説明

経口で生物学的に利用できるコーヒー酸関連抗癌剤

本発明は、癌のような細胞増殖疾患を処置するための化合物およびその使用に関する。本発明の化合物は、Jak2/STAT3経路および下流の標的の阻害剤として有意な効力を示し、癌性細胞株の生育および生存を阻害する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その出願の全内容物が参照により本明細書に組み入れられる、2006年3月31日に提出された米国特許仮出願第60/744,105号に対する優先権の恩典を主張する。
【0002】
米国政府は、米国国立衛生研究所の助成金番号CA101936号による基金に従って本発明において権利を保有する。
【0003】
1.発明の分野
本発明は、一般的に、癌のような細胞増殖疾患の処置に関する。より詳しくは、本発明は、癌のような細胞増殖疾患の処置にとって有用であるコーヒー酸および関連類似体、これらの化合物の合成法、ならびにこれらの化合物を使用する処置法に関する。
【背景技術】
【0004】
2.関連技術の説明
化合物AG490は、ヤヌスキナーゼ2/シグナル伝達性転写因子3(Janus kinase 2/Signal transducer and activator of transcription-3, Jak2/STAT3)シグナル伝達経路を阻害するキナーゼ阻害剤である。AG490は、親天然物であるコーヒー酸およびコーヒー酸ベンジルエステルのようなその天然の誘導体によって定義される化合物群に属する。

【0005】
AG490のようなコーヒー酸類似体によるJak2/STAT3経路の標的化阻害は、腫瘍細胞生育を阻害してアポトーシス刺激に対する感受性を増加させるので、この経路の阻害剤は、癌治療の潜在的治療物質となる可能性が高い(Catlett-Falcone et al., 1999(非特許文献1);Alas and Bonavida, 2003(非特許文献2);Burdelya et al., 2002(非特許文献3))。AG490は、生物学的マトリクス(血液、組織等)におけるその不安定性および効力の欠如(Kondo, et al., 2007(非特許文献4);Burdelya et al., 2002(非特許文献3);Meydan et al., 1996(非特許文献5);Constantin et al., 1998(非特許文献6))により、薬物様分子であるとは見なされないであろう。AG490より強力かつ安定な阻害剤が、抗癌剤としての潜在性を有するためには、ヒト腫瘍の生存増殖、および血管新生を促進する(Bharti et al.(非特許文献7), Verma et al.(非特許文献8), Kerr et al.(非特許文献9))、EGF、scr、およびIL-6(多数のインターロイキンおよびサイトカイン)のようなそのような刺激物質によるJak2/STAT3経路の受容体に基づくまたは直接の活性化を必要とする。
【0006】
Jak2/STAT3シグナル伝達経路は、多様な悪性疾患の進行に関与している。STAT3は中でも、膵臓癌、多形性膠芽種、および頭頚部扁平上皮癌において構成的に活性化され、その活性化は、VEGF発現、血管新生、腫瘍の生育、およびインビボでの転移に影響を及ぼすことが示されている。そのため、STAT3は、薬物開発のための優れた標的となる可能性がある(Yu and Jove, 2004(非特許文献10))。現在、有効な阻害剤は得られていない。
【0007】
コーヒー酸類似体であるAG490は、時にチロホスチンと説明的に呼ばれる。米国特許第6,426,366号(特許文献1)および米国特許出願第2003/0013748号(特許文献2)は、AG490と構造類似性を有する化合物を記述している。
【0008】
しかし、AG490は、動物試験において限られた活性を有し、Jak2/STAT3シグナル伝達の阻害および抗腫瘍効果を達成するためには高濃度(約50〜100μM)で用いなければならない。AG490のこの低い効力は、この化合物の癌の処置のための臨床試験を正当化するには不十分である(Burdelya et al., 2002(非特許文献3);Meydan et al., 1996(非特許文献5);Constantin et al., 1998(非特許文献6))。このように、より低い治療濃度で類似の機構を通して強い抗増殖効果を示す治療物質が必要である。
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,426,366号
【特許文献2】米国特許出願第2003/0013748号
【非特許文献1】Catlett-Falcone et al., 1999
【非特許文献2】Alas and Bonavida, 2003
【非特許文献3】Burdelya et al., 2002
【非特許文献4】Kondo, et al., 2007
【非特許文献5】Meydan et al., 1996
【非特許文献6】Constantin et al., 1998
【非特許文献7】Bharti et al.
【非特許文献8】Verma et al.
【非特許文献9】Kerr et al.
【非特許文献10】Yu and Jove, 2004
【発明の開示】
【0010】
発明の概要
本発明は、AG490およびコーヒー酸と構造的に関連する他の化合物と比較した場合に改善された薬理プロフィール(たとえば、生物学的安定性、生物学的利用率、増強された組織浸透、改善された薬物動態、増加した効力)を示す化合物を提供することによって当技術分野における限界を克服する;これらの化合物は、低いマイクロモル濃度でIL-6媒介Jak2/STAT3活性化を遮断して、関連する下流の抗アポトーシス、前アポトーシス、および増殖促進シグナル伝達を抑制する。本発明は、抗腫瘍および/または化学療法剤としての有用性を有する化合物、これらの化合物を合成する方法、ならびに癌を有する患者を処置するためにこれらの化合物を用いる方法を伴う。
【0011】
Jak2およびSTAT3リン酸化ならびにその関連する下流の標的の多くを阻害する新しいクラスの化合物が、本明細書において開示される。本発明の化合物はまた、インビトロおよびインビボで腫瘍の生育を強力に阻害する。AG490とは異なり、本発明の化合物、たとえばシクロアルキル置換基を有するコーヒー酸類似体(下記を参照されたい)は、Colo357-FGのような膵臓腫瘍、U87-MG、D54、U251のような脳腫瘍、および多形性膠芽腫の癌幹細胞株、ならびに扁平上皮癌細胞株が含まれる頭頚部腫瘍が含まれる多様な癌に対して非常に活性である。これらの化合物は、全て低いマイクロモル濃度で、IL-6、EGF刺激STAT3活性化および構成的STAT3活性化の双方を阻害し、Bcl-2、Bcl-XL、サバイビン、およびMcl-1の発現を抑制し、ならびにアポトーシスを誘導する。
【0012】
本発明の一つの局面は、表1に示される構造式に従う化合物を提供する。
【0013】
(表1)コーヒー酸類似体の異なるタイプの例

