説明

硬脆性材料のスライス方法

【課題】ウェーハの反りを抑制しながら、硬脆性材料のスライス時間を短縮可能な硬脆性材料のスライス方法を提供する。
【解決手段】スライス初期では、第1の固定砥粒による硬脆性材料の切断が進行し、これに伴い、電着固定砥粒ワイヤの走行モータの負荷電流が徐々に低下し、電着固定砥粒ワイヤに撓みが生じてくる。しかしながら、第1の固定砥粒の粒度が第2の固定砥粒の粒度に達した時、鋭角な角部を有した未使用の第2の固定砥粒が、硬脆性材料の切断溝の底部に当接し、それ以降、切断溝の底部の主な研削は第2の固定砥粒が引き継ぐ。これにより、走行モータの負荷電流の低下が徐々に回復し、撓みが徐々に減少する。その結果、一定の押し付け速度のままで硬脆性材料をスライス可能となる。よって、ウェーハの反りを抑制しながら、硬脆性材料のスライス時間を短縮できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、硬脆性材料のスライス方法、詳しくはワイヤソーを用いて、例えばサファイアなどの脆性材料をスライスする際に好適な電着固定砥粒ワイヤによる硬脆性材料のスライス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、ワイヤソーによるシリコンインゴットのスライスは、複数本のグローブローラ間を走行しているワイヤ列に、遊離砥粒を含むスラリーを供給しながら、インゴットを押し付ける遊離砥粒方式のスライス方法が主流である。具体的には、ワイヤによりスラリー中の遊離砥粒がインゴットの切断溝の底部に擦り付けられ、遊離砥粒の研削作用により、この底部が徐々に削り取られることでスライスが進行する。
ところが、この遊離砥粒方式では、移動自在な遊離砥粒がワイヤと切断溝の底部との間に介在されなければ、この底部は削り取られない。そのため、硬脆性材料が、例えば高硬度で加工が困難なサファイアまたはSiCなどの硬脆性材料の場合には、シリコンインゴットのときに比べて加工レートが大幅に低下し、スライス時間が長くなってウェーハの生産性が低下していた。
【0003】
そこで、近年、遊離砥粒方式のスライス方法に比べて、カーフロスは大きいものの高い切断レートが得られる固定砥粒ワイヤを用いたスライス方法が開発されている。特に、ダイヤモンド砥粒をワイヤ基材の外周面に分散させた電着固定ダイヤモンドワイヤの場合には、硬脆性材料からなるインゴットのスライスに好適である。
しかしながら、従前の電着固定ダイヤモンドワイヤは、ワイヤ基材が断面円形で、ワイヤ基材の外周面の全域にダイヤモンド砥粒が略均一に分散されていた。そのため、スライス中、切断溝に溜まったチップ(切断屑)を掻き出す空間(チップポケット)を確保できず、徐々にチップが切断溝のスラリー中に溜まり、その分、固定砥粒によるインゴットの切断効率が低下していた。
【0004】
そこで、これを解消する従来技術として、例えば特許文献1〜特許文献3に記載されたものが知られている。
特許文献1に記載された従来技術は、素線の第1のメッキ層に導電性螺旋部と絶縁性螺旋部とからなる2条の螺旋部が形成され、導電性螺旋部に第2のメッキ層およびダイヤモンド砥粒が電着されたダイヤモンド電着ワイヤ工具を用いたインゴットのスライス方法である。この構成により、ワイヤ外周に螺旋形状のチップポケットが形成され、インゴットの切断溝に溜まったチップの掻き出し効率を高めることができる。
また、特許文献2に記載された従来技術は、螺旋状にねじれた形状のワイヤを使用して行われるインゴットの切断方法である。この構成により、ワイヤの外周にスラリーを保持可能な凹部(チップポケット)が形成され、スラリー保持力が高まってインゴットの切断効率が高まる。しかも、切断溝からのチップの掻き出し効率も高めることができる。
【0005】
特許文献3に記載された従来技術は、複数の素線を縒り合わせた芯線の表面に、砥粒を一様に電着した脆性材料切断用ワイヤ工具を用いて行うインゴットの切断方法である。複数の素線を縒り合わせることで、加工部への加工液の十分な供給が可能で、製造が容易で、材料切断時の加工能率および耐久性に優れたワイヤ工具が得られる。しかも、芯線として縒り線を採用したため、ワイヤ工具の表面にチップポケットである谷部が形成される。その結果、加工部への加工液の流入が助長され、切屑の排出が速やかに行われ、砥粒の目詰まりを原因としたインゴットの切断性能の劣化を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−96454号公報
【特許文献2】特開平11−10514号公報
