説明

真空ポンプ

【課題】センサの取り付け位置調整をすることなく良好な計測信号を得ることが容易に可能な物理量計測装置、及び該物理量計測装置を備えた磁気浮上装置、真空ポンプを提供する。
【解決手段】コイルのインダクタンス変化によって振幅変調された高周波電圧に基づいて物理量を計測するセンサにおいて、コイルに被変調高周波電圧の周波数特性又は高周波電圧の周波数の可変手段を設けることによって、コイル又はそのコアの取り付け位置調整を必要とせずにセンサ感度の調整を可能にする。また、差動手段を設け、計測信号と調整可能な基準値信号の差を出力することにより、消費電力を低減し低飽和増幅器の採用を可能にする。更に、上記の調整手段を磁気軸受若しくは真空ポンプの機構部に配置することによって、機構部とコントローラの互換性を向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被計測体の位置や温度などの物理量を計測する物理量計測装置と、この物理量計測装置を備えた磁気浮上装置、及び真空ポンプに係わり、特にセンサの取り付け位置調整をすることなく良好な計測信号を得ることが容易に可能な物理量計測装置、及び該物理量計測装置を備えた磁気浮上装置、真空ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のエレクトロニクスの発展に伴い、メモリーや集積回路といった半導体の需要が急激に増大している。
これらの半導体は、極めて純度の高い半導体基板に不純物をドープして電気的性質を与えたり、半導体基板上に微細な回路パターンを形成し、これを積層するなどして製造される。
【0003】
そして、これらの作業は空気中の塵等による影響を避けるため高真空状態のチャンバ内で行われる必要がある。このチャンバの排気には、一般に真空ポンプが用いられているが、特に残留ガスが少なく、保守が容易である等の点から真空ポンプの中の一つであるターボ分子ポンプが多用されている。
【0004】
また、半導体の製造工程では、さまざまなプロセスガスを半導体の基板に作用させる工程が数多くあり、ターボ分子ポンプはチャンバ内を真空にするのみならず、これらのプロセスガスをチャンバ内から排気するのにも使用される。
【0005】
さらに、ターボ分子ポンプは、電子顕微鏡等の設備において、粉塵等の存在による電子ビームの屈折等を防止するため、電子顕微鏡等のチャンバ内の環境を高度の真空状態にするのにも用いられている。
【0006】
このようなターボ分子ポンプは、半導体製造装置や電子顕微鏡等のチャンバからガスを吸引排気するためのターボ分子ポンプ本体と、このターボ分子ポンプ本体を制御する制御装置とから構成されている。
【0007】
ここで、ターボ分子ポンプ本体の縦断面図を図6に示す。
図6において、ターボ分子ポンプ本体100は、円筒状の外筒127の上端に吸気口101が形成されている。外筒127の内方には、ガスを吸引排気するためのタービンブレードとしての複数の回転翼102a、102b、102c、・・・を周部に放射状かつ多段に形成した回転体103を備える。
【0008】
この回転体103の中心にはロータ軸113が取り付けられており、このロータ軸113は、例えば、いわゆる5軸制御の磁気軸受により浮上支持かつ位置制御されている。
【0009】
上側径方向電磁石104は、4個の電磁石が互いに直行するX軸とY軸とに対をなしロータ軸113を挟んで対向配置されている。このX軸とY軸は、ロータ軸113が磁気軸受の制御目標の位置にあるときのロータ軸113の軸芯に対して直角な平面上に想定されている。また、この上側径方向電磁石104の4個の電磁石の近傍には、それぞれの電磁石に対応し回転体103を挟んで対向配置された4個のコイルからなる上側径方向センサ107が備えられている。この上側径方向センサ107は回転体103の径方向位置を検出し、その信号を制御装置に送るように構成されている。
ロータ軸113は、高透磁率材(鉄など)などにより形成され、上側径方向電磁石104の磁力により吸引されるようになっている。
【0010】
また、下側径方向電磁石105及び下側径方向センサ108が、上側径方向電磁石104及び上側径方向センサ107と同様に配置され、下側径方向センサ108が、ロータ軸113の下側の径方向位置を検出し、その信号を制御装置に送るように構成されている。
そして、ロータ軸113の上側と下側の径方向位置が、制御装置の磁気軸受フィードバック制御手段により調整されている。
【0011】
さらに、軸方向電磁石106A、106Bが、ロータ軸113の下部に備えた円板状の金属ディスク111を上下に挟んで配置されている。金属ディスク111は、鉄などの高透磁率材で構成されている。回転体103の軸方向位置を検出するために軸方向センサ109が備えられ、その軸方向位置信号が制御装置に送られるように構成されている。
【0012】
軸方向電磁石106Aは、磁力により金属ディスク111を上方に吸引し、軸方向電磁石106Bは、金属ディスク111を下方に吸引する。
【0013】
このように、制御装置では、磁気軸受フィードバック制御手段により、軸方向電磁石106A、106Bが金属ディスク111に及ぼす磁力を適当に調節し、ロータ軸113を軸方向に磁気浮上させ、空間に非接触で保持する。
【0014】
モータ121は、その回転子側にロータ軸113を取り囲むように周状に配置された複数の永久磁石の磁極を備えている。そして、これらの永久磁石は、モータ121の固定子側である電磁石から、ロータ軸113を回転させるトルクが加えられるようになっており、回転体103が回転駆動されるようになっている。
また、モータ121には、図示しない回転数センサ及びモータ温度センサが取り付けられており、これらの回転数センサ及びモータ温度センサの検出信号を受けて、制御装置においてロータ軸113の回転が制御されている。
【0015】
回転翼102a、102b、102c、・・・とわずかの空隙を隔てて複数枚の固定翼123a、123b、123c、・・・が配設されている。回転翼102a、102b、102c、・・・は、それぞれ排気ガスの分子を衝突により下方向に移送するため、ロータ軸113の軸線に垂直な平面から所定の角度だけ傾斜して形成されている。
【0016】
また、固定翼123も、同様にロータ軸113の軸線に垂直な平面から所定の角度だけ傾斜して形成され、かつ外筒127の内方に向けて回転翼102の段と互い違いに配設されている。
そして、固定翼123の一端は、複数の段積みされた固定翼スペーサ125a、125b、125c、・・・の間に嵌挿された状態で支持されている。
【0017】
固定翼スペーサ125はリング状の部材であり、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス、銅などの金属、又はこれらの金属を成分として含む合金などの金属によって構成されている。
固定翼スペーサ125の外周には、わずかの空隙を隔てて外筒127が固定されている。外筒127の底部にはベース部129が配設され、固定翼スペーサ125の下部とベース部129の間にはネジ付きスペーサ131が配設されている。
【0018】
このベース部129中のネジ付きスペーサ131の下部には排気口133が形成されている。そして、排気口133には、図示しないドライポンプ通路が接続されており、排気口133は、このドライポンプ通路を介して、図示しないドライポンプと接続されている。
【0019】
ネジ付きスペーサ131は、アルミニウム、銅、ステンレス、鉄、又はこれらの金属を成分とする合金などの金属によって構成された円筒状の部材であり、その内周面に螺旋状のネジ溝131aが複数条刻設されている。
ネジ溝131aの螺旋の方向は、回転体103の回転方向に排気ガスの分子が移動したときに、この分子が排気口133の方へ移送される方向である。
【0020】
回転体103の回転翼102a、102b、102c、・・・に続く最下部には円筒部102dが垂下されている。この円筒部102dの外周面は、ネジ付きスペーサ131の内周面に向かって張り出されており、このネジ付きスペーサ131の内周面と所定の隙間を隔てて近接されている。
【0021】
ベース部129は、ターボ分子ポンプ本体100の基底部を構成する円盤状の部材であり、一般には鉄、アルミニウム、ステンレスなどの金属によって構成されている。ベース部129はターボ分子ポンプ本体100を物理的に保持すると共に、熱の伝導路の機能も兼ね備えているので、鉄、アルミニウムや銅などの剛性があり、熱伝導率も高い金属が使用されるのが望ましい。
