説明

発泡成形部材、その取付用クリップ、発泡成形部材の製造方法並びに発泡成形部材の取付構造

【課題】クリップ本体の外周面に発泡成形体の発泡合成樹脂を結合させることが可能なクリップと、取付構造とを提供する。
【解決手段】クリップ10は、被取付部材に設けられたクリップ係止用突起が挿入される挿入穴12を有した筒状のクリップ本体11と、該挿入穴12の内周面に設けられた、該クリップ係止用突起が係合する係合部15とを備えている。クリップ本体11の先端側に、該クリップ本体11の外周面から放射方向に張り出すアンカー部13が設けられている。クリップ10は、少なくともクリップ本体11の先端側及びアンカー部13が発泡成形体に埋設されるようにして該発泡成形体と一体化される。クリップ本体11又はアンカー部13には、発泡成形体の発泡成形時に該発泡成形体の発泡成形材料が該アンカー部13を乗り越えるよりもクリップ本体11の先端側から外周側へ流動し易い易流動部が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡成形体を被取付部材に取り付けるためのクリップに係り、特に、該被取付部材に設けられたクリップ係止用突起が挿入される挿入穴を有する筒状のクリップ本体と、該挿入穴の内周面に設けられた、該クリップ係止用突起が係合する係合部とを備えており、該クリップ本体の筒軸心線方向の一端側に、該クリップ本体の外周面から放射方向に張り出すアンカー部が設けられており、少なくとも該クリップ本体の該一端側及びアンカー部が該発泡成形体に埋設されることにより該発泡成形体と一体化されるクリップに関する。また、本発明は、このクリップが発泡成形体に埋設されるようにして該発泡成形体と一体化されてなる発泡成形部材と、この発泡成形部材の製造方法と、この発泡成形部材を該クリップを介して被取付部材に取り付けた取付構造とに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のドアの裏側(車内側)には、車両の側面衝突時の衝撃エネルギー吸収(Energy Absorption:EA)のために、硬質ウレタンフォームよりなる衝撃エネルギー吸収材(以下、EA材と略すことがある。)が取り付けられている。このEA材をドアトリムに取り付ける方法として、特開2005−47225(特許文献1)には、EA材にクリップを設けておき、このクリップを、ドアトリムに設けられたクリップ係止用突起に係合させることにより、EA材をドアトリムに取り付けることが記載されている。特許文献1では、このクリップは、一部がEA材本体に埋設されるようにして該EA材本体と一体化されている。
【0003】
第7図は、特許文献1の図6に記載のクリップ及びEA材取付構造の説明図である。第7図(a)は、このEA材取付構造を示す断面図、第7図(b)は、このEA材取付構造のクリップ係止用突起の斜視図、第7図(c)は、このEA材取付構造に用いられたクリップの縦断面斜視図である。
【0004】
このEA材取付構造においては、EA材101がドアトリム102に対しクリップ104及びクリップ係止用突起108を介して取り付けられている。
【0005】
このクリップ係止用突起108は、ドアトリム102から突出する1対の突出部108b,108bを有している。各突出部108b,108bの先端側の側面に、それぞれ側方へ張り出す爪部108aが設けられている。この爪部108aは、各突出部108bの基端側ほど側方への張り出し高さが大きくなっている。
【0006】
各突出部108bは、弾性を有した合成樹脂により形成されており、これらの突出部108b,108b同士は、互いに接近方向に弾性的に変形可能となっている。
【0007】
クリップ104は、このクリップ係止用突起108が挿入される挿入穴112を有した円筒状のクリップ本体106と、該クリップ本体106の筒軸心線方向の一端側(以下、後端側ということがある。)から外向き鍔状に張り出すフランジ部107と、該クリップ本体106の筒軸心線方向の他端側(以下、先端側又はEA材内部側ということがある。)から外向き鍔状に張り出すアンカー部105とを備えている。挿入穴112は、クリップ本体106をその筒軸心線方向の一端面から他端面まで貫通している。挿入穴112の内周面には、周方向に凹段部113が凹設されている。特許文献1では、アンカー部105とフランジ部107とは、同等の外径を有する円盤状となっている。
【0008】
第7図(a)の通り、クリップ104は、アンカー部105、クリップ本体106及びフランジ部107の該アンカー部105側の面がEA材101中に埋設されている。このようにクリップ本体106に外向き鍔状のアンカー部105を設けてEA材101中に埋設することにより、クリップ104のEA材1からの抜け留め効果が向上する。
【0009】
このクリップ104を備えたEA材101を製造する場合、EA材成形用金型の内面にクリップ104を取り付けておき、該EA材成形用金型内でEA材101を発泡成形することにより、クリップ104とEA材101とを一体化させる。この際、クリップ104は、アンカー部105をEA材101の内部側に向けてEA材成形用金型に取り付けられ、該アンカー部105とクリップ本体106とがEA材101中に埋設される。
【0010】
このクリップ104を備えたEA材101をドアトリム102に取り付ける場合には、クリップ係止用突起108を挿入穴112に挿入しながらEA材101をドアトリム102に押し付ける。これにより、クリップ係止用突起108の各爪部108aが挿入穴112内の凹段部113に弾性的に係合してクリップ104が該クリップ係止用突起108に係止され、EA材101がドアトリム102に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005−47225
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記第7図のクリップ104にあっては、クリップ本体106の先端側(EA材内部側)に、該クリップ本体106の外周面から放射方向に張り出す外向き鍔状のアンカー部105が設けられ、後端側にも、該クリップ本体106の外周面から放射方向に張り出す外向き鍔状のフランジ部107が設けられている。これらのアンカー部105及びフランジ部107は、それぞれクリップ本体106の外周面の全周にわたって形成されており、且つこれらは互いに同等の外径を有している。かかる構成のクリップ104にあっては、例えばこのクリップ104が比較的小型のものであったり、EA材101を構成する発泡合成樹脂が比較的粘度の高いものであったりした場合には、EA材101の発泡成形時にアンカー部105の裏側(該アンカー部105とフランジ部107との間)に発泡合成樹脂が回り込みにくくなり、クリップ本体106の外周面に発泡合成樹脂が十分に結合しにくくなるおそれがある。クリップ104とEA材101とをしっかりと一体化させるためには、クリップ本体106の外周面に十分にEA材101の発泡合成樹脂を結合させることが望まれる。
【0013】
