説明

画像構成方法、指紋画像構成装置およびプログラム

【課題】 指紋の部分画像の構成処理において、画像連結位置の座標の誤差が蓄積することにより全体画像に歪みが生じる。
【解決手段】 スイープ型指紋センサが読み取った最新部分画像を既得部分画像に対し変位させつつ各変位位置での差分量を求め、求めた値を用いた補間演算により、最新部分画像のスライド方向の移動量を示す第1のベクトル成分と、スライド方向の直交方向の移動量を示す第2のベクトル成分の第1及び第2の各候補とを画素ピッチより高い分解能を持つ値で算出する。そして、第1及び第2の両候補に対し第1のベクトル成分に基づく加重平均演算を行うことにより第2のベクトル成分を決定し、第1及び第2の両ベクトル成分から成る移動量ベクトルに基づき最新部分画像を既得部分画像に連結するように配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指紋の照合処理に用いる指紋画像を生成する技術に関し、特に、スライド動作する指から指紋を表す一連の部分画像を読み取るセンサ機構を用い、その一連の部分画像から指紋の全体画像を構成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、指紋画像を読み取るセンサ機構の一種に、いわゆるスイープ(sweep)型指紋センサがある。スイープ型指紋センサは、横幅が指とほぼ同じで、縦の長さが指紋全体よりも短いセンサ面を持ち、この面上を概略一方向にスライドする指から指紋の部分画像を連続的に取得する機構である。スイープ型指紋センサにより取得した部分画像から指紋全体の画像を構成する際は、入力画像の、前画像に対する移動量ベクトルに基づいて、それらの部分画像同士を連結する。
【0003】
移動量ベクトルの算出にあたっては、前画像上の予め定められた範囲において、入力画像を1画素分の間隔で徐々に変位させ、各変位にて対応する両部分画像の画素同士またはライン同士の差分を合計した値を両画像の差分量として求めていく。そして、差分量が最小となるときの変位に基づき移動量ベクトルを算出する。
【0004】
指紋の部分画像から全体画像を構成する手法に関し、例えば、後述の特許文献1及び2に記載のものがある。特許文献1に記載の手法は、入力画像において前画像との重なりが予想される領域を注目領域とし、前画像からこの注目領域に最も類似する領域を検出し、検出した類似領域と入力画像の注目領域とが一致するように両画像を合成するというものである。また、特許文献2に記載の手法は、時間的に前後する2つの部分画像において互いの特徴形状が一致する共通領域を探索し、その共通領域にて両画像を重ねたときの移動量を求め、この移動量に基づき当該2つの部分画像を連結するというものである。
【特許文献1】特開2003−208620号公報
【特許文献2】特開2003−248820号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の手法のように、前画像に対する入力画像の配置を規定する移動量ベクトルを画素ピッチで探索する手法では、実際の移動量ベクトル成分が必ずしも画素ピッチの整数倍の大きさではないことに起因した誤差が発生する。そして、この誤差が部分画像の連結処理のたびに蓄積されることにより、最終的に構成された全体画像に歪みが生じるという問題が起こる。誤差による画像の歪みは、指のスライド方向と直交する方向に対して特に顕著であり、その原因は、直交方向の指の移動速度成分がスライド方向のそれと比べて非常に小さいことにある。よって、上記のような誤差が生じると、その影響としての全体画像の歪みが直交方向に顕著に現れる。
【0006】
画像歪みが大きい指紋画像を用いて照合処理を行った場合、たとえその画像が照合に十分な面積を持つ鮮明な画像であったとしても、予め登録されている画像と合致し難いことから、適正な照合結果を得ることが困難となる。なお、誤差を小さくする手段としては、指紋センサの画素ピッチを小さくして解像度を高くすることが考えられるが、そうすると、処理すべき画像情報の量が増大することから、これに対処し得るプロセッサの処理能力およびメモリ容量等が必要となり、結果、装置のコストが増大するという不都合が生じる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、指紋センサの画素ピッチの大きさに拘らず、指紋の全体画像における歪みを生じ難くする手法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像構成方法は、スライド動作する指からその指紋を表す一連の部分画像を読み取るセンサ機構を具備する装置が、前記センサ機構が読み取る部分画像を順次記憶し、該順次記憶する部分画像における最新部分画像を既得部分画像に対し前記センサ機構の画素ピッチで変位させ、且つ、変位ごとに両画像間の差分量を求め、前記求めた差分量のうちの最小の差分量に対応する基準座標と、該基準座標に対し指のスライド方向に沿って隣接する第1の参照座標と、該第1の参照座標及び前記基準座標にて求められた各差分量とに基づく補間演算により、前記最新部分画像の前記スライド方向の移動量を示す第1のベクトル成分を前記画素ピッチより高い分解能を持つ値で求め、前記基準座標と、該基準座標