説明

積層体の製造装置および製造方法

【課題】 回転体表面に積層した積層体表面とオイルを出射する出射プレートとの間の距離を正確に測定することにより、積層体の特性を向上させることができる積層体の製造装置および製造方法を提供する。
【解決手段】 レーザーセンサからなる第1、第2の計測部14A、14Bにより、積層体表面までの距離と出射プレート13までの距離を測定し、その差を求めること、または、空気マイクロメータを備えた出射プレートプレートを用いることによって、回転体2の表面に積層した積層体表面と出射プレート13間の距離を正確に測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定方向に回転する回転体に樹脂薄膜と金属薄膜とを交互に積層成膜して積層体を製造する製造装置および製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層体を小型化するための製造方法として、例えば、真空蒸着により樹脂薄膜と金属薄膜とを交互に形成する方法がある。図6は、この真空蒸着により積層体を製造する製造装置の構成を示している。図6に示すように、この積層体の製造装置は、真空槽51と、略円筒形状の回転体52と、回転体52の表面箇所に対して金属薄膜を形成する金属薄膜形成部53と、図示しない駆動手段により回転体52の表面に対してその法線方向(図6における矢印方向)に移動可能とされ、回転体52の表面箇所に対してオイルパターンを形成するオイルパターン形成部54と、回転体52の表面箇所に対して樹脂材料を蒸着する樹脂薄膜形成部55と、前記駆動手段を制御する制御部(図示せず)の各構成要素を有する。そして、真空槽51内において、回転体52の表面に、金属薄膜形成部53により金属薄膜を付与するとともに、樹脂薄膜形成部55により樹脂薄膜を成膜することにより、金属薄膜と樹脂薄膜とを交互に積層させた積層体を形成するように構成されている。
【0003】
図7は前記オイルパターン形成部54の構成を示している。図7に示すように、オイルパターン形成部54は、前記駆動手段により回転体52の法線方向に対して移動されるベース部61に、オイルを出射するブロック62と、回転体52の表面との間の距離を測定するレーザーセンサからなる計測部63とが取り付けられ、ブロック62を高温に加熱した状態で、ブロック62の先端に配設された出射プレート64の出射口から、気化したオイルを出射する構成とされている。そして、計測部63により、回転体52の表面までの距離を測定し、回転体52の表面に金属薄膜や樹脂薄膜が順次形成された際でも、その表面までの距離が一定となるようにオイルパターン形成部54の位置を制御しながら、オイルパターンを形成するようになっている。この場合に、図8に示すように、回転体52の表面における、オイルパターン形成部54にてオイルOが付与された箇所が、金属薄膜形成部43で金属薄膜を付与する段階で、金属薄膜が積層されず、これにより、金属薄膜が積層されていないストライプ状の部分が形成される。なお、図9は成膜部分の断面図で、70が金属薄膜、71がオイルにより金属薄膜70の形成されない部分を示している。
【特許文献1】特開2001−358035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の積層体の製造装置を用いた方式では、ブロック62および出射プレート64が高温に加熱されており、ブロック62および出射プレート64に計測部63を設置することは困難であるため、計測部63は、温度の低いベース部61に設置されており、本来、必要である、回転体52の表面から、回転体52の表面に対向して配設されたブロック62の先端に取り付けられた出射プレート64までの正確な距離が測定できていない。よって、ブロック62の熱膨張、セッティングのずれ等により、回転体52の表面と、回転体52の表面に対向して配設する出射プレート64との距離が変化しても正確な離間距離の評価・是正ができない。これにより、オイルパターン形成部54にて付与されるオイルが、回転体52の表面に積層された積層体表面に付着したとき、このオイル幅が変化し、従って金属薄膜形成部53で金属薄膜を付与する段階で、金属薄膜の形成されないストライプ状の部分に挟まれた金属薄膜の幅が変化する不具合があった。よって、積層体の特性に悪影響を及ぼしていた。
