説明

突出形状測定装置および突出形状測定方法およびプログラム

【課題】測定対象の突部の突出形状を容易かつ精度良く測定する。
【解決手段】ロータリーダイカッター10のダイカットロール20の刃型22の突出形状を測定する突出形状測定装置1は、ロータリーダイカッター10が載置された走査ステージ16をダイカットロール20の回転軸線Nの軸線方向に移動させる駆動装置14と、走査時に変位計11から逐次出力される変位出力Yおよび受光量LIの走査位置xに応じた変化を検出する変位出力取得部52および受光量取得部53と、受光量LIが最大の走査位置xでの変位出力Yにより刃型22の刃先突出高さを検出する突出高さ算出部54と、走査位置xに応じた受光量LIの変化に係る状態量の検出値と、刃型22の刃先幅および状態量をパラメータとして作成したモデルデータとを比較し、状態量の検出値に対応するモデルデータから刃先幅を検出する突出幅算出部55とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、突出形状測定装置および突出形状測定方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば外周面から径方向外側に向けて突出した刃型が形成されたダイカットロールと、外周面が平滑に形成されたアンビルロールとを、互いの回転軸線が平行かつ互いの外周面が対向するように配置し、ダイカットロールとアンビルロールとの間に、例えば不織布、紙、フィルム、電極シートなどのシート状のワークを挿通させて、ワークを切断加工するロータリーダイカッターが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このロータリーダイカッターでは、ダイカットロールの刃型は、突出方向先端側に向かうことに伴い近接する一対の側壁部と突出方向先端で突出方向に直交するように延在する刃先平坦部とを備えて構成され、高速輪郭切断工具としての所望の加工精度および寿命を確保するために、刃型の刃先平坦部の幅(刃先幅)および高さ(刃先突出高さ)などの突出形状を精度良く測定する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−107047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術の一例に係るロータリーダイカッターとして長尺のワークを加工するロータリーダイカッターでは、ダイカットロールの刃型は、ダイカットロールおよびアンビルロールの回転軸線方向の長さ(例えば、数百mmなど)に比べて相対的に小さい刃先幅(例えば、数10μmなど)の刃先平坦部を有し、さらに、この刃先平坦部は、刃先幅(例えば、数10μmなど)に比べて相対的に大きい刃先突出高さ(例えば、数10mmなど)を有しており、例えば接触式変位計による刃先突出高さの測定やカメラの撮像による刃先幅の測定では、精度の良い測定が困難であるという問題が生じる。
例えば接触式変位計による刃先突出高さの測定では、ダイカットロールの軸線方向での所望の走査速度による高速の走査時に測定範囲の長さ(例えば、数百mmなど)に起因した走査運動誤差の増大などにより測定誤差が増大してしまうと共に接触式変位計により刃型が損傷してしまう虞がある。しかも、接触式変位計では、刃先平坦部の小さい刃先幅(例えば、数10μmなど)を精度良く測定するために必要とされる所望の分解能を確保することが困難である。
また、例えばカメラの撮像では、所望の精度を確保することが困難であると共に、煩雑な画像処理が必要となって測定に要する時間が嵩むという問題が生じる。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、測定対象に設けられた突部の突出高さおよび突出幅などの突出形状を容易かつ精度良く測定することが可能な突出形状測定装置および突出形状測定方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明の第1態様に係る突出形状測定装置は、測定対象(例えば、実施の形態でのロータリーダイカッター10のダイカットロール20)に設けられた突部(例えば、実施の形態での刃型22)の突出形状を測定する突出形状測定装置であって、前記突部の突出方向に平行な方向において前記測定対象に対して対向配置され、前記測定対象に照射した電磁波(例えば、実施の形態でのレーザ光)の反射波に基づき、前記反射波の反射位置との間の距離および前記反射波の強度を検出し、検出結果の信号を出力する変位計(例えば、実施の形態での変位計11)と、前記変位計と前記測定対象とを前記突出方向に直交する方向に相対移動させる移動手段(例えば、実施の形態での駆動装置14および走査ステージ16)と、前記移動手段による前記相対移動の実行時に前記変位計から出力される前記信号に基づき、前記変位計と前記突部との相対位置の変化に応じた前記距離および前記強度の変化を検出する変化検出手段(例えば、実施の形態での変位出力取得部52、受光量取得部53)と、前記変化検出手段により検出された前記相対位置の変化に応じた前記距離および前記強度の変化に基づき、前記強度が最大の前記相対位置での前記距離により前記突部の突出高さを検出する突出高さ検出手段(例えば、実施の形態での突出高さ算出部54)とを備える。
【0007】
本発明の第2態様に係る突出形状測定装置は、前記変化検出手段により検出された前記相対位置の変化に応じた前記強度の変化に係る状態量の検出値と、少なくとも前記突部の突出幅および前記状態量をパラメータとして作成したモデルデータとを比較し、前記状態量の検出値に対応する前記モデルデータから前記突部の突出幅を検出する突出幅検出手段(例えば、実施の形態での突出幅算出部55)を備える。
【0008】
本発明の第3態様に係る突出形状測定装置は、測定対象(例えば、実施の形態でのロータリーダイカッター10のダイカットロール20)に設けられた突部(例えば、実施の形態での刃型22)の突出形状を測定する突出形状測定装置であって、前記突部の突出方向に平行な方向において前記測定対象に対して対向配置され、前記測定対象に照射した電磁波の反射波に基づき、前記反射波の反射位置との間の距離および前記反射波の強度を検出し、検出結果の信号を出力する変位計(例えば、実施の形態での変位計11)と、前記変位計と前記測定対象とを前記突出方向に直交する方向に相対移動させる移動手段(例えば、実施の形態での駆動装置14および走査ステージ16)と、前記移動手段による前記相対移動の実行時に前記変位計から出力される前記信号に基づき、前記変位計と前記突部との相対位置の変化に応じた前記強度の変化を検出する強度変化検出手段(例えば、実施の形態での受光量取得部53)と、前記強度変化検出手段により検出された前記相対位置の変化に応じた前記強度の変化に係る状態量の検出値と、少なくとも前記突部の突出幅および前記状態量をパラメータとして作成したモデルデータとを比較し、前記状態量の検出値に対応する前記モデルデータから前記突部の突出幅を検出する突出幅検出手段(例えば、実施の形態での突出幅算出部55)とを備える。
【0009】
本発明の第4態様に係る突出形状測定装置は、前記モデルデータは前記突部の突出幅と前記電磁波の照射範囲の大きさと前記状態量とをパラメータとして作成され、前記突出幅検出手段は、複数の異なる所定の前記状態量の検出値に対応する複数の前記モデルデータ同士間において前記突部の突出幅と前記電磁波の照射範囲の大きさとの対応関係が一致する場合での前記突部の突出幅を検出する。
【0010】
本発明の第5態様に係る突出形状測定装置は、前記移動手段による前記相対移動の移動真直度誤差を算出する移動真直度誤差算出手段(例えば、実施の形態での誤差検出部51)と、前記移動真直度誤差算出手段により検出された前記移動真直度誤差に基づき、前記移動手段による前記相対移動の実行時に前記変位計から出力される前記信号を補正する補正手段(例えば、実施の形態での変位出力取得部52、受光量取得部53が兼ねる)とを備える。
【0011】