に対し前記スライド方向の直交方向に沿って隣接する第2の参照座標と、該第2の参照座標及び前記基準座標にて求められた各差分量とに基づく補間演算により、前記最新部分画像の前記直交方向の移動量を示す第2のベクトル成分の第1の候補を前記画素ピッチより高い分解能を持つ値で求め、前記第1の参照座標と、該第1の参照座標に対し前記直交方向に沿って隣接する第3の参照座標と、該第3の参照座標及び前記第1の参照座標にて求められた各差分量とに基づく補間演算により、前記第2のベクトル成分の第2の候補を前記画素ピッチより高い分解能を持つ値で求め、前記第2のベクトル成分の第1及び第2の両候補に対する、前記第1のベクトル成分に基づく加重平均演算により、前記第2のベクトル成分を決定し、前記第1及び第2の両ベクトル成分から成る移動量ベクトルに基づき前記既得部分画像に対し前記最新部分画像を配置するという方法である。
【0009】
本発明に係る指紋画像構成装置は、スライド動作する指からその指紋を表す一連の部分画像を読み取るセンサ機構と、該センサ機構が読み取った一連の部分画像を順次記憶するメモリ機構と、該メモリ機構が記憶した一連の部分画像の構成処理を行う制御機構とを備え、前記制御機構は、前記メモリ機構が順次記憶する部分画像における最新部分画像を既得部分画像に対し前記センサ機構の画素ピッチで変位させ、且つ、変位ごとに両画像間の差分量を求める差分演算部と、前記差分演算部が求めた差分量のうちの最小の差分量に対応する基準座標と該基準座標に対し指のスライド方向に沿って隣接する第1の参照座標と該第1の参照座標及び前記基準座標にて求められた各差分量とに基づく補間演算により前記最新部分画像の前記スライド方向の移動量を示す第1のベクトル成分を前記画素ピッチより高い分解能を持つ値で求め、前記基準座標と該基準座標に対し前記スライド方向の直交方向に沿って隣接する第2の参照座標と該第2の参照座標及び前記基準座標にて求められた各差分量とに基づく補間演算により前記最新部分画像の前記直交方向の移動量を示す第2のベクトル成分の第1の候補を前記画素ピッチより高い分解能を持つ値で求め、前記第1の参照座標と該第1の参照座標に対し前記直交方向に沿って隣接する第3の参照座標と該第3の参照座標及び前記第1の参照座標にて求められた各差分量とに基づく補間演算により前記第2のベクトル成分の第2の候補を前記画素ピッチより高い分解能を持つ値で求め、前記第2のベクトル成分の第1及び第2の両候補に対する、前記第1のベクトル成分に基づく加重平均演算により、前記第2のベクトル成分を決定する移動量ベクトル算出部と、前記第1及び第2の両ベクトル成分から成る移動量ベクトルに基づき前記既得部分画像に対する前記最新部分画像の配置座標を求める配置座標演算部と、前記配置座標に基づき前記メモリ機構に前記最新部分画像を配置する画像配置部とを有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画素ピッチより高い分解能を持つ値にて求めた移動量ベクトルに基づき最新部分画像を配置することから、スイープ型指紋センサが持つ解像度の高低に関わらず、構成処理後の全体画像に歪みを生じ難くすることができる。これにより、指紋による認証処理を適正に実施することが可能となる。また、解像度が比較的低いスイープ型指紋センサを用いても有効に作用することから、結果、装置全体の小型化および省電力化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施例について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明による実施例の指紋画像構成装置の構成を示すブロック図である。実施例の指紋画像構成装置100は、指紋を表す一連の部分画像を読み取るセンサ機構であるスイープ型指紋センサ10と、このセンサ10が読み取る部分画像を記憶するメモリ機構20と、メモリ機構20が記憶した一連の部分画像から全体画像を構成する構成処理を行う制御機構30とを備える。
【0012】
スイープ型指紋センサ10の概観を図2に示す。スイープ型指紋センサ10は、図示のx方向の幅が指10Aとほぼ同じであり、y方向の長さが指10Aの指紋全体の長さ、すなわち第一関節から指先までの長さよりも短いセンサ面を持ち、この面上で概略y方向にスライドする指10Aからその指紋の部分画像を連続的に読み取る機構である。
【0013】
図3に、指紋画像構成装置100の機能的な構成ブロックを示す。図示の部分画像格納部20aおよび全体画像格納部20bは、それぞれメモリ機構20に割り当てられた記憶領域である。前者の部分画像格納部20aは、スイープ型指紋センサ10から順次入力される部分画像を格納し、後者の全体画像格納部20bは、後述の制御機構30での構成処理を経て形成される指紋の全体画像を格納する。
【0014】
部分画像格納部20aは、複数の部分画像を格納可能な容量を有し、図示の例では、部分画像2つ分を格納するための記憶領域21および記憶領域22を有する。スイープ型指紋センサ10から入力された最新部分画像は、記憶領域22に格納され、この最新部分画像の前画像に相当する既得部分画像、すなわち現時点から2番目に新しい部分画像は、他方の記憶領域21に格納される。
【0015】
