説明

移動局ナビゲーション装置および移動局ナビゲーションプログラム

【課題】 衛星用アンテナやFPU用アンテナを搭載したSNG伝送車(移動局)において、通信衛星やFPU基地局の位置関係を視覚的に提示することが可能な移動局ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】 移動局ナビゲーション装置1は、測定装置2から測定情報を入力する測定情報入力手段11と、測定情報と衛星位置情報とに基づいて、通信衛星の方位情報を算出する衛星方位情報算出部13aと、その方位情報により、移動局の位置を仮想の中心位置とした円環状に、通信衛星のアイコンを表示する衛星位置表示部151aと、測定情報と基地局位置情報とに基づいて、中継基地局の方位情報を算出する基地局方位情報算出部13bと、その方位情報により、移動局の位置を仮想の中心位置とした円環状に、中継基地局のアイコンを表示する基地局位置表示部151aと、を備える構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線電波を中継する移動局において、当該移動局の位置を基準として、無線電波の伝送対象の位置を視覚化して提示する移動局ナビゲーション装置および移動局ナビゲーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、緊急災害時等で放送中継を行う場合、中継現場にSNG(Satellite News Gathering)伝送車(移動局)を配置し、SNG伝送車が、通信衛星(または放送衛星)や、FPU(Field Pick-up Unit)基地局に無線電波を伝送することで、映像・音声素材を放送局に中継している。
【0003】
例えば、図9(a)に示すように、SNG伝送車Mは、通信衛星に対して無線電波を伝送する衛星用アンテナ(ANTCS)や、FPU基地局に対して無線電波を伝送するFPU用アンテナ(ANTST)を搭載している。そして、運用者は、通信衛星と衛星用アンテナとの間、および、FPU基地局とFPU用アンテナとの間で、それぞれ無線電波の伝送路を確保するため、衛星用アンテナやFPU用アンテナの方位(水平方位角、仰角等)を調整している。また、FPU用アンテナは、図9(b)に示すように、伸縮ポールに設置され、無線電波の伝送時には、見通し距離を確保するため、伸縮ポールが所定の高さに伸ばされた状態で使用される。
【0004】
また、一般に、通信衛星の伝送路の確保は、運用者が通信衛星の方向をコンパス等によって把握しSNG伝送車に装備されている衛星用アンテナの向きを調整することで行われている。なお、通信衛星から送信されてくる電波を検出し、その方向に送受信アンテナを向けることで、車両等の移動体に搭載されたアンテナの指向または姿勢制御を行う技術が開示されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、FPU基地局の伝送路の確保は、運用者がFPU基地局の位置を地図やコンパス等を利用することで探索し、その探索されたFPU基地局の方向に向けてSNG伝送車に装備されているFPU用アンテナを調整することにより行われている。例えば、カーナビゲーションの地図にFPU基地局の位置を登録しておき、運用者は、その地図の縮尺を表示画面上で変更することで、SNG伝送車に近いFPU基地局を順次探索し、FPU基地局の位置とその方向を確認している。
【特許文献1】特開平7−79112号公報(段落0009〜0024、図1〜3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記した特許文献1に記載の技術では、通信衛星から送信される電波を検出することで、アンテナ(衛星用アンテナ)の向きを制御しているが、FPU基地局からはSNG伝送車に対して電波を送信していないため、本技術を用いて、FPU基地局に向けてFPU用アンテナの向きを制御することはできない。
また、特許文献1に記載の技術では、衛星用アンテナとFPU用アンテナとの配置を考慮していないため、SNG伝送車の向きによっては、FPU用アンテナの伸縮ポールの高さによって、FPU用アンテナと衛星用アンテナとの無線電波において電波干渉が発生してしまうという問題がある。
例えば、図9(b)に示すように、SNG伝送車のFPU用アンテナの伸縮ポールを伸ばした場合、FPU用アンテナの方向に衛星用アンテナを向けると、FPU用アンテナからの無線電波と衛星用アンテナからの無線電波とが電波干渉を起こしてしまう。
【0007】
また、FPU基地局の方向を地図等によって確認する手法では、運用者の土地勘のない場所にSNG伝送車を配置する場合、運用者が地図等によってFPU基地局の位置を検索し、その方向を確認するといった人的作業を行わなければならないため、放送中継を行うまでの調整作業に時間がかかってしまうという問題点がある。
さらに、FPU基地局の方向を地図等によって確認する手法では、運用者は、一括してFPU基地局の位置を把握できないため、運用者が伝送上最適なFPU基地局を探索するには、多くの時間が必要となる。
【0008】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、衛星用アンテナやFPU用アンテナを搭載したSNG伝送車(移動局)において、通信衛星やFPU基地局の方向や、電波干渉が発生する衛星用アンテナとFPU用アンテナとの位置関係を視覚的に提示することが可能な移動局ナビゲーション装置および移動局ナビゲーションプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記目的を達成するために創案されたものであり、まず、請求項1に記載の移動局ナビゲーション装置は、無線電波を中継する移動局の位置および向きを測定する測定装置から出力される測定情報に基づいて、当該移動局の位置を基準として、前記無線電波の伝送対象の位置を視覚化して提示する移動局ナビゲーション装置であって、基地局位置情報記憶手段と、測定情報入力手段と、基地局方位情報算出手段と、基地局位置表示手段とを備える構成とした。
【0010】
