説明

発電プラント設備およびその運転方法

【課題】ディーゼル機関から排熱回収して発電する排熱回収発電機を備えた発電プラント設備のコストを低減する。
【解決手段】本発明の発電プラント設備1は、蒸気タービン7の上流側の過熱蒸気管30に設けられた蒸気流量調整弁20を備えている。発電プラント設備1の制御部は、蒸気タービン7の起動時に、蒸気流量調整弁20を閉止状態から開度を増大させて蒸気タービン7および排熱回収発電機10の周波数を上昇させ、排熱回収発電機10の周波数が系統40の周波数に達した後に、排熱回収側遮断器26を接続して系統40に給電するとともに蒸気流量調整弁20の開度を略全開とし、系統40の周波数に依存させて蒸気タービン7を動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電用のディーゼル機関に加え、このディーゼル機関から排熱回収して得た蒸気によって駆動される蒸気タービンを備えた発電プラント設備およびその運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディーゼル機関による発電プラント設備において、ディーゼル機関からの排熱によって生成した蒸気を用いて駆動される蒸気タービンを備えたものが知られている(例えば下記特許文献1の図2参照)。この蒸気タービンによって蒸気タービン用発電機を駆動し、排熱回収したエネルギーによる発電を行う。この排熱回収のための蒸気タービン用発電機は、ディーゼル機関に接続された主たるディーゼル機関用発電機とは別に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−190558号公報(図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1には明示されていないが、通常、蒸気タービン用発電機を定格回転数で駆動するために、蒸気タービンには専用の調速ガバナ(蒸気加減弁)およびその制御装置が必要とされ、コストアップの原因となる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ディーゼル機関の排熱によって得られた蒸気によって動作する蒸気タービンを備え、この蒸気タービンによって駆動される排熱回収発電機を備えた場合であっても、コスト増大を招くことがない発電プラント設備およびその運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の発電プラント設備およびその運転方法は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる発電プラント設備は、ディーゼル機関と、該ディーゼル機関から得た駆動力によって発電するとともに系統へと電力供給する主発電機と、前記ディーゼル機関から排出された排ガスから排熱を回収して蒸気を生成する蒸気発生装置と、該蒸気発生装置によって生成された蒸気によって駆動される蒸気タービンと、該蒸気タービンから得た駆動力によって発電するとともに系統へと電力供給する誘導式とされた排熱回収発電機と、該排熱回収発電機と前記系統との間の電力線に配置された排熱回収側遮断器と、前記蒸気タービンの上流側の蒸気流路に設けられた蒸気流量調整弁と、前記排熱回収側遮断器および前記蒸気流量調整弁を制御する制御部とを備えた発電プラント設備において、前記制御部は、前記蒸気タービンの起動時に、前記蒸気流量調整弁を閉止状態から開度を増大させて前記蒸気タービンおよび前記排熱回収発電機の周波数を上昇させ、該排熱回収発電機の周波数が前記系統の周波数に達した後に、前記排熱回収側遮断器を接続して前記系統に給電するとともに前記蒸気流量調整弁の開度を略全開とし、前記系統の周波数に依存させて前記蒸気タービンを動作させることを特徴とする。
【0007】
ディーゼル機関の排熱が蒸気発生装置によって回収され、回収された排熱によって生成された蒸気によって蒸気タービンが駆動される。蒸気タービンから得た駆動力によって排熱回収発電機が発電する。
本発明では、蒸気タービンの起動時に、蒸気流量調整弁を閉止状態から開度を増大させて蒸気タービンおよび排熱回収発電機(誘導発電機)の周波数を上昇させ、排熱回収発電機の周波数が系統の周波数に達した後に、排熱回収側遮断器を接続して系統に給電するとともに蒸気流量調整弁の開度を略全開とし、系統の周波数に依存させて蒸気タービンを動作させることとした。すなわち、蒸気タービンの回転数が系統の周波数に支配されるように制御する。これにより、蒸気タービンの回転数を調整する調速ガバナを設置する必要がなくなり、コストを低減することができる。
