説明

画像形成装置

【課題】樹脂レンズの内部吸収による透過率のばらつきに起因した濃度むらを抑制することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】樹脂レンズの透過率のばらつきに起因した濃度むらを抑制するために、印字画像を形成した後に樹脂レンズである走査レンズの透過率を均一化するための補正露光制御を実行する。補正露光のために印字画像を反転した反転印字画像を擬似的に生成するための反転画像信号を生成する。そして、反転印字画像に対応する反転画像信号を生成する。そして、補正露光として当該反転画像信号を光源部に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特に短波長レーザを用いて走査する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、記録媒体上に画像を形成するプリンタや複写機が知られている。
これらプリンタや複写機に代表される画像形成装置は、光走査装置を用いて静電潜像を形成し、形成された静電潜像によりトナー画像を作成して、そのトナー画像を定着器により加熱および加圧することで記録媒体上に定着させて記録媒体上に画像を形成するものがある。
【0003】
一般に、この種の光走査装置はレーザ光源からの光ビームをポリゴンミラーによって偏向し、結像レンズ系によって被走査面上に光スポットとして結像させるようになっている。
【0004】
レーザ光源には半導体レーザ等が多用され、レーザ光源から射出された発散光は、コリメータレンズにより略平行な光ビームに変換され、アパーチャにより光ビームの外形が制限される。外形が制限された光ビームは、定角速度で回転するポリゴンミラーにより偏向されて結象レンズ系に入射する。結像レンズ系は定角速度で偏向された光ビームを所定の間隔で配置された被走査面上に等距離速度で走査させるfθ特性を有し、全走査域にわたって微小な光スポットを形成するように設けられている。
【0005】
一方で、近年においては、高解像度化の要求により短波長のレーザ光源を使用し、より微小スポットを形成する方式が提案されている。
【0006】
しかしながら、結像レンズ系として樹脂レンズを用いる場合、短波長の光ビームになるに従い、樹脂レンズの内部吸収により樹脂レンズの透過率が減少するため高コストのガラスレンズが採用されてきた。
【0007】
これに対して、特許文献1においては、結像レンズ系としての樹脂レンズを加工することにより樹脂レンズの内部吸収による透過率の減少を抑制する方式を提案している。
【0008】
また、特許文献2においては、紫外線を樹脂レンズに照射することにより樹脂レンズの透過特性を変化させる方式を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−29830号公報
【特許文献2】特開2010−40164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
一方で、光ビームは、樹脂レンズに均等に連続的に照射されるわけではない。画像領域には印字部と非印字部とがあるため発光部は、常に発光した状態ではなくオン/オフを繰り返すことになる。
【0011】
したがって、樹脂レンズの一部の領域が他の領域と比べて短波長の光ビームの照射される割合が高い場合、樹脂レンズ内における透過率のばらつきが生じる可能性がある。
【0012】
図10は、透過率のばらつきを説明する図である。
図10(A)を参照して、例えば、当該印字画像を複数回形成するものとする。具体的には、印字画像に対応してポリゴンミラーの回転方向である主走査方向に光ビームを走査する。そして、感光体を副走査方向に回転させて、感光体上に印字画像に対応する2次元の静電潜像を形成する。
【0013】
当該光ビームの走査を複数回実行した場合、たとえば図10(B)に示されるように樹脂レンズ内において透過率のばらつきが生じる可能性がある。
【0014】
当該ばらつきのある樹脂レンズで全面均一濃度の画像を印字した場合、図10(C)に示されるように樹脂レンズの透過率のばらつきに起因した濃度むらのある画像が生成されることになる。
【0015】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、樹脂レンズの内部吸収による透過率のばらつきに起因した濃度むらを抑制することが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明のある局面に従う画像形成装置は、450nm未満の波長の光ビームを発光することが可能な光源と、光源からの光ビームを偏向走査する回転多面鏡と、回転多面鏡により走査された光ビームを被走査面上に結合させる走査光学レンズ系と、光源の光ビームの発光/非発光を制御するための制御部とを備える。走査光学レンズ系は樹脂レンズに相当する。制御部は、印字画像に対応する画像信号により光源の光ビームの発光/非発光を制御し、印字画像を形成した後、走査光学レンズ系の劣化度合いを一様化する補正露光制御を実行する。