本発明の第6態様に係る突出形状測定方法は、測定対象(例えば、実施の形態でのロータリーダイカッター10のダイカットロール20)に設けられた突部(例えば、実施の形態での刃型22)の突出形状を測定する突出形状測定方法であって、前記突部の突出方向に平行な方向において前記測定対象に対して対向配置され、前記測定対象に照射した電磁波(例えば、実施の形態でのレーザ光)の反射波に基づき、前記反射波の反射位置との間の距離および前記反射波の強度を検出し、検出結果の信号を出力する変位計(例えば、実施の形態での変位計11)と、前記測定対象とを前記突出方向に直交する方向に相対移動させる移動ステップ(例えば、実施の形態でのステップS02)と、前記移動ステップによる前記相対移動の実行時に前記変位計から出力される前記信号に基づき、前記変位計と前記突部との相対位置の変化に応じた前記距離および前記強度の変化を検出する変化検出ステップ(例えば、実施の形態でのステップS03)と、前記変化検出ステップにより検出された前記相対位置の変化に応じた前記距離および前記強度の変化に基づき、前記強度が最大の前記相対位置での前記距離により前記突部の突出高さを検出する突出高さ検出ステップ(例えば、実施の形態でのステップS05〜ステップS08)とを含む。
【0012】
本発明の第7態様に係る突出形状測定方法は、前記変化検出ステップにより検出された前記相対位置の変化に応じた前記強度の変化に係る状態量の検出値と、少なくとも前記突部の突出幅および前記状態量をパラメータとして作成したモデルデータとを比較し、前記状態量の検出値に対応する前記モデルデータから前記突部の突出幅を検出する突出幅検出ステップ(例えば、実施の形態でのステップS09〜ステップS11)を含む。
【0013】
本発明の第8態様に係る突出形状測定方法は、測定対象(例えば、実施の形態でのロータリーダイカッター10のダイカットロール20)に設けられた突部(例えば、実施の形態での刃型22)の突出形状を測定する突出形状測定方法であって、前記突部の突出方向に平行な方向において前記測定対象に対して対向配置され、前記測定対象に照射した電磁波の反射波に基づき、前記反射波の反射位置との間の距離および前記反射波の強度を検出し、検出結果の信号を出力する変位計(例えば、実施の形態での変位計11)と、前記測定対象とを前記突出方向に直交する方向に相対移動させる移動ステップ(例えば、実施の形態でのステップS02)と、前記移動ステップによる前記相対移動の実行時に前記変位計から出力される前記信号に基づき、前記変位計と前記突部との相対位置の変化に応じた前記強度の変化を検出する強度変化検出ステップ(例えば、実施の形態でのステップS03が兼ねる)と、前記強度変化検出ステップにより検出された前記相対位置の変化に応じた前記強度の変化に係る状態量の検出値と、少なくとも前記突部の突出幅および前記状態量をパラメータとして作成したモデルデータとを比較し、前記状態量の検出値に対応する前記モデルデータから前記突部の突出幅を検出する突出幅検出ステップ(例えば、実施の形態でのステップS09〜ステップS11)とを含む。
【0014】
本発明の第9態様に係る突出形状測定方法は、前記モデルデータは前記突部の突出幅と前記電磁波の照射範囲の大きさと前記状態量とをパラメータとして作成され、前記突出幅検出ステップは、複数の異なる所定の前記状態量の検出値に対応する複数の前記モデルデータ同士間において前記突部の突出幅と前記電磁波の照射範囲の大きさとの対応関係が一致する場合での前記突部の突出幅を検出する。
【0015】
本発明の第10態様に係る突出形状測定方法は、前記移動手段による前記相対移動の移動真直度誤差を算出する移動真直度誤差算出ステップ(例えば、実施の形態でのステップS01)と、前記移動真直度誤差算出ステップにより検出された前記移動真直度誤差に基づき、前記移動手段による前記相対移動の実行時に前記変位計から出力される前記信号を補正する補正ステップ(例えば、実施の形態でのステップS03が兼ねる)とを含む。
【0016】
本発明の第11態様に係るプログラムは、コンピュータを、測定対象(例えば、実施の形態でのロータリーダイカッター10のダイカットロール20)に設けられた突部(例えば、実施の形態での刃型22)の突出形状を測定する手段として機能させるためのプログラムであって、前記突部の突出方向に平行な方向において前記測定対象に対して対向配置され、前記測定対象に照射した電磁波(例えば、実施の形態でのレーザ光)の反射波に基づき、前記反射波の反射位置との間の距離および前記反射波の強度を検出し、検出結果の信号を出力する変位計(例えば、実施の形態での変位計11)と、前記測定対象とを前記突出方向に直交する方向に相対移動させる移動手段(例えば、実施の形態での駆動装置14)と、前記移動手段による前記相対移動の実行時に前記変位計から出力される前記信号に基づき、前記変位計と前記突部との相対位置の変化に応じた前記距離および前記強度の変化を検出する変化検出手段(例えば、実施の形態での変位出力取得部52、受光量取得部53)と、前記変化検出手段により検出された前記相対位置の変化に応じた前記距離および前記強度の変化に基づき、前記強度が最大の前記相対位置での前記距離により前記突部の突出高さを検出する突出高さ検出手段(例えば、実施の形態での突出高さ算出部54)として機能させる。
【0017】
本発明の第12態様に係るプログラムは、コンピュータを、前記変化検出手段により検出された前記相対位置の変化に応じた前記強度の変化に係る状態量の検出値と、少なくとも前記突部の突出幅および前記状態量をパラメータとして作成したモデルデータとを比較し、前記状態量の検出値に対応する前記モデルデータから前記突部の突出幅を検出する突出幅検出手段(例えば、実施の形態での突出幅算出部55)として機能させる。
【0018】
本発明の第13態様に係るプログラムは、コンピュータを、測定対象(例えば、実施の形態でのロータリーダイカッター10のダイカットロール20)に設けられた突部(例えば、実施の形態での刃型22)の突出形状を測定する手段として機能させるためのプログラムであって、前記突部の突出方向に平行な方向において前記測定対象に対して対向配置され、前記測定対象に照射した電磁波の反射波に基づき、前記反射波の反射位置との間の距離および前記反射波の強度を検出し、検出結果の信号を出力する変位計(例えば、実施の形態での変位計11)と、前記測定対象とを前記突出方向に直交する方向に相対移動させる移動手段(例えば、実施の形態での駆動装置14)と、前記移動手段による前記相対移動の実行時に前記変位計から出力される前記信号に基づき、前記変位計と前記突部との相対位置の変化に応じた前記強度の変化を検出する強度変化検出手段(例えば、実施の形態での受光量取得部53)と、前記強度変化検出手段により検出された前記相対位置の変化に応じた前記強度の変化に係る状態量の検出値と、少なくとも前記突部の突出幅および前記状態量をパラメータとして作成したモデルデータとを比較し、前記状態量の検出値に対応する前記モデルデータから前記突部の突出幅を検出する突出幅検出手段(例えば、実施の形態での突出幅算出部55)として機能させる。
【0019】
本発明の第14態様に係るプログラムは、前記モデルデータは前記突部の突出幅と前記電磁波の照射範囲の大きさと前記状態量とをパラメータとして作成され、前記突出幅検出手段は、複数の異なる所定の前記状態量の検出値に対応する複数の前記モデルデータ同士間において前記突部の突出幅と前記電磁波の照射範囲の大きさとの対応関係が一致する場合での前記突部の突出幅を検出する。
【0020】
本発明の第15態様に係るプログラムは、コンピュータを、記移動手段による前記相対移動の移動真直度誤差を算出する移動真直度誤差算出手段(例えば、実施の形態での誤差検出部51)と、前記移動真直度誤差算出手段により検出された前記移動真直度誤差に基づき、前記移動手段による前記相対移動の実行時に前記変位計から出力される前記信号を補正する補正手段(例えば、実施の形態での変位出力取得部52、受光量取得部53が兼ねる)として機能させる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1態様に係る突出形状測定装置によれば、変位計と突部との相対位置の変化に応じた変位計と反射位置との間の距離および反射波の強度の変化に基づき、強度が最大の相対位置での変位計と反射位置との間の距離により突部の突出高さを検出することから、突部の先端が電磁波(例えば、レーザ光)の照射範囲に比べて小さい場合であっても、突出高さを精度良く検出することができる。
しかも、測定対象に対して非接触で突出高さを検出可能であり、変位計と測定対象との相対移動を高速としても、運動誤差に起因する検出精度の低下を防止することができる。
【0022】
