異物検査装置
【課題】アライメンに使用するテンプレート画像を最適な方法で登録し、パターンマッチングのエラー、及び評価に要する時間を低減する。
【解決手段】最適なテンプレートのアライメントマークとの選定や識別及び類比判断を、異物検査装置に配備した相関値の演算機能により実践する。すなわち、異物検査装置に、被検査物の表面に形成されるアライメントマークの特徴点を登録する装置と、前記被検査物の表面上に形成されたアライメントマークの画像データを採取する装置と、前記画像データから特徴点を抽出し双方の特徴点より相関値を算出するデータ演算処理装置とを備え、前記相関値の閾値に基いて前記アライメントマークの画像データを登録する。
【解決手段】最適なテンプレートのアライメントマークとの選定や識別及び類比判断を、異物検査装置に配備した相関値の演算機能により実践する。すなわち、異物検査装置に、被検査物の表面に形成されるアライメントマークの特徴点を登録する装置と、前記被検査物の表面上に形成されたアライメントマークの画像データを採取する装置と、前記画像データから特徴点を抽出し双方の特徴点より相関値を算出するデータ演算処理装置とを備え、前記相関値の閾値に基いて前記アライメントマークの画像データを登録する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス基板や半導体ウェハ等の被検査物の表面に存在する異物、きず、欠陥、汚れ等(以下、これらを総称して異物と称す)を検出する異物検査装置に係り、特に被検査物を高精度に位置補正し、異物を高精度、高感度で検出する異物検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス基板や半導体ウェハ等の被検査物の表面に存在する異物を検出する異物検査装置として、レーザー光等の光ビームを被検査物の表面ヘ照射し、該表面で発生した反射光又は散乱光を検出することにより、異物の有無を検出するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この異物検出装置では、半導体ウェハに本来同一のパターンを有する多数のICチップが形成されている場合、各チップより検出した反射光又は散乱光の強度から画像信号を作成し、隣接するチップから得られた画像信号、若しくは予め用意した良品チップの画像信号と比較して、両者の偏差信号がしきい値以上にある場合を異物と判定する。
【0003】
前記の画像信号を採取する際には、被検査物の表面上の横方向に並設されたチップが、光ビームのスキャン方向に対して、平行に載置されることが必要である。隣接したチップと比較して偏差信号を採取するため、チップ内の配線レイアウトやチップ間のスクライブラインなど、検出領域に含まれるパターンの種類や密度の違いで偏差信号にバラツキを生じ、検査結果に影響を及ぼすからである。
【0004】
この被検査物を平行に載置するための位置合せ方法として、被検査物の表面のチップ内に形成されたアライメントマークを基準に、被検査物内の2点の座標(X、Y)を採取し、該座標から算出された被検査物のズレ量を基に、検査ステージを移動させて補正が行われている。
【0005】
近年の半導体の高集積化、微細化に伴い、より微小な異物の検出が必要となってきており、偏差信号のバラツキを抑え、検出精度及び再現性を向上するため、更なる位置合せ精度が望まれているが、アライメントマークの微細化や、製造工程に起因したコントラスト低下により、位置合せが難しくなってきている。
【0006】
検査位置の位置合せ方法に関しては、例えば、レチクル基板の投影波形を基準画像データ(以下、テンプレート)として準備し、位置調整用レチクル基板から実際に得られた投影波形とのパターンマッチングからズレ量を求めるものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
また、パターンマッチング方法に関しては、被検査物から画像信号を検出し、画像信号より所定の特徴量を抽出して抽象化パターンを形成し、これと基準画像(テンプレート)から得られた抽象化パターンとをパターンマッチングするものが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−47901号公報
【特許文献2】特開平10−106941号公報
【特許文献3】特開平11−340115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2に記載の技術は被検査物を光ビームで往復してスキャンする際に、往路と復路の位置ズレ量を一括して補正処理するものであり、被検査物個々に高精度の位置合せを必要とする異物検査装置には、適用することができない。また、位置ズレの調整専用の治具として作成されたレチクル基板を対象としたものであるため、半導体デバイス等の製造工程で形成される半導体膜、金属膜、絶縁膜等の各種薄膜の影響については配慮がなされておらず、アライメントマークのコントラスト低下による認識不能や他のアライメントマークと誤認識(ミスマッチング)する問題は避けられない。
【0010】
アライメントマークは、従来、オペレータが被検査物の観察画面を見ながら選定し、その画像データをテンプレートとして登録していた。しかるに、半導体デバイス製品の検査工程が、コントラストの低下する製造工程の場合、アライメントマークを目視することが困難であり、過去の経験と感を頼りに、アライメントマークの選定を繰返し行っていた。
但し、認識精度が低下するため、オペレータは煩雑なテンプレートの評価条件出し及び採取作業に長時間を要していた。さらに、被検査物に角度(θ)のズレを生じている場合は、テンプレートそのままでの使用が困難であり、角度の補正を必要とする。その補正処理の誤差によって、位置合せ精度の低下やバラツキを生じるなどの課題があった。
【0011】
本発明の目的は、被検査物のアライメントマークがパターンマッチングし難い条件にある場合においても、認識不能や誤認識をしないようにパターンマッチングをすることである。
【0012】
また本発明の他の目的は、被検査物から採取したパターンの画像がテンプレートとして適切か否かの分析や登録する機能を装備し、適切なテンプレートの選択や評価条件出しを容易とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、被検査物の表面に光ビームを照射し、反射光または散乱光の受光強度より画像信号を取得し、隣接した被検査物から得られた画像信号と比較して被検査物表面に存在する異物の有無を検査する異物検査装置において、前記被検査物の表面に形成されるアライメントマークの特徴点を登録する装置と、前記被検査物の表面上の前記アライメントマークを読取る装置とを備え、前記特徴点に基いて前記被検査物の表面に形成されたアライメントマークを検出してアライメントを行うようにしたことを特徴とする。
【0014】
また、被検査物に光ビームを照射し、前記被検査物から反射または散乱する光の受光強度により、前記被検査物の表面に存在する異物の有無を検査する異物検査装置において、前記被検査物の表面に形成されるアライメントマークの特徴点を入力する装置と、前記入力したアライメントマークの特徴点を表示する装置と、前記入力したアライメントマークの特徴点を登録する装置とを備え、前記特徴点に基いて前記被検査物の表面上に形成されたアライメントマークを検出してアライメントを行うようにしたことを特徴とする。
【0015】
また、被検査物に光ビームを照射し、反射または散乱する光の受光強度により、前記被検査物の表面に存在する異物の有無を検査する異物検査装置において、前記被検査物の表面に形成されるアライメントマークの特徴点を登録する装置と、前記被検査物の表面上に形成されたアライメントマークの画像データを採取する装置と、前記画像データから特徴点を抽出し双方の特徴点より相関値を算出するデータ演算処理装置とを備え、前記相関値の閾値に基いて前記アライメントマークの画像データを登録することを特徴とする。
【0016】
また、被検査物に光ビームを照射し、反射または散乱する光の受光強度により、前記被検査物の表面に存在する異物の有無を検査する異物検査装置において、前記被検査物の表面に形成されるアライメントマークの特徴点を登録する装置と、前記被検査物の表面上に形成されたアライメントマークの画像データを採取する装置と、前記画像データから特徴点を抽出し双方の特徴点より相関値を演算するデータ演算処理装置と、前記相関値の演算結果を表示する表示装置とを備え、前記相関値の閾値に基いて前記アライメントマークの合否の判定結果を表示することを特徴とする。この異物検査装置において、前記相関値の演算結果を該相関値の大きさに順じて配列し、前記表示装置にリスト形式で表示することが望ましい。
【0017】
また、被検査物の表面に光ビームを照射し、反射光または散乱光の受光強度より画像信号を取得し、隣接した被検査物から得られた画像信号と比較して被検査物表面に存在する異物の有無を検査する異物検査装置において、前記被検査物の表面に形成されるアライメントマークの画像データから特徴点を抽出しテンプレートの特徴点とパターンマッチングする画像処理手段と、マッチングした相互の特徴点より確率若しくは得点(スコア)を算出する演算処理手段と、所定の確率若しくは得点(スコア)をもって該特徴点が一致した場合を基準となるアライメントマークとして識別させる判断処理手段と、被検査物内の少なくとも2点のアライメントマークの認識にて採取した座標から被検査物のズレ量を算出する演算処理手段と、該ズレ量を基に検査ステージを移動させて位置合せする駆動機構とを備えたことを特徴とする。
【0018】
本発明において、最適なアライメントマークの自動選定のために、異物検査装置にテンプレートとして適切か否かのアライメントマークの評価機能と該評価結果の表示機能、及びアライメントマークの選定機能と該画像データをテンプレートとして格納する登録機能を具備することができる。
【0019】
また、テンプレート候補となるアライメントマークを自動抽出するために、テンプレートの特徴点を入力するデータ入力手段ならびにデータを格納するデータ登録手段と、該テンプレートの特徴点のデータに基いてチップ内の指定された区画の画像データを採取する検出手段ならびに該採取した画像データを格納するデータ登録手段と、画像データから特徴点を抽出する画像処理手段ならびに登録されたテンプレートの特徴点と比較処理するデータ演算処理部と、採取したアライメントマーク候補の座標と外観形状ならびにデータ演算処理部で算出された適性度数と適性順位などの分析値を表示させる表示手段と、最適なテンプレートとして該アライメントマーク候補から自動選出または選択して画像データを登録する登録手段とを備えることができる。
【0020】
また、テンプレート候補の誤認識の可能性を事前に評価するために、抽出されたテンプレート候補の特徴点のデータに基いてチップ内の指定された区画の画像データを採取する検出手段ならびに該採取した画像データを格納するデータ登録手段と、画像データから特徴点を抽出する画像処理手段ならびに抽出したテンプレートの特徴点と比較処理するデータ演算処理部と、採取した画像データの座標と外観形状ならびにデータ演算処理部で算出された適性度数と適性順位などの分析値を表示させる表示手段とを備えることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、アライメントマークの認識不能や誤認識を抑止したパターンマッチングが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係わる異物検査装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】データ処理部の制御の概略を示すブロック図である。
【図3】半導体ウェハ内のアライメントに用いるチップ及び指定座標を説明する図である。
【図4】エッジ強度波形の処理及びエッジ位置を説明する図である。
【図5】アライメントの設定画面を説明する図である。
【図6】テンプレート候補を作図するためのCAD画面を説明する図である。
【図7】テンプレート候補の一実施例を説明する図である。
【図8】テンプレート候補を評価するための指定座標及び指定範囲を説明する図である。
【図9】テンプレート候補を評価するための設定画面を説明する図である。
【図10】テンプレート候補の評価結果を表示する画面を説明する図である。
【図11】半導体ウェハのチップ内に形成されているアライメントマークを探査するための設定画面を説明する図である。
【図12】半導体ウェハのチップ内に形成されているアライメントマークの探査結果を表示する画面を説明する図である。
【図13】テンプレート候補の信頼性を評価するための設定画面を説明する図である。
【図14】テンプレートを用いた半導体ウェハの角度補正の方法を示すフローチャートである。
【図15】最適なテンプレートを採取するための方法を示すフローチャートである。
【図16】半導体ウェハ内のテンプレート候補を探査するための方法を示すフローチャートである。
【図17】テンプレート候補の信頼性評価及び適正なテンプレートを選定するための方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を添付の図面を参照して詳細を説明する。本発明の異物検査装置は、半導体ウェハ、ALTIC基板、TFT−LCD等に用いられるガラス基板などの被検査物の表面に存在する異物を検査可能であるが、本実施の形態では、半導体ウェハを被検査物の一例として説明する。
【実施例1】
【0024】
図1は本発明の一実施形態である異物検査装置の概略構成を示した平面図である。異物検査装置は、1個以上のロードポート10、搬送部20、プリアライメント部30、検査部40、及びデータ処理部50から構成されている。ロードポート10には、複数の被検査用の半導体ウェハ1を収納した1個以上のウェハカセット11が載置される。このウェハカセット11は、被検査用の半導体ウェハ1と、検査の結果、不良と判定された半導体ウェハ1の回収専用として、個々に分別した運用もできる。
【0025】