【0017】
好ましくは、制御部は、補正露光制御において、擬似的に印字画像を反転させた反転印字画像を形成するために反転印字画像に対応する反転画像信号を生成し、生成した反転画像信号により光源の光ビームの発光/非発光を制御する。
【0018】
好ましくは、制御部は、補正露光制御において、回転多面鏡の回転方向に従う主走査方向の走査位置毎の印字画像に対応する画像信号により光ビームを発光した発光量を積算し、積算した走査位置毎の発光量に基づいて光源の光ビームの発光/非発光を制御する。
【0019】
特に、制御部は、印字画像を形成する際の光源の光ビームの光量と、補正露光制御における光源の光ビームの光量とを変化させる。
【0020】
好ましくは、補正露光制御は、記録用紙に印字画像を形成した後、次の記録用紙に対する処理までの間に実行される。
【0021】
好ましくは、補正露光制御は、ジョブ終了後に実行される。
【発明の効果】
【0022】
本発明のある局面に従う画像形成装置において、走査光学レンズ系は樹脂レンズを用い、制御部は、印字画像に対応する画像信号により光源の光ビームの発光/非発光を制御し、印字画像を形成した後、走査光学レンズ系の劣化度合いを一様化する補正露光制御を実行するため、樹脂レンズの内部吸収による透過率のばらつきに起因した濃度むらを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態に従う画像形成装置が適用されるタンデム方式のMFP100の概略構成を示す模式的断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に従うレーザ装置113に含まれるレーザ走査部118Kについて説明する概略構成図である。
【図3】本発明の実施の形態に従うレーザ走査部118Kを駆動する概略ブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に従う印字画像のための走査処理および補正露光を説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態の変形例1に従うレーザ走査部118Kを駆動する概略ブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態の変形例1に従う印字画像のための走査処理および補正露光を説明する図である。
【図7】本発明の実施の形態の変形例2に従うレーザ走査部118Kを駆動する概略ブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態の変形例2に従う印字画像のための走査処理および補正露光を説明する図である。
【図9】本発明の実施の形態に従う補正露光制御のタイミングを説明する図である。
【図10】透過率のばらつきを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0025】
図1は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置が適用されるタンデム方式のMFP100の概略構成を示す模式的断面図である。
【0026】
図1を参照して、MFP100は、原稿から画像データを読取る画像形成部101と、画像処理部110Aと、用紙上に画像を印刷する画像出力部102とから構成される。
【0027】
画像形成部101の原稿台103上に載置された原稿は、スキャナ104の備える露光ランプ105により照射される。スキャナ104は、スキャナモータ112により矢印方向に移動して原稿全体を走査する。
【0028】
原稿面からの反射光は、ミラー106〜108および集光レンズを介してCCD(Charge Coupled Devices)110上に像を結ぶ。CCD110は、原稿面からの反射光をRGBの色データ(アナログ信号)に変換して画像処理部110Aに出力する。CCD110が画像処理部110Aに出力する色データを、出力画像用データという。
【0029】