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、回転体における積層体が積層された表面とオイルを出射する出射口が設けられた出射プレートとの離間距離を正確に測定できる積層体の製造装置および製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、ブロックより形状の大きい出射プレートを用いるなどすることにより、ベース部に設置された計測部から回転体の積層体表面までの距離と出射プレートまでの距離とをそれぞれ測定し、その距離の差に基づいて出射プレートから積層体表面までの距離を間接的に求め、この距離に基づいてオイルパターン形成部の位置を調整する。または、空気マイクロメータを備えた出射プレートを用い、回転体の積層体表面と、回転体表面に対向して配設された出射プレートとの離間距離を直接求める。これにより、オイルパターン形成部にて付与されるオイルが回転体表面に積層した積層体表面に付着したときのオイル幅を安定させることができ、従って金属薄膜形成部で金属薄膜を付与する段階で、金属薄膜の形成されないストライプ状の部分に挟まれた金属薄膜の幅を安定させ、積層体の特性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の積層体の製造装置および製造方法によれば、ブロックの熱膨張、セッティングのずれ等により、回転体の表面と出射プレートとの距離が変化したり設定値とは異なったりした場合でも、出射プレートから積層体表面までの正確な離間距離を得ることができ、樹脂薄膜の表面に付着するオイルの幅の変化を抑えることができ、従って金属薄膜形成工程で金属薄膜を付与する段階で、金属薄膜の形成されないストライプ状の部分に挟まれた金属薄膜の幅の変化を抑えることが可能になる。すなわち、形成された積層体の特性を向上させることできる。また、ブロックの両側方に、それぞれ第1、第2の計測部を設けたり、出射プレートの両側部に空気マイクロメータを設けたりすることにより、オイルパターン形成部の姿勢も良好に調整でき、これにより、積層体の特性をさらに向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態に係る積層体の製造装置および製造方法について、図1〜図5を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る積層体の製造装置の一例である積層コンデンサの製造装置を概略的に示す平面図である。図1に示すように、積層コンデンサの製造装置は、真空槽1と、所定方向に回転される略円筒形状の回転体2と、回転体2の表面箇所に樹脂材料を蒸着する樹脂薄膜形成部3と、図示しない駆動手段により回転体2の表面に対してその法線方向(図1における矢印方向)に移動自在に配置され、回転体2の表面箇所に、気化させたオイルを、出射口4aを通して所定のパターンに吹き付けるオイルパターン形成部4と、オイルパターンが形成された回転体表面の樹脂薄膜上に金属薄膜を形成する金属薄膜形成部5と、蒸着させた樹脂に紫外線を照射する紫外線ランプからなる紫外線照射部6と、オイルパターン形成部4の位置を制御する制御部(図示せず)とを備えている。そして、真空槽1内において、回転体2に臨むように、樹脂薄膜形成部3、オイルパターン形成部4、金属薄膜形成部5、紫外線照射部6が配設されている。オイルパターン形成部4、金属薄膜形成部5、樹脂薄膜形成部3には、それぞれシャッターが設けられており、このシャッターの開閉によりオイル、金属、樹脂の付着の有無や付着量などを調整できるように構成されている。
【0009】
図2に示すように、オイルパターン形成部4は、駆動手段により前記所定方向に移動されるベース部11と、このベース部11に固定され、図示しないヒータにより加熱されてオイルを気化させるブロック12と、ブロック12の先端に取り付けられ、気化させたオイルを出射する出射口4aが設けられている出射プレート13と、ベース部11に固定された計測部14とから構成され、さらに計測部14は、オイルパターンを形成する回転体2の積層体表面までの距離を計測するレーザーセンサからなる第1の計測部14Aと、出射プレート13までの距離を計測するレーザーセンサからなる第2の計測部14Bとから構成されている。また、出射プレート13はブロック12より形状の大きいものが用いられ、出射プレート13には、ブロック12よりはみ出るはみだし部13aが設けられている。そして、第2の計測部14Bにより、出射プレート13のはみだし部13aまでの距離を測定するように構成されている。
【0010】
この積層体の製造装置による、概略的な積層体の製造方法について説明する。
まず真空槽1内を1×10 Torrの圧力とした後、オイルパターン形成部4のオイル温度を190℃とし、金属薄膜形成部5の電極蒸着源を所定の蒸発率を有する温度にし、樹脂薄膜形成部3の樹脂蒸発源の温度を150℃とし、オイル、蒸着電極、樹脂を順に蒸発させる。この時、回転体2の周速を40m/分のスピードで回転し、紫外線照射部6として用いられている230Wの紫外線ランプを100mmの距離から回転体2の表面箇所に向けて照射する。実際には、上記条件が安定した後、オイルパターン形成部4のオイルシャッターと、金属薄膜形成部5の金属蒸着源シャッターと、樹脂薄膜形成部3の樹脂蒸着源シャッターとをそれぞれ開いて積層を開始する。