図2はデータ処理部50の制御の概略を示すブロック図である。データ処理部50はホストコンピュータ100、キーボードやタッチパネルまたはマウス等からなる入力装置110、CRTやフラットパネルディスプレイからなる表示装置120、プリンタ等の出力装置130、フロッピー(登録商標)ディスク(FD)やコンパクトディスク(CD)等の外部メディアを制御する外部記憶装置140から構成される。また、ホストコンピュータ100は、データ演算処理装置150とハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置160を有する。入力装置110からの指令に基づいて異物検査装置全体の制御を行う。アライメントに係わる制御や分析結果、検査条件の制御や採取したデータの解析、異物検査装置の動作状態を表示装置120に表示し、更にはプリンタ等の出力装置130へ出力する。各種の条件設定は、入力装置110から入力され、レシピデータなどとして記憶装置160に格納される。
【0026】
図14は実施例1における半導体ウェハ1の処理手順を示すフローチャートである。図1の異物検査装置において、半導体ウェハ1の搬送は、搬送プログラムの実行(S101)によりデータ処理部50から信号が送信され、図示しないパルス制御基板及び駆動回路を介してサーボモータを駆動し、搬送アッセンブリ21に配設されたハンドリングアーム22を制御することにより行われる。ハンドリングアーム22は、データ処理部50より指示されたウェハカセット11の棚段より半導体ウェハ1を搬出し、ロードポート10からプリアライメント部30へ搬送する(S102)。ウェハカセット11から半導体ウェハ1を搬出する際、U字形の接触部22aの略中心が半導体ウェハ1の略中心に一致するようにに制御され、接触部22aの吸着穴23にて真空吸着し、半導体ウェハ1を保持する。
【0027】
ハンドリングアーム22は、半導体ウェハ1を保持した状態でプリアライメントチャック31上方へ前進し、半導体ウェハ1とプリアライメントチャック31の互いの略中心が一致する位置で下降し、プリアライメントチャック31上に半導体ウェハ1を搭載する。
次いで、プリアライメントチャック31は、半導体ウェハ1の裏面を真空吸着し、半導体ウェハ1を保持する。
【0028】
プリアライメントチャック31はX,Y,θ方向に移動及び回転可能に構成されている。検出装置32は、レーザー光等の発光部とCCDラインセンサー等の受光部を備え、発光部から受光部へ到達する光の位置と強度を検出し、プリアライメントチャック31上に載置された半導体ウェハ1の外周及びVノッチ(又はオリフラ等)の位置を検出する。データ処理部50は検出装置32の検出結果に基いて、図示しないパルス制御回路及び駆動回路を介してパルスモータを駆動し、プリアライメントチャック31を移動及び回転して、半導体ウェハ1の粗位置調整(プリアライメント)を行う(S103)。
【0029】
プリアライメント終了後、プリアライメントチャック31は、半導体ウェハ1の真空吸着を解除する。ハンドリングアーム22は、プリアライメントチャック31上に搭載された半導体ウェハ1の下方へ侵入し、U字形の接触部22aの中心が半導体ウェハ1の中心とほぼ一致する位置で上昇することにより、半導体ウェハ1をプリアライメントチャック31から持ち上げる。そして、半導体ウェハ1をプリアライメント部30から検査部40の検査ステージ41へ搬送する(S104)。
【0030】
検査部40には、検査ステージ41に検査ステージチャック42が配設されている。検査ステージチャック42は、上昇及び下降が可能な昇降ピン43a,43b,43cを備えている。昇降ピン43a,43b,43cが上昇した状態で、ハンドリングアーム22は、半導体ウェハ1を持ち上げたまま検査ステージチャック42の上方へ前進し、半導体ウェハ1と検査ステージチャック42の互いの略中心が一致する位置で下降し、半導体ウェハ1を昇降ピン43a,43b,43cへ受け渡す。次いで、ハンドリングアーム22が検査ステージチャック42の上方から後退した後、昇降ピン43a,43b,43cを下降し、半導体ウェハ1を検査ステージチャック42上に搭載する。検査ステージチャック42は、半導体ウェハ1の裏面を真空吸着し、半導体ウェハ1を固定する。
【0031】
検査ステージチャック42に半導体ウェハ1が載置されると、データ処理部50は入力装置110を介して記憶装置160に登録されたレシピデータよりチップサイズを読取り、データ演算処理装置150にて半導体ウェハ1に並設された各チップの座標を算出する。検査ステージチャック42は、X,Y,θ方向に移動及び回転可能に構成され、配設されたレーザースケール等などの位置検出器(図省略)により位置(座標)を検知しながら、半導体ウェハ1上の検査位置等を制御する。データ処理部50は、図示しないパルス制御基板及び駆動回路を介してサーボモータ(図省略)を駆動することで、検査ステージチャック42を移動及び回転させ、例えば図3に示す第1チップ310の第1チップ指定座標311へ移動させる(S105)。
【0032】
検査部40の検査ステージチャック42上部にはCCDカメラ(図省略)が載置されている。第1チップ指定座標311近傍の指定範囲内をサーチし(S106)、CCDカメラより、例えば第1チップ310の第1アライメントマーク312を画像データとして採取する(S107)。採取された第1アライメントマーク312の画像データは、CCDの画素毎の階調データに基き、データ演算処理装置150にて画像全体の平均明度が算出される。次いで、該平均明度とテンプレートの平均明度とが略同一となる乗数を求め、各画素の明度毎に前記乗数を乗じた明度と画像全体の平均明度との差分を各画素毎に算出する。この正規化処理により、各画素間の変化が正規化した明度波形(投影波形)として抽出され、記憶装置160に格納される。
なお、本実施例では、基準とする明度をテンプレートの平均明度としているが、予め設定された設定明度に基いて、明度を調整する乗数を求めても、同様な効果を得ることができる。
【0033】
データ演算処理装置150は、該投影波形の演算処理を行い、例えば微分処理により、図4に示す濃淡(階調)の変化を表すエッジ強度波形410を算出する。次いで、得られたエッジ強度波形410の中から最大値を示す最大エッジ強度値411を抽出し、予め設定した特徴量設定値420と略同一となる乗数を求め、コントラストが低い場合には最大エッジ強度値411が高くなる様に、コントラスト高い場合には最大エッジ強度値411が低くなる様に、この乗数に基いてエッジ強度波形410全体を補正する。この補正により、半導体ウェハ1表面上の膜や照度変動などのコントラスト低下によるパターンマッチング精度への影響を抑制する。
【0034】
予め記憶装置160に登録された特徴量閾値430に基いて、該閾値を超えたピークとCCDの画素の位置よりエッジ位置440を検出し、各エッジ位置440の強度値及びCCDの画素の位置などの特徴点を、位置検出器からの位置情報(座標情報)と関連付けて記憶装置160に記憶する。
【0035】
比較基準となるテンプレートのデータは、前述の第1アライメントマーク312と同様の画像処理が施され、各エッジ位置440の強度値及びCCD画素位置などの特徴点が、予め記憶装置160に登録されている。第1アライメントマーク312の特徴点は、このテンプレートの特徴点に基いてパターンマッチングが行われ、類比判断される(S108)。仮に第1アライメントマーク312が、テンプレートパターンと相違する場合は、指定範囲内の探索を続行する。S106からS108ステップを反復してパターンマッチングを繰返しながら、相関のとれるアライメントマークを探索する。所定の相関を持って検出されたパターンを第1アライメントマーク312と認識し、位置検出器により第1アライメントマーク312の座標(X,Y)を検出し、該座標を記憶装置160に登録する(S109)。互いに正規化処理された特徴点により類比判断を行うため、プロセス処理工程の影響によって第1アライメントマーク312のコントラストが低い場合においても、高精度のパターンマッチングが確保され、誤認識を抑止することができる。
【0036】
パターンマッチングで第1アライメントマーク312と認識されたパターンは、当該特徴点に基き、マッチング状態を表す指標値(スコア値)をデータ演算処理装置150で算出し、表示装置120の画面上に表示する。スコア値は第1アライメントマーク312とテンプレートにおける特徴点の相関データに基き、例えば(1)式により算出される。パターンマッチングの度合いを数値化し、その度合いを表示できるものであれば、当該式に限らず使用可能であり、同様の効果が得られる。
【0037】
【数1】
【0038】
なお、(1)式におけるSはスコア値の大きさであり、Mpはパターンマッチングにおけるエッジの一致数、Ttはテンプレート採取時のエッジ総数、Taは第1アライメントマーク312のエッジ総数である。
【0039】
スコア値Sは半導体ウェハ1のパターンマッチング毎に記憶装置160に格納され、表示装置120の画面上に表示される。該スコア値Sを介してパターンマッチング状態を確認することにより、テンプレートの良否判断も可能である。また記憶装置160に格納された過去のスコア値Sデータとの対比により、アライメントマークの状態、すなわち半導体デバイスの加工状態や、異物検査装置の状態を診断できる。予め設定されたスコア値Sの閾値に基き、異常表示や警報、または遠隔診断手段へ装置異常を伝達することも可能であり、該スコア値Sの表示、非表示の選択と共に、入力装置110を介して設定可能となっている。
【0040】
第1アライメントマーク312の座標を検出後、検査ステージチャック42を半導体ウェハ1のチップマトリックス上の第2チップ指定座標321へ移動させる(S110)。第2チップ320の第2アライメントマーク322も、第1アライメントマーク312と同じ方法で画像処理やパターンマッチングが行われ(S111〜S113)、検出された第2アライメントマーク322の座標(X,Y)を検出し、算出されたスコア値と共に記憶装置160に格納される(S114)。当該スコア値の管理基準値は、表示装置120画面上に配設された設定欄から設定値(閾値)を設定可能となっている。第1アライメントマーク312及び第2アライメントマーク322の少なくとも1つが、該閾値の条件を満たさない場合には、データ処理部50を通じてアラーム表示させることも可能に構成されている。
【0041】
なお、スコア値のデータ処理は、誤認識の発生が僅少でパターンマッチングの状態監視が必要ないものや異物検査装置のスループットが求められる場合など、異物検査装置の使用される状況に応じて、算出処理工程をスキップさせることが可能であり、入力装置110からの設定によってデータ処理方法及び表示方法を変更できるように構成されている。
【0042】
採取した第1アライメントマーク312と第2アライメントマーク322の2つの(X,Y)座標から、データ演算処理装置150が角度のズレ量を算出し、データ処理部50からの指令に基いて、検査ステージチャック42は角度補正され(S115)、半導体ウェハ1上に並設されたチップが、光ビームのスキャン方向に対して精度高く平行に載置される。
【0043】
検査ステージチャック42の上方には、図示しない投光系装置及び受光系装置が配設され、投光系装置からレーザー光等の光ビームが半導体ウェハ1の表面ヘ照射される。検査ステージチャック42を、サーボモータを駆動してY方向及びX方向へ移動させ、半導体ウェハ1表面に光ビームを走査させる。
【0044】
受光系装置は、半導体ウェハ1表面から発生した反射光又は散乱光を検出し、受光系装置の検出結果に基づき、データ処理部50のホストコンピュータ100でデータ処理され、半導体ウェハ1の表面に存在する異物が検出される(S116)。
【0045】
半導体ウェハ1表面の異物検査が終了すると、ウェハカセット11から検査ステージチャック42へ半導体ウェハ1を載置したのと逆の手順により、半導体ウェハ1を検査部40からロードポート10へ搬送し、同じウェハカセット11の同じ棚段へ収納する。なお、半導体ウェハ1表面上の異物数等が設定値を超えた場合には、別のロードポート10のウェハカセット11へ半導体ウェハ1を分別して搬送することもできる。当該搬出時の半導体ウェハ1の分別設定は、表示装置120の設定画面から入力装置110を介して設定可能となっている。
【0046】
本実施例では、2つの(X,Y)座標を用いて補正を行っているが、補正処理に時間を要するものの、縦横に位置する3つ以上の(X,Y)座標を用いれば、さらに精度の高い補正が可能である。また、本実施例では、半導体ウェハ1のノッチに対して横方向に配列された同列のチップにて補正しているが、光ビームのスキャン方向に対してチップ配列を平行に補正できればよく、縦方向や斜方向の配置若しくは任意のチップ配置による補正であっても、同等の性能が得られる。
【0047】
位置補正に用いる第1チップ310と第2チップ320との距離が大きいほど、角度補正の精度を向上できるが、プリアライメントチャック31の角度補正に所定の精度を求められない場合、アライメントマークがサーチする指定範囲から外れたり、認識不良を生じる恐れがある。そのため、第1チップ310と第2チップ320との間に、中間補正用チップ330の指定座標を設け、該中間補正用チップ330で粗位置補正を行った後、第1チップ310と第2チップ320にて位置ズレの微調整をすることも可能である。中間補正用チップ330の使用の有無及び諸条件設定は、表示装置120の画面上に設けられた設定画面より入力装置110を介して設定される。位置ズレ補正方法の選択手段により、位置ズレの大きな半導体ウェハ1においても、アライメントマークを安定して認識することができる。
【0048】
図5は上述の条件設定画面を示したものである。当該条件設定画面は、第1チップ310や第2チップ320及び中間補正用チップ330などを設定するチップ条件設定手段510、第1チップ指定座標311や第2チップ指定座標321及び中間補正用チップ指定座標などのアライメントマークの座標を設定する座標条件設定手段520、サーチする領域を設定するサーチ条件設定手段530、パターンマッチングに用いるテンプレートを設定するテンプレート設定手段540、角度や位置の補正条件、及びスコア値のデータ処理方法や閾値などを設定するマッチング条件設定手段550などによって構成される。各項目の設定条件の中で、例えばマッチングを左右するような条件や数値設定は、設定画面のトップの設定値表示手段560に表示される。各条件設定ボタンを入力装置110を介して選択すると、それらに係わる設定画面が開かれ、各詳細データを設定可能となっている。本実施例ではボタンを用いた設定画面となっているが、画面や設定条件の表示や設定ができるものであれば、アイコンや入力スペース、或いはその他の手段を用いて設定画面を構成してもよい。
【実施例2】
【0049】
