説明

真空処理装置、基板搬送方法

【課題】複数枚の基板を一台のハンドに乗せて正確な位置に搬送する。
【解決手段】ハンドに設けられた第一、第二の載置部15a,15bと、第一、第二の台座9a,9bとの間の距離が異なるように高さを違えておき、搬送室内から処理室内に基板16a,16bを第一、第二の台座9a,9b上に配置する際に、先ず、距離が近い方の第一の載置部15aと第一の台座9aとを位置合わせし、第一、第二の載置部15a,15bを降下させ、近い方の第一の台座9a上に基板16aを載置し、第一の載置部15aを基板16aの裏面から離間させた状態で、他方の第二の載置部15bと第二の台座9bを位置合わせし、基板16bを配置する。基板16a,16bを一枚ずつ位置合わせして配置することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板搬送方法に係り、特に、複数枚の基板を一緒に搬送する基板搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、処理速度の高速化のために、複数の基板を同時に運搬できる複数枚搬送型の搬送ロボットが開発されている。
【0003】
図6は、基板搬送方法の従来技術の内容を説明するための平面図である。同図に記載された搬送ロボット10は、伸縮自在なアーム部20の一端が回転軸12a,12bに取り付けられており、他端にはハンド25が設けられている。ハンド25は、第一,第二の載置部15a,15bを有しており、各載置部15a,15bには、基板16a,16bを一枚ずつ載置できるように構成されている。
回転軸12a,12bと、該回転軸12a,12bが取り付けられた台座11が回転すると、ハンド25は、直線移動と回転移動する。
【0004】
この搬送ロボット10は、図7に示すような、マルチチャンバ型の真空処理装置50の搬送室51の内部に配置されており、基板が配置されたハンド25を搬送室51に接続された処理室542の内部に挿入し、処理室542内に基板を配置する。
【0005】
該処理室542内で薄膜形成等の真空処理が終了した後、処理室542内にハンド25を挿入し、ハンド25上に基板を乗せて搬出する。
処理室541,542の内部では基板が配置される位置は決まっており、その位置を第一,第二の処理位置8a,8bとすると、第一,第二の載置部15a,15b上の基板16a,16bを、それぞれ第一,第二の処理位置8a,8b上に正確に配置する必要がある。
【0006】
しかし、第一,第二の載置部15a,15bのいずれか一方を対応する第一,第二の処理位置8a又は8bに位置合わせすることはできても、設置誤差等により、第一,第二の処理位置8a,8b間の距離や向きを第一,第二の載置部15a,15b間の距離や向きと完全に一致させることができないから、第一,第二の載置部15a,15bの両方を、第一,第二の処理位置8a,8bに対して同時に位置合わせすることはできない。
【0007】
図6は、設置誤差により、ハンド25の直線移動方向Vと第一,第二の載置部15a,15bの中心点Pa,Pbを結ぶ線分F1とが成す角度θ1、θ21=θ2)と、ハンド25の直線移動方向Vと第一,第二の処理位置8a,8bの中心点Qa,Qbを結ぶ線分F2の成す角度φ1,φ21=φ2)とが等しくない場合を示している。このような設置誤差があると、アーム部20の伸縮と台座11の回転でハンド25を移動させるだけでは、第一,第二の載置部15a,15b上の基板16a,16bを第一,第二の処理位置8a,8bに同時に正確に置くことはできない。
【0008】
搬送ロボットは例えば下記文献に記載されている。
【特許文献1】特開平10−275848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記ハンド上に配置された複数枚の基板を、処理位置に正確に配置することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は、処理室と、前記処理室に接続された搬送室とを有し、前記搬送室には、同一方向に同一距離一緒に移動される第一,第二の載置部を有する搬送ロボットが配置され、前記第一,第二の載置部に基板をそれぞれ水平に配置して、前記第一,第二の載置部を前記搬送室内から前記処理室内に移動させ、前記処理室内に設定された第一,第二の処理位置上に前記基板をそれぞれ配置するように構成された真空処理装置であって、前記第一,第二の載置部は先端が離間し、開口が形成された水平な二本の指部をそれぞれ有し、前記第一,第二の処理位置には、高さが異なり、前記第一,第二の載置部の前記指部間に挿入可能な第一,第二の台座がそれぞれ配置され、前記指部間に前記第一,第二の台座を挿入させ、前記第一,第二の載置部を水平方向に移動させ、前記指部間の開口を通して前記第一,第二の台座を前記第一,第二の載置部の前記指部間から抜去できるように構成された真空処理装置である。