【0014】
本発明の一定の局面において、表1において示される化学構造は以下のように定義されうる:R1は、-Hまたはシアノであり、R2は、ヘテロ原子置換またはヘテロ原子非置換C3-C7-シクロアルキルであり;X1はハロであり、R3はヘテロ原子置換またはヘテロ原子非置換C1-C7-シクロアルキル、C6-C10-アリール、またはC7-C10-アラルキルであり;X2はハロであり、R4は、ヒドロキシ、またはヘテロ原子置換もしくはヘテロ原子非置換C1-C10-アシルオキシであり;X3は、ハロ、またはヘテロ原子置換もしくはヘテロ原子非置換C1-C10-アルキルもしくはC1-C10-アルコキシであり;R5は、-Hまたはシアノであり、およびR6はヘテロ原子置換もしくはヘテロ原子非置換C1-C10-アルキル、C1-C7-シクロアルキル、C1-C10-アシルオキシ、C6-C10-アリール、またはC7-C10-アラルキルであり;X4は、ハロ、またはヘテロ原子置換もしくはヘテロ原子非置換C1-C10-アルキルもしくはC1-C10-アルコキシであり:R7は-Hまたはシアノであり;R8は、ヘテロ原子置換またはヘテロ原子非置換C1-C10-アルキル、C1-C7-シクロアルキル、C1-C10-アシルオキシ、C6-C10-アリール、またはC7-C10-アラルキルであり;X5は、ヘテロ原子置換またはヘテロ原子非置換C1-C10-アルキルまたはC1-C10-アルコキシであり;R9は、-Hまたはシアノであり;R10は、ヘテロ原子置換またはヘテロ原子非置換C1-C10-アルキル、C1-C7-シクロアルキル、C1-C10-アシルオキシ、C6-C10-アリール、またはC7-C10-アラルキルであり;Aは-C(O)-または-S(O2)-であり;X6は、ハロ、またはヘテロ原子置換もしくはヘテロ原子非置換C1-C10-アルキルもしくはC1-C10-アルコキシであり;R11は、ヘテロ原子置換またはヘテロ原子非置換C1-C10-アルキル、C1-C7-シクロアルキル、C1-C10-アシルオキシ、C6-C10-アリール、またはC7-C10-アラルキルであり;R12は、シクロドデシル、イミダゾイル、またはシクロヘキセニルであり;R13は、-Hまたはヘテロ原子置換もしくはヘテロ原子非置換C1-C10-アルキル、C1-C7-シクロアルキル、C1-C10-アシルオキシ、C6-C10-アリール、もしくはC7-C10-アラルキルであり;X7は、ハロ、またはヘテロ原子置換もしくはヘテロ原子非置換C1-C10-アルキルもしくはC1-C10-アルコキシであり;R14