【0022】
また、ベース部129には、コネクタ160が配設されており、このコネクタ160には、ターボ分子ポンプ本体100と制御装置とを電気的に接続するケーブルが接続されている。
【0023】
かかる構成において、回転翼102がロータ軸113と共にモータ121により駆動されて回転すると、回転翼102と固定翼123の作用により、吸気口101を通じて、図示しないチャンバから排気ガスが吸気される。
【0024】
吸気口101から吸気された排気ガスは、回転翼102と固定翼123の間を通り、ベース部129へ移送される。そして、ベース部129に移送されてきた排気ガスは、ネジ付きスペーサ131のネジ溝131aに案内されつつ排気口133へと送られる。
【0025】
ここに、ターボ分子ポンプ本体100は、機種の特定と、個々に調整された固有のパラメータ(例えば、機種に対応する諸特性)に基づいた制御を要する。この制御パラメータを格納するために、ターボ分子ポンプ本体100は、その内部に電子回路部141を備えている。電子回路部141は、EEP−ROM等の半導体メモリー及びそのアクセスのための半導体素子等の電子部品、その実装用の基板143等から構成される。
【0026】
この電子回路部141は、ターボ分子ポンプ本体100の下部を構成するベース部129の中央付近の図示しない回転数センサの下部に収容され、気密性の底蓋145によって閉じられている。
【0027】
ところで、上記した上側径方向センサ107、下側径方向センサ108、軸方向センサ109といった位置センサは、インダクタンス型センサ若しくは渦電流型センサによって構成が可能であり、これらのセンサは、回転体103との間の距離をセンサコイルのインダクタンスとして抽出する。
【0028】
すなわち、このセンサと回転体103の間の距離が異なると、センサコイルのインダクタンスが異なってくる。このようにセンサコイルは、センサと回転体103の間の距離に応じた固有のインダクタンスを有することから、センサの出力電圧には、このインダクタンスに応じた固有の周波数特性が存在する。
【0029】
位置センサの等価回路を図7に示す。図7において、位置センサの先端にはセンサコイル1が巻かれている。そして、このセンサコイル1に、抵抗2とコンデンサ3がそれぞれ直列と並列に接続されている。この回路には発振器4が接続されており、センサコイル1は、この発振器4より一定周波数、一定電圧の高周波電圧が印加され、高周波磁界を作るようになっている。
【0030】
位置センサがインダクタンス型センサによって構成される場合には、回転体103に磁性体が固定される。そして、この磁性体がセンサコイル1のコアに近づくと、この磁性体とコアを磁路とする磁気回路が形成され、磁性体とコアの間の距離に応じて、センサコイル1のインダクタンスが変化する。一方、位置センサが渦電流型センサによって構成される場合には、回転体103に導電体が固定される。そして、この導電体がセンサコイル1に近づくと、導電体にはセンサコイル1が作る高周波磁界によって渦電流が流れ、センサコイル1は、この渦電流の発生の影響を受けて、導電体との距離に応じてインダクタンスが変化する。そして、このセンサコイル1のインダクタンスの変化によって、位置センサの出力電圧Eoの周波数特性(例えば共振周波数やQ値(共振の鋭さを示す指標))が変化し、出力電圧Eoの振幅が変化する。すなわち、位置センサの出力電圧Eoは、磁性体又は導電体が固定された回転体103の位置によって、センサコイル1のインダクタンスを媒介特性として振幅変調を受ける。この現象を利用し、出力電圧Eoを計測することによって、回転体103の位置を計測することができる。
【0031】
図8は、発振器4が印加する高周波電圧の周波数fs(以下、キャリア周波数という)と位置センサの出力電圧Eoの周波数特性の関係を模式化したものである。キャリア周波数fsは一定であり、出力電圧Eoの共振周波数fnやQ値が回転体103の位置によって変化し、出力電圧Eoの値が変化する。位置センサの検出領域は、図中点線で示した周波数特性の内、実線で示す傾きの急峻な部分(図中、検出領域として示した)とするのが、感度が良く効果的である。この内でも傾きの最も急峻な箇所にキャリア周波数fsを一致させるのが望ましい。
【0032】
また、このようにインダクタンスの変化を利用したセンサとして、他に温度センサがある。
この温度センサは、回転体103に設置された磁性体の透磁率が、磁性体の温度によって変化し、それに伴ってセンサコイル1のインダクタンスすなわち出力電圧Eoが変化する現象を利用するもので、上記の位置センサと同様の構成をもつ。
【0033】
また、回転体103の許容温度に等しいキュリー温度を有する磁性体を回転体103に配置し、磁性体がキュリー温度に達したときに透磁率が大きく低下するのに伴って、センサコイル1のインダクタンスすなわち出力電圧Eoが大きく低下する現象を利用し、回転体103の温度が許容温度を超えたことを検知するものもある。
さらに、特許文献1に掲載の温度センサは、回転体103の許容温度に等しいキュリー温度を有する第1の磁性体と、この許容温度より高いキュリー温度を有する第2の磁性体を回転体103に設置し、第1の磁性体と第2の磁性体のそれぞれの透磁率の変化によって振幅変調された2つの出力電圧Eoの差を取ることにより、回転体103の温度が許容温度を超えたことを検知するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0034】
【特許文献1】特開2006−194094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
しかしながら、一般にこれらのセンサの出力電圧Eoの周波数特性は、回転体103に固定された磁性体の透磁率又は導電体の抵抗値と、センサコイル1のインダクタンス、抵抗2の抵抗値、コンデンサ3の静電容量、発振器4が配置された制御装置と真空ポンプ本体を接続するケーブルがもつ抵抗値と静電容量、センサコイル1又はそのコアの取り付け位置のばらつきなどによって、センサごとに異なり、センサを取り付けた時点においては、センサの出力電圧Eoの周波数特性の傾きの急峻な箇所とキャリア周波数fsとは一致していない。
【0036】
このため、良好なセンサ感度を得るには、出力電圧Eoの周波数特性を調整するか、出力電圧Eoを増幅する必要がある。
出力電圧Eoの周波数特性を調整する場合には、従来、この調整を工場製造時に機械的にセンサコイル1又はそのコアの取り付け位置を調整することで行っていた。しかし、温度センサについては、後述するように、回転体103の円筒部102dが、その許容温度を超えて高温になると、強度が低下し自らに作用する遠心力に耐えられず破壊することがあり、これを防止するために、円筒部102dの温度を計測し、その結果に応じて、アラームを表示したり、回転体103の回転を減速又は停止したりすることが望まれる。そのためには、円筒部102dに対向する場所にセンサコイル1又はそのコアを配置しなければならないが、このような場所は、真空ポンプ内部奥の人の手が入りにくい場所であり、センサコイル1又はそのコアの取り付け位置を調整するには、度々ターボ分子ポンプ本体100から外筒127や回転体103を外さなければならず、非効率で時間を要する作業をしなければならなかった。
【0037】
一方、出力電圧Eoを増幅する場合には、電源の容量や、回路素子の耐電圧性、コストなどの制約により、増幅器の出力電圧に上限がある。そして、増幅器の出力電圧がその上限に達し飽和すると、センサは回転体103の位置又は温度を正常に計測することができなくなる。また、図8からも分かるように、センサは検出領域の下限値においても電圧を出力する。この電圧は、計測には不要な電圧であり、回転体103を挟んで2つのセンサを対向配置しこれらの計測信号の値の差を取ることにより相殺消去することができるが、設置スペースの制約などにより1つのセンサで計測し、センサの計測信号を増幅する場合には、この不要な電圧も増幅し消費電力が増大したり、センサの感度を向上するために検出領域に対応する増幅後の計測信号の値の範囲を大きくするには、出力飽和電圧の高い増幅器を必要とし真空ポンプが高コスト化したりしていた。
【0038】