本発明の第2態様に係る突出形状測定装置によれば、突出高さの検出に必要とされるデータ(つまり、変位計と突部との相対位置の変化に応じた反射波の強度の変化)から、測定対象に対して非接触で突出幅を検出することができる。
しかも、反射波の強度の変化に係る状態量に対して検出値とモデルデータとを比較することから、例えば反射波の強度の変化自体に対して検出値とモデルデータとを比較する場合に比べて、より円滑かつ容易に比較を行なうことができ、突出幅の検出精度および検出結果の信頼性を向上させることができる。
【0023】
本発明の第3態様に係る突出形状測定装置によれば、変位計と突部との相対位置の変化に応じた反射波の強度の変化から、測定対象に対して非接触で突出幅を検出することができる。
しかも、反射波の強度の変化に係る状態量に対して検出値とモデルデータとを比較することから、例えば反射波の強度の変化自体に対して検出値とモデルデータとを比較する場合に比べて、より円滑かつ容易に比較を行なうことができ、突出幅の検出精度および検出結果の信頼性を向上させることができる。
【0024】
本発明の第4態様に係る突出形状測定装置によれば、変位計と突部との相対位置の変化に応じた反射波の強度の変化から、突部の突出幅と電磁波の照射範囲の大きさを、測定対象に対して非接触で検出することができる。
しかも、複数の異なる状態量の検出値の数を増大させることに伴い、突部の突出幅および電磁波の照射範囲の大きさの検出精度および検出結果の信頼性を向上させることができる。
【0025】
本発明の第5態様に係る突出形状測定装置によれば、移動真直度誤差の補正により、突部の突出形状の検出精度および検出結果の信頼性を向上させることができる。
【0026】
本発明の第6態様に係る突出形状測定方法によれば、変位計と突部との相対位置の変化に応じた変位計と反射位置との間の距離および反射波の強度の変化に基づき、強度が最大の相対位置での距離により突部の突出高さを検出することから、突部の先端が電磁波(例えば、レーザ光)の照射範囲に比べて小さい場合であっても、突出高さを精度良く検出することができる。
しかも、測定対象に対して非接触で突出高さを検出可能であり、変位計と測定対象との相対移動を高速としても、運動誤差に起因する検出精度の低下を防止することができる。
【0027】
本発明の第7態様に係る突出形状測定方法によれば、突出高さの検出に必要とされるデータ(つまり、変位計と突部との相対位置の変化に応じた反射波の強度の変化)から、測定対象に対して非接触で突出幅を検出することができる。
しかも、反射波の強度の変化に係る状態量に対して検出値とモデルデータとを比較することから、例えば反射波の強度の変化自体に対して検出値とモデルデータとを比較する場合に比べて、より円滑かつ容易に比較を行なうことができ、突出幅の検出精度および検出結果の信頼性を向上させることができる。
【0028】
本発明の第8態様に係る突出形状測定方法によれば、変位計と突部との相対位置の変化に応じた反射波の強度の変化から、測定対象に対して非接触で突出幅を検出することができる。
しかも、反射波の強度の変化に係る状態量に対して検出値とモデルデータとを比較することから、例えば反射波の強度の変化自体に対して検出値とモデルデータとを比較する場合に比べて、より円滑かつ容易に比較を行なうことができ、突出幅の検出精度および検出結果の信頼性を向上させることができる。
【0029】
本発明の第9態様に係る突出形状測定方法によれば、変位計と突部との相対位置の変化に応じた反射波の強度の変化から、突部の突出幅と電磁波の照射範囲の大きさを、測定対象に対して非接触で検出することができる。
しかも、複数の異なる状態量の検出値の数を増大させることに伴い、突部の突出幅および電磁波の照射範囲の大きさの検出精度および検出結果の信頼性を向上させることができる。
【0030】
本発明の第10態様に係る突出形状測定方法によれば、移動真直度誤差の補正により、突部の突出形状の検出精度および検出結果の信頼性を向上させることができる。
【0031】
本発明の第11態様に係るプログラムによれば、変位計と突部との相対位置の変化に応じた変位計と反射位置との間の距離および反射波の強度の変化に基づき、強度が最大の相対位置での距離により突部の突出高さを検出することから、突部の先端が電磁波(例えば、レーザ光)の照射範囲に比べて小さい場合であっても、突出高さを精度良く検出することができる。
しかも、測定対象に対して非接触で突出高さを検出可能であり、変位計と測定対象との相対移動を高速としても、運動誤差に起因する検出精度の低下を防止することができる。
【0032】
本発明の第12態様に係るプログラムによれば、突出高さの検出に必要とされるデータ(つまり、変位計と突部との相対位置の変化に応じた反射波の強度の変化)から、測定対象に対して非接触で突出幅を検出することができる。
しかも、反射波の強度の変化に係る状態量に対して検出値とモデルデータとを比較することから、例えば反射波の強度の変化自体に対して検出値とモデルデータとを比較する場合に比べて、より円滑かつ容易に比較を行なうことができ、突出幅の検出精度および検出結果の信頼性を向上させることができる。
【0033】
本発明の第13態様に係るプログラムによれば、変位計と突部との相対位置の変化に応じた反射波の強度の変化から、測定対象に対して非接触で突出幅を検出することができる。
しかも、反射波の強度の変化に係る状態量に対して検出値とモデルデータとを比較することから、例えば反射波の強度の変化自体に対して検出値とモデルデータとを比較する場合に比べて、より円滑かつ容易に比較を行なうことができ、突出幅の検出精度および検出結果の信頼性を向上させることができる。
【0034】
本発明の第14態様に係るプログラムによれば、変位計と突部との相対位置の変化に応じた反射波の強度の変化から、突部の突出幅と電磁波の照射範囲の大きさを、測定対象に対して非接触で検出することができる。
しかも、複数の異なる状態量の検出値の数を増大させることに伴い、突部の突出幅および電磁波の照射範囲の大きさの検出精度および検出結果の信頼性を向上させることができる。
【0035】
本発明の第15態様に係るプログラムによれば、移動真直度誤差の補正により、突部の突出形状の検出精度および検出結果の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態に係る突出形状測定装置を示す構成図である。
【図2】本発明の実施形態であるロータリーダイカッターの斜視図である。
【図3】図2に示すロータリーダイカッターに備えられたダイカットロールの正面図である。
【図4】図3に示すダイカットロールに形成された刃型の断面図である。
【図5】図1に示す突出形状測定装置の変位計を示す構成図である。
【図6】図1に示す突出形状測定装置の変位計によりダイカットロールを走査する際の誤差(軸振れ誤差、移動真直度誤差)を示す図である。
【図7】図1に示す突出形状測定装置の変位計による軸振れ誤差の測定を説明する図である。
【図8】図1に示す突出形状測定装置の走査ステージの移動真直度誤差を測定する反転法を説明する図である。
【図9】本発明の実施形態の実施例および比較例に係る変位計の出力(変位出力および受光量)の例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る変位計のレーザスポットと刃先平坦部との相対位置に応じた受光素子での受光領域の例を示す図である。
【図11】本発明の実施形態の実施例および比較例に係る刃先平坦部での実際の照射領域の重心Rcの例を示す図である。
【図12】本発明の実施形態に係る変位計の出力(変位出力および受光量)の実測値の例を示す図である。
【図13】図1に示す突出形状測定装置による刃先突出高さの検出結果の線形性および繰り返し性の例を示す図である。
【図14】本発明の実施形態の実施例および比較例に係る突出形状測定装置による刃先突出高さの検出結果の走査速度に応じた変化の例を示す図である。
【図15】本発明の実施形態に係る変位計の出力(変位出力および受光量)の実測値の例を示す図である。
【図16】本発明の実施形態に係る50%受光量幅T(50)と刃先幅との変化を示す2次元のモデルデータの例を示す図である。
【図17】本発明の実施形態に係る50%受光量幅T(50)と刃先幅とスポット長辺半径との変化を示す3次元のモデルデータの例を示す図である。
