説明

異物挟み込み検出装置

【課題】短時間で挟み込みを検出でき、後付けが簡単にできる異物挟み込み検出装置を提供することを課題とする。
【解決手段】異物挟み込み検出装置は、開閉機構に設けられた静電容量センサ15と、モータECU73の入力側に設けられ、スイッチ側からの開動作信号/閉動作信号,静電容量センサ15からの静電容量信号が入力され、モータECU73へ開動作信号/閉動作信号を出力するセンサECU85とからなり、センサECU85は、静電容量センサ15の静電容量の変化により異物挟み込みを判断し、閉動作信号が入力されている時に、異物挟み込みを判断すると、開動作信号を出力するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉機構と、該開閉機構を駆動するモータ,スイッチ側から開動作信号/閉動作信号が入力され、前記開動作信号/閉動作信号に応じて、前記モータを制御するモータECUを有するモータユニットと、を有する開閉装置に取り付けられる異物挟み込み検出装置、開閉機構と、該開閉機構を駆動するモータ,スイッチ側から動作信号が入力され、前記開閉機構が開状態ならば閉方向へ、前記開閉機構が閉状態ならば開方向へ前記モータが作動するように制御し、前記モータが作動している時に、動作信号が入力されると前記モータが逆転するように制御するモータECUを有するモータユニットと、を有する開閉装置に取り付けられる異物挟み込み検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のウインドレギュレータ、サンルーフ、サンシェード、スライドドア、バックドア等の開閉機構に使用されるモータユニットには、モータを制御するモータECU(電子制御ユニット:Electronic Control Unit)が組み込まれている。そして、このモータECUは、モータの負荷状態から異物の挟み込みを検出する機能を有している(例えば、特許文献1)。
【0003】
しかし、モータの負荷状態から挟み込みを検出する方法は、検出に時間がかかるので、短時間で異物の挟み込みを検出することが要望されている。
【0004】
一方、短時間で異物の挟み込みを検出する手法として、開閉機構にセンサ、例えば、開閉体と、開閉体を移動可能に支持する枠と間の静電容量の変化を検出するセンサを設けることが提案されてる(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−016828号公報
【特許文献2】特開平10−110574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、短時間で異物の挟み込みが検出できる静電容量式の検出装置を設ける場合、従来のモータの負荷状態から異物の挟み込みを検出する機能を有するモータECUとは別に、例えば、静電容量の変化を検出するセンサに対応した異なる種類のモータECUが必要であった。
【0007】
即ち、異物挟み込みの検出方法に応じて、複数のモータECUが必要となり、コストがかかる問題点がある。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、低コストで、モータの負荷状態から異物の挟み込みを検出する機能と、短時間で異物の挟み込みを検出する機能とを有した開閉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する請求項1に係る発明は、開閉機構と、開動作信号/閉動作信号を出力し、前記開閉機構を操作するスイッチと、前記開閉機構を駆動するモータ,前記スイッチ側から開動作信号/閉動作信号が入力され、前記開動作信号/閉動作信号に応じて前記モータを制御するモータECUを有するモータユニットと、を有する開閉装置に取り付けられる異物挟み込み検出装置において、前記開閉機構に設けられたセンサと、前記スイッチと前記モータECUとの間に設けられ、前記スイッチからの前記開動作信号/閉動作信号,前記センサからの信号が入力され、前記モータECUへ前記開動作信号/閉動作信号を出力し、前記センサの信号の変化で挟み込みの有無を判断し、異物挟み込みがないと判断すると、前記スイッチから入力された開動作信号/閉動作信号をそのまま出力するセンサECUとからなり、前記センサECUは、前記モータECUが前記開閉装置が閉動作する方向に前記モータを制御している際に、異物挟み込みがあると判断すると、前記閉動作信号の前記モータECUへの出力の停止、前記開動作信号の前記モータECUへの出力のうちどちらか一方を行うことを特徴とする異物挟み込み検出装置である。