また、センサの計測信号をディジタル値に変換し、このディジタル値に種々の演算処理を加える場合においても、課題が生じていた。すなわち、アナログ電圧をディジタル値に変換するA/D変換器は、入力可能な電圧に上限がある。このため、A/D変換器にこれより大きな電圧を入力すると、A/D変換器はこの電圧を一律に上限の電圧と同じ値に変換し、位置又は温度を正常に計測できなかったり、A/D変換器が入力電圧に耐えられず故障したりする。さらに、センサが検出領域の下限においても電圧を出力し、物理量の計測対象範囲に対応するセンサの計測信号の値の範囲が狭い場合に、この計測信号を、A/D変換器に入力する電圧がA/D変換器の入力可能な電圧より大きくならない程度にしか増幅できず、センサの感度を良好に改善することは出来なかった。
【0039】
また、温度センサについては、センサコイル1のインダクタンスが回転体103の温度のみならず位置によっても変動するため、センサの計測信号には回転体103の位置による誤差が生じていた。
【0040】
本発明はこのような従来の課題に鑑みてなされたもので、特にセンサの取り付け位置調整をすることなく良好なセンサの感度及び計測信号を得ることが容易に可能な物理量計測装置、及び該物理量計測装置を備えた磁気浮上装置、真空ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0041】
このため本発明(請求項1)である物理量計測装置は、被計測体の物理量を計測する物理量計測装置であって、前記被計測体に固設された磁性体又は導電体と、前記物理量の変化に伴いインダクタンスが変化するセンサコイルと、該センサコイルに高周波電圧を供給する発振器と、前記センサコイルのインダクタンス変化により振幅変調された被変調電圧に基づいて前記物理量の計測信号を出力するセンサ回路と、前記被変調電圧の周波数特性の変更を可能とする周波数特性可変手段を備えて構成した。
【0042】
物理量計測装置が、被変調電圧の周波数特性の変更を可能とする周波数特性可変手段を備えることにより、被変調電圧の周波数特性を、その曲線の傾きが大きい周波数帯域に、発振器が供給する高周波電圧の周波数すなわちキャリア周波数が入るように調整することができる。これにより、センサコイル又はそのコアの位置を調整することなく、良好なセンサ感度を得ることができる。
【0043】
また、本発明(請求項2)である物理量計測装置は、前記周波数特性可変手段が可変コンデンサ及び/又は可変抵抗を備え、該可変コンデンサ及び/又は該可変抵抗が前記センサコイルに接続されたことを特徴とする。
【0044】
センサコイルに可変コンデンサや可変抵抗を接続し、この静電容量や抵抗を調整することにより、被変調電圧の周波数特性を調整することが可能になるとともに、安価に周波数特性可変手段を実現することができる。
可変コンデンサ又は可変抵抗としては、例えば、可動片を回転若しくはスライドさせて連続的あるいは段階的に静電容量又は抵抗値を変化させる形式のものや、センサコイルにセレクトスイッチを介して静電容量の異なる複数のコンデンサ又は抵抗値の異なる複数の抵抗を接続し、このセレクトスイッチでセンサコイルに接続するコンデンサ又は抵抗を切り替える構成、コンデンサ又は抵抗を着脱可能に接続し、好適な静電容量のコンデンサ又は好適な抵抗値の抵抗と交換する構成などがあげられる。
【0045】
さらに、本発明(請求項3)である物理量計測装置は、被計測体の物理量を計測する物理量計測装置であって、前記被計測体に固設された磁性体又は導電体と、前記物理量の変化に伴いインダクタンスが変化するセンサコイルと、該センサコイルに高周波電圧を供給する発振器と、前記センサコイルのインダクタンス変化により振幅変調された被変調電圧に基づいて前記物理量の計測信号を出力するセンサ回路と、前記高周波電圧の周波数の変更を可能とする発振周波数可変手段を備えて構成した。
【0046】
発振器が供給する高周波電圧の周波数の変更を可能とする発振周波数可変手段を備えることにより、高周波電圧の周波数すなわちキャリア周波数を、被変調電圧の周波数特性の曲線の傾きが大きい周波数帯域に入るように調整することができる。これにより、センサコイル又はそのコアの位置を調整することなく、良好なセンサ感度を得ることができる。
【0047】
さらに、本発明(請求項4)である物理量計測装置は、被計測体の物理量を計測する物理量計測装置であって、前記被計測体に固設された磁性体又は導電体と、前記物理量の変化に伴いインダクタンスが変化するセンサコイルと、該センサコイルに高周波電圧を供給する発振器と、前記センサコイルのインダクタンス変化により振幅変調された被変調電圧に基づいて前記物理量の計測信号を出力するセンサ回路と、前記計測信号の基準値信号を生成する基準値信号生成手段と、前記計測信号と前記基準値信号の値の差の信号又は該差を増幅した信号を出力するセンサ出力差動手段を備えて構成した。
【0048】
さらに、本発明(請求項5)である物理量計測装置は、前記基準値信号の値の変更を可能とする基準値信号可変手段を備えて構成した。
【0049】
基準値信号生成手段が、計測信号の基準値信号を生成し、センサ出力差動手段が、計測信号と基準値信号の値の差の信号又はこの差を増幅した信号を出力することにより、物理量の基準値信号の値より低い値を計測対象外とし、物理量計測装置の出力信号の全範囲を、物理量の基準値信号の値以上の値の範囲に対応させることができる。
【0050】
これにより、センサ感度が向上し、計測信号を増幅器で増幅する場合にも、計測信号の不要な値を増幅することはないので消費電力を低減でき、出力飽和電圧の高い増幅器も必要としないので、装置の高コスト化を緩和することもできる。
【0051】
基準値信号生成手段としては、例えば、コンデンサ又は抵抗を回路素子とする電気回路があげられる。この場合には、コンデンサ又は抵抗の端子間電圧を、基準値信号とすることができる。
【0052】
また、基準値信号生成手段が、基準値信号の値の変更を可能とする基準値信号可変手段を備えることにより、磁性体の透磁率又は導電体の抵抗値と、センサコイルのインダクタンス、センサ回路と発振器の特性のばらつきなどによる物理量の計測対象範囲の設定誤差を補正したり、計測条件などに応じて、物理量の計測対象範囲を調整したりすることができる。
【0053】
さらに、本発明(請求項6)である物理量計測装置は、前記基準値信号可変手段が可変コンデンサ及び/又は可変抵抗を備えたことを特徴とする。
【0054】
基準値信号生成回路が、例えばコンデンサ又は抵抗を備えて構成され、このコンデンサ又は抵抗の端子間電圧を基準値信号とする場合には、このコンデンサ又は抵抗の少なくとも一部を可変コンデンサ又は可変抵抗とする。これにより、安価に基準値信号可変手段を構成することができる。
【0055】
さらに、本発明(請求項7)である物理量計測装置は、前記センサ出力差動手段が、前記計測信号と前記基準値信号の値の差の信号の増幅率の変更を可能とする差信号増幅率可変手段を備えたことを特徴とする。
【0056】
センサ出力差動手段が、計測信号と基準値信号の値の差の信号の増幅率の変更を可能とする差信号増幅率可変手段を備えることにより、磁性体の透磁率又は導電体の抵抗値と、センサコイルのインダクタンス、センサ回路と発振器の特性のばらつきなどによりセンサ感度が変化しても、適切な感度に調整することができる。
【0057】
さらに、本発明(請求項8)である物理量計測装置は、前記物理量が前記被計測体の位置、変位、温度の内のいずれか少なくとも一つであることを特徴とする。
【0058】
さらに、本発明(請求項9)である物理量計測装置は、前記物理量が前記被計測体の温度であって、前記被変調電圧に基づく信号の所定の周波数帯域の成分を減衰させるフィルタ手段を備え、前記フィルタ手段を介して前記計測信号を出力することを特徴とする。
【0059】
一般に、被計測体の温度は、被計測体の位置より低い周波数で変動する。物理量計測装置が、被変調電圧に基づく信号の所定の周波数帯域の成分を減衰させるフィルタ手段を備え、このフィルタ手段を介して計測信号を出力することにより、温度の計測信号に含まれる被計測体の位置の変動による誤差を低減することができる。このフィルタ手段としては、後述する磁気軸受装置や真空ポンプにおいては、例えば、これらの回転体若しくは回転部の回転速度周波数より低い周波数を遮断周波数とするローパスフィルタなどがあげられる。
【0060】