特に、本発明では、ディーゼル機関の排熱によって駆動する蒸気タービンとされているので、ディーゼル機関よりも蒸気タービンの出力容量が小さい(例えば20%以下、典型的には10%程度)。したがって、調速ガバナによって蒸気タービンの回転数を制御しなくてもディーゼル機関によって駆動される主発電機に影響を及ぼすことが殆どない。
【0008】
さらに、本発明の発電プラント設備では、前記蒸気流量調整弁の上流側には、圧力制御弁が設けられ、前記制御部は、前記蒸気流路の圧力が所定値以下になった場合に前記圧力制御弁を閉とすることを特徴とする。
【0009】
蒸気圧力が所定値以下となった場合には、ディーゼル機関の出力が下がり排熱回収熱量が小さくなったものと考えられる。この様な場合には、排熱回収するほどの効果が望めないので、圧力制御弁によって蒸気流れを遮断し、蒸気タービンの運転を停止することとする。
【0010】
さらに、本発明の発電プラント設備では、前記制御部は、前記蒸気流路の圧力が所定値以上になった場合に、前記蒸気タービンをバイパスして該蒸気タービンの下流側に設けられた復水器へと蒸気流れを切り替えることを特徴とする。
【0011】
蒸気圧力が所定値以上となった場合には、蒸気流路を保護するため、蒸気タービンをバイパスして復水器へと蒸気流れを切り替えることとした。
【0012】
また、本発明の発電プラント設備の運転方法は、ディーゼル機関と、該ディーゼル機関から得た駆動力によって発電するとともに系統へと電力供給する主発電機と、前記ディーゼル機関から排出された排ガスから排熱を回収して蒸気を生成する蒸気発生装置と、該蒸気発生装置によって生成された蒸気によって駆動される蒸気タービンと、該蒸気タービンから得た駆動力によって発電するとともに系統へと電力供給する誘導式とされた排熱回収発電機と、該排熱回収発電機と前記系統との間の電力線に配置された排熱回収側遮断器と、前記蒸気タービンの上流側の蒸気流路に設けられた蒸気流量調整弁と、前記排熱回収側遮断器および前記蒸気流量調整弁を制御する制御部とを備えた発電プラント設備の運転方法において、前記制御部は、前記蒸気タービンの起動時に、前記蒸気流量調整弁を閉止状態から開度を増大させて前記蒸気タービンおよび前記排熱回収発電機の周波数を上昇させ、該排熱回収発電機の周波数が前記系統の周波数に達した後に、前記排熱回収側遮断器を接続して前記系統に給電するとともに前記蒸気流量調整弁の開度を略全開とし、前記系統の周波数に依存させて前記蒸気タービンを動作させることを特徴とする。
【0013】
ディーゼル機関の排熱が蒸気発生装置によって回収され、回収された排熱によって生成された蒸気によって蒸気タービンが駆動される。蒸気タービンから得た駆動力によって排熱回収発電機が発電する。
本発明では、蒸気タービンの起動時に、蒸気流量調整弁を閉止状態から開度を増大させて蒸気タービンおよび排熱回収発電機(誘導発電機)の周波数を上昇させ、排熱回収発電機の周波数が系統の周波数に達した後に、排熱回収側遮断器を接続して系統に給電するとともに蒸気流量調整弁の開度を略全開とし、系統の周波数に依存させて蒸気タービンを動作させることとした。すなわち、蒸気タービンの回転数が系統の周波数に支配されるように制御する。これにより、蒸気タービンの回転数を調整する調速ガバナを設置する必要がなくなり、コストを低減することができる。
特に、本発明では、ディーゼル機関の排熱によって駆動する蒸気タービンとされているので、ディーゼル機関よりも蒸気タービンの出力容量が小さい(例えば20%以下、典型的には10%程度)。したがって、調速ガバナによって蒸気タービンの回転数を制御しなくてもディーゼル機関によって駆動される主発電機に影響を及ぼすことが殆どない。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、蒸気タービンの回転数が系統の周波数に支配されるように制御するようにして、蒸気タービンの回転数を調整する調速ガバナを不要とした。これにより、コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の発電プラント設備を示した概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の発電プラント設備およびその運転方法にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示されているように、例えば陸上に設置された発電プラント設備1は、ディーゼル機関5と、ディーゼル機関出力軸3に接続された主発電機11と、ディーゼル機関5が排出する高温の排ガスによって蒸気を生成する蒸気発生装置6と、蒸気発生装置6にて発生した蒸気によって駆動される蒸気タービン7と、蒸気タービン7によって駆動されて発電する排熱回収発電機10とを有している。