【特許文献3】特開平11−277398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、特許文献1〜特許文献3に記載された従来のワイヤを使用したインゴット切断方法では、ワイヤの外周面にダイヤモンド砥粒を螺旋状に電着するか(特許文献1)、1本のワイヤをねじるか(特許文献2)、2本の素線を縒り合わせる(特許文献3)ことで、ワイヤの外周にチップポケットを形成し、インゴットの切断溝からのチップの掻き出し効率を高めていた。
しかしながら、これらの従来のワイヤにあっては、何れもワイヤの外周面に同一粒度の固定砥粒が固定されていた。そのため、インゴットのスライス時には、インゴットの切断溝の底部に擦り付けられた全ての固定砥粒が略均等に磨滅してしまい、固定砥粒の切れ味およびインゴットの切断効率を回復させることはできなかった。その結果、インゴットのスライスに長時間を要していた。しかも、固定砥粒の切れ味が低下することで、ワイヤに撓みが発生し易くなり、その結果、スライスされたウェーハの反りが大きくなっていた。
【0008】
そこで、発明者は鋭意研究の結果、ワイヤ基材の外周面に、第1の固定砥粒を線状に配列した第1の線状電着部と、第1の固定砥粒より粒度が小さい第2の固定砥粒を線状に配列した第2の線状電着部とを離間して形成した固定砥粒ワイヤを用いてインゴットを切断すれば、上述した課題を全て解消できることを知見した。しかも、スライス中、ワイヤ用の走行モータの負荷電流、負荷電圧、ワイヤの撓みの少なくとも1つの変動を検知し、これをワイヤの走行装置にフィードバックすれば、さらに高い効率でインゴットをスライス可能なことを知見し、この発明を完成させた。
【0009】
この発明は、ウェーハの反りを抑制しながら、硬脆性材料のスライス時間を短縮することができる硬脆性材料のスライス方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、ワイヤ基材の外周面に固定砥粒が電着された電着固定砥粒ワイヤを複数本のグルーブローラ間に巻き掛けてワイヤ列を形成し、該ワイヤ列を走行モータにより走行させながら、前記ワイヤ列に硬脆性材料を押し付け手段により押し付けることで、前記硬脆性材料から多数枚のウェーハをスライスする硬脆性材料のスライス方法において、前記電着固定砥粒ワイヤは、前記ワイヤ基材の外周面に、第1の固定砥粒が線状に電着された第1の線状電着部と、該第1の固定砥粒より粒度が小さい第2の固定砥粒が線状に電着された第2の線状電着部とが離間して形成されたものである硬脆性材料のスライス方法である。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記硬脆性材料のスライス中、前記走行モータの負荷電流と、該走行モータの負荷電圧と、前記電着固定砥粒ワイヤの撓みとのうち、少なくとも1つを検出し、前記負荷電流の検出値が目標負荷電流許容値、前記負荷電圧の検出値が目標負荷電圧許容値、前記撓みの検出値が目標撓み許容量となるように、前記押し付け手段による前記硬脆性材料のワイヤ列への押し付け速度をフィードバック制御する請求項1に記載の硬脆性材料のスライス方法である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、硬脆性材料のスライス初期では、粒度が大きい第1の固定砥粒による硬脆性材料の切断が進行し、第1の固定砥粒は、その鋭角な角部が徐々に欠落して磨滅する。これに伴い、電着固定砥粒ワイヤの走行モータの負荷電流および負荷電圧が徐々に低下し、電着固定砥粒ワイヤに撓みが生じてくる。しかしながら、第1の固定砥粒の粒度が第2の固定砥粒の粒度に達した時、鋭角な角部を有した未使用の第2の固定砥粒が、硬脆性材料の切断溝の底部に当接し、それ以降、切断溝の底部の主な研削は第2の固定砥粒が引き継ぐことになる。これにより、走行モータの負荷電流および負荷電圧の低下が徐々に回復し、撓みが徐々に減少して行く。その結果、同一粒度の固定砥粒がワイヤ基材に電着されたワイヤを使用する従来法の場合のように、固定砥粒の磨滅に伴いワイヤへの硬脆性材料の押し付け速度(フィード速度)を大きく低下させる必要がなく、一定の押し付け速度のままで硬脆性材料をスライスすることが可能となる。よって、ウェーハの反りを抑制しながら、硬脆性材料のスライス時間を短縮することができる。