ここで、記憶領域21および記憶領域22に格納される部分画像の例を図4に示す。図示の指10Aに記された曲線は指紋の隆線51を表し、スイープ型指紋センサ10の読み取りタイミングごとに、メモリ機構20に、同図に実線または点線にて示す矩形の部分画像が1つずつ入力される。図示の例では、点線の矩形は、記憶領域21に格納された既得部分画像32を示し、この既得部分画像32に続いて読み取られて記憶領域22に格納された最新部分画像31が実線の矩形にて示されている。なお、図4に示す状態は、最新部分画像31及び既得部分画像32の重複領域3aにおける両画像の差分量がゼロである状態、すなわち両画像を誤差なく重ね合わせた状態を示す。
【0016】
また、図4に示す最新部分画像31と既得部分画像32との位置関係は、指10Aとスイープ型指紋センサ10との相対的な位置が変位していくことを示しており、具体的には、図2に示す指10Aが、スイープ型指紋センサ10に対しy軸のマイナス(−)方向にスライドしたことを示す。
【0017】
図3に示す制御機構30の機能構成は、記憶領域21の既得部分画像に、記憶領域22の最新部分画像を重ね合わせる構成処理を担うものである。差分演算部11は、重ね合わせの基準となる部分画像、すなわち記憶領域21の既得部分画像と、重ねあわせ対象の部分画像である記憶領域22の最新部分画像とを、予め設定された範囲において徐々に変位させつつ各変位位置での差分量を算出し、その算出結果の差分量および当該変位位置の組み合わせを出力する。
【0018】
移動量ベクトル算出部12は、その内部に、第一補間演算部121、第二補間演算部122および統合部123を有し、後述の手順により、最新部分画像の移動量ベクトルについて、指のスライド方向およびその直交方向におけるベクトル成分を求める。配置座標演算部13は、移動量ベクトル算出部12が求めたベクトル成分の値と、前回記録しておいた既得部分画像の配置座標とから、部分画像格納部20aの最新部分画像が全体画像格納部20b内で取るべき配置座標を算出する。画像配置部14は、配置座標演算部13の算出結果に基づき、部分画像格納部20aの最新部分画像を全体画像格納部20bに配置する。
【0019】
図5に示すフローチャートに沿って指紋画像構成装置100の動作手順を説明する。メモリ機構20は、スイープ型指紋センサ10にて指がスライドすることにより部分画像が入力されるごとに(ステップS1)、図4に示すような最新部分画像31を記憶領域22に記憶する(ステップS2)。このとき、他方の記憶領域21には、最新部分画像31の前画像である既得部分画像32が記憶される。以下、制御機構30が行う構成処理の一例として、図4に示す既得部分画像32に最新部分画像31を重ね合わせる手順を説明する。
【0020】
差分演算部11は、画素ピッチにて整数座標が配列された直交座標系に基づき、最新部分画像31を既得部分画像32に対し画素ピッチで徐々に変位させつつ、各変位位置における両画像の差分量を算出する(ステップS3)。その際、図4に示す重複領域3aのように、両画像の重なり合い部分が形成されるように最新部分画像31を変位させる。差分量を算出する方法は、部分画像を構成する各画素値の濃淡分布、指紋隆線のベクトル分布、または、指紋隆線の端点および分岐点といった特徴となる点などを用いて算出するという従来知られた方法を用いる。
【0021】
差分量の算出方法として、例えば、上述の部分画像内の各画素値の濃淡分布を用いる場合、画像差分量Dは、次の式1aで定義される。
【0022】
【数1a】

【0023】
式1aにおけるP(x,y)及びP(x,y)は、最新部分画像31および既得部分画像32内で座標(x,y)を持つ画素についての濃淡データである。よって、同式により定義される画像差分量D(i,j)とは、最新部分画像31を既得部分画像32に対して(i,j)画素だけ変位させて重ね合わせ、重なった領域において対応する各画素値の差分を足し合わせた値を指す。
【0024】
なお、画像差分量Dの定義としては、上記の式1aの他に、後述の式1bおよび式1cに示すものであってもよい。本発明には、これらの何れの定義を用いても良く、また、その他の定義であってもよいが、いずれの定義においても、iおよびjの値は整数値をとる。
【0025】
【数1b】

【0026】
【数1c】

【0027】
差分演算部11は、あらかじめ設定された変位範囲内の各検索点(i,j)において画像差分量Dを算出し、それぞれの算出結果を移動量ベクトル算出部14に出力する。
【0028】
移動量ベクトル算出部14は、差分演算部11が出力した画像差分量D(i,j)を基にして、最新部分画像31が、既得部分画像32に対してどのような相対的位置関係にあるかを表す移動量ベクトルを算出する。ここで、移動量ベクトルに関し、図4を例に挙げると、最新部分画像31の既得部分画像32に対する移動量ベクトルは(△x,△y)で表される。また、先に述べたように、図4に示す重複領域3aは、最新部分画像31と既得部分画像32との間で共通する領域、すなわち画像データが同一となる領域であるので、この重複領域3aにおける画像差分量D(△x,△y)の値はゼロとなる。
【0029】
