説明

移動体端末への位置情報の転送

【課題】送信源から受信した信号に基づく測位システムを使用する移動体端末への位置情報の転送の技術を提供する。
【解決手段】本発明は、衛星測位システム信号と移動体端末内でこのような信号から導出された位置情報とをこれらが第1地点で利用可能な場合にセルラー通信信号と組み合わせる方法、並びに第2地点でSPS信号が利用可能でない場合に移動体端末に対する近似位置情報を判断する方法、システム、及び装置を提供する。近似位置は、観測到達時間差に基づく方法において時間オフセットを使用してセルラー通信信号から導出される位置差分ベクトルを使用するだけで移動体端末内で判断される。セルラー位置及び位置差分情報の計算は、ネットワークインフラストラクチャ内で行われる。本発明は、位置差分情報のみが空気界面を通じて通信されるか、又は解を判断するのに非転送情報だけを必要とする伝送時間オフセット測定値が通信されるので、ユーザの機密性を提供する。本発明の更に別の態様では、近似位置情報を使用して、(a)少ない検索時間での衛星信号の取得、及び/又は(b)SPS地点の計算に対する初期位置情報の目的のために、位置支援情報をSPS受信器に提供し、それによってSPS範囲信号の反復性に起因する「整数曖昧性」問題を回避する。本発明の更に別の態様では、複数のセルラー位置測定値が最初はSPS測定値と組み合わされ、次にそれらの測定値を使用せずに精度の改善された複合ルラー位置情報と動的モデルとを提供する方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星受信機が正確な位置を計算するためにそれが衛星信号を取得することを補助することを目的として、移動体端末内に搭載された衛星測位システム受信機に対して位置情報支援を提供することを必要とするシステムに関する。本発明の第2の態様は、衛星測位受信機内で位置情報を計算し、それによって他の方法でコールドスタートから可能であるものよりも短い時間で正確な位置を提供する処理のための初期位置情報を提供する。
より具体的には、本発明は、送信源から受信した信号に基づく測位システムを使用する移動体端末への位置情報の転送に関する。特に関連するのは、衛星測位システム(「全地球測位システム」GPSなど)及び地上セルラー無線ネットワークの両方から受信した無線信号を使用する移動体端末である。
【背景技術】
【0002】
1つ又はそれよりも多くの送信機から受信した信号を使用する移動体無線端末向けの測位技術は、多年にわたり幅広く使用されている。このようなシステムは、送信機の地上ネットワーク(例えば、Loran)及び特に受信機の位置を特定するために配備された衛星群(例えば、GPS、GLONASS、及びGalileo)、並びにセルラー式移動電話ネットワーク(例えば、WO−A−97−11384)又はTV及びラジオ送信機ネットワーク(例えば、EP−A−0303371)のような汎用無線ネットワークを用いる方法を含む。
【0003】
例えば、セルラー式移動電話ネットワーク内では、端末の位置は、使用中の送信機と端末の間の信号伝送時間遅延、使用中及び隣接する送信機から受信された信号の強度、又は受信信号の入射方位角のような情報によって強化された使用中のセルのアイデンティティに基づくであろう。改善された位置は、2つ又はそれよりも多くの送信源から端末で受信された信号の観測到達時間差(OTDA)を用いて得ることができる。
【0004】
OTDA法は、セルラー無線ネットワーク内で利用可能な信号のみを使用して良好な位置精度を与える。しかし、これらの方法は、測位方程式を解くためにネットワークの送信機間の正確な伝送時間オフセットを判断することを必要とする。これは、付加的な受信機を有する位置測定ユニット(LMU)を用いて行うことができる。LMUは、それらのOTDA測定値がネットワークタイミングモデルに直接変換可能であるように既知の地点に配置される(例えば、WO−A−00−73813を参照)。
【0005】
代替的に、例えば未知の位置にある地理的に全く異なる2つの端末によって行われた既知の位置にあるいくつかの地理的に全く異なる送信機からの信号の測定値を用いて、LMUを必要とせずに端末の位置及び測定された送信機間の全てのタイミングオフセットの両方を計算することができる技術(WO−A−00−73814を参照)を使用することができる。
GPSのような衛星測位システムは、受信機が十分な衛星信号を受信することができるという条件の下で正確な結果をもたらす。衛星信号は、世界的に定義された標準時、例えば「GPS時」又は「協定世界時UTC」の共通時間基準に関連付けられている。例えば、GPS内では、衛星群内の各衛星は、安定な原子時計を有しており、その時刻は、連続して測定され、地上にある単一の基準クロックと比較される。各衛星クロックの時刻は、基準クロックとの整合に向けて誘導され、2つのクロック間の時間差を説明するパラメトリックモデルが導出される。パラメータ(GPSの場合、3個)は、衛星にアップロードされ、衛星によりクロック補正パラメータとして同報通信される。これは、パラメータに基づいて補正が為された後に衛星クロックを地上ベースの基準クロックと緊密に整合させる効果を有する。
【0006】
衛星測位システムは、受信機のアンテナが明瞭な上空視界を有する状況では良好に作動するが、屋内又は上空の視野が遮られている場合は作動が不十分であるか又は全く作動しない。本発明は、衛星及びネットワーク測定値の両方を使用して強力な位置決定システムを提供することにより、この問題に対する解決法を提供する。衛星及びセルラー測位の組合せを単独又は組合せで使用する復帰モードが確認されており、それによって衛星信号が遮られているか又は十分な地上波信号が利用できない場合に連続的な位置解決法が利用可能である。
【0007】
衛星測位システム(SPS)の性能は、支援データを衛星測位受信機に供給することにより改善することができる。移動体端末に搭載された衛星測位受信機に支援を提供する際の要件は、支援データに伴う通信オーバヘッドである。本発明は、転送されるべきデータ量を有意に削減し、通信容量を他のユーザに解放するための手段を提供する。
移動体端末ユーザのプライバシーの保護は、極めて重要なものと考えられている。従って、通信ネットワークを通しての位置情報の伝送は、機密である可能性がある。本発明の特徴は、端末の絶対位置であれ、その近似的な位置であれ、データリンクを通じて送信されないということである。
【0008】
本発明の更に別の恩典は、衛星受信機コード位相検索処理の断続的又は連続的事前測位を衛星信号がこの機能単独で適切な信頼性を提供するには余りに減衰している間に提供するためのセルラー位置の使用を含む。測位補助の提供は、より迅速な最初の位置決定時間、より長いバッテリ寿命、又はより少ない通信使用量のような精度改善以外の形で恩典を与えることができる。本発明の更に別の恩典は、衛星受信機における受信衛星コード信号アラインメントに対する検索範囲の限界を提供する。これは、衛星測位システム向けの複雑さが少ないシリコンチップの使用を可能にする。
最初の測定値と安定解の間の衛星測位システム位置計算の過渡段階において、衛星及び受信機間のコード間隔の数を判断する要件が存在する。これは、整数曖昧性問題として公知である。本発明におけるセルラーネットワークから導出される測位情報は、各衛星と受信機間のコード間隔の数を一意的に判断し、それによってこの問題を回避するために使用される。
【0009】
従来技術
遮蔽された環境(例えば、深い都会の谷間や屋内)において使用される弱い衛星信号の捕捉を補助するための「支援」を達成する様々な提案が為されている。例えば、US−5,663,735は、GPS端末内の付加的な受信機に標準時間又は周波数を有する付加的な無線信号を供給し、この標準時間又は周波数を用いてデータビットの到達時間に対するGPS時を決定することを開示している。別の実施例(WO−A−99−47943を参照)では、移動体セルラー電話ネットワークは、基地送信機局(BTS)でGPS信号を受信し、基地送信機局に移動体電話機の位置を計算させるようになっている。更に別の展開(US−2002−0168988;Younisを参照)では、GPSユニットは、典型的に移動通信システムの一部である基準信号受信機を含む位置決定エンティティ(PDE)を有し、基準信号受信機によって受信される基準信号の一部がPDEに送信され、GPSユニット作動を補助するために使用することができる付加的なタイミングデータを提供する。タイミング支援は、移動体端末及びネットワーク内の1つ又はそれよりも多くの受信機の両方において受信される基準信号(例えば、公共同報通信信号)を使用することにより移動体端末内のGPSセットに対して提供される。端末は、受信基準信号のローカル計時断片をGPS補助情報に対する要求と共にネットワークベースの計算ノードに送信し、ここでGPS時に対する基準信号の時間オフセットが判断される。上述の時間オフセットは、この情報を用いてGPS信号を取得する移動体端末に返送される。本発明は、ネットワーク内のどのようなGPS時間オフセットも計算せず、通信リンクを通じてこのような情報を送信することもない。更に、本発明は、通信リンクを通じて基準信号の断片を送信しない。