また、電着固定砥粒ワイヤとして、ワイヤ基材の外周面に、第1の固定砥粒を線状に配列した第1の線状電着部と、第1の固定砥粒より粒度が小さい第2の固定砥粒を線状に配列した第2の線状電着部とを離間状態でそれぞれ形成したものを使用して硬脆性材料をスライスするため、このスライス中、両線状電着部の間にチップポケットが形成され、硬脆性材料の切断溝からのチップの掻き出し効率を高めることができる。
【0013】
特に、請求項2に記載の発明によれば、硬脆性材料のスライス中、走行モータの負荷電流と、走行モータの負荷電圧と、電着固定砥粒ワイヤの撓みとのうち、少なくとも1つを常時または適時検出し、負荷電流の検出値が目標負荷電流許容値、負荷電圧の検出値が目標負荷電圧許容値、撓みの検出値が目標撓み許容量となるように、押し付け手段による硬脆性材料のワイヤ列への押し付け速度をフィードバック制御する。これにより、より高精度にウェーハの反りを抑制しながら、さらに高い効率でインゴットをスライスすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の実施例1に係る硬脆性材料のスライス方法で用いられるワイヤソーの斜視図である。
【図2】この発明の実施例1に係る硬脆性材料のスライス方法で使用される電着固定砥粒ワイヤを示す要部拡大正面図である。
【図3a】この発明の実施例1に係る硬脆性材料のスライス方法による硬脆性材料のスライス開始状態を示す要部拡大断面図である。
【図3b】この発明の実施例1に係る硬脆性材料のスライス方法による硬脆性材料のスライス途中状態を示す要部拡大断面図である。
【図4】この発明の実施例2に係る硬脆性材料のスライス方法で用いられるワイヤソーの斜視図である。
【図5】この発明の実施例1に係る硬脆性材料のスライス方法において、電着固定砥粒ワイヤの走行モータの負荷電流に基づく硬脆性材料のワイヤ列への押し付け速度制御のフローシートである。
【図6】この発明の実施例1に係る硬脆性材料のスライス方法において、電着固定砥粒ワイヤの撓み量に基づく硬脆性材料のワイヤ列への押し付け速度制御のフローシートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明は、ワイヤ基材の外周面に固定砥粒が電着された電着固定砥粒ワイヤを複数本のグルーブローラ間に巻き掛けてワイヤ列を形成し、該ワイヤ列を走行モータにより走行させながら、前記ワイヤ列に硬脆性材料を押し付け手段により押し付けることで、前記硬脆性材料から多数枚のウェーハをスライスする硬脆性材料のスライス方法において、前記電着固定砥粒ワイヤは、前記ワイヤ基材の外周面に、第1の固定砥粒が線状に電着された第1の線状電着部と、該第1の固定砥粒より粒度が小さい第2の固定砥粒が線状に電着された第2の線状電着部とが離間して形成された硬脆性材料のスライス方法である。特に、この発明は、前記硬脆性材料のスライス中、前記走行モータの負荷電流と、該走行モータの負荷電圧と、前記電着固定砥粒ワイヤの撓みとのうち、少なくとも1つを検出し、前記負荷電流の検出値が目標負荷電流許容値、前記負荷電圧の検出値が目標負荷電圧許容値、前記撓みの検出値が目標撓み許容量となるように、前記押し付け手段による前記硬脆性材料のワイヤ列への押し付け速度をフィードバック制御するようにした方が望ましい。
【0016】
この発明によれば、硬脆性材料のスライス初期では、粒度が大きい第1の固定砥粒による硬脆性材料の切断が進行し、第1の固定砥粒は、その鋭角な角部が徐々に欠落して磨滅する。これに伴い、電着固定砥粒ワイヤの走行モータの負荷電流および負荷電圧が徐々に低下し、電着固定砥粒ワイヤに撓みが生じてくる。しかしながら、第1の固定砥粒が第2の固定砥粒のサイズまで磨滅した時、未使用の第2の固定砥粒が硬脆性材料の切断溝の底部に当接し、それ以降、切断溝の底部の主な研削は第2の固定砥粒に引き継がれる。その結果、走行モータの負荷電流および負荷電圧が徐々に上昇し、ワイヤの撓みが徐々に小さくなる。これにより、硬脆性材料を一定の押し付け速度で電着固定砥粒ワイヤに押し付けたままで、硬脆性材料をスライスすることが可能となる。よって、ウェーハの反りを抑制しつつ、硬脆性材料のスライス時間の短縮が図れる。
しかも、上述したフィードバック制御を採用した場合には、硬脆性材料のスライス中、走行モータの負荷電流と、走行モータの負荷電圧と、電着固定砥粒ワイヤの撓みとのうち、少なくとも1つを常時または適時検出し、負荷電流の検出値が目標負荷電流許容値、負荷電圧の検出値が目標負荷電圧許容値、撓みの検出値が目標撓み許容量となるように、押し付け手段による硬脆性材料のワイヤ列への押し付け速度をフィードバック制御する。これにより、より高精度にウェーハの反りを抑制しながら、さらに高い効率でインゴットをスライスすることができる。
