説明

発振器

【課題】近年、工事の大深度化が進んでいるが、水中や土中では深度が深くなるほど外圧が増加する。従来の音波等の発振器では振動板の内側が密閉されており、大深度の場所では、振動板に大きな外圧がかかり、振動することができなくなる等の問題があった。そこで、大深度の外圧にも耐えることができ、土中のように音波等の周波数が大きいほど減衰が大きくなる場所において低周波数の音波等を発信することができ、かつ、小型化が可能な発振器を提供する。
【解決手段】発振器の筐体11に開口部16を設けることにより、外部の水などを筐体内に出入り自由とし、一対の超磁歪アクチュエータ12a,12bによって振動板15を振動させて圧力波を発振する発振器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音波等の圧力波を発する発振器に関し、特に、水中や土中の深度の深い場所で使用するのに好適な発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、海洋工事や土木工事において、音波を位置決め等に利用することは一般的に行われている(例えば、特許文献1)。水中で音波等を発振させる装置としては、セラミック発振器が多く使用されており、潜水艦のソナーや海洋工事での位置決め等に広く用いられている。また、水中で使用する音波発振器としては、他にも、水中スピーカーが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−151036号公報
【特許文献2】特開2005−192361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、工事の大深度化が進んでいるが、水中や土中では深度が深くなるほど外圧は増大する。よって、図6(a)及び(b)に示すように、音波発振器60の振動板61の内側が密閉された構造では、振動板61には深度に応じた外圧(水圧)がかかる。このような密閉構造の場合、内部から振動板を外側へ向かって押し出そうとするためには、振動板の剛性に加えて外圧を超える力が必要とされるため、深度が深くなるにつれて大きな力が必要になってくる。従来においても水中スピーカーのようにプール等で使用する音波発振器は存在するが、水深が数m程度までしか使用できない。
【0005】
また、従来のセラミック発振器は、超音波のような高い周波数の音波を発振するには向いているが、土中のように音波の周波数が高いほど減衰が大きくなる場所には不向きである。また、4kHz以下の比較的低い周波数の音波を発振するにはスピーカーのような電磁力方式が適しているが、コイルと永久磁石の反発力を利用した機構であるため、大深度の水中や土中において振動板を内部から外側へ向かって押す力を大きくするには音波発振器を大型化せざるを得ない。しかしながら、音波発振器をボーリング孔内に沈めて利用する場合等は、極力小型であることが望まれる。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題を解決するために、水中や土中の深度の深い場所でも使用可能であり、低い周波数の圧力波を発振することが可能な発振器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、筐体と、この筐体内に配設された振動板と、超磁歪素子及びこれに巻きつけられたコイルからなり、前記振動板を振動させる一対の超磁歪アクチュエータと、これら一対の超磁歪アクチュエータを駆動する制御手段と、を備え、前記一対の超磁歪アクチュエータの一方は、前記筐体内の前記振動板を挟んだ一方の領域においてその振動板と前記筐体との間に配設され、他方は、前記筐体内の前記振動板を挟んだ他方の領域においてその振動板と前記筐体との間に配設されていて、前記制御手段によって前記一対の超磁歪アクチュエータが互いに逆相で伸縮することにより前記振動板が振動するようになっており、そして、前記筐体には、前記一方の領域と筐体外部とを連通させる第一の開口部と、前記他方の領域と筐体外部とを連通させる第二の開口部と、が形成されていることを特徴とする発振器を提案する。
【0008】
この構成により、開口部から筐体内に外部の水などが出入り自由となるため振動板の両面にかかる圧力は外圧と同等になる。よって、発振器を外圧の大きい大深度の場所で使用する場合でも、振動板は外圧とは無関係に、振動板自体の剛性に応じた力で振動することができる。さらに、発生応力の大きい超磁歪アクチュエータによって振動板を振動させることで、大深度においても低周波数の圧力波を発信することが可能であり、かつ、発振器を小型化することができる。