さらに、本発明(請求項10)である磁気浮上装置は、請求項1〜9のいずれか一項に記載の物理量計測装置を搭載した磁気浮上装置であって、該磁気浮上装置が、磁力によって浮上支持され、前記磁性体又は前記導電体を有する浮上部と、前記磁力を生成する磁石を有し、前記センサコイルが配設された非浮上部と、前記発振器が配設された制御装置を備えて構成した。
【0061】
これにより、上記発明の物理量計測装置の効果を奏する磁気浮上装置を提供することが可能になる。
【0062】
さらに、本発明(請求項11)である磁気浮上装置は、前記周波数特性可変手段が前記非浮上部に配設されたことを特徴とする。
【0063】
さらに、本発明(請求項12)である磁気浮上装置は、前記発振周波数可変手段が前記非浮上部に配設されたことを特徴とする。
【0064】
磁気浮上装置の多くは、浮上部と非浮上部からなる機構部本体と制御装置、これらを電気的に接続するケーブルとによって構成される。周波数特性可変手段あるいは発振周波数可変手段を、制御装置ではなく機構部本体の非浮上部に配設することにより、浮上部に配設された磁性体の透磁率又は導電体の抵抗値と、非浮上部に配設されたセンサコイルのばらつきなどに起因して生じるセンサ感度のばらつきを、機構部本体で調整し所定の範囲内に収めることができる。
【0065】
これにより、機構部本体と制御装置の組み合わせに応じて、センサ感度を調整する必要がなくなり、機構部本体と制御装置の互換性を向上することができる。そして、機構部本体と制御装置のいずれか一方を故障などにより交換するときに、技術者が、計測器などの調整に必要な機材を帯同して磁気浮上装置の設置場所に赴きセンサ感度を調整する作業を、削減若しくは簡略化することができる。
【0066】
さらに、本発明(請求項13)である磁気浮上装置は、前記基準値信号可変手段が、前記非浮上部に配設されたことを特徴とする。
【0067】
基準値信号可変手段を機構部本体の非浮上部に配設することにより、機構部本体で、磁性体の透磁率又は導電体の抵抗値と、センサコイルのインダクタンス、センサ回路と発振器の特性のばらつきなどによる物理量の計測対象範囲の設定誤差を所定の範囲内に収まるように補正したり、物理量計測装置の計測条件などに応じて、物理量の計測対象範囲を調整したりすることができる。
【0068】
これにより、機構部本体と制御装置の組み合わせに応じて、センサ回路が出力する計測信号の値の範囲に対応する浮上部の物理量の値の範囲を調整する必要がなくなり、機構部本体と制御装置の互換性を向上することができる。そして、機構部本体と制御装置のいずれか一方を故障などにより交換するときに、技術者が、計測器などの調整に必要な機材を帯同して磁気浮上装置の設置場所に赴き物理量の計測対象範囲を調整する作業を、削減若しくは簡略化することができる。
【0069】
さらに、本発明(請求項14)である磁気浮上装置は、前記差信号増幅率可変手段が、前記非浮上部に配設されたことを特徴とする。
【0070】
差信号増幅率可変手段を機構部本体の非浮上部に配設することにより、機構部本体で、磁性体の透磁率又は導電体の抵抗値と、センサコイルのインダクタンス、センサ回路と発振器の特性のばらつきなどによるセンサ感度のばらつきを所定の範囲内に収まるように調整することができる。
【0071】
これにより、機構部本体と制御装置の組み合わせに応じて、センサ感度を調整する必要がなくなり、機構部本体と制御装置の互換性を向上することができる。そして、機構部本体と制御装置のいずれか一方を故障などにより交換するときに、技術者が、計測器などの調整に必要な機材を帯同して磁気浮上装置の設置場所に赴きセンサ感度を調整する作業を、削減若しくは簡略化することができる。
【0072】
さらに、本発明(請求項15)である磁気浮上装置は、前記物理量に対し、しきい値を設定するしきい値設定手段を備えて構成した。
【0073】
これにより、磁気浮上装置の浮上部の物理量がしきい値を超えたか否かを識別することができる。また、磁気浮上装置が、浮上部の物理量がしきい値を超えた場合に、それを記録するメモリーなどの記憶装置や、アラームを表示するアラーム装置を備えても良い。しきい値としては、例えば、浮上部の位置や、変位、温度の許容値とすることができる。
【0074】
さらに、本発明(請求項16)である磁気浮上装置は、前記非浮上部と前記制御装置間を接続するケーブルのインダクタンス、静電容量、抵抗分に応じて、前記被変調電圧の周波数特性、前記高周波電圧の周波数、前記被変調電圧の値、前記計測信号の値の内のいずれか少なくとも一つを補正する補正手段を前記制御装置に備えて構成した。
【0075】
上記のように、磁気浮上装置の多くは、機構部本体と制御装置、これらを電気的に接続するケーブルとによって構成される。そして、発振器が制御装置に配設され、センサコイルが非浮上部に配設される場合には、これらはケーブルを介して接続されるため、ケーブルのインダクタンスや、静電容量、抵抗が変化すると、被変調電圧の周波数特性が変化してしまう。
また、ケーブルの長さは、磁気浮上装置の設置レイアウトによって、変更を余儀なくされることがあり、この場合には、ケーブルのインダクタンスや、静電容量、抵抗が変化してしまう。制御装置に、被変調電圧の周波数特性と、発振器が供給する高周波電圧の周波数、被変調電圧、センサ回路が出力する計測信号の値の内のいずれか少なくとも一つを補正する補正手段を配設することにより、ケーブルの長さの変更によるセンサ感度の変化を補正することができる。
【0076】
磁気浮上装置の例としては、回転体を磁気浮上して軸支する磁気軸受装置や、除振テーブルを磁気浮上する磁気浮上式除振装置などがあげられる。
【0077】
さらに、本発明(請求項17)である真空ポンプは、磁性体又は導電体を有する回転部と、該回転部の物理量の変化に伴いインダクタンスが変化するセンサコイルが配設された非回転部と、前記センサコイルに高周波電圧を供給する発振器と、前記センサコイルのインダクタンス変化により振幅変調された被変調電圧に基づいて前記物理量の計測信号を出力するセンサ回路とが配設された制御装置を備えて構成した。
【0078】
さらに、本発明(請求項18)である真空ポンプは、前記物理量が前記回転部の位置、変位、温度の内のいずれか少なくとも一つであることを特徴とする。
【0079】
さらに、本発明(請求項19)である真空ポンプは、前記物理量が前記回転部の温度であって、前記被変調電圧に基づく信号の所定の周波数帯域の成分を減衰させるフィルタ手段を備えたことを特徴とする。
【0080】
さらに、本発明(請求項20)である真空ポンプは、請求項1〜9のいずれか一項に記載の物理量計測装置を備えて構成し、本発明(請求項21)である真空ポンプは、請求項10〜16のいずれか一項に記載の磁気浮上装置を備えて構成した。
【0081】
さらに、本発明(請求項22)である真空ポンプは、前記磁性体又は前記導電体を有する回転部と、前記センサコイルが配設された非回転部と、前記発振器が配設された制御装置を備え、前記周波数特性可変手段が前記非回転部に配設されたことを特徴とする。
【0082】
さらに、本発明(請求項23)である真空ポンプは、前記磁性体又は前記導電体を有する回転部と、前記センサコイルが配設された非回転部と、前記発振器が配設された制御装置を備え、前記発振周波数可変手段が前記非回転部に配設されたことを特徴とする。
【0083】
さらに、本発明(請求項24)である真空ポンプは、前記磁性体又は前記導電体を有する回転部と、前記センサコイルが配設された非回転部と、前記発振器が配設された制御装置を備え、前記基準値信号可変手段が、前記非回転部に配設されたことを特徴とする。
【0084】
さらに、本発明(請求項25)である真空ポンプは、前記磁性体又は前記導電体を有する回転部と、前記センサコイルが配設された非回転部と、前記発振器が配設された制御装置を備え、前記差信号増幅率可変手段が、前記非回転部に配設されたことを特徴とする。
【0085】
さらに、本発明(請求項26)である真空ポンプは、前記物理量に対し、しきい値を設定するしきい値設定手段を備えて構成した。
【0086】
周波数特性可変手段と、発振周波数可変手段、基準値信号可変手段、しきい値設定手段の内のいずれか少なくとも一つを、例えば、図3のターボ分子ポンプの底蓋145の内側周辺などに配置する。これにより、底蓋145を外すだけで、作業者が容易にセンサ感度と、物理量の計測対象範囲、しきい値のいずれか少なくとも一つを調整することができるとともに、真空ポンプ本体と制御装置の互換性を向上することができる。
