画像形成装置
【課題】プレミックス剤が加えられる現像装置を用いた印刷中に、トナー飛散などの異常画像の発生なく、安定した画像濃度の画像を出力することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】像担持体10の静電潜像を現像し、プレミックス剤を収容する補給容器51と、当該装置本体から排出される現像剤を回収する回収容器59とを有する現像装置4を備え、トナー付着量を検出するトナー付着量検出手段を有し、基準パターンのトナー付着量を検出して画像形成条件を制御するプロセスコントロールを行なう画像形成装置において、現像装置内のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段14を有し、画像面積率を元に算出された量の補給トナーを補給容器内で算出された時間だけ攪拌し、現像装置に加えた後にトナー付着量及びトナー濃度に基づいてトナー濃度目標値VTREFを補正する。
【解決手段】像担持体10の静電潜像を現像し、プレミックス剤を収容する補給容器51と、当該装置本体から排出される現像剤を回収する回収容器59とを有する現像装置4を備え、トナー付着量を検出するトナー付着量検出手段を有し、基準パターンのトナー付着量を検出して画像形成条件を制御するプロセスコントロールを行なう画像形成装置において、現像装置内のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段14を有し、画像面積率を元に算出された量の補給トナーを補給容器内で算出された時間だけ攪拌し、現像装置に加えた後にトナー付着量及びトナー濃度に基づいてトナー濃度目標値VTREFを補正する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の潜像担持体上に潜像を形成し、現像装置でトナーを付着させることによって潜像を可視像化し、得られた可視像を記録紙に転写して記録する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真装置では現像装置において、温湿度の変化や経年劣化により現像剤の帯電量が変化する。例えば、トナー消費による現像剤のトナー濃度の低下に応じて、新たなトナーを現像剤に補給するが、この補給に伴い2成分現像装置ではキャリアが撹拌等による繰り返し操作を受けてストレス付与で劣化し、トナーの帯電量が変化する。具体的には、高面積率の画像の出力頻度が高いユーザーでは、キャリア表面にトナー成分を固着させるスペントと呼ばれる現象によってキャリアを劣化させることでトナーの帯電量を低下させてしまう。
【0003】
一方、低面積率の画像の出力頻度が高いユーザーでは、キャリア粒子表面のコート膜が削れてトナーとの摩擦抵抗が上昇し、トナーの帯電量を増加させてしまい、帯電量が多くなり過ぎると、トナーとキャリアとの間の静電的付着力の過多により、画像濃度不足を引き起こしてしまう。
このように経時的に現像剤の帯電量が変化すると、その結果として、現像能力の大小を表す値である現像γが変化する。
【0004】
ここで、現像γとは、現像ポテンシャルまたは現像バイアスVB(潜像の電位が一定)とトナー像に対する単位面積あたりのトナー付着量との関係を示す直線の傾き(図3参照)のことである。また、現像ポテンシャルとは、感光体等の潜像担持体に担持された潜像の電位と、現像ローラ等の現像剤担持体に印加される現像バイアスとの電位差である。この現像γは、互いに異なる現像ポテンシャルの条件下でそれぞれ所定のトナー像を現像し、それぞれのトナー像に対するトナー付着量をフォトセンサによって検知し、検知結果に基づいて現像ポテンシャルとトナー付着量との関係を示す直線式の傾きを現像γとして求めることができる。
【0005】
このような現像能力の大小を表す値である現像γが変化すると、同一画像形成条件(現像ポテンシャル)では、トナー付着量が変化するため画像濃度や色再現性が変化してしまう。そこで現像γが変化したら、そのときの現像γに応じて、画像形成条件を最適に制御する現像ポテンシャル制御が用いられる。
【0006】
また、2成分現像装置では、現像剤中のトナー濃度を適正に制御しないと、即ち、トナーとキャリアとの静電的付着力の不足により、非画像部にトナーを付着させる地肌汚れ(トナー飛散、トナーチリ、トナーボソツキ)や、トナー飛散による機内汚染を引き起こすし、キャリア付着による画像抜けなどの異常画像が発生する。
そこで現像器内のトナー透磁率を測定するトナー濃度センサや印刷画像面積の情報に基づいて、トナー濃度が所定の値になるように制御している。
【0007】
ところが常に一定のトナー濃度であると、現像γが大きく変化した場合、現像ポテンシャルでは制御しきれないことがある。なお、現像ポテンシャルで制御しきれない理由としては、例えばレーザー露光における多値階調の場合において現像ポテンシャルが低すぎると階調つぶれが発生する。逆に現像ポテンシャルが大きすぎる場合、電源の容量を大きくしなければならずコストが高くなる。強電界で現像すると付着力が増大して転写不良が発生する等の問題による。
【0008】
そこで従来装置では、トナー濃度が正常に制御されているのに、現像γが大きく目標からはずれている場合は、トナー濃度の制御目標値を変更することを行っている。例えば、トナー濃度5wt%で制御されていて、現像γが目標値から0.3mg/cm2・kV小さい場合には、トナー濃度の制御目標値を7wt%にする、等である。また、現像γを検出する際に同時に必要なトナー付着量が得られるため、現像ポテンシャルを算出してそれ以降の画像形成に用いている。
【0009】
ところでトナー濃度の目標値を変更した場合、例えば上記のように5→7wt%に変更した場合、画像形成(印刷)前に事前に目標トナー濃度になるまでトナー補給やトナー消費を行う場合と、トナー濃度が所定の時定数で目標値に追従するように印刷中に補給制御目標値を変更する場合がある。前者の場合は印刷前準備としてトナー濃度の調整を行うので装置のダウンタイムが発生する(待ち時間が長くなる)。後者の場合はダウンタイムは発生しないが、印刷中にトナー濃度が変化するので画像濃度が変化してしまう。
【0010】
この課題に対し、特許文献1に記載の技術では、現像装置内のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段を有し、トナー付着量検出手段の検出出力及びトナー濃度検知手段の検知出力に基づいて現像装置におけるトナー濃度目標値を補正するとともに、該補正結果に基づいて次回のプロセスコントロール実行時期を決定している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献1の技術では、トナー濃度を変化させている最中にプロセスコントロールが実行され、そのたびにトナー濃度目標値を積極的に変化させて画像濃度を一定に保つ制御方法であるが、出力する画像面積率が大きく振れた場合、現像能力が変動し、その前後で画像濃度及び色味が変動してしまうことは避けられない。
具体的に一例を挙げると、低画像面積率(0%)→高画像面積率(100%)の場合は、急激にトナー帯電量が下がるのに対してキャリアとトナーとからなるプレミックス剤を現像装置内に供給するトナー補給制御が十分追従できず(トナー濃度を下げることができず)に、現像能力(現像γ)が大きく上昇してしまい、画像濃度は上昇し(色味は変動し)、画像濃度が安定しない。
【0012】
そこで、本発明者は、これに対処すべく、予め画像出力前に、出力画像データの画像面積率を元に算出されたトナー濃度に合わせ、予備攪拌を実施した後に、プロセスコントロールを実施してから印刷開始するよう構成することが考えられ、これにより、印刷中にトナー濃度目標値が変わらず、トナー補給制御がゆるやかになり、十分に追従でき、画像濃度および色味は安定すると推考した。さらに、このような場合であってもトナー濃度目標値が大きな値に変わった場合に、予め画像出力前にキャリアとトナーとからなるプレミックス剤の攪拌を実施してから現像容器内でトナー濃度に合わせる予混合をしても、後からの多量のトナー補給動作を行うことと成るため、現像機内のトナーは余分な攪拌を受け、逆に、プレミックス剤を含む補給トナーとの攪拌は不足となるため、条件によっては、トナー飛散、トナーチリ、トナーボソツキ等が発生する場合があると見做される。
【0013】
本発明は、上述背景に鑑みなされたものであり、第1に、攪拌したプレミックス剤を補給される現像装置を用いた印刷中に、トナー飛散、トナーチリ、トナーボソツキなどの異常画像の発生なく、安定した画像濃度の画像を出力することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【0014】
更に、画像品質かトナーイールド(トナー補給容器1本当たりのコピー枚数)や印刷前調整時間(ダウンタイム)の最小を優先するかを選択可能とする、又は、現像剤の帯電状態にかかわらずに、又は現像剤の寿命にかかわらずに、又は、環境によらずに、又はマシン放置時間によらずに、安定した画像濃度の画像を出力することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は前記課題を達成するため以下の構成とした。
第1の発明は、像担持体と、該像担持体上に形成した静電潜像にトナーを付与して現像し、かつ、キャリアとトナーとからなるプレミックス剤を収容する補給容器と、当該装置本体に連結し、装置本体から排出される現像剤を回収する回収容器とを有する現像装置を備え、前記現像装置により現像した画像のトナー付着量を検出するトナー付着量検出手段を有し、基準パターンのトナー付着量を前記トナー付着量検出手段で検出して画像形成条件を制御するプロセスコントロールを行なう画像形成装置において、前記現像装置内のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段を有し、予め画像出力前に、出力画像データの画像面積率を元に算出された量の補給トナーを、プレミックス剤を収容する補給容器内で算出された時間だけ攪拌した上で、現像装置内トナーに加えた後に、前記トナー付着量検出手段の検出出力、及び、前記トナー濃度検知手段の検知出力に基づいて前記現像装置におけるトナー濃度目標値を補正することを特徴とする。
【0016】
第2の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、プロセスコントロール及び画像出力を行う前に、出力画像データの画像面積率を元に算出された量の補給トナーを、プレミックス剤を収容する補給容器内で算出された時間だけ攪拌した上で、現像装置内トナーに加える動作を行うかどうか、を選択可能であることを特徴とする。
【0017】
第3の発明は、請求項1または2に記載の画像形成装置において、過去の一定枚数の印刷履歴に応じて、出力画像データの画像面積率を元に算出されたトナー補給量を補正することを特徴とする。
【0018】
第4の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、現像剤交換後の現像ロール走行距離に応じて、出力画像データの画像面積率を元に算出されたトナー補給量を補正することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0019】
第5の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、温度及び湿度に応じて、出力画像データの画像面積率を元に算出されたトナー補給量を補正することを特徴とする。
【0020】
第6の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、放置時間に応じて、出力画像データの画像面積率を元に算出された補給トナーの予備撹拌時間を調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の画像形成装置によれば、予め画像出力前に、出力画像データの画像面積率を元に算出された量のトナーを含むプレミックス剤を補給容器内で算出された時間攪拌した上で、現像装置内トナーに加えた後に、プロセスコントロールを行い、画像出力を行う(画像形成を行う)にあたり、印刷中のトナー濃度変動及び、トナー帯電量変化を小さくすることができ、トナー飛散、トナーチリ、トナーボソツキなどの異常画像の発生なく、安定した画像濃度の画像を出力することができる。
【0022】
請求項2に記載の画像形成装置によれば、予め出力画像データの画像面積率から算出された量の補給トナーをプレミックス剤を収容する補給容器内で算出された時間だけ攪拌して算出のトナー濃度に合わせてから、プロセスコントロール及び画像出力を行うかどうかを選択可能にすることで、画像濃度、色安定性またはトナーイールドを優先するか、印刷前調整時間(ダウンタイム)最小を優先にするかをお客様の要望に応じて選択できる。
【0023】
請求項3に記載の画像形成装置によれば、現像剤帯電状態に応じてトナー補給量を補正することで、現像剤の全寿命にわたって、印刷中に、トナー飛散、トナーチリ、トナーボソツキなどの異常画像の発生なく、安定した画像濃度の画像を出力することができる。
【0024】
請求項4に記載の画像形成装置によれば、現像剤交換後の現像ロール走行距離に応じてトナー濃度目標値を補正することで、現像剤の全寿命にわたって、印刷中に、トナー飛散、トナーチリ、トナーボソツキなどの異常画像の発生なく、安定した画像濃度の画像を出力することができる。
【0025】