かかる構成において、移動局ナビゲーション装置は、基地局位置情報記憶手段に予め中継基地局の緯度、経度、高度等を基地局位置情報として記憶しておく。そして、移動局ナビゲーション装置は、測定情報入力手段によって、測定装置から移動局の緯度、経度、高度、向き等の測定情報を入力する。なお、測定装置として、GPSやジャイロを用いることで、移動局の位置(緯度、経度および高度)や向きを測定することができる。
そして、移動局ナビゲーション装置は、基地局方位情報算出手段によって、測定情報と基地局位置情報とにより、移動局の位置を基準とした中継基地局の方位を示す方位情報を算出する。この方位は、移動局に対する中継基地局の相対的な向きを示すことになる。
そこで、移動局ナビゲーション装置は、基地局位置表示手段によって、表示画面において移動局の位置を仮想の中心位置とした円環上に、中継基地局の位置を示す画像または文字を表示する。
これによって、移動局ナビゲーション装置は、無線電波の伝送対象である中継基地局の位置を視覚化して提示することが可能になる。
【0011】
また、請求項2に記載の移動局ナビゲーション装置は、請求項1に記載の移動局ナビゲーション装置において、表示対象となる中継基地局までの距離を表示条件として設定する対象距離設定手段と、前記測定情報と前記基地局位置情報とに基づいて、前記移動局と前記中継基地局との距離を算出するとともに、当該距離が前記表示条件に合致するか否かを判定する対象基地局距離判定手段とを備え、前記基地局位置表示手段が、前記対象基地局距離判定手段において、前記表示条件に合致すると判定された中継基地局を表示対象とする構成とした。
【0012】
かかる構成において、移動局ナビゲーション装置は、対象距離設定手段によって、中継基地局までの距離を表示条件として設定し、対象基地局距離判定手段によって、表示条件として設定された距離範囲内に中継基地局が存在するか否かを判定する。これによって、基地局位置表示手段が、複数の中継基地局の中から、中継可能な距離範囲に存在する中継基地局のみを表示することが可能になる。
【0013】
さらに、請求項3に記載の移動局ナビゲーション装置は、請求項2に記載の移動局ナビゲーション装置において、標高データを含む地図情報を記憶した地図情報記憶手段を備え、前記対象基地局距離判定手段が、前記標高データと、前記中継基地局のアンテナの高さを示す、前記基地局位置情報に含まれるアンテナ高情報とに基づいた、前記移動局から前記中継基地局までの見通し距離によって、前記表示条件の判定を行う構成とした。
【0014】
かかる構成において、移動局ナビゲーション装置は、地図情報記憶手段に標高データを含む地図情報を記憶しておくことで、移動局と中継基地局との間の距離が、表示条件に合致する場合であっても、山等によって電波障害が発生するか否かを判定することが可能になる。そこで、移動局ナビゲーション装置は、対象基地局距離判定手段が、移動局の標高位置と、中継基地局のアンテナの標高位置とを結んだ直線上に、障害物が存在する場合に見通しができないとして、表示条件に合致しないと判定する。
これによって、移動局ナビゲーション装置は、見通し距離で表示条件に合致する中継基地局の位置のみが表示されることになる。
【0015】
また、請求項4に記載の移動局ナビゲーション装置は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の移動局ナビゲーション装置において、衛星位置情報記憶手段と、衛星方位情報算出手段と、衛星位置表示手段とを備える構成とした。
【0016】
かかる構成において、移動局ナビゲーション装置は、衛星位置情報記憶手段に予め放送・通信衛星の緯度、経度等を衛星位置情報として記憶しておく。そして、移動局ナビゲーション装置は、衛星方位情報算出手段によって、測定情報と衛星位置情報とにより、移動局の位置を基準とした放送・通信衛星の方位を示す方位情報を算出する。この方位は、移動局に対する放送・通信衛星の相対的な向きを示すことになる。
そこで、移動局ナビゲーション装置は、衛星位置表示手段によって、表示画面において移動局の位置を仮想の中心位置とした円環上に、放送・通信衛星の位置を示す画像または文字を表示する。
これによって、移動局ナビゲーション装置は、無線電波の伝送対象である放送・通信衛星の位置を視覚化して提示することが可能になる。
【0017】
さらに、請求項5に記載の移動局ナビゲーション装置は、請求項4に記載の移動局ナビゲーション装置において、干渉領域表示手段を備える構成とした。
【0018】
かかる構成において、移動局ナビゲーション装置は、干渉領域表示手段によって、移動局に備えられ、中継基地局の無線電波を中継する中継用アンテナの影響により、同じく移動局に備えられ、放送・通信衛星の無線電波を中継する衛星用アンテナの電波干渉が発生する領域を、移動局の位置を基準として表示画面上に表示する。この電波干渉が発生する領域は、中継用アンテナを基準とした角度によって表すことができる。なお、この角度は、中継用アンテナの電波放射領域として、中継用アンテナに固有の情報である。そこで、干渉領域表示手段は、予め決められた領域(角度)を電波干渉が発生する領域として表示画面上に表示することとしてもよいし、外部から設定された領域情報に基づいて、電波干渉が発生する領域を表示画面上に表示することとしてもよい。
【0019】
また、請求項6に記載の移動局ナビゲーション装置は、無線電波を中継する移動局の位置および向きを測定する測定装置から出力される測定情報に基づいて、当該移動局の位置を基準として、前記無線電波の伝送対象の位置を視覚化して提示する移動局ナビゲーション装置であって、衛星位置情報記憶手段と、測定情報入力手段と、衛星方位情報算出手段と、衛星位置表示手段とを備える構成とした。
【0020】
かかる構成において、移動局ナビゲーション装置は、衛星位置情報記憶手段に予め放送・通信衛星の緯度、経度等を衛星位置情報として記憶しておく。そして、移動局ナビゲーション装置は、測定情報入力手段によって、測定装置から移動局の緯度、経度、向き等の測定情報を入力する。
そして、移動局ナビゲーション装置は、衛星方位情報算出手段によって、測定情報と衛星位置情報とにより、移動局の位置を基準とした放送・通信衛星の方位を示す方位情報を算出する。この方位は、移動局に対する放送・通信衛星の相対的な向きを示すことになる。