【0011】
また、これと並行して、第1の計測部14Aにより回転体2の積層体表面までの距離(積層体表面間距離と称す)を計測するとともに第2の計測部14Bにより出射プレート13までの距離(出射プレート間距離と称す)を計測し、前記積層体表面間距離から前記出射プレート間距離を差し引いた値に基づいて、出射プレート13と回転体2の積層体表面との間の離間距離を算出し、この離間距離が一定の距離、例えば100〜500μmの範囲における所定値を維持するように、オイルパターン形成部4を回転体2の表面に直交する法線方向に駆動制御する。このようにオイルパターン形成部4の位置を制御しながら、ブロック12内のオイル温度が190℃になるようにブロック12を加熱してオイルを蒸発させ、ブロック12の先端に取り付けた出射プレート13の孔である出射口4aを通して、オイル蒸気を回転体2の表面箇所に対して所定パターンに噴霧する。
【0012】
次に、金属薄膜形成部5の電極金属を蒸発させて回転体2の表面箇所に付着させて、回転体2の表面部において、オイルパターンによる電極蒸着部と非蒸着部とを得る。その上に、樹脂薄膜形成部3により樹脂層を蒸発させて回転体2の表面箇所に付着させ、紫外線照射部6から紫外線を照射し、樹脂層を硬化させる。
【0013】
このようにして、回転体2の1回転毎に樹脂薄膜層とコンデンサの電極となる金属薄膜層との交互の積層を形成し、所定の積層数に達したら、各シャッターを閉じて回転体2の運転を停止し、この後、回転体2上から積層板からなる積層体を分割して取り外す。
【0014】
ここで、上述したように、本発明のこの実施の形態に係る製造装置のオイルパターン形成部4においては、出射プレート13はブロック12よりも形状が大きくてはみだし部13aを有するものが用いられ、ベース部11に固定された計測部14に、オイルパターンを形成する回転体2の積層体表面までの距離を計測するレーザーセンサからなる第1の計測部14Aと、出射プレート13までの距離を計測するレーザーセンサからなる第2の計測部14Bとを設けている。
【0015】
これに対して、従来の積層体の製造装置の構成では、1つのレーザーセンサからなる計測部63はベース部61に設置されている(図7参照)ため、ブロック62および出射プレート64を着脱させたときのセッティングのずれ、または、加熱時のブロック62の熱膨張によって生じる回転体52表面から出射プレート64までの距離の変化を評価できていない。
【0016】
一方、本実施の形態では、2つのレーザーセンサからなる第1、第2の計測部14A、14Bを用いることにより、各計測部14A、14Bから回転体2の積層体表面までの距離(積層体表面間距離)と、出射プレート13までの距離(出射プレート間距離)とを測定し、これらの積層体表面間距離と出射プレート間距離との差から、回転体2の積層体表面と回転体表面に対向して配設する出射プレート13との間の離間距離を間接的に求めることができる。したがって、ブロック12の熱膨張や、ブロック12および出射プレート13のセッティング等により、回転体2の表面に積層した積層体表面と出射プレート13との間の離間距離が変化しても、この離間距離を正確に測定することができ、オイルパターン形成部4を回転体2の表面の法線方向に駆動させる駆動部により正確に是正し、離間距離を厳密に一定に保つことができる。よって、オイルパターン形成部4にて付与されるオイルが回転体2の表面に付着したとき、このオイル幅が安定する。
【0017】
また、上記実施の形態では、第2の計測部14Bと出射プレート13との間の距離を測定するに際して、出射プレート13の片側(図2においては、回転体2に向かって相対的に左側となる側)にはみだし部13aを設けるとともに、ベース部11をブロック12から、回転体2に向かって左側となる方向に延長するように形成し、この延長部に、第1、第2の計測部14A、14Bを設けた場合を述べたが、これに限るものではない。
【0018】