第5に記載の画像形成装置によれば、温度及び湿度に応じて、出力画像データの画像面積率を元に算出されたトナー濃度を補正することで、環境によらずに、印刷中に、トナー飛散、トナーチリ、トナーボソツキなどの異常画像の発生なく、安定した画像濃度の画像を出力することができる。
【0026】
請求項6に記載の画像形成装置は、マシン放置時間に応じて、出力画像データの画像面積率を元に算出された補給トナーの予備撹拌時間を調整することで、放置時間によらずに、印刷中に、トナー飛散、トナーチリ、トナーボソツキなどの異常画像の発生なく、安定した画像濃度の画像を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係るカラー画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】作像ユニットの構成を示す図である。
【図3】発明に係る画像形成装置で用いる現像剤の現像γ―トナー濃度の特性を示す特性線図である。
【図4】図1の画像形成装置で用いる画像面積率―トナー帯電量の特性線図である。
【図5】図1の画像形成装置で用いる画像面積率―トナー濃度の特性線図である。
【図6】現像装置内のトナー濃度の印刷枚数の増加に伴なう経時変化特性図である。
【図7】本発明に係る画像形成装置による画像濃度の経時変化特性図である。
【図8】現像装置内のトナー帯電分布の特性線図で、トナー飛散発生時の場合の線図である。
【図9】現像装置内のトナー帯電分布の特性線図で、トナーチリ発生時の場合の線図である。
【図10】現像装置内のトナー帯電分布の特性線図で、トナーボソツキ発生時の場合の線図である。
【図11】図1の画像形成装置の画像面積率―予備攪拌時間の特性線図である。
【図12】図1の画像形成装置の温度、湿度をパラメーターとした環境区分設定マップである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について、添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタの一実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係るプリンタ1の基本的な構成について説明する。図1は、本実施形態に係るプリンタ1を示す概略構成図である。同図のプリンタは、トナー像形成手段たるプロセスユニット2として、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック(以下、Y、C、M、Kと記す)用の4つのプロセスユニット2を備えている。これらは、画像を形成する画像形成物質として、互いに異なる色のY、C、M、Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっている。
【0029】
ここでは、Yトナー像を生成するためのプロセスユニット2Yを図2に記載する。なお、図2中では各構成部材に符号Yの添え字を付すが、以下の記載では簡素化のため、必要箇所以外は添え字を略して記載する。
図2に作像手段たるプロセスユニット2Yの断面概略図を示す。
Yトナー像を生成するためのプロセスユニット2Yは感光体ユニット3と現像装置である現像ユニット4とを有し、感光体ユニット3と現像ユニット4は一体的にプリンタ本体100に対して着脱可能となっている。
【0030】
感光体ユニット3は、潜像担持体たるドラム状の感光体ドラム10(以下、感光体とも表記する)、感光体ドラム10に付着した転写残トナー等を除去し回収する潜像担持体クリーニング手段たるドラムクリーニング装置5、感光体ドラムの表面摩擦係数を所定の値にするための滑剤塗布ブラシ6および滑剤(ステアリン酸亜鉛)8、滑剤を感光体ドラム10上に均一に塗布するための滑剤塗布ブレード8、感光体ドラム10を均一に帯電するための帯電ローラ9などを有している。帯電ローラ9は、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動する感光体ドラム10の表面を図示しない帯電バイアス印加手段からAC電圧にDC電圧を重畳した帯電バイアスを印加して一様に帯電させる。つづいて、画像信号に対応した露光ユニット11から発せられるレーザ光によって露光走査されて静電潜像を形成する。
【0031】
現像ユニット(現像装置)4は、図中反時計方向に回転するのに伴って自らの表面と感光体1の表面とが対向する現像領域に現像剤を搬送する現像剤担持体としての現像スリーブ15を有している。この現像スリーブ15の図中左側方には、供給スクリュウ17を具備する供給剤収容室m3が形成されている。供給スクリュウ17は回転軸とこの回転軸に設けられた羽部とを備え、自らの回転にともなって現像剤を回転方向に撹拌しながら相対的に回転軸線方向に搬送する。図示の例では、現像剤を現像スリーブ15の軸線方向に沿って、図紙面に直交する方向の手前側から奥側に向けて搬送する。このようにして現像剤が搬送される供給剤収容室m3は、その現像剤搬送方向のほぼ全域が、図中右側の現像スリーブ収容空間と連通している。
【0032】
現像スリーブ15は非磁性材料からなる筒状の部材からなり、この現像スリーブ15の内部には、周方向に並ぶ複数の磁極を具備するマグネットローラが、現像スリーブに連れ回らないように回転不能に固定されている。供給スクリュウ17によって現像剤を手前側から奥側へと搬送する供給剤収容室m3内の現像剤は、マグネットローラの発する磁力によって現像スリーブ5の表面に引き寄せられる。これにより、現像スリーブ15は、供給スクリュウ8との対向領域である被供給領域を通過するのに伴って、供給スクリュウ8上の現像剤を汲み上げて自らの表面に担持する。そして、自らの回転に伴って、表面上の現像剤を現像領域に向けて搬送する。
【0033】
現像スリーブ15の周面における被供給領域よりも表面移動方向下流側で且つ現像領域よりも上流側の箇所に対しては、現像ドクタ16の先端が所定の間隙を介して対向している。現像スリーブ15の回転に伴って現像領域に向けて搬送されるスリーブ表面上の現像剤は、この間隙をすり抜ける際にスリーブ上での層厚が規制されたり、トナーの摩擦帯電が促されたりする。
【0034】
現像スリーブ15の導電性内周面、あるいは現像スリーブ15の内部に配設される電極には、図示しない電源によってトナーの帯電極性と同極性の現像バイアスが印加されている。また、感光体10の表面は、帯電器によってトナーの帯電極性と同極性に一様帯電される。また、感光体10の表面に形成された静電潜像も、一様帯電部(地肌部)と同様にトナーの帯電極性と同極性に帯電しているが、その電位が地肌部よりも大幅に低くなっている。そして、上述した現像バイアスは、感光体10の地肌部電位と潜像電位との間の電位になっている。これにより、現像領域においては、感光体10の静電潜像と、現像スリーブ15との間に、トナーをスリーブ側から潜像側に向けて静電移動させる現像ポテンシャルが作用する。また、感光体10の地肌部と、現像スリーブ15との間に、トナーを地肌部側からスリーブ側に向けて静電移動させる非現像ポテンシャルが作用する。
【0035】
現像領域に進入した現像スリーブ15の表面上の現像剤は、図示しないマグネットローラの現像磁極の発する磁力によってスリーブ表面上で穂立ちして磁気ブラシとなり、スリーブの表面移動に伴ってブラシ先端を感光体10の表面に摺擦させる。そして、上述の現像ポテンシャルの作用により、ブラシ先端部のトナーを磁性キャリア表面から離脱させて感光体10上の静電潜像に付着させる。この付着により、感光体10上の静電潜像が現像されてYトナー像になる。
【0036】
現像スリーブ15の図中下方には、回収スクリュウ13を具備する回収剤収容室m2が形成されており、その現像剤搬送方向のほぼ全域を、図中上側の現像スリーブ収容空間に連通させている。回収スクリュウ13は、その回転に伴って、現像剤を現像スリーブ15の回転軸線に沿って図中手前側から奥側へと搬送する。現像スリーブ15とこの回収スクリュウ13との対向部は、現像剤をスリーブ表面から回収スクリュウ13に回収する回収領域になっている。具体的には、現像スリーブ15に内包される図示しないマグネットローラにおけるこの回収領域との対向部では、互いに同極性の磁極が隣り合っており、これによって反発磁界が形成されている。現像スリーブ15の回転に伴って現像領域から回収領域に移動したスリーブ上の現像剤は、この反発磁界による反発磁力の作用によってスリーブ表面から離脱して、回収スクリュウ13上に落下する。これにより、スリーブ表面から回収スクリュウ13への現像剤の回収が行われる。
【0037】
回収剤収容室m2の図中左側方であって且つ供給剤収容室m3の図中下方には、撹拌搬送スクリュウ12を具備する搬送剤収容室m1が設けられている。撹拌搬送スクリュウ12は、その回転に伴って、現像剤を現像スリーブ15の回転軸線に沿って図中奧側から手前へと搬送する。搬送剤収容室m1と回収剤収容室m23とは仕切壁w1によって仕切られているが、この仕切壁w1には図紙面に直交する方向の奥側端部に図示しない開口が形成されており、両搬送路はこの開口の部分で連通している。回収スクリュウ13の回転に伴って回収剤収容室m2の図中奥側端部まで搬送された現像剤は、この開口を通って搬送剤収容室m1内に進入する。そして、撹拌搬送スクリュウ12の回転に伴って、回収剤収容室m2内とは逆に、図中奥側から手前側に向けて搬送される。
【0038】
搬送剤収容室m1と、供給剤収容室m3との間は仕切壁w2によって仕切られているが、この仕切壁w2には図中奥側端部付近と、図中手前側端部とにそれぞれ開口が設けられており、両搬送路はこれらの開口の部分でそれぞれ連通している。なお、搬送剤収容室m1における現像剤搬送方向上流側端部付近には、図示しない補給口が設けられており、この補給口を通して、搬送剤収容室m1内の現像剤にトナーやプレミックス剤が現像剤補給機51より補給される。現像剤補給機51は不図示の容器内のキャリアとフレッシュトナーとでなるプレミックス剤を不図示のアジテータ等の攪拌手段で攪拌し、不図示の供給ローラの回転によって搬送剤収容室m1内へ適宜補給する。
【0039】
次に、これまで説明してきた3つの収容室(m1、m2、m3)内での現像剤の循環について説明する。
搬送剤収容室m1から現像剤の供給を受けた供給剤収容室m3では、現像スリーブ15に現像剤を供給しながら、供給スクリュウ17の搬送方向下流側に現像剤を搬送する。そして、搬送方向下流端まで搬送された現像剤は仕切壁w2の開口を通って搬送剤収容室m1に返送(破線mで示す)される。
一方、現像スリーブ15の表面上から回収剤収容室m2内に回収された後、回収スクリュウ13によって回収剤収容室m2の搬送方向下流端まで搬送された回収現像剤は、仕切壁w1の奥側の開口を通して搬送剤収容室m1に送られる。
【0040】
そして、搬送剤収容室m1は、搬送方向上流側端部において、供給剤収容室m3から返送された現像剤と、回収剤収容室m2からの回収された現像剤と、現像剤補給機51から進入してきた新たなプレミックス剤とを攪拌混合しながら、搬送方向下流側に搬送する。搬送剤収容室m1の現像剤搬送方向下流側端部まで搬送された現像剤は、第1仕切壁w2の不図示の開口を上昇移動(破線nで示す)して供給剤収容室m3に送られる。なお、搬送剤収容室m1の底壁にはトナー濃度センサ14が設けられている。
【0041】
そして、現像剤補給機51はY、M、C、K用として設けられ、これらのトナー補給動作やプレミックス剤補給動作は、制御部36によって制御される。例えば、制御部36は、上述のトナー濃度センサ14からの出力信号に基づいて現像剤補給機51の駆動を制御して、搬送剤収容室m1にトナーを補給させる。
図2に示すように、供給剤収容室m3には、室内の現像剤が所定の嵩(レベル)を越えた場合にその一部を現像ユニット4の装置本体から外部に排出するためのオーバーフロー開口54が設けられ、オーバーフロー開口54に続く装置本体側の接続口58には排出される現像剤を回収する回収容器59が離脱可能に取り付けられる。このオーバーフロー開口54のレベルよりも上位に達した現像剤は、オーバーフロー開口54をオーバーフローし、さらに、接続口58を経て回収容器59に排出される。
【0042】
供給剤収容室m3の隣には、オーバーフロー開口54からオーバーフローしてくる余剰現像剤を受け入れる余剰剤受入室m4が配設されている。余剰剤受入室m4にオーバーフローした余剰現像剤は、余剰剤受入室m4に設けられたスクリュウ部材としての排出スクリュウ55の回転駆動に伴って接続口56を経て回収容器57に排出される。
さらに、本プリンタでは、供給スクリュウ17の回転に伴って飛び跳ねてしまった現像剤のオーバーフロー開口54に向かう経路上に、現像剤のオーバーフロー開口54への進入を阻止する進入阻止部材56を設けている。これにより、供給剤収容室m3内で飛び跳ねてしまった現像剤がオーバーフロー開口54に進入することを回避することができる。
【0043】
現像ユニット4内の現像剤量が少ない場合は供給剤収容室m3から搬送剤収容室m1への現像剤の供給がスムーズに行われる。その結果、供給剤収容室m3と搬送剤収容室m1との境界である仕切壁w2に設けられた開口で現像剤Pが溢れることが無い。このため、供給剤収容室m3内の現像剤は、オーバーフロー開口54にほとんど導かれず、現像剤量が少ない状態での現像剤のオーバーフローを防止することができる。
【0044】
現像ユニット4内の現像剤量が多い状態、すなわち、供給剤収容室m3における搬送方向下流端近傍の現像剤の嵩がオーバーフローレベルを越えた場合は、供給剤収容室m3から搬送剤収容室m1へ現像剤の移動が滞留してしまう。その結果、供給剤収容室m3の搬送方向最下流部の現像剤は行き場が無くなり上方向に嵩が上昇して行く。そして、オーバーフロー開口54の高さまで嵩が上昇すると現像剤が余剰剤受入室m4に向けてオーバーフローして、余剰剤受入室2内の排出スクリュウ55によって現像ユニット4の外部に排出されることになる。
