説明

移動通信端末装置、その動作制御方法及びそのプログラム

【課題】 好適に消費電力を低減させることが可能な移動通信端末装置を提供する。
【解決手段】 ベースバンド処理部3と、ベースバンド処理部3に電源供給する電源供給手段11と、移動通信端末装置100が圏外状態であるか否かを検出する圏外検出手段4とを備える。電源供給手段11からベースバンド処理部3に対する電源供給をオン/オフ制御する電源制御手段10を備える。電源制御手段10は、圏外検出手段4により圏外であると検出される状態の継続時間が所定時間以上となった場合に、電源供給手段11によるベースバンド処理部3への電源供給をオフ状態にさせる。これにより移動通信端末装置100の通信機能を自動的に停止させ、消費電力を低減させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信端末装置、その動作制御方法及びその動作制御方法を実行させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話装置或いはその他の移動通信端末装置では、所定時間間隔毎にセルサーチ動作を行うようになっており、通話や電子メールの送受信などを行わないときであっても、通信機能により電力が消費されている。
【0003】
また、セルサーチ動作による消費電力は、受信レベルが弱い場所に移動通信端末装置が位置しているときの方が大きい。
【0004】
このため、例えば、地下、スキー場、海外などのように、基地局の電波が長時間届かないところでは、移動通信端末装置の消費電力量が大きいためにすぐに電池を使い切ってしまい、基地局の電波の圏内に戻った場合に電池切れとなることがよくある。
【0005】
このような問題に鑑みなされた従来の技術としては、例えば、所定の操作をすることによって通信機能を停止させ、消費電力を抑える機能を有する携帯電話装置がある(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平11−308163号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術では、通信機能を停止させるには使用者が操作を行わなければならないため、その操作が面倒であるという問題や、使用者の認知が十分でないためにその機能が使用されないといった問題があるため、消費電力の低減効果が十分ではなかった。
【0007】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、好適に消費電力を低減させることが可能な移動通信端末装置、その動作制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の移動通信端末装置は、ベースバンド処理を行うベースバンド処理部と、前記ベースバンド処理部に電源供給する電源供給手段と、を備える移動通信端末装置において、当該移動通信端末装置が圏外状態であるか否かを検出する圏外検出手段と、前記電源供給手段から前記ベースバンド処理部に対する電源供給をオン/オフ制御する電源制御手段と、を備え、前記電源制御手段は、前記圏外検出手段により圏外であると検出される状態の継続時間が所定時間以上となった場合に、前記電源供給手段による前記ベースバンド処理部への電源供給をオフ状態にさせることにより、当該移動通信端末装置の通信機能を停止させることを特徴としている。
【0009】
本発明の移動通信端末装置においては、前記電源制御手段は、当該移動通信端末装置の通信機能が停止されている状態時に、前記電源供給手段による前記ベースバンド処理部への電源供給を第2の所定時間毎に再開させることにより通信機能を復帰させ、該復帰させた際の前記圏外検出手段による検出結果が圏内である場合には前記ベースバンド処理部への電源供給を継続させる一方で、該検出結果が圏外である場合には再び前記ベースバンド処理部への電源供給をオフ状態にさせることが好ましい。
【0010】
本発明の移動通信端末装置においては、使用者による操作を受け付ける入力手段を備え、当該移動通信端末装置の通信機能が停止されている状態時に、前記入力手段に対し所定の操作がなされた場合には、前記電源制御手段は、前記ベースバンド処理部への電源供給を再開させることが好ましい。