【0010】
リンクを通じた支援データの送信は、長年にわたり当業技術で公知である。最も初期の実施例の1つは、1986年に提供されている。「ホワイトサンズミサイル発射場インタフェース管理文書」は、双方向通信リンクを通じた位置通報を開示しており、それによってWGS84フォーマットで適宜定められる測地座標基準フレームに基づく疑似範囲又は計算地点のいずれかの転送が可能となった。用途ジョイントプログラムへの入札予定者に対して米国政府が発行した1986年の「ICD GPS 150」は、特に、衛星軌道、衛星位置、及び時間情報の送信による移動体GPS受信機のためのサポートを組み込んでいた。双方向データリンクを用いた移動体GPS受信機をサポートするこれらのデータフォーマットは、1986年から実際的に使用されている。
【0011】
衛星測位システム受信機に支援データを提供することにより、その性能を高めることができる。更に、正確なタイミング支援(十分な正確性を有する関連の位置支援と共に)は、関連するチップセットの複雑さを軽減させる。支援データは、3つの要素、すなわち、(a)衛星情報、(b)時間補助、及び(c)位置補助の全て又は一部を含むことができる。本出願は、位置情報の提供に特に関連している。
【0012】
衛星情報を得るために衛星信号を継続的にモニタする1つ又はそれよりも多くのSPS基準受信機に連結されたサーバによって衛星情報が提供される方法は、当業技術で公知である。GPSシステムにおいては、この情報はまた、衛星信号を受信することができる時に常にGPS受信機によって衛星信号から直接獲得することができる。時間補助は、ネットワーク信号から獲得することができ、そのタイミングは、ネットワークベースの機器によって事前に衛星時間ベースに関連付けられている。受信機の位置の推定は、OTDAに基づく方法のようなネットワーク測位法を使用して得ることができる。当業技術のあらゆる場合では、支援データは、移動体セルラーネットワークによって提供される双方向データチャンネルを使用して移動体端末内に組み込まれたGPS受信機に送信される。
【0013】
本出願人のWO−A−00−73813及びWO−A−00−73814(これらは、引用により本明細書に組み込まれている)では、本出願人は、セルラー無線ネットワークにおける送信機間のタイミング関係を定めるタイミングモデルを構成及び維持し、かつ受信機の位置も計算する通信システム及び方法を説明している。この方法は、ネットワークの送信機からいくつかの端末によって受信される信号の相対時間オフセットを利用し、そこから放射信号の送信時間オフセット及びいくつかの端末の位置の両方が同時に計算される。
支援システムを説明する他の参考文献には、US−6,429,815、US−2002−0075942、US−2002−0068997、US−2002−0123352、WO−A−02−091630、及びWO−A−01−33302が含まれる。
【0014】
US6445927(King他)では、端末内に搭載されているGPSセットから得られるGPS位置情報に対して基地局からの通信信号の到達時間の移動端末によって為された測定を使用して通信ネットワーク内の基地局の位置を計算する方法が説明されている。重要な特徴は、解を見つけることができる前に移動体端末が最低限3つの地理的に離散した場所に位置する必要があることである。本発明は、基地局の場所を判断することに関して、この情報がこの本方法において提供されるので関連していない。
【0015】
US6,166,685では、Solimanは、通信システムのインフラストラクチャから受信される情報を用いて強化された衛星測位システムから得られる位置を使用して移動体端末の位置を追跡することができる方法について説明している。初期位置は、衛星システムから得られ、次に、範囲測定値に関連した精度が閾値を超える度に移動体端末と2つ又はそれよりも多くのネットワークの基地局との間の範囲測定値を用いて更新される。本発明は、衛星受信機が衛星信号を獲得するのを補助する位置情報の提供に関連しており、従って、端末の位置を追跡することが目的ではない。更に、本発明は、範囲測定を行うこともそれを使用することもなく、かつ精度閾値を必要としない。
【0016】
従って、要約すれば、衛星測位技術を用いて移動体受信機の位置を特定するための既存のシステムは、それらに十分な精度を有する位置情報を含む支援情報が供給される場合に改善することができることが公知である。本発明は、この情報を(a)移動体端末へのこの情報の供給に関連した通信オーバヘッドを最小にし(かつ、従ってコスト及びシステムの複雑性を低減し)、かつ(b)システムの機密性を強化する方法で供給することができる方法を示すものである。端末の位置は、本発明に関連したメッセージのいずれかを傍受することにより端末の位置を推定することが可能ではないように、端末とネットワークインフラストラクチャとの間の無線リンク(データチャンネル)を通じて送られることは決してない。
【0017】
【特許文献1】WO−A−97−11384
【特許文献2】EP−A−0303371
【特許文献3】WO−A−00−73813
【特許文献4】WO−A−00−73814
【特許文献5】WO−A−99−47943
【特許文献6】US−5,663,735
【特許文献7】US−2002−0168988
【特許文献8】US−6,429,815
【特許文献9】US−2002−0075942
【特許文献10】US−2002−0068997
【特許文献11】US−2002−0123352
【特許文献12】WO−A−02−091630
【特許文献13】WO−A−01−33302
【特許文献14】US6445927
【特許文献15】US6,166,685
【特許文献16】WO−A−99/21028
【非特許文献1】「ICD GPS 150」、米国政府、1986年
【発明の開示】
【0018】
本発明の第1の態様により、セルラー通信ネットワークに接続され、かつ双方向リンクを通じて位置情報を計算する機能のある1つ又はそれよりも多くの遠隔装置と通信することもできるタイミング基準を有する移動体端末内に含まれた衛星測位システムの受信機に対して位置支援情報を供給する方法が提供され、本方法は、
(a)衛星信号を利用することができる第1地点において、衛星測位システムから移動体端末の衛星位置情報を取得し、端末内に衛星位置情報を記憶し、セルラー通信ネットワークの第1の複数の送信機から端末によって受信した信号の互いに対する又はタイミング基準に対する第1時間オフセットを測定する段階、
(b)第1時間オフセット測定値を遠隔装置に送信し、時間オフセット測定値を使用して遠隔装置内の第1端末セルラー位置情報を計算し、第1端末セルラー位置情報を記憶する段階、
(c)衛星測位システムからの信号が十分に利用できない第2地点において、セルラー通信ネットワークの第1又は第2の複数の送信機から端末によって受信した信号の互いに対する又はタイミング基準に対する第2時間オフセットを測定する段階、
(d)第2時間オフセット測定値を上述の又は別の遠隔装置に送信し、そこで第2端末セルラー位置情報を計算する段階、
(e)第1端末セルラー位置情報を検索し、セルラー位置差分ベクトルを第1及び第2端末セルラー位置情報から計算し、セルラー位置差分ベクトルを移動体端末に送信する段階、
(f)セルラー位置差分ベクトルを移動体端末に記憶された衛星位置情報に加え、そこから第2地点での移動体端末の位置支援情報を取得する段階、及び
(g)位置支援情報を移動体端末内の衛星受信機に供給し、衛星受信機による衛星信号の取得を補助する段階、
を含む。
【0019】
本発明はまた、可能な場合に移動体端末の衛星位置情報を衛星測位システムから取得するようになった移動体端末に内蔵された衛星測位システム受信機に位置支援情報を供給するためのシステムを含み、システムは、
タイミング基準、
セルラー通信ネットワークに接続するための受信機、
1つ又はそれよりも多くの遠隔装置と双方向リンクを通じて通信するための手段、
端末内に衛星位置情報を記憶するための記憶手段、
セルラー通信ネットワークの1つ又はそれよりも多くの複数の送信機から端末によって受信した信号の端末のそれぞれの第1及び第2地点での互いに対する又はタイミング基準に対する第1及び第2時間オフセットを測定するための手段、及び
第1及び第2時間オフセット測定値を遠隔計算装置に送信するための手段、
を有する移動体端末と、
時間オフセット測定値を使用して端末セルラー位置情報を計算するための遠隔計算装置と、
端末セルラー位置情報を記憶するための記憶装置と、
端末セルラー位置情報を記憶装置から検索し、第1及び第2端末セルラー位置情報からセルラー位置差分ベクトルを計算するための手段と、
セルラー位置差分ベクトルを移動体端末に送信するための手段と、
を含み、
端末は、更に、
セルラー位置差分ベクトルを移動体端末に記憶された衛星位置情報に加え、これから第2地点での移動体端末の位置支援情報を取得するための手段と、