【0045】
第一現像剤収容部m1の下面には、透磁率センサからなるトナー濃度センサ14が設置されており、磁性体であるキャリア粒子とトナーの混合比を透磁率から算出し、所定のトナー濃度になるように、出力信号に基づいて現像剤補給機51(トナー補給装置)を制御して、搬送剤収容室m1にトナーを補給させる
トナー濃度センサ14による現像剤の透磁率の検知結果は、電圧信号として制御部36に送られる。制御部36はRAM等の情報記憶手段を備えており、この中にトナー濃度センサ14からの出力電圧の目標値であるVrefを格納しており、トナー濃度センサ14からの出力電圧値とVrefを比較し、図示しないトナー供給装置から比較結果に応じたトナー量を現像ユニット4中の第一現像剤収容部m1の図中奥側からトナーを補給し、現像剤中のトナー濃度を所望の値に維持する。
【0046】
トナー濃度センサ14とトナー供給装置による本制御は、各色個別(Y〜K)に実施されている。
プロセスユニット2の図中下方には、露光ユニット11が配設されている。潜像書き込み手段たる露光ユニット11は、画像情報に基づいてレーザ光を各プロセスユニット2の感光体3表面に照射する。これによって、感光体3上に静電潜像を形成する。なお、露光ユニット11は、光源たるレーザーダイオードから発したレーザ光をモータによって回転駆動されるポリゴンミラーによって走査され、複数の光学レンズやミラーを介して感光体3に照射するものである。かかる構成に代えて、LEDアレイによる露光手段を採用することもできる。
【0047】
露光ユニット11の下方には、第一給紙カセット21、第二給紙カセット22が鉛直方向に重なるように配設されている。これら給紙カセット21、22内にはそれぞれ記録媒体たる記録紙が収容されており、一番上の記録紙には第一給紙ローラ23、第二給紙ローラ24がそれぞれ当接している。図示しない駆動手段によって、所定のタイミングで給紙ローラ23、24が反時計回りに回転駆動されると、記録紙がカセットの図中右側方において鉛直方向に延在するように配設された給紙路に向けて排出される。給紙路には複数の搬送ローラ対25が配設されており、給紙路に送られた記録紙は、これらの搬送ローラ対25によって上方に向けて搬送される。
【0048】
給紙路には、レジストローラ対26が配設されている。レジストローラ対26の直前に記録紙を搬送ローラ対25から送られてくると、記録紙は一旦停止される。そして、中間転写ベルト27上に形成されたトナー画像が二次転写ニップn2に到達するタイミングに合わせて、レジストローラ対26を所定のタイミングで駆動し、記録紙を二次転写ニップn2に向けて送り出す。
【0049】
各プロセスユニット2(Y〜K)の図中上方には、表面無端移動体である中間転写ベルト27を張架しながら図中反時計回りに無端移動せしめる転写ユニットが配設されている。転写手段たる転写ユニット20は、中間転写ベルト27の他、ベルトクリーニングユニット28、中間転写ベルト27に適時に転写されるテストパターンのトナー付着量を検出するトナー付着量センサ41、各色の感光体ドラム10(Y〜K)の対向する位置に配設された一次転写ローラ29(Y〜K)、外部からの駆動を受け中間転写ベルト27を駆動せしめる駆動ローラ31、ベルトテンションローラ32、等で構成されている。なお、駆動ローラ31は、二次転写ローラ33の対向ローラを兼ねている。
【0050】
これらのローラに中間転写ベルト27は張架されながら、駆動ローラ31の回転駆動によって図中反時計回りに無端移動される。
一次転写ローラ29はベルトを挟んで感光体ドラム10に当接し、一次転写ニップn1を形成している。一次転写ローラ29に感光体3上に形成されたトナー画像のトナーとは逆極性の転写バイアスを印加することで、感光体3上のトナー画像を中間転写ベルト27上に転写する。各色の作像手段たるプロセスユニット2(Y〜K)で形成された各色のトナー画像は、中間転写ベルト27上に順次一次転写され、中間転写ベルト27上にカラー画像を形成される。
【0051】
中間転写ベルト27の外側に、駆動ローラ31である二次転写対向ローラとベルトを挟んで対向する位置に、二次転写ローラ33は配設され、バネ荷重によって、二次転写対向ローラ31に所定の荷重で当接し、二次転写ニップn2が形成されている。
中間転写ベルト27上に形成されたカラー画像は、中間転写ベルト27の回転駆動によって二次転写ニップn2に移動され、同時に、レジストローラ対26からトナー画像の二次転写ニップn2に進入と同期して記録紙を二次転写ニップn2に進入している。
【0052】
トナー像は、二次転写ローラ33と二次転写対向ローラ31との間に形成される二次転写電界とニップ圧によって、記録紙に二次転写される。二次転写の電界は、二次転写対向ローラ31にトナーと同極性の転写バイアスを印加し、二次転写ローラ33を接地することで形成している。
図1の中間転写ベルト27の二次転写ローラ33と対向する二次転写位置の下流側(図に矢印で示すベルト12の回動方向の下流側)近傍にトナー付着量検知センサ41が配設される。トナー付着量検知センサ41は各色感光体ドラム(Y〜K)10から中間転写ベルト27に転写されたトナー付着量、例えば、適時に転写されるテストパターンのトナー付着量を計測するもので、計測方法としては反射型光学センサの出力がトナー付着量によって変化する性質を用いるのが一般的である。
【0053】
二次転写ニップn2を通過した後の中間転写ベルト27上には、記録紙に転写されなかったトナーが僅かに残って付着している。これは、ベルトクリーニングユニット28によってクリーニングされる。なお、ベルトクリーニングユニット28は、クリーニングブレード281を中間転写ベルト27の表面に当接させており、これによって、ベルト上の転写残トナーを掻きとって除去する。
中間転写ベルト27上から除去された転写残トナーは、不図示の廃トナーボトルに収容され、廃棄される。
【0054】
二次転写ニップn2の上方には、定着ユニット34が配設されている。この定着ユニット34は、電磁誘導発熱層を内包する定着ローラ35、定着ローラ35と所定圧力で当接され、所定のニップ幅を形成する加圧ローラ36、図示しない温度センサ等で構成されている。定着ローラ35の図中左側に、定着ローラ35内の電磁誘導発熱層を発熱させるための電磁誘導手段であるIHコイルユニット37を有する。定着ローラ35は、IHコイル37による電磁誘導で加熱される。各ローラは図示しない駆動源によって加圧ローラ36が時計方向に、定着ローラ35は反時計方向に回転移動する。
【0055】
二次転写ニップn2を通過した記録紙は、中間転写ベルト27から分離した後、定着ユニット34内に送られる。そして、定着ユニット34の定着ニップに挟まれながら図中下側から上側に向けて搬送される過程で、定着ローラ35によって加熱され、同時に定着ニップで加圧されてトナー画像が記録紙上に定着せしめられる。
このようにして定着処理が施された記録紙は、排紙ローラ対38を経由して機外に排出され、プリンタ本体100の上面fにスタックされる。
【0056】
転写ユニット20の上方には、Y、C、M、Kトナーを収容する各色のトナーボトル39が配設されている。トナーボトル39に収容された各色のトナーは、各色のプロセスユニット2(Y〜K)の現像ユニット4側の搬送剤収容室m1や、現像剤補給機51を介して搬送剤収容室m1に適宜トナー補給される。これらトナーボトル39は、プリンタ本体100から脱着可能となっており、ボトル内のトナー残量がなくなると、トナーボトルを交換できるかたちになっている。これらのトナー補給動作やプレミックス剤補給動作は、制御部36によって制御される。例えば、制御部36は、上述のトナー濃度センサ14からの出力信号に基づいて、直接、あるいは、現像剤補給機51の駆動を制御して、所定の攪拌時間での攪拌処理の後、搬送剤収容室m1にトナーを補給する。
【0057】
次に、本発明の一実施形態であるフルカラープリンタにおいて実行するプロセスコントロールの内容の一例について説明する。なお、以下には本発明の一実施形態を示すものであって、作像条件の制御タイミングや制御方法を限定するものではない。
(1)装置立ち上げ
電源投入による装置立ち上げにより、各種モータや各種バイアスがオンされ、プロセスコントロールを実行するための準備が行われる。
(2)必要に応じてトナー付着量検知センサ41を校正する。
本例では、トナー付着量検知センサ41(光学センサ)の正反射受光出力が4VになるようにLEDの発光光量を調整する。ただし、センサの校正自体は本発明において必須ではない。
(3)現像ユニット4のトナー濃度センサ(透磁率センサ)14の出力(VT0)を取得する。これは現在のトナー濃度を知るために測定するものであって、後述するトナー濃度の補正(Vtref)に必要なものである。
(4)階調パターンを作成する。
これは現像γを検出するために必要であり、本例では具体的に、トナー付着量検知センサ41が設けられた位置(中間転写ベルト27が巻回されたローラの軸方向の位置)に対応するよう、主走査方向の幅15mm、副走査方向の幅16mm、パターン間隔50mmで10個の階調パターン(テストパターン)を形成する。そのパターン形成の書き込みに際し、露光量はフル露光(感光体ドラムが充分に除電される値)とし、現像バイアス:VBと帯電バイアス:Vdをパターンごとに変更することで階調パターンを作成する。
(5)階調パターンをトナー付着量検知センサ41で検出する。
上記作成し中間転写ベルト27に転写させた階調パターンにおける各パターンのトナー付着量をトナー付着量検知センサ41で計測する。本例では上記のように反射型光学センサを用いている。
(6)現像γと現像開始電圧を求める。
現像γと現像開始電圧は、現像バイアスとトナー付着量の関係から求める。具体的には、横軸を現像ポテンシャルまたは現像バイアスVB(潜像側の帯電バイアスVdを一定とした場合)、縦軸をトナー付着量とし、最小二乗法により1次直線式(図3参照)を求める。その1次直線式の傾きを現像γと呼び、X切片を現像開始電圧と呼ぶ。
(7)目標トナー付着量を得るのに必要な現像バイアスVBを求める。
上記1次直線式にもとづき、目標トナー付着量(縦軸)から現像バイアス(横軸)VBを求める。目標トナー付着量はあらかじめトップ濃度(ダーク部)を得るのに必要な値が決められている(トナー顔料の着色度合いで決まるが、一般的には0.4〜0.6mg/cm2程度である)。
ここで求めた現像バイアス値を画像部の現像バイアス:VBとする。一方、帯電バイアス:Vdは、キャリアが感光体に飛翔しない程度の値であらかじめ決定されている(VB=400〜700V、Vd=VB+100V程度が一般的である)。このようにして求めたVB及びVdを本体内の制御部36のRAMに保存する。
(8)トナー濃度目標値(VTREF)を補正する。
現像γとトナー濃度センサ出力(VT0)からトナー濃度目標値(VTREF)を補正する。
すなわち、Δγ=現像γ検出値−現像γ目標値、を求める。ここで、現像γ目標値はあらかじめ装置毎に決められ、例えば1.0mg/cm2/kV{現像ポテンシャルが1000V(1kV)で1.0mg/cm2のトナーが感光体に付着するの意味を示し、現像開始電圧=0V、目標トナー付着量が0.5mg/cm2であれば、500Vの現像ポテンシャル(Vp)が必要となる。Vp=VB−V1であるので、V1=100Vとすると、VB=600Vとなる。V1は露光後電位をあらわし、充分露光した場合の感光体電位なので感光体特性に依存する}とする。Δγが所定の値を超えるとVBが設定可能な範囲を超えたり以上画像が発生するので、Δγが目標範囲になるようにトナー濃度の目標値(VTREF)を補正する。ただし、このときのVT0がVTREFと大きく異なっているときは補正を行わない。
【0058】
補正の例を示すと
補正条件1:Δγ≧0.30mg/cm2/kV(高い)でかつVT0−VTREF≧−0.2Vのとき、VTREF=VT0−0.2V。つまり、現時点よりトナー濃度を下げるように目標値を設定する。
補正条件2:Δγ≦0.30mg/cm2/kV(低い)でかつVT0−VTREF≦0.2Vのとき、VTREF=VT0+0.2Vつまり、現時点よりトナー濃度を上げるように目標値を設定する。
補正条件1及び補正条件2以外ではVTREF=前回値とする。
【0059】
次に、本実施形態のフルカラープリンタ1におけるトナー補給制御について説明する。ただし、トナー補給制御自体は従来周知なものと同様である。
(1)1枚目の印刷開始
(2)トナー濃度センサ14の出力(VTn)を取得する。
(3)画素数と解像度から画像面積を算出する。
(4)画像面積とVTnと目標値VTREFの差から2枚目印刷時に補給すべきトナー付着量を算出する。
(一例を挙げると、)
次回印刷時のトナー補給量(mg)=比例係数1×(VTn−VTREF)+比例係数2×画像面積×(1+比例係数3×(VTn−VTREF))
ただし、比例係数1、2、3は定数とし、
比例係数1=50
VTn=3.20V
VTREF3.00V
比例係数2=0.5
画像面積=31cm2
比例係数3=0.5
とすると、
次回印刷時のトナー補給量=10+0.5×31×(1+0.5×0.2)=27.05mgとなる。
(5)次回の印刷を開始したら、所定の時間だけトナー補給クラッチ(不図示)をオンする。そのオン時間は(4)で算出されたトナー補給量と補給システムの補給能力にて決定する。これにより、現像ユニット4の第一現像剤収容部m1にトナーを補給し、現像剤中のトナー濃度を所望の目標値VTREFに修正する。
【0060】
