより、表面層の過度の摩耗やキズが発生することなく、放電生成物の除去能力が飛躍的に向上し、短時間で正常画像が得られるようになることを見出し、本願発明に至った。
【0013】
すなわち、本願発明の上記課題は、以下に記載する構成により達成される。
【0014】
1.
有機感光体と、該感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、該静電潜像をトナーとキャリアとを含む二成分現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像手段とを、少なくとも有する画像形成装置において、該感光体が、少なくとも反応性基を有する硬化性化合物の反応生成物を含有する表面層を有し、かつ該感光体の表面にキャリアを供給するキャリア供給手段と、該感光体の表面に供給されたキャリアを除去するキャリア除去手段とを有し、画像形成時外に作動させることを特徴とする画像形成装置。
【0015】
2.
前記キャリア供給手段が、現像手段であることを特徴とする1項に記載の画像形成装置。
【0016】
3.
前記キャリア除去手段が、クリーニング手段であることを特徴とする1項または2項に記載の画像形成装置。
【0017】
4.
前記クリーニング手段が、ブラシとブレードを併用した構成であることを特徴とする3項に記載の画像形成装置。
【0018】
5.
前記有機感光体の表面層が、無機微粒子を含有していることを特徴とする1項〜4項のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0019】
6.
前記無機微粒子が、重合性官能基を有する化合物で表面処理されていることを特徴とする5項に記載の画像形成装置。
【0020】
7.
前記有機感光体のユニバーサル硬さ値(HU)が、150N/mm以上、500N/mm以下であることを特徴とする1項〜6項のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0021】
本願発明の画像形成装置を適用することにより、長期使用においても安定した高画質画像の出力を、待機時間を延長することなく得られる画像形成装置を提供することができ、特に、高温高湿環境下において帯電装置の近傍で発生しやすい、NOxやオゾン等の活性ガスによる画像流れ等の画像欠陥を改善した画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る画像形成装置の構成図。
【図2】本発明に係る現像装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0024】
(画像形成装置)
図1は、本願発明に係るカラー画像形成装置Aの構成図である。
【0025】
カラー画像形成装置Aは、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、複数組の画像形成手段10Y,10M,10C,10Kと、ベルト状の中間転写体6と給紙装置20及び定着装置30とから構成されている。
【0026】
カラー画像形成装置Aの上部には、画像読取装置SCが設置されている。原稿台上に載置された原稿は画像読取装置SCの原稿画像走査露光装置の光学系により画像が走査露光され、ラインイメージセンサに読み込まれる。ラインイメージセンサにより光電変換されたアナログ信号は、画像処理部において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等を行った後、光書込手段3Y,3M,3C,3Kに入力される。
【0027】
イエロー(Y)色の画像を形成する画像形成手段10Yは、像担持体1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、光書込手段3Y、現像装置4Y及びクリーニング手段5Yを有する。マゼンタ(M)色の画像を形成する画像形成手段10Mは、像担持体1M、帯電手段2M、光書込手段3M、現像装置4M及びクリーニング手段5Mを有する。シアン(C)色の画像を形成する画像形成手段10Cは、像担持体1C、帯電手段2C、光書込手段3C、現像装置4C及びクリーニング手段5Cを有する。黒(K)色の画像を形成する画像形成手段10Kは、像担持体1K、帯電手段2K、光書込手段3K、現像装置4K及びクリーニング手段5Kを有する。
【0028】
帯電手段2Yと光書込手段3Y、帯電手段2Mと光書込手段3M、帯電手段2Cと光書込手段3C及び帯電手段2Kと光書込手段3Kとは、潜像形成手段を構成する。
【0029】
4Y,4M,4C,4Kは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び黒(K)の小粒径トナーとキャリアからなる二成分現像剤を収容する現像装置である。
【0030】
中間転写体6は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持されている。
【0031】
画像形成手段10Y,10M,10C,10Kより形成された各色の画像は、回動する中間転写体6上に一次転写手段7Y,7M,7C,7Kにより逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。
【0032】
給紙装置20の給紙カセット21内に収容された記録紙Pは、給紙手段(第1給紙部)22により給紙され、給紙ローラ23,24,25,26、レジストローラ(第2給紙部)27等を経て、二次転写手段9に搬送され、記録紙P上にカラー画像が転写される。
【0033】
なお、カラー画像形成装置Aの下部に鉛直方向に縦列配置された3段の給紙カセット21は、ほぼ同一の構成をなす。また、3段の給紙手段22も、ほぼ同一の構成をなす。給紙カセット21、給紙手段22を含めて給紙装置20と称す。
【0034】
カラー画像が転写された記録紙Pは、定着装置30において記録紙Pが挟持され、熱と圧力とを加えることにより記録紙P上のカラートナー像(或いはトナー像)が定着されて記録紙P上に固定され、排紙ローラ28に挟持されて機外の排紙トレイ29上に載置される。
【0035】
一方、二次転写手段9により記録紙Pにカラー画像を転写した後、記録紙Pを曲率分離した中間転写体6は、クリーニング手段8により残留トナーが除去される。
【0036】
以下、像担持体1Y,1M,1C,1Kを像担持体1(以下、感光体1と記す)と称し、現像装置4Y,4M,4C,4Kを現像装置4と称す。
【0037】
〔現像装置〕
図2は、本発明に係る現像装置4の実施の形態を示す断面図である。
【0038】
現像装置4の筐体は下方の下部ケーシング40と、上方の上部ケーシング50とから成る二分割構成をなし、開閉可能である。
【0039】
現像装置4の下部ケーシング40内には、現像ローラ41、第1現像剤撹拌搬送部材(以下、第1撹拌部材と称す)43、第2現像剤撹拌搬送部材(以下、第2撹拌部材と称す)44、現像剤供給ローラ(以下、供給ローラと称す)45、現像剤案内部材(以下、ガイド部材と称す)46等が配置されている。
【0040】
下部ケーシング40は、第1撹拌部材43を収容する現像剤供給室401と、第2撹拌部材44を収容する現像剤撹拌室402とから成る。現像剤供給室401と現像剤撹拌室402とは、下部ケーシング40の底部から直立した隔壁部403を挟んで両側に形成されている。
【0041】
現像ローラ41は回転可能な現像スリーブ(現像剤担持体)41Aと固定された磁界発生手段(マグネットロール)41Bとから構成されている。
【0042】
現像スリーブ41Aと第1撹拌部材43との対向近接点において、現像スリーブ41Aは下方から上方に回動し、第1撹拌部材43は上方から下方に回動する。
【0043】
現像ローラ41は、静電潜像を担持する感光体1に対向して配置され、図示しない駆動源により駆動回転される。現像スリーブ41Aには、現像バイアスとして交流電源E1による交流電圧と、直流電源E2による直流電圧とが重畳される。
【0044】
磁界発生手段41Bは、現像スリーブ41Aの内方に配置され、7極の磁極N1,N2,N3,N4,S1,S2,S3を有する。磁極N1は現像主磁極、磁極N2は剥取磁極、磁極N3は現像ローラ41上の現像剤搬送量を規制する規制磁極である。これら7極の磁極N1,N2,N3,N4,S1,S2,S3によって、図示の磁力分布が形成される。
【0045】
現像剤量規制部材51の先端部は、磁界発生手段41Bの規制磁極N3の近傍の位置に配置されている。
【0046】
磁界発生手段41Bの複数個の磁極のうち互いに隣接する2つの磁極N2,N3は、同極性に配置され反発磁界を形成している。現像剤剥ぎ取り用の剥取磁極N2は、現像スリーブ41A上の現像剤を剥ぎ取り飛散させる。現像剤受け入れ用の規制磁極N3は、供給ローラ45により供給された現像剤を汲み上げて現像スリーブ41A上に付着させる。
【0047】
第1撹拌部材43は、第2撹拌部材44から搬送された現像剤を撹拌して搬送し、現像ローラ41に均一に供給する。第1撹拌部材43、第2撹拌部材44は何れも螺旋状のスクリュー部材である。
【0048】
第2撹拌部材44は第1撹拌部材43に平行配置され、トナー補給手段47から補給される新規トナーと現像スリーブ41Aから還流された現像剤とを混合、撹拌して第1撹拌部材43の上流部に搬送する。
【0049】
第1撹拌部材43は回転軸方向に現像剤を搬送するとともに、回転軸のほぼ直角方向に現像剤を放出する。
【0050】