【図18】本発明の実施形態に係る50%受光量幅T(50)とスポット長辺半径との変化を示す2次元のモデルデータの例を示す図である。
【図19】本発明の実施形態に係る刃先幅とスポット長辺半径との変化を示す2次元のモデルデータの例を示す図である。
【図20】本発明の実施形態に係る刃先幅とスポット長辺半径との変化を示す2次元のモデルデータの例を示す図である。
【図21】図1に示す突出形状測定装置による刃先幅の検出結果の線形性の例を示す図である。
【図22】図1に示す突出形状測定装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の突出形状測定装置および突出形状測定方法およびプログラムの一実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0038】
本実施の形態に係る突出形状測定装置1は、測定対象に設けられた突部の突出形状として突出高さおよび突出幅を測定可能であって、例えば不織布、紙、フィルム、電極シートなどのシート状のワークを切断加工するロータリーダイカッター10のダイカットロール20の外周面20Aに形成された凸状の刃型22の突出形状を測定する際に用いられる。
この突出形状測定装置1は、例えば図1に示すように、測定対象に電磁波を照射し、この電磁波の反射波に基づき、反射位置までの距離を検出する変位計として、例えばレーザ光を電磁波として用いるレーザ式変位計などの変位計11と、変位計11から出力されるデータを処理する処理装置12と、制御装置13と、制御装置13により制御され、ロータリーダイカッター10と変位計11とを相対移動させる駆動装置14と、ステージ15とを備えて構成されている。
なお、変位計11はレーザ式変位計に限定されず、レーザ光の代わりに他の電磁波を用いる変位計であってもよい。
【0039】
このロータリーダイカッター10は、例えば図2に示すように、長尺のワークとして、例えばアルミニウムや銅などの金属箔の表面に電極材料が塗布されたリチウムイオン2次電池の電極シートSを所定形状に切断する際に用いられる。
なお、この電極シートS(金属箔)の厚さStは、例えばSt=数10μmとされ、電極シートS(金属箔)の幅Swは、例えばSw=数百mmとされている。
そして、ロータリーダイカッター10は、各回転軸線M、Nの軸線方向に延びる多段円柱状をなすダイカットロール20およびアンビルロール30と、ハウジング40とを備えて構成されている。
【0040】
アンビルロール30は、超硬合金または一般鋼材などで構成され、外周面30Aは回転軸線Nを中心とした円筒状に形成されるとともに平滑な面とされている。アンビルロール30の両端部には、アンビルロール30の回転軸線Nの軸線方向に延びる軸部31が形成されている。また、アンビルロール30の外周面30Aには、後述するベアラー部25と摺接するベアラー受け部(図示略)が設けられている。
【0041】
ダイカットロール20は、超硬合金または工具鋼などの硬質材料で構成されており、回転軸線Mの両端部に軸線方向に延びる軸部21が形成されている。ダイカットロール20の外周面20Aには、凸状の刃型22が形成されており、この刃型22から軸線方向の両端側に間隔をあけて、外周面20Aの外径よりも一段大径とされたベアラー部25が形成されている。
【0042】
ベアラー部25は、ダイカットロール20の外周面20Aから径方向外側に突出するようにして構成されており、ダイカットロール20の外周面20Aからのベアラー部25の突出高さは、ダイカットロール20の外周面20Aからの刃型22の突出高さ(刃先突出高さ)に対してわずかに低く(例えば、数μm程度低く)設定されている。また、軸線方向の両端側の1対のベアラー部25間の長さは、例えば数百mmなどに形成されている。
【0043】
刃型22は、超硬合金または工具鋼などの硬質材料で構成されており、例えば図3に示すように概略正方形状などの適宜の形状をなしている。この刃型22は、ダイカットロール20の径方向外側に向けて突出するように構成されており、この突出方向(ダイカットロール20の径方向)に沿った断面において、例えば図4に示すようにダイカットロール20の径方向外側、つまり刃型22の突出方向先端側(例えば図4に示す矢印Uの方向)に向かうにしたがい互いに近接する一対の側壁部23、23と、刃型22の突出方向先端に設けられた幅(刃先幅)Wの刃先平坦部24とを備えている。
【0044】
この突出方向(ダイカットロール20の径方向)に沿った断面において、例えば一対の側壁部23、23がそれぞれ突出方向となす角度α(例えば、α=15°など)は同一に設定され、刃型22の断面は概略等脚台形状をなしている。
【0045】
そして、刃先平坦部24の刃先幅Wは、例えば数10μmなどであって、切断する電極シートSの厚さStに対してW<Stとなるのが望ましい。
また、刃先平坦部24の高さ、つまりダイカットロール20の外周面20Aからの刃型22の突出高さ(刃先突出高さ)Hは、例えば数10mmなどに形成されている。
また、概略正方形状の刃型22の軸線方向の長さは、例えば数百mmなどに形成されている。
【0046】
ダイカットロール20とアンビルロール30とは、互いの外周面20A,30A同士が対向し、かつ、互いの回転軸線M、Nが平行になるように配置される。そして、ダイカットロール20の軸部21とアンビルロール30の軸部31とが、それぞれベアリングボックス(図示略)に回転可能に支持されるとともに、回転駆動装置(図示略)に連結されて、ハウジング40に収容されている。この回転駆動装置により、ダイカットロール20およびアンビルロール30は、それぞれ図1,2に示す回転方向Ra、Rb方向に回転駆動される。そして、ダイカットロール20とアンビルロール30との間に回転方向Ra、Rbの接線方向に沿って電極シートSが挿入され、刃型22がなす形状と同じ形状(例えば、概略正方形状などの適宜の形状)で電極シートSが切断加工される。
【0047】
ステージ15は、例えば図1に示すように、駆動装置14により水平方向の所定方向(X方向)に移動可能とされた走査ステージ16と、走査ステージ16とは独立してX方向の所定位置に固定された変位計固定部材17とを備えて構成されている。
さらに、変位計固定部材17は、手動などにより鉛直方向(Z方向)に移動可能な移動ステージ17aを備え、変位計11は移動ステージ17a上に固定されている。
そして、ロータリーダイカッター10のダイカットロール20の刃型22の突出形状が測定される場合には、ロータリーダイカッター10は、各回転軸線M、Nの軸線方向が走査ステージ16の移動方向(つまりX方向)に平行となるようにして、走査ステージ16上に載置され、変位計11はダイカットロール20の外周面20Aに対向配置される。
【0048】
変位計11は、例えば図5に示すように、三角測量方式のレーザ式変位計であって、駆動回路41により駆動される半導体レーザ42から出力されるレーザ光は、投光レンズ43により集光されて、測定対象に照射される。そして、測定対象から反射された反射光は受光レンズ44により受光素子45に導かれる。
受光素子45は、例えば1次元のPSD(光位置センサ:Position Sensitive Detector)などであって、光の受光位置に応じた2つの光電流I1,I2を出力する。この受光位置は、例えば変位計11から測定対象での反射光の反射位置までの距離に応じて変化することから、2つの光電流I1,I2の組み合わせに応じて反射位置を検出可能である。
なお、例えば図5に示す変位計11は、測定対象で反射される反射光のうち、特に正反射成分を受光するセンサ構造を有しており、測定対象に対向配置される変位計11の対向方向に対して所定の照射角度θ(0<θ<90°)が設定されている。
変位計11は、受光素子45から出力される2つの光電流I1,I2に基づき、例えば下記数式(1)に示すように、所定係数k1,k2により、変位計11から反射光の反射位置までの距離に係る変位出力Yと、反射光の受光量LIとを算出し、これらの算出結果の信号を出力する。
【0049】
【数1】

【0050】
処理装置12は、例えば図1に示すように、誤差検出部51と、変位出力取得部52と、受光量取得部53と、突出高さ算出部54と、突出幅算出部55とを備えて構成されている。
【0051】
誤差検出部51は、例えば図6に示すように、ダイカットロール20の刃型22の突出形状を測定する際の主な誤差、例えば半径方向回転軸振れ誤差eと、一方の軸部21に対する他方の軸部21の軸振れ誤差eと、走査ステージ16の移動真直度誤差eとを検出する。