【0011】
本発明の移動通信端末装置においては、前記所定の操作に基づき前記ベースバンド処理部への電源供給を再開させた後で、当該操作に応じた動作を実行することが好ましい。
【0012】
本発明の移動通信端末装置においては、前記電源制御手段は、前記圏外検出手段により圏外であると検出される状態の継続時間が第3の所定時間以上となった場合に、当該移動通信端末装置の電源を遮断することが好ましい。
【0013】
本発明の移動通信端末装置においては、前記所定時間、前記第2の所定時間、前記第3の所定時間の長さをそれぞれユーザの操作により任意に設定可能であることが好ましい。
【0014】
本発明の移動通信端末装置の動作制御方法は、ベースバンド処理を行うベースバンド処理部と、前記ベースバンド処理部に電源供給する電源供給手段と、を備える移動通信端末装置の動作制御を行う方法において、前記移動通信端末装置が圏外状態であるか否かを検出する第1の過程と、前記第1の過程により圏外であると検出される状態の継続時間を計時する第2の過程と、前記第2の過程による計時結果が所定時間以上となった場合に、前記電源供給手段による前記ベースバンド処理部への電源供給をオフ状態にさせることにより、前記移動通信端末装置の通信機能を停止させる第3の過程と、を備えることを特徴としている。
【0015】
本発明の移動通信端末装置の動作制御方法においては、前記第3の過程により通信機能が停止されている状態時に、第2の所定時間毎に前記ベースバンド処理部への電源供給を再開させることにより通信機能を回復させる第4の過程と、前記第4の過程により通信機能が回復された際の前記圏外検出手段による検出結果が圏内である場合には前記ベースバンド処理部への電源供給を継続させる一方で、該検出結果が圏外である場合には再び前記ベースバンド処理部への電源供給をオフ状態にさせる第5の過程と、を備えることが好ましい。
【0016】
本発明の移動通信端末装置の動作制御方法においては、前記第3の過程により通信機能が停止されている状態時に、前記移動通信端末装置に対して所定の操作がなされた場合には、前記ベースバンド処理部への電源供給を再開させる第6の過程を行うことが好ましい。
【0017】
本発明の移動通信端末装置の動作制御方法においては、前記所定の操作に基づき前記ベースバンド処理部への電源供給を再開させた後で、当該操作に応じた動作を実行する第7の過程を備えることが好ましい。
【0018】
本発明の移動通信端末装置の動作制御方法においては、前記第2の過程により圏外であると検出される状態の継続時間が第3の所定時間以上となった場合に、当該移動通信端末装置の電源を遮断する第8の過程を備えることが好ましい。
【0019】
本発明の移動通信端末装置の動作制御方法においては、前記所定時間、前記第2の所定時間、前記第3の所定時間の長さをそれぞれユーザの操作に応じた長さに設定する第9、第10、第11の過程を備えることが好ましい。
【0020】
また、本発明のプログラムは、本発明の移動通信端末装置の動作制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、圏外であると検出される状態の継続時間が所定時間以上となった場合に、ベースバンド処理部への電源供給を停止させることにより移動通信端末装置の通信機能を自動的に停止させることができる。よって、使用者が通信機能の停止操作を行わなくても、好適に、移動通信端末装置の消費電力を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態について説明する。
【0023】
〔第1の実施形態〕
図1は本発明の実施形態に係る携帯電話装置(移動通信端末装置)100の構成を示すブロック図である。
【0024】