画像処理部110Aは、CCD110から入力される画像データに所定の画像処理を施してレーザ装置113にデジタル信号を出力する。ここでスキャナ104からレーザ装置113に出力されるデジタル信号は、シアン用の画像色データCと、マゼンタ用の画像色データMと、イエロー用の画像色データYと、ブラック用の画像色データKである。光走査装置であるレーザ装置113は、入力された画像色データC,M,Y,Kに基づいて、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックそれぞれの感光体115C,115M,115Y,115Kに光ビームを出力する。
【0030】
画像出力部102において、レーザ装置113から出力される光ビームは、帯電チャージャ114C,114M,114Y,114Kによって帯電された感光体115C,115M,115Y,115Kを露光し、静電潜像を形成する。シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックの4色の現像器116C,116M,116Y,116Kにより、感光体115C,115M,115Y,115K上の静電潜像が現像される。
【0031】
一方、転写ベルト130は、駆動ローラ133Aと固定ローラ133B,133C,133Dとにより弛まないように懸架されている。駆動ローラ133Aが図中で反時計回りに回転すると、転写ベルト130が所定速度で図中の反時計回りに回転する。
【0032】
給紙カセット120〜122より適当な用紙が搬送され、タイミングローラ131から転写ベルト130に用紙が供給される。転写ベルト130に供給された用紙は、転写ベルト130上に担持され、図中で左方向に搬送される。これにより、用紙がシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの順に感光体115C,115M,115Y,115Kと接触する。用紙がそれぞれの感光体115C,115M,115Y,115Kと接触したときに、感光体と対をなす転写チャージャ117C,117M,117Y,117Kにより感光体上に現像されたトナー像が用紙に転写される。
【0033】
トナー像が転写された用紙は、定着ローラ対132により加熱および加圧される。これにより、トナーは溶かされて用紙に定着する。その後、用紙は画像出力部102から排出される。
【0034】
なお、本例においては、原稿台103に原稿を載置する場合について図示しているが例えば、図示しない自動原稿搬送装置(ADF(Auto Document Feeder))を用いて原稿台に原稿を搬送するようにしても良い。
【0035】
図2は、本発明の実施の形態に従うレーザ装置113に含まれるレーザ走査部118Kについて説明する概略構成図である。
【0036】
図2を参照して、本発明の実施の形態に従うレーザ走査部118Kは、光源部2、コリメータレンズ3、アパーチャ7、ポリゴンミラー4、走査レンズ6a,6b、SOS(Start of Scan)センサ5およびセンサレンズ46とを含む。なお、本例においては、レーザ走査部118Kについて説明するが、レーザ走査部118Y、118M、118Cについても同様であるのでその詳細な説明は繰り返さない。
【0037】
ポリゴンミラー4は、図示しない駆動回路に入力される制御信号に基づいて所定の回転速度で回転する。
【0038】
光源部2から放射された光ビーム8は、コリメータレンズ3で略平行光とされ、ポリゴンミラー4の偏向反射面で回転され、等角速度に偏向され、走査レンズ6a,6bを透過して感光体115K上で結像し、矢印方向(主走査方向)に走査される。本例においては、1本の光ビームが出力される。
【0039】
感光体115Kには矢印方向への主走査と感光体115Kの回転による副走査とで2次元の静電潜像が形成される。
【0040】
走査レンズ6a及び6bは、光ビームを感光体115K上で結像させる結像特性及びポリゴンミラー4で等角速度に偏向された光ビームを主走査方向に等速度に補正するfθ特性を有している。
【0041】
センサレンズ46は、ポリゴンミラー4で偏向された入射される光ビームをSOSセンサ5に集光する。なお、走査レンズ6a,6bおよびセンサレンズ46は、樹脂レンズが用いられるものとする。
【0042】
SOSセンサ5は、感光体115Kの画像が形成される領域外に配置され、センサレンズ46を透過した光ビームの入射を検知する。当該光ビームの入射を検知することにより主走査方向の開始タイミング(同期)が設定される。
【0043】
なお、光源部2から出射される光ビームが走査する感光体115Kは、450nm未満の光ビームに感度を持っているものとする。
【0044】
図3は、本発明の実施の形態に従うレーザ走査部118Kを駆動する概略ブロック図である。
【0045】
図3を参照して、ここでは、レーザ走査部118Kと、画像処理部110Aの構成とが示されている。
【0046】