以下、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの各実施形態に限定されるものではない。
【0061】
次に、実施形態1としてのフルカラープリンタ1でのトナー補給の制御構成例を説明する(請求項1に応じた例)。
一般に2成分現像剤において、トナー濃度Tcとトナー帯電量Q/Mの間には反比例の関係が成り立つことが知られている。また、現像能力(現像γ)とトナー帯電量Q/Mの間にも反比例の関係が成り立つことが知られている。
【0062】
さらに、画像面積率(%)を一定にして画像出力を行った場合、トナーの現像機内平均滞在時間は画像面積率に反比例するため、画像面積率とトナー帯電量の間には反比例の関係が成り立つ。ただしトナーの帯電量は撹拌時間がある一定時間を超えると下がる傾向にある。
本発明で用いたトナー及び現像剤を用いてトナー帯電量が飽和する(変化がなくなる)まで連続出力した場合、画像面積率とトナー帯電量の関係は図4のようになった。この結果より、図5のように画像面積率毎にトナー濃度を調整してから印刷動作を行った場合、図8の比較例中に実線に示すように、画像濃度が安定した連続出力を行うことができた。 一例として、画像面積率100%の出力を行った場合のトナー濃度推移及び画像濃度ID推移をそれぞれ図6、図7に示す。
【0063】
従来の比較例「1」(破線)、「2」の場合(破線)は、図6に示すように、印刷中(特に初期)にトナー濃度が大きく変動し、それに合わせて画像濃度(ID:破線)も比較例「1」(破線)、「2」の場合(破線)は大きく変動してしまっている。それに対して、本発明の場合(図6の実線L1)は、トナー濃度は連続印刷中、ほぼ一定b(図5中のc相当)であり、画像濃度もほぼ目標濃度に制御できている。
【0064】
更に、画像濃度(ID:実線L2)も、図7に示すように、ほぼ目標濃度(目標画像濃度ID)に制御でき、比較例「1」(破線)、「2」(破線)の場合に比べて安定した画像濃度の画像を出力することすることができる。
なお、ここでの予備攪拌時間は、トナー帯電量が図4に示す関係になるよう設定され、一例として図11のように設定すればよい。なお、上記の制御はY、M、C、Kの各現像ユニット4(Y〜K)毎に行う。これにより、単色のみでなく、2次色、3次色の安定性も向上した。
ただし、低画像面積率で多数枚数の印刷を行った後に、高画像面積率の出力を行う場合、トナー濃度調整後に、トナー飛散が発生する場合があった。このときのトナー帯電量分布を確認すると、図8に示すように、新たに現像装置内に補給された実線で示すトナー(補給トナー)と元々現像装置内で空攪拌を受けていた破線で示すトナー(現像装置内トナー)の帯電量分布は大きく分かれてしまい、このうち、現像装置内トナーの帯電していない(逆帯電している)トナーがトナー飛散を発生させていることがわかった。
【0065】
これに対して、フレッシュトナーとキャリアとでなるプレミックス剤を収容する現像剤補給機51を算出された所定の予備撹拌時間だけ攪拌する。この際、入力画像データの画像面積率を元に補給トナーの予備撹拌時間を算出してもよい。
その上で、現像ユニット4の撹拌搬送スクリュウ12を備えた搬送剤収容室m1内に補給する行程を行なう。この行程を行なうことにより、帯電量分布をひとつの山(図8に実線で示す補給トナー線図参照)にし、かつ、帯電していない(図8でマイナス側トナー帯電量)トナーを減らすことができ、トナー飛散を減らすことができた。また、図6に実線L1で示すように、本発明の場合は、比較例「1」、「2」と比べ、ジョブの初期でのトナー濃度変動を減らすことができ、図7に実線で示すように、ジョブの初期の画像濃度変動を抑制することができた。
【0066】
また、低画像面積率で多数枚の印刷をし続ける場合、トナーチリやトナーボソツキが発生する場合があった。このときのトナー帯電量分布を確認すると、図9に示すように、高帯電量のトナー(破線)が多く存在しており、これらのトナーが現像され、転写される過程で、転写電圧があっていないために、トナーチリを発生させていることがわかった。
【0067】
これに対して、フレッシュトナーとキャリアとでなるプレミックス剤を収容する現像剤補給機51を算出された時間だけ攪拌した上で、現像ユニット4の撹拌搬送スクリュウ12を備えた搬送剤収容室m1内に補給する方法を取ることで、帯電量分布を図9に実線で示すようにシャープにし、かつ、帯電量分布の平均値を小さくすることができ、トナーチリを減らすことができた。さらに、トナーの非静電的付着力の分布について調べると、図10のように、プレミックス剤を収容する現像剤補給機51内で算出された時間だけ攪拌した上で、現像ユニット4内に補給する方法を取ることで、非静電的付着力の分布をシャープにし、かつ非静電的付着力分布の平均値を小さくすることができ、トナーボソツキを減らすことができた。
【0068】
次に、実施形態2としてのフルカラープリンタ1でのトナー補給の制御構成例を説明する(請求項2に応じた例)。
図1に示したフルカラープリンタ1では、印刷前に画像面積率に応じてトナー濃度を調整する行程を行なう必要がある。このため、これに必要な予備攪拌時間はユーザーにとってはダウンタイムとなってしまう。また、トナーを吐き出したり、補給することからトナーイールドの減少にもつながる。そこで、これに対して請求項1の予備攪拌時間での攪拌制御を行うかどうかを選択式にしても良い。ここでは、例えば、プリンタ本体100の上壁面に不図示の操作パネルを設け、同操作パネル内に、ダウンタイムを回避する回避モード、あるいはダウンタイムを許容する待機モードかの判断指令を入力する判定スイッチ(タッチスイッチ)を設けておき、これを選択操作することで、ユーザーの使用目的に応じた画像出力を行えるようにした。これにより、ユーザーの要望に合わせ、画像品質を優先するか、トナーイールドや印刷前調整時間(ダウンタイム)を最小とすることを優先するかを選択できる。
【0069】
次に、実施形態3としてのフルカラープリンタ1でのトナー補給制御に沿った制御構成例を説明する(請求項3に応じた例)。
請求項1に記載のフルカラープリンタ1では、特に、低画像面積率で連続印刷を行う前に図5の関係より予めトナー濃度を調整しても、印刷枚数を重ねると画像濃度が低下してしまう現象が確認された。
【0070】
この点に関する研究を重ねた結果、これは前に実行された印刷ジョブが白紙通紙(現像機空撹拌)の場合に発生することが確認された。これはトナーの劣化(添加剤離脱及び埋没)が原因で現像能力が低下していることが原因であると推察される。そこで、上記の推察をもとに、過去の一定枚数の白紙印刷履歴に応じて、出力画像データの画像面積率を元に算出されたトナー濃度を補正する。これにより、印刷枚数を重ねても画像濃度の低下がおこらないことを確認できた。
【0071】
一例として、「表1」に過去5000枚の白紙通紙履歴に応じた目標トナー濃度補正量を示す。ここでは1000枚毎で3000枚までを区切った枚数領域の増加に応じて表1の指示値に応じて目標トナー濃度補正量(%)を増加調整し、これを用いて次回印刷時のトナー補給量を補正し、画像濃度低下を防止できた。
【0072】
【表1】
【0073】
次に、実施形態4としてのフルカラープリンタ1でのトナー補給制御に沿った制御構成例を説明する(請求項4に応じた例)。
請求項1に記載のフルカラープリンタ1では、特に、高画像面積率で連続印刷を行う前に図5の関係より予めトナー濃度を調整しても、印刷枚数を重ねると画像濃度が上昇してしまう現象が確認された。
【0074】
この点に関する研究を重ねた結果、これは現像剤走行距離に応じて発生することが確認された。これはキャリアの劣化(トナー添加剤付着)が原因でキャリア帯電能力が低下していることが原因であると推察される。上記の推察をもとに、現像剤寿命に応じて、出力画像データの画像面積率を元に算出されたトナー濃度を補正すると、印刷枚数を重ねても画像濃度の上昇がおこらないことを確認できた。
【0075】
一例として、「表2」に現像剤寿命に応じた目標トナー濃度補正量を示す。ここでは100枚毎で区切った枚数領域の増加に応じて「表2」の指示値に応じて目標トナー濃度補正量(%)を減少調整し、画像濃度上昇を防止することができた。
【0076】
【表2】
【0077】
次に、実施形態5としてのフルカラープリンタ1でのトナー補給の制御構成例を説明する(請求項5に応じた例)。
図1に示したフルカラープリンタ1等の画像形成装置では、一般にトナー帯電量は温湿度の影響を受け、高温高湿の場合は帯電量が低下し、低温低湿の場合は帯電量が上昇することが知られている。この点を補正するため、フルカラープリンタ1(マシン)の置かれた湿度(%)−温度(℃)の環境区分(図12参照)に応じて、「表3」のように、3段階の各環境区分に応じて目標トナー濃度補正量を変更して設定した。この場合、定常の環境区域MMに対し、高温高湿HHの場合は帯電量低下による画像濃度増を抑え、低温低湿の場合は帯電量増加による画像濃度低下を補正した。ここで、「表3」は一例であり、3つの環境区分に対して補正値を設定しているが、環境区域をより細かく分け、各区分に応じて目標トナー濃度補正量を設定して補正制御しても良い。
【0078】
【表3】
【0079】
次に、実施形態6としてのフルカラープリンタ1でのトナー補給の制御構成例を説明する(請求項6に応じた例)。
図1に示したフルカラープリンタ1等の画像形成装置では、一般にトナー帯電量は放置時間によって低下することが知られている。
ここでは請求項1に記載のトナー補給の制御構成に、一例として図8の制御構成を加えるよう設定される。なお、上記の制御はY、M、C、Kの各現像ユニット4(Y〜K)毎に行う。これにより、単色のみでなく、2次色、3次色の安定性も向上した。
【0080】
具体的には、マシンの放置時間に応じて「表4」のように、目標トナー濃度調整後の予備撹拌時間を変更した場合、放置時間によらずに画像濃度の安定した画像出力を行うことができた。ここでは放置時間(h)の増加に応じて「表4」の指示値に応じて調整撹拌時間(秒)を増加して予備撹拌時間に加算調整し、画像濃度を安定させることができた。
【0081】
【表4】
【0082】
なお、「表4」は一例であり、放置時間に対して段階的に補正値を設定しているが、放置時間に対して連続的に補正値を設定しても良い。
以上、本発明を図示例により説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、現像装置としては適宜な構成を採用可能である。また、現像装置内のトナー濃度センサやトナー補給装置も適宜な構成を採用可能である。また、トナー付着量検知センサの構成及び配置場所も適宜変更可能である。トナー付着量は像担持体(感光体)上のトナー付着量を直接検知する構成でも良い。画像形成装置の作像部や露光装置の構成も任意である。また、画像形成装置のトナー像形成手段としてはフルカラー装置に限らず、モノクロ装置あるいは複数色のカラー装置にも本発明を適用可能である。
【0083】
画像形成装置としてはプリンタに限らず、複写機やファクシミリ、さらには、複数の機能を備える複合機であっても良い。これらの各実施形態の場合も、図1の画像形成装置と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0084】
1 フルカラープリンタ(画像形成装置)
4 現像ユニット
10 感光体(像担持体)
14 トナー濃度センサ(トナー濃度検知手段)
36 制御部
41 トナー付着量検知センサ
51 現像剤補給機(補給容器)
59 回収容器
VT0 トナー濃度センサの出力
Vtref トナー濃度の補正値
VTREF トナー濃度の目標値
【先行技術文献】
【特許文献】
【0085】
【特許文献1】特開2007−79429号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の潜像担持体上に潜像を形成し、現像装置でトナーを付着させることによって潜像を可視像化し、得られた可視像を記録紙に転写して記録する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真装置では現像装置において、温湿度の変化や経年劣化により現像剤の帯電量が変化する。例えば、トナー消費による現像剤のトナー濃度の低下に応じて、新たなトナーを現像剤に補給するが、この補給に伴い2成分現像装置ではキャリアが撹拌等による繰り返し操作を受けてストレス付与で劣化し、トナーの帯電量が変化する。具体的には、高面積率の画像の出力頻度が高いユーザーでは、キャリア表面にトナー成分を固着させるスペントと呼ばれる現象によってキャリアを劣化させることでトナーの帯電量を低下させてしまう。
【0003】
一方、低面積率の画像の出力頻度が高いユーザーでは、キャリア粒子表面のコート膜が削れてトナーとの摩擦抵抗が上昇し、トナーの帯電量を増加させてしまい、帯電量が多くなり過ぎると、トナーとキャリアとの間の静電的付着力の過多により、画像濃度不足を引き起こしてしまう。
このように経時的に現像剤の帯電量が変化すると、その結果として、現像能力の大小を表す値である現像γが変化する。
【0004】
ここで、現像γとは、現像ポテンシャルまたは現像バイアスVB(潜像の電位が一定)とトナー像に対する単位面積あたりのトナー付着量との関係を示す直線の傾き(図3参照)のことである。また、現像ポテンシャルとは、感光体等の潜像担持体に担持された潜像の電位と、現像ローラ等の現像剤担持体に印加される現像バイアスとの電位差である。この現像γは、互いに異なる現像ポテンシャルの条件下でそれぞれ所定のトナー像を現像し、それぞれのトナー像に対するトナー付着量をフォトセンサによって検知し、検知結果に基づいて現像ポテンシャルとトナー付着量との関係を示す直線式の傾きを現像γとして求めることができる。
