説明

研磨パッドの製造方法

【課題】 研磨領域と光透過領域との間からのスラリー漏れを防止することができ、光学的検知精度に優れる研磨パッドを生産性よく製造する方法を提供する。
【解決手段】 機械発泡法により気泡分散ウレタン組成物を調製する工程、透明支持フィルムをモールド内に配置し、該支持フィルム上の所定位置に注入孔及び注入壁を有する光透過領域形成用型枠を配置する工程、前記注入孔内に光透過領域形成材料を吐出し、該光透過領域形成材料を硬化させて光透過領域を形成する工程、前記注入孔外の前記透明支持フィルム上に前記気泡分散ウレタン組成物を吐出し、該気泡分散ウレタン組成物を硬化させて研磨領域を形成する工程、及び前記光透過領域形成用型枠及びモールドを離型して、光透過領域と研磨領域との間に隙間を有する研磨層を作製する工程を含む研磨パッドの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレンズ、反射ミラー等の光学材料やシリコンウエハ、ハードディスク用のガラス基板、アルミ基板、及び一般的な金属研磨加工等の高度の表面平坦性を要求される材料の平坦化加工を安定、かつ高い研磨効率で行うことが可能な研磨パッドの製造方法に関するものである。本発明の製造方法によって得られる研磨パッドは、特にシリコンウエハ並びにその上に酸化物層、金属層等が形成されたデバイスを、さらにこれらの酸化物層や金属層を積層・形成する前に平坦化する工程に好適に使用される。
【背景技術】
【0002】
半導体装置を製造する際には、ウエハ表面に導電性膜を形成し、フォトリソグラフィー、エッチング等をすることにより配線層を形成する形成する工程や、配線層の上に層間絶縁膜を形成する工程等が行われ、これらの工程によってウエハ表面に金属等の導電体や絶縁体からなる凹凸が生じる。近年、半導体集積回路の高密度化を目的として配線の微細化や多層配線化が進んでいるが、これに伴い、ウエハ表面の凹凸を平坦化する技術が重要となってきた。
【0003】
ウエハ表面の凹凸を平坦化する方法としては、一般的にケミカルメカニカルポリシング(以下、CMPという)が採用されている。CMPは、ウエハの被研磨面を研磨パッドの研磨面に押し付けた状態で、砥粒が分散されたスラリー状の研磨剤(以下、スラリーという)を用いて研磨する技術である。CMPで一般的に使用する研磨装置は、例えば、図1に示すように、研磨パッド1を支持する研磨定盤2と、被研磨材(半導体ウエハ)4を支持する支持台(ポリシングヘッド)5とウエハの均一加圧を行うためのバッキング材と、研磨剤の供給機構を備えている。研磨パッド1は、例えば、両面テープで貼り付けることにより、研磨定盤2に装着される。研磨定盤2と支持台5とは、それぞれに支持された研磨パッド1と被研磨材4が対向するように配置され、それぞれに回転軸6、7を備えている。また、支持台5側には、被研磨材4を研磨パッド1に押し付けるための加圧機構が設けてある。
【0004】
従来、このような研磨パッドは、1)金型に樹脂材料を流し込んで樹脂ブロックを作製し、その樹脂ブロックをスライサーでスライスして製造する方法、2) 金型に樹脂材料を流し込んで押圧することにより、薄いシート状にして製造する方法、3)原料となる樹脂を溶解し、Tダイから押し出し成形して直接シート状にして製造する方法などのバッチ方式により製造されていた。例えば、特許文献1では反応射出成形法により研磨用パッドを製造している。
【0005】
また、積層研磨パッドの場合、上記方法で得られた研磨層やクッション層等の複数の樹脂シートを接着剤や両面テープで貼り合わせることにより製造されていたため、製造工程が多く、生産性が悪いという問題を有していた。該問題を解決するために、特許文献2では押出機を用いて積層研磨用パッドを製造している。
【0006】
また、バッチ方式の製造方法に起因する硬度や気泡サイズ等のバラツキを防止するために、ポリウレタン・ポリウレア研磨シート材を連続的に製造する方法が提案されている(特許文献3)。詳しくは、ポリウレタン原料と300μm以下の粒子径を有する微粉末や有機発泡剤を混合して、該混合物を一対の無限軌道面ベルト間に吐出し流延させる。その後、加熱手段によって該混合物の重合反応を行い、生成したシート状成形物を面ベルトから分離して研磨シート材を得る方法である。
【0007】
一方、高精度の研磨に使用される研磨パッドとしては、一般的にポリウレタン発泡体シートが使用されている。しかし、ポリウレタン発泡体シートは、局部的な平坦化能力には優れているが、クッション性が不足しているためにウエハ全面に均一な圧力を与えることが難しい。このため、通常、ポリウレタン発泡体シートの背面に柔らかいクッション層が別途設けられ、積層研磨パッドとして研磨加工に使用されている。積層研磨パッドとしては、例えば以下のようなものが開発されている。
【0008】
比較的硬い第一層と比較的軟らかい第二層とが積層されており、該第一層の研磨面に所定のピッチの溝又は所定の形状の突起が設けられた研磨パッドが開示されている(特許文献4)。
【0009】
また、弾性を有し、表面に凹凸が形成された第1シート状部材と、この第1シート状部材の凹凸が形成された面上に設けられ被処理基板の被研磨面と対向する面を有する第2シート状部とを有する研磨布が開示されている(特許文献5)。