【0017】
電着固定砥粒ワイヤとは、ワイヤ基材の外周面に砥粒が電着されたものである。その製造方法としては、例えば、金属メッキされたワイヤ基材の表面を合成樹脂により被覆してコーティング膜を形成し、その後、このコーティング膜に、第1の電着溝と第2の電着溝とを離間状態で形成する。次に、第1の電着溝に、溝全長にわたり第1の固定砥粒を電着し、ワイヤ基材に第1の線状電着部を形成する。また、第2の電着溝には、溝全長にわたり第2の固定砥粒を電着して、第1の線状電着部から離間した第2の線状電着部を形成することで、電着固定砥粒ワイヤが得られる。
また、硬脆性材料のスライス中は、第1の線状電着部と第2の線状電着部との間にチップポケットが形成されるため、硬脆性材料の切断溝からのチップの掻き出し効率を高めることができる。
【0018】
硬脆性材料としては、例えば、サファイアまたはSiCなどを採用することができる。
電着固定砥粒ワイヤを使用可能なワイヤソーとしては、例えば2本〜4本のグルーブローラを有し、硬脆性材料を下降させて硬脆性材料をワイヤ列に押し付ける方式のもの、硬脆性材料を上昇させて硬脆性材料をワイヤ列に押し付ける方式のものなどを採用することができる。
硬脆性材料のスライス時にワイヤ列に供給される加工液としては、シリカ粒などの遊離砥粒を含有しない純水(超純水)などを採用することができる。もちろん、遊離砥粒を含むスラリーでもよい。
【0019】
ワイヤ基材としては、例えばピアノ線などの鋼線、タングステン線、モリブデン線などを採用することができる。
ワイヤ基材の直径は50〜500μmである。50μm未満では電着固定砥粒ワイヤが断線し易くなる。また、500μmを超えればカーフロスが増大し、1本の硬脆性材料からスライスされるウェーハの枚数が減少する。好ましいワイヤ基材の直径は70〜400μmである。この範囲であれば、電着固定砥粒ワイヤを断線させることなく、効率よく脆性材料からのウェーハの採取が可能となる。
第1の線状電着部と第2の線状電着部との各形状(ワイヤ基材上での外観形状)は、例えば螺旋状、ワイヤ基材の長さ方向へ長い直線状、ワイヤ基材の長さ方向に直交したリング形状などを採用することができる。また、第1の線状電着部の形状と第2の線状電着部の形状とは、同一形状でも異なる形状でもよい。
【0020】
この発明では、第1の線状電着部と第2の線状電着部とを、互いに平行状態を保って、ワイヤ基材の外周面にそれぞれ螺旋状に形成させた方が望ましい。これにより、ワイヤの全外周(360°)に砥粒を電着することができ、切断中のワイヤのねじれに伴う切断屑の吐き出し効率が高くなる。この場合、第1の線状電着部と第2の線状電着部との離間距離は90〜500μmである。90μm未満では、砥粒間の距離が小さすぎて砥粒をワイヤ基材に電着させるスパイラル加工が困難になるとともに、チップポケットのサイズが小さくなって切断屑の吐き出し効率が低下する。また、500μmを超えれば、単位長さ当たりの砥粒の絶対数が少なくなり、切断効率が低下する。両線状電着部の好ましい離間距離は185〜210μmである。この範囲であれば、切断屑の吐き出し効率および切削効率が高く、かつスパイラル加工も容易になるという工業的なメリットが得られる。
【0021】
第1の線状電着部と第2の線状電着部との各形成本数は、1本または2本以上でもよい。
ワイヤ基材の外周面には、第1の線状電着部および第2の線状電着部の他にも、固定砥粒の粒度が両線状電着部のものと異なる別(第3、第4…)の線状電着部を形成してもよい。
第1の固定砥粒の素材および第2の固定砥粒の素材としては、ダイヤモンド、シリカ、SiC、アルミナ、ジルコニアなどを採用することができる。特にダイヤモンドが望ましい。第1の固定砥粒と第2の固定砥粒とは同一の素材でも、異なる素材でもよい。
【0022】
この発明の電着固定砥粒ワイヤでは、第1の固定砥粒の粒度を30〜40μmとし、第2の固定砥粒の粒度を5〜10μmとした方が望ましい。第1の砥粒の粒度が30μm未満では、砥粒のサイズが小さいため、硬脆性材料の初期の切削効率が下がる。また、40μmを超えれば、砥粒のサイズが大きくなるため、硬脆性材料へのダメージが増加し、硬脆性材料の加工歪層が厚くなるとともに、カーフロスが増大する。第2の砥粒の粒度が5μm未満では、砥粒のサイズが小さいため、第1砥粒が摩滅したあとの硬脆性材料の切削効率が著しく下がる。また、10μmを超えれば、砥粒のサイズが大きくなるため、第1砥粒の切削能力の高い状態で第2の砥粒が露出する。これにより、切削効率は高いものの、第1の固定砥粒の磨滅および第2の固定砥粒の摩滅がともに進行するため、ワイヤの寿命が短くなる。