【0017】
ディーゼル機関5は、過給機14と排ガス管8とを有している。ディーゼル機関5にはその出力軸であるディーゼル機関出力軸3の一端が直接接続され、このディーゼル機関出力軸3を回転駆動する。ディーゼル機関出力軸3の他端には、カップリング21を介して主発電機11の入力軸となる発電機入力軸4が固定されている。
ディーゼル機関5に設けられた過給機14は、同軸上に設けられたタービン14Aと圧縮機14Bとを有している。タービン14Aは、ディーゼル機関5から排出された排ガスが導かれ回転駆動される。タービン14Aが駆動されると、同軸上に設けられた圧縮機14Bが回転し空気を圧縮する。圧縮された空気は、ディーゼル機関5に燃焼用空気として供給される。
タービン14Aの下流側には排ガス管8が接続され、タービン14Aにて仕事を終えた排ガスは、排ガス管8を介して排ガスエコノマイザ15に導かれる。
ディーゼル機関5は、出力回転数を調整する調速ガバナ(図示せず)を備えている。調速ガバナによって投入燃料量が調整され出力回転数が調整される。調速ガバナは、図示しない制御部によって制御される。
【0018】
主発電機11は、ディーゼル機関出力軸3から発電機入力軸4へと伝達された回転出力によって発電する。発電機11の電気出力は、出力電線23及び主遮断器(例えばACB(オートサーキットブレーカ))25を介して系統40へと導かれる。
【0019】
蒸気発生装置6は、排ガスエコノマイザ15と汽水分離器16とを備えている。
排ガスエコノマイザ15は、その煙道内に過熱器15Aと蒸発器15Bとを有している。過熱器15Aと蒸発器15Bとは、排ガスエコノマイザ15内を下から上(排ガス流れの上流側から下流側)に向かって順番に平行に据え付けられている。排ガスエコノマイザ15の煙道内には、高温の排ガスが流れ、その下流側に接続された煙突(図示せず)を経て大気に放出される。過熱器15Aには、汽水分離器16の上部から蒸気が導かれる。蒸発器15Bには、汽水分離器16の下部から水が導かれる。
汽水分離器16内は、水と蒸気が上下にそれぞれ分離して収容されている。汽水分離器16には、復水配管33から水が供給される。汽水分離器16内の水は、ボイラ水循環ポンプ17によって排ガスエコノマイザ15内の蒸発器15Bに導かれる。汽水分離器16には、排ガスエコノマイザ15の蒸発器15Bからの水分を含んだ湿り蒸気が導かれ水と蒸気とに分離される。分離された蒸気は、排ガスエコノマイザ15内の過熱器15Aに導かれ過熱蒸気とされる。
【0020】
蒸気タービン7は、タービン7Aと、タービン出力軸7Bと、蒸気流量調整弁20とを有している。タービン7Aは、蒸気によって回転駆動され、タービン7Aに接続されているタービン出力軸7Bを回転させる。排ガスエコノマイザ15と蒸気タービン7との間の過熱蒸気管(蒸気流路)30に設けられた蒸気流量調整弁20は、排ガスエコノマイザ15内の過熱器15Aから蒸気タービン7に供給される蒸気流量を調整するものであり、全閉及び全開が可能とされているとともに、全閉と全開との間の中途位置での開度調整も可能となっている。この蒸気流量調整弁20は、図示しない制御部によって制御される。
蒸気流量調整弁20は、蒸気止め弁としての役割と、蒸気発生量に応じて蒸気タービン7の回転数を昇速するための昇速弁としての役割とを有している。しかし、蒸気タービン7の回転数を所定値に維持するためのガバナとしての役割は有していない。したがって、蒸気流量調整弁20の開度調整は、系統の回転数まで昇速する起動時に主として行われる。
【0021】
蒸気流量調整弁20の上流側には、圧力制御弁22が設けられている。この圧力制御弁は、図示しない制御部によってその開度が制御され、制御部は、過熱蒸気管30内の蒸気圧力が所定値以下になった場合に圧力制御弁22を閉とする。これは、蒸気圧力が所定値以下となった場合には、ディーゼル機関5の出力が下がり排熱回収熱量が小さくなったものと考えられ、この様な場合には、排熱回収するほどの効果が望めないので、圧力制御弁22によって蒸気流れを遮断し、蒸気タービン7の運転を停止するためである。
【0022】
蒸気タービン7にて仕事を終えた蒸気は、復水器18へと導かれ凝縮液化する。復水器18にて液化した水は、復水ポンプ19によって汲み上げられ、復水配管33を通り汽水分離器16へと導かれる。
【0023】