【0010】
さらに、研磨層及び該研磨層の一面に積層され、かつ該研磨層よりも大きな圧縮率の発泡体である支持層を備える研磨パッドが開示されている(特許文献6)。
【0011】
しかしながら、上記従来の積層研磨パッドは、研磨層とクッション層とを両面テープ(粘着剤層)で貼り合わせて製造されているため、研磨中に研磨層とクッション層との間にスラリーが侵入して両面テープの粘着力が弱まり、その結果研磨層とクッション層とが剥離するという問題があった。
【0012】
また、CMPを行う上で、ウエハ表面の平坦度の判定の問題がある。すなわち、希望の表面特性や平面状態に到達した時点を検知する必要がある。従来、酸化膜の膜厚や研磨速度等に関しては、テストウエハを定期的に処理し、結果を確認してから製品となるウエハを研磨処理することが行われてきた。
【0013】
しかし、この方法では、テストウエハを処理する時間とコストが無駄になり、また、あらかじめ加工が全く施されていないテストウエハと製品ウエハでは、CMP特有のローディング効果により、研磨結果が異なり、製品ウエハを実際に加工してみないと、加工結果の正確な予想が困難である。
【0014】
そのため、最近では上記の問題点を解消するために、CMPプロセス時に、その場で、希望の表面特性や厚さが得られた時点を検出できる方法が望まれている。このような検知については、様々な方法が用いられているが、測定精度や非接触測定における空間分解能の点から、回転定盤内にレーザー光による膜厚モニタ機構を組み込んだ光学的検知方法(特許文献7、特許文献8)が主流となりつつある。
【0015】
前記光学的検知手段とは、具体的には光ビームを窓(光透過領域)を通して研磨パッド越しにウエハに照射して、その反射によって発生する干渉信号をモニタすることによって研磨の終点を検知する方法である。
【0016】
現在、光ビームとしては、600nm付近の波長光を持つHe―Neレーザー光や380〜800nmに波長光を持つハロゲンランプを使用した白色光が一般的に用いられている。
【0017】
このような方法では、ウエハの表面層の厚さの変化をモニターして、表面凹凸の近似的な深さを知ることによって終点が決定される。このような厚さの変化が凹凸の深さに等しくなった時点で、CMPプロセスを終了させる。また、このような光学的手段による研磨の終点検知法およびその方法に用いられる研磨パッドについては様々なものが提案されてきた。
【0018】
例えば、固体で均質な190nmから3500nmの波長光を透過する透明なポリマーシートを少なくとも一部分に有する研磨パッドが開示されている(特許文献9)。また、段付の透明プラグが挿入された研磨パッドが開示されている(特許文献10)。また、ポリシング面と同一面である透明プラグを有する研磨パッドが開示されている(特許文献11)。
【0019】
一方、スラリーが研磨領域と光透過領域との境界(継ぎ目)から漏れ出さないための提案(特許文献12、13)もなされている。しかし、これら透明な漏れ防止シートを設けた場合でも、スラリーが研磨領域と光透過領域との境界(継ぎ目)から研磨層下部に漏れ出し、この漏れ防止シート上にスラリーが堆積して光学的終点検知に問題が生じる。
【0020】
また、第一の樹脂の棒又はプラグを液状の第二の樹脂の中に配置し、前記第二の樹脂を硬化させて成形物を作製し、該成形物をスライスして光透過領域と研磨領域が一体化した研磨パッドを製造する方法が開示されている(特許文献14)。しかし、上記製造方法は、不透明樹脂がまだ液体である間に透明プラグを不透明樹脂中に挿入し硬化させる方法であるため、不透明樹脂が硬化するときに不透明樹脂から透明プラグに過度な圧力又は応力が加わり、透明プラグに残留応力変形又は膨れが生じる恐れがある。この残留応力変形又は膨れにより透明プラグの平坦性が損なわれ、光学的検知精度に問題が生じる。また、成形時に両材料間の熱収縮差に起因する応力が両材料の接着界面に残留し、該接着界面で剥離しやすいためスラリー漏れが発生する恐れがある。
【0021】
また、スラリー漏れを防止するために、上層パッドと下層パッドとの間に上下面に接着剤が塗布された透明フィルムを配置する方法が開示されている(特許文献15)。しかし、光透過領域と透明フィルムの間に接着層があると、光透過率が低下するため光学的検知精度も低下する恐れがある。
【0022】
【特許文献1】特開2004−42189号公報
【特許文献2】特開2003−220550号公報
【特許文献3】特開2004−169038号公報
【特許文献4】特開2003−53657号公報
【特許文献5】特開平10−329005号公報
【特許文献6】特開2004−25407号公報
【特許文献7】米国特許第5069002号明細書
【特許文献8】米国特許第5081421号明細書
【特許文献9】特表平11−512977号公報
【特許文献10】特開平9−7985号公報
【特許文献11】特開平10−83977号公報
【特許文献12】特開2001−291686号公報
【特許文献13】特表2003−510826号公報
【特許文献14】特開2005−210143号公報