位置支援情報を移動体端末内の衛星受信機に転送して、衛星受信機による衛星信号の取得を補助するための手段と、
を含む。
【0020】
第1及び第2時間オフセット測定値は、端末内の手段によって同一の遠隔計算装置に又は異なる遠隔計算装置に送信することができる。例えば、この2つの地点は、測位システムの異なる計算ノードによって提供される区域内に置くことができ、従って、第1地点で測定された時間オフセット測定値を1つの計算ノードに送信し、第2地点で測定された測定値を別の計算ノードに送信することが都合がよいであろう。使用される物理的装置の数は、本発明の本質に対して何ら相異を生むものではなく、これは、計算が為される場所と独立である。実際に、多数のノードが相互に接続されて互いに通信するネットワーク化されたシステムにおいては、要求に応じて供給される情報源の物理的位置は、問題とされず多くの場合に未知である。各ノードは、それに割り当てられた固有の論理アドレスを有し、これは、どれが情報を提供するために使用されるかを判断する。同様の考えが記憶装置に適用される。本発明の本質は、使用される記憶ノード数にも使用される場所にもそれらの構成にも依存しない。1つ又はそれよりも多くの記憶装置は、1つ又は複数の計算装置に接続されるか又はそれらから遠隔に置くことができる。
【0021】
端末により受信された信号の第1及び第2時間オフセットは、信号が通信ネットワークから受信された時刻の間に端末が移動した範囲に依存して、かつ従って端末がそれらの信号を取得することができる送信機に依存して、セルラー通信ネットワークの同一の複数の送信機からの又は異なる複数の送信機からの時間オフセットとすることができる。WO−A−00−73813及びWO−A−00−73814に説明したシステムでは、セルラーネットワークのタイミングモデルは、ネットワーク上で端末によって為されたタイミングオフセット測定の背景ストリームによって維持される。モデルは、ネットワーク内の全ての送信機に対するエントリを含むことができる。従って、第1地点で端末によって測定された複数の送信機は、第2地点で端末によって測定された複数の送信機と同一であり、部分的に重複し、又は全く異なるものである可能性がある。これは、どの2つの送信機間のタイミング関係がモデル内で定められる時に何の違いも生まない。
位置差分ベクトルを送る代替として、平均速度又は加速度ベクトルを使用することができる。
【0022】
従って、本発明の第2の態様により、セルラー通信ネットワークに接続され、かつ双方向リンクを通じて位置情報を計算する機能のある1つ又はそれよりも多くの遠隔装置と通信することもできるタイミング基準を有する移動体端末内に含まれた衛星測位システムの受信機に位置支援情報を供給する方法が提供され、本方法は、
(a)衛星信号を利用することができる第1地点において、衛星測位システムから移動体端末の衛星位置情報を取得し、端末内に衛星位置情報を記憶し、セルラー通信ネットワークの第1の複数の送信機から端末によって受信した信号の互いに対する又はタイミング基準に対する第1時間オフセットを測定する段階、
(b)第1時間オフセット測定値を遠隔装置に送信し、時間オフセット測定値を使用して遠隔装置内の第1端末セルラー位置情報を計算し、第1端末セルラー位置情報を記憶する段階、
(c)第1時間タグを第1時間オフセット測定値に割当て、第1時間タグを記憶する段階、
(d)衛星測位システムからの信号が十分に利用できない第2地点において、セルラー通信ネットワークの第1又は第2の複数の送信機から端末によって受信した信号の互いに対する又はタイミング基準に対する第2時間オフセットを測定する段階、
(e)第2時間オフセット測定値を上述の又は別の遠隔装置に送信し、そこで第2時間オフセット測定値を使用して第2端末セルラー位置情報を計算する段階、
(f)第2時間タグを第2時間オフセット測定値に割当て、第2時間タグを記憶する段階、
(g)第1端末セルラー位置情報及び第1時間タグを検索し、セルラー平均運動ベクトルを第1及び第2端末セルラー位置情報並びに第1及び第2時間タグから計算し、移動体端末にセルラー平均運動ベクトルを送信する段階、
(h)セルラー平均運動ベクトル並びに第1及び第2時間タグを使用して端末内で位置差分ベクトルを計算し、セルラー位置差分ベクトルを移動端末に記憶された衛星位置情報に加え、そこから第2地点での移動体端末の位置支援情報を取得する段階、及び
(i)位置支援情報を移動体端末内の衛星受信機に供給し、衛星受信機による衛星信号の取得を補助する段階、
を含む。
運動ベクトルは、セルラー測定値から導出された平均速度又は平均加速度ベクトルであり、平均は、第1及び第2時間タグ間の時間隔にわたって取られる。時間タグは、本発明の実施に都合が良いように、それがどこで生成されたかによっていずれの方向へも送信することができ、端末に、又は1つ又はそれよりも多くの遠隔装置に、又はその両方に記憶することができる。
【0023】
本発明の第2の態様により、可能な場合に移動体端末の衛星位置情報を衛星測位システムから取得するようになった移動体端末に内蔵された衛星測位システム受信機に位置支援情報を供給するためのシステムも提供され、システムは、
タイミング基準、
セルラー通信ネットワークに接続するための受信機、
双方向リンクを通じて1つ又はそれよりも多くの遠隔装置と通信するための手段、
セルラー通信ネットワークの1つ又はそれよりも多くの複数の送信機から端末によって受信した信号の、端末のそれぞれの第1及び第2地点での互いに対する又はタイミング基準に対する第1及び第2時間オフセットを測定するための手段、
衛星位置情報を記憶するための記憶手段、及び
第1及び第2時間オフセット測定値を遠隔装置に送信するための手段、
を有する移動体端末と、
第1及び第2時間タグを時間オフセット測定値に割り当てる手段と、
第1及び/又は第2時間タグを記憶するための記憶手段と、
第1端末セルラー位置情報及び第1時間タグを検索し、セルラー平均運動ベクトルを第1及び第2端末セルラー位置情報並びに第1及び第2時間タグから計算するための装置、及びセルラー平均運動ベクトルを移動体端末に送信するための手段と、
を含み、
移動体端末は、更に
セルラー平均運動ベクトル並びに第1及び第2時間タグを使用して位置差分ベクトルを計算し、セルラー位置差分ベクトルを移動体端末に記憶された衛星位置情報に加えて、そこから第2地点での移動体端末の位置支援情報を取得するための計算手段と、
位置支援情報を移動体端末内の衛星受信機に転送し、衛星受信機による衛星信号の取得を補助するための手段と、
を含む。
【0024】
従って、本発明は、衛星ベース位置決定システムを補助するために、端末が1つの地点から別の地点へ移動する際に端末内の較正位置情報の転送を可能にする。位置差分ベクトル又は運動ベクトルのみが、遠隔装置から端末へ転送されるので、端末の絶対位置は、セルラー位置差分ベクトル又は運動ベクトルを初期衛星位置と組み合わせることにより、端末自体内でのみ計算することができる。これは、2つの利点を有する。第1の利点は、リンクを通じて転送する必要があるデータ量が最小になることである。例えば、WGSの84座標系を例えば用いて100mの精度で2次元の絶対位置を送信することは、約40ビットの情報を必要とすると考えられる。例えば100kmの移動に対する位置差分を送信することは、単に12ビットを必要とするであろう。第2の利点は、移動体端末の絶対位置は、ネットワークから端末に送信される位置メッセージを傍受することによっては推定できないことである。ベクトルは、その起点を知らない限り役に立たない。これは、本発明により構成されるシステムの機密性を高める。
【0025】
衛星測位システムは、測位サービス用の地球軌道衛星を使用するあらゆる測位システムとすることができる。そのようなシステムには、「全地球測位システム(GPS)」、Galileo、Beidou、Compass、QZSS、及びGlonassが含まれる。
本発明はまた、GSM、CDMA、W−CDMA、TDMA、TDS−CDMA、PDC、及びIDenのような全ての通信システムに同等かつ非限定的に適用される。
移動体端末とネットワーク間の双方向リンクは、あらゆる便利な手段によって達成することができるが、好ましくは、通信ネットワークの1つ又はそれよりも多くのチャンネルを使用する。
【0026】
1つ又は複数の遠隔装置は、ネットワークに接続した1つ又はそれよりも多くの計算ノード、例えば、移動体端末からメッセージを受信することができ、かつメッセージを再度送り戻すことができる1つ又はそれよりも多くのコンピュータ上で実行されるソフトウエアプログラムとすることができる。ネットワークと1つ又は複数の計算ノードとの間の接続は、直接に、別のセルラー通信ネットワークを通じて、又はインターネットのような固定インフラストラクチャを使用したシステムを通じても可能である。遠隔装置はまた、コンピュータメモリ又は他の機械アクセス可能媒体のような記憶ノードとすることができる。それらは、1つ又は複数の計算ノードの一部であってもよく、それらから遠隔にあってもよいが、1つ又はそれよりも多くの双方向リンクを通じて1つ又は複数の計算ノードと通信することができる。特定の実施においては、全ての遠隔装置は、同一の物理装置の一部とすることができる。