例えばダイカットロール20の適宜の回転位置θにおけるX方向の適宜の位置xでの刃型22の刃先突出高さh(x,θ)に対して、変位計11の変位出力mは、例えば下記数式(2)に示すように、各誤差e,e,eに係る誤差e(θ),x・e(θ),e(x)を含んでいる。
【0052】
【数2】

【0053】
誤差検出部51は、各誤差e,eの検出時には、例えば図7に示すように、ダイカットロール20の軸線方向の両端部(例えば、一方および他方のベアラー部25など)においてダイカットロール20に対向配置された2つの変位計11(P1,P2)の各変位出力m、mを取得する。各変位出力m、mは、ダイカットロール20の軸線方向の長さLにより、例えば下記数式(3)に示すように記述される。これにより、例えば下記数式(4)に示すように、各変位出力m、mに基づき各誤差e,eが記述される。
【0054】
【数3】

【0055】
【数4】

【0056】
なお、ロータリーダイカッター10において、半径方向回転軸振れ誤差eおよび軸振れ誤差eが無視可能な程度に小さい場合には、これらの各誤差e,eに係る各誤差x・e(θ),e(x)の検出は省略可能である。
【0057】
誤差検出部51は、走査ステージ16の移動真直度誤差eの検出時には、走査ステージ16の運動誤差に繰り返し性があることを前提として、例えば図8(A),(B)に示すように、ロータリーダイカッター10の代わりに誤差測定用の所定の測定対象物60に対して反転法による誤差検出を行なう。
この測定対象物60は、例えばロータリーダイカッター10のダイカットロール20の軸線方向の長さLと同一の軸線方向長さを有する円筒部材などであって、軸線方向が走査ステージ16の移動方向(つまりX方向)に平行となるようにして、走査ステージ16上に載置される。
【0058】
そして、誤差検出部51は、走査ステージ16上で測定対象物60の配置を軸線方向に対して180°だけ回転させて配置状態を変更する前後、つまり図8(A),(B)に示す2つの配置状態毎において、走査ステージ16をX方向に移動させつつ、測定対象物60をX方向に直交する方向(Y方向)の両側から挟み込むようにして対向配置された1対の変位計11(P1,P2)の各変位出力m、mを取得する。
先ず、例えば図8(A)に示す第1の測定によれば、例えば下記数式(5)に示すように、X方向の適宜の位置xでの一方の変位計11(P1)の出力m(x)は、測定対象物60の一方の直線部の形状f(x)と、走査ステージ16の移動真直度誤差e(x)とを含み、他方の変位計11(P2)の出力m(x)は、測定対象物60の他方の直線部の形状g(x)と、走査ステージ16の移動真直度誤差e(x)とを含む。
次に、走査ステージ16上で測定対象物60の配置を軸線方向に対して180°だけ回転させて配置状態を変更した後において、例えば図8(B)に示す第2の測定によれば、例えば下記数式(6)に示すように、X方向の適宜の位置xでの一方の変位計11(P1)の出力m(x)´は、測定対象物60の他方の直線部の形状g(x)と、走査ステージ16の移動真直度誤差e(x)とを含み、他方の変位計11(P2)の出力m(x)´は、測定対象物60の一方の直線部の形状f(x)と、走査ステージ16の移動真直度誤差e(x)とを含む。
【0059】
【数5】

【0060】
【数6】

【0061】
上記数式(5),(6)により、例えば下記数式(7),(8)に示すように、X方向の適宜の位置xでの走査ステージ16の移動真直度誤差e(x)が記述される。
【0062】
【数7】

【0063】
【数8】

【0064】
なお、各変位計11(P1,P2)の出力には、走査ステージ16の移動方向と測定対象物60の軸線方向との傾きに係る成分が含まれる場合があることから、予め、各変位計11(P1,P2)の出力からX方向の位置xに関する一次近似によって傾きに係る成分が除去される。また、傾きに係る成分が除去された後のデータにはフーリエ変換が行なわれ、所定の高周波成分が除去された後に、逆フーリエ変換が行なわれている。
【0065】
変位出力取得部52は、走査時つまりロータリーダイカッター10が載置された走査ステージ16をX方向に移動させた状態で変位計11から逐次出力される変位出力Yを取得し、誤差検出部51により検出された各誤差(例えば、各誤差e,e,eなど)を補正し、補正後の変位出力Yを出力する。
受光量取得部53は、走査時つまりロータリーダイカッター10が載置された走査ステージ16をX方向に移動させた状態で変位計11から逐次出力される受光量LIを取得し、誤差検出部51により検出された各誤差(例えば、各誤差e,e,eなど)を補正し、補正後の受光量LIを出力する。
【0066】
突出高さ算出部54は、X方向の適宜の位置(走査位置)xに応じた変位出力Yおよび受光量LIの変化に基づき、ダイカットロール20の刃型22の刃先突出高さを算出する。
【0067】
突出幅算出部55は、X方向の適宜の位置(走査位置)xに応じた受光量LIの変化と、所定のモデルデータとに基づき、ダイカットロール20の刃型22の刃先幅を算出する。
【0068】
ところで、走査位置xに応じた変位出力Yおよび受光量LIの変化は、走査対象である刃型22の刃先幅と、変位計11から照射されるレーザ光のスポット(レーザスポット)の大きさ(つまり反射位置での照射領域の大きさ)との相対関係に応じて変化する。
例えば図9(A)に示すように、楕円形のレーザスポットの長径2rが刃先幅に比べて小さい場合には、刃先平坦部24に対応する走査位置xにおいて、変位出力Yおよび受光量LIが一定となる。この場合には、この変位出力Yの一定値が刃先突出高さに対応する値として、また、変位出力Yが一定値となる走査位置xの幅が刃先幅に対応する値として検出される。
一方、例えば図9(B)に示すように、楕円形のレーザスポットの長径2rが刃先幅に比べて大きい場合には、刃先平坦部24に対応する走査位置xであっても変位出力Yは単調減少傾向に変化する。
【0069】
例えば図10に示すように、楕円形のレーザスポットSが刃先幅に比べて大きい場合には、変位計11から照射されるレーザ光のレーザスポットSの一部のみに対して反射光が検出され、受光素子45における受光領域dが変化する。これに伴い、例えば図11(B)に示すように、楕円形のレーザスポットが刃先幅に比べて小さい場合にはレーザスポットの重心Scと刃先平坦部24での実際の照射領域の重心Rcとは一致するのに対して、例えば図11(A)に示すように、楕円形のレーザスポットSが刃先幅に比べて大きい場合にはレーザスポットの重心Scと刃先平坦部24での実際の照射領域の重心Rcとは相違する。しかも、レーザスポットSにおける光量分布はスポットの重心Scを中心とするガウス分布に近似することができ、変位出力Yおよび受光量LIはレーザスポットの重心Scに対して算出されることが前提となっている。
つまり、レーザスポットSが刃先幅に比べて大きい場合に変位出力Yが走査位置xに対して単調減少傾向に変化することは、レーザスポットSにおける光量分布がガウス分布に近似されること、および、変位出力Yおよび受光量LIがレーザスポットの重心Scに対して算出されること、および、レーザスポットの重心Scと刃先平坦部24での実際の照射領域の重心Rcとが相違することに起因している。そして、レーザスポットの重心Scと刃先平坦部24での実際の照射領域の重心Rcとが一致する場合に、走査位置xに応じて変化する受光量LIが最大値となる。
【0070】
このため、突出高さ算出部54は、走査位置xに応じた変位出力Yおよび受光量LIの変化において、例えば図12に示すように、先ず、受光量LIが最大値LImaxとなる走査位置xaを取得する。具体的には、走査位置xに応じた受光量LIのデータを適宜の関数(例えば、走査位置xを変数とする2次関数または3次関数など)によりフィッティングし、この関数の最大値LImaxおよび最大値LImaxに対応する走査位置xaを取得する。なお、走査位置xに応じた受光量LIの全データのうち、関数によるフィッティングを行う範囲は、例えば重相間などに応じて設定される。
次に、受光量LIが最大値LImaxとなる走査位置Xaに対応する変位出力Yaを取得する。具体的には、走査位置Xa周辺での走査位置xに応じた変位出力Yのデータを適宜の関数によりフィッティングし、この関数から走査位置xaに対応する変位出力Yaを取得する。