そこで、移動局ナビゲーション装置は、衛星位置表示手段によって、表示画面において移動局の位置を仮想の中心位置とした円環上に、放送・通信衛星の位置を示す画像または文字を表示する。
これによって、移動局ナビゲーション装置は、無線電波の伝送対象である放送・通信衛星の位置を視覚化して提示することが可能になる。
【0021】
さらに、請求項7に記載の移動局ナビゲーションプログラムは、無線電波を中継する移動局の位置および向きを測定する測定装置から出力される測定情報に基づいて、当該移動局の位置を基準として、前記無線電波の伝送対象の位置を視覚化して提示するために、コンピュータを、測定情報入力手段、基地局方位情報算出手段、基地局位置表示手段、衛星方位情報算出手段、衛星位置表示手段として機能させる構成とした。
【0022】
かかる構成において、移動局ナビゲーションプログラムは、測定情報入力手段によって、測定装置から移動局の緯度、経度、向き等の測定情報を入力する。
そして、移動局ナビゲーションプログラムは、基地局方位情報算出手段によって、測定情報と、予め基地局位置情報記憶手段に記憶されている基地局位置情報とに基づいて、移動局の位置を基準とした中継基地局の方位を示す方位情報を算出する。そして、移動局ナビゲーションプログラムは、基地局位置表示手段によって、表示画面において移動局の位置を仮想の中心位置とした円環上に、中継基地局の位置を示す画像または文字を表示する。
【0023】
また、移動局ナビゲーションプログラムは、衛星方位情報算出手段によって、測定情報と、予め衛星位置情報記憶手段に記憶されている衛星位置情報とに基づいて、移動局の位置を基準とした放送・通信衛星の方位を示す方位情報を算出する。そして、移動局ナビゲーションプログラムは、衛星位置表示手段によって、表示画面において移動局の位置を仮想の中心位置とした円環上に、放送・通信衛星の位置を示す画像または文字を表示する。
これによって、移動局ナビゲーションプログラムは、無線電波の伝送対象である中継基地局や放送・通信衛星の位置を視覚化して提示することが可能になる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、以下に示す優れた効果を奏するものである。
請求項1に記載の発明によれば、中継基地局の位置を、表示画面上に一括して提示することができる。これによって、運用者は、土地勘のない場所であっても、素早く中継基地局を探索することができ、迅速に中継基地局への伝送回線を確立することが可能になる。また、本発明は、中継基地局の位置を、円環上に視覚化するため、移動局の移動途中において、運用者は、どの方向に中継基地局が存在するのかを認識することができ、その方向に移動局を素早く移動させることができる。
【0025】
請求項2に記載の発明によれば、中継基地局が複数存在する場合であっても、設定された距離以下に存在する中継基地局のみを表示することができる。これによって、中継の対象とはならない中継基地局を表示対象から外し、中継可能な中継基地局のみを提示することができ、迅速に中継基地局への伝送回線を確立することが可能になる。
【0026】
請求項3に記載の発明によれば、電波見通しが可能な中継基地局のみを表示対象とすることができる。これによって、運用者は、土地勘のない場所や、夜間等の視覚的に周囲の地形が確認しにくい場所であっても、現地点において、電波見通しの可能な中継基地局を把握することができ、迅速に中継基地局への伝送回線を確立することが可能になる
【0027】
請求項4または請求項7に記載の発明によれば、放送・通信衛星の位置を、表示画面上に一括して提示することができる。また、本発明によれば、運用者は、放送・通信衛星の位置と、中継基地局の位置との位置関係を把握することができ、衛星用アンテナと中継用(FPU用)アンテナとを、それぞれ放送・通信衛星、中継基地局の方向に向けることが可能な方向に移動局(SNG伝送車)を停車させることが可能になる。
【0028】
請求項5に記載の発明によれば、中継用アンテナによる衛星用アンテナの電波干渉が発生する領域を提示することができる。これによって、運用者は、確実に衛星用アンテナと中継用アンテナとが相互の干渉しない移動局の向きを把握することができる。
【0029】
請求項6に記載の発明によれば、放送・通信衛星の位置を、表示画面上に一括して提示することができる。これによって、運用者は、土地勘のない場所であっても、放送・通信衛星の方向を把握することができ、衛星用アンテナの調整量が少ない方向に移動局を素早く移動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[移動局ナビゲーション装置の概要]
まず、図1を参照して、移動局ナビゲーション装置の概要について説明する。図1は、本発明に係る移動局ナビゲーション装置の概要を説明するための説明図である。
図1に示すように、移動局ナビゲーション装置1は、SNG伝送車(以下、移動局という)Mに設置された移動局の位置および向きを測定する測定装置2から出力される測定情報に基づいて、移動局の位置を基準として、無線電波の伝送対象である通信衛星または放送衛星(以下、単に通信衛星〔CS〕という)やFPU基地局(以下、中継基地局〔ST〕という)の位置を視覚化して提示するものである。
なお、測定装置2は、自身が存在する緯度、経度および高度を測定するGPS(Global Positioning System)2aや、方向を検知するジャイロ2bを備え、移動局の位置(緯度、経度および標高)と向きを測定するものである。
【0031】
そして、移動局ナビゲーション装置1は、測定情報に基づいて、移動局Mの位置を基準として、通信衛星CSや中継基地局STの方向を把握し、表示画面Gにおいて、移動局Mの位置を仮想の中心位置とした円環上に、通信衛星CSの位置や中継基地局STの位置を示す画像または文字を表示画面Gに表示する。
このとき、移動局ナビゲーション装置1は、運用者から、対象となる中継基地局STまでの距離を入力されることで、指定距離圏内の中継基地局STのみを表示画面Gに表示する。
これによって、運用者は、現在位置において、伝送対象となる通信衛星CSの方向と、条件に合致した中継基地局STとその方向とを一括して視認することができる。
