画像形成装置
【課題】検知前に形成された画像の違いによって発生し得る現像剤量の検知精度の低下を、現像装置の寿命を短くしたり、画像形成の生産性を低下させたりすることなく防止することのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置100は、画像形成後の現像剤供給部材3に含有された現像剤量を予測する演算手段105と、画像形成後に現像剤量検知手段107による現像容器7a内の現像剤量の検知を実行するまでの間に現像剤供給部材3に現像剤を補充する補充手段106と、を有し、補充手段106は、演算手段105により予測された現像剤供給部材に含有された現像剤量が少ないほど、現像剤供給部材3に補充する現像剤の量を多くする構成とされる。
【解決手段】画像形成装置100は、画像形成後の現像剤供給部材3に含有された現像剤量を予測する演算手段105と、画像形成後に現像剤量検知手段107による現像容器7a内の現像剤量の検知を実行するまでの間に現像剤供給部材3に現像剤を補充する補充手段106と、を有し、補充手段106は、演算手段105により予測された現像剤供給部材に含有された現像剤量が少ないほど、現像剤供給部材3に補充する現像剤の量を多くする構成とされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には、電子写真方式の画像形成装置に関し、特に、現像剤を収容する現像容器内の現像剤の量を検知する現像剤量検知手段を有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置において、プロセスカートリッジを画像形成装置の本体に着脱可能とするプロセスカートリッジ方式が広く採用されている。プロセスカートリッジ方式では、例えば、感光ドラムと、感光ドラムに作用するプロセス手段としての帯電ローラ、クリーニング装置及び現像装置とが一体的にカートリッジ化されてプロセスカートリッジとされる。プロセスカートリッジ方式によれば、現像剤の補給や、寿命に達した感光ドラムなどの部品交換といった、画像形成装置のメンテナンスをサービスマンによらずにユーザー自身が行うことができる。
【0003】
プロセスカートリッジ方式の画像形成装置では、現像剤がなくなった場合、ユーザー自身がプロセスカートリッジを交換することで、画像形成装置は再び画像を形成することができるようになる。そこで、プロセスカートリッジ方式の画像形成装置には、現像剤を収容する現像容器内の現像剤残量レベルを検知できるようにする現像剤量検知手段が設けられることがある。現像剤量検知手段を用いて現像剤が消費されたことをユーザーに報知することで、プロセスカートリッジ内の画像形成に供することができる現像剤がどれくらい残っているかを随時知ることを可能とするためである。
【0004】
現像剤として非磁性一成分現像剤を用いる非磁性一成分現像方式の現像装置における現像剤量検知手段の一方式として、現像剤供給部材としての供給ローラと、現像剤担持体としての現像ローラとの間の静電容量を検出する次のような方法がある(特許文献1)。つまり、現像容器内には、導電性の金属支持体の周囲に発泡層を有する供給ローラと、導電性の金属支持体の周囲に弾性層を有する現像ローラとが、互いに接触して回転可能なように設けられている。供給ローラの発泡層は、現像剤が進入可能なウレタンスポンジ層で形成されている。又、現像装置は、現像ローラが感光ドラムに接触した第1の姿勢と、現像ローラが感光ドラムから離間した第2の姿勢を保持することができる。そして、現像動作を行っていない上記第2の姿勢において供給ローラの金属支持体に検知用電圧を印加して、現像ローラと供給ローラとの間の静電容量を検知する。この静電容量は、現像ローラと供給ローラとの間に存在する絶縁性の現像剤の量に応じて変化するので、静電容量と現像剤量との関係を予め関係付けておくことで、現像剤量を検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−9036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような現像剤量の検知方法には、検知精度の点で次のような課題がある。
【0007】
即ち、印字率が高い画像の形成を行った場合、その直後には、供給ローラに含有される現像剤量が一時的に減少する。そのため、その状態で現像剤量の検知を行うと、実際の現像剤量よりも少なく誤検知してしまう可能性がある。これに対しては、画像形成の終了後から現像剤量の検知動作の開始までの間に、供給ローラの現像剤含有量を回復させるための補助的な駆動動作を行うことが効果的である。しかしながら、この駆動動作を過剰に行うことは、各部材の摩耗劣化を促進してしまうのみならず、画像形成の生産性を低下させる可能性がある。
【0008】
尚、以上では、現像剤量検知手段によって現像剤残量レベルを検知することが特に有用なプロセスカートリッジ方式の画像形成装置を例として従来の課題を説明した。しかし、上述のような現像剤量の検知方法を採用する場合には、プロセスカートリッジ方式を用いない画像形成装置においても同様の課題がある。
【0009】
従って、本発明の目的は、検知前に形成された画像の違いによって発生し得る現像剤量の検知精度の低下を、現像装置の寿命を短くしたり、画像形成の生産性を低下させたりすることなく防止することのできる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、現像剤を収容する現像容器と、前記現像容器に収容された現像剤を担持して搬送する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に接触して回転することで前記現像剤担持体に前記現像容器内に収容された現像剤を供給する現像剤供給部材と、非画像形成時に前記現像剤担持体と前記現像剤供給部材との間で静電容量を検知することで前記現像容器内の現像剤量を検知する現像剤量検知手段と、を有する画像形成装置において、画像形成後の前記現像剤供給部材に含有された現像剤量を予測する演算手段と、画像形成後に前記現像剤量検知手段による前記検知を実行するまでの間に前記現像剤供給部材に現像剤を補充する補充手段と、を有し、前記補充手段は、前記演算手段により予測された前記現像剤供給部材に含有された現像剤量が少ないほど、前記現像剤供給部材に補充する現像剤の量を多くすることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、検知前に形成された画像の違いによって発生し得る現像剤量の検知精度の低下を、現像装置の寿命を短くしたり、画像形成の生産性を低下させたりすることなく防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例に係る画像形成装置の模式断面図である。
【図2】図1の画像形成装置におけるプロセスカートリッジの模式断面図である。
【図3】(a)現像剤供給部材の表面通気量の測定方法を示す図である。(b)測定に用いる冶具を示す図である。(c)測定に用いる通気ホルダを示す図である。
【図4】図1の画像形成装置における現像剤量検知手段を説明するための現像装置の模式断面図である。
【図5】図1の画像形成装置における現像剤量検知手段を説明するためのブロック図である。
【図6】本発明を適用可能な現像剤量検知方法の基本的な動作フローを示すフローチャート図である。
【図7】(a)現像容器内のトナー量と供給ローラ内に含有されたトナー量との関係を示すグラフ図である。(b)供給ローラ内に含有されたトナー量と静電容量検出器の出力との関係を示すグラフ図である。
【図8】(a)高印字率の画像の形成により供給ローラ内に含有されたトナー量が減少する様子を示すグラフ図である。(b)供給ローラの回転駆動によって供給ローラ内のトナー含有率が回復する様子を示すグラフである。(c)高印字率の画像形成枚数と供給ローラ内のトナー含有率との関係を示すグラフ図である。
【図9】本発明に従うトナー補充動作の概略制御ブロック図である。
【図10】本発明に従うトナー補充動作を含む画像形成装置の一連の動作の一例のフローチャート図である。
【図11】本発明の他の実施例に係る画素数計測方法を説明するための模式図である。
【図12】本発明に従うトナー補充動作を含む画像形成装置の一連の動作の他の例のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0014】
実施例1
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本発明の一実施例に係る画像形成装置100の全体構成を示す。本実施例の画像形成装置100は、電子写真方式を用いたレーザービームプリンタである。画像形成装置100の制御手段としての制御回路部101には、インターフェース102を介して外部ホスト装置(プリンタコントローラ)200が接続されている。画像形成装置100は、外部ホスト装置200から入力される画像データ(電気的な画像情報)に対応した画像を、記録材(記録媒体)Sに形成して画像形成物を出力する。制御回路部101は、画像形成装置100の動作を制御する制御手段であり、外部ホスト装置200と各種の電気的情報信号の授受をする。又、制御回路部101は、後述する画像形成部103の各種のプロセス機器やセンサから入力する電気的情報信号の処理、各種のプロセス機器への指令信号の処理、所定のイニシャルシーケンス制御、所定の画像形成シーケンス制御を司る。制御回路部101は、不揮発性メモリ(NVRAM)に格納された制御プログラムや参照テーブルにしたがって制御を実行する。外部ホスト装置200は、ホストコンピュータ、ネットワーク、イメージリーダ、ファクシミリなどである。尚、画像形成装置100は、記録材Sとして、記録紙、OHPシート、葉書、封筒、ラベルなどに画像を形成することができる。
【0015】
画像形成装置100の本体(以下「装置本体」という。)1内には、画像形成部103が配設されている。画像形成部103は、像担持体としてのドラム型の電子写真感光体である感光ドラム4を有する。感光ドラム4は、後述するプロセスカートリッジ20に回転可能に配設されており、装置本体1に設けられた駆動手段としての駆動モータ(図示せず)により所定の周速(プロセススピード)にて図中矢印R1方向(時計回り)に回転駆動される。感光ドラム4は、アルミニウム製のシリンダ(アルミシリンダ)の外側に有機光導電体層が塗布されて構成されている。感光ドラム4のアルミシリンダは、導電性部材により、装置本体1を介して電気的に接地されている。
【0016】
回転する感光ドラム4の周面は、帯電手段としての接触型の帯電部材である帯電ローラ5により、所定の極性(本実施例では負極性)・電位に一様に帯電させられる。帯電ローラ5は、芯金と、芯金の周りに同心一体に形成された導電性の弾性体層と、を有する。帯電ローラ5は、その回転軸線方向が感光ドラム4の回転軸線方向と略平行になるように配置されている。又、帯電ローラ5は、導電性の弾性体層の弾性に抗して所定の押圧力で感光ドラム4に接触している。帯電ローラ5の芯金の回転軸線方向の両端部は、軸受けを介して後述するプロセスカートリッジ20に回転可能に支持されている。帯電ローラ5は、感光ドラム4の回転に従動して回転する。帯電ローラ5には、帯電電圧印加手段としての帯電電源E1が接続されている。そして、本実施例では、画像形成時に、帯電ローラ5の芯金に対して、帯電電源E1から、帯電電圧(帯電バイアス)として約−1000Vの直流電圧が印加される。これにより、感光ドラム4の表面が約−500Vの暗部電位VDに一様に帯電させられる。
【0017】
感光ドラム4の一様に帯電処理された表面は、露光手段としての露光装置(レーザースキャナユニット)6により、画像情報に応じて露光される。これにより、感光ドラム4の表面に画像情報に対応した静電潜像(静電像)が形成される。本実施例では、露光装置6は、画像部を露光するイメージ露光方式を採用する。露光装置6には、外部ホスト装置200からインターフェース102を介して制御回路部101に入力された後画像処理された画像情報の時系列電気デジタル画素信号が入力される。露光装置6は、入力される時系列電気デジタル画素信号に対応して変調したレーザー光L(露光ビーム)を出力するレーザー出力部、回転多面鏡(ポリゴンミラー)、fθレンズ、反射鏡などを有する。そして、レーザー光Lで感光ドラム4の一様に帯電処理された表面を主走査方向に走査しながら露光する。この主走査方向に走査しながらの露光と、感光ドラム4の回転による感光ドラム4の表面の副走査方向への移動とにより、回転する感光ドラム4の表面に露光パターンに対応した静電潜像が形成される。本実施例では、感光ドラム4の表面の露光された部分の電位が約−100Vの明部電位VLになり、暗部電位VDと明部電位VLとの電位コントラストにより、露光パターンに対応した静電潜像が形成される。
【0018】
感光ドラム4の表面に形成された静電潜像は、現像手段としての現像装置7により、トナー像として現像(顕像化)される。本実施例では、現像装置7は、現像剤として非磁性一成分現像剤であるトナーTを用いる非磁性一成分現像方式のものである。又、本実施例では、現像装置7は、反転現像方式で現像を行う。即ち、一様に帯電処理された後に露光によって電荷の絶対値が低下した露光部(明部電位部分)に、感光ドラム4の帯電極性と同極性に帯電したトナーが付着することで、静電潜像がトナー像として現像される。即ち、本実施例では、トナーTの正規の帯電極性は負極性である。
【0019】
現像装置7は、トナーTを収容する現像容器7aを有する。現像容器7aには、感光ドラム4と対向する位置に設けられたその開口部から一部が外部に露出するようにして、現像剤担持体としての現像ローラ2が設けられている。詳しくは後述するように、現像ローラ2は感光ドラム4と接触可能である。そして、現像ローラ2は、感光ドラム4との接触部においてその表面が感光ドラム4の表面の移動方向と同方向に移動するように、装置本体1に設けられた駆動手段としての駆動モータ(図示せず)により回転駆動される。又、現像容器7aには、現像ローラ2にトナーTを塗布する現像剤供給部材としての供給ローラ3が設けられている。供給ローラ3は、現像ローラ2に接触して配置されている。詳しくは後述するように、供給ローラ3は、その表層が発泡層で形成されている。そして、供給ローラ3は、現像ローラ2との接触部においてその表面が現像ローラ2の表面の移動方向とは反対方向(カウンター方向)に移動するように、装置本体1に設けられた駆動手段としての駆動モータにより回転駆動される。又、現像容器7aには、現像容器7a内のトナーTを攪拌するための回転可能な攪拌部材7bが設けられている。更に、現像容器7aには、現像ローラ2に接触して配置された現像剤層厚規制部材としての現像ブレード7cが設けられている。
【0020】
現像ローラ2は、芯金と、この芯金の周りに同心一体に形成された導電性の弾性体層と、を有する。現像ローラ2は、その回転軸線方向が感光ドラム4の回転軸線方向と略平行になるように配置されている。又、現像ローラ2は、感光ドラム4に対して接離可能とされており、詳しくは後述するように、装置本体1に設けられた接離手段としての接離カム(当接離間カム)30によって接離状態が制御される。画像形成時には、現像ローラ2は、感光ドラム4に接触した状態で、図中矢印R2方向(反時計回り)に所定の周速で回転駆動される。
【0021】
現像容器7a内のトナーTは、攪拌部材7bが回転駆動されることにより、攪拌されながら供給ローラ3に向けて搬送される。このトナーTは、図中矢印R3方向(反時計回り)に所定の周速で回転駆動される供給ローラ3によって、現像ローラ2の表面に塗布される。供給ローラ3には、供給部材電圧印加手段としての供給部材電源E4が接続されている。詳しくは後述するように、供給ローラ3には、供給部材電圧(供給部材バイアス)として、画像形成時には所定の直流電圧、トナー量の検知時には所定の交流電圧が、供給部材電源E4から印加される。現像ブレード7cは、現像ローラ2上のトナーTの層厚を規制して現像ローラ2にトナーTを均一の薄層として担持させると共に、トナーTを摩擦によって帯電させて現像に必要な電荷を与える。本実施例では、トナーTは負極性に帯電させられる。現像ローラ2上に形成されたトナーTの薄層は、引き続く現像ローラ2の回転により感光ドラム4との対向部である現像領域に送られる。現像ローラ2には、現像電圧印加手段としての現像電源E2が接続されている。そして、本実施例では、画像形成時に、現像ローラ2に対して、現像電源E2から、現像電圧(現像電圧)として約−300Vの直流電圧が印加される。これにより、現像領域内に送られたトナーTが、感光ドラム4上の静電潜像の露光部(明部電位部分)に対して選択的に飛翔して付着する。こうして、感光ドラム4上の静電潜像がトナー像として現像される。尚、詳しくは後述するように、供給ローラ3は、現像容器7a内のトナーTの量を検知するための、現像剤量検知手段を構成する検知部材(電圧印加部材)としても機能する。
【0022】
一方、所定の制御タイミングにて給紙ローラ9が回転駆動されて、給紙カセット10から記録材Sが一枚分離給送される。給送された記録材Sは、搬送路11を搬送されて、レジストローラ対12に至り、その時点では回転を停止しているレジストローラ対12の接触部(ニップ部)に先端部が受け止められて斜行矯正を受ける。そして、その記録材Sが、所定の制御タイミングにて回転駆動されたレジストローラ対12により再び給送されて、感光ドラム4と、転写手段としての転写ローラ13との接触部である転写部(転写ニップ部)Nに導入される。
【0023】
転写ローラ13は、芯金と、この芯金の周りに同心一体に形成した導電性の弾性体層と、を有する。転写ローラ13は、その回転軸線方向が感光ドラム4の回転軸線方向と略平行になるように配置されている。又、転写ローラ13は、導電性の弾性体層の弾性に抗して所定の押圧力で感光ドラム4に接触しており、感光ドラム4との間で転写部Nを形成している。転写ローラ13は、感光ドラム2の回転に従動して回転する。
【0024】
記録材Sは転写部Nにおいて感光ドラム4と転写ローラ13とに挟持されて搬送されていく。転写ローラ13には転写電圧印加手段としての転写電源E3が接続されている。記録材Sが転写部Nを搬送されていく間、転写ローラ13には、転写電源E3から、転写電圧(転写バイアス)として、トナーTの正規の帯電極性とは反対極性(本実施例では正極性)の所定電位の直流電圧が印加される。転写ローラ13にトナーTの正規の帯電極性とは逆極性の転写電圧が印加されることで、転写部Nにおいて、記録材Sの背面側(感光ドラム側とは反対側の面)にトナーTと逆極性の電荷が付与される。これにより、感光ドラム4上のトナー像が記録材Sの表面に静電的に転写される。
【0025】