【0010】
請求項2に係る発明は、前記センサECUは、前記スイッチから入力されている前記閉動作信号を前記モータECUへ出力し続けている際に、異物挟み込みがあると判断すると、前記閉動作信号の出力を停止することを特徴とする請求項1記載の異物挟み込み検出装置である。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記スイッチは、開動作信号と、閉動作信号と、オート信号とを出力し、前記モータECUは、前記スイッチ側から前記閉動作信号と前記オート信号とが入力されると、前記開閉装置が閉動作する方向に前記モータを制御し続けるオートモードとなり、該オートモード中に、前記スイッチ側から開動作信号が入力されると、前記モータを停止する制御、前記開閉装置が開動作する方向に前記モータを駆動する制御のうちどちらか一方の制御を行い、前記センサECUは、前記モータECUがオートモード中に、異物挟み込みがあると判断すると、前記モータECUへ開動作信号を出力することを特徴とする請求項2記載の異物挟み込み検出装置である。
【0012】
請求項4に係る発明は、前記センサECUは、前記オートモード中に、異物挟み込みがあると判断すると、前記モータECUへ一定時間開動作信号を出力することを特徴とする請求項3記載の異物挟み込み装置である。
【0013】
請求項5に係る発明は、前記センサECUのコネクタは、前記モータユニットのコネクタと同一形状であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の異物挟み込み検出装置である。
【0014】
請求項6に係る発明は、開閉機構と、動作信号を出力し、前記開閉機構を操作するスイッチと、前記開閉機構を駆動するモータ,前記スイッチ側から動作信号が入力され、前記開閉機構が開状態ならば閉方向へ、前記開閉機構が閉状態ならば開方向へ前記モータが作動するように制御し、前記モータが作動している時に、動作信号が入力されると前記モータが逆転するように制御するモータECUを有するモータユニットと、を有する開閉装置に取り付けられる異物挟み込み検出装置において、前記開閉機構に設けられたセンサと、前記スイッチと前記モータECUとの間に設けられ、前記スイッチからの前記動作信号,前記センサからの信号,前記モータECUからモータの回転方向の信号が入力され、前記モータECUへ動作信号を出力し、前記センサの信号の変化で挟み込みの有無を判断するセンサECUとからなり、前記センサECUは、閉動作を行う方向に前記モータが回転している時に、前記異物挟み込みを判断すると、前記モータECUへ前記動作信号を出力することを特徴とする異物挟み込み検出装置である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1−5に係る発明によれば、異物挟み込み検出装置は、前記開閉機構に設けられたセンサと、前記スイッチと前記モータECUとの間に設けられ、前記スイッチからの前記開動作信号/閉動作信号,前記センサからの信号が入力され、前記モータECUへ前記開動作信号/閉動作信号を出力し、前記センサの信号の変化で挟み込みの有無を判断し、異物挟み込みがないと判断すると、前記スイッチから入力された開動作信号/閉動作信号をそのまま出力するセンサECUとからなり、前記センサECUは、前記モータECUが前記開閉装置が閉動作する方向に前記モータを制御している際に、異物挟み込みがあると判断すると、前記閉動作信号の前記モータECUへの出力の停止、前記開動作信号の前記モータECUへの出力のうちどちらか一方を行う。これにより、モータECUを複数準備することなく、低コストでセンサによる異物挟み込み検出装置を設けることができる。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、前記センサECUは、前記スイッチから入力されている前記閉動作信号を前記モータECUへ出力し続けている際に、異物挟み込みがあると判断すると、前記閉動作信号の出力を停止することにより、異物の挟み込みが発生すると、それ以上異物の挟み込みが進行するのを防止できる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、前記スイッチは、開動作信号と、閉動作信号と、オート信号とを出力し、前記モータECUは、前記スイッチ側から前記閉動作信号と前記オート信号とが入力されると、前記開閉装置が閉動作する方向に前記モータを制御し続けるオートモードとなり、該オートモード中に、前記スイッチ側から開動作信号が入力されると、前記モータを停止する制御、前記開閉装置が開動作する方向に前記モータを駆動する制御のうちどちらか一方の制御を行い、前記センサECUは、前記モータECUがオートモード中に、異物挟み込みがあると判断すると、前記モータECUへ開動作信号を出力することにより、それ以上異物の挟み込みが進行することを防止、または異物の挟み込みを解除することができる。