つまり、図3に示すように、出射プレート13の両側(図2においては、回転体2に向かって回転体2の表面の接線に沿う左側と右側)に、はみだし部13aをそれぞれ設けるとともに、ベース部11をブロック12から、回転体2に向かって左側と右側となる方向にそれぞれ延長するように形成し、各延長部に、第1、第2の計測部14A、14Bをそれぞれ設ける(図3に示す場合においては、出射プレート13の出射口4aを中心として対象となるように、はみだし部13aや第1、第2の計測部14A、14Bをそれぞれ設けている)。そして、左側の第1の計測部14Aにより回転体2の積層体表面までの距離を測定するとともに、左側の第2の計測部14Bにより出射プレート13の左側のはみだし部13aまでの距離を測定し、右側の第1の計測部14Aにより回転体2の積層体表面までの距離を測定するとともに、右側の第2の計測部14Bにより出射プレート13の右側のはみだし部13aまでの距離を測定する。次に、左側の第1の計測部14Aにより測定した回転体2の積層体表面までの距離から、左側の第2の計測部14Bにより測定した回転体2の積層体表面までの距離を差し引いて、左側における出射プレート13から積層体表面までの離間距離を求め、また、右側の第1の計測部14Aにより測定した回転体2の積層体表面までの距離から、右側の第2の計測部14Bにより測定した回転体2の積層体表面までの距離を差し引いて、右側における出射プレート13から積層体表面までの離間距離を求める。そして、これらの離間距離が同じになるように、オイルパターン形成部4の姿勢(向き)を調整する。なお、予め、この調整ができるように、オイルパターン形成部4を構成しておく。
【0019】
この構成によれば、セッティング等による回転体2の表面に対するオイルパターン形成部4の姿勢(回転体2の表面に接する接線方向の向き)を良好に設定できる利点がある。なお、左右の代わりに、上下にはみだし部を設けるとともに、これらに対応して第1、第2の計測部を設けて計測させたりしてもよく、この場合には、オイルパターン形成部4の回転体2に対する平行度を良好に確保できる利点がある。このように、第1、第2の計測部14A、14Bをブロック12の両側方(すなわち、左右や上下など回転体2の法線に対して直交する方向や、この平面内において対峙する方向)に配置することで、オイルパターン形成部4の姿勢を良好に制御できる利点がある。
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る積層体の製造装置におけるオイルパターン形成部20の構成を示すものである。すなわち、この実施の形態においては、上記第1の実施の形態におけるオイルパターン形成部4の代わりに、以下の構成のオイルパターン形成部20が設けられている。なお、真空槽1や回転体2、樹脂薄膜形成部3、金属薄膜形成部5、紫外線照射部6は、図1に示すものと同様のものが用いられている。
【0020】
図4に示すように、このオイルパターン形成部20は、ブロックの先端に取り付けられ、気化させたオイルを出射する出射口が設けられている出射プレート21に、出射プレート21から回転体2の積層体表面までの離間距離を測定する空気マイクロメータ22が設けられ、この実施の形態においては、出射プレート21の上端部と下端部とにそれぞれ空気マイクロメータ(距離測定用空気マイクロメータと称す)22が配設されている。なお、上記第1の実施の形態と同様に、オイルパターン形成部20に、ベース部やブロックも設けられているが、図4においては省いている。また、真空槽1内には、真空中のリファレンス測定用の空気マイクロメータ(リファレンス測定用空気マイクロメータと称す)23が配設されている。
【0021】
これらの、空気マイクロメータ22、23は、定圧力の空気を流して、対向する物体面と空気の流出孔の距離による空気の流出抵抗の変化から、対向する物体面との距離を測定でき、出射プレート21に距離測定用空気マイクロメータ22を備えることで、出射プレート21から回転体2の積層体表面までの距離を測定できる。また、真空中での測定では出射プレート21に備えた距離測定用の空気マイクロメータ22とリファレンス用の空気マイクロメータ23との差を求めることから、出射プレート21から回転体2の積層体表面までの距離を直接、測定できる。また、両端の距離測定用空気マイクロメータ22を用いることで、上端部の空気マイクロメータ22から回転体2の積層体表面までの距離と、下端部の空気マイクロメータ22から回転体2の積層体表面までの距離とが得られる。そして、出射プレート21の上端部と下端部との距離が同じになるように是正することでセッティング等による回転体2の表面に対するオイルパターン形成部20の平行度を確保できる。
【0022】
なお、この実施の形態の場合でも、距離測定用空気マイクロメータ22を出射プレート21の両側方の両端部(すなわち、左右など回転体2の法線に対して直交する方向や、この平面内において対峙する方向)に配置してもよく、これにより、オイルパターン形成部20の姿勢を良好に制御できる利点がある。
(第3の実施の形態)
