相関演算方法、相関演算装置、焦点検出装置および撮像装置
【課題】一対のデータ列の相関量を正確に求める。
【解決手段】複数のデータが一次元上に配列された第1データ列と、複数のデータが一次元上に配列された第1データ列とは異なる第2データ列とを、一次元上で変位量を変えながら相対的に変位させ、複数の相関演算式により第1データ列と第2データ列の間の相関量を演算する(S220)。
【解決手段】複数のデータが一次元上に配列された第1データ列と、複数のデータが一次元上に配列された第1データ列とは異なる第2データ列とを、一次元上で変位量を変えながら相対的に変位させ、複数の相関演算式により第1データ列と第2データ列の間の相関量を演算する(S220)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は相関演算方法、相関演算装置、焦点検出装置および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
相対的に歪みが生じた一対の像に対応した一対のデータ列間の相対的な変位量(像ズレ量、シフト量)を算出する焦点検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、一対のデータ列に対して、一対のデータ列間のデータどうしの乗算を含む相関演算式を用いてシフト量kを変えながら相関量を算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−333720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の焦点検出装置における相関量を算出する相関演算式は、像データの状態(ケラレの程度、ノイズの程度等)によっては演算特性が不適切となり、画一的に適用すると像ズレ検出精度が低下するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1) 請求項1の発明は、複数の第1データが一次元上に配列された第1データ列と、複数の第2データが一次元上に配列された第1データ列とは異なる第2データ列とを、一次元上で変位量を変えながら相対的に変位させ、複数の相関演算式により第1データ列と第2データ列の間の相関量を演算する相関演算方法である。
(2) 請求項2の発明は、請求項1に記載の相関演算方法において、複数の相関演算式の内の少なくとも1つは、第1データ列の中の1つのデータと第2データ列の中の1つのデータとの乗算を含む相関演算式である。
(3) 請求項3の発明は、請求項2に記載の相関演算方法において、乗算を含む相関演算式が複数あり、それらの複数の乗算を含む相関演算式は、第1データ列の中の1つのデータと第2データ列の中の1つのデータとの乗算と、第1データ列中の他の1つのデータと第2データ列の中の他の1つのデータとの乗算とを含む部分相関演算式を含み、第1データ列の中の1つのデータと第1データ列の中の他の1つのデータとの間隔、および第2データ列の中の1つのデータと第2データ列の中の他の1つのデータとの間隔がともに所定間隔である。
(4) 請求項4の発明は、請求項3に記載の相関演算方法において、複数の乗算を含む相関演算式は、所定間隔が相異なる2種類の部分相関演算式を含む。
(5) 請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の相関演算方法において、複数の相関演算式により求めた複数の相関量を加算した相関量を求める。
(6) 請求項6の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の相関演算方法において、複数の相関演算式により求めた複数の相関量のそれぞれに対し信頼性を判定し、信頼性が高いと判定された相関量を抽出する。
(7) 請求項7の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の相関演算方法において、第1データ列と第2データ列に対して複数の相関演算式を予め定めた順序で適用し、相関量の演算を行うとともに該相関量の信頼性を判定し、信頼性が高いと判定された相関量を抽出したとき、複数の相関演算式による相関量の演算を終了する。
(8) 請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の相関演算方法において、複数の相関演算式は、第1データ列と第2データ列の間の歪みに対する特性がそれぞれ異なる演算式である。
(9) 請求項9の発明は、請求項8に記載の相関演算方法において、歪みが大きいとき、信頼性が高いと判定された相関量として、第1データと第2データとの乗算を含む相関演算式により演算された第1データ列と第2データ列の間の相関量を抽出する。
(10) 請求項10の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の相関演算方法において、複数の相関演算式は、第1データ列と第2データ列に加わるノイズに対する特性がそれぞれ異なる演算式である。
(11) 請求項11の発明は、請求項10に記載の相関演算方法において、ノイズが大きいとき、信頼性が高いと判定された相関量として、第1データと第2データとの乗算を含む相関演算式により演算された第1データ列と第2データ列の間の相関量を抽出する。
(12) 請求項12の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の相関演算方法において、複数の相関演算式は、第1データ列と第2データ列の空間周波数に対する特性がそれぞれ異なる演算式である。
(13) 請求項13の発明は、請求項1〜12のいずれか一項に記載の相関演算方法により、相関量の極値が得られる変位量を演算する演算手段を備える相関演算装置である。
(14) 請求項14の発明は、光学系を通って一対の像を形成する一対の光束を受光し、一対の像に応じた第1データ列と第2データ列とを出力する受光手段と、第1データ列と第2データ列の間の相関量の極値が得られる変位量を求める請求項13に記載の相関演算装置と、変位量に基づいて光学系の焦点調節状態を検出する焦点検出手段とを備える焦点検出装置である。
(15) 請求項15の発明は、請求項14に記載の焦点検出装置において、受光手段は、マイクロレンズと該マイクロレンズを介して光学系からの光束を受光する光電変換部とを有する焦点検出画素が複数個配列されており、複数の焦点検出画素の出力に基づいて第1データ列と第2データ列を生成する。
(16) 請求項16の発明は、請求項15に記載の焦点検出装置と、撮像素子とを備える撮像装置である。
(17) 請求項17の発明は、請求項16に記載の撮像装置において、撮像素子は、同一基板上に配列される、光学系により結像される像を撮像する撮像画素と焦点検出画素とを有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、種々の状況における一対のデータ列に対して、該一対のデータ列の相関量を正確に演算することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】一実施の形態のカメラの構成を示すカメラの横断面図
【図2】交換レンズの撮影画面上における焦点検出位置を示す図
【図3】撮像素子の詳細な構成を示す正面図
【図4】撮像画素の構成を示す正面図
【図5】焦点検出画素の構成を示す正面図
【図6】撮像画素の分光特性を示す図
【図7】焦点検出画素の分光特性を示す図
【図8】撮像画素の断面図
【図9】焦点検出画素の断面図
【図10】マイクロレンズを用いた瞳分割型位相差検出方式の焦点検出光学系の構成を示す図
【図11】一実施の形態のデジタルスチルカメラ(撮像装置)の撮像動作を示すフローチャート
【図12】一実施の形態の焦点検出演算処理を示すフローチャート
【図13】焦点検出光束のケラレ(口径蝕)を説明するための図
【図14】予定焦点面から光軸の方向に測距瞳面を見た場合の図
【図15】図13および図14の状態において位置x0(像高0)の近傍の焦点検出画素列が受光する一対の像と、位置x1(像高h)の近傍の焦点検出画素列が受光する一対の像の強度分布(縦軸は光量、横軸は撮影画面上の位置)を示した図
【図16】一対の像データのグラフ
【図17】図16(a)に示す一対の像データを相対的にデータピッチ−1だけシフトした像ズレ状態において、相関量C1(k)、C2(k)、C(k)を計算した場合のグラフ
【図18】図16(b)に示す一対の像データを相対的にデータピッチ−1だけシフトした像ズレ状態において、相関量C1(k)、C2(k)、C(k)を計算した場合のグラフ
【図19】図16(c)に示す一対の像データを相対的にデータピッチ−1だけシフトした像ズレ状態において、相関量C1(k)、C2(k)、C(k)を計算した場合のグラフ
【図20】図16に示す一対の像データを相対的にデータピッチの−1から+1までシフトした像ズレ状態において、相関量C1(k)、C2(k)、C(k)を計算した場合に、相関量の極値から像ズレ検出を行った計算結果(図中に■印でC1(k)を、□印でC2(k)を、×印でC(k)をそれぞれ表す)のグラフ
【図21】焦点検出結果の評価方法を説明するための図
【図22】相関演算式A、B、Cの特性を比較した図
【図23】一対の像データを示す図
【図24】図23の一対の像データを相対的にデータピッチ−1からデータピッチ+1までずらした像データに対し、相関演算式A、B、Cを適用して像ズレ検出を行った場合の計算結果を示す図
【図25】図24に示す実際の像ズレ量と計算結果の像ズレ量との誤差を示す図
【図26】図23の一対の像データを相対的にデータピッチ−1だけずらした像データに対し、相関演算式Aを適用した場合の相関量C(k)のグラフ
【図27】図23の一対の像データを相対的にデータピッチ−1だけずらした像データに対し、相関演算式Bを適用した場合の相関量C(k)のグラフ
【図28】図23の一対の像データを相対的にデータピッチ−1だけずらした像データに対し、相関演算式Cを適用した場合の相関量C(k)のグラフ
【図29】相関演算式B、Cにおけるspnとデータの周波数成分との関連性を比較した図
【図30】一対の像データを示す図
【図31】図30に示す一対の像データを相対的にデータピッチの−1から+1までずらした像データに対し、相関演算式B(spn=1、10)を適用して像ズレ検出を行った場合の計算結果を示す図
【図32】焦点検出演算処理を示すフローチャート
【図33】焦点検出演算処理を示すフローチャート
【図34】焦点検出演算処理を示すフローチャート
【図35】変形例の撮像素子を示す図
【図36】図35に示す変形例の撮像素子で用いる焦点検出画素の正面図
【図37】図35に示す撮像素子の焦点検出画素による瞳分割方式の焦点検出動作を説明するための図
【図38】再結像瞳分割方式の焦点検出動作を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0008】
一実施の形態の焦点検出装置を搭載した撮像装置として、レンズ交換式デジタルスチルカメラを例に挙げて説明する。図1は一実施の形態のカメラの構成を示すカメラの横断面図である。一実施の形態のデジタルスチルカメラ201は交換レンズ202とカメラボディ203から構成され、交換レンズ202がマウント部204を介してカメラボディ203に装着される。カメラボディ203にはマウント部204を介して種々の結像光学系を有する交換レンズ202が装着可能である。
【0009】
交換レンズ202はレンズ209、ズーミング用レンズ208、フォーカシング用レンズ210、絞り211、レンズ駆動制御装置206などを備えている。レンズ駆動制御装置206は不図示のマイクロコンピューター、メモリ、駆動制御回路などから構成され、フォーカシング用レンズ210の焦点調節と絞り211の開口径調節のための駆動制御や、ズーミング用レンズ208、フォーカシング用レンズ210および絞り211の状態検出などを行う他、後述するボディ駆動制御装置214との通信によりレンズ情報の送信とカメラ情報の受信を行う。絞り211は、光量およびボケ量調整のために光軸中心に開口径が可変な開口を形成する。
【0010】
カメラボディ203は撮像素子212、ボディ駆動制御装置214、液晶表示素子駆動回路215、液晶表示素子216、接眼レンズ217、メモリカード219などを備えている。撮像素子212には、撮像画素が二次元状に配置されるとともに、焦点検出位置に対応した部分に焦点検出画素が組み込まれている。この撮像素子212については詳細を後述する。
【0011】
ボディ駆動制御装置214はマイクロコンピューター、メモリ、駆動制御回路などから構成され、撮像素子212の駆動制御と画像信号および焦点検出信号の読み出しと、焦点検出信号に基づく焦点検出演算と交換レンズ202の焦点調節を繰り返し行うとともに、画像信号の処理と記録、カメラの動作制御などを行う。また、ボディ駆動制御装置214は電気接点213を介してレンズ駆動制御装置206と通信を行い、レンズ情報の受信とカメラ情報(デフォーカス量や絞り値など)の送信を行う。
【0012】
液晶表示素子216は電気的なビューファインダー(EVF:Electronic View Finder)として機能する。液晶表示素子駆動回路215は撮像素子212によるスルー画像を液晶表示素子216に表示し、撮影者は接眼レンズ217を介してスルー画像を観察することができる。メモリカード219は、撮像素子212により撮像された画像を記憶する画像ストレージである。
【0013】
交換レンズ202を通過した光束により、撮像素子212の受光面上に被写体像が形成される。この被写体像は撮像素子212により光電変換され、画像信号と焦点検出信号がボディ駆動制御装置214へ送られる。
【0014】
ボディ駆動制御装置214は、撮像素子212の焦点検出画素からの焦点検出信号に基づいてデフォーカス量を算出し、このデフォーカス量をレンズ駆動制御装置206へ送る。また、ボディ駆動制御装置214は、撮像素子212からの画像信号を処理して画像を生成し、メモリカード219に格納するとともに、撮像素子212からのスルー画像信号を液晶表示素子駆動回路215へ送り、スルー画像を液晶表示素子216に表示させる。さらに、ボディ駆動制御装置214は、レンズ駆動制御装置206へ絞り制御情報を送って絞り211の開口制御を行う。
【0015】
レンズ駆動制御装置206は、フォーカシング状態、ズーミング状態、絞り設定状態、絞り開放F値などに応じてレンズ情報を更新する。具体的には、ズーミング用レンズ208とフォーカシング用レンズ210の位置と絞り211の絞り値を検出し、これらのレンズ位置と絞り値に応じてレンズ情報を演算したり、あるいは予め用意されたルックアップテーブルからレンズ位置と絞り値に応じたレンズ情報を選択する。
【0016】
レンズ駆動制御装置206は、受信したデフォーカス量に基づいてレンズ駆動量を算出し、レンズ駆動量に応じてフォーカシング用レンズ210を合焦位置へ駆動する。また、レンズ駆動制御装置206は受信した絞り値に応じて絞り211を駆動する。
【0017】
図2は、交換レンズ202の撮影画面上における焦点検出位置を示す図であり、後述する撮像素子212上の焦点検出画素列が焦点検出の際に撮影画面上で像をサンプリングする領域(焦点検出エリア、焦点検出位置)の一例を示す。この例では、矩形の撮影画面100上の中央および上下の3箇所に焦点検出エリア101〜103が配置される。長方形で示す焦点検出エリアの長手方向に、焦点検出画素が直線的に配列される。
【0018】
なお、詳細を後述するが、図2に示す焦点検出エリア101〜103おいて、画面周辺の焦点検出エリア102および103は画面中心から放射方向に沿って配置されており、画面中央の焦点検出エリア101に比べて焦点検出光束がケラレやすく、焦点検出エリア102、103で検出される一対の焦点検出信号データ列に相対的な歪みが生じて同一性が崩れる。しかし、この一実施の形態の相関演算方法によれば、このような一対の信号データ列に相対的な歪みが生じて同一性が崩れている場合でも、相関関係を正確に演算することができ、正確な焦点検出結果を得ることができる。
【0019】
図3は撮像素子212の詳細な構成を示す正面図であり、撮像素子212上の焦点検出エリア101の近傍を拡大して示す。撮像素子212には撮像画素310が二次元正方格子状に稠密に配列されるとともに、焦点検出エリア101に対応する位置には焦点検出用の焦点検出画素313、314が垂直方向の直線上に隣接して交互に配列される。なお、図示を省略するが、焦点検出エリア102、103の近傍の構成も図3に示す構成と同様である。
【0020】
撮像画素310は、図4に示すようにマイクロレンズ10、光電変換部11、および色フィルター(不図示)から構成される。色フィルターは赤(R)、緑(G)、青(B)の3種類からなり、それぞれの分光感度は図6に示す特性になっている。撮像素子212には、各色フィルターを備えた撮像画素310がベイヤー配列されている。
【0021】
焦点検出画素313は、図5(a)に示すようにマイクロレンズ10と光電変換部13とから構成され、光電変換部13の形状は半円形である。また、焦点検出画素314は、図5(b)に示すようにマイクロレンズ10と光電変換部14とから構成され、光電変換部14の形状は半円形である。焦点検出画素313と焦点検出画素314とをマイクロレンズ10を重ね合わせて表示すると、光電変換部13と14が垂直方向に並んでいる。焦点検出画素313と焦点検出画素314は、焦点検出エリア101〜103において垂直方向(光電変換部13と14の並び方向)に交互に配置される。
【0022】
焦点検出画素313、314には光量をかせぐために色フィルターが設けられておらず、その分光特性は光電変換を行うフォトダイオードの分光感度と、赤外カットフィルター(不図示)の分光特性とを総合した分光特性(図7参照)となる。つまり、図6に示す緑画素、赤画素および青画素の分光特性を加算したような分光特性となり、その感度の光波長領域は緑画素、赤画素および青画素の感度の光波長領域を包括している。
【0023】
焦点検出用の焦点検出画素313、314は、撮像画素310のBとGが配置されるべき列に配置されている。焦点検出用の焦点検出画素313、314が、撮像画素310のBとGが配置されるべき列に配置されているのは、画素補間処理において補間誤差が生じた場合に、人間の視覚特性上、赤画素の補間誤差に比較して青画素の補間誤差が目立たないためである。
【0024】
撮像画素310の光電変換部11は、マイクロレンズ10によって最も明るい交換レンズの射出瞳径(例えばF1.0)を通過する光束をすべて受光するような形状に設計される。また、焦点検出画素313、314の光電変換部13、14は、マイクロレンズ10によって交換レンズの射出瞳の所定の領域(例えばF2.8)を通過する光束をすべて受光するような形状に設計される。
【0025】
図8は撮像画素310の断面図である。撮像画素310では撮像用の光電変換部11の前方にマイクロレンズ10が配置され、マイクロレンズ10により光電変換部11の形状が前方に投影される。光電変換部11は半導体回路基板29上に形成される。なお、不図示の色フィルターはマイクロレンズ10と光電変換部11の中間に配置される。
【0026】
図9(a)は焦点検出画素313の断面図である。画面中央の焦点検出エリア101に配置された焦点検出画素313において、光電変換部13の前方にマイクロレンズ10が配置され、マイクロレンズ10により光電変換部13の形状が前方に投影される。光電変換部13は半導体回路基板29上に形成されるとともに、その上にマイクロレンズ10が半導体イメージセンサーの製造工程により一体的かつ固定的に形成される。なお、画面上下の焦点検出エリア102、103に配置された焦点検出画素313の断面構造についても、図9(a)に示す断面構造と同様である。
