説明

磁気記憶装置及びその書き込み/読み出し方法

【課題】大容量メモリを実現する。
【解決手段】磁気記憶装置は、磁壁12で区切られた磁区11からなる複数のセルで構成され、このセル毎に情報が記録された磁性配線10と、この磁性配線の一端部に配置された書き込み用素子20と、磁性配線の他端部に配置された読み出し用素子30とを具備する。書き込み動作時には、金属配線からなる書き込み用素子に書き込み電流Iwを流し、この書き込み電流Iwにより発生する磁場を磁性配線10の一端部に位置するターゲットセル(書き込みたいアドレスのセル)TC−wに印加する。読み出し用素子30はMTJ素子(磁気抵抗効果素子)からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁壁で区切られた磁区毎に情報が記録された磁性配線を有する磁気記憶装置及びその書き込み/読み出し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、サブミクロン幅の磁性細線において、単一磁壁の電流駆動を観察したという報告がある(例えば、非特許文献1参照)。この効果を利用した磁壁シフトが可能な磁気シフトレジスタが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、非特許文献2参照)。これらの提案では、複数の磁区に分割された磁性配線を用いて、電流にて磁壁移動を行い、磁気テープと同じような構造の磁気記憶装置を実現している。このような磁気シフトレジスタでは、セルの高密度化等による磁気メモリの大容量化の要求が高まりつつある。
【特許文献1】米国特許第6,834,995号明細書
【特許文献2】米国特許第6,834,005号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0252538号明細書
【非特許文献1】A.Yamaguchi et al., Phys Rev.Lett92, 077205(2004)
【非特許文献2】日経エレクトロニクス、2005年3月14号、pp.26−27
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、大容量メモリを実現することが可能な磁気記憶装置及びその書き込み/読み出し方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の視点による磁気記憶装置は、磁壁で区切られた磁区からなる複数のセルで構成され、前記セル毎に情報が記録された第1の磁性配線と、前記第1の磁性配線の一端部に配置された第1の書き込み用素子と、前記第1の磁性配線の他端部に配置された第1の読み出し用素子とを具備する。
【0005】
本発明の第2の視点による磁気記憶装置の書き込み方法は、磁壁で区切られた磁区からなる複数のセルで構成され、前記セル毎に情報が記録された磁性配線と、前記磁性配線の一端部に配置された書き込み用素子と、前記磁性配線の他端部に配置された読み出し用素子とを備え、前記磁性配線の前記一端部に書き込み対象であるターゲットセルが位置するかを確認する工程と、前記確認の結果、前記磁性配線の前記一端部に前記ターゲットセルが位置する場合は、前記書き込み用素子を用いて前記ターゲットセルに情報を書き込む工程と、前記確認の結果、前記磁性配線の前記一端部に前記ターゲットセルが位置しない場合は、前記読み出し用素子を用いて前記第1の磁性配線の前記他端部における第1のセルの情報を読み出し、前記第1のセルの前記情報を記憶する工程と、前記磁性配線に電流を流して磁壁を1セル分移動させた後、前記書き込み用素子を用いて前記磁性配線の前記一端部における第2のセルに前記第1のセルの前記情報を書き込む工程と、前記第2のセルが前記ターゲットセルであるかを確認する工程とを具備する。
【0006】
本発明の第3の視点による磁気記憶装置の読み出し方法は、磁壁で区切られた磁区からなる複数のセルで構成され、前記セル毎に情報が記録された磁性配線と、前記磁性配線の一端部に配置された書き込み用素子と、前記磁性配線の他端部に配置された読み出し用素子とを備え、前記磁性配線の前記他端部に読み出し対象であるターゲットセルが位置するかを確認する工程と、前記確認の結果、前記磁性配線の前記他端部に前記ターゲットセルが位置する場合は、前記読み出し用素子を用いて前記ターゲットセルの情報を読み出す工程と、前記確認の結果、前記磁性配線の前記他端部に前記ターゲットセルが位置しない場合は、前記読み出し用素子を用いて前記第1の磁性配線の前記他端部における第1のセルの情報を読み出し、前記第1のセルの前記情報を記憶する工程と、前記磁性配線に電流を流して磁壁を1セル分移動させた後、前記書き込み用素子を用いて前記磁性配線の前記一端部における第2のセルに前記第1のセルの前記情報を書き込む工程と、前記磁性配線に電流を流して磁壁を1セル分移動させた後において、前記磁性配線の前記他端部に読み出し対象であるターゲットセルが位置するかを確認する工程とを具備する。
【0007】
本発明の第4の視点による磁気記憶装置の読み出し方法は、磁壁で区切られた磁区からなる複数のセルで構成され、前記セル毎に情報が記録された磁性配線と、前記磁性配線の第1のセルに接続された書き込み用素子と、前記磁性配線の第2のセルに接続された読み出し用素子とを備え、前記第2のセルのアドレスを読み出す工程と、前記第2のセルの前記アドレスが読み出し対象であるターゲットセルのアドレスと一致するか比較する工程と、前記比較の結果、前記第2のセルの前記アドレスが前記ターゲットセルの前記アドレスと一致する場合は、前記ターゲットセルに電流を流して前記ターゲットセルの情報を読み出す工程と、前記比較の結果、前記第2のセルの前記アドレスが前記ターゲットセルの前記アドレスと一致しない場合は、前記第2のセルの前記アドレスと前記ターゲットセルの前記アドレスとの差分に応じて前記磁性配線の磁壁を移動させた後、前記ターゲットセルに電流を流して前記ターゲットセルの情報を読み出す工程とを具備する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、大容量メモリを実現することが可能な磁気記憶装置及びその書き込み/読み出し方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施の形態を以下に図面を参照して説明する。この説明に際し、全図にわたり、共通する部分には共通する参照符号を付す。
【0010】
[1]第1の実施形態
[1−1]磁気記憶装置の構造
図1は、本発明の第1の実施形態に係る磁気記憶装置の模式図を示す。図2(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態に係る読み出し用素子の模式図を示す。以下に、第1の実施形態に係る磁気記憶装置について説明する。
【0011】
図1に示すように、集積回路(図示せず)が搭載された半導体基板1の上方には、記憶素子として機能する磁性配線10が配置されている。この磁性配線10は、例えば直線形状であり、強磁性体からなる。磁性配線10は、全体的に磁気モーメントが一定方向ではなく、磁区11と呼ばれる複数の領域が存在する。この磁区11の領域内では、磁気モーメントが一方向に揃っている。磁気モーメントが異なる磁区11間の境界には、磁壁12(磁壁12は、図1では単純に線で表してあるが、ある有限の幅を持つ)が存在する。従って、磁性配線10において、磁区11の磁気モーメントの向きをデータの“1”、“0”に対応させ、磁壁12で区切られた複数の磁区11のひとつひとつをメモリセルとみなせば、この磁区11によるセル毎に“1”、“0”の情報を記録することができる。尚、隣接セルのデータが同じ場合、磁気モーメントの向きが完全に同じ場合には磁壁ができないが、説明の便宜上、磁壁があるものとして記述する。また、“1”、“0”の2値にデータを区切るため、同じデータでも、磁気モーメントが完全に同じではない場合もありうる。その場合は、同一データの磁区間でも磁壁が存在しうる。