【0009】
また、前記一対の超磁歪アクチュエータは、前記振動板の振動方向に平行な同一直線に伸縮方向を一致させて配置してもよい。
【0010】
この構成により、超磁歪アクチュエータによってさらに効率的に振動板を振動させることができる。
【0011】
また、前記一対の超磁歪アクチュエータを複数対有していてもよい。
【0012】
この構成により、振動板を振動させる力が強くなり、振動板をよりスムーズに振動させることができる。
【0013】
また、前記超磁歪アクチュエータは伸縮方向の長さが同一長であってもよい。
【0014】
この構成により、一対の超磁歪アクチュエータのそれぞれの駆動コイルに実効値が同じ逆相の電流を流せばそれら超磁歪素子の伸び量と縮み量とが等しくなるので、複雑な電流制御をしなくても、振動板をスムーズに振動させることが可能となる。
【0015】
また、前記振動板は円形であり、前記振動板の振動方向に沿った方向の前記筐体の全長は、前記振動板の直径の2倍以上が望ましい。
【0016】
この構成により、圧力の還流による影響を低減することができ、効率良く圧力波を発振することができる。
【0017】
また、前記筐体は、金属で構成されていてもよい。
【0018】
この構成により、大深度の場所で発振器を使用しても、発振器自体が外圧によって破壊される可能性が低減される。
【0019】
また、前記コイルは、その周囲が防錆材で包囲されていてもよい。
【0020】
この構成により、水などによってコイルが錆びて腐食することを防止することができる。
【0021】
また、発振器が複数対の超磁歪アクチュエータを有する場合、前記振動板は円形であり、前記複数対の超磁歪アクチュエータは、前記振動板の半分の半径を有する仮想同心円上に等間隔に配置されていてもよい。
【0022】
この構成により、複数の超磁歪アクチュエータが振動板全体をバランス良く押すことができるため、振動板が超磁歪アクチュエータによって押されることで破損する可能性が低減される。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、大深度の外圧に耐えることができるとともに、低周波数の圧力波を発信することができ、さらに小型化することが可能な発振器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1の実施形態に係る発振器を示す図である。
【図2】駆動コイル13a、13bに加える電気信号を表す図である。
【図3】側面部11cの長さと圧力の還流との関係について説明する図である。
【図4】第2の実施形態に係る発振器を示す図である。
【図5】3対の超磁歪アクチュエータが仮想同心円上に等間隔に配置されている状態を示す図である。
【図6】外圧と振動板にかかる力との関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0026】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る発振器を示す図である。図1(a)は発振器の右側面図であり、図1(b)は発振器の縦断面図である。
【0027】
本実施形態に係る発振器は、円筒形状の金属製の筐体11を有している。ここで、筐体11の互いに対向する両端を、右端11a、左端11bと称し、円筒形状の周面を側面部11cと称する。
【0028】
右端11a、左端11bは、いずれも大きく開口している。具体的には、それら右端11a、左端11bには、十字型の金属製の支持部11d、11eが、その十字型の中心を筐体11の軸心上に位置させた姿勢で固定されていて、支持部11a、11bの十字の腕の間が、扇形の開口部16となっている。なお、側面部11cには開口部は形成されていない。従って、筐体11の内部と外部とは、その右端11a、左端11bに形成された開口部16を介して連通しており、水などの出入りが自由となっている。
【0029】
なお、支持部11d、11eは、図1(a)に示すように、各腕部分の幅は側面部11cの厚みに比べて薄くなっているが、図1(b)に示すように、各腕部分の厚みは側面部11cよりも厚くなっており、これにより、支持部11d、11eの強度を極端に落とすことなく、開口部16の開口面積を大きくしている。