【0027】
タイミング基準は、受信機により受信された信号、又は例えば水晶発振器によってローカルに生成することができる別の信号とすることができる。通信ネットワークの使用中の送信機から端末によって受信した信号を基準として用いることができ、他の送信機から受信した信号のタイミングは、それに対して測定することができる。代替的に、短期間にわたって適度な安定性のある内部クロックを基準として用いることができる。
【0028】
第1及び第2時間タグは、第1及び第2時間オフセットのそれぞれが通信ネットワークの送信機から端末によって受信した信号から作られる瞬間の推定を含む。これらの測定は、端末内で為されるが、時間タグの割当には、3つのオプションがある。
第1のオプションでは、時間タグは、移動体端末内のローカルなタイミング基準を使用して割り当てられ、これらは、遠隔装置に送信される。
第2のオプションでは、時間タグは、移動体端末からのメッセージの受領時に遠隔装置内で割り当てられる。この場合には、時間タグは、データリンク待ち時間に対する補正が必要になり、それは、蓄積交換パケットシステム(例えば、GSMにおける「ショートメッセージサービス」)では何秒にもなる可能性がある。データリンク待ち時間は、(a)移動体端末と遠隔装置の間の信号伝播時間、及び(b)様々なネットワーク構成要素でのメッセージ(例えば、データスタックにおける)の処理により引き起こされる累積遅延を含む。
【0029】
第3のオプションでは、ネットワークの送信機から端末で受信する信号それ自体の構造が、時間タグを割り当てるために使用される。例えば、GSMにおいては、信号は、等しい長さの付番フレームに分割される。特定の送信機からの信号内の1つのフレームから次のフレームへの移行は、実質的にその送信機内の規則的クロックの刻みをもたらす。更に、フレームの各々は、刻み間の間隔を細分する正確な数のデータビット(GSMでは1250)を含む。フレーム番号の変化で示す1つのフレームから次のフレームへの移行、加えて、移行に続くOTDA測定の瞬間までのデータビット数は、本発明の目的に対して十分な正確性のある時間タグ(フレーム数にその分数を加えたもの)内の瞬間の推定を構成する。本出願人のWO00/73813及びWO00/73814で説明しているように、セルラー位置の計算もまた、(非同期)ネットワーク信号の送信機時間オフセットの精密なモデルをもたらし、これらも、相対フレーム番号オフセット及びその分数として表される。送信機時間オフセットのモデルは、本出願人のWO00/73813及びWO00/73814の技術を使用して大きな群へ拡張することができる。拡張されたネットワーク内で移動する移動体端末は、相対送信機時間オフセットの測定値を提供し、それらの測定値をネットワークインフラストラクチャに通信する。従って、遠隔装置は、拡張されたネットワーク内の他の全てに関連した送信機の各々のフレーム数及び部分的フレーム数のマップを有し、それらに利用可能である。送信機Aからの信号のフレーム数及びフレーム数の分数として表される第1時間タグ内の瞬間は、送信機Bからの信号のフレーム数及びフレーム数の分数として表される第2時間タグ内の瞬間に正確に関連する場合がある。端末の計算セルラー位置も各場合で既知であるから、それぞれの送信機から移動体端末への信号の伝播時間を説明する補正が適用される。
第2又は第3オプションのいずれの場合でも、遠隔装置により補正されるか又は割り当てられる時間タグは、移動体端末に送信される。
【0030】
送信機から受信した信号の時間オフセットを測定する段階は、それぞれの送信源により送信される各信号内の信号パターンを使用することにより達成することができる。本出願人のWO00/73813及びWO00/73814で説明したように、送信源が通信ネットワーク、例えばGSM又はWCDMAネットワークのメンバである場合には、信号パターンは、制御チャンネル上で同報通信された同期バーストとすることができ、又はそれらは、送信されたデータストリーム内のフレーム境界とすることができる。
【0031】
セルラー位置差分ベクトルを改善するために、個々に計算されたセルラー位置の精度の改善を行うことができる。セルラー位置を判断する精度は、ローカル無線伝播環境を含むいくつかの要因に依存する。通常は、送信機と移動体端末の間には、いくつかの異なる経路がある。移動体端末において、これらの各経路に沿った信号の振幅と位相は、ベクトルとして組み合わされる。その結果、移動体端末地点の場所内では、送信機と端末の間の実質的な伝播時間は、端末の位置の僅かな変化に対して際立った変化をする。OTDA測定が行われる精度は、複数のそれらの測定値を組み合わせる処理により改善することができる。それらのデータを組み合わせる処理は公知であり、例えば、OTDA測定値を平均すること、又は位置を計算するためにOTDA測定値の各セットを使用し、次に計算された位置を平均することを含むことができる。
【0032】
更に別の態様では、組合せ操作は、改善されたOTDA推定値を提供するために移動体端末の運動の動的モデルに関連付けられる。動的モデルは、端末の運動の予測子として使用され、OTDA測定値は、予測された運動を考慮に入れるように互いに組み合わされる。このような方法も公知であり、例えば、トラッキングフィルタ及びカルマンフィルタなどの使用を含むことができる。位置を計算する前にOTDA値のより良い推定値を得るために、個々の送信機からのOTDA測定値の時系列に対して、対応する動的モデリングと共に別々のフィルタを使用することもまた可能である。
OTDA測定値自体を組み合わせることに対する代替案は、OTDA測定値の各セットから別々に計算されたセルラー位置を組み合わせることである。これは、セルラー位置を移動体端末の運動の動的モデルと関連させることによって更に高められる。
【0033】
伝送時間オフセット又はセルラー位置のいずれかの測定値を組み合わせる処理は、好ましい実施形態では、衛星測位システムSPSによって測定された位置が同時に利用可能である場所で最初に実行される。そのようなSPS測定値から導出された動的モデルは、位置情報、速度、加速度、及び各情報状態に関連した精度の尺度(例えば、標準偏差又は分散)の一部又は全てを含むことができる。このような精度情報は、適応型ロケーションフィルタを特徴付けるような測定値及び処理ノイズに関連した要素に更に細分化することができる。情報状態誤差分散は、通常は、測定値(SPSシステムからの)が利用不可となった後に経時的に大きくなる。このようにして判断された位置情報状態は、端末の運動を特徴付けるために使用される。SPS位置情報及びその動的モデルをセルラー測定値からの位置情報と組み合わせることにより、上述の第1地点の場所内で端末によって為された測定値から判断されたセルラー位置情報が改善される。
【0034】
従って、本発明の第1及び第2の態様は、以下のように付加的な段階を含むことができる。
すなわち、第1地点の場所内で、複数の送信機から端末によって受信した信号の時間オフセットの測定値を含む複数の測定情報セットを取得する段階、各測定情報セットに対して時間タグを割り当てる段階、SPS測定値から端末の運動の動的モデルを含む運動情報を取得する段階、運動情報を使用して測定情報セットから予測された運動の影響を除去する段階、及び補正された測定情報セットを組み合わせる段階である。
【0035】
また、代替的な実施形態では、かつ第1地点の場所内では、複数の送信機から端末によって受信した信号の時間オフセットの測定値を含む複数の測定情報セットを得て、この測定情報セットの各々からセルラー位置情報が判断される段階、各測定情報セットに対して時間タグを割り当てる段階、SPS測定値から端末の運動の動的モデルを含む運動情報を取得する段階、この動的モデルを使用してセルラー位置情報から予測された運動の影響を除去する段階、補正されたセルラー位置情報を組み合わせて改善されたセルラー位置情報を形成する段階である。
【0036】
本発明の別の実施形態では、かつ第1地点の場所内では、セルラー位置情報は、運動情報と更に組み合わされて、時間又は位置に関してセルラー測定情報セットの互いの独立性の程度に関連する干渉性指標情報を取得し、この干渉性指標情報を第2地点で使用して、組合せ操作で使用された複数のセルラー測定情報セットの範囲を判断する。
従って、位置差分ベクトル、又は平均速度ベクトル、又は平均加速度ベクトルの精度は、第1及び第2地点の場所内の異なる位置で取られた複数の測定値を組み合わせることにより改善される。
【0037】
第2地点は、どのような場所であっても良いが、特に、衛星信号が十分に利用できない、すなわち、それらが位置の解を見出すことを可能にするのに十分でない場所であってもよい。これは、衛星受信機のアンテナが上述のように明瞭な上空視界を有していないためか、又はこれも上述のように、衛星信号が減衰し、それによって受信機が衛星信号を取得するために支援を必要とする場合であろう。この場合には、本発明により計算された位置情報は、例えば、(a)コード位相検索エンジンを事前配備して必要な探査範囲を最小にし、及び/又は(b)第1の衛星範囲測定値に対する動的フィルタを事前配備し、それによって上述の他の手段によって擬似範囲測定値内の曖昧性を解決する要件を取り除くために位置情報を使用すると考えられる衛星受信機に供給することができる。そのような方法を使用して、衛星測位システムにおいて端末の位置を計算するのに必要とされる時間を削減することができる。