図1に示すように、本実施形態に係る携帯電話装置100は、無線信号の送受信を行うアンテナ1と、送信データを無線信号に変換し、受信した無線信号をデータに変換する無線部2と、送信音声データを特定のデータ列に変換して無線部2に出力し、無線部2からの受信データ列を音声データに変換するベースバンド処理を行うベースバンド処理部3と、装置全体の制御をプログラムコードに基づいて行う中央処理装置(CPU:圏外検出手段として機能する)4と、この中央処理装置4のプログラムコードや電話帳データを記憶する記憶部5と、使用者による操作の入力を受け付ける入力部(入力手段)6と、中央処理装置4の制御下で電話番号などのデータの表示やアンテナバー表示を行う表示部7と、音響信号(音声)を音声電気信号に変換するマイク8と、音声電気信号を音響信号に変換するスピーカ9と、各構成部分への電力供給を制御する電源制御部(電源制御手段)10と、電力源としてのバッテリ(電源供給手段)11と、を備えて構成されている。
【0025】
なお、図1において、実線は電気信号線を示しており、破線は電源制御部12から電気回路の各構成部分に電源を供給する電源線を示している。
【0026】
電源線としては、無線部2に電源供給する無線部用電源線20、ベースバンド処理部3に電源供給するベースバンド処理部用電源線21、中央処理装置4に電源供給する中央処理装置用電源線22、記憶部5に電源供給する記憶部用電源線23、入力部6に電源供給する入力部用電源線24、表示部7に電源供給する表示部用電源線25などがある。
【0027】
中央処理装置4は、無線部2、ベースバンド処理部3及びアンテナ1を介して、エリアをカバーする基地局との間で通信用接続情報のやり取りを定期的に行っており、着信や発信などの要求に応えられるようにしている。
【0028】
通信用接続情報としては、無線チャネルの設定、維持、切り替えなどを行う無線管理機能、位置登録、認証を行う移動管理機能、発呼切断などの呼制御機能を実現するために用いられる情報があり、携帯電話装置と基地局との間で制御信号シーケンスを用いて定期的に交信される。
【0029】
また、中央処理装置4は基地局から送信される信号をベースバンド処理部3から受信し、受信した信号の強度を測定する。
【0030】
そして中央処理装置4は受信した信号強度に対応したアンテナバー表示を記憶部5から取得し、表示部7に表示する。
【0031】
ここで、図2はアンテナバー表示を示す図であり、受信強度が強い順に図2(a)、図2(b)、図2(c)、図2(d)の表示を行う。
【0032】
なお、図2(d)では基地局からの信号の強度が低く、携帯電話装置がサービス圏外であることを示す。
【0033】
つまり、中央処理装置4は、受信した信号強度に基づき携帯電話装置100が圏外であるか否かを検出する圏外検出手段としての機能を備え、圏外であると検出した場合には、表示部7に圏外マークとして図2(d)の表示を行わせる。
【0034】
また、図2(e)は本実施形態に係る携帯電話装置の特徴である通信機能自動停止状態を示すアンテナバー表示であり、通信機能自動停止状態のときにアンテナバー表示は図2(e)の表示に切り替わる。
【0035】
このうち中央処理装置4は、タイマー部12を備えている。このタイマー部12は、圏外である状態の継続時間、又は、通信機能が自動停止されている状態の継続時間を測定する。
【0036】
すなわち、中央処理装置4は、受信した信号の強度がサービス圏外のしきい値を下回っており、圏外であると判定した場合には、タイマー部12に計時動作を開始させる。
【0037】
以後、中央処理装置4は、受信した信号の強度がサービス圏外のしきい値を上回ることにより圏内であると判定するか、或いは、タイマー部12による計時結果が時間(所定時間)T1(例えば、1時間)となるまで該計時結果を監視する。
【0038】
タイマー部12による計時結果が所定時間T1となる以前に圏内となった場合には、中央処理装置4は、タイマー部12による計時結果を初期化して「0」にする。
【0039】
他方、圏外のままでタイマー部12による計時結果が所定時間T1となった場合には、中央処理装置4は、通信機能の自動停止処理を行う。すなわち、中央処理装置4は、電源制御部10に指令を送信し、バッテリ11からベースバンド処理部3及び無線部2への電源供給を停止(オフに)させることにより、通信機能の自動停止処理を行う。
【0040】
また、中央処理装置4は、通信機能の自動停止処理を行ったタイミングで、タイマー部12による計時結果を初期化して「0」にし、再び、タイマー部12による計時動作を開始させる。
【0041】
以後、中央処理装置4は、タイマー部12による計時結果が時間(第2の所定時間)T2(例えば、1時間)となるまで該計時結果を監視する。
【0042】