ところで、移動量ベクトルの各成分である△xおよび△yは、スイープ型指紋センサ10での指の動きに対応することから、それらの値は、必ずしも整数値であるとは限らない。すなわち、△xおよび△yは、画素ピッチを基準とする座標系において、実際には2つの座標の間の値をとる可能性がある。このことを考慮し、本実施例の移動量ベクトル算出部12は、移動量ベクトルの各成分△xおよび△yを、補間演算により、画素ピッチより高い分解能を持つ値で算出する。その手順を、以下に詳細に説明する。
【0030】
統合部123は、第一に、指の主な移動方向であるy方向についての移動量ベクトル成分△y1を算出する。このベクトル成分△y1は、本発明における第1のベクトル成分に対応する。△y1の算出のために、統合部123は、差分演算部11から出力された変位位置および画像差分量Dの組み合わせの中から、最小の画像差分量D(i´,j´)と、この差分量Dが得られる変位位置である検索点(i´,j´)とを抽出する。ここで抽出される検索点(i´,j´)は、本発明における基準座標に対応する。
【0031】
さらに、統合部123は、抽出した上記検索点(i´,j´)に対し、y方向に沿って隣接した2つの検索点(i´,j´+1)及び(i´,j´−1)と、それぞれにおける差分量Dとの組み合わせを抽出し、これら3組の値を第一補間演算部121に出力する。基本座標となる検索点(i´,j´)に隣接の2つの検索点(i´,j´+1)及び(i´,j´−1)は、それぞれ本発明における第1の参照座標に対応する。
【0032】
図6に、上記各検索点の配置を示す。図6は、画素ピッチに基づく座標系の整数座標をマトリクスの交点で示した図である。図示するように、それぞれが第1の参照座標となる2つの検索点A1(i´,j´+1)及びA2(i´,j´−1)は、基準座標となる検索点S(i´,j´)をy方向に沿って挟む座標である。第一補間演算部121は、上記3組の検索点S、A1及びA2と、それぞれの差分量Dを用いて補間演算を行い、画素ピッチより高い分解能を持つ値で移動量ベクトル(△x,△y)を算出する。
【0033】
図7を用いて、第一補間演算部121による補間演算について説明する。図示の横軸は、ベクトル成分△xまたは△yが採り得る座標値を示し、縦軸は、各座標値での画像差分量Dを示す。ここでは、画像差分量Dが最小となるときのベクトル成分△xまたは△y、すなわち基準座標のx座標またはy座標となる検索点(n)と、この検索点(n)に隣接する検索点(n−1)及び(n+1)との3点における画像差分量Dの値が丸印で示されている。なお、nは、画素ピッチの座標系における整数座標値iまたはjである。
【0034】
また、検索点(n)における画像差分量D(n)が画素ピッチの座標系において最小値をとることから、真の移動量△、すなわち画素ピッチより高い分解能を持つ値で表現した移動量は、上記3点のうちの検索点(n)に最も近いことは自明である。更に、図7に示す例では、検索点(n)を挟む検索点(n−1)及び(n+1)のそれぞれにおける画像差分量Dの大小関係が「D(n−1)>D(n+1)」であることから、真の移動量△は、「n<△<n+0.5」の範囲内の値となる。
【0035】
上記の条件を満たす真の移動量△を求めるためには、種々の方法が考えられるが、ここでは直線を用いた補間の方法を述べる。この方法は、図7に示すように、D(n−1)及びD(n)を通る直線Lと、このLの傾きの符号に対する反転符号の傾きを持ちD(n +1)を通る直線Lとの交点の座標値を、y方向の真の移動量△として算出するという方法である。その算出式は、次の式2aにより表される。
【0036】
【数2a】

【0037】
なお、仮に、検索点(n−1)及び(n+1)のそれぞれにおける画像差分量Dの大小関係が、上述の例とは逆の「D(n−1)<D(n+1)」であった場合、真の移動量△は、次の式2bによって求められる。
【0038】
【数2b】

【0039】
真の移動量△を求めるための補間演算としては、上記の式に限らず、その他の方法を用いてもよい。例えば、上記の3点を通る二次曲線が極値を取る座標値を真の移動量△とする方法が考えられる。また、画像差分量Dの関数形を予め関知している場合には、上記3点を通る画像差分量Dの関数を最小二乗法によって求め、求められた関数が極値を取る座標値を真の移動量△としても良い。
【0040】
上述のような方法にて真の移動量△の値を求める際、画素ピッチより高い分解能を持つ値で表現するために、例えば、真の移動量△を実数値で表現してもよい。また、これに代えて、画素ピッチを基準とした整数座標系を2以上の整数mで分割することにより、整数値の座標を持つ拡張座標系を形成し、この拡張座標系における整数の座標値により、上述の真の移動量△を表現することも考えられる。
【0041】
拡張座標系の整数座標値を用いる場合、以降の演算処理を、拡張座標系に基づいた整数演算とすることができるので、実数を取り扱う演算に比べ、処理を高速化することができるというメリットがある。この整数演算を、二進数を演算の基礎とする一般的な計算機で処理を行うならば、分割数mを2のべき乗数とすることで最も高速な処理が期待できる。
【0042】
また、拡張座標系のピッチ、すなわち画素ピッチPを分割数mで除したピッチ(P/m)を小さくするほど、演算処理における丸め誤差の影響が小さくなり、本発明の効果は顕著となるが、ピッチを小さくするに従い、処理すべきデータ量が増大して処理時間が長引くことから、計算機の処理能力を考慮してピッチのサイズを設定することが望ましい。なお、実験によれば、ピッチのサイズとして、P/m≒1〜10[μm]の値を設定することにより、構成処理を良好に実施することができた。