本発明は、クリップ本体の外周面に十分に発泡成形体の発泡合成樹脂を結合させることが可能なクリップを提供することを目的とする。また、本発明は、このクリップが発泡成形体に埋設されるようにして該発泡成形体と一体化されてなる発泡成形部材と、この発泡成形部材の製造方法と、この発泡成形部材を被取付部材に取り付けた取付構造とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明(請求項1)のクリップは、発泡成形体を被取付部材に取り付けるためのクリップであって、該被取付部材に設けられたクリップ係止用突起が挿入される挿入穴を有した筒状のクリップ本体と、該挿入穴の内周面に設けられた、該クリップ係止用突起が係合する係合部とを備えており、該挿入穴は、該クリップ本体をその筒軸心線方向に貫通しており、該クリップ本体の筒軸心線方向の一端側に、該クリップ本体の外周面から放射方向に張り出すアンカー部が設けられており、少なくとも該クリップ本体の該一端側及びアンカー部が該発泡成形体に埋設されるようにして該発泡成形体と一体化されるクリップにおいて、該クリップ本体の該一端側又は該アンカー部に、該発泡成形体の発泡成形時に該発泡成形体の発泡成形材料が該アンカー部を乗り越えるよりも該クリップ本体の該一端側から外周側へ流動し易い易流動部が設けられていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項2のクリップは、請求項1において、前記クリップ本体の前記一端側に、該クリップ本体の周方向に間隔をあけて複数個の前記アンカー部が設けられており、該アンカー部同士の間の間隙が前記易流動部となっていることを特徴とするものである。
【0016】
請求項3のクリップは、請求項1又は2において、前記アンカー部に、該アンカー部を前記クリップ本体の筒軸心線方向に貫通する開口部が設けられており、該開口部が前記易流動部となっていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項4のクリップは、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記クリップ本体の筒軸心線方向の他端側に、該クリップ本体の外周面から放射方向に張り出すフランジ部が設けられており、前記アンカー部の該外周面からの張り出し高さは、該フランジ部の該外周面からの張り出し高さよりも小さいことを特徴とするものである。
【0018】
請求項5のクリップは、請求項1ないし4のいずれか1項において、前記係合部は、前記クリップ本体を外周側から前記挿入穴まで貫通した貫通孔よりなることを特徴とするものである。
【0019】
請求項6のクリップは、請求項5において、前記クリップ本体の外周側に、前記貫通孔を封鎖した封体が設けられていることを特徴とするものである。
【0020】
請求項7のクリップは、請求項6において、前記封体は不織布よりなることを特徴とするものである。
【0021】
本発明(請求項8)の発泡成形部材は、発泡成形体と、請求項1ないし7のいずれか1項に記載のクリップとを有し、該クリップは、少なくとも前記クリップ本体の筒軸心線方向の一端側及び前記アンカー部が該発泡成形体に埋設されることにより該発泡成形体と一体化されていることを特徴とするものである。
【0022】
本発明(請求項9)の発泡成形部材の製造方法は、請求項8に記載の発泡成形部材を製造するための方法であって、発泡成形体成形用金型の内面に設けられたクリップ固定用突起を前記挿入穴に挿入して前記クリップを該発泡成形体成形用金型の内面に取り付けるクリップ取付工程と、該発泡成形体成形用金型内で前記発泡成形体を発泡成形する発泡成形工程とを有しており、該発泡成形工程において、少なくとも前記クリップ本体の筒軸心線方向の一端側及び前記アンカー部を該発泡成形体の発泡成形材料中に埋没させることを特徴とするものである。
【0023】
本発明(請求項10)の発泡成形部材の取付構造は、請求項8に記載の発泡成形部材を被取付部材に取り付けた構造であって、該被取付部材にクリップ係止用突起が設けられており、該クリップ係止用突起が前記クリップの前記挿入穴に挿入されて前記係合部に係合したことにより、該発泡成形部材が該被取付部材に取り付けられているものである。
【0024】
請求項11の発泡成形部材の取付構造は、請求項10において、前記クリップ係止用突起は、前記被取付部材から突出した突出部と、該突出部から側方へ張り出した爪部とを備え、該爪部が前記係合部に係合していることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明(請求項1)のクリップは、クリップ本体の筒軸心線方向の一端側(以下、先端側ということがある。)に、該クリップ本体の外周面から放射方向に張り出すアンカー部が設けられており、少なくともこのクリップ本体の先端側及びアンカー部が発泡成形体に埋設されるようにして該発泡成形体と一体化される。本発明では、このクリップ本体の先端側又はアンカー部に、発泡成形体の発泡成形時に該発泡成形体の発泡成形材料が該アンカー部を乗り越えるよりもクリップ本体の先端側から外周側へ流動し易い易流動部が設けられている。そのため、発泡成形体成形用金型内にこのクリップを取り付け、該発泡成形体成形用金型内で発泡成形体を発泡成形した場合、クリップが該発泡成形体の発泡成形材料中に埋没するのに伴って該発泡成形材料がクリップ本体の先端側から外周側に回り込むときに、その一部は、易流動部を通って容易にクリップ本体の先端側から外周側へ流動することができる。これにより、例えばこのクリップが比較的小型であったり、発泡成形材料が比較的粘度の高いものであったりしても、クリップ本体の外周側に発泡成形材料が回り込み易く、クリップ本体の外周面に十分に発泡成形材料が密着するようになる。これにより、アンカー部が発泡成形体に埋設されることと相俟って、よりクリップと発泡成形体との結合強度が高い発泡成形部材を得ることが可能となる。
【0026】
請求項2の態様では、クリップ本体の先端側に、該クリップ本体の周方向に間隔をあけて複数個のアンカー部が設けられており、該アンカー部同士の間の間隙が易流動部となっている。即ち、この態様にあっては、発泡成形体の発泡成形時には、該発泡成形体の発泡成形材料の一部は、各アンカー部を乗り越えることなく、これらのアンカー部同士の間の間隙を通って容易にクリップ本体の先端側から外周側へ流動することが可能である。この態様によれば、簡易な構成にて易流動部を設けることができる。
【0027】
請求項3の態様では、アンカー部に、該アンカー部をクリップ本体の筒軸心線方向に貫通する開口部が設けられており、この開口部が易流動部となっている。即ち、この態様にあっては、発泡成形体の発泡成形時には、該発泡成形体の発泡成形材料の一部は、アンカー部を乗り越えることなく、この開口部を通って容易にクリップ本体の先端側から外周側へ流動することが可能である。この態様によっても、簡易な構成にて易流動部を設けることができる。
【0028】
請求項4の通り、クリップ本体の筒軸心線方向の他端側に、該クリップ本体の外周面から放射方向に張り出すフランジ部が設けられた場合、このクリップ本体の外周面からのアンカー部の張り出し高さをフランジ部よりも小さくすることが好ましい。このように構成することにより、発泡成形体の発泡成形時には、該発泡成形体の発泡成形材料が比較的容易にアンカー部を乗り越えて該アンカー部とフランジ部との間に回り込むようになる。
【0029】