【0087】
さらに、本発明(請求項27)である真空ポンプは、前記非浮上部と前記制御装置間を接続するケーブルのインダクタンス、静電容量、抵抗分に応じて、前記被変調電圧の周波数特性、前記高周波電圧の周波数、前記被変調電圧の値、前記計測信号の値の内のいずれか少なくとも一つを補正する補正手段を前記制御装置に備えて構成した。
【0088】
これにより、上記発明の物理量計測装置又は磁気浮上装置と同様の効果を奏する真空ポンプを提供することが可能となる。
【0089】
さらに、本発明(請求項28)である真空ポンプは、円筒部の内周側又は下端に前記磁性体又は前記導電体を有する回転部と、前記磁性体又は前記導電体と対向する前記センサコイル又は該センサコイルのコアが配設された非回転部と、前記発振器が配設された制御装置を備えて構成した。
【0090】
さらに、本発明(請求項29)である真空ポンプは、前記磁性体又は前記導電体の前記センサコイル又は該センサコイルのコアと対向する対向面が、前記回転部の回転中心軸に対して直角であることを特徴とする。
【0091】
例えば、図6の構成のターボ分子ポンプは、半導体製造装置に使用される場合に、半導体製造装置のチャンバー内に連続的に供給されるプロセスガスを排気するために、回転体103の円筒部102dとプロセスガスの間の摩擦などにより、円筒部102dの温度が上昇する。
【0092】
そして、円筒部102dの温度が上昇すると、円筒部102dは、自らに作用する遠心力によって円周方向の残留歪が増加し、外周径が大きくなってネジ付きスペーサ131と接触したり、自らの材料強度が低下し、遠心力に耐えられず破壊したりする。
【0093】
これらの不具合を防止するために、ターボ分子ポンプは、運転中に円筒部102dの温度を連続的あるいは定期的に計測し、温度がしきい値を超えたときに、アラームを表示したり、回転体103の回転を減速あるいは停止したりすることが望まれる。
【0094】
円筒部102dの温度を計測する代わりに、予め、実験により、回転体103の所定の箇所の温度と円筒部102dの温度の間の関係式を求め、この所定の箇所の温度を計測し、この関係式に基づいて、円筒部102dの温度を算出しても良いが、この場合には、この関係式が、プロセスガスの種類や流量、回転体103の温度などによって変動するため、これらの条件を変えて膨大な実験を行ない、その結果に基づいて、ターボ分子ポンプが運転しているときのこれらの条件に応じて、この関係式を修正しなければならない。
したがって、磁性体又は導電体を円筒部102dに配置して、直接円筒部102dの温度を計測することが望ましいが、磁性体又は導電体を円筒部102dの外周側に配置すると、磁性体又は導電体に作用する遠心力の向きが、磁性体又は導電体を円筒部102dから引き離す向きとなり、磁性体又は導電体を円筒部102dに固定する固定強度が経時変化などによって低下すると、磁性体又は導電体は円筒部102dから脱落する恐れがある。さらに、半導体製造装置のプロセスガスの多くは腐食性を持ち、円筒部102dの外周側はこのプロセスガスの流路であるため、磁性体又は導電体は、このプロセスガスにさらされ腐食してしまう。
【0095】
このため、本発明の真空ポンプは、磁性体又は導電体を回転部の円筒部の内周側に配置する。これにより、磁性体又は導電体に作用する遠心力の向きが、磁性体又は導電体を円筒部102dに押し付ける向きとなり、磁性体又は導電体を円筒部102dに固定する固定強度が低下しても、磁性体又は導電体は円筒部102dから脱落することは少ない。また、電装部には、腐食防止のために、ベース129に設けられたパージポートを通じて窒素などのパージガスが導入されており、このパージガスが電装部のハウジング122の上端の軸穴開口部から円筒部102dの内周面とハウジング122の外周面の間を通って、円筒部102dの下端でプロセスガスと合流する。このパージガスの流れによって、円筒部102dの内周側にプロセスガスが進入することは少なく、磁性体又は導電体の腐食を低減することができる。
そして、円筒部102dの温度がしきい値を超えたときに、ターボ分子ポンプは、アラームを表示したり、ターボ分子ポンプに連動する装置にアラーム信号を出力したり、回転体103の回転を減速あるいは停止したりする。
【0096】
さらに、ターボ分子ポンプは、上述したように、円筒部102dの温度が上昇すると、円筒部102dは、回転中に自らに作用する遠心力によって円周方向の残留歪が増加し、外周側に膨らんで変形する。その結果、円筒部102dの内周径diも大きくなり、センサコイル1は、磁性体又は導電体との距離が増加し、インダクタンスが変化する。これにより、温度検出値に誤差が生じる。
【0097】
このため、本発明の真空ポンプは、図9のように構成しても良い。すなわち、円筒部102dに配設された磁性体又は導電体m1のセンサコイル1又はそのコア1cとの対向面を、回転体103の回転中心軸O−O‘に対して直角になるようにする。そして、センサコイル1又はコア1cを、回転体103の回転中に、回転中心軸O−O’と平行な方向に磁性体又は導電体m1と対向するように、非回転部に配設する。これにより、円筒部102dが外周側に変形しても、磁性体又は導電体m1とセンサコイル1又はコア1cの距離の変化は小さいので、温度検出値の誤差の発生を少なくすることができる。また、磁性体又は導電体m1の回転中心軸O−O’に対して直角な径方向の大きさを、特に円筒部102dの内周側へ、センサコイル1又はコア1cの磁性体又は導電体m1と対向する部分より大きくすることにより、円筒部102dが外周側に変形しても、磁性体又は導電体m1とセンサコイル1又はコア1cの対向面積を機能上問題の無い程度に確保することができる。また、円筒部102dの変形はその下端に近い位置ほど大きいので、磁性体又は導電体m1を円筒部102dの内周側でより上部に配設することにより、円筒部102dの変形による影響をより小さくすることができる。
【0098】
さらに、磁性体又は導電体のプロセスガスによる腐食が許容できる程度である場合には、図10に示すように、磁性体又は導電体m1を円筒部102dの下端に配設し、センサコイル1又はコア1cを、回転体103の回転中に、回転中心軸O−O’と平行な方向に磁性体又は導電体m1と対向するように、非回転部に配設しても良い。この場合にも、磁性体又は導電体m1の回転中心軸O−O’に対して直角な径方向の大きさを、特に円筒部102dの内周側へ大きくすることにより、円筒部102dが外周側に変形しても、磁性体又は導電体m1とセンサコイル1又はコア1cの対向面積を必要十分に確保することができる。
【0099】
さらに、本発明(請求項30)である真空ポンプは、前記回転部が、該回転部の回転中心軸と前記磁性体又は前記導電体を通って想定される平面上の位置に、錘、厚肉部、薄肉部の内のいずれか少なくとも一つを有することを特徴とする。
【0100】
磁性体又は導電体を回転部に配置すると、磁性体又は導電体の質量が付加されたことによって回転部に不釣合いが発生し、真空ポンプが振動したり、大きな軸支力を有する軸受若しくは高強度の軸受を必要としたり、軸受の寿命が低下したりする。このため、本発明の真空ポンプは、回転部が、その回転中心軸と磁性体又は導電体を通って想定される平面上の位置に、錘、厚肉部、薄肉部の内のいずれか少なくとも一つを有する。錘としては、耐腐食性のステンレスなどの金属材、樹脂材などの非金属材、熱硬化性の接着剤などがあげられる。
【0101】
さらに、本発明の真空ポンプ(請求項31)は、前記磁性体又は前記導電体が、前記回転部の回転中心軸に関して対象に配置又は形成されたことを特徴とする。
【0102】
磁性体又は導電体を、例えば、回転部の回転中心軸に関して対象な円形状又はリング形状としたり、磁性体又は導電体を分割して配置する場合には、回転部の回転中心軸に対して垂直に想定される平面上に、回転部の回転中心軸を挟むように対をなして、回転部に配置したりする。
【0103】
これにより、磁性体又は導電体の質量が付加されたことによって生じる回転部の不釣合いを低減することができる。
【0104】
さらに、本発明(請求項32)である真空ポンプは、前記磁性体又は前記導電体と前記錘の内のいずれか少なくとも一つが、密封手段により密封されていることを特徴とする。