【0030】
一方、筐体11内部の軸方向のほぼ中央部には、振動板15を備えている。振動板15は、筐体11に備えられたレール14a、14bに沿って自由にスライドして振動できるようになっている。振動板15は、一般的なスピーカー等の振動板と同様、軽量であり剛性が高く、適度な内部損失があり、圧力波の伝搬速度が高い素材であることが理想である。具体的には、木材パルプ、合成樹脂素材、チタンやアルミ等の金属素材、等が挙げられる。
【0031】
また、上述したように、右端11a、左端11bに形成されている開口部16によって外部の水などが筐体11の内部に出入り可能となっているため、筐体11の内部に備えられている振動板15の両面にかかる圧力は外圧と等しくなり、振動板15は外圧とは無関係に、振動板自体の剛性に応じた力だけで振動することができる。
【0032】
また、筐体11の内部には、超磁歪素子12a、12b、及び、これらの外周面に駆動コイル13a、13bが互いに相対変位可能に隙間を空けて巻きつけられて構成される一対の超磁歪アクチュエータが、その変位方向が筐体11の右端11aと左端11bの対向方向と一致するように、振動板15を挟んで対向して配置されている。また、その超磁歪素子12a、12bの基端は、支持部11d、11eの十字の中心部分に固定されている。
【0033】
また、筐体11は剛性の高い材質であることが好ましく、鉄などの金属から構成されることにより、発振器を大深度の場所で使用する場合でも、筐体自体も外圧に耐えうる。
【0034】
ところで、本実施形態に係る発振器は、上述したように超磁歪素子を利用して構成される。一般に、磁性体には磁場を受けると変形する「磁歪」という性質があるが、磁歪による磁性体の寸法変化は、100万分の1〜10万分の1(1〜10ppm)程度で、素子の長さが100mであれば磁歪による変位量は0.1〜1mm程度である。
【0035】
しかし、磁歪による変位量が従来の磁性体の1000倍(1000ppm)以上の、例えば、テルビウム、ディスプロシウム及び鉄等により形成される超磁歪素子が開発された。超磁歪素子では、素子の長さが1mで数mmの変位が得られる。また、超磁歪素子の発生応力は400kgf/cmと非常に大きいため、1cm四方の面積の超磁歪素子で、400kgの重量の物を動かすことができる。
【0036】
このように、発生応力の大きい超磁歪素子を利用して発振器を構成することで、外圧の大きい大深度においても低周波数の圧力波を発振し、かつ、小型化することができる。
【0037】
また、駆動コイル13a、13bは、駆動回路(図示しない)に接続されており、この駆動回路により駆動コイル13a、13bに流す電流についての制御が行われる。
【0038】
つまり、本実施形態に係る発振器は、駆動コイル13a、13bに電流が流れると超磁歪素子12a、12bが伸長して振動板15が押されることで振動板15が振動する仕組みである。より具体的には、超磁歪素子12a、12bのいずれか一方が伸長している時には他方が収縮し、他方が伸長している時には一方が収縮するように駆動コイル13a、13bに流す電流を駆動回路によって制御することにより、振動板15が超磁歪素子12a、12bによって左右方向に交互に押されて振動する。
【0039】
また、超磁歪素子12a、12bは、駆動コイル13a、13bに電流が流れていない状態において、それぞれの先端が振動板15との間に微少な隙間が空くように配置される。具体的には、駆動コイル13a、13bに振動板15を振動させる時の中間の電流であるバイアス電流を流して超磁歪素子12a、12bが伸長した時に、超磁歪素子12a、12bの先端が振動板に接するように配置される。つまり、駆動コイル13a、13bに電流が流れていない時には、超磁歪素子12a、12bの先端は振動板15とは接していない状態となる。
【0040】
さらに、図2を用いて、振動板15の振動方法について詳細に説明する。図2(a)は駆動コイル13aに加える電気信号を表す図であり、図2(b)は駆動コイル13bに加える電気信号を表す図である。
【0041】
超磁歪素子12a、12bは、磁場がかかると磁場の極性にかかわらず伸長する性質がある。つまり、図2(a)及び(b)に示すように駆動コイル13a、13bに電気信号が加えられると、それぞれ、バイアス電流によって所定長伸長した状態が平常時の長さであって、そのバイアス電流以上の電気信号が加えられている時(斜線部分)に伸長し、バイアス電流未満の電気信号が加えられているときには短縮する。