現像剤量規制部材51は磁性体より成り、規制磁極N3に対向し、現像スリーブ41A上の現像剤の層厚を規制する。供給ローラ45は固定配置された5極の磁石N1,N2,N3,S1,S2を有する磁界発生手段を備え、第1撹拌部材43から搬送される現像剤を保持して搬送し、現像スリーブ41Aに送り込む。
【0051】
現像スリーブ41Aと第1撹拌部材43との対向近接点の近傍に、ガイド部材46を傾斜状に配置した。ガイド部材46は、現像スリーブ41Aから剥ぎ取られて図2に示す白抜き矢印方向に搬送される下方の現像剤と、現像スリーブ41Aに供給される上方の現像剤とを隔てるとともに、供給ローラ45により搬送される現像剤を堆積して現像ローラ41に案内する。ガイド部材46は、非磁性材料、例えば、ABS樹脂等の合成樹脂、非磁性ステンレス鋼、アルミニウム合金、銅合金、セラミックス等により形成される。
【0052】
第1撹拌部材43の回転により掻き上げられた現像剤は、磁極を内蔵する供給ローラ45の回転によって搬送された後、ガイド部材46上を整流状に一方向に移動して、回転する現像ローラ41によって搬送され、現像剤量規制部材51により現像剤高さが規制されて、感光体1に対向する現像領域に搬送される。
【0053】
(キャリア)
〔被覆樹脂層〕
本発明に係るキャリアの被覆層形成に好適な樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、クロルスルホン化ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等のポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビリケトン等のポリビニル及びポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体やスチレン−アクリル酸共重合体等の共重合体;ポリテトラクロルエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロルトリフルロルエチレン等のフッ素樹脂;ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;尿素−ホルムアルデヒド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂等である。
【0054】
中でも、長期間の使用を通してある程度キャリアコート樹脂層を減耗させトナースペントを防ぐという観点から、スチレン−アクリル酸共重合体が好ましく、樹脂層がほとんど減耗しないシリコーン樹脂、架橋樹脂は適さない。
【0055】
〔芯材(磁性体粒子)〕
本発明に係るキャリアに用いられる芯材(コア粒子、磁性体粒子とも言う)としては、鉄粉、マグネタイト、各種フェライト系粒子またはそれらを樹脂中に分散したもの等を挙げることができる。好ましくはマグネタイトや各種フェライト系粒子である。フェライトとしては、銅、亜鉛、ニッケル、マンガン等の重金属を含有するフェライトやアルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属を含有する軽金属フェライトが好ましい。
【0056】
磁性体粒子径としては、体積平均粒径で10〜100μm、好ましくは20〜80μmである。更にキャリア自体が有する磁化特性としては、飽和磁化で2.5×10−5〜15.0×10−5Wb・m/kgが好ましい。
【0057】
なお、磁性体粒子の体積平均粒径は、湿式分散器を備えてなるレーザー回折式粒度分布測定装置「HELOS」(シンパテック社製)により測定される体積基準の平均粒径である。飽和磁化は、「直流磁化特性自動記録装置3257−35」(横河電気株式会社製)により測定される。
【0058】
樹脂層の平均厚は、キャリアの耐久性と低抵抗化の両立の観点より50〜4000nmが好ましく、更には200〜3000nmが好ましい。
【0059】
樹脂層の平均厚は、以下の方法により算出される値である。
【0060】
集束イオンビーム試料作製装置(SMI2050 エスエスアイナノテクノロジー(株)製)にてキャリア薄片を作製し、その後、その薄片の断面を透過型電子顕微鏡(JEM−2010F 日本電子(株)製)にて5000倍の視野で観察し、その視野における最大膜厚となる部分と最小膜厚となる部分の平均値を樹脂層の平均厚とした。
【0061】
〔樹脂層の作製〕
樹脂層の具体的作製法としては、湿式コート法、乾式コート法が挙げられる。以下に各方法について詳細に述べる。
【0062】
湿式コート法としては、
(1)流動層式スプレーコート法
被覆用樹脂を溶剤に溶解した塗布液を流動層を用いて磁性体粒子の表面にスプレー塗布し、次いで乾燥して被膜を作製する方法
(2)浸漬式コート法
被覆用樹脂を溶剤に溶解した塗布液中に磁性体粒子を浸漬して塗布処理し、次いで乾燥して被膜を作製する方法
(3)重合法
反応性化合物を溶剤に溶解した塗布液中に磁性体粒子を浸漬して塗布処理し、次いで熱等を加えて重合反応を行い被膜を作製する方法
等を挙げることができる。
【0063】
乾式コート法としては、被覆しようとするコア粒子の表面に樹脂粒子を被着させ、その後機械的衝撃力を加えて、被覆しようとする粒子表面に被着した樹脂粒子を溶融あるいは軟化させて固着し、被膜を作製する方法である。芯材、樹脂、導電性微粒子を非加熱下、もしくは加熱下で機械的衝撃力が付与できる高速撹拌混合機を用い、高速撹拌して当該混合物に衝撃力を繰り返して付与し、磁性体粒子の表面に、溶解あるいは軟化させた樹脂を導電性微粒子とともに固着させ、樹脂コートキャリアを作製するのである。加熱する場合には、60〜125℃が好ましい。加熱温度が過大になるとキャリア粒子同士の凝集が発生しやすくなるためである。
【0064】
〔被覆キャリア粒径〕
被覆キャリアの体積平均粒径としては10〜100μmであることが好ましく、更に好ましくは20〜80μmである。キャリアの体積平均粒径は、代表的には湿式分散器を備えてなるレーザー回折式粒度分布測定装置「HELOS」(シンパテック社製)により測定することができる。
【0065】
(キャリア供給手段)
本発明に係るキャリア供給手段とは、有機感光体の表面に現像剤に含まれるキャリアを供給するものであり、感光体の表面電位とキャリア供給手段のバイアス電位を調整することで、キャリアを静電的に感光体に供給することができる。また、感光体とキャリア供給手段にバイアス電位差を設けず、感光体とキャリアの物理的付着力でも供給することができる。
【0066】
感光体の表面電位とキャリア供給手段にバイアス電位差を与えてキャリアを供給するほうが、キャリアの感光体への供給量をより正確に調整できるため特に好ましい。
【0067】
次に、キャリア供給方法について、負帯電感光体、負帯電トナー、正帯電キャリアを用いた反転現像方式への適用例を説明する。
【0068】
まず、感光体の未露光時の表面電位を通常の画像形成プロセスよりも絶対値で高く設定する。即ち、通常の感光体表面電位が−750Vの場合は、例えば−800Vに設定する。
【0069】
次いで、キャリア供給手段のバイアス電位を前記感光体の表面電位よりも絶対値を低くして、通常の画像形成時よりも電位差を大きく設定する。即ち、キャリア供給時の感光体の表面電位を−800Vに設定した場合は、キャリア供給手段のバイアス電位を例えば−550Vに設定する。
【0070】
このように感光体の表面電位及びキャリア供給手段のバイアス電位をキャリアが静電的に移行するような設定にすることで、正帯電キャリアが感光体に供給されることになる。
【0071】
キャリア供給手段から感光体へ供給するキャリアの量は、感光体の表面電位とキャリア供給手段のバイアス電位との電位差や、この電位差を与える時間で調整することができる。
【0072】
感光体の表面電位とキャリア供給手段のバイアス電位との電位差は、150〜400Vが好ましく、170〜300Vが特に好ましい。この範囲に設定することで、NOxやオゾン等の活性ガスを効果的に除去できるようになる。
【0073】
感光体にキャリアを供給するタイミングは、画像形成中に非画像部や、画像形成前後の空転時でもよいが、NOxやオゾン等の活性ガスが蓄積するのは、画像形成動作が停止している待機状態であるために、画像形成動作を実施する直前が好ましい。
【0074】
更に、キャリア供給動作の実施は、常時でも所定の状態を検知した場合でもよいが、NOxやオゾン等の活性ガスによる画像への影響は、高温高湿環境で特に発生しやすいので、温度、湿度を検知して、所定のテーブルに従ってキャリア供給動作の実施を判断してもよい。
【0075】
本発明に係るキャリア供給手段は、現像手段との兼用が、コスト、スペースの上で好ましい。
【0076】
また、キャリアまたは二成分現像剤の少なくともいずれかを該現像手段の内部に供給する供給手段を有することが好ましい。
【0077】
(キャリア除去手段)
感光体に供給したキャリアを除去する手段としては、キャリアを除去できれば特に制限はないが、例えば、ブラシ、ブレード、シート等が挙げられる。また、残留トナーを除去するクリーニング手段や、感光体に接触した帯電手段、現像手段などと兼用してもよい。
【0078】
特に、ファーブラシと弾性ブレードを併用し、更にブラシに電圧印可して静電的にキャリアを除去する構成が、ブレードへの負荷が低減して好ましい。
【0079】
(現像剤)
次に本発明に係る現像剤について説明する。
【0080】
〔トナー〕