【0105】
これにより、半導体製造装置のプロセスガスが、上述のパージガスの流れに逆らって回転部の内周側に進入しても、磁性体又は導電体の腐食を低減することができる。密封手段としては、めっき、被膜、コーティング材、モールド材、接着剤、容器、磁性体又は導電体の耐食性の表層などがあげられる。
【0106】
さらに、本発明(請求項33)である真空ポンプは、前記磁性体又は前記導電体と前記錘の内のいずれか少なくとも一つが、熱硬化性の接着剤で前記回転部に固定されたことを特徴とする。
【0107】
磁性体又は導電体、質量体を熱硬化性の接着剤で回転部に接着し、ドライヤーなどの温風機器で接着剤を加熱することにより、接着剤の硬化時間を短縮し、真空ポンプの製造工程を効率化することができる。
【発明の効果】
【0108】
以上説明したように本発明によれば、センサの取り付け位置調整をすることなく良好なセンサの感度及び計測信号を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の第1実施形態であるセンサ感度調整回路の等価回路
【図2】本発明の第2実施形態であるセンサ感度調整回路の等価回路
【図3】温度センサの設置箇所
【図4】不釣合い低減のための磁性体又は導電体と錘の設置箇所
【図5】磁性体の温度と温度センサのインダクタンスの関係
【図6】ターボ分子ポンプ本体の縦断面図
【図7】位置センサの等価回路
【図8】発振器のキャリア周波数とセンサの出力電圧の周波数特性との関係
【図9】磁性体又は導電体とセンサコイルの配置の別例(縦断面図)
【図10】磁性体又は導電体とセンサコイルの配置の更なる別例(縦断面図)
【発明を実施するための形態】
【0110】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の第1実施形態である位置センサ10の等価回路を図1に示す。上側径方向位置センサ107、下側径方向位置センサ108、軸方向位置センサ109のそれぞれの1つのセンサは、図1の等価回路によって表される。
なお、図7と同一要素のものについては同一符号を付して説明は省略する。
【0111】
図1において、センサコイル1には、周波数特性可変手段としての可変抵抗5及び可変コンデンサ6が接続されている。センサコイル1は、回転体103に対向して配置されており、回転体103に固定された磁性体又は導電体の位置に応じてインダクタンスが変化する。そして、発振器4から供給された高周波電圧は、センサコイル1のインダクタンス変化によって振幅変調される。なお、この高周波電圧の周波数としては、10k〜10MHz若しくはそれ以上の周波数が使用される。
【0112】
そして、この振幅変調された被変調電圧は、整流回路7によって直流電圧に変換され、増幅器8に入力されるようになっている。増幅器8は、この入力された直流電圧を増幅して出力する。増幅度kは可変抵抗9により調整自在である。可変抵抗5及び可変コンデンサ6は真空ポンプ本体内部に配設されている。
【0113】
かかる構成において、可変抵抗5及び可変コンデンサ6を調整することで被変調電圧の周波数特性を変化させ共振周波数fnやQ値を変化させる。このとき、周波数特性の傾斜部分である検出領域内にキャリア周波数が入るように、望ましくはキャリア周波数が最大傾斜部分に一致するように調整する。
【0114】
このことにより、従来のように、センサコイル1又はそのコアの機械的な位置調整は必要ではなく、可変抵抗5及び可変コンデンサ6を調整するだけで、良好なセンサの感度調整を簡単に行うことができる。
【0115】
このため、位置センサが真空ポンプ内部の構造的に人の手が入りにくい場所に配置されていても基板上の回路調整をするだけで済む。
【0116】
なお、可変抵抗5と可変コンデンサ6を調整することで被変調電圧の周波数特性を調整するとして説明したが、キャリア周波数側を固定ではなく可変として、被変調電圧の周波数特性との間で良好なセンサの感度調整を行うようにしても良い。
【0117】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、図1と同一要素のものについては同一符号を付して説明は省略する。
【0118】
図2は、回転体103の温度を非接触に計測する温度センサの等価回路である。この温度センサも、インダクタンス型センサ若しくは渦電流型センサによって構成される。インダクタンス型センサによって構成される場合には、回転体103の被温度計測部に磁性体が配置され、回転体103の温度が変化すると、この磁性体の透磁率が変化し、センサコイル1のインダクタンスが変化する。一方、渦電流型センサによって構成される場合には、回転体103の被温度計測部に導電体が配置され、回転体103の温度が変化すると、この導電体の抵抗が変化し、それに伴ってこの導電体に流れる渦電流の大きさも変化し、センサコイル1のインダクタンスが変化する。
【0119】
図2において、センサ出力差動手段としての差動増幅器20の入力端子21には、整流回路7によって被変調電圧から変換された直流電圧V1が入力されるようになっている。
この被変調電圧は、可変抵抗5及び可変コンデンサ6により感度調整されたものである。一方、入力端子22には基準値信号としての基準値信号電圧V2が入力されるようになっている。そして、差動増幅器20は、入力された直流電圧V1と基準値信号電圧V2との差を増幅した電圧VOを出力端子23に出力する。差動増幅器20の増幅率は、抵抗R1、R2の抵抗値によって定まる。そして、電圧VOは、フィルタ手段としての遮断周波数を1Hz若しくはそれ以下とする図示しないローパスフィルタを通して出力される。また、基準値信号電圧V2の値を回転体103の温度の計測対象範囲の下限値に対応する直流電圧V1の値と等しくなるように設定し、センサの出力信号の値の全範囲を温度の計測対象範囲に対応させる。
【0120】
これにより、センサ感度が向上し、センサの計測信号を増幅器で増幅する場合にも、温度の計測対象範囲の下限値よりも低い値に対応する計測信号の値を増幅することはないので、消費電力を低減でき、出力飽和電圧の高い増幅器も必要としないので、温度センサの高コスト化を緩和することもできる。さらに、回転体103の位置の変動による温度の計測誤差を低減することができる。
【0121】
なお、基準値信号電圧V2は、基準値信号可変手段としての図示しない基準値信号電圧可変回路30によって調整できるようになっている。これにより、磁性体の透磁率又は導電体の抵抗と、センサ回路、発振器などの特性のばらつきによる温度の計測対象範囲の設定誤差を補正したり、計測条件などに応じて、この計測対象範囲を調整したりすることができる。
【0122】
温度センサは、図3に示すような箇所での配置が考えられる。すなわち、回転体103の内側の箇所11A、11B、11C、11Dなどの内のいずれか少なくとも1箇所に磁性体又は導電体を固定し、電装部のハウジング122の外側の箇所12A、12B、12C、12Dなどの内の回転体103に固定された磁性体又は導電体に対峙する箇所に、センサコイル1又はそのコアを配設する。センサコイル1又はそのコアの配設箇所は、いずれも人の手が入りにくい場所であるが、上記の構成により、センサコイル1又はそのコアの機械的な位置調整を必要とせずに、センサ感度を適切に調整することができる。なお、磁性体又は導電体は、プロセスガスから密封するために耐食コーティングが施され、熱硬化性の接着剤で回転体103に固定される。
【0123】
さらに、回転体103は、磁性体又は導電体が固定されたことによって生じる不釣合いを低減することが望ましいが、この場合の例を図4(A)、図4(B)に示す。図4(B)は図4(A)のP−P’線断面図である。また、図4(A)は図4(B)のQ−Q’線断面図である。