転写部Nを出た記録材Sは感光ドラム4の表面から分離され、搬送路14を通って、定着手段としての定着装置15に導入される。定着装置15において、記録材S上の未定着トナー像は、記録材Sへの定着処理を受ける。本実施例では、定着装置15は、熱ローラタイプのものであり、表面が所定の定着温度に加熱温調される加熱ローラ15aと、これに圧接して定着部(定着ニップ部)を形成する加圧ローラ15bとを有している。加熱ローラ15aと加圧ローラ15bは、それぞれの回転軸線方向が略平行となるように配置されている。加熱ローラ15aと加圧ローラ15bは、それぞれ図中矢印方向に所定の周速で回転駆動され、定着部にて記録材Sを挟持して搬送しながら、記録材S上の未定着のトナー像を加熱及び加圧して記録材Sに固着画像として定着させる。
【0026】
定着装置15を出た記録材Sは、画像形成物として搬送路16により装置本体1内を上方に送られ、排紙ローラ対17により排紙口18から装置本体1の上面の排紙トレイ19上に排出される。
【0027】
又、記録材Sが分離された後の感光ドラム4は、クリーニング手段としてのクリーニング装置8により、記録材Sに転写されずにその表面に付着しているトナー(転写残トナー)などの付着物の除去を受けて清掃される。これにより、感光ドラム4は繰り返して画像形成に供される。本実施例では、クリーニング装置8は、クリーニング部材としてのクリーニングブレード8aを有する。クリーニングブレード8aは、回転する感光ドラム4に対して、その自由端を感光ドラム4の表面の移動方向の上流側に向けて(カウンター方向)、所定の侵入量をもって接触させられている。転写残トナーなどの感光ドラム4上の付着物は、クリーニングブレード8aの先端のエッジ部と感光ドラム4との接触位置にて、回転する感光ドラム4の表面から掻き取られ、廃トナー収容部8b内に回収される。
【0028】
2.プロセスカートリッジ
本実施例では、感光ドラム4、帯電ローラ5、現像装置7、クリーニング装置8の4つのプロセス機器は、装置本体1に対して一括して着脱可能な画像形成ユニットとしてカートリッジ化され、プロセスカートリッジ20を構成している。プロセスカートリッジ20は、装置本体1内の装着部に取り外し可能に装着される。
【0029】
図2(a)に示すように、プロセスカートリッジ20において、現像装置4は、クリーニングブレード8a及び廃トナー収容部8bと共に感光ドラム4及び帯電ローラ5を保持するクリーニング装置8に対して回動可能に結合されている。図2(a)に示す状態では、現像ローラ2と感光ドラム4とは接触している。そして、図2(b)に示すように、接離カム30が回転動作を行うことによって現像装置7の底部を持ち上げると、現像装置7は支点33を中心にして上方へ回動する。図2(b)に示す状態では、現像ローラ2とドラム4とは離間している。詳しくは後述するように、接離カム30は、制御回路部101によって駆動モータ(図示せず)とソレノイド(図示せず)が制御されることで、位相制御がされると共に回転させられる。
【0030】
プロセスカートリッジ20は、装置本体1に装着された状態で、位置決め固定手段28により、装置本体1内の所定の装着部に位置決めされて固定されている。その状態で、装置本体1側の駆動手段(図示せず)から、感光ドラム4への駆動力、現像ローラ2への駆動力、供給ローラ3への駆動力、攪拌部材への駆動力が伝達可能となっている。又、その状態で、装置本体1側の電源E1、E2、E3、E4から帯電ローラ5、現像ローラ2、転写ローラ13、供給ローラ3に電圧が印加可能となっている。尚、プロセスカートリッジ20の上面には、露光窓部20aが設けられている。
【0031】
又、プロセスカートリッジ20には、記憶手段としてのメモリ21と、カートリッジ側情報伝達部22が設けられている。プロセスカートリッジ20が装置本体1に装着された状態で、カートリッジ側情報伝達部22は、装置本体1側に設けられた本体側情報伝達部23と対向している。これにより、メモリ21と制御回路部101との間で、通信手段を構成するカートリッジ側情報伝達部22と本体側情報伝達部23とを介して、情報の授受(情報の読み書き)が可能となっている。
【0032】
本実施例では、メモリ21には、少なくとも感光ドラム4の寿命残量及び現像剤の残量に関する情報を含むプロセスカートリッジ20の固有の寿命情報を格納されている。この寿命情報に関して、カートリッジ側情報伝達部22、本体側情報伝達部23を介して制御回路部101とメモリ21との間で通信することができる。そして、制御回路部101は、その寿命情報を、随時、装置本体1に設けられた操作パネル部(図示せず)に表示させて、使用者にプロセスカートリッジ20の寿命残量を報知することができる。
【0033】
3.現像剤
本実施例では、現像剤として負帯電性の非磁性一成分現像剤であるトナーTを用いる。現像時には、トナーTは負に摩擦帯電され、トナーの凝集度は15%である。トナーの凝集度は、以下のようにして測定を行った。
【0034】
測定装置としては、デジタル振動計(MODEL 1332、昭和測器株式会社)を有するパウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社)を用いた。測定法としては、次の方法を用いた。振動台に390メッシュ、200メッシュ、100メッシュのふるいを目開の狭い順に、即ち、100メッシュふるいが最上位にくるように390メッシュ、200メッシュ、100メッシュのふるい順に重ねてセットした。このセットした100メッシュふるい上に正確に秤量した試料(トナー)5gを加え、デジタル振動計の変位の値を0.60mm(peak−to−peak)になるように調整し、15秒間振動を加えた。その後、各ふるい上に残った試料の質量を測定して下記式に基づき凝集度を求めた。その際の測定サンプルは、それぞれ事前に23℃、60%RH環境下において24時間放置したものであり、測定は23℃、60%RH環境下で行った。
凝集度(%)=(100メッシュふるい上の残試料質量/5g)×100
+(200メッシュふるい上の残試料質量/5g)×60
+(390メッシュふるい上の残試料質量/5g)×20
【0035】
4.現像ローラ
図2(a)に示すように、現像ローラ2は、導電性支持体2aと、導電性支持体2aの周囲に設けられた導電剤が配合された半導電性の弾性ゴム層2bとを有する。より具体的には、芯金電極として機能する導電性支持体2aは、外径φ6(mm)であり、この導電性支持体2aの周囲に、導電剤が配合された半導電性のシリコーンゴム層2bが設けられている。更に、シリコーンゴム層2bの表層には、厚さ20(μm)ほどのアクリル・ウレタン系ゴム層2cがコーティングされている。現像ローラ2の全体の外径はφ12(mm)である。又、現像ローラ2の電気抵抗は1×106(Ω)である。
【0036】
ここで、現像ローラ2の電気抵抗の測定方法を説明する。現像ローラ2を、直径30mmのアルミニウム製のスリーブ(アルミスリーブ)に対し、荷重9.8Nで圧接させる。このアルミスリーブを回転させることにより、現像ローラ2を60rpmでアルミスリーブに対して従動回転させる。次に、現像ローラ2に、−50Vの直流電圧を印加する。その際、アース側に10kΩの抵抗を設け、その両端の電圧を測定することで電流を算出し、現像ローラ2の電気抵抗を算出する。
【0037】
尚、現像ローラ2の体積抵抗が1×109(Ω)よりも大きいと、現像ローラ2の表面での現像電圧の電圧値が下がり、現像領域の直流電界が減少する。これにより、現像効率が低下し、画像濃度が低下する不具合が生じる。従って、現像ローラ2の電気抵抗を1×109(Ω)以下とするのが良い。
【0038】
5.供給ローラ
本実施例では、供給ローラ3は、現像剤供給部材であり、且つ、現像剤量検知手段を構成する検知部材でもある。図2(a)に示すように、供給ローラ3は、導電性支持体3bと、導電性支持体3bに支持される発泡層3aとを有する。より具体的には、芯金電極として機能する導電性支持体3bは、外径φ5(mm)であり、この導電性支持体3bの周囲に気泡同士が繋がっている連続気泡体(連泡)構造を有する発泡層である発泡ウレタン層3aが設けられている。発泡ウレタン層3aを含む供給ローラ3の全体の外径はφ13(mm)である。表層のウレタンを連続気泡体とすることで、供給ローラ3の内部にトナーTが多量に進入することが可能となる。そのため、後述するトナー量の検知性能を向上させることが可能となる。又、供給ローラ3の電気抵抗は1×109(Ω)である。
【0039】
ここで、供給ローラ3の電気抵抗の測定方法を説明する。供給ローラ3を、直径30mmのアルミニウム製のスリーブ(アルミスリーブ)に対し、後述する侵入量が1.5mmとなるように圧接させる。このアルミスリーブを回転させることにより、供給ローラ3を30rpmでアルミスリーブに対して従動回転させる。次に、供給ローラ3に、−50Vの直流電圧を印加する。その際、アース側に10kΩの抵抗を設け、その両端の電圧を測定することで電流を算出し、供給ローラ3の電気抵抗を算出する。
【0040】
供給ローラ3の表面のセル径は、50μm〜1000μmとした。ここで、「セル径」とは、任意断面の発泡セルの平均径をいい、任意断面の拡大画像から最大である発泡セルの面積を測定し、この面積から真円相当径を換算し最大セル径を得る。この最大セル径の1/2以下である発泡セルをノイズとして削除した後、残りの個々のセル面積から同様に換算した個々のセル径の平均値が上記平均径である。
【0041】
又、供給ローラ3の表面通気量は、1.8(リットル/分)以上とした。
【0042】
ここで、供給ローラ3の「表面通気量」について説明する。図3(a)は「表面通気量」の測定方法を示す図である。
【0043】
先ず、供給ローラ3を、図3(b)に示すような測定冶具43に挿入する。図3(b)の測定冶具43は、中空円筒体の側面にφ10(mm)の貫通孔を通したもので、この貫通孔の中心軸と中空円筒体の円筒軸とが直交するように作られている。中空円筒体としては、その中空円筒体の内径が測定される供給ローラ3の外径よりも1mm小さいものを使用する。これは、測定冶具43の中空円筒体の内面と測定される供給ローラ3との間の隙間を無くすためである。本実施例では、供給ローラ3は外径φ13(mm)であるので、測定冶具43の中空円筒体の内径はφ12(mm)である。
【0044】
供給ローラ3が挿入された測定冶具43は、図3(c)に示すような通気ホルダ44に取り付けられる。通気ホルダ44は、中空円筒体44aの側面に減圧ポンプ48に通じる通気管45を取り付けるための連結パイプ44bを繋げた略T字形をしており、連結パイプ44bの繋げられた部分の反対側に当たる部分を大きく切り欠いた形状になっている。連結パイプ44bの内径は、測定冶具43の貫通孔よりも大きくなるように設定される。本実施例では連結パイプ44bの内径をφ12(mm)とした。通気ホルダ44の中空円筒体44aの内径は、測定冶具43の外径とほぼ同寸法であり、測定冶具43を通気ホルダ4の中空円筒体44aに挿入できるようになっている。図3(a)に示すように、測定冶具43の貫通孔の一方が通気ホルダ44の中空円筒体44aの切り欠き部分に全て露出し、測定治具43の貫通孔の他方が連結パイプ44bの内径にほぼ正対するように設置する。
【0045】
通気ホルダ44の中空円筒体44aの左右には、図3(a)に示すように、中空円筒体44aに連結される、一端を塞がれたアクリル・パイプ42a、42bが設置される。測定冶具43の左右から出ている供給ローラ3は、上記アクリル・パイプ42a、42b中に納まるようになっている。
【0046】
通気管45の途中には、流量計47(KZ形通気量測定器:株式会社大栄科学精器製作所)、及び差圧調整弁46が設置されている。上記測定冶具43、通気ホルダ44、通気管45、アクリル・パイプ42a、42bの連結部分はテープやグリスなどによってシールされる。減圧ポンプ48により通気管45の内部側が排気された際に、露出している測定冶具43の貫通孔以外から空気が流入しないようにするためである。
【0047】
「表面通気量」の測定は、次のように行う。先ず、図3(a)において、供給ローラ3を設置しない状態で、減圧ポンプ48を作動させ、差圧調整弁46で流量計47の測定値が安定して10.8(リットル/分)となるように調節する。この後、測定対象である供給ローラ3を設置して、前述のように慎重にシーリングし、上記と同一の排気条件で、流量計47の測定値を「表面通気量」として計測する。当然ながら「表面通気量」は、流量計47の測定値が十分安定した時点での値を採る。
【0048】
供給ローラ3を通過する空気流は、測定冶具43の露出している貫通孔に位置する発泡ウレタン層3aの表面から流入し、発泡ウレタン層3aの内部を通過して、測定冶具43の他方の貫通孔に位置する発泡ウレタン層3aの表面から流出する。一般的な供給ローラ3の発泡ウレタン層3aの表面は、発泡ウレタン層3aの内部と異なる場合が多い。例えば、供給ローラ3を型内発泡形成した場合には、表面のセルの開口率が内部と異なるスキン層が表面に現れる場合がある。又、発泡ウレタン層3aの表面を単なる円筒面として形成せず、意図的に凹凸を設けたものも存在する。発泡ウレタン層3aの内外を出入りするトナー粉流体は、上述の表面の状態に影響を受ける場合があり、JIS−L1096のようなバルク通気量の測定だけでは、その挙動を捕らえられない。従って、ここでは、上述のような、発泡ウレタン層3aの表面から流入・流出する空気流を測定する通気量測定法を採用し、これでトナー粉流体の平衡状態(又はそれに近い状態)を出現させる主要なパラメータとした。
【0049】
現像ローラ2は図中矢印R2の方向に回転駆動され、供給ローラ3は図中の矢印R3方向に回転駆動される。現像ローラ2と供給ローラ3の回転中心間の距離は11(mm)に設定されている。供給ローラ3の発泡ウレタン層3aの硬度は、現像ローラ2のシリコーンゴム層2bとアクリル・ウレタン系ゴム層2cよりも十分柔らかい。そのため、現像ローラ2の表面は、発泡ウレタン層3aを最大1.5(mm)押しつぶした状態で接触している。この押しつぶす量が供給ローラ3の現像ローラ2に対する侵入量である。
【0050】
現像ローラ2の回転速度は300(rpm)、供給ローラ3の回転速度は240(rpm)である。現像ローラ2と供給ローラ3の回転に伴い、発泡ウレタン層3aが現像ローラ2との接触部で押し潰される。このとき、供給ローラ3の発泡ウレタン層3aの表層又は内部に保持されたトナーTは、発泡ウレタン層3aの表層から排出され、その一部が現像ローラ2の表面に転移する。現像ローラ2の表面に転移したトナーTは、現像ローラ2と供給ローラ3との接触部に対して現像ローラ2の回転方向下流側において現像ローラ2に接触して設けられた現像ブレード7cにより規制されて、均一なトナー層とされる。この過程で、トナーTは、現像ローラ2と供給ローラ3との接触部、又は、現像ローラ2と現像ブレード5との接触部で摺擦されることにより、所望の摩擦帯電電荷(本実施例では負電荷)を獲得する。又、現像ローラ2と供給ローラ3とが、その接触部において互いの表面が逆方向に移動するように回転することにより、現像に消費されずに現像ローラ2上に残ったトナー(現像残トナー)は、供給ローラ3によって現像ローラ2上から剥ぎ取られ除去される。
【0051】
6.現像ローラと感光ドラムとの離接動作
図2(a)及び図2(b)に示すように、現像ローラ2と感光ドラム4との離接動作は、装置本体1側の接離カム30によって現像装置7の回動動作を行うことによって行われる。接離カム30は、制御回路部101によって駆動モータ(図示せず)とソレノイド(図示せず)が制御されることによって回転動作を行う。
【0052】
図2(a)に示す現像ローラ2と感光ドラム4とが接触した状態から、離接カム30が回転して現像装置7の底部を持ち上げると、現像装置7は、支点33を中心にして上方へ回動する。これにより、図2(b)に示すように、現像ローラ2と感光ドラム4とは離間状態になる。
【0053】
ここで、現像ローラ2と感光ドラム4とは、それぞれの軸受け部材(図示せず)同士を付勢手段としてのバネ部材32で連結しており、現像ローラ3と感光ドラム3とを接触させた際には、このバネ部材32による付勢力で接触した状態で保持される。そのため、現像ローラ2が感光ドラム4から離間する方向へ現像装置7が移動する場合には、現像装置7はバネ部材32の引っ張り力に抗して移動する。この時、感光ドラム4を保持したクリーニング装置8が上方へ移動しようとする力が働くが、装置本体1側の固定手段(着脱ガイド部材)28(図1)がクリーニング装置8の上面に突き当たって、その移動が規制される。
【0054】
一方、接離カム30が、現像装置7を持ち上げる位置から、現像装置7に接触しない位置へ回転する場合には、現像装置7が支点33を中心にして、下方へ回動する。これにより、図2(a)に示すように、現像ローラ2と感光ドラム4とが接触した状態になる。このとき、現像装置7は自重とバネ部材32の引っ張り力によって移動し、バネ部材32の引っ張り力によって現像ローラ2が感光ドラム4とが接触した状態で保持される。
【0055】
本実施例では、接離カム30は装置本体1側に設けられた駆動モータとソレノイドにより、半回転ずつ回転するように制御されている。接離カム30が半回転する毎に、画像形成状態(当接位置)と待機状態(離間位置)との切り替えが繰り返される。又、装置本体1側には、接離カム30の位相を検知する位相検知センサ(図示せず)が配置されており、制御回路部101は、位相検知センサの検知結果に応じて、駆動モータとソレノイドを制御することで、接離カム30の位相の制御を行う。
【0056】
ここで、現像ローラ2と感光ドラム4とが接触した状態を、現像装置7の第1の位置(図2(a))とする。一方、現像ローラ2と感光ドラム4とが離間した状態を現像装置7の第2の位置(図2(b))とする。本実施例では、現像装置7が第2の位置にあるときに、現像ローラ2と供給ローラ3との間の静電容量を検出して、現像容器7a内のトナー量の検知を行うことができる。
【0057】
7.トナー量の検知方法
次に、本実施例における静電容量の変化を利用したトナー量の検知方法について説明する。
【0058】
図4は、第2の位置にある現像装置7に対する電圧印加系を示す。図5は、現像装置7が装置本体1内に設置されている状態における各種電気接点の接続態様を示す。
【0059】
図5に示すように、現像ローラ2の芯金電極(導電性支持体)2aと導通された第1の現像装置接点電極85が、現像装置7に設けられている。そして、第1の現像装置接点電極85に対応する第1の本体接点電極86が、装置本体1側に設けられている。第1の本体接点電極86は、装置本体1の内部の現像剤量検知手段を構成する静電容量検出手段としての静電容量検出器(検出器)82と、現像電源E2(図4)とに繋がっている。又、供給ローラ3の芯金電極(導電性支持体)3bと導通された第2の現像装置接点電極83が、現像装置7に設けられている。そして、第2の現像装置接点電極83に対応する第2の本体接点電極84が、装置本体1側に設けられている。第2の本体接点電極84は、装置本体1の内部の供給部材電源E4における、現像剤量検知手段を構成する検知用電圧出力部80a(図4)と、供給電圧出力部80b(図4)とに繋がっている。供給電圧出力部80bは、正負両方の直流電圧を供給ローラ3に印加できる電源であってよい。
【0060】