タイマー部12による計時結果が所定時間T2となった場合には、中央処理装置4は、通信機能を一時的に復帰させる処理を行う。すなわち、中央処理装置4は、電源制御部10に指令を送信し、バッテリ11からベースバンド処理部3及び無線部2への電源供給を再開(オンに)させることにより、通信機能を一時的に復帰させる。
【0043】
更に、中央処理装置4は、通信機能を一時的に復帰させた際の状態が圏外であるか否かを判定し、圏内であると判定した場合にはバッテリ11からベースバンド処理部3及び無線部2への電源供給を継続(オンのままに)させる一方で、圏外であると判定した場合には、再び、電源制御部10に指令を送信し、ベースバンド処理部3及び無線部2への電源供給を停止(オフに)させる。
【0044】
通信機能が自動停止状態となっている間は、以後同様に、タイマー部12による計時結果が所定時間T2となる度に、通信機能を一時的に復帰させて圏外か否かを判定し、圏内であれば電源供給を継続させる一方で、圏外であれば再び電源供給を停止させる。
【0045】
なお、上記の所定時間T1,T2の長さを示すデータは、記憶部5に記憶保持されている。
【0046】
入力部6は、数字などを入力操作するための基本機能キー(ダイヤルに相当)と、発呼、オフフック、オンフックなどの特定機能の入力操作用として複数の特定機能キーと、を備えている。
【0047】
図3は携帯電話装置100の通信機能オン/オフモードの切り替え動作を示したフローチャートである。
【0048】
以下、このフローチャートに従って動作を説明する。
【0049】
電源オンの操作がなされた場合(ステップS1のYes)、中央処理装置4は電源制御部10に対して無線部2及びベースバンド処理部3への電力供給を開始させる制御を行う。
【0050】
すると、電源制御部10より、無線部2、ベースバンド処理部3に電力が供給されることにより通信機能がオンとなり(ステップS2)、回線との発信や着信、メールなどの送受信が可能となる。
【0051】
また、通信機能オンとなると中央処理装置4は受信した信号強度に対応したアンテナバー表示(図2(a)、(b)、(c)、(d)の何れか)を記憶部5から取得し、表示部7に表示する。
【0052】
他方、電源オンの操作がなされていない状態(ステップS1のNo)では、電源オンの操作がなされるまでステップS1の判定動作を繰り返し行う。
【0053】
ステップS2に続いては、中央処理装置4はタイマー部12による計時結果に基づき、連続して1時間以上圏外であるか否かの判定を行う(ステップS3)。
【0054】
連続して1時間以上圏外である場合(ステップS3のYes)、中央処理装置4は、電源制御部10に対して無線部2及びベースバンド処理部3への電力供給を停止させる制御を行う。
【0055】
すると、無線部2、ベースバンド処理部3は電力の供給がなくなり動作しなくなるので、通信機能が停止する(ステップS4)。
【0056】
このように通信機能を自動で停止した場合、中央処理装置4は、AUTOSELFと書かれたマーク(図2(e))を記憶部5から取得し、表示部7に表示させる。
【0057】
これにより自動で通信動作を停止していることが一目でわかるようにする。
【0058】
また、このときタイマー部12による計時時間を示すカウンタを初期化して「0」とする。
【0059】
また、連続して1時間以上圏外ではない場合(ステップS3のNo)は、中央処理装置4は、連続して1時間以上圏外であるか否かの判定を継続する。
【0060】
また、上記のように通信機能を自動的にオフした場合(ステップS4)、タイマー部12は通信機能オフしてからの経過時間を測定し、中央処理装置4は、その計時結果が所定時間(例えば1時間)以上となるか否かの判定を行う(ステップS5)。
【0061】
通信機能オフしてから1時間以上経過していない場合(ステップS5のNo)、中央処理装置4は、ステップS5の判定を繰り返し行う。
【0062】
通信機能オフしてから1時間以上経過した場合(ステップS5のYes)、中央処理装置4は、電源制御部10に対して無線部2及びベースバンド処理部3への電力供給を一時的に復帰(再開)させる制御を行う。
【0063】