また、本発明は、処理室と、前記処理室に接続された搬送室とを有し、前記搬送室には、同一方向に同一距離一緒に移動される第一,第二の載置部を有する搬送ロボットが配置され、前記第一,第二の載置部に基板をそれぞれ水平に配置して、前記第一,第二の載置部を前記搬送室内から前記処理室内に移動させ、前記処理室内に設定された第一,第二の処理位置上に前記基板をそれぞれ配置するように構成された真空処理装置であって、前記第一,第二の載置部は先端が離間し、開口が形成された水平な二本の指部をそれぞれ有し、前記第一の載置部の前記指部と前記第二の載置部の前記指部は異なる高さに配置され、前記第一,第二の処理位置には、前記第一,第二の載置部の前記指部間に挿入可能な第一,第二の台座がそれぞれ配置され、前記指部間に前記第一,第二の台座を挿入させ、前記第一,第二の載置部を水平方向に移動させ、前記指部間の開口を通して前記第一,第二の台座を前記第一,第二の載置部の前記指部間から抜去できるようにに構成された真空処理装置である。
また、本発明は、前記第一,第二の載置部は、一緒に、鉛直な一の主回転軸線を中心とする回転移動と、前記回転軸線と垂直に交叉する放射方向に伸びる直線に沿った直線移動とが可能に構成された真空処理装置である。
また、本発明は、第一,第二の載置部上に第一,第二の基板をそれぞれ配置し、前記第一,第二の載置部が相対的に静止した状態で、鉛直な主回転軸線を中心とする回転移動と、前記主回転軸線と垂直な直線と平行な方向の直線移動とにより、前記第一,第二の載置部を対応する第一,第二の処理位置上にそれぞれ移動させ、前記第一,第二の載置部上に前記第一,第二の基板をそれぞれ配置する基板搬送方法であって、予め、前記第一,第二の処理位置上にそれぞれ第一,第二の台座を設け、前記第一,第二の載置部を、前記第一,第二の台座の上方にそれぞれ位置させた状態では、前記第一の台座からの前記第一の載置部の高さが、前記第二の台座からの前記第二の載置部の高さよりも低いようにしておき、前記第一,第二の載置部を前記第一,第二の台座上にそれぞれ位置させ、前記第一の載置部を前記第一の台座に対して位置合わせして降下させ、前記第一の基板を前記第一の台座上に配置した後、前記第二の載置部を前記第二の台座に対して位置合わせして降下させ、前記第二の基板を前記第二の台座上に配置する基板搬送方法である。
【発明の効果】
【0011】
特殊な装置を設けなくても、ハンド上の複数の基板を正確な処理位置に配置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
<真空処理装置>
図1の符号50は、本発明の搬送方法を用いることができる搬送ロボットが配置された第一,第二例の真空処理装置を示している。この真空処理装置50は、搬送室51と、搬入室52と、搬出室53と、複数の処理室541〜543を有している。搬入室52と搬出室53と処理室541〜543は、搬送室51の周囲に配置され、内部が搬送室51の内部に接続されている。
【0013】
搬送ロボット10は、搬送室51の内部に配置されている。
搬送ロボット10の平面図を、図2、3に示す。
該搬送ロボット10は、台座(主回転軸)11と、第一,第二の副回転軸12a,12bと、アーム部20と、ハンド25とを有している。
【0014】
台座11と、第一,第二の副回転軸12a,12bは、それぞれモータ等の駆動装置に接続されており、台座11は、台座11の中央に位置する鉛直な主回転軸線31を中心に水平回転できるように構成されている。
第一,第二の副回転軸12a,12bは台座11に設けられており、台座11が回転すると第一,第二の副回転軸12a,12bも台座11と一緒に主回転軸線31を中心に回転するように構成されている。
第一,第二の副回転軸12a,12bの中心軸線は鉛直であり、その中心軸線を第一,第二の副回転軸線32a,32bとすると、第一,第二の副回転軸12a,12bは、第一,第二の副回転軸線32a,32bを中心に回転するように構成されている。
【0015】
アーム部20は、第一,第二の能動アーム13a,13bと、第一,第二の従動アーム14a,14bを有している。