現像装置7が装置本体1内の所定位置に設置されている状態では、現像装置7が第1の位置と第2の位置とのいずれにある場合でも、接点電極85と86、接点電極83と84はそれぞれ導通している。即ち、現像装置7が第1の位置と第2の位置との間で揺動しても、第1の現像装置接点電極85と第1の本体接点電極86、第2の現像装置接点電極83と第2の本体接点電極84は、それぞれ接触したままである。
【0061】
通常の現像動作時には、現像装置7は第1の位置にあり、現像電源E2から第1の本体接点電極86と第1の現像装置接点電極85を介して、現像ローラ2に、現像電圧として約−300Vの直流電圧が印加される。このとき、検知用電圧出力部80aからは発信されず、供給電圧出力部80bのみから発信されることで、第2の本体接点電極84と第2の現像装置接点電極83を介して、供給ローラ3には、現像電圧と略同電位の約−300Vの直流電圧が印加される。即ち、現像動作時には、第1の現像接点電極85と第2の現像装置接点電極83は同電位となるので、現像ローラ2と供給ローラ3との間に電界は形成されない。このように、現像動作時においては、検出器82、供給部材電源E4の検知用電圧出力部80aは、現像電源E2、供給部材電源E4の供給電圧出力部80bに切り替えられる。
【0062】
非画像形成動作時には、現像装置7は第2の位置となり、本実施例では、供給ローラ3の芯金電極3bに、供給部材電源E4の検知用電圧出力部80aから検知用電圧が印加されて、現像容器7a内のトナー量の検知が行われる。検知用電圧としては、周波数fが50KHz、ピーク間電圧Vppが200Vの交流電圧を用いる。このとき、供給部材電源E4の供給電圧出力部80b、及び現像電源E2は発信しない。これにより、現像ローラ2の芯金電極2aには、検知用電圧により電圧が誘起され、この電圧は検出器82で検出される。
【0063】
上述のように、非画像形成動作時、より詳細には、現像動作を行わない時に、現像装置7は第2の位置、即ち、感光ドラム4と現像ローラ2とが離間した状態とされる。より具体的には、非画像形成時として、例えば、次のような期間にトナー量の検知を実現可能である。先ず、複数の記録材Sに対する連続画像形成中の感光ドラム4上の記録材S間の領域に対応する期間(紙間)である。又、画像形成工程を開始する前の準備動作(前回転動作)中である。又、画像形成工程が終了し、画像形成装置から記録材Sが機外に排紙される間における装置動作(後回転動作)中である。
【0064】
現像装置7が第2の位置にある場合、感光ドラム4と現像ローラ2が離間しているので、検知用電圧として交流電圧を供給ローラ3に印加しても、カブリと呼ばれる白地部汚れが発生することは無い。又、現像ローラ2と感光ドラム4とが接触している場合に互いに叩き合うように振動することで発生する打撃音が発生することも無い。
【0065】
又、供給ローラ3の芯金電極3bにトナー量の検知を目的とした交流電圧を印加して、現像ローラ2を静電容量検知用アンテナとして用いることで、現像装置内に別個のアンテナを設ける構成において発生し得るトナーの搬送阻害を防止できる。
【0066】
尚、図2(a)及び図2(b)に示すように、現像装置7を第1の位置と第2の位置とに移動させることで、現像装置7の姿勢は変化し、それに従い現像容器7a内のトナーTも若干移動することになる。しかし、供給ローラ3に含まれるトナーTの量は変化しない。つまり、現像ローラ2と供給ローラ3との間に存在するトナーTの量は変化しないので、現像ローラ2に誘起される電圧出力が変化することは無い。即ち、供給ローラ3は、トナーが内部に進入可能な発泡層を有しており、現像装置7の姿勢が変わっても発泡層内のトナーが動きにくいので、電圧出力は変化しない。加えて、本実施例では、現像ローラ2と感光ドラム4とが離間して、静電容量の検出を行っている際には、現像ローラ2及び供給ローラ3の駆動を停止する。現像ローラ2及び供給ローラ3の駆動を停止することで、現像ローラ2へのトナー供給及び現像残トナーの剥ぎ取り動作が中断される。そのため、供給ローラ3に含まれるトナーTの量が、トナー量の検知中には一定となり、トナー量の検知精度を高めることができる。
【0067】
図6は、上述のようなトナー量の検知方法の基本的な動作フローを示す。図示の例では、トナー量の検知を行うタイミングは、画像形成動作終了後のいわゆる後回転動作時である。画像形成動作が終了すると、現像装置7が第1の位置から第2の位置へ移動することで、感光ドラム4と現像ローラ2との離間動作が行われる。その後、現像ローラ2及び供給ローラ3の駆動が停止される。その後、検知用電圧が印加されて、トナー量の検知が行われる。
【0068】
以上のようなトナー量の検知方法によると、感光ドラム4と現像ローラ2との間に生じる静電容量の影響をなくして、トナー量検知精度を向上させることができる。又、上述のように、検知用電圧は、現像ローラ2と感光ドラム4とが離間した姿勢の時にのみ印加されるために、カブリ画像の発生や感光ドラム4と現像ローラ2との間の振動による打撃音の発生も防止できる。
【0069】
8.トナー量の検知精度
次に、上述のようなトナー量の検知方法によるトナー量の検知精度について詳しく説明する。
【0070】
図7(a)は、現像容器7a内のトナー量と、その時の供給ローラ3内に含有されたトナー量との関係を示す。尚、図7(a)は、次のような測定による実験結果である。即ち、本実施例の現像装置7にトナーTを充填し、これを徐々に消費させていく。そして、異なるトナー残量のそれぞれにおいて静電容量を測定した後、供給ローラ3を取り出してその中に含まれるトナーTの量を測定(使用前の供給ローラ3の重量との差分を測定)した。図7(a)に示すように、現像容器7a内のトナー量と供給ローラ3内に含有されたトナー量とは、比較的リニアで良い相関を保ちつつ変化していることがわかる。
【0071】
図7(b)は、上記測定で、静電容量の出力値と、その時の供給ローラ3内に含有されたトナー量との関係を調べた結果を示す。図7(b)に示すように、供給ローラ3内に含有されたトナー量と静電容量の出力値とは、ほぼリニアで非常に良い相関を保っていることがわかる。これは、上述のようなトナー量の検知方法によって、供給ローラ3内に含有されたトナー量の変化による静電容量変化により、現像容器7a内のトナー量を的確に測定できることを示している。
【0072】
ここで、供給ローラ3の表面通気量を大きくするに従い、静電容量の出力値の絶対値は大きくなる傾向がある。1.8(リットル/分)以上の表面通気量を有する供給ローラ3であれば、静電容量の出力値と現像容器7a内のトナー量との相関が良く、トナー量の検知精度が更に向上する。又、供給ローラ3の表面通気量が大きいと、供給ローラ3の発泡層の空孔部分が増えて、供給ローラ3の強度が小さくなり、供給ローラ3の発泡層がちぎれ易くなる。これを防止するために、供給ローラ3の通気量は5.0(リットル/分)以下であることが好ましい。即ち、供給ローラ3の表面通気量の範囲は、1.8〜5.0(リットル/分)(即ち、表面通気量L(リットル/分)は、1.8≦L≦5.0)であることが好ましい。
【0073】
尚、供給ローラ3内のトナーTは、回転する供給ローラ3が現像ローラ2に接触し始めるときに、供給ローラ3が変形し始めることで一部が吐き出される。又、供給ローラ3内のトナーTは、回転する供給ローラ3の現像ローラ2との接触が終わるときに、供給ローラ3の変形が元に戻ることで一部が吸い込まれる。このように、供給ローラ3に対して、トナーTは出入りしているが、供給ローラ3内のトナー量は現像容器7a内のトナー量が変わらなければ、概ね平衡状態に保たれる。図7(a)及び図7(b)に示す実験データはいずれも、供給ローラ3内に含有されたトナー量は、供給ローラ3内へのトナーTの出入りが平衡状態に保たれている状態での測定結果である。又、供給ローラ3内のトナー量をより正しく判断するにあたって、静電容量の出力値を精度良く測定するためには、好ましくは、上述のように供給ローラ3内へのトナーTの出入りが生じないように、供給ローラ3の回転を停止して測定するのが良い。
【0074】
ここで、図7(a)に示す現像容器7a内トナー量と供給ローラ3内に含有されたトナー量との相関は、トナーTの凝集度に依存する。凝集度が低いほど、供給ローラ3へのトナーの出入りが容易と成るため、現像容器7a内のトナー量と供給ローラ3内に含有されたトナー量との相関が良くなるものと考えられる。本実施例の画像形成装置100では、画像形成動作を行い、現像容器7a内のトナーTが充分消費された状態の現像容器7a内に残されたトナーTの凝集度を測定したところ30%であった。一般に、現像容器7a内のトナーTの使用度が高いほど、トナーTの凝集度が高くなる傾向にあることから、画像形成動作を行う前の現像容器7a内トナーTの凝集度は30%よりも低いと推測できる。言い換えれば、供給ローラ3内へのトナーTの出入りが平衡状態になる状況を作る上では、30%以下の凝集度を持つトナーを好ましく使用することができる。
【0075】
尚、本実施例では、供給ローラ3に検知用電圧を印加し、現像ローラ2に誘起される電圧を検出する検出器82を配置する構成とした。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、現像ローラ2に検知を印加し、供給ローラ3に誘起される電圧を検出する検出器を配置する構成としてもよく、本実施例と同様の効果を得ることが可能である。
【0076】
9.トナー量の検知精度の向上
上述のように、供給ローラ3内に含有されたトナー量を静電容量として検出して、予め現像容器7a内のトナー量と関係付けておくことで、現像容器7a内のトナー量を検知することができる。
【0077】
しかしながら、ベタ画像(最高濃度レベルの画像)などの高印字率の画像を連続して形成した場合、上述のような供給ローラ3内へのトナーTの出入りのバランスが平衡状態から崩れ、一時的に供給ローラ3内に含有されたトナー量が減少してしまう。それに伴い、供給ローラ3と現像ローラ2との間の静電容量も一時的に小さくなるため、トナー量の検知結果は、現像容器7a内の実際のトナー量とずれが生じてしまう場合がある。
【0078】
実際に、図8(a)に示すように、現像容器7a内のトナー量が所定の値である条件下で、印字率0%の画像形成を行った場合は、トナーTの消費はないため、供給ローラ3内に含有されたトナー量は平衡状態のまま維持される。一方、印字率100%のいわゆるベタ画像の連続画像形成を行った場合には、供給ローラ3内に含有されたトナー量は大きく変化する。このことは、高印字率の画像を形成した直後は、供給ローラ3内に含有されたトナー量が一時的に枯渇状態になる可能性があり、その状態でトナー量の検知動作を行った場合、現像容器7a内の実際のトナー量よりも、少なく誤検知してしまう可能性を示唆している。
【0079】
但し、同様に印字率100%の画像を連続して形成し、図8(a)中の矢印Xで示す時点で、印字率0%の画像形成に切り替えた場合、供給ローラ3内に含有されたトナー量は、図8(a)中の矢印Yの状態まで回復する。これは、次のような状態の変化の様子を表している。即ち、先ず、ベタ画像を連続して形成したことで、供給ローラ3内に含有されたトナー量が一時的に減少する。しかし、印字率0%の状態で供給ローラ3の回転動作を行うことで、供給ローラ3内にトナーTが補充されて、供給ローラ3内に含有されたトナー量が平衡状態に回復する。
【0080】
そこで、本実施例では、以下詳しく説明するトナー補充動作を行うことで、トナー量の検知精度の向上を図る。
【0081】
図9は、本実施例におけるトナー量の検知動作に係る概略制御態様を示す。制御回路部101の画素数計測手段104は、外部ホスト装置200から送られる画像データに基づいて、形成する画像の画素数を計測する。そして、画素数計測手段104は、ジョブ(一の画像形成開始指示による単数又は複数の記録材に対する一連の画像形成動作)内の各ページにおける、平均印字率Pを計算する。
【0082】
尚、平均印字率Pは、1ページ分の画像形成可能領域内の各画素の全てがベタ画像である場合の1ページ分の各画素の濃度情報の積算値(総和)を100%として、これに対する当該ページの各画素の濃度情報の積算値の割合から計算することができる。画像濃度情報は、各画素の濃度レベルが例えば0〜255の256階調のうちどのレベルかを示す情報である。画像濃度情報とトナーの載り量とは予め関係付けられるので、この1ページ分の各画素の濃度情報の積算値は、当該1ページ分のトナー消費量に対応する。
【0083】
次に、制御回路部101の演算手段105は、算出された各ページの平均印字率Pから、ジョブ直後における供給ローラ3内に含有されたトナー量の指標である供給ローラ内トナー含有率(以下、単に「トナー含有率」ともいう。)Wmの演算を行う。
【0084】
ここで、トナー含有率Wmは、供給ローラ3内へのトナーTの出入りのバランスが平衡状態に保たれている状態を100%と定義するものとする。演算手段105は、平均印字率Pの情報に基づいて、供給ローラ3内に含有されたトナー量に関して、平衡状態からのズレ量としてトナー含有率Wmを計算する。
【0085】
具体的には、演算手段105は、mページの画像を連続して形成するジョブの終了直後におけるトナー含有率Wmに関して、下記式のような演算を行う。
Wm=W(m−1)×(1+Km×10(-3))
【0086】
但し、係数Kmは、(m−1)ページ目の画像形成直後のトナー含有率W(m−1)と、mページ目の平均印字率Pmと、に応じて決定される増減係数であり、表1のように予め関係付けることができる。
【0087】
【表1】
【0088】
具体的には、表1に示す関係は、連続して形成する画像の印字率に応じてトナー含有率が増減することを調べた実験データに基づいている。例えば、図8(c)に示すように、印字率100%のいわゆるベタ画像を連続して形成した場合の、1ページ当たりのトナー含有率の変化を求めることで、表1のような関係を予め設定することが可能である。又、画像形成動作直前の供給ローラ3内に含有されたトナー量は平衡状態に保たれているものとし、W0=100%と定義される。演算手段105は、表1に示すような関係に係る情報を用いて、ジョブ内のページ毎にトナー含有率Wmを順次計算していき、最終的にジョブ終了時のトナー含有率Wmを求める。
【0089】
トナー含有率Wmが100%よりも小さいと検出された場合、制御回路部101は、トナー補充手段106により、供給ローラ3内に含有されたトナー量を平衡状態に回復させた後に、トナー量検知手段107を動作させて、トナー量検知を実行するようにする。この場合には、供給ローラ3内含有されたトナー量が一時的な枯渇状態にあると予測されるからである。トナー補充手段106による供給ローラ3に対するトナー補充動作は、画像形成後のいわゆる後回転動作時における供給ローラ3の回転回数を制御することで実現可能である。即ち、本実施例では、トナー補充手段106は、供給ローラ3の回転回数を切り替え可能な供給ローラ3の駆動手段(図示せず)などで構成される。又、本実施例では、現像剤量検知手段としてのトナー量検知手段107は、現像ローラ2、供給ローラ3、検出器82、供給部材電源E4(検知用電圧出力部80a)などで構成される。
【0090】
具体的には、制御回路部101は、トナー補充動作としてトナー含有率が平衡状態(100%)に達するまでに要する供給ローラ3の回転回数を求める。本実施例では、例えば、表2に示すようなテーブルとして、トナー含有率Wmと供給ローラ3の回転回数との関係に係る情報が、制御回路部101に予め設定されている。制御回路部101は、演算手段105によって算出されたトナー含有率Wmに応じて、表2に示すような関係に係る情報を用いて、トナー補充動作として必要な供給ローラ3の回転回数を求め、トナー量の検知動作の前に行う供給ローラ3の回転駆動動作を制御する。
【0091】
【表2】
【0092】
ここで、表2に示す関係は、図8(b)に示すような、トナー含有率が平衡状態(100%)に達するまでに要する供給ローラ3の回転回数の関係を調べた実験データに基づいている。具体的には、図8(b)は、所定のトナー量を保持した現像装置7内に、トナーTを含有していない供給ローラ3を設置して、印字率0%の画像形成を連続して行いながら、供給ローラ3のトナー充填率を測定した結果である。この結果は、供給ローラ3が回転駆動されることによって、トナーTを補充されて、トナー含有率が平衡状態に達する様子を示している。
【0093】
このように、制御回路部101は、後回転動作時に、トナー量の検知動作を実行する前に、トナー補充動作として供給ローラ3をトナー含有率Wmに応じて求めた必要な回転回数の供給ローラ3の回転駆動を実行する。これにより、トナー量の検知動作を実行する際には、常に供給ローラ3内に含有されたトナー量が平衡状態になっているようにすることができるため、良好なトナー量の検知精度を得ることが可能となる。尚、本実施例の画像形成装置100では、供給ローラ3が回転する際には現像ローラ2も回転する。
【0094】
図10は、本実施例における画像形成動作、トナー補充動作、及びトナー量の検知動作を含む画像形成装置100の一連の動作のフローを示す。
【0095】
プリント待機状態にある時に、外部ホスト装置200から制御回路部101にプリント信号が入力される(S101)。その後、制御回路部101は、画像形成動作を開始させる(S102)。その後、制御回路部101の画素数計測手段104は、外部ホスト装置200から送られる画像データに基づいて、形成する画像の画素数を計測して、ジョブ内の各ページの平均印字率Pを計算する(S103)。続いて、制御回路部101の演算手段105は、画素数の計測結果から算出された各ページの平均印字率Pに基づいて、mページの画像を連続して形成するジョブの終了直後におけるトナー含有率Wmを計算する(S104)。画像形成が終了すると(S105)、制御回路部101は、離間手段30によって、現像装置7を第1の位置から第2の位置へと移動させる(S106)。次に、制御回路部101は、S104で算出されたトナー含有率Wmが、平衡状態に達していないか否か(Wm<100(%)であるか否か)を判断する(S107)。
【0096】
S107において、供給ローラ3内に含有されたトナー量が平衡状態にある(Wm=100(%))であると判断した場合は、制御回路部101は、現像ローラ2及び供給ローラ3を停止させて(S109)、トナー量の検知動作を実行する(S110)。一方、S107において、供給ローラ3内に含有されたトナー量が枯渇状態にある(Wm<100(%))であると判断した場合は、制御回路部101は、トナー補充動作を実行する(S108)。即ち、制御回路部101は、S104で算出されたトナー含有率Wmから、制御回路部101に格納されている表2に示すようなテーブルに基づいて、必要な供給ローラ3の回転回数を求め、その結果に基づいて現像ローラ2及び供給ローラ3を回転駆動させる。その後、制御回路部101は、現像ローラ2及び供給ローラ3を停止させて(S109)、トナー量の検知動作を実行する(S110)。
【0097】