【0027】
図9(b)は焦点検出画素314の断面図である。画面中央の焦点検出エリア101に配置された焦点検出画素314において、光電変換部14の前方にマイクロレンズ10が配置され、マイクロレンズ10により光電変換部14の形状が前方に投影される。光電変換部14は半導体回路基板29上に形成されるとともに、その上にマイクロレンズ10が半導体イメージセンサーの製造工程により一体的かつ固定的に形成される。なお、画面上下の焦点検出エリア102、103に配置された焦点検出画素314の断面構造についても、図9(b)に示す断面構造と同様である。
【0028】
図10は、マイクロレンズを用いた瞳分割型位相差検出方式の焦点検出光学系の構成を示す。なお、焦点検出画素の部分は拡大して示す。図において、90は、交換レンズ202(図1参照)の予定結像面に配置されたマイクロレンズから前方dの距離に設定された射出瞳である。この距離dは、マイクロレンズの曲率、屈折率、マイクロレンズと光電変換部との間の距離などに応じて決まる距離であって、この明細書では測距瞳距離と呼ぶ。91は交換レンズの光軸、10a〜10dはマイクロレンズ、13a、13b、14a、14bは光電変換部、313a、313b、314a、314bは焦点検出画素、73,74、83,84は焦点検出光束である。
【0029】
また、93は、マイクロレンズ10a、10cにより投影された光電変換部13a、13bの領域であり、この明細書では測距瞳と呼ぶ。図10では、説明を解りやすくするために楕円形の領域で示しているが、実際には光電変換部の形状が拡大投影された形状になる。同様に、94は、マイクロレンズ10b、10dにより投影された光電変換部14a、14bの領域であり、測距瞳である。図10では、説明を解りやすくするために楕円形の領域で示しているが、実際には光電変換部の形状が拡大投影された形状になる。
【0030】
図10では、撮影光軸に隣接する4つの焦点検出画素313a、313b、314a、314bを模式的に例示しているが、焦点検出エリア101のその他の焦点検出画素においても、また画面周辺部の焦点検出エリア102、103の焦点検出画素においても、光電変換部はそれぞれ対応した測距瞳93、94から各マイクロレンズに到来する光束を受光するように構成されている。焦点検出画素の配列方向は一対の測距瞳の並び方向、すなわち一対の光電変換部の並び方向と一致させる。
【0031】
マイクロレンズ10a〜10dは交換レンズ202(図1参照)の予定結像面近傍に配置されており、マイクロレンズ10a〜10dによりその背後に配置された光電変換部13a、13b、14a、14bの形状がマイクロレンズ10a〜10cから測距瞳距離dだけ離間した射出瞳90上に投影され、その投影形状は測距瞳93,94を形成する。すなわち、投影距離dにある射出瞳90上で各焦点検出画素の光電変換部の投影形状(測距瞳93,94)が一致するように、各焦点検出画素におけるマイクロレンズと光電変換部の相対的位置関係が定められ、それにより各焦点検出画素における光電変換部の投影方向が決定されている。
【0032】
光電変換部13aは測距瞳93を通過し、マイクロレンズ10aに向う光束73によりマイクロレンズ10a上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。同様に、光電変換部13bは測距瞳93を通過し、マイクロレンズ10cに向う光束83によりマイクロレンズ10c上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。また、光電変換部14aは測距瞳94を通過し、マイクロレンズ10bに向う光束74によりマイクロレンズ10b上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。同様に、光電変換部14bは測距瞳94を通過し、マイクロレンズ10dに向う光束84によりマイクロレンズ10d上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
【0033】
上述した2種類の焦点検出画素を直線状に多数配置し、各画素の光電変換部の出力を測距瞳93および測距瞳94に対応した出力グループにまとめることによって、測距瞳93と測距瞳94をそれぞれ通過する焦点検出用光束が画素列上に形成する一対の像の強度分布に関する情報が得られる。この情報に対して後述する像ズレ検出演算処理(相関演算処理、位相差検出処理)を施すことによって、いわゆる瞳分割型位相差検出方式で一対の像の像ズレ量が検出される。さらに、像ズレ量に一対の測距瞳の重心間隔に応じた変換演算を行うことによって、予定結像面(マイクロレンズアレイの位置)に対する現在の結像面(撮影画面100上で定められる焦点検出位置における実際の結像面)の偏差(デフォーカス量)が算出される。
【0034】
図11は、一実施の形態のデジタルスチルカメラ(撮像装置)の撮像動作を示すフローチャートである。各処理ステップは、ボディ駆動制御装置214が実行する。ボディ駆動制御装置214は、ステップS100でカメラの電源がオンされると、ステップS110以降の撮像動作を開始する。ステップS110において撮像画素のデータを間引き読み出しし、電子ビューファインダーに表示させる。続くステップS120では焦点検出画素列から一対の像に対応した一対の像データを読み出す。なお、焦点検出エリアは、撮影者が焦点検出エリア選択部材(不図示)を用いて焦点検出エリア101〜103の内のいずれかを予め選択しているものとする。
【0035】
ステップS130では読み出された一対の像データに基づいて後述する像ズレ検出演算処理(相関演算処理)を行い、像ズレ量を演算してデフォーカス量に変換する。ステップS140で合焦近傍か否か、すなわち算出されたデフォーカス量の絶対値が所定値以内であるか否かを調べる。合焦近傍でないと判定された場合はステップS150へ進み、デフォーカス量をレンズ駆動制御装置206へ送信し、交換レンズ202のフォーカシングレンズ210を合焦位置に駆動させる。その後、ステップS110へ戻って上述した動作を繰り返す。
【0036】
なお、焦点検出不能な場合もこのステップに分岐し、レンズ駆動制御装置206へスキャン駆動命令を送信し、交換レンズ202のフォーカシングレンズ210を無限から至近までの間でスキャン駆動させる。その後、ステップS110へ戻って上述した動作を繰り返す。
【0037】
ステップS140で合焦近傍であると判定された場合はステップS160へ進み、シャッターボタン(不図示)の操作によりシャッターレリーズがなされたか否かを判別する。シャッターレリーズがなされていないと判定された場合はステップS110へ戻り、上述した動作を繰り返す。一方、シャッターレリーズがなされたと判定された場合はステップS170へ進み、レンズ駆動制御装置206へ絞り調整命令を送信し、交換レンズ202の絞り値を制御F値(撮影者または自動により設定されたF値)にする。絞り制御が終了した時点で、撮像素子212に撮像動作を行わせ、撮像素子212の撮像画素310および全ての焦点検出画素313,314から画像データを読み出す。
【0038】
ステップS180において、焦点検出画素列の各画素位置の画素データを焦点検出画素の周囲の撮像画素のデータに基づいて画素補間する。続くステップS190では、撮像画素のデータおよび補間されたデータからなる画像データをメモリカード219に記憶し、ステップS110へ戻って上述した動作を繰り返す。
【0039】
図12は、図11のステップS130における焦点検出演算処理の詳細を示すフローチャートである。各処理ステップは、ボディ駆動制御装置214が実行する。ボディ駆動制御装置214は、ステップS200からこの焦点検出演算処理(相関演算処理)を開始する。
【0040】
ステップS210において、 焦点検出画素列から出力される一対のデータ列(α1〜αM、β1〜βM:Mはデータ数)に対して(1)式に示すような高周波カットフィルター処理を施し、第1データ列(A1〜AN)と第2データ列(B1〜BN)を生成する。これにより、データ列から相関処理に悪影響を及ぼす高周波ノイズ成分、およびその他の高周波成分を除去することができる。なお、演算時間の短縮を図る場合や、すでに大きくデフォーカスしていて高周波成分が少ないことがわかっている場合などには、ステップS210の処理を省略することもできる。
An=αn+2・αn+1+αn+2,
Bn=βn+2・βn+1+βn+2 ・・・(1)
(1)式において、n=1〜N−2である。
【0041】
データ列An、Bnは、理想的には同一データ列を相対的にシフトしたものとなるはずであるが、上述した瞳分割型位相差検出方式の焦点検出画素で得られる一対のデータ列では、焦点検出光束のケラレ(口径蝕)により、同一性が崩れる可能性がある。
【0042】
図13は、焦点検出光束のケラレ(口径蝕)を説明するための図である。図13において、位置x0(像高0)と位置x1(像高h)にある一対の焦点検出画素は、それぞれ予定焦点面92の前方dにある測距瞳面90において測距瞳領域93、94を通過する一対の焦点検出光束53,54および63、64を受光するように構成されている。予定焦点面92の前方d1(<d)の面95に光学系の絞り開口96がある場合には、位置x0(像高0)にある一対の焦点検出画素が受光する一対の焦点検出光束53,54は、絞り開口96により光軸91に対して対称に口径蝕が発生するため、一対の焦点検出画素が受光する光量のバランスは崩れない。
【0043】
これに対し、位置x1(像高h)にある一対の焦点検出画素が受光する一対の焦点検出光束63,64は、絞り開口96によって非対称に口径蝕が発生するために、一対の焦点検出画素が受光する光量のバランスは崩れてしまう。
【0044】
図14は、予定焦点面92から光軸91の方向に測距瞳面90を見た場合の図である。焦点検出光束64は絞り開口96により大きく口径蝕が発生しているのに対し、焦点検出光束63は絞り開口96による口径蝕の発生が少ないことがわかる。
【0045】
図15(a)、(b)は、図13および図14の状態において位置x0(像高0)の近傍の焦点検出画素列が受光する一対の像と、位置x1(像高h)の近傍の焦点検出画素列が受光する一対の像の強度分布(縦軸は光量、横軸は撮影画面上の位置)を示したものである。焦点検出光束の口径蝕のバランスがとれている場合には、図15(a)に示すように、一対の像信号400,401は同一の像信号関数が単に横方向にシフトしたものとなっている。これに対し、焦点検出光束の口径蝕のバランスが崩れている(すなわち、一対の像信号データ列の間の歪みが生じている)場合には、図15(b)に示すように、一対の像信号402,403は同一の信号を相対的にシフトしたものにはならない。
【0046】
焦点検出光束に口径蝕(ケラレ)が発生した場合における一対の像信号データ列F(x)、G(x)の関係を大別すると以下のように二つに分けられる。まず、ケラレの程度が小さい場合は、次式のように一対の像信号は所定倍した比の関係になる。
F(x)=b0・G(x) ・・・(2)
(2)式においてb0は定数である。この一実施の形態では、一対のデータ列F(x)、G(x)が(2)式の関係を有する場合には一対のデータ列に“0次ケラレ”が発生しているという。一方、ケラレの程度が大きい場合には、次式のように一対の像信号は位置xに関する1次関数の関係になる。
F(x)=(b1+a1・x)・G(x) ・・・(3)
(3)式においてa1、b1(>b0)は定数である。
【0047】
この一実施の形態では、一対のデータ列F(x)、G(x)が(3)式の関係を有する場合には一対のデータ列に“1次ケラレ”が発生しているという。1次ケラレが発生した状態において、像ズレ検出が可能な部分相関演算式として次式を採用する。spnは、一対の注目データを中心として近傍のデータ列を含む範囲の大きさに関する演算パラメータであり、その範囲のデータ列がその相関演算処理に用いられる。
E(k)=Ai・Bi+spn+k−Bi+k・Ai+spn ・・・(4)
【0048】
図12に戻って説明を続ける。ボディ駆動制御装置214は、ステップS220において第1データ列A1〜Anと第2データ列B1〜Bnを相対的にずらす(シフト量k)とともに、第1データ列および第2データ列に対し複数の部分相関演算式((4)式においてspn=1および10とした場合のE1(k)、E2(k))を施し、その演算結果の絶対値を加算した上、その加算値をデータの所定区間に亘って積算する。
【0049】
すなわち、複数の相関演算式の演算結果を部分的な相関量E1(k)、E2(k)とすれば、シフト量kにおける一対のデータ列間の総合的な相関量C(k)は(7)式で与えられる。
E1(k)=Ai・Bi+1+k−Bi+k・Ai+1 ・・・(5),
E2(k)=Ai・Bi+10+k−Bi+k・Ai+10 ・・・(6),
C(k)=Σ(|E1(k)|+|E2(k)|) ・・・(7)
なお、シフト量kは整数であり、一対のデータの検出ピッチを単位とした相対的なシフト量である。また、(7)式の積算演算(Σ)はデータ列の所定区間に亘って行われる。
【0050】
ここで、(7)式のように演算パラメータspnを異ならせた2つの部分相関演算式の演算結果のそれぞれの絶対値をとって加算し、その加算値を積算することによって総合的な相関量C(k)を求めることの利点について、E1(k)およびE2(k)の絶対値を単独で加算した場合の総合的な相関量C1(k)、C2(k)と比較して説明する。
C1(k)=Σ(|E1(k)|) ・・・(8),
C2(k)=Σ(|E2(k)|) ・・・(9)
【0051】
図16〜図20は相関量C(k)、C1(k)、C2(k)の特性を説明するためのシミュレー
ションデータである。図16は、一対の像データ(図中に■印と□印で表す)のグラフであり、横軸がデータ位置を、縦軸がデータ値をそれぞれ表す。ただし、図16では、一対の像データが重なって解りにくくなるのを避けるために、一対の像データの内の一方を他方に対して1データ位置分だけずらして表している。図16(a)は一対の像データ(sin波形:高周波)間に1次ケラレが発生した場合を示し、図16(b)は一対の像データ(sin波形:中周波)間に1次ケラレが発生した場合を示し、図16(c)は一対の像データ(sin波形:低周波)間に1次ケラレが発生した場合を示す。なお、図16(b)の像データの周期はデータピッチの10倍であり、C2(k)の演算パラメータspn=10と一致している。
【0052】
図17〜図19は、図16に示す一対の像データを相対的にデータピッチ−1だけシフトした像ズレ状態において、相関量C1(k)、C2(k)、C(k)を計算した場合のグラフであり、横軸がシフト量k(単位:データピッチ)を、縦軸が相関量C1(k)、C2(k)、C(k)の値をそれぞれ表す。
【0053】
図17(a)、図17(b)、図17(c)は、図16(a)に示す像データ(高周波)に対応した相関量C1(k)、C2(k)、C(k)のグラフである。また、図18(a)、図18(b)、図18(c)は、図16(b)に示す像データ(中周波)に対応した相関量C1(k)、C2(k)、C(k)のグラフである。さらに、図19(a)、図19(b)、図19(c)は、図16(c)に示す像データ(低周波)に対応した相関量C1(k)、C2(k)、C(k)のグラフである。
【0054】
図20(a)、(c)、(e)は、図16に示す一対の像データを相対的にデータピッチの−1から+1までシフトした像ズレ状態において、相関量C1(k)、C2(k)、C(k)を計算した場合に、後述する3点内挿の手法を用いて該相関量の極値から像ズレ検出を行った計算結果(図中に■印でC1(k)を、□印でC2(k)を、×印でC(k)をそれぞれ表す)のグラフである。なお、これらの図の横軸が実際の像ズレ量(単位:データピッチ)を、縦軸が計算結果の像ズレ量をそれぞれ表す。
【0055】
また、図20(b)、(d)、(f)は、図20(a)、(c)、(e)に示す実際の像ズレ量と計算結果の像ズレ量との誤差(図中に■印でC1(k)を、□印でC2(k)を、×印でC(k)をそれぞれ表す)のグラフである。なお、これらの図の横軸が実際の像ズレ量(単位:データピッチ)を、縦軸が誤差量(単位:データピッチ)をそれぞれ表す。
【0056】
図20(a)、(b)は、図16(a)に示す一対の像データ(高周波)に対応した像ズレ量と誤差のグラフである。また、図20(c)、(d)は、図16(b)に示す像データ(中周波)に対応した像ズレ量と誤差のグラフである。さらに、図20(e)、(f)は、図16(c)に示す像データ(低周波)に対応した像ズレ量と誤差のグラフである。
【0057】
図16〜図20を用いて、改めて相関量C1(k)、C2(k)、C(k)の特性を説明する。図16(a)に示す1次ケラレが生じた高周波成分からなる一対の像データに対して、図17(a)に示す相関量C1(k)のグラフは真の像ズレ量で鋭い落ち込みの極小値を示し、図20(a)、(b)に■印で示すように像ズレ量の計算結果の誤差は少ない。しかし、図17(b)に示すように相関量C2(k)のグラフは極小値が浮いてしまい、図20(a)、(b)に□印で示すように像ズレ量の計算結果の誤差が大きい。また、図17(c)に示すように相関量C(k)のグラフは極小値の浮きは少なく、図20(a)、(b)に×印で示すように像ズレ量の計算結果の誤差も大きくはない。
【0058】
また、図16(b)に示す1次ケラレが生じた中周波成分からなる一対の像データに対して、図18(a)に示す相関量C1(k)のグラフは真の像ズレ量で鋭い落ち込みの極小値を示し、図20(c)、(d)に■印で示す像ズレ量の計算結果の誤差は少ない。しかし、図18(b)に示す相関量C2(k)のグラフは極小値の位置が極大値の位置と入れ替わってしまい、図20(c)、(d)に□印で示す像ズレ量の計算結果はグラフから完全に外れてしまう。また、図18(c)に示す相関量C(k)のグラフは極小値の浮きは少なく、図20(c)、(d)に×印で示す像ズレ量の計算結果の誤差も少ない(図20(c)、(d)ではC1(k)の結果とほぼ重なっている)。データの周期と相関演算の演算パラメータspnが一致した場合には、上記のように誤差が非常に大きくなり、像ズレ検出結果は当てにならない。
【0059】
さらに、図16(c)に示す1次ケラレが生じた低周波成分からなる一対の像データに対して、図19(a)に示す相関量C1(k)のグラフは鋭い落ち込みの極小値を示すが、図20(e)、(f)に■印で示す像ズレ量の計算結果の誤差は大きい。しかし、図19(b)に示す相関量C2(k)のグラフは真の像ズレ量で鋭い落ち込みの極小値を示し、図20(e)、(f)に□印で示す像ズレ量の計算結果の誤差は少ない。また、図19(c)に示す相関量C(k)のグラフも真の像ズレ量で鋭い落ち込みの極小値を示し、図20(e)、(f)に×印で示す像ズレ量の計算結果の誤差は少ない。
【0060】
以上説明したように、演算パラメータspn=1の相関量C1(k)は、高周波のデータに対しては高精度な像ズレ検出が期待できるが、低周波のデータに対しては像ズレ検出精度が低下する。一方、演算パラメータspn=10の相関量C2(k)は、低周波のデータに対しては高精度な像ズレ検出が期待できるが、高周波のデータに対しては像ズレ検出精度が低下するとともに、データの周期が演算パラメータspn(=10)と一致する場合には像ズレ検出結果の信頼性がなくなる。
【0061】
それに対し(9)式のように演算パラメータspn=1と10の部分相関量をそれぞれ絶対値をとって加算し、加算した値を積算した相関量であるC(k)は、高周波のデータおよび低周波のデータのいずれに対しても、所定レベル以上の精度で像ズレ検出が可能である。したがって、(9)式で示す相関量C(k)を常時使用すれば、データの空間周波数成分によらず安定した像ズレ検出が可能になるとともに、データの空間周波数成分を検出し、検出した空間周波数成分に応じて演算パラメータspnの値を変更するというような手間を省くことができる。