【0038】
本発明はまた、本発明により較正された端末位置情報が衛星受信機に提供され、端末の位置が衛星信号の少なくとも1つを使用して判断される、衛星測位システムの移動体端末の位置を判断する方法を含む。
位置は、衛星信号測定値だけを使用して判断することができ、又はそれは、衛星及びネットワーク信号測定値を組み合わせて改良することができる。
例え支援があっても衛星システムを使用して位置が計算できない場合でも、本発明は、依然として地上ネットワークタイミング測定値及び初期衛星位置に基づいて位置を提供することができる。これは、支援がない衛星測位と比較して完全な位置喪失を避ける復帰モードを提供する。
【0039】
本発明はまた、衛星測位システム構成要素を収容する端末内にロードされた時に端末が本発明の方法を実施することを可能にする1組の命令を担持する媒体を含む。
本発明はまた、本発明の第1及び第2の態様のシステムに関連して上述したような衛星測位システムの移動体端末を含む。
本発明及びそれを配備することができるシステムの実施例を添付図面を参照してここでより詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
図1は、本発明を具体化するためのシステムの実施例を示しており、特に衛星測位システムの全体的なアーキテクチャを示している。端末101は、この事例ではGPS衛星群である衛星システム100の衛星102から同報通信される信号を受信する。端末101はまた、この事例ではGSMネットワークである地上ネットワーク107の送受信基地局(BTS)103Aから103Cによって同報通信される信号を受信する。
【0041】
図1を参照すると、ネットワーク107の送信機103Aから103Cからの信号は、端末101によって受信され、信号内の特定のシグニチャーの到達時間は、端末のクロックを基準として測定される。このシグニチャーは、例えば、GSMにおいては、BCCH上で周期的に送信される同期パターンを含む。端末が位置1にある時の送信機103Aからの信号内のシグニチャーの受信時間をtA1とすると、tA1は次式によって与えられる。
vtA1=γA1+vαA+vε1 (1)
ここで、αAは、送信機Aの伝送時間オフセットであり、ε1は、地点1における端末クロックの時間オフセットであり、それらの全ての時間が標準時を基準として表されており、γA1は、端末と送信機間の距離、vは、伝送が行われる媒体中での電波の速度である。そのような測定はまた、送信機103B、103Cなどから受信した信号に対しても行われ、その全体のセットは、ネットワーク107に接続した計算ノードを形成する遠隔装置302に端末101から送られる。あらゆる時間基準の均一なタイムキーピングからのいかなるずれも無視できるように、測定が行われる間隔が非常に短いことに注意すべきである。測定が行われる時刻τiを含む時間タグもまた、端末101内で記録され、遠隔装置302へ送信される。
【0042】
GPS測位受信機201(図2参照)は、第1地点(地点1)でGPS衛星群からの信号を使用して、例えば、WGS84のような世界標準で表される端末の「絶対」位置の推定値を作成する。一般的に、4個の衛星102からの信号が、3次元の位置及び時間計算値を取得するために必要とされるが、利用可能であれば、より多くの衛星が精度を改善するために使用される。端末位置siは、このようにして端末101中に記憶される。
【0043】
計算ノード302は、本出願人の出願WO−A−00−73813及びWO−A−00−73814に説明されているように計算を実行し、端末xiのセルラー位置及び送信機103に対する伝送時間オフセットαA、αB,、αcなどの両方を発生させる。値xi、αA、αB、αCなど及びτiは、全て計算ノード302に接続した記憶ノード303に送信されて記憶される。
端末は、この時点で、第2地点(地点2)へ移動し、そこでは端末は、十分な衛星信号を受信できないが、端末は、そこでGSMネットワークの送信機103から信号を受信することができる。端末101は、全てのネットワークの送信機から受信した信号の測定を行い、全てのセットは端末101から計算ノード302へ、測定が行われる時刻τ2を含む第2時間タグと共に送信される。上述のように、計算ノード302は、伝送時間オフセット及び第2地点での端末x2のセルラー位置に対する値を発生させる計算を実行する。
【0044】
計算ノード302は、記憶ノード303中に記憶された情報セットを再度呼び出し、以下の式に従うセルラー位置差分ベクトルΔx、平均セルラー速度ベクトルu、及び平均セルラー加速度ベクトルaの1つ又はそれよりも多くを計算する。
Δx=x2−x1
u=(x2−x1)/(τ2−τ1)、及び
a=2(x2−x1)/(τ2−τ12 (2)
これらの計算された値の1つ又はそれよりも多くは、端末101に送信され、そこで以下の式を用いて地点2における端末の位置:
【0045】
【数1】

【0046】
を推定することができる。
【0047】
【数2】

【0048】
次に、計算値:
【0049】
【数3】

【0050】
は、支援情報としてGPS受信機201に供給される。位置支援は、例えば、(a)必要とされる検索範囲を最小にするためにコード位相検索エンジンを事前配備することにより、及び/又は(b)第1の衛星範囲測定値に対する動的フィルタを事前配備し、それによって上述の他の手段によって擬似範囲測定値内の曖昧性を解決する要件を取り除くことにより、衛星信号の取得を補助する。従って、第2地点の計算されたセルラー位置:
【0051】
【数4】

【0052】
は、GPS受信機が、それが地点2に対する衛星位置を取得するのに十分な衛星信号を取得するのを助ける。
【0053】
上記で概説した本発明の方法の基礎になる仮定の1つは、ネットワーク送信機103の相対伝送時間オフセットが、地点1で行われる測定と地点2で行われる測定との間で変わらないことである。本出願人の出願WO−A−00−73813及びWO−A−00−73814では、伝送時間オフセットのゆっくりとした変化を考慮することができる方法を開示している。このようなゆっくりとした変化は、多くの場合に各送信機のクロック速度の僅かな差異によって引き起こされ、相対伝送時間オフセット及び伝送時間オフセットの変化率によって十分にパラメトリックに特徴付けることができる。
【0054】
図2は、図1に示されているシステムで使用される移動体端末101の主要機能的構成要素を示している。端末101は、パッチアンテナ203を通じてGPS衛星群100の衛星からの信号を受信するための受信機を内蔵するGPS受信機201と、アンテナ204を通じてGSM無線ネットワーク107からの信号を受信するための受信機を内蔵するGSMモジュール202と、メモリ、処理回路、及び移動端末内のこのような装置に典型的に関連するソフトウエアプログラム(図示せず)を含む汎用プロセッサ205と、端末101にタイミング基準を供給する発振器回路206と、汎用プロセッサ205上で実行されるソフトウエアプログラム207とを含む。
【0055】
GSMモジュール202はまた、端末101に対して及び端末から情報を入力及び出力する機能を有するインタフェース(図2中に示されない)及びシグナルプロセッサ(示されない)を含み、それらの両方は、全てのGSM端末の標準機能であり、引用により本明細書に組み込まれているWO−A−99/21028にその詳細が説明されているように、観測された到達時間差(OTDA)、受信信号強度、送信機ID、及びGSMモジュール202により送信機103から受信した信号の他のタイミング測定値のようなネットワーク測定値を作成するための機能を提供する。データは、例えば、「ショートメッセージサービス(SMS)」を使用して、通常のGSM機能の一部として提供されるリンク210を通じて端末201とネットワーク107の間で受け渡される。
【0056】
図2の端末101内のGPS受信機201は、GPS衛星群100の衛星102からの信号を受信して測定する。受信機は、衛星群100からの信号のタイミング測定値を用いて、上述のように端末の位置を計算する。
図2はまた、端末101内の更に別の信号伝達及びデータフローを示している。発振器回路206は、GSMモジュール202に対してタイミング基準を供給する。モジュール202によって受信されるGSMネットワーク107の使用中のセルの信号は、発振器の周波数を調節するために使用され、信号は、受信GSM信号と一致し、すなわち、調節された発振器から生成された信号は、受信GSM信号の周波数に適合する。双方向リンク214は、発信器206から生成されたクロック信号をGSMモジュール202に供給し、OTDAの値及びGSMモジュール202によって行われた他の測定値を汎用プロセッサ205に供給する。GSMモジュール202によりGSMネットワーク107に送信されたデータは、汎用プロセッサ205から同一のリンク214を通じて受渡される。双方向リンク211は、支援情報を汎用プロセッサ205からGPS受信機201に、GPS位置情報をGPS受信機201から汎用プロセッサ205に受け渡す。