請求項5の態様にあっては、被取付部材のクリップ係止用突起が係合する係合部は、クリップ本体を外周側から挿入穴まで貫通した貫通孔よりなる。即ち、この態様では、挿入穴の内周面に、前述の第7図のクリップ104における凹段部113のようなアンダーカット部は存在しない。従って、このクリップは、比較的簡易な構造の金型を用いて射出成形により製造することが可能である。
【0030】
また、このクリップにあっては、挿入穴の内周面に、該挿入穴の内方へ張り出す凸段部も存在しない。そのため、このクリップを備えた発泡成形部材を製造するに際し、発泡成形体成形用金型のクリップ固定用突起を挿入穴に挿入してクリップを該発泡成形体成形用金型の内面に取り付けたときに、このクリップ固定用突起を挿入穴の内周面に密着させることが可能である。これにより、クリップ本体の端面に封体を設けて挿入穴を塞がなくても、発泡成形体の成形時に発泡成形材料がこの挿入穴とクリップ固定用突起との間に侵入することを防止することが可能である。
【0031】
このように、請求項5の態様にあっては、クリップを比較的簡易な構造の金型を用いて製造することが可能であり、且つクリップ本体の端面に挿入穴を塞ぐ封体を設けることを不要とすることが可能であるため、クリップを低コストにて構成することが可能である。
【0032】
請求項6の通り、クリップ本体の外周側に、前記貫通孔を閉鎖する封体を設けてもよい。このように構成することにより、発泡成形体の成形時に、この貫通孔に発泡成形材料が侵入することが防止される。
【0033】
請求項7の通り、この封体を不織布により構成した場合には、発泡成形体の成形時に、この不織布に該発泡成形体の発泡成形材料が含浸することにより、クリップと発泡成形体との結合強度が向上する。
【0034】
本発明(請求項8)の発泡成形部材は、かかる本発明のクリップを備えているため、クリップ本体の外周面に発泡成形体の発泡成形材料がしっかりと結合し、該クリップと発泡成形体との結合強度が高いものとすることが可能である。
【0035】
本発明(請求項9)の発泡成形部材の製造方法にあっては、発泡成形体成形用金型の内面にクリップを取り付けた後、該発泡成形体成形用金型内で発泡成形するに際し、このクリップの少なくともクリップ本体の先端側とアンカー部とを発泡成形体の発泡成形材料中に埋没させる。この際、該発泡成形材料は、クリップの易流動部を通ってクリップ本体の先端側から外周側に容易に流動することができるので、クリップ本体の外周側(即ちアンカー部の裏側)に十分に該発泡成形材料が回り込み、クリップ本体の外周面に発泡成形材料がしっかりと結合するようになる。これにより、クリップ本体の外周面と発泡成形体との結合強度が高い発泡成形部材を製造することが可能である。
【0036】
本発明(請求項10)の発泡成形部材の取付構造にあっては、被取付部材のクリップ係止用突起をクリップの挿入穴に挿入して係合部に係合させることにより、簡単に発泡成形部材を被取付部材に取り付けることができる。
【0037】
請求項11の通り、このクリップ係止用突起に、側方へ張り出す爪部を設け、この爪部をクリップの係合部に係合させることにより、クリップをしっかりとクリップ係止用突起に係止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】第1の実施の形態に係るクリップの説明図である。
【図2】図1のクリップの製造方法の説明図である。
【図3】図1のクリップの製造方法の説明図である。
【図4】図1のクリップを備えた発泡成形部材の製造方法の説明図である。
【図5】図4の発泡成形部材を被取付部材に取り付けた取付構造の説明図である。
【図6】第2の実施の形態に係るクリップの説明図である。
【図7】従来例に係るクリップ及びこのクリップを用いた発泡成形部材の取付構造の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態では、発泡成形部材はEA材であり、このEA材を被取付部材としてのドアトリムに取り付けた取付構造を例示しているが、本発明の発泡成形部材は、EA材に限定されない。また、本発明において、被取付部材は、ドアトリムに限定されない。
【0040】
[第1の実施の形態]
第1図(a)は、第1の実施の形態に係るクリップのクリップ本体の筒軸心線に沿う断面斜視図であり、第1図(b)は第1図(a)のB−B線矢視図(クリップの平面図)であり、第1図(c)は第1図(a)のC−C線に沿う断面図であり、第1図(d)は第1図(c)のD−D線矢視図(クリップの側面図)である。第2図(a)は、このクリップを製造するためのクリップ成形用金型の縦断面図(第2図(b)のA−A線に沿う断面図)であり、第2図(b)は第2図(a)のB−B線に沿う断面図である。なお、第2図(a),(b)は、このクリップ成形用金型の型閉め状態を示している。第3図(a),(b)は、それぞれ、このクリップ成形用金型の型開き状態を示す第2図(a),(b)と同様部分の断面図である。第4図(a)は、このクリップを備えた発泡成形部材としてのEA材を製造するためのEA材成形用金型の縦断面図であり、第4図(b)は、クリップが取り付けられる前のEA材成形用金型のクリップ固定用突起付近の拡大断面図であり、第4図(c)は第4図(b)のC−C線矢視図であり、第4図(d)は、該クリップ固定用突起にクリップが取り付けられた状態を示す第4図(b)と同様部分の断面図である。なお、第4図(a),(b),(d)は、それぞれ、該クリップ固定用突起の軸心線に沿う断面にて図示されている。第5図(a)は、このEA材を被取付部材としてのドアトリムに取り付けた取付構造の水平断面図であり、第5図(b)は、EA材を取り付ける前のドアトリムの水平断面図であり、第5図(c)は第5図(b)のC−C線矢視図である。なお、第5図(a)は、クリップ本体の筒軸心線に沿う断面を示しており、第5図(b)は第5図(a)と同様部分の断面を示している。
【0041】
EA材1は、第4図(a)及び第5図(a)の通り、硬質ウレタンフォーム等の発泡合成樹脂成形体よりなるEA材本体2と、該EA材本体2をドアトリム20に取り付けるためのクリップ10とを備えている。クリップ10は、インサート成形によりEA材本体2と一体化されている。このクリップ10が、ドアトリム20に設けられたクリップ係止用突起21(第5図(a)〜(c))に係止されることにより、EA材1がドアトリム20に取り付けられる。EA材本体2のドアトリム20との対峙面には、クリップ10が複数個、所定位置に配設されており、ドアトリム20のEA材取付面には、これらのクリップ10とそれぞれ対応する位置関係にて、複数個のクリップ係止用突起21が設けられている。このクリップ係止用突起21の詳細については後述する。
【0042】
EA材本体2を構成する発泡合成樹脂は、コア部分の静的圧縮試験によって求められる硬さが2.5〜15kgf/cm以下であることが好ましい。この静的圧縮試験は、以下の手順で行われるものである。即ち、まずEA材本体2の構成材料として使用される発泡合成樹脂材料から厚み50mm×幅50mm×長さ50mmのサンプルを取得する。次いで、このサンプルを、全面圧縮で厚み方向に10〜50mm/秒のスピードにて元の厚みの20%の厚みとなるまで圧縮する。その際、このサンプルを元厚みの50%の厚みまで圧縮したときの荷重を測定し、この測定値をサンプルの圧縮方向と垂直な断面の断面積で割った計算値を、その発泡合成樹脂材料の硬さとする。