【0023】
フィードバック制御において、検出部により検出されるのは、走行モータの負荷電流、走行モータの負荷電圧、電着固定砥粒ワイヤの撓みのうち、何れか1つまたは選出された2つもしくはこれらの全てでもよい。
走行モータの負荷電流の検出には、電流測定装置(電流計)を用いることができる。また、走行モータの負荷電圧の検出には、電圧測定装置(電圧計)を用いることができる。さらに、電着固定砥粒ワイヤの撓みの検出には、テンションゲージなどの各種のワイヤ張力検出装置を用いることができる。
フィードバック制御では、制御部において、上記各種の検出部からの出力信号(検出信号)と、目標値(目標負荷電流許容値、目標負荷電圧許容値、目標撓み許容量)とを比較し、両者の差(偏差信号)を制御対象である押し付け手段(具体的にはその駆動モータ)に、必要な物理量に変換して出力する。
【実施例】
【0024】
以下、この発明の実施例を具体的に説明する。ここでは、硬脆性材料の一種であるサファイアインゴットのスライス方法を例とする。
【0025】
図1において、10はこの発明の実施例1に係る電着固定砥粒ワイヤ11が使用されたワイヤソーで、サファイアインゴットからブロック切断され、円筒研削された結晶ブロックIを硬脆性材料とし、結晶ブロックIから多数枚のサファイアウェーハをスライスする装置である。
具体的には、ワイヤソー10は、正面視して三角形状に配置された3本のワイヤソー用グルーブローラ(以下、グルーブローラ)12A〜12Cを備えている。このうち、上方配置されたグルーブローラ12Cが駆動ローラで、これらのグルーブローラ12A〜12C間には、1本の電着固定砥粒ワイヤ11が互いに平行となるように一定のピッチで巻き掛けられている。これにより、グルーブローラ12A〜12C間にワイヤ列13が現出する。
【0026】
なお、図1において、14は純水供給ノズル、15は結晶ブロックIの固定ベッド、30は固定ベッド15が固定される昇降台、31は昇降台30の元部が固定される垂直テーブル、M1は垂直テーブル17を上下動させる押し付けモータ、M2はグルーブローラ12Cを回転させるメインモータ(走行モータ)である。32は垂直テーブル31および押し付けモータM1を有し、かつ結晶ブロックIを上昇させてワイヤ列13へ押し付ける押し付け手段である。
【0027】
図2に示すように、電着固定砥粒ワイヤ11は、直径180μmの鋼製のワイヤ基材16の表面に、粒度30〜40μmのダイヤモンドからなる第1の固定砥粒17と、粒度5〜10μmのダイヤモンドからなる第2の固定砥粒18とを、間隔d(185〜210μm)を保持して二重螺旋状に電着させ、第1の線状電着部20と第2の線状電着部22とを形成したものである。次に、電着固定砥粒ワイヤ11の製造方法を具体的に説明する。
【0028】
ニッケルがメッキされたピアノ線からなるワイヤ基材16を用意し、ワイヤ基材16の外周面に合成樹脂(フッ素樹脂)を被覆し、厚さ10μmのコーティング膜を形成する。その後、スパイラル加工機を用いてコーティング膜に幅60μmの螺旋状の第1の電着溝19を1本形成する。次に、第1の電着溝19の全長にわたって第1の固定砥粒17を電着メッキする。具体的には、公知のニッケルメッキ装置によってピアノ線の表面をニッケルメッキし、そのメッキされた表面を非導電性物質である合成樹脂(ここではフッ素樹脂)により被覆する。次に、電着固定砥粒ワイヤ11の外周面に導電性の部分をスパイラル状に形成させるため、公知のスパイラル加工機を用いて上記合成樹脂の皮膜をスパイラル状に除去し、露出したスパイラル状の導電性部位(ニッケル)へ所定の粒度のダイヤモンド砥粒をニッケルメッキ(電着)する。これにより、ワイヤ基材16の外周面に第1の線状電着部20が形成される。
【0029】
その後、再びスパイラル加工機を使用し、第1の電着溝19に対してワイヤ基材16の周方向へ180°ずらしたコーティング膜の位置に、第1の電着溝19と平行な第2の電着溝21を螺旋状に形成する。すなわち、ここでは螺旋状の第1の電着溝19のピッチ間に第2の電着溝21を配置し、第1の電着溝19と第2の電着溝21との各ねじり角度を同一とする。その後、第2の電着溝21の全長にわたって第2の固定砥粒18を電着メッキする。具体的には、第1の固定砥粒17に対してワイヤ基材16の周方向へ90度ずらした位置に、電着固定砥粒ワイヤ11の外周面に導電性の部分をスパイラル状に形成させるため、公知のスパイラル加工機を用いて上記合成樹脂の皮膜をスパイラル状に除去し、露出したスパイラル状の導電性部位に、所定の粒度のダイヤモンド砥粒をニッケルメッキする。これにより、ワイヤ基材16の外周面に第2の線状電着部22が形成される。こうして、砥粒の粒度が異なる二重螺旋状の線状電着部20,22を有した電着固定砥粒ワイヤ11が製造される。