である。
【0015】
本発明の他の局面には、先に記述したおよび本明細書を通して記述した化合物の薬学的に許容される塩、水和物、アミン-N-オキシド、イミン-N-オキシド、互変異性体、および光学異性体が含まれる。
【0016】
一定の態様において、R2は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルであってもよい。さらなる態様において、R3は、フェニル、ベンジル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルであってもよい。なおさらなる態様において、X1またはX2は、-F、-Cl、-Br、または-Iであってもよい。なおさらなる態様において、R4は、ヒドロキシ、アセトキシ、または2,2-ジメチルプロピオニルオキシであってもよい。さらになおさらなる態様において、X3またはX4は、メトキシ、-F、-Cl、-Br、または-Iであってもよい。いくつかの態様において、R6またはR8は、メチルまたはシクロプロピルであってもよい。一定の局面において、X5はメチルまたはアセトキシメチルであってもよい。
【0017】
表2において示される化合物は、本発明によって提供される化合物の具体例である。
【0018】
(表2)コーヒー酸類似体のさらなる例




【0019】
表2における化合物のいくつかは、一つのエナンチオマーまたはジアステレオマーとして示される。本発明は、先の表2において示される化合物と共に、本出願を通して記述される化合物の任意の全ての起こりうる立体異性体を提供する。いくつかの態様において、化合物は、他の立体異性体を実質的に含まない一つのエナンチオマーであろう。他の態様において、化合物は、それぞれの立体異性体が同じ分子式を有する異なる立体異性体の混合物であろう。これらの態様の一定において、本発明は、所定の分子式のラセミ混合物を提供する。
【0020】
本発明のもう一つの局面は、以下の式を有する化合物を含む:

式中、Aは-C(O)-または-SO2-である。一定の態様において、R1はシクロドデシル、

である。これらの態様のいくつかにおいて、X1、X2、X3、およびX4はそれぞれ独立して、水素、ハロ、アルキル、アルコキシル、アセトキシル、アルキルアセトキシル、-OH、トリハロメチル、または-NO2であり;Y1は、ハロ、-OH、または-NO2であり;およびR2は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアリール、ハロ、水素、-OH、-NO2、チオエーテル、アミノ、-SH、または-NH2からなる群より選択され;R3は、

であり;式中、Z3は二価のアルキルであってもよく、およびm1=1、2、3、または4であり;およびR4は、水素、-CN、置換アミン、-CH2S-アルキル、アルキル、または-CH2N3であってもよい。これらの態様のいくつかにおいて、R5およびR6はそれぞれ独立して、

