空気入りタイヤの製造方法
【課題】予め生タイヤに発泡材料を含ませておき、これを加硫工程を利用して発泡させることにより吸音具を能率良く成形するタイヤの製造方法を提供する。
【解決手段】トレッド部の内腔面9a側に、発泡体からなりかつタイヤ周方向にのびる吸音具が設けられた空気入りタイヤを製造する空気入りタイヤの製造方法であって、発泡剤を配合させた発泡材料10Gを前記内腔面9a側に配して生タイヤ30を成形する工程と、該生タイヤ30を金M型及びブラダーBを用いて加硫する工程とを含む。加硫工程は、ブラダーBの内部に高圧流体を供給することにより、該ブラダーBをトレッド部の内腔面9aに密着させて加硫を行う第1の段階と、第1の段階の後、ブラダーBを真空引きすることにより、トレッド部の内腔面9aから直ちにブラダーBを離間させて発泡材料10Gの発泡を促進させる第2の段階とを含むことを特徴とする。
【解決手段】トレッド部の内腔面9a側に、発泡体からなりかつタイヤ周方向にのびる吸音具が設けられた空気入りタイヤを製造する空気入りタイヤの製造方法であって、発泡剤を配合させた発泡材料10Gを前記内腔面9a側に配して生タイヤ30を成形する工程と、該生タイヤ30を金M型及びブラダーBを用いて加硫する工程とを含む。加硫工程は、ブラダーBの内部に高圧流体を供給することにより、該ブラダーBをトレッド部の内腔面9aに密着させて加硫を行う第1の段階と、第1の段階の後、ブラダーBを真空引きすることにより、トレッド部の内腔面9aから直ちにブラダーBを離間させて発泡材料10Gの発泡を促進させる第2の段階とを含むことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレッド部の内腔面側に発泡材料からなる吸音具が設けられた空気入りタイヤの製造方法に関し、詳しくは予め生タイヤに発泡材料を含ませておき、これを加硫工程を利用して発泡させることにより前記吸音具を一体成形しうる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トレッド部のタイヤ内腔面側に、スポンジ等の発泡体からなる吸音具が設けられた空気入りタイヤが提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。このような空気入りタイヤは、タイヤとリムとが囲むタイヤ内腔で生じる空洞共鳴を前記吸音具が吸収することにより、走行中のロードノイズが低減される。
【0003】
【特許文献1】特開2003−285607号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の空気入りタイヤは、例えば、内腔面に未発泡状態の発泡材料を貼り付けた生タイヤを成形し、これを金型及び内部に高温かつ高圧流体が充填されることにより膨張するブラダーを用いて加熱・加圧することにより、生タイヤの加硫と同時に発泡材料を発泡させて製造される。しかしながら、この方法では、タイヤ内腔面に風船状のブラダーが強く密着するため、発泡材料が発泡するための十分な体積膨張空間が得られず、ひいては発泡が抑制されたり、発泡材料がいびつに膨張するという欠点がある。
【0005】
なお、加硫終了後は、金型が開き、かつ、ブラダー内の高圧流体が取り除かれるため、該ブラダーは内部圧が大気圧とバランスするように徐々に自然収縮するが、この収縮にはある程度の時間を要するので、該収縮により発泡材料が膨張しうる空間が形成されたときには、既に発泡材料の温度が低下し、この段階でも十分に発泡することができない。
【0006】
本発明は、以上のような実情に鑑み案出なされたもので、第1の発明では、ブラダーに高圧流体を供給して該ブラダーを生タイヤに密着させて加硫を行う第1の段階と、この第1の段階の後、ブラダーを真空引きすることにより、トレッド部の内腔面から直ちにブラダーを離間させて前記発泡材料の発泡を促進させる第2の段階とを含むことを基本として、発泡材料を効率良くかつ十分に発泡させ得る空気入りタイヤの製造方法を提供することを目的としている。
【0007】
また、第2の発明では、生タイヤを中子と一緒に加硫するとともに、生タイヤに設けられた発泡材料を中子に設けられた負圧の凹溝内に配して発泡を促進させることを基本として、発泡材料を効率良くかつ十分に発泡させ得る空気入りタイヤの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のうち請求項1記載の発明は、トレッド部の内腔面側に、発泡体からなりかつタイヤ周方向にのびる吸音具が設けられた空気入りタイヤを製造する空気入りタイヤの製造方法であって、発泡剤を配合させた発泡材料を前記内腔面側に配して生タイヤを成形する生タイヤ成形工程と、該生タイヤを金型及びブラダーを用いて加硫する加硫工程とを含むとともに、前記加硫工程は、前記ブラダーの内部に高圧流体を供給することにより、該ブラダーを前記トレッド部の内腔面に密着させて加硫を行う第1の段階と、前記第1の段階の後、ブラダーを真空引きすることにより、トレッド部の内腔面から直ちにブラダーを離間させて前記発泡材料の発泡を促進させる第2の段階とを含むことを特徴とする。
【0009】
また請求項2記載の発明は、前記第2の段階は、金型を開くことなく行われる請求項1記載の空気入りタイヤの製造方法である。
【0010】
また請求項3記載の発明は、トレッド部の内腔面側に、発泡体からなりかつタイヤ周方向にのびる吸音具が設けられた空気入りタイヤを製造する空気入りタイヤの製造方法であって、生タイヤ成形用の中子を用いて未加硫の生タイヤを成形する生タイヤ成形工程と、前記生タイヤを前記中子とともに金型で加硫する加硫工程とを含むとともに、前記中子は、トレッド部の内腔面を成形するトレッド成形面に、タイヤ周方向にのびる少なくとも1本の凹溝が設けられ、かつ前記生タイヤは、前記トレッド部の内腔面側に固着されかつタイヤ周方向にのびる未発泡状態の発泡材料が前記凹溝内に隙間を有して配されるとともに、前記加硫工程は、前記凹溝内を負圧として前記発泡材料の発泡を促進させる段階を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明では、ブラダーに高圧流体を供給して該ブラダーを生タイヤに密着させて加硫を行う第1の段階と、この第1の段階の後、ブラダーを真空引きすることにより、トレッド部のタイヤ内腔面から直ちにブラダーを離間させて前記発泡材料の発泡を促進させる第2の段階とを含む。このため、第2の段階では、発泡材料が発泡するための体積膨張空間が迅速に提供されるので、発泡材料が効率良く発泡できる。特に、請求項2のように、金型を閉じた状態でブラダーを収縮させることにより、金型内部の熱の散逸を防ぎ、より効果的に発泡材料を発泡させ得る。
【0012】
また、第2の発明では、中子を用いて生タイヤが成形される。この際、生タイヤは、中子のトレッド成形面に設けられたタイヤ周方向にのびる凹溝内に未発泡状態の発泡材料が隙間を有した状態で配され加硫される。しかも、前記凹溝内は、負圧とされるので、加硫中に前記発泡材料の発泡が促進されるとともに、凹溝内の隙間を利用して発泡材料が十分に発泡できるる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1には、本実施形態の空気入りタイヤの製造方法によって得られた空気入りタイヤ1の断面図を示す。該空気入りタイヤ1は、トレッド部2と、その両側からタイヤ半径方向内方にのびる一対のサイドウォール部3、3と、該サイドウォール部3の内方端に設けられかつリムJに装着されるビード部4、4とを含むトロイド状をなすとともに、タイヤ内腔面9側に設けられた発泡体からなる吸音具10を含んで構成される。