【0030】
次に、図1、図3(a)および図3(b)を参照して、電着固定砥粒ワイヤ11を使用した実施例1の結晶ブロックIのスライス方法を説明する。
結晶ブロックIのスライス時、電着固定砥粒ワイヤ11は、繰出し装置のボビンから導出され、供給側のガイドローラを介して、各グルーブローラ12A〜12Cを走行後、導出側のガイドローラを介して、巻取り装置のボビンに巻き取られる。ワイヤ列13は、3本のグルーブローラ12A〜12C間でメインモータM2により一方向走行され、ワイヤ列13のうち、下側に配置された2本のグルーブローラ12A,12Bの中間部分が、結晶ブロックIの切断位置となっている。この切断位置の一側部の上方には、純水をワイヤ列13上に連続供給する純水供給ノズル14が設けられている。純水供給ノズル14から10リットル/minの純水をワイヤ列13に供給しながら、1m/minで一方向走行中のワイヤ列13に、下方から結晶ブロックIを1.0mm/minで押し付け、結晶ブロックIが多数枚のサファイアウェーハにスライスされる。
【0031】
結晶ブロックIのスライス時、第1の線状電着部20と第2の線状電着部22との間にチップポケットが形成される。これにより、結晶ブロックIの切断溝Iaからのチップの高い掻き出し効率を確保することができる。
しかも、結晶ブロックIのスライス初期では、粒度が大きい第1の固定砥粒17による結晶ブロックIのスライスが進行する(図3a)。すなわち、ワイヤ基材16に固定された第1の固定砥粒17が結晶ブロックIの切断溝Iaの底部に擦り付けられ、この底部を第1の固定砥粒17の鋭角な角部が徐々に削り取り、結晶ブロックIのスライスが進行する。これに伴い、スライスに利用された第1の固定砥粒17の角部は徐々に欠落して行く。この結晶ブロックIのスライス初期では、第1の固定砥粒17の角部の欠落率が低いため、結晶ブロックIの加工(研削)レートは高い。ところが、スライスが進行して行けば、第1の固定砥粒17の角部の欠落率が高まり、角部が丸まった砥粒となる。そのため、第1の固定砥粒17の切れ味が悪化し、結晶ブロックIの切断効率は低下する。
【0032】
しかしながら、第1の固定砥粒17が磨滅してその粒度が第2の固定砥粒18の粒度に達した時、鋭角な角部を有した第2の固定砥粒18が、結晶ブロックIの切断溝Iaの底部に当接する(図3b)。よって、それ以降は結晶ブロックIの切断溝Iaの底部の主な研削を第2の固定砥粒18が引き継ぎ、第1の固定砥粒17の磨滅を原因に低下していた結晶ブロックIの切断効率を回復することができる。しかも、その後は、角部が丸まった第1の固定砥粒17と角部が鋭角な第2の固定砥粒18とが協働して結晶ブロックIを切断するため、切断効率が高い状態が長期間維持される。
【0033】
次に、図4および図5、図6のフローシートを参照して、この発明の実施例2に係るサファイア(硬脆性材料)のスライス方法を説明する。
実施例2に係るサファイアのスライス方法の特徴は、結晶ブロックIのスライス中、メインモータM2の負荷電流を電流計33により常時検出し、かつ電着固定砥粒ワイヤ11の撓みを、繰出し装置から繰り出された電着固定砥粒ワイヤ11の導入側のガイドローラ34aに付設されたテンションゲージ34により常時検出し、その後、負荷電流の検出値が目標負荷電流許容値となり、ワイヤの撓みの検出量が目標撓み許容量となるように、制御部35により、押し付け手段32による結晶ブロックIのワイヤ列13への押し付け速度をフィードバック制御するものである。なお、電流計33によりメインモータM2の負荷電流を検出せず、電圧計によりメインモータM2の負荷電圧を検出するように構成してもよい。
このフィードバック制御において、制御部35では、電流計33およびテンションゲージ34からの各検出信号と、あらかじめ制御部35のメモリに記憶された目標負荷電流許容値および目標撓み許容量とを比較部により比較し、その偏差信号に基づき、押し付け手段32の押し付けモータM1に、調節部および操作部を経て必要量の速度変更指令が出力される。これにより、さらに高精度にウェーハの反りを抑制しながら、より短時間で結晶ブロックIをスライスすることができる。
【0034】