【0012】
磁性配線10の一端部の半導体基板1側には、書き込み用素子20が配置されている。この書き込み用素子20は、磁性配線10と離間して設けられ、例えば金属配線からなる。そして、書き込み動作時には、金属配線に書き込み電流Iwを流し、この書き込み電流Iwにより発生する磁場を磁性配線10の一端部に位置するターゲットセル(書き込みたいアドレスのセル)TC−wに印加する。その結果、ターゲットセルTC−wの磁化方向を確定することによりデータを書き込む。
【0013】
磁性配線10の他端部の半導体基板1側には、読み出し用素子30が配置されている。この読み出し用素子30は、例えば図2(a)及び(b)に示すような、TMR(Tunneling Magneto Resistive)効果を利用したMTJ(Magnetic Tunnel Junction)素子(磁気抵抗効果素子)からなる。この磁気抵抗効果素子は、磁区の磁化方向によって抵抗値が異なる。
【0014】
図2(a)の例の場合、読み出し用素子30は、磁化方向が固定された固定層31と、磁化方向が反転可能な記録層33と、固定層31及び記録層33の間に設けられた非磁性層32とを有する。ここで、記録層33は、磁性配線10の他端部に位置するターゲットセル(読み出したい情報が記憶されたセル)TC−rに対向して配置されている。そして、ターゲットセルTC−rからの漏れ磁場によりターゲットセルTC−rの磁化方向が記録層33に転写され、読み出し用素子30に読み出し電流Irを流すことでターゲットセルTC−rのデータを読み出す。尚、読み出し用素子30の記録層33は、磁気的に磁性配線10と一体化していなければよいため、空間的にはターゲットセルTC−rと離間していてもよいし、ターゲットセルTC−rと接していてもよい。
【0015】
図2(b)の例の場合、読み出し用素子30は、磁化方向が固定された固定層31と、磁性配線10の他端部に位置するターゲットセルTC−rと、固定層31及びターゲットセルTC−rの間に設けられた非磁性層32とを有する。ここで、非磁性層32は、ターゲットセルTC−rに接している。そして、この読み出し用素子30に読み出し電流Irを流すことでターゲットセルTC−rのデータを読み出す。
【0016】
磁性配線10の端部には、磁性配線10の磁壁12を移動させるための電流源(図示せず)が設けられている。この電流源から供給される電流Isにより、ターゲットセルTC−wを書き込み用素子20の直上に移動させ、ターゲットセルTC−rを読み出し用素子30の直上に移動させる。この際、磁性配線10の磁壁12は、書き込み用素子20の位置する磁性配線10の一端部から読み出し用素子30の位置する磁性配線10の他端部へ移動する。換言すると、書き込み用素子20は磁壁12のシフト方向の開始側に配置され、読み出し用素子30は磁壁12のシフト方向の終端側に配置されている。尚、磁壁12のシフト方向は、電流Isの流れる方向と反対である。
【0017】
[1−2]書き込み/読み出し動作
(書き込みシーケンス)
図3は、本発明の第1の実施形態に係る磁気記憶装置の書き込み動作のシーケンス図を示す。図4(a)乃至(d)は、本発明の第1の実施形態に係る磁気記憶装置の書き込み動作の説明図を示す。以下に、第1の実施形態に係る磁気記憶装置の書き込み動作について説明する。
【0018】
まず、図4(a)に示すように、磁性配線10の一端部(書き込み用素子20側の端部)のセルA1に書き込み対象であるターゲットセルTC−wが位置するかを確認する(図3のST1)。この際、セルA1のアドレスとターゲットセルTC−wのアドレスとが比較される。
【0019】
その結果、図4(b)に示すように、セルA1がターゲットセルTC−wである場合には、書き込み用素子20に書き込み電流Iwを流し、この書き込み電流Iwに生じた磁場HをターゲットセルTC−wに印加し、ターゲットセルTC−wにデータD1(例えば“0”データ)を書き込む(図3のST2)。
【0020】
一方、図4(c)に示すように、セルA1がターゲットセルTC−wでない場合には、読み出し用素子30に読み出し電流Irを流すことにより、磁性配線10の他端部(読み出し用素子30側の端部)のセルA2のデータD2(例えば“0”データ)を読み出す(図3のST3)。そして、このセルA2のデータD2を例えばレジスタ等に一時記憶する(図3のST4)。
【0021】
次に、図4(d)に示すように、磁性配線10に電流Isを流し、磁壁を例えば1セル分移動させる(図3のST5)。その後、書き込み用素子20に書き込み電流Iwを流し、この書き込み電流Iwに生じた磁場Hを磁性配線10の一端部のセルA3に印加する。これにより、セルA3に、セルA2のデータD2(例えば“0”データ)を書き込む(図3のST6)。
【0022】
次に、磁性配線10の一端部のセルA3が書き込み対象であるターゲットセルTC−wであるかを再度確認し(図3のST1)、この確認結果に応じて図3のST2〜ST6のステップが行われる。
【0023】
(読み出しシーケンス)
図5は、本発明の第1の実施形態に係る磁気記憶装置の読み出し動作のシーケンス図を示す。図6(a)乃至(d)は、本発明の第1の実施形態に係る磁気記憶装置の読み出し動作の説明図を示す。以下に、第1の実施形態に係る磁気記憶装置の読み出し動作について説明する。
【0024】
まず、図6(a)に示すように、磁性配線10の他端部(読み出し用素子30側の端部)のセルB1に読み出し対象であるターゲットセルTC−rが位置するかを確認する(図5のST1)。この際、セルB1のアドレスとターゲットセルTC−rのアドレスとが比較される。
【0025】
その結果、図6(b)に示すように、セルB1がターゲットセルTC−rである場合には、読み出し用素子30に読み出し電流Irを流し、ターゲットセルTC−rのデータD1(例えば“0”データ)を読み出す(図5のST2)。
【0026】
一方、図6(c)に示すように、セルB1がターゲットセルTC−rでない場合には、読み出し用素子30に読み出し電流Irを流すことにより、セルB1のデータD2(例えば“0”データ)を読み出す(図5のST3)。そして、このセルB1のデータD2を例えばレジスタ等に一時記憶する(図5のST4)。
【0027】
次に、図6(d)に示すように、磁性配線10に電流Isを流し、磁壁を例えば1セル分移動させる(図5のST5)。その後、書き込み用素子20に書き込み電流Iwを流し、この書き込み電流Iwに生じた磁場Hを磁性配線10の一端部(書き込み用素子20側の端部)のセルB2に印加する。これにより、セルB2に、セルB1のデータD2(例えば“0”データ)を書き込む(図5のST6)。
【0028】
次に、磁壁シフト後の磁性配線10の一端部のセルB3が読み出し対象であるターゲットセルTC−rであるかを再度確認し(図5のST1)、この確認結果に応じて図5のST2〜ST6のステップが行われる。
【0029】