【0018】
請求項4に係る発明によれば、前記センサECUは、前記オートモード中に、異物挟み込みがあると判断すると、前記モータECUへ開動作信号を出力することにより、異物の挟み込みを解除する。また、センサECUは閉動作信号を一定時間出力することにより、開閉機構を駆動するモータの長時間にわたる定格以上の負荷運転を防止し、コイルが焼損するのを防止できる
請求項5に係る発明によれば、前記センサECUのコネクタは、前記モータユニットのコネクタと同一形状であることにより、既存のモータユニットの入力側コネクタに接続されていた多芯ケーブルの芯線に、前記センサからの信号線を追加することで、既存のモータユニットの入力側コネクタに接続されていた多芯ケーブルをセンサECUのコネクタに接続できる。
【0019】
また、センサECUのコネクタの形状をモータEUCのコネクタに着脱可能な形状とすることで、センサECUをモータECUへ直付けできる。
【0020】
請求項6に係る発明によれば、異物挟み込み検出装置は、前記開閉機構に設けられたセンサと、前記スイッチと前記モータECUとの間に設けられ、前記スイッチからの前記動作信号,前記センサからの信号,前記モータECUからモータの回転方向の信号が入力され、前記モータECUへ動作信号を出力し、前記センサの信号の変化で挟み込みの有無を判断するセンサECUとからなり、前記センサECUは、閉動作を行う方向に前記モータが回転している時に、前記異物挟み込みを判断すると、前記モータECUへ前記動作信号を出力する。これにより、モータECUを複数準備することなく、低コストでセンサによる異物挟み込み検出装置を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態の構成図である。
【図2】第1実施形態に使用されるモータユニットを示す図である。
【図3】第1実施形態の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】図4のセンサECUの作動を説明するフローチャートである。
【図5】図1の切断線A−Aでの断面図である。
【図6】図5において、挟み込みが発生した状態を示す図である。
【図7】第2実施形態の電気的構成を示すブロック図である。
【図8】図7のセンサECUの作動を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1実施形態>
図面を用いて、第1実施形態を説明する。本実施形態は、本発明をパワーウインドレギュレータに適用した例である。
【0023】
先ず、第1実施形態の構成図である図1を用いて、全体構成を説明する。
【0024】
車両ドア10は、上方の窓開口11を有するドアサッシュ12と下方のパネル部13とを有し、窓開口11が窓ガラス14によって開閉される。ドアサッシュ12の上部で、窓ガラス14の上縁と対向する箇所には、静電容量センサ15が設けられている。
【0025】
窓ガラス14を昇降動作させるXアーム式パワーウィンド(開閉機構)20は、パネル部13内に支持されている。すなわち、パネル部13には、Xアーム式パワーウィンド20のリフトアーム21が軸22で揺動自在に支持されており、このリフトアーム21は、軸22を中心とするセクタギヤ(ドリブンギヤ)23を一体に有している。このセクタギヤ23は昇降モータ24によって回転駆動されるピニオン25に噛み合っている。
【0026】
リフトアーム21の長さ方向の中間部分には、軸26でイコライザアーム27の中間部分が枢着されている。リフトアーム21とイコライザアーム27の上端部(先端部)にはそれぞれ、ガイドピース(ローラ)28が回転可能に枢着されており、イコライザアーム27の下端部には、同様にガイドピース(ローラ)29が枢着されている。
【0027】
リフトアーム21とイコライザアーム27のガイドピース28はそれぞれ、窓ガラス14の下端に固定された窓ガラスブラケット30に移動自在に嵌められ、イコライザアーム27のガイドピース29は、パネル部13内に固定するイコライザアームブラケット31に移動自在に案内される。