【0062】
再び図12に戻って説明を続ける。ステップS230において、(7)式に示す相関演算式で求めた相関量C(k)のグラフは、図21(a)に示すように、一対のデータの相関が高いシフト量(図21(a)ではk=kj=2)において相関量C(k)が最小(小さいほど相関度が高い)になる。(10)式〜(13)式による3点内挿の手法を用いて、連続的な相関量に対する最小値C(x)を与えるシフト量xを求める。
x=kj+D/SLOP ・・・(10),
C(x)= C(kj)−|D| ・・・(11),
D={C(kj−1)−C(kj+1)}/2 ・・・(12),
SLOP=MAX{C(kj+1)−C(kj),C(kj−1)−C(kj)} ・・・(13)
【0063】
ステップS240では、(10)式で求めたシフト量xを用いて被写体像面の予定結像面に対するデフォーカス量DEFを次式により求めることができる。
DEF=KX・PY・x ・・・(14)
(14)式において、PYは検出ピッチであり、KXは一対の測距瞳の重心の開き角の大きさによって決まる変換係数である。
【0064】
算出されたデフォーカス量DEFの信頼性があるかどうかは、以下のようにして判定される。図21(b)に示すように、一対のデータの相関度が低い場合は、内挿された相関量の最小値C(x)の値が大きくなる。したがって、C(x)が所定値以上の場合は信頼性が低いと判定する。あるいは、C(x)をデータのコントラストで規格化するために、コントラストに比例した値となるSLOPでC(x)を除した値が所定値以上の場合は信頼性が低いと判定する。あるいはまた、コントラストに比例した値となるSLOPが所定値以下の場合は、被写体が低コントラストであり、算出されたデフォーカス量DEFの信頼性が低いと判定する。図21(c)に示すように、一対のデータの相関度が低く、シフト範囲kmin〜kmaxの間で相関量C(k)の落ち込みがない場合は、最小値C(x)を求めることができず、このような場合は焦点検出不能と判定する。焦点検出が可能であった場合には算出された像ズレ量に所定の変換係数を乗じてデフォーカス量を算出する。
【0065】
ステップS250で、焦点検出演算処理(相関演算処理)を終了して図11のステップS140へリターンする。
【0066】
《発明の他の実施の形態》
以上説明した一実施の形態では、(7)式に示すように、同じ形式の相関演算式において異なる演算パラメータspnによって求めた部分相関量のそれぞれの絶対値をとって加算し、加算した値を積算した相関量C(k)を用いて像ズレ検出を行っているが、演算パラメータspnは1と10以外の組合せでもよいし、3個以上の演算パラメータspnの組合せでも構わない。また、相関演算式は(7)式に示す式に限定されず、例えば(17)式に示すような相関演算式の演算パラメータspnを異ならせたものを採用することもできる。
【0067】
次に、異なる形式の複数の相関演算式を利用して像ズレ検出を行う実施の形態を説明する。相関演算式の代表例として、(15)式右辺の絶対値で囲まれた演算式を相関演算式Aとし、(16)式右辺の絶対値で囲まれた演算式を相関演算式Bとし、そして、(17)式右辺の絶対値で囲まれた演算式を相関演算式Cとして、それらの特性について説明する。
C(k)=Σ|Ai−Bi+k| ・・・(15),
C(k)=Σ|Ai・Bi+spn+k−Bi+k・Ai+spn| ・・・(16),
C(k)=Σ|Ai2・Bi−spn+k・Bi+spn+k−Bi+k2・Ai−spn・Ai+spn| ・・・(17)
(15)式〜(17)式において、積算演算(Σ)はサフィックスiをデータ列の所定区間に亘って順次移動させて行われる。
【0068】
図22は上述した相関演算式A、B、Cの特性を比較した表である。ケラレがない場合(一対の像が口径蝕による歪みを受けていない場合)には、どの演算式でも高精度な像ズレ検出が可能であるが、相関演算式Aは演算中にデータ間の乗算を含まないので、演算処理時間が短縮できるというメリットがあるとともに、耐ノイズ性(データにノイズが加わった場合でも、像ズレ検出結果が影響を受けにくい特性)も相関演算式B、Cよりも高い。
【0069】
0次ケラレが生じている場合には、相関演算式B、Cは高精度な像ズレ検出が可能であるが、演算式Aは像ズレ検出精度が低下する。耐ノイズ性においては、演算式Bのほうが演算式Cよりも高い。1次ケラレが生じている場合には、相関演算式Cは高精度な像ズレ検出が可能であるが、演算式A、Bは像ズレ検出精度が低下する。
【0070】
図23〜図28は、上述した相関演算式A、B、Cの特性を表すシミュレーションデータである。図23は一対の像データ(図中に■印と□印で表す)のグラフであって、横軸がデータ位置を、縦軸がデータ値をそれぞれ表す。ただし、図23では、一対の像データが重なって解りにくくなるのを避けるために、一対の像データの内の一方を他方に対して1データ位置分だけずらして表している。
【0071】
図23(a)は、一対の像データ(sin波形)間にケラレがない場合(像ズラシにより像が完全に一致する場合)のグラフである。また、図23(b)は、図23(a)の一対の像データ(sin波形)にランダムノイズが加わった場合のグラフである。さらに、図23(c)は、一対の像データ(sin波形)間に0次ケラレが発生し、さらにランダムノイズが加わった場合のグラフである。そして、図23(d)は、一対の像データ(sin波形)間に1次ケラレが発生し、さらにランダムノイズが加わった場合のグラフである。
【0072】
図24は、図23に示す一対の像データを相対的にデータピッチの−1から+1までシフトした像ズレ状態において、相関演算式A、B、Cを適用して像ズレ検出を行った場合の計算結果(図中の■印が相関演算式Aの結果を、□印が相関演算式Bの結果を、×印が相関演算式Cの結果を表す)のグラフであり、横軸が実際の像ズレ量(単位:データピッチ)を、縦軸が計算結果の像ズレ量をそれぞれ表す。図24(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ図23(a)、(b)、(c)、(d)の像データに対応した像ズレ量の演算結果である。
【0073】
図25は、図24に示す実際の像ズレ量と計算結果の像ズレ量との誤差(図中の■印が相関演算式Aの誤差を、□印が相関演算式Bの誤差を、×印が相関演算式Cの誤差をそれぞれ表す)のグラフであり、横軸が実際の像ズレ量(単位:データピッチ)を、縦軸が誤差量(単位:データピッチ)をそれぞれ表す。図25(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ図24(a)、(b)、(c)、(d)の計算結果に対応した誤差量である。
【0074】
図26は、図23に示す一対の像データを相対的にデータピッチ−1だけシフトした像ズレ状態において、相関演算式Aを適用した場合の相関量C(k)のグラフであり、横軸が
シフト量k(単位:データピッチ)を、縦軸が相関量C(k)の値をそれぞれ表す。図26(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ図23(a)、(b)、(c)、(d)の像データに対応した相関量C(k)のグラフである。
【0075】
図27は、図23に示す一対の像データを相対的にデータピッチ−1だけシフトした像ズレ状態において、相関演算式Bを適用した場合の相関量C(k)のグラフであり、横軸がシフト量k(単位:データピッチ)を、縦軸が相関量C(k)の値をそれぞれ表す。図27(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ図23(a)、(b)、(c)、(d)の像データに対応した相関量C(k)のグラフである。
【0076】
図28は、図23に示す一対の像データを相対的にデータピッチ−1だけシフトした像ズレ状態において、相関演算式Cを適用した場合の相関量C(k)のグラフであり、横軸がシフト量k(単位:データピッチ)を、縦軸が相関量C(k)の値をそれぞれ表す。図28(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ図23(a)、(b)、(c)、(d)の像データに対応した相関量C(k)のグラフである。
【0077】
図23〜図28を参照して改めて相関演算式A、B、Cの特性を説明する。図23(a)に示すケラレのない一対の像データに対しては、相関演算式A、B、Cはともに、図26(a)、図27(a)、図28(a)に示す相関グラフが真の像ズレ量で鋭い落ち込みの極小値を示しており、図24(a)、図25(a)に示すように像ズレ量の計算結果の誤差は少ない。
【0078】
図23(b)に示すケラレのない一対の像データにノイズが加わった像データに対しては、相関演算式A、B、Cはともに、図26(b)、図27(b)、図28(b)に示すように相関グラフが真の像ズレ量で鋭い落ち込みの極小値を示しており、図24(b)、図25(b)に示すように相関演算式A、Bの像ズレ量の計算結果の誤差は少ないが、相関演算式Cの像ズレ量の計算結果の誤差が若干増加する。
【0079】
図23(c)に示す0次ケラレの生じた一対の像データにノイズが加わった像データに対しては、相関演算式B、Cはともに、図27(c)、図28(c)に示すように相関グラフが真の像ズレ量で鋭い落ち込みの極小値を示しており、図24(c)、図25(c)に示すように相関演算式Bの像ズレ量の計算結果の誤差は少ないが、演算式Cの像ズレ量の計算結果の誤差が若干増加する。
【0080】
一方、図23(c)に示す0次ケラレの生じた一対の像データにノイズが加わった像データに対しては、相関演算式Aにおいて、図26(c)に示すように相関グラフが真の像ズレ量近傍での落ち込みかたが鈍くなり、図24(c)、図25(c)に示すように像ズレ量の計算結果が大きな誤差を持つ。
【0081】
図23(d)に示す1次ケラレの生じた一対の像データにノイズが加わった像データに対しては、相関演算式Cにおいて、図28(d)に示すように相関グラフが真の像ズレ量で鋭い落ち込みの極小値を示しており、図24(d)、図25(d)に示すように相関演算式Cの像ズレ量の計算結果の誤差は比較的少ない。
【0082】
図23(d)に示す1次ケラレの生じた一対の像データにノイズが加わった像データに対しては、相関演算式Bにおいて、図27(d)に示すように相関グラフが真の像ズレ量近傍で鋭い落ち込みを示すが、図24(d)、図25(d)に示すように像ズレ量の計算結果は大きな誤差(平行移動成分)を持つ。
【0083】
一方、図23(d)に示す1次ケラレの生じた一対の像データにノイズが加わった像データに対しては、相関演算式Aにおいて、図26(d)に示すように相関グラフが真の像ズレ量近傍での落ち込みかたが鈍くなり、図24(d)、図25(d)に示すように像ズレ量の計算結果は大きな誤差を持つ。
【0084】
次に、相関演算式と像データの空間周波数との相性について説明する。図29は、相関演算式B、Cにおける演算パラメータspnとデータの周波数成分との関連性を比較した表である。この表から明らかなように、一対の像データが低周波成分を多く含む場合には、相関演算式B、Cにおける演算パラメータspnは大きな値の方が高精度の像ズレ検出結果が期待できる。逆に、高周波成分を多く含む場合には、相関演算式B、Cにおける演算パラメータspnは小さな値の方が高精度の像ズレ検出結果が期待できる。
【0085】
図30、図31は、相関演算式B、Cにおける演算パラメータspnの特性を表すためのシミュレーションデータである。図30は、一対の像データ(図中に■印と□印で表す)のグラフであり、横軸がデータ位置を、縦軸がデータ値をそれぞれ表す。ただし、図30では、一対の像データが重なって解りにくくなるのを避けるために、一対の像データの内の一方を他方に対して1データ位置分だけずらして表している。図30(a)は、一対の像データ(高周波のsin波形)間に1次ケラレが発生した場合のグラフであり、図30(b)は、一対の像データ(低周波のsin波形)間に1次ケラレが発生した場合のグラフである。
【0086】
図31(a)、(b)は、図30(a)、(b)に示す一対の像データを相対的にデータピッチの−1から+1までシフトした像ズレ状態において、上述した相関演算式B(spn=1、10)を適用して像ズレ検出を行った場合の計算結果(図中の■印がspn=1の場合を、□印がspn=10の場合をそれぞれ表す)のグラフであり、横軸が実際の像ズレ量(単位:データピッチ)を、縦軸が計算結果の像ズレ量をそれぞれ表す。
【0087】
また、図31(c)は、図30(b)に示す一対の像データを相対的にデータピッチの−1から+1までシフトした像ズレ状態において、上述した相関演算式C(spn=1、10)を適用して像ズレ検出を行った場合の計算結果(図中の■印がspn=1の場合を、□印がspn=10の場合をそれぞれ表す)のグラフであり、横軸が実際の像ズレ量(単位:データピッチ)を、縦軸が計算結果の像ズレ量をそれぞれ表す。
【0088】
さらに、図31(d)は、図30(b)に示す一対の像データにノイズを加えた後に相対的にデータピッチの−1から+1までシフトした像ズレ状態において、上述した相関演算式C(spn=1、10)を適用して像ズレ検出を行った場合の計算結果(図中の■印がspn=1の場合を、□印がspn=10の場合をそれぞれ表す)のグラフであり、横軸が実際の像ズレ量(単位:データピッチ)を、縦軸が計算結果の像ズレ量をそれぞれ表す。
【0089】
図31(a)、(b)から明らかなように、相関演算式Bによれば、演算パラメータspnを像データの周波数に応じて調整(低周波の場合はspnを大きく、高周波の場合にはspnを小さく)することによって、1次ケラレによる像ズレ検出演算結果のシフト現象を軽減することができる。
【0090】
また、図31(c)、(d)から明らかなように、相関演算式Cによれば、演算パラメータspnを像データの周波数に応じて調整(低周波の場合はspnを大きく)することによって、ノイズによる像ズレ検出演算結果のバラツキ現象を軽減することができることができる。
【0091】
一般に、相関演算式B、Cのように、データどうしの乗算を含む相関演算式によれば、データどうしの間隔(=spn)を像データの周波数に応じて調整(低周波の場合はspnを大きく、高周波の場合にはspnを小さく)することによって、ケラレやノイズの影響を低減できる。
【0092】
以上に基づき、ボディ駆動制御装置214は、図32に示すフローにしたがって焦点検出演算処理を実行する。ステップS300から焦点検出演算処理が開始され、続くステップS310で(1)式により一対の焦点検出画素のデータ列にナイキスト周波数成分以上の高周波成分をカットするフィルター処理が施され、第1データ列と第2データ列が生成される。
【0093】
ステップS310において、第1データ列と第2データ列に対して複数の相関演算式(A、B:spn小、B:spn大、C:spn小、C:spn大)が適用され、それぞれの相関演算式に応じてデフォーカス量が算出される。ステップS330では、各相関演算式で得られたデフォーカス量の信頼性を図21に示した相関パラメータ(C(x)、SLOP)に応じて判断し、信頼性の高いデフォーカス量を抽出する。
【0094】
ステップS340において、抽出されたデフォーカス量を平均するとともに、抽出されたデフォーカス量に対応した相関パラメータを平均し、焦点検出演算処理を終了する。
【0095】
次に、図33は、各相関演算式(A、B:spn小、B:spn大、C:spn小、C:spn大)ごとのデフォーカス量算出処理を示すフローチャートである。各処理ステップは、ボディ駆動制御装置214が実行する。ステップS400からデフォーカス量算出処理が開始され、続くステップS410で第1データ列(A1〜An)と第2データ列(B1〜Bn)を相対的にずらす(シフト量k)とともに、第1データ列および第2データ列に対し相関演算式(A、B:spn小、B:spn大、C:spn小、C:spn大))を施し、その演算結果の絶対値をデータの所定区間に亘って積算する。
【0096】
ステップS420において、図21で説明した3点内挿の手法により相関量C(k)の最小値に基づいて像ズレ量を算出するとともに、ステップS430で像ズレ量をデフォーカス量に変換し、デフォーカス量算出処理を終了する。
【0097】
以上説明した一実施の形態では、まず複数の相関演算式に応じた複数のデフォーカス量を算出し、次にその中から信頼性のあるデフォーカス量を抽出し、抽出したデフォーカス量を平均して最終的なデフォーカス量を算出しているので、ケラレの状態、ノイズの状態、データの空間周波数成分に依らず安定して高精度な焦点検出が可能になるとともに、ケラレの状態、ノイズの状態、データの空間周波数成分を検出し、検出したケラレの状態、ノイズの状態、データの空間周波数成分に応じて複数の相関演算式の中から最適な相関演算式を選択してデフォーカス量を算出するのに比較して、ケラレの状態、ノイズの状態、データの空間周波数成分の検出処理を省くことができると同時に、ケラレの状態、ノイズの状態、データの空間周波数成分の誤検出の影響を防止することができる。
【0098】
図32、図33に示す処理では、各相関演算式ごとにデフォーカス量まで算出する例を示したが、各相関演算式ごとに像ズレ量を算出し、信頼性に応じて像ズレ量を抽出し、抽出した像ズレ量の平均を求めた後に平均像ズレ量をデフォーカス量に変換するようにしてもよい。
【0099】
図32に示す処理では、複数の相関演算式に応じた複数のデフォーカス量を算出し、次にその中から信頼性のあるデフォーカス量を抽出する例を示したが、図34に示す焦点検出演算処理のように、予め定められた順番で複数の相関演算式による像ズレ検出を行い、信頼性のあるデフォーカス量が得られた時点で像ズレ検出処理を終了するようにしてもよい。
【0100】
図34の各処理ステップは、ボディ駆動制御装置214が実行する。ステップS500で焦点検出演算処理が開始され、続くステップS510で(1)式により一対の焦点検出画素のデータ列にナイキスト周波数成分以上の高周波成分をカットするフィルター処理が施され、第1データ列と第2データ列が生成される。ステップS520では、第1データ列と第2データ列に対し相関演算式Aを適用してデフォーカス量を算出する。
【0101】
ステップS530において、算出されたデフォーカス量の信頼性があるか否かをチェックし、信頼性がある場合はステップS610へ進んで焦点検出演算処理を終了する。一方、信頼性がない場合はステップS540へ進み、第1データ列と第2データ列に対し相関演算式B(spn小)を適用してデフォーカス量を算出する。
【0102】
ステップS550において、算出されたデフォーカス量の信頼性があるか否かをチェックし、信頼性がある場合はステップS610へ進んで焦点検出演算処理を終了する。一方、信頼性がない場合はステップS560へ進み、第1データ列と第2データ列に対し相関演算式B(spn大)を適用してデフォーカス量を算出する。
【0103】
ステップS570において、算出されたデフォーカス量の信頼性があるか否かをチェックし、信頼性がある場合はステップS610へ進んで焦点検出演算処理を終了する。一方、信頼性がない場合はステップS580へ進み、第1データ列と第2データ列に対し相関演算式C(spn小)を適用してデフォーカス量を算出する。
【0104】