画像処理部110Aは、CPU(Central Processing Unit)501と、クロック発生回路502と、画像処理ブロック503と、反転画像処理ブロック505と、セレクタ504とを含む。
【0047】
CPU501は、図示しないメモリに予め格納されたプログラムに基づいて画像処理部110A全体を制御する。
【0048】
CCD110から出力された出力用画像データは画像処理ブロック503に入力され、画像処理ブロック503では入力された画像データに画像処理を施すとともに光源部2で発光/非発光を制御するための画像信号を生成する。そして、クロック発生回路502から出力されるデータクロックCLKに同期して画像信号を出力する。
【0049】
クロック発生回路502は、CPU501からの指示に従って同期信号であるデータクロックCLKを生成する。そして、画像処理ブロック503等に出力する。
【0050】
反転画像処理ブロック505は、画像処理ブロック503から出力される画像信号に従って反転した画像を生成するための反転画像信号を生成する。また、反転画像処理ブロック505は、データクロックCLKに同期して反転画像信号を出力する。なお、生成された反転画像信号は、後述する補正露光のときまで当該反転画像処理ブロック505で保持されるものとする。
【0051】
セレクタ504は、CPU501からの指示に従って画像処理ブロック503から出力される画像信号と、反転画像処理ブロック505から出力される反転画像信号を切り替えて光源部2に出力する。本例においては、通常の印字画像の生成の際には、CPU501からの指示に従ってセレクタ504から画像処理ブロック503からの画像信号が出力され、後述する補正露光の際には、CPU501からの指示に従ってセレクタ504から反転画像処理ブロック505からの反転画像信号が出力されるものとする。
【0052】
レーザ走査部118Kにおいて、セレクタ504を介して入力される画像信号あるいは反転画像信号は、光源部2に入力される。
【0053】
光源部2は、当該信号に応じて光ビームを感光体115Kに出力する。これにより感光体115Kに対する画像記録(印字処理)が行われる。本例においては、一例として、光ビームが照射された箇所が除電され当該箇所にトナーが付着するものとする。すなわち、光ビームは印字部に照射されるものとする。
【0054】
光源部2は、水平および垂直有効期間のみで駆動状態になるようにCPU501からの制御信号で駆動させる。また、光源部2は、光ビームの光量を示す信号がフイードバックされ、その光量が一定になるように調整される。
【0055】
光源部2から出力される光ビームはポリゴンミラー4に供給されて偏向され、上述したように走査レンズを透過して被走査面である感光体115K上に走査される。
【0056】
ポリゴンミラー4は、図示しない駆動部により駆動され、回転速度はCPU501により入力されるポリゴンミラー駆動信号により制御される。
【0057】
このポリゴンミラー4によって偏向された光ビームの走査開始点は、SOSセンサ5によって規定される。本例においては、光源部2から出力された光ビームは、走査領域の先端側で走査され、当該領域に配置されたSOSセンサ5で当該光ビームが検出される。そして、SOSセンサ5の検出信号は、CPU501に入力される。そして、CPU501は、クロック発生回路502にデータクロックCLKの生成を指示し、当該データクロックCLKが画像処理ブロック503に供給されて、所定タイミングで画像信号が光源部2に入力されることにより記録開始のタイミングが制御される。
【0058】
なお、本例においては、レーザ走査部118Kを主に説明するが、他のレーザ走査部についても同様である。
【0059】
図4は、本発明の実施の形態に従う印字画像のための走査処理および補正露光を説明する図である。
【0060】
図4を参照して、例えば、図4(A)に示される印字画像を形成するものとする。具体的には、印字画像に対応して、画像処理ブロック503は、画像信号を生成して、光源部2に出力する。光源部2は、画像処理ブロック503から出力される画像信号に従ってポリゴンミラーの回転方向である主走査方向に光ビームを走査する。そして、感光体を副走査方向に回転させて、感光体上に印字画像に対応する2次元の静電潜像を形成する。
【0061】
図4(B)は、一例として、当該印字画像に対する光ビームの走査を実行した場合の樹脂レンズ内において透過率のばらつきを説明する図である。
【0062】
図10で説明したように主走査方向に対して、光ビームを走査した場合に連続して照射された領域は透過率が低下する可能性がある。
【0063】
本例においては、樹脂レンズの透過率のばらつきに起因した濃度むらを抑制するために、当該印字画像を形成した後に樹脂レンズである走査レンズの透過率を均一化するための補正露光制御を実行する。