このように、本実施例の画像形成装置100は、非画像形成時に現像剤担持体2と現像剤供給部材3との間で静電容量を検知することで現像容器内の現像剤量を検知する現像剤量検知手段107を有する。又、画像形成装置100は、画像形成後の現像剤供給部材3に含有された現像剤量を予測する演算手段105と、画像形成後に現像剤量検知手段107による検知を実行するまでの間に現像剤供給部材3に現像剤を補充する補充手段106と、を有する。そして、補充手段106は、演算手段105により予測された現像剤供給部材3に含有された現像剤量が少ないほど、現像剤供給部材3に補充する現像剤の量を多くする。本実施例では、演算手段は、画像形成後の現像剤供給部材3に含有された現像剤量を、形成された画像に使用された現像剤の量に関する情報(本実施例では平均印字率)から予測する。又、本実施例では、補充手段106は、演算手段105により予測された現像剤供給部材3に含有された現像剤量が少ないほど、画像形成後に現像剤量検知手段107による検知を実行するまでの間の現像剤供給部材3の回転回数を多くする。これにより、現像剤供給部材3に補充する現像剤の量を多くする。
【0098】
以上、本実施例によれば、形成する画像の画素数を計測し、画像形成直後の一時的な供給ローラ3のトナー含有率を演算によって予測し、予測されたトナー含有率に応じて、最適なトナー補充動作を行ってから、トナー量の検知動作を実行する。そのため、現像容器7a内のトナー量を精度良く検知することができる。又、形成する画像の画素数に基づいてトナー含有率を予測するため、形成する画像に応じた必要最低限のトナー補充動作を行うことで、良好なトナー量の検知精度を得ることができる。そのため、トナーT又は現像ローラ2や供給ローラ3といった部品の摩耗などによって現像装置7の寿命を短くしてしまったり、画像形成の生産性を低下させたりすることなく、トナー量の検知精度を向上させることができる。
【0099】
尚、本実施例では、トナー含有率Wmと、トナー量の検知動作を実行する前に必要な後回転動作時における供給ローラ3の回転回数とを、表2のように段階的に関係づけた。しかし、供給ローラ3の回転回数を、演算手段105において数式を用いてより詳細に、典型的には実質的に連続的に変化させ得るように演算してもよい。
【0100】
又、供給ローラ3内に含有されたトナー量が平衡状態に達するまでに必要なトナー補充動作をより短時間で実行するために、トナー補充動作時の供給ローラ3の回転速度を増加させることも可能である。この場合、トナー量の検知精度を損なうことなく後回転動作の時間を短縮でき、次の画像形成動作に迅速に移行することができるため、画像形成の生産性の観点からも有利である。更には、必要最低限の後回転動作時の現像装置7の駆動によって良好なトナー量検知精度を得ることができるため、トナーT又は現像ローラ2や供給ローラ3といった部品の摩耗などによる現像装置7の寿命の観点からも有利である。
【0101】
実施例2
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。従って、実施例1のものと同一又はそれに相当する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
【0102】
本実施例では、制御回路部101の画素数計測手段104が、形成する画像のページ内を複数の領域に分割して領域毎の印字率をより詳細に計測する。又、この印字率の計測結果に基づいて、制御回路部101の演算手段105が、形成する画像のページ内を複数の領域に分割して領域毎に画像形成直後におけるトナー含有率を計算する。そして、こうして算出されたトナー含有率に基づいて、トナー量の検知動作を実行する前に必要な後回転動作時における供給ローラ3の回転回数を制御する。以下、更に詳しく説明する。
【0103】
本実施例では、制御回路部101の画素数計測手段104は、図11に示すように、形成する画像のページ内を主走査方向(感光ドラムの回転軸線方向)及び副走査方向(プロセス方向)に関して複数の領域に分割(エリア分割)して、領域毎の画素数を計測する。そして、画素数計測手段104は、領域毎に平均印字率を算出する。トナー含有率をより詳細に検知してより良好なトナー量の検知精度を得るためには、各領域の副走査方向の範囲は、供給ローラ3の1周分に対応する画像上の長さに設定することが好ましい。本実施例では、そのようにした。又、主走査方向に関しても、複数の領域に分割して画素数を計測することで、形成する画像の印字領域の同方向での偏在がある場合にも対応して、トナー含有率をより詳細に検知してより良好なトナー量の検知精度を得ることができる。
【0104】
制御回路部101の画素数計測手段104は、図11に示すように、副走査方向にAn1〜Anjの各範囲に分割され、又主走査方向にA0n〜Ainの各範囲に分割された各領域に関して個別に画素数の計測を行う。そして、画素数計測手段104は、各領域の平均印字率(P01〜Pij)を算出する。
【0105】
尚、平均印字率(P01〜Pij)は、各領域内の各画素の全てがベタ画像である場合の各領域内の各画素の濃度情報の積算値(総和)を100%として、これに対する当該領域の各画素の濃度情報の積算値の割合から計算することができる。画像濃度情報とトナーの載り量とは予め関係付けられるので、この各領域内の各画素の濃度情報の積算値は、当該領域内のトナー消費量に対応する。
【0106】
次に、制御回路部101の演算手段105は、各領域の平均印字率の算出結果に基づいて、以下の演算を行う。即ち、各ページについて、主走査方向に分割した範囲毎に下記式のような演算を行い、主走査方向に分割した範囲毎に個別に、副走査方向に分割した領域毎の画像形成終了直後のトナー含有率(W0j〜Wij)を順次計算していく。
W0j=W0(j−1)×(1+K0j×10(-3))
W1j=W0(j−1)×(1+K1j×10(-3))
W2j=W0(j−1)×(1+K2j×10(-3))
・
・
・
Wij=Wi(j−1)×(1+Kij×10(-3))
【0107】
但し、係数Kijは、領域Ai(j−1)の画像形成直後のトナー含有率Wi(j−1)と、領域Aijの平均印字率Pijと、に応じて決定される増減係数であり、表3のように予め関係付けることができる。
【0108】
【表3】
【0109】
具体的には、表3に示す関係は、形成する画像の印字率に応じて、トナー含有率が増減することを調べた実験データに基づいている。即ち、実施例1と同様に、例えば、図8(c)に示すように、印字率100%のいわゆるベタ画像を連続して形成した場合の、供給ローラ3の1回転当たりのトナー含有率の変化を求めることで、表3のような関係を予め設定することが可能である。この場合、画像形成動作直前の供給ローラ3内に含有されたトナー量は平衡状態に保たれているものとする。即ち、W00〜Wi0はいずれも100%であるものとする。演算手段105は、表3に示すような関係に係る情報を用いて、ジョブ内のページ毎に主走査方向に分割した範囲毎の最終的なトナー含有率Wijを順次計算していき、最終的にジョブ終了時の主走査方向に分割した範囲毎のトナー含有率Wijを求める。
【0110】
次に、制御回路部101は、演算手段105によって算出された、画像形成直後の主走査方向に分割した範囲毎のトナー含有率(W0j〜Wij)から、最もトナー含有率が低い範囲を選択する。そして、制御回路部101は、その範囲におけるトナー含有率であるトナー含有率の最小値(MIN(W0j:Wij))をWmと定義する。即ち、画像形成直後に供給ローラ3の主走査方向における最もトナー含有量が枯渇している箇所のトナー含有率Wmの演算結果に応じて、画像形成後からトナー量の検知動作を開始するまでの間に行うトナー補充動作を制御する。
【0111】
具体的には、制御回路部101には、実施例1と同様に、表2に示すようなテーブルが予め設定されている。上述のように、本実施例では、表2中のトナー含有率Wmが、トナー含有率の最小値(MIN(W0j:Wij))に対応する。制御回路部101は、表2に示すような関係に係る情報を用いて、供給ローラ3の主走査方向における最もトナー含有率が少ない範囲のトナー含有率Wmに対応したトナー補充動作における供給ローラ3の回転回数を求め、それに従ってトナー補充動作を制御する。
【0112】
図12は、本実施例における画像形成動作、トナー補充動作、及びトナー量の検知動作を含む画像形成装置100の一連の動作のフローを示す。
【0113】
プリント待機状態にある時に、外部ホスト装置200から制御回路部101にプリント信号が入力される(S201)。その後、制御回路部101は、画像形成動作を開始させる(S202)。その後、制御回路部101の画素数計測手段104は、外部ホスト装置200から送られる画像データに基づいて、形成する画像の画素数を分割した領域毎に計測して、領域毎の平均印字率P01〜Pijを検出する(S203)。続いて、制御回路部101の演算手段105は、画素数の計測結果から算出された領域毎の平均印字率P01〜Pijに基づいて、主走査方向に分割した範囲毎の画像形成直後のトナー含有率W0j〜Wijを計算する(S204)。画像形成が終了すると(S205)、制御回路部101は、離間手段30によって、現像装置7を第1の位置から第2の位置へと移動させる(S206)。次に、制御回路部101は、S204で算出された主走査方向に分割した範囲毎のトナー含有率W0j〜Wijの最小値Wmが、平衡状態に達していないか否か(MIN(W0j:Wij)<100(%)であるか否か)を判断する(S207)。
【0114】
S207において、供給ローラ3内に含有されたトナー量が平衡状態にある(MIN(W0j:Wij)=100(%))であると判断した場合は、制御回路部101は、現像ローラ2及び供給ローラ3を停止させる(S209)。次に、制御回路部101は、トナー量の検知動作を実行する(S210)。一方、S207において、いずれかの領域における供給ローラ3内に含有されたトナー量が枯渇状態にある(MIN(W0j:Wij)<100(%))であると判断した場合は、制御回路部101は、トナー補充動作を実行する(S208)。即ち、制御回路部101は、S204で算出されたトナー含有率の最小値(MIN(W0j:Wij))をWmにセットし、制御回路部101に格納されている表2に示すようなテーブルに基づいて、必要な供給ローラ3の回転回数を求める。そして、制御回路部101は、その結果に基づいて現像ローラ2及び供給ローラ3を回転駆動させる。その後、制御回路部101は、現像ローラ2及び供給ローラ3を停止させて(S209)、トナー量の検知動作を実行する(S210)。
【0115】
以上、本実施例によれば、トナー補充動作における供給ローラ3の回転回数を決定するために必要なトナー含有率の演算をより詳細に行う。これにより、あらゆる画像パターンに対しても、より詳細に供給ローラ3内に含有されたトナー量を平衡状態に回復させる制御を行うことが可能となる。その結果、より良好なトナー量の検知精度を得ることができる。
【0116】
尚、実施例1で説明したのと同様に、供給ローラ3の回転回数を、演算手段105において数式を用いてより詳細に、典型的には実質的に連続的に変化させ得るように演算してもよい。
【0117】
又、実施例1で説明したのと同様に、トナー補充動作時における供給ローラ3の回転速度を増加させてもよい。
【0118】
又、本実施例における個別に画素数計測を行うページ内の領域の分割数は、一例にすぎず、本発明を制限するものではない。例えば、副走査方向の各領域の範囲は、供給ローラ3の1周以上の長さとしてもよく、例えば1ページを半分に分割してもよい。又、副走査方向、主走査方向のうち一方については分割しなくてもよい。例えば、副走査方向に分割しない場合は、ページ毎に順次計算していく主走査方向に分割した範囲毎の画像形成直後のトナー含有率のちの最小値に応じて、トナー補充動作における供給ローラの回転回数を求めることができる。又、主走査方向に分割しない場合は、副走査方向に分割した範囲毎に画像形成直後のトナー含有率を順次計算し、最終的にジョブ終了直後のトナー含有率を算出して、トナー補充動作に必要な供給ローラ3の回転回数を求めることができる。この場合、上記本実施例におけるトナー含有率の最小値を求める処理は省略できる。即ち、形成された画像に使用された現像剤の量に関する情報は、形成された画像を現像剤供給部材3の回転軸線方向又は該回転軸線方向と直交する方向の少なくとも一方に対応する方向に分割した領域毎の現像剤の量に関する情報から成っていてよい。
【0119】
実施例3
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。従って、実施例1のものと同一又はそれに相当する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
【0120】
本実施例では、トナー補充動作中に、供給部材電源E4の供給電圧出力部80bから、トナーと逆極性の所定の直流電圧を供給ローラ3に印加し、供給ローラ3と現像ローラ2を回転させる。
【0121】
具体的には、画像形成終了後に、現像装置7が第1の位置から第2の位置に移動された後、供給ローラ3内に含有されたトナー量が一時的に枯渇していると検知された場合は、次のようにする。即ち、現像電源E2から現像ローラ2に0Vを印加し、供給部材電源E4の供給電圧出力部80bから供給ローラ3に+500Vを印加しながら、現像ローラ2と供給ローラ3の回転駆動を行う。これにより、供給ローラ3内へのトナー補充動作を実行する。
【0122】
このように、トナー補充動作中に、トナーと逆極性の直流電圧を供給ローラ3に印加し、トナーTに対する静電的な吸引力を作用させながら、供給ローラ3を回転させる。即ち、本実施例では、補充手段は、画像形成後に現像剤量検知手段107による検知を実行するまでの間に現像剤供給部材3に現像剤を補充する際に、現像剤供給部材3に現像剤の正規の帯電極性とは逆極性の直流電圧を印加する。これにより、供給ローラ3内にトナーTを効率よく補充することが可能となる。その結果、供給ローラ3内に含有されたトナー量が平衡状態に達するまでに必要なトナー補充動作における供給ローラ3の回転回数を少なくすることができる。
【0123】
尚、本実施例では、画素数計測手段104による画素数の計測及び印字率の算出、並びに、演算手段105によるジョブ終了直後におけるトナー含有率の演算方法は、実施例1又は2と同様である。又、画像形成動作の一連のフローも実施例1又は2と同様である。但し、本実施例では、同一のトナー含有率に対応する供給ローラ3の回転回数は、実施例1又は2の場合よりも少なく設定することができる。
【0124】
又、本実施例においても、実施例1で説明したのと同様に、トナー補充動作時における供給ローラ3の回転速度を増加させる方法を組み合わせることは、より効率よく供給ローラ3内へトナーTを補充できる点で有効である。
【0125】
又、トナー補充動作時に供給ローラ3に印加するトナーと逆極性の直流電圧の電位は、画像形成装置100が置かれた使用環境(温度及び/又は湿度)に応じて変化させることも可能である。
【0126】
その他の実施例
以上、本発明を具体的な実施例に則して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
【0127】
例えば、上述の実施例では、画像形成装置は接触現像方式を採用しているが、本発明は接触現像方式のものに限定されるものではない。例えば、本発明は、供給ローラを用いた非磁性ジャンピング現像方式などを用いた画像形成装置においても有効である。
【0128】
又、上述の実施例では、画像形成装置は単色の画像形成装置であるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明は、上記実施例と同様のプロセスカートリッジを複数個並べてフルカラー画像が得られるようにした画像形成装置においても有効である。
【0129】
又、上述の実施例では、画像形成装置は、プロセスカートリッジ方式を採用しているものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明は、現像装置が単独でカートリッジ化されて画像形成装置の本体から着脱可能とされているもの、或いは現像装置自体は画像形成装置の本体に固定されており現像剤の補給が可能とされているものなどにおいても有効である。
【0130】
更に、上述の実施例では、トナー補充動作は、現像装置を現像ローラと感光ドラムとが離間した第2の位置として行ったが、所望により現像ローラと感光ドラムとが接触した第1の位置で行うことも可能である。この場合、トナー補充動作は、画像形成時以外のタイミングにする必要がある。
【符号の説明】
【0131】
1 装置本体
2 現像ローラ
3 供給ローラ
4 感光ドラム
6 露光装置
7 現像装置
7a トナー容器
20 プロセスカートリッジ
30 接離カム
80a 検知用電圧出力部
80b 供給電圧出力部
82 静電容量検出器
100 画像形成装置
101 制御回路部
104 画素数計測手段
105 演算手段
E2 現像電源
E4 供給部材電源
T トナー
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には、電子写真方式の画像形成装置に関し、特に、現像剤を収容する現像容器内の現像剤の量を検知する現像剤量検知手段を有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置において、プロセスカートリッジを画像形成装置の本体に着脱可能とするプロセスカートリッジ方式が広く採用されている。プロセスカートリッジ方式では、例えば、感光ドラムと、感光ドラムに作用するプロセス手段としての帯電ローラ、クリーニング装置及び現像装置とが一体的にカートリッジ化されてプロセスカートリッジとされる。プロセスカートリッジ方式によれば、現像剤の補給や、寿命に達した感光ドラムなどの部品交換といった、画像形成装置のメンテナンスをサービスマンによらずにユーザー自身が行うことができる。
【0003】
プロセスカートリッジ方式の画像形成装置では、現像剤がなくなった場合、ユーザー自身がプロセスカートリッジを交換することで、画像形成装置は再び画像を形成することができるようになる。そこで、プロセスカートリッジ方式の画像形成装置には、現像剤を収容する現像容器内の現像剤残量レベルを検知できるようにする現像剤量検知手段が設けられることがある。現像剤量検知手段を用いて現像剤が消費されたことをユーザーに報知することで、プロセスカートリッジ内の画像形成に供することができる現像剤がどれくらい残っているかを随時知ることを可能とするためである。
【0004】