【0057】
図1はまた、端末101と外部装置302及び303の間の接続関係を示している。端末101からのメッセージは、無線リンク210を通じて通信ネットワーク107へ送信される。これは、更に、インフラストラクチャリンク220、インターネット301、及びインフラストラクチャリンク230を通じて計算ノード302に接続される。記憶ノード303は、リンク240を通じて計算ノード302に接続される。一実施形態では、2つのノードは、同一のコンピュータの一部であり、別の実施形態では、それらは、別々の装置である。更に別の実施形態では、計算及び記憶ノードが使用され(図3には示されない)、更に別のリンク(示されない)を通じて相互に及びインターネット301にノード302及び303の場合と同様な形で接続される。
【0058】
図1のシステムの作動の流れ図が、図3に示されている。
端末101が起動された後、暫くして、GPS位置s1が、段階401でGPS受信機201によって第1地点(地点1)で得られる。この位置は、段階402で端末の記憶装置内に記憶される。同時に、段階403において、GSMモジュール202は、典型的に約8個であるモジュールが発見することができる全てのネットワーク送信機からの信号の相対的に観測された到達時間(OTDA)を測定する。一実施形態では、各OTDAは、発信器206から導出されたクロック信号に対して測定される。別の実施形態では、各OTDAは、使用中のGSM送信機のOTDAに対して測定される。これらの測定が行われた瞬間は、発信器206から導出されるクロック信号を使用して測定された時間タグ内に段階404で割り当てられる。時間タグは、端末の記憶装置に記憶される。時間タグの割当及び記憶の段階は、平均セルラー速度ベクトル又は平均セルラー加速度ベクトルが使用される場合にのみ必要とされる。従って、単に位置差分ベクトルを使用する別の実施形態では、この段階404は省かれる。測定された各OTDA(及び、使用される場合は時間タグ)は、リンク210、220、及び230を通じて段階405において計算ノード302に送信される。
【0059】
計算ノード302によって受信された各OTDAは、WO−A−00−73813及びWO−A−00−73814に説明されている方法を使用して地点1のセルラー位置を計算するために段階406において使用される。この計算された位置及び時間タグ(存在する場合)は、段階407で、記憶ノード303内に記憶される。上述のように、本発明の一実施形態では、ノード302及び303は、単一のコンピュータに内蔵されており、計算ノードは、コンピュータ上で実行されるソフトウエアプログラムであり、記憶ノードは、コンピュータの記憶装置である。別の実施形態では、2つのノードは、TCP/IPネットワークを通じて接続した別々のコンピュータ内にある。
【0060】
段階401から407のイベントの暫く後で、端末101は、端末に対する衛星位置を取得することが望ましい環境(第2地点)へ移動するが、そこでは衛星からの信号は減衰しており、GPS受信機201は、衛星信号を獲得するために支援を必要とする。OTDA測定値の第2のセットが段階408において作成される。時間タグを使用する実施形態では、これらの測定を行う瞬間は、時間タグ内に割り当てられ(段階409)、これは、端末の記憶装置に記憶される。測定されたOTDA(及び、使用される場合に時間タグ)のセットは、段階410において計算ノード302に、又は計算ノード302が何らかの理由でアクセスできない場合は別の計算ノード(示されない)に送信される。第2地点のセルラー位置は、段階411において計算される。一部の実施形態では、このセルラー位置は、時間タグ(存在する場合)と共に記憶ノード303(又は他のノード、示されない)内に段階412において記憶される。しかし、段階412が必要でない場合、段階は除外される。
【0061】
計算ノード(302など)は、この時点で、セルラー位置差分ベクトル、セルラー平均速度ベクトル、又はセルラー平均加速度ベクトルを式2によって計算するのに十分な情報を有する。第1セルラー位置及び第1時間タグ(存在する場合)は、段階413において記憶装置から検索され、段階411において計算された第2セルラー位置及び時間タグ(存在すれば)と共に使用されて、位置差分ベクトル(時間タグなし)、又は平均速度又は加速度ベクトル(時間タグを使用して)のいずれかを計算する。この「運動」ベクトルは、段階415において移動体端末101へ送信される。運動ベクトルが既に位置差分ベクトルである場合、位置差分ベクトル計算の段階416は空の演算になる。次に、運動ベクトルが平均速度又は加速度ベクトルである場合、段階404及び409において端末の記憶装置に記憶される2つの時間タグは、位置差分ベクトルを計算するために検索されて運動ベクトルと共に使用される。
【0062】
端末101は、この時点で、端末の汎用プロセッサを使用して端末の推定位置を計算することができる(段階417)。段階401において検知されたGPS位置は、端末の記憶装置から検索され、段階416において計算された位置差分ベクトルに加算される。これは、段階418においてGPS受信機201に対して支援情報の要素として供給される、
【0063】
【数5】

【0064】
の値(式3)を与える。次に、GPS受信機201は、衛星信号を取得し、第2地点での端末のGPS位置を計算することができる(段階419)。
【0065】
本発明の一部の実施形態では、時間タグは、計算ノード302において割り当てられる。次に、作動の流れ図が、図4に示すように僅かに変更される。これらの実施形態では、時間タグは、段階505及び510において1つ又は複数の計算ノードによる端末からのメッセージの受領時に割り当てられる。それらは、1つ又は複数の計算ノード内のクロックに対して測定されるか、又は上述のように信号のフレーム構造から導出される。時間タグは、段階506及び511において伝播及び待ち時間(上述の)に対して補正される。
【0066】
一部のシステムでは、複数の測定値が、第1及び第2地点の場所内でセルラー信号から作られる。これらの測定値は、上述の方法の1つを使用して組み合わされ、2つの地点に対して計算されたセルラー位置に関連した誤差を低減する。段階403、408、503、及び508は、繰り返され、各地点での測定値は、移動体端末101内で組み合わされて、その組合せが対応する計算ノードへ送信されるか又は測定値が別々に送信され、組合せる段階は、計算ノード内で実行される。
【0067】
本発明のシステムの更に別の実施形態は、移動体端末101が、図5に示されているように通信ネットワークに接続したサーバと通信する測位システムを含む。作動中、サーバ601に常駐するアプリケーションは、端末101の位置を要求し、端末は、上述の実施例で説明した方法と同様に端末位置を計算する。得られた位置は、通信リンク210、220、及び610を使用して要求元アプリケーションに返送される。
更に別の実施形態が、図6に示されている。この場合は、GPSの位置計算機能は、端末101から分離され、端末は、端末の位置を計算するために使用される外部の位置計算装置701とリンク210、220、及び710を通じて通信する。位置計算装置701に供給されるGPSタイミング測定値は、端末101内で測定される。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明が配備された衛星測位システムの全体的なアーキテクチャを示す概略図である。
【図2】本発明のシステムにおいて使用される移動端末の主要機能的構成要素、並びに移動端末における信号伝達及びデータフローを示す概略図である。
【図3】図1のシステムにおいて位置を計算するのに使用される処理を示す流れ図である。
【図4】図1のシステムの代替実施形態に対する流れ図である。
【図5】端末が位置情報を交換するためにネットワークアプリケーションと通信する代替アーキテクチャを示す概略図である。
【図6】衛星位置計算を端末の外部の装置により実行することができ、かつ端末が通信する代替アーキテクチャを示す概略図である。
【符号の説明】
【0069】
100 衛星システム
101 端末
102 衛星
107 地上ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルラー通信ネットワークに接続され、かつ位置情報を計算する機能がある1つ又はそれよりも多くの遠隔装置と双方向リンクを通じて通信することもができるタイミング基準を有する移動体端末に収容された衛星測位システムの受信機に位置支援情報を供給する方法であって、