図4(A)及び図4(B)において、回転体103の回転中心軸O−O’(図中、見易くするために、ロータ軸113の記載を省略した)と磁性体又は導電体m1(図中、左側の交差斜線部)を通って想定される平面P−P’上の位置であって、磁性体又は導電体m1と回転中心軸O−O’に関して対象な位置m2(図中、右側の交差斜線部)に、磁性体又は導電体m1と同等の質量を有するステンレス製の錘150(図示略)が熱硬化性の接着剤で固定される。なお、錘150を回転体103に固定する代わりに、磁性体又は導電体を、回転中心軸O−O’に関して対象な円形状又はリング形状M(図中、m1及びm2を含む斜線部)としても良いし、回転中心軸O−O’に関して互いに対象な位置m1、m2に分割して配置しても良い。或いは、回転体103のa、b、cのそれぞれ点線で囲まれた部分などを肉盗みすることで、回転体103に薄肉部を設けても良い。また、磁性体又は導電体を、回転中心軸O−O’に関して対象な円形状又はリング形状Mとしない場合には、センサコイル1は、回転体103の回転に同期して断続的に磁性体又は導電体に対峙する。この場合には、モータの転流制御用の回転角度センサの出力信号などに基づいて、センサコイル1が磁性体又は導電体に対峙する時間を特定し、この時間に温度を計測すれば良い。
【0124】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本発明の第3実施形態は、上記の第2実施形態の温度センサを用い、更に、回転体103に固定された磁性体の温度がキュリー温度を超えたときに、この磁性体の透磁率が急激に低下する現象を利用して、回転体103の異常高温を検知するものである。本実施形態の温度センサの等価回路は、第2実施形態と同様なので説明を省略する。
【0125】
図5に磁性体の温度とセンサコイルのインダクタンスの関係を示す。インダクタンスは、磁性体の温度がキュリー温度を超えると急激に低下する。このため、図中一点鎖線で示すように、このキュリー温度を超えた時点で温度異常が検出できるようにインダクタンスのしきい値を設定する。
【0126】
ただし、図5に示すように、キュリー温度よりも低い温度においては、インダクタンスは温度の低下に従って減少するため、温度がキュリー温度を超えた場合にのみしきい値が温度−インダクタンス特性曲線と交差するように設定すると、この設定可能な範囲(点線で上下を挟んだ間)は狭いものである。磁性体の透磁率やセンサ回路と発振器の特性のばらつきなども考慮すると、更に狭いものとなる。
【0127】
しかしながら、第2実施形態で述べたように、被変調電圧の周波数特性を可変抵抗5と可変コンデンサ6を用いて調整するとともに、整流回路7によって被変調電圧を直流電圧V1に変換し、この直流電圧V1と基準値信号電圧V2を差動増幅器20に入力し、この差動増幅器20が直流電圧V1と基準値信号電圧V2の差を増幅した電圧VOを出力することで、このしきい値の設定可能範囲は広く取れる。この場合には、図5の上の点線よりも大きなインダクタンスに対応する温度においては、電圧VOは飽和しても良いので、差動増幅器20の増幅率を大きくすることもできる。
【0128】
これにより、しきい値の設定を容易に行うことができ、出力飽和電圧の高い増幅器も必要としないので、真空ポンプの高コスト化を緩和することができる。
【0129】
この点は、従来技術の特許文献1で紹介したターボ分子ポンプの回転体に第1と第2の2つの磁性体を配置し、それぞれの被変調電圧の振幅信号の差を取ることにより、回転体の温度がキュリー温度を超えたことを検知するという構成においても、本実施形態を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【0130】
すなわち、第1と第2の両方の磁性体のキュリー温度より低い温度において、振幅信号の差がゼロになることが望ましいが、両方の磁性体を、温度−インダクタンス特性曲線が精度良く一致するように製造することは困難であることと透磁率のばらつきなどに起因して、振幅信号の差はゼロにはならず大きなばらつきを持つ。
【0131】
このため、一方の磁性体がそのキュリー温度を超えたことによって振幅信号の差が変化したことを判定するしきい値の設定可能範囲が狭まり、異常高温の誤検知が起こり易くなったり、これを改善するために振幅信号の差を増幅する場合にも、一方の磁性体がそのキュリー温度を超える前から発生していた振幅信号の差のオフセット成分も増幅することを余儀なくされ消費電力が増大したり、出力飽和電圧の高い増幅器を必要とし真空ポンプが高コスト化したりする。
【0132】
しかしながら、差動増幅器20の入力端子21に振幅信号の差を入力し、基準値信号電圧V2を、回転体の温度が第1と第2の磁性体の両方のキュリー温度より低いときの振幅信号の差と等しくなるように設定することにより、差動増幅器20は、不要なオフセット成分の殆どをカットした上で振幅信号の差の増幅電圧を出力端子23に出力する。更に、基準値信号電圧V2を調整することにより、この増幅電圧のばらつきを所定の範囲内に収めることができる。
【0133】
これにより、しきい値の設定が簡単に行え、かつ異常高温の誤検知と消費電力を低減し、出力飽和電圧の高い増幅器を必要としないので真空ポンプの高コスト化を緩和することができる。
【0134】
なお、第1実施形態と第2実施形態においては、可変抵抗5と可変コンデンサ6、あるいは発振周波数可変手段を、真空ポンプ本体の非回転部に配置し、工場製造時にセンサの感度を所定の範囲内に収まるように調整しておくことで、真空ポンプ本体とコントローラの互換性を向上することができる。さらに、第2実施形態と第3実施形態においては、可変抵抗5と可変コンデンサ6、あるいは発振周波数可変手段とともに、差動増幅器20と基準値信号電圧可変回路30を真空ポンプ本体の非回転部に配置し、工場製造時に差動増幅器20の出力電圧を所定の範囲内に収まるように調整しておくことで、真空ポンプ本体とコントローラの互換性をさらに向上することができる。これにより、真空ポンプ本体とコントローラのいずれかを故障などにより交換するときに、技術者が測定器などの必要な機材を帯同して真空ポンプの設置場所に赴きセンサの調整を行う作業を削減若しくは簡略化することができる。
【0135】
ところで、本発明の物理量計測装置を、計測対象の物理量の値が増加したときに計測信号の値が増加する場合を例にとり説明したが、キャリア周波数fsと被変調電圧の共振周波数fnの大小関係(fs<fn,若しくはfs>fn)と計測対象の物理量によっては、物理量の値が増加したときに計測信号の値が減少する場合もある。この場合には、物理量計測装置の設計において、キャリア周波数fsと被変調電圧の共振周波数fnの大小関係を変えたり、あるいは被変調電圧から変換された直流電圧を所定電圧から減算する減算回路を設けたりするなどして、物理量の値が増加したときに計測信号の値が増加するようにすることができる。
さらに、物理量計測装置が渦電流型センサで構成される場合には、被計測体を物理量の計測に適した導電体の材料で形成すれば、被計測体と物理量計測装置の導電体を一体に構成することができる。
そして、本発明がこれらの変形例を含むものであることは言うまでも無い。
【符号の説明】
【0136】
1 センサコイル
2 抵抗
3 コンデンサ
4 発振器
5、9 可変抵抗
6 可変コンデンサ
7 整流回路
8 増幅器
11A、11B、11C、11D 磁性体又は導電体の配置位置
12A、12B、12C、12D センサーコイル又はそのコアの配置位置
20 差動増幅器
21、22 入力端子
23 出力端子
30 基準値信号電圧可変回路
100 ターボ分子ポンプ本体
103 回転体
102d 回転体の円筒部
104 上側径方向電磁石
105 下側径方向電磁石
106 軸方向電磁石
107 上側径方向位置センサ
108 下側径方向位置センサ
109 軸方向位置センサ
113 ロータ軸
121 モータ
141 電子回路部
143 基板
150 錘
160 コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被計測体の物理量を計測する物理量計測装置であって、
前記被計測体に固設された磁性体又は導電体と、
前記物理量の変化に伴いインダクタンスが変化するセンサコイルと、
該センサコイルに高周波電圧を供給する発振器と、
前記センサコイルのインダクタンス変化により振幅変調された被変調電圧に基づいて前記物理量の計測信号を出力するセンサ回路と、
前記被変調電圧の周波数特性の変更を可能とする周波数特性可変手段を備えたことを特徴とする物理量計測装置。
【請求項2】
前記周波数特性可変手段が可変コンデンサ及び/又は可変抵抗を備え、
該可変コンデンサ及び/又は該可変抵抗が前記センサコイルに接続されたことを特徴とする請求項1に記載の物理量計測装置。
【請求項3】
被計測体の物理量を計測する物理量計測装置であって、
前記被計測体に固設された磁性体又は導電体と、
前記物理量の変化に伴いインダクタンスが変化するセンサコイルと、