圧力制御弁22の上流側には、過熱蒸気管30から分岐し、復水器18へと導かれるバイパス配管31が設けられている。このバイパス配管31には、ダンプ弁24が設けられている。ダンプ弁24は図示しない制御部によってその開閉が制御され、制御部は、ダンプ弁24の上流側の蒸気圧力が所定値以上となった場合にダンプ弁24を開とし、圧力制御弁22および蒸気流量調整弁20を閉とする。ダンプ弁24を開とすることにより、過熱蒸気管30内の過熱蒸気がタービン7Aをバイパスして復水器18へと導かれる。このように、蒸気タービン7が停止した場合(例えばトリップ等)に過熱蒸気管30内の蒸気圧力が過剰に大きくなるので、機器保護のため、蒸気流路を切り替えてバイパス配管31を介して蒸気を復水器へと逃がすようになっている。
【0024】
排熱回収発電機10は、誘導発電機とされ、タービン出力軸7Bを介して得られる蒸気タービン7の駆動力によって回転されるようになっている。排熱回収発電機10の出力電力は、排熱回収側遮断器(例えばACB(オートサーキットブレーカ))26を介して主発電機11側の出力電線23へと導かれる。
【0025】
次に、上述した発電プラント設備1の運転方法について説明する。
ディーゼル機関5が運転を開始すると、ディーゼル機関5に直接接続されているディーゼル機関出力軸3と、主発電機11の発電機入力軸4とが回転する。ディーゼル機関5は、系統40が要求する電力仕様に適合して発電機11が動作するように、定格回転数(例えば約514rpm)で運転される。例えば発電機11の回転数を得てフィードバック制御を行う制御部によって調速ガバナが制御され、これにより、ディーゼル機関5の回転数が制御される。
発電機11の発電出力は、出力電線23を通り主遮断器25を介して系統40へと送られる。
【0026】
ディーゼル機関5から排出された排ガスは、排ガス管8を経て排ガスエコノマイザ15に導かれる。排ガスは、排ガスエコマイザ15内を通過する際に過熱器15A及び蒸発器15Bと熱交換をする。蒸発器15B内の水は、排ガスと熱交換することによって湿り蒸気となる。この湿り蒸気は、汽水分離器16に導かれて水分が分離された後、排ガスエコノマイザ15の過熱器15Aに導かれる。過熱器15A内の蒸気は、排ガスと熱交換することによって過熱蒸気となる。
過熱蒸気は、過熱蒸気管30に導かれる。過熱蒸気管30に導かれた過熱蒸気は、蒸気流量調整弁20を経て蒸気タービン7の入口側に供給される。蒸気タービン7は、導かれた蒸気によって回転駆動される。蒸気タービン7が回転することによってタービン出力軸7Bが回転する。このタービン出力軸7Bの回転力を得て排熱回収発電機10が発電を行う。排熱回収発電機10の発電出力は、排熱回収側遮断器26を介して出力電線23へと送られ、最終的に系統40へと供給される。
【0027】
蒸気タービン7の起動時は、以下のように動作する。
先ず、起動前において、蒸気流量調整弁20および圧力制御弁22は全閉とされ、ダンプ弁24は全開とされる。
蒸気発生装置6にて蒸気が生成され、過熱蒸気管30から供給された過熱蒸気が所定量以上となると、蒸気流量調整弁20は全閉状態から微開状態とされる。このとき、圧力制御弁22は開とされ、ダンプ弁24は閉とされる。そして、蒸気流量調整弁20の開度を徐々に大きくしていき、蒸気タービン7の回転数を昇速させる。これによりタービン出力軸7Bの回転数が上昇して排熱回収発電機10の周波数が上昇する。排熱回収発電機10の周波数が系統40の周波数に達すると、排熱回収側遮断器を遮断状態からオン状態にする(電気的に接続する)。これにより、排熱回収発電機10の出力電力は出力電線23へと供給され、主遮断器25を介して系統40へと導かれる。その後、制御部は、蒸気流量調整弁20を全開とし、基本的にその開度の調整は行わない(すなわち全開で開度を固定する)。これにより、系統40の周波数に依存させて蒸気タービン7を動作させる。
【0028】
以上の通り、本実施形態の発電プラント設備およびその運転方法によれば、以下の効果を奏する。
蒸気タービン7の起動時に、蒸気流量調整弁20を閉止状態から開度を増大させて排熱回収発電機10の周波数を上昇させ、排熱回収発電機の周波数が系統40の周波数に達した後に、排熱回収側遮断器26を接続して系統に給電するとともに蒸気流量調整弁20の開度を全開とし、系統40の周波数に依存させて蒸気タービン7を動作させることとした。すなわち、蒸気タービン7の回転数が系統40の周波数に支配されるように制御する。これにより、蒸気タービン7の回転数を調整する調速ガバナを設置する必要がなくなり、コストを低減することができる。