【特許文献15】特開2003−68686号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は、研磨領域と光透過領域との間からのスラリー漏れを防止することができ、光学的検知精度に優れる研磨パッドを生産性よく製造する方法を提供することを目的とする。また、該製造方法により得られる研磨パッド、及び該研磨パッドを用いて半導体ウエハの表面を研磨する工程を含む半導体デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す研磨パッドの製造方法により上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0025】
すなわち、本発明の研磨パッドの製造方法は、機械発泡法により気泡分散ウレタン組成物を調製する工程、透明支持フィルムをモールド内に配置し、該支持フィルム上の所定位置に注入孔及び注入壁を有する光透過領域形成用型枠を配置する工程、前記注入孔内に光透過領域形成材料を吐出し、該光透過領域形成材料を硬化させて光透過領域を形成する工程、前記注入孔外の前記透明支持フィルム上に前記気泡分散ウレタン組成物を吐出し、該気泡分散ウレタン組成物を硬化させて研磨領域を形成する工程、及び前記光透過領域形成用型枠及びモールドを離型して、光透過領域と研磨領域との間に隙間を有する研磨層を作製する工程を含む。
【0026】
上記製造方法によると、光透過領域を有する研磨層を容易に製造することができ、生産性よく研磨パッドを製造することができる。また、光透過領域及び研磨領域が透明支持フィルム上に成形されているため、研磨時にスラリーが透明支持フィルムより下に漏れることがない。また、本発明の光透過領域は、透明支持フィルム上に直接形成されている(自己接着している)ため、接着剤を用いて光透過領域と支持フィルムとを貼り合わせた場合に比べて光学的検知精度に優れている。さらに、本発明の製造方法では、光透過領域と研磨領域との間に隙間を設けるように形成しているため、両材料間に熱収縮差に起因する応力が残存することがない。それにより、従来の研磨パッドように研磨時に両部材が残存応力により剥離して研磨特性に影響を与えるという欠点を解決することができる。得られた研磨層は、それ単独で研磨パッドとしてもよく、透明支持フィルムの片面にクッション層を積層して積層タイプの研磨パッドとしてもよい。
【0027】
前記光透過領域は、熱硬化性樹脂からなることが好ましく、特に熱硬化性ポリウレタン樹脂であることが好ましい。その場合、光透過領域形成材料及び気泡分散ウレタン組成物を同時に熱硬化させることができるため製造工程が簡便になる。
【0028】
前記光透過領域形成用型枠の注入壁の厚みは1mm以下であることが好ましい。注入壁の厚みが1mmを超える場合には、光透過領域と研磨領域との間の隙間が広くなりすぎ、隙間にスラリーが溜まりやすくなるためスクラッチが発生しやすくなる傾向にある。
【0029】
また、本発明は、上記方法によって製造される研磨パッド、及び該研磨パッドを用いて半導体ウエハの表面を研磨する工程を含む半導体デバイスの製造方法、に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明における研磨層の研磨領域は、微細気泡を有するポリウレタン発泡体からなる。ポリウレタンは耐摩耗性に優れ、原料組成を種々変えることにより所望の物性を有するポリマーを容易に得ることができるため、研磨領域の形成材料として好ましい材料である。
【0031】
前記ポリウレタンは、イソシアネート成分、ポリオール成分(高分子量ポリオール、低分子量ポリオール)、及び鎖延長剤からなるものである。
【0032】
イソシアネート成分としては、ポリウレタンの分野において公知の化合物を特に限定なく使用できる。イソシアネート成分としては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートが挙げられる。これらは1種で用いても、2種以上を混合しても差し支えない。
【0033】
イソシアネート成分としては、上記ジイソシアネート化合物の他に、3官能以上の多官能ポリイソシアネート化合物も使用可能である。多官能のイソシアネート化合物としては、デスモジュール−N(バイエル社製)や商品名デュラネート(旭化成工業社製)として一連のジイソシアネートアダクト体化合物が市販されている。
【0034】
上記のイソシアネート成分のうち、芳香族ジイソシアネートと脂環式ジイソシアネートを併用することが好ましく、特にトルエンジイソシアネートとジシクロへキシルメタンジイソシアネートを併用することが好ましい。
【0035】
高分子量ポリオールとしては、ポリテトラメチレンエーテルグリコールに代表されるポリエーテルポリオール、ポリブチレンアジペートに代表されるポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカプロラクトンのようなポリエステルグリコールとアルキレンカーボネートとの反応物などで例示されるポリエステルポリカーボネートポリオール、エチレンカーボネートを多価アルコールと反応させ、次いで得られた反応混合物を有機ジカルボン酸と反応させたポリエステルポリカーボネートポリオール、及びポリヒドキシル化合物とアリールカーボネートとのエステル交換反応により得られるポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0036】