該センサコイルに高周波電圧を供給する発振器と、
前記センサコイルのインダクタンス変化により振幅変調された被変調電圧に基づいて前記物理量の計測信号を出力するセンサ回路と、
前記高周波電圧の周波数の変更を可能とする発振周波数可変手段を備えたことを特徴とする物理量計測装置。
【請求項4】
被計測体の物理量を計測する物理量計測装置であって、
前記被計測体に固設された磁性体又は導電体と、
前記物理量の変化に伴いインダクタンスが変化するセンサコイルと、
該センサコイルに高周波電圧を供給する発振器と、
前記センサコイルのインダクタンス変化により振幅変調された被変調電圧に基づいて前記物理量の計測信号を出力するセンサ回路と、
前記計測信号の基準値信号を生成する基準値信号生成手段と、
前記計測信号と前記基準値信号の値の差の信号又は該差を増幅した信号を出力するセンサ出力差動手段を備えたことを特徴とする物理量計測装置。
【請求項5】
前記基準値信号の値の変更を可能とする基準値信号可変手段を備えたことを特徴とする請求項4記載の物理量計測装置。
【請求項6】
前記基準値信号可変手段が可変コンデンサ及び/又は可変抵抗を備えたことを特徴とする請求項5記載の物理量計測装置。
【請求項7】
前記センサ出力差動手段が、前記計測信号と前記基準値信号の値の差の信号の増幅率の変更を可能とする差信号増幅率可変手段を備えたことを特徴とする請求項4記載の物理量計測装置。
【請求項8】
前記物理量が前記被計測体の位置、変位、温度の内のいずれか少なくとも一つであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の物理量計測装置。
【請求項9】
前記物理量が前記被計測体の温度であって、
前記被変調電圧に基づく信号の所定の周波数帯域の成分を減衰させるフィルタ手段を備え、
前記フィルタ手段を介して前記計測信号を出力することを特徴とする請求項8記載の物理量計測装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の物理量計測装置を搭載した磁気浮上装置であって、
該磁気浮上装置が、
磁力によって浮上支持され、前記磁性体又は前記導電体を有する浮上部と、
前記磁力を生成する磁石を有し、前記センサコイルが配設された非浮上部と、
前記発振器が配設された制御装置を備えたことを特徴とする磁気浮上装置。
【請求項11】
前記周波数特性可変手段が前記非浮上部に配設されたことを特徴とする請求項10記載の磁気浮上装置。
【請求項12】
前記発振周波数可変手段が前記非浮上部に配設されたことを特徴とする請求項10記載の磁気浮上装置。
【請求項13】
前記基準値信号可変手段が、前記非浮上部に配設されたことを特徴とする請求項10〜12のいずれか一項に記載の磁気浮上装置。
【請求項14】
前記差信号増幅率可変手段が、前記非浮上部に配設されたことを特徴とする請求項10〜13のいずれか一項に記載の磁気浮上装置。
【請求項15】
前記物理量に対し、しきい値を設定するしきい値設定手段を備えたことを特徴とする請求項10〜14のいずれか一項に記載の磁気浮上装置。
【請求項16】
前記非浮上部と前記制御装置間を接続するケーブルのインダクタンス、静電容量、抵抗分に応じて、前記被変調電圧の周波数特性、前記高周波電圧の周波数、前記被変調電圧、前記計測信号の値の内のいずれか少なくとも一つを補正する補正手段を前記制御装置に備えたことを特徴とする請求項10〜15のいずれか一項に記載の磁気浮上装置。
【請求項17】
磁性体又は導電体を有する回転部と、
前記回転部の物理量の変化に伴いインダクタンスが変化するセンサコイルが配設された非回転部と、
前記センサコイルに高周波電圧を供給する発振器と、前記センサコイルのインダクタンス変化により振幅変調された被変調電圧に基づいて前記物理量の計測信号を出力するセンサ回路とが配設された制御装置を備えたことを特徴とする真空ポンプ。
【請求項18】
前記物理量が前記回転部の位置、変位、温度の内のいずれか少なくとも一つであることを特徴とする請求項17記載の真空ポンプ。
【請求項19】
前記物理量が前記回転部の温度であって、
前記被変調電圧に基づく信号の所定の周波数帯域の成分を減衰させるフィルタ手段を備えたことを特徴とする請求項17又は18記載の真空ポンプ。
【請求項20】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の物理量計測装置を備えたことを特徴とする真空ポンプ。
【請求項21】
請求項10〜16のいずれか一項に記載の磁気浮上装置を備えたことを特徴とする真空ポンプ。
【請求項22】
前記磁性体又は前記導電体を有する回転部と、
前記センサコイルが配設された非回転部と、
前記発振器が配設された制御装置を備え、
前記周波数特性可変手段が前記非回転部に配設されたことを特徴とする請求項20又は21記載の真空ポンプ。
【請求項23】
前記磁性体又は前記導電体を有する回転部と、
前記センサコイルが配設された非回転部と、
前記発振器が配設された制御装置を備え、
前記発振周波数可変手段が前記非回転部に配設されたことを特徴とする請求項20又は21記載の真空ポンプ。
【請求項24】
前記磁性体又は前記導電体を有する回転部と、
前記センサコイルが配設された非回転部と、
前記発振器が配設された制御装置を備え、
前記基準値信号可変手段が、前記非回転部に配設されたことを特徴とする請求項20〜23のいずれか一項に記載の真空ポンプ。
【請求項25】
前記磁性体又は前記導電体を有する回転部と、
前記センサコイルが配設された非回転部と、
前記発振器が配設された制御装置を備え、
前記差信号増幅率可変手段が、前記非回転部に配設されたことを特徴とする請求項20〜24のいずれか一項に記載の真空ポンプ。
【請求項26】
前記物理量に対し、しきい値を設定するしきい値設定手段を備えたことを特徴とする請求項17〜25のいずれか一項に記載の真空ポンプ。
【請求項27】
前記非浮上部と前記制御装置間を接続するケーブルのインダクタンス、静電容量、抵抗分に応じて、前記被変調電圧の周波数特性、前記高周波電圧の周波数、前記被変調電圧、前記計測信号の値の内のいずれか少なくとも一つを補正する補正手段を前記制御装置に備えたことを特徴とする請求項17〜26のいずれか一項に記載の真空ポンプ。
【請求項28】
円筒部の内周側又は下端に前記磁性体又は前記導電体を有する回転部と、
前記磁性体又は前記導電体と対向する前記センサコイル又は該センサコイルのコアが配設された非回転部と、
前記発振器が配設された制御装置を備えたことを特徴とする請求項17〜27のいずれか一項に記載の真空ポンプ。
【請求項29】
前記磁性体又は前記導電体の前記センサコイル又は該センサコイルのコアと対向する対向面が、前記回転部の回転中心軸に対して直角であることを特徴とする請求項28記載の真空ポンプ。
【請求項30】
前記回転部が、該回転部の回転中心軸と前記磁性体又は前記導電体を通って想定される平面上の位置に、錘、厚肉部、薄肉部の内のいずれか少なくとも一つを有することを特徴とする請求項28又は請求項29記載の真空ポンプ。
【請求項31】
前記磁性体又は前記導電体が、前記回転部の回転中心軸に関して対象に配置又は形成されたことを特徴とする請求項28〜30のいずれか一項に記載の真空ポンプ。
【請求項32】
前記磁性体又は前記導電体と前記錘の内のいずれか少なくとも一つが、密封手段により密封されていることを特徴とする請求項28〜31のいずれか一項に記載の真空ポンプ。
【請求項33】
前記磁性体又は前記導電体と前記錘の内のいずれか少なくとも一つが、熱硬化性の接着剤で前記回転部に固定されたことを特徴とする請求項17〜32のいずれか一項に記載の真空ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−101145(P2013−101145A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−19821(P2013−19821)
【出願日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【分割の表示】特願2009−394(P2009−394)の分割
【原出願日】平成21年1月5日(2009.1.5)
【出願人】(508275939)エドワーズ株式会社 (18)
【Fターム(参考)】