第一,第二の能動アーム13a,13bの一端は第一,第二の副回転軸12a,12bに取り付けられており、第一,第二の副回転軸12a,12bが回転すると、第一,第二の能動アーム13a,13bは第一,第二の副回転軸線32a,32bを中心に回転する。
【0016】
第一,第二の副回転軸線32a,32bと主回転軸線31は互いに平行であり、同一の平面内に位置している。また、第一,第二の副回転軸線32a,32bは、主回転軸線31から等距離に位置している。
【0017】
第一,第二の能動アーム13a,13bの他端には、第一,第二の従動アーム14a,14bの一端が回転可能に取り付けられており、第一,第二の従動アーム14a,14bの他端には、ハンド25が回動可能に取り付けられている。
【0018】
図中、符号33a,33bは、第一,第二の能動アーム13a,13bに対する第一,第二の従動アーム14a,14bの第一,第二の回転中心を示しており、符号34a,34bは第一,第二の従動アーム14a,14bに対するハンド25の第一,第二の回動中心を示している。
第一,第二の回動中心34a,34bはハンド25に対して静止しており、従って、第一,第二の回動中心34a,34b間の距離は一定である。
【0019】
第一,第二の能動アーム13a,13bと第一,第二の従動アーム14a,14bが取り付けられた部分は規制プレート30に挿入されており、従って、第一,第二の回転中心33a,33bは規制プレート30に対して静止しており、第一,第二の回転中心33a,33b間の距離も一定である。
【0020】
第一,第二の副回転軸線32a,32bと第一,第二の回転中心33a,33bを結ぶ線分の水平成分(La,Lb)と、第一,第二の回転中心33a,33bと第一,第二の回動中心34a,34bを結ぶ線分の水平成分(Ma,Mb)の大きさは全て等しくされ(La=Lb=Ma=Mb)、また、第一,第二の副回転軸線32a,32b間の水平方向の距離と、第一,第二の回転中心33a,33b間の水平方向の距離と、第一,第二の回動中心34a,34b間の水平方向の距離は互いに平行であり、大きさが互いに等しくされている。
これにより、第一,第二の副回転軸12a,12bは、同方向に同一角度しか回転できない。
【0021】
第一,第二の回動中心34a,34bは、主回転軸線31と第一,第二の副回転軸線32a,32bとが位置する鉛直な平面内に位置しており、第一,第二の副回転軸12a,12bが回転してハンド25が移動する際にも、その関係が維持される。ハンド25の高さは一定であり、水平面内で移動するから、第一,第二の副回転軸12a,12bが回転し、アーム部20が伸縮する際には、ハンド25は、主回転軸線31を中心に放射方向に伸びる直線のうち、第一,第二の副回転軸線32a,32bと垂直に交叉する直線と平行に直線移動する。図2はアーム部20が縮み、ハンド25が放射方向に伸びる直線に沿って移動し、主回転軸線31に近づいた状態、図3は、反対方向の移動により、主回転軸線31から遠ざかった状態を示している。
【0022】
ハンド25には、基板16a,16bが配置される第一,第二の載置部15a,15bが設けられている。後述するように、第一例の真空処理装置1では、第一,第二の載置部15a,15bの高さは等しく、第二例の真空処理装置2では、第一,第二の載置部15a,15bの高さは異なっている。
【0023】
いずれにしろ、第一,第二の副回転軸12a,12bの回転によってハンド25が直線移動する際には、第一,第二の載置部15a,15bの中心点Pa,Pbは、ハンド25の主回転軸線31を中心に伸び、第一,第二の副回転軸線32a,32bと垂直に交叉する放射方向の直線と平行な方向に移動する。
【0024】
また、第一,第二の載置部15a,15bの中心点Pa,Pbは、台座11の回転によって、主回転軸線31を中心に回転移動する。
第一,第二の載置部15a,15b上に基板16a,16bがそれぞれ配置された状態で、ハンド25が直線移動と回転移動をすると、基板16a,16bを所望位置に搬送することができる。
【0025】
第一,第二の載置部15a,15b上にそれぞれ基板16a、16bを配置したときに、第一,第二の載置部15a,15bの中心点Pa,Pbを通る鉛直線上に基板16a,16bの中心点が位置するように形成されている。
【0026】
<載置部と台座>
処理室541〜543内に位置する第一,第二の処理位置8a,8b上には、第一,第二の台座9a,9bが乗せられている。
【0027】
本発明の第一例の真空処理装置1は、図4(a)〜(f)に示すように、第一,第二の載置部15a、15bが同じ高さであって(基準水平面からの高さが同一。以下同じ)、第一,第二の台座9a,9bの高さは、一方が高く、他方が低くされている。ここでは、第一の台座9aが高くされている。