【0032】
また、移動局ナビゲーション装置1は、FPU用アンテナ(ANTST:以下、中継用アンテナ)によって、衛星用アンテナ(ANTCS)から出力される無線電波に電波干渉が発生する領域を、表示画面Gにおいて、干渉領域ARとして図示する。
これによって、運用者は、通信衛星CSの方向が、干渉領域ARに入らないように、SNG伝送車を駐車させることが可能になる。
以下、移動局ナビゲーション装置1の構成および動作について詳細に説明を行う。
【0033】
[移動局ナビゲーション装置の構成]
まず、図2を参照(適宜図1参照)して、移動局ナビゲーション装置の構成について説明する。図2は、本発明に係る移動局ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、移動局ナビゲーション装置1は、測定情報入力手段11と、参照情報記憶手段12と、方位情報算出手段13と、方位情報記憶手段14と、表示制御手段15とを備えている。
【0034】
測定情報入力手段11は、測定装置2から測定情報(位置〔緯度、経度および標高〕、向き)を入力するものである。この測定情報入力手段11は、測定装置2から入力された測定情報を逐次後記する方位情報算出手段13に出力する。
【0035】
参照情報記憶手段(衛星位置情報記憶手段、基地局位置情報記憶手段、地図情報記憶手段)12は、中継基地局および通信衛星の位置を特定するための情報や、中継基地局および通信衛星の位置を表示装置3に表示する際の設定情報を記憶するもので、ハードディスク等の一般的な記憶装置である。
ここでは、参照情報記憶手段12には、衛星位置情報12aと、基地局位置情報12bと、地図情報12cと、設定情報12dとを記憶している。
【0036】
衛星位置情報12aは、通信衛星の位置を特定するための情報であって、通信衛星の経度(静止経度)、ベクトル角(通信衛星の垂直偏波ベクトルと赤道面垂直方向とのなす角)等である。この衛星位置情報12aは、通信衛星を識別する識別情報(例えば、衛星名称)に対応付けて、複数存在する。
なお、この衛星位置情報12aは、予め参照情報記憶手段12に記憶することとしてもよいし、後記する設定画面制御部152の衛星位置設定部152aによって、入力装置4を介して設定することとしてもよい。
【0037】
基地局位置情報12bは、中継基地局の位置を特定するための情報であって、中継基地局の緯度、経度および標高(中継基地局のアンテナ高)等である。この基地局位置情報12bは、中継基地局を識別する識別情報(例えば、基地局名称)に対応付けて、複数存在する。
なお、この基地局位置情報12bは、予め参照情報記憶手段12に記憶することとしてもよいし、後記する設定画面制御部152の基地局位置設定部152bによって、入力装置4を介して設定することとしてもよい。
【0038】
地図情報12cは、少なくとも標高データを含んだ数値標高モデルデータであって、例えば、地図上の50m×50m区画ごとにその区画の緯度、経度および標高の数値を含んだ50mメッシュデータ等である。
【0039】
設定情報12dは、後記する設定画面制御部152において設定される各種情報であって、表示対象となる中継基地局までの距離(対象距離)、見通し可能な基地局のみを表示するか否かを示す情報(見通し可否情報)、干渉領域AR(図1参照)の領域情報(干渉領域情報)等である。なお、これらの各種情報については、設定画面制御部152において、詳細に説明を行うことにする。
あるいは、この設定情報12dには、運用者が表示を行わせたい通信衛星を予め設定しておくこととしてもよい。例えば、中継基地局に、所属する管轄が決められている場合、所定の管轄内の中継基地局のみを表示対象とすることとしてもよい。
【0040】
方位情報算出手段13は、通信衛星および中継基地局のそれぞれが、移動局を中心にどの方向に存在するのかを示す方位角等の方位情報を算出するものである。ここでは、方位情報算出手段13は、衛星方位情報算出部13aと、基地局方位情報算出部13bと、対象基地局距離判定部13cとを備えている。
【0041】
衛星方位情報算出部(衛星方位情報算出手段)13aは、測定情報入力手段11で入力された測定情報と、参照情報記憶手段12に記憶されている衛星位置情報12aとに基づいて、移動局の位置を基準とした通信衛星の方位を示す方位情報を算出するものである。この衛星方位情報算出部13aでは、方位情報として、通信衛星の方位角、仰角および偏波角を算出する。
【0042】
ここで、通信衛星の静止経度をλCS、移動局の経度をλM、移動局の緯度をφM、地球の半径をαe(ここでは、固定値6378.165〔km〕)、地心から通信衛星までの距離をαCS(ここでは、固定値42165〔km〕)、通信衛星の垂直偏波ベクトルと赤道面垂直方向とのなす角(ベクトル角)をαとしたとき、衛星方位情報算出部13aは、方位角(水平方位角)θCSAZ、仰角θCSELおよび偏波角θPOLを、以下の式(1)〜(3)により算出する。
【0043】
【数1】

【0044】
【数2】

【0045】
【数3】

【0046】
なお、通信衛星の静止経度λCS、ベクトル角αは、参照情報記憶手段12に衛星位置情報12aとして記憶されている。また、移動局の経度λMおよび緯度をφMは、測定情報入力手段11で入力された測定情報である。
この式(1)〜(3)で算出された方位情報は、後記する方位情報記憶手段14に現時点における衛星方位情報14aとして記憶される。
【0047】
基地局方位情報算出部(基地局方位情報算出手段)13bは、測定情報入力手段11で入力された測定情報と、参照情報記憶手段12に記憶されている基地局位置情報12bとに基づいて、移動局の位置を基準とした中継基地局の方位を示す方位情報を算出するものである。この基地局方位情報算出部13bは、方位情報として、移動局から見たときの、中継基地局の方位角(水平方位角)、仰角および距離を算出する。
【0048】
ここで、中継基地局の緯度および経度をそれぞれφSTおよびλST、移動局の緯度および経度をそれぞれφMおよびλM、地球の半径をαe(ここでは、固定値6378.165〔km〕)としたとき、基地局方位情報算出部13bは、距離dSTおよび方位角(水平方位角)θSTAZを以下の式(4)および式(5)で算出する。