第2の実施の形態においては、図5に示すように、出射プレート21の空気マイクロメータ22の設置部を、回転体2の表面に接近するように突出させた凸部21aとし、この出射プレート21の凸部21aに設置された距離測定用空気マイクロメータ22における空気の流出孔から回転体2の積層体表面までの離間距離を小さくする。これにより、距離測定用空気マイクロメータ22で観測される圧力が増加し、出射プレート21から回転体2の積層体表面までの離間距離の変化に対して敏感になるため、測定精度を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の積層体の製造装置および製造方法は、コンデンサの母材などに好適であるが、これに限るものではなく、その他の積相体の製造装置および製造方法に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる積層体の製造装置(積層コンデンサの製造装置)の概略的な平面図
【図2】同製造装置のオイルパターン形成部の構成を示す平面図
【図3】本発明の第1の実施の形態の変形例にかかる積層体の製造装置におけるオイルパターン形成部の構成を示す平面図
【図4】本発明の第2の実施の形態にかかる積層体の製造装置におけるオイルパターン形成部の構成を示す側面図
【図5】本発明の第2の実施の形態にかかる積層体の製造装置におけるオイルパターン形成部の構成を示す側面図
【図6】従来の積層体の製造装置の概略的な平面図
【図7】同従来の積層体の製造装置におけるオイルパターン形成部の構成を示す平面図
【図8】同従来の積層体の製造装置における回転体とオイルパターン形成部とを概略的に示す斜視図
【図9】積層体の断面図
【符号の説明】
【0025】
1 真空槽
2 回転体
3 樹脂薄膜形成部
4、20 オイルパターン形成部
4a 出射口
5 金属薄膜形成部
6 紫外線照射部
11 ベース部
12 ブロック
13、21 出射プレート
13a はみだし部
14 計測部
14A 第1の計測部
14B 第2の計測部
21a 凸部
22 空気マイクロメータ(距離測定用空気マイクロメータ)
23 空気マイクロメータ(リファレンス測定用空気マイクロメータ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に回転する回転体と、回転体の表面箇所に樹脂薄膜を形成する樹脂薄膜形成部と、回転体の表面に臨む姿勢で所定方向に移動自在に配置され、回転体の表面箇所に、気化させたオイルを、出射口を通して所定のパターンに吹き付けるオイルパターン形成部と、回転体の表面箇所に金属薄膜を形成する金属薄膜形成部と、前記オイルパターン形成部の位置を制御する制御部とを備え、
前記オイルパターン形成部は、駆動手段により前記所定方向に移動されるベース部と、このベース部に取り付けられ、オイルを気化させるブロックと、ブロックの先端に取り付けられ、気化させたオイルを出射する出射口が設けられている出射プレートと、前記ベース部に対する相対位置が固定されて、オイルパターンを形成する回転体の積層体表面までの距離を計測する第1の計測部と、前記ベース部に対する相対位置が固定されて、出射プレートまでの距離を計測する第2の計測部とを有し、
前記制御手段により、前記第1の計測部により測定した距離と前記第2の計測部により測定した距離との差に基づいて出射プレートから積層体表面までの離間距離を求め、この離間距離に基づいてオイルパターン形成部の位置を調整するように制御することを特徴とする積層体の製造装置。
【請求項2】
出射プレートに、ブロックよりはみ出るはみだし部を設け、この出射プレートのはみだし部までの距離を第2の計測部により測定することを特徴とする請求項1記載の積層体の製造装置。
【請求項3】
オイルパターン形成部における、ブロックの両側方箇所にそれぞれ第1、第2の計測部を配設し、それぞれの箇所に配置した第1、第2の計測部の値の差に基づいて出射プレートから積層体表面までの離間距離をそれぞれ求め、これらの離間距離が同じになるように、オイルパターン形成部の姿勢を調整可能に構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の積層体の製造装置。
【請求項4】
所定方向に回転する回転体と、回転体の表面箇所に樹脂薄膜を形成する樹脂薄膜形成部と、回転体の表面に臨む姿勢で所定方向に移動自在に配置され、回転体の表面箇所に、気化させたオイルを、出射口を通して所定のパターンに吹き付けるオイルパターン形成部と、回転体の表面箇所に金属薄膜を形成する金属薄膜形成部と、前記オイルパターン形成部の位置を制御する制御部とを備え、
前記オイルパターン形成部は、オイルを気化させるブロックと、ブロックの先端に取り付けられ、気化させたオイルを出射する出射口が設けられている出射プレートと、この出射プレートに取り付けられて、出射プレートから積層体表面までの離間距離を測定する空気マイクロメータとを有し、