【0043】
クリップ10は、該クリップ係止用突起21が挿入される挿入穴12を有した略角筒形状のクリップ本体11と、該クリップ本体11の筒軸心線方向の一端側(以下、先端側ということがある。)から放射方向へ張り出したアンカー部13と、該クリップ本体11の筒軸心線方向の他端側(以下、後端側ということがある。)から放射方向へ外向き鍔状に張り出したフランジ部14等を備えている。該挿入穴12は、クリップ本体11をその筒軸心線方向に貫通している。アンカー部13及びフランジ部14は、それぞれ、該クリップ本体11の筒軸心線方向の両端側の端面と面一状に形成されている。挿入穴12の内周面には、クリップ係止用突起21から側方へ張り出した後述の爪部23が係合する係合部15が設けられている。
【0044】
この実施の形態では、挿入穴12は、第1図(a),(b)の通り、実質的に、第1の側面12a、第2の側面12b、第3の側面12c及び第4の側面12dを有した方形の断面形状(クリップ本体11の筒軸心線と垂直な断面形状。以下、同様。)となっている。特にこの実施の形態では、該挿入穴12は、実質的に、側面12a〜12dの幅(クリップ本体11の筒軸心線と直交方向の幅。以下、同様。)が同一であり、且つ隣り合う側面12a,12b同士、12b,12c同士、12c,12d同士及び12d,12a同士が直角に交わっている正方形断面形状となっている。各側面12a〜12dの幅は、それぞれ、実質的にクリップ本体11の筒軸心線方向の一端側から他端側まで一定となっている。なお、挿入穴12の断面形状は正方形に限定されるものではなく、長方形や菱形、台形など、正方形以外の方形断面形状や、五角形、六角形等の方形以外の多角形断面形状、あるいは真円形、楕円形等の円形断面形状など種々の形状とすることができる。
【0045】
この実施の形態では、クリップ本体11の外周面も、挿入穴12と相似形で且つ各側面11a〜11d(第3図(b))が該挿入穴12の各側面12a〜12dとそれぞれ平行に延在した正方形断面形状となっているが、クリップ本体11の外周面の断面形状はこれに限定されない。例えば、クリップ本体11の外周面の断面形状と挿入穴12の断面形状とは、互いに異なる形状であってもよい。
【0046】
この実施の形態では、第1図(a),(b),(d)の通り、クリップ本体11の外周側の各側面11a〜11dからそれぞれ小片状のアンカー部13が突設されている。この実施の形態では、該アンカー部13は、クリップ本体11の各側面11a〜11dに1個ずつ設けられている。第1図(b)の通り、この実施の形態では、クリップ本体11の先端側からクリップ10を平面視したときの各アンカー部13の平面視形状は、各々が設けられた側面11a〜11dに沿って延在した略長方形状となっているが、これに限定されない。第1図(b)の通り、各アンカー部13の幅(クリップ本体11の先端側からクリップ10を平面視したときの、各々が設けられた側面11a〜11dと平行方向の幅)は、クリップ本体11の各側面11a〜11dの幅よりも小さいものとなっており、且つ各アンカー部13は、各々が設けられた側面11a〜11dの幅方向の中間部に配置されている。即ち、これらのアンカー部13同士は、クリップ本体11の周方向に互いに間隔をあけて配置されている。この実施の形態では、該クリップ本体11の周方向に隣り合うアンカー部13,13同士の間の間隙18により、EA材本体2の発泡成形時に発泡合成樹脂が該アンカー部13を乗り越えるよりもクリップ本体11の先端側から外周側へ流動し易い易流動部が構成されている。
【0047】
クリップ本体11の外周面(各側面11a〜11d)に沿う、隣り合うアンカー部13,13同士の間隔D(第1図(b))は2〜10mm特に5〜10mm程度であることが好ましい。各アンカー部13の各側面11a〜11dからの張り出し高さP(第1図(d))は2〜10mm特に5〜10mm程度であることが好ましい。各アンカー部13の各側面11a〜11dからの張り出し高さPは、第1図(b),(d)の通り、フランジ部14の各側面11a〜11dからの張り出し高さよりも小さいことが好ましい。クリップ本体11の筒軸心線方向における各アンカー部13の厚さT(第1図(d))は0.2〜1.5mm特に0.5〜1mm程度であることが好ましい。
【0048】
なお、アンカー部13の個数や配置、形状等はこれに限定されない。例えば、クリップ本体11の各側面11a〜11dにアンカー部13が2個以上設けられてもよい。隣り合う側面11a,11b同士、11b,11c同士、11c,11d同士又は11d,11a同士に跨ってアンカー部13が設けられてもよい。アンカー部13が設けられた側面と、アンカー部13が設けられていない側面とが存在していてもよい。
【0049】
この実施の形態では、第1図(b),(d)の通り、クリップ本体11の先端側から見たフランジ部14の平面視形状は円形となっているが、フランジ部14の形状もこれに限定されない。
【0050】
この実施の形態では、第1図(a),(c),(d)及び第3図(a),(b)の通り、クリップ本体11には、各側面11a〜11dをそれぞれ該クリップ本体11の外周側から挿入穴12内まで(即ち該挿入穴12の各側面12a〜12dまで)貫通した貫通孔16が設けられている。この貫通孔16により前記係合部15が構成されている。即ち、挿入穴12にクリップ係止用突起21が挿入されると、該クリップ係止用突起21の爪部23がこの貫通孔16に入り込んでこの貫通孔16の縁部に係合するようになる。なお、係合部15の構成はこれに限定されない。例えば、挿入穴12の内周面に周方向に凹段部を凹設し、この凹段部に爪部23を係合させるように構成してもよく、あるいは、挿入穴12の内周面から該挿入穴12の内方へ張り出す凸段部を突設し、この凸段部に爪部23を係合させるように構成してもよい。
【0051】
この実施の形態では、第1図(a),(b)及び第3図(a),(b)の通り、挿入穴12の対向する側面12a,12c同士又は12b,12同士の間では、各々の貫通孔16,16同士もクリップ本体11の筒軸心線と直交方向に正対するように配置されている。各貫通孔16は、各々が設けられた側面12a〜12dの幅方向の中央部に配置されている。また、各貫通孔16は、クリップ本体11の筒軸心線方向の中間部に配置されている(即ち、各貫通孔16は、クリップ本体11の筒軸心線方向の一端側の端面及び他端側の端面からそれぞれ等距離に位置している。)。この実施の形態では、第1図(d)の通り、クリップ10を側面視したときの各貫通孔16の開口形状は、直交する2辺がそれぞれクリップ本体11の筒軸心線と平行方向及びこれと直交方向に延在した略正方形状となっている。
【0052】
なお、貫通孔16の個数及び配置、開口形状はこれに限定されない。例えば、この実施の形態では、挿入穴12の全ての側面12a〜12dにそれぞれ貫通孔16が設けられているが、対向するいずれか1対の側面12a,12c同士又は12b,12d同士にのみ貫通孔16が設けられてもよい。貫通孔16の開口形状は、クリップ係止用突起21の爪部23の形状に応じて種々の形状とすることができる。あるいは、例えばクリップ10の取付誤差を吸収するために、この貫通孔16を、各側面12a〜12dの幅方向に長い長穴状としてもよい。挿入穴12の隣り合う側面12a,12b同士、12b,12c同士、12c,12d同士又は12d,12a同士に跨って貫通孔16が形成されてもよい。