(a)衛星信号が利用可能な第1地点において、衛星測位システムから移動体端末の衛星位置情報を取得し、該端末内に該衛星位置情報を記憶し、セルラー通信ネットワークの第1の複数の送信機から該端末によって受信した該信号の互いに対する又はタイミング基準に対する第1時間オフセットを測定する段階、
(b)前記第1時間オフセット測定値を遠隔装置に送信し、該時間オフセット測定値を使用して該遠隔装置内で第1端末セルラー位置情報を計算し、該第1端末セルラー位置情報を記憶する段階、
(c)前記衛星測位システムからの信号が十分に利用できない第2地点において、前記セルラー通信ネットワークの前記第1の又は第2の複数の送信機から前記端末によって受信した該信号の互いに対する又は前記タイミング基準に対する第2時間オフセットを測定する段階、
(d)前記第2時間オフセット測定値を前記又は別の遠隔装置に送信し、そこで第2端末セルラー位置情報を計算する段階、
(e)前記第1端末セルラー位置情報を検索し、前記第1及び第2端末セルラー位置情報からセルラー位置差分ベクトルを計算し、該セルラー位置差分ベクトルを前記移動体端末に送信する段階、
(f)前記セルラー位置差分ベクトルを前記移動体端末内に記憶された前記衛星位置情報に加え、前記第2地点での該移動体端末の位置支援情報をそこから取得する段階、及び
(g)前記位置支援情報を前記移動体端末内の衛星受信機に供給し、該衛星受信機による衛星信号の取得を補助する段階、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
セルラー通信ネットワークに接続され、かつ位置情報を計算する機能がある1つ又はそれよりも多くの遠隔装置と双方向リンクを通じて通信することもができるタイミング基準を有する移動体端末に収容された衛星測位システムの受信機に位置支援情報を供給する方法であって、
(a)衛星信号が利用可能な第1地点において、衛星測位システムから移動体端末の衛星位置情報を取得し、該端末内に該衛星位置情報を記憶し、セルラー通信ネットワークの第1の複数の送信機から該端末によって受信した該信号の互いに対する又はタイミング基準に対する第1時間オフセットを測定する段階、
(b)前記第1時間オフセット測定値を遠隔装置に送信し、該時間オフセット測定値を使用して該遠隔装置内で第1端末セルラー位置情報を計算し、該第1端末セルラー位置情報を記憶する段階、
(c)第1時間タグを前記第1時間オフセット測定値に割当て、該第1時間タグを記憶する段階、
(d)前記衛星測位システムからの信号が十分に利用できない第2地点において、前記セルラー通信ネットワークの前記第1の又は第2の複数の送信機から前記端末によって受信した該信号の互いに対する又は前記タイミング基準に対する第2時間オフセットを測定する段階、
(e)前記第2時間オフセット測定値を該第2時間オフセット測定値を使用する前記又は別の遠隔装置に送信し、そこで第2端末セルラー位置情報を計算する段階、
(f)第2時間タグを前記第2時間オフセット測定値に割当て、該第2時間タグを記憶する段階、
(g)前記第1端末セルラー位置情報及び前記第1時間タグを検索し、該第1及び第2端末セルラー位置情報並びに該第1及び第2時間タグからセルラー平均運動ベクトルを計算し、該セルラー平均運動ベクトルを前記移動体端末に送信する段階、
(h)前記セルラー平均運動ベクトル並びに前記第1及び第2時間タグを使用して位置差分ベクトルを前記端末内で計算し、該セルラー位置差分ベクトルを該移動体端末内に記憶された前記衛星位置情報に加え、そこから前記第2地点での該移動体端末の位置支援情報を取得する段階、及び
(i)前記位置支援情報を前記移動体端末内の衛星受信機に供給し、該衛星受信機による衛星信号の取得を補助する段階、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
前記第1及び第2時間オフセット測定値は、同じ遠隔装置に送信されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1及び第2時間オフセット測定値は、異なる遠隔装置に送信されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1時間オフセット測定値は、前記1つ又は複数の遠隔装置に記憶されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記第1時間オフセット測定値は、前記1つ又は複数の遠隔装置に接続した記憶装置に記憶されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記第1及び第2の複数の送信機は、異なる送信機を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記第1及び/又は第2の時間タグは、遠隔装置に送信されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記第1及び第2の時間タグは、同じ遠隔装置に送信されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1及び第2の時間タグは、異なる遠隔装置に送信されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記第1及び/又は前記第2の時間タグは、前記移動体端末に記憶されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記第1及び/又は前記第2の時間タグは、前記移動体端末から遠隔の装置に記憶されることを特徴とする請求項2又は請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記タイミング基準は、前記移動体端末に送信された信号であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記タイミング基準は、前記通信ネットワークの送信機から前記移動体端末に送信された信号であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1及び第2の時間タグは、前記第1及び第2時間オフセットのそれぞれが、前記通信ネットワークの送信機から前記移動体端末によって受信した前記信号から作成された瞬間の推定値を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項16】
前記時間タグは、前記移動体端末内のローカルタイミング基準を使用して割り当てられ、前記遠隔装置へ送信されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記時間タグは、前記移動体端末からのメッセージの受領時に前記遠隔装置内で割り当てられることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記通信ネットワークの前記送信機から前記端末によって受信した前記信号自体の構造を使用して、前記時間タグを割り当てることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記第1地点の場所内で、複数の前記送信機から前記移動体端末によって受信した前記信号の前記時間オフセットの測定値を含む複数の測定情報セットを取得し、各測定情報セットに時間タグを割り当て、前記SPS測定値から該端末の運動の動的モデルを含む運動情報を取得し、該運動情報を使用して該測定情報セットから予測された運動の影響を除去し、かつ該補正された測定情報セットを組み合わせる段階を更に含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項20】
前記第1地点の場所内で、複数の前記送信機から前記端末によって受信した前記信号の前記時間オフセットの測定値を含む複数の測定情報セットを取得し、該測定情報セットの各々からセルラー位置情報が判断され、該測定情報セットの各々に時間タグを割り当て、前記SPS測定値から該端末の運動の動的モデルを含む運動情報を取得し、該動的モデルを使用して該セルラー位置情報から予測された運動の影響を除去し、かつ該補正されたセルラー位置情報を組み合わせて改善されたセルラー位置情報を形成する段階を更に含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項21】
前記第1地点の場所内で、前記セルラー位置情報を前記運動情報と更に組み合わせて、時間又は位置に関して前記セルラー測定情報セットの互いの独立性の程度に関連する干渉性指標情報を取得し、前記第2地点での該干渉性指標情報を使用して、該組み合わせる操作で使用される複数のセルラー測定情報セットの範囲を判断する段階を更に含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項22】
衛星受信機に請求項1又は請求項2に従って較正された端末位置支援情報が提供され、かつ端末の位置が衛星信号の少なくとも1つを使用して判断される、衛星測位システムの移動体端末の位置を判断する方法。
【請求項23】