以下、図5のフローシートを参照して、メインモータM2の負荷電流からの検出信号に基づき、押し付け手段32による結晶ブロックIのワイヤ列13への押し付け速度を制御する方法を説明する。
ワイヤソー10の起動時、制御部35は、モータ制御回路に制御信号を出力し、ワイヤ繰出し装置および巻取り装置のボビンを回転させ、メインモータM2の出力軸を所定速度で回転させる。これにより、駆動ローラであるグルーブローラ12Cを介して、3本のグルーブローラ12A〜12C間でワイヤ列13が図1の矢印方向へ所定速度で回転する。
また、制御部35は、あらかじめメモリに記憶された回転速度に基づく制御信号を出力し、押し付けモータM1を駆動する(ステップS101)。これにより、昇降台30とともに垂直テーブル31が所定速度で上昇し、一方向走行中のワイヤ列13に、結晶ブロックIが下方から押し付けられ、結晶ブロックIが多数枚のウェーハにスライスされて行く。
【0035】
その際、制御部35では、電流計33からの検出信号に基づき、メインモータM2の実測された負荷電流が、メモリに記憶された目標負荷電流許容値の範囲内であるか否かを判断する(ステップS102)。実測値が許容範囲であればステップS101へ戻り、許容範囲を超えていればステップS103へ移行する。
ステップS103では、実測の負荷電流値が目標負荷電流許容値未満であるか否かが判断される。許容値未満であれば、比較部からの偏差信号に基づき、調節部および操作部を経て必要量の増速指令が押し付けモータM1へ出力される(ステップS105)。これにより、ワイヤ列13への結晶ブロックIの押し付け速度が高まり、メインモータM2の負荷電流が高まって結晶ブロックIのスライス速度が速まる。また、実測の負荷電流値がこの許容値未満でなければ負荷電流が許容値を超えているため、比較部からの偏差信号に基づき、調節部および操作部を経て必要量の減速指令が押し付けモータM1へ出力される(ステップS104)。その結果、ワイヤ列13への結晶ブロックIの押し付け速度が低下し、メインモータM2の負荷電流が下がって結晶ブロックIのスライス速度が遅くなる。
【0036】
次に、図6のフローシートを参照して、テンションゲージ34からの電着固定砥粒ワイヤ11の撓みの検出信号に基づき、押し付け手段32による結晶ブロックIのワイヤ列13への押し付け速度を制御する方法を説明する。
ワイヤソー10の起動時、制御部35は、あらかじめメモリに記憶された回転速度に基づく制御信号を出力し、押し付けモータM1を駆動する(ステップS201)。これにより、昇降台30とともに垂直テーブル31が所定速度で上昇し、一方向走行中のワイヤ列13に、結晶ブロックIが下方から押し付けられ、結晶ブロックIが多数枚のウェーハにスライスされて行く。
その際、制御部35では、電着固定砥粒ワイヤ11の撓み量を検出するテンションゲージ34からの検出信号に基づき、実測されたワイヤ11の撓み量が、メモリに記憶された目標撓み許容量の範囲内であるか否かを判断する(ステップS202)。実測値が許容範囲であればステップS201へ戻り、許容範囲を超えていればステップS203へ移行する。
【0037】
ステップS203では、実測の撓み量が目標撓み許容値未満であるか否かが判断される。許容値未満であれば、比較部からの偏差信号に基づき、調節部および操作部を経て必要量の減速指令が押し付けモータM1へ出力される(ステップS205)。これにより、ワイヤ列13への結晶ブロックIの押し付け速度が低下し、結晶ブロックIのスライス速度がゆっくりとなり、ワイヤ11の撓み量が大きくなって結晶ブロックIのスライス速度が低下する。また、実測の撓み量がこの許容値未満でなければワイヤ11の撓み量が許容値を超えているため、比較部からの偏差信号に基づき、調節部および操作部を経て必要量の増速指令が押し付けモータM1へ出力される(ステップS204)。これによりワイヤ列13への結晶ブロックIの押し付け速度が高まり、ワイヤ11の撓みが抑制されて結晶ブロックIのスライス速度が速まる。
また、第1の固定砥粒17から第2の固定砥粒18に結晶ブロックIの切断が引き継がれる際、スライス中は常時、メインモータM2の負荷電流を検出して負荷制御するため、結晶ブロックIの切削抵抗が生じても、一般の負荷制御に比べて、高精度にウェーハの反りを抑制しながら、高い効率で結晶ブロックIをスライスすることができる。
その他の構成、作用および効果は実施例1と同じであるため、説明を省略する。
【0038】
(試験例1、比較例1,2)