本発明に係る現像剤に使用されるトナーは、現在よく用いられているものを特に限定はなく用いることが出来る。即ち、結着樹脂としてスチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂を用いたもので、製造方法も粉砕法あるいは重合法といった代表的なものを用いればよい。トナーの粒径としては、体積基準におけるメディアン径(D50)で2.0〜8.0μmが好ましく、3.0〜6.0μmがより好ましい。
【0081】
体積基準におけるメディアン径(D50)の測定は、以下のようにして行う。
【0082】
「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用のコンピュータシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した装置を用いて測定、算出する。測定手段としては、トナー0.02gを界面活性剤溶液20g(トナーの分散を目的として、例えば、界面活性剤を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を作製する。このトナー分散液をサンプルスタンド内のISOTONII(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカに、測定濃度5〜10質量%になるまでピペットにて注入する。この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値が得られる。測定機において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャー径を50μmにし、測定範囲である1〜30μmの範囲を256分割して各頻度値を算出する。体積積算分率が大きい方から50%の粒子径を体積基準におけるメディアン径とする。
【0083】
(有機感光体)
次に、本発明に係る有機感光体について説明する。
【0084】
本発明の有機感光体は、少なくとも反応性基を有する硬化性化の反応生成物を含有する表面層を有する有機感光体である。
【0085】
〔感光体の層構成〕
本発明の有機感光体は、導電性支持体上に感光層、表面層をこの順に有する電子写真感光体であり、感光層の層構成は、特に制限されるものではなく、具体的には、以下に示すような層構成を挙げることができる。
【0086】
1)導電性支持体上に、感光層として電荷発生層と電荷輸送層、及び表面層を順次積層した層構成、
2)導電性支持体上に、感光層として電荷輸送材料と電荷発生材料とを双方とも含む単層、及び表面層を順次積層した層構成、
3)導電性支持体上に、中間層、感光層として電荷発生層と電荷輸送層、及び表面層を順次積層した層構成、
4)導電性支持体上に、中間層、感光層として電荷輸送材料と電荷発生材料とを含む単層、及び表面層を順次積層した層構成。
【0087】
本発明の感光体は、上記何れの層構成でもよいが、これらの中では、導電性支持体上に、中間層、電荷発生層、電荷輸送層、表面層を設けて作製されるものが好ましい。
【0088】
これらの中間層、電荷発生層、電荷輸送層の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法などを用いることができる。
【0089】
〔表面層〕
本発明の表面層は、少なくとも反応性基を有する硬化性化合物の反応生成物を含有する。
【0090】
〔反応性基を有する硬化性化合物〕
本発明に用いられる硬化性化合物は、紫外線や電子線等の活性線照射により重合(硬化)して、ポリスチレン、ポリアクリレート等、一般に感光体のバインダー樹脂として用いられる樹脂となるラジカル重合性モノマーが好適であり、ラジカル重合性モノマーでは特に、スチレン系モノマー、アクリル系モノマー、メタアクリル系モノマー、ビニルトルエン系モノマー、酢酸ビニル系モノマー、N−ビニルピロリドン系モノマーが好ましい。中でも、少ない光量あるいは短い時間での硬化が可能であることからアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するアクリル系化合物が特に好ましい。
【0091】
以下に本発明に係わる硬化性化合物の例を示す。
【0092】
本発明においてアクリル系化合物とは、アクリロイル基(CH=CHCO−)またはメタクリロイル基(CH=CCHCO−)を有する化合物である。また、以下にいうAc基数(アクリロイル基数)とはアクリロイル基またはメタクリロイル基の数を表す。
【0093】
【化1】

【0094】
【化2】

【0095】
【化3】

【0096】
【化4】

【0097】
【化5】

【0098】
【化6】

【0099】
【化7】

【0100】
但し、上記においてR、R′は下記で示される。
【0101】
【化8】

【0102】
また、本発明に係わる硬化性化合物として、好ましいオキセタン化合物の具体例を以下に示す。
【0103】
本発明においては、硬化性化合物は、モノマーでもオリゴマーでもよいが、官能基が2以上であることが好ましく、4以上が特に好ましい。又、前記アクリル系化合物では、前記アクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物の分子量Mと該アクリロイル基又はメタクリロイル基数Acの比(Ac/M、アクリロイル基又はメタクリロイル基数/分子量)が0.005より大きい化合物が好ましい。
【0104】
Ac/Mが0.005より大きいアクリル系化合物を用いることにより、架橋密度が高くなり、感光体の耐摩耗性が向上し、しかも画像流れや画像ボケの発生を防止できる。
【0105】
Ac/Mの上限値については、値が大きくなると樹脂中の架橋数が増加することから、表面層の硬さは増大し感光体の耐摩耗性は向上する。しかしながら、硬度が高過ぎて表面層のひび割れ、あるいは製造時の塗布液寿命への悪影響が生じやすく、且つ、画像流れや画像ボケの発生はむしろ増加傾向が出てくる場合もある。従って、Ac/Mは0.012より小さいくするほうが望ましい。
【0106】
尚、本発明においては、Ac/Mの異なる2種類以上の硬化性化合物を混合して使用してもよい。
【0107】
〔無機微粒子〕
本発明において核となる無機微粒子としては特に限定はないが、特によく用いられる代表的なものとしは、酸化アルミニウム(アルミナ:Al)、酸化チタン(チタニア:TiO)、酸化珪素(シリカ:SiO)、酸化ジルコニウム(ジルコニア:ZrO)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)等である。
【0108】
この中で、酸化アルミニウム、酸化スズが特に好ましい。
【0109】
その数平均一次粒径は1〜300nm、特には3〜100nmが好ましい。粒径があまりに小さいと耐摩耗性改善性能が十分でなく、反対に粒径が大きすぎると画像書き込み時の光を散乱させたり、表面層形成時に光硬化を阻害したりしてやはり耐摩耗性に悪影響を与える可能性がある。
【0110】
上記無機微粒子の数平均一次粒径は、走査型電子顕微鏡(日本電子製等)により10000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに300個の粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子は除いた)を自動画像処理解析装置LUZEX AP((株)ニレコ)ソフトウェアバージョン Ver.1.32を使用して数平均一次粒径を算出した。
【0111】
〔表面処理に用いる重合性官能基を有する化合物〕
次に、本発明で用いられる重合性官能基を有する化合物について説明する。
【0112】
重合性官能基とは、その代表例はラジカル重合性官能基であり、従って、ラジカル重合性官能基を有する化合物が好ましく、かつ無機微粒子表面を被うことが出来る化合物であれば本発明に用いることが出来る。中でも本発明において特に好ましいラジカル重合性官能基は反応性アクリル基またはメタクリル基であり、無機微粒子表面を覆うために該無機微粒子表面に結合する部分はシランカップリング剤としての構造を有する。
【0113】
それ故、本発明で好ましく用いることが出来る重合性官能基を有する化合物は、反応性アクリル基またはメタクリル基を有するシランカップリング剤である。例えば、下記一般式(1)として表される化合物である。
【0114】
【化9】

【0115】
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアラルキル基、Rは反応性二重結合を有する有機基、Xはハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、アミノキシ基、フェノキシ基を示し、nは1〜3の整数である。)
以下に、上記一般式(1)で示される化合物例を挙げる。
【0116】
S−1 CH=CHSi(CH)(OCH
S−2 CH=CHSi(OCH
S−3 CH=CHSiCl
S−4 CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
S−5 CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−6 CH=CHCOO(CHSi(OC)(OCH
S−7 CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−8 CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−9 CH=CHCOO(CHSiCl