【0014】
前記空気入りタイヤ1は、慣例に従い、前記トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5の周りで巻上げられたカーカスプライ6Aからなるカーカス6と、その半径方向外側かつトレッド部2の内部に配置された少なくとも2枚のベルトプライ7A、7Bを含むベルト層7と、ビード部4に配されかつ前記ビードコア5からタイヤ半径方向外側にテーパ状でのびるビードエーペックス8といった補強部材を含んでいる。
【0015】
本実施形態において、吸音具10は、インナーライナーゴム11がなすタイヤ内腔面9のうちトレッド部の内腔面9aに固着されている。該吸音具10は、例えば、タイヤ軸方向に長い横長偏平であり、より詳しくはタイヤ半径方向内側に向かってタイヤ軸方向の幅が滑らかに減じる略台形状の断面でタイヤ周方向にのびている。このような吸音具10は、タイヤ周方向に連続する環状体でも良いし、また一部が途切れるものでも良い。ただし、重量アンバランスを防止するために、吸音具10は、タイヤ赤道Cに関して実質的に左右対称となる断面形状を有することが望ましい。
【0016】
また、吸音具10は、独立気泡及び/又は連続気泡を有する発泡体、好ましくは連続気泡を有する発泡体から形成されるのが望ましい。該発泡体としては、ゴム又はエラストマーを発泡させたものが好適である。これらの詳細については後述する。
【0017】
発泡体からなる吸音具10は、空気入りタイヤ1とリムJとが囲むタイヤ内腔iで生じた共鳴による振動エネルギーを吸収し(熱エネルギーに変換し)、走行時の空洞共鳴を抑える。よって、走行中のロードノイズが低減される。また、吸音具10をトレッド部の内腔面9a側に設けることにより、走行時の遠心力が吸音具10を前記内腔面9aに押し付け、その離脱等を効果的に防止しうる。なお、トレッド部の内腔面9aとは、前記ベルト層7のタイヤ軸方向の幅BWを有する内腔面とする。
【0018】
次に、第1の発明に基づいて、前記空気入りタイヤ1を製造する方法について述べる。図2に示されるように、先ず、発泡剤を配合させた発泡材料10Gが前記内腔面9a側に配された生タイヤ30を成形する工程が行われる。
【0019】
この工程では、図示しないタイヤ成型ドラムなどを用いてトロイド状の生タイヤ30が形成される。該生タイヤ30は、トレッドゴム2G、サイドウォールゴム3G、リムJとの接触部分に配されるクリンチゴム4G、カーカスプライ6A、ベルト層7、ビードエーペックスゴム8G及びシート状の前記発泡材料10Gなどが順次貼り付けられる。前記各タイヤ部材に含まれるゴム部分は、未加硫の状態にある。ここで、「未加硫の状態」とは、完全な加硫に至っていない全ての態様を含むもので、いわゆる半加硫の状態は「未加硫の状態」に含まれる。
【0020】
本実施形態では、タイヤ内腔面9を形成する前記インナーライナゴム11Gの内側に、未加硫の発泡材料10Gが貼り付けられている。なお発泡材料10Gは、インナーライナゴム11Gとカーカスプライ6Aとの間に配されていても良い。該発泡材料10Gは、例えば、タイヤ軸方向に横長偏平をなす断面略矩形状でタイヤ周方向にのびる帯状で形成される。発泡材料10Gのタイヤ周方向長さは、目的とする吸音具10に応じて設定される。従って、タイヤ周方向に連続した環状体でも良いし、途切れ部を有するものでも良い。
【0021】
前記発泡材料10Gには、生タイヤ30の加硫中の熱によって発泡することにより体積膨張を生じるものであれば特に限定されることなく種々の材料を用い得る。このような発泡材料としては、ゴム、樹脂又はエラストマーといったポリマーに、各種添加剤や補強材の他、発泡を生じさせる発泡剤を配合した組成物が好ましく用いられる。
【0022】
前記ゴムポリマーとしては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム又はエチレンプロピレンゴムなどの1種又は2種以上をブレンドして用いることができる。特に好ましくは、インナーライナゴム11Gとの接着性を考慮し、該インナーライナゴム11Gと同種のブチル系のゴムを含むことが望ましい。
【0023】
また、前記樹脂ないしエラストマーとしては、例えば、ポリウレタン、ポリエチレン、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、ナイロン樹脂又はポリカーボネート樹脂等が望ましい。
【0024】
また発泡剤としては、生タイヤの加硫時の熱によって発泡しうるものであれば特に限定されないが、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)又は4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)などを用いることができる。また、発泡剤の配合量などは、目的とする発泡倍率に応じて適宜調節することができるが、好ましくは2PHR以上、より好ましくは3PHR以上が望ましく、また上限に関しては、好ましくは10PHR以下、より好ましくは7PHR以下が望ましい。なお、発泡剤の分解挙動を適正にコントロールするために、発泡助剤などを配合することもできる。該発泡助剤としては、例えば、通常のスルフェンアミド系促進剤などが用いられ、好ましくは0.5PHR以上かつ1.5PHR以下が望ましい。
【0025】
次に、図3に示されるように、前記生タイヤ30を金型M及びブラダーBを用いて加硫する工程が行われる。金型Mは、例えば半径方向に上下移動できかつトレッド部を成形しうる上型MUと、タイヤ軸方向に接離可能かつサイドウォール部からビード部を成形しうる左右の側型ML及びMRとを含む。生タイヤ30は、これらの各型MU、ML及びMRを開いた状態でその中に投入される。また金型Mを閉じた後、生タイヤ30は加熱されるとともに、高圧流体の充填によりブラダーBがタイヤ内腔iの中で膨張する。これにより、ブラダーBはトレッド部の内腔面9aに密着する。このようにして、加硫工程の第1の段階が行われる。
【0026】
前記第1の段階では、各ゴムが可塑化して金型MとブラダーBとの空隙がなす断面形状に加硫成形される。他方、発泡材料10Gは、ブラダーBに強く押圧されるとともに、膨張するための十分な空間が得られないため、発泡剤の発泡温度に達してもその発泡が実質的に抑制される。
【0027】
次に、本実施形態では、発泡材料10Gの発泡を除いて、各部の加硫がほぼ終えた状態になったときに、図4に示されるように、金型Mを開けることなく閉じたままの状態でブラダーBの内部を真空引きすることにより、該ブラダーBを強制的にかつ急激に収縮させる。これにより、ブラダーBは、トレッド部の内腔面9aから直ちに離間し、金型M内に前記発泡材料10Gが発泡するための空間を提供する。また、金型Mが閉じられたままであるので、金型内部の熱の散逸を防ぎ、金型内の温度も発泡材料10Gの発泡に適した温度を維持することができる。これにより、発泡材料10Gの発泡を促進させる第2の工程が行われる。
【0028】
そして、発泡材料10Gの発泡に十分な時間を経過した後、図5に示されるように、上型MUをタイヤ半径方向外側に移動させるとともに、左右の側型ML及びMRを離間させる。これにより、発泡材料10Gを十分に発泡させることにより、能率的に吸音具10を形成できる。
【0029】