ステップS590において、算出されたデフォーカス量の信頼性があるか否かをチェックし、信頼性がある場合はステップS610へ進んで焦点検出演算処理を終了する。一方、信頼性がない場合はステップS600へ進み、第1データ列と第2データ列に対し相関演算式C(spn大)を適用してデフォーカス量を算出し、ステップS610で焦点検出演算処理を終了する。
【0105】
図34に示す焦点検出演算処理によれば、複数の相関演算式をケラレやノイズがなく、高周波成分を含むような一般的なデータに対して像ズレ検出精度が高い順番かつ演算規模が小さい順番(相関演算式A→Bspn小→Bspn大→Cspn小→Cspn大)に適用するので、図33に示す処理と比較して短時間で高精度な焦点検出を行うことができる。
【0106】
図34に示す焦点検出処理によれば、各相関演算式ごとにデフォーカス量まで算出する例を示したが、各相関演算式ごとに像ズレ量を算出し、算出された像ズレ量に信頼性に信頼性がある場合のみ算出された像ズレ量をデフォーカス量に変換するようにしてもよい。
【0107】
以上説明した実施形態においては、(15)式〜(17)式に示す複数の異なる相関演算式A、Bspn小、Bspn大、Cspn小、Cspn大を用いた例を示したが、相関演算式としては(15)式〜(17)式に示す相関演算式に限定されず、その他の形式で表される相関演算式を使用することもできる。
【0108】
図12に示す焦点検出演算処理では、同一形式の相関演算式において異なる演算パラメータspnで計算した部分相関量のそれぞれを絶対値をとって加算し、加算した値を所定のデータ区間に亘って積算することにより相関量C(k)を求める例を示したが、異なる形式の相関演算式(例えば(15)式、(16)式、(17)式)で計算した部分相関量のそれぞれを絶対値をとって加算し、加算した値を所定のデータ区間に亘って積算することにより相関量C(k)を求めるようにしてもよい。その場合には、各相関演算式により算出される部分相関量を、各相関演算式に応じた所定値で割ることによって規格化し、部分相関量のレベルを揃えることができる。各相関演算式に応じた所定値は、例えば標準的な一対のデータに対して各相関演算式を適用して求めた相関量C(k)の最大値を採用することができる。
【0109】
《その他の変形例》
撮像素子における焦点検出エリアの配置は図2に限定されることはなく、対角線方向や、その他の位置に水平方向および垂直方向に焦点検出エリアを配置することも可能である。
【0110】
図3に示す撮像素子212では、焦点検出画素313、314がひとつの画素内にひとつの光電変換部を備えた例を示したが、ひとつの画素内に一対の光電変換部を備えるようにしてもよい。図35は、図3に示す撮像素子212に対応した撮像素子212Aの部分拡大図であり、焦点検出画素311はひとつの画素内に一対の光電変換部を備える。図に示す焦点検出画素311は、図3に示す焦点検出画素313と焦点検出画素314のペアに相当した機能を果たす。
【0111】
焦点検出画素311は、図36に示すようにマイクロレンズ10と一対の光電変換部13,14から構成される。焦点検出画素311には光量をかせぐために色フィルターは配置されておらず、その分光特性は光電変換を行うフォトダイオードの分光感度と、赤外カットフィルター(不図示)の分光特性とを総合した分光特性(図7参照)となる。つまり、図6に示す緑画素、赤画素および青画素の分光特性を加算したような分光特性となり、その感度の光波長領域は緑画素、赤画素および青画素の感度の光波長領域を包括している。
【0112】
図37は、図35に示す撮像素子212Aの焦点検出画素による瞳分割型位相差検出方式の焦点検出動作を説明するための図である。図37において、90は、交換レンズの予定結像面に配置されたマイクロレンズの前方dの距離に設定された射出瞳である。ここで、距離dは、マイクロレンズの曲率、屈折率、マイクロレンズと光電変換部の間の距離などに応じて決まる距離であって、測距瞳距離である。91は交換レンズの光軸、50、60はマイクロレンズ、(53,54)、(63,64)は焦点検出画素の対の光電変換部、73,74、83,84は焦点検出用光束である。
【0113】
さらに、93はマイクロレンズ50、60により投影された光電変換部53,63の領域であり、測距瞳である。同様に、94はマイクロレンズ50、60により投影された光電変換部54,64の領域であり、測距瞳である。図37では、光軸91上にある焦点検出画素(マイクロレンズ50と一対の光電変換部53、54を有する)と、隣接する焦点検出画素(マイクロレンズ60と一対の光電変換部63、64を有する)を模式的に例示しているが、撮像面上の周辺に配置された焦点検出用画素においても、一対の光電変換部はそれぞれ一対の測距瞳93、94から各マイクロレンズに到来する光束を受光する。焦点検出画素の配列方向は一対の測距瞳の並び方向と一致させる。
【0114】
マイクロレンズ50、60は光学系の予定結像面近傍に配置されており、光軸91上に配置されたマイクロレンズ50によって、その背後に配置された一対の光電変換部53、54の形状がマイクロレンズ50、60から測距瞳距離dだけ離間した射出瞳90上に投影され、その投影形状は測距瞳93,94を形成する。また、マイクロレンズ50に隣接して配置されたマイクロレンズ60によって、その背後に配置された一対の光電変換部63、64の形状が測距瞳距離dだけ離間した射出瞳90上に投影され、その投影形状は測距瞳93,94を形成する。すなわち、測距瞳距離dにある射出瞳90上で各焦点検出画素の光電変換部の投影形状(測距瞳93,94)が一致するように、各画素のマイクロレンズと光電変換部の位置関係が決定されている。
【0115】
光電変換部53は、測距瞳93を通過してマイクロレンズ50へ向う焦点検出光束73によってマイクロレンズ50上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。また、光電変換部54は、測距瞳94を通過してマイクロレンズ50へ向う焦点検出光束74によってマイクロレンズ50上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。同様に、光電変換部63は、測距瞳93を通過してマイクロレンズ60へ向う焦点検出光束83によってマイクロレンズ60上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。また、光電変換部64は、測距瞳94を通過してマイクロレンズ60へ向う焦点検出光束84によってマイクロレンズ60上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
【0116】
このような焦点検出画素を直線状に多数配置し、各焦点検出画素の一対の光電変換部の出力を測距瞳93および測距瞳94に対応した出力グループにまとめることによって、測距瞳93と測距瞳94を各々通過する焦点検出光束が焦点検出画素列上に形成する一対の像の強度分布に関する情報が得られる。この情報に対して後述する像ズレ検出演算処理(相関演算処理、位相差検出処理)を施すことによって、いわゆる瞳分割位相差検出方式で一対の像の像ズレ量が検出される。さらに、像ズレ量に所定の変換処理を施すことによって、予定結像面(マイクロレンズアレイの位置)に対する現在の結像面(撮影画面100上で定められる焦点検出位置における実際の結像面)の偏差(デフォーカス量)が算出される。
【0117】
次に、図3に示す撮像素子212では撮像画素310がベイヤー配列の色フィルターを備えた例を示したが、色フィルターの構成や配列はこれに限定されることはなく、補色フィルター(緑:G、イエロー:Ye、マゼンタ:Mg,シアン:Cy)の配列を採用してもよい。また、図3に示す撮像素子212では焦点検出画素313、314に色フィルターを設けない例を示したが、撮像画素310と同色の色フィルターの内のひとつのフィルター(例えば緑フィルター)を設けるようにした場合でも、本発明を適用することができる。
【0118】
また、上述した一実施の形態の図5、図37に示す焦点検出画素311、313、314では、光電変換部の形状を半円形や矩形にした例を示したが、焦点検出画素の光電変換部の形状はこれらに限定されず、他の形状であってもよい。例えば焦点検出画素の光電変換部の形状を楕円や多角形にすることも可能である。
【0119】
さらに、図3に示す撮像素子212では、撮像画素と焦点検出画素を稠密正方格子配列に配置した例を示したが、稠密六方格子配列(ハニカム状配列)としてもよい。
【0120】
上述した一実施の形態では、マイクロレンズを用いた瞳分割型位相差検出方式による焦点検出動作を説明したが、本発明はこのような方式の焦点検出に限定されず、特開2008−15157号公報に開示された偏光素子による瞳分割型位相差検出方式の焦点検出装置にも適用可能である。
【0121】
さらに、本発明は、再結像方式による瞳分割型位相差検出方式の焦点検出にも適用可能である。図38により、再結像方式による瞳分割型位相差検出方式の焦点検出動作を説明する。図38において、191は交換レンズの光軸、110,120はコンデンサレンズ、111、121は絞りマスク、112,113、122,123は絞り開口、114、115、124,125は再結像レンズ、116、126は焦点検出用のイメージセンサー(CCD)である。
【0122】
また、132,133、142,143は焦点検出光束、190は交換レンズの予定結像面の前方d5の距離に設定された射出瞳である。ここで、距離d5は、コンデンサレンズ110,120の焦点距離と、コンデンサレンズ110,120と絞り開口112,113、122,123との間の距離などに応じて決まる距離であって、測距瞳距離である。192は、コンデンサレンズ110,120により投影された絞り開口112,122の領域であり、測距瞳である。同様に、193は、コンデンサレンズ110,120により投影された絞り開口113,123の領域であり、測距瞳である。コンデンサレンズ110、絞りマスク111、絞り開口112,113、再結像レンズ114、115およびイメージセンサー116が、一つの位置で焦点検出を行う再結像方式の瞳分割型位相差検出方式の焦点検出ユニットを構成する。
【0123】
図38においては、光軸191上にある焦点検出ユニットと光軸外にある焦点検出ユニットとを模式的に例示している。複数の焦点検出ユニットを組み合わせることによって、図2に示す3箇所の焦点検出位置101〜103において再結像方式の瞳分割位相差検出で焦点検出を行う焦点検出装置を実現することができる。
【0124】
コンデンサレンズ110を有する焦点検出ユニットは、交換レンズの予定結像面近傍に配置されたコンデンサレンズ110、その背後に配置されたイメージサンサ116、コンデンサレンズ110とイメージサンサ116との間に配置され、予定結像面近傍に結像された1次像をイメージセンサー116上に再結像する一対の再結像レンズ114、115、一対の再結像レンズの近傍(図38では前面)に配置された一対の絞り開口112、113を有する絞りマスク11を有する。
【0125】
イメージセンサー116は、複数の光電変換部が直線に沿って密に配置されたラインサンサであり、光電変換部の配置方向は一対の測距瞳の分割方向(=絞り開口の並び方向)と一致させる。このイメージセンサー116からは、イメージセンサー116上に再結像された一対の像の強度分布に対応した情報が出力され、この情報に対して後述する像ズレ検出演算処理(相関処理、位相差検出処理)を施すことによって、いわゆる瞳分割型位相差検出方式(再結像方式)で一対の像の像ズレ量が検出される。さらに、像ズレ量に所定の変換係数を乗ずることによって、予定結像面に対する現在の結像面の偏差(デフォーカス量)が算出される。
【0126】
イメージセンサー116は再結像レンズ114、115により予定結像面上に投影されており、デフォーカス量(像ズレ量)の検出精度は、像ズレ量の検出ピッチ(再結像方式の場合は予定結像面上に投影された光電変換部の配列ピッチ)により決まる。
【0127】
コンデンサレンズ110は、絞りマスク111の絞り開口112、113を射出瞳190上に領域192、193として投影している。領域192,193は測距瞳である。すなわち、イメージセンサー116上に再結像される一対の像は射出瞳190上の一対の測距瞳192,193を通過する光束によって形成される。射出瞳190上の一対の測距瞳192,193を通過する光束132、133を焦点検出用光束と呼ぶ。
【0128】
このような再結像方式による瞳分割型位相差検出方式においても、測距瞳の口径蝕によってイメージセンサー上に形成される一対の像のバランス崩れが生ずるので、イメージセンサーの出力信号を処理する際に本発明を適用することができる。
【0129】
なお、撮像装置としては、上述したようなカメラボディに交換レンズが装着される構成のデジタルスチルカメラやフィルムスチルカメラに限定されない。例えばレンズ一体型のデジタルスチルカメラ、フィルムスチルカメラ、あるいはビデオカメラにも本発明を適用することができる。さらには、携帯電話などに内蔵される小型カメラモジュール、監視カメラやロボット用の視覚認識装置、車載カメラなどにも適用できる。
【0130】
上述した一実施の形態では、撮像画素の配列中に焦点検出画素を配列し、焦点検出画素で得られる信号に基づいて結像光学系の瞳の異なる領域を通る一対の光束に対応する一対の信号列を求め、上記相関演算により瞳分割型位相差検出方式の焦点検出を行う例を示したが、撮像画素の出力に基づいて周知のコントラスト方式の焦点検出を行うとともに、焦点検出画素の出力に基づいて瞳分割型位相差検出方式の焦点検出を行う、ハイブリッド方式の焦点検出装置としてもよい。
【0131】
また、本発明は、カメラ以外の焦点検出装置や測距装置、さらにはステレオ測距装置にも適用できる。さらに、時間が異なるイメージセンサーの信号間の相関を検出して被写体像の動きやカメラのブレを検出する装置にも適用できる。さらにまた、イメージセンサーの画像信号と特定の画像信号のパターンマッチングにも適用できる。
【0132】
さらに、本発明は、画像信号データの相関を検出するものに限定されず、音に関するデータの相関やその他一般に2つの信号の相関を検出するものにも適用することができる。
【符号の説明】
【0133】
10;マイクロレンズ、11、13、14;光電変換部、202;交換レンズ、212、212A;撮像素子、214;ボディ駆動制御装置、310;撮像画素、311、313、314;焦点検出画素
【技術分野】
【0001】
本発明は相関演算方法、相関演算装置、焦点検出装置および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
相対的に歪みが生じた一対の像に対応した一対のデータ列間の相対的な変位量(像ズレ量、シフト量)を算出する焦点検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、一対のデータ列に対して、一対のデータ列間のデータどうしの乗算を含む相関演算式を用いてシフト量kを変えながら相関量を算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−333720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の焦点検出装置における相関量を算出する相関演算式は、像データの状態(ケラレの程度、ノイズの程度等)によっては演算特性が不適切となり、画一的に適用すると像ズレ検出精度が低下するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1) 請求項1の発明は、複数の第1データが一次元上に配列された第1データ列と、複数の第2データが一次元上に配列された第1データ列とは異なる第2データ列とを、一次元上で変位量を変えながら相対的に変位させ、複数の相関演算式により第1データ列と第2データ列の間の相関量を演算する相関演算方法である。
(2) 請求項2の発明は、請求項1に記載の相関演算方法において、複数の相関演算式の内の少なくとも1つは、第1データ列の中の1つのデータと第2データ列の中の1つのデータとの乗算を含む相関演算式である。
(3) 請求項3の発明は、請求項2に記載の相関演算方法において、乗算を含む相関演算式が複数あり、それらの複数の乗算を含む相関演算式は、第1データ列の中の1つのデータと第2データ列の中の1つのデータとの乗算と、第1データ列中の他の1つのデータと第2データ列の中の他の1つのデータとの乗算とを含む部分相関演算式を含み、第1データ列の中の1つのデータと第1データ列の中の他の1つのデータとの間隔、および第2データ列の中の1つのデータと第2データ列の中の他の1つのデータとの間隔がともに所定間隔である。
(4) 請求項4の発明は、請求項3に記載の相関演算方法において、複数の乗算を含む相関演算式は、所定間隔が相異なる2種類の部分相関演算式を含む。
(5) 請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の相関演算方法において、複数の相関演算式により求めた複数の相関量を加算した相関量を求める。
(6) 請求項6の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の相関演算方法において、複数の相関演算式により求めた複数の相関量のそれぞれに対し信頼性を判定し、信頼性が高いと判定された相関量を抽出する。
(7) 請求項7の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の相関演算方法において、第1データ列と第2データ列に対して複数の相関演算式を予め定めた順序で適用し、相関量の演算を行うとともに該相関量の信頼性を判定し、信頼性が高いと判定された相関量を抽出したとき、複数の相関演算式による相関量の演算を終了する。
(8) 請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の相関演算方法において、複数の相関演算式は、第1データ列と第2データ列の間の歪みに対する特性がそれぞれ異なる演算式である。
(9) 請求項9の発明は、請求項8に記載の相関演算方法において、歪みが大きいとき、信頼性が高いと判定された相関量として、第1データと第2データとの乗算を含む相関演算式により演算された第1データ列と第2データ列の間の相関量を抽出する。
(10) 請求項10の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の相関演算方法において、複数の相関演算式は、第1データ列と第2データ列に加わるノイズに対する特性がそれぞれ異なる演算式である。
(11) 請求項11の発明は、請求項10に記載の相関演算方法において、ノイズが大きいとき、信頼性が高いと判定された相関量として、第1データと第2データとの乗算を含む相関演算式により演算された第1データ列と第2データ列の間の相関量を抽出する。
(12) 請求項12の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の相関演算方法において、複数の相関演算式は、第1データ列と第2データ列の空間周波数に対する特性がそれぞれ異なる演算式である。
(13) 請求項13の発明は、請求項1〜12のいずれか一項に記載の相関演算方法により、相関量の極値が得られる変位量を演算する演算手段を備える相関演算装置である。
(14) 請求項14の発明は、光学系を通って一対の像を形成する一対の光束を受光し、一対の像に応じた第1データ列と第2データ列とを出力する受光手段と、第1データ列と第2データ列の間の相関量の極値が得られる変位量を求める請求項13に記載の相関演算装置と、変位量に基づいて光学系の焦点調節状態を検出する焦点検出手段とを備える焦点検出装置である。