【0028】
このXアーム式パワーウィンド20は、昇降モータ24を介してピニオン25を正逆に駆動すると、セクタギヤ23を介してリフトアーム21が軸22を中心に揺動し、その結果、窓ガラスブラケット30(窓ガラス14)が、イコライザアーム27、ガイドピース28、29、イコライザアームブラケット31により略水平状態に保持されながら昇降運動する。この昇降動作自体は、通常のXアーム式パワーウィンド20の動作である。
【0029】
次に、図1の切断線A−Aでの断面図である図5を用いて、静電容量センサ15の説明を行う。
【0030】
静電容量センサ15は、ドアサッシュ12の室内側に下向きに設けられる。ドアサッシュ12の室外側にはモール51が設けられ、窓ガラス14の上端を受容する部分にはウェザーストリップ53が設けられる。
【0031】
静電容量センサ15は、外側電極55と内側電極57が結合部材59を介して一体化さ
れたものとなっている。静電容量センサ15は、結合部材59のU字状部分によってドアサッシュ12に取り付けられる。
【0032】
外側電極55は、結合部材59とともにチューブ状の構造体を形成し、このチューブ状構造体の内壁の中央上部において、内側電極57が、結合部材59によって支持されている。内側電極57と外側電極55は長さが同じである。外側電極55は、可撓性を有する導電性材料で構成される。そのような材料としては、例えば導電性ゴムや導電性樹脂等が用いられる。導電性樹脂は、TPOにカーボンを含有させたもの等である。
【0033】
外側電極55は、その基部すなわち結合部材59との接合部付近に、埋込金属61を有する。埋込金属61は、外側電極55の全長にわたる長さを持つステンレスや銅のワイヤである。埋込金属61を持つことにより、外側電極55は全長にわたって等電位化される。外側電極55は信号線を通じて、後述するセンサECUに接続され、ここで、外側電極55の静電容量に基づいて、外側電極55への人体の接触の有無が検出される。
【0034】
内側電極57も、導電性材料で構成される。そのような材料としては例えば導電性樹脂等が用いられる。内側電極57は埋込金属63を有する。埋込金属63は、内側電極57の全長にわたる長さを持つステンレスや銅のワイヤである。埋込金属63を持つことにより、内側電極57は全長にわたって等電位化される。内側電極57はドアサッシュ12に接続されている。これによって、内側電極57はグラウンド電極となる。
【0035】
図6に、人体(例えば手)の挟み込みが発生した状態を示す。図6に示すように、手が
窓ガラス14と静電容量センサ15の間に挟まれると、人体が持つ静電容量によって外側電極55の静電容量が増加する。
【0036】
次に、図1、本実施形態に使用されるモータユニットを示す図である図2、本実施形態の電気的構成を示すブロック図である図3を用いて、本実施形態の電気的接続を説明する。
【0037】
図2に示すように、モータユニット71は、パワーウインドレギュレータ(開閉機構)を駆動するモータ24と、モータ24の制御を行うモータECU73とからなっている。更に、モータユニット71には、モータ24の電機子の回転数、回転方向を検出するホールIC75、マグネットも設けられている。
【0038】
図1に示すように、車両ドア10には、パワーウインドレギュレータを操作するスイッチ81が設けられている。このスイッチ81のスイッチ基板83と、モータユニット71との間には、センサECU85が設けられている。すなわち、センサECU85は、モータECU73の入力側に設けられている。
【0039】
図2に示すように、本形態例では、センサECU85は、信号が入力される8ピンのメスコネクタ85aと信号を出力する8ピンのオスコネクタ85bとを有している。
【0040】
また、モータユニット71には、信号が入力される8ピンの入力メスコネクタ71aが設けられている。
【0041】
スイッチ81のスイッチ基板83には、静電容量センサ15の外側電極55からの信号線と、8芯の多芯ケーブル87とが接続されている。多芯ケーブル87の先端には、8ピンのオスコネクタ89が取り付けられている。
【0042】
尚、本実施形態では、センサECU85のオスコネクタ85bは、モータユニット71のメスコネクタ71aに接続可能とし、センサECU85のメスコネクタ85aは、モータユニット71のメスコネクタ71aと同一形状のメスコネクタとした。
【0043】