なお、図6には、加硫工程のタイムチャートを示す。このチャートには、縦軸が温度、横軸が時間であり、発泡材料10Gの温度及びトレッドゴム2Gの外面の温度が一例として表示される。加硫工程は、時間t1で第1の工程が行われた後、ブラダーBを強制収縮させ、金型Mを閉じたまま時間t2で第2の工程が行われる。第2の工程が終わると、金型Mが開かれる(金型開)。金型Mを開くことにより、ゴムの温度が低下するが、第2の工程は金型Mを閉じて行われるため、発泡材料10Gの温度を高温に維持できる。第2の工程に要する時間t2は、発泡材料10Gの特性及びボリュームに応じて適宜定めることができる。前記時間t2は、例えば30秒以下で設定することができ、好ましくは2秒以上かつ20秒以下が望ましい。
【0030】
次に、第2の発明について説明する。この発明の実施形態では、前記空気入りタイヤ1は、図7に示されるように、生タイヤ成形用の中子12を用いて未加硫の生タイヤ30を成形する生タイヤ成形工程と、この生タイヤ30を中子12とともに加硫する加硫工程とを含んで製造される。
【0031】
前記中子12は、例えば、タイヤ回転軸CLと同軸かつ環状のインナーリング15と、該インナーリング15に嵌め込まれる環状のミドルリング16と、該ミドルリング16に嵌め込まれかつタイヤ内腔面9を成形しうる成形面18を具えた環状のアウターリング17とを含むいわゆる組立中子として構成される。該アウターリング17は、その中央に配されるコアピース17Aと、該コアピース17Aを覆うようにその両側に配された左右一対の分割ピース17Bとから構成され、これらのピース17A及び17Bは、いずれもタイヤ周方向に分割された扇状のセグメントを連ねることにより、実質的にタイヤ周方向に連続して構成される。
【0032】
このような中子12は、その外側に空気入りタイヤ1が成形された後、前記インナーリング15及びミドルリング16を順次タイヤ軸方向に抜き去るとともに、コアピース17A及び分割ピース17Bを順次、タイヤ内腔から半径方向内方に抜き取ることにより容易に分解できる。
【0033】
また、前記アウターリング17は、例えば、タイヤ内腔面9を成形しうる成形面18と、この成形面18のビード側の各端部に連なりかつ軸方向の外側にフランジ状に張り出した一対のビード底成形面19とを含む。また、成形面18は、生タイヤ30のトレッド部の内腔面9aを成形するトレッド成形面18aを含み、該トレッド成形面18aには、タイヤ周方向にのびる少なくとも1本の凹溝20が設けられる。
【0034】
前記凹溝20は、加硫後の吸音具10の断面形状(即ち、目的とする吸音具10の断面形状)に合わせて形成されるのが望ましい。本実施形態の凹溝20は、図1に示した吸音具10と実質的に一致する断面略台形状で形成される。また、凹溝20のタイヤ周方向の長さも、吸音具10のタイヤ周方向の長さに合わせて設定される。
【0035】
また、図8に拡大して示されるように、前記凹溝20には、透孔21が設けられる。該透孔21は、一端が凹溝20に連通するとともに、半径方向の内端が好ましくはコアピース17Aに設けられた円周方向に連続してのびる周溝22に連通している。また、前記周溝22には、コアピース17Aに設けられた通気流路23、ミドルリング16に設けられた透孔24及びインナーリング15に透孔25を介して空気圧調節具Pが接続される。なお必要により、適宜エアシールが施される。
【0036】
次に、生タイヤ成形工程では、図8に示されるように、中子12の成形面18に、リムJとの接触部分に配されるクリンチ底部ゴム4G1と、インナーライナゴム11Gと、カーカスプライ6Aとが順次貼り付けられる。
【0037】
この実施形態においても、タイヤ内腔面9を形成する前記インナーライナゴム11Gの内側には、未加硫の発泡材料10Gが貼り付けられている。該発泡材料10Gは、前記実施形態と同様、タイヤ軸方向に横長偏平をなす断面略矩形状でタイヤ周方向にのびる帯状で形成される。
【0038】
また、発泡材料10Gは、中子12の前記凹溝20内に配されるとともに、前記凹溝20よりも小さい断面積を有する(なお、発泡材料10Gの体積も、凹溝20の容積に比べて小さく形成される。)。これにより、発泡材料10Gは、そのタイヤ軸方向両側及びタイヤ半径方向内方に、隙間Sを有して凹溝20内に配される。
【0039】
また、カーカスプライ6Aについては、例えば、図9(A)、(B)に示されるように、タイヤ軸方向bに対してタイヤ周方向長さaが小さい短冊状のプライ片6Pを、その側縁を突き合わせてタイヤ周方向に並べて中子12上に貼り付けることにより形成することができる。このような短冊状のプライ片6Pは、ビード部側において、プライ片同士を重ねることにより、トレッド部とビード部とのタイヤ周方向長さの差を吸収し、皺などを発生させることなくトロイド状のカーカスプライ6Aを見映え良く形成できる。
【0040】
また、図10(A)、(B)に示されるように、タイヤ軸方向bの両側縁に、該側縁からタイヤ軸方向内側にのびる小長さのスリットeが隔設されたプライ6Sを中子12に少なくとも1周巻き付けることにより、トロイド状のカーカスプライ6Aを形成することもできる。この実施形態においても、ビード部側において、スリットeで分断されたプライ部分を重ねることにより、皺などを発生させることなくトロイド状のカーカスプライ6Aを見映え良く形成できる。
【0041】
しかる後、図11に示されるように、環状のビードコア5をカーカスプライ6Aに嵌め込むとともに、ビードエーペックスゴム8Gを貼り付けて該カーカスプライ6Aをビードコア5の周りで巻上げる。しかる後、クリンチサイドゴム4G2、サイドウォールゴム3G、ベルト層7及びトレッドゴム2Gがそれらの外側に貼り付けされる。これにより、中子12の外側に生タイヤ30が成形される。
【0042】
次に、加硫工程が行われる。図12には、加硫工程中の断面図が示される。加硫金型Mは、例えば、前記実施形態と同様の分割型が採用できる一方、その内部には生タイヤ30及び中子12をともに挿入しうる空洞部が設けられる。加硫工程では、前記生タイヤ30及び中子12がともに加硫金型Mに投入された後、、該加硫金型Mが閉じられ、また加熱される。これにより、生タイヤ30の各ゴム部は可塑化し、加硫金型Mの成形面32及び中子12の成形面18に沿って加硫成形される。このため、中子12は、加硫中の熱に耐えうるように、例えばアルミニウム合金等の金属材料で形成されることが望ましい。なお、生タイヤ30をタイヤ内腔面9側から積極的に加熱するために、前記中子12を加熱しても良いのは言うまでもない。
【0043】
また、加硫工程では、発泡材料10Gに、トレッドゴム2G等を介して加硫金型Mからの熱が伝えられるとともに、空気圧調節具Pによって真空引きし、前記凹溝20内を負圧とすることにより、発泡材料10Gの発泡を促進させる段階を含む。このように、凹溝20内を負圧に設定することにより、発泡材が所定の発泡温度に達すると抵抗を生じることなく凹溝20内で体積を膨張させることができ、発泡を促進できる。
【0044】
また、発泡材料10Gは、凹溝20内の前記隙間Sを埋めるように体積膨張するとともに、凹溝20の表面によって膨張変形が抑制され、ひいては、凹溝20の断面形状にほぼ等しく成形することができる。このような作用を有効に発揮させるために、発泡材料10Gは、凹溝20の容積Vgを超える膨張変形が可能、つまり発泡時に凹溝20を埋める膨張変形をなし得るよう、発泡剤等の配合量が設定されるのが望ましい。なお、同時に、発泡材料10Gとインナーライナゴム11Gとが一体に加硫接着される。
【0045】