S−10 CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−11 CH=CHCOO(CHSiCl
S−12 CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−13 CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−14 CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−15 CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−16 CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S−17 CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−18 CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S−19 CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−20 CH=CHSi(C)(OCH
S−21 CH=C(CH)Si(OCH
S−22 CH=C(CH)Si(OC
S−23 CH=CHSi(OCH
S−24 CH=C(CH)Si(CH)(OCH
S−25 CH=CHSi(CH)Cl
S−26 CH=CHCOOSi(OCH
S−27 CH=CHCOOSi(OC
S−28 CH=C(CH)COOSi(OCH
S−29 CH=C(CH)COOSi(OC
S−30 CH=C(CH)COO(CHSi(OC
これらのシラン化合物は単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0117】
〔重合性官能基を有する化合物による表面処理方法〕
次に、本発明に係わる重合性官能基を有する化合物による無機微粒子の表面処理方法を、前記した一般式(1)等で表されるシラン化合物を用いた場合を例に説明する。該表面処理を行うに際し、無機微粒子100質量部に対し、シラン化合物を表面処理剤として0.1〜200質量部、溶媒50〜5000質量部を用いて湿式メディア分散型装置を使用して処理することが好ましい。
【0118】
尚、本発明において無機微粒子表面が重合性官能基を有する化合物により被覆されていることは、光電子分光法(ESCA)、オージェ電子分光法(Auger)、2次イオン質量分析法(SIMS)や拡散反射FI−IR等の表面分析手法を複合することによって確認されるものである。
【0119】
重合性官能基を有する化合物の表面処理量は、表面処理後の無機微粒子を550℃で3時間熱処理し、その強熱残分を蛍光X線にて定量分析し、Si量から分子量換算から求めたものである。
【0120】
以下に、均一でしかもより微細にシラン化合物で表面処理された無機微粒子を製造する表面処理方法を具体的に述べる。
【0121】
即ち、通常はすでに金属酸化物により表面処理されている無機微粒子とシラン化合物を含むスラリー(固体粒子の懸濁液)を湿式分散することにより、無機微粒子の凝集粒子を分散すると同時に無機微粒子の表面処理が進行する。その後、溶媒を除去して粉体化するので、均一でしかもより微細なシラン化合物により表面処理された無機微粒子を得ることができる。
【0122】
本発明において用いられる表面処理装置である湿式メディア分散型装置とは、容器内にメディアとしてビーズを充填し、さらに回転軸と垂直に取り付けられた撹拌ディスクを高速回転させることにより、無機微粒子の凝集粒子を砕いて粉砕・分散する工程を有する装置であり、その構成としては、無機微粒子に表面処理を行う際に無機微粒子を十分に分散させ、かつ表面処理できる形式であれば問題なく、たとえば、縦型・横型、連続式・回分式など、種々の様式が採用できる。具体的にはサンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、ダイナミックミル等が使用できる。これらの分散型装置は、ボール、ビーズ等の粉砕媒体(メディア)を使用して衝撃圧壊、摩擦、剪断、ズリ応力等により凝集粒子の粉砕、分散が行われる。
【0123】
上記サンドグラインダーミルで用いるビーズとしては、ガラス、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、スチール、フリント石などを原材料としたボールが使用可能であるが、特にジルコニア製やジルコン製のものが好ましい。また、ビーズの大きさとしては、通常、直径1〜2mm程度のものを使用するが、本発明では0.3〜1.0mm程度のものを用いるのが好ましい。
【0124】
湿式メディア分散型装置に使用するディスクや容器内壁には、ステンレス製、ナイロン製、セラミック製など種々の素材のものが使用できるが、本発明では特にジルコニアまたはシリコンカーバイドといったセラミック製のディスクや容器内壁が好ましい。
【0125】
以上のような湿式処理により、例えば一般式(1)のシラン化合物による表面処理を行った無機微粒子を得ることができる。
【0126】
上記の重合性官能基を有する処理済み無機微粒子は、前記反応性基を有する硬化性化合物との重合反応による反応生成物、また、処理済み無機微粒子間相互の重合反応による反応生成物により表面層を形成することができる。
【0127】
〔上記以外の添加剤〕
表面層は、上記処理済み無機微粒子及び硬化性化合物の他に、必要に応じて重合開始剤、滑剤粒子及び酸化防止剤等を配合した塗布液を塗布し、反応させて硬化膜を形成できる。
【0128】
本発明の無機微粒子に表面処理した重合性官能基や硬化性化合物を反応させる際には、電子線開裂で反応する方法、ラジカル重合開始剤あるいはカチオン重合性開始剤を添加して、光、熱で反応する方法などが用いられる。重合開始剤は光重合開始剤、熱重合開始剤のいずれも使用することができる。本発明では、光または熱で重合反応する方法が特に好ましい。また、光、熱の両方の開始剤を併用することもできる。
【0129】
これら光硬化性化合物のラジカル重合開始剤としては、光重合開始剤が好ましく、中でも、アルキルフェノン系化合物、或いはフォスフィンオキサイド系化合物が好ましい。特に、α−ヒドロキシアセトフェノン構造、或いはアシルフォスフィンオキサイド構造を有する化合物が好ましい。また、カチオン重合を開始させる化合物としては、例えば、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C、PF、AsF、SbF、CFSO塩などのイオン系重合開始剤やスルホン酸を発生するスルホン化物、ハロゲン化水素を発生するハロゲン化物或いは、鉄アレン錯体等の非イオン系重合開始剤を挙げることができる。特に、非イオン系重合開始剤であるスルホン酸を発生するスルホン化物、ハロゲン化水素を発生するハロゲン化物が好ましい。
【0130】
下記に好ましく用いられる光重合開始剤を例示する。
【0131】
α−アミノアセトフェノン系の例
【0132】
【化10】

【0133】
一方、熱重合開始剤としては、ケトンパーオキサイド系化合物、パーオキシケタール系化合物、ハイドロパーオキサイド系化合物、ジアルキルパオキサイド系化合物、ジアシルパーオキサイド系化合物、パーオキシジカーボネート系化合物、パーオキシエステル系化合物等が用いられ、これらの熱重合開始剤は企業の製品カタログ等で公開されている。
【0134】
本発明には、これらの熱重合開始剤を、前記の光重合開始剤と同様に、金属酸化物による表面処理と重合性官能基を有する化合物による表面処理とを行った無機微粒子或いは該重合性官能基と反応可能な反応性基を有する硬化性化合物等と混合して、表面層の塗布液を作製し、該塗布液を感光層の上に塗布後、加熱乾燥して、本発明に係わる表面層を形成する。熱重合開始剤としては、前記その他のラジカル重合開始剤等を用いることができる。
【0135】
これらの重合開始剤は1種または2種以上を混合して用いてもよい。重合開始剤の含有量は、硬化性化合物の100質量部に対し0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部である。
【0136】
又、本発明の表面層には、さらに各種の電荷輸送物質を含有させることも出来る。
【0137】
本発明の表面層に用いられる電荷輸送物質としては、連鎖重合性官能基を有する正孔輸送物質が好ましく、同一分子内に二つ以上の連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性化合物が特に好ましい。
【0138】
本発明に用いる表面層において、各種の滑剤粒子を加えることもできる。例えば、フッ素原子含有樹脂粒子を加えることができる。フッ素原子含有樹脂粒子としては、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化塩化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂、及びこれらの共重合体の中から1種あるいは2種以上を適宜選択するのが好ましいが、特に四フッ化エチレン樹脂及びフッ化ビニリデン樹脂が好ましい。表面層中の滑剤粒子の割合は、硬化性化合物または無機酸化物100質量部に対して、好ましくは5〜70質量部、より好ましくは10〜60質量%である。滑剤粒子の粒径は、平均一次粒径が0.01〜1μmのものが好ましい。特に好ましくは、0.05〜0.5μmのものである。樹脂の分子量は適宜選択することができ、特に制限されるものではない。