【0005】
このような現像能力の大小を表す値である現像γが変化すると、同一画像形成条件(現像ポテンシャル)では、トナー付着量が変化するため画像濃度や色再現性が変化してしまう。そこで現像γが変化したら、そのときの現像γに応じて、画像形成条件を最適に制御する現像ポテンシャル制御が用いられる。
【0006】
また、2成分現像装置では、現像剤中のトナー濃度を適正に制御しないと、即ち、トナーとキャリアとの静電的付着力の不足により、非画像部にトナーを付着させる地肌汚れ(トナー飛散、トナーチリ、トナーボソツキ)や、トナー飛散による機内汚染を引き起こすし、キャリア付着による画像抜けなどの異常画像が発生する。
そこで現像器内のトナー透磁率を測定するトナー濃度センサや印刷画像面積の情報に基づいて、トナー濃度が所定の値になるように制御している。
【0007】
ところが常に一定のトナー濃度であると、現像γが大きく変化した場合、現像ポテンシャルでは制御しきれないことがある。なお、現像ポテンシャルで制御しきれない理由としては、例えばレーザー露光における多値階調の場合において現像ポテンシャルが低すぎると階調つぶれが発生する。逆に現像ポテンシャルが大きすぎる場合、電源の容量を大きくしなければならずコストが高くなる。強電界で現像すると付着力が増大して転写不良が発生する等の問題による。
【0008】
そこで従来装置では、トナー濃度が正常に制御されているのに、現像γが大きく目標からはずれている場合は、トナー濃度の制御目標値を変更することを行っている。例えば、トナー濃度5wt%で制御されていて、現像γが目標値から0.3mg/cm2・kV小さい場合には、トナー濃度の制御目標値を7wt%にする、等である。また、現像γを検出する際に同時に必要なトナー付着量が得られるため、現像ポテンシャルを算出してそれ以降の画像形成に用いている。
【0009】
ところでトナー濃度の目標値を変更した場合、例えば上記のように5→7wt%に変更した場合、画像形成(印刷)前に事前に目標トナー濃度になるまでトナー補給やトナー消費を行う場合と、トナー濃度が所定の時定数で目標値に追従するように印刷中に補給制御目標値を変更する場合がある。前者の場合は印刷前準備としてトナー濃度の調整を行うので装置のダウンタイムが発生する(待ち時間が長くなる)。後者の場合はダウンタイムは発生しないが、印刷中にトナー濃度が変化するので画像濃度が変化してしまう。
【0010】
この課題に対し、特許文献1に記載の技術では、現像装置内のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段を有し、トナー付着量検出手段の検出出力及びトナー濃度検知手段の検知出力に基づいて現像装置におけるトナー濃度目標値を補正するとともに、該補正結果に基づいて次回のプロセスコントロール実行時期を決定している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献1の技術では、トナー濃度を変化させている最中にプロセスコントロールが実行され、そのたびにトナー濃度目標値を積極的に変化させて画像濃度を一定に保つ制御方法であるが、出力する画像面積率が大きく振れた場合、現像能力が変動し、その前後で画像濃度及び色味が変動してしまうことは避けられない。
具体的に一例を挙げると、低画像面積率(0%)→高画像面積率(100%)の場合は、急激にトナー帯電量が下がるのに対してキャリアとトナーとからなるプレミックス剤を現像装置内に供給するトナー補給制御が十分追従できず(トナー濃度を下げることができず)に、現像能力(現像γ)が大きく上昇してしまい、画像濃度は上昇し(色味は変動し)、画像濃度が安定しない。
【0012】
そこで、本発明者は、これに対処すべく、予め画像出力前に、出力画像データの画像面積率を元に算出されたトナー濃度に合わせ、予備攪拌を実施した後に、プロセスコントロールを実施してから印刷開始するよう構成することが考えられ、これにより、印刷中にトナー濃度目標値が変わらず、トナー補給制御がゆるやかになり、十分に追従でき、画像濃度および色味は安定すると推考した。さらに、このような場合であってもトナー濃度目標値が大きな値に変わった場合に、予め画像出力前にキャリアとトナーとからなるプレミックス剤の攪拌を実施してから現像容器内でトナー濃度に合わせる予混合をしても、後からの多量のトナー補給動作を行うことと成るため、現像機内のトナーは余分な攪拌を受け、逆に、プレミックス剤を含む補給トナーとの攪拌は不足となるため、条件によっては、トナー飛散、トナーチリ、トナーボソツキ等が発生する場合があると見做される。
【0013】
本発明は、上述背景に鑑みなされたものであり、第1に、攪拌したプレミックス剤を補給される現像装置を用いた印刷中に、トナー飛散、トナーチリ、トナーボソツキなどの異常画像の発生なく、安定した画像濃度の画像を出力することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【0014】
更に、画像品質かトナーイールド(トナー補給容器1本当たりのコピー枚数)や印刷前調整時間(ダウンタイム)の最小を優先するかを選択可能とする、又は、現像剤の帯電状態にかかわらずに、又は現像剤の寿命にかかわらずに、又は、環境によらずに、又はマシン放置時間によらずに、安定した画像濃度の画像を出力することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は前記課題を達成するため以下の構成とした。
第1の発明は、像担持体と、該像担持体上に形成した静電潜像にトナーを付与して現像し、かつ、キャリアとトナーとからなるプレミックス剤を収容する補給容器と、当該装置本体に連結し、装置本体から排出される現像剤を回収する回収容器とを有する現像装置を備え、前記現像装置により現像した画像のトナー付着量を検出するトナー付着量検出手段を有し、基準パターンのトナー付着量を前記トナー付着量検出手段で検出して画像形成条件を制御するプロセスコントロールを行なう画像形成装置において、前記現像装置内のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段を有し、予め画像出力前に、出力画像データの画像面積率を元に算出された量の補給トナーを、プレミックス剤を収容する補給容器内で算出された時間だけ攪拌した上で、現像装置内トナーに加えた後に、前記トナー付着量検出手段の検出出力、及び、前記トナー濃度検知手段の検知出力に基づいて前記現像装置におけるトナー濃度目標値を補正することを特徴とする。
【0016】
第2の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、プロセスコントロール及び画像出力を行う前に、出力画像データの画像面積率を元に算出された量の補給トナーを、プレミックス剤を収容する補給容器内で算出された時間だけ攪拌した上で、現像装置内トナーに加える動作を行うかどうか、を選択可能であることを特徴とする。
【0017】
第3の発明は、請求項1または2に記載の画像形成装置において、過去の一定枚数の印刷履歴に応じて、出力画像データの画像面積率を元に算出されたトナー補給量を補正することを特徴とする。
【0018】
第4の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、現像剤交換後の現像ロール走行距離に応じて、出力画像データの画像面積率を元に算出されたトナー補給量を補正することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0019】
第5の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、温度及び湿度に応じて、出力画像データの画像面積率を元に算出されたトナー補給量を補正することを特徴とする。
【0020】
第6の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、放置時間に応じて、出力画像データの画像面積率を元に算出された補給トナーの予備撹拌時間を調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の画像形成装置によれば、予め画像出力前に、出力画像データの画像面積率を元に算出された量のトナーを含むプレミックス剤を補給容器内で算出された時間攪拌した上で、現像装置内トナーに加えた後に、プロセスコントロールを行い、画像出力を行う(画像形成を行う)にあたり、印刷中のトナー濃度変動及び、トナー帯電量変化を小さくすることができ、トナー飛散、トナーチリ、トナーボソツキなどの異常画像の発生なく、安定した画像濃度の画像を出力することができる。
【0022】
請求項2に記載の画像形成装置によれば、予め出力画像データの画像面積率から算出された量の補給トナーをプレミックス剤を収容する補給容器内で算出された時間だけ攪拌して算出のトナー濃度に合わせてから、プロセスコントロール及び画像出力を行うかどうかを選択可能にすることで、画像濃度、色安定性またはトナーイールドを優先するか、印刷前調整時間(ダウンタイム)最小を優先にするかをお客様の要望に応じて選択できる。
【0023】
請求項3に記載の画像形成装置によれば、現像剤帯電状態に応じてトナー補給量を補正することで、現像剤の全寿命にわたって、印刷中に、トナー飛散、トナーチリ、トナーボソツキなどの異常画像の発生なく、安定した画像濃度の画像を出力することができる。
【0024】
請求項4に記載の画像形成装置によれば、現像剤交換後の現像ロール走行距離に応じてトナー濃度目標値を補正することで、現像剤の全寿命にわたって、印刷中に、トナー飛散、トナーチリ、トナーボソツキなどの異常画像の発生なく、安定した画像濃度の画像を出力することができる。
【0025】
第5に記載の画像形成装置によれば、温度及び湿度に応じて、出力画像データの画像面積率を元に算出されたトナー濃度を補正することで、環境によらずに、印刷中に、トナー飛散、トナーチリ、トナーボソツキなどの異常画像の発生なく、安定した画像濃度の画像を出力することができる。
【0026】
請求項6に記載の画像形成装置は、マシン放置時間に応じて、出力画像データの画像面積率を元に算出された補給トナーの予備撹拌時間を調整することで、放置時間によらずに、印刷中に、トナー飛散、トナーチリ、トナーボソツキなどの異常画像の発生なく、安定した画像濃度の画像を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係るカラー画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】作像ユニットの構成を示す図である。
【図3】発明に係る画像形成装置で用いる現像剤の現像γ―トナー濃度の特性を示す特性線図である。
【図4】図1の画像形成装置で用いる画像面積率―トナー帯電量の特性線図である。
【図5】図1の画像形成装置で用いる画像面積率―トナー濃度の特性線図である。
【図6】現像装置内のトナー濃度の印刷枚数の増加に伴なう経時変化特性図である。
【図7】本発明に係る画像形成装置による画像濃度の経時変化特性図である。
【図8】現像装置内のトナー帯電分布の特性線図で、トナー飛散発生時の場合の線図である。
【図9】現像装置内のトナー帯電分布の特性線図で、トナーチリ発生時の場合の線図である。
【図10】現像装置内のトナー帯電分布の特性線図で、トナーボソツキ発生時の場合の線図である。
【図11】図1の画像形成装置の画像面積率―予備攪拌時間の特性線図である。
【図12】図1の画像形成装置の温度、湿度をパラメーターとした環境区分設定マップである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について、添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のプリンタの一実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係るプリンタ1の基本的な構成について説明する。図1は、本実施形態に係るプリンタ1を示す概略構成図である。同図のプリンタは、トナー像形成手段たるプロセスユニット2として、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック(以下、Y、C、M、Kと記す)用の4つのプロセスユニット2を備えている。これらは、画像を形成する画像形成物質として、互いに異なる色のY、C、M、Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっている。
【0029】
ここでは、Yトナー像を生成するためのプロセスユニット2Yを図2に記載する。なお、図2中では各構成部材に符号Yの添え字を付すが、以下の記載では簡素化のため、必要箇所以外は添え字を略して記載する。
図2に作像手段たるプロセスユニット2Yの断面概略図を示す。
Yトナー像を生成するためのプロセスユニット2Yは感光体ユニット3と現像装置である現像ユニット4とを有し、感光体ユニット3と現像ユニット4は一体的にプリンタ本体100に対して着脱可能となっている。
【0030】