ここで、凹溝20内を負圧とする際、その圧力は特に限定されるものではないが、負圧が大きすぎると(ゲージ圧が小さすぎると)、加硫中に発泡材料10Gがインナーライナゴム11Gから剥離したり、トレッド部の形状を歪かするおそれがあり、逆に負圧が小さすぎる(ゲージ圧が大きすぎると)と発泡材料10Gの発泡を促進させる効果が十分に期待できない。このような観点より、凹溝20内の好ましい負圧力は、ゲージ圧で、−80〜−20kPa、より好ましくは−80〜−50kPa程度が望ましい。
【0046】
また、凹溝20内の圧力は、加硫中の大部分(例えば加硫初期から全加硫時間の80%まで)において、外部連通(大気圧)又は加圧状態(例えば大気圧より大かつ2500kPa以下)としてインナーライナゴム11Gやトレッドゴム等をしっかりと加硫させる一方、加硫終盤にのみ凹溝20内を前記負圧として一気に発泡材料10Gを膨張させることが特に望ましい。
【0047】
上記加硫工程が終了すると、加硫金型Mから中子12とともに空気入りタイヤ1が取り出され、その後、中子12を分解することにより、加硫済みの空気入りタイヤ1が得られる。
【0048】
また、第1、第2の発明において、図13に示されるように、加硫工程後、吸音具10のタイヤ内腔iを向く外表面10Sを薄く除去することにより、その内部に形成された気泡pを表面に露出させる表面研削工程を含むことが望ましい。これにより、吸音具10の気泡pとタイヤ内腔iの空気との接触機会が増加し、吸音効果をさらに向上させる。特に、発泡材料10Gをインナーライナゴム11Gとカーカスプライ6Aとの内側に配置したような実施形態では、このような研削工程を行うことにより、インナーライナゴム11Gを剥離させて発泡材料10Gをタイヤ内腔iに露出させることが望ましい。
【0049】
また、図14に示されるように、外周面に針状の突起35を多数有するローラRを加硫済又は加硫前において、吸音具10の表面に押圧して転動させる工程も好ましく行いうる。このような工程を行うことにより、突起35が、吸音具10の内部に形成された独立気泡を互いに連通させる貫通孔を形成し、それらを連続気泡へと変え、ひいては気泡pとタイヤ内腔iの空気との接触機会を増加させ得る点で好ましい。
【実施例】
【0050】
(第1の発明)
タイヤサイズ195/65R15の乗用車用空気入りタイヤを第1の発明に従って10本製造した(実施例1及び2)。加硫前の発泡材料等の仕様は次の通りである。
【0051】
<発泡材料の仕様>
発泡材料の幅:50mm
発泡材料の厚さ:10mm
発泡材料の配合:表1の通り
(発泡材料は円周方向に連続して巻き付けられた。)
<工程時間>
第1の工程時間t1:9分
第2の工程時間t2:0.5分
【0052】
【表1】
【0053】
また、比較のために、実施例と同じ生タイヤを従来の方法(第1の工程のみであり、金型を開くときに同時にブラダーを自然排気により収縮させるもの)にて空気入りタイヤを10本製造した(比較例)。
【0054】
吸音具を肉眼で観察したところ、実施例のものは、発泡材料が十分に発泡していたが、比較例のものは、発泡材料が殆ど発泡していなかった。
【0055】
次に、各空気入りタイヤをリムに装着し、排気量2000ccの国産FF乗用車の全輪装着し、ロードノイズ計測路(アスファルト粗面路)を時速60km/hで走行したときの、運転席窓側耳位置における車内音を測定した。そして、挟帯域240Hz付近の気柱共鳴音のピーク値の音圧レベルを測定した。結果は、吸音具のない空気入りタイヤ(従来例)の音圧レベルを100とする指数で評価した。数値が大きいほど良好である。
テストの結果を表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】
テストの結果、実施例のタイヤはロードノイズを低減していることが確認できた。また、実施例の中でも、吸音具の表面を削って気泡を露出させた実施例2は、実施例1に比べて優れたロードノイズ低減効果を発揮していることが確認できた。
【0058】
(第2の発明)
タイヤサイズ195/65R15の乗用車用空気入りタイヤを第2の発明に従って10本製造した(実施例3及び4)。加硫前の発泡材料等の仕様は第1の発明の実施例と同一である。また、凹溝等の仕様は次の通りである。
【0059】
<凹溝の仕様>
凹溝の最大溝幅:70mm
凹溝の最大深さ:20mm
凹溝の容積:266093mm3
凹溝内の圧力:2000kPa(gauge )、加硫終盤:−70kPa(gauge )
【0060】
吸音具を肉眼で観察したところ、実施例のものは、発泡材料が十分に発泡していたが、比較例のものは、発泡材料が殆ど発泡していなかった。
【0061】
次に、各空気入りタイヤをリムに装着し、上記と同様のロードノイズ試験を行い、吸音具のない空気入りタイヤ(従来例)の音圧レベルを100とする指数で評価した。数値が大きいほど良好である。
テストの結果を表3に示す。
【0062】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明によって製造される空気入りタイヤの断面図である。
【図2】生タイヤの断面図である。
【図3】加硫工程の第1の段階を示す断面図である。
【図4】加硫工程の第2の段階を示す断面図である。
【図5】金型からタイヤを取り外す際の断面図である。
【図6】加硫工程のタイムチャートである。
【図7】生タイヤ成形用の中子の断面図である。
【図8】その部分拡大図である。
【図9】(A)はカーカスプライを製造するためのプライ片の展開斜視図、(B)はその貼り付け方法を示す斜視図である。
【図10】(A)はカーカスプライを製造するためのカーカスプライの展開斜視図、(B)はその貼り付け方法を示す斜視図である。
【図11】生タイヤ成形工程を説明する断面図である。
【図12】加硫工程を説明する断面図である。
【図13】吸音具の拡大断面図である。
【図14】吸音具の独立気泡を連続気泡化する工程を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
9 タイヤ内腔面
9a トレッド部の内腔面
10 吸音具
10G 発泡材料
12 中子
20 凹溝
30 生タイヤ
M 金型
B ブラダー
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレッド部の内腔面側に発泡材料からなる吸音具が設けられた空気入りタイヤの製造方法に関し、詳しくは予め生タイヤに発泡材料を含ませておき、これを加硫工程を利用して発泡させることにより前記吸音具を一体成形しうる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トレッド部のタイヤ内腔面側に、スポンジ等の発泡体からなる吸音具が設けられた空気入りタイヤが提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。このような空気入りタイヤは、タイヤとリムとが囲むタイヤ内腔で生じる空洞共鳴を前記吸音具が吸収することにより、走行中のロードノイズが低減される。
【0003】
【特許文献1】特開2003−285607号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の空気入りタイヤは、例えば、内腔面に未発泡状態の発泡材料を貼り付けた生タイヤを成形し、これを金型及び内部に高温かつ高圧流体が充填されることにより膨張するブラダーを用いて加熱・加圧することにより、生タイヤの加硫と同時に発泡材料を発泡させて製造される。しかしながら、この方法では、タイヤ内腔面に風船状のブラダーが強く密着するため、発泡材料が発泡するための十分な体積膨張空間が得られず、ひいては発泡が抑制されたり、発泡材料がいびつに膨張するという欠点がある。