以上のような書き込み/読み出しシーケンスでは、磁壁シフトによって磁性配線10から排出される情報を読み出し、この情報を磁壁シフトの開始側の磁区11に書き込む。これによって、論理的にはループ状のシフトレジスタが構成される。この構造により、磁気シフトレジスタ(磁性配線10)内の全ての磁区11をメモリセルとして用いることができる。
【0030】
(アドレス検出)
磁性配線10内のメモリセルを同定するためのアドレス検出に関しては、いろいろな方法がある。
【0031】
磁性配線10がいくつの磁区(メモリセル)を有するかは、例えば、くびれを入れるなどの形状、又は、磁壁移動のための電流パルスの大きさやパルス幅によって、決定できる。従って、毎回の読み出し及び書き込み動作の終了後に、ある初期的な位置にデータを移動することにより、次回の読み出し及び書き込みは磁性配線10内のメモリセルを同定するためのアドレス“0”からスタートする、というようにできる。つまり、ひとつの磁性配線10がn個の磁区(メモリセル)で構成されており、読み出し及び書き込みアドレスがj(0<j<n−1)である場合、読み出し及び書き込みが終了した後、(n−j)だけ磁壁を移動させる。但し、j=0の場合には、磁壁を移動させない方が、効率が良い。アドレス検出は、読み出し及び書き込みアドレスがjである場合、磁壁移動をj回行うことになるため、カウンタを用意し、そのカウント数で判断する。
【0032】
あるいは、毎度毎度ではなく、電源が遮断される場合のみ、上記のような磁壁移動をさせるということも考えられる。この場合は、パワーオフ検知回路を用いた検知又は電位低下による検知によって動作を行うか、メモリシステムがシャットダウンコマンドを発行できる場合はそのコマンド信号を受けて動作する。通電中は、現在、どのアドレスが読み出し素子及び書き込み素子の位置にあるかを記憶するレジスタを用意し、このレジスタにそのアドレスを保存する。そして、ターゲットセルのアドレスとレジスタのアドレスとを比較して、その差分だけ磁壁移動を行う。
【0033】
さらに、上記レジスタを不揮発性メモリにすれば、初期化は必要なくなるなどの方法が考えられる。
【0034】
尚、アドレス検出の方法としては、後述する図23乃至図26のような方法を用いることも可能である。
【0035】
[1−3]磁壁移動の原理
図7A乃至図7Hは、本発明の第1の実施形態に係る磁壁移動の原理を説明するための模式図を示す。
【0036】
図7Aは、磁壁移動を行う前の状態を示す。ここでは、以下の点を前提とする。強磁性体中の伝導電子のスピンの向きは、強磁性体の磁気モーメント(磁化)の向きに対して平行か反平行となっているものとする(この方がエネルギーが低いためである)。強磁性体の磁気モーメント(磁化)の由来は、強磁性体を構成する原子の最外郭電子のスピンである(鉄族(Fe,Co,Ni)の場合、該当)。伝導電子も最外郭電子であるが、磁気モーメント(磁化)を担う電子とは区別して考える。以下に、第1の実施形態に係る磁壁移動の原理について簡単に説明する。
【0037】
まず、強磁性体に電流を流すと、強磁性体中には電流と反対方向に電子(伝導電子)が流れる。この伝導電子は、自分のスピンの向きを保持したまま、磁壁に突入しようとする(図7B)。しかし、伝導電子は、突入先の磁気モーメントに自分のスピンの向きを合わせることとなる(図7C)。そして、伝導電子のスピンの向きが回転した埋め合わせ(角運動量の保存)として、磁気モーメントを担う電子のスピンの向きが回転する(図7D)。従って、伝導電子のスピンと磁気モーメントのスピンとが交換することとなる。さらに伝導電子が流れ(図7E)、この伝導電子は自分のスピンの向きを保持したまま磁壁に突入しようとする(図7F)。しかし、伝導電子は、突入先の磁気モーメントに自分のスピンの向きを合わせることとなる(図7G)。そして、伝導電子のスピンの向きが回転した埋め合わせ(角運動量の保存)として、磁気モーメントを担う電子のスピンの向きが回転する(図7H)。従って、伝導電子のスピンと磁気モーメントのスピンとが交換することとなる。以上のような結果、磁壁が移動することとなる。
【0038】
尚、磁壁の移動距離は例えば電流量や電流パルスの長さに比例して決まるため、適当な長さの電流パルスにより磁壁移動を行う。但し、磁壁の移動量が多少不適切であっても、磁壁のできる位置が決定しており、磁区の中の磁気モーメントが一方向に揃う構造になっていれば問題ない。
【0039】
[1−4]効果
例えば特許文献2の書き込み用素子及び読み出し用素子は、磁気シフトレジスタ40の端部に設けられておらず、U字型の磁気シフトレジスタ40の底部に設けられている。このような構造の場合、磁気シフトレジスタ40の全てのセルをメモリとしては利用できない。磁気シフトレジスタ40の全てのセルをデータ領域35とすると、読み出し用素子20の直上に読み出したいターゲットセルを移動させた場合、移動させたセル分だけ磁気シフトレジスタ40の外へデータが排出されてデータが失われる。書き込みの場合も同様なことが起こりうる。
【0040】
これに対し、第1の実施形態によれば、書き込み用素子20と読み出し用素子30をそれぞれ磁性配線(磁気シフトレジスタ)10の両端に配設している。そして、書き込み用素子20や読み出し用素子30の直上にターゲットセルを移動させる場合には、磁性配線10から排出される情報を読み出し、この情報を磁壁シフトの開始側の磁区11に書き込む。これにより、論理的にはループ状の磁気シフトレジスタを実現できるため、磁性配線10内の全ての磁区11をメモリセルとして用いることができる。従って、セルの高密度による大容量の磁気メモリが実現できる。
【0041】
[2]第2の実施形態
第2の実施形態は、上記第1の実施形態の磁性配線を積層したものである。尚、第2の実施形態において、上記第1の実施形態と同様の点については説明を省略する。
【0042】
図8及び図9は、本発明の第2の実施形態に係る磁気記憶装置の模式図を示す。以下に、第2の実施形態に係る磁気記憶装置の構造について説明する。
【0043】
図8に示すように、第2の実施形態において、第1の実施形態と異なる点は、半導体基板1の上方に磁性配線10−1、10−2、10−3、10−4が積層されている点である。
【0044】
磁性配線10−1の両端部には書き込み用素子20−1及び読み出し用素子30−1が配置され、この書き込み用素子20−1及び読み出し用素子30−1を用いてターゲットセルTC−w1、TC−r1のデータの書き込み及び読み出しが行われる。
【0045】
磁性配線10−2の両端部には書き込み用素子20−2及び読み出し用素子30−2が配置され、この書き込み用素子20−2及び読み出し用素子30−2を用いてターゲットセルTC−w2、TC−r2のデータの書き込み及び読み出しが行われる。
【0046】
磁性配線10−3の両端部には書き込み用素子20−3及び読み出し用素子30−3が配置され、この書き込み用素子20−3及び読み出し用素子30−3を用いてターゲットセルTC−w3、TC−r3のデータの書き込み及び読み出しが行われる。
【0047】
磁性配線10−4の両端部には書き込み用素子20−4及び読み出し用素子30−4が配置され、この書き込み用素子20−4及び読み出し用素子30−4を用いてターゲットセルTC−w4、TC−r4のデータの書き込み及び読み出しが行われる。
【0048】
書き込み用素子20−1、20−2、20−3、20−4は、磁性配線10−1、10−2、10−3、10−4とそれぞれ離間して設けられ、例えば金属配線からなる。読み出し用素子30−1、30−2、30−3、30−4は、例えば図2(a)及び(b)に示すようなTMR効果を利用した磁気抵抗効果素子からなる。