【0042】
また、駆動コイル13a、13bには、バイアス電流を中心に互いに逆相の電気信号を加える。これにより、振動板15と超磁歪素子12a、12bは、一方が伸長している時には他方が収縮し、他方が伸長している時には一方が収縮するので、双方は常に密着した状態で振動板15を左右から交互に押すことになる。これにより、振動板15はバイアス位置(バイアス電流を駆動コイル13a、13bに流した時の位置)を中心に振動する。
【0043】
ただし、振動板15は逆相の振動を放出するため、図3(a)に示すように、筐体11の円筒形の側面部11cの長さL1が短い場合には正圧と負圧による互いの出力を打ち消し合い(圧力が還流される)、発振器全体としての圧力波の出力が減少する可能性がある。従って、側面部11cの長さL1は圧力が還流されないような十分な長さとする必要がある。なお、この適当な長さは発振器の周辺の媒質の性状や筐体の底面の大きさとの関係から算出されるが、例えば、振動板15の直径の2倍程度であれば圧力の還流の影響は無視できる程度となり、効率よく圧力波を外部に発することができる。
【0044】
また、図3(b)に示すように、右端11aと左端11bとの間の長さを長くしなくとも、筐体11の側面部11cのみが右端11a(もしくは左端11b)の周辺から突出するようになっていれば、圧力の還流は低減することができる。
【0045】
また、上述したように、振動板15が右端11aと左端11bから等距離の位置に備えられている場合、超磁歪素子12a、12bはその伸縮方向の長さは双方とも同一となり、双方の磁歪による変位量も等しくなるので、後述する駆動コイル13a、13bに流す電流についての制御が容易となるため好適である。ただし、この構成は必須ではなく、振動板15は右端11a又は左端11bのいずれか一方に近い位置に備えられていてもよい。この場合には、超磁歪素子12a、12bの長さが異なることになり磁歪による変位量もそれぞれ異なってくるが、駆動コイル13a、13bに流す電流を調整して、双方の超磁歪素子の変位量が同じ量になるよう駆動回路にて制御すればよい。
【0046】
また、本実施形態に係る発振器は、水中や土中などで使用される場合を想定しているため、筐体11、超磁歪素子12a、12b、駆動コイル13a、13b、並びに、振動板15は、防水加工や耐水加工が施されていることが望ましい。また、駆動コイル13a、13bは、油などの防錆材によりその周辺を包囲されていてもよい。これにより、海水中などで発振器を使用しても駆動コイル13a等が錆びて腐食することを防止することができる。
【0047】
以上のように、本実施形態に係る発振器は、従来の圧力波発振器と異なり、開口部16を備えることにより筐体11の内部に外部の水などが出入り自由となるため、振動板15の両面にかかる圧力は外圧と等しくなり、振動板15は外圧とは無関係に、振動板自体の剛性に応じた力で振動することができる。また、振動板15は超磁歪アクチュエータにより振動するため、外圧の大きい大深度の場所でも圧力波を発振することができ、かつ、発振器の小型化が可能である。
【0048】
(第2の実施形態)
図4は、本実施形態に係る発振器を示す図である。図4(a)は発振器の右側面図であり、図4(b)は発振器をA−A’面で切断した場合の縦断面図である。
【0049】
本実施形態に係る発振器は、第1の実施形態に係る発振器と同様に、円筒形状の金属製の筐体41を有している。ここで、筐体41の互いに対向する両端を、右端41a、左端41bと称し、円筒形状の周面を側面部41cと称する。
【0050】
右端41a、左端41bは、いずれも大きく開口している。具体的には、右端41aには、支持部41d、41f、41hが、右端41aの周端に側面部41cと一体に形成されており、左端41bには、支持部41e、41g、41iが、左端41bの周端に側面部41cと一体に形成されている。また、右端41a、左端41bにおいて、支持部41d等以外の部分が、開口部46となっている。なお、側面部41cには開口部は形成されていない。従って、筐体41の内部と外部とは、その右端41a、左端41bに形成された開口部46を介して連通しており、水などの出入りが自由となっている。
【0051】