特に、ディーゼル機関5の排熱によって駆動する蒸気タービン7とされているので、ディーゼル機関5よりも蒸気タービン7の出力容量が小さい(例えば20%以下、典型的には10%程度)。したがって、調速ガバナによって蒸気タービン7の回転数を制御しなくてもディーゼル機関5によって駆動される主発電機11に影響を及ぼすことが殆どない。
【0029】
なお、発電プラント設備1は、陸上に設置されていることを例として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
また、ディーゼル機関5に対する蒸気タービン7の出力容量比について、例えば20%以下、典型的には10%程度としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、ディーゼル機関5よりも蒸気タービン7の出力容量が小さければ本発明を適用することができ、好ましくは出力容量比50%未満であればよい。
【符号の説明】
【0030】
1 発電プラント設備
5 ディーゼル機関
6 蒸気発生装置
7 蒸気タービン
10 排熱回収発電機
11 主発電機
20 蒸気流量調整弁
22 圧力制御弁
24 ダンプ弁
40 系統

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼル機関と、
該ディーゼル機関から得た駆動力によって発電するとともに系統へと電力供給する主発電機と、
前記ディーゼル機関から排出された排ガスから排熱を回収して蒸気を生成する蒸気発生装置と、
該蒸気発生装置によって生成された蒸気によって駆動される蒸気タービンと、
該蒸気タービンから得た駆動力によって発電するとともに系統へと電力供給する誘導式とされた排熱回収発電機と、
該排熱回収発電機と前記系統との間の電力線に配置された排熱回収側遮断器と、
前記蒸気タービンの上流側の蒸気流路に設けられた蒸気流量調整弁と、
前記排熱回収側遮断器および前記蒸気流量調整弁を制御する制御部と、
を備えた発電プラント設備において、
前記制御部は、前記蒸気タービンの起動時に、前記蒸気流量調整弁を閉止状態から開度を増大させて前記蒸気タービンおよび前記排熱回収発電機の周波数を上昇させ、該排熱回収発電機の周波数が前記系統の周波数に達した後に、前記排熱回収側遮断器を接続して前記系統に給電するとともに前記蒸気流量調整弁の開度を略全開とし、前記系統の周波数に依存させて前記蒸気タービンを動作させることを特徴とする発電プラント設備。
【請求項2】
前記蒸気流量調整弁の上流側には、圧力制御弁が設けられ、
前記制御部は、前記蒸気流路の圧力が所定値以下になった場合に前記圧力制御弁を閉とすることを特徴とする請求項1に記載の発電プラント設備。
【請求項3】
前記制御部は、前記蒸気流路の圧力が所定値以上になった場合に、前記蒸気タービンをバイパスして該蒸気タービンの下流側に設けられた復水器へと蒸気流れを切り替えることを特徴とする請求項1又は2に記載の発電プラント設備。
【請求項4】
ディーゼル機関と、
該ディーゼル機関から得た駆動力によって発電するとともに系統へと電力供給する主発電機と、
前記ディーゼル機関から排出された排ガスから排熱を回収して蒸気を生成する蒸気発生装置と、
該蒸気発生装置によって生成された蒸気によって駆動される蒸気タービンと、
該蒸気タービンから得た駆動力によって発電するとともに系統へと電力供給する誘導式とされた排熱回収発電機と、
該排熱回収発電機と前記系統との間の電力線に配置された排熱回収側遮断器と、
前記蒸気タービンの上流側の蒸気流路に設けられた蒸気流量調整弁と、
前記排熱回収側遮断器および前記蒸気流量調整弁を制御する制御部と、
を備えた発電プラント設備の運転方法において、
前記制御部は、前記蒸気タービンの起動時に、前記蒸気流量調整弁を閉止状態から開度を増大させて前記蒸気タービンおよび前記排熱回収発電機の周波数を上昇させ、該排熱回収発電機の周波数が前記系統の周波数に達した後に、前記排熱回収側遮断器を接続して前記系統に給電するとともに前記蒸気流量調整弁の開度を略全開とし、前記系統の周波数に依存させて前記蒸気タービンを動作させることを特徴とする発電プラント設備の運転方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−31822(P2012−31822A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173720(P2010−173720)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】