【0049】
磁性配線10−1、10−2、10−3、10−4の端部には、磁性配線10−1、10−2、10−3、10−4の磁壁を移動させるための電流Isを印加する電流源(図示せず)が設けられている。
【0050】
尚、書き込み用素子及び読み出し用素子は、それらを挟んだ上下の磁性配線で共用することも可能である。例えば、図9に示すように、磁性配線10−1と磁性配線10−2の間に書き込み用素子20−1及び読み出し用素子30−1を設け、この書き込み用素子20−1及び読み出し用素子30−1を磁性配線10−1、10−2で共有する。磁性配線10−3と磁性配線10−4の間に書き込み用素子20−2及び読み出し用素子30−2を設け、この書き込み用素子20−2及び読み出し用素子30−2を磁性配線10−3、10−4で共有する。このような構造の場合、積層方向におけるセル面積を縮小することができる。
【0051】
上記第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、第2の実施形態では、磁性配線を積層することにより、磁気メモリの更なる大容量化を実現できる。
【0052】
[3]第3の実施形態
第3の実施形態は、磁性配線を3次元的なU字型にしたものである。尚、第3の実施形態において、上記第1の実施形態と同様の点については説明を省略する。
【0053】
図10は、本発明の第3の実施形態に係る磁気記憶装置の模式図を示す。以下に、第3の実施形態に係る磁気記憶装置の構造について説明する。
【0054】
図10に示すように、第3の実施形態において、第1の実施形態と異なる点は、磁性配線10を半導体基板1の基板面に対して逆U字型にしている点である。この場合、書き込み用素子20及び読み出し用素子30は、半導体基板1の集積回路(図示せず)に接続することを考慮すると、半導体基板1側の磁性配線10の端部に配置するのが望ましい。
【0055】
上記第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、第3の実施形態では、磁性配線をU字型にすることにより、横方向のセル面積を縮小でき、高密度化による大容量化を図ることができる。
【0056】
[4]第4の実施形態
上記各実施形態では、磁壁シフト方向は一方向であったが、第4の実施形態は、磁壁シフト方向を両方向にしたものである。尚、第4の実施形態では、上記各実施形態と同様の点については説明を省略する。
【0057】
図11は、本発明の第4の実施形態に係る磁気記憶装置の模式図を示す。以下に、第4の実施形態に係る磁気記憶装置の構造について説明する。
【0058】
図11に示すように、磁性配線10の一端部には、右方向Aの磁壁シフトのための書き込み用素子20−Aと左方向Bの磁壁シフトのための読み出し用素子30−Bとが配置され、書き込み用素子20−A及び読み出し用素子30−Bで磁性配線10が挟まれている。一方、磁性配線10の他端部には、右方向Aの磁壁シフトのための読み出し用素子30−Aと左方向Bの磁壁シフトのための書き込み用素子20−Bとが配置され、読み出し用素子30−A及び書き込み用素子20−Bで磁性配線10が挟まれている。
【0059】
書き込み用素子20−A、20−Bは磁性配線10の上方に配置され、読み出し用素子30−A、30−Bは磁性配線10の下方に配置されている。ここで、書き込み用素子が磁壁シフト方向の開始側に配置され、読み出し用素子が磁壁シフト方向の終端側に配置されていればよいため、書き込み用素子20−A、20−Bが磁性配線10の下方に配置され、読み出し用素子30−A、30−Bが磁性配線10の上方に配置されても勿論よい。
【0060】
上記第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、第4の実施形態では、磁性配線10に両方向に磁壁12をシフトできるため、磁気シフト方向の自由度が向上できる。第4の実施形態は、他の実施形態よりも読み出し用素子及び書き込み用素子は2倍必要であるが、積層構造を採用することにより、面積の増大を防ぐことができる。
【0061】
尚、第4の実施形態では、第3の実施形態をもとに変形したが、他の実施形態をもとに変形することも可能である。
【0062】
また、アドレス検出のための初期化に関しては、左右方向のシフトが可能なため、読み出し及び書き込みアドレスによっては、より高速に初期化できるように、方向を変えることが可能となる。
【0063】
[5]第5の実施形態
上記第1乃至第4の実施形態では、磁場書き込み方式を採用したのに対し、第5の実施形態では、スピン注入書き込み方式を採用する。
【0064】
[5−1]磁気記憶装置の構成
図12は、本発明の第5の実施形態に係る磁気記憶装置の概略的な回路図を示す。以下に、第5の実施形態に係る磁気記憶装置の回路構成について説明する。
【0065】
図12に示すように、例えば直線状の磁性配線10が配置されている。この磁性配線10は、強磁性体からなり、記憶素子として機能する。磁性配線10には、電子の持つスピンが一方向に揃っている磁区11と呼ばれる矩形領域が所定のピッチで存在し、この磁区11の境界には磁壁12が存在する。従って、磁性配線10は、磁壁12で隔てた磁区11の一つ一つがセルとなり、この磁区11によるセル毎に“1”、“0”の情報が記録されている。
【0066】
磁性配線10の磁区D1の下には書き込み用素子20が接続されている。この書き込み用素子20には、書き込み用素子20にアクセスするためのトランジスタTr1の電流経路の一端が直列接続されている。このトランジスタTr1の電流経路の他端にはビット線BLが接続され、このビット線BLにはスイッチSW1を介して書き込み電流源・シンカー41が接続されている。トランジスタTr1のゲートは制御信号CS1により制御されている。
【0067】
磁性配線10の磁区D1の上にはコンタクトC1を介して書き込みワード線WWLが接続されている。この書き込みワード線WWLにはスイッチSW2を介して書き込み電流源・シンカー42が接続されている。
【0068】
磁性配線10の磁区D2の下には読み出し用素子30が接続されている。この読み出し用素子30には、読み出し用素子30にアクセスするためのトランジスタTr2の電流経路の一端が直列接続されている。このトランジスタTr2の電流経路の他端にはビット線BLが接続されている。トランジスタTr2のゲートは制御信号CS2により制御されている。
【0069】
ビット線BLはスイッチSW3を介してセンスアンプS/Aの一方の入力端子に接続されている。この入力端子には例えばPチャネル型MOSトランジスタからなるカレントコンベイヤーC/Cが接続され、このカレントコンベイヤーC/Cには電源VDD1が接続されている。センスアンプS/Aの他方の入力端子には参照信号RSが入力される。
【0070】
磁性配線10の両端部には、スイッチSW4、SW5を介して磁壁シフタ51、52がそれぞれ接続されている。磁壁シフタ51、52は、一定の電流値を一定の時間だけ磁性配線10に印加することで一つ分の磁区11だけ磁壁12が移動するように設計しておく。磁壁シフトを行う際、スイッチSW4、SW5をオンにして磁壁シフタ51、52を磁性配線10に接続させ、パルス電流を印加する。これにより、書き込みたいターゲットセルTC−wを書き込み用素子20の直上の磁区D1に移動させ、読み出したいターゲットセルTC−rを読み出し用素子30の直上の磁区D2に移動させる。