【0139】
〔表面層の塗設〕
光硬化性樹脂の表面層を形成するには、表面層の塗布液(上記組成物)を感光層上に塗布した後、塗膜の流動性が無くなる程度まで1次乾燥した後、紫外線等を照射して表面層を硬化し、更に塗膜中の揮発性物質の量を規定量にするため2次乾燥を行って作製する方法が好ましい。
【0140】
表面層を形成するための溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール、ベンジルアルコール、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン及びジエチルアミン等を挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0141】
塗布方法は、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法などの公知の方法を用いることができる。
【0142】
表面層の塗布方法は、感光体全体を表面層塗布液に浸漬する浸漬塗布は、表面層形成材料の下層への拡散を増大させるので、表面層の下の感光層の膜を極力溶解させないため、円形量規制型(円形スライドホッパー型がその代表例)塗布等の塗布加工方法を用いるのが好ましい。前記円形量規制型塗布については例えば特開昭58−189061号公報に詳細に記載されている。
【0143】
本発明の表面層は、塗布後、自然乾燥または熱乾燥を行った後、活性線を照射して反応させることが好ましい。
【0144】
本発明の感光体は、塗膜に活性線を照射してラジカルを発生して重合し、かつ分子間及び分子内で架橋反応による架橋結合を形成して硬化し、硬化樹脂を生成することが好ましい。活性線としては紫外線や電子線が特に好ましい。
【0145】
紫外線光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、フラッシュ(パルス)キセノン等を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常5〜500mJ/cm、好ましくは0.1kW〜5kWであり、特に好ましくは、0.5kW〜3kWである。
【0146】
電子線源としては、電子線照射装置に格別の制限はなく、一般にはこのような電子線照射用の電子線加速機として、比較的安価で大出力が得られるカーテンビーム方式のものが有効に用いられる。電子線照射の際の加速電圧は、100〜300kVであることが好ましい。吸収線量としては、0.5〜10Mradであることが好ましい。
【0147】
必要な活性線の照射量を得るための照射時間としては、0.1秒〜10分が好ましく、作業効率の観点から0.1秒〜5分がより好ましい。
【0148】
活性線としては、紫外線が使用しやすく特に好ましい。
【0149】
本発明の感光体は、活性線を照射する前後、及び活性線を照射中に乾燥を行うことができ、乾燥を行うタイミングはこれらを組み合わせて適宜選択できる。
【0150】
乾燥の条件は、溶媒の種類、膜厚などによって適宜選択できる。乾燥温度は、好ましくは室温〜180℃であり、特に好ましくは80℃〜140℃である。乾燥時間は、好ましくは1分〜200分であり、特に好ましくは5分〜100分である。
【0151】
表面層の膜厚は好ましくは0.2〜10μmであり、より好ましくは0.5〜6μmである。
【0152】
〔ユニバーサル硬さ値(HU)〕
本発明に係る有機感光体のユニバーサル硬さ値(HU)は、150N/mm以上、500N/mm以下が好ましい。
【0153】
ユニバーサル硬さ値(HU)をこの範囲にすることにより、キャリア粒子による傷が付くことなく、効果的に感光体の表面に吸着したNOxやオゾンなどの活性物質を除去する効果の持続性が高くなる。
【0154】
本発明に係る有機感光体のユニバーサル硬さ値(HU)は、次の式によって規定される。
【0155】
【数1】

【0156】
前記式において、Fは試験荷重(N)、A(h)は圧子が被測定物と接触している表面積(mm)、hは試験荷重作用時の押込み深さ(mm)である。A(h)は、圧子の形状と押込み深さから計算され、圧子がビッカース圧子の場合、角錐形の貫入体の向かい合う面の角度a(136°)より26.43×hと計算される。
【0157】
《ユニバーサル硬さ及び塑性硬さの測定》
このユニバーサル硬さ及び塑性硬さの測定は、市販の硬度測定装置を用いて行うことができ、例えば、超微小硬度計「H−100V」(フィッシャー・インストルメンツ社製)を用いて測定することができる。
【0158】
測定条件
測定機:微小硬度計「H−100V」(フィッシャー・インストルメンツ社製)
圧子形状:ビッカース圧子(a=136°)
測定環境:20℃、60%RH
最大試験荷重:3mN
荷重速度:3mN/20sec
最大荷重クリープ時間:5秒
除荷速度:3mN/20sec
尚、測定は各試料とも軸方向に均等間隔で5点、周方向に均等角度で3点の合計15点測定し、その平均値を本発明で定義するユニバーサル硬さ値(HU)とする。
【0159】
〔導電性支持体〕
本発明で用いる支持体は導電性を有するものであればいずれのものでもよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレスなどの金属をドラムまたはシート状に成形したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独またはバインダー樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルム及び紙などが挙げられる。
【0160】
〔中間層〕
本発明においては、導電層と感光層の中間にバリアー機能と接着機能をもつ中間層を設けることもできる。
【0161】
中間層はカゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリアミド、ポリウレタン及びゼラチンなどのバインダー樹脂を公知の溶媒に溶解し、浸漬塗布などによって形成できる。中でもアルコール可溶性のポリアミド樹脂が好ましい。
【0162】
また、中間層の抵抗調整の目的で各種の導電性微粒子や金属酸化物を含有させることができる。例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス等の各種金属酸化物。スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズ及び酸化ジルコニウムなどの超微粒子を用いることができる。
【0163】
これら金属酸化物を1種類もしくは2種類以上混合して用いてもよい。2種類以上混合した場合には、固溶体または融着の形をとってもよい。このような金属酸化物の平均粒径は好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.1μm以下である。
【0164】
中間層に使用する溶媒としては、無機粒子を良好に分散し、ポリアミド樹脂を溶解するものが好ましい。具体的には、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール等の炭素数2〜4のアルコール類が、ポリアミド樹脂の溶解性と塗布性能に優れ好ましい。また、保存性、粒子の分散性を向上するために、前記溶媒と併用し、好ましい効果を得られる助溶媒としては、メタノール、ベンジルアルコール、トルエン、メチレンクロライド、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0165】
バインダー樹脂の濃度は、中間層の膜厚や生産速度に合わせて適宜選択される。
【0166】
無機粒子などを分散したと時のバインダー樹脂に対する無機粒子の混合割合は、バインダー樹脂100質量部に対して無機粒子20〜400質量部が好ましく、さらに好ましくは50〜200部である。
【0167】
無機粒子の分散手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダー及びホモミキサー等が使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0168】
中間層の乾燥方法は、溶媒の種類、膜厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
【0169】
中間層の膜厚は、0.1〜15μmが好ましく、0.3〜10μmがより好ましい。
【0170】
〔電荷発生層〕
本発明に用いられる電荷発生層は、電荷発生物質とバインダー樹脂を含有し、電荷発生物質をバインダー樹脂溶液中に分散、塗布して形成したものが好ましい。
【0171】
電荷発生物質は、スーダンレッド及びダイアンブルーなどのアゾ原料、ビレンキノン及びアントアントロンなどのキノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴ及びチオインジゴなどのインジゴ顔料、フタロシアニン顔料などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの電荷発生物質は単独、もしくは公知の樹脂中に分散する形態で使用することができる。
【0172】