【0028】
第二例の真空処理装置2は、図5(a)〜(f)に示すように、第一,第二の台座9a,9bの高さは同じであって、第一,第二の載置部15a、15bの高さが、一方が低く、他方が高くされている。ここでは、第一の載置部15aの方が低くされている。
【0029】
第一,第二の載置部15a,15bを、第一,第二の台座9a,9bよりも上方に位置させた場合、第一の載置部15aと第一の台座9aの上部との間の鉛直方向の距離(第一の載置部15aの第一の台座9aからの高さ)の方が、第二の載置部15bと第二の台座9bとの間の鉛直方向の距離(第二の載置部15bの第二の台座9bからの高さ)よりも短く(低く)なっている。
【0030】
逆に、後述するように、第一,第二の載置部15a,15bが、第一,第二の台座9a,9bの上部よりも下方にそれぞれ位置する場合、第二の載置部15bと第二の台座9bの上部との間の鉛直方向の距離(第二の台座9bの上部の第二の載置部15bからの高さ)の方が、第一の載置部15aと第一の台座9aとの間の鉛直方向の距離(第一の台座9aの上部の第一の載置部15aからの高さ)よりも短くなる。
【0031】
第一,第二例の真空処理装置1,2の他の構造は、図1の符号50で示した真空処理装置と同じ構造であり、第一,第二の載置部15a,15b同士は相対的に静止しており、一緒に上下移動と水平面内の移動をするように構成されている。
第一,第二の載置部15a,15bは、U字形状に開き、一端に開口が形成されるように開いた二本一組の指部18a,19a,又は18b,19bをそれぞれ有している。
【0032】
第一の台座9aの大きさは、第一の載置部15aの指部18a,19aの間隔よりも小さく、第二の台座9bの大きさは、第二の載置部15bの指部18b,19bの間隔よりも小さくされており、第一,第二の台座9a,9bは、第一,第二の載置部15a,15bの指部18a,19a,18b,19b間にそれぞれ挿入できるように構成されている。
【0033】
<基板搬送方法>
第一,第二の載置部15a,15b上の基板16a,16bを搬送し、基板16a,16bの中心点Pa,Pbが、第一,第二の処理位置8a,8bの中心点Qa,Qbの鉛直上方に配置しようとする場合、第一,第二の処理位置8a,8bの中心点Qa,Qbを結ぶ線分の水平成分が、第一,第二の載置部15a,15bの中心点Pa,Pb間を結ぶ線分の水平成分と平行でない場合や、第一,第二の処理位置8a,8bの中心点Qa,Qb間の距離が、第一,第二の載置部15a,15bの中心点Pa,Pb間の距離と異なる場合や、それらの組合せである場合は、第一,第二の載置部15a,15b上の基板16a,16bの中心点Pa,Pbを、第一,第二の処理位置8a,8bの中心点Qa,Qb上に同時に位置させることはできない。
【0034】
第一,第二例の真空処理装置1,2により、基板16a,16bを一枚ずつ正確に搬送する基板搬送方法について説明する。
【0035】
先ず、第一,第二の載置部15a,15b上に基板を配置した状態で、先ず、第一,第二の載置部15a,15bをいずれかの処理室541〜543内に搬入する。
アーム部20の回転と伸縮により、第一,第二の載置部15a,15bを、第一,第二の台座9a,9b上に位置させ、台座からの高さが低い方の第一の載置部15aの中心点Paが、第一の処理位置8aの中心点Qaの鉛直上方に位置するように位置合わせし、静止させる(図4(a)、図5(a))。
【0036】
次いで、第一の載置部15aを鉛直に降下させ、第一の台座9a上に、基板16aを乗せ(図4(b)、図5(b))、更に降下させると、第一の載置部15aは、基板16aから離間し、第一の載置部15a上の基板16aは、第一の台座9a上の正確な位置に配置される(図4(c)、図5(c))。この状態では、第一の台座9aは、第一の載置部15aの指部18a,19aの間に挿入されている。
【0037】
第二の載置部15bは、第一の載置部15aの移動方向と同一方向に同じ距離だけ移動するから、第一の載置部15aが鉛直に降下すると、第二の載置部15bも同一距離だけ鉛直に降下する。
第一の載置部15aが基板16aから離間した状態でも、第二の載置部15b上の基板16bは、第二の台座9bの上方に位置し、第二の台座9bとは接触しないようにされている。
【0038】
この状態では、第二の載置部15bの中心点Pbは、第二の処理位置8bの中心点Qbの真上からずれた場所に位置している。