【0071】
尚、第1の実施形態等のように書き込み用素子20及び読み出し用素子30を磁性配線10の端部にそれぞれ設けてもよい。
【0072】
図13は、本発明の第5の実施形態に係る書き込み用素子の概略的な断面図を示す。以下に、第5の実施形態に係る書き込み用素子について説明する。
【0073】
図13に示すように、書き込み用素子20は、磁化方向が固定された固定層21と、磁性配線10の一つの磁区D1と、固定層21及び磁区D1の間に設けられて磁区D1に接する非磁性層22とを有する。磁性配線10及び固定層21は、強磁性層からなる。非磁性層22は、Cu、Ru等からなる。固定層21の保持力Hcは大きく、磁性配線10の保持力は固定層21の保持力より小さくなるように設定しておく。
【0074】
このような書き込み用素子20は、磁性配線10の一つの磁区D1を含む構造であり、いわゆるCPP−GMR(Current-Perpendicular-to-Plane−Giant Magneto Resistive)素子(磁気抵抗効果素子)である。書き込み用素子20は、磁性配線10の複数の磁区11に対して1つ配置しておく。
【0075】
図14(a)及び(b)は、本発明の第5の実施形態に係る読み出し用素子の概略的な断面図を示す。以下に、第5の実施形態に係る読み出し用素子について説明する。
【0076】
図14(a)に示すように、読み出し用素子30の第1の例は、磁化方向が固定された固定層31と、磁化方向が反転可能で磁区D2に接する記録層33と、固定層31及び記録層33の間に設けられた絶縁層32と、磁性配線10の一つの磁区D2とを有する。ここで、記録層33としては、その磁化方向が磁区D2からの漏れ磁場によって反転するような材料を選ぶとよい。絶縁層32は、アルミナ(例えばAl)等からなる。
【0077】
図14(b)に示すように、読み出し用素子30の第2の例は、記録層33に相当する部分を磁区D2に割り当てることによって、記録層33を省いた例である。この読み出し用素子30は、磁化方向が固定された固定層31と、磁性配線10の一つの磁区D2と、固定層31及び磁区D2の間に設けられて磁区D2に接する絶縁層32とを有する。
【0078】
このような読み出し用素子30は、磁性配線10の1つの磁区D2に接続された構造(図14(a))又は磁区D2を含む構造(図14(b))からなり、TMR効果を利用したMTJ素子(磁気抵抗効果素子)である。この読み出し用素子30は、磁性配線10の複数の磁区11に対して1つ配置しておく。
【0079】
図15は、本発明の第5の実施形態に係る磁気記憶装置の概略的なレイアウト図を示す。図16(a)は、図15のXVIA−XVIA線に沿った断面図を示す。図16(b)は、図15のXVIB−XVIB線に沿った断面図を示す。以下に、第5の実施形態に係る磁気記憶装置のレイアウト及び部分的な断面構造について説明する。
【0080】
図15に示すように、直線状の磁性配線10がX方向に延在され、この磁性配線10の両端がセレクタ/デコーダ/磁壁シフタ回路50a、50bに接続されている。例えば、磁性配線10の両端は、図12に示すようなスイッチSW4、SW5(セレクタ)を介して磁壁シフタ51、52にそれぞれつながっている。
【0081】
磁性配線10の下方には、ビット線BLがX方向に延在されている。このビット線BLの一端は、セレクタ/デコーダ/書き込み電流源・シンカー回路40aに接続されている。例えば、ビット線BLの一端は、図12に示すようなスイッチSW1(セレクタ)を介して書き込み電流源・シンカー41につながっている。例えば、ビット線BLの他端は、図12に示すようなスイッチSW3(カラムセレクタ(CSL))を介してセンスアンプS/A及びカレントコンベイヤーC/Cに接続されている。
【0082】
書き込みワード線WWLはY方向に延在され、この書き込みワード線WWLの一端はセレクタ/デコーダ/書き込み電流源・シンカー回路40bに接続されている。例えば、書き込みワード線WWLの一端は、図12に示すようなスイッチSW2(セレクタ)を介して書き込み電流源・シンカー42につながっている。
【0083】
書き込みワード線WWLと磁性配線10との交差部には、書き込み用素子20が配置されている。図16(a)に示すように、書き込み用素子20の一端(磁性配線10の磁区D1)はコンタクトC1を介して書き込みワード線WWLに接続され、書き込み用素子20の他端(固定層21)はベース層BASE1に接続されている。書き込み用素子20の下方にはトランジスタTr1が設けられている。このトランジスタTr1の拡散層24aは、コンタクトC3、配線M1、コンタクトC2を介してベース層BASE1に接続されている。トランジスタTr1の拡散層24bは、コンタクトC4を介してビット線BLに接続されている。このような書き込み用素子20は、外部からのアドレス信号を用いて、トランジスタTr1のゲート電極G1の制御によってアクセスされる。
【0084】
書き込み用素子20と離間して、磁性配線10の下には読み出し用素子30が配置されている。図16(b)に示すように、読み出し用素子30の一端(固定層31)はベース層BASE2に接続されている。読み出し用素子30の下方にはトランジスタTr2が設けられている。このトランジスタTr2の拡散層34aは、コンタクトC6、配線M2、コンタクトC5を介してベース層BASE2に接続されている。トランジスタTr2の拡散層34bは、コンタクトC7を介してビット線BLに接続されている。このような読み出し用素子30は、外部からのアドレス信号を用いて、トランジスタTr2のゲート電極G2の制御によってアクセスされる。
【0085】
図17は、本発明の第5の実施形態に係る書き込み電流源等の回路図を示す。以下に、本発明の第5の実施形態に係る書き込み電流源等について説明する。
【0086】
図17に示すように、Pチャネル型MOSトランジスタPTr1、PTr2のゲートはノードn1にそれぞれ接続されている。Pチャネル型MOSトランジスタPTr1の電流経路の一端は電源VDD2に接続され、Pチャネル型MOSトランジスタPTr1の電流経路の他端はノードn2に接続されている。ノードn2はノードn1及び定電流源ISに接続されている。Pチャネル型MOSトランジスタPTr2の電流経路の一端は電源VDD3に接続され、Pチャネル型MOSトランジスタPTr2の電流経路の他端はノードn3に接続されている。Nチャネル型MOSトランジスタNTr1(シンカー)、NTr2(デコーダ)の電流経路の一端はノードn3にそれぞれ接続されている。
【0087】
[5−2]書き込み/読み出し動作
(書き込み方法)
図18は、本発明の第5の実施形態に係る書き込み動作を説明するための模式的な回路図を示す。図19(a)は、本発明の第5の実施形態に係るスピン注入書き込み(“1”データ)を行った場合の書き込み用素子の断面図を示す。図19(b)は、本発明の第5の実施形態に係るスピン注入書き込み(“0”データ)を行った場合の書き込み用素子の断面図を示す。以下に、本発明の第5の実施形態に係る書き込み動作について説明する。尚、ここでは、すでに書き込み用素子20が書き込むべき磁区(ターゲットセルTC−w)に接触していると仮定する。
【0088】
図18に示すように、まず、スイッチSW1、SW2及びトランジスタTr1のゲートをオンにし、書き込み電流源・シンカー41、42の間に書き込み電流Iwを印加する。尚、スイッチSW5やトランジスタTr2のゲートはオフにすることで、他の素子に書き込み電流Iwは流れない。