電荷発生層のバインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、並びにこれらの樹脂の内2つ以上を含む共重合体樹脂(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂)及びポリ−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0173】
電荷発生層の形成は、バインダー樹脂を溶剤で溶解した溶液中に分散機を用いて電荷発生物質を分散して塗布液を調製し、塗布液を塗布機で一定の膜厚に塗布し、塗布膜を乾燥して作製することが好ましい。
【0174】
電荷発生層に使用するバインダー樹脂を溶解し塗布するための溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン及びジエチルアミン等を挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0175】
電荷発生物質の分散手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダー及びホモミキサー等が使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0176】
バインダー樹脂に対する電荷発生物質の混合割合は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質1〜600質量部が好ましく、さらに好ましくは50〜500部である。電荷発生層の膜厚は、電荷発生物質の特性、バインダー樹脂の特性及び混合割合等により異なるが好ましくは0.01〜5μm、より好ましくは0.05〜3μmである。なお、電荷発生層用の塗布液は塗布前に異物や凝集物を濾過することで画像欠陥の発生を防ぐことができる。前記顔料を真空蒸着することによって形成すこともできる。
【0177】
〔電荷輸送層〕
本発明の感光体に用いられる電荷輸送層は、電荷輸送物質とバインダー樹脂を含有し、電荷輸送物質をバインダー樹脂溶液中に溶解、塗布して形成される。
【0178】
電荷輸送物質は、例えば、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン及びポリ−9−ビニルアントラセン等を2種以上混合して使用してもよい。
【0179】
電荷輸送層用のバインダー樹脂は、公知の樹脂を用いることができ、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂及びスチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂等が挙げられるが、ポリカーボネートが好ましい。更にはBPA、BPZ、ジメチルBPA、BPA−ジメチルBPA共重合体等が耐クラック、耐磨耗性、帯電特性の点で好ましい。
【0180】
電荷輸送層の形成は、バインダー樹脂と電荷輸送物質を溶解して塗布液を調製し、塗布液を塗布機で一定の膜厚に塗布し、塗布膜を乾燥して作製することが好ましい。
【0181】
上記バインダー樹脂と電荷輸送物質を溶解するための溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン及びジエチルアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0182】
バインダー樹脂に対する電荷輸送物質の混合割合は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷輸送物質10〜500質量部が好ましく、さらに好ましくは20〜100質量部である。
【0183】
電荷輸送層の膜厚は、電荷輸送物質の特性、バインダー樹脂の特性及び混合割合等により異なるが好ましくは5〜40μmで、さらに好ましくは10〜30μmである。
【0184】
電荷輸送層中には酸化防止剤、電子導電剤、安定剤等を添加してもよい。酸化防止剤については特開2000−305291号、電子導電剤は特開昭50−137543号、同58−76483号等に記載のものがよい。
【実施例】
【0185】
次に、本発明の代表的な実施態様を示し、本発明の構成と効果につき更に説明する。
【0186】
尚、特に断りがない限り、文中の「部」は質量部を表し、「%」は質量%を表す。
【0187】
(感光体1の作製)
円筒状アルミニウム基体を切削加工して、十点平均表面粗さRzが1.3μmの導電性支持体1を準備した。
【0188】
〈中間層1の作製〉
下記中間層分散液を同じ混合溶媒にて二倍に希釈し、一夜静置後に濾過(フィルター;日本ポール社製リジメッシュフィルター公称濾過精度:5μm、圧力;50kPa)し、中間層塗布液を作製した。
【0189】
(中間層分散液1の作製)
バインダー樹脂:ポリアミド樹脂CM8000(東レ社製) 10.0部
アナターゼ形酸化チタン(一次粒径30nm;表面処理は、フッ化エチルトリメトキシシラン処理) 30.0部
イソプロピルアルコール 100.0部
上記成分を混合し、サンドミル分散機を用い、10時間、バッチ式にて分散して、中間層分散液1を作製した。
【0190】
導電性支持体1上に、中間層塗布液1を浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚5.0μmの中間層1を形成した。
【0191】
〈電荷発生層の作製〉
下記成分を混合し、サンドミル分散機を用いて分散し、電荷発生層塗布液1を調製した。
【0192】
Y形オキシチタニルフタロシアニン(Cu−Kα特性X線によるX線回折のスペクトルで、最大ピーク角度が2θ±0.2°で27.3°) 20部
ポリビニルブチラール(#6000−C、電気化学工業社製) 10部
酢酸t−ブチル 700部
4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン 300部
この塗布液を浸漬塗布法で塗布し、前記中間層1の上に乾燥膜厚 0.8μmの電荷発生層1を形成した。
【0193】
〈電荷輸送層の作製〉
下記成分を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液1を調製した。
【0194】
電荷輸送物質(4−メトキシ−4′−(4−メチル−β−フェニルスチリル)トリフェニルアミン)
75部
ポリカーボネート樹脂「ユーピロン Z300」(三菱ガス化学社製) 100部
3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン 2部
テトラヒドロフラン/トルエン(体積比7/3) 750部
この塗布液を前記電荷発生層1の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥膜厚24μmの電荷輸送層1を形成し、導電性支持体上に有機感光層を作製した。
【0195】
〈表面層の作製〉
続いて下記のような方法で表面層を形成した。
【0196】
下記電荷輸送物質(CT−1) 30部
2−ブチルアルコール 500部
上記成分をサンドミルを用いて10時間分散した後、
硬化性化合物(例示化合物No.42) 30部
重合開始剤(例示化合物1−6) 30部
を加え、遮光下で混合撹拌して溶解し表面層塗布液を作製した(保存中は遮光)。
【0197】
該塗布液を先に電荷輸送層まで作製した有機感光体上に円形スライドホッパー塗布機を用いて、表面層を塗布した。塗布後、室温で20分乾燥後(溶媒乾燥工程)、メタルハライドランプ(500W)を用いて100mmの位置で感光体を回転させながら1分間照射して(紫外線硬化工程)、膜厚3μmの表面層を形成し「感光体1」を作製した。
【0198】
この感光体のユニバーサル硬さ値HUは、前記した条件で測定した結果、150N/mmであった。
【0199】
【化11】

【0200】
(感光体2の作製)
電荷輸送層の作製までは、感光体1の作製と同様にした。
【0201】
〈表面層の作製〉
続いて下記のような方法で表面層を形成した。
【0202】
チタニア粒子(ヘキサメチルジシラザン処理、数平均一次粒径30nm)100部
2−ブチルアルコール 500部
上記成分をサンドミルを用いて10時間分散した後、
硬化性化合物(例示化合物No.42) 30部
重合開始剤(例示化合物1−6) 30部
を加え、遮光下で混合撹拌して溶解し表面層塗布液を作製した(保存中は遮光)。
【0203】
該塗布液を先に電荷輸送層まで作製した有機感光体上に円形スライドホッパー塗布機を用いて、表面層を塗布した。塗布後、室温で20分乾燥後(溶媒乾燥工程)、メタルハライドランプ(500W)を用いて100mmの位置で感光体を回転させながら1分間照射して(紫外線硬化工程)、膜厚3μmの表面層を形成し「感光体2」を作製した。
【0204】
この感光体のユニバーサル硬さ値HUは、前記した条件で測定した結果、198N/mmであった。
【0205】
(感光体3の作製)
電荷輸送層の作製までは、感光体1の作製と同様にした。
【0206】
〈表面層の作製〉
続いて下記のような方法で表面層を形成した。
【0207】
処理前の金属酸化物微粒子として数平均一次粒子径が30nmのチタニア粒子を用い、反応性有機基を有する表面処理剤として例示化合物(S−15)を用い、以下に示すように、金属酸化物微粒子の表面処理の調製を行った。
【0208】