感光体ユニット3は、潜像担持体たるドラム状の感光体ドラム10(以下、感光体とも表記する)、感光体ドラム10に付着した転写残トナー等を除去し回収する潜像担持体クリーニング手段たるドラムクリーニング装置5、感光体ドラムの表面摩擦係数を所定の値にするための滑剤塗布ブラシ6および滑剤(ステアリン酸亜鉛)8、滑剤を感光体ドラム10上に均一に塗布するための滑剤塗布ブレード8、感光体ドラム10を均一に帯電するための帯電ローラ9などを有している。帯電ローラ9は、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動する感光体ドラム10の表面を図示しない帯電バイアス印加手段からAC電圧にDC電圧を重畳した帯電バイアスを印加して一様に帯電させる。つづいて、画像信号に対応した露光ユニット11から発せられるレーザ光によって露光走査されて静電潜像を形成する。
【0031】
現像ユニット(現像装置)4は、図中反時計方向に回転するのに伴って自らの表面と感光体1の表面とが対向する現像領域に現像剤を搬送する現像剤担持体としての現像スリーブ15を有している。この現像スリーブ15の図中左側方には、供給スクリュウ17を具備する供給剤収容室m3が形成されている。供給スクリュウ17は回転軸とこの回転軸に設けられた羽部とを備え、自らの回転にともなって現像剤を回転方向に撹拌しながら相対的に回転軸線方向に搬送する。図示の例では、現像剤を現像スリーブ15の軸線方向に沿って、図紙面に直交する方向の手前側から奥側に向けて搬送する。このようにして現像剤が搬送される供給剤収容室m3は、その現像剤搬送方向のほぼ全域が、図中右側の現像スリーブ収容空間と連通している。
【0032】
現像スリーブ15は非磁性材料からなる筒状の部材からなり、この現像スリーブ15の内部には、周方向に並ぶ複数の磁極を具備するマグネットローラが、現像スリーブに連れ回らないように回転不能に固定されている。供給スクリュウ17によって現像剤を手前側から奥側へと搬送する供給剤収容室m3内の現像剤は、マグネットローラの発する磁力によって現像スリーブ5の表面に引き寄せられる。これにより、現像スリーブ15は、供給スクリュウ8との対向領域である被供給領域を通過するのに伴って、供給スクリュウ8上の現像剤を汲み上げて自らの表面に担持する。そして、自らの回転に伴って、表面上の現像剤を現像領域に向けて搬送する。
【0033】
現像スリーブ15の周面における被供給領域よりも表面移動方向下流側で且つ現像領域よりも上流側の箇所に対しては、現像ドクタ16の先端が所定の間隙を介して対向している。現像スリーブ15の回転に伴って現像領域に向けて搬送されるスリーブ表面上の現像剤は、この間隙をすり抜ける際にスリーブ上での層厚が規制されたり、トナーの摩擦帯電が促されたりする。
【0034】
現像スリーブ15の導電性内周面、あるいは現像スリーブ15の内部に配設される電極には、図示しない電源によってトナーの帯電極性と同極性の現像バイアスが印加されている。また、感光体10の表面は、帯電器によってトナーの帯電極性と同極性に一様帯電される。また、感光体10の表面に形成された静電潜像も、一様帯電部(地肌部)と同様にトナーの帯電極性と同極性に帯電しているが、その電位が地肌部よりも大幅に低くなっている。そして、上述した現像バイアスは、感光体10の地肌部電位と潜像電位との間の電位になっている。これにより、現像領域においては、感光体10の静電潜像と、現像スリーブ15との間に、トナーをスリーブ側から潜像側に向けて静電移動させる現像ポテンシャルが作用する。また、感光体10の地肌部と、現像スリーブ15との間に、トナーを地肌部側からスリーブ側に向けて静電移動させる非現像ポテンシャルが作用する。
【0035】
現像領域に進入した現像スリーブ15の表面上の現像剤は、図示しないマグネットローラの現像磁極の発する磁力によってスリーブ表面上で穂立ちして磁気ブラシとなり、スリーブの表面移動に伴ってブラシ先端を感光体10の表面に摺擦させる。そして、上述の現像ポテンシャルの作用により、ブラシ先端部のトナーを磁性キャリア表面から離脱させて感光体10上の静電潜像に付着させる。この付着により、感光体10上の静電潜像が現像されてYトナー像になる。
【0036】
現像スリーブ15の図中下方には、回収スクリュウ13を具備する回収剤収容室m2が形成されており、その現像剤搬送方向のほぼ全域を、図中上側の現像スリーブ収容空間に連通させている。回収スクリュウ13は、その回転に伴って、現像剤を現像スリーブ15の回転軸線に沿って図中手前側から奥側へと搬送する。現像スリーブ15とこの回収スクリュウ13との対向部は、現像剤をスリーブ表面から回収スクリュウ13に回収する回収領域になっている。具体的には、現像スリーブ15に内包される図示しないマグネットローラにおけるこの回収領域との対向部では、互いに同極性の磁極が隣り合っており、これによって反発磁界が形成されている。現像スリーブ15の回転に伴って現像領域から回収領域に移動したスリーブ上の現像剤は、この反発磁界による反発磁力の作用によってスリーブ表面から離脱して、回収スクリュウ13上に落下する。これにより、スリーブ表面から回収スクリュウ13への現像剤の回収が行われる。
【0037】
回収剤収容室m2の図中左側方であって且つ供給剤収容室m3の図中下方には、撹拌搬送スクリュウ12を具備する搬送剤収容室m1が設けられている。撹拌搬送スクリュウ12は、その回転に伴って、現像剤を現像スリーブ15の回転軸線に沿って図中奧側から手前へと搬送する。搬送剤収容室m1と回収剤収容室m23とは仕切壁w1によって仕切られているが、この仕切壁w1には図紙面に直交する方向の奥側端部に図示しない開口が形成されており、両搬送路はこの開口の部分で連通している。回収スクリュウ13の回転に伴って回収剤収容室m2の図中奥側端部まで搬送された現像剤は、この開口を通って搬送剤収容室m1内に進入する。そして、撹拌搬送スクリュウ12の回転に伴って、回収剤収容室m2内とは逆に、図中奥側から手前側に向けて搬送される。
【0038】
搬送剤収容室m1と、供給剤収容室m3との間は仕切壁w2によって仕切られているが、この仕切壁w2には図中奥側端部付近と、図中手前側端部とにそれぞれ開口が設けられており、両搬送路はこれらの開口の部分でそれぞれ連通している。なお、搬送剤収容室m1における現像剤搬送方向上流側端部付近には、図示しない補給口が設けられており、この補給口を通して、搬送剤収容室m1内の現像剤にトナーやプレミックス剤が現像剤補給機51より補給される。現像剤補給機51は不図示の容器内のキャリアとフレッシュトナーとでなるプレミックス剤を不図示のアジテータ等の攪拌手段で攪拌し、不図示の供給ローラの回転によって搬送剤収容室m1内へ適宜補給する。
【0039】
次に、これまで説明してきた3つの収容室(m1、m2、m3)内での現像剤の循環について説明する。
搬送剤収容室m1から現像剤の供給を受けた供給剤収容室m3では、現像スリーブ15に現像剤を供給しながら、供給スクリュウ17の搬送方向下流側に現像剤を搬送する。そして、搬送方向下流端まで搬送された現像剤は仕切壁w2の開口を通って搬送剤収容室m1に返送(破線mで示す)される。
一方、現像スリーブ15の表面上から回収剤収容室m2内に回収された後、回収スクリュウ13によって回収剤収容室m2の搬送方向下流端まで搬送された回収現像剤は、仕切壁w1の奥側の開口を通して搬送剤収容室m1に送られる。
【0040】
そして、搬送剤収容室m1は、搬送方向上流側端部において、供給剤収容室m3から返送された現像剤と、回収剤収容室m2からの回収された現像剤と、現像剤補給機51から進入してきた新たなプレミックス剤とを攪拌混合しながら、搬送方向下流側に搬送する。搬送剤収容室m1の現像剤搬送方向下流側端部まで搬送された現像剤は、第1仕切壁w2の不図示の開口を上昇移動(破線nで示す)して供給剤収容室m3に送られる。なお、搬送剤収容室m1の底壁にはトナー濃度センサ14が設けられている。
【0041】
そして、現像剤補給機51はY、M、C、K用として設けられ、これらのトナー補給動作やプレミックス剤補給動作は、制御部36によって制御される。例えば、制御部36は、上述のトナー濃度センサ14からの出力信号に基づいて現像剤補給機51の駆動を制御して、搬送剤収容室m1にトナーを補給させる。
図2に示すように、供給剤収容室m3には、室内の現像剤が所定の嵩(レベル)を越えた場合にその一部を現像ユニット4の装置本体から外部に排出するためのオーバーフロー開口54が設けられ、オーバーフロー開口54に続く装置本体側の接続口58には排出される現像剤を回収する回収容器59が離脱可能に取り付けられる。このオーバーフロー開口54のレベルよりも上位に達した現像剤は、オーバーフロー開口54をオーバーフローし、さらに、接続口58を経て回収容器59に排出される。
【0042】
供給剤収容室m3の隣には、オーバーフロー開口54からオーバーフローしてくる余剰現像剤を受け入れる余剰剤受入室m4が配設されている。余剰剤受入室m4にオーバーフローした余剰現像剤は、余剰剤受入室m4に設けられたスクリュウ部材としての排出スクリュウ55の回転駆動に伴って接続口56を経て回収容器57に排出される。
さらに、本プリンタでは、供給スクリュウ17の回転に伴って飛び跳ねてしまった現像剤のオーバーフロー開口54に向かう経路上に、現像剤のオーバーフロー開口54への進入を阻止する進入阻止部材56を設けている。これにより、供給剤収容室m3内で飛び跳ねてしまった現像剤がオーバーフロー開口54に進入することを回避することができる。
【0043】
現像ユニット4内の現像剤量が少ない場合は供給剤収容室m3から搬送剤収容室m1への現像剤の供給がスムーズに行われる。その結果、供給剤収容室m3と搬送剤収容室m1との境界である仕切壁w2に設けられた開口で現像剤Pが溢れることが無い。このため、供給剤収容室m3内の現像剤は、オーバーフロー開口54にほとんど導かれず、現像剤量が少ない状態での現像剤のオーバーフローを防止することができる。
【0044】
現像ユニット4内の現像剤量が多い状態、すなわち、供給剤収容室m3における搬送方向下流端近傍の現像剤の嵩がオーバーフローレベルを越えた場合は、供給剤収容室m3から搬送剤収容室m1へ現像剤の移動が滞留してしまう。その結果、供給剤収容室m3の搬送方向最下流部の現像剤は行き場が無くなり上方向に嵩が上昇して行く。そして、オーバーフロー開口54の高さまで嵩が上昇すると現像剤が余剰剤受入室m4に向けてオーバーフローして、余剰剤受入室2内の排出スクリュウ55によって現像ユニット4の外部に排出されることになる。
【0045】
第一現像剤収容部m1の下面には、透磁率センサからなるトナー濃度センサ14が設置されており、磁性体であるキャリア粒子とトナーの混合比を透磁率から算出し、所定のトナー濃度になるように、出力信号に基づいて現像剤補給機51(トナー補給装置)を制御して、搬送剤収容室m1にトナーを補給させる
トナー濃度センサ14による現像剤の透磁率の検知結果は、電圧信号として制御部36に送られる。制御部36はRAM等の情報記憶手段を備えており、この中にトナー濃度センサ14からの出力電圧の目標値であるVrefを格納しており、トナー濃度センサ14からの出力電圧値とVrefを比較し、図示しないトナー供給装置から比較結果に応じたトナー量を現像ユニット4中の第一現像剤収容部m1の図中奥側からトナーを補給し、現像剤中のトナー濃度を所望の値に維持する。
【0046】
トナー濃度センサ14とトナー供給装置による本制御は、各色個別(Y〜K)に実施されている。
プロセスユニット2の図中下方には、露光ユニット11が配設されている。潜像書き込み手段たる露光ユニット11は、画像情報に基づいてレーザ光を各プロセスユニット2の感光体3表面に照射する。これによって、感光体3上に静電潜像を形成する。なお、露光ユニット11は、光源たるレーザーダイオードから発したレーザ光をモータによって回転駆動されるポリゴンミラーによって走査され、複数の光学レンズやミラーを介して感光体3に照射するものである。かかる構成に代えて、LEDアレイによる露光手段を採用することもできる。
【0047】
露光ユニット11の下方には、第一給紙カセット21、第二給紙カセット22が鉛直方向に重なるように配設されている。これら給紙カセット21、22内にはそれぞれ記録媒体たる記録紙が収容されており、一番上の記録紙には第一給紙ローラ23、第二給紙ローラ24がそれぞれ当接している。図示しない駆動手段によって、所定のタイミングで給紙ローラ23、24が反時計回りに回転駆動されると、記録紙がカセットの図中右側方において鉛直方向に延在するように配設された給紙路に向けて排出される。給紙路には複数の搬送ローラ対25が配設されており、給紙路に送られた記録紙は、これらの搬送ローラ対25によって上方に向けて搬送される。
【0048】
給紙路には、レジストローラ対26が配設されている。レジストローラ対26の直前に記録紙を搬送ローラ対25から送られてくると、記録紙は一旦停止される。そして、中間転写ベルト27上に形成されたトナー画像が二次転写ニップn2に到達するタイミングに合わせて、レジストローラ対26を所定のタイミングで駆動し、記録紙を二次転写ニップn2に向けて送り出す。
【0049】
各プロセスユニット2(Y〜K)の図中上方には、表面無端移動体である中間転写ベルト27を張架しながら図中反時計回りに無端移動せしめる転写ユニットが配設されている。転写手段たる転写ユニット20は、中間転写ベルト27の他、ベルトクリーニングユニット28、中間転写ベルト27に適時に転写されるテストパターンのトナー付着量を検出するトナー付着量センサ41、各色の感光体ドラム10(Y〜K)の対向する位置に配設された一次転写ローラ29(Y〜K)、外部からの駆動を受け中間転写ベルト27を駆動せしめる駆動ローラ31、ベルトテンションローラ32、等で構成されている。なお、駆動ローラ31は、二次転写ローラ33の対向ローラを兼ねている。
【0050】
これらのローラに中間転写ベルト27は張架されながら、駆動ローラ31の回転駆動によって図中反時計回りに無端移動される。