【0071】
この実施の形態に係る実施例として、刃型22と同等の形状を有する試験用部材に対して、刃型22の突出方向での試験用部材の位置(検出対象位置z0)を変化させた際に突出高さ算出部54により算出された刃先突出高さの変化を図13(A)に示した。また、刃型22の突出方向での試験用部材の位置(検出対象位置z0)を固定した状態で突出高さ算出部54により複数の検出度数で算出された刃先突出高さの変化を図13(B)に示した。図13(A),(B)より、突出高さ算出部54による算出結果の線形性および繰り返し性が十分に信頼性を有していることが認められる。
【0072】
また、この実施の形態に係る実施例として、移動ステージ17aの移動速度(走査速度)を1〜4倍に変更した際に突出高さ算出部54により算出された刃先突出高さの変化を図14(A)に示した。そして、この実施例に対する比較例として、移動ステージ17aの移動速度(走査速度)を1〜4倍に変更した際に接触式変位計により検出された刃先突出高さの変化を図14(B)に示した。比較例では走査速度の増大に伴い検出結果の精度および信頼性が低下していることに対して、実施例では走査速度の増大に起因する検出精度および信頼性の低下は認められない。
【0073】
突出幅算出部55は、例えばレーザスポットSの形状および大きさを既知とする場合には、X方向の適宜の位置(走査位置)xに応じた受光量LIの変化に係る状態量として、例えば受光量LIが最大値LImaxから所定割合(例えば、25%、50%、90%など)だけ低下した値に対応する2つの走査位置x間の距離(受光量幅)を用いて、この状態量に応じて変化する刃先幅のモデルデータをシミュレーションにより予め演算する。そして、状態量の検出値(つまり、受光量取得部53により取得された走査位置xに応じた受光量LIの変化から実際に検出される状態量の値)に対応するモデルデータから刃先幅を検出する。
【0074】
例えば図15に示すように、最大値LImaxの50%の値(LImax/2)に対応する2つの走査位置xb1,xb2間の距離(xb2−xb1)である50%受光量幅T(50)を受光量LIの変化に係る状態量として、この状態量に応じて変化する刃先幅のモデルデータは、例えば図16に示すように、50%受光量幅T(50)と刃先幅とによる2次元のデータとして記載される。なお、例えば図16に示すモデルデータでは、レーザスポットSは楕円形であって、長径2rおよび短径(1.2)rに対して、スポット長辺半径(つまりスポットの長径の半径)r=40μmであり、レーザスポットSにおける光量分布はスポットの重心Scを中心とするガウス分布であると仮定されている。
突出幅算出部55は、例えば図15から検出される50%受光量幅T(50)の検出値に対応する刃先幅を、例えば図16に示す50%受光量幅T(50)と刃先幅とによる2次元のモデルデータから取得する。
【0075】
また、突出幅算出部55は、例えばレーザスポットSの大きさを変数とする場合には、X方向の適宜の位置(走査位置)xに応じた受光量LIの変化に係る状態量として、例えば受光量LIが最大値LImaxから所定割合(例えば、25%、50%、90%など)だけ低下した値に対応する2つの走査位置x間の距離(受光量幅)を用いて、この状態量に応じて変化する刃先幅およびレーザスポットSの大きさのモデルデータをシミュレーションにより予め演算する。そして、複数の異なる状態量の検出値(つまり、受光量取得部53により取得された走査位置xに応じた受光量LIの変化から実際に検出される複数の異なる状態量の値)に対応する複数のモデルデータ同士間において、刃先幅およびレーザスポットSの大きさの対応関係が一致する場合での刃先幅を検出する。
【0076】
例えば図15に示すように、最大値LImaxの50%の値(LImax/2)に対応する2つの走査位置xb1,xb2間の距離(xb2−xb1)である50%受光量幅T(50)を受光量LIの変化に係る状態量として、この状態量に応じて変化する刃先幅およびレーザスポットSの大きさのモデルデータは、例えば図17に示すように、50%受光量幅T(50)と刃先幅とスポット長辺半径rとによる3次元のデータとして記載される。なお、例えば図17に示すモデルデータでは、レーザスポットSは楕円形であって、長径2rおよび短径(1.2)rに対して、スポット長辺半径rは変数とされ、レーザスポットSにおける光量分布はスポットの重心Scを中心とするガウス分布であると仮定されている。このような50%受光量幅T(50)と刃先幅とスポット長辺半径rとによる3次元のデータは、例えば図16に示すような50%受光量幅T(50)と刃先幅とによる2次元のデータ(図16ではスポット長辺半径r=40μm)を複数のスポット長辺半径rに対して演算すると共に、例えば図18に示すような50%受光量幅T(50)とスポット長辺半径rによる2次元のデータ(図18では刃先幅=40μm)を複数の刃先幅に対して演算することによって得られる。
【0077】
突出幅算出部55は、例えば図15から検出される50%受光量幅T(50)の検出値(例えば、50%受光量幅T(50)=54.8μm)に対応する刃先幅とスポット長辺半径rとの変化を、例えば図17に示す50%受光量幅T(50)と刃先幅とスポット長辺半径rとによる3次元のモデルデータから取得する。これにより、例えば図19に示すような刃先幅とスポット長辺半径rとによる2次元のデータが形成される。
そして、このような刃先幅とスポット長辺半径rとによる2次元のデータを、複数の異なる状態量の検出値、例えば最大値LImaxの25%、50%、90%の各値に対応する2つの走査位置間の距離(受光量幅)である25%受光量幅T(25)、50%受光量幅T(50)、90%受光量幅T(90)などに対して形成する。これにより、例えば図20に示すように、複数の異なる状態量の検出値毎に対して、刃先幅とスポット長辺半径rとによる2次元のデータが形成される。これらの複数の2次元のデータは、例えば図15に示す同一のデータ(つまり、走査位置xに応じた受光量LIの変化)に基づき検出された複数の異なる状態量に対応するものであることから、刃先幅とスポット長辺半径rとの適宜の組み合わせにおいて、互いに一致することになる。突出幅算出部55は、この一致点(例えば、図20での一致点P)でのスポット長辺半径rおよび刃先幅を検出する。
【0078】
この実施の形態に係る実施例として、ダイカットロール20の刃型22に対して突出幅算出部55により複数の検出度数で算出された突出幅の変化を図21に示した。この図21から突出幅算出部55による算出結果の繰り返し性が十分に信頼性を有していることが認められる。
【0079】
制御装置13は、駆動装置14の動作を制御しており、ロータリーダイカッター10が載置される走査ステージ16を駆動装置14によりX方向に移動させることで、変位計11がダイカットロール20の刃型22の刃先突出高さおよび刃先幅を走査するように制御する。
【0080】
本実施の形態による突出形状測定装置1は上記構成を備えており、以下に、この突出形状測定装置1による突出形状測定方法、特に、ロータリーダイカッター10のダイカットロール20の刃型22の刃先突出高さおよび刃先幅を測定する処理について説明する。
【0081】
先ず、例えば図22に示すステップS01においては、走査ステージ16の移動真直度誤差eを測定する。この処理では、走査ステージ16の運動誤差に繰り返し性があることを前提として、ロータリーダイカッター10の代わりに誤差測定用の所定の測定対象物60に対して反転法による誤差検出を行なう。
【0082】
そして、ステップS02においては、ロータリーダイカッター10を走査ステージ16に載置し、走査ステージ16を駆動装置14によりX方向に移動させる。
そして、ステップS03においては、走査ステージ16をX方向に移動させた状態で変位計11から逐次出力される変位出力Yおよび受光量LIを取得し、移動真直度誤差eなどの誤差を補正し、補正後の変位出力Yおよび受光量LIを記憶する。
【0083】
そして、ステップS04においては、走査ステージ16の移動つまり走査が終了したか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、上述したステップS03に戻る。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS05に進む。