次に、表1を参照し、粒度が異なる第1の固定砥粒17と第2の固定砥粒18とを二重螺旋状に電着した実施例1の電着固定砥粒ワイヤ11の方(試験例1)が、粒度30〜40μmの固定砥粒が外周面の全域に分散された市販品の電着固定砥粒ワイヤ(比較例1,2)に比べて、サファイアからなる結晶ブロックIのスライスの時間(加工時間)が短縮し、かつ得られたサファイアウェーハの反り(Warp)も抑制されることを証明する。
【0039】
なお、比較例1は、結晶ブロックIのワイヤ列13への押し付け速度(フィード速度;11mm/hour)と、結晶ブロックIのスライス時間(加工時間;4.5時間)とを、実施例1の場合と同一として結晶ブロックIをスライスしたものである。また、比較例2は、前記市販品のワイヤを用いて実施例1と同一レベルのウェーハの反りを得るため、前記押し付け速度を9mm/hourに変更し、前記スライス時間を5.5時間に変更したものである。
【0040】
【表1】

【0041】
表1から明らかなように、試験例1(実施例1)の電着固定砥粒ワイヤ11を用いれば、11mm/hourという高い押し付け速度で結晶ブロックIをスライスしても、ウェーハの反りは15〜25μmで、比較例1,2と同一かそれより抑えられることが判明した。
【0042】
(試験例2、比較例3)
次に、表2を参照し、実施例2に則って押し付け手段32による結晶ブロックIのワイヤ列13への押し付け速度をフィードバック制御したとき、実施例1の電着固定砥粒ワイヤ11を使用した場合(試験例2)と、前記市販品のワイヤを使用した場合(比較例3)とで、ウェーハの反りおよび結晶ブロックIのスライス時間に違いが生じるのかを調査した。
なお、電着固定砥粒ワイヤ11の目標撓み許容量は最大2mm(0〜2mm)である。メインモータM2の目標負荷電流許容値は、モータに応じて適宜設定される。
【0043】
【表2】

【0044】
表2から明らかなように、実施例2のフィードバック制御に則り、試験例2の電着固定砥粒ワイヤ11または比較例3の市販品のワイヤを用いて結晶ブロックIをスライスした際、得られたウェーハの反りが10μm未満となるために要する結晶ブロックIのスライス時間は、試験例2の電着固定砥粒ワイヤ11の場合の方が、比較例3の市販品のワイヤでの場合の約半分に短縮することが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0045】
この発明は、例えばサファイアやSiCなどの硬脆性材料のスライス方法として有用である。
【符号の説明】
【0046】
11 電着固定砥粒ワイヤ、
12A〜12C グルーブローラ、
13 ワイヤ列、
16 ワイヤ基材、
17 第1の固定砥粒、
18 第2の固定砥粒、
20 第1の線状電着部、
22 第2の線状電着部、
32 押し付け手段、
M2 メインモータ(走行モータ)、
I 結晶ブロック(硬脆性材料)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤ基材の外周面に固定砥粒が電着された電着固定砥粒ワイヤを複数本のグルーブローラ間に巻き掛けてワイヤ列を形成し、該ワイヤ列を走行モータにより走行させながら、前記ワイヤ列に硬脆性材料を押し付け手段により押し付けることで、前記硬脆性材料から多数枚のウェーハをスライスする硬脆性材料のスライス方法において、
前記電着固定砥粒ワイヤは、前記ワイヤ基材の外周面に、第1の固定砥粒が線状に電着された第1の線状電着部と、該第1の固定砥粒より粒度が小さい第2の固定砥粒が線状に電着された第2の線状電着部とが離間して形成されたものである硬脆性材料のスライス方法。
【請求項2】
前記硬脆性材料のスライス中、前記走行モータの負荷電流と、該走行モータの負荷電圧と、前記電着固定砥粒ワイヤの撓みとのうち、少なくとも1つを検出し、
前記負荷電流の検出値が目標負荷電流許容値、前記負荷電圧の検出値が目標負荷電圧許容値、前記撓みの検出値が目標撓み許容量となるように、前記押し付け手段による前記硬脆性材料のワイヤ列への押し付け速度をフィードバック制御する請求項1に記載の硬脆性材料のスライス方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−157908(P2012−157908A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17227(P2011−17227)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(302006854)株式会社SUMCO (1,197)
【Fターム(参考)】