(15) 請求項15の発明は、請求項14に記載の焦点検出装置において、受光手段は、マイクロレンズと該マイクロレンズを介して光学系からの光束を受光する光電変換部とを有する焦点検出画素が複数個配列されており、複数の焦点検出画素の出力に基づいて第1データ列と第2データ列を生成する。
(16) 請求項16の発明は、請求項15に記載の焦点検出装置と、撮像素子とを備える撮像装置である。
(17) 請求項17の発明は、請求項16に記載の撮像装置において、撮像素子は、同一基板上に配列される、光学系により結像される像を撮像する撮像画素と焦点検出画素とを有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、種々の状況における一対のデータ列に対して、該一対のデータ列の相関量を正確に演算することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】一実施の形態のカメラの構成を示すカメラの横断面図
【図2】交換レンズの撮影画面上における焦点検出位置を示す図
【図3】撮像素子の詳細な構成を示す正面図
【図4】撮像画素の構成を示す正面図
【図5】焦点検出画素の構成を示す正面図
【図6】撮像画素の分光特性を示す図
【図7】焦点検出画素の分光特性を示す図
【図8】撮像画素の断面図
【図9】焦点検出画素の断面図
【図10】マイクロレンズを用いた瞳分割型位相差検出方式の焦点検出光学系の構成を示す図
【図11】一実施の形態のデジタルスチルカメラ(撮像装置)の撮像動作を示すフローチャート
【図12】一実施の形態の焦点検出演算処理を示すフローチャート
【図13】焦点検出光束のケラレ(口径蝕)を説明するための図
【図14】予定焦点面から光軸の方向に測距瞳面を見た場合の図
【図15】図13および図14の状態において位置x0(像高0)の近傍の焦点検出画素列が受光する一対の像と、位置x1(像高h)の近傍の焦点検出画素列が受光する一対の像の強度分布(縦軸は光量、横軸は撮影画面上の位置)を示した図
【図16】一対の像データのグラフ
【図17】図16(a)に示す一対の像データを相対的にデータピッチ−1だけシフトした像ズレ状態において、相関量C1(k)、C2(k)、C(k)を計算した場合のグラフ
【図18】図16(b)に示す一対の像データを相対的にデータピッチ−1だけシフトした像ズレ状態において、相関量C1(k)、C2(k)、C(k)を計算した場合のグラフ
【図19】図16(c)に示す一対の像データを相対的にデータピッチ−1だけシフトした像ズレ状態において、相関量C1(k)、C2(k)、C(k)を計算した場合のグラフ
【図20】図16に示す一対の像データを相対的にデータピッチの−1から+1までシフトした像ズレ状態において、相関量C1(k)、C2(k)、C(k)を計算した場合に、相関量の極値から像ズレ検出を行った計算結果(図中に■印でC1(k)を、□印でC2(k)を、×印でC(k)をそれぞれ表す)のグラフ
【図21】焦点検出結果の評価方法を説明するための図
【図22】相関演算式A、B、Cの特性を比較した図
【図23】一対の像データを示す図
【図24】図23の一対の像データを相対的にデータピッチ−1からデータピッチ+1までずらした像データに対し、相関演算式A、B、Cを適用して像ズレ検出を行った場合の計算結果を示す図
【図25】図24に示す実際の像ズレ量と計算結果の像ズレ量との誤差を示す図
【図26】図23の一対の像データを相対的にデータピッチ−1だけずらした像データに対し、相関演算式Aを適用した場合の相関量C(k)のグラフ
【図27】図23の一対の像データを相対的にデータピッチ−1だけずらした像データに対し、相関演算式Bを適用した場合の相関量C(k)のグラフ
【図28】図23の一対の像データを相対的にデータピッチ−1だけずらした像データに対し、相関演算式Cを適用した場合の相関量C(k)のグラフ
【図29】相関演算式B、Cにおけるspnとデータの周波数成分との関連性を比較した図
【図30】一対の像データを示す図
【図31】図30に示す一対の像データを相対的にデータピッチの−1から+1までずらした像データに対し、相関演算式B(spn=1、10)を適用して像ズレ検出を行った場合の計算結果を示す図
【図32】焦点検出演算処理を示すフローチャート
【図33】焦点検出演算処理を示すフローチャート
【図34】焦点検出演算処理を示すフローチャート
【図35】変形例の撮像素子を示す図
【図36】図35に示す変形例の撮像素子で用いる焦点検出画素の正面図
【図37】図35に示す撮像素子の焦点検出画素による瞳分割方式の焦点検出動作を説明するための図
【図38】再結像瞳分割方式の焦点検出動作を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0008】
一実施の形態の焦点検出装置を搭載した撮像装置として、レンズ交換式デジタルスチルカメラを例に挙げて説明する。図1は一実施の形態のカメラの構成を示すカメラの横断面図である。一実施の形態のデジタルスチルカメラ201は交換レンズ202とカメラボディ203から構成され、交換レンズ202がマウント部204を介してカメラボディ203に装着される。カメラボディ203にはマウント部204を介して種々の結像光学系を有する交換レンズ202が装着可能である。
【0009】
交換レンズ202はレンズ209、ズーミング用レンズ208、フォーカシング用レンズ210、絞り211、レンズ駆動制御装置206などを備えている。レンズ駆動制御装置206は不図示のマイクロコンピューター、メモリ、駆動制御回路などから構成され、フォーカシング用レンズ210の焦点調節と絞り211の開口径調節のための駆動制御や、ズーミング用レンズ208、フォーカシング用レンズ210および絞り211の状態検出などを行う他、後述するボディ駆動制御装置214との通信によりレンズ情報の送信とカメラ情報の受信を行う。絞り211は、光量およびボケ量調整のために光軸中心に開口径が可変な開口を形成する。
【0010】
カメラボディ203は撮像素子212、ボディ駆動制御装置214、液晶表示素子駆動回路215、液晶表示素子216、接眼レンズ217、メモリカード219などを備えている。撮像素子212には、撮像画素が二次元状に配置されるとともに、焦点検出位置に対応した部分に焦点検出画素が組み込まれている。この撮像素子212については詳細を後述する。
【0011】
ボディ駆動制御装置214はマイクロコンピューター、メモリ、駆動制御回路などから構成され、撮像素子212の駆動制御と画像信号および焦点検出信号の読み出しと、焦点検出信号に基づく焦点検出演算と交換レンズ202の焦点調節を繰り返し行うとともに、画像信号の処理と記録、カメラの動作制御などを行う。また、ボディ駆動制御装置214は電気接点213を介してレンズ駆動制御装置206と通信を行い、レンズ情報の受信とカメラ情報(デフォーカス量や絞り値など)の送信を行う。
【0012】
液晶表示素子216は電気的なビューファインダー(EVF:Electronic View Finder)として機能する。液晶表示素子駆動回路215は撮像素子212によるスルー画像を液晶表示素子216に表示し、撮影者は接眼レンズ217を介してスルー画像を観察することができる。メモリカード219は、撮像素子212により撮像された画像を記憶する画像ストレージである。
【0013】
交換レンズ202を通過した光束により、撮像素子212の受光面上に被写体像が形成される。この被写体像は撮像素子212により光電変換され、画像信号と焦点検出信号がボディ駆動制御装置214へ送られる。
【0014】
ボディ駆動制御装置214は、撮像素子212の焦点検出画素からの焦点検出信号に基づいてデフォーカス量を算出し、このデフォーカス量をレンズ駆動制御装置206へ送る。また、ボディ駆動制御装置214は、撮像素子212からの画像信号を処理して画像を生成し、メモリカード219に格納するとともに、撮像素子212からのスルー画像信号を液晶表示素子駆動回路215へ送り、スルー画像を液晶表示素子216に表示させる。さらに、ボディ駆動制御装置214は、レンズ駆動制御装置206へ絞り制御情報を送って絞り211の開口制御を行う。
【0015】
レンズ駆動制御装置206は、フォーカシング状態、ズーミング状態、絞り設定状態、絞り開放F値などに応じてレンズ情報を更新する。具体的には、ズーミング用レンズ208とフォーカシング用レンズ210の位置と絞り211の絞り値を検出し、これらのレンズ位置と絞り値に応じてレンズ情報を演算したり、あるいは予め用意されたルックアップテーブルからレンズ位置と絞り値に応じたレンズ情報を選択する。
【0016】
レンズ駆動制御装置206は、受信したデフォーカス量に基づいてレンズ駆動量を算出し、レンズ駆動量に応じてフォーカシング用レンズ210を合焦位置へ駆動する。また、レンズ駆動制御装置206は受信した絞り値に応じて絞り211を駆動する。
【0017】
図2は、交換レンズ202の撮影画面上における焦点検出位置を示す図であり、後述する撮像素子212上の焦点検出画素列が焦点検出の際に撮影画面上で像をサンプリングする領域(焦点検出エリア、焦点検出位置)の一例を示す。この例では、矩形の撮影画面100上の中央および上下の3箇所に焦点検出エリア101〜103が配置される。長方形で示す焦点検出エリアの長手方向に、焦点検出画素が直線的に配列される。
【0018】
なお、詳細を後述するが、図2に示す焦点検出エリア101〜103おいて、画面周辺の焦点検出エリア102および103は画面中心から放射方向に沿って配置されており、画面中央の焦点検出エリア101に比べて焦点検出光束がケラレやすく、焦点検出エリア102、103で検出される一対の焦点検出信号データ列に相対的な歪みが生じて同一性が崩れる。しかし、この一実施の形態の相関演算方法によれば、このような一対の信号データ列に相対的な歪みが生じて同一性が崩れている場合でも、相関関係を正確に演算することができ、正確な焦点検出結果を得ることができる。
【0019】
図3は撮像素子212の詳細な構成を示す正面図であり、撮像素子212上の焦点検出エリア101の近傍を拡大して示す。撮像素子212には撮像画素310が二次元正方格子状に稠密に配列されるとともに、焦点検出エリア101に対応する位置には焦点検出用の焦点検出画素313、314が垂直方向の直線上に隣接して交互に配列される。なお、図示を省略するが、焦点検出エリア102、103の近傍の構成も図3に示す構成と同様である。
【0020】
撮像画素310は、図4に示すようにマイクロレンズ10、光電変換部11、および色フィルター(不図示)から構成される。色フィルターは赤(R)、緑(G)、青(B)の3種類からなり、それぞれの分光感度は図6に示す特性になっている。撮像素子212には、各色フィルターを備えた撮像画素310がベイヤー配列されている。
【0021】
焦点検出画素313は、図5(a)に示すようにマイクロレンズ10と光電変換部13とから構成され、光電変換部13の形状は半円形である。また、焦点検出画素314は、図5(b)に示すようにマイクロレンズ10と光電変換部14とから構成され、光電変換部14の形状は半円形である。焦点検出画素313と焦点検出画素314とをマイクロレンズ10を重ね合わせて表示すると、光電変換部13と14が垂直方向に並んでいる。焦点検出画素313と焦点検出画素314は、焦点検出エリア101〜103において垂直方向(光電変換部13と14の並び方向)に交互に配置される。
【0022】
焦点検出画素313、314には光量をかせぐために色フィルターが設けられておらず、その分光特性は光電変換を行うフォトダイオードの分光感度と、赤外カットフィルター(不図示)の分光特性とを総合した分光特性(図7参照)となる。つまり、図6に示す緑画素、赤画素および青画素の分光特性を加算したような分光特性となり、その感度の光波長領域は緑画素、赤画素および青画素の感度の光波長領域を包括している。
【0023】
焦点検出用の焦点検出画素313、314は、撮像画素310のBとGが配置されるべき列に配置されている。焦点検出用の焦点検出画素313、314が、撮像画素310のBとGが配置されるべき列に配置されているのは、画素補間処理において補間誤差が生じた場合に、人間の視覚特性上、赤画素の補間誤差に比較して青画素の補間誤差が目立たないためである。
【0024】
撮像画素310の光電変換部11は、マイクロレンズ10によって最も明るい交換レンズの射出瞳径(例えばF1.0)を通過する光束をすべて受光するような形状に設計される。また、焦点検出画素313、314の光電変換部13、14は、マイクロレンズ10によって交換レンズの射出瞳の所定の領域(例えばF2.8)を通過する光束をすべて受光するような形状に設計される。
【0025】
図8は撮像画素310の断面図である。撮像画素310では撮像用の光電変換部11の前方にマイクロレンズ10が配置され、マイクロレンズ10により光電変換部11の形状が前方に投影される。光電変換部11は半導体回路基板29上に形成される。なお、不図示の色フィルターはマイクロレンズ10と光電変換部11の中間に配置される。
【0026】
図9(a)は焦点検出画素313の断面図である。画面中央の焦点検出エリア101に配置された焦点検出画素313において、光電変換部13の前方にマイクロレンズ10が配置され、マイクロレンズ10により光電変換部13の形状が前方に投影される。光電変換部13は半導体回路基板29上に形成されるとともに、その上にマイクロレンズ10が半導体イメージセンサーの製造工程により一体的かつ固定的に形成される。なお、画面上下の焦点検出エリア102、103に配置された焦点検出画素313の断面構造についても、図9(a)に示す断面構造と同様である。
【0027】
図9(b)は焦点検出画素314の断面図である。画面中央の焦点検出エリア101に配置された焦点検出画素314において、光電変換部14の前方にマイクロレンズ10が配置され、マイクロレンズ10により光電変換部14の形状が前方に投影される。光電変換部14は半導体回路基板29上に形成されるとともに、その上にマイクロレンズ10が半導体イメージセンサーの製造工程により一体的かつ固定的に形成される。なお、画面上下の焦点検出エリア102、103に配置された焦点検出画素314の断面構造についても、図9(b)に示す断面構造と同様である。
【0028】
図10は、マイクロレンズを用いた瞳分割型位相差検出方式の焦点検出光学系の構成を示す。なお、焦点検出画素の部分は拡大して示す。図において、90は、交換レンズ202(図1参照)の予定結像面に配置されたマイクロレンズから前方dの距離に設定された射出瞳である。この距離dは、マイクロレンズの曲率、屈折率、マイクロレンズと光電変換部との間の距離などに応じて決まる距離であって、この明細書では測距瞳距離と呼ぶ。91は交換レンズの光軸、10a〜10dはマイクロレンズ、13a、13b、14a、14bは光電変換部、313a、313b、314a、314bは焦点検出画素、73,74、83,84は焦点検出光束である。
【0029】
また、93は、マイクロレンズ10a、10cにより投影された光電変換部13a、13bの領域であり、この明細書では測距瞳と呼ぶ。図10では、説明を解りやすくするために楕円形の領域で示しているが、実際には光電変換部の形状が拡大投影された形状になる。同様に、94は、マイクロレンズ10b、10dにより投影された光電変換部14a、14bの領域であり、測距瞳である。図10では、説明を解りやすくするために楕円形の領域で示しているが、実際には光電変換部の形状が拡大投影された形状になる。
【0030】
図10では、撮影光軸に隣接する4つの焦点検出画素313a、313b、314a、314bを模式的に例示しているが、焦点検出エリア101のその他の焦点検出画素においても、また画面周辺部の焦点検出エリア102、103の焦点検出画素においても、光電変換部はそれぞれ対応した測距瞳93、94から各マイクロレンズに到来する光束を受光するように構成されている。焦点検出画素の配列方向は一対の測距瞳の並び方向、すなわち一対の光電変換部の並び方向と一致させる。
【0031】
マイクロレンズ10a〜10dは交換レンズ202(図1参照)の予定結像面近傍に配置されており、マイクロレンズ10a〜10dによりその背後に配置された光電変換部13a、13b、14a、14bの形状がマイクロレンズ10a〜10cから測距瞳距離dだけ離間した射出瞳90上に投影され、その投影形状は測距瞳93,94を形成する。すなわち、投影距離dにある射出瞳90上で各焦点検出画素の光電変換部の投影形状(測距瞳93,94)が一致するように、各焦点検出画素におけるマイクロレンズと光電変換部の相対的位置関係が定められ、それにより各焦点検出画素における光電変換部の投影方向が決定されている。
【0032】
光電変換部13aは測距瞳93を通過し、マイクロレンズ10aに向う光束73によりマイクロレンズ10a上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。同様に、光電変換部13bは測距瞳93を通過し、マイクロレンズ10cに向う光束83によりマイクロレンズ10c上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。また、光電変換部14aは測距瞳94を通過し、マイクロレンズ10bに向う光束74によりマイクロレンズ10b上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。同様に、光電変換部14bは測距瞳94を通過し、マイクロレンズ10dに向う光束84によりマイクロレンズ10d上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
【0033】
上述した2種類の焦点検出画素を直線状に多数配置し、各画素の光電変換部の出力を測距瞳93および測距瞳94に対応した出力グループにまとめることによって、測距瞳93と測距瞳94をそれぞれ通過する焦点検出用光束が画素列上に形成する一対の像の強度分布に関する情報が得られる。この情報に対して後述する像ズレ検出演算処理(相関演算処理、位相差検出処理)を施すことによって、いわゆる瞳分割型位相差検出方式で一対の像の像ズレ量が検出される。さらに、像ズレ量に一対の測距瞳の重心間隔に応じた変換演算を行うことによって、予定結像面(マイクロレンズアレイの位置)に対する現在の結像面(撮影画面100上で定められる焦点検出位置における実際の結像面)の偏差(デフォーカス量)が算出される。
【0034】
図11は、一実施の形態のデジタルスチルカメラ(撮像装置)の撮像動作を示すフローチャートである。各処理ステップは、ボディ駆動制御装置214が実行する。ボディ駆動制御装置214は、ステップS100でカメラの電源がオンされると、ステップS110以降の撮像動作を開始する。ステップS110において撮像画素のデータを間引き読み出しし、電子ビューファインダーに表示させる。続くステップS120では焦点検出画素列から一対の像に対応した一対の像データを読み出す。なお、焦点検出エリアは、撮影者が焦点検出エリア選択部材(不図示)を用いて焦点検出エリア101〜103の内のいずれかを予め選択しているものとする。
【0035】
ステップS130では読み出された一対の像データに基づいて後述する像ズレ検出演算処理(相関演算処理)を行い、像ズレ量を演算してデフォーカス量に変換する。ステップS140で合焦近傍か否か、すなわち算出されたデフォーカス量の絶対値が所定値以内であるか否かを調べる。合焦近傍でないと判定された場合はステップS150へ進み、デフォーカス量をレンズ駆動制御装置206へ送信し、交換レンズ202のフォーカシングレンズ210を合焦位置に駆動させる。その後、ステップS110へ戻って上述した動作を繰り返す。
【0036】