なお、図4(b)に示すように、支持部41d等の厚みは側面部41cよりも厚くなっており、これにより、支持部41d等の強度を極端に落とすことなく、開口部46の開口面積を大きくしている。
【0052】
一方、筐体41内部の軸方向のほぼ中央部には、振動板45を備えている。振動板45は、筐体41に備えられたレール44a、44bに沿って自由にスライドして振動できるようになっている。振動板45は、一般的なスピーカー等の振動板と同様、軽量であり剛性が高く、適度な内部損失があり、圧力波の伝搬速度が高い素材であることが理想である。具体的には、木材パルプ、合成樹脂素材、チタンやアルミ等の金属素材、等が挙げられる。
【0053】
また、上述したように、右端41a、左端41bに形成されている開口部46によって外部の水などが筐体41の内部に出入り可能となっているため、筐体41の内部に備えられている振動板45の両面にかかる圧力は外圧と等しくなり、振動板45は外圧とは無関係に、振動板自体の剛性に応じた力だけで振動することができる。
【0054】
また、筐体41の内部には、超磁歪素子42a、42b、42c、42d、42e、42f、及び、これらの外周面に駆動コイル43a、43b、43c、43d、43e、43fが互いに相対変位可能に隙間を空けて巻きつけられて構成される3対の超磁歪アクチュエータが、その変位方向が筐体41の右端41aと左端41bの対向方向と一致するように、振動板45を挟んで対向して配置されている。また、その超磁歪素子42a、42b、42c、42d、42e、42fの基端は、それぞれ、支持部41d、41e、41f、41g、41h、41iに固定されている。
【0055】
なお、駆動コイル43a等は、駆動回路(図示しない)に接続されており、この駆動回路により駆動コイル43a等に流す電流についての制御が行われる。
【0056】
すなわち、本実施形態に係る発振器は、基本的な構成及び動作方法は第1の実施形態に係る発振器と同様であるが、超磁歪素子42a等と駆動コイル43a等とにより構成される超磁歪アクチュエータが3対備えられている点が特徴である。これにより、振動板45を両面から押す力が強くなり、振動板をよりスムーズに振動させることができる。
【0057】
また、図5に示すように、3対の超磁歪アクチュエータは、円板である振動板45の半径の半分の半径を有する仮想同心円51上に等間隔に配置されていてもよい。これにより、3対の超磁歪アクチュエータが振動板45を押す際に、振動板全体をバランス良く押すことができるため、振動板45が超磁歪アクチュエータによって押されることで破損する可能性が低減される。
【0058】
なお、本実施形態においては3対の超磁歪アクチュエータを使用する場合を示したが、2対の超磁歪アクチュエータを用いてもよいし、より多くの超磁歪アクチュエータを用いてもよい。
【0059】
以上のように、本実施形態に係る発振器は、発振器に大きい外圧がかかっても圧力波を発振することができ、かつ、小型化が可能であることに加えて、3対の超磁歪アクチュエータを有することで振動板45を振動させる力が強くなり、振動板をよりスムーズに振動させることができる。
【0060】
(他の実施形態)
また、上記の実施形態においては、開口部16等が右端11a等と左端11b等とに設けられている場合を示したが、開口部16等は、振動板15等を挟んで右端11a等側の領域内及び左端11b等側の領域内であれば、例えば側面部11cなどに形成されていてもよい。
【0061】
また、上記の実施形態においては、開口部16等が振動板15等を挟んで右端11a等側の領域と左端11b等側の領域とに1つずつ形成されていることとしたが、複数形成されていてもよい。
【0062】
また、上記の実施形態においては、対向する超磁歪アクチュエータ同士は、振動板15等の振動方向に平行な同一直線上に配置されているが、必ずしもこのように構成されていなくともよい。特に、第2の実施形態のように3対の超磁歪アクチュエータを使用する場合には、例えば、対向する超磁歪アクチュエータが、それぞれ仮想同心円51の円周上で異なる位置に配置されていてもよい。振動板45を押す超磁歪アクチュエータが多くなるほど、振動板全体を偏りなく押すこととなるため、対向する超磁歪アクチュエータの位置がずれていても振動板15等が振動することに対する影響は少ないからである。
【0063】
また、上記の実施形態においては、振動板15等は筐体11等に備えられているレール14a、14b等に沿って自由にスライドして振動できるようになっているが、振動板15等がより薄いもの(振動膜)であって、振動板15等の円周が筐体11等の内周面に固定されているようになっていてもよい。