【0049】
【数4】

【0050】
【数5】

【0051】
また、中継基地局の標高(アンテナ高)をhST、移動局の標高をhM、地球の半径をαe、中継基地局と移動局との距離および地心角度をそれぞれdSTおよびθd(前記式(4)参照)としたとき、基地局方位情報算出部13bは、仰角θSTELを、以下の式(6)により算出する。
【0052】
【数6】

【0053】
なお、中継基地局の緯度φST、経度λSTおよび標高hSTは、参照情報記憶手段12に基地局位置情報12bとして記憶されている。また、移動局の緯度φM、経度λMおよび標高hMは、測定情報入力手段11で入力された測定情報である。
また、基地局方位情報算出部13bは、基地局位置情報12bとして記憶されている中継基地局すべての方位情報を算出するのではなく、参照情報記憶手段12の設定情報12dとして記憶されている条件に合致する中継基地局、例えば、所定の管轄内に含まれる中継基地局(対象基地局)の方位情報のみを算出するものとする。
そして、基地局方位情報算出部13bは、この対象基地局について、前記式(4)〜(6)で算出された方位情報を、対象基地局距離判定部13cに出力する。
【0054】
対象基地局距離判定部(対象基地局距離判定手段)13cは、基地局方位情報算出部13bで算出された中継基地局(対象基地局)の方位情報に基づいて、当該対象基地局までの距離が、設定情報12dとして記憶されている対象距離以内であるかどうかを判定するものである。
この対象基地局距離判定部13cは、基地局方位情報算出部13bで算出された中継基地局(対象基地局)の方位情報における距離が、設定情報12dとして記憶されている対象距離以内となる中継基地局の方位情報を、方位情報記憶手段14に基地局方位情報14bとして記憶する。
【0055】
なお、対象基地局距離判定部13cは、設定情報12dとして記憶されている見通し可否情報に見通し可能な中継基地局のみを表示する旨が設定されている場合、対象距離内であっても見通し不可の中継基地局の方位情報を方位情報記憶手段14に記憶しないこととする。この見通しが可能であるか否かの判定は、地図情報12cを参照し、移動局と中継基地局との間に、移動局の標高または中継基地局の標高(アンテナ高)よりも高い山等の障害が存在するか否かによって判定することができる。
これによって、実際に中継可能な中継基地局のみを選択することが可能になる。
【0056】
方位情報記憶手段14は、現時点における方位情報算出手段13で算出された表示対象となる通信衛星の方位情報(衛星方位情報14a)と、中継基地局の方位情報(基地局方位情報14b)とを記憶するものである。この方位情報記憶手段14は、例えば、揮発性の半導体メモリ等であって、方位情報算出手段13によって書き込まれ、表示制御手段15によって読み出される。
【0057】
表示制御手段15は、表示装置3に出力する表示画面の生成や、入力装置4から入力される入力情報に基づいて、表示画面に表示する各種情報の設定を行うものである。ここでは、表示制御手段15は、メイン画面制御部151と設定画面制御部152とを備えている。
【0058】
メイン画面制御部151は、移動局の位置を仮想の中心位置として、通信衛星や中継基地局の位置を示す表示画面(メイン画面)を生成するものである。このメイン画面制御部151で生成されるメイン画面の画面データは、表示装置3によって、視覚化される。
【0059】
ここで、図3を参照(適宜図2参照)して、メイン画面制御部151が生成するメイン画面の内容について説明する。図3は、メイン画面の一例を示す画面例である。
図3に示すように、メイン画面G1は、位置関係表示領域RAと、方位情報表示領域RBとを含んで構成されている。
【0060】
位置関係表示領域RAは、移動局Mの位置を仮想の中心位置とした衛星表示円CCSや基地局表示円CST上に、それぞれ通信衛星の位置を示すアイコン(画像または文字)である衛星アイコンICSや、中継基地局の位置を示すアイコンである基地局アイコンISTを方位角に対応付けて表示する領域である。
また、ここでは、位置関係表示領域RAに、移動局の中継用アンテナを伸ばすことで、衛星用アンテナから出力される無線電波に電波干渉が発生する領域である干渉領域ARを表示している。
【0061】
方位情報表示領域RBは、通信衛星や中継基地局の詳細な方位情報を表示する領域であって、ここでは、通信衛星の識別情報(衛星名称)、方位情報(水平方位角、仰角および偏波角)や、中継基地局の識別情報(基地局名称)、方位情報(水平方位角、仰角および距離)を表示している。
なお、方位情報表示領域RBには、通信衛星および中継基地局ごとに、選択ボタンBを表示し、その選択ボタンBをマウス等の入力装置4で選択されることで、それぞれ選択された1つの通信衛星および中継基地局の方位情報を表示する。
また、通信衛星および中継基地局を選択されることで、位置関係表示領域RAの対応する通信衛星および中継基地局のアイコンの色等を変更することとする。
【0062】
この位置関係表示領域RAに示すように、通信衛星や中継基地局の位置を、移動局を中心した円(または楕円)上に配置することで、運用者は、通信衛星や中継基地局の位置関係を把握することができる。また、干渉領域ARを表示することで、運用者は、通信衛星の方向が干渉領域ARに入らないように、移動局を配置することができる。
【0063】
また、方位情報表示領域RBに示すように、選択された通信衛星や中継基地局の方位情報の内容を表示することで、運用者は、衛星用アンテナや中継用アンテナの方向調整を素早く行うことが可能になる。
なお、図3においては、測定装置2の状態、例えば、測定装置2と当該移動局ナビゲーション装置1との通信状態(図中〔通信〕)、あるいは、測定装置2から出力されるジャイロの方位精度(図中〔GYRO〕)、GPSの測位状態(図中〔GPS〕)等を表示することとしている。
【0064】
図2に戻って(適宜図3を参照)、移動局ナビゲーション装置1の構成について説明を続ける。
ここでは、メイン画面制御部151は、衛星位置表示部151aと、基地局位置表示部151bと、干渉領域表示部151cとを備えている。