中央処理装置4は基地局から送信される信号をベースバンド処理部3から受信し、受信した信号の強度を測定する。通信機能を回復した場合、表示部7に表示しているAUTOSELFのマーク(図2(e))から図2(a)〜(d)の何れかに表示を切り替え、通信機能が動作していることが一目でわかるようにする(ステップS6)。
【0064】
更に、中央処理装置4は、携帯電話装置100がサービス圏外であるか否かを判定する(ステップS7)。
【0065】
圏外であった場合(ステップS7のYes)、中央処理装置4は電源制御部10に対して無線部2及びベースバンド処理部3への電力供給を停止させる制御を行う。この結果、無線部2、ベースバンド処理部3は電力の供給がなくなり動作しなくなり、再び通信停止状態となる(ステップS4)。
【0066】
圏外でなかった場合(ステップS7のNo)、中央処理装置4はタイマー部12による計時結果が連続1時間圏外である旨を示すか否かの判定を行う(ステップS3)。
【0067】
以上のような第1の実施形態によれば、圏外であると検出される状態の継続時間が所定時間T1以上となった場合に、ベースバンド処理部3及び無線部2への電源供給を停止させることにより携帯電話装置100の通信機能を自動的に停止させることができる。よって、使用者が通信機能の停止操作を行わなくても、好適に、携帯電話装置100の消費電力を低減させることができる。
【0068】
また、通信機能が停止されている状態時に、ベースバンド処理部3及び無線部2への電源供給を所定時間T2に再開させることにより通信機能を復帰させ、該復帰させた際の状態が圏内である場合にはベースバンド処理部3及び無線部2への電源供給を継続させる一方で、圏外である場合には再びベースバンド処理部3及び無線部2への電源供給をオフ状態にさせるので、携帯電話装置100が圏内に戻っていれば自動的に通信機能を復帰させることができる一方で、圏外のままであれば通信機能の停止状態を継続させることができる。
【0069】
〔第2の実施形態〕
第2の実施形態では、通信機能停止状態のときに所定の操作が行われた場合には、通信機能を復帰させる例について説明する。
【0070】
図4は第2の実施形態の場合の動作の流れを示すフローチャートである。
【0071】
図4のフローチャートは、図3のフローチャート(第1の実施形態)にステップS10(割り込み処理の有無を監視するステップ)を追加したものであり、その他の点では図3のフローチャートと同様であるため、以下では相違点についてのみ説明する。
【0072】
図4に示すように、割り込み処理の有無を監視するステップS10は、通信機能が自動的に停止されている状態で行われる。
【0073】
割り込み処理は、入力部6に対する操作に基づき、該入力部6より通信機能開始コマンド、発呼動作開始コマンド、メール送信動作開始コマンド、メール受信確認動作開始コマンドなどの信号が中央処理装置4に入力された場合に開始される。
【0074】
すなわち、中央処理装置4は、例えば、これらの何れかのコマンドの有無を常時監視しており(ステップS10)、該コマンドの入力を検出した場合に(ステップS10のYes)、無線部2及びベースバンド処理部3への電力供給を開始する指示を出力する。
【0075】
その結果、無線部2、ベースバンド処理部3に電力が供給されて通信機能が開始(再開)され、回線との発信や着信、メールなどの送受信が可能となる(ステップS2)。
【0076】
また、単に通信機能を開始させるためのコマンドではなく、それ以外の動作を要求するコマンドが入力された場合には、通信機能を開始させた後で、該入力されたコマンドに応じた動作を行う。
【0077】
すなわち、例えば、入力部6に対する操作として、発呼動作の開始を要求する操作がなされ、該操作に基づき入力部6から発呼動作開始コマンドが入力された場合には、通信機能を開始させた後で、発呼動作を開始する。同様に、メール送信動作開始コマンド、メール受信確認動作開始コマンドが入力された場合には、それぞれ、通信機能を開始させた後で、メール送信動作、メール受信確認動作を開始する。
【0078】
以上のような第2の実施形態によれば、通信機能が自動的に停止されている状態の時に、入力部6に対し所定の操作がなされた場合には、ベースバンド処理部3及び無線部2への電源供給を再開させるので、簡単な操作により通信機能を復帰させることができる。