【0084】
そして、ステップS05においては、走査位置xを変数として受光量LIのデータを適宜の関数(例えば、走査位置xを変数とする2次関数または3次関数など)によりフィッティングする。
そして、ステップS06においては、受光量LIのデータにフィッティングされた関数から受光量LIの最大値LImaxおよび最大値LImaxに対応する走査位置xaを取得する。
【0085】
そして、ステップS07においては、受光量LIが最大値LImaxとなる走査位置Xa周辺での走査位置xに応じた変位出力Yのデータを適宜の関数によりフィッティングし、この関数から走査位置xaに対応する変位出力Yaを取得する。
そして、ステップS08においては、取得した変位出力Yaを刃型22の刃先突出高さとする。
【0086】
次に、ステップS09においては、受光量LIのデータにフィッティングされた関数から、走査位置xに応じた受光量LIの変化に係る状態量として、25%受光量幅T(25)、50%受光量幅T(50)、90%受光量幅T(90)を検出する。
そして、ステップS10においては、複数の異なる状態量の検出値毎に対して、刃先幅とスポット長辺半径rとによる2次元のモデルデータ(マップ)をシミュレーションにより演算する。
そして、複数のモデルデータ(マップ)同士間において、刃先幅およびスポット長辺半径rの対応関係が一致する一致点でのスポット長辺半径rおよび刃先幅を検出し、エンドに進む。
【0087】
以上説明したように、本実施の形態に係る突出形状測定装置1および突出形状測定方法によれば、例えばロータリーダイカッター10などの測定対象に対して非接触で突出高さ(例えば、ダイカットロール20の刃型22の刃先突出高さ)および突出幅(例えば、ダイカットロール20の刃型22の刃先幅)を測定可能であって、測定対象の実機上で精度良くかつ信頼性高く検出を行なうことができる。
しかも、変位計11のレーザスポットSの大きさが測定対象に設けられた突部の大きさ(例えば、ダイカットロール20の刃型22の刃先幅)よりも大きい場合であっても、突出形状を精度良く検出することができ、走査速度を高速としても、運動誤差に起因する検出精度の低下を防止することができる。
【0088】
さらに、走査位置xに応じた受光量LIの変化に係る状態量(例えば、25%受光量幅T(25)、50%受光量幅T(50)、90%受光量幅T(90)など)に対して検出値とモデルデータとを比較することから、例えば走査位置xに応じた受光量LIの変化自体に対して検出値とモデルデータとを比較する場合に比べて、より円滑かつ容易に比較を行なうことができ、突出幅(例えば、ダイカットロール20の刃型22の刃先幅)の検出精度および検出結果の信頼性を向上させることができる。
【0089】
しかも、走査位置xに応じた受光量LIの変化に係る状態量と、突出幅(例えば、ダイカットロール20の刃型22の刃先幅)と、変位計11のレーザスポットSの大きさとをパラメータとするモデルデータをシミュレーションにより予め演算する場合には、突出幅(例えば、ダイカットロール20の刃型22の刃先幅)とレーザスポットSの大きさを、測定対象に対して非接触で検出することができる。この場合には、複数の異なる状態量の検出値(例えば、25%受光量幅T(25)、50%受光量幅T(50)、90%受光量幅T(90)など)の数を増大させることに伴い、突出幅(例えば、ダイカットロール20の刃型22の刃先幅)およびレーザスポットSの大きさの検出精度および検出結果の信頼性を向上させることができる。
【0090】
しかも、誤差検出部51により検出された各誤差の補正により、突部の突出形状の検出精度および検出結果の信頼性を向上させることができる。
【0091】
なお、上述した本実施の形態においては、測定対象に設けられた突部として、ダイカットロール20の刃型22に対して突出形状を測定するとしたが、これに限定されず、他の測定対象に設けられた突部に対して突出形状を測定してもよい。
なお、上述した本実施の形態においては、駆動装置14によってロータリーダイカッター10を移動させるとしたが、これに限定されず、各変位計11をX方向に移動させてもよい。
【0092】
なお、本発明の一実施形態に係る突出形状測定方法を実現する突出形状測定装置1は、専用のハードウェアにより実現されるものであっても良く、また、メモリおよびCPUを備えて構成され、突出形状測定装置1の処理装置12および制御装置13の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現するものであってもよい。
【0093】
また、上述した本発明に係る突出形状測定方法を実現するためのプログラムをコンピュータ読みとり可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより結晶形状の測定を行っても良い。なお、ここで言うコンピュータシステムとはOSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
【0094】
また、コンピュータ読みとり可能な記録媒体とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことを言う。さらに、コンピュータ読みとり可能な記録媒体とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記憶されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【符号の説明】
【0095】
10 ロータリーダイカッター(測定対象)
11 変位計
14 駆動装置(移動手段)
16 走査ステージ(移動手段)
20 ダイカットロール(測定対象)
22 刃型(突部)
51 誤差検出部(移動真直度誤差算出手段)
52 変位出力取得部(変化検出手段、補正手段)
53 受光量取得部(変化検出手段、強度変化検出手段、補正手段)
54 突出高さ算出部(突出高さ検出手段)
55 突出幅算出部(突出幅検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象に設けられた突部の突出形状を測定する突出形状測定装置であって、
前記突部の突出方向に平行な方向において前記測定対象に対して対向配置され、前記測定対象に照射した電磁波の反射波に基づき、前記反射波の反射位置との間の距離および前記反射波の強度を検出し、検出結果の信号を出力する変位計と、
前記変位計と前記測定対象とを前記突出方向に直交する方向に相対移動させる移動手段と、
前記移動手段による前記相対移動の実行時に前記変位計から出力される前記信号に基づき、前記変位計と前記突部との相対位置の変化に応じた前記距離および前記強度の変化を検出する変化検出手段と、
前記変化検出手段により検出された前記相対位置の変化に応じた前記距離および前記強度の変化に基づき、前記強度が最大の前記相対位置での前記距離により前記突部の突出高さを検出する突出高さ検出手段と
を備えることを特徴とする突出形状測定装置。
【請求項2】
前記変化検出手段により検出された前記相対位置の変化に応じた前記強度の変化に係る状態量の検出値と、少なくとも前記突部の突出幅および前記状態量をパラメータとして作成したモデルデータとを比較し、前記状態量の検出値に対応する前記モデルデータから前記突部の突出幅を検出する突出幅検出手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の突出形状測定装置。
【請求項3】
測定対象に設けられた突部の突出形状を測定する突出形状測定装置であって、
前記突部の突出方向に平行な方向において前記測定対象に対して対向配置され、前記測定対象に照射した電磁波の反射波に基づき、前記反射波の反射位置との間の距離および前記反射波の強度を検出し、検出結果の信号を出力する変位計と、
前記変位計と前記測定対象とを前記突出方向に直交する方向に相対移動させる移動手段と、
前記移動手段による前記相対移動の実行時に前記変位計から出力される前記信号に基づき、前記変位計と前記突部との相対位置の変化に応じた前記強度の変化を検出する強度変化検出手段と、
前記強度変化検出手段により検出された前記相対位置の変化に応じた前記強度の変化に係る状態量の検出値と、少なくとも前記突部の突出幅および前記状態量をパラメータとして作成したモデルデータとを比較し、前記状態量の検出値に対応する前記モデルデータから前記突部の突出幅を検出する突出幅検出手段と