高分子量ポリオールの数平均分子量は特に限定されるものではないが、得られるポリウレタン樹脂の弾性特性等の観点から500〜2000であることが好ましい。数平均分子量が500未満であると、これを用いたポリウレタン樹脂は十分な弾性特性を有さず、脆いポリマーとなる。そのためこのポリウレタン樹脂から製造される研磨パッドは硬くなりすぎ、ウエハ表面のスクラッチの原因となる。また、摩耗しやすくなるため、パッド寿命の観点からも好ましくない。一方、数平均分子量が2000を超えると、これを用いたポリウレタン樹脂は軟らかくなりすぎるため、このポリウレタン樹脂から製造される研磨領域は平坦化特性に劣る傾向にある。
【0037】
ポリオール成分として上述した高分子量ポリオールの他に、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等の低分子量ポリオールを併用することが好ましい。エチレンジアミン、トリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、ジエチレントリアミン等の低分子量ポリアミンを用いてもよい。
【0038】
ポリオール成分中の高分子量ポリオールと低分子量ポリオール等の比は、これらから製造される研磨層に要求される特性により決められる。
【0039】
ポリウレタン発泡体をプレポリマー法により製造する場合において、プレポリマーの硬化には鎖延長剤を使用する。鎖延長剤は、少なくとも2個以上の活性水素基を有する有機化合物であり、活性水素基としては、水酸基、第1級もしくは第2級アミノ基、チオール基(SH)等が例示できる。具体的には、4,4’−メチレンビス(o−クロロアニリン)(MOCA)、2,6−ジクロロ−p−フェニレンジアミン、4,4’−メチレンビス(2,3−ジクロロアニリン)、3,5−ビス(メチルチオ)−2,4−トルエンジアミン、3,5−ビス(メチルチオ)−2,6−トルエンジアミン、3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミン、3,5−ジエチルトルエン−2,6−ジアミン、トリメチレングリコール−ジ−p−アミノベンゾエート、1,2−ビス(2−アミノフェニルチオ)エタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、N,N’−ジ−sec−ブチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、m−キシリレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、及びp−キシリレンジアミン等に例示されるポリアミン類、あるいは、上述した低分子量ポリオールや低分子量ポリアミンを挙げることができる。これらは1種で用いても、2種以上を混合しても差し支えない。
【0040】
本発明におけるイソシアネート成分、ポリオール成分、及び鎖延長剤の比は、各々の分子量や研磨領域の所望物性などにより種々変え得る。所望する研磨特性を有する研磨領域を得るためには、ポリオール成分と鎖延長剤の合計活性水素基(水酸基+アミノ基)数に対するイソシアネート成分のイソシアネート基数は、0.80〜1.20であることが好ましく、さらに好ましくは0.99〜1.15である。イソシアネート基数が前記範囲外の場合には、硬化不良が生じて要求される比重及び硬度が得られず、研磨特性が低下する傾向にある。
【0041】
ポリウレタン発泡体の製造は、プレポリマー法、ワンショット法のどちらでも可能であるが、事前にイソシアネート成分とポリオール成分からイソシアネート末端プレポリマーを合成しておき、これに鎖延長剤を反応させるプレポリマー法が、得られるポリウレタンの物理的特性が優れており好適である。
【0042】
なお、イソシアネート末端プレポリマーは、分子量が800〜5000程度のものが加工性、物理的特性等が優れており好適である。
【0043】
前記ポリウレタン発泡体は、イソシアネート基含有化合物を含む第1成分、及び活性水素基含有化合物を含む第2成分を混合して得られる気泡分散ウレタン組成物を硬化させることにより製造される。プレポリマー法では、イソシアネート末端プレポリマーがイソシアネート基含有化合物となり、鎖延長剤が活性水素基含有化合物となる。ワンショット法では、イソシアネート成分がイソシアネート基含有化合物となり、鎖延長剤及びポリオール成分が活性水素基含有化合物となる。
【0044】
前記気泡分散ウレタン組成物は機械発泡法により調製する。特に、ポリアルキルシロキサンとポリエーテルの共重合体であって活性水素基を有しないシリコン系界面活性剤を使用した機械発泡法が好ましい。かかるシリコン系界面活性剤としては、SH−192、L−5340(東レダウコーニングシリコン社製)等が好適な化合物として例示される。シリコン系界面活性剤の添加量は、ポリウレタン発泡体中に0.05〜5重量%であることが好ましい。シリコン系界面活性剤の量が0.05重量%未満の場合には、微細気泡の発泡体が得られない傾向にある。一方、5重量%を超える場合には、シリコン系界面活性剤の可塑効果により高硬度のポリウレタン発泡体を得にくい傾向にある。