なお、焦点検出不能な場合もこのステップに分岐し、レンズ駆動制御装置206へスキャン駆動命令を送信し、交換レンズ202のフォーカシングレンズ210を無限から至近までの間でスキャン駆動させる。その後、ステップS110へ戻って上述した動作を繰り返す。
【0037】
ステップS140で合焦近傍であると判定された場合はステップS160へ進み、シャッターボタン(不図示)の操作によりシャッターレリーズがなされたか否かを判別する。シャッターレリーズがなされていないと判定された場合はステップS110へ戻り、上述した動作を繰り返す。一方、シャッターレリーズがなされたと判定された場合はステップS170へ進み、レンズ駆動制御装置206へ絞り調整命令を送信し、交換レンズ202の絞り値を制御F値(撮影者または自動により設定されたF値)にする。絞り制御が終了した時点で、撮像素子212に撮像動作を行わせ、撮像素子212の撮像画素310および全ての焦点検出画素313,314から画像データを読み出す。
【0038】
ステップS180において、焦点検出画素列の各画素位置の画素データを焦点検出画素の周囲の撮像画素のデータに基づいて画素補間する。続くステップS190では、撮像画素のデータおよび補間されたデータからなる画像データをメモリカード219に記憶し、ステップS110へ戻って上述した動作を繰り返す。
【0039】
図12は、図11のステップS130における焦点検出演算処理の詳細を示すフローチャートである。各処理ステップは、ボディ駆動制御装置214が実行する。ボディ駆動制御装置214は、ステップS200からこの焦点検出演算処理(相関演算処理)を開始する。
【0040】
ステップS210において、 焦点検出画素列から出力される一対のデータ列(α1〜αM、β1〜βM:Mはデータ数)に対して(1)式に示すような高周波カットフィルター処理を施し、第1データ列(A1〜AN)と第2データ列(B1〜BN)を生成する。これにより、データ列から相関処理に悪影響を及ぼす高周波ノイズ成分、およびその他の高周波成分を除去することができる。なお、演算時間の短縮を図る場合や、すでに大きくデフォーカスしていて高周波成分が少ないことがわかっている場合などには、ステップS210の処理を省略することもできる。
An=αn+2・αn+1+αn+2,
Bn=βn+2・βn+1+βn+2 ・・・(1)
(1)式において、n=1〜N−2である。
【0041】
データ列An、Bnは、理想的には同一データ列を相対的にシフトしたものとなるはずであるが、上述した瞳分割型位相差検出方式の焦点検出画素で得られる一対のデータ列では、焦点検出光束のケラレ(口径蝕)により、同一性が崩れる可能性がある。
【0042】
図13は、焦点検出光束のケラレ(口径蝕)を説明するための図である。図13において、位置x0(像高0)と位置x1(像高h)にある一対の焦点検出画素は、それぞれ予定焦点面92の前方dにある測距瞳面90において測距瞳領域93、94を通過する一対の焦点検出光束53,54および63、64を受光するように構成されている。予定焦点面92の前方d1(<d)の面95に光学系の絞り開口96がある場合には、位置x0(像高0)にある一対の焦点検出画素が受光する一対の焦点検出光束53,54は、絞り開口96により光軸91に対して対称に口径蝕が発生するため、一対の焦点検出画素が受光する光量のバランスは崩れない。
【0043】
これに対し、位置x1(像高h)にある一対の焦点検出画素が受光する一対の焦点検出光束63,64は、絞り開口96によって非対称に口径蝕が発生するために、一対の焦点検出画素が受光する光量のバランスは崩れてしまう。
【0044】
図14は、予定焦点面92から光軸91の方向に測距瞳面90を見た場合の図である。焦点検出光束64は絞り開口96により大きく口径蝕が発生しているのに対し、焦点検出光束63は絞り開口96による口径蝕の発生が少ないことがわかる。
【0045】
図15(a)、(b)は、図13および図14の状態において位置x0(像高0)の近傍の焦点検出画素列が受光する一対の像と、位置x1(像高h)の近傍の焦点検出画素列が受光する一対の像の強度分布(縦軸は光量、横軸は撮影画面上の位置)を示したものである。焦点検出光束の口径蝕のバランスがとれている場合には、図15(a)に示すように、一対の像信号400,401は同一の像信号関数が単に横方向にシフトしたものとなっている。これに対し、焦点検出光束の口径蝕のバランスが崩れている(すなわち、一対の像信号データ列の間の歪みが生じている)場合には、図15(b)に示すように、一対の像信号402,403は同一の信号を相対的にシフトしたものにはならない。
【0046】
焦点検出光束に口径蝕(ケラレ)が発生した場合における一対の像信号データ列F(x)、G(x)の関係を大別すると以下のように二つに分けられる。まず、ケラレの程度が小さい場合は、次式のように一対の像信号は所定倍した比の関係になる。
F(x)=b0・G(x) ・・・(2)
(2)式においてb0は定数である。この一実施の形態では、一対のデータ列F(x)、G(x)が(2)式の関係を有する場合には一対のデータ列に“0次ケラレ”が発生しているという。一方、ケラレの程度が大きい場合には、次式のように一対の像信号は位置xに関する1次関数の関係になる。
F(x)=(b1+a1・x)・G(x) ・・・(3)
(3)式においてa1、b1(>b0)は定数である。
【0047】
この一実施の形態では、一対のデータ列F(x)、G(x)が(3)式の関係を有する場合には一対のデータ列に“1次ケラレ”が発生しているという。1次ケラレが発生した状態において、像ズレ検出が可能な部分相関演算式として次式を採用する。spnは、一対の注目データを中心として近傍のデータ列を含む範囲の大きさに関する演算パラメータであり、その範囲のデータ列がその相関演算処理に用いられる。
E(k)=Ai・Bi+spn+k−Bi+k・Ai+spn ・・・(4)
【0048】
図12に戻って説明を続ける。ボディ駆動制御装置214は、ステップS220において第1データ列A1〜Anと第2データ列B1〜Bnを相対的にずらす(シフト量k)とともに、第1データ列および第2データ列に対し複数の部分相関演算式((4)式においてspn=1および10とした場合のE1(k)、E2(k))を施し、その演算結果の絶対値を加算した上、その加算値をデータの所定区間に亘って積算する。
【0049】
すなわち、複数の相関演算式の演算結果を部分的な相関量E1(k)、E2(k)とすれば、シフト量kにおける一対のデータ列間の総合的な相関量C(k)は(7)式で与えられる。
E1(k)=Ai・Bi+1+k−Bi+k・Ai+1 ・・・(5),
E2(k)=Ai・Bi+10+k−Bi+k・Ai+10 ・・・(6),
C(k)=Σ(|E1(k)|+|E2(k)|) ・・・(7)
なお、シフト量kは整数であり、一対のデータの検出ピッチを単位とした相対的なシフト量である。また、(7)式の積算演算(Σ)はデータ列の所定区間に亘って行われる。
【0050】
ここで、(7)式のように演算パラメータspnを異ならせた2つの部分相関演算式の演算結果のそれぞれの絶対値をとって加算し、その加算値を積算することによって総合的な相関量C(k)を求めることの利点について、E1(k)およびE2(k)の絶対値を単独で加算した場合の総合的な相関量C1(k)、C2(k)と比較して説明する。
C1(k)=Σ(|E1(k)|) ・・・(8),
C2(k)=Σ(|E2(k)|) ・・・(9)
【0051】
図16〜図20は相関量C(k)、C1(k)、C2(k)の特性を説明するためのシミュレー
ションデータである。図16は、一対の像データ(図中に■印と□印で表す)のグラフであり、横軸がデータ位置を、縦軸がデータ値をそれぞれ表す。ただし、図16では、一対の像データが重なって解りにくくなるのを避けるために、一対の像データの内の一方を他方に対して1データ位置分だけずらして表している。図16(a)は一対の像データ(sin波形:高周波)間に1次ケラレが発生した場合を示し、図16(b)は一対の像データ(sin波形:中周波)間に1次ケラレが発生した場合を示し、図16(c)は一対の像データ(sin波形:低周波)間に1次ケラレが発生した場合を示す。なお、図16(b)の像データの周期はデータピッチの10倍であり、C2(k)の演算パラメータspn=10と一致している。
【0052】
図17〜図19は、図16に示す一対の像データを相対的にデータピッチ−1だけシフトした像ズレ状態において、相関量C1(k)、C2(k)、C(k)を計算した場合のグラフであり、横軸がシフト量k(単位:データピッチ)を、縦軸が相関量C1(k)、C2(k)、C(k)の値をそれぞれ表す。
【0053】
図17(a)、図17(b)、図17(c)は、図16(a)に示す像データ(高周波)に対応した相関量C1(k)、C2(k)、C(k)のグラフである。また、図18(a)、図18(b)、図18(c)は、図16(b)に示す像データ(中周波)に対応した相関量C1(k)、C2(k)、C(k)のグラフである。さらに、図19(a)、図19(b)、図19(c)は、図16(c)に示す像データ(低周波)に対応した相関量C1(k)、C2(k)、C(k)のグラフである。
【0054】
図20(a)、(c)、(e)は、図16に示す一対の像データを相対的にデータピッチの−1から+1までシフトした像ズレ状態において、相関量C1(k)、C2(k)、C(k)を計算した場合に、後述する3点内挿の手法を用いて該相関量の極値から像ズレ検出を行った計算結果(図中に■印でC1(k)を、□印でC2(k)を、×印でC(k)をそれぞれ表す)のグラフである。なお、これらの図の横軸が実際の像ズレ量(単位:データピッチ)を、縦軸が計算結果の像ズレ量をそれぞれ表す。
【0055】
また、図20(b)、(d)、(f)は、図20(a)、(c)、(e)に示す実際の像ズレ量と計算結果の像ズレ量との誤差(図中に■印でC1(k)を、□印でC2(k)を、×印でC(k)をそれぞれ表す)のグラフである。なお、これらの図の横軸が実際の像ズレ量(単位:データピッチ)を、縦軸が誤差量(単位:データピッチ)をそれぞれ表す。
【0056】
図20(a)、(b)は、図16(a)に示す一対の像データ(高周波)に対応した像ズレ量と誤差のグラフである。また、図20(c)、(d)は、図16(b)に示す像データ(中周波)に対応した像ズレ量と誤差のグラフである。さらに、図20(e)、(f)は、図16(c)に示す像データ(低周波)に対応した像ズレ量と誤差のグラフである。
【0057】
図16〜図20を用いて、改めて相関量C1(k)、C2(k)、C(k)の特性を説明する。図16(a)に示す1次ケラレが生じた高周波成分からなる一対の像データに対して、図17(a)に示す相関量C1(k)のグラフは真の像ズレ量で鋭い落ち込みの極小値を示し、図20(a)、(b)に■印で示すように像ズレ量の計算結果の誤差は少ない。しかし、図17(b)に示すように相関量C2(k)のグラフは極小値が浮いてしまい、図20(a)、(b)に□印で示すように像ズレ量の計算結果の誤差が大きい。また、図17(c)に示すように相関量C(k)のグラフは極小値の浮きは少なく、図20(a)、(b)に×印で示すように像ズレ量の計算結果の誤差も大きくはない。
【0058】
また、図16(b)に示す1次ケラレが生じた中周波成分からなる一対の像データに対して、図18(a)に示す相関量C1(k)のグラフは真の像ズレ量で鋭い落ち込みの極小値を示し、図20(c)、(d)に■印で示す像ズレ量の計算結果の誤差は少ない。しかし、図18(b)に示す相関量C2(k)のグラフは極小値の位置が極大値の位置と入れ替わってしまい、図20(c)、(d)に□印で示す像ズレ量の計算結果はグラフから完全に外れてしまう。また、図18(c)に示す相関量C(k)のグラフは極小値の浮きは少なく、図20(c)、(d)に×印で示す像ズレ量の計算結果の誤差も少ない(図20(c)、(d)ではC1(k)の結果とほぼ重なっている)。データの周期と相関演算の演算パラメータspnが一致した場合には、上記のように誤差が非常に大きくなり、像ズレ検出結果は当てにならない。
【0059】
さらに、図16(c)に示す1次ケラレが生じた低周波成分からなる一対の像データに対して、図19(a)に示す相関量C1(k)のグラフは鋭い落ち込みの極小値を示すが、図20(e)、(f)に■印で示す像ズレ量の計算結果の誤差は大きい。しかし、図19(b)に示す相関量C2(k)のグラフは真の像ズレ量で鋭い落ち込みの極小値を示し、図20(e)、(f)に□印で示す像ズレ量の計算結果の誤差は少ない。また、図19(c)に示す相関量C(k)のグラフも真の像ズレ量で鋭い落ち込みの極小値を示し、図20(e)、(f)に×印で示す像ズレ量の計算結果の誤差は少ない。
【0060】
以上説明したように、演算パラメータspn=1の相関量C1(k)は、高周波のデータに対しては高精度な像ズレ検出が期待できるが、低周波のデータに対しては像ズレ検出精度が低下する。一方、演算パラメータspn=10の相関量C2(k)は、低周波のデータに対しては高精度な像ズレ検出が期待できるが、高周波のデータに対しては像ズレ検出精度が低下するとともに、データの周期が演算パラメータspn(=10)と一致する場合には像ズレ検出結果の信頼性がなくなる。
【0061】
それに対し(9)式のように演算パラメータspn=1と10の部分相関量をそれぞれ絶対値をとって加算し、加算した値を積算した相関量であるC(k)は、高周波のデータおよび低周波のデータのいずれに対しても、所定レベル以上の精度で像ズレ検出が可能である。したがって、(9)式で示す相関量C(k)を常時使用すれば、データの空間周波数成分によらず安定した像ズレ検出が可能になるとともに、データの空間周波数成分を検出し、検出した空間周波数成分に応じて演算パラメータspnの値を変更するというような手間を省くことができる。
【0062】
再び図12に戻って説明を続ける。ステップS230において、(7)式に示す相関演算式で求めた相関量C(k)のグラフは、図21(a)に示すように、一対のデータの相関が高いシフト量(図21(a)ではk=kj=2)において相関量C(k)が最小(小さいほど相関度が高い)になる。(10)式〜(13)式による3点内挿の手法を用いて、連続的な相関量に対する最小値C(x)を与えるシフト量xを求める。
x=kj+D/SLOP ・・・(10),
C(x)= C(kj)−|D| ・・・(11),
D={C(kj−1)−C(kj+1)}/2 ・・・(12),
SLOP=MAX{C(kj+1)−C(kj),C(kj−1)−C(kj)} ・・・(13)
【0063】
ステップS240では、(10)式で求めたシフト量xを用いて被写体像面の予定結像面に対するデフォーカス量DEFを次式により求めることができる。
DEF=KX・PY・x ・・・(14)
(14)式において、PYは検出ピッチであり、KXは一対の測距瞳の重心の開き角の大きさによって決まる変換係数である。
【0064】
算出されたデフォーカス量DEFの信頼性があるかどうかは、以下のようにして判定される。図21(b)に示すように、一対のデータの相関度が低い場合は、内挿された相関量の最小値C(x)の値が大きくなる。したがって、C(x)が所定値以上の場合は信頼性が低いと判定する。あるいは、C(x)をデータのコントラストで規格化するために、コントラストに比例した値となるSLOPでC(x)を除した値が所定値以上の場合は信頼性が低いと判定する。あるいはまた、コントラストに比例した値となるSLOPが所定値以下の場合は、被写体が低コントラストであり、算出されたデフォーカス量DEFの信頼性が低いと判定する。図21(c)に示すように、一対のデータの相関度が低く、シフト範囲kmin〜kmaxの間で相関量C(k)の落ち込みがない場合は、最小値C(x)を求めることができず、このような場合は焦点検出不能と判定する。焦点検出が可能であった場合には算出された像ズレ量に所定の変換係数を乗じてデフォーカス量を算出する。
【0065】
ステップS250で、焦点検出演算処理(相関演算処理)を終了して図11のステップS140へリターンする。
【0066】
《発明の他の実施の形態》
以上説明した一実施の形態では、(7)式に示すように、同じ形式の相関演算式において異なる演算パラメータspnによって求めた部分相関量のそれぞれの絶対値をとって加算し、加算した値を積算した相関量C(k)を用いて像ズレ検出を行っているが、演算パラメータspnは1と10以外の組合せでもよいし、3個以上の演算パラメータspnの組合せでも構わない。また、相関演算式は(7)式に示す式に限定されず、例えば(17)式に示すような相関演算式の演算パラメータspnを異ならせたものを採用することもできる。
【0067】
次に、異なる形式の複数の相関演算式を利用して像ズレ検出を行う実施の形態を説明する。相関演算式の代表例として、(15)式右辺の絶対値で囲まれた演算式を相関演算式Aとし、(16)式右辺の絶対値で囲まれた演算式を相関演算式Bとし、そして、(17)式右辺の絶対値で囲まれた演算式を相関演算式Cとして、それらの特性について説明する。
C(k)=Σ|Ai−Bi+k| ・・・(15),
C(k)=Σ|Ai・Bi+spn+k−Bi+k・Ai+spn| ・・・(16),
C(k)=Σ|Ai2・Bi−spn+k・Bi+spn+k−Bi+k2・Ai−spn・Ai+spn| ・・・(17)
(15)式〜(17)式において、積算演算(Σ)はサフィックスiをデータ列の所定区間に亘って順次移動させて行われる。
【0068】
図22は上述した相関演算式A、B、Cの特性を比較した表である。ケラレがない場合(一対の像が口径蝕による歪みを受けていない場合)には、どの演算式でも高精度な像ズレ検出が可能であるが、相関演算式Aは演算中にデータ間の乗算を含まないので、演算処理時間が短縮できるというメリットがあるとともに、耐ノイズ性(データにノイズが加わった場合でも、像ズレ検出結果が影響を受けにくい特性)も相関演算式B、Cよりも高い。
【0069】
0次ケラレが生じている場合には、相関演算式B、Cは高精度な像ズレ検出が可能であるが、演算式Aは像ズレ検出精度が低下する。耐ノイズ性においては、演算式Bのほうが演算式Cよりも高い。1次ケラレが生じている場合には、相関演算式Cは高精度な像ズレ検出が可能であるが、演算式A、Bは像ズレ検出精度が低下する。
【0070】
図23〜図28は、上述した相関演算式A、B、Cの特性を表すシミュレーションデータである。図23は一対の像データ(図中に■印と□印で表す)のグラフであって、横軸がデータ位置を、縦軸がデータ値をそれぞれ表す。ただし、図23では、一対の像データが重なって解りにくくなるのを避けるために、一対の像データの内の一方を他方に対して1データ位置分だけずらして表している。
【0071】
図23(a)は、一対の像データ(sin波形)間にケラレがない場合(像ズラシにより像が完全に一致する場合)のグラフである。また、図23(b)は、図23(a)の一対の像データ(sin波形)にランダムノイズが加わった場合のグラフである。さらに、図23(c)は、一対の像データ(sin波形)間に0次ケラレが発生し、さらにランダムノイズが加わった場合のグラフである。そして、図23(d)は、一対の像データ(sin波形)間に1次ケラレが発生し、さらにランダムノイズが加わった場合のグラフである。
【0072】
図24は、図23に示す一対の像データを相対的にデータピッチの−1から+1までシフトした像ズレ状態において、相関演算式A、B、Cを適用して像ズレ検出を行った場合の計算結果(図中の■印が相関演算式Aの結果を、□印が相関演算式Bの結果を、×印が相関演算式Cの結果を表す)のグラフであり、横軸が実際の像ズレ量(単位:データピッチ)を、縦軸が計算結果の像ズレ量をそれぞれ表す。図24(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ図23(a)、(b)、(c)、(d)の像データに対応した像ズレ量の演算結果である。