【0053】
第1図(a)〜(c)の通り、この実施の形態では、クリップ本体11の外周面に、各貫通孔16を封鎖する封体17が設けられている。この実施の形態では、該封体17は、帯状のものであり、クリップ本体11の外周を周回するように設けられている。これにより、1枚の封体17によって全ての貫通孔16が封鎖されたものとなっている。なお、封体17の形状や配置はこれに限定されない。例えば、小片状の封体17を貫通孔16と同数個用意し、この小片状の封体17で各貫通孔16を個別に封鎖するようにしてもよい。この封体17は、構成材料によっても異なるが、接着や粘着、溶着等の結合手段によりクリップ本体11の外周面に結合されている。
【0054】
このクリップ10は、合成樹脂の射出成形品よりなる。このクリップ10を構成する材料としては、例えばABS樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアセタール樹脂(ポリオキシメチレン樹脂)等が好適であるが、これに限定されない。
【0055】
以下に、このクリップ10の製造方法について説明する。なお、以下の製造方法は一例であり、クリップ10の製造方法はこれに限定されない。
【0056】
第2図(a),(b)及び第3図(a),(b)の通り、このクリップ10を製造するためのクリップ成形用金型30は、クリップ本体11の外周側の各側面11a〜11dと、各側面11a〜11dに連なる各アンカー部13のフランジ部14側の面と、各側面11a〜11dに連なるフランジ部14の該アンカー部13側の面の略1/4周分とをそれぞれ成形する第1の型31、第2の型32、第3の型33及び第4の型34と、各アンカー部13のフランジ部14と反対側の面を成形する第5の型35と、フランジ部14のアンカー部13と反対側の面を成形する第6の型36とを有している。
【0057】
第1〜第4の型31〜34のうち、クリップ本体11の各側面11a〜11dを成形するキャビティ面からは、それぞれ、貫通孔16を形成するための貫通孔形成用凸部37が突設されている。第5の型35のキャビティ面からは、挿入穴12を形成するための角柱状の挿入穴形成用凸部38が突設されている。第2図(a),(b)の通り、これらの型31〜36を合体させて型締めした状態にあっては、挿入穴形成用凸部38の先端が第6の型36のキャビティ面に当接し、各貫通孔形成用凸部37の先端がそれぞれこの挿入穴形成用凸部38の4側面に当接するようになっている。なお、挿入穴形成用凸部38は、第6の型36のキャビティ面から突設されていてもよい。あるいは、第5の型35のキャビティ面からこの挿入穴形成用凸部38の一半側が突設されると共に、第6の型36のキャビティ面からこの挿入穴形成用凸部38の他半側が突設され、型締めしたときにこれらの凸部38,38の先端同士が当接するように構成されてもよい。
【0058】
第3図(b)の通り、第1〜第4の型31〜34は、挿入穴形成用凸部38から四方(各々が成形するクリップ本体11の各側面11a〜11dと直交方向)に離反可能となっている。各貫通孔形成用凸部37は、軸心線を、各々が設けられた型31〜34の離反移動方向と平行方向として設けられている。また、第3図(a)の通り、第5の型35と第6の型36とは、第1〜第4の型31〜34から挿入穴12の軸心線の延長方向に離反可能となっている。
【0059】
第2図(a),(b)の通りこれらの型31〜36を合体させて型締めした後、クリップ10の成形材料を型内に注入する。この成形材料が硬化した後、第3図(a),(b)の通り型開きしてクリップ10の成形品を取り出す。この成形時に挿入穴形成用凸部38が存在していた部分が脱型後に挿入穴12となり、各貫通孔形成用凸部37が存在していた部分が、それぞれ、クリップ本体11の外周側からこの挿入穴12に連通した貫通孔16となる。その後、必要に応じバリ取り等の仕上げ作業をした後、クリップ本体11の外周面に、各貫通孔16を覆うように封体17を巻き付けることにより、クリップ10が完成する。
【0060】
次に、このクリップ10を備えたEA材1の製造方法について説明する。なお、以下の製造方法は一例であり、EA材1の製造方法はこれに限定されない。
【0061】
第4図(a)のEA材成形用金型40は、上型41と、下型42とを備えている。なお、EA材成形用金型40の構成はこれに限定されない。この実施の形態では、該EA材成形用金型40内において、EA材本体2は、ドアトリム20との対峙面を上向きにして成形される。上型41のキャビティ面からは、クリップ10を該キャビティ面に固定するためのクリップ固定用突起43が突設されている。上型41のキャビティ面には、前述のクリップ10の配置と対応する位置関係にて複数個のクリップ固定用突起43が配設されている。
【0062】
この実施の形態では、第4図(b),(c)の通り、該クリップ固定用突起43は、実質的にクリップ10の挿入穴12の断面形状と相似形の正方形断面形状を有する角柱状の軸部43aを有している。この軸部43aは、クリップ10の挿入穴12に挿入されたときに、その外周側の各側面が該挿入穴12の各側面12a〜12dに実質的に密着する太さとなっている。具体的には、この軸部43aの各側面の幅(軸部43aの軸心線と直交方向の幅)は、挿入穴12の各側面12a〜12dの幅−0.05〜−0.2mm程度であることが好ましい。
【0063】
上型41のキャビティ面からの軸部43aの起立高さは、第4図(d)の通り、クリップ10のフランジ部14が該上型41のキャビティ面に当接するまでクリップ固定用突起43を挿入穴12に挿入した状態において、該軸部43aの先端が各貫通孔16よりもクリップ本体11の先端側に位置し、且つクリップ本体11の該先端側の端面から突出しない大きさとなっている。具体的には、この軸部43aの起立高さは、クリップ本体11の先端側の端面から後端側の端面までの距離(即ちクリップ本体11の筒軸心線方向の長さ)の85〜95%特に85〜90%程度であることが好ましい。
【0064】
この実施の形態では、第3図(c)の通り、軸部43aの側面に、僅かに側方へ張り出した張出部44が設けられている。この張出部44の該側面からの張り出し高さは、0.05〜0.2mm特に0.05〜0.1mm程度であることが好ましい。第4図(c)の通り、この張出部44の張り出し方向の先端側の端面は、この張出部44が設けられた軸部43aの側面と平行な平坦面となっている。この実施の形態では、軸部43aの対向する1対の側面にそれぞれ張出部44が設けられている。ただし、張出部44の個数や配置、形状はこれに限定されない。
【0065】
この張出部44の分だけクリップ固定用突起43の太さが挿入穴12よりも大きくなるので、クリップ固定用突起43が挿入穴12に圧入されるようになる。即ち、クリップ固定用突起43が挿入穴12に挿入された状態においては、各張出部44が挿入穴12の1対の側面12a,12c又は12b,12dに食い込み、その他の部分では軸部43aの外面が実質的に該挿入穴12の内面に密着するようになる。これにより、発泡成形中におけるクリップ固定用突起43の挿入穴12からの抜け出し、即ちクリップ10のクリップ固定用突起43からの脱落が防止される。また、クリップ固定用突起43の外面と挿入穴12の内面との間に発泡合成樹脂が侵入することが防止される。