【0045】
なお、必要に応じて、酸化防止剤等の安定剤、滑剤、顔料、充填剤、帯電防止剤、その他の添加剤を加えてもよい。
【0046】
気泡分散ウレタン組成物を調製する方法の例について以下に説明する。かかる気泡分散ウレタン組成物の調製方法は、以下の工程を有する。
1)イソシアネート末端プレポリマーの気泡分散液を作製する発泡工程
イソシアネート末端プレポリマー(第1成分)にシリコン系界面活性剤を添加し、非反応性気体の存在下で撹拌し、非反応性気体を微細気泡として分散させて気泡分散液とする。前記プレポリマーが常温で固体の場合には適宜の温度に予熱し、溶融して使用する。
2)硬化剤(鎖延長剤)混合工程
上記の気泡分散液に鎖延長剤(第2成分)を添加、混合、撹拌して気泡分散ウレタン組成物を調製する。
【0047】
前記微細気泡を形成するために使用される非反応性気体としては、可燃性でないものが好ましく、具体的には窒素、酸素、炭酸ガス、ヘリウムやアルゴン等の希ガスやこれらの混合気体が例示され、乾燥して水分を除去した空気の使用がコスト的にも最も好ましい。
【0048】
非反応性気体を微細気泡状にしてシリコン系界面活性剤を含む第1成分に分散させる撹拌装置としては、公知の撹拌装置は特に限定なく使用可能であり、具体的にはホモジナイザー、ディゾルバー、2軸遊星型ミキサー(プラネタリーミキサー)等が例示される。撹拌装置の撹拌翼の形状も特に限定されないが、ホイッパー型の撹拌翼の使用にて微細気泡が得られ好ましい。
【0049】
気泡分散ウレタン組成物には、第3級アミン系等の公知のポリウレタン反応を促進する触媒を添加してもかまわない。触媒の種類、添加量は、混合工程後、所定形状のモールドに流し込む流動時間を考慮して選択する。
【0050】
本発明で使用する透明支持フィルムは特に制限されないが、透明性が高く、耐熱性を有すると共に可とう性を有する樹脂フィルムであることが好ましい。該樹脂フィルムの材料としては、例えば、ポリエステル;ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリスチレン;ポリイミド;ポリビニルアルコール;ポリ塩化ビニル;ポリフルオロエチレンなどの含フッ素樹脂;ナイロン;セルロース;ポリカーボネートなどの汎用エンジニアリングプラスチック;ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、及びポリエーテルスルホンなどの特殊エンジニアリングプラスチックなどを挙げることができる。
【0051】
透明支持フィルムの厚さは特に制限されないが、強度等の観点から20〜200μm程度であることが好ましい。また、透明支持フィルムの大きさも特に制限されないが、要求される研磨層の大きさを考慮すると、使用するモールドが円形の場合には、通常直径が30〜120cm程度であり、好ましくは50〜90cmである。
【0052】
本発明で使用する光透過領域形成材料は特に制限されないが、研磨を行っている状態で高精度の光学終点検知を可能とし、波長300〜800nmの全範囲で光透過率が40%以上である材料を用いることが好ましく、さらに好ましくは光透過率が50%以上の材料である。そのような材料としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、及びアクリル樹脂などの熱硬化性樹脂;ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース系樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ハロゲン系樹脂(ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど)、ポリスチレン、及びオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)などの熱可塑性樹脂;紫外線や電子線などの光により硬化する光硬化性樹脂、及び感光性樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、熱硬化性樹脂は比較的低温で硬化するものが好ましい。光硬化性樹脂を使用する場合には、光重合開始剤を併用することが好ましい。これらのうち、熱硬化性樹脂を用いることが好ましく、特に熱硬化性ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
【0053】
以下、本発明の研磨パッドを製造する方法について説明する。図2は、本発明の研磨パッドの断面図である。図3は、本発明の研磨パッドの製造工程の例を示す概略図である。
【0054】
まず、モールド13内に前記透明支持フィルム11を配置する。モールドの形状は特に制限されず、円形であってもよく矩形であってもよい。モールドの大きさは要求される研磨層の大きさを考慮して適宜設定できるが、円形の場合には通常直径が30〜120cm程度であり、好ましくは50〜90cmである。また、モールドの高さは特に制限されないが、要求される研磨領域の厚さ及びキャスト時のオーバーフロー防止の観点から10〜60mm程度であることが好ましい。