現像剤として非磁性一成分現像剤を用いる非磁性一成分現像方式の現像装置における現像剤量検知手段の一方式として、現像剤供給部材としての供給ローラと、現像剤担持体としての現像ローラとの間の静電容量を検出する次のような方法がある(特許文献1)。つまり、現像容器内には、導電性の金属支持体の周囲に発泡層を有する供給ローラと、導電性の金属支持体の周囲に弾性層を有する現像ローラとが、互いに接触して回転可能なように設けられている。供給ローラの発泡層は、現像剤が進入可能なウレタンスポンジ層で形成されている。又、現像装置は、現像ローラが感光ドラムに接触した第1の姿勢と、現像ローラが感光ドラムから離間した第2の姿勢を保持することができる。そして、現像動作を行っていない上記第2の姿勢において供給ローラの金属支持体に検知用電圧を印加して、現像ローラと供給ローラとの間の静電容量を検知する。この静電容量は、現像ローラと供給ローラとの間に存在する絶縁性の現像剤の量に応じて変化するので、静電容量と現像剤量との関係を予め関係付けておくことで、現像剤量を検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−9036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような現像剤量の検知方法には、検知精度の点で次のような課題がある。
【0007】
即ち、印字率が高い画像の形成を行った場合、その直後には、供給ローラに含有される現像剤量が一時的に減少する。そのため、その状態で現像剤量の検知を行うと、実際の現像剤量よりも少なく誤検知してしまう可能性がある。これに対しては、画像形成の終了後から現像剤量の検知動作の開始までの間に、供給ローラの現像剤含有量を回復させるための補助的な駆動動作を行うことが効果的である。しかしながら、この駆動動作を過剰に行うことは、各部材の摩耗劣化を促進してしまうのみならず、画像形成の生産性を低下させる可能性がある。
【0008】
尚、以上では、現像剤量検知手段によって現像剤残量レベルを検知することが特に有用なプロセスカートリッジ方式の画像形成装置を例として従来の課題を説明した。しかし、上述のような現像剤量の検知方法を採用する場合には、プロセスカートリッジ方式を用いない画像形成装置においても同様の課題がある。
【0009】
従って、本発明の目的は、検知前に形成された画像の違いによって発生し得る現像剤量の検知精度の低下を、現像装置の寿命を短くしたり、画像形成の生産性を低下させたりすることなく防止することのできる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、現像剤を収容する現像容器と、前記現像容器に収容された現像剤を担持して搬送する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に接触して回転することで前記現像剤担持体に前記現像容器内に収容された現像剤を供給する現像剤供給部材と、非画像形成時に前記現像剤担持体と前記現像剤供給部材との間で静電容量を検知することで前記現像容器内の現像剤量を検知する現像剤量検知手段と、を有する画像形成装置において、画像形成後の前記現像剤供給部材に含有された現像剤量を予測する演算手段と、画像形成後に前記現像剤量検知手段による前記検知を実行するまでの間に前記現像剤供給部材に現像剤を補充する補充手段と、を有し、前記補充手段は、前記演算手段により予測された前記現像剤供給部材に含有された現像剤量が少ないほど、前記現像剤供給部材に補充する現像剤の量を多くすることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、検知前に形成された画像の違いによって発生し得る現像剤量の検知精度の低下を、現像装置の寿命を短くしたり、画像形成の生産性を低下させたりすることなく防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例に係る画像形成装置の模式断面図である。
【図2】図1の画像形成装置におけるプロセスカートリッジの模式断面図である。
【図3】(a)現像剤供給部材の表面通気量の測定方法を示す図である。(b)測定に用いる冶具を示す図である。(c)測定に用いる通気ホルダを示す図である。
【図4】図1の画像形成装置における現像剤量検知手段を説明するための現像装置の模式断面図である。
【図5】図1の画像形成装置における現像剤量検知手段を説明するためのブロック図である。
【図6】本発明を適用可能な現像剤量検知方法の基本的な動作フローを示すフローチャート図である。
【図7】(a)現像容器内のトナー量と供給ローラ内に含有されたトナー量との関係を示すグラフ図である。(b)供給ローラ内に含有されたトナー量と静電容量検出器の出力との関係を示すグラフ図である。
【図8】(a)高印字率の画像の形成により供給ローラ内に含有されたトナー量が減少する様子を示すグラフ図である。(b)供給ローラの回転駆動によって供給ローラ内のトナー含有率が回復する様子を示すグラフである。(c)高印字率の画像形成枚数と供給ローラ内のトナー含有率との関係を示すグラフ図である。
【図9】本発明に従うトナー補充動作の概略制御ブロック図である。
【図10】本発明に従うトナー補充動作を含む画像形成装置の一連の動作の一例のフローチャート図である。
【図11】本発明の他の実施例に係る画素数計測方法を説明するための模式図である。
【図12】本発明に従うトナー補充動作を含む画像形成装置の一連の動作の他の例のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0014】
実施例1
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本発明の一実施例に係る画像形成装置100の全体構成を示す。本実施例の画像形成装置100は、電子写真方式を用いたレーザービームプリンタである。画像形成装置100の制御手段としての制御回路部101には、インターフェース102を介して外部ホスト装置(プリンタコントローラ)200が接続されている。画像形成装置100は、外部ホスト装置200から入力される画像データ(電気的な画像情報)に対応した画像を、記録材(記録媒体)Sに形成して画像形成物を出力する。制御回路部101は、画像形成装置100の動作を制御する制御手段であり、外部ホスト装置200と各種の電気的情報信号の授受をする。又、制御回路部101は、後述する画像形成部103の各種のプロセス機器やセンサから入力する電気的情報信号の処理、各種のプロセス機器への指令信号の処理、所定のイニシャルシーケンス制御、所定の画像形成シーケンス制御を司る。制御回路部101は、不揮発性メモリ(NVRAM)に格納された制御プログラムや参照テーブルにしたがって制御を実行する。外部ホスト装置200は、ホストコンピュータ、ネットワーク、イメージリーダ、ファクシミリなどである。尚、画像形成装置100は、記録材Sとして、記録紙、OHPシート、葉書、封筒、ラベルなどに画像を形成することができる。
【0015】
画像形成装置100の本体(以下「装置本体」という。)1内には、画像形成部103が配設されている。画像形成部103は、像担持体としてのドラム型の電子写真感光体である感光ドラム4を有する。感光ドラム4は、後述するプロセスカートリッジ20に回転可能に配設されており、装置本体1に設けられた駆動手段としての駆動モータ(図示せず)により所定の周速(プロセススピード)にて図中矢印R1方向(時計回り)に回転駆動される。感光ドラム4は、アルミニウム製のシリンダ(アルミシリンダ)の外側に有機光導電体層が塗布されて構成されている。感光ドラム4のアルミシリンダは、導電性部材により、装置本体1を介して電気的に接地されている。
【0016】
回転する感光ドラム4の周面は、帯電手段としての接触型の帯電部材である帯電ローラ5により、所定の極性(本実施例では負極性)・電位に一様に帯電させられる。帯電ローラ5は、芯金と、芯金の周りに同心一体に形成された導電性の弾性体層と、を有する。帯電ローラ5は、その回転軸線方向が感光ドラム4の回転軸線方向と略平行になるように配置されている。又、帯電ローラ5は、導電性の弾性体層の弾性に抗して所定の押圧力で感光ドラム4に接触している。帯電ローラ5の芯金の回転軸線方向の両端部は、軸受けを介して後述するプロセスカートリッジ20に回転可能に支持されている。帯電ローラ5は、感光ドラム4の回転に従動して回転する。帯電ローラ5には、帯電電圧印加手段としての帯電電源E1が接続されている。そして、本実施例では、画像形成時に、帯電ローラ5の芯金に対して、帯電電源E1から、帯電電圧(帯電バイアス)として約−1000Vの直流電圧が印加される。これにより、感光ドラム4の表面が約−500Vの暗部電位VDに一様に帯電させられる。
【0017】
感光ドラム4の一様に帯電処理された表面は、露光手段としての露光装置(レーザースキャナユニット)6により、画像情報に応じて露光される。これにより、感光ドラム4の表面に画像情報に対応した静電潜像(静電像)が形成される。本実施例では、露光装置6は、画像部を露光するイメージ露光方式を採用する。露光装置6には、外部ホスト装置200からインターフェース102を介して制御回路部101に入力された後画像処理された画像情報の時系列電気デジタル画素信号が入力される。露光装置6は、入力される時系列電気デジタル画素信号に対応して変調したレーザー光L(露光ビーム)を出力するレーザー出力部、回転多面鏡(ポリゴンミラー)、fθレンズ、反射鏡などを有する。そして、レーザー光Lで感光ドラム4の一様に帯電処理された表面を主走査方向に走査しながら露光する。この主走査方向に走査しながらの露光と、感光ドラム4の回転による感光ドラム4の表面の副走査方向への移動とにより、回転する感光ドラム4の表面に露光パターンに対応した静電潜像が形成される。本実施例では、感光ドラム4の表面の露光された部分の電位が約−100Vの明部電位VLになり、暗部電位VDと明部電位VLとの電位コントラストにより、露光パターンに対応した静電潜像が形成される。
【0018】
感光ドラム4の表面に形成された静電潜像は、現像手段としての現像装置7により、トナー像として現像(顕像化)される。本実施例では、現像装置7は、現像剤として非磁性一成分現像剤であるトナーTを用いる非磁性一成分現像方式のものである。又、本実施例では、現像装置7は、反転現像方式で現像を行う。即ち、一様に帯電処理された後に露光によって電荷の絶対値が低下した露光部(明部電位部分)に、感光ドラム4の帯電極性と同極性に帯電したトナーが付着することで、静電潜像がトナー像として現像される。即ち、本実施例では、トナーTの正規の帯電極性は負極性である。
【0019】
現像装置7は、トナーTを収容する現像容器7aを有する。現像容器7aには、感光ドラム4と対向する位置に設けられたその開口部から一部が外部に露出するようにして、現像剤担持体としての現像ローラ2が設けられている。詳しくは後述するように、現像ローラ2は感光ドラム4と接触可能である。そして、現像ローラ2は、感光ドラム4との接触部においてその表面が感光ドラム4の表面の移動方向と同方向に移動するように、装置本体1に設けられた駆動手段としての駆動モータ(図示せず)により回転駆動される。又、現像容器7aには、現像ローラ2にトナーTを塗布する現像剤供給部材としての供給ローラ3が設けられている。供給ローラ3は、現像ローラ2に接触して配置されている。詳しくは後述するように、供給ローラ3は、その表層が発泡層で形成されている。そして、供給ローラ3は、現像ローラ2との接触部においてその表面が現像ローラ2の表面の移動方向とは反対方向(カウンター方向)に移動するように、装置本体1に設けられた駆動手段としての駆動モータにより回転駆動される。又、現像容器7aには、現像容器7a内のトナーTを攪拌するための回転可能な攪拌部材7bが設けられている。更に、現像容器7aには、現像ローラ2に接触して配置された現像剤層厚規制部材としての現像ブレード7cが設けられている。
【0020】
現像ローラ2は、芯金と、この芯金の周りに同心一体に形成された導電性の弾性体層と、を有する。現像ローラ2は、その回転軸線方向が感光ドラム4の回転軸線方向と略平行になるように配置されている。又、現像ローラ2は、感光ドラム4に対して接離可能とされており、詳しくは後述するように、装置本体1に設けられた接離手段としての接離カム(当接離間カム)30によって接離状態が制御される。画像形成時には、現像ローラ2は、感光ドラム4に接触した状態で、図中矢印R2方向(反時計回り)に所定の周速で回転駆動される。
【0021】
現像容器7a内のトナーTは、攪拌部材7bが回転駆動されることにより、攪拌されながら供給ローラ3に向けて搬送される。このトナーTは、図中矢印R3方向(反時計回り)に所定の周速で回転駆動される供給ローラ3によって、現像ローラ2の表面に塗布される。供給ローラ3には、供給部材電圧印加手段としての供給部材電源E4が接続されている。詳しくは後述するように、供給ローラ3には、供給部材電圧(供給部材バイアス)として、画像形成時には所定の直流電圧、トナー量の検知時には所定の交流電圧が、供給部材電源E4から印加される。現像ブレード7cは、現像ローラ2上のトナーTの層厚を規制して現像ローラ2にトナーTを均一の薄層として担持させると共に、トナーTを摩擦によって帯電させて現像に必要な電荷を与える。本実施例では、トナーTは負極性に帯電させられる。現像ローラ2上に形成されたトナーTの薄層は、引き続く現像ローラ2の回転により感光ドラム4との対向部である現像領域に送られる。現像ローラ2には、現像電圧印加手段としての現像電源E2が接続されている。そして、本実施例では、画像形成時に、現像ローラ2に対して、現像電源E2から、現像電圧(現像電圧)として約−300Vの直流電圧が印加される。これにより、現像領域内に送られたトナーTが、感光ドラム4上の静電潜像の露光部(明部電位部分)に対して選択的に飛翔して付着する。こうして、感光ドラム4上の静電潜像がトナー像として現像される。尚、詳しくは後述するように、供給ローラ3は、現像容器7a内のトナーTの量を検知するための、現像剤量検知手段を構成する検知部材(電圧印加部材)としても機能する。
【0022】
一方、所定の制御タイミングにて給紙ローラ9が回転駆動されて、給紙カセット10から記録材Sが一枚分離給送される。給送された記録材Sは、搬送路11を搬送されて、レジストローラ対12に至り、その時点では回転を停止しているレジストローラ対12の接触部(ニップ部)に先端部が受け止められて斜行矯正を受ける。そして、その記録材Sが、所定の制御タイミングにて回転駆動されたレジストローラ対12により再び給送されて、感光ドラム4と、転写手段としての転写ローラ13との接触部である転写部(転写ニップ部)Nに導入される。
【0023】
転写ローラ13は、芯金と、この芯金の周りに同心一体に形成した導電性の弾性体層と、を有する。転写ローラ13は、その回転軸線方向が感光ドラム4の回転軸線方向と略平行になるように配置されている。又、転写ローラ13は、導電性の弾性体層の弾性に抗して所定の押圧力で感光ドラム4に接触しており、感光ドラム4との間で転写部Nを形成している。転写ローラ13は、感光ドラム2の回転に従動して回転する。
【0024】
記録材Sは転写部Nにおいて感光ドラム4と転写ローラ13とに挟持されて搬送されていく。転写ローラ13には転写電圧印加手段としての転写電源E3が接続されている。記録材Sが転写部Nを搬送されていく間、転写ローラ13には、転写電源E3から、転写電圧(転写バイアス)として、トナーTの正規の帯電極性とは反対極性(本実施例では正極性)の所定電位の直流電圧が印加される。転写ローラ13にトナーTの正規の帯電極性とは逆極性の転写電圧が印加されることで、転写部Nにおいて、記録材Sの背面側(感光ドラム側とは反対側の面)にトナーTと逆極性の電荷が付与される。これにより、感光ドラム4上のトナー像が記録材Sの表面に静電的に転写される。
【0025】
転写部Nを出た記録材Sは感光ドラム4の表面から分離され、搬送路14を通って、定着手段としての定着装置15に導入される。定着装置15において、記録材S上の未定着トナー像は、記録材Sへの定着処理を受ける。本実施例では、定着装置15は、熱ローラタイプのものであり、表面が所定の定着温度に加熱温調される加熱ローラ15aと、これに圧接して定着部(定着ニップ部)を形成する加圧ローラ15bとを有している。加熱ローラ15aと加圧ローラ15bは、それぞれの回転軸線方向が略平行となるように配置されている。加熱ローラ15aと加圧ローラ15bは、それぞれ図中矢印方向に所定の周速で回転駆動され、定着部にて記録材Sを挟持して搬送しながら、記録材S上の未定着のトナー像を加熱及び加圧して記録材Sに固着画像として定着させる。
【0026】
定着装置15を出た記録材Sは、画像形成物として搬送路16により装置本体1内を上方に送られ、排紙ローラ対17により排紙口18から装置本体1の上面の排紙トレイ19上に排出される。
【0027】
又、記録材Sが分離された後の感光ドラム4は、クリーニング手段としてのクリーニング装置8により、記録材Sに転写されずにその表面に付着しているトナー(転写残トナー)などの付着物の除去を受けて清掃される。これにより、感光ドラム4は繰り返して画像形成に供される。本実施例では、クリーニング装置8は、クリーニング部材としてのクリーニングブレード8aを有する。クリーニングブレード8aは、回転する感光ドラム4に対して、その自由端を感光ドラム4の表面の移動方向の上流側に向けて(カウンター方向)、所定の侵入量をもって接触させられている。転写残トナーなどの感光ドラム4上の付着物は、クリーニングブレード8aの先端のエッジ部と感光ドラム4との接触位置にて、回転する感光ドラム4の表面から掻き取られ、廃トナー収容部8b内に回収される。
【0028】
2.プロセスカートリッジ
本実施例では、感光ドラム4、帯電ローラ5、現像装置7、クリーニング装置8の4つのプロセス機器は、装置本体1に対して一括して着脱可能な画像形成ユニットとしてカートリッジ化され、プロセスカートリッジ20を構成している。プロセスカートリッジ20は、装置本体1内の装着部に取り外し可能に装着される。
【0029】
図2(a)に示すように、プロセスカートリッジ20において、現像装置4は、クリーニングブレード8a及び廃トナー収容部8bと共に感光ドラム4及び帯電ローラ5を保持するクリーニング装置8に対して回動可能に結合されている。図2(a)に示す状態では、現像ローラ2と感光ドラム4とは接触している。そして、図2(b)に示すように、接離カム30が回転動作を行うことによって現像装置7の底部を持ち上げると、現像装置7は支点33を中心にして上方へ回動する。図2(b)に示す状態では、現像ローラ2とドラム4とは離間している。詳しくは後述するように、接離カム30は、制御回路部101によって駆動モータ(図示せず)とソレノイド(図示せず)が制御されることで、位相制御がされると共に回転させられる。
【0030】
プロセスカートリッジ20は、装置本体1に装着された状態で、位置決め固定手段28により、装置本体1内の所定の装着部に位置決めされて固定されている。その状態で、装置本体1側の駆動手段(図示せず)から、感光ドラム4への駆動力、現像ローラ2への駆動力、供給ローラ3への駆動力、攪拌部材への駆動力が伝達可能となっている。又、その状態で、装置本体1側の電源E1、E2、E3、E4から帯電ローラ5、現像ローラ2、転写ローラ13、供給ローラ3に電圧が印加可能となっている。尚、プロセスカートリッジ20の上面には、露光窓部20aが設けられている。