【0089】
ここで、書き込み電流Iwの向きを変えることで、“1”、“0”データの書き分けを行うことができる。つまり、図19(a)に示すように、電子eが磁区D1から固定層21に向かって流れる場合、スピン注入技術により磁区D1の磁化方向は固定層21の磁化方向と反対(反平行)になる。この場合、書き込み用素子20は高抵抗状態となり、この状態を例えば“1”データと規定する。一方、図19(b)に示すように、電子eが固定層21から磁区D1に向かって流れる場合、スピン注入技術により磁区D1の磁化方向は固定層21の磁化方向と同一(平行)になる。この場合、書き込み用素子20は低抵抗状態となり、この状態を例えば“0”データと規定する。
【0090】
(読み出し方法)
図20は、本発明の第5の実施形態に係る読み出し動作を説明するための模式的な回路図を示す。図21は、本発明の第5の実施形態に係る参照セルを用いた読み出し動作を説明するための模式的な回路図を示す。図22は、本発明の第5の実施形態に係る参照セルを有する磁気記憶装置の概略的なレイアウト図を示す。以下に、本発明の第5の実施形態に係る読み出し動作について説明する。尚、ここでは、読み出し用素子30は読み出すべき磁区(ターゲットセルTC−r)に接触していると仮定する。
【0091】
図20に示すように、まず、スイッチSW3、SW4及びトランジスタTr2のゲートをオンにし、磁壁シフタ51はグランドに接続する。尚、スイッチSW1、トランジスタTr1のゲートはオフにしておく。これにより、読み出し電流Irが、カレントコンベイヤーC/CからトランジスタTr2を介して読み出し用素子30に印加される。この読み出し用素子30に接触している磁区D2の磁化方向に応じてビット線BLに現れる信号は変化する。この信号と参照信号RSとをセンスアンプS/Aで比較することによって、磁区D2の情報を読み出す。
【0092】
読み出し時の参照信号RSは、例えば次のように生成される。図21及び図22に示すように、例えばアレイ中心部の偶数本(例えば2本)の磁性配線10において、一方の磁性配線10の磁区11には“0”データを予め書き込み、他方の磁性配線10の磁区11には“1”データを予め書き込んでおく。これにより、参照セルには、“0”データが書き込まれた参照素子71と“1”データが書き込まれた参照素子72とが存在する。読み出し動作時、“0”データの参照素子71の信号と“1”データの参照素子72の信号との中間の電圧値(参照信号RS)がデータバスDB1に現れる。この参照参照信号RSとデータバスDB2に現れたターゲットセルTC−rの信号とを、センスアンプS/Aで比較する。
【0093】
(アドレス検出)
図23は、本発明の第5の実施形態に係るアドレス検出方法を説明するための模式図を示す。図24は、本発明の第5の実施形態に係る電流パルスの発生を説明するための模式図を示す。以下、本発明の第5の実施形態に係るアドレス検出方法について説明する。
【0094】
書き込み時及び読み出し時のどちらの場合においても、書き込み用素子20及び読み出し用素子30が現在アクセス(接触)している磁区D1、D2がターゲットセルTC−w、TC−rであるかを確認するため、磁区D1、D2がどのアドレスのものであるかについて予め分かっておく必要がある。
【0095】
そこで、図23に示すように、磁性配線10の所定の領域には、予め“1”、“0”データが書き込まれたアドレス検出用パタン60を設けることが望ましい。このアドレス検出用パタン60にはアドレス読み出し用素子30a、30b、30cが接続され、このアドレス読み出し用素子30a、30b、30cに接する磁区11の“1”、“0”データが読み出される。尚、アドレス検出用パタン60は、ユーザがアクセスできないようにする。
【0096】
図23の例では、1ユニットを8つの磁区11で構成しており、3つのアドレス読み出し用素子30a、30b、30cにより1ユニット中の特定のセルのデータを読み出す。これにより、書き込み用素子20及び読み出し用素子30が現在アクセス(接触)している磁区D1、D2のアドレスを特定する。このように読み出しされたアドレスは例えばレジスタ等に格納される。
【0097】
尚、磁区D1、D2のアドレスがターゲットセルTC−w、TC−rのアドレスと異なる場合は、磁壁シフタによって電流パルスを発生させて磁壁を1パルスごとにシフトさせる(図24)。例えば、電流源・シンカーを1回の電流パルスで磁性配線10中の磁区11が1つだけシフトするよう設計しておく。これにより、アクセスしたいターゲットセルTC−w、TC−rを書き込み用素子20及び読み出し用素子30に接触させる。ここで、例えば、磁壁移動を行う移動量は、1ユニットを構成する磁区の数から1少なくする。
【0098】
(書き込み動作のシーケンス)
図25は、本発明の第5の実施形態に係る書き込み動作のシーケンス図を示す。以下に、本発明の第5の実施形態に係る書き込み動作のシーケンスについて説明する。
【0099】
まず、チップの外部から、書き込み信号Swと外部アドレス信号(ターゲットセルTC−wの信号)ADw1が入力される(ST1)。そして、例えば図23のアドレス検出用パタン60等を用いて、1ユニット内のアドレス信号ADw2が読み出される(ST2)。アドレス信号ADw2は例えばレジスタに一時的に格納され、アドレス信号ADw2により書き込み用素子20に接する磁区D1のアドレスが特定される。次に、アドレス信号ADw2と外部アドレス信号ADw1が比較される(ST3)。
【0100】
その結果、アドレス信号ADw2と外部アドレス信号ADw1が同一の場合は、スピン注入技術によりターゲットセルTC−wに情報が書き込まれる(ST4)。以上により、書き込み動作が終了する。
【0101】
一方、アドレス信号ADw2と外部アドレス信号ADw1が異なる場合は、両者のアドレス情報の差分に相当する電流パルスを磁壁シフタにより磁性配線に印加し、磁壁をシフトさせる(ST5)。その後、スピン注入技術によりターゲットセルTC−wに情報が書き込まれる(ST4)。以上により、書き込み動作が終了する。
【0102】
(読み出し動作のシーケンス)
図26は、本発明の第5の実施形態に係る読み出し動作のシーケンス図を示す。以下に、本発明の第5の実施形態に係る読み出し動作のシーケンスについて説明する。
【0103】
まず、チップの外部から、読み出し信号Srと外部アドレス信号(ターゲットセルTC−rの信号)ADr1が入力される(ST1)。そして、例えば図23のアドレス検出用パタン60等を用いて、1ユニット内のアドレス信号ADr2が読み出される(ST2)。アドレス信号ADr2は例えばレジスタに一時的に格納され、アドレス信号ADr2により読み出し用素子30に接する磁区D2のアドレスが特定される。次に、アドレス信号ADr2と外部アドレス信号ADr1が比較される(ST3)。
【0104】
その結果、アドレス信号ADr2と外部アドレス信号ADr1が同一の場合は、TMR効果によりーゲットセルTC−rの情報が読み出される(ST4)。以上により、読み出し動作が終了する。
【0105】
一方、アドレス信号ADr2と外部アドレス信号ADr1が異なる場合は、両者のアドレス情報の差分に相当する電流パルスを磁壁シフタにより磁性配線に印加し、磁壁をシフトさせる(ST5)。その後、TMR効果によりターゲットセルTC−rの情報が読み出される(ST4)。以上により、読み出し動作が終了する。
【0106】
[5−3]効果