【0079】
特に、発呼動作、メール送信、メール受信確認などを要求する操作がなされた場合には、自動的に通信機能を復帰させ、引き続き、その要求に応じた動作を実行することができるので、携帯電話装置100の使い勝手が良い。
【0080】
〔第3の実施形態〕
第3の実施形態では、圏外時に通信機能を自動的に停止するまでの時間(時間T1)の長さと、通信機能が自動的に停止されているときに一時的に通信機能を復帰させて圏外か否かを判定するまでの時間(時間T2)の長さとをそれぞれユーザが任意に設定可能な例について説明する。
【0081】
図5は第3の実施形態の場合の動作の流れを示すフローチャートである。
【0082】
図5のフローチャートは、図4のフローチャート(第2の実施形態)にステップS11、S12、S13、S14を追加したものである。
【0083】
このうちステップS11、S13は、圏外となってから通信機能を自動的に停止させるまでのタイマー部12による計時時間の長さT1、或いは、通信機能が自動的に停止されてから一時的に通信機能を復帰させて圏外か否かを判定するまでの時間の長さT2の変更を要求する操作が入力部6に対してなされたか否かを判定するステップであり、ステップS12、S14は、入力部6に入力された新たな時間T1或いは時間T2を記憶部5に記憶させるステップである。
【0084】
計時時間T1、T2の変更要求が入力部6から行われた場合(ステップS11、S13のYes)、中央処理装置4は、それぞれ表示部7に新たな設定時間の入力を促す表示を行わせる。具体的には、例えば、「圏外時通信機能停止移行タイマーT1時間 T1=?」との表示や、「通信機能一時復帰間隔タイマーT2時間 T2=?」との表示などを行わせる。
【0085】
入力部6より計時時間T1、T2が入力されると、中央処理装置4は、記憶部5に既に記憶されている計時時間T1、T2を新たな計時時間T1、T2により上書きする(ステップS12,S14)。
【0086】
それにより、ステップS3,S5にてそれぞれ判定される計時時間T1、T2の時間が新たに設定される。
【0087】
以上のような第3の実施形態によれば、圏外時に通信機能を自動的に停止するまでの時間の長さT1と、通信機能が自動的に停止されているときに一時的に通信機能を復帰させて圏外か否かを判定するまでの時間の長さT2とをそれぞれユーザが任意に設定可能となる。
【0088】
なお、第3の実施形態では、時間T1、T2のうちの何れか一方のみをユーザが任意に設定可能なようにしても良い。
【0089】
〔第4の実施形態〕
第4の実施形態では、圏外の時間が長い場合に自動的に携帯電話装置100の電源をオフし、また、その移行時間をユーザが任意に設定できる例について説明する。
【0090】
図6は第4の実施形態の場合の動作の流れを示すフローチャートである。
【0091】
図6のフローチャートは、図5のフローチャート(第3の実施形態)にステップS15、S16、S17を追加したものである。
【0092】
このうちステップS15は、通信機能を自動的に停止させてからの経過時間が時間(第3の所定時間)T3(>T2)となったか否かを判定するステップであり、ステップS16は、通信機能を自動的に停止させてからの経過時間が時間T3となった場合に、携帯電話装置100の電源をオフにさせる処理を行うステップである。また、ステップS17は通信機能を自動的に停止させてから携帯電話装置100の電源をオフにさせるまでの時間T3をカウントするためのカウンタを初期化して「0」にする処理である。
【0093】
また、本実施形態の場合、ステップS11、S13では、時間T1,T2、T3の変更を要求する操作がなされたか否かを判定し、ステップS12、S14では、新たな時間T1,T2,T3を設定する処理を行う。
【0094】
本実施形態の場合、ステップS3にて連続してT1時間以上圏外であると判定された場合(ステップS3のYes)、時間T3をカウントするためのカウンタを初期化して「0」とする。
【0095】
また、計時時間T1,T2,T3の変更要求が入力部6から行われた場合(ステップS11、S13のYes)、中央処理装置4は、表示部7に時間T1,T2,T3の入力を促す表示を行わせる。具体的には、例えば、「圏外時通信機能停止移行タイマーT1時間 T1=?」との表示や、「通信機能一時復帰間隔タイマーT2時間 T2=?」との表示や、「通信機能自動停止時オフタイマーT3時間 T3=?」との表示などを行わせる。