【0031】
又、プロセスカートリッジ20には、記憶手段としてのメモリ21と、カートリッジ側情報伝達部22が設けられている。プロセスカートリッジ20が装置本体1に装着された状態で、カートリッジ側情報伝達部22は、装置本体1側に設けられた本体側情報伝達部23と対向している。これにより、メモリ21と制御回路部101との間で、通信手段を構成するカートリッジ側情報伝達部22と本体側情報伝達部23とを介して、情報の授受(情報の読み書き)が可能となっている。
【0032】
本実施例では、メモリ21には、少なくとも感光ドラム4の寿命残量及び現像剤の残量に関する情報を含むプロセスカートリッジ20の固有の寿命情報を格納されている。この寿命情報に関して、カートリッジ側情報伝達部22、本体側情報伝達部23を介して制御回路部101とメモリ21との間で通信することができる。そして、制御回路部101は、その寿命情報を、随時、装置本体1に設けられた操作パネル部(図示せず)に表示させて、使用者にプロセスカートリッジ20の寿命残量を報知することができる。
【0033】
3.現像剤
本実施例では、現像剤として負帯電性の非磁性一成分現像剤であるトナーTを用いる。現像時には、トナーTは負に摩擦帯電され、トナーの凝集度は15%である。トナーの凝集度は、以下のようにして測定を行った。
【0034】
測定装置としては、デジタル振動計(MODEL 1332、昭和測器株式会社)を有するパウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社)を用いた。測定法としては、次の方法を用いた。振動台に390メッシュ、200メッシュ、100メッシュのふるいを目開の狭い順に、即ち、100メッシュふるいが最上位にくるように390メッシュ、200メッシュ、100メッシュのふるい順に重ねてセットした。このセットした100メッシュふるい上に正確に秤量した試料(トナー)5gを加え、デジタル振動計の変位の値を0.60mm(peak−to−peak)になるように調整し、15秒間振動を加えた。その後、各ふるい上に残った試料の質量を測定して下記式に基づき凝集度を求めた。その際の測定サンプルは、それぞれ事前に23℃、60%RH環境下において24時間放置したものであり、測定は23℃、60%RH環境下で行った。
凝集度(%)=(100メッシュふるい上の残試料質量/5g)×100
+(200メッシュふるい上の残試料質量/5g)×60
+(390メッシュふるい上の残試料質量/5g)×20
【0035】
4.現像ローラ
図2(a)に示すように、現像ローラ2は、導電性支持体2aと、導電性支持体2aの周囲に設けられた導電剤が配合された半導電性の弾性ゴム層2bとを有する。より具体的には、芯金電極として機能する導電性支持体2aは、外径φ6(mm)であり、この導電性支持体2aの周囲に、導電剤が配合された半導電性のシリコーンゴム層2bが設けられている。更に、シリコーンゴム層2bの表層には、厚さ20(μm)ほどのアクリル・ウレタン系ゴム層2cがコーティングされている。現像ローラ2の全体の外径はφ12(mm)である。又、現像ローラ2の電気抵抗は1×106(Ω)である。
【0036】
ここで、現像ローラ2の電気抵抗の測定方法を説明する。現像ローラ2を、直径30mmのアルミニウム製のスリーブ(アルミスリーブ)に対し、荷重9.8Nで圧接させる。このアルミスリーブを回転させることにより、現像ローラ2を60rpmでアルミスリーブに対して従動回転させる。次に、現像ローラ2に、−50Vの直流電圧を印加する。その際、アース側に10kΩの抵抗を設け、その両端の電圧を測定することで電流を算出し、現像ローラ2の電気抵抗を算出する。
【0037】
尚、現像ローラ2の体積抵抗が1×109(Ω)よりも大きいと、現像ローラ2の表面での現像電圧の電圧値が下がり、現像領域の直流電界が減少する。これにより、現像効率が低下し、画像濃度が低下する不具合が生じる。従って、現像ローラ2の電気抵抗を1×109(Ω)以下とするのが良い。
【0038】
5.供給ローラ
本実施例では、供給ローラ3は、現像剤供給部材であり、且つ、現像剤量検知手段を構成する検知部材でもある。図2(a)に示すように、供給ローラ3は、導電性支持体3bと、導電性支持体3bに支持される発泡層3aとを有する。より具体的には、芯金電極として機能する導電性支持体3bは、外径φ5(mm)であり、この導電性支持体3bの周囲に気泡同士が繋がっている連続気泡体(連泡)構造を有する発泡層である発泡ウレタン層3aが設けられている。発泡ウレタン層3aを含む供給ローラ3の全体の外径はφ13(mm)である。表層のウレタンを連続気泡体とすることで、供給ローラ3の内部にトナーTが多量に進入することが可能となる。そのため、後述するトナー量の検知性能を向上させることが可能となる。又、供給ローラ3の電気抵抗は1×109(Ω)である。
【0039】
ここで、供給ローラ3の電気抵抗の測定方法を説明する。供給ローラ3を、直径30mmのアルミニウム製のスリーブ(アルミスリーブ)に対し、後述する侵入量が1.5mmとなるように圧接させる。このアルミスリーブを回転させることにより、供給ローラ3を30rpmでアルミスリーブに対して従動回転させる。次に、供給ローラ3に、−50Vの直流電圧を印加する。その際、アース側に10kΩの抵抗を設け、その両端の電圧を測定することで電流を算出し、供給ローラ3の電気抵抗を算出する。
【0040】
供給ローラ3の表面のセル径は、50μm〜1000μmとした。ここで、「セル径」とは、任意断面の発泡セルの平均径をいい、任意断面の拡大画像から最大である発泡セルの面積を測定し、この面積から真円相当径を換算し最大セル径を得る。この最大セル径の1/2以下である発泡セルをノイズとして削除した後、残りの個々のセル面積から同様に換算した個々のセル径の平均値が上記平均径である。
【0041】
又、供給ローラ3の表面通気量は、1.8(リットル/分)以上とした。
【0042】
ここで、供給ローラ3の「表面通気量」について説明する。図3(a)は「表面通気量」の測定方法を示す図である。
【0043】
先ず、供給ローラ3を、図3(b)に示すような測定冶具43に挿入する。図3(b)の測定冶具43は、中空円筒体の側面にφ10(mm)の貫通孔を通したもので、この貫通孔の中心軸と中空円筒体の円筒軸とが直交するように作られている。中空円筒体としては、その中空円筒体の内径が測定される供給ローラ3の外径よりも1mm小さいものを使用する。これは、測定冶具43の中空円筒体の内面と測定される供給ローラ3との間の隙間を無くすためである。本実施例では、供給ローラ3は外径φ13(mm)であるので、測定冶具43の中空円筒体の内径はφ12(mm)である。
【0044】
供給ローラ3が挿入された測定冶具43は、図3(c)に示すような通気ホルダ44に取り付けられる。通気ホルダ44は、中空円筒体44aの側面に減圧ポンプ48に通じる通気管45を取り付けるための連結パイプ44bを繋げた略T字形をしており、連結パイプ44bの繋げられた部分の反対側に当たる部分を大きく切り欠いた形状になっている。連結パイプ44bの内径は、測定冶具43の貫通孔よりも大きくなるように設定される。本実施例では連結パイプ44bの内径をφ12(mm)とした。通気ホルダ44の中空円筒体44aの内径は、測定冶具43の外径とほぼ同寸法であり、測定冶具43を通気ホルダ4の中空円筒体44aに挿入できるようになっている。図3(a)に示すように、測定冶具43の貫通孔の一方が通気ホルダ44の中空円筒体44aの切り欠き部分に全て露出し、測定治具43の貫通孔の他方が連結パイプ44bの内径にほぼ正対するように設置する。
【0045】
通気ホルダ44の中空円筒体44aの左右には、図3(a)に示すように、中空円筒体44aに連結される、一端を塞がれたアクリル・パイプ42a、42bが設置される。測定冶具43の左右から出ている供給ローラ3は、上記アクリル・パイプ42a、42b中に納まるようになっている。
【0046】
通気管45の途中には、流量計47(KZ形通気量測定器:株式会社大栄科学精器製作所)、及び差圧調整弁46が設置されている。上記測定冶具43、通気ホルダ44、通気管45、アクリル・パイプ42a、42bの連結部分はテープやグリスなどによってシールされる。減圧ポンプ48により通気管45の内部側が排気された際に、露出している測定冶具43の貫通孔以外から空気が流入しないようにするためである。
【0047】
「表面通気量」の測定は、次のように行う。先ず、図3(a)において、供給ローラ3を設置しない状態で、減圧ポンプ48を作動させ、差圧調整弁46で流量計47の測定値が安定して10.8(リットル/分)となるように調節する。この後、測定対象である供給ローラ3を設置して、前述のように慎重にシーリングし、上記と同一の排気条件で、流量計47の測定値を「表面通気量」として計測する。当然ながら「表面通気量」は、流量計47の測定値が十分安定した時点での値を採る。
【0048】
供給ローラ3を通過する空気流は、測定冶具43の露出している貫通孔に位置する発泡ウレタン層3aの表面から流入し、発泡ウレタン層3aの内部を通過して、測定冶具43の他方の貫通孔に位置する発泡ウレタン層3aの表面から流出する。一般的な供給ローラ3の発泡ウレタン層3aの表面は、発泡ウレタン層3aの内部と異なる場合が多い。例えば、供給ローラ3を型内発泡形成した場合には、表面のセルの開口率が内部と異なるスキン層が表面に現れる場合がある。又、発泡ウレタン層3aの表面を単なる円筒面として形成せず、意図的に凹凸を設けたものも存在する。発泡ウレタン層3aの内外を出入りするトナー粉流体は、上述の表面の状態に影響を受ける場合があり、JIS−L1096のようなバルク通気量の測定だけでは、その挙動を捕らえられない。従って、ここでは、上述のような、発泡ウレタン層3aの表面から流入・流出する空気流を測定する通気量測定法を採用し、これでトナー粉流体の平衡状態(又はそれに近い状態)を出現させる主要なパラメータとした。
【0049】
現像ローラ2は図中矢印R2の方向に回転駆動され、供給ローラ3は図中の矢印R3方向に回転駆動される。現像ローラ2と供給ローラ3の回転中心間の距離は11(mm)に設定されている。供給ローラ3の発泡ウレタン層3aの硬度は、現像ローラ2のシリコーンゴム層2bとアクリル・ウレタン系ゴム層2cよりも十分柔らかい。そのため、現像ローラ2の表面は、発泡ウレタン層3aを最大1.5(mm)押しつぶした状態で接触している。この押しつぶす量が供給ローラ3の現像ローラ2に対する侵入量である。
【0050】
現像ローラ2の回転速度は300(rpm)、供給ローラ3の回転速度は240(rpm)である。現像ローラ2と供給ローラ3の回転に伴い、発泡ウレタン層3aが現像ローラ2との接触部で押し潰される。このとき、供給ローラ3の発泡ウレタン層3aの表層又は内部に保持されたトナーTは、発泡ウレタン層3aの表層から排出され、その一部が現像ローラ2の表面に転移する。現像ローラ2の表面に転移したトナーTは、現像ローラ2と供給ローラ3との接触部に対して現像ローラ2の回転方向下流側において現像ローラ2に接触して設けられた現像ブレード7cにより規制されて、均一なトナー層とされる。この過程で、トナーTは、現像ローラ2と供給ローラ3との接触部、又は、現像ローラ2と現像ブレード5との接触部で摺擦されることにより、所望の摩擦帯電電荷(本実施例では負電荷)を獲得する。又、現像ローラ2と供給ローラ3とが、その接触部において互いの表面が逆方向に移動するように回転することにより、現像に消費されずに現像ローラ2上に残ったトナー(現像残トナー)は、供給ローラ3によって現像ローラ2上から剥ぎ取られ除去される。
【0051】
6.現像ローラと感光ドラムとの離接動作
図2(a)及び図2(b)に示すように、現像ローラ2と感光ドラム4との離接動作は、装置本体1側の接離カム30によって現像装置7の回動動作を行うことによって行われる。接離カム30は、制御回路部101によって駆動モータ(図示せず)とソレノイド(図示せず)が制御されることによって回転動作を行う。
【0052】
図2(a)に示す現像ローラ2と感光ドラム4とが接触した状態から、離接カム30が回転して現像装置7の底部を持ち上げると、現像装置7は、支点33を中心にして上方へ回動する。これにより、図2(b)に示すように、現像ローラ2と感光ドラム4とは離間状態になる。
【0053】
ここで、現像ローラ2と感光ドラム4とは、それぞれの軸受け部材(図示せず)同士を付勢手段としてのバネ部材32で連結しており、現像ローラ3と感光ドラム3とを接触させた際には、このバネ部材32による付勢力で接触した状態で保持される。そのため、現像ローラ2が感光ドラム4から離間する方向へ現像装置7が移動する場合には、現像装置7はバネ部材32の引っ張り力に抗して移動する。この時、感光ドラム4を保持したクリーニング装置8が上方へ移動しようとする力が働くが、装置本体1側の固定手段(着脱ガイド部材)28(図1)がクリーニング装置8の上面に突き当たって、その移動が規制される。
【0054】
一方、接離カム30が、現像装置7を持ち上げる位置から、現像装置7に接触しない位置へ回転する場合には、現像装置7が支点33を中心にして、下方へ回動する。これにより、図2(a)に示すように、現像ローラ2と感光ドラム4とが接触した状態になる。このとき、現像装置7は自重とバネ部材32の引っ張り力によって移動し、バネ部材32の引っ張り力によって現像ローラ2が感光ドラム4とが接触した状態で保持される。
【0055】
本実施例では、接離カム30は装置本体1側に設けられた駆動モータとソレノイドにより、半回転ずつ回転するように制御されている。接離カム30が半回転する毎に、画像形成状態(当接位置)と待機状態(離間位置)との切り替えが繰り返される。又、装置本体1側には、接離カム30の位相を検知する位相検知センサ(図示せず)が配置されており、制御回路部101は、位相検知センサの検知結果に応じて、駆動モータとソレノイドを制御することで、接離カム30の位相の制御を行う。
【0056】
ここで、現像ローラ2と感光ドラム4とが接触した状態を、現像装置7の第1の位置(図2(a))とする。一方、現像ローラ2と感光ドラム4とが離間した状態を現像装置7の第2の位置(図2(b))とする。本実施例では、現像装置7が第2の位置にあるときに、現像ローラ2と供給ローラ3との間の静電容量を検出して、現像容器7a内のトナー量の検知を行うことができる。
【0057】
7.トナー量の検知方法
次に、本実施例における静電容量の変化を利用したトナー量の検知方法について説明する。
【0058】
図4は、第2の位置にある現像装置7に対する電圧印加系を示す。図5は、現像装置7が装置本体1内に設置されている状態における各種電気接点の接続態様を示す。
【0059】
図5に示すように、現像ローラ2の芯金電極(導電性支持体)2aと導通された第1の現像装置接点電極85が、現像装置7に設けられている。そして、第1の現像装置接点電極85に対応する第1の本体接点電極86が、装置本体1側に設けられている。第1の本体接点電極86は、装置本体1の内部の現像剤量検知手段を構成する静電容量検出手段としての静電容量検出器(検出器)82と、現像電源E2(図4)とに繋がっている。又、供給ローラ3の芯金電極(導電性支持体)3bと導通された第2の現像装置接点電極83が、現像装置7に設けられている。そして、第2の現像装置接点電極83に対応する第2の本体接点電極84が、装置本体1側に設けられている。第2の本体接点電極84は、装置本体1の内部の供給部材電源E4における、現像剤量検知手段を構成する検知用電圧出力部80a(図4)と、供給電圧出力部80b(図4)とに繋がっている。供給電圧出力部80bは、正負両方の直流電圧を供給ローラ3に印加できる電源であってよい。
【0060】
現像装置7が装置本体1内の所定位置に設置されている状態では、現像装置7が第1の位置と第2の位置とのいずれにある場合でも、接点電極85と86、接点電極83と84はそれぞれ導通している。即ち、現像装置7が第1の位置と第2の位置との間で揺動しても、第1の現像装置接点電極85と第1の本体接点電極86、第2の現像装置接点電極83と第2の本体接点電極84は、それぞれ接触したままである。
【0061】
通常の現像動作時には、現像装置7は第1の位置にあり、現像電源E2から第1の本体接点電極86と第1の現像装置接点電極85を介して、現像ローラ2に、現像電圧として約−300Vの直流電圧が印加される。このとき、検知用電圧出力部80aからは発信されず、供給電圧出力部80bのみから発信されることで、第2の本体接点電極84と第2の現像装置接点電極83を介して、供給ローラ3には、現像電圧と略同電位の約−300Vの直流電圧が印加される。即ち、現像動作時には、第1の現像接点電極85と第2の現像装置接点電極83は同電位となるので、現像ローラ2と供給ローラ3との間に電界は形成されない。このように、現像動作時においては、検出器82、供給部材電源E4の検知用電圧出力部80aは、現像電源E2、供給部材電源E4の供給電圧出力部80bに切り替えられる。
【0062】
非画像形成動作時には、現像装置7は第2の位置となり、本実施例では、供給ローラ3の芯金電極3bに、供給部材電源E4の検知用電圧出力部80aから検知用電圧が印加されて、現像容器7a内のトナー量の検知が行われる。検知用電圧としては、周波数fが50KHz、ピーク間電圧Vppが200Vの交流電圧を用いる。このとき、供給部材電源E4の供給電圧出力部80b、及び現像電源E2は発信しない。これにより、現像ローラ2の芯金電極2aには、検知用電圧により電圧が誘起され、この電圧は検出器82で検出される。
【0063】
上述のように、非画像形成動作時、より詳細には、現像動作を行わない時に、現像装置7は第2の位置、即ち、感光ドラム4と現像ローラ2とが離間した状態とされる。より具体的には、非画像形成時として、例えば、次のような期間にトナー量の検知を実現可能である。先ず、複数の記録材Sに対する連続画像形成中の感光ドラム4上の記録材S間の領域に対応する期間(紙間)である。又、画像形成工程を開始する前の準備動作(前回転動作)中である。又、画像形成工程が終了し、画像形成装置から記録材Sが機外に排紙される間における装置動作(後回転動作)中である。
【0064】
現像装置7が第2の位置にある場合、感光ドラム4と現像ローラ2が離間しているので、検知用電圧として交流電圧を供給ローラ3に印加しても、カブリと呼ばれる白地部汚れが発生することは無い。又、現像ローラ2と感光ドラム4とが接触している場合に互いに叩き合うように振動することで発生する打撃音が発生することも無い。
【0065】
又、供給ローラ3の芯金電極3bにトナー量の検知を目的とした交流電圧を印加して、現像ローラ2を静電容量検知用アンテナとして用いることで、現像装置内に別個のアンテナを設ける構成において発生し得るトナーの搬送阻害を防止できる。
【0066】