を備えることを特徴とする突出形状測定装置。
【請求項4】
前記モデルデータは前記突部の突出幅と前記電磁波の照射範囲の大きさと前記状態量とをパラメータとして作成され、
前記突出幅検出手段は、複数の異なる所定の前記状態量の検出値に対応する複数の前記モデルデータ同士間において前記突部の突出幅と前記電磁波の照射範囲の大きさとの対応関係が一致する場合での前記突部の突出幅を検出することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の突出形状測定装置。
【請求項5】
前記移動手段による前記相対移動の移動真直度誤差を算出する移動真直度誤差算出手段と、
前記移動真直度誤差算出手段により検出された前記移動真直度誤差に基づき、前記移動手段による前記相対移動の実行時に前記変位計から出力される前記信号を補正する補正手段とを備えることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1つに記載の突出形状測定装置。
【請求項6】
測定対象に設けられた突部の突出形状を測定する突出形状測定方法であって、
前記突部の突出方向に平行な方向において前記測定対象に対して対向配置され、前記測定対象に照射した電磁波の反射波に基づき、前記反射波の反射位置との間の距離および前記反射波の強度を検出し、検出結果の信号を出力する変位計と、前記測定対象とを前記突出方向に直交する方向に相対移動させる移動ステップと、
前記移動ステップによる前記相対移動の実行時に前記変位計から出力される前記信号に基づき、前記変位計と前記突部との相対位置の変化に応じた前記距離および前記強度の変化を検出する変化検出ステップと、
前記変化検出ステップにより検出された前記相対位置の変化に応じた前記距離および前記強度の変化に基づき、前記強度が最大の前記相対位置での前記距離により前記突部の突出高さを検出する突出高さ検出ステップと
を含むことを特徴とする突出形状測定方法。
【請求項7】
前記変化検出ステップにより検出された前記相対位置の変化に応じた前記強度の変化に係る状態量の検出値と、少なくとも前記突部の突出幅および前記状態量をパラメータとして作成したモデルデータとを比較し、前記状態量の検出値に対応する前記モデルデータから前記突部の突出幅を検出する突出幅検出ステップを含むことを特徴とする請求項6に記載の突出形状測定方法。
【請求項8】
測定対象に設けられた突部の突出形状を測定する突出形状測定方法であって、
前記突部の突出方向に平行な方向において前記測定対象に対して対向配置され、前記測定対象に照射した電磁波の反射波に基づき、前記反射波の反射位置との間の距離および前記反射波の強度を検出し、検出結果の信号を出力する変位計と、前記測定対象とを前記突出方向に直交する方向に相対移動させる移動ステップと、
前記移動ステップによる前記相対移動の実行時に前記変位計から出力される前記信号に基づき、前記変位計と前記突部との相対位置の変化に応じた前記強度の変化を検出する強度変化検出ステップと、
前記強度変化検出ステップにより検出された前記相対位置の変化に応じた前記強度の変化に係る状態量の検出値と、少なくとも前記突部の突出幅および前記状態量をパラメータとして作成したモデルデータとを比較し、前記状態量の検出値に対応する前記モデルデータから前記突部の突出幅を検出する突出幅検出ステップと
を含むことを特徴とする突出形状測定方法。
【請求項9】
前記モデルデータは前記突部の突出幅と前記電磁波の照射範囲の大きさと前記状態量とをパラメータとして作成され、
前記突出幅検出ステップは、複数の異なる所定の前記状態量の検出値に対応する複数の前記モデルデータ同士間において前記突部の突出幅と前記電磁波の照射範囲の大きさとの対応関係が一致する場合での前記突部の突出幅を検出することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の突出形状測定方法。
【請求項10】
前記移動手段による前記相対移動の移動真直度誤差を算出する移動真直度誤差算出ステップと、
前記移動真直度誤差算出ステップにより検出された前記移動真直度誤差に基づき、前記移動手段による前記相対移動の実行時に前記変位計から出力される前記信号を補正する補正ステップとを含むことを特徴とする請求項6から請求項9の何れか1つに記載の突出形状測定方法。
【請求項11】
コンピュータを、測定対象に設けられた突部の突出形状を測定する手段として機能させるためのプログラムであって、
前記突部の突出方向に平行な方向において前記測定対象に対して対向配置され、前記測定対象に照射した電磁波の反射波に基づき、前記反射波の反射位置との間の距離および前記反射波の強度を検出し、検出結果の信号を出力する変位計と、前記測定対象とを前記突出方向に直交する方向に相対移動させる移動手段と、
前記移動手段による前記相対移動の実行時に前記変位計から出力される前記信号に基づき、前記変位計と前記突部との相対位置の変化に応じた前記距離および前記強度の変化を検出する変化検出手段と、
前記変化検出手段により検出された前記相対位置の変化に応じた前記距離および前記強度の変化に基づき、前記強度が最大の前記相対位置での前記距離により前記突部の突出高さを検出する突出高さ検出手段と
して機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
コンピュータを、
前記変化検出手段により検出された前記相対位置の変化に応じた前記強度の変化に係る状態量の検出値と、少なくとも前記突部の突出幅および前記状態量をパラメータとして作成したモデルデータとを比較し、前記状態量の検出値に対応する前記モデルデータから前記突部の突出幅を検出する突出幅検出手段として機能させることを特徴とする請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
コンピュータを、測定対象に設けられた突部の突出形状を測定する手段として機能させるためのプログラムであって、
前記突部の突出方向に平行な方向において前記測定対象に対して対向配置され、前記測定対象に照射した電磁波の反射波に基づき、前記反射波の反射位置との間の距離および前記反射波の強度を検出し、検出結果の信号を出力する変位計と、前記測定対象とを前記突出方向に直交する方向に相対移動させる移動手段と、
前記移動手段による前記相対移動の実行時に前記変位計から出力される前記信号に基づき、前記変位計と前記突部との相対位置の変化に応じた前記強度の変化を検出する強度変化検出手段と、
前記強度変化検出手段により検出された前記相対位置の変化に応じた前記強度の変化に係る状態量の検出値と、少なくとも前記突部の突出幅および前記状態量をパラメータとして作成したモデルデータとを比較し、前記状態量の検出値に対応する前記モデルデータから前記突部の突出幅を検出する突出幅検出手段と
して機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項14】
前記モデルデータは前記突部の突出幅と前記電磁波の照射範囲の大きさと前記状態量とをパラメータとして作成され、
前記突出幅検出手段は、複数の異なる所定の前記状態量の検出値に対応する複数の前記モデルデータ同士間において前記突部の突出幅と前記電磁波の照射範囲の大きさとの対応関係が一致する場合での前記突部の突出幅を検出することを特徴とする請求項12または請求項13に記載のプログラム。
【請求項15】
コンピュータを、
記移動手段による前記相対移動の移動真直度誤差を算出する移動真直度誤差算出手段と、
前記移動真直度誤差算出手段により検出された前記移動真直度誤差に基づき、前記移動手段による前記相対移動の実行時に前記変位計から出力される前記信号を補正する補正手段として機能させることを特徴とする請求項11から請求項14の何れか1つに記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−33451(P2011−33451A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179280(P2009−179280)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【出願人】(899000035)株式会社 東北テクノアーチ (68)
【Fターム(参考)】