可能な場合に衛星測位システムから移動体端末の衛星位置情報を取得するようになった、該移動体端末内に収容された移動体端末衛星測位システム受信機に位置支援情報を供給するためのシステムであって、
タイミング基準、
セルラー通信ネットワークに接続するための受信機、
双方向リンクを通じて1つ又はそれよりも多くの遠隔装置と通信するための手段、
移動体端末内に衛星位置情報を記憶するための記憶手段、
前記セルラー通信ネットワークの1つ又はそれよりも多くの複数の送信機から端末によって受信した信号の、端末のそれぞれの第1及び第2地点での互いに対する又は前記タイミング基準に対する第1及び第2時間オフセットを測定するための手段、及び
前記第1及び第2時間オフセット測定値を遠隔計算装置に送信するための手段、
を有する移動体端末と、
前記時間オフセット測定値を使用して端末セルラー位置情報を計算するための遠隔計算装置と、
端末セルラー位置情報を記憶するための記憶装置と、
端末セルラー位置情報を前記記憶装置から検索し、前記第1及び第2端末セルラー位置情報からセルラー位置差分ベクトルを計算するための手段と、
前記セルラー位置差分ベクトルを前記移動体端末に送信するための手段と、
を含み、
前記端末は、
前記セルラー位置差分ベクトルを前記移動体端末内に記憶された前記衛星位置情報に加え、これから前記第2地点での該移動体端末の位置支援情報を取得するための手段と、
前記位置支援情報を前記移動体端末内の衛星受信機に転送し、該衛星受信機による衛星信号の取得を補助するための手段と、
を更に含む、
ことを特徴とするシステム。
【請求項24】
可能な場合に衛星測位システムから移動体端末の衛星位置情報を取得するようになった、該移動体端末内に収容された衛星測位システム受信機に位置支援情報を供給するためのシステムであって、
タイミング基準、
セルラー通信ネットワークに接続するための受信機、
双方向リンクを通じて1つ又はそれよりも多くの遠隔装置と通信するための手段、
前記セルラー通信ネットワークの1つ又はそれよりも多くの複数の送信機から端末によって受信した信号の、端末のそれぞれの第1及び第2地点での互いに対する又は前記タイミング基準に対する第1及び第2時間オフセットを測定するための手段、
衛星位置情報を記憶するための記憶手段、及び
前記第1及び第2時間オフセット測定値を遠隔装置に送信するための手段、
を有する移動体端末と、
第1及び第2時間タグを前記時間オフセット測定値に割り当てるための手段と、
前記第1及び/又は第2時間タグを記憶するための記憶手段と、
第1端末セルラー位置情報並びに前記第1及び第2時間タグを検索し、該第1及び第2端末セルラー位置情報並びに該第1及び第2時間タグからセルラー平均運動ベクトルを計算するための装置と、
前記セルラー平均運動ベクトルを前記移動体端末に送信するための手段と、
を含み、
前記移動体端末は、
前記セルラー平均運動ベクトル並びに前記第1及び第2時間タグを使用して位置差分ベクトルを計算し、該セルラー位置差分ベクトルを前記移動体端末内に記憶された前記衛星位置情報に加え、そこから前記第2地点での該移動体端末の位置支援情報を取得するための計算手段と、
前記位置支援情報を前記移動体端末内の衛星受信機に転送し、該衛星受信機による衛星信号の取得を補助するための手段と、
を更に含む、
ことを特徴とするシステム。
【請求項25】
前記時間オフセット測定値を使用して端末セルラー位置情報を計算するための複数の遠隔計算装置を含むことを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
端末セルラー位置情報を記憶するための複数の記憶装置を含むことを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項27】
前記記憶装置は、前記計算装置に統合されていることを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項28】
前記第1及び/又は前記第2時間タグのための記憶手段が、前記移動体端末に配置されていることを特徴とする請求項24に記載のシステム。
【請求項29】
前記第1及び/又は前記第2時間タグのための記憶手段が、前記移動体端末から遠隔の装置に配置されていることを特徴とする請求項24又は請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記タイミング基準は、前記移動体端末に送信された信号であることを特徴とする請求項23又は請求項24に記載のシステム。
【請求項31】
前記タイミング基準は、前記通信ネットワークの送信機から前記移動体端末に送信された信号であることを特徴とする請求30に記載のシステム。
【請求項32】
前記第1及び第2時間タグは、前記第1及び第2時間オフセットのそれぞれが、前記通信ネットワークの送信機から前記移動体端末によって受信した前記信号から作成された瞬間の推定値を含むことを特徴とする請求24に記載のシステム。
【請求項33】
前記時間タグは、前記移動体端末内のローカルタイミング基準を使用して割り当てられ、前記遠隔装置に送信されることを特徴とする請求32に記載のシステム。
【請求項34】
前記時間タグは、前記移動体端末からのメッセージの受領時に前記遠隔装置内で割り当てられることを特徴とする請求32に記載のシステム。
【請求項35】
前記通信ネットワークの前記送信機から前記端末によって受信した前記信号自体の構造を使用して、前記時間タグを割り当てることを特徴とする請求32に記載のシステム。
【請求項36】
衛星測位システム構成要素を収容する端末内にロードされた時に、該端末が請求項23又は請求項24に記載の方法を実行することを可能にする1組の命令を担持する媒体。
【請求項37】
タイミング基準と、
セルラー通信ネットワークに接続するための受信機と、
双方向リンクを通じて1つ又はそれよりも多くの遠隔装置と通信するための手段と、
移動体端末内に衛星位置情報を記憶するための記憶手段と、
前記セルラー通信ネットワークの1つ又はそれよりも多くの複数の送信機から前記端末によって受信した信号の、該端末のそれぞれの第1及び第2地点での互いに対する又は前記タイミング基準に対する第1及び第2時間オフセットを測定するための手段と、
前記第1及び第2時間オフセット測定値を遠隔計算装置に送信するための手段と、
遠隔装置から受信したセルラー位置差分ベクトルを前記移動体端末内に記憶された前記衛星位置情報に加え、これから前記第2地点での該移動体端末の位置支援情報を取得するための手段と、
前記位置支援情報を前記移動体端末内の衛星受信機に転送し、該衛星受信機による衛星信号の取得を補助するための手段と、
を有することを特徴とする移動体端末衛星測位システム受信機。
【請求項38】
タイミング基準と、
セルラー通信ネットワークに接続するための受信機と、
双方向リンクを通じて1つ又はそれよりも多くの遠隔装置と通信するための手段と、
前記セルラー通信ネットワークの1つ又はそれよりも多くの複数の送信機から移動体端末によって受信した信号の、該端末のそれぞれの第1及び第2地点での互いに対する又は前記タイミング基準に対する第1及び第2時間オフセットを測定するための手段と、
衛星位置情報を記憶するための記憶手段と、
前記第1及び第2時間オフセット測定値を遠隔装置に送信するための手段と、
遠隔装置から受信したセルラー平均運動ベクトル並びに前記時間オフセット測定値に割り当てられた第1及び第2時間タグを使用して位置差分ベクトルを計算し、該セルラー位置差分ベクトルを前記移動体端末内に記憶された前記衛星位置情報に加え、これから前記第2地点での該移動体端末の位置支援情報を取得するための計算手段と、
前記位置支援情報を前記移動体端末内の衛星受信機に転送し、該衛星受信機による衛星信号の取得を補助するための手段と、
を有することを特徴とする移動体端末衛星測位システム受信機。
【請求項39】
第1及び第2時間タグを前記時間オフセット測定値に割り当てるための手段を更に含むことを特徴とする請求項38に記載の移動体端末。
【請求項40】
前記第1及び第2時間タグを記憶するための手段を更に含むことを特徴とする請求項38又は請求項39に記載の移動体端末。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2008−539401(P2008−539401A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−508207(P2008−508207)
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【国際出願番号】PCT/EP2006/061797
【国際公開番号】WO2006/114408
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(506254455)ケンブリッジ ポジショニング システムズ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】