図3に示すように、センサECU85へ、スイッチ基板83から8芯の多芯ケーブル87を介して、(1)静電容量センサ15の信号、(2)アップ信号(UP SW:閉動作信号)、(3)ダウン信号(DN SW:開動作信号)、(4)オート信号(AUTO SW)が入力される。
【0044】
多芯ケーブル87には、(5)電源ライン(+B)、(6)接地ライン(GND)が設けられている。更に、(7)車内LAN(LIN)のライン、後述する(8)LEDライン(LED)も設けられている。
【0045】
また、センサECU85からモータECU73へは、(2)アップ信号(UP SW:閉動作信号)、(3)ダウン信号(DN SW:開動作信号)、(4)オート信号(AUTO SW)が入力される。また、センサECU85とモータECU73との間には、(5)電源ライン(+B)、(6)接地ライン(GND)が設けられている。更に、(7)車内LAN(LIN)のライン、後述する(8)LEDライン(LED)も設けられている。
【0046】
尚、LEDラインは、モータECU73の状態に応じ、スイッチ81に設けられたLEDを点灯させるものである。通常の場合は、LEDを点灯させ、電源OFFまたは省電力モードの場合は、LEDを消灯させ、異常があればLEDを点滅させるようになっている。
【0047】
本実施形態のセンサECU85は、オート信号、アップ信号、ダウン信号は、そのままモータECU73へ出力する。また、電源ライン、接地ライン、車内LANのライン、LEDラインもそのままモータECU73へ通すようになっている。
【0048】
そして、本実施形態例のモータECU73は、アップ信号とオート信号とが入力されると、窓ガラス14を上昇させる方向にモータ24を駆動し続けるオートモードとなる。
【0049】
アップ信号とオート信号とが入力されると、センサECU85は、図4に示す作動を行う。図4はセンサECUのフローチャートである。図において、センサECU85は、アップ信号とオート信号とを受信すると、静電容量センサ15の静電容量を検出し、検出した静電容量(Q)が設定したしきい値(Q0)より大きくなった場合は、異物挟み込みがあったと判断し、異物挟み込みを回避するために、ダウン信号をONし、窓ガラス14を下降させる(ステップ1,2,3)。
【0050】
このダウン信号は、設定時間(T1:窓ガラス14が下降し、挟み込みを解除するまでに必要な時間)だけ行なう(ステップ4)。
【0051】
設定時間(T1)だけ窓ガラス15を下降させると、ダウン信号をOFFとし(ステップ5)し、一連の作動を停止する。
【0052】
また、ステップ2の静電容量センサ15の静電容量の検出は、設定時間(T2:全閉状態の窓ガラス14が上昇して全閉状態となるまでに必要な時間)だけ行なう(ステップ6)。静電容量センサ15の静電容量の検出が、設定時間を過ぎると、窓ガラス15は全閉となったと判断し、作動を終了する。
【0053】
このような構成によれば、以下のような効果が得られる。
【0054】
(1) パワーウインドレギュレータのモータユニット71に、後付けで簡単かつ低コストで異物挟み込み検出装置(静電容量センサ15、センサECU85)を取り付けることができる。
【0055】
また、後付けされる異物挟み込み検出装置のセンサECU85は、静電容量センサ15の静電容量の変化で異物挟み込みを検出するので、モータユニット71のモータECU73が行なうモータ24の負荷状態から異物挟み込み検出より応答が早く、短時間で異物挟み込み検出を行うことができる。
【0056】
(2) センサECU85は、オート信号が入力されている時に、異物挟み込みを判断すると、オート信号を停止し、一定時間ダウン信号を出力することにより、モータ24の長時間にわたる定格以上の負荷運転を防止し、モータ24のコイルが焼損するのを防止できる
(3) センサECU85のコネクタは、モータユニット71のメスコネクタ71aに接続可能なオスコネクタ85bであることにより、センサECU85のオスコネクタ85bをモータユニット71のメスコネクタ71aに直接接続することができ、センサECU85とモータユニット71とを電気的に接続するケーブルが不要となる。
【0057】
尚、上記実施形態では、センサECU85は、オート信号が入力されているときだけ、異物挟み込みの検出を行うようにしたが、アップ信号が入力されている時も異物挟み込みの検出を行うようにしてもよい。
【0058】
また、オートモード中に、スイッチ81からダウン信号が入力されると、窓ガラス14を下降させる方向にモータ24を駆動する制御を行ったが、モータ24を停止する制御を行っても良い。