【0066】
なお、各張出部44は、それぞれ、挿入穴12にクリップ固定用突起43が挿入されたときに各貫通孔16に係合するように設けられてもよい。
【0067】
EA材1を製造する場合には、まず、上型41と下型42とを型開きした状態において、上型41の各クリップ固定用突起43に、それぞれ、第4図(d)のようにクリップ本体11の先端側(各アンカー部13側)をEA材成形用金型40の内部側としてクリップ10を装着する。この際、挿入穴12の角とクリップ固定用突起43の角とを合わせるようにしてクリップ固定用突起43を挿入穴12に挿入する。これにより、クリップ10は、挿入穴12の各側面12a〜12d即ち各貫通孔16が所定の方向を向いた姿勢で上型41のキャビティ面に取り付けられる。上記の通り、この実施の形態では、クリップ固定用突起43がクリップ10の挿入穴12に圧入されるため、発泡成形中にクリップ10がクリップ固定用突起43から脱落しないようにしっかりと固定される。その後、下型42内にEA材本体2の発泡合成樹脂原料を注入し、上型41と下型42とを型締めして該発泡合成樹脂原料を発泡させる。この発泡合成樹脂は、第4図(a)の通り、下型42のキャビティ底面から上型41のキャビティ天井面まで膨張して金型40内のキャビティ空間を充填する。これにより、EA材本体2が成形される。また、この際、各クリップ10のクリップ本体11、アンカー部13、並びにフランジ部14の該アンカー部13側の面が該発泡合成樹脂中に埋没することにより、各クリップ10がEA材本体2と一体化される。
【0068】
このEA材本体2の発泡成形工程において、クリップ10は、クリップ本体11の先端側(アンカー部13側)から徐々に発泡合成樹脂中に埋没する。このクリップ10にあっては、アンカー部13がクリップ本体11の周方向に間隔をあけて設けられており、これらのアンカー部13,13同士の間には間隙18が存在している。そのため、クリップ10が発泡合成樹脂中に埋没するのに伴って該発泡合成樹脂がクリップ本体11の先端側から外周側に回り込むときに、その一部は、アンカー部13を乗り越えることなく、この間隙18を通って短絡的にクリップ本体11の先端側から外周側へ流動することができる。これにより、例えばこのクリップ10が比較的小型であったり、発泡合成樹脂が比較的粘度の高いものであったりしても、クリップ本体11の周囲に発泡合成樹脂が回り込み易く、クリップ本体11の外周面に十分に発泡合成樹脂が密着するようになる。
【0069】
この発泡合成樹脂が硬化した後、上型41と下型42とを型開きしてEA材本体2及び各クリップ10を脱型する。各クリップ10は、各々のフランジ部14が該EA材本体2のドアトリム20との対峙面に露出したものとなっている。このフランジ部14の中央に挿入穴12が開口している。各クリップ10は、各々のクリップ本体11の先端側から放射方向へ張り出したアンカー部13がEA材本体2中に埋設されているので、しっかりとEA材本体2と一体化している。脱型後、必要に応じバリ取り等の仕上げ作業を行うことにより、EA材1が完成する。
【0070】
次に、このEA材1のドアトリム20への取付構造について説明する。
【0071】
前述の通り、ドアトリム20のEA材取付面には、EA材1の各クリップ10とそれぞれ対応する位置関係にてクリップ係止用突起21が設けられている。この実施の形態では、該クリップ係止用突起21は、ドアトリム20のEA材取付面から立設された4個の突出部22を備えている。これらの突出部22は、それぞれ、挿入穴12に挿入されたときに該挿入穴の各側面12a〜12dに対峙する位置に配置されている。また、これらの突出部22は、相互間に所定の間隔をあけて配置されている。これらの突出部22は、弾性を有した合成樹脂により形成されており、向かい合う突出部22,22同士が互いに接近方向に弾性的に変形可能となっている。なお、この実施の形態では、該突出部22はドアトリム20と同一の材料により一体に形成されている。
【0072】
この実施の形態では、ドアトリム20のEA材取付面からの各突出部22の突出高さは、第5図(a)の通り、クリップ本体11の筒軸心線方向の長さと実質的に同一か、それよりも若干小さいものとなっている。具体的には、各突出部22の突出高さは、クリップ本体11の筒軸心線方向の長さの85〜95%特に85〜90%程度であることが好ましい。これにより、クリップ10のフランジ部14がドアトリム20のEA材取付面に当接するまで各突出部22を挿入穴12に挿入した状態において、各突出部22の先端がクリップ本体11の先端面から突出しないようになっている。
【0073】
各突出部22の側面には、それぞれ、側方(突出部22のEA材取付面からの突出方向と直交方向)へ張り出す爪部23が設けられている。第5図(c)の通り、対向する突出部22,22同士の間では、爪部23,23同士は、互いに反対方向に張り出している。この実施の形態では、各爪部23は、第5図(a),(b)の通り、各突出部22の先端側ほど該突出部22の側面からの張り出し高さが小さくなるテーパ形状となっている。
【0074】
なお、クリップ係止用突起21の構成はこれに限定されるものではない。例えば、クリップ係止用突起21は、1対の突出部22と、これらの突出部22から互いに反対方向に張り出した爪部23とを有し、このクリップ係止用突起21が挿入穴12に挿入されたときには、これらの爪部23が、該挿入穴12の対向するいずれか1対の側面12a,12c又は12b,12dの各貫通孔16に係合するように構成されてもよい。
【0075】
EA材1をドアトリム20に取り付ける場合、ドアトリム20の各クリップ係止用突起21を対応するEA材1の各クリップ10の挿入穴12に挿入しつつ、EA材1をドアトリム20に押し付ける。この際、各クリップ係止用突起21においては、各爪部23が挿通穴12の各側面12a〜12dに押し付けられることにより、各突出部22同士が接近方向に撓みながら該挿入穴12に差し込まれる。そして、第5図(a)の通り、クリップ10のフランジ部14がドアトリム20のEA材取付面に当接するまで各突出部22が挿入穴12に差し込まれると、各爪部23が各貫通孔16に達する。これにより、突出部22同士を接近方向に撓ませていた力が解除されて各突出部22がそれぞれ元形状に復帰し、これにより各爪部23が各貫通孔16に入り込んで該貫通孔16の縁部(即ち係合部15)に係合する。これにより、各クリップ10が各クリップ係止用突起21に係止され、EA材1がドアトリム20に取り付けられる。
【0076】
<クリップ10の作用効果>
前述の通り、このクリップ10にあっては、クリップ本体11の先端側の外周面に、該クリップ本体11の周方向に間隔をあけて複数個のアンカー部13が設けられており、これらのアンカー部13,13同士の間に間隙18が存在している。そのため、クリップ10が発泡合成樹脂中に埋没するのに伴って該発泡合成樹脂がクリップ本体11の先端側から外周側に回り込むときに、その一部は、アンカー部13を乗り越えることなく、この間隙18を通って短絡的にクリップ本体11の先端側から外周側へ流動することができる。これにより、例えばこのクリップ10が比較的小型であったり、発泡合成樹脂が比較的粘度の高いものであったりしても、クリップ本体11の周囲に発泡合成樹脂が回り込み易く、クリップ本体11の外周面に十分に発泡合成樹脂が密着するようになる。これにより、各アンカー部13が発泡合成樹脂中に埋設されることと相俟って、よりクリップ10とEA材本体2との結合強度が高いEA材1を得ることが可能となる。