【0005】
なお、加硫終了後は、金型が開き、かつ、ブラダー内の高圧流体が取り除かれるため、該ブラダーは内部圧が大気圧とバランスするように徐々に自然収縮するが、この収縮にはある程度の時間を要するので、該収縮により発泡材料が膨張しうる空間が形成されたときには、既に発泡材料の温度が低下し、この段階でも十分に発泡することができない。
【0006】
本発明は、以上のような実情に鑑み案出なされたもので、第1の発明では、ブラダーに高圧流体を供給して該ブラダーを生タイヤに密着させて加硫を行う第1の段階と、この第1の段階の後、ブラダーを真空引きすることにより、トレッド部の内腔面から直ちにブラダーを離間させて前記発泡材料の発泡を促進させる第2の段階とを含むことを基本として、発泡材料を効率良くかつ十分に発泡させ得る空気入りタイヤの製造方法を提供することを目的としている。
【0007】
また、第2の発明では、生タイヤを中子と一緒に加硫するとともに、生タイヤに設けられた発泡材料を中子に設けられた負圧の凹溝内に配して発泡を促進させることを基本として、発泡材料を効率良くかつ十分に発泡させ得る空気入りタイヤの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のうち請求項1記載の発明は、トレッド部の内腔面側に、発泡体からなりかつタイヤ周方向にのびる吸音具が設けられた空気入りタイヤを製造する空気入りタイヤの製造方法であって、発泡剤を配合させた発泡材料を前記内腔面側に配して生タイヤを成形する生タイヤ成形工程と、該生タイヤを金型及びブラダーを用いて加硫する加硫工程とを含むとともに、前記加硫工程は、前記ブラダーの内部に高圧流体を供給することにより、該ブラダーを前記トレッド部の内腔面に密着させて加硫を行う第1の段階と、前記第1の段階の後、ブラダーを真空引きすることにより、トレッド部の内腔面から直ちにブラダーを離間させて前記発泡材料の発泡を促進させる第2の段階とを含むことを特徴とする。
【0009】
また請求項2記載の発明は、前記第2の段階は、金型を開くことなく行われる請求項1記載の空気入りタイヤの製造方法である。
【0010】
また請求項3記載の発明は、トレッド部の内腔面側に、発泡体からなりかつタイヤ周方向にのびる吸音具が設けられた空気入りタイヤを製造する空気入りタイヤの製造方法であって、生タイヤ成形用の中子を用いて未加硫の生タイヤを成形する生タイヤ成形工程と、前記生タイヤを前記中子とともに金型で加硫する加硫工程とを含むとともに、前記中子は、トレッド部の内腔面を成形するトレッド成形面に、タイヤ周方向にのびる少なくとも1本の凹溝が設けられ、かつ前記生タイヤは、前記トレッド部の内腔面側に固着されかつタイヤ周方向にのびる未発泡状態の発泡材料が前記凹溝内に隙間を有して配されるとともに、前記加硫工程は、前記凹溝内を負圧として前記発泡材料の発泡を促進させる段階を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明では、ブラダーに高圧流体を供給して該ブラダーを生タイヤに密着させて加硫を行う第1の段階と、この第1の段階の後、ブラダーを真空引きすることにより、トレッド部のタイヤ内腔面から直ちにブラダーを離間させて前記発泡材料の発泡を促進させる第2の段階とを含む。このため、第2の段階では、発泡材料が発泡するための体積膨張空間が迅速に提供されるので、発泡材料が効率良く発泡できる。特に、請求項2のように、金型を閉じた状態でブラダーを収縮させることにより、金型内部の熱の散逸を防ぎ、より効果的に発泡材料を発泡させ得る。
【0012】
また、第2の発明では、中子を用いて生タイヤが成形される。この際、生タイヤは、中子のトレッド成形面に設けられたタイヤ周方向にのびる凹溝内に未発泡状態の発泡材料が隙間を有した状態で配され加硫される。しかも、前記凹溝内は、負圧とされるので、加硫中に前記発泡材料の発泡が促進されるとともに、凹溝内の隙間を利用して発泡材料が十分に発泡できるる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1には、本実施形態の空気入りタイヤの製造方法によって得られた空気入りタイヤ1の断面図を示す。該空気入りタイヤ1は、トレッド部2と、その両側からタイヤ半径方向内方にのびる一対のサイドウォール部3、3と、該サイドウォール部3の内方端に設けられかつリムJに装着されるビード部4、4とを含むトロイド状をなすとともに、タイヤ内腔面9側に設けられた発泡体からなる吸音具10を含んで構成される。
【0014】
前記空気入りタイヤ1は、慣例に従い、前記トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5の周りで巻上げられたカーカスプライ6Aからなるカーカス6と、その半径方向外側かつトレッド部2の内部に配置された少なくとも2枚のベルトプライ7A、7Bを含むベルト層7と、ビード部4に配されかつ前記ビードコア5からタイヤ半径方向外側にテーパ状でのびるビードエーペックス8といった補強部材を含んでいる。
【0015】
本実施形態において、吸音具10は、インナーライナーゴム11がなすタイヤ内腔面9のうちトレッド部の内腔面9aに固着されている。該吸音具10は、例えば、タイヤ軸方向に長い横長偏平であり、より詳しくはタイヤ半径方向内側に向かってタイヤ軸方向の幅が滑らかに減じる略台形状の断面でタイヤ周方向にのびている。このような吸音具10は、タイヤ周方向に連続する環状体でも良いし、また一部が途切れるものでも良い。ただし、重量アンバランスを防止するために、吸音具10は、タイヤ赤道Cに関して実質的に左右対称となる断面形状を有することが望ましい。
【0016】
また、吸音具10は、独立気泡及び/又は連続気泡を有する発泡体、好ましくは連続気泡を有する発泡体から形成されるのが望ましい。該発泡体としては、ゴム又はエラストマーを発泡させたものが好適である。これらの詳細については後述する。
【0017】
発泡体からなる吸音具10は、空気入りタイヤ1とリムJとが囲むタイヤ内腔iで生じた共鳴による振動エネルギーを吸収し(熱エネルギーに変換し)、走行時の空洞共鳴を抑える。よって、走行中のロードノイズが低減される。また、吸音具10をトレッド部の内腔面9a側に設けることにより、走行時の遠心力が吸音具10を前記内腔面9aに押し付け、その離脱等を効果的に防止しうる。なお、トレッド部の内腔面9aとは、前記ベルト層7のタイヤ軸方向の幅BWを有する内腔面とする。
【0018】
次に、第1の発明に基づいて、前記空気入りタイヤ1を製造する方法について述べる。図2に示されるように、先ず、発泡剤を配合させた発泡材料10Gが前記内腔面9a側に配された生タイヤ30を成形する工程が行われる。
【0019】
この工程では、図示しないタイヤ成型ドラムなどを用いてトロイド状の生タイヤ30が形成される。該生タイヤ30は、トレッドゴム2G、サイドウォールゴム3G、リムJとの接触部分に配されるクリンチゴム4G、カーカスプライ6A、ベルト層7、ビードエーペックスゴム8G及びシート状の前記発泡材料10Gなどが順次貼り付けられる。前記各タイヤ部材に含まれるゴム部分は、未加硫の状態にある。ここで、「未加硫の状態」とは、完全な加硫に至っていない全ての態様を含むもので、いわゆる半加硫の状態は「未加硫の状態」に含まれる。