【0065】
衛星位置表示部(衛星位置表示手段)151aは、方位情報算出手段13で算出された通信衛星の方位情報(方位情報記憶手段14に記憶されている衛星方位情報14a)に基づいて、表示画面(メイン画面G1)において移動局の位置を仮想の中心位置とした円環上に、通信衛星の位置を示す衛星アイコンICS(画像または文字)を表示するものである。なお、衛星位置表示部151aは、方位情報のうち、方位角に基づいて、衛星表示円CCS上の位置を算出し、その位置に衛星アイコンICSを表示する。
【0066】
さらに、衛星位置表示部151aは、予め定めた通信衛星の識別情報(衛星名称)、方位情報(水平方位角、仰角および偏波角)を、表示画面(メイン画面G1)の方位情報表示領域RBに表示し、選択ボタンBが押下されるたびに、順次(例えば、識別情報の順番)、方位情報表示領域RBに、選択された通信衛星の方位情報を表示する。
【0067】
基地局位置表示部(基地局位置表示手段)151bは、方位情報算出手段13で算出された中継基地局の方位情報(方位情報記憶手段14に記憶されている基地局方位情報14b)に基づいて、表示画面(メイン画面G1)において移動局の位置を仮想の中心位置とした円環上に、中継基地局の位置を示す基地局アイコンIST(画像または文字)を表示するものである。なお、基地局位置表示部151bは、方位情報のうち、方位角に基づいて、基地局表示円CST上の位置を算出し、その位置に基地局アイコンISTを表示する。
【0068】
さらに、基地局位置表示部151bは、予め定めた中継基地局の識別情報(基地局名称)、方位情報(水平方位角、仰角および距離)を、表示画面(メイン画面G1)の方位情報表示領域RBに表示し、選択ボタンBが押下されるたびに、順次(例えば、識別情報の順番)、方位情報表示領域RBに、選択された中継基地局の方位情報を表示する。
【0069】
干渉領域表示部(干渉領域表示手段)151cは、参照情報記憶手段12に設定情報12dとして記憶されている干渉領域の領域情報に基づいて、表示画面(メイン画面G1)において、干渉領域を表示するものである。例えば、干渉領域の領域情報として、扇の中心点を示す座標(X座標、Y座標)と、扇の角度(開始角度、終了角度)を設定しておくことで、干渉領域表示部151cは、表示画面に扇型の干渉領域を描画し、干渉領域を視覚化する。
【0070】
設定画面制御部152は、表示画面上に通信衛星や中継基地局の位置を表示する際の各種の設定を行う設定画面を生成および表示し、運用者からの設定情報を入力するものである。ここでは、設定画面制御部152は、衛星位置設定部152a、基地局位置設定部152b、対象距離設定部152cと、干渉領域設定部152dとを備えている。
【0071】
衛星位置設定部152aは、参照情報記憶手段12に記憶される衛星位置情報12aを設定するものである。例えば、衛星位置設定部152aは、図4に示すような衛星位置設定画面G2を生成し、表示装置3に出力する。ここでは、衛星位置設定画面G2は、通信衛星の「表示有無」、「名称」、「静止経度」および「ベクトル角」を入力させる画面としている。なお、「表示有無」は、表示画面に通信衛星の位置を表示させるか否かを示す情報を示す。この「表示有無」に、例えば、○印を設定されることで、衛星位置設定部152aは、設定情報12dに当該通信衛星が表示対象である旨を設定する。
【0072】
基地局位置設定部152bは、参照情報記憶手段12に記憶される基地局位置情報12bを設定するものである。例えば、基地局位置設定部152bは、図5に示すような基地局位置設定画面G3を生成し、表示装置3に出力する。ここでは、基地局位置設定画面G3は、中継基地局の「表示有無」、「順位」、「名称」、「管轄名」、「緯度」、「経度」および「標高」を入力させる画面としている。
なお、「表示有無」は、表示画面に中継基地局の位置を表示させるか否かを示す情報を示す。この「表示有無」に、例えば、○印を設定されることで、基地局位置設定部152bは、設定情報12dに当該中継基地局が表示対象である旨を設定する。
また、「順位」は、表示画面において表示する順番を示し、例えば、図3で説明したメイン画面G1における方位情報表示領域RBに表する順番を示すものである。
【0073】
対象距離設定部152cは、参照情報記憶手段12に記憶される設定情報12dにおける、中継基地局の表示条件である対象距離を設定するものである。例えば、対象距離設定部152cは、図6に示すような対象距離設定画面G4を生成し、表示装置3に出力する。ここでは、対象距離設定画面G4は、対象距離と、見通し可能な中継基地局のみを表示するか否かを示す見通し可否情報とを入力させる画面としている。
なお、ここでは、対象距離を示すボタンSBをマウス等で選択されることで、対象距離以内の中継基地局が表示対象となる。また、チェック領域CBをマウス等でチェックすることで、見通し可能な中継基地局のみが表示対象となる。
【0074】
干渉領域設定部152dは、参照情報記憶手段12に記憶される設定情報12dにおける干渉領域を設定するものである。例えば、干渉領域設定部152dは、図7に示すような干渉領域設定画面G5を生成し、表示装置3に出力する。ここでは、干渉領域設定画面G5は、扇の中心点を示す座標(X座標、Y座標)と、扇の角度(開始角度、終了角度)と、扇の濃度(256階調)とを入力させる画面としている。
【0075】
以上、移動局ナビゲーション装置1の構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。ここでは、通信衛星と中継基地局との両方の位置を表示画面に表示することとしたが、衛星用アンテナまたは中継用アンテナのいずれか一方のみが移動局に搭載されている場合は、通信衛星と中継基地局とのいずれか一方の位置および方位情報を表示することとしてもよい。また、干渉領域以外に、衛星用アンテナの向きが調整できない範囲を非伝送領域として、表示画面上に表示することとしてもよい。
また、移動局ナビゲーション装置1は、一般的なコンピュータを、前記した各手段として機能させるプログラムで実現することができる。このプログラム(移動局ナビゲーションプログラム)は、通信回線を介して配布することも可能であるし、CD−ROM等の記録媒体に書き込んで配布することも可能である。