【0055】
その後、図3記載のように透明支持フィルム11上の所定位置に光透過領域形成用型枠14を配置する。なお、光透過領域形成用型枠は2個以上配置してもよい。
【0056】
図4−(a)は、光透過領域形成用型枠のX方向における断面構造を示す概略図である。図4−(b)は、光透過領域形成用型枠の上面構造を示す概略図である。図4−(c)は、光透過領域形成用型枠の下面構造を示す概略図である。
【0057】
光透過領域形成用型枠14は、例えば、金属やプラスチック等を原料として注型成形法により作製することができる。光透過領域形成用型枠は、注入孔15及び注入壁16を有している。注入孔は、光透過領域形成材料17を注入して光透過領域10を形成するための孔である。注入壁は、光透過領域形成材料17と気泡分散ウレタン組成物12とが混ざらないようにするための壁であり、かつ光透過領域10と研磨領域9との間に一定の隙間を形成するための壁である。
【0058】
注入孔15の形状は特に制限されず、光透過領域の形状を考慮して適宜設定できる。具体的には矩形、円形、三角形、多角形、及び扇形などが挙げられる。注入孔15の大きさは、要求される光透過領域の大きさを考慮して適宜設定できるが、矩形の場合には通常幅が10〜30mm程度であり、長さが40〜70mm程度である。
【0059】
注入壁16の高さ(h)は、要求される研磨領域の厚さ及びキャスト時のオーバーフロー防止の観点から、通常10〜60mm程度であり、好ましくは20〜50mmである。また、注入壁16の厚みは、光透過領域と研磨領域との間の空間幅を考慮して適宜設定できるが、1mm以下であることが好ましく、より好ましく0.9mm以下である。なお、注入壁16の表面には離型処理を施しておくことが好ましい。
【0060】
その後、前記注入孔15内に光透過領域形成材料17を吐出し、該光透過領域形成材料17を硬化させて光透過領域10を形成する。また、前記注入孔15外の前記透明支持フィルム11上に前記気泡分散ウレタン組成物12を吐出し、該気泡分散ウレタン組成物12を硬化させて研磨領域9を形成する。上記2つの工程はどちらを先に行ってもよく、又は同時に行ってもよい。作業効率を考慮すると上記2つの工程は同時に行うことが好ましい。光透過領域形成材料17及び気泡分散ウレタン組成物12の吐出量は、光透過領域の厚さ及び面積、研磨領域の厚さ及び面積を考慮して適宜調整する。本発明においては、注入壁16の高さ(h)と同程度の高さになるまで両材料を吐出することが好ましい。
【0061】
光透過領域形成材料17及び気泡分散ウレタン組成物12の硬化は、例えば、厚さを均一に調整した後に、モールドを加熱オーブン内に搬入して行われる。加熱温度は40〜100℃程度であり、加熱時間は5〜10分程度である。なお、光透過領域形成材料が熱可塑性樹脂である場合には、気泡分散ウレタン組成物を熱硬化させた後に光透過領域形成材料を冷却することにより硬化させる。また、光透過領域形成材料が光硬化性樹脂である場合には、紫外線や電子線などの光を照射して硬化させる。前記光透過領域は、光透過率を高くする観点からできるだけ気泡が含まれていないことが好ましい。
【0062】
その後、光透過領域形成用型枠及びモールドを離型して、光透過領域と研磨領域との間に隙間を有する研磨層を作製する。得られた研磨層は、ポストキュアを行ったり、使用する研磨装置に応じて大きさを適宜調整してもよい。さらに、研磨層は、研磨表面に凹凸構造を形成する工程等を経て研磨パッドとなる。
【0063】
研磨領域の平均気泡径は、30〜80μmであることが好ましく、より好ましくは30〜60μmである。この範囲から逸脱する場合は、研磨速度が低下したり、研磨後の被研磨材(ウエハ)のプラナリティ(平坦性)が低下する傾向にある。
【0064】
研磨領域の厚みは特に限定されるものではないが、通常0.8〜4mm程度であり、1.2〜2.5mmであることが好ましい。
【0065】
研磨領域の比重は、0.5〜1.0であることが好ましい。比重が0.5未満の場合、研磨表面の強度が低下し、被研磨材のプラナリティ(平坦性)が悪化する傾向にある。一方、1.0より大きい場合は、研磨表面での微細気泡の数が少なくなり、平坦化特性は良好であるが、研磨速度が悪化する傾向にある。
【0066】
研磨領域の硬度は、アスカーD硬度計にて、45〜65度であることが好ましい。D硬度が45度未満の場合、被研磨材のプラナリティ(平坦性)が悪化する傾向にある。一方、65度より大きい場合は、プラナリティは良好であるが、被研磨材のユニフォーミティ(均一性)が悪化する傾向にある。
【0067】
また、研磨領域の厚みバラツキは100μm以下であることが好ましい。厚みバラツキが100μmを越えるものは、研磨領域が大きなうねりを持ったものとなり、被研磨材に対する接触状態が異なる部分ができ、研磨特性に悪影響を与える。また、研磨領域の厚みバラツキを解消するため、一般的には、研磨初期に研磨表面をダイヤモンド砥粒を電着、融着させたドレッサーを用いてドレッシングするが、上記範囲を超えたものは、ドレッシング時間が長くなり、生産効率を低下させるものとなる。