【0077】
この実施の形態では、クリップ本体11の先端側の外周面に、該クリップ本体11の周方向に間隔をあけて複数個のアンカー部13を設け、これらのアンカー部13,13同士の間の間隙18を発泡合成樹脂の易流動部としているので、簡易な構成にてクリップ10に易流動部を設けることが可能である。
【0078】
この実施の形態では、クリップ本体11の後端側に、該クリップ本体11の外周面から放射方向に張り出すフランジ部14が設けられているが、このクリップ本体11の外周面からの各アンカー部13の張り出し高さは、フランジ部14の該外周面からの張り出し高さよりも小さいので、EA材本体2の発泡成形時には、発泡合成樹脂が比較的容易に各アンカー部13を乗り越えて該アンカー部13とフランジ部14との間に回り込むようになる。
【0079】
この実施の形態では、クリップ10の係合部15は、挿入穴12の各側面12a〜12dをクリップ本体11の外周側から挿入穴12内まで貫通した貫通孔16により形成されている。即ち、このクリップ10は、挿入穴12内にアンダーカット部を有していない。そのため、このクリップ10は、第2図(a),(b)及び第3図(a),(b)のような簡易な構造の金型30を用いた射出成形により容易に製造することができる。
【0080】
また、このクリップ10にあっては、挿入穴12内に、該挿入穴12の内方へ張り出す段部も形成されていない。そのため、第5図(a),(d)の通り、EA材本体2を発泡成形するに際し、EA材成形用金型40のクリップ固定用突起43を該挿入穴12に挿入してクリップ10を該EA材成形用金型40に取り付けたときに、このクリップ固定用突起43の軸部43aの外面を挿入穴12の内面に密着させることが可能である。これにより、クリップ本体12のアンカー部13側の端面に封体を設けて挿入穴12を塞がなくても、EA材本体2の成形時に発泡合成樹脂がこの挿入穴12とクリップ固定用突起43との間に侵入することを防止することができる。
【0081】
以上のように、この実施の形態では、クリップ10を比較的簡易な構造の金型30を用いて製造することが可能であり、且つ挿入穴12を塞ぐ封体を設けることを不要とすることが可能であるため、クリップ10を低コストにて構成することが可能である。
【0082】
この実施の形態では、クリップ10の挿入穴12は、第1〜第4の側面12a〜12dによって囲まれた方形断面形状となっている。そのため、EA材成形用金型40に設けられた角柱状のクリップ固定用突起43を挿入穴12に挿入するに際し、これらの角を合わせるようにすることにより、クリップ10を容易に且つ確実に所定の向きにしてEA材成形用金型40に取り付けることが可能である。
【0083】
この実施の形態では、挿入穴12は正方形断面形状となっており、且つ該挿入穴12の全ての側面12a〜12dにそれぞれ貫通孔16が設けられているので、クリップ固定用突起43を挿入穴12に挿入するに際し、該挿入穴12の各側面12a〜12dがクリップ固定用突起43のいずれの側面に重なるかに関わらず、単にこれらの角を合わせるようにするだけで、確実に、所定方向を向いた側面に貫通孔16(係合部15)が存在するようにクリップ10をEA材成形用金型40に取り付けることができる。
【0084】
この実施の形態では、クリップ本体11の外周側から各貫通孔16を閉鎖するように封体17が設けられているので、EA材本体2の発泡成形時に各貫通孔16内に発泡合成樹脂原料が侵入することが防止される。
【0085】
かかる本発明のクリップ10を備えたEA材1にあっては、アンカー部13がEA材本体2に埋設されていると共に、クリップ本体11の外周面に該EA材本体2の発泡合成樹脂がしっかりと結合しているので、クリップ10とEA材本体2との結合強度が高い。
【0086】
本発明のEA材1の取付構造にあっては、ドアトリム20のクリップ係止用突起21をクリップ10の挿入穴12に挿入して係合部15に係合させることにより、簡単にEA材1をドアトリム20に取り付けることができる。
【0087】
この実施の形態では、このクリップ係止用突起21に、側方へ張り出す爪部23を設け、この爪部23をクリップ10の係合部15(貫通孔16)に係合させているので、クリップ10をしっかりとクリップ係止用突起21に係止することができる。
【0088】
[第2の実施の形態]
第6図は第2の実施の形態に係るクリップの説明図であり、第6図(a)は、このクリップのクリップ本体の筒軸心線方向に沿う断面斜視図、第6図(b)は、該クリップ本体の筒軸心線の延長方向から見たクリップの平面図である。
【0089】
この実施の形態のクリップ10Aは、クリップ本体11の先端側の外周面からその全周にわたって放射状に張り出した外向き鍔状のアンカー部13Aを備えている。この実施の形態では、第6図(b)の通り、該アンカー部13Aは、クリップ本体11の軸心線の延長方向から見たときにフランジ部14と実質的に同一形状且つ同一外径の円形の平面視形状を有している。なお、アンカー部13Aの形状や大きさ等はこれに限定されない。例えば、EA材本体2の発泡成形時に発泡合成樹脂がより容易にアンカー部13Aを乗り越えて該アンカー部13Aとフランジ部14との間に回り込むことができるようにするために、このアンカー部13Aの外径(クリップ本体11の外周面からの張り出し高さ。以下、同様。)をフランジ部14の外径よりも小さくしてもよい。
【0090】
この実施の形態では、アンカー部13Aに、該アンカー部13Aをクリップ本体11の筒軸心線方向に貫通した開口部19が設けられている。この実施の形態では、該開口部19により、EA材本体2の発泡成形時に発泡合成樹脂が該アンカー部13Aを乗り越えるよりもクリップ本体11の先端側から外周側へ流動し易い易流動部が構成されている。
【0091】
この実施の形態では、第6図(a),(b)の通り、該開口部19は、略円形の開口形状を有したものとなっている。この実施の形態では、アンカー部13Aには、クリップ本体11の周方向に一定の間隔をおいて複数個(この実施の形態では4個)の開口部19が設けられている。各開口部19の開口面積は10〜80mm特に20〜80mm程度であることが好ましい。なお、開口部19の個数や配置、開口形状はこれに限定されない。例えば、アンカー部13Aには、開口部19が1〜3個又は5個以上設けられてもよい。開口部19の開口形状は例えば多角形状などであってもよい。また、開口部19は、クリップ本体11の周方向に延在した長穴状であってもよい。あるいは、開口部19は、アンカー部13Aの外周側に開放した切欠状(アンカー部13Aを外周側から切り欠いて形成した如き形状)などであってもよい。
【0092】
このクリップ10Aのその他の構成は、前述の第1の実施の形態のクリップ10と同様であり、第6図(a),(b)において第1図(a)〜(d)と同一符号は同一部分を示している。
【0093】
このクリップ10Aを備えたEA材1の製造方法も、第1の実施の形態と同様である。