【0059】
更に、異物の挟み込みを検出するセンサとして、静電容量センサ15を用いたが、これに限定するものではない。例えば、図5に示す断面構造のセンサにおいて、異物の挟み込みで、外側電極55と内側電極57とが接触し導通することにより、異物挟み込みを検出するセンサでもよい。
<第2実施形態>
本実施形態は、本発明をパワースライドドアに適用した例である。
【0060】
パワースライドドアは、一例として、ドアの開閉方向に沿って設けられたレールと、このレールに移動可能に係合し、レールの一方の側に移動することにより車両の開口を開放し(全開)、レールの他方の側に移動することにより、車両の開口を塞ぐ(全閉状態)ドアと、ドアを駆動する駆動機構とからなっている。更に、駆動機構は、ドアの開閉方向に沿った配索され、ドアが取り付けられたワイヤと、ワイヤをドアの開方向に進退させるモータとからなっている
そして、パワースライドドアも、パワーウインドレギュレータのように、モータと、モータを制御すると共に、モータの負荷状態から異物挟み込みを検出する機能を有したモータECUとを有するモータユニットが設けられている。
【0061】
一方、パワースライドドアのドアは、全閉状態であるか全開状態であるかの二つの状態しかない。そして、スイッチから出力される動作信号は、一種類(開閉信号)しかなく、パワースライドドアのモータユニットのモータECUは、ドアが全開位置にある場合、スイッチからの開閉信号が入力されると、全閉位置に向かってドアは移動するようにモータを制御する。逆に、ドアが全閉位置にある場合、スイッチからの開閉信号が入力されると、全開位置に向かってドアが移動するようにモータを制御する。また、モータが作動している時に、開閉信号が入力されるとモータが逆転するように制御する。
【0062】
また、本実施形態の静電容量センサは、閉方向に移動するドアの前端または、閉方向に移動するドアの前端と対向する車両開口の壁面に設けられる。
【0063】
ここで、本実施形態の電気的構成を示すブロック図である図7を用いて、本実施形態の電気的接続を説明する。
【0064】
図7に示すように、センサECU101は、モータECU105の入力側に設けられ、スイッチ基板103から、開閉信号と接地ライン(GND)と静電容量センサの信号とが入力される。センサECU101は、モータECU105からドア移動方向信号が入力される。
【0065】
モータECU105には、センサECUを介して開閉信号と接地ライン(GND)とが入力される。
【0066】
また、センサECU101、モータECU105には、電源ライン(+B)、接地ライン(GND)が接続されている。
【0067】
そして、センサECU101は、図8に示す作動を行う。図8はセンサECUのフローチャートである。図において、センサECU101は、開閉信号を受信すると、モータECU105からドアの移動方向信号を取り込む(ステップ1、2)。ドアが閉方向に移動しているならば、静電容量センサの静電容量を検出し、検出した静電容量(Q)が設定したしきい値(Q0)より大きくなった場合は、異物挟み込みがあったと判断し、異物挟み込みを回避するために開閉信号をONし、ドアを開方向に移動させる(ステップ2,3,4)。
【0068】
また、ステップ3の静電容量センサの静電容量の検出は、設定時間(T3:全開状態のドアが移動して全閉状態となるまでに必要な時間)だけ行なう(ステップ5)。静電容量センサの静電容量の検出が、設定時間を過ぎると、ドア窓ガラス15は全閉となったと判断し、作動を終了する。
【0069】
このような構成によれば、以下のような効果が得られる。
【0070】
(1) 後付けで簡単かつ低コストで異物挟み込み検出装置(静電容量センサ、センサECU101)を取り付けることができる。
【0071】
また、後付けされる異物挟み込み検出装置のセンサECU101は、静電容量センサの静電容量の変化で異物挟み込みを検出するので、モータユニットのモータECU105が行なうモータの負荷状態から異物挟み込み検出より応答が早く、短時間で異物挟み込み検出を行うことができる。
【0072】
尚、本発明は、上記第1−2実施形態に限定するものではない。例えば、パワーサンルーフ、パワーサンシェード、パワーバックドア等の開閉機構にも適用可能である。
【0073】
また、異物の挟み込みを検出するセンサとして、静電容量センサを用いたが、これに限定するものではなく、第1実施形態例と同様に、例えば、図5に示す断面構造のセンサにおいて、異物の挟み込みで、外側電極55と内側電極57とが接触し導通することにより、異物挟み込みを検出するセンサでもよい。