【0020】
本実施形態では、タイヤ内腔面9を形成する前記インナーライナゴム11Gの内側に、未加硫の発泡材料10Gが貼り付けられている。なお発泡材料10Gは、インナーライナゴム11Gとカーカスプライ6Aとの間に配されていても良い。該発泡材料10Gは、例えば、タイヤ軸方向に横長偏平をなす断面略矩形状でタイヤ周方向にのびる帯状で形成される。発泡材料10Gのタイヤ周方向長さは、目的とする吸音具10に応じて設定される。従って、タイヤ周方向に連続した環状体でも良いし、途切れ部を有するものでも良い。
【0021】
前記発泡材料10Gには、生タイヤ30の加硫中の熱によって発泡することにより体積膨張を生じるものであれば特に限定されることなく種々の材料を用い得る。このような発泡材料としては、ゴム、樹脂又はエラストマーといったポリマーに、各種添加剤や補強材の他、発泡を生じさせる発泡剤を配合した組成物が好ましく用いられる。
【0022】
前記ゴムポリマーとしては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム又はエチレンプロピレンゴムなどの1種又は2種以上をブレンドして用いることができる。特に好ましくは、インナーライナゴム11Gとの接着性を考慮し、該インナーライナゴム11Gと同種のブチル系のゴムを含むことが望ましい。
【0023】
また、前記樹脂ないしエラストマーとしては、例えば、ポリウレタン、ポリエチレン、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、ナイロン樹脂又はポリカーボネート樹脂等が望ましい。
【0024】
また発泡剤としては、生タイヤの加硫時の熱によって発泡しうるものであれば特に限定されないが、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)又は4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)などを用いることができる。また、発泡剤の配合量などは、目的とする発泡倍率に応じて適宜調節することができるが、好ましくは2PHR以上、より好ましくは3PHR以上が望ましく、また上限に関しては、好ましくは10PHR以下、より好ましくは7PHR以下が望ましい。なお、発泡剤の分解挙動を適正にコントロールするために、発泡助剤などを配合することもできる。該発泡助剤としては、例えば、通常のスルフェンアミド系促進剤などが用いられ、好ましくは0.5PHR以上かつ1.5PHR以下が望ましい。
【0025】
次に、図3に示されるように、前記生タイヤ30を金型M及びブラダーBを用いて加硫する工程が行われる。金型Mは、例えば半径方向に上下移動できかつトレッド部を成形しうる上型MUと、タイヤ軸方向に接離可能かつサイドウォール部からビード部を成形しうる左右の側型ML及びMRとを含む。生タイヤ30は、これらの各型MU、ML及びMRを開いた状態でその中に投入される。また金型Mを閉じた後、生タイヤ30は加熱されるとともに、高圧流体の充填によりブラダーBがタイヤ内腔iの中で膨張する。これにより、ブラダーBはトレッド部の内腔面9aに密着する。このようにして、加硫工程の第1の段階が行われる。
【0026】
前記第1の段階では、各ゴムが可塑化して金型MとブラダーBとの空隙がなす断面形状に加硫成形される。他方、発泡材料10Gは、ブラダーBに強く押圧されるとともに、膨張するための十分な空間が得られないため、発泡剤の発泡温度に達してもその発泡が実質的に抑制される。
【0027】
次に、本実施形態では、発泡材料10Gの発泡を除いて、各部の加硫がほぼ終えた状態になったときに、図4に示されるように、金型Mを開けることなく閉じたままの状態でブラダーBの内部を真空引きすることにより、該ブラダーBを強制的にかつ急激に収縮させる。これにより、ブラダーBは、トレッド部の内腔面9aから直ちに離間し、金型M内に前記発泡材料10Gが発泡するための空間を提供する。また、金型Mが閉じられたままであるので、金型内部の熱の散逸を防ぎ、金型内の温度も発泡材料10Gの発泡に適した温度を維持することができる。これにより、発泡材料10Gの発泡を促進させる第2の工程が行われる。
【0028】
そして、発泡材料10Gの発泡に十分な時間を経過した後、図5に示されるように、上型MUをタイヤ半径方向外側に移動させるとともに、左右の側型ML及びMRを離間させる。これにより、発泡材料10Gを十分に発泡させることにより、能率的に吸音具10を形成できる。
【0029】
なお、図6には、加硫工程のタイムチャートを示す。このチャートには、縦軸が温度、横軸が時間であり、発泡材料10Gの温度及びトレッドゴム2Gの外面の温度が一例として表示される。加硫工程は、時間t1で第1の工程が行われた後、ブラダーBを強制収縮させ、金型Mを閉じたまま時間t2で第2の工程が行われる。第2の工程が終わると、金型Mが開かれる(金型開)。金型Mを開くことにより、ゴムの温度が低下するが、第2の工程は金型Mを閉じて行われるため、発泡材料10Gの温度を高温に維持できる。第2の工程に要する時間t2は、発泡材料10Gの特性及びボリュームに応じて適宜定めることができる。前記時間t2は、例えば30秒以下で設定することができ、好ましくは2秒以上かつ20秒以下が望ましい。
【0030】
次に、第2の発明について説明する。この発明の実施形態では、前記空気入りタイヤ1は、図7に示されるように、生タイヤ成形用の中子12を用いて未加硫の生タイヤ30を成形する生タイヤ成形工程と、この生タイヤ30を中子12とともに加硫する加硫工程とを含んで製造される。
【0031】
前記中子12は、例えば、タイヤ回転軸CLと同軸かつ環状のインナーリング15と、該インナーリング15に嵌め込まれる環状のミドルリング16と、該ミドルリング16に嵌め込まれかつタイヤ内腔面9を成形しうる成形面18を具えた環状のアウターリング17とを含むいわゆる組立中子として構成される。該アウターリング17は、その中央に配されるコアピース17Aと、該コアピース17Aを覆うようにその両側に配された左右一対の分割ピース17Bとから構成され、これらのピース17A及び17Bは、いずれもタイヤ周方向に分割された扇状のセグメントを連ねることにより、実質的にタイヤ周方向に連続して構成される。
【0032】
このような中子12は、その外側に空気入りタイヤ1が成形された後、前記インナーリング15及びミドルリング16を順次タイヤ軸方向に抜き去るとともに、コアピース17A及び分割ピース17Bを順次、タイヤ内腔から半径方向内方に抜き取ることにより容易に分解できる。
【0033】
また、前記アウターリング17は、例えば、タイヤ内腔面9を成形しうる成形面18と、この成形面18のビード側の各端部に連なりかつ軸方向の外側にフランジ状に張り出した一対のビード底成形面19とを含む。また、成形面18は、生タイヤ30のトレッド部の内腔面9aを成形するトレッド成形面18aを含み、該トレッド成形面18aには、タイヤ周方向にのびる少なくとも1本の凹溝20が設けられる。
【0034】
前記凹溝20は、加硫後の吸音具10の断面形状(即ち、目的とする吸音具10の断面形状)に合わせて形成されるのが望ましい。本実施形態の凹溝20は、図1に示した吸音具10と実質的に一致する断面略台形状で形成される。また、凹溝20のタイヤ周方向の長さも、吸音具10のタイヤ周方向の長さに合わせて設定される。
【0035】