第一の台座9aと、第一の載置部15aの指部18a,19aとの間には隙間が形成されている。
【0039】
第一の載置部15aの中心点Paが、第一の処理位置8aの中心点Qaの鉛直上方に位置する状態では、隙間の大きさ(第一の台座9aと、第一の載置部15aの指部18a,19aとの間の水平距離)LSは、第二の載置部15bの中心点Pbと第二の処理位置8bの中心点Qbとの間の水平方向の誤差距離LEよりも大きくなるように構成されている(LS>LE)。
従って、第二の載置部15bを水平面内で誤差距離LEがゼロになるように移動させることができる。
【0040】
誤差距離LEがゼロの状態では、第二の載置部15bの中心点Pbが第二の処理位置8bの中心点Qbの真上に位置する(図4(d)、図5(d))。
【0041】
第二の載置部15bの位置合わせ後、第一,第二の載置部15a,15bを降下させ、第二の載置部15b上の基板16bを、第二の台座9b上に乗せ(図4(e)、図5(e))、更に降下させると、第二の載置部15bは基板16bから離間し、二枚の基板16a、16bは、第一,第二の台座9a,9b上の正確な位置にそれぞれ配置される(図4(f)、図5(f))。
【0042】
第一,第二の載置部15a,15bは、底面と接触しない位置まで降下させ、アーム部20を縮めると、第一,第二の台座9a,9bは、第一,第二の載置部15a,15bから抜去される。
【0043】
以上は、第一,第二の副回転軸12a,12bが離間して配置された搬送ロボットについて説明したが、本発明は、第一,第二の副回転軸が同軸に配置され、第一,第二の副回転軸線が一致する搬送ロボットについても適用することができる。
また、ハンドが二以上の回転軸線(上記実施例では主回転軸線)を有し、回転軸線に対する向きを変更できる搬送ロボットについても有効である。
【0044】
上記は処理室541〜543に基板を配置する手順について説明したが、第一,第二の処理位置8a,8b上に配置された基板をハンド25によって処理室541〜543外に搬出する際には、図4(a)〜(f)や図5(a)〜(f)で説明した手順の逆の手順を辿ればよい。
【0045】
先ず、第一,第二の載置部15a,15bを第一,第二の台座9a,9b上の基板16a,16bの下に挿入する
第一,第二の載置部15a,15bが第一,第二の台座9a,9bの上部よりも下方に位置する場合には、第二の載置部15bと第二の台座9bの上部表面との間の距離の方が、第一の載置部15aと第一の台座9aの上部表面との間の距離よりも短くなっている。
【0046】
基板16a,16bは、第一,第二の台座9a,9b上の正確な位置に配置されているものとすると、第二の載置部15bの中心点Pbが第二の処理位置8bの中心点Qbを通る鉛直線上に位置するように位置合わせをし(図4(f)、図5(f))、次いで、第一,第二の載置部15a,15bを上方に移動させると、第二の台座9b上の基板16bが第二の載置部15bと接触し(図4(e)、図5(e))、第一の載置部15aは、第一の基板16aと接触しない程度に、第一,第二の載置部15a,15bを上方に移動させると、第二の台座9b上から第二の載置部5b上に移載される(図4(d)、図5(d))。
【0047】
この状態では、第一の載置部15aの指部18a,19aの間には、第一の台座9aが挿入されている。その隙間の大きさLSは、第一の載置部15aの中心点Paと、第一の処理位置8aの中心点Qaとの間の水平方向の誤差距離LEよりも大きい。
【0048】
従って、誤差距離LEがゼロになるように第一,第二の載置部15a、15bを移動させることができる。誤差距離LEがゼロになると、第一の載置部15aの中心点Paは、第一の処理位置8aの中心点Qaの鉛直線上に位置す(図4(c)、図5(c))。
【0049】
その状態で、第一,第二の載置部15a,15bを上方に移動させると、第一の台座9a上の基板16aの裏面が第一の載置部15aと接触し(図4(b)、図5(b))、更に上方に移動させると、第一の台座9a上の基板16aは、第一の載置部15a上に移載される。
この状態では、第一,第二の台座9a,9bは、第一,第二の載置部15a,15bよりも下方に位置しており、ハンド25は自由に移動させることができる。
【0050】
なお、上記はハンド25に設けられた二個の載置部15a,15bにより、二枚の基板16a,16bをそれぞれ配置する場合を説明したが、三個以上の載置部をハンドに設け、各載置部にそれぞれ配置された基板を正確な位置に配置する場合も本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明を適用できる真空処理装置の例を説明するための概略平面図