アライメントマークをパターンマッチングにより判別する際、比較対象となるテンプレートが必要となる。次に半導体ウェハ1上に形成されたパターンの中から、最適なテンプレートを採取する方法について主に図6と図7及び図15を用いて説明する。実施例1と重複するものについては省略し、必要に応じて図1と図2を引用する。
【0050】
図15は実施例2における半導体ウェハ1の処理手順を示すフローチャートであり、図6はアライメントマークのテンプレート候補710を作図するためのCAD(Computer Aided Design)画面720を示したものである。このCAD画面720は、異物検査装置の一機能として配備され、表示装置120の画面上に表示される。CAD画面720は入力装置110からの指令に基いてホストコンピュータ100が各種の処理を実施する。CAD画面720には、グリッドとスケールを表示することが可能であり、テンプレート候補710の概略のサイズを確認できる。また、マウスポインタ730等の位置表示手段で、表示装置120の画面上に作成した図形を選定することにより、テンプレート候補710の幅、高さ、角度等の形状情報を外観表示手段750に表示することができる。CAD画面720上には、例えば実線や破線または鎖線、円形や矩形、更には図形の反転や回転、サイズの縮小、拡大など、テンプレート候補710を描画や編集するための製図手段740がアイコンやマーク若しくはボタン等の図像で表示されている。テンプレート候補710は、記憶装置160や記憶媒体を介して外部記憶装置140から、読出しや編集、更には保存することできる。また、アライメントマークの設計データを、外部記憶装置140を介して入力することもできる。さらに、マウスポインタ730等の位置表示手段を介してフリーハンドで描画した表示装置120の画面上の図像を基に、該図像の特徴点にマッチしたテンプレート候補710を、記憶装置160から読み出すこともできる。
【0051】
図7は、本実施例に用いたテンプレート候補710の一例である。(a)は矩形の外輪の内側に矩形を設け、その該中央部に十文字の図形を設けたものである。(b)はL字状形状の外輪にL字状形状の図形を並設したものである。(c)は(b)のパターンの角部に面取りを行った図形である。(d)は(c)の近傍に矩形を配設した図形である。
【0052】
プログラムの実行(S201)により、(a)〜(d)に示した図形等を作成し、半導体ウェハ1表面を探索するテンプレート候補710として、記憶装置160に登録する。半導体ウェハ1上に存在する同類のアライメントマークを探査する場合には、登録したテンプレート候補710の中から、1以上のテンプレート候補710を選定し、入力装置110を介してエントリーする(S202)。また、過去に作成して登録した図形を読み出して、使用することも可能となっている。
【0053】
マッチングの精度を上げる上では、一般にはテンプレート候補710に角部が多く、図形自体が独立したものが好ましい。しかし、半導体ウェハ1の角度のズレが大きい場合や、コントラストの低い工程のウェハにおいては、認識不良となることもあるので、状況に応じてテンプレート図形を選定することが望ましい。
【0054】
テンプレート候補710を選定した後、搬送プログラムを実行する。ロードポート10のウェハカセット11から取出された指定の半導体ウェハ1は、実施例1と同じ方法により、検査部40へと搬送され、検査ステージチャック42上に固定される(S203〜S205)。なお、テンプレート候補710は、半導体ウェハを検査ステージチャック42上に固定した後に選定する事も可能であり、検査モードの設定によって、テンプレート候補710の検査及び評価の工程のみを自動的に実行させる操作に切り替えることができる。
【0055】
半導体ウェハ1を検査ステージチャック42上に固定した後、実施例1と同様にステージチャック42のサーボモータを駆動して、予め指定したテンプレート評価用指定座標810へ移動させる(S206)。テンプレート評価用指定座標810は、図9に示すテンプレート候補710評価用の画面として表示装置120上に設けられ、入力装置110を介して1以上の座標を設定する事ができる。複数の座標を設定し、テンプレート候補710の平均的な評価結果を求めることができる。
【0056】
テンプレート評価用指定座標810を起点に検査ステージチャック42を移動させ、CCDカメラにより半導体ウェハ1の指定範囲820内に形成された被検査パターン830の中からテンプレート候補710に類似するパターンを探索する(S207)。
【0057】
記憶装置160に登録されたテンプレート候補710は線分の画像データとして保存されている。CCDカメラを介して採取される被検査パターン830の画像は(S208)、データ演算処理装置150にて線分化した画像データに画像処理され、随時、エントリーされたテンプレート候補710とパターンマッチングが行われる(S209)。テンプレート候補710と被検査パターン830のサイズが異なる場合や半導体ウェハ1に角度ズレを生じている場合には、パターンマッチングの精度が低下する為、角度可変範囲設定920及びサイズ可変範囲930などの指定された範囲内で(形状補正設定手段)、サイズ可変量991及び角度可変量992に従い(可変量設定手段)、マトリックス状にテンプレート候補710の画像データを可変しながら(画像補正手段)パターンマッチングが行われる。パターンマッチングにおいて、予め設定された相関係数910を満たした場合は、検査ステージ41に内設されたレーザースケール等の位置検出器により被検査パターン830の座標を検出する。
【0058】
またテンプレート候補710の特徴点と、パターンマッチングした被検査パターン830の特徴点に基いて、例えば(2)式によりスコア値を算出する(S210)。このスコア値の算出はパターンマッチングの度合いを数値化し、その度合いを順位付けできるものであれば、当該式に限定されることなく使用することができる。被検査パターン830とテンプレート候補710の特徴点は、パターンマッチングの際の特徴点が用いられるが、別途互いの画像データに画像処理を施し、同一若しくは異なった特徴点抽出手段で抽出される特徴点を用いることも可能である。パターンマッチングとスコア値を算出する特徴点を変えることにより、テンプレート候補710と被検査パターン830との相違の分析精度を向上できる。
【0059】
【数2】
【0060】
なお、(2)式において、Sはパターンマッチングしたテンプレート候補710と被検査パターン830とのスコア値の大きさであり、Msは被検査パターン830とテンプレート候補710との特徴点の一致数、Tsは採取した被検査パターン830の特徴点の総数、Tdはテンプレート候補710の特徴点の総数である。
【0061】
算出されたスコア値は、パターンマッチングの際に、テンプレート候補710画像を可変したサイズ可変量991及び角度可変量992に基いて算出された(補正値算出手段)、角度補正値1050及びサイズ補正値1060、とともに、テンプレート候補710及び当該被検査パターン830の画像と関連付けて記録装置160に登録される(S211)。被検査パターン830が求めるテンプレート候補710と異なる場合は、指定範囲820内のサーチを続行する。上記ステップを反復しながら(S207〜209)、相関係数910を満たした被検査パターン830を同様に登録し、指定範囲820内のサーチ終了まで継続する。
【0062】
上記パターンマッチングは、例えば幾何学形状パターンマッチングなどを用いて行われる。被検査パターン830の画像データからMoravec作用素、SUSAN(Smallest Univalue Segment Assimilating Nucleus)、MIC(Minimum Intensity Charge)などの特徴点抽出手段により、画像データの特徴点が抽出される。特徴点抽出手段は、テンプレート
評価設定画面上に設けられた入力スペース、アイコン、ボタンなどの特徴点抽出設定手段921により設定することができる。なお、線分化した画像データから被検査パターン830の角部(配線パターンのコーナー等)の位置座標及び角部数を特徴点として抽出して、当該特徴点を基にパターンマッチングすることも可能である。探索するテンプレート候補710の様態や半導体ウェハ1の製造工程によっては、特徴点の一致の度合いが異なるため、使用する状況に応じ、適宣、最適な方法を選択することが望ましい。
【0063】
図10はテンプレート評価用指定座標810から検出された被検査パターン830の検査結果を示す表示画面である。パターンマッチングで相関係数910を満たした被検査パターン830はスコア値の順位1010、テンプレート候補710画像、スコア値1020、取得画像1030、座標1070、判定結果1040、角度補正値1050、サイズ補正値1060等の諸評価データと関連付けて、表示装置120上にリスト表示(分析結果表示手段)される(S212)。この表示は、スコア値1020の降順にも、あるいは昇順にでも、設定により表示を変更することもできる。テンプレートの処理選択手段960の設定が自動設定970の場合には、スコア値1020の最も高いものが自動的にテンプレートの画面として採択される。この様に、異物検査装置の分析手段に基づいて最適となるテンプレート候補710を選択する事により、人為的判断と機械的判断のミスマッチングが抑止され、最適なテンプレートを選択することができる。このテンプレート候補710の選択は、マニュアル選定980することも可能であり、取得画像1030及びスコア値1020等を参照しながら、リスト表示の内から適切と思われる画像をテンプレートとして選択することもできる。
【0064】
次いで、検査ステージチャック42を、テンプレートとして採択された被検査パターン830の座標へ移動する(S213)。角度分解能940毎に検査ステージチャック42の角度を変更するとともに(S214)、被検査パターン830の画像位置を補正し(S215)、当該角度毎にCCDカメラにより被検査パターン830の画像データを撮像しながら(S216)、記憶装置160にテンプレートとして登録し(S217)、角度補正範囲941に設定した範囲内の撮像が終了するまで継続する(S214〜S218)。角度をシフトさせたテンプレートの画像データ群の撮像終了とともに、半導体ウェハ1を検査ステージチャック42から搬出し、ウェハカセット11に回収する(S219)。予め角度のズレた複数のテンプレート画像を準備し、当該角度をシフトさせた画像データ群を用いてパターンマッチングすることにより、パターンの識別精度を向上できる。画像データ群のパターンマッチングした画像データから、角度のズレ量の検出や予測も可能となり、当該ズレ量に基いて、1つのアライメントマーク(第1アライメントマーク312若しくは第2アライメントマーク322)のパターンマッチングでθ補正することができる。半導体ウェハ1の角度ズレが大きい場合などの粗θ補正が可能となり、補正処理の高速化、スループットを向上することができる。
【0065】
なお、本実施例では、テンプレートとして採択した後に、角度補正用の基礎画像データとなる角度をシフトさせた画像データ群を撮像しているが、指定範囲820内のサーチ時に、パターンマッチングした被検査パターン830が検出された際に実施することも可能であり、テンプレート探索を自動化し、操作性を向上させる。但し、採取する画像データが増大するため、システムの肥大化を抑制する上では、テンプレートとして選定した後に前記画像データ群を採取することが望ましい。
【0066】
なお、半導体ウェハ1の角度ズレが僅少で画像データ群や粗θ補正を不要とする場合や、テンプレート候補710の探索処理速度を重視する場合には、当該処理ステップをスキップすることも可能であり、入力装置110からの設定によってデータ処理方法を変更できるように構成されている。
【0067】
また、採取画像データは実施例1と同じ方法にて、エッジ位置440が検出され、同様に記憶装置160に登録され、画像データとエッジ位置440がテンプレートとして用いられる。テンプレート評価終了後の半導体ウェハ1は、実施例1と同様の手法にてウェハカセットに回収される。
【実施例3】
【0068】
次に半導体ウェハ1上に形成されているアライメントマークを検出する方法について、主に図11と図12及び図16を用いて説明する。実施例1及び実施例2と重複するものについては省略し、必要に応じて図1と図2を引用する。
【0069】
図16は実施例3における半導体ウェハ1の処理手順を示すフローチャートであり、図11は半導体ウェハ1上に形成されているアライメントマークを検出するための設定画面である。搬送プログラムの実行(S301)と共に実施例1と同じ方法にて、ウェハカセット11より測定対象となる半導体ウェハ1が搬出され、検査ステージチャック42に載置される(S302〜S304)。その後、検査ステージチャック42は設定画面の設定に従い、指定チップ1210の位置へ移動する(S305)。指定チップ1210の指定座標1220に位置合わせした後、CCDカメラにより、探査範囲1230をスキャンニングし(S306)、撮像しながら実施例1と同じ手法にて、平均濃度波形を採取しエッジ位置440を検出する(S307〜S308)。設定された画像範囲1240の中に、エッジ位置数1250を満たす対象物が検出された場合(S309)、該対象物の画像データと座標、及び算出したエッジ数などの特徴点と共に記憶装置160に登録する(S310)。指定範囲1220内をサーチしながら対象物を登録し(S306〜、S310)、指定範囲のスキャンニング完了ともに撮像を終了する。
【0070】
登録された画像データは、図12に示す対象物の採取画像の表示画面にエッジ位置数1250の数値の昇順、若しくは降順で表示装置120にリスト表示される(S311)。表示装置120に表示された対象物の画像データを選択し、入力装置110を介して移動指示手段1310ボタンを選定する事により、指定する座標に検査ステージチャック42が移動して対象物を目視確認することや、登録指示手段1320ボタンを選定する事により、直接該対象物をテンプレートとして登録することができる(S312)。信頼性に欠ける場合には、該対象物の画像を実施例2と同様の方法で採取して、テンプレートとして登録することもできる。なお、上記のボタンは信号を入力できる入力手段であれば事がたり、特にこれに限定されるものではない。アイコンやキーボードなど、その他の入力手段も採用することができる。
【実施例4】
【0071】