また、図8に拡大して示されるように、前記凹溝20には、透孔21が設けられる。該透孔21は、一端が凹溝20に連通するとともに、半径方向の内端が好ましくはコアピース17Aに設けられた円周方向に連続してのびる周溝22に連通している。また、前記周溝22には、コアピース17Aに設けられた通気流路23、ミドルリング16に設けられた透孔24及びインナーリング15に透孔25を介して空気圧調節具Pが接続される。なお必要により、適宜エアシールが施される。
【0036】
次に、生タイヤ成形工程では、図8に示されるように、中子12の成形面18に、リムJとの接触部分に配されるクリンチ底部ゴム4G1と、インナーライナゴム11Gと、カーカスプライ6Aとが順次貼り付けられる。
【0037】
この実施形態においても、タイヤ内腔面9を形成する前記インナーライナゴム11Gの内側には、未加硫の発泡材料10Gが貼り付けられている。該発泡材料10Gは、前記実施形態と同様、タイヤ軸方向に横長偏平をなす断面略矩形状でタイヤ周方向にのびる帯状で形成される。
【0038】
また、発泡材料10Gは、中子12の前記凹溝20内に配されるとともに、前記凹溝20よりも小さい断面積を有する(なお、発泡材料10Gの体積も、凹溝20の容積に比べて小さく形成される。)。これにより、発泡材料10Gは、そのタイヤ軸方向両側及びタイヤ半径方向内方に、隙間Sを有して凹溝20内に配される。
【0039】
また、カーカスプライ6Aについては、例えば、図9(A)、(B)に示されるように、タイヤ軸方向bに対してタイヤ周方向長さaが小さい短冊状のプライ片6Pを、その側縁を突き合わせてタイヤ周方向に並べて中子12上に貼り付けることにより形成することができる。このような短冊状のプライ片6Pは、ビード部側において、プライ片同士を重ねることにより、トレッド部とビード部とのタイヤ周方向長さの差を吸収し、皺などを発生させることなくトロイド状のカーカスプライ6Aを見映え良く形成できる。
【0040】
また、図10(A)、(B)に示されるように、タイヤ軸方向bの両側縁に、該側縁からタイヤ軸方向内側にのびる小長さのスリットeが隔設されたプライ6Sを中子12に少なくとも1周巻き付けることにより、トロイド状のカーカスプライ6Aを形成することもできる。この実施形態においても、ビード部側において、スリットeで分断されたプライ部分を重ねることにより、皺などを発生させることなくトロイド状のカーカスプライ6Aを見映え良く形成できる。
【0041】
しかる後、図11に示されるように、環状のビードコア5をカーカスプライ6Aに嵌め込むとともに、ビードエーペックスゴム8Gを貼り付けて該カーカスプライ6Aをビードコア5の周りで巻上げる。しかる後、クリンチサイドゴム4G2、サイドウォールゴム3G、ベルト層7及びトレッドゴム2Gがそれらの外側に貼り付けされる。これにより、中子12の外側に生タイヤ30が成形される。
【0042】
次に、加硫工程が行われる。図12には、加硫工程中の断面図が示される。加硫金型Mは、例えば、前記実施形態と同様の分割型が採用できる一方、その内部には生タイヤ30及び中子12をともに挿入しうる空洞部が設けられる。加硫工程では、前記生タイヤ30及び中子12がともに加硫金型Mに投入された後、、該加硫金型Mが閉じられ、また加熱される。これにより、生タイヤ30の各ゴム部は可塑化し、加硫金型Mの成形面32及び中子12の成形面18に沿って加硫成形される。このため、中子12は、加硫中の熱に耐えうるように、例えばアルミニウム合金等の金属材料で形成されることが望ましい。なお、生タイヤ30をタイヤ内腔面9側から積極的に加熱するために、前記中子12を加熱しても良いのは言うまでもない。
【0043】
また、加硫工程では、発泡材料10Gに、トレッドゴム2G等を介して加硫金型Mからの熱が伝えられるとともに、空気圧調節具Pによって真空引きし、前記凹溝20内を負圧とすることにより、発泡材料10Gの発泡を促進させる段階を含む。このように、凹溝20内を負圧に設定することにより、発泡材が所定の発泡温度に達すると抵抗を生じることなく凹溝20内で体積を膨張させることができ、発泡を促進できる。
【0044】
また、発泡材料10Gは、凹溝20内の前記隙間Sを埋めるように体積膨張するとともに、凹溝20の表面によって膨張変形が抑制され、ひいては、凹溝20の断面形状にほぼ等しく成形することができる。このような作用を有効に発揮させるために、発泡材料10Gは、凹溝20の容積Vgを超える膨張変形が可能、つまり発泡時に凹溝20を埋める膨張変形をなし得るよう、発泡剤等の配合量が設定されるのが望ましい。なお、同時に、発泡材料10Gとインナーライナゴム11Gとが一体に加硫接着される。
【0045】
ここで、凹溝20内を負圧とする際、その圧力は特に限定されるものではないが、負圧が大きすぎると(ゲージ圧が小さすぎると)、加硫中に発泡材料10Gがインナーライナゴム11Gから剥離したり、トレッド部の形状を歪かするおそれがあり、逆に負圧が小さすぎる(ゲージ圧が大きすぎると)と発泡材料10Gの発泡を促進させる効果が十分に期待できない。このような観点より、凹溝20内の好ましい負圧力は、ゲージ圧で、−80〜−20kPa、より好ましくは−80〜−50kPa程度が望ましい。
【0046】
また、凹溝20内の圧力は、加硫中の大部分(例えば加硫初期から全加硫時間の80%まで)において、外部連通(大気圧)又は加圧状態(例えば大気圧より大かつ2500kPa以下)としてインナーライナゴム11Gやトレッドゴム等をしっかりと加硫させる一方、加硫終盤にのみ凹溝20内を前記負圧として一気に発泡材料10Gを膨張させることが特に望ましい。
【0047】
上記加硫工程が終了すると、加硫金型Mから中子12とともに空気入りタイヤ1が取り出され、その後、中子12を分解することにより、加硫済みの空気入りタイヤ1が得られる。
【0048】
また、第1、第2の発明において、図13に示されるように、加硫工程後、吸音具10のタイヤ内腔iを向く外表面10Sを薄く除去することにより、その内部に形成された気泡pを表面に露出させる表面研削工程を含むことが望ましい。これにより、吸音具10の気泡pとタイヤ内腔iの空気との接触機会が増加し、吸音効果をさらに向上させる。特に、発泡材料10Gをインナーライナゴム11Gとカーカスプライ6Aとの内側に配置したような実施形態では、このような研削工程を行うことにより、インナーライナゴム11Gを剥離させて発泡材料10Gをタイヤ内腔iに露出させることが望ましい。
【0049】
また、図14に示されるように、外周面に針状の突起35を多数有するローラRを加硫済又は加硫前において、吸音具10の表面に押圧して転動させる工程も好ましく行いうる。このような工程を行うことにより、突起35が、吸音具10の内部に形成された独立気泡を互いに連通させる貫通孔を形成し、それらを連続気泡へと変え、ひいては気泡pとタイヤ内腔iの空気との接触機会を増加させ得る点で好ましい。
【実施例】
【0050】
(第1の発明)
タイヤサイズ195/65R15の乗用車用空気入りタイヤを第1の発明に従って10本製造した(実施例1及び2)。加硫前の発泡材料等の仕様は次の通りである。
【0051】
<発泡材料の仕様>
発泡材料の幅:50mm
発泡材料の厚さ:10mm
発泡材料の配合:表1の通り
(発泡材料は円周方向に連続して巻き付けられた。)
<工程時間>
第1の工程時間t1:9分
第2の工程時間t2:0.5分
【0052】
【表1】
【0053】
また、比較のために、実施例と同じ生タイヤを従来の方法(第1の工程のみであり、金型を開くときに同時にブラダーを自然排気により収縮させるもの)にて空気入りタイヤを10本製造した(比較例)。