【0073】
図25は、図24に示す実際の像ズレ量と計算結果の像ズレ量との誤差(図中の■印が相関演算式Aの誤差を、□印が相関演算式Bの誤差を、×印が相関演算式Cの誤差をそれぞれ表す)のグラフであり、横軸が実際の像ズレ量(単位:データピッチ)を、縦軸が誤差量(単位:データピッチ)をそれぞれ表す。図25(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ図24(a)、(b)、(c)、(d)の計算結果に対応した誤差量である。
【0074】
図26は、図23に示す一対の像データを相対的にデータピッチ−1だけシフトした像ズレ状態において、相関演算式Aを適用した場合の相関量C(k)のグラフであり、横軸が
シフト量k(単位:データピッチ)を、縦軸が相関量C(k)の値をそれぞれ表す。図26(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ図23(a)、(b)、(c)、(d)の像データに対応した相関量C(k)のグラフである。
【0075】
図27は、図23に示す一対の像データを相対的にデータピッチ−1だけシフトした像ズレ状態において、相関演算式Bを適用した場合の相関量C(k)のグラフであり、横軸がシフト量k(単位:データピッチ)を、縦軸が相関量C(k)の値をそれぞれ表す。図27(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ図23(a)、(b)、(c)、(d)の像データに対応した相関量C(k)のグラフである。
【0076】
図28は、図23に示す一対の像データを相対的にデータピッチ−1だけシフトした像ズレ状態において、相関演算式Cを適用した場合の相関量C(k)のグラフであり、横軸がシフト量k(単位:データピッチ)を、縦軸が相関量C(k)の値をそれぞれ表す。図28(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ図23(a)、(b)、(c)、(d)の像データに対応した相関量C(k)のグラフである。
【0077】
図23〜図28を参照して改めて相関演算式A、B、Cの特性を説明する。図23(a)に示すケラレのない一対の像データに対しては、相関演算式A、B、Cはともに、図26(a)、図27(a)、図28(a)に示す相関グラフが真の像ズレ量で鋭い落ち込みの極小値を示しており、図24(a)、図25(a)に示すように像ズレ量の計算結果の誤差は少ない。
【0078】
図23(b)に示すケラレのない一対の像データにノイズが加わった像データに対しては、相関演算式A、B、Cはともに、図26(b)、図27(b)、図28(b)に示すように相関グラフが真の像ズレ量で鋭い落ち込みの極小値を示しており、図24(b)、図25(b)に示すように相関演算式A、Bの像ズレ量の計算結果の誤差は少ないが、相関演算式Cの像ズレ量の計算結果の誤差が若干増加する。
【0079】
図23(c)に示す0次ケラレの生じた一対の像データにノイズが加わった像データに対しては、相関演算式B、Cはともに、図27(c)、図28(c)に示すように相関グラフが真の像ズレ量で鋭い落ち込みの極小値を示しており、図24(c)、図25(c)に示すように相関演算式Bの像ズレ量の計算結果の誤差は少ないが、演算式Cの像ズレ量の計算結果の誤差が若干増加する。
【0080】
一方、図23(c)に示す0次ケラレの生じた一対の像データにノイズが加わった像データに対しては、相関演算式Aにおいて、図26(c)に示すように相関グラフが真の像ズレ量近傍での落ち込みかたが鈍くなり、図24(c)、図25(c)に示すように像ズレ量の計算結果が大きな誤差を持つ。
【0081】
図23(d)に示す1次ケラレの生じた一対の像データにノイズが加わった像データに対しては、相関演算式Cにおいて、図28(d)に示すように相関グラフが真の像ズレ量で鋭い落ち込みの極小値を示しており、図24(d)、図25(d)に示すように相関演算式Cの像ズレ量の計算結果の誤差は比較的少ない。
【0082】
図23(d)に示す1次ケラレの生じた一対の像データにノイズが加わった像データに対しては、相関演算式Bにおいて、図27(d)に示すように相関グラフが真の像ズレ量近傍で鋭い落ち込みを示すが、図24(d)、図25(d)に示すように像ズレ量の計算結果は大きな誤差(平行移動成分)を持つ。
【0083】
一方、図23(d)に示す1次ケラレの生じた一対の像データにノイズが加わった像データに対しては、相関演算式Aにおいて、図26(d)に示すように相関グラフが真の像ズレ量近傍での落ち込みかたが鈍くなり、図24(d)、図25(d)に示すように像ズレ量の計算結果は大きな誤差を持つ。
【0084】
次に、相関演算式と像データの空間周波数との相性について説明する。図29は、相関演算式B、Cにおける演算パラメータspnとデータの周波数成分との関連性を比較した表である。この表から明らかなように、一対の像データが低周波成分を多く含む場合には、相関演算式B、Cにおける演算パラメータspnは大きな値の方が高精度の像ズレ検出結果が期待できる。逆に、高周波成分を多く含む場合には、相関演算式B、Cにおける演算パラメータspnは小さな値の方が高精度の像ズレ検出結果が期待できる。
【0085】
図30、図31は、相関演算式B、Cにおける演算パラメータspnの特性を表すためのシミュレーションデータである。図30は、一対の像データ(図中に■印と□印で表す)のグラフであり、横軸がデータ位置を、縦軸がデータ値をそれぞれ表す。ただし、図30では、一対の像データが重なって解りにくくなるのを避けるために、一対の像データの内の一方を他方に対して1データ位置分だけずらして表している。図30(a)は、一対の像データ(高周波のsin波形)間に1次ケラレが発生した場合のグラフであり、図30(b)は、一対の像データ(低周波のsin波形)間に1次ケラレが発生した場合のグラフである。
【0086】
図31(a)、(b)は、図30(a)、(b)に示す一対の像データを相対的にデータピッチの−1から+1までシフトした像ズレ状態において、上述した相関演算式B(spn=1、10)を適用して像ズレ検出を行った場合の計算結果(図中の■印がspn=1の場合を、□印がspn=10の場合をそれぞれ表す)のグラフであり、横軸が実際の像ズレ量(単位:データピッチ)を、縦軸が計算結果の像ズレ量をそれぞれ表す。
【0087】
また、図31(c)は、図30(b)に示す一対の像データを相対的にデータピッチの−1から+1までシフトした像ズレ状態において、上述した相関演算式C(spn=1、10)を適用して像ズレ検出を行った場合の計算結果(図中の■印がspn=1の場合を、□印がspn=10の場合をそれぞれ表す)のグラフであり、横軸が実際の像ズレ量(単位:データピッチ)を、縦軸が計算結果の像ズレ量をそれぞれ表す。
【0088】
さらに、図31(d)は、図30(b)に示す一対の像データにノイズを加えた後に相対的にデータピッチの−1から+1までシフトした像ズレ状態において、上述した相関演算式C(spn=1、10)を適用して像ズレ検出を行った場合の計算結果(図中の■印がspn=1の場合を、□印がspn=10の場合をそれぞれ表す)のグラフであり、横軸が実際の像ズレ量(単位:データピッチ)を、縦軸が計算結果の像ズレ量をそれぞれ表す。
【0089】
図31(a)、(b)から明らかなように、相関演算式Bによれば、演算パラメータspnを像データの周波数に応じて調整(低周波の場合はspnを大きく、高周波の場合にはspnを小さく)することによって、1次ケラレによる像ズレ検出演算結果のシフト現象を軽減することができる。
【0090】
また、図31(c)、(d)から明らかなように、相関演算式Cによれば、演算パラメータspnを像データの周波数に応じて調整(低周波の場合はspnを大きく)することによって、ノイズによる像ズレ検出演算結果のバラツキ現象を軽減することができることができる。
【0091】
一般に、相関演算式B、Cのように、データどうしの乗算を含む相関演算式によれば、データどうしの間隔(=spn)を像データの周波数に応じて調整(低周波の場合はspnを大きく、高周波の場合にはspnを小さく)することによって、ケラレやノイズの影響を低減できる。
【0092】
以上に基づき、ボディ駆動制御装置214は、図32に示すフローにしたがって焦点検出演算処理を実行する。ステップS300から焦点検出演算処理が開始され、続くステップS310で(1)式により一対の焦点検出画素のデータ列にナイキスト周波数成分以上の高周波成分をカットするフィルター処理が施され、第1データ列と第2データ列が生成される。
【0093】
ステップS310において、第1データ列と第2データ列に対して複数の相関演算式(A、B:spn小、B:spn大、C:spn小、C:spn大)が適用され、それぞれの相関演算式に応じてデフォーカス量が算出される。ステップS330では、各相関演算式で得られたデフォーカス量の信頼性を図21に示した相関パラメータ(C(x)、SLOP)に応じて判断し、信頼性の高いデフォーカス量を抽出する。
【0094】
ステップS340において、抽出されたデフォーカス量を平均するとともに、抽出されたデフォーカス量に対応した相関パラメータを平均し、焦点検出演算処理を終了する。
【0095】
次に、図33は、各相関演算式(A、B:spn小、B:spn大、C:spn小、C:spn大)ごとのデフォーカス量算出処理を示すフローチャートである。各処理ステップは、ボディ駆動制御装置214が実行する。ステップS400からデフォーカス量算出処理が開始され、続くステップS410で第1データ列(A1〜An)と第2データ列(B1〜Bn)を相対的にずらす(シフト量k)とともに、第1データ列および第2データ列に対し相関演算式(A、B:spn小、B:spn大、C:spn小、C:spn大))を施し、その演算結果の絶対値をデータの所定区間に亘って積算する。
【0096】
ステップS420において、図21で説明した3点内挿の手法により相関量C(k)の最小値に基づいて像ズレ量を算出するとともに、ステップS430で像ズレ量をデフォーカス量に変換し、デフォーカス量算出処理を終了する。
【0097】
以上説明した一実施の形態では、まず複数の相関演算式に応じた複数のデフォーカス量を算出し、次にその中から信頼性のあるデフォーカス量を抽出し、抽出したデフォーカス量を平均して最終的なデフォーカス量を算出しているので、ケラレの状態、ノイズの状態、データの空間周波数成分に依らず安定して高精度な焦点検出が可能になるとともに、ケラレの状態、ノイズの状態、データの空間周波数成分を検出し、検出したケラレの状態、ノイズの状態、データの空間周波数成分に応じて複数の相関演算式の中から最適な相関演算式を選択してデフォーカス量を算出するのに比較して、ケラレの状態、ノイズの状態、データの空間周波数成分の検出処理を省くことができると同時に、ケラレの状態、ノイズの状態、データの空間周波数成分の誤検出の影響を防止することができる。
【0098】
図32、図33に示す処理では、各相関演算式ごとにデフォーカス量まで算出する例を示したが、各相関演算式ごとに像ズレ量を算出し、信頼性に応じて像ズレ量を抽出し、抽出した像ズレ量の平均を求めた後に平均像ズレ量をデフォーカス量に変換するようにしてもよい。
【0099】
図32に示す処理では、複数の相関演算式に応じた複数のデフォーカス量を算出し、次にその中から信頼性のあるデフォーカス量を抽出する例を示したが、図34に示す焦点検出演算処理のように、予め定められた順番で複数の相関演算式による像ズレ検出を行い、信頼性のあるデフォーカス量が得られた時点で像ズレ検出処理を終了するようにしてもよい。
【0100】
図34の各処理ステップは、ボディ駆動制御装置214が実行する。ステップS500で焦点検出演算処理が開始され、続くステップS510で(1)式により一対の焦点検出画素のデータ列にナイキスト周波数成分以上の高周波成分をカットするフィルター処理が施され、第1データ列と第2データ列が生成される。ステップS520では、第1データ列と第2データ列に対し相関演算式Aを適用してデフォーカス量を算出する。
【0101】
ステップS530において、算出されたデフォーカス量の信頼性があるか否かをチェックし、信頼性がある場合はステップS610へ進んで焦点検出演算処理を終了する。一方、信頼性がない場合はステップS540へ進み、第1データ列と第2データ列に対し相関演算式B(spn小)を適用してデフォーカス量を算出する。
【0102】
ステップS550において、算出されたデフォーカス量の信頼性があるか否かをチェックし、信頼性がある場合はステップS610へ進んで焦点検出演算処理を終了する。一方、信頼性がない場合はステップS560へ進み、第1データ列と第2データ列に対し相関演算式B(spn大)を適用してデフォーカス量を算出する。
【0103】
ステップS570において、算出されたデフォーカス量の信頼性があるか否かをチェックし、信頼性がある場合はステップS610へ進んで焦点検出演算処理を終了する。一方、信頼性がない場合はステップS580へ進み、第1データ列と第2データ列に対し相関演算式C(spn小)を適用してデフォーカス量を算出する。
【0104】
ステップS590において、算出されたデフォーカス量の信頼性があるか否かをチェックし、信頼性がある場合はステップS610へ進んで焦点検出演算処理を終了する。一方、信頼性がない場合はステップS600へ進み、第1データ列と第2データ列に対し相関演算式C(spn大)を適用してデフォーカス量を算出し、ステップS610で焦点検出演算処理を終了する。
【0105】
図34に示す焦点検出演算処理によれば、複数の相関演算式をケラレやノイズがなく、高周波成分を含むような一般的なデータに対して像ズレ検出精度が高い順番かつ演算規模が小さい順番(相関演算式A→Bspn小→Bspn大→Cspn小→Cspn大)に適用するので、図33に示す処理と比較して短時間で高精度な焦点検出を行うことができる。
【0106】
図34に示す焦点検出処理によれば、各相関演算式ごとにデフォーカス量まで算出する例を示したが、各相関演算式ごとに像ズレ量を算出し、算出された像ズレ量に信頼性に信頼性がある場合のみ算出された像ズレ量をデフォーカス量に変換するようにしてもよい。
【0107】
以上説明した実施形態においては、(15)式〜(17)式に示す複数の異なる相関演算式A、Bspn小、Bspn大、Cspn小、Cspn大を用いた例を示したが、相関演算式としては(15)式〜(17)式に示す相関演算式に限定されず、その他の形式で表される相関演算式を使用することもできる。
【0108】
図12に示す焦点検出演算処理では、同一形式の相関演算式において異なる演算パラメータspnで計算した部分相関量のそれぞれを絶対値をとって加算し、加算した値を所定のデータ区間に亘って積算することにより相関量C(k)を求める例を示したが、異なる形式の相関演算式(例えば(15)式、(16)式、(17)式)で計算した部分相関量のそれぞれを絶対値をとって加算し、加算した値を所定のデータ区間に亘って積算することにより相関量C(k)を求めるようにしてもよい。その場合には、各相関演算式により算出される部分相関量を、各相関演算式に応じた所定値で割ることによって規格化し、部分相関量のレベルを揃えることができる。各相関演算式に応じた所定値は、例えば標準的な一対のデータに対して各相関演算式を適用して求めた相関量C(k)の最大値を採用することができる。
【0109】
《その他の変形例》
撮像素子における焦点検出エリアの配置は図2に限定されることはなく、対角線方向や、その他の位置に水平方向および垂直方向に焦点検出エリアを配置することも可能である。
【0110】
図3に示す撮像素子212では、焦点検出画素313、314がひとつの画素内にひとつの光電変換部を備えた例を示したが、ひとつの画素内に一対の光電変換部を備えるようにしてもよい。図35は、図3に示す撮像素子212に対応した撮像素子212Aの部分拡大図であり、焦点検出画素311はひとつの画素内に一対の光電変換部を備える。図に示す焦点検出画素311は、図3に示す焦点検出画素313と焦点検出画素314のペアに相当した機能を果たす。
【0111】
焦点検出画素311は、図36に示すようにマイクロレンズ10と一対の光電変換部13,14から構成される。焦点検出画素311には光量をかせぐために色フィルターは配置されておらず、その分光特性は光電変換を行うフォトダイオードの分光感度と、赤外カットフィルター(不図示)の分光特性とを総合した分光特性(図7参照)となる。つまり、図6に示す緑画素、赤画素および青画素の分光特性を加算したような分光特性となり、その感度の光波長領域は緑画素、赤画素および青画素の感度の光波長領域を包括している。
【0112】
図37は、図35に示す撮像素子212Aの焦点検出画素による瞳分割型位相差検出方式の焦点検出動作を説明するための図である。図37において、90は、交換レンズの予定結像面に配置されたマイクロレンズの前方dの距離に設定された射出瞳である。ここで、距離dは、マイクロレンズの曲率、屈折率、マイクロレンズと光電変換部の間の距離などに応じて決まる距離であって、測距瞳距離である。91は交換レンズの光軸、50、60はマイクロレンズ、(53,54)、(63,64)は焦点検出画素の対の光電変換部、73,74、83,84は焦点検出用光束である。
【0113】
さらに、93はマイクロレンズ50、60により投影された光電変換部53,63の領域であり、測距瞳である。同様に、94はマイクロレンズ50、60により投影された光電変換部54,64の領域であり、測距瞳である。図37では、光軸91上にある焦点検出画素(マイクロレンズ50と一対の光電変換部53、54を有する)と、隣接する焦点検出画素(マイクロレンズ60と一対の光電変換部63、64を有する)を模式的に例示しているが、撮像面上の周辺に配置された焦点検出用画素においても、一対の光電変換部はそれぞれ一対の測距瞳93、94から各マイクロレンズに到来する光束を受光する。焦点検出画素の配列方向は一対の測距瞳の並び方向と一致させる。
【0114】
マイクロレンズ50、60は光学系の予定結像面近傍に配置されており、光軸91上に配置されたマイクロレンズ50によって、その背後に配置された一対の光電変換部53、54の形状がマイクロレンズ50、60から測距瞳距離dだけ離間した射出瞳90上に投影され、その投影形状は測距瞳93,94を形成する。また、マイクロレンズ50に隣接して配置されたマイクロレンズ60によって、その背後に配置された一対の光電変換部63、64の形状が測距瞳距離dだけ離間した射出瞳90上に投影され、その投影形状は測距瞳93,94を形成する。すなわち、測距瞳距離dにある射出瞳90上で各焦点検出画素の光電変換部の投影形状(測距瞳93,94)が一致するように、各画素のマイクロレンズと光電変換部の位置関係が決定されている。
【0115】
光電変換部53は、測距瞳93を通過してマイクロレンズ50へ向う焦点検出光束73によってマイクロレンズ50上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。また、光電変換部54は、測距瞳94を通過してマイクロレンズ50へ向う焦点検出光束74によってマイクロレンズ50上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。同様に、光電変換部63は、測距瞳93を通過してマイクロレンズ60へ向う焦点検出光束83によってマイクロレンズ60上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。また、光電変換部64は、測距瞳94を通過してマイクロレンズ60へ向う焦点検出光束84によってマイクロレンズ60上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