次に採択されたテンプレート候補710がテンプレートとして有効か否か、半導体ウェハ1上に形成された他のパターンと誤認識しないかなど、テンプレートの信頼性評価方法について、主に図13と図17を用いて説明する。実施例1と実施例2及び実施例3に重複するものは省略し、必要に応じて図1と図2を引用する。
【0072】
図13はテンプレートの信頼性評価の操作に用いる操作画面を示したものであり、図17は処理手順のフローチャートを示したものである。図13に示すテンプレート信頼性評価の操作画面は、テンプレートの登録番号を入力する登録番号入力手段1410、当該登録番号の画像を表示させる表示指示手段1413、テンプレート画像を一括してサムネール表示させる登録画像表示手段1411、信頼性評価を行うテンプレート候補710を決定する選定手段1412、パターンマッチングを行う際の相関係数設定手段1460、スコア値の閾値を設定するスコア閾値設定手段1450、検査する半導体ウェハ1内のチップを指定するチップ設定手段1430、始点となるチップ内座標を指定する座標設定手段1431、探査領域を設定するチップ内探査範囲設定手段1440などを含み、表示装置120画面上の設定画面として、設定値を変更可能に構成されている。また、登録時のテンプレート候補710に係る登録データが、画像を表示する画像表示手段1420、チップ内の相対位置を表示するチップ内座標表示手段1421、エッジなどの特徴点の数を表示する特徴点数表示手段1422、特徴点の整合状態を表示するスコア値表示手段1423、パターンマッチングの状態表示する相関係数表示手段1425、半導体ウェハ1の処理過程を表示する製造工程表示手段1424などを介して表示する表示機能を有する。テンプレート候補710採取時の参照データを表示することにより、人為的な設定ミスを低減し、信頼性評価の条件設定を容易にしている。なお、本実施例では、これらの入力や表示手段が入力や表示のスペースとボタンで構成されているが、信号の入力と伝達、表示ができるものであれば適用できる。アイコンやキーボードまたはその他の信号入力伝達手段や表示手段を用いても良い。
【0073】
表示装置120の画面上に設けられたボタンを選択することにより、当該画面が表示される(S401)。登録画像表示手段1411を選択すると、記憶装置160に格納されたテンプレート候補710群が、別途設定された表示画面(図省略)にサムネール表示される。当該テンプレート候補710群の中から、任意のテンプレート候補710を候補選択手段(図省略)で選定する事により、記憶装置160から該テンプレート候補710のデータが読み出される。テンプレート候補710の登録番号が既知の場合には、例えば、登録番号入力手段1410に入力装置110で登録番号を直接入力して、表示指示手段1413でデータを読み出し、該テンプレート候補710を画像表示手段1420で確認しながらおこなってもよい。次いで選定手段1412を選択することにより、信頼性評価を施すテンプレート候補710として採択される(S402)。なお、本実施例では、1つのテンプレート候補710に基いて信頼性評価を行っているが、2つ以上のテンプレート候補710を設定し、同時に信頼性評価を実施することも可能であり、テンプレートを採択するために要する評価時間を短縮することができる。
【0074】
信頼性評価プログラムの実行指示手段1470と共に実施例1と同じ方法にて、ウェハカセット11より測定対象となる半導体ウェハ1が搬出され、検査ステージチャック42に載置される(S403〜S405)。その後、検査ステージチャック42は設定画面の設定に従い、最初のチップ設定手段1430の設定位置へ移動する(S406)。次いで該チップの座標設定手段1431の設定位置へ調整した後、CCDカメラにより、チップ内探査範囲設定手段1440の設定範囲をスキャニングしながら(S407)、半導体ウェハ1上に形成された対象物(パターン)の画像データを採取する(S408)。パターンマッチングを実施しながら相関係数閾値設定手段1460の所定値を満たすか否かを判定し(S409)、所定の相関係数を満たした対象物(パターン)は、実施例1で示したエッジ検出等により特徴点を抽出し、当該特徴点に基いてスコア値を算出する(S410)。スコア閾値設定手段1450のスコア値を満たした対象物(パターン)は座標が採取され、画像データや相関係数及びスコア値などの特徴点と共に記憶装置160に登録する(S411)。パターンマッチングの度合いは、相関係数閾値設定手段1460で調整することができるため、製造工程で変化するコントラストの影響を抑制できる。また、スコア閾値設定手段1450により、サンプリングされる対象物(パターン)の数を制御でき、検査時間の増長を抑制できる。チップ内探査範囲1440内を探索しながら条件を満たす対象物(パターン)を随時登録し(S407〜S411)、チップ内探査範囲1440のスキャンニング完了ともに次のチップ設定手段1430の設定位置へ移動する(S406)。同様の対象物(パターン)の探索を繰返し、チップ設定手段1430で設定された全てのチップ検査が完了すると共に撮像を終了する。
【0075】
チップ設定手段1430で設定された全てのチップを検査した後、記憶装置160に保存された該対象物のデータが、表示装置120画面上に設けられた設定画面上にリスト(図省略)表示される(S412)。当該リストは、テンプレート候補710とサンプリングされた対象物(パターン)の画像データや特徴点とが関連付けられて構成され、スコア値や相関係数などの擬似度合いを表す数値に基き、チップ設定手段1430で設定されたチップ毎に降順若しくは降順で表示される。スコア値や相関係数の数値より、テンプレートととして適正か否かを判断でき、各対象物(パターン)間のスコア値や相関係数の大小関係や差分の大きさから、誤認識の可能性を判断できる。また、チップ設定手段1430で設定されたチップ間の各対象物(パターン)の順位や数値の相違から、パターンマッチングの安定性を判断することができる。当該リストの結果を参照しながら、テンプレート候補710を選定して表示装置120画面上設けられたテンプレート選定手段(図省略)を選択することにより、テンプレートとして登録される(S412)。
【0076】
なお、複数のテンプレート候補710を評価する場合には、自動選定手段を選択することにより、データ処理部50が上記関係から適正なテンプレート候補710を判断して採択するが、手動設定としてリスト表示の状態を確認してテンプレート候補710を選定することもできる。この手動設定時には、例えばリスト表示の評価結果が満足いかない場合などには、諸設定を変更した上で再実行指示手段1471を選択することで信頼性の再評価を行うことができる。特に諸設定を変更しない場合でも再評価できることは言うまでも無い。この複数の評価は、例えば半導体ウェハ1のθ角度ズレなどを同じ条件下で比較評価できるため、評価時間を削減し高信頼性のテンプレートを採択できる上で有効である。但し、このテンプレート登録の工程(S412)は不可欠なものでは無く、テンプレート候補710の信頼性評価を行うだけのものであれば、当該工程をスキップしても良い。評価の終了と共に、実施例1と同じ方法にてウェハが搬出され、元のウェハカセット11に回収され、プログラムを終了する(S413〜S414)。このテンプレート候補710の信頼性評価機能により、対象パターンの誤認識する可能性、及び誤認識を避けるためのテンプレート候補710の選択や閾値の設定値を事前に確認できるため、異物検査装置の信頼性、稼働率を飛躍的に向上できる。
【0077】
なお、評価途中で誤認識により信頼性評価プログラムがフリーズした場合は、中断指示手段1480により評価を中断することも、停止指示手段1490で評価を停止することもできる。更には、復旧手段1491を選択してエラーを解除し、検査装置を初期状態に復旧することも可能に構成されている。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上、半導体集積回路の製造に係わる異物検査装置を例として説明したが、本発明の位置合せに係わる技術はフラットパネル表示装置用基板、TFT用のガラス基板、ALTIC基板等の平板基板から製造されるディスク、フラットパネル表示装置、マスク等の製造に必要な様々な工程及び装置に広く適用することができる。
【0079】
なお、本発明では異物検査装置の実施例を示したが、半導体検査装置及び半導体製造装置の如何に関わらず適用することは可能であり、例えば、被検査物に形成されたアライメントマークを用いて、被検査物の位置補正処理を行うものであればCD−SEM等の測長装置、露光装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0080】
1…半導体ウェハ、10…ロードポート、11…ウェハカセット、20…搬送部、21…搬送アッセンブリ、22…ハンドリングアーム、22a…接触部、23…吸着穴、30…プリアライメント部、31…プリアライメントチャック、32…検出装置、40…検査部、41…検査ステージ、42…検査ステージチャック、43a,43b,43c…昇降ピン、50…データ処理部、100…ホストコンピュータ、110…入力装置、120…表示装置、130…出力装置、140…外部記憶装置、150…データ演算処理装置、160…記憶装置、310…第1チップ、320…第2チップ、330…中間補正用チップ、311…第1チップ指定座標、312…第1アライメントマーク、321…第2チップ指定座標、322…第2アライメントマーク、410…エッジ強度波形、411…最大エッジ強度値、420…特徴量設定値、430…特徴量閾値、440…エッジ位置、510…チップ条件設定手段、520…座標条件設定手段、530…サーチ条件設定手段、540…テンプレート設定手段、550…マッチング条件設定手段、560…設定値表示手段、710…テンプレート候補、720…CAD画面、730…マウスポインタ、740…製図手段、750…外観表示手段、810…テンプレート評価用指定座標、820…指定範囲、830…被検査パターン、910…相関係数、920…角度可変範囲設定、921…特徴点抽出設定手段、930…サイズ可変範囲、940…角度分解能、941…角度補正範囲、960…処理選択手段、970…自動設定、980…マニュアル設定、991…サイズ可変量、992…角度可変量、1010…順位、1020…スコア値、1030…取得画像、1040…判定結果、1050…角度補正値、1060…サイズ補正値、1070…座標、1210…指定チップ、1220…指定座標、1230…探査範囲、1240…画像範囲、1250…エッジ位置数、1310…移動指示手段、1320…登録指示手段、1410…登録番号入力手段、1411…登録画像表示手段、1412…選定手段、1413…表示指示手段、1420…画像表示手段、1421…チップ内座標表示手段、1422…特徴点数表示手段、1423…スコア値表示手段、1424…製造工程表示手段、1425…相関係数表示手段、1430…チップ設定手段、1431…座標設定手段、1440…チップ内探査範囲設定手段、1450…スコア閾値設定手段、1460…相関係数設定手段、1470…実行指示手段、1471…再実行指示手段、1480…中断指示手段、1490…停止指示手段、1491…復旧指示手段。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス基板や半導体ウェハ等の被検査物の表面に存在する異物、きず、欠陥、汚れ等(以下、これらを総称して異物と称す)を検出する異物検査装置に係り、特に被検査物を高精度に位置補正し、異物を高精度、高感度で検出する異物検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス基板や半導体ウェハ等の被検査物の表面に存在する異物を検出する異物検査装置として、レーザー光等の光ビームを被検査物の表面ヘ照射し、該表面で発生した反射光又は散乱光を検出することにより、異物の有無を検出するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この異物検出装置では、半導体ウェハに本来同一のパターンを有する多数のICチップが形成されている場合、各チップより検出した反射光又は散乱光の強度から画像信号を作成し、隣接するチップから得られた画像信号、若しくは予め用意した良品チップの画像信号と比較して、両者の偏差信号がしきい値以上にある場合を異物と判定する。
【0003】
前記の画像信号を採取する際には、被検査物の表面上の横方向に並設されたチップが、光ビームのスキャン方向に対して、平行に載置されることが必要である。隣接したチップと比較して偏差信号を採取するため、チップ内の配線レイアウトやチップ間のスクライブラインなど、検出領域に含まれるパターンの種類や密度の違いで偏差信号にバラツキを生じ、検査結果に影響を及ぼすからである。
【0004】
この被検査物を平行に載置するための位置合せ方法として、被検査物の表面のチップ内に形成されたアライメントマークを基準に、被検査物内の2点の座標(X、Y)を採取し、該座標から算出された被検査物のズレ量を基に、検査ステージを移動させて補正が行われている。
【0005】
近年の半導体の高集積化、微細化に伴い、より微小な異物の検出が必要となってきており、偏差信号のバラツキを抑え、検出精度及び再現性を向上するため、更なる位置合せ精度が望まれているが、アライメントマークの微細化や、製造工程に起因したコントラスト低下により、位置合せが難しくなってきている。
【0006】
検査位置の位置合せ方法に関しては、例えば、レチクル基板の投影波形を基準画像データ(以下、テンプレート)として準備し、位置調整用レチクル基板から実際に得られた投影波形とのパターンマッチングからズレ量を求めるものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
また、パターンマッチング方法に関しては、被検査物から画像信号を検出し、画像信号より所定の特徴量を抽出して抽象化パターンを形成し、これと基準画像(テンプレート)から得られた抽象化パターンとをパターンマッチングするものが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−47901号公報
【特許文献2】特開平10−106941号公報