【0064】
まず、補正露光のために印字画像を反転した反転印字画像を擬似的に生成するための反転画像信号を生成する。
【0065】
図4(C)は、図4(A)で説明した印字画像の反転印字画像を説明する図である。
図3において説明した反転画像処理ブロック505は、画像処理ブロック503からの画像信号の入力を受けて、図4(C)に示される反転印字画像に対応する反転画像信号を生成する。そして、補正露光として当該反転画像信号を光源部2に出力する。
【0066】
光源部2は、反転画像処理ブロック505から出力される反転画像信号に従ってポリゴンミラーの回転方向である主走査方向に光ビームを走査する。そして、感光体を副走査方向に回転させて、感光体上に反転印字画像に対応する2次元の静電潜像を形成する。なお、当該反転印字画像は補正露光に対応するものであり、トナー像は生成されない。
【0067】
当該補正露光により樹脂レンズである走査レンズに対して光ビームが照射される時間および光量は主走査方向に対して同じ(均一)となる。
【0068】
したがって、図4(D)に示されるように補正露光により樹脂レンズ内における透過率のばらつきは無くなり透過率は均一となる。
【0069】
それゆえ、均一の透過率である樹脂レンズである走査レンズで全面均一濃度の画像を印字した場合、図4(E)に示されるように樹脂レンズの透過率のばらつきに起因した濃度むらは抑制され、全面均一濃度の画像が生成されることになる。
【0070】
なお、本例においては、1本の光ビームを走査する場合について説明したが、特にこれに限られず、複数本の光ビームを用いて印字画像を生成等するための走査処理を実行するようにしても良い。また、複数のビームを合成して用いるようにすることも可能である。
【0071】
(変形例1)
図5は、本発明の実施の形態の変形例1に従うレーザ走査部118Kを駆動する概略ブロック図である。
【0072】
図5を参照して、図3の構成と比較して、本発明の実施の形態の変形例1においては、反転画像処理ブロック505の代わりに、主走査カウンタ506と、主走査発光量積算部507と、画像処理ブロック508とを設けた点が異なる。その他の部分については同様である。
【0073】
主走査カウンタ506は、CPU501からの指示に従ってクロック発生回路502からのデータクロックCLKに従って主走査カウント値を主走査発光量積算部507に出力する。主走査カウント値は、光ビームが走査される主走査方向の位置に関連付けられており、データクロックCLKに従ってカウントアップするものとする。そして、主走査カウント値は、光ビームが感光体の終端側で走査される位置に関連付けられた所定値に到達した場合にリセットされるものとする。
【0074】
主走査発光量積算部507は、主走査カウント値の入力に従って、画像処理ブロック503から出力される画像信号を主走査カウント値毎に積算する。
【0075】
画像処理ブロック508は、主走査発光量積算部507で積算した積算データに基づいて補正露光を実行するための画像信号を生成する。また、画像処理ブロック508は、データクロックCLKに同期して生成した当該画像信号を出力する。なお、生成された画像信号は、補正露光のときまで画像処理ブロック508で保持されるものとする。
【0076】
図6は、本発明の実施の形態の変形例1に従う印字画像のための走査処理および補正露光を説明する図である。
【0077】
図6を参照して、例えば、図6(A)に示される印字画像を形成するものとする。図4(A)で説明したのと同様である。
【0078】
図6(B)は、一例として、当該印字画像に対する光ビームの走査を実行した場合の樹脂レンズ内において透過率のばらつきを説明する図である。
【0079】
図10で説明したように主走査方向に対して、光ビームを走査した場合に連続して照射された領域は透過率が低下する可能性がある。
【0080】
本変形例1においても、樹脂レンズの透過率のばらつきに起因した濃度むらを抑制するために、当該印字画像を形成した後に樹脂レンズである走査レンズの透過率を均一化するための補正露光制御を実行する。
【0081】
具体的には、主走査発光量積算部507において主走査カウント値毎の画像信号を積算する。
【0082】
図6(C)は、図6(A)で説明した印字画像について、主走査発光量積算部507で積算した積算結果を説明する図である。
【0083】
すなわち、図6(C)に示される積算結果は、主走査カウント値に対応する位置への光ビームの照射量に相当する。
【0084】
図6(D)は、最大値積算量から図6(C)の積算値を減算した結果を説明する図である。
【0085】