【0096】
入力部6より計時時間T1、T2、T3が入力された場合、中央処理装置4は、記憶部5に既に記憶されている計時時間T1、T2、T3を新たな計時時間T1、T2、T3により上書きする(ステップS12,S14)。
【0097】
それにより、ステップS3,S5、S15にてそれぞれ判定される計時時間T1、T2、T3の時間が新たに設定される。
【0098】
時間T3をカウントするためのカウンタ値がT3時間以上となった場合(ステップS15のYes)、中央処理装置4は、電源制御部10に指令を送信し、携帯電話装置100の電源をオフにさせる(ステップS16)。
【0099】
他方、時間T3をカウントするためのカウンタ値がT3時間以上とはなっていない場合(ステップS15のNo)は、ステップS5へ進む。
【0100】
以上のような第4の実施形態によれば、圏外であると検出される状態の継続時間が時間T3以上となった場合に、携帯電話装置100の電源を遮断することにより、消費電力を低減させることができる。
【0101】
なお、上記の各実施形態では、移動通信端末装置の例として携帯電話装置100を例示したが、本発明はこの例に限らず、PHS(Personal Handy Phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)或いはその他の移動通信端末装置にも同様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯電話装置の構成を示すブロック図である。
【図2】アンテナバーの表示を示す図である。
【図3】第1の実施形態の場合の動作の流れを示すフローチャートである。
【図4】第2の実施形態の場合の動作の流れを示すフローチャートである。
【図5】第3の実施形態の場合の動作の流れを示すフローチャートである。
【図6】第4の実施形態の場合の動作の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0103】
100 携帯電話装置(移動通信端末装置)
3 ベースバンド処理部
4 中央処理装置(圏外検出手段)
6 入力部(入力手段)
10 電源制御部(電源制御手段)
11 バッテリ(電源供給手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースバンド処理を行うベースバンド処理部と、前記ベースバンド処理部に電源供給する電源供給手段と、を備える移動通信端末装置において、
当該移動通信端末装置が圏外状態であるか否かを検出する圏外検出手段と、
前記電源供給手段から前記ベースバンド処理部に対する電源供給をオン/オフ制御する電源制御手段と、
を備え、
前記電源制御手段は、前記圏外検出手段により圏外であると検出される状態の継続時間が所定時間以上となった場合に、前記電源供給手段による前記ベースバンド処理部への電源供給をオフ状態にさせることにより、当該移動通信端末装置の通信機能を停止させることを特徴とする移動通信端末装置。
【請求項2】
前記電源制御手段は、当該移動通信端末装置の通信機能が停止されている状態時に、前記電源供給手段による前記ベースバンド処理部への電源供給を第2の所定時間毎に再開させることにより通信機能を復帰させ、該復帰させた際の前記圏外検出手段による検出結果が圏内である場合には前記ベースバンド処理部への電源供給を継続させる一方で、該検出結果が圏外である場合には再び前記ベースバンド処理部への電源供給をオフ状態にさせることを特徴とする請求項1に記載の移動通信端末装置。
【請求項3】
使用者による操作を受け付ける入力手段を備え、
当該移動通信端末装置の通信機能が停止されている状態時に、前記入力手段に対し所定の操作がなされた場合には、前記電源制御手段は、前記ベースバンド処理部への電源供給を再開させることを特徴とする請求項1又は2に記載の移動通信端末装置。
【請求項4】
前記所定の操作に基づき前記ベースバンド処理部への電源供給を再開させた後で、当該操作に応じた動作を実行することを特徴とする請求項3に記載の移動通信端末装置。