一次転写ローラ29はベルトを挟んで感光体ドラム10に当接し、一次転写ニップn1を形成している。一次転写ローラ29に感光体3上に形成されたトナー画像のトナーとは逆極性の転写バイアスを印加することで、感光体3上のトナー画像を中間転写ベルト27上に転写する。各色の作像手段たるプロセスユニット2(Y〜K)で形成された各色のトナー画像は、中間転写ベルト27上に順次一次転写され、中間転写ベルト27上にカラー画像を形成される。
【0051】
中間転写ベルト27の外側に、駆動ローラ31である二次転写対向ローラとベルトを挟んで対向する位置に、二次転写ローラ33は配設され、バネ荷重によって、二次転写対向ローラ31に所定の荷重で当接し、二次転写ニップn2が形成されている。
中間転写ベルト27上に形成されたカラー画像は、中間転写ベルト27の回転駆動によって二次転写ニップn2に移動され、同時に、レジストローラ対26からトナー画像の二次転写ニップn2に進入と同期して記録紙を二次転写ニップn2に進入している。
【0052】
トナー像は、二次転写ローラ33と二次転写対向ローラ31との間に形成される二次転写電界とニップ圧によって、記録紙に二次転写される。二次転写の電界は、二次転写対向ローラ31にトナーと同極性の転写バイアスを印加し、二次転写ローラ33を接地することで形成している。
図1の中間転写ベルト27の二次転写ローラ33と対向する二次転写位置の下流側(図に矢印で示すベルト12の回動方向の下流側)近傍にトナー付着量検知センサ41が配設される。トナー付着量検知センサ41は各色感光体ドラム(Y〜K)10から中間転写ベルト27に転写されたトナー付着量、例えば、適時に転写されるテストパターンのトナー付着量を計測するもので、計測方法としては反射型光学センサの出力がトナー付着量によって変化する性質を用いるのが一般的である。
【0053】
二次転写ニップn2を通過した後の中間転写ベルト27上には、記録紙に転写されなかったトナーが僅かに残って付着している。これは、ベルトクリーニングユニット28によってクリーニングされる。なお、ベルトクリーニングユニット28は、クリーニングブレード281を中間転写ベルト27の表面に当接させており、これによって、ベルト上の転写残トナーを掻きとって除去する。
中間転写ベルト27上から除去された転写残トナーは、不図示の廃トナーボトルに収容され、廃棄される。
【0054】
二次転写ニップn2の上方には、定着ユニット34が配設されている。この定着ユニット34は、電磁誘導発熱層を内包する定着ローラ35、定着ローラ35と所定圧力で当接され、所定のニップ幅を形成する加圧ローラ36、図示しない温度センサ等で構成されている。定着ローラ35の図中左側に、定着ローラ35内の電磁誘導発熱層を発熱させるための電磁誘導手段であるIHコイルユニット37を有する。定着ローラ35は、IHコイル37による電磁誘導で加熱される。各ローラは図示しない駆動源によって加圧ローラ36が時計方向に、定着ローラ35は反時計方向に回転移動する。
【0055】
二次転写ニップn2を通過した記録紙は、中間転写ベルト27から分離した後、定着ユニット34内に送られる。そして、定着ユニット34の定着ニップに挟まれながら図中下側から上側に向けて搬送される過程で、定着ローラ35によって加熱され、同時に定着ニップで加圧されてトナー画像が記録紙上に定着せしめられる。
このようにして定着処理が施された記録紙は、排紙ローラ対38を経由して機外に排出され、プリンタ本体100の上面fにスタックされる。
【0056】
転写ユニット20の上方には、Y、C、M、Kトナーを収容する各色のトナーボトル39が配設されている。トナーボトル39に収容された各色のトナーは、各色のプロセスユニット2(Y〜K)の現像ユニット4側の搬送剤収容室m1や、現像剤補給機51を介して搬送剤収容室m1に適宜トナー補給される。これらトナーボトル39は、プリンタ本体100から脱着可能となっており、ボトル内のトナー残量がなくなると、トナーボトルを交換できるかたちになっている。これらのトナー補給動作やプレミックス剤補給動作は、制御部36によって制御される。例えば、制御部36は、上述のトナー濃度センサ14からの出力信号に基づいて、直接、あるいは、現像剤補給機51の駆動を制御して、所定の攪拌時間での攪拌処理の後、搬送剤収容室m1にトナーを補給する。
【0057】
次に、本発明の一実施形態であるフルカラープリンタにおいて実行するプロセスコントロールの内容の一例について説明する。なお、以下には本発明の一実施形態を示すものであって、作像条件の制御タイミングや制御方法を限定するものではない。
(1)装置立ち上げ
電源投入による装置立ち上げにより、各種モータや各種バイアスがオンされ、プロセスコントロールを実行するための準備が行われる。
(2)必要に応じてトナー付着量検知センサ41を校正する。
本例では、トナー付着量検知センサ41(光学センサ)の正反射受光出力が4VになるようにLEDの発光光量を調整する。ただし、センサの校正自体は本発明において必須ではない。
(3)現像ユニット4のトナー濃度センサ(透磁率センサ)14の出力(VT0)を取得する。これは現在のトナー濃度を知るために測定するものであって、後述するトナー濃度の補正(Vtref)に必要なものである。
(4)階調パターンを作成する。
これは現像γを検出するために必要であり、本例では具体的に、トナー付着量検知センサ41が設けられた位置(中間転写ベルト27が巻回されたローラの軸方向の位置)に対応するよう、主走査方向の幅15mm、副走査方向の幅16mm、パターン間隔50mmで10個の階調パターン(テストパターン)を形成する。そのパターン形成の書き込みに際し、露光量はフル露光(感光体ドラムが充分に除電される値)とし、現像バイアス:VBと帯電バイアス:Vdをパターンごとに変更することで階調パターンを作成する。
(5)階調パターンをトナー付着量検知センサ41で検出する。
上記作成し中間転写ベルト27に転写させた階調パターンにおける各パターンのトナー付着量をトナー付着量検知センサ41で計測する。本例では上記のように反射型光学センサを用いている。
(6)現像γと現像開始電圧を求める。
現像γと現像開始電圧は、現像バイアスとトナー付着量の関係から求める。具体的には、横軸を現像ポテンシャルまたは現像バイアスVB(潜像側の帯電バイアスVdを一定とした場合)、縦軸をトナー付着量とし、最小二乗法により1次直線式(図3参照)を求める。その1次直線式の傾きを現像γと呼び、X切片を現像開始電圧と呼ぶ。
(7)目標トナー付着量を得るのに必要な現像バイアスVBを求める。
上記1次直線式にもとづき、目標トナー付着量(縦軸)から現像バイアス(横軸)VBを求める。目標トナー付着量はあらかじめトップ濃度(ダーク部)を得るのに必要な値が決められている(トナー顔料の着色度合いで決まるが、一般的には0.4〜0.6mg/cm2程度である)。
ここで求めた現像バイアス値を画像部の現像バイアス:VBとする。一方、帯電バイアス:Vdは、キャリアが感光体に飛翔しない程度の値であらかじめ決定されている(VB=400〜700V、Vd=VB+100V程度が一般的である)。このようにして求めたVB及びVdを本体内の制御部36のRAMに保存する。
(8)トナー濃度目標値(VTREF)を補正する。
現像γとトナー濃度センサ出力(VT0)からトナー濃度目標値(VTREF)を補正する。
すなわち、Δγ=現像γ検出値−現像γ目標値、を求める。ここで、現像γ目標値はあらかじめ装置毎に決められ、例えば1.0mg/cm2/kV{現像ポテンシャルが1000V(1kV)で1.0mg/cm2のトナーが感光体に付着するの意味を示し、現像開始電圧=0V、目標トナー付着量が0.5mg/cm2であれば、500Vの現像ポテンシャル(Vp)が必要となる。Vp=VB−V1であるので、V1=100Vとすると、VB=600Vとなる。V1は露光後電位をあらわし、充分露光した場合の感光体電位なので感光体特性に依存する}とする。Δγが所定の値を超えるとVBが設定可能な範囲を超えたり以上画像が発生するので、Δγが目標範囲になるようにトナー濃度の目標値(VTREF)を補正する。ただし、このときのVT0がVTREFと大きく異なっているときは補正を行わない。
【0058】
補正の例を示すと
補正条件1:Δγ≧0.30mg/cm2/kV(高い)でかつVT0−VTREF≧−0.2Vのとき、VTREF=VT0−0.2V。つまり、現時点よりトナー濃度を下げるように目標値を設定する。
補正条件2:Δγ≦0.30mg/cm2/kV(低い)でかつVT0−VTREF≦0.2Vのとき、VTREF=VT0+0.2Vつまり、現時点よりトナー濃度を上げるように目標値を設定する。
補正条件1及び補正条件2以外ではVTREF=前回値とする。
【0059】
次に、本実施形態のフルカラープリンタ1におけるトナー補給制御について説明する。ただし、トナー補給制御自体は従来周知なものと同様である。
(1)1枚目の印刷開始
(2)トナー濃度センサ14の出力(VTn)を取得する。
(3)画素数と解像度から画像面積を算出する。
(4)画像面積とVTnと目標値VTREFの差から2枚目印刷時に補給すべきトナー付着量を算出する。
(一例を挙げると、)
次回印刷時のトナー補給量(mg)=比例係数1×(VTn−VTREF)+比例係数2×画像面積×(1+比例係数3×(VTn−VTREF))
ただし、比例係数1、2、3は定数とし、
比例係数1=50
VTn=3.20V
VTREF3.00V
比例係数2=0.5
画像面積=31cm2
比例係数3=0.5
とすると、
次回印刷時のトナー補給量=10+0.5×31×(1+0.5×0.2)=27.05mgとなる。
(5)次回の印刷を開始したら、所定の時間だけトナー補給クラッチ(不図示)をオンする。そのオン時間は(4)で算出されたトナー補給量と補給システムの補給能力にて決定する。これにより、現像ユニット4の第一現像剤収容部m1にトナーを補給し、現像剤中のトナー濃度を所望の目標値VTREFに修正する。
【0060】
以下、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの各実施形態に限定されるものではない。
【0061】
次に、実施形態1としてのフルカラープリンタ1でのトナー補給の制御構成例を説明する(請求項1に応じた例)。
一般に2成分現像剤において、トナー濃度Tcとトナー帯電量Q/Mの間には反比例の関係が成り立つことが知られている。また、現像能力(現像γ)とトナー帯電量Q/Mの間にも反比例の関係が成り立つことが知られている。
【0062】
さらに、画像面積率(%)を一定にして画像出力を行った場合、トナーの現像機内平均滞在時間は画像面積率に反比例するため、画像面積率とトナー帯電量の間には反比例の関係が成り立つ。ただしトナーの帯電量は撹拌時間がある一定時間を超えると下がる傾向にある。
本発明で用いたトナー及び現像剤を用いてトナー帯電量が飽和する(変化がなくなる)まで連続出力した場合、画像面積率とトナー帯電量の関係は図4のようになった。この結果より、図5のように画像面積率毎にトナー濃度を調整してから印刷動作を行った場合、図8の比較例中に実線に示すように、画像濃度が安定した連続出力を行うことができた。 一例として、画像面積率100%の出力を行った場合のトナー濃度推移及び画像濃度ID推移をそれぞれ図6、図7に示す。
【0063】
従来の比較例「1」(破線)、「2」の場合(破線)は、図6に示すように、印刷中(特に初期)にトナー濃度が大きく変動し、それに合わせて画像濃度(ID:破線)も比較例「1」(破線)、「2」の場合(破線)は大きく変動してしまっている。それに対して、本発明の場合(図6の実線L1)は、トナー濃度は連続印刷中、ほぼ一定b(図5中のc相当)であり、画像濃度もほぼ目標濃度に制御できている。
【0064】
更に、画像濃度(ID:実線L2)も、図7に示すように、ほぼ目標濃度(目標画像濃度ID)に制御でき、比較例「1」(破線)、「2」(破線)の場合に比べて安定した画像濃度の画像を出力することすることができる。
なお、ここでの予備攪拌時間は、トナー帯電量が図4に示す関係になるよう設定され、一例として図11のように設定すればよい。なお、上記の制御はY、M、C、Kの各現像ユニット4(Y〜K)毎に行う。これにより、単色のみでなく、2次色、3次色の安定性も向上した。
ただし、低画像面積率で多数枚数の印刷を行った後に、高画像面積率の出力を行う場合、トナー濃度調整後に、トナー飛散が発生する場合があった。このときのトナー帯電量分布を確認すると、図8に示すように、新たに現像装置内に補給された実線で示すトナー(補給トナー)と元々現像装置内で空攪拌を受けていた破線で示すトナー(現像装置内トナー)の帯電量分布は大きく分かれてしまい、このうち、現像装置内トナーの帯電していない(逆帯電している)トナーがトナー飛散を発生させていることがわかった。
【0065】
これに対して、フレッシュトナーとキャリアとでなるプレミックス剤を収容する現像剤補給機51を算出された所定の予備撹拌時間だけ攪拌する。この際、入力画像データの画像面積率を元に補給トナーの予備撹拌時間を算出してもよい。
その上で、現像ユニット4の撹拌搬送スクリュウ12を備えた搬送剤収容室m1内に補給する行程を行なう。この行程を行なうことにより、帯電量分布をひとつの山(図8に実線で示す補給トナー線図参照)にし、かつ、帯電していない(図8でマイナス側トナー帯電量)トナーを減らすことができ、トナー飛散を減らすことができた。また、図6に実線L1で示すように、本発明の場合は、比較例「1」、「2」と比べ、ジョブの初期でのトナー濃度変動を減らすことができ、図7に実線で示すように、ジョブの初期の画像濃度変動を抑制することができた。