すなわち、主走査カウント値に対応する各位置に対して最大値積算量分となるようにそれぞれ光ビームを照射すれば各位置に対する光ビームの照射量は均一化される。
【0086】
具体的には、画像処理ブロック508は、図6(D)に示される最大値積算量から主走査発光量積算部507で積算した積算結果を減算した値を取得する。
【0087】
そして、画像処理ブロック508は、図6(E)に示される補正露光のための印字画像に対応する画像信号を生成する。そして、補正露光として当該画像信号を光源部2に出力する。
【0088】
光源部2は、画像処理ブロック508から出力される画像信号に従ってポリゴンミラーの回転方向である主走査方向に光ビームを走査する。そして、感光体を副走査方向に回転させて、感光体上に補正露光のための印字画像に対応する2次元の静電潜像を形成する。なお、当該印字画像は補正露光に対応するものであり、トナー像は生成されない。
【0089】
当該補正露光により樹脂レンズである走査レンズに対して光ビームが照射される時間および光量は主走査方向に対して同じ(均一)となる。
【0090】
したがって、図6(F)に示されるように補正露光により樹脂レンズ内における透過率のばらつきは無くなり透過率は均一となる。
【0091】
それゆえ、均一の透過率である樹脂レンズである走査レンズで全面均一濃度の画像を印字した場合、図6(G)に示されるように樹脂レンズの透過率のばらつきに起因した濃度むらは抑制され、全面均一濃度の画像が生成されることになる。
【0092】
本例においては、図6(E)に示されるように最大値積算量を基準に補正露光のために擬似的に印字する印字画像に対応する画像信号が生成されるため、印字画像と同じ領域範囲に対して走査する必要がなく、副走査方向に走査する範囲を縮小することが可能である。すなわち、補正露光のための時間を短縮することが可能である。
【0093】
(変形例2)
図7は、本発明の実施の形態の変形例2に従うレーザ走査部118Kを駆動する概略ブロック図である。
【0094】
図7を参照して、図5の構成と比較して、本発明の実施の形態の変形例2においては、CPU501から画像処理ブロック508および光源部2に対してさらに指示入力が与えられる点が異なる。本例においては、CPU501から画像処理ブロック508および光源部2に対して補正露光の際の光量の調整指示が与えられるものとする。その他の点については図5で説明したのと同様である。
【0095】
図8は、本発明の実施の形態の変形例2に従う印字画像のための走査処理および補正露光を説明する図である。
【0096】
図8を参照して、例えば、図8(A)〜(C)については、図6(A)〜(C)で説明したのと同様である。
【0097】
図8(D)は、最大値積算量から図6(C)の積算値を減算した結果に対して所定の処理を施した場合を説明する図である。
【0098】
具体的には、当該結果に対して印字画像形成時の光量/補正露光時の光量を乗算した場合が示されている。
【0099】
例えば、印字画像形成時の光量に対して、2倍の光量で補正露光を実行する場合、照射量を同じにするためには、印字画像形成の際の半分の領域すなわち半分の時間分照射すれば良い。
【0100】
したがって、補正露光時の光量を印字画像形成時の光量と異なる光量とする場合に、照射量を同じにするために印字画像形成時の光量/補正露光時の光量を乗算した場合が示されている。
【0101】
一例として、印字画像形成時の光量に対して、2倍の光量で補正露光を実行する場合が示されている。
【0102】
画像処理ブロック508は、図8(D)に示される処理を実行し、そして、図8(E)に示される補正露光のための印字画像に対応する画像信号を生成する。そして、補正露光として当該画像信号を光源部2に出力する。
【0103】
光源部2は、画像処理ブロック508から出力される画像信号に従ってポリゴンミラーの回転方向である主走査方向に光ビームを走査する。そして、感光体を副走査方向に回転させて、感光体上に補正露光のための印字画像に対応する2次元の静電潜像を形成する。なお、当該印字画像は補正露光に対応するものであり、トナー像は生成されない。
【0104】
なお、光源部2には、CPU501から補正露光の際の光量の調整指示が与えられており、本例においては、一例として2倍の光量を照射するものとする。
【0105】
当該補正露光により樹脂レンズである走査レンズに対して光ビームが照射される時間および光量は主走査方向に対して同じ(均一)となる。
【0106】
したがって、図8(F)に示されるように補正露光により樹脂レンズ内における透過率のばらつきは無くなり透過率は均一となる。
【0107】