【0116】
このような焦点検出画素を直線状に多数配置し、各焦点検出画素の一対の光電変換部の出力を測距瞳93および測距瞳94に対応した出力グループにまとめることによって、測距瞳93と測距瞳94を各々通過する焦点検出光束が焦点検出画素列上に形成する一対の像の強度分布に関する情報が得られる。この情報に対して後述する像ズレ検出演算処理(相関演算処理、位相差検出処理)を施すことによって、いわゆる瞳分割位相差検出方式で一対の像の像ズレ量が検出される。さらに、像ズレ量に所定の変換処理を施すことによって、予定結像面(マイクロレンズアレイの位置)に対する現在の結像面(撮影画面100上で定められる焦点検出位置における実際の結像面)の偏差(デフォーカス量)が算出される。
【0117】
次に、図3に示す撮像素子212では撮像画素310がベイヤー配列の色フィルターを備えた例を示したが、色フィルターの構成や配列はこれに限定されることはなく、補色フィルター(緑:G、イエロー:Ye、マゼンタ:Mg,シアン:Cy)の配列を採用してもよい。また、図3に示す撮像素子212では焦点検出画素313、314に色フィルターを設けない例を示したが、撮像画素310と同色の色フィルターの内のひとつのフィルター(例えば緑フィルター)を設けるようにした場合でも、本発明を適用することができる。
【0118】
また、上述した一実施の形態の図5、図37に示す焦点検出画素311、313、314では、光電変換部の形状を半円形や矩形にした例を示したが、焦点検出画素の光電変換部の形状はこれらに限定されず、他の形状であってもよい。例えば焦点検出画素の光電変換部の形状を楕円や多角形にすることも可能である。
【0119】
さらに、図3に示す撮像素子212では、撮像画素と焦点検出画素を稠密正方格子配列に配置した例を示したが、稠密六方格子配列(ハニカム状配列)としてもよい。
【0120】
上述した一実施の形態では、マイクロレンズを用いた瞳分割型位相差検出方式による焦点検出動作を説明したが、本発明はこのような方式の焦点検出に限定されず、特開2008−15157号公報に開示された偏光素子による瞳分割型位相差検出方式の焦点検出装置にも適用可能である。
【0121】
さらに、本発明は、再結像方式による瞳分割型位相差検出方式の焦点検出にも適用可能である。図38により、再結像方式による瞳分割型位相差検出方式の焦点検出動作を説明する。図38において、191は交換レンズの光軸、110,120はコンデンサレンズ、111、121は絞りマスク、112,113、122,123は絞り開口、114、115、124,125は再結像レンズ、116、126は焦点検出用のイメージセンサー(CCD)である。
【0122】
また、132,133、142,143は焦点検出光束、190は交換レンズの予定結像面の前方d5の距離に設定された射出瞳である。ここで、距離d5は、コンデンサレンズ110,120の焦点距離と、コンデンサレンズ110,120と絞り開口112,113、122,123との間の距離などに応じて決まる距離であって、測距瞳距離である。192は、コンデンサレンズ110,120により投影された絞り開口112,122の領域であり、測距瞳である。同様に、193は、コンデンサレンズ110,120により投影された絞り開口113,123の領域であり、測距瞳である。コンデンサレンズ110、絞りマスク111、絞り開口112,113、再結像レンズ114、115およびイメージセンサー116が、一つの位置で焦点検出を行う再結像方式の瞳分割型位相差検出方式の焦点検出ユニットを構成する。
【0123】
図38においては、光軸191上にある焦点検出ユニットと光軸外にある焦点検出ユニットとを模式的に例示している。複数の焦点検出ユニットを組み合わせることによって、図2に示す3箇所の焦点検出位置101〜103において再結像方式の瞳分割位相差検出で焦点検出を行う焦点検出装置を実現することができる。
【0124】
コンデンサレンズ110を有する焦点検出ユニットは、交換レンズの予定結像面近傍に配置されたコンデンサレンズ110、その背後に配置されたイメージサンサ116、コンデンサレンズ110とイメージサンサ116との間に配置され、予定結像面近傍に結像された1次像をイメージセンサー116上に再結像する一対の再結像レンズ114、115、一対の再結像レンズの近傍(図38では前面)に配置された一対の絞り開口112、113を有する絞りマスク11を有する。
【0125】
イメージセンサー116は、複数の光電変換部が直線に沿って密に配置されたラインサンサであり、光電変換部の配置方向は一対の測距瞳の分割方向(=絞り開口の並び方向)と一致させる。このイメージセンサー116からは、イメージセンサー116上に再結像された一対の像の強度分布に対応した情報が出力され、この情報に対して後述する像ズレ検出演算処理(相関処理、位相差検出処理)を施すことによって、いわゆる瞳分割型位相差検出方式(再結像方式)で一対の像の像ズレ量が検出される。さらに、像ズレ量に所定の変換係数を乗ずることによって、予定結像面に対する現在の結像面の偏差(デフォーカス量)が算出される。
【0126】
イメージセンサー116は再結像レンズ114、115により予定結像面上に投影されており、デフォーカス量(像ズレ量)の検出精度は、像ズレ量の検出ピッチ(再結像方式の場合は予定結像面上に投影された光電変換部の配列ピッチ)により決まる。
【0127】
コンデンサレンズ110は、絞りマスク111の絞り開口112、113を射出瞳190上に領域192、193として投影している。領域192,193は測距瞳である。すなわち、イメージセンサー116上に再結像される一対の像は射出瞳190上の一対の測距瞳192,193を通過する光束によって形成される。射出瞳190上の一対の測距瞳192,193を通過する光束132、133を焦点検出用光束と呼ぶ。
【0128】
このような再結像方式による瞳分割型位相差検出方式においても、測距瞳の口径蝕によってイメージセンサー上に形成される一対の像のバランス崩れが生ずるので、イメージセンサーの出力信号を処理する際に本発明を適用することができる。
【0129】
なお、撮像装置としては、上述したようなカメラボディに交換レンズが装着される構成のデジタルスチルカメラやフィルムスチルカメラに限定されない。例えばレンズ一体型のデジタルスチルカメラ、フィルムスチルカメラ、あるいはビデオカメラにも本発明を適用することができる。さらには、携帯電話などに内蔵される小型カメラモジュール、監視カメラやロボット用の視覚認識装置、車載カメラなどにも適用できる。
【0130】
上述した一実施の形態では、撮像画素の配列中に焦点検出画素を配列し、焦点検出画素で得られる信号に基づいて結像光学系の瞳の異なる領域を通る一対の光束に対応する一対の信号列を求め、上記相関演算により瞳分割型位相差検出方式の焦点検出を行う例を示したが、撮像画素の出力に基づいて周知のコントラスト方式の焦点検出を行うとともに、焦点検出画素の出力に基づいて瞳分割型位相差検出方式の焦点検出を行う、ハイブリッド方式の焦点検出装置としてもよい。
【0131】
また、本発明は、カメラ以外の焦点検出装置や測距装置、さらにはステレオ測距装置にも適用できる。さらに、時間が異なるイメージセンサーの信号間の相関を検出して被写体像の動きやカメラのブレを検出する装置にも適用できる。さらにまた、イメージセンサーの画像信号と特定の画像信号のパターンマッチングにも適用できる。
【0132】
さらに、本発明は、画像信号データの相関を検出するものに限定されず、音に関するデータの相関やその他一般に2つの信号の相関を検出するものにも適用することができる。
【符号の説明】
【0133】
10;マイクロレンズ、11、13、14;光電変換部、202;交換レンズ、212、212A;撮像素子、214;ボディ駆動制御装置、310;撮像画素、311、313、314;焦点検出画素
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデータが一次元上に配列された第1データ列と、複数のデータが一次元上に配列された前記第1のデータ列とは異なる第2データ列とを、一次元上で変位量を変えながら相対的に変位させ、複数の相関演算式により前記第1データ列と前記第2データ列の間の相関量を演算することを特徴とする相関演算方法。
【請求項2】
請求項1に記載の相関演算方法において、
前記複数の相関演算式の内の少なくとも1つは、前記第1データ列の中の1つのデータと、前記第2データ列の中の1つのデータとの乗算を含む相関演算式であることを特徴とする相関演算方法。
【請求項3】
請求項2に記載の相関演算方法において、
前記乗算を含む相関演算式が複数あり、
それらの複数の乗算を含む相関演算式は、前記第1データ列の中の1つのデータと前記第2データ列の中の1つのデータとの乗算と、前記第1データ列の中の他の1つのデータと前記第2データ列の中の他の1つのデータとの乗算とを含む部分相関演算式を含み、
前記第1データ列の中の1つのデータと前記第1データ列の中の他の1つのデータとの間隔、および前記第2データ列の中の1つのデータと前記第2データ列の中の他の1つのデータとの間隔がともに所定間隔であることを特徴とする相関演算方法。
【請求項4】
請求項3に記載の相関演算方法において、
前記複数の乗算を含む相関演算式は、前記所定間隔が相異なる2種類の前記部分相関演算式を含むことを特徴とする相関演算方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の相関演算方法において、
前記複数の相関演算式により求めた複数の相関量を加算した相関量を求めることを特徴とする相関演算方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の相関演算方法において、
前記複数の相関演算式により求めた複数の相関量のそれぞれに対し信頼性を判定し、前記信頼性が高いと判定された相関量を抽出することを特徴とする相関演算方法。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の相関演算方法において、
前記第1データ列と前記第2データ列に対して前記複数の相関演算式を予め定めた順序で適用し、相関量の演算を行うとともに該相関量の信頼性を判定し、前記信頼性が高いと判定された相関量を抽出したとき、前記複数の相関演算式による前記相関量の演算を終了することを特徴とする相関演算方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の相関演算方法において、
前記複数の相関演算式は、前記第1データ列と前記第2データ列の間の歪みに対する特性がそれぞれ異なる演算式であることを特徴とする相関演算方法。
【請求項9】
請求項8に記載の相関演算方法において、
前記歪みが大きいとき、前記信頼性が高いと判定された相関量として、前記第1データと前記第2データとの乗算を含む相関演算式により演算された前記第1データ列と前記第2データ列の間の相関量を抽出することを特徴とする相関演算方法。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の相関演算方法において、
前記複数の相関演算式は、前記第1データ列と前記第2データ列に加わるノイズに対する特性がそれぞれ異なる演算式であることを特徴とする相関演算方法。
【請求項11】
請求項10に記載の相関演算方法において、
前記ノイズが大きいとき、前記信頼性が高いと判定された相関量として、前記第1データと前記第2データとの乗算を含む相関演算式により演算された前記第1データ列と前記第2データ列の間の相関量を抽出することを特徴とする相関演算方法。
【請求項12】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の相関演算方法において、
前記複数の相関演算式は、前記第1データ列と前記第2データ列の空間周波数に対する特性がそれぞれ異なる演算式であることを特徴とする相関演算方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の相関演算方法により、前記相関量の極値が得られる前記変位量を演算する演算手段を備えることを特徴とする相関演算装置。
【請求項14】
光学系を通って一対の像を形成する一対の光束を受光し、前記一対の像に応じた第1データ列と第2データ列とを出力する受光手段と、
前記第1データ列と前記第2データ列の間の相関量の極値が得られる変位量を求める請求項13に記載の相関演算装置と、
前記変位量に基づいて前記光学系の焦点調節状態を検出する焦点検出手段とを備えることを特徴とする焦点検出装置。
【請求項15】
請求項14に記載の焦点検出装置において、
前記受光手段は、マイクロレンズと該マイクロレンズを介して前記光学系からの光束を受光する光電変換部とを有する焦点検出画素が複数個配列されており、前記複数の焦点検出画素の出力に基づいて前記第1データ列と前記第2データ列を生成することを特徴とする焦点検出装置。
【請求項16】
請求項15に記載の焦点検出装置と、
撮像素子とを備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項17】
請求項16に記載の撮像装置において、
前記撮像素子は、同一基板上に配列される、前記光学系により結像される像を撮像する撮像画素と前記焦点検出画素とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項1】
複数のデータが一次元上に配列された第1データ列と、複数のデータが一次元上に配列された前記第1のデータ列とは異なる第2データ列とを、一次元上で変位量を変えながら相対的に変位させ、複数の相関演算式により前記第1データ列と前記第2データ列の間の相関量を演算することを特徴とする相関演算方法。
【請求項2】
請求項1に記載の相関演算方法において、
前記複数の相関演算式の内の少なくとも1つは、前記第1データ列の中の1つのデータと、前記第2データ列の中の1つのデータとの乗算を含む相関演算式であることを特徴とする相関演算方法。
【請求項3】
請求項2に記載の相関演算方法において、
前記乗算を含む相関演算式が複数あり、
それらの複数の乗算を含む相関演算式は、前記第1データ列の中の1つのデータと前記第2データ列の中の1つのデータとの乗算と、前記第1データ列の中の他の1つのデータと前記第2データ列の中の他の1つのデータとの乗算とを含む部分相関演算式を含み、
前記第1データ列の中の1つのデータと前記第1データ列の中の他の1つのデータとの間隔、および前記第2データ列の中の1つのデータと前記第2データ列の中の他の1つのデータとの間隔がともに所定間隔であることを特徴とする相関演算方法。
【請求項4】
請求項3に記載の相関演算方法において、
前記複数の乗算を含む相関演算式は、前記所定間隔が相異なる2種類の前記部分相関演算式を含むことを特徴とする相関演算方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の相関演算方法において、
前記複数の相関演算式により求めた複数の相関量を加算した相関量を求めることを特徴とする相関演算方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の相関演算方法において、
前記複数の相関演算式により求めた複数の相関量のそれぞれに対し信頼性を判定し、前記信頼性が高いと判定された相関量を抽出することを特徴とする相関演算方法。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の相関演算方法において、
前記第1データ列と前記第2データ列に対して前記複数の相関演算式を予め定めた順序で適用し、相関量の演算を行うとともに該相関量の信頼性を判定し、前記信頼性が高いと判定された相関量を抽出したとき、前記複数の相関演算式による前記相関量の演算を終了することを特徴とする相関演算方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の相関演算方法において、
前記複数の相関演算式は、前記第1データ列と前記第2データ列の間の歪みに対する特性がそれぞれ異なる演算式であることを特徴とする相関演算方法。
【請求項9】
請求項8に記載の相関演算方法において、
前記歪みが大きいとき、前記信頼性が高いと判定された相関量として、前記第1データと前記第2データとの乗算を含む相関演算式により演算された前記第1データ列と前記第2データ列の間の相関量を抽出することを特徴とする相関演算方法。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の相関演算方法において、
前記複数の相関演算式は、前記第1データ列と前記第2データ列に加わるノイズに対する特性がそれぞれ異なる演算式であることを特徴とする相関演算方法。
【請求項11】
請求項10に記載の相関演算方法において、
前記ノイズが大きいとき、前記信頼性が高いと判定された相関量として、前記第1データと前記第2データとの乗算を含む相関演算式により演算された前記第1データ列と前記第2データ列の間の相関量を抽出することを特徴とする相関演算方法。
【請求項12】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の相関演算方法において、
前記複数の相関演算式は、前記第1データ列と前記第2データ列の空間周波数に対する特性がそれぞれ異なる演算式であることを特徴とする相関演算方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の相関演算方法により、前記相関量の極値が得られる前記変位量を演算する演算手段を備えることを特徴とする相関演算装置。
【請求項14】
光学系を通って一対の像を形成する一対の光束を受光し、前記一対の像に応じた第1データ列と第2データ列とを出力する受光手段と、
前記第1データ列と前記第2データ列の間の相関量の極値が得られる変位量を求める請求項13に記載の相関演算装置と、
前記変位量に基づいて前記光学系の焦点調節状態を検出する焦点検出手段とを備えることを特徴とする焦点検出装置。
【請求項15】
請求項14に記載の焦点検出装置において、
前記受光手段は、マイクロレンズと該マイクロレンズを介して前記光学系からの光束を受光する光電変換部とを有する焦点検出画素が複数個配列されており、前記複数の焦点検出画素の出力に基づいて前記第1データ列と前記第2データ列を生成することを特徴とする焦点検出装置。
【請求項16】
請求項15に記載の焦点検出装置と、
撮像素子とを備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項17】
請求項16に記載の撮像装置において、
前記撮像素子は、同一基板上に配列される、前記光学系により結像される像を撮像する撮像画素と前記焦点検出画素とを有することを特徴とする撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【公開番号】特開2009−282018(P2009−282018A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96926(P2009−96926)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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