【0068】
研磨領域の厚みバラツキを抑える方法としては、研磨層の表面をバフ機でバフィングする方法が挙げられる。なお、バフィングする際には、粒度などが異なる研磨材で段階的に行うことが好ましい。
【0069】
光透過領域の厚さは特に制限されるものではないが、研磨領域の厚みと同一厚さ、またはそれ以下にすることが好ましい。光透過領域が研磨領域より厚い場合には、研磨中に突き出た部分により被研磨体を傷つけるおそれがある。
【0070】
本発明の研磨パッドにおいて、被研磨材(ウエハ)と接触する研磨表面は、スラリーを保持・更新するための凹凸構造を有することが好ましい。発泡体からなる研磨領域は、研磨表面に多くの開口を有し、スラリーを保持・更新する働きを持っているが、研磨表面に凹凸構造を形成することにより、スラリーの保持と更新をさらに効率よく行うことができ、また被研磨材との吸着による被研磨材の破壊を防ぐことができる。凹凸構造は、スラリーを保持・更新する形状であれば特に限定されるものではなく、例えば、XY格子溝、同心円状溝、貫通孔、貫通していない穴、多角柱、円柱、螺旋状溝、偏心円状溝、放射状溝、及びこれらの溝を組み合わせたものが挙げられる。また、これらの凹凸構造は規則性のあるものが一般的であるが、スラリーの保持・更新性を望ましいものにするため、ある範囲ごとに溝ピッチ、溝幅、溝深さ等を変化させることも可能である。
【0071】
前記凹凸構造の作製方法は特に限定されるものではないが、例えば、所定サイズのバイトのような治具を用いて機械切削する方法、所定の表面形状を有したプレス板で樹脂をプレスする方法、フォトリソグラフィにより作製する方法、印刷手法を用いて作製する方法、炭酸ガスレーザーなどを用いたレーザー光による作製方法などが挙げられる。
【0072】
本発明の研磨パッドは、前記研磨層とクッションシート(クッション層)とを貼り合わせたものであってもよい。
【0073】
前記クッションシートは、研磨層の特性を補うものである。クッションシートは、CMPにおいて、トレードオフの関係にあるプラナリティとユニフォーミティの両者を両立させるために必要なものである。プラナリティとは、パターン形成時に発生する微小凹凸のあるウエハを研磨した時のパターン部の平坦性をいい、ユニフォーミティとは、ウエハ全体の均一性をいう。発泡体シートの特性によって、プラナリティを改善し、クッションシートの特性によってユニフォーミティを改善する。本発明の研磨パッドにおいては、クッションシートは研磨領域より柔らかいものを用いることが好ましい。
【0074】
前記クッションシートとしては、例えば、ポリエステル不織布、ナイロン不織布、アクリル不織布などの繊維不織布やポリウレタンを含浸したポリエステル不織布のような樹脂含浸不織布、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォームなどの高分子樹脂発泡体、ブタジエンゴム、イソプレンゴムなどのゴム性樹脂、感光性樹脂などが挙げられる。
【0075】
研磨層とクッションシートとを貼り合わせる手段としては、例えば、研磨層とクッションシートとを両面テープで挟みプレスする方法が挙げられる。
【0076】
本発明の研磨パッドは、研磨層又はクッション層のプラテンと接着する面側に両面テープが設けられていてもよい。
【0077】
半導体デバイスは、前記研磨パッドを用いて半導体ウエハの表面を研磨する工程を経て製造される。半導体ウエハとは、一般にシリコンウエハ上に配線金属及び酸化膜を積層したものである。半導体ウエハの研磨方法、研磨装置は特に制限されず、例えば、図1に示すように研磨パッド(研磨層)1を支持する研磨定盤2と、半導体ウエハ4を支持する支持台(ポリシングヘッド)5とウエハへの均一加圧を行うためのバッキング材と、研磨剤3の供給機構を備えた研磨装置などを用いて行われる。研磨パッド1は、例えば、両面テープで貼り付けることにより、研磨定盤2に装着される。研磨定盤2と支持台5とは、それぞれに支持された研磨パッド1と半導体ウエハ4が対向するように配置され、それぞれに回転軸6、7を備えている。また、支持台5側には、半導体ウエハ4を研磨パッド1に押し付けるための加圧機構が設けてある。研磨に際しては、研磨定盤2と支持台5とを回転させつつ半導体ウエハ4を研磨パッド1に押し付け、スラリーを供給しながら研磨を行う。スラリーの流量、研磨荷重、研磨定盤回転数、及びウエハ回転数は特に制限されず、適宜調整して行う。
【0078】
これにより半導体ウエハ4の表面の突出した部分が除去されて平坦状に研磨される。その後、ダイシング、ボンディング、パッケージング等することにより半導体デバイスが製造される。半導体デバイスは、演算処理装置やメモリー等に用いられる。
【実施例】
【0079】
以下、本発明を実施例を上げて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0080】
実施例1