【請求項5】
前記電源制御手段は、前記圏外検出手段により圏外であると検出される状態の継続時間が第3の所定時間以上となった場合に、当該移動通信端末装置の電源を遮断することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の移動通信端末装置。
【請求項6】
前記所定時間の長さをユーザの操作により任意に設定可能であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の移動通信端末装置。
【請求項7】
前記第2の所定時間の長さをユーザの操作により任意に設定可能であることを特徴とする請求項2に記載の移動通信端末装置。
【請求項8】
前記第3の所定時間の長さをユーザの操作により任意に設定可能であることを特徴とする請求項5に記載の移動通信端末装置。
【請求項9】
当該移動通信端末装置は携帯電話装置であることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の移動通信端末装置。
【請求項10】
ベースバンド処理を行うベースバンド処理部と、前記ベースバンド処理部に電源供給する電源供給手段と、を備える移動通信端末装置の動作制御を行う方法において、
前記移動通信端末装置が圏外状態であるか否かを検出する第1の過程と、
前記第1の過程により圏外であると検出される状態の継続時間を計時する第2の過程と、
前記第2の過程による計時結果が所定時間以上となった場合に、前記電源供給手段による前記ベースバンド処理部への電源供給をオフ状態にさせることにより、前記移動通信端末装置の通信機能を停止させる第3の過程と、
を備えることを特徴とする移動通信端末装置の動作制御方法。
【請求項11】
前記第3の過程により通信機能が停止されている状態時に、第2の所定時間毎に前記ベースバンド処理部への電源供給を再開させることにより通信機能を回復させる第4の過程と、
前記第4の過程により通信機能が回復された際の前記圏外検出手段による検出結果が圏内である場合には前記ベースバンド処理部への電源供給を継続させる一方で、該検出結果が圏外である場合には再び前記ベースバンド処理部への電源供給をオフ状態にさせる第5の過程と、
を備えることを特徴とする請求項10に記載の移動通信端末装置の動作制御方法。
【請求項12】
前記第3の過程により通信機能が停止されている状態時に、前記移動通信端末装置に対して所定の操作がなされた場合には、前記ベースバンド処理部への電源供給を再開させる第6の過程を行うことを特徴とする請求項10又は11に記載の移動通信端末装置の動作制御方法。
【請求項13】
前記所定の操作に基づき前記ベースバンド処理部への電源供給を再開させた後で、当該操作に応じた動作を実行する第7の過程を備えることを特徴とする請求項12に記載の移動通信端末装置の動作制御方法。
【請求項14】
前記第2の過程により圏外であると検出される状態の継続時間が第3の所定時間以上となった場合に、当該移動通信端末装置の電源を遮断する第8の過程を備えることを特徴とする請求項10乃至13の何れか一項に記載の移動通信端末装置の動作制御方法。
【請求項15】
前記所定時間の長さをユーザの操作に応じた長さに設定する第9の過程を備えることを特徴とする請求項10乃至14の何れか一項に記載の移動通信端末装置の動作制御方法。
【請求項16】
前記第2の所定時間の長さをユーザの操作に応じた長さに設定する第10の過程を備えることを特徴とする請求項11に記載の移動通信端末装置の動作制御方法。
【請求項17】
前記第3の所定時間の長さをユーザの操作に応じた長さに設定する第11の過程を備えることを特徴とする請求項14に記載の移動通信端末装置の動作制御方法。
【請求項18】
請求項10乃至17の何れか一項に記載の移動通信端末装置の動作制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−36865(P2007−36865A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−219322(P2005−219322)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】