【0043】
以上の方法により、第一補間演算部121は、最小の画像差分量D(i´,j´)が得られるときの変位位置である検索点S(i´,j´)と、この検索点Sをy方向に沿ってを挟む検索点A1(i´,j´+1)及びA2(i´,j´−1)と、それぞれの点の画像差分量とに基づき、y方向の移動量ベクトル成分△y1を算出する(図5:ステップS4)。第一補間演算部121は、算出した△y1を統合部123に出力する。
【0044】
統合部123は、第二に、第一補間演算部121から供給されたベクトル成分△y1を挟む2つの整数y座標に基づき、移動量ベクトルのx方向成分△xの候補△x1および△x2の算出を行う。x方向のベクトル成分△xとは、本発明における第2のベクトル成分に対応し、また、その候補△x1および△x2は、本発明における第1及び第2の各候補に対応する。以下、第一補間演算部121で算出したy方向のベクトル成分△y1が、「j´<△y1<j´+1」の範囲にあるとして、ベクトル成分△xの候補△x1および△x2の算出手順について説明する。
【0045】
図8に、第一補間演算部121が算出したベクトル成分△y1の配置を示す。図8から分かるように、上述の△y1を挟む2つの整数y座標とは、すなわち、基準座標である検索点S(i´,j´)のy座標と、第1の参照座標である検索点A1(i´,j´+1)のy座標とを指す。そして、これらのy座標を持つ座標範囲から、画素ピッチより高い分解能を持つ値でベクトル成分△xの候補△x1および△x2を求める。
【0046】
具体的に説明すると、統合部123は、候補△x1を得るために、上記検索点A1(i´,j´+1)に隣接する検索点B1(i´−1,j´+1)及びB2(i´+1,j´+1)と、それぞれにおける差分量Dとの組み合わせを第一補間演算部121に出力する。これらの検索点B1及びB2は、それぞれ本発明における第3の参照座標に対応する。また、統合部123は、候補△x2を得るために、基準座標S(i´,j´)に隣接する検索点C1(i´−1,j´)及びC2(i´+1,j´)と、それぞれにおける差分量Dとの組み合わせを第一補間演算部121へ出力する。上記検索点C1及びC2は、それぞれ本発明における第2の参照座標に対応する。
【0047】
第一補間演算部121は、統合部123から出力された各検索点および画像差分量Dの組み合わせを用い、ベクトル成分△y1に関し図7に沿って説明した演算と同様な補間演算により、画素ピッチより高い分解能を持つ値でベクトル成分△xの候補△x1および△x2を求める(図5:ステップS5)。そして、求めた結果を統合部123へ返す。
【0048】
統合部123は、第三に、上記の手順により得られた移動量ベクトルの成分候補△y1、△x1及び△x2を第二補間演算部122へ出力する。第二補間演算部122は、以下に説明する手順により、これら3つの座標値から移動量ベクトル(△x,△y)を決定する。
【0049】
図9に、y方向のベクトル成分△y1と、x方向のベクトル成分の候補△x1および△x2の配置を示す。第二補間演算部122は、まず、y方向ベクトル成分△y1を、今回求めるべきy方向ベクトル成分△yとして認識する。次に、x方向の候補△x1および△x2の座標値(△x1,j´+1)および(△x2,j´)を通る直線Lと、直線y=△yとの交点のx座標を、x方向の移動量ベクトル成分△xとして求める(図5:ステップS6)。この△xは、△y1の小数部、すなわち△y1の、画素ピッチの桁より小さい桁の値に基づき、候補△x1および△x2に対し加重平均演算を行うことにより求められる。
【0050】
第二補間演算部122は、以上の手順により決定した移動量ベクトル(△x,△y)を統合部123に出力する。統合部123は、供給された移動量ベクトル(△x,△y)を配置座標演算部13に出力する。
【0051】
配置座標演算部13は、移動量ベクトル算出部12が出力した移動量ベクトル(△x,△y)と、全体画像内における、既得部分画像32の原点の座標とに基づき、これから配置すべき最新部分画像31の原点の、全体画像内における配置座標を算出する(図5:ステップS7)。基準となる既得部分画像32の原点の、全体画像内における座標値は、前回の演算で記憶しておいたものであり、この座標値を(X,Y)とすれば、最新部分画像31の原点に対し、全体画像にて与えるべき配置座標(X,Y)は、次の式3により求められる。
【0052】
【数3】

配置座標演算部13は、最新部分画像31について求めた配置座標(X,Y)を、画像配置部14に出力するとともに、次回の演算に備えて配置座標演算部13内に記憶する。
【0053】
画像配置部14は、配置座標演算部13が求めた配置座標(X,Y)に基づいて、最新部分画像31を、全体画像格納部20bの既得部分画像32に重ねて配置する(図5:ステップS8)。最新部分画像31の配置方法としては、例えば、次の2つの方法が考えられる。
【0054】