データ書き込みにおいて磁場書き込み方式を用いた場合、周辺セルへの漏れ磁場による誤書き込みの問題や、2軸書き込みでは半選択セルによるディスターブの問題が生じる恐れがある。このような問題は微細化によって高密度化・大容量化を図る場合にさらに顕著となる。
【0107】
これに対し、第5の実施形態によれば、磁性配線(磁気シフトレジスタ)10に接続された書き込み用素子20を用いて、スピン注入技術により磁性配線10の所定の磁区11にデータを書き込む。従って、書き込みたい磁区11に直接電流を印加し、この電流によるスピン偏極電子を磁化に作用させている。このため、磁場書き込み方式の漏れ磁場やディスターブの問題が発生しないので、磁場書き込み方式を用いた場合よりも誤書き込みによるデータ破壊を抑制できる。これにより、メモリ素子としての信頼性を向上でき、微細化による高密度・大容量セルの磁気メモリが実現できる。
【0108】
[6]第6の実施形態
第6の実施形態では、スピン注入磁化反転方式と磁場書き込み方式との両方を組み合わせた書き込み方式を採用する。尚、ここでは、第5の実施形態と同じ点については説明を省略する。
【0109】
図27は、本発明の第6の実施形態に係る書き込み動作を説明するための模式的な回路図を示す。図28(a)は、本発明の第6の実施形態に係る“0”データ書き込みを説明するための図を示す。図28(b)は、本発明の第6の実施形態に係る“1”データ書き込みを説明するための図を示す。以下に、本発明の第6の実施形態に係る書き込み動作について説明する。尚、ここでは、すでに書き込み用素子20が書き込むべき磁区(ターゲットセルTC−w)に接触していると仮定する。
【0110】
図27に示すように、書き込みワード線WWLの一端には書き込み電流源81a及びシンカー82aが接続され、書き込みワード線WWLの他端には書き込み電流源81b及びシンカー82bが接続されている。
【0111】
“0”データ書き込みは次のように行われる。まず、図27に示すように、スイッチSW1、SW11、SW14及びトランジスタTr1のゲートをオンにし、書き込み電流Iw1、Iw2を印加する。
【0112】
書き込み電流Iw1は、書き込み電流源81aから書き込みワード線WWLを介して書き込み用素子20に流れ、トランジスタTr1及びビット線BLを介して書き込み電流源・シンカー41に流れる。これにより、磁区D1の磁化に対してスピン偏極電子が作用する。一方、書き込み電流Iw2は、書き込み電流源81aから書き込みワード線WWLを介してシンカー82bに流れる。これにより、書き込み電流Iw2により発生した磁場が磁区D1の磁化に対して作用する。
【0113】
このような2つの書き込み電流Iw1、Iw2の作用の結果、図28(a)に示すように、磁区D1の磁化方向は固定層21の磁化方向と同一(平行)になる。これにより、書き込み用素子20には、低抵抗状態の“0”データが書き込まれる。
【0114】
“1”データ書き込みは次のように行われる。まず、スイッチSW1、SW12、SW13及びトランジスタTr1のゲートをオンにし、書き込み電流Iw1、Iw2を印加する。
【0115】
書き込み電流Iw1は、書き込み電流源・シンカー41からビット線BL及びトランジスタTr1を介して書き込み用素子20に流れ、書き込みワード線WWLを介してシンカー82aに流れる。これにより、磁区D1の磁化に対してスピン偏極電子が作用する。一方、書き込み電流Iw2は、書き込み電流源81bから書き込みワード線WWLを介してシンカー82aに流れる。これにより、書き込み電流Iw2により発生した磁場が磁区D1の磁化に対して作用する。
【0116】
このような2つの書き込み電流Iw1、Iw2の作用の結果、図28(b)に示すように、磁区D1の磁化方向は固定層21の磁化方向と反対(反平行)になる。これにより、書き込み用素子20には、高抵抗状態の“1”データが書き込まれる。
【0117】
上記第6の実施形態によれば、上記第5の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、第6の実施形態では、スピン注入技術だけでなく磁場書き込み方式も用いるため、書き込み電流の低減を図ることができる。
【0118】
その他、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で、種々に変形することが可能である。さらに、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る磁気記憶装置を示す模式図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る読み出し用素子の模式図を示す。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る磁気記憶装置の書き込み動作のシーケンス図。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る磁気記憶装置の書き込み動作の説明図。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る磁気記憶装置の読み出し動作のシーケンス図。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る磁気記憶装置の読み出し動作の説明図。
【図7A】本発明の第1の実施形態に係る磁壁移動の原理を説明するための模式図。
【図7B】図7Aに続く、本発明の第1の実施形態に係る磁壁移動の原理を説明するための模式図。
【図7C】図7Bに続く、本発明の第1の実施形態に係る磁壁移動の原理を説明するための模式図。
【図7D】図7Cに続く、本発明の第1の実施形態に係る磁壁移動の原理を説明するための模式図。
【図7E】図7Dに続く、本発明の第1の実施形態に係る磁壁移動の原理を説明するための模式図。
【図7F】図7Eに続く、本発明の第1の実施形態に係る磁壁移動の原理を説明するための模式図。
【図7G】図7Fに続く、本発明の第1の実施形態に係る磁壁移動の原理を説明するための模式図。
【図7H】図7Gに続く、本発明の第1の実施形態に係る磁壁移動の原理を説明するための模式図。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る磁気記憶装置を示す模式図。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る他の磁気記憶装置を示す模式図。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る磁気記憶装置を示す模式図。
【図11】本発明の第4の実施形態に係る磁気記憶装置を示す模式図。
【図12】本発明の第5の実施形態に係る磁気記憶装置を示す概略的な回路図。
【図13】本発明の第5の実施形態に係る書き込み用素子を示す概略的な断面図。
【図14】本発明の第5の実施形態に係る読み出し用素子を示す概略的な断面図。
【図15】本発明の第5の実施形態に係る磁気記憶装置を示す概略的なレイアウト図。
【図16】図16(a)は、図15のXVIA−XVIA線に沿った断面図、図16(b)は、図15のXVIB−XVIB線に沿った断面図。
【図17】本発明の第5の実施形態に係る書き込み電流源等を示す回路図。
【図18】本発明の第5の実施形態に係る書き込み動作を説明するための模式的な回路図。
【図19】図19(a)は、本発明の第5の実施形態に係るスピン注入書き込み(“1”データ)を行った場合の書き込み用素子の断面図、図19(b)は本発明の第5の実施形態に係るスピン注入書き込み(“0”データ)を行った場合の書き込み用素子の断面図。