【図2】アーム部が縮んだ状態の搬送ロボットの平面図
【図3】アーム部が伸びた状態の搬送ロボットの平面図
【図4】(a)〜(f):第一例の真空処理装置のハンド上から処理室内に基板を移載する手順を説明するための図
【図5】(a)〜(f):第二例の真空処理装置のハンド上から処理室内に基板を移載する手順を説明するための図
【図6】基板搬送方法を説明するための図面
【図7】従来技術の搬送方法を説明するための図面
【符号の説明】
【0052】
10……搬送ロボット
15a,15b……第一,第二の載置部
8a,8b……第一,第二の処理位置
25……ハンド
31……回転軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理室と、前記処理室に接続された搬送室とを有し、
前記搬送室には、同一方向に同一距離一緒に移動される第一,第二の載置部を有する搬送ロボットが配置され、
前記第一,第二の載置部に基板をそれぞれ水平に配置して、前記第一,第二の載置部を前記搬送室内から前記処理室内に移動させ、前記処理室内に設定された第一,第二の処理位置上に前記基板をそれぞれ配置するように構成された真空処理装置であって、
前記第一,第二の載置部は先端が離間し、開口が形成された水平な二本の指部をそれぞれ有し、
前記第一,第二の処理位置には、高さが異なり、前記第一,第二の載置部の前記指部間に挿入可能な第一,第二の台座がそれぞれ配置され、
前記指部間に前記第一,第二の台座を挿入させ、前記第一,第二の載置部を水平方向に移動させ、前記指部間の開口を通して前記第一,第二の台座を前記第一,第二の載置部の前記指部間から抜去できるように構成された真空処理装置。
【請求項2】
処理室と、前記処理室に接続された搬送室とを有し、
前記搬送室には、同一方向に同一距離一緒に移動される第一,第二の載置部を有する搬送ロボットが配置され、
前記第一,第二の載置部に基板をそれぞれ水平に配置して、前記第一,第二の載置部を前記搬送室内から前記処理室内に移動させ、前記処理室内に設定された第一,第二の処理位置上に前記基板をそれぞれ配置するように構成された真空処理装置であって、
前記第一,第二の載置部は先端が離間し、開口が形成された水平な二本の指部をそれぞれ有し、
前記第一の載置部の前記指部と前記第二の載置部の前記指部は異なる高さに配置され、
前記第一,第二の処理位置には、前記第一,第二の載置部の前記指部間に挿入可能な第一,第二の台座がそれぞれ配置され、
前記指部間に前記第一,第二の台座を挿入させ、前記第一,第二の載置部を水平方向に移動させ、前記指部間の開口を通して前記第一,第二の台座を前記第一,第二の載置部の前記指部間から抜去できるようにに構成された真空処理装置。
【請求項3】
前記第一,第二の載置部は、一緒に、鉛直な一の主回転軸線を中心とする回転移動と、前記回転軸線と垂直に交叉する放射方向に伸びる直線に沿った直線移動とが可能に構成された請求項1又は請求項2のいずれか1項記載の真空処理装置。
【請求項4】
第一,第二の載置部上に第一,第二の基板をそれぞれ配置し、前記第一,第二の載置部が相対的に静止した状態で、鉛直な主回転軸線を中心とする回転移動と、前記主回転軸線と垂直な直線と平行な方向の直線移動とにより、前記第一,第二の載置部を対応する第一,第二の処理位置上にそれぞれ移動させ、前記第一,第二の載置部上に前記第一,第二の基板をそれぞれ配置する基板搬送方法であって、
予め、前記第一,第二の処理位置上にそれぞれ第一,第二の台座を設け、前記第一,第二の載置部を、前記第一,第二の台座の上方にそれぞれ位置させた状態では、前記第一の台座からの前記第一の載置部の高さが、前記第二の台座からの前記第二の載置部の高さよりも低いようにしておき、
前記第一,第二の載置部を前記第一,第二の台座上にそれぞれ位置させ、
前記第一の載置部を前記第一の台座に対して位置合わせして降下させ、前記第一の基板を前記第一の台座上に配置した後、
前記第二の載置部を前記第二の台座に対して位置合わせして降下させ、前記第二の基板を前記第二の台座上に配置する基板搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−59741(P2009−59741A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−223378(P2007−223378)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】