尚、図2(a)及び図2(b)に示すように、現像装置7を第1の位置と第2の位置とに移動させることで、現像装置7の姿勢は変化し、それに従い現像容器7a内のトナーTも若干移動することになる。しかし、供給ローラ3に含まれるトナーTの量は変化しない。つまり、現像ローラ2と供給ローラ3との間に存在するトナーTの量は変化しないので、現像ローラ2に誘起される電圧出力が変化することは無い。即ち、供給ローラ3は、トナーが内部に進入可能な発泡層を有しており、現像装置7の姿勢が変わっても発泡層内のトナーが動きにくいので、電圧出力は変化しない。加えて、本実施例では、現像ローラ2と感光ドラム4とが離間して、静電容量の検出を行っている際には、現像ローラ2及び供給ローラ3の駆動を停止する。現像ローラ2及び供給ローラ3の駆動を停止することで、現像ローラ2へのトナー供給及び現像残トナーの剥ぎ取り動作が中断される。そのため、供給ローラ3に含まれるトナーTの量が、トナー量の検知中には一定となり、トナー量の検知精度を高めることができる。
【0067】
図6は、上述のようなトナー量の検知方法の基本的な動作フローを示す。図示の例では、トナー量の検知を行うタイミングは、画像形成動作終了後のいわゆる後回転動作時である。画像形成動作が終了すると、現像装置7が第1の位置から第2の位置へ移動することで、感光ドラム4と現像ローラ2との離間動作が行われる。その後、現像ローラ2及び供給ローラ3の駆動が停止される。その後、検知用電圧が印加されて、トナー量の検知が行われる。
【0068】
以上のようなトナー量の検知方法によると、感光ドラム4と現像ローラ2との間に生じる静電容量の影響をなくして、トナー量検知精度を向上させることができる。又、上述のように、検知用電圧は、現像ローラ2と感光ドラム4とが離間した姿勢の時にのみ印加されるために、カブリ画像の発生や感光ドラム4と現像ローラ2との間の振動による打撃音の発生も防止できる。
【0069】
8.トナー量の検知精度
次に、上述のようなトナー量の検知方法によるトナー量の検知精度について詳しく説明する。
【0070】
図7(a)は、現像容器7a内のトナー量と、その時の供給ローラ3内に含有されたトナー量との関係を示す。尚、図7(a)は、次のような測定による実験結果である。即ち、本実施例の現像装置7にトナーTを充填し、これを徐々に消費させていく。そして、異なるトナー残量のそれぞれにおいて静電容量を測定した後、供給ローラ3を取り出してその中に含まれるトナーTの量を測定(使用前の供給ローラ3の重量との差分を測定)した。図7(a)に示すように、現像容器7a内のトナー量と供給ローラ3内に含有されたトナー量とは、比較的リニアで良い相関を保ちつつ変化していることがわかる。
【0071】
図7(b)は、上記測定で、静電容量の出力値と、その時の供給ローラ3内に含有されたトナー量との関係を調べた結果を示す。図7(b)に示すように、供給ローラ3内に含有されたトナー量と静電容量の出力値とは、ほぼリニアで非常に良い相関を保っていることがわかる。これは、上述のようなトナー量の検知方法によって、供給ローラ3内に含有されたトナー量の変化による静電容量変化により、現像容器7a内のトナー量を的確に測定できることを示している。
【0072】
ここで、供給ローラ3の表面通気量を大きくするに従い、静電容量の出力値の絶対値は大きくなる傾向がある。1.8(リットル/分)以上の表面通気量を有する供給ローラ3であれば、静電容量の出力値と現像容器7a内のトナー量との相関が良く、トナー量の検知精度が更に向上する。又、供給ローラ3の表面通気量が大きいと、供給ローラ3の発泡層の空孔部分が増えて、供給ローラ3の強度が小さくなり、供給ローラ3の発泡層がちぎれ易くなる。これを防止するために、供給ローラ3の通気量は5.0(リットル/分)以下であることが好ましい。即ち、供給ローラ3の表面通気量の範囲は、1.8〜5.0(リットル/分)(即ち、表面通気量L(リットル/分)は、1.8≦L≦5.0)であることが好ましい。
【0073】
尚、供給ローラ3内のトナーTは、回転する供給ローラ3が現像ローラ2に接触し始めるときに、供給ローラ3が変形し始めることで一部が吐き出される。又、供給ローラ3内のトナーTは、回転する供給ローラ3の現像ローラ2との接触が終わるときに、供給ローラ3の変形が元に戻ることで一部が吸い込まれる。このように、供給ローラ3に対して、トナーTは出入りしているが、供給ローラ3内のトナー量は現像容器7a内のトナー量が変わらなければ、概ね平衡状態に保たれる。図7(a)及び図7(b)に示す実験データはいずれも、供給ローラ3内に含有されたトナー量は、供給ローラ3内へのトナーTの出入りが平衡状態に保たれている状態での測定結果である。又、供給ローラ3内のトナー量をより正しく判断するにあたって、静電容量の出力値を精度良く測定するためには、好ましくは、上述のように供給ローラ3内へのトナーTの出入りが生じないように、供給ローラ3の回転を停止して測定するのが良い。
【0074】
ここで、図7(a)に示す現像容器7a内トナー量と供給ローラ3内に含有されたトナー量との相関は、トナーTの凝集度に依存する。凝集度が低いほど、供給ローラ3へのトナーの出入りが容易と成るため、現像容器7a内のトナー量と供給ローラ3内に含有されたトナー量との相関が良くなるものと考えられる。本実施例の画像形成装置100では、画像形成動作を行い、現像容器7a内のトナーTが充分消費された状態の現像容器7a内に残されたトナーTの凝集度を測定したところ30%であった。一般に、現像容器7a内のトナーTの使用度が高いほど、トナーTの凝集度が高くなる傾向にあることから、画像形成動作を行う前の現像容器7a内トナーTの凝集度は30%よりも低いと推測できる。言い換えれば、供給ローラ3内へのトナーTの出入りが平衡状態になる状況を作る上では、30%以下の凝集度を持つトナーを好ましく使用することができる。
【0075】
尚、本実施例では、供給ローラ3に検知用電圧を印加し、現像ローラ2に誘起される電圧を検出する検出器82を配置する構成とした。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、現像ローラ2に検知を印加し、供給ローラ3に誘起される電圧を検出する検出器を配置する構成としてもよく、本実施例と同様の効果を得ることが可能である。
【0076】
9.トナー量の検知精度の向上
上述のように、供給ローラ3内に含有されたトナー量を静電容量として検出して、予め現像容器7a内のトナー量と関係付けておくことで、現像容器7a内のトナー量を検知することができる。
【0077】
しかしながら、ベタ画像(最高濃度レベルの画像)などの高印字率の画像を連続して形成した場合、上述のような供給ローラ3内へのトナーTの出入りのバランスが平衡状態から崩れ、一時的に供給ローラ3内に含有されたトナー量が減少してしまう。それに伴い、供給ローラ3と現像ローラ2との間の静電容量も一時的に小さくなるため、トナー量の検知結果は、現像容器7a内の実際のトナー量とずれが生じてしまう場合がある。
【0078】
実際に、図8(a)に示すように、現像容器7a内のトナー量が所定の値である条件下で、印字率0%の画像形成を行った場合は、トナーTの消費はないため、供給ローラ3内に含有されたトナー量は平衡状態のまま維持される。一方、印字率100%のいわゆるベタ画像の連続画像形成を行った場合には、供給ローラ3内に含有されたトナー量は大きく変化する。このことは、高印字率の画像を形成した直後は、供給ローラ3内に含有されたトナー量が一時的に枯渇状態になる可能性があり、その状態でトナー量の検知動作を行った場合、現像容器7a内の実際のトナー量よりも、少なく誤検知してしまう可能性を示唆している。
【0079】
但し、同様に印字率100%の画像を連続して形成し、図8(a)中の矢印Xで示す時点で、印字率0%の画像形成に切り替えた場合、供給ローラ3内に含有されたトナー量は、図8(a)中の矢印Yの状態まで回復する。これは、次のような状態の変化の様子を表している。即ち、先ず、ベタ画像を連続して形成したことで、供給ローラ3内に含有されたトナー量が一時的に減少する。しかし、印字率0%の状態で供給ローラ3の回転動作を行うことで、供給ローラ3内にトナーTが補充されて、供給ローラ3内に含有されたトナー量が平衡状態に回復する。
【0080】
そこで、本実施例では、以下詳しく説明するトナー補充動作を行うことで、トナー量の検知精度の向上を図る。
【0081】
図9は、本実施例におけるトナー量の検知動作に係る概略制御態様を示す。制御回路部101の画素数計測手段104は、外部ホスト装置200から送られる画像データに基づいて、形成する画像の画素数を計測する。そして、画素数計測手段104は、ジョブ(一の画像形成開始指示による単数又は複数の記録材に対する一連の画像形成動作)内の各ページにおける、平均印字率Pを計算する。
【0082】
尚、平均印字率Pは、1ページ分の画像形成可能領域内の各画素の全てがベタ画像である場合の1ページ分の各画素の濃度情報の積算値(総和)を100%として、これに対する当該ページの各画素の濃度情報の積算値の割合から計算することができる。画像濃度情報は、各画素の濃度レベルが例えば0〜255の256階調のうちどのレベルかを示す情報である。画像濃度情報とトナーの載り量とは予め関係付けられるので、この1ページ分の各画素の濃度情報の積算値は、当該1ページ分のトナー消費量に対応する。
【0083】
次に、制御回路部101の演算手段105は、算出された各ページの平均印字率Pから、ジョブ直後における供給ローラ3内に含有されたトナー量の指標である供給ローラ内トナー含有率(以下、単に「トナー含有率」ともいう。)Wmの演算を行う。
【0084】
ここで、トナー含有率Wmは、供給ローラ3内へのトナーTの出入りのバランスが平衡状態に保たれている状態を100%と定義するものとする。演算手段105は、平均印字率Pの情報に基づいて、供給ローラ3内に含有されたトナー量に関して、平衡状態からのズレ量としてトナー含有率Wmを計算する。
【0085】
具体的には、演算手段105は、mページの画像を連続して形成するジョブの終了直後におけるトナー含有率Wmに関して、下記式のような演算を行う。
Wm=W(m−1)×(1+Km×10(-3))
【0086】
但し、係数Kmは、(m−1)ページ目の画像形成直後のトナー含有率W(m−1)と、mページ目の平均印字率Pmと、に応じて決定される増減係数であり、表1のように予め関係付けることができる。
【0087】
【表1】
【0088】
具体的には、表1に示す関係は、連続して形成する画像の印字率に応じてトナー含有率が増減することを調べた実験データに基づいている。例えば、図8(c)に示すように、印字率100%のいわゆるベタ画像を連続して形成した場合の、1ページ当たりのトナー含有率の変化を求めることで、表1のような関係を予め設定することが可能である。又、画像形成動作直前の供給ローラ3内に含有されたトナー量は平衡状態に保たれているものとし、W0=100%と定義される。演算手段105は、表1に示すような関係に係る情報を用いて、ジョブ内のページ毎にトナー含有率Wmを順次計算していき、最終的にジョブ終了時のトナー含有率Wmを求める。
【0089】
トナー含有率Wmが100%よりも小さいと検出された場合、制御回路部101は、トナー補充手段106により、供給ローラ3内に含有されたトナー量を平衡状態に回復させた後に、トナー量検知手段107を動作させて、トナー量検知を実行するようにする。この場合には、供給ローラ3内含有されたトナー量が一時的な枯渇状態にあると予測されるからである。トナー補充手段106による供給ローラ3に対するトナー補充動作は、画像形成後のいわゆる後回転動作時における供給ローラ3の回転回数を制御することで実現可能である。即ち、本実施例では、トナー補充手段106は、供給ローラ3の回転回数を切り替え可能な供給ローラ3の駆動手段(図示せず)などで構成される。又、本実施例では、現像剤量検知手段としてのトナー量検知手段107は、現像ローラ2、供給ローラ3、検出器82、供給部材電源E4(検知用電圧出力部80a)などで構成される。
【0090】
具体的には、制御回路部101は、トナー補充動作としてトナー含有率が平衡状態(100%)に達するまでに要する供給ローラ3の回転回数を求める。本実施例では、例えば、表2に示すようなテーブルとして、トナー含有率Wmと供給ローラ3の回転回数との関係に係る情報が、制御回路部101に予め設定されている。制御回路部101は、演算手段105によって算出されたトナー含有率Wmに応じて、表2に示すような関係に係る情報を用いて、トナー補充動作として必要な供給ローラ3の回転回数を求め、トナー量の検知動作の前に行う供給ローラ3の回転駆動動作を制御する。
【0091】
【表2】
【0092】
ここで、表2に示す関係は、図8(b)に示すような、トナー含有率が平衡状態(100%)に達するまでに要する供給ローラ3の回転回数の関係を調べた実験データに基づいている。具体的には、図8(b)は、所定のトナー量を保持した現像装置7内に、トナーTを含有していない供給ローラ3を設置して、印字率0%の画像形成を連続して行いながら、供給ローラ3のトナー充填率を測定した結果である。この結果は、供給ローラ3が回転駆動されることによって、トナーTを補充されて、トナー含有率が平衡状態に達する様子を示している。
【0093】
このように、制御回路部101は、後回転動作時に、トナー量の検知動作を実行する前に、トナー補充動作として供給ローラ3をトナー含有率Wmに応じて求めた必要な回転回数の供給ローラ3の回転駆動を実行する。これにより、トナー量の検知動作を実行する際には、常に供給ローラ3内に含有されたトナー量が平衡状態になっているようにすることができるため、良好なトナー量の検知精度を得ることが可能となる。尚、本実施例の画像形成装置100では、供給ローラ3が回転する際には現像ローラ2も回転する。
【0094】
図10は、本実施例における画像形成動作、トナー補充動作、及びトナー量の検知動作を含む画像形成装置100の一連の動作のフローを示す。
【0095】
プリント待機状態にある時に、外部ホスト装置200から制御回路部101にプリント信号が入力される(S101)。その後、制御回路部101は、画像形成動作を開始させる(S102)。その後、制御回路部101の画素数計測手段104は、外部ホスト装置200から送られる画像データに基づいて、形成する画像の画素数を計測して、ジョブ内の各ページの平均印字率Pを計算する(S103)。続いて、制御回路部101の演算手段105は、画素数の計測結果から算出された各ページの平均印字率Pに基づいて、mページの画像を連続して形成するジョブの終了直後におけるトナー含有率Wmを計算する(S104)。画像形成が終了すると(S105)、制御回路部101は、離間手段30によって、現像装置7を第1の位置から第2の位置へと移動させる(S106)。次に、制御回路部101は、S104で算出されたトナー含有率Wmが、平衡状態に達していないか否か(Wm<100(%)であるか否か)を判断する(S107)。
【0096】
S107において、供給ローラ3内に含有されたトナー量が平衡状態にある(Wm=100(%))であると判断した場合は、制御回路部101は、現像ローラ2及び供給ローラ3を停止させて(S109)、トナー量の検知動作を実行する(S110)。一方、S107において、供給ローラ3内に含有されたトナー量が枯渇状態にある(Wm<100(%))であると判断した場合は、制御回路部101は、トナー補充動作を実行する(S108)。即ち、制御回路部101は、S104で算出されたトナー含有率Wmから、制御回路部101に格納されている表2に示すようなテーブルに基づいて、必要な供給ローラ3の回転回数を求め、その結果に基づいて現像ローラ2及び供給ローラ3を回転駆動させる。その後、制御回路部101は、現像ローラ2及び供給ローラ3を停止させて(S109)、トナー量の検知動作を実行する(S110)。
【0097】
このように、本実施例の画像形成装置100は、非画像形成時に現像剤担持体2と現像剤供給部材3との間で静電容量を検知することで現像容器内の現像剤量を検知する現像剤量検知手段107を有する。又、画像形成装置100は、画像形成後の現像剤供給部材3に含有された現像剤量を予測する演算手段105と、画像形成後に現像剤量検知手段107による検知を実行するまでの間に現像剤供給部材3に現像剤を補充する補充手段106と、を有する。そして、補充手段106は、演算手段105により予測された現像剤供給部材3に含有された現像剤量が少ないほど、現像剤供給部材3に補充する現像剤の量を多くする。本実施例では、演算手段は、画像形成後の現像剤供給部材3に含有された現像剤量を、形成された画像に使用された現像剤の量に関する情報(本実施例では平均印字率)から予測する。又、本実施例では、補充手段106は、演算手段105により予測された現像剤供給部材3に含有された現像剤量が少ないほど、画像形成後に現像剤量検知手段107による検知を実行するまでの間の現像剤供給部材3の回転回数を多くする。これにより、現像剤供給部材3に補充する現像剤の量を多くする。
【0098】
以上、本実施例によれば、形成する画像の画素数を計測し、画像形成直後の一時的な供給ローラ3のトナー含有率を演算によって予測し、予測されたトナー含有率に応じて、最適なトナー補充動作を行ってから、トナー量の検知動作を実行する。そのため、現像容器7a内のトナー量を精度良く検知することができる。又、形成する画像の画素数に基づいてトナー含有率を予測するため、形成する画像に応じた必要最低限のトナー補充動作を行うことで、良好なトナー量の検知精度を得ることができる。そのため、トナーT又は現像ローラ2や供給ローラ3といった部品の摩耗などによって現像装置7の寿命を短くしてしまったり、画像形成の生産性を低下させたりすることなく、トナー量の検知精度を向上させることができる。
【0099】
尚、本実施例では、トナー含有率Wmと、トナー量の検知動作を実行する前に必要な後回転動作時における供給ローラ3の回転回数とを、表2のように段階的に関係づけた。しかし、供給ローラ3の回転回数を、演算手段105において数式を用いてより詳細に、典型的には実質的に連続的に変化させ得るように演算してもよい。
【0100】
又、供給ローラ3内に含有されたトナー量が平衡状態に達するまでに必要なトナー補充動作をより短時間で実行するために、トナー補充動作時の供給ローラ3の回転速度を増加させることも可能である。この場合、トナー量の検知精度を損なうことなく後回転動作の時間を短縮でき、次の画像形成動作に迅速に移行することができるため、画像形成の生産性の観点からも有利である。更には、必要最低限の後回転動作時の現像装置7の駆動によって良好なトナー量検知精度を得ることができるため、トナーT又は現像ローラ2や供給ローラ3といった部品の摩耗などによる現像装置7の寿命の観点からも有利である。
【0101】
実施例2
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。従って、実施例1のものと同一又はそれに相当する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
【0102】