70℃に温度調整したイソシアネート末端プレポリマー(ユニロイアル社製、アジプレンL−325)100重量部、シリコン系界面活性剤(東レダウコーニングシリコーン社製、SH−192)3重量部を容器内に加えて混合し、80℃に調整して減圧脱泡した。その後、2軸ミキサーを用いて、回転数900rpmで容器内に気泡を取り込むように激しく約4分間撹拌を行った。そこへ予め120℃に溶融した4,4’−メチレンビス(o−クロロアニリン)(イハラケミカル社製、キュアミンMT)26.2重量部を添加し、該混合液を約70秒間撹拌して気泡分散ウレタン組成物を調製した。
【0081】
80℃に温度調整したイソシアネート末端プレポリマー(日本ポリウレタン社製、C−2612)100重量部、トリメチロールプロパン9重量部、及び数平均分子量650のポリテトラメチレンエーテルグリコール21重量部を混合し、脱泡して光透過領域形成材料を調製した。
【0082】
表面をフッ素樹脂コートしたアルミからなるモールド(内部直径:60cm、内部高さ:30mm)の全面に透明支持フィルム(PET、東洋紡績社製、E5001、厚さ:75μm)を敷き、その後、モールドの所定位置に図4に示す形状の離型処理済みの光透過領域形成用型枠(SUS製、注入孔の長さ:57mm、注入孔の幅:19mm、注入壁の高さh:30mm、注入壁の厚み:1mm)を配置した。
【0083】
そして、前記注入孔外の透明支持フィルム上に気泡分散ウレタン組成物を吐出し、前記注入孔内の透明支持フィルム上に光透過領域形成材料を吐出した。その後、80〜85℃に温度調節したオーブン中に該モールドを10時間入れて気泡分散ウレタン組成物及び光透過領域形成材料を硬化及びポストキュアさせて研磨領域及び光透過領域を形成した。その後、光透過領域形成用型枠及びモールドを離型して、光透過領域と研磨領域との間に隙間(1mm)を有する研磨層(厚さ:約2mm)を作製した。次に、バフ機(アミテック社製)を使用して研磨層の表面をバフ処理して厚みを1.3mmに調整した。そして、該研磨層の研磨領域表面に溝加工機(東邦鋼機社製)を用いて溝加工を施し、直径が505mmになるように該研磨層の外周をカットした。その後、コロナ処理をしたクッションシート(東レ社製、ポリエチレンフォーム、トーレペフ、厚み0.8mm)の両面にラミ機を使用して、両面テープ(積水化学工業社製、ダブルタックテープ)を貼りつけ、研磨層と同じ大きさに切断して両面テープ付きクッションシートを作製した。そして、該両面テープ付きクッションシートに光透過領域に対応する開口部を設けた。その後、光透過領域と開口部の位置が一致するように、研磨層と両面テープ付きクッションシートを貼り合わせて研磨パッドを作製した。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】CMP研磨で使用する研磨装置の一例を示す概略構成図
【図2】本発明の研磨パッドの断面の一例を示す概略図
【図3】本発明の研磨パッドの製造工程の例を示す概略図
【図4】光透過領域形成用型枠の構造の一例を示す概略図
【符号の説明】
【0085】
1:研磨パッド
2:研磨定盤
3:研磨剤(スラリー)
4:被研磨材(半導体ウエハ)
5:支持台(ポリシングヘッド)
6、7:回転軸
8:研磨パッド
9:研磨領域
10:光透過領域
11:透明支持フィルム
12:気泡分散ウレタン組成物
13:モールド
14:光透過領域形成用型枠
15:注入孔
16:注入壁
17:光透過領域形成材料
18:クッション層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械発泡法により気泡分散ウレタン組成物を調製する工程、透明支持フィルムをモールド内に配置し、該支持フィルム上の所定位置に注入孔及び注入壁を有する光透過領域形成用型枠を配置する工程、前記注入孔内に光透過領域形成材料を吐出し、該光透過領域形成材料を硬化させて光透過領域を形成する工程、前記注入孔外の前記透明支持フィルム上に前記気泡分散ウレタン組成物を吐出し、該気泡分散ウレタン組成物を硬化させて研磨領域を形成する工程、及び前記光透過領域形成用型枠及びモールドを離型して、光透過領域と研磨領域との間に隙間を有する研磨層を作製する工程を含む研磨パッドの製造方法。
【請求項2】
前記光透過領域は、熱硬化性樹脂からなる請求項1記載の研磨パッドの製造方法。
【請求項3】
前記熱硬化性樹脂は、ポリウレタン樹脂である請求項2記載の研磨パッドの製造方法。
【請求項4】
前記注入壁の厚みが1mm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の研磨パッドの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の方法によって製造される研磨パッド。
【請求項6】
請求項5記載の研磨パッドを用いて半導体ウエハの表面を研磨する工程を含む半導体デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−260801(P2007−260801A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−85935(P2006−85935)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】