その1つの方法は、全体画像に対する最新部分画像31の各画素の座標値を、画素ピッチの座標系の整数値で表現するというものである。最新部分画像31の各画素の座標値は、該画像の原点について実数または拡張座標系の整数値で表現された上記の配置座標(X,Y)を基に求めることができるが、その結果として得られる座標値は、実数または拡張座標系の値である。
【0055】
そこで、この値を画素ピッチの座標系の整数値で表現するために、この値から画素ピッチの桁より小さい桁の数値を切り捨てる。この方法では、最新部分画像31内で座標(x,y)を持つ画素が全体画像格納部20bでとる座標値(X,Y)を、次の式4により算出する。
【0056】
【数4】

上記式4の[ ]なる記号は、画素ピッチの座標系に基づく整数値への切り捨て処理を表す。
【0057】
上述した切捨てによる方法によれば、最新部分画像31の各画素の座標が、全体画像格納部20bで用いる、画素ピッチの座標系の整数値に調整されることから、最新部分画像31の配置処理を円滑に行うことができる。なお、この方法では、先に説明したように、式4により画素ピッチの桁より小さい桁の数値が切捨てられるが、式4で用いる配置座標(X,Y)は、上記式3から分かるように、配置座標演算部13が記憶している前回の配置座標(X,Y)、すなわち切捨て処理前の座標値に基づく値を持つことから、たとえ式4で整数値への切捨て処理が行われても、その結果である配置座標(X,Y)には、移動量ベクトル算出部12により行った補間演算の結果が反映される。
【0058】
また、上述の方法に代わる他の配置方法として、最新部分画像31の各画素が持つ画素データを、全体画像格納部20b内の既得部分画像32の画素に対し所定の重み付けを行って配分するという方法がある。この場合に用いる重み係数は、上記式4で切り捨てられる数値を用いることができる。
【0059】
図10を用いて、上記の重み付けによる最新部分画像31の配置方法を説明する。図示の例は、点線で示す全体画像内の2つの画素PおよびPに対し、最新部分画像31の1つの画素31aを、配置座標演算部13の演算結果に基づき仮想的に重ね合わせた様子を示す。図示の例では、画素31aが、画素PおよびPに対しy方向に沿って整合するが、x方向には画素ピッチより小さい変位量α(α<1)の分、ずれていることを示す。上記式4による配置方法で切り捨てられる数値とは、この変位量αに対応する。
【0060】
図10に示す状態において、最新部分画像31の画素31aが持つ画素データをIとし、この画素データIを全体画像の画素PおよびPに配分したときの各画素データをIおよびIとすると、これらの画素データIおよびIは、次の式5により表すことができる。
【0061】
【数5】

ここで、上記式5のL及びRは、画像データIの配分の割合を規定する重み係数である。
【0062】
また、図10より、最新部分画像31の画素31aが全体画像の各画素PおよびPと重なり合う領域の面積SおよびSは、次の式6で表される。
【0063】
【数6】

上記式6により求められる各面積SおよびSは、全体画像の各画素PおよびPに対する画素31aの配分量を表すことから、これらの面積SおよびSを重み係数として上記式5に代入することにより、全体画像の各画素PおよびPへ配分すべき画素31aの画素データを求めることができる。すなわち、各画素データIおよびIは、次の式7により求められる。
【0064】
【数7】

上述の方法により求められる各画素データIおよびIが、全体画像格納部20bの当該画素に格納される。よって、この重み付けによる配置方法によれば、最新部分画像31について画素ピッチより高い分解能を持つ数値で表現された配置座標(x,y)を、忠実に全体画像上へ反映させることができる。
【0065】
差分演算部11における上述の処理が、スイープ型指紋センサ10による指紋の読み取りが終了するまで繰り返される。
【0066】
以上説明した指紋画像構成装置100によれば、移動量ベクトル算出部12による上述の補間演算により求めた、既得部分画像32に対する最新部分画像31の真の移動量に基づいて、部分画像の構成処理を行うことから、スイープ型指紋センサ10が持つ解像度に関わらず、構成処理後の全体画像に歪みを生じ難くすることができる。これにより、指紋による認証処理を適正に実施することが可能となる。
【0067】
なお、上述した制御機構30の動作手順は、コンピュータが実行するプログラムの工程に対応する。よって、上記手順に対応するプログラムを、スイープ型指紋センサ10を具備するパーソナルコンピュータあるいは携帯情報端末等の情報処理機器に導入することにより、当該機器を本発明に係る指紋画像構成装置として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明による実施例の指紋画像構成装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】実施例のスイープ型指紋センサを説明するための説明図である。
【図3】実施例の指紋画像構成装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【図4】実施例の部分画像を説明するための説明図である。
【図5】実施例の動作手順を説明するためのフローチャートである。
【図6】実施例におけるy方向の移動量ベクトル成分の算出手順に関する説明図である。