【図20】本発明の第5の実施形態に係る読み出し動作を説明するための模式的な回路図。
【図21】本発明の第5の実施形態に係る参照セルを用いた読み出し動作を説明するための模式的な回路図。
【図22】本発明の第5の実施形態に係る参照セルを有する磁気記憶装置を示す概略的なレイアウト図。
【図23】本発明の第5の実施形態に係るアドレス検出方法を説明するための模式図。
【図24】本発明の第5の実施形態に係る電流パルスの発生を説明するための模式図。
【図25】本発明の第5の実施形態に係る書き込み動作のシーケンス図。
【図26】本発明の第5の実施形態に係る読み出し動作のシーケンス図。
【図27】本発明の第6の実施形態に係る書き込み動作を説明するための模式的な回路図。
【図28】図28(a)は、本発明の第6の実施形態に係る“0”データ書き込みを説明するための図、図28(b)は、本発明の第6の実施形態に係る“1”データ書き込みを説明するための図。
【符号の説明】
【0120】
1…半導体基板、10…磁性配線、11…磁区、12…磁壁、20…書き込み用素子、21、31…固定層、22、32…非磁性層、23、33…記録層、30…読み出し用素子、24a、24b、34a、34b…拡散層、30a、30b、30c…アドレス読み出し用素子、40a、40b…セレクタ/デコーダ/書き込み電流源・シンカー回路、41、42…書き込み電流源・シンカー、50a、50b…セレクタ/デコーダ/磁壁シフタ回路、51、52…磁壁シフタ、60…アドレス検出用パタン、81a、81b…書き込み電流源、82a、82b…シンカー、TC、TC−w、TC−r…ターゲットセル、Trn(n=1、2、…)…トランジスタ、PTrn(n=1、2、…)…Pチャネル型MOSトランジスタ、NTrn(n=1、2、…)…Nチャネル型MOSトランジスタ、SWn(n=1、2、…)…スイッチ、BL…ビット線、WWL…書き込みワード線、S/A…センスアンプ、C/C…カレントコンベイヤー、CSL…カラムセレクタ、VDDn(n=1、2、…)…電源、CS1、CS2…制御信号、RS…参照信号、DS…デコード信号、Dout…出力信号、Cn(n=1、2、…)…コンタクト、BASE1、BASE2…ベース層、M1、M2…配線、G1、G2…ゲート電極、DB1、DB2…データバス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁壁で区切られた磁区からなる複数のセルで構成され、前記セル毎に情報が記録された第1の磁性配線と、
前記第1の磁性配線の一端部に配置された第1の書き込み用素子と、
前記第1の磁性配線の他端部に配置された第1の読み出し用素子と
を具備することを特徴とする磁気記憶装置。
【請求項2】
前記第1の磁性配線の前記一端部に配置され、前記第1の書き込み用素子とで前記磁性配線を挟む第2の読み出し用素子と、
前記第1の磁性配線の前記他端部に配置され、前記第1の読み出し用素子とで前記磁性配線を挟む第2の書き込み用素子と、
前記第1の磁性配線の前記一端部から前記他端部の方向に前記磁壁を移動させる電流を印加する第1の電流源と、
前記第1の磁性配線の前記他端部から前記一端部の方向に前記磁壁を移動させる電流を印加する第2の電流源と
をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の磁気記憶装置。
【請求項3】
磁壁で区切られた磁区からなる複数のセルで構成され、前記セル毎に情報が記録された磁性配線と、
前記磁性配線の一端部に配置された書き込み用素子と、
前記磁性配線の他端部に配置された読み出し用素子と
を備え、
前記磁性配線の前記一端部に書き込み対象であるターゲットセルが位置するかを確認する工程と、
前記確認の結果、前記磁性配線の前記一端部に前記ターゲットセルが位置する場合は、前記書き込み用素子を用いて前記ターゲットセルに情報を書き込む工程と、
前記確認の結果、前記磁性配線の前記一端部に前記ターゲットセルが位置しない場合は、前記読み出し用素子を用いて前記第1の磁性配線の前記他端部における第1のセルの情報を読み出し、前記第1のセルの前記情報を記憶する工程と、
前記磁性配線に電流を流して磁壁を1セル分移動させた後、前記書き込み用素子を用いて前記磁性配線の前記一端部における第2のセルに前記第1のセルの前記情報を書き込む工程と、
前記第2のセルが前記ターゲットセルであるかを確認する工程と
を具備することを特徴とする磁気記憶装置の書き込み方法。
【請求項4】
磁壁で区切られた磁区からなる複数のセルで構成され、前記セル毎に情報が記録された磁性配線と、
前記磁性配線の一端部に配置された書き込み用素子と、
前記磁性配線の他端部に配置された読み出し用素子と
を備え、
前記磁性配線の前記他端部に読み出し対象であるターゲットセルが位置するかを確認する工程と、
前記確認の結果、前記磁性配線の前記他端部に前記ターゲットセルが位置する場合は、前記読み出し用素子を用いて前記ターゲットセルの情報を読み出す工程と、
前記確認の結果、前記磁性配線の前記他端部に前記ターゲットセルが位置しない場合は、前記読み出し用素子を用いて前記第1の磁性配線の前記他端部における第1のセルの情報を読み出し、前記第1のセルの前記情報を記憶する工程と、
前記磁性配線に電流を流して磁壁を1セル分移動させた後、前記書き込み用素子を用いて前記磁性配線の前記一端部における第2のセルに前記第1のセルの前記情報を書き込む工程と、
前記磁性配線に電流を流して磁壁を1セル分移動させた後において、前記磁性配線の前記他端部に読み出し対象であるターゲットセルが位置するかを確認する工程と
を具備することを特徴とする磁気記憶装置の読み出し方法。
【請求項5】
磁壁で区切られた磁区からなる複数のセルで構成され、前記セル毎に情報が記録された磁性配線と、
前記磁性配線の第1のセルに接続された書き込み用素子と、
前記磁性配線の第2のセルに接続された読み出し用素子と
を備え、
前記第2のセルのアドレスを読み出す工程と、
前記第2のセルの前記アドレスが読み出し対象であるターゲットセルのアドレスと一致するか比較する工程と、
前記比較の結果、前記第2のセルの前記アドレスが前記ターゲットセルの前記アドレスと一致する場合は、前記ターゲットセルに電流を流して前記ターゲットセルの情報を読み出す工程と、
前記比較の結果、前記第2のセルの前記アドレスが前記ターゲットセルの前記アドレスと一致しない場合は、前記第2のセルの前記アドレスと前記ターゲットセルの前記アドレスとの差分に応じて前記磁性配線の磁壁を移動させた後、前記ターゲットセルに電流を流して前記ターゲットセルの情報を読み出す工程と
を具備することを特徴とする磁気記憶装置の読み出し方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図7G】
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【図7H】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2008−90957(P2008−90957A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−272039(P2006−272039)
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】