【0076】
以上説明したように、移動局ナビゲーション装置1を、移動局(SNG伝送車)に配備することで、通信衛星や中継基地局の方向や、電波干渉が発生する衛星用アンテナと中継用アンテナとの位置関係を、運用者に対して、視覚化して提示することができる。
これによって、運用者は、移動局を最適な位置および方向に配置し、素早く衛星用アンテナおよび中継用アンテナの方位調整を行うことができる。
【0077】
[移動局ナビゲーション装置の動作]
次に、図8を参照(適宜図2参照)して、移動局ナビゲーション装置の動作について説明する。図8は、本発明に係る移動局ナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。なお、ここでは、設定画面制御部152によって、すでに参照情報記憶手段12に各種情報が設定された後の動作について説明を行うこととする。
【0078】
(測定情報入力ステップ)
まず、移動局ナビゲーション装置1は、測定情報入力手段11によって、測定情報入力ステップとして、測定装置2から、測定情報(位置〔緯度、経度および標高〕、向き)を入力する(ステップS1)。
【0079】
(方位情報算出ステップ)
そして、移動局ナビゲーション装置1は、方位情報算出ステップとして、方位情報算出手段13の衛星方位情報算出部13aによって、ステップS1で入力された測定情報と、参照情報記憶手段12に記憶されている衛星位置情報12aとに基づいて、移動局の位置を基準とした通信衛星の方位情報(方位角、仰角および偏波角)を算出し(ステップS2)、方位情報記憶手段14に衛星方位情報14aとして記憶する(ステップS3)。
【0080】
また、移動局ナビゲーション装置1は、方位情報算出手段13の基地局方位情報算出部13bによって、ステップS1で入力された測定情報と、参照情報記憶手段12に記憶されている基地局位置情報12bとに基づいて、移動局の位置を基準とした中継基地局の方位情報(方位角、仰角および距離)を算出する(ステップS4)。
さらに、移動局ナビゲーション装置1は、対象基地局距離判定部13cによって、参照情報記憶手段12に記憶されている設定情報12dに含まれる対象距離や見通し可否の条件に合致する中継基地局を選択し(ステップS5)、その選択された中継基地局の方位情報を、方位情報記憶手段14に基地局方位情報14bとして記憶する(ステップS6)。
なお、この方位情報算出ステップは、ステップS2およびS3と、ステップS4〜S6との順序を逆にして、先に中継基地局の方位情報を算出することとしてもよい。
【0081】
(位置表示ステップ)
そして、移動局ナビゲーション装置1は、位置表示ステップとして、メイン画面制御部151の衛星位置表示部151aによって、方位情報記憶手段14に記憶されている衛星方位情報14aを参照して、表示画面において移動局の位置を仮想の中心位置とした円環上に、通信衛星の位置を示す衛星アイコン(画像または文字)を表示する(ステップS7)。
また、移動局ナビゲーション装置1は、メイン画面制御部151の基地局位置表示部151bによって、方位情報記憶手段14に記憶されている基地局方位情報14bを参照して、表示画面において移動局の位置を仮想の中心位置とした円環上に、中継基地局の位置を示す基地局アイコン(画像または文字)を表示する(ステップS8)。
【0082】
さらに、移動局ナビゲーション装置1は、干渉領域表示部151cによって、参照情報記憶手段12に設定情報12dとして記憶されている干渉領域の領域情報に基づいて、表示画面において、干渉領域を表示する(ステップS9)。
なお、この位置表示ステップにおけるステップS7、S8およびS9の順番は、これに限定されるものではなく、どの順番で行ってもよい。
そして、移動局ナビゲーション装置1は、ステップS1に戻って動作を続ける。
これによって、移動局の移動途中に逐次、運用者は、移動局に対する、通信衛星や中継基地局の位置を把握することができ、土地勘のない場所であっても、移動局の停止位置や移動方向を視覚的に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明に係る移動局ナビゲーション装置の概要を説明するための説明図である。
【図2】本発明に係る移動局ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る移動局ナビゲーション装置が出力して表示されたメイン画面の一例を示す画面例である。
【図4】本発明に係る移動局ナビゲーション装置が出力して表示された衛星位置設定画面の一例を示す画面例である。
【図5】本発明に係る移動局ナビゲーション装置が出力して表示された基地局位置設定画面の一例を示す画面例である。
【図6】本発明に係る移動局ナビゲーション装置が出力して表示された対象距離設定画面の一例を示す画面例である。
【図7】本発明に係る移動局ナビゲーション装置が出力して表示された干渉領域設定画面の一例を示す画面例である。
【図8】本発明に係る移動局ナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】SNG伝送車(移動局)の外観と、そのアンテナの状態を示す外観図であって、(a)は通常状態(走行状態)におけるアンテナの状態、(b)は中継運用時におけるアンテナの状態を示している。
【符号の説明】
【0084】
1 移動局ナビゲーション装置
11 測定情報入力手段
12 参照情報記憶手段
(衛星位置情報記憶手段、基地局位置情報記憶手段、地図情報記憶手段)
12a 衛星位置情報
12b 基地局位置情報
12c 地図情報
12d 設定情報
13 方位情報算出手段
13a 衛星方位情報算出部(衛星方位情報算出手段)
13b 基地局方位情報算出部(基地局方位情報算出手段)
13c 対象基地局距離判定部(対象基地局距離判定手段)
14 方位情報記憶手段
14a 衛星方位情報
14b 基地局方位情報
15 表示制御手段
151 メイン画面制御部
151a 衛星位置表示部
151b 基地局位置表示部
151c 干渉領域表示部
152 設定画面制御部
152a 衛星位置設定部