【図7】実施例の補間演算に関する説明図である。
【図8】実施例におけるx方向のベクトル成分候補の算出手順に関する説明図である。
【図9】実施例におけるx方向のベクトル成分の決定手順に関する説明図である。
【図10】実施例における最新部分画像の配置手順に関する説明図である。
【符号の説明】
【0069】
100 指紋画像構成装置
10 スイープ型指紋センサ
20 メモリ機構
20a:部分画像格納部、20b:全体画像格納部、21〜22:記憶領域
30 制御機構
11 差分演算部
12 移動量ベクトル算出部
121:第一補間演算部、122:第二補間演算部、123:統合部
13 配置座標演算部
14 画像配置部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライド動作する指からその指紋を表す一連の部分画像を読み取るセンサ機構を具備する装置が、
前記センサ機構が読み取る部分画像を順次記憶し、該順次記憶する部分画像における最新部分画像を既得部分画像に対し前記センサ機構の画素ピッチで変位させ、且つ、変位ごとに両画像間の差分量を求め、
前記求めた差分量のうちの最小の差分量に対応する基準座標と、該基準座標に対し指のスライド方向に沿って隣接する第1の参照座標と、該第1の参照座標及び前記基準座標にて求められた各差分量とに基づく補間演算により、前記最新部分画像の前記スライド方向の移動量を示す第1のベクトル成分を前記画素ピッチより高い分解能を持つ値で求め、
前記基準座標と、該基準座標に対し前記スライド方向の直交方向に沿って隣接する第2の参照座標と、該第2の参照座標及び前記基準座標にて求められた各差分量とに基づく補間演算により、前記最新部分画像の前記直交方向の移動量を示す第2のベクトル成分の第1の候補を前記画素ピッチより高い分解能を持つ値で求め、
前記第1の参照座標と、該第1の参照座標に対し前記直交方向に沿って隣接する第3の参照座標と、該第3の参照座標及び前記第1の参照座標にて求められた各差分量とに基づく補間演算により、前記第2のベクトル成分の第2の候補を前記画素ピッチより高い分解能を持つ値で求め、
前記第2のベクトル成分の第1及び第2の両候補に対する、前記第1のベクトル成分に基づく加重平均演算により、前記第2のベクトル成分を決定し、
前記第1及び第2の両ベクトル成分から成る移動量ベクトルに基づき前記既得部分画像に対し前記最新部分画像を配置することを特徴とする画像構成方法。
【請求項2】
前記装置が、前記各補間演算において、前記第1のベクトル成分と前記第2のベクトル成分の第1及び第2の各候補とを実数値にて求めることを特徴とする請求項1記載の画像構成方法。
【請求項3】
前記装置が、前記各補間演算において、前記第1のベクトル成分と前記第2のベクトル成分の第1及び第2の各候補とを、前記画素ピッチの整数倍のピッチを持つ座標系に基づく整数値にて求めることを特徴とする請求項1記載の画像構成方法。
【請求項4】
前記装置が、前記移動量ベクトルに基づき最新部分画像を配置するとき、該移動量ベクトルにおける画素ピッチの最小桁より小さい桁の数値を切捨て、該切捨て後の移動量ベクトルを用いて前記最新部分画像の配置を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像構成方法。
【請求項5】
前記装置が、前記移動量ベクトルに基づき最新部分画像を配置するとき、該移動量ベクトルにおける画素ピッチの最小桁より小さい桁の数値に基づく重み係数を用いて、前記既得部分画像の複数の画素に重なりを持つ前記最新部分画像の画素の画素データを配分することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像構成方法。
【請求項6】
スライド動作する指からその指紋を表す一連の部分画像を読み取るセンサ機構と、該センサ機構が読み取った一連の部分画像を順次記憶するメモリ機構と、該メモリ機構が記憶した一連の部分画像の構成処理を行う制御機構とを備え、
前記制御機構は、
前記メモリ機構が順次記憶する部分画像における最新部分画像を既得部分画像に対し前記センサ機構の画素ピッチで変位させ、且つ、変位ごとに両画像間の差分量を求める差分演算部と、
前記差分演算部が求めた差分量のうちの最小の差分量に対応する基準座標と該基準座標に対し指のスライド方向に沿って隣接する第1の参照座標と該第1の参照座標及び前記基準座標にて求められた各差分量とに基づく補間演算により前記最新部分画像の前記スライド方向の移動量を示す第1のベクトル成分を前記画素ピッチより高い分解能を持つ値で求め、前記基準座標と該基準座標に対し前記スライド方向の直交方向に沿って隣接する第2の参照座標と該第2の参照座標及び前記基準座標にて求められた各差分量とに基づく補間演算により前記最新部分画像の前記直交方向の移動量を示す第2のベクトル成分の第1の候補を前記画素ピッチより高い分解能を持つ値で求め、前記第1の参照座標と該第1の参照座標に対し前記直交方向に沿って隣接する第3の参照座標と該第3の参照座標及び前記第1の参照座標にて求められた各差分量とに基づく補間演算により前記第2のベクトル成分の第2の候補を前記画素ピッチより高い分解能を持つ値で求め、前記第2のベクトル成分の第1及び第2の両候補に対する、前記第1のベクトル成分に基づく加重平均演算により、前記第2のベクトル成分を決定する移動量ベクトル算出部と、