【0094】
このクリップ10Aにあっては、前述の通り、アンカー部13Aに、該アンカー部13Aをクリップ本体11の筒軸心線方向に貫通した開口部19が設けられている。そのため、EA材成形用金型40にこのクリップ10Aを取り付けた後、該EA材成形用金型40内でEA材本体2を発泡成形した場合、クリップ10Aが該EA材本体2の発泡合成樹脂中に埋没するのに伴って該発泡合成樹脂がクリップ本体11の先端側から外周側に回り込むときに、その一部は、アンカー部13Aを乗り越えることなく、この開口部19を通って短絡的にクリップ本体11の先端側から外周側へ流動することができる。これにより、例えばこのクリップ10Aが比較的小型であったり、発泡合成樹脂が比較的粘度の高いものであったりしても、クリップ本体11の外周側に発泡合成樹脂が回り込み易く、クリップ本体11の外周面に十分に発泡合成樹脂が密着するようになる。これにより、アンカー部13Aが発泡合成樹脂中に埋設されることと相俟って、よりクリップ10AとEA材本体2との結合強度が高いEA材1を得ることが可能となる。
【0095】
この実施の形態では、アンカー部13Aに、該アンカー部13Aをクリップ本体11の筒軸心線方向に貫通する開口部19を設け、この開口部19を発泡合成樹脂の易流動部としているので、このクリップ10Aにあっても、簡易な構成にて易流動部を形成することが可能である。
【0096】
この実施の形態のその他の作用効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0097】
上記実施の形態はいずれも本発明の一例であり、本発明は上記以外の形態をもとりうる。
【0098】
例えば、上記第1の実施の形態において、各アンカー部13に、さらに、上記第2の実施の形態のように各アンカー部13をクリップ本体11の筒軸心線方向に貫通する開口部19が設けられてもよい。このように構成することにより、EA材本体2の発泡成形時に、発泡合成樹脂がより容易にクリップ本体11の先端側から外周側へ流動するようになる。
【0099】
上記の実施の形態は、EA材及びその取付用クリップ、並びにそのドアトリムへの取付構造への本発明の適用例を示しているが、本発明は、これ以外の発泡成形部材及びその取付用クリップ、並びにその取付構造にも適用可能である。
【符号の説明】
【0100】
1 EA材(発泡成形部材)
2 EA材本体(発泡成形体)
10,10A クリップ
11 クリップ本体
12 挿入穴
13,13A アンカー部
14 フランジ部
15 係合部
16 貫通孔
17 封体
18 間隙(易流動部)
19 開口部(易流動部)
20 ドアトリム(被取付部材)
21 クリップ係止用突起
22 突出部
23 爪部
30 クリップ成形用金型
35 貫通孔形成用凸部
36 挿入穴形成用凸部
40 EA材成形用金型
43 クリップ固定用突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡成形体を被取付部材に取り付けるためのクリップであって、
該被取付部材に設けられたクリップ係止用突起が挿入される挿入穴を有した筒状のクリップ本体と、
該挿入穴の内周面に設けられた、該クリップ係止用突起が係合する係合部と
を備えており、
該挿入穴は、該クリップ本体をその筒軸心線方向に貫通しており、
該クリップ本体の筒軸心線方向の一端側に、該クリップ本体の外周面から放射方向に張り出すアンカー部が設けられており、
少なくとも該クリップ本体の該一端側及びアンカー部が該発泡成形体に埋設されるようにして該発泡成形体と一体化されるクリップにおいて、
該クリップ本体の該一端側又は該アンカー部に、該発泡成形体の発泡成形時に該発泡成形体の発泡成形材料が該アンカー部を乗り越えるよりも該クリップ本体の該一端側から外周側へ流動し易い易流動部が設けられていることを特徴とするクリップ。
【請求項2】
請求項1において、前記クリップ本体の前記一端側に、該クリップ本体の周方向に間隔をあけて複数個の前記アンカー部が設けられており、該アンカー部同士の間の間隙が前記易流動部となっていることを特徴とするクリップ。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記アンカー部に、該アンカー部を前記クリップ本体の筒軸心線方向に貫通する開口部が設けられており、該開口部が前記易流動部となっていることを特徴とするクリップ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記クリップ本体の筒軸心線方向の他端側に、該クリップ本体の外周面から放射方向に張り出すフランジ部が設けられており、
前記アンカー部の該外周面からの張り出し高さは、該フランジ部の該外周面からの張り出し高さよりも小さいことを特徴とするクリップ。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、前記係合部は、前記クリップ本体を外周側から前記挿入穴まで貫通した貫通孔よりなることを特徴とするクリップ。
【請求項6】
請求項5において、前記クリップ本体の外周側に、前記貫通孔を封鎖した封体が設けられていることを特徴とするクリップ。
【請求項7】
請求項6において、前記封体は不織布よりなることを特徴とするクリップ。
【請求項8】
発泡成形体と、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載のクリップと
を有し、
該クリップは、少なくとも前記クリップ本体の筒軸心線方向の一端側及び前記アンカー部が該発泡成形体に埋設されることにより該発泡成形体と一体化されていることを特徴とする発泡成形部材。
【請求項9】
請求項8に記載の発泡成形部材を製造するための方法であって、
発泡成形体成形用金型の内面に設けられたクリップ固定用突起を前記挿入穴に挿入して前記クリップを該発泡成形体成形用金型の内面に取り付けるクリップ取付工程と、
該発泡成形体成形用金型内で前記発泡成形体を発泡成形する発泡成形工程と
を有しており、
該発泡成形工程において、少なくとも前記クリップ本体の筒軸心線方向の一端側及び前記アンカー部を該発泡成形体の発泡成形材料中に埋没させることを特徴とする発泡成形部材の製造方法。
【請求項10】
請求項8に記載の発泡成形部材を被取付部材に取り付けた構造であって、
該被取付部材にクリップ係止用突起が設けられており、
該クリップ係止用突起が前記クリップの前記挿入穴に挿入されて前記係合部に係合したことにより、該発泡成形部材が該被取付部材に取り付けられている発泡成形部材の取付構造。
【請求項11】
請求項10において、前記クリップ係止用突起は、前記被取付部材から突出した突出部と、該突出部から側方へ張り出した爪部とを備え、該爪部が前記係合部に係合していることを特徴とする発泡成形部材の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−35547(P2012−35547A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178877(P2010−178877)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】