まず、数平均一次粒子径が30nmのチタニア粒子100部、上記反応性有機基を有する表面処理剤(例示化合物:S−15)5部、トルエン/イソプロピルアルコール=1/1(質量比)の混合溶媒400部の混合液を、ジルコニアビーズとともにサンドミルに入れ約40℃で、回転速度1500rpmで撹拌し、チタニア粒子の表面処理を行った。さらに、上記処理混合物を取り出し、ヘンシェルミキサーに投入して回転速度1500rpmで15分間撹拌した後、120℃で3時間乾燥することによって、チタニア粒子の表面処理を終了し、表面処理済みチタニア粒子を得た。上記の表面処理により、チタニア粒子の表面は反応性有機基を有する表面処理剤により被覆されていた。
【0209】
続いて下記のような方法で表面層を形成した。
【0210】
表面処理済みチタニア粒子 100部
2−ブチルアルコール 500部
上記成分をサンドミルを用いて10時間分散した後、
硬化性化合物(例示化合物No.42) 30部
重合開始剤(1−6) 30部
を加え、遮光下で混合撹拌して溶解し表面層塗布液を作製した(保存中は遮光)。
【0211】
該塗布液を先に電荷輸送層まで作製した有機感光体上に円形スライドホッパー塗布機を用いて、表面層を塗布した。塗布後、室温で20分乾燥後(溶媒乾燥工程)、メタルハライドランプ(500W)を用いて100mmの位置で感光体を回転させながら1分間照射して(紫外線硬化工程)、膜厚3μmの表面層を形成し「感光体4」を作製した。
【0212】
この感光体のユニバーサル硬さ値HUは、前記した条件で測定した結果、498N/mmであった。
【0213】
(感光体4の作製)
電荷輸送層の作製までは、感光体1の作製と同様にした。
【0214】
〈表面層の作製〉
続いて下記のような方法で表面層を形成した。
【0215】
処理前の金属酸化物微粒子として数平均一次粒子径が15nmのアルミナ粒子を用い、反応性有機基を有する表面処理剤として例示化合物(S−15)を用い、以下に示すように、金属酸化物微粒子の表面処理の調製を行った。
【0216】
まず、数平均一次粒子径が30nmのアルミナ粒子100部、上記反応性有機基を有する表面処理剤(例示化合物:S−15)5部、トルエン/イソプロピルアルコール=1/1(質量比)の混合溶媒400部の混合液を、ジルコニアビーズとともにサンドミルに入れ約40℃で、回転速度1500rpmで撹拌し、アルミナ粒子の表面処理を行った。さらに、上記処理混合物を取り出し、ヘンシェルミキサーに投入して回転速度1500rpmで15分間撹拌した後、120℃で3時間乾燥することによって、アルミナ粒子の表面処理を終了し、表面処理済みアルミナ粒子を得た。上記の表面処理により、アルミナ粒子の表面は反応性有機基を有する表面処理剤により被覆されていた。
【0217】
続いて下記のような方法で表面層を形成した。
【0218】
表面処理済みアルミナ粒子 100部
2−ブチルアルコール 500部
上記成分をサンドミルを用いて10時間分散した後、
硬化性化合物(例示化合物No.39) 30部
重合開始剤(1−6) 30部
を加え、遮光下で混合撹拌して溶解し表面層塗布液を作製した(保存中は遮光)。
【0219】
該塗布液を先に電荷輸送層まで作製した有機感光体上に円形スライドホッパー塗布機を用いて、表面層を塗布した。塗布後、室温で20分乾燥後(溶媒乾燥工程)、メタルハライドランプ(500W)を用いて100mmの位置で感光体を回転させながら1分間照射して(紫外線硬化工程)、膜厚3μmの表面層を形成し「感光体3」を作製した。
【0220】
この感光体のユニバーサル硬さ値HUは、前記した条件で測定した結果、454N/mmであった。
【0221】
(感光体5の作製)
電荷輸送層の作製までは、感光体1の作製と同様にした。
【0222】
〈表面層の作製〉
続いて下記のような方法で表面層を形成した。
【0223】
処理前の金属酸化物微粒子として数平均一次粒子径が20nmの酸化錫粒子を用い、反応性有機基を有する表面処理剤として例示化合物(S−29)を用い、以下に示すように、金属酸化物微粒子の表面処理の調製を行った。
【0224】
まず、数平均一次粒子径が30nmの酸化錫粒子100部、上記反応性有機基を有する表面処理剤(例示化合物:S−29)10部、トルエン/イソプロピルアルコール=1/1(質量比)の混合溶媒400部の混合液を、ジルコニアビーズとともにサンドミルに入れ約40℃で、回転速度1500ppmで撹拌し、酸化錫粒子の表面処理を行った。さらに、上記処理混合物を取り出し、ヘンシェルミキサーに投入して回転速度1500rpmで15分間撹拌した後、120℃で3時間乾燥することによって、酸化錫粒子の表面処理を終了し、表面処理済み酸化錫粒子を得た。上記の表面処理により、酸化錫粒子の表面は反応性有機基を有する表面処理剤により被覆されていた。
【0225】
続いて下記のような方法で表面層を形成した。
【0226】
表面処理済み酸化錫粒子 100部
2−ブチルアルコール 500部
上記成分をサンドミルを用いて10時間分散した後、
硬化性化合物(例示化合物No.43) 30部
重合開始剤(1−6) 30部
を加え、遮光下で混合撹拌して溶解し表面層塗布液を作製した(保存中は遮光)。
【0227】
該塗布液を先に電荷輸送層まで作製した有機感光体上に円形スライドホッパー塗布機を用いて、表面層を塗布した。塗布後、室温で20分乾燥後(溶媒乾燥工程)、メタルハライドランプ(500W)を用いて100mmの位置で感光体を回転させながら1分間照射して(紫外線硬化工程)、膜厚3μmの表面層を形成し「感光体5」を作製した。
【0228】
この感光体のユニバーサル硬さ値HUは、前記した条件で測定した結果、402N/mmであった。
【0229】
(感光体6の作製)
電荷輸送層の作製までは、感光体1の作製と同様にした。
【0230】
〈表面層の作製〉
感光体1の作製において、電荷輸送物質(CT−1)を30部から60部に変更した以外は同様にして表面層を形成し、「感光体6」を作製した。
【0231】
この感光体のユニバーサル硬さ値HUは、前記した条件で測定した結果、136N/mmであった。
【0232】
(感光体7の作製)
電荷輸送層の作製までは、感光体1の作製と同様にした。
【0233】
〈表面層の作製〉
感光体4の作製において、電表面処理済みアルミナ粒子を100部から300部に変更した以外は同様にして表面層を形成し、「感光体7」を作製した。
【0234】
この感光体のユニバーサル硬さ値HUは、前記した条件で測定した結果、534N/mmであった。
【0235】
(感光体8の作製)
電荷輸送層の作製までは、感光体1の作製と同様にした。
【0236】
〈表面層の作製〉
続いて下記のような方法で表面層を形成した。
【0237】
下記成分を混合した液を、バッチ式のサンドミル分散機を用いて、10時間分散した後、濾過(フィルター:日本ポール社製リジメッシュフィルター公称濾過精度:5μm、圧力:50kPa)して表面層塗布液を作製した。
【0238】
電荷輸送物質(4−メトキシ−4′−(4−メチル−β−フェニルスチリル)トリフェニルアミン) 70質量部
ポリカーボネート樹脂「ユーピロン Z500」(三菱ガス化学社製)100質量部
3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン 8質量部
テトラヒドロフラン 1000質量部
無機微粒子「シリカ」(数平均一次粒径0.033μm) 20質量部
電荷輸送層の上に上記表面層塗布液を円形スライドホッパー塗布装置を用いて塗布した後、110℃で60分乾燥して乾燥膜厚6μmの表面層を形成し「感光体8」を作製した。
【0239】
この感光体のユニバーサル硬さ値HUは、前記した条件で測定した結果、118N/mmであった。
【0240】
(画像形成装置の構成)
画像形成装置は、以下に示す構成のコニカミノルタビジネステクノロジーズ社製bizhub PRO C6500改造機(負帯電の帯電電位、レーザー露光・反転現像・中間転写体のタンデムカラー複合機)を用いた。
【0241】
感光体ドラム:上記感光体1〜8
感光体未露光電位:−750V
(制御可能範囲:−250V〜−900V:電位センサで検知しフィードバック制御)
感光体露光電位:−100V(設定可能範囲:−45〜150V)
露光:レーザー走査方式:波長780nmの半導体レーザー
現像DCバイアス:−600V(制御可能範囲:−200〜−700V)
現像ACバイアス:−0.75kVp−p、4kHz
(制御可能範囲:0.5〜−2.0kVp−p、2〜7kHz)
キャリア供給手段:現像DCバイアスによる
クリーニングブレード:厚さ2mmのポリウレタンのゴムブレード
ブレード当接力:23N/m
クリーニング補助ブラシ:シャフト外径6mm、ブラシ外径12mm
ブラシ構成:導電性ナイロン繊維、太さ6デニール、植毛密度100、000本/inch、ブラシ毛長2.5mm
(現像剤の構成)
キャリア:体積平均粒径35μmのMn−Mgフェライトコア粒子にカーボンブラック(Mogul−L、CABOT社製、平均粒径24nm、電気抵抗:10−2Ω・cm)5.0質量部とスチレン/メチルメタクリレート(共重合比2/8)の共重合体樹脂微粒子2.0質量部とを、撹拌羽根付き高速混合機に投入し、120℃で60分間撹拌混合して機械的衝撃力の作用でフェライトコア粒子の表面に層厚0.5μmの樹脂層を形成した。
【0242】
トナー:特開2007−57774号に記載の乳化重合法等を参照して、体積メディアン径(Dv50)が6.2μmのY(黄色)、M(マゼンタ色)、C(シアン色)、K(黒色)の4種の母粒子トナー(外添剤添加前のトナー)を作製した。
【0243】
これら、母粒子トナー100質量部に対し、数平均粒径15nmの疎水性シリカ0.5質量部及び数平均粒径50nmの疎水性酸化チタン1.0質量部を添加し、ステアリン酸亜鉛0.14質量部を添加した後、それぞれのトナーをヘンシェルミキサーで十分撹拌して、Yトナー、Mトナー、Cトナー、Kトナーを作製した。