【0066】
また、低画像面積率で多数枚の印刷をし続ける場合、トナーチリやトナーボソツキが発生する場合があった。このときのトナー帯電量分布を確認すると、図9に示すように、高帯電量のトナー(破線)が多く存在しており、これらのトナーが現像され、転写される過程で、転写電圧があっていないために、トナーチリを発生させていることがわかった。
【0067】
これに対して、フレッシュトナーとキャリアとでなるプレミックス剤を収容する現像剤補給機51を算出された時間だけ攪拌した上で、現像ユニット4の撹拌搬送スクリュウ12を備えた搬送剤収容室m1内に補給する方法を取ることで、帯電量分布を図9に実線で示すようにシャープにし、かつ、帯電量分布の平均値を小さくすることができ、トナーチリを減らすことができた。さらに、トナーの非静電的付着力の分布について調べると、図10のように、プレミックス剤を収容する現像剤補給機51内で算出された時間だけ攪拌した上で、現像ユニット4内に補給する方法を取ることで、非静電的付着力の分布をシャープにし、かつ非静電的付着力分布の平均値を小さくすることができ、トナーボソツキを減らすことができた。
【0068】
次に、実施形態2としてのフルカラープリンタ1でのトナー補給の制御構成例を説明する(請求項2に応じた例)。
図1に示したフルカラープリンタ1では、印刷前に画像面積率に応じてトナー濃度を調整する行程を行なう必要がある。このため、これに必要な予備攪拌時間はユーザーにとってはダウンタイムとなってしまう。また、トナーを吐き出したり、補給することからトナーイールドの減少にもつながる。そこで、これに対して請求項1の予備攪拌時間での攪拌制御を行うかどうかを選択式にしても良い。ここでは、例えば、プリンタ本体100の上壁面に不図示の操作パネルを設け、同操作パネル内に、ダウンタイムを回避する回避モード、あるいはダウンタイムを許容する待機モードかの判断指令を入力する判定スイッチ(タッチスイッチ)を設けておき、これを選択操作することで、ユーザーの使用目的に応じた画像出力を行えるようにした。これにより、ユーザーの要望に合わせ、画像品質を優先するか、トナーイールドや印刷前調整時間(ダウンタイム)を最小とすることを優先するかを選択できる。
【0069】
次に、実施形態3としてのフルカラープリンタ1でのトナー補給制御に沿った制御構成例を説明する(請求項3に応じた例)。
請求項1に記載のフルカラープリンタ1では、特に、低画像面積率で連続印刷を行う前に図5の関係より予めトナー濃度を調整しても、印刷枚数を重ねると画像濃度が低下してしまう現象が確認された。
【0070】
この点に関する研究を重ねた結果、これは前に実行された印刷ジョブが白紙通紙(現像機空撹拌)の場合に発生することが確認された。これはトナーの劣化(添加剤離脱及び埋没)が原因で現像能力が低下していることが原因であると推察される。そこで、上記の推察をもとに、過去の一定枚数の白紙印刷履歴に応じて、出力画像データの画像面積率を元に算出されたトナー濃度を補正する。これにより、印刷枚数を重ねても画像濃度の低下がおこらないことを確認できた。
【0071】
一例として、「表1」に過去5000枚の白紙通紙履歴に応じた目標トナー濃度補正量を示す。ここでは1000枚毎で3000枚までを区切った枚数領域の増加に応じて表1の指示値に応じて目標トナー濃度補正量(%)を増加調整し、これを用いて次回印刷時のトナー補給量を補正し、画像濃度低下を防止できた。
【0072】
【表1】
【0073】
次に、実施形態4としてのフルカラープリンタ1でのトナー補給制御に沿った制御構成例を説明する(請求項4に応じた例)。
請求項1に記載のフルカラープリンタ1では、特に、高画像面積率で連続印刷を行う前に図5の関係より予めトナー濃度を調整しても、印刷枚数を重ねると画像濃度が上昇してしまう現象が確認された。
【0074】
この点に関する研究を重ねた結果、これは現像剤走行距離に応じて発生することが確認された。これはキャリアの劣化(トナー添加剤付着)が原因でキャリア帯電能力が低下していることが原因であると推察される。上記の推察をもとに、現像剤寿命に応じて、出力画像データの画像面積率を元に算出されたトナー濃度を補正すると、印刷枚数を重ねても画像濃度の上昇がおこらないことを確認できた。
【0075】
一例として、「表2」に現像剤寿命に応じた目標トナー濃度補正量を示す。ここでは100枚毎で区切った枚数領域の増加に応じて「表2」の指示値に応じて目標トナー濃度補正量(%)を減少調整し、画像濃度上昇を防止することができた。
【0076】
【表2】
【0077】
次に、実施形態5としてのフルカラープリンタ1でのトナー補給の制御構成例を説明する(請求項5に応じた例)。
図1に示したフルカラープリンタ1等の画像形成装置では、一般にトナー帯電量は温湿度の影響を受け、高温高湿の場合は帯電量が低下し、低温低湿の場合は帯電量が上昇することが知られている。この点を補正するため、フルカラープリンタ1(マシン)の置かれた湿度(%)−温度(℃)の環境区分(図12参照)に応じて、「表3」のように、3段階の各環境区分に応じて目標トナー濃度補正量を変更して設定した。この場合、定常の環境区域MMに対し、高温高湿HHの場合は帯電量低下による画像濃度増を抑え、低温低湿の場合は帯電量増加による画像濃度低下を補正した。ここで、「表3」は一例であり、3つの環境区分に対して補正値を設定しているが、環境区域をより細かく分け、各区分に応じて目標トナー濃度補正量を設定して補正制御しても良い。
【0078】
【表3】
【0079】
次に、実施形態6としてのフルカラープリンタ1でのトナー補給の制御構成例を説明する(請求項6に応じた例)。
図1に示したフルカラープリンタ1等の画像形成装置では、一般にトナー帯電量は放置時間によって低下することが知られている。
ここでは請求項1に記載のトナー補給の制御構成に、一例として図8の制御構成を加えるよう設定される。なお、上記の制御はY、M、C、Kの各現像ユニット4(Y〜K)毎に行う。これにより、単色のみでなく、2次色、3次色の安定性も向上した。
【0080】
具体的には、マシンの放置時間に応じて「表4」のように、目標トナー濃度調整後の予備撹拌時間を変更した場合、放置時間によらずに画像濃度の安定した画像出力を行うことができた。ここでは放置時間(h)の増加に応じて「表4」の指示値に応じて調整撹拌時間(秒)を増加して予備撹拌時間に加算調整し、画像濃度を安定させることができた。
【0081】
【表4】
【0082】
なお、「表4」は一例であり、放置時間に対して段階的に補正値を設定しているが、放置時間に対して連続的に補正値を設定しても良い。
以上、本発明を図示例により説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、現像装置としては適宜な構成を採用可能である。また、現像装置内のトナー濃度センサやトナー補給装置も適宜な構成を採用可能である。また、トナー付着量検知センサの構成及び配置場所も適宜変更可能である。トナー付着量は像担持体(感光体)上のトナー付着量を直接検知する構成でも良い。画像形成装置の作像部や露光装置の構成も任意である。また、画像形成装置のトナー像形成手段としてはフルカラー装置に限らず、モノクロ装置あるいは複数色のカラー装置にも本発明を適用可能である。
【0083】
画像形成装置としてはプリンタに限らず、複写機やファクシミリ、さらには、複数の機能を備える複合機であっても良い。これらの各実施形態の場合も、図1の画像形成装置と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0084】
1 フルカラープリンタ(画像形成装置)
4 現像ユニット
10 感光体(像担持体)
14 トナー濃度センサ(トナー濃度検知手段)
36 制御部
41 トナー付着量検知センサ
51 現像剤補給機(補給容器)
59 回収容器
VT0 トナー濃度センサの出力
Vtref トナー濃度の補正値
VTREF トナー濃度の目標値
【先行技術文献】
【特許文献】
【0085】
【特許文献1】特開2007−79429号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、該像担持体上に形成した静電潜像にトナーを付与して現像し、かつ、キャリアとトナーとからなるプレミックス剤を収容する補給容器と、当該装置本体に連結し、装置本体から排出される現像剤を回収する回収容器とを有する現像装置を備え、前記現像装置により現像した画像のトナー付着量を検出するトナー付着量検出手段を有し、基準パターンのトナー付着量を前記トナー付着量検出手段で検出して画像形成条件を制御するプロセスコントロールを行なう画像形成装置において、
前記現像装置内のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段を有し、予め画像出力前に、出力画像データの画像面積率を元に算出された量の補給トナーを、プレミックス剤を収容する補給容器内で算出された時間だけ攪拌した上で、現像装置内トナーに加えた後に、前記トナー付着量検出手段の検出出力、及び、前記トナー濃度検知手段の検知出力に基づいて前記現像装置におけるトナー濃度目標値を補正することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
プロセスコントロール及び画像出力を行う前に、出力画像データの画像面積率を元に算出された量の補給トナーを、プレミックス剤を収容する補給容器内で算出された時間だけ攪拌した上で、現像装置内トナーに加える動作を行うかどうか、を選択可能であることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
過去の一定枚数の印刷履歴に応じて、出力画像データの画像面積率を元に算出されたトナー補給量を補正することを特徴とする、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
現像剤交換後の現像ロール走行距離に応じて、出力画像データの画像面積率を元に算出されたトナー補給量を補正することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
温度及び湿度に応じて、出力画像データの画像面積率を元に算出されたトナー補給量を補正することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
放置時間に応じて、出力画像データの画像面積率を元に算出された補給トナーの予備撹拌時間を調整することを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
像担持体と、該像担持体上に形成した静電潜像にトナーを付与して現像し、かつ、キャリアとトナーとからなるプレミックス剤を収容する補給容器と、当該装置本体に連結し、装置本体から排出される現像剤を回収する回収容器とを有する現像装置を備え、前記現像装置により現像した画像のトナー付着量を検出するトナー付着量検出手段を有し、基準パターンのトナー付着量を前記トナー付着量検出手段で検出して画像形成条件を制御するプロセスコントロールを行なう画像形成装置において、
前記現像装置内のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段を有し、予め画像出力前に、出力画像データの画像面積率を元に算出された量の補給トナーを、プレミックス剤を収容する補給容器内で算出された時間だけ攪拌した上で、現像装置内トナーに加えた後に、前記トナー付着量検出手段の検出出力、及び、前記トナー濃度検知手段の検知出力に基づいて前記現像装置におけるトナー濃度目標値を補正することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
プロセスコントロール及び画像出力を行う前に、出力画像データの画像面積率を元に算出された量の補給トナーを、プレミックス剤を収容する補給容器内で算出された時間だけ攪拌した上で、現像装置内トナーに加える動作を行うかどうか、を選択可能であることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
過去の一定枚数の印刷履歴に応じて、出力画像データの画像面積率を元に算出されたトナー補給量を補正することを特徴とする、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
現像剤交換後の現像ロール走行距離に応じて、出力画像データの画像面積率を元に算出されたトナー補給量を補正することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
温度及び湿度に応じて、出力画像データの画像面積率を元に算出されたトナー補給量を補正することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
放置時間に応じて、出力画像データの画像面積率を元に算出された補給トナーの予備撹拌時間を調整することを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−97207(P2013−97207A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240667(P2011−240667)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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