それゆえ、均一の透過率である樹脂レンズである走査レンズで全面均一濃度の画像を印字した場合、図8(G)に示されるように樹脂レンズの透過率のばらつきに起因した濃度むらは抑制され、全面均一濃度の画像が生成されることになる。
【0108】
本例においては、図8(E)に示されるように、補正露光の際の光量が調整されて、印字画像と同じ領域範囲に対して走査する必要がなく、副走査方向に走査する範囲をさらに縮小することが可能である。すなわち、補正露光のための時間をさらに短縮することが可能である。
【0109】
図9は、本発明の実施の形態に従う補正露光制御のタイミングを説明する図である。
図9(A)に示されるように、紙間1枚毎に補正露光制御を実行することが可能である。具体的には、記録用紙に対する印字画像を形成した後、次の記録用紙に対する処理までの間に実行すれば良い。
【0110】
また、図9(B)に示されるように紙間10枚毎に補正露光制御を実行することも可能である。なお、10枚に限られず、所定枚数毎に補正露光制御を実行するようにしても良い。また、ジョブ終了時に補正露光制御を実行するようにしても良い。
【0111】
また、図9(C)に示されるように、ジョブ毎に補正露光制御を実行するようにしても良い。
【0112】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0113】
2 光源部、3 コリメータレンズ、4 ポリゴンミラー、5 SOSセンサ、6a,6b 走査レンズ、7 アパーチャ、8 光ビーム、101 画像形成部、102 画像出力部、103 原稿台、104 スキャナ、105 露光ランプ、110A 画像処理部、112 スキャナモータ、113 レーザ装置、501 CPU、502 クロック発生回路、503,508 画像処理ブロック、504 セレクタ、505 反転画像処理ブロック、506 主走査カウンタ、507 主走査発光量積算部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
450nm未満の波長の光ビームを発光することが可能な光源と、
前記光源からの光ビームを偏向走査する回転多面鏡と、
前記回転多面鏡により走査された光ビームを被走査面上に結合させる走査光学レンズ系と、
前記光源の前記光ビームの発光/非発光を制御するための制御部とを備え、
前記走査光学レンズ系は樹脂レンズに相当し、
前記制御部は、印字画像に対応する画像信号により前記光源の前記光ビームの発光/非発光を制御し、前記印字画像を形成した後、前記走査光学レンズ系の劣化度合いを一様化する補正露光制御を実行する、画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記補正露光制御において、擬似的に前記印字画像を反転させた反転印字画像を形成するために前記反転印字画像に対応する反転画像信号を生成し、
生成した反転画像信号により前記光源の前記光ビームの発光/非発光を制御する、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記補正露光制御において、前記回転多面鏡の回転方向に従う主走査方向の走査位置毎の前記印字画像に対応する画像信号により前記光ビームを発光した発光量を積算し、
積算した走査位置毎の発光量に基づいて前記光源の前記光ビームの発光/非発光を制御する、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記印字画像を形成する際の前記光源の前記光ビームの光量と、前記補正露光制御における前記光源の前記光ビームの光量とを変化させる、請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記補正露光制御は、記録用紙に前記印字画像を形成した後、次の記録用紙に対する処理までの間に実行される、請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記補正露光制御は、ジョブ終了後に実行される、請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図5】
image rotate

【図7】
image rotate

【図4】
image rotate

【図6】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−159643(P2012−159643A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18598(P2011−18598)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】