【符号の説明】
【0074】
15 静電容量センサ
73 モータECU
85 センサECU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉機構と、
開動作信号/閉動作信号を出力し、前記開閉機構を操作するスイッチと、
前記開閉機構を駆動するモータ,前記スイッチ側から開動作信号/閉動作信号が入力され、前記開動作信号/閉動作信号に応じて前記モータを制御するモータECUを有するモータユニットと、
を有する開閉装置に取り付けられる異物挟み込み検出装置において、
前記開閉機構に設けられたセンサと、
前記スイッチと前記モータECUとの間に設けられ、前記スイッチからの前記開動作信号/閉動作信号,前記センサからの信号が入力され、前記モータECUへ前記開動作信号/閉動作信号を出力し、前記センサの信号の変化で挟み込みの有無を判断し、異物挟み込みがないと判断すると、前記スイッチから入力された開動作信号/閉動作信号をそのまま出力するセンサECUとからなり、
前記センサECUは、
前記モータECUが前記開閉装置が閉動作する方向に前記モータを制御している際に、異物挟み込みがあると判断すると、前記閉動作信号の前記モータECUへの出力の停止、前記開動作信号の前記モータECUへの出力のうちどちらか一方を行うことを特徴とする異物挟み込み検出装置。
【請求項2】
前記センサECUは、
前記スイッチから入力されている前記閉動作信号を前記モータECUへ出力し続けている際に、異物挟み込みがあると判断すると、前記閉動作信号の出力を停止することを特徴とする請求項1記載の異物挟み込み検出装置。
【請求項3】
前記スイッチは、
開動作信号と、閉動作信号と、オート信号とを出力し、
前記モータECUは、
前記スイッチ側から前記閉動作信号と前記オート信号とが入力されると、前記開閉装置が閉動作する方向に前記モータを制御し続けるオートモードとなり、
該オートモード中に、前記スイッチ側から開動作信号が入力されると、前記モータを停止する制御、前記開閉装置が開動作する方向に前記モータを駆動する制御のうちどちらか一方の制御を行い、
前記センサECUは、
前記モータECUがオートモード中に、異物挟み込みがあると判断すると、前記モータECUへ開動作信号を出力することを特徴とする請求項2記載の異物挟み込み検出装置。
【請求項4】
前記センサECUは、
前記オートモード中に、異物挟み込みがあると判断すると、前記モータECUへ一定時間開動作信号を出力することを特徴とする請求項3記載の異物挟み込み装置。
【請求項5】
前記センサECUのコネクタは、
前記モータユニットのコネクタと同一形状であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の異物挟み込み検出装置。
【請求項6】
開閉機構と、
動作信号を出力し、前記開閉機構を操作するスイッチと、
前記開閉機構を駆動するモータ,前記スイッチ側から動作信号が入力され、前記開閉機構が開状態ならば閉方向へ、前記開閉機構が閉状態ならば開方向へ前記モータが作動するように制御し、前記モータが作動している時に、動作信号が入力されると前記モータが逆転するように制御するモータECUを有するモータユニットと、
を有する開閉装置に取り付けられる異物挟み込み検出装置において、
前記開閉機構に設けられたセンサと、
前記スイッチと前記モータECUとの間に設けられ、前記スイッチからの前記動作信号,前記センサからの信号,前記モータECUからモータの回転方向の信号が入力され、前記モータECUへ動作信号を出力し、前記センサの信号の変化で挟み込みの有無を判断するセンサECUとからなり、
前記センサECUは、
閉動作を行う方向に前記モータが回転している時に、前記異物挟み込みを判断すると、前記モータECUへ前記動作信号を出力することを特徴とする異物挟み込み検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−246988(P2011−246988A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−121750(P2010−121750)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(590001164)シロキ工業株式会社 (610)
【Fターム(参考)】