【0064】
また、上記の実施形態においては、発振器の筐体11等が円柱形状である場合を示したが、他の形状であってもよい。例えば、三角柱、四角柱、等の形状であってもよい。また、振動板15等の形状についても、上記の実施形態においては円形である場合を示したが、他の形状であってもよい。例えば、三角形、四角形、等の形状であってもよい。
【0065】
(まとめ)
以上説明したように、本発明によれば、以上説明したように、本発明によれば、大深度の外圧に耐えることができるとともに、低周波数の圧力波を発信することができ、さらに小型化することが可能な発振器を提供することができる。
【符号の説明】
【0066】
11 筐体
12 超磁歪素子
13 電磁コイル
14 皿バネ
15 駆動ノブ
11 筐体
11a 右端
11b 左端
11c 側面部
11d、11e 支持部
12a、12b 超磁歪素子
13a、13b 駆動コイル
14a、14b レール
15 振動板
16 開口部
41 筐体
41a 右端
41b 左端
41c 側面部
41d、41e 支持部
42a、42b、42c、42d、42e、42f 超磁歪素子
43a、43b、43c、43d、43e、43f 駆動コイル
44a、44b レール
45 振動板
46 開口部
51 仮想同心円
60 音波発振器
61 振動板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
この筐体内に配設された振動板と、
超磁歪素子及びこれに巻きつけられたコイルからなり、前記振動板を振動させる一対の超磁歪アクチュエータと、
これら一対の超磁歪アクチュエータを駆動する制御手段と、を備え、
前記一対の超磁歪アクチュエータの一方は、前記筐体内の前記振動板を挟んだ一方の領域においてその振動板と前記筐体との間に配設され、他方は、前記筐体内の前記振動板を挟んだ他方の領域においてその振動板と前記筐体との間に配設されていて、前記制御手段によって前記一対の超磁歪アクチュエータが互いに逆相で伸縮することにより前記振動板が振動するようになっており、
そして、前記筐体には、前記一方の領域と筐体外部とを連通させる第一の開口部と、前記他方の領域と筐体外部とを連通させる第二の開口部と、が形成されていることを特徴とする発振器。
【請求項2】
前記一対の超磁歪アクチュエータは、前記振動板の振動方向に平行な同一直線にその伸縮方向を一致させて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の発振器。
【請求項3】
前記一対の超磁歪アクチュエータを複数対有する請求項1又は2に記載の発振器。
【請求項4】
前記一対の超磁歪アクチュエータは伸縮方向の長さが同一長であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一に記載の発振器。
【請求項5】
前記振動板は円形であり、
前記振動板の振動方向に沿った方向の前記筐体の全長は、前記振動板の直径の2倍以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一に記載の発振器。
【請求項6】
前記筐体は、金属で構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一に記載の発振器。
【請求項7】
前記コイルは、その周囲が防錆材で包囲されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一に記載の発振器。
【請求項8】
前記振動板は円形であり、
前記複数対の超磁歪アクチュエータは、前記振動板の半分の半径を有する仮想同心円上に等間隔に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の発振器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−182804(P2010−182804A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−23814(P2009−23814)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】