前記制御手段により、空気マイクロメータで測定した離間距離に基づいてオイルパターン形成部の位置を調整するように制御することを特徴とする積層体の製造装置。
【請求項5】
回転体と樹脂薄膜形成部とオイルパターン形成部と金属薄膜形成部とを、真空室内に配設し、真空室内に、真空室内の状態を検知するリファレンス用の空気マイクロメータを別途に設けたことを特徴とする請求項4記載の積層体の製造装置。
【請求項6】
出射プレートから積層体表面までの離間距離を測定する空気マイクロメータを、出射プレートの両側部にそれぞれ配設したことを特徴とする請求項4または5に記載の積層体の製造装置。
【請求項7】
出射プレートに、出射口よりも回転体表面に接近するように突出する凸部を形成し、この凸部に、積層体表面までの離間距離を測定する空気マイクロメータを配設したことを特徴とする請求項4〜6の何れか1項に記載の積層体の製造装置。
【請求項8】
回転させている回転体の表面に樹脂薄膜を形成する樹脂薄膜形成工程と、回転体の表面に臨む姿勢で移動自在のオイルパターン形成部により、樹脂薄膜が形成された回転体の表面に、気化させたオイルを出射プレートの出射口を通して所定のパターンで吹き付けるオイルパターン形成工程と、オイルパターンが形成された回転体表面の樹脂薄膜に金属薄膜を蒸着する金属薄膜蒸着工程とを、1単位として、所定回数繰り返すことで回転体の表面に積層体を形成する積層体の製造方法であって、
前記オイルパターン形成工程において、オイルパターン形成部に設けられたベース部に設置した計測部から回転体の積層体表面までの距離と前記出射プレートまでの距離とをそれぞれ測定し、その距離の差に基づいて出射プレートから積層体表面までの距離を求め、この距離に基づいてオイルパターン形成部の位置を調整することを特徴とする積層体の製造方法。
【請求項9】
加熱されてオイルを気化させるブロックの先端に、出射プレートの一部がブロックよりはみだした状態で取り付けられ、計測部から出射プレートにおける前記はみだし部までの距離を測定することを特徴とする請求項8記載の積層体の製造方法。
【請求項10】
オイルパターン形成部におけるブロックの両側方箇所にそれぞれ配設した第1、第2の計測部の各値の差に基づいて出射プレートから積層体表面までの離間距離をそれぞれ求め、これらの離間距離が同じになるように、オイルパターン形成部の姿勢を調整することを特徴とする請求項8または9に記載の積層体の製造方法。
【請求項11】
回転させている回転体の表面に樹脂薄膜を形成する樹脂薄膜形成工程と、回転体の表面に臨む姿勢で移動自在のオイルパターン形成部により、樹脂薄膜が形成された回転体の表面に、気化させたオイルを出射プレートの出射口を通して所定のパターンで吹き付けるオイルパターン形成工程と、オイルパターンが形成された回転体表面の樹脂薄膜に金属薄膜を蒸着する金属薄膜蒸着工程とを、1単位として、所定回数繰り返すことで回転体の表面に積層体を形成する積層体の製造方法であって、
前記オイルパターン形成工程において、出射プレートから積層体表面までの離間距離を空気マイクロメータにより求め、この離間距離に基づいてオイルパターン形成部の位置を調整することを特徴とする積層体の製造方法。
【請求項12】
出射プレートの両側部にそれぞれ配設した空気マイクロメータにより出射プレートから積層体表面までの離間距離をそれぞれ測定し、これらの離間距離が同じになるように、オイルパターン形成部の姿勢を調整することを特徴とする請求項11に記載の積層体の製造方法。
【請求項13】
回転させている回転体の表面に樹脂薄膜を形成する樹脂薄膜形成工程と、回転体の表面に臨む姿勢で移動自在のオイルパターン形成部により、樹脂薄膜が形成された回転体の表面に、気化させたオイルを出射プレートの出射口を通して所定のパターンで吹き付けるオイルパターン形成工程と、オイルパターンが形成された回転体表面の樹脂薄膜に金属薄膜を蒸着する金属薄膜蒸着工程とを、1単位として、所定回数繰り返すことで回転体の表面に積層体を形成する積層体の製造方法であって、
前記オイルパターン形成工程において、出射プレートにおける出射口よりも回転体表面に接近するように突出する凸部から積層体表面までの離間距離を空気マイクロメータにより測定し、この離間距離に基づいてオイルパターン形成部の位置を調整することを特徴とする積層体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−7503(P2006−7503A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−185724(P2004−185724)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】