【0054】
吸音具を肉眼で観察したところ、実施例のものは、発泡材料が十分に発泡していたが、比較例のものは、発泡材料が殆ど発泡していなかった。
【0055】
次に、各空気入りタイヤをリムに装着し、排気量2000ccの国産FF乗用車の全輪装着し、ロードノイズ計測路(アスファルト粗面路)を時速60km/hで走行したときの、運転席窓側耳位置における車内音を測定した。そして、挟帯域240Hz付近の気柱共鳴音のピーク値の音圧レベルを測定した。結果は、吸音具のない空気入りタイヤ(従来例)の音圧レベルを100とする指数で評価した。数値が大きいほど良好である。
テストの結果を表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】
テストの結果、実施例のタイヤはロードノイズを低減していることが確認できた。また、実施例の中でも、吸音具の表面を削って気泡を露出させた実施例2は、実施例1に比べて優れたロードノイズ低減効果を発揮していることが確認できた。
【0058】
(第2の発明)
タイヤサイズ195/65R15の乗用車用空気入りタイヤを第2の発明に従って10本製造した(実施例3及び4)。加硫前の発泡材料等の仕様は第1の発明の実施例と同一である。また、凹溝等の仕様は次の通りである。
【0059】
<凹溝の仕様>
凹溝の最大溝幅:70mm
凹溝の最大深さ:20mm
凹溝の容積:266093mm3
凹溝内の圧力:2000kPa(gauge )、加硫終盤:−70kPa(gauge )
【0060】
吸音具を肉眼で観察したところ、実施例のものは、発泡材料が十分に発泡していたが、比較例のものは、発泡材料が殆ど発泡していなかった。
【0061】
次に、各空気入りタイヤをリムに装着し、上記と同様のロードノイズ試験を行い、吸音具のない空気入りタイヤ(従来例)の音圧レベルを100とする指数で評価した。数値が大きいほど良好である。
テストの結果を表3に示す。
【0062】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明によって製造される空気入りタイヤの断面図である。
【図2】生タイヤの断面図である。
【図3】加硫工程の第1の段階を示す断面図である。
【図4】加硫工程の第2の段階を示す断面図である。
【図5】金型からタイヤを取り外す際の断面図である。
【図6】加硫工程のタイムチャートである。
【図7】生タイヤ成形用の中子の断面図である。
【図8】その部分拡大図である。
【図9】(A)はカーカスプライを製造するためのプライ片の展開斜視図、(B)はその貼り付け方法を示す斜視図である。
【図10】(A)はカーカスプライを製造するためのカーカスプライの展開斜視図、(B)はその貼り付け方法を示す斜視図である。
【図11】生タイヤ成形工程を説明する断面図である。
【図12】加硫工程を説明する断面図である。
【図13】吸音具の拡大断面図である。
【図14】吸音具の独立気泡を連続気泡化する工程を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
9 タイヤ内腔面
9a トレッド部の内腔面
10 吸音具
10G 発泡材料
12 中子
20 凹溝
30 生タイヤ
M 金型
B ブラダー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド部の内腔面側に、発泡体からなりかつタイヤ周方向にのびる吸音具が設けられた空気入りタイヤを製造する空気入りタイヤの製造方法であって、
発泡剤を配合させた発泡材料を前記内腔面側に配して生タイヤを成形する生タイヤ成形工程と、
該生タイヤを金型及びブラダーを用いて加硫する加硫工程とを含むとともに、
前記加硫工程は、前記ブラダーの内部に高圧流体を供給することにより、該ブラダーを前記トレッド部の内腔面に密着させて加硫を行う第1の段階と、
前記第1の段階の後、ブラダーを真空引きすることにより、トレッド部の内腔面から直ちにブラダーを離間させて前記発泡材料の発泡を促進させる第2の段階とを含むことを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
【請求項2】
前記第2の段階は、金型を開くことなく行われる請求項1記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項3】
トレッド部の内腔面側に、発泡体からなりかつタイヤ周方向にのびる吸音具が設けられた空気入りタイヤを製造する空気入りタイヤの製造方法であって、
生タイヤ成形用の中子を用いて未加硫の生タイヤを成形する生タイヤ成形工程と、
前記生タイヤを前記中子とともに金型で加硫する加硫工程とを含むとともに、
前記中子は、トレッド部の内腔面を成形するトレッド成形面に、タイヤ周方向にのびる少なくとも1本の凹溝が設けられ、かつ前記生タイヤは、前記トレッド部の内腔面側に固着されかつタイヤ周方向にのびる未発泡状態の発泡材料が前記凹溝内に隙間を有して配されるとともに、
前記加硫工程は、前記凹溝内を負圧として前記発泡材料の発泡を促進させる段階を含むことを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
【請求項1】
トレッド部の内腔面側に、発泡体からなりかつタイヤ周方向にのびる吸音具が設けられた空気入りタイヤを製造する空気入りタイヤの製造方法であって、
発泡剤を配合させた発泡材料を前記内腔面側に配して生タイヤを成形する生タイヤ成形工程と、
該生タイヤを金型及びブラダーを用いて加硫する加硫工程とを含むとともに、
前記加硫工程は、前記ブラダーの内部に高圧流体を供給することにより、該ブラダーを前記トレッド部の内腔面に密着させて加硫を行う第1の段階と、
前記第1の段階の後、ブラダーを真空引きすることにより、トレッド部の内腔面から直ちにブラダーを離間させて前記発泡材料の発泡を促進させる第2の段階とを含むことを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
【請求項2】
前記第2の段階は、金型を開くことなく行われる請求項1記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項3】
トレッド部の内腔面側に、発泡体からなりかつタイヤ周方向にのびる吸音具が設けられた空気入りタイヤを製造する空気入りタイヤの製造方法であって、
生タイヤ成形用の中子を用いて未加硫の生タイヤを成形する生タイヤ成形工程と、
前記生タイヤを前記中子とともに金型で加硫する加硫工程とを含むとともに、
前記中子は、トレッド部の内腔面を成形するトレッド成形面に、タイヤ周方向にのびる少なくとも1本の凹溝が設けられ、かつ前記生タイヤは、前記トレッド部の内腔面側に固着されかつタイヤ周方向にのびる未発泡状態の発泡材料が前記凹溝内に隙間を有して配されるとともに、
前記加硫工程は、前記凹溝内を負圧として前記発泡材料の発泡を促進させる段階を含むことを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−74013(P2008−74013A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−257701(P2006−257701)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】
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