【特許文献3】特開平11−340115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2に記載の技術は被検査物を光ビームで往復してスキャンする際に、往路と復路の位置ズレ量を一括して補正処理するものであり、被検査物個々に高精度の位置合せを必要とする異物検査装置には、適用することができない。また、位置ズレの調整専用の治具として作成されたレチクル基板を対象としたものであるため、半導体デバイス等の製造工程で形成される半導体膜、金属膜、絶縁膜等の各種薄膜の影響については配慮がなされておらず、アライメントマークのコントラスト低下による認識不能や他のアライメントマークと誤認識(ミスマッチング)する問題は避けられない。
【0010】
アライメントマークは、従来、オペレータが被検査物の観察画面を見ながら選定し、その画像データをテンプレートとして登録していた。しかるに、半導体デバイス製品の検査工程が、コントラストの低下する製造工程の場合、アライメントマークを目視することが困難であり、過去の経験と感を頼りに、アライメントマークの選定を繰返し行っていた。
但し、認識精度が低下するため、オペレータは煩雑なテンプレートの評価条件出し及び採取作業に長時間を要していた。さらに、被検査物に角度(θ)のズレを生じている場合は、テンプレートそのままでの使用が困難であり、角度の補正を必要とする。その補正処理の誤差によって、位置合せ精度の低下やバラツキを生じるなどの課題があった。
【0011】
本発明の目的は、被検査物のアライメントマークがパターンマッチングし難い条件にある場合においても、認識不能や誤認識をしないようにパターンマッチングをすることである。
【0012】
また本発明の他の目的は、被検査物から採取したパターンの画像がテンプレートとして適切か否かの分析や登録する機能を装備し、適切なテンプレートの選択や評価条件出しを容易とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、被検査物の表面に光ビームを照射し、反射光または散乱光の受光強度より画像信号を取得し、隣接した被検査物から得られた画像信号と比較して被検査物表面に存在する異物の有無を検査する異物検査装置において、前記被検査物の表面に形成されるアライメントマークの特徴点を登録する装置と、前記被検査物の表面上の前記アライメントマークを読取る装置とを備え、前記特徴点に基いて前記被検査物の表面に形成されたアライメントマークを検出してアライメントを行うようにしたことを特徴とする。
【0014】
また、被検査物に光ビームを照射し、前記被検査物から反射または散乱する光の受光強度により、前記被検査物の表面に存在する異物の有無を検査する異物検査装置において、前記被検査物の表面に形成されるアライメントマークの特徴点を入力する装置と、前記入力したアライメントマークの特徴点を表示する装置と、前記入力したアライメントマークの特徴点を登録する装置とを備え、前記特徴点に基いて前記被検査物の表面上に形成されたアライメントマークを検出してアライメントを行うようにしたことを特徴とする。
【0015】
また、被検査物に光ビームを照射し、反射または散乱する光の受光強度により、前記被検査物の表面に存在する異物の有無を検査する異物検査装置において、前記被検査物の表面に形成されるアライメントマークの特徴点を登録する装置と、前記被検査物の表面上に形成されたアライメントマークの画像データを採取する装置と、前記画像データから特徴点を抽出し双方の特徴点より相関値を算出するデータ演算処理装置とを備え、前記相関値の閾値に基いて前記アライメントマークの画像データを登録することを特徴とする。
【0016】
また、被検査物に光ビームを照射し、反射または散乱する光の受光強度により、前記被検査物の表面に存在する異物の有無を検査する異物検査装置において、前記被検査物の表面に形成されるアライメントマークの特徴点を登録する装置と、前記被検査物の表面上に形成されたアライメントマークの画像データを採取する装置と、前記画像データから特徴点を抽出し双方の特徴点より相関値を演算するデータ演算処理装置と、前記相関値の演算結果を表示する表示装置とを備え、前記相関値の閾値に基いて前記アライメントマークの合否の判定結果を表示することを特徴とする。この異物検査装置において、前記相関値の演算結果を該相関値の大きさに順じて配列し、前記表示装置にリスト形式で表示することが望ましい。
【0017】
また、被検査物の表面に光ビームを照射し、反射光または散乱光の受光強度より画像信号を取得し、隣接した被検査物から得られた画像信号と比較して被検査物表面に存在する異物の有無を検査する異物検査装置において、前記被検査物の表面に形成されるアライメントマークの画像データから特徴点を抽出しテンプレートの特徴点とパターンマッチングする画像処理手段と、マッチングした相互の特徴点より確率若しくは得点(スコア)を算出する演算処理手段と、所定の確率若しくは得点(スコア)をもって該特徴点が一致した場合を基準となるアライメントマークとして識別させる判断処理手段と、被検査物内の少なくとも2点のアライメントマークの認識にて採取した座標から被検査物のズレ量を算出する演算処理手段と、該ズレ量を基に検査ステージを移動させて位置合せする駆動機構とを備えたことを特徴とする。
【0018】
本発明において、最適なアライメントマークの自動選定のために、異物検査装置にテンプレートとして適切か否かのアライメントマークの評価機能と該評価結果の表示機能、及びアライメントマークの選定機能と該画像データをテンプレートとして格納する登録機能を具備することができる。
【0019】
また、テンプレート候補となるアライメントマークを自動抽出するために、テンプレートの特徴点を入力するデータ入力手段ならびにデータを格納するデータ登録手段と、該テンプレートの特徴点のデータに基いてチップ内の指定された区画の画像データを採取する検出手段ならびに該採取した画像データを格納するデータ登録手段と、画像データから特徴点を抽出する画像処理手段ならびに登録されたテンプレートの特徴点と比較処理するデータ演算処理部と、採取したアライメントマーク候補の座標と外観形状ならびにデータ演算処理部で算出された適性度数と適性順位などの分析値を表示させる表示手段と、最適なテンプレートとして該アライメントマーク候補から自動選出または選択して画像データを登録する登録手段とを備えることができる。
【0020】
また、テンプレート候補の誤認識の可能性を事前に評価するために、抽出されたテンプレート候補の特徴点のデータに基いてチップ内の指定された区画の画像データを採取する検出手段ならびに該採取した画像データを格納するデータ登録手段と、画像データから特徴点を抽出する画像処理手段ならびに抽出したテンプレートの特徴点と比較処理するデータ演算処理部と、採取した画像データの座標と外観形状ならびにデータ演算処理部で算出された適性度数と適性順位などの分析値を表示させる表示手段とを備えることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、アライメントマークの認識不能や誤認識を抑止したパターンマッチングが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係わる異物検査装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】データ処理部の制御の概略を示すブロック図である。
【図3】半導体ウェハ内のアライメントに用いるチップ及び指定座標を説明する図である。
【図4】エッジ強度波形の処理及びエッジ位置を説明する図である。
【図5】アライメントの設定画面を説明する図である。
【図6】テンプレート候補を作図するためのCAD画面を説明する図である。
【図7】テンプレート候補の一実施例を説明する図である。
【図8】テンプレート候補を評価するための指定座標及び指定範囲を説明する図である。
【図9】テンプレート候補を評価するための設定画面を説明する図である。
【図10】テンプレート候補の評価結果を表示する画面を説明する図である。
【図11】半導体ウェハのチップ内に形成されているアライメントマークを探査するための設定画面を説明する図である。
【図12】半導体ウェハのチップ内に形成されているアライメントマークの探査結果を表示する画面を説明する図である。
【図13】テンプレート候補の信頼性を評価するための設定画面を説明する図である。
【図14】テンプレートを用いた半導体ウェハの角度補正の方法を示すフローチャートである。
【図15】最適なテンプレートを採取するための方法を示すフローチャートである。
【図16】半導体ウェハ内のテンプレート候補を探査するための方法を示すフローチャートである。
【図17】テンプレート候補の信頼性評価及び適正なテンプレートを選定するための方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を添付の図面を参照して詳細を説明する。本発明の異物検査装置は、半導体ウェハ、ALTIC基板、TFT−LCD等に用いられるガラス基板などの被検査物の表面に存在する異物を検査可能であるが、本実施の形態では、半導体ウェハを被検査物の一例として説明する。
【実施例1】
【0024】
図1は本発明の一実施形態である異物検査装置の概略構成を示した平面図である。異物検査装置は、1個以上のロードポート10、搬送部20、プリアライメント部30、検査部40、及びデータ処理部50から構成されている。ロードポート10には、複数の被検査用の半導体ウェハ1を収納した1個以上のウェハカセット11が載置される。このウェハカセット11は、被検査用の半導体ウェハ1と、検査の結果、不良と判定された半導体ウェハ1の回収専用として、個々に分別した運用もできる。
【0025】
図2はデータ処理部50の制御の概略を示すブロック図である。データ処理部50はホストコンピュータ100、キーボードやタッチパネルまたはマウス等からなる入力装置110、CRTやフラットパネルディスプレイからなる表示装置120、プリンタ等の出力装置130、フロッピー(登録商標)ディスク(FD)やコンパクトディスク(CD)等の外部メディアを制御する外部記憶装置140から構成される。また、ホストコンピュータ100は、データ演算処理装置150とハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置160を有する。入力装置110からの指令に基づいて異物検査装置全体の制御を行う。アライメントに係わる制御や分析結果、検査条件の制御や採取したデータの解析、異物検査装置の動作状態を表示装置120に表示し、更にはプリンタ等の出力装置130へ出力する。各種の条件設定は、入力装置110から入力され、レシピデータなどとして記憶装置160に格納される。
【0026】
図14は実施例1における半導体ウェハ1の処理手順を示すフローチャートである。図1の異物検査装置において、半導体ウェハ1の搬送は、搬送プログラムの実行(S101)によりデータ処理部50から信号が送信され、図示しないパルス制御基板及び駆動回路を介してサーボモータを駆動し、搬送アッセンブリ21に配設されたハンドリングアーム22を制御することにより行われる。ハンドリングアーム22は、データ処理部50より指示されたウェハカセット11の棚段より半導体ウェハ1を搬出し、ロードポート10からプリアライメント部30へ搬送する(S102)。ウェハカセット11から半導体ウェハ1を搬出する際、U字形の接触部22aの略中心が半導体ウェハ1の略中心に一致するようにに制御され、接触部22aの吸着穴23にて真空吸着し、半導体ウェハ1を保持する。
【0027】
ハンドリングアーム22は、半導体ウェハ1を保持した状態でプリアライメントチャック31上方へ前進し、半導体ウェハ1とプリアライメントチャック31の互いの略中心が一致する位置で下降し、プリアライメントチャック31上に半導体ウェハ1を搭載する。
次いで、プリアライメントチャック31は、半導体ウェハ1の裏面を真空吸着し、半導体ウェハ1を保持する。
【0028】
プリアライメントチャック31はX,Y,θ方向に移動及び回転可能に構成されている。検出装置32は、レーザー光等の発光部とCCDラインセンサー等の受光部を備え、発光部から受光部へ到達する光の位置と強度を検出し、プリアライメントチャック31上に載置された半導体ウェハ1の外周及びVノッチ(又はオリフラ等)の位置を検出する。データ処理部50は検出装置32の検出結果に基いて、図示しないパルス制御回路及び駆動回路を介してパルスモータを駆動し、プリアライメントチャック31を移動及び回転して、半導体ウェハ1の粗位置調整(プリアライメント)を行う(S103)。
【0029】
プリアライメント終了後、プリアライメントチャック31は、半導体ウェハ1の真空吸着を解除する。ハンドリングアーム22は、プリアライメントチャック31上に搭載された半導体ウェハ1の下方へ侵入し、U字形の接触部22aの中心が半導体ウェハ1の中心とほぼ一致する位置で上昇することにより、半導体ウェハ1をプリアライメントチャック31から持ち上げる。そして、半導体ウェハ1をプリアライメント部30から検査部40の検査ステージ41へ搬送する(S104)。
【0030】
検査部40には、検査ステージ41に検査ステージチャック42が配設されている。検査ステージチャック42は、上昇及び下降が可能な昇降ピン43a,43b,43cを備えている。昇降ピン43a,43b,43cが上昇した状態で、ハンドリングアーム22は、半導体ウェハ1を持ち上げたまま検査ステージチャック42の上方へ前進し、半導体ウェハ1と検査ステージチャック42の互いの略中心が一致する位置で下降し、半導体ウェハ1を昇降ピン43a,43b,43cへ受け渡す。次いで、ハンドリングアーム22が検査ステージチャック42の上方から後退した後、昇降ピン43a,43b,43cを下降し、半導体ウェハ1を検査ステージチャック42上に搭載する。検査ステージチャック42は、半導体ウェハ1の裏面を真空吸着し、半導体ウェハ1を固定する。
【0031】
検査ステージチャック42に半導体ウェハ1が載置されると、データ処理部50は入力装置110を介して記憶装置160に登録されたレシピデータよりチップサイズを読取り、データ演算処理装置150にて半導体ウェハ1に並設された各チップの座標を算出する。検査ステージチャック42は、X,Y,θ方向に移動及び回転可能に構成され、配設されたレーザースケール等などの位置検出器(図省略)により位置(座標)を検知しながら、半導体ウェハ1上の検査位置等を制御する。データ処理部50は、図示しないパルス制御基板及び駆動回路を介してサーボモータ(図省略)を駆動することで、検査ステージチャック42を移動及び回転させ、例えば図3に示す第1チップ310の第1チップ指定座標311へ移動させる(S105)。