152b 基地局位置設定部
152c 対象距離設定部
152d 干渉領域設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線電波を中継する移動局の位置および向きを測定する測定装置から出力される測定情報に基づいて、当該移動局の位置を基準として、前記無線電波の伝送対象の位置を視覚化して提示する移動局ナビゲーション装置であって、
前記伝送対象として中継基地局の位置を示す基地局位置情報を記憶した基地局位置情報記憶手段と、
前記測定装置から測定情報を入力する測定情報入力手段と、
この測定情報入力手段で入力された測定情報と、前記基地局位置情報記憶手段に記憶されている基地局位置情報とに基づいて、前記移動局の位置を基準とした前記中継基地局の方位を示す方位情報を算出する基地局方位情報算出手段と、
この基地局方位情報算出手段で算出された方位情報に基づいて、表示画面において、前記移動局の位置を仮想の中心位置とした円環上に、前記中継基地局の位置を示す画像または文字を表示する基地局位置表示手段と、
を備えていることを特徴とする移動局ナビゲーション装置。
【請求項2】
表示対象となる中継基地局までの距離を表示条件として設定する対象距離設定手段と、
前記測定情報と前記基地局位置情報とに基づいて、前記移動局と前記中継基地局との距離を算出するとともに、当該距離が前記対象距離設定手段で設定された表示条件に合致するか否かを判定する対象基地局距離判定手段とを備え、
前記基地局位置表示手段は、前記対象基地局距離判定手段において、前記表示条件に合致すると判定された中継基地局を表示対象とすることを特徴とする請求項1に記載の移動局ナビゲーション装置。
【請求項3】
標高データを含む地図情報を記憶した地図情報記憶手段を備え、
前記対象基地局距離判定手段は、前記標高データと、前記中継基地局のアンテナの高さを示す、前記基地局位置情報に含まれるアンテナ高情報とに基づいた、前記移動局から前記中継基地局までの見通し距離によって、前記表示条件の判定を行うことを特徴とする請求項2に記載の移動局ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記伝送対象として放送・通信衛星の位置を示す衛星位置情報を記憶した衛星位置情報記憶手段と、
前記測定情報入力手段で入力された測定情報と、前記衛星位置情報記憶手段に記憶されている衛星位置情報とに基づいて、前記移動局の位置を基準とした前記放送・通信衛星の方位を示す方位情報を算出する衛星方位情報算出手段と、
この衛星方位情報算出手段で算出された方位情報に基づいて、前記表示画面において、前記移動局の位置を仮想の中心位置とした円環上に、前記放送・通信衛星の位置を示す画像または文字を表示する衛星位置表示手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の移動局ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記移動局に備えられ、前記中継基地局の無線電波を中継する中継用アンテナによって、前記移動局に備えられ、前記放送・通信衛星の無線電波を中継する衛星用アンテナの電波干渉が発生する領域を、前記表示画面において、前記移動局の位置を基準として表示する干渉領域表示手段を備えていることを特徴とする請求項4に記載の移動局ナビゲーション装置。
【請求項6】
無線電波を中継する移動局の位置および向きを測定する測定装置から出力される測定情報に基づいて、当該移動局の位置を基準として、前記無線電波の伝送対象の位置を視覚化して提示する移動局ナビゲーション装置であって、
前記伝送対象として放送・通信衛星の位置を示す衛星位置情報を記憶した衛星位置情報記憶手段と、
前記測定装置から測定情報を入力する測定情報入力手段と、
前記測定情報入力手段で入力された測定情報と、前記衛星位置情報記憶手段に記憶されている衛星位置情報とに基づいて、前記移動局の位置を基準とした前記放送・通信衛星の方位を示す方位情報を算出する衛星方位情報算出手段と、
この衛星方位情報算出手段で算出された方位情報に基づいて、前記表示画面において、前記移動局の位置を仮想の中心位置とした円環上に、前記放送・通信衛星の位置を示す画像または文字を表示する衛星位置表示手段と、
を備えていることを特徴とする移動局ナビゲーション装置。
【請求項7】
無線電波を中継する移動局の位置および向きを測定する測定装置から出力される測定情報に基づいて、当該移動局の位置を基準として、前記無線電波の伝送対象の位置を視覚化して提示するために、コンピュータを、
前記測定装置から測定情報を入力する測定情報入力手段、
この測定情報入力手段で入力された測定情報と、前記伝送対象の一つである中継基地局の位置を示す、予め基地局位置情報記憶手段に記憶されている基地局位置情報とに基づいて、前記移動局の位置を基準とした前記中継基地局の方位を示す方位情報を算出する基地局方位情報算出手段、
この基地局方位情報算出手段で算出された方位情報に基づいて、表示画面において前記移動局の位置を仮想の中心位置とした円環上に、前記中継基地局の位置を示す画像または文字を表示する基地局位置表示手段、
前記測定情報入力手段で入力された測定情報と、前記伝送対象の一つである放送・通信衛星の位置を示す、予め衛星位置情報記憶手段に記憶されている衛星位置情報とに基づいて、前記移動局の位置を基準とした前記放送・通信衛星の方位を示す方位情報を算出する衛星方位情報算出手段、
この衛星方位情報算出手段で算出された方位情報に基づいて、前記表示画面において前記移動局の位置を仮想の中心位置とした円環上に、前記放送・通信衛星の位置を示す画像または文字を表示する衛星位置表示手段、
として機能させることを特徴とする移動局ナビゲーションプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−13236(P2007−13236A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−187574(P2005−187574)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】