【0244】
現像剤:キャリアに対するトナー濃度が6質量%となるよう混合することにより現像剤を調製した。
【0245】
(実施例1)
感光体1を装着し上記条件で、まず環境条件を30℃、80%RHにして、各色印字率5%のA4画像で中性紙に50,000枚の実写履歴を加えて、印字終了後60秒で画像形成装置の主電源を停止した。
【0246】
停止12時間後に、電源を入れ印字可能状態にした。この時、感光体が回転駆動しないように設定した。
【0247】
〈キャリア供給工程〉
次に、感光体未露光電位を−800V、現像DCバイアスを−550Vにして、感光体にキャリアを供給する状態に設定し、感光体の回転駆動と同期して前記電位が出力されるようにした。
【0248】
この時、クリーニングブレード、クリーニング補助ブラシを取り外した。
【0249】
上記条件で感光体の回転動作を、感光体にキャリアを供給しながら30秒間実行させた。なお、この時、中間転写体は感光体から待避し、非接触状態にした。
【0250】
〈キャリア除去工程〉
更に、感光体未露光電位を−750V、現像DCバイアスを−600Vの通常値にして感光体1周分回転駆動させて、感光体に供給したキャリアを再び現像手段へ回収し、感光体からキャリアを除去した。
【0251】
なお、このキャリア除去工程を実施しない場合は、画像形成時に中間転写体や出力媒体にキャリアが付着し、斑点状の欠陥などの異常画像となる。
【0252】
その後、直ちに通常の設定で印字可能状態にしてA3中性紙全面にA3全面の6ドット格子画像を印字した。
【0253】
(性能評価)
〈画像ボケ〉
印字画像の状態を観察し目視にてドット再現性画像流れを、5段階評価した。
【0254】
◎:画像上に各ドットが独立して形成されており、非常に良好な高画質特性
○:画像上の約80%のドットが独立して形成されており、良好な画質特性
△:画像上の約70%のドットが独立して形成されており、実用上問題ないレベル
×:画像上の約50%以上のドットの独立性が不十分であり、実用に耐えない
〈感光体表面傷〉
次に、画像形成装置から感光体を取り出して、感光体の表面状態を観察し傷の状態を評価した。評価感光体はシアン位置に設置したもので評価した。
【0255】
◎:表面傷なし(非常に良好)
○:表面傷1〜3箇所発生(良好)
△:表面傷4〜10箇所発生(実用上問題なし)
×:表面傷11箇所以上発生(実用上問題有り)
(実施例2)
実施例1において、50,000枚の実写履歴と12時間の停止までは同様に行った。
【0256】
〈キャリア供給工程、およびキャリア除去工程〉
次に、感光体未露光電位を−800V、現像DCバイアスを−550Vにして、感光体にキャリアを供給する状態に設定し、感光体の回転駆動と同期して前記電位が出力されるようにした。
【0257】
この時、クリーニングブレードは装着したまま、クリーニング補助ブラシのみ取り外し、ブレードを用いて感光体に供給したキャリアを除去できるようにした。
【0258】
上記条件で感光体の回転動作を、感光体にキャリアを供給しながら30秒間実行させた。
【0259】
その後、直ちに通常の設定で印字可能状態にしてA3中性紙全面にA3全面の6ドット格子画像を印字した。
【0260】
(実施例3)
実施例1において、50,000枚の実写履歴と12時間の停止までは同様に行った。
【0261】
〈キャリア供給工程、およびキャリア除去工程〉
次に、感光体未露光電位を−800V、現像DCバイアスを−550Vにして、感光体にキャリアを供給する状態に設定し、感光体の回転駆動と同期して前記電位が出力されるようにした。
【0262】
この時、クリーニング補助ブラシは装着したまま、クリーニングブレードのみ取り外し、クリーニング補助ブラシで感光体に供給したキャリアを除去できるようにした。また、クリーニング補助ブラシには感光体から静電的にキャリアを回収するために、感光体の回転動作と同期して−200V印可した。
【0263】
上記条件で感光体の回転動作を、感光体にキャリアを供給しながら30秒間実行させた。
【0264】
その後、直ちに通常の設定で印字可能状態にしてA3中性紙全面にA3全面の6ドット格子画像を印字した。
【0265】
(実施例4)
実施例1において、50,000枚の実写履歴と12時間の停止までは同様に行った。
【0266】
〈キャリア供給工程、およびキャリア除去工程〉
次に、感光体未露光電位を−800V、現像DCバイアスを−550Vにして、感光体にキャリアを供給する状態に設定し、感光体の回転駆動と同期して前記電位が出力されるようにした。
【0267】
この時、クリーニングブレードとクリーニング補助ブラシを装着した状態にして、クリーニングブレードとクリーニング補助ブラシの両方を用いて感光体に供給したキャリアを除去できるようにした。また、クリーニング補助ブラシには感光体から静電的にキャリアを回収するために、感光体の回転動作と同期して−200V印可した。
【0268】
上記条件で感光体の回転動作を、感光体にキャリアを供給しながら30秒間実行させた。
【0269】
その後、直ちに通常の設定で印字可能状態にしてA3中性紙全面にA3全面の6ドット格子画像を印字した。
【0270】
(実施例5)
実施例4において、感光体1を感光体2に代えた以外は同様にして評価を実施した。
【0271】
(実施例6)
実施例4において、感光体1を感光体3に代えた以外は同様にして評価を実施した。
【0272】
(実施例7)
実施例4において、感光体1を感光体4に代えた以外は同様にして評価を実施した。
【0273】
(実施例8)
実施例4において、感光体1を感光体5に代えた以外は同様にして評価を実施した。
【0274】
(実施例9)
実施例4において、感光体1を感光体6に代えた以外は同様にして評価を実施した。
【0275】
(実施例10)
実施例4において、感光体1を感光体7に代えた以外は同様にして評価を実施した。
【0276】
(比較例1)
実施例4において、環境条件30℃、80%RHでの50,000枚の実写履歴を加え、停止12時間後に、電源を入れ印字可能状態にした後、キャリア供給動作を行わずに30秒間、単純に感光体を空転させた以外は同様にして評価を実施した。
【0277】
なお、この実験ではキャリア供給を実施していなのでキャリア除去工程は不要である。
【0278】
(比較例2)
実施例4において、感光体1を感光体8に代えた以外は同様にして評価を実施した。
【0279】
実施例1〜10、比較例1、2の評価結果を表1に示す。
【0280】
【表1】

【0281】
無機微粒子:「処理済み」とは重合性官能基を有する化合物で表面処理されているものをいう。
【0282】
本発明内の実施例1〜10は何れの特性も実用範囲内であるが、本発明外の比較例1と2は少なくとも何れかの特性に問題があることがわかる。
【符号の説明】
【0283】
1,1Y,1M,1C,1K 像担持体(感光体)
4,4Y,4M,4C,4K 現像装置
41 現像ローラ
41A 現像スリーブ(現像剤担持体)
41B 磁界発生手段(マグネットロール)
A カラー画像形成装置
N1 現像主磁極
N4,S1,S2,S3 磁極(現像剤搬送磁極)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機感光体と、該感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、該静電潜像をトナーとキャリアとを含む二成分現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像手段とを、少なくとも有する画像形成装置において、該感光体が、少なくとも反応性基を有する硬化性化合物の反応生成物を含有する表面層を有し、かつ該感光体の表面にキャリアを供給するキャリア供給手段と、該感光体の表面に供給されたキャリアを除去するキャリア除去手段とを有し、画像形成時外に作動させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記キャリア供給手段が、現像手段であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記キャリア除去手段が、クリーニング手段であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記クリーニング手段が、ブラシとブレードを併用した構成であることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記有機感光体の表面層が、無機微粒子を含有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記無機微粒子が、重合性官能基を有する化合物で表面処理されていることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記有機感光体のユニバーサル硬さ値(HU)が、150N/mm以上、500N/mm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−175140(P2011−175140A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39806(P2010−39806)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】