【0032】
検査部40の検査ステージチャック42上部にはCCDカメラ(図省略)が載置されている。第1チップ指定座標311近傍の指定範囲内をサーチし(S106)、CCDカメラより、例えば第1チップ310の第1アライメントマーク312を画像データとして採取する(S107)。採取された第1アライメントマーク312の画像データは、CCDの画素毎の階調データに基き、データ演算処理装置150にて画像全体の平均明度が算出される。次いで、該平均明度とテンプレートの平均明度とが略同一となる乗数を求め、各画素の明度毎に前記乗数を乗じた明度と画像全体の平均明度との差分を各画素毎に算出する。この正規化処理により、各画素間の変化が正規化した明度波形(投影波形)として抽出され、記憶装置160に格納される。
なお、本実施例では、基準とする明度をテンプレートの平均明度としているが、予め設定された設定明度に基いて、明度を調整する乗数を求めても、同様な効果を得ることができる。
【0033】
データ演算処理装置150は、該投影波形の演算処理を行い、例えば微分処理により、図4に示す濃淡(階調)の変化を表すエッジ強度波形410を算出する。次いで、得られたエッジ強度波形410の中から最大値を示す最大エッジ強度値411を抽出し、予め設定した特徴量設定値420と略同一となる乗数を求め、コントラストが低い場合には最大エッジ強度値411が高くなる様に、コントラスト高い場合には最大エッジ強度値411が低くなる様に、この乗数に基いてエッジ強度波形410全体を補正する。この補正により、半導体ウェハ1表面上の膜や照度変動などのコントラスト低下によるパターンマッチング精度への影響を抑制する。
【0034】
予め記憶装置160に登録された特徴量閾値430に基いて、該閾値を超えたピークとCCDの画素の位置よりエッジ位置440を検出し、各エッジ位置440の強度値及びCCDの画素の位置などの特徴点を、位置検出器からの位置情報(座標情報)と関連付けて記憶装置160に記憶する。
【0035】
比較基準となるテンプレートのデータは、前述の第1アライメントマーク312と同様の画像処理が施され、各エッジ位置440の強度値及びCCD画素位置などの特徴点が、予め記憶装置160に登録されている。第1アライメントマーク312の特徴点は、このテンプレートの特徴点に基いてパターンマッチングが行われ、類比判断される(S108)。仮に第1アライメントマーク312が、テンプレートパターンと相違する場合は、指定範囲内の探索を続行する。S106からS108ステップを反復してパターンマッチングを繰返しながら、相関のとれるアライメントマークを探索する。所定の相関を持って検出されたパターンを第1アライメントマーク312と認識し、位置検出器により第1アライメントマーク312の座標(X,Y)を検出し、該座標を記憶装置160に登録する(S109)。互いに正規化処理された特徴点により類比判断を行うため、プロセス処理工程の影響によって第1アライメントマーク312のコントラストが低い場合においても、高精度のパターンマッチングが確保され、誤認識を抑止することができる。
【0036】
パターンマッチングで第1アライメントマーク312と認識されたパターンは、当該特徴点に基き、マッチング状態を表す指標値(スコア値)をデータ演算処理装置150で算出し、表示装置120の画面上に表示する。スコア値は第1アライメントマーク312とテンプレートにおける特徴点の相関データに基き、例えば(1)式により算出される。パターンマッチングの度合いを数値化し、その度合いを表示できるものであれば、当該式に限らず使用可能であり、同様の効果が得られる。
【0037】
【数1】
【0038】
なお、(1)式におけるSはスコア値の大きさであり、Mpはパターンマッチングにおけるエッジの一致数、Ttはテンプレート採取時のエッジ総数、Taは第1アライメントマーク312のエッジ総数である。
【0039】
スコア値Sは半導体ウェハ1のパターンマッチング毎に記憶装置160に格納され、表示装置120の画面上に表示される。該スコア値Sを介してパターンマッチング状態を確認することにより、テンプレートの良否判断も可能である。また記憶装置160に格納された過去のスコア値Sデータとの対比により、アライメントマークの状態、すなわち半導体デバイスの加工状態や、異物検査装置の状態を診断できる。予め設定されたスコア値Sの閾値に基き、異常表示や警報、または遠隔診断手段へ装置異常を伝達することも可能であり、該スコア値Sの表示、非表示の選択と共に、入力装置110を介して設定可能となっている。
【0040】
第1アライメントマーク312の座標を検出後、検査ステージチャック42を半導体ウェハ1のチップマトリックス上の第2チップ指定座標321へ移動させる(S110)。第2チップ320の第2アライメントマーク322も、第1アライメントマーク312と同じ方法で画像処理やパターンマッチングが行われ(S111〜S113)、検出された第2アライメントマーク322の座標(X,Y)を検出し、算出されたスコア値と共に記憶装置160に格納される(S114)。当該スコア値の管理基準値は、表示装置120画面上に配設された設定欄から設定値(閾値)を設定可能となっている。第1アライメントマーク312及び第2アライメントマーク322の少なくとも1つが、該閾値の条件を満たさない場合には、データ処理部50を通じてアラーム表示させることも可能に構成されている。
【0041】
なお、スコア値のデータ処理は、誤認識の発生が僅少でパターンマッチングの状態監視が必要ないものや異物検査装置のスループットが求められる場合など、異物検査装置の使用される状況に応じて、算出処理工程をスキップさせることが可能であり、入力装置110からの設定によってデータ処理方法及び表示方法を変更できるように構成されている。
【0042】
採取した第1アライメントマーク312と第2アライメントマーク322の2つの(X,Y)座標から、データ演算処理装置150が角度のズレ量を算出し、データ処理部50からの指令に基いて、検査ステージチャック42は角度補正され(S115)、半導体ウェハ1上に並設されたチップが、光ビームのスキャン方向に対して精度高く平行に載置される。
【0043】
検査ステージチャック42の上方には、図示しない投光系装置及び受光系装置が配設され、投光系装置からレーザー光等の光ビームが半導体ウェハ1の表面ヘ照射される。検査ステージチャック42を、サーボモータを駆動してY方向及びX方向へ移動させ、半導体ウェハ1表面に光ビームを走査させる。
【0044】
受光系装置は、半導体ウェハ1表面から発生した反射光又は散乱光を検出し、受光系装置の検出結果に基づき、データ処理部50のホストコンピュータ100でデータ処理され、半導体ウェハ1の表面に存在する異物が検出される(S116)。
【0045】
半導体ウェハ1表面の異物検査が終了すると、ウェハカセット11から検査ステージチャック42へ半導体ウェハ1を載置したのと逆の手順により、半導体ウェハ1を検査部40からロードポート10へ搬送し、同じウェハカセット11の同じ棚段へ収納する。なお、半導体ウェハ1表面上の異物数等が設定値を超えた場合には、別のロードポート10のウェハカセット11へ半導体ウェハ1を分別して搬送することもできる。当該搬出時の半導体ウェハ1の分別設定は、表示装置120の設定画面から入力装置110を介して設定可能となっている。
【0046】
本実施例では、2つの(X,Y)座標を用いて補正を行っているが、補正処理に時間を要するものの、縦横に位置する3つ以上の(X,Y)座標を用いれば、さらに精度の高い補正が可能である。また、本実施例では、半導体ウェハ1のノッチに対して横方向に配列された同列のチップにて補正しているが、光ビームのスキャン方向に対してチップ配列を平行に補正できればよく、縦方向や斜方向の配置若しくは任意のチップ配置による補正であっても、同等の性能が得られる。
【0047】
位置補正に用いる第1チップ310と第2チップ320との距離が大きいほど、角度補正の精度を向上できるが、プリアライメントチャック31の角度補正に所定の精度を求められない場合、アライメントマークがサーチする指定範囲から外れたり、認識不良を生じる恐れがある。そのため、第1チップ310と第2チップ320との間に、中間補正用チップ330の指定座標を設け、該中間補正用チップ330で粗位置補正を行った後、第1チップ310と第2チップ320にて位置ズレの微調整をすることも可能である。中間補正用チップ330の使用の有無及び諸条件設定は、表示装置120の画面上に設けられた設定画面より入力装置110を介して設定される。位置ズレ補正方法の選択手段により、位置ズレの大きな半導体ウェハ1においても、アライメントマークを安定して認識することができる。
【0048】
図5は上述の条件設定画面を示したものである。当該条件設定画面は、第1チップ310や第2チップ320及び中間補正用チップ330などを設定するチップ条件設定手段510、第1チップ指定座標311や第2チップ指定座標321及び中間補正用チップ指定座標などのアライメントマークの座標を設定する座標条件設定手段520、サーチする領域を設定するサーチ条件設定手段530、パターンマッチングに用いるテンプレートを設定するテンプレート設定手段540、角度や位置の補正条件、及びスコア値のデータ処理方法や閾値などを設定するマッチング条件設定手段550などによって構成される。各項目の設定条件の中で、例えばマッチングを左右するような条件や数値設定は、設定画面のトップの設定値表示手段560に表示される。各条件設定ボタンを入力装置110を介して選択すると、それらに係わる設定画面が開かれ、各詳細データを設定可能となっている。本実施例ではボタンを用いた設定画面となっているが、画面や設定条件の表示や設定ができるものであれば、アイコンや入力スペース、或いはその他の手段を用いて設定画面を構成してもよい。
【実施例2】
【0049】
アライメントマークをパターンマッチングにより判別する際、比較対象となるテンプレートが必要となる。次に半導体ウェハ1上に形成されたパターンの中から、最適なテンプレートを採取する方法について主に図6と図7及び図15を用いて説明する。実施例1と重複するものについては省略し、必要に応じて図1と図2を引用する。
【0050】
図15は実施例2における半導体ウェハ1の処理手順を示すフローチャートであり、図6はアライメントマークのテンプレート候補710を作図するためのCAD(Computer Aided Design)画面720を示したものである。このCAD画面720は、異物検査装置の一機能として配備され、表示装置120の画面上に表示される。CAD画面720は入力装置110からの指令に基いてホストコンピュータ100が各種の処理を実施する。CAD画面720には、グリッドとスケールを表示することが可能であり、テンプレート候補710の概略のサイズを確認できる。また、マウスポインタ730等の位置表示手段で、表示装置120の画面上に作成した図形を選定することにより、テンプレート候補710の幅、高さ、角度等の形状情報を外観表示手段750に表示することができる。CAD画面720上には、例えば実線や破線または鎖線、円形や矩形、更には図形の反転や回転、サイズの縮小、拡大など、テンプレート候補710を描画や編集するための製図手段740がアイコンやマーク若しくはボタン等の図像で表示されている。テンプレート候補710は、記憶装置160や記憶媒体を介して外部記憶装置140から、読出しや編集、更には保存することできる。また、アライメントマークの設計データを、外部記憶装置140を介して入力することもできる。さらに、マウスポインタ730等の位置表示手段を介してフリーハンドで描画した表示装置120の画面上の図像を基に、該図像の特徴点にマッチしたテンプレート候補710を、記憶装置160から読み出すこともできる。
【0051】
図7は、本実施例に用いたテンプレート候補710の一例である。(a)は矩形の外輪の内側に矩形を設け、その該中央部に十文字の図形を設けたものである。(b)はL字状形状の外輪にL字状形状の図形を並設したものである。(c)は(b)のパターンの角部に面取りを行った図形である。(d)は(c)の近傍に矩形を配設した図形である。
【0052】
プログラムの実行(S201)により、(a)〜(d)に示した図形等を作成し、半導体ウェハ1表面を探索するテンプレート候補710として、記憶装置160に登録する。半導体ウェハ1上に存在する同類のアライメントマークを探査する場合には、登録したテンプレート候補710の中から、1以上のテンプレート候補710を選定し、入力装置110を介してエントリーする(S202)。また、過去に作成して登録した図形を読み出して、使用することも可能となっている。
【0053】
マッチングの精度を上げる上では、一般にはテンプレート候補710に角部が多く、図形自体が独立したものが好ましい。しかし、半導体ウェハ1の角度のズレが大きい場合や、コントラストの低い工程のウェハにおいては、認識不良となることもあるので、状況に応じてテンプレート図形を選定することが望ましい。
【0054】
テンプレート候補710を選定した後、搬送プログラムを実行する。ロードポート10のウェハカセット11から取出された指定の半導体ウェハ1は、実施例1と同じ方法により、検査部40へと搬送され、検査ステージチャック42上に固定される(S203〜S205)。なお、テンプレート候補710は、半導体ウェハを検査ステージチャック42上に固定した後に選定する事も可能であり、検査モードの設定によって、テンプレート候補710の検査及び評価の工程のみを自動的に実行させる操作に切り替えることができる。
【0055】
半導体ウェハ1を検査ステージチャック42上に固定した後、実施例1と同様にステージチャック42のサーボモータを駆動して、予め指定したテンプレート評価用指定座標810へ移動させる(S206)。テンプレート評価用指定座標810は、図9に示すテンプレート候補710評価用の画面として表示装置120上に設けられ、入力装置110を介して1以上の座標を設定する事ができる。複数の座標を設定し、テンプレート候補710の平均的な評価結果を求めることができる。
【0056】
テンプレート評価用指定座標810を起点に検査ステージチャック42を移動させ、CCDカメラにより半導体ウェハ1の指定範囲820内に形成された被検査パターン830の中からテンプレート候補710に類似するパターンを探索する(S207)。
【0057】