前記第1及び第2の両ベクトル成分から成る移動量ベクトルに基づき前記既得部分画像に対する前記最新部分画像の配置座標を求める配置座標演算部と、
前記配置座標に基づき前記メモリ機構に前記最新部分画像を配置する画像配置部とを有することを特徴とする指紋画像構成装置。
【請求項7】
前記移動量ベクトル算出部は、前記各補間演算において、前記第1のベクトル成分と前記第2のベクトル成分の第1及び第2の各候補とを実数値にて求めることを特徴とする請求項6記載の指紋画像構成装置。
【請求項8】
前記移動量ベクトル算出部は、前記各補間演算において、前記第1のベクトル成分と前記第2のベクトル成分の第1及び第2の各候補とを、前記画素ピッチの整数倍のピッチを持つ座標系に基づく整数値にて求めることを特徴とする請求項6記載の指紋画像構成装置。
【請求項9】
前記配置座標演算部は、前記移動量ベクトルにおける画素ピッチの桁より小さい桁の数値を切捨て、該切捨て後の移動量ベクトルを用いて前記最新部分画像の配置を行うことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の指紋画像構成装置。
【請求項10】
前記配置座標演算部は、前記移動量ベクトルに基づき最新部分画像を配置するとき、該移動量ベクトルにおける画素ピッチの最小桁より小さい桁の数値に基づく重み係数を用いて、前記既得部分画像の複数の画素に重なりを持つ前記最新部分画像の画素の画素データを配分することを特徴とすることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の指紋画像構成装置。
【請求項11】
スライド動作する指からその指紋を表す一連の部分画像を読み取るセンサ機構に接続されたコンピュータに、
前記センサ機構が読み取る部分画像を順次記憶し、該順次記憶する部分画像における最新部分画像を既得部分画像に対し前記センサ機構の画素ピッチで変位させ、且つ、変位ごとに両画像間の差分量を求め、
前記求めた差分量のうちの最小の差分量に対応する基準座標と、該基準座標に対し指のスライド方向に沿って隣接する第1の参照座標と、該第1の参照座標及び前記基準座標にて求められた各差分量とに基づく補間演算により、前記最新部分画像の前記スライド方向の移動量を示す第1のベクトル成分を前記画素ピッチより高い分解能を持つ値で求め、
前記基準座標と、該基準座標に対し前記スライド方向の直交方向に沿って隣接する第2の参照座標と、該第2の参照座標及び前記基準座標にて求められた各差分量とに基づく補間演算により、前記最新部分画像の前記直交方向の移動量を示す第2のベクトル成分の第1の候補を前記画素ピッチより高い分解能を持つ値で求め、
前記第1の参照座標と、該第1の参照座標に対し前記直交方向に沿って隣接する第3の参照座標と、該第3の参照座標及び前記第1の参照座標にて求められた各差分量とに基づく補間演算により、前記第2のベクトル成分の第2の候補を前記画素ピッチより高い分解能を持つ値で求め、
前記第2のベクトル成分の第1及び第2の両候補に対する、前記第1のベクトル成分に基づく加重平均演算により、前記第2のベクトル成分を決定し、
前記第1及び第2の両ベクトル成分から成る移動量ベクトルに基づき前記既得部分画像に対し前記最新部分画像を配置することを実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
前記コンピュータに、
前記各補間演算において、前記第1のベクトル成分と前記第2のベクトル成分の第1及び第2の各候補とを実数値にて求めることを実行させることを特徴とする請求項11記載のプログラム。
【請求項13】
前記コンピュータに、
前記各補間演算において、前記第1のベクトル成分と前記第2のベクトル成分の第1及び第2の各候補とを、前記画素ピッチの整数倍のピッチを持つ座標系に基づく整数値にて求めることを実行させることを特徴とする請求項11記載のプログラム。
【請求項14】
前記コンピュータに、
前記移動量ベクトルに基づき最新部分画像を配置するとき、該移動量ベクトルにおける画素ピッチの最小桁より小さい桁の数値に基づく重み係数を用いて、前記既得部分画像の複数の画素に重なりを持つ前記最新部分画像の画素の画素データを配分することを実行させることを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項15】
前記コンピュータに、
前記移動量ベクトルに基づき最新部分画像を配置するとき、該最新部分画像の各画素の画素データを、該各画素と重なりを持つ前記既得部分画像の各画素に対し、前記移動量ベクトルにおける画素ピッチの桁より小さい桁の数値に対応する重み付けを行い配分し、該配分に基づき前記最新部分画像の配置を行うことを実行させることを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−99602(P2006−99602A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−287121(P2004−287121)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】