本実施例では、制御回路部101の画素数計測手段104が、形成する画像のページ内を複数の領域に分割して領域毎の印字率をより詳細に計測する。又、この印字率の計測結果に基づいて、制御回路部101の演算手段105が、形成する画像のページ内を複数の領域に分割して領域毎に画像形成直後におけるトナー含有率を計算する。そして、こうして算出されたトナー含有率に基づいて、トナー量の検知動作を実行する前に必要な後回転動作時における供給ローラ3の回転回数を制御する。以下、更に詳しく説明する。
【0103】
本実施例では、制御回路部101の画素数計測手段104は、図11に示すように、形成する画像のページ内を主走査方向(感光ドラムの回転軸線方向)及び副走査方向(プロセス方向)に関して複数の領域に分割(エリア分割)して、領域毎の画素数を計測する。そして、画素数計測手段104は、領域毎に平均印字率を算出する。トナー含有率をより詳細に検知してより良好なトナー量の検知精度を得るためには、各領域の副走査方向の範囲は、供給ローラ3の1周分に対応する画像上の長さに設定することが好ましい。本実施例では、そのようにした。又、主走査方向に関しても、複数の領域に分割して画素数を計測することで、形成する画像の印字領域の同方向での偏在がある場合にも対応して、トナー含有率をより詳細に検知してより良好なトナー量の検知精度を得ることができる。
【0104】
制御回路部101の画素数計測手段104は、図11に示すように、副走査方向にAn1〜Anjの各範囲に分割され、又主走査方向にA0n〜Ainの各範囲に分割された各領域に関して個別に画素数の計測を行う。そして、画素数計測手段104は、各領域の平均印字率(P01〜Pij)を算出する。
【0105】
尚、平均印字率(P01〜Pij)は、各領域内の各画素の全てがベタ画像である場合の各領域内の各画素の濃度情報の積算値(総和)を100%として、これに対する当該領域の各画素の濃度情報の積算値の割合から計算することができる。画像濃度情報とトナーの載り量とは予め関係付けられるので、この各領域内の各画素の濃度情報の積算値は、当該領域内のトナー消費量に対応する。
【0106】
次に、制御回路部101の演算手段105は、各領域の平均印字率の算出結果に基づいて、以下の演算を行う。即ち、各ページについて、主走査方向に分割した範囲毎に下記式のような演算を行い、主走査方向に分割した範囲毎に個別に、副走査方向に分割した領域毎の画像形成終了直後のトナー含有率(W0j〜Wij)を順次計算していく。
W0j=W0(j−1)×(1+K0j×10(-3))
W1j=W0(j−1)×(1+K1j×10(-3))
W2j=W0(j−1)×(1+K2j×10(-3))
・
・
・
Wij=Wi(j−1)×(1+Kij×10(-3))
【0107】
但し、係数Kijは、領域Ai(j−1)の画像形成直後のトナー含有率Wi(j−1)と、領域Aijの平均印字率Pijと、に応じて決定される増減係数であり、表3のように予め関係付けることができる。
【0108】
【表3】
【0109】
具体的には、表3に示す関係は、形成する画像の印字率に応じて、トナー含有率が増減することを調べた実験データに基づいている。即ち、実施例1と同様に、例えば、図8(c)に示すように、印字率100%のいわゆるベタ画像を連続して形成した場合の、供給ローラ3の1回転当たりのトナー含有率の変化を求めることで、表3のような関係を予め設定することが可能である。この場合、画像形成動作直前の供給ローラ3内に含有されたトナー量は平衡状態に保たれているものとする。即ち、W00〜Wi0はいずれも100%であるものとする。演算手段105は、表3に示すような関係に係る情報を用いて、ジョブ内のページ毎に主走査方向に分割した範囲毎の最終的なトナー含有率Wijを順次計算していき、最終的にジョブ終了時の主走査方向に分割した範囲毎のトナー含有率Wijを求める。
【0110】
次に、制御回路部101は、演算手段105によって算出された、画像形成直後の主走査方向に分割した範囲毎のトナー含有率(W0j〜Wij)から、最もトナー含有率が低い範囲を選択する。そして、制御回路部101は、その範囲におけるトナー含有率であるトナー含有率の最小値(MIN(W0j:Wij))をWmと定義する。即ち、画像形成直後に供給ローラ3の主走査方向における最もトナー含有量が枯渇している箇所のトナー含有率Wmの演算結果に応じて、画像形成後からトナー量の検知動作を開始するまでの間に行うトナー補充動作を制御する。
【0111】
具体的には、制御回路部101には、実施例1と同様に、表2に示すようなテーブルが予め設定されている。上述のように、本実施例では、表2中のトナー含有率Wmが、トナー含有率の最小値(MIN(W0j:Wij))に対応する。制御回路部101は、表2に示すような関係に係る情報を用いて、供給ローラ3の主走査方向における最もトナー含有率が少ない範囲のトナー含有率Wmに対応したトナー補充動作における供給ローラ3の回転回数を求め、それに従ってトナー補充動作を制御する。
【0112】
図12は、本実施例における画像形成動作、トナー補充動作、及びトナー量の検知動作を含む画像形成装置100の一連の動作のフローを示す。
【0113】
プリント待機状態にある時に、外部ホスト装置200から制御回路部101にプリント信号が入力される(S201)。その後、制御回路部101は、画像形成動作を開始させる(S202)。その後、制御回路部101の画素数計測手段104は、外部ホスト装置200から送られる画像データに基づいて、形成する画像の画素数を分割した領域毎に計測して、領域毎の平均印字率P01〜Pijを検出する(S203)。続いて、制御回路部101の演算手段105は、画素数の計測結果から算出された領域毎の平均印字率P01〜Pijに基づいて、主走査方向に分割した範囲毎の画像形成直後のトナー含有率W0j〜Wijを計算する(S204)。画像形成が終了すると(S205)、制御回路部101は、離間手段30によって、現像装置7を第1の位置から第2の位置へと移動させる(S206)。次に、制御回路部101は、S204で算出された主走査方向に分割した範囲毎のトナー含有率W0j〜Wijの最小値Wmが、平衡状態に達していないか否か(MIN(W0j:Wij)<100(%)であるか否か)を判断する(S207)。
【0114】
S207において、供給ローラ3内に含有されたトナー量が平衡状態にある(MIN(W0j:Wij)=100(%))であると判断した場合は、制御回路部101は、現像ローラ2及び供給ローラ3を停止させる(S209)。次に、制御回路部101は、トナー量の検知動作を実行する(S210)。一方、S207において、いずれかの領域における供給ローラ3内に含有されたトナー量が枯渇状態にある(MIN(W0j:Wij)<100(%))であると判断した場合は、制御回路部101は、トナー補充動作を実行する(S208)。即ち、制御回路部101は、S204で算出されたトナー含有率の最小値(MIN(W0j:Wij))をWmにセットし、制御回路部101に格納されている表2に示すようなテーブルに基づいて、必要な供給ローラ3の回転回数を求める。そして、制御回路部101は、その結果に基づいて現像ローラ2及び供給ローラ3を回転駆動させる。その後、制御回路部101は、現像ローラ2及び供給ローラ3を停止させて(S209)、トナー量の検知動作を実行する(S210)。
【0115】
以上、本実施例によれば、トナー補充動作における供給ローラ3の回転回数を決定するために必要なトナー含有率の演算をより詳細に行う。これにより、あらゆる画像パターンに対しても、より詳細に供給ローラ3内に含有されたトナー量を平衡状態に回復させる制御を行うことが可能となる。その結果、より良好なトナー量の検知精度を得ることができる。
【0116】
尚、実施例1で説明したのと同様に、供給ローラ3の回転回数を、演算手段105において数式を用いてより詳細に、典型的には実質的に連続的に変化させ得るように演算してもよい。
【0117】
又、実施例1で説明したのと同様に、トナー補充動作時における供給ローラ3の回転速度を増加させてもよい。
【0118】
又、本実施例における個別に画素数計測を行うページ内の領域の分割数は、一例にすぎず、本発明を制限するものではない。例えば、副走査方向の各領域の範囲は、供給ローラ3の1周以上の長さとしてもよく、例えば1ページを半分に分割してもよい。又、副走査方向、主走査方向のうち一方については分割しなくてもよい。例えば、副走査方向に分割しない場合は、ページ毎に順次計算していく主走査方向に分割した範囲毎の画像形成直後のトナー含有率のちの最小値に応じて、トナー補充動作における供給ローラの回転回数を求めることができる。又、主走査方向に分割しない場合は、副走査方向に分割した範囲毎に画像形成直後のトナー含有率を順次計算し、最終的にジョブ終了直後のトナー含有率を算出して、トナー補充動作に必要な供給ローラ3の回転回数を求めることができる。この場合、上記本実施例におけるトナー含有率の最小値を求める処理は省略できる。即ち、形成された画像に使用された現像剤の量に関する情報は、形成された画像を現像剤供給部材3の回転軸線方向又は該回転軸線方向と直交する方向の少なくとも一方に対応する方向に分割した領域毎の現像剤の量に関する情報から成っていてよい。
【0119】
実施例3
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。従って、実施例1のものと同一又はそれに相当する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
【0120】
本実施例では、トナー補充動作中に、供給部材電源E4の供給電圧出力部80bから、トナーと逆極性の所定の直流電圧を供給ローラ3に印加し、供給ローラ3と現像ローラ2を回転させる。
【0121】
具体的には、画像形成終了後に、現像装置7が第1の位置から第2の位置に移動された後、供給ローラ3内に含有されたトナー量が一時的に枯渇していると検知された場合は、次のようにする。即ち、現像電源E2から現像ローラ2に0Vを印加し、供給部材電源E4の供給電圧出力部80bから供給ローラ3に+500Vを印加しながら、現像ローラ2と供給ローラ3の回転駆動を行う。これにより、供給ローラ3内へのトナー補充動作を実行する。
【0122】
このように、トナー補充動作中に、トナーと逆極性の直流電圧を供給ローラ3に印加し、トナーTに対する静電的な吸引力を作用させながら、供給ローラ3を回転させる。即ち、本実施例では、補充手段は、画像形成後に現像剤量検知手段107による検知を実行するまでの間に現像剤供給部材3に現像剤を補充する際に、現像剤供給部材3に現像剤の正規の帯電極性とは逆極性の直流電圧を印加する。これにより、供給ローラ3内にトナーTを効率よく補充することが可能となる。その結果、供給ローラ3内に含有されたトナー量が平衡状態に達するまでに必要なトナー補充動作における供給ローラ3の回転回数を少なくすることができる。
【0123】
尚、本実施例では、画素数計測手段104による画素数の計測及び印字率の算出、並びに、演算手段105によるジョブ終了直後におけるトナー含有率の演算方法は、実施例1又は2と同様である。又、画像形成動作の一連のフローも実施例1又は2と同様である。但し、本実施例では、同一のトナー含有率に対応する供給ローラ3の回転回数は、実施例1又は2の場合よりも少なく設定することができる。
【0124】
又、本実施例においても、実施例1で説明したのと同様に、トナー補充動作時における供給ローラ3の回転速度を増加させる方法を組み合わせることは、より効率よく供給ローラ3内へトナーTを補充できる点で有効である。
【0125】
又、トナー補充動作時に供給ローラ3に印加するトナーと逆極性の直流電圧の電位は、画像形成装置100が置かれた使用環境(温度及び/又は湿度)に応じて変化させることも可能である。
【0126】
その他の実施例
以上、本発明を具体的な実施例に則して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
【0127】
例えば、上述の実施例では、画像形成装置は接触現像方式を採用しているが、本発明は接触現像方式のものに限定されるものではない。例えば、本発明は、供給ローラを用いた非磁性ジャンピング現像方式などを用いた画像形成装置においても有効である。
【0128】
又、上述の実施例では、画像形成装置は単色の画像形成装置であるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明は、上記実施例と同様のプロセスカートリッジを複数個並べてフルカラー画像が得られるようにした画像形成装置においても有効である。
【0129】
又、上述の実施例では、画像形成装置は、プロセスカートリッジ方式を採用しているものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明は、現像装置が単独でカートリッジ化されて画像形成装置の本体から着脱可能とされているもの、或いは現像装置自体は画像形成装置の本体に固定されており現像剤の補給が可能とされているものなどにおいても有効である。
【0130】
更に、上述の実施例では、トナー補充動作は、現像装置を現像ローラと感光ドラムとが離間した第2の位置として行ったが、所望により現像ローラと感光ドラムとが接触した第1の位置で行うことも可能である。この場合、トナー補充動作は、画像形成時以外のタイミングにする必要がある。
【符号の説明】
【0131】
1 装置本体
2 現像ローラ
3 供給ローラ
4 感光ドラム
6 露光装置
7 現像装置
7a トナー容器
20 プロセスカートリッジ
30 接離カム
80a 検知用電圧出力部
80b 供給電圧出力部
82 静電容量検出器
100 画像形成装置
101 制御回路部
104 画素数計測手段
105 演算手段
E2 現像電源
E4 供給部材電源
T トナー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を収容する現像容器と、前記現像容器に収容された現像剤を担持して搬送する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に接触して回転することで前記現像剤担持体に前記現像容器内に収容された現像剤を供給する現像剤供給部材と、非画像形成時に前記現像剤担持体と前記現像剤供給部材との間で静電容量を検知することで前記現像容器内の現像剤量を検知する現像剤量検知手段と、を有する画像形成装置において、
画像形成後の前記現像剤供給部材に含有された現像剤量を予測する演算手段と、
画像形成後に前記現像剤量検知手段による前記検知を実行するまでの間に前記現像剤供給部材に現像剤を補充する補充手段と、
を有し、
前記補充手段は、前記演算手段により予測された前記現像剤供給部材に含有された現像剤量が少ないほど、前記現像剤供給部材に補充する現像剤の量を多くすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記演算手段は、画像形成後の前記現像剤供給部材に含有された現像剤量を、形成された画像に使用された現像剤の量に関する情報から予測することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記形成された画像に使用された現像剤の量に関する情報は、形成された画像を前記現像剤供給部材の回転軸線方向又は該回転軸線方向と直交する方向の少なくとも一方に対応する方向に分割した領域毎の現像剤の量に関する情報から成ることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記補充手段は、前記演算手段により予測された前記現像剤供給部材に含有された現像剤量が少ないほど、画像形成後に前記現像剤量検知手段による前記検知を実行するまでの間の前記現像剤供給部材の回転回数を多くして、前記現像剤供給部材に補充する現像剤の量を多くすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記補充手段は、画像形成後に前記現像剤量検知手段による前記検知を実行するまでの間に前記現像剤供給部材に現像剤を補充する際に、前記現像剤供給部材に前記現像剤の正規の帯電極性とは逆極性の直流電圧を印加することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
現像剤を収容する現像容器と、前記現像容器に収容された現像剤を担持して搬送する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に接触して回転することで前記現像剤担持体に前記現像容器内に収容された現像剤を供給する現像剤供給部材と、非画像形成時に前記現像剤担持体と前記現像剤供給部材との間で静電容量を検知することで前記現像容器内の現像剤量を検知する現像剤量検知手段と、を有する画像形成装置において、
画像形成後の前記現像剤供給部材に含有された現像剤量を予測する演算手段と、
画像形成後に前記現像剤量検知手段による前記検知を実行するまでの間に前記現像剤供給部材に現像剤を補充する補充手段と、
を有し、
前記補充手段は、前記演算手段により予測された前記現像剤供給部材に含有された現像剤量が少ないほど、前記現像剤供給部材に補充する現像剤の量を多くすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記演算手段は、画像形成後の前記現像剤供給部材に含有された現像剤量を、形成された画像に使用された現像剤の量に関する情報から予測することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記形成された画像に使用された現像剤の量に関する情報は、形成された画像を前記現像剤供給部材の回転軸線方向又は該回転軸線方向と直交する方向の少なくとも一方に対応する方向に分割した領域毎の現像剤の量に関する情報から成ることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記補充手段は、前記演算手段により予測された前記現像剤供給部材に含有された現像剤量が少ないほど、画像形成後に前記現像剤量検知手段による前記検知を実行するまでの間の前記現像剤供給部材の回転回数を多くして、前記現像剤供給部材に補充する現像剤の量を多くすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記補充手段は、画像形成後に前記現像剤量検知手段による前記検知を実行するまでの間に前記現像剤供給部材に現像剤を補充する際に、前記現像剤供給部材に前記現像剤の正規の帯電極性とは逆極性の直流電圧を印加することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−145785(P2012−145785A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4403(P2011−4403)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]