記憶装置160に登録されたテンプレート候補710は線分の画像データとして保存されている。CCDカメラを介して採取される被検査パターン830の画像は(S208)、データ演算処理装置150にて線分化した画像データに画像処理され、随時、エントリーされたテンプレート候補710とパターンマッチングが行われる(S209)。テンプレート候補710と被検査パターン830のサイズが異なる場合や半導体ウェハ1に角度ズレを生じている場合には、パターンマッチングの精度が低下する為、角度可変範囲設定920及びサイズ可変範囲930などの指定された範囲内で(形状補正設定手段)、サイズ可変量991及び角度可変量992に従い(可変量設定手段)、マトリックス状にテンプレート候補710の画像データを可変しながら(画像補正手段)パターンマッチングが行われる。パターンマッチングにおいて、予め設定された相関係数910を満たした場合は、検査ステージ41に内設されたレーザースケール等の位置検出器により被検査パターン830の座標を検出する。
【0058】
またテンプレート候補710の特徴点と、パターンマッチングした被検査パターン830の特徴点に基いて、例えば(2)式によりスコア値を算出する(S210)。このスコア値の算出はパターンマッチングの度合いを数値化し、その度合いを順位付けできるものであれば、当該式に限定されることなく使用することができる。被検査パターン830とテンプレート候補710の特徴点は、パターンマッチングの際の特徴点が用いられるが、別途互いの画像データに画像処理を施し、同一若しくは異なった特徴点抽出手段で抽出される特徴点を用いることも可能である。パターンマッチングとスコア値を算出する特徴点を変えることにより、テンプレート候補710と被検査パターン830との相違の分析精度を向上できる。
【0059】
【数2】
【0060】
なお、(2)式において、Sはパターンマッチングしたテンプレート候補710と被検査パターン830とのスコア値の大きさであり、Msは被検査パターン830とテンプレート候補710との特徴点の一致数、Tsは採取した被検査パターン830の特徴点の総数、Tdはテンプレート候補710の特徴点の総数である。
【0061】
算出されたスコア値は、パターンマッチングの際に、テンプレート候補710画像を可変したサイズ可変量991及び角度可変量992に基いて算出された(補正値算出手段)、角度補正値1050及びサイズ補正値1060、とともに、テンプレート候補710及び当該被検査パターン830の画像と関連付けて記録装置160に登録される(S211)。被検査パターン830が求めるテンプレート候補710と異なる場合は、指定範囲820内のサーチを続行する。上記ステップを反復しながら(S207〜209)、相関係数910を満たした被検査パターン830を同様に登録し、指定範囲820内のサーチ終了まで継続する。
【0062】
上記パターンマッチングは、例えば幾何学形状パターンマッチングなどを用いて行われる。被検査パターン830の画像データからMoravec作用素、SUSAN(Smallest Univalue Segment Assimilating Nucleus)、MIC(Minimum Intensity Charge)などの特徴点抽出手段により、画像データの特徴点が抽出される。特徴点抽出手段は、テンプレート
評価設定画面上に設けられた入力スペース、アイコン、ボタンなどの特徴点抽出設定手段921により設定することができる。なお、線分化した画像データから被検査パターン830の角部(配線パターンのコーナー等)の位置座標及び角部数を特徴点として抽出して、当該特徴点を基にパターンマッチングすることも可能である。探索するテンプレート候補710の様態や半導体ウェハ1の製造工程によっては、特徴点の一致の度合いが異なるため、使用する状況に応じ、適宣、最適な方法を選択することが望ましい。
【0063】
図10はテンプレート評価用指定座標810から検出された被検査パターン830の検査結果を示す表示画面である。パターンマッチングで相関係数910を満たした被検査パターン830はスコア値の順位1010、テンプレート候補710画像、スコア値1020、取得画像1030、座標1070、判定結果1040、角度補正値1050、サイズ補正値1060等の諸評価データと関連付けて、表示装置120上にリスト表示(分析結果表示手段)される(S212)。この表示は、スコア値1020の降順にも、あるいは昇順にでも、設定により表示を変更することもできる。テンプレートの処理選択手段960の設定が自動設定970の場合には、スコア値1020の最も高いものが自動的にテンプレートの画面として採択される。この様に、異物検査装置の分析手段に基づいて最適となるテンプレート候補710を選択する事により、人為的判断と機械的判断のミスマッチングが抑止され、最適なテンプレートを選択することができる。このテンプレート候補710の選択は、マニュアル選定980することも可能であり、取得画像1030及びスコア値1020等を参照しながら、リスト表示の内から適切と思われる画像をテンプレートとして選択することもできる。
【0064】
次いで、検査ステージチャック42を、テンプレートとして採択された被検査パターン830の座標へ移動する(S213)。角度分解能940毎に検査ステージチャック42の角度を変更するとともに(S214)、被検査パターン830の画像位置を補正し(S215)、当該角度毎にCCDカメラにより被検査パターン830の画像データを撮像しながら(S216)、記憶装置160にテンプレートとして登録し(S217)、角度補正範囲941に設定した範囲内の撮像が終了するまで継続する(S214〜S218)。角度をシフトさせたテンプレートの画像データ群の撮像終了とともに、半導体ウェハ1を検査ステージチャック42から搬出し、ウェハカセット11に回収する(S219)。予め角度のズレた複数のテンプレート画像を準備し、当該角度をシフトさせた画像データ群を用いてパターンマッチングすることにより、パターンの識別精度を向上できる。画像データ群のパターンマッチングした画像データから、角度のズレ量の検出や予測も可能となり、当該ズレ量に基いて、1つのアライメントマーク(第1アライメントマーク312若しくは第2アライメントマーク322)のパターンマッチングでθ補正することができる。半導体ウェハ1の角度ズレが大きい場合などの粗θ補正が可能となり、補正処理の高速化、スループットを向上することができる。
【0065】
なお、本実施例では、テンプレートとして採択した後に、角度補正用の基礎画像データとなる角度をシフトさせた画像データ群を撮像しているが、指定範囲820内のサーチ時に、パターンマッチングした被検査パターン830が検出された際に実施することも可能であり、テンプレート探索を自動化し、操作性を向上させる。但し、採取する画像データが増大するため、システムの肥大化を抑制する上では、テンプレートとして選定した後に前記画像データ群を採取することが望ましい。
【0066】
なお、半導体ウェハ1の角度ズレが僅少で画像データ群や粗θ補正を不要とする場合や、テンプレート候補710の探索処理速度を重視する場合には、当該処理ステップをスキップすることも可能であり、入力装置110からの設定によってデータ処理方法を変更できるように構成されている。
【0067】
また、採取画像データは実施例1と同じ方法にて、エッジ位置440が検出され、同様に記憶装置160に登録され、画像データとエッジ位置440がテンプレートとして用いられる。テンプレート評価終了後の半導体ウェハ1は、実施例1と同様の手法にてウェハカセットに回収される。
【実施例3】
【0068】
次に半導体ウェハ1上に形成されているアライメントマークを検出する方法について、主に図11と図12及び図16を用いて説明する。実施例1及び実施例2と重複するものについては省略し、必要に応じて図1と図2を引用する。
【0069】
図16は実施例3における半導体ウェハ1の処理手順を示すフローチャートであり、図11は半導体ウェハ1上に形成されているアライメントマークを検出するための設定画面である。搬送プログラムの実行(S301)と共に実施例1と同じ方法にて、ウェハカセット11より測定対象となる半導体ウェハ1が搬出され、検査ステージチャック42に載置される(S302〜S304)。その後、検査ステージチャック42は設定画面の設定に従い、指定チップ1210の位置へ移動する(S305)。指定チップ1210の指定座標1220に位置合わせした後、CCDカメラにより、探査範囲1230をスキャンニングし(S306)、撮像しながら実施例1と同じ手法にて、平均濃度波形を採取しエッジ位置440を検出する(S307〜S308)。設定された画像範囲1240の中に、エッジ位置数1250を満たす対象物が検出された場合(S309)、該対象物の画像データと座標、及び算出したエッジ数などの特徴点と共に記憶装置160に登録する(S310)。指定範囲1220内をサーチしながら対象物を登録し(S306〜、S310)、指定範囲のスキャンニング完了ともに撮像を終了する。
【0070】
登録された画像データは、図12に示す対象物の採取画像の表示画面にエッジ位置数1250の数値の昇順、若しくは降順で表示装置120にリスト表示される(S311)。表示装置120に表示された対象物の画像データを選択し、入力装置110を介して移動指示手段1310ボタンを選定する事により、指定する座標に検査ステージチャック42が移動して対象物を目視確認することや、登録指示手段1320ボタンを選定する事により、直接該対象物をテンプレートとして登録することができる(S312)。信頼性に欠ける場合には、該対象物の画像を実施例2と同様の方法で採取して、テンプレートとして登録することもできる。なお、上記のボタンは信号を入力できる入力手段であれば事がたり、特にこれに限定されるものではない。アイコンやキーボードなど、その他の入力手段も採用することができる。
【実施例4】
【0071】
次に採択されたテンプレート候補710がテンプレートとして有効か否か、半導体ウェハ1上に形成された他のパターンと誤認識しないかなど、テンプレートの信頼性評価方法について、主に図13と図17を用いて説明する。実施例1と実施例2及び実施例3に重複するものは省略し、必要に応じて図1と図2を引用する。
【0072】
図13はテンプレートの信頼性評価の操作に用いる操作画面を示したものであり、図17は処理手順のフローチャートを示したものである。図13に示すテンプレート信頼性評価の操作画面は、テンプレートの登録番号を入力する登録番号入力手段1410、当該登録番号の画像を表示させる表示指示手段1413、テンプレート画像を一括してサムネール表示させる登録画像表示手段1411、信頼性評価を行うテンプレート候補710を決定する選定手段1412、パターンマッチングを行う際の相関係数設定手段1460、スコア値の閾値を設定するスコア閾値設定手段1450、検査する半導体ウェハ1内のチップを指定するチップ設定手段1430、始点となるチップ内座標を指定する座標設定手段1431、探査領域を設定するチップ内探査範囲設定手段1440などを含み、表示装置120画面上の設定画面として、設定値を変更可能に構成されている。また、登録時のテンプレート候補710に係る登録データが、画像を表示する画像表示手段1420、チップ内の相対位置を表示するチップ内座標表示手段1421、エッジなどの特徴点の数を表示する特徴点数表示手段1422、特徴点の整合状態を表示するスコア値表示手段1423、パターンマッチングの状態表示する相関係数表示手段1425、半導体ウェハ1の処理過程を表示する製造工程表示手段1424などを介して表示する表示機能を有する。テンプレート候補710採取時の参照データを表示することにより、人為的な設定ミスを低減し、信頼性評価の条件設定を容易にしている。なお、本実施例では、これらの入力や表示手段が入力や表示のスペースとボタンで構成されているが、信号の入力と伝達、表示ができるものであれば適用できる。アイコンやキーボードまたはその他の信号入力伝達手段や表示手段を用いても良い。
【0073】
表示装置120の画面上に設けられたボタンを選択することにより、当該画面が表示される(S401)。登録画像表示手段1411を選択すると、記憶装置160に格納されたテンプレート候補710群が、別途設定された表示画面(図省略)にサムネール表示される。当該テンプレート候補710群の中から、任意のテンプレート候補710を候補選択手段(図省略)で選定する事により、記憶装置160から該テンプレート候補710のデータが読み出される。テンプレート候補710の登録番号が既知の場合には、例えば、登録番号入力手段1410に入力装置110で登録番号を直接入力して、表示指示手段1413でデータを読み出し、該テンプレート候補710を画像表示手段1420で確認しながらおこなってもよい。次いで選定手段1412を選択することにより、信頼性評価を施すテンプレート候補710として採択される(S402)。なお、本実施例では、1つのテンプレート候補710に基いて信頼性評価を行っているが、2つ以上のテンプレート候補710を設定し、同時に信頼性評価を実施することも可能であり、テンプレートを採択するために要する評価時間を短縮することができる。
【0074】
信頼性評価プログラムの実行指示手段1470と共に実施例1と同じ方法にて、ウェハカセット11より測定対象となる半導体ウェハ1が搬出され、検査ステージチャック42に載置される(S403〜S405)。その後、検査ステージチャック42は設定画面の設定に従い、最初のチップ設定手段1430の設定位置へ移動する(S406)。次いで該チップの座標設定手段1431の設定位置へ調整した後、CCDカメラにより、チップ内探査範囲設定手段1440の設定範囲をスキャニングしながら(S407)、半導体ウェハ1上に形成された対象物(パターン)の画像データを採取する(S408)。パターンマッチングを実施しながら相関係数閾値設定手段1460の所定値を満たすか否かを判定し(S409)、所定の相関係数を満たした対象物(パターン)は、実施例1で示したエッジ検出等により特徴点を抽出し、当該特徴点に基いてスコア値を算出する(S410)。スコア閾値設定手段1450のスコア値を満たした対象物(パターン)は座標が採取され、画像データや相関係数及びスコア値などの特徴点と共に記憶装置160に登録する(S411)。パターンマッチングの度合いは、相関係数閾値設定手段1460で調整することができるため、製造工程で変化するコントラストの影響を抑制できる。また、スコア閾値設定手段1450により、サンプリングされる対象物(パターン)の数を制御でき、検査時間の増長を抑制できる。チップ内探査範囲1440内を探索しながら条件を満たす対象物(パターン)を随時登録し(S407〜S411)、チップ内探査範囲1440のスキャンニング完了ともに次のチップ設定手段1430の設定位置へ移動する(S406)。同様の対象物(パターン)の探索を繰返し、チップ設定手段1430で設定された全てのチップ検査が完了すると共に撮像を終了する。
【0075】
チップ設定手段1430で設定された全てのチップを検査した後、記憶装置160に保存された該対象物のデータが、表示装置120画面上に設けられた設定画面上にリスト(図省略)表示される(S412)。当該リストは、テンプレート候補710とサンプリングされた対象物(パターン)の画像データや特徴点とが関連付けられて構成され、スコア値や相関係数などの擬似度合いを表す数値に基き、チップ設定手段1430で設定されたチップ毎に降順若しくは降順で表示される。スコア値や相関係数の数値より、テンプレートととして適正か否かを判断でき、各対象物(パターン)間のスコア値や相関係数の大小関係や差分の大きさから、誤認識の可能性を判断できる。また、チップ設定手段1430で設定されたチップ間の各対象物(パターン)の順位や数値の相違から、パターンマッチングの安定性を判断することができる。当該リストの結果を参照しながら、テンプレート候補710を選定して表示装置120画面上設けられたテンプレート選定手段(図省略)を選択することにより、テンプレートとして登録される(S412)。
【0076】
なお、複数のテンプレート候補710を評価する場合には、自動選定手段を選択することにより、データ処理部50が上記関係から適正なテンプレート候補710を判断して採択するが、手動設定としてリスト表示の状態を確認してテンプレート候補710を選定することもできる。この手動設定時には、例えばリスト表示の評価結果が満足いかない場合などには、諸設定を変更した上で再実行指示手段1471を選択することで信頼性の再評価を行うことができる。特に諸設定を変更しない場合でも再評価できることは言うまでも無い。この複数の評価は、例えば半導体ウェハ1のθ角度ズレなどを同じ条件下で比較評価できるため、評価時間を削減し高信頼性のテンプレートを採択できる上で有効である。但し、このテンプレート登録の工程(S412)は不可欠なものでは無く、テンプレート候補710の信頼性評価を行うだけのものであれば、当該工程をスキップしても良い。評価の終了と共に、実施例1と同じ方法にてウェハが搬出され、元のウェハカセット11に回収され、プログラムを終了する(S413〜S414)。このテンプレート候補710の信頼性評価機能により、対象パターンの誤認識する可能性、及び誤認識を避けるためのテンプレート候補710の選択や閾値の設定値を事前に確認できるため、異物検査装置の信頼性、稼働率を飛躍的に向上できる。
【0077】
なお、評価途中で誤認識により信頼性評価プログラムがフリーズした場合は、中断指示手段1480により評価を中断することも、停止指示手段1490で評価を停止することもできる。更には、復旧手段1491を選択してエラーを解除し、検査装置を初期状態に復旧することも可能に構成されている。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上、半導体集積回路の製造に係わる異物検査装置を例として説明したが、本発明の位置合せに係わる技術はフラットパネル表示装置用基板、TFT用のガラス基板、ALTIC基板等の平板基板から製造されるディスク、フラットパネル表示装置、マスク等の製造に必要な様々な工程及び装置に広く適用することができる。
【0079】
なお、本発明では異物検査装置の実施例を示したが、半導体検査装置及び半導体製造装置の如何に関わらず適用することは可能であり、例えば、被検査物に形成されたアライメントマークを用いて、被検査物の位置補正処理を行うものであればCD−SEM等の測長装置、露光装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0080】
1…半導体ウェハ、10…ロードポート、11…ウェハカセット、20…搬送部、21…搬送アッセンブリ、22…ハンドリングアーム、22a…接触部、23…吸着穴、30…プリアライメント部、31…プリアライメントチャック、32…検出装置、40…検査部、41…検査ステージ、42…検査ステージチャック、43a,43b,43c…昇降ピン、50…データ処理部、100…ホストコンピュータ、110…入力装置、120…表示装置、130…出力装置、140…外部記憶装置、150…データ演算処理装置、160…記憶装置、310…第1チップ、320…第2チップ、330…中間補正用チップ、311…第1チップ指定座標、312…第1アライメントマーク、321…第2チップ指定座標、322…第2アライメントマーク、410…エッジ強度波形、411…最大エッジ強度値、420…特徴量設定値、430…特徴量閾値、440…エッジ位置、510…チップ条件設定手段、520…座標条件設定手段、530…サーチ条件設定手段、540…テンプレート設定手段、550…マッチング条件設定手段、560…設定値表示手段、710…テンプレート候補、720…CAD画面、730…マウスポインタ、740…製図手段、750…外観表示手段、810…テンプレート評価用指定座標、820…指定範囲、830…被検査パターン、910…相関係数、920…角度可変範囲設定、921…特徴点抽出設定手段、930…サイズ可変範囲、940…角度分解能、941…角度補正範囲、960…処理選択手段、970…自動設定、980…マニュアル設定、991…サイズ可変量、992…角度可変量、1010…順位、1020…スコア値、1030…取得画像、1040…判定結果、1050…角度補正値、1060…サイズ補正値、1070…座標、1210…指定チップ、1220…指定座標、1230…探査範囲、1240…画像範囲、1250…エッジ位置数、1310…移動指示手段、1320…登録指示手段、1410…登録番号入力手段、1411…登録画像表示手段、1412…選定手段、1413…表示指示手段、1420…画像表示手段、1421…チップ内座標表示手段、1422…特徴点数表示手段、1423…スコア値表示手段、1424…製造工程表示手段、1425…相関係数表示手段、1430…チップ設定手段、1431…座標設定手段、1440…チップ内探査範囲設定手段、1450…スコア閾値設定手段、1460…相関係数設定手段、1470…実行指示手段、1471…再実行指示手段、1480…中断指示手段、1490…停止指示手段、1491…復旧指示手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物の表面に光ビームを照射し、反射または散乱する光の受光強度より画像信号を取得し、隣接した被検査物から得られた画像信号と比較して被検査物表面に存在する異物の有無を検査する異物検査装置において、前記被検査物の表面に形成されるアライメントマークの特徴点を登録する装置と、前記被検査物の表面上の前記アライメントマークを読取る装置とを備え、前記特徴点に基いて前記被検査物の表面に形成されたアライメントマークを検出してアライメントを行うようにしたことを特徴とする異物検査装置。
【請求項2】
被検査物に光ビームを照射し、前記被検査物から反射または散乱する光の受光強度により、前記被検査物の表面に存在する異物の有無を検査する異物検査装置において、前記被検査物の表面に形成されるアライメントマークの特徴点を入力する装置と、前記入力したアライメントマークの特徴点を表示する装置と、前記入力したアライメントマークの特徴点を登録する装置とを備え、前記特徴点に基いて前記被検査物の表面上に形成されたアライメントマークを検出してアライメントを行うようにしたことを特徴とする異物検査装置。
【請求項3】
被検査物に光ビームを照射し、前記被検査物から反射または散乱する光の受光強度により、前記被検査物の表面に存在する異物の有無を検査する異物検査装置において、前記被検査物の表面に形成されるアライメントマークの特徴点を登録する装置と、前記被検査物の表面上に形成されたアライメントマークの画像データを採取する装置と、前記画像データから特徴点を抽出し双方の特徴点より相関値を算出するデータ演算処理装置とを備え、前記相関値の閾値に基いて前記アライメントマークの画像データを登録することを特徴とする異物検査装置。
【請求項4】
被検査物に光ビームを照射し、前記被検査物から反射または散乱する光の受光強度により、前記被検査物の表面に存在する異物の有無を検査する異物検査装置において、前記被検査物の表面に形成されるアライメントマークの特徴点を登録する装置と、前記被検査物の表面上に形成されたアライメントマークの画像データを採取する装置と、前記画像データから特徴点を抽出し双方の特徴点より相関値を演算するデータ演算処理装置と、前記相関値の演算結果を表示する表示装置とを備え、前記相関値の閾値に基いて前記アライメントマークの合否の判定結果を表示するようにしたことを特徴とする異物検査装置。
【請求項5】
請求項4記載の異物検査装置において、前記相関値の演算結果を該相関値の大きさに順じて配列し、前記表示装置にリスト形式で表示することを特徴とする異物検査装置。
【請求項6】
被検査物の表面に光ビームを照射し、反射または散乱する光の受光強度より画像信号を取得し、隣接した被検査物から得られた画像信号と比較して被検査物表面に存在する異物の有無を検査する異物検査装置において、前記被検査物の表面に形成されるアライメントマークの画像データから特徴点を抽出しテンプレートの特徴点とパターンマッチングする画像処理手段と、マッチングした相互の特徴点より確率若しくは得点(スコア)を算出する演算処理手段と、所定の確率若しくは得点(スコア)をもって該特徴点が一致した場合を基準となるアライメントマークとして識別させる判断処理手段と、被検査物内の少なくとも2点のアライメントマークの認識にて採取した座標から被検査物のズレ量を算出する演算処理手段と、該ズレ量を基に検査ステージを移動させて位置合せする駆動機構とを備えたことを特徴とする異物検査装置。
【請求項1】
被検査物の表面に光ビームを照射し、反射または散乱する光の受光強度より画像信号を取得し、隣接した被検査物から得られた画像信号と比較して被検査物表面に存在する異物の有無を検査する異物検査装置において、前記被検査物の表面に形成されるアライメントマークの特徴点を登録する装置と、前記被検査物の表面上の前記アライメントマークを読取る装置とを備え、前記特徴点に基いて前記被検査物の表面に形成されたアライメントマークを検出してアライメントを行うようにしたことを特徴とする異物検査装置。
【請求項2】
被検査物に光ビームを照射し、前記被検査物から反射または散乱する光の受光強度により、前記被検査物の表面に存在する異物の有無を検査する異物検査装置において、前記被検査物の表面に形成されるアライメントマークの特徴点を入力する装置と、前記入力したアライメントマークの特徴点を表示する装置と、前記入力したアライメントマークの特徴点を登録する装置とを備え、前記特徴点に基いて前記被検査物の表面上に形成されたアライメントマークを検出してアライメントを行うようにしたことを特徴とする異物検査装置。
【請求項3】
被検査物に光ビームを照射し、前記被検査物から反射または散乱する光の受光強度により、前記被検査物の表面に存在する異物の有無を検査する異物検査装置において、前記被検査物の表面に形成されるアライメントマークの特徴点を登録する装置と、前記被検査物の表面上に形成されたアライメントマークの画像データを採取する装置と、前記画像データから特徴点を抽出し双方の特徴点より相関値を算出するデータ演算処理装置とを備え、前記相関値の閾値に基いて前記アライメントマークの画像データを登録することを特徴とする異物検査装置。
【請求項4】
被検査物に光ビームを照射し、前記被検査物から反射または散乱する光の受光強度により、前記被検査物の表面に存在する異物の有無を検査する異物検査装置において、前記被検査物の表面に形成されるアライメントマークの特徴点を登録する装置と、前記被検査物の表面上に形成されたアライメントマークの画像データを採取する装置と、前記画像データから特徴点を抽出し双方の特徴点より相関値を演算するデータ演算処理装置と、前記相関値の演算結果を表示する表示装置とを備え、前記相関値の閾値に基いて前記アライメントマークの合否の判定結果を表示するようにしたことを特徴とする異物検査装置。
【請求項5】
請求項4記載の異物検査装置において、前記相関値の演算結果を該相関値の大きさに順じて配列し、前記表示装置にリスト形式で表示することを特徴とする異物検査装置。
【請求項6】
被検査物の表面に光ビームを照射し、反射または散乱する光の受光強度より画像信号を取得し、隣接した被検査物から得られた画像信号と比較して被検査物表面に存在する異物の有無を検査する異物検査装置において、前記被検査物の表面に形成されるアライメントマークの画像データから特徴点を抽出しテンプレートの特徴点とパターンマッチングする画像処理手段と、マッチングした相互の特徴点より確率若しくは得点(スコア)を算出する演算処理手段と、所定の確率若しくは得点(スコア)をもって該特徴点が一致した場合を基準となるアライメントマークとして識別させる判断処理手段と、被検査物内の少なくとも2点のアライメントマークの認識にて採取した座標から被検査物のズレ量を算出する演算処理手段と、該ズレ量を基に検査ステージを移動させて位置合せする駆動機構とを備えたことを特徴とする異物検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−2425(P2010−2425A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−214167(P2009−214167)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【分割の表示】特願2006−342409(P2006−342409)の分割
【原出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【分割の表示】特願2006−342409(P2006−342409)の分割
【原出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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