単糖類、単糖類誘導体、多糖類、多糖類誘導体、アリール、またはアラルキルであり;Zは-NH、-S-、および-O-からなる群より選択され;ならびにX5およびX6はそれぞれ独立して、水素、高級アルキル、低級アルキル、シクロアルキル、シクロアリールアルキル、アラルキル、アリール、アルコキシル、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、アルキルエステル、アルキルエステルアルキル、アルキルアセトキシル、またはアリールオキシルからなる群より選択され;ただし、R4=-CN、置換アミン、-CH2S-アルキル、アルキル、または-CH2N3である場合、R1は、シクロドデシル、

からなる群より選択される。
【0021】
さらなる態様において、R3は、

であり、式中X5またはX6は、高級アルキル、ヒドロキシル、アリール、アルコキシル、アリールオキシル、シクロアルキル、シクロアリールアルキル、アラルキル、アルキルエステル、アルキルエステルアルキル、アルキルアセトキシ、またはアリールオキシルである。
【0022】
具体的態様において、Z3は-C2H4-であってもよい。いくつかの態様において、X1、X2、X3、およびX4はそれぞれ独立して、-F、-Cl、-Br、-CH3、メトキシ、またはアルキルアセトキシルである。さらなる態様において、X5またはX6は独立して、水素、シクロプロピル、シクロブチル、-CH3、-CH2OH、シクロペンチル、-CH2OAc、-CH2OC(O)C(CH3)3、-CH2C6H5、シクロヘキシル、またはアリールである。
【0023】
他の態様において、R5は、以下の構造:

を有するアラルキルおよび以下の構造:

を有するアリールであり、式中、m=0、1、2、3、4、5、6、または7であり、X5およびX6はそれぞれ独立して、水素およびアルキルからなる群より選択され、R7、R8、R9、R10、およびR11はそれぞれ独立して、水素、ハロ、アルキル、アルコキシ、-OH、トリハロメチル、および-NO2からなる群より選択される。
【0024】
第一の化合物が、コーヒー酸、コーヒー酸のベンジルエステル、または表1に従う化合物もしくは表2に示す化合物のような本発明の化合物の一つである、細胞増殖疾患を処置するために有効な量の第一の化合物を被験者に投与する段階を含む、細胞増殖疾患を処置する方法。
【0025】
本発明のもう一つの局面は、本発明の第一の化合物の治療的に関連する量を被験者に投与する段階を含む、細胞増殖疾患を処置する方法に関する。被験者は哺乳動物であってもよく、哺乳動物はヒトであってもよい。第一の化合物は、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、または媒体に含まれてもよい。細胞増殖疾患は癌であってもよい。癌は、黒色腫、非小細胞肺、小細胞肺、肺、肝臓癌、網膜芽腫、星状細胞腫、膠芽細胞腫、白血病、血液、脳、皮膚、眼、舌、歯肉、神経芽腫、頭部、頚部、乳腺、膵臓、腎臓、骨、精巣、卵巣、中皮腫、子宮頚部、消化管、リンパ腫、結腸、または膀胱であってもよい。
【0026】
細胞増殖疾患は、リウマチ性関節炎、炎症性腸疾患、変形性関節炎、平滑筋腫、腺腫、脂肪腫、血管腫、線維腫、血管閉塞、再狭窄、関節硬化症(artherosclerosis)、前新生物病変、上皮内癌、口腔毛髪状白斑、または乾癬および乾癬性関節炎が含まれる乾癬の変化型、蕁麻疹、エクセマ(excema)、アトピー性皮膚炎のような他の皮膚炎症状態、環状肉芽腫、血管腫、基底細胞癌、扁平上皮癌、悪性黒色腫、脂漏性皮膚炎、しゅさ、リウマチ性関節炎のような他の過剰反応性自己免疫障害、慢性活動性肝炎、橋本甲状腺炎、狼瘡、結合組織障害、混合型結合組織障害、および多発性硬化症、炎症性白質脳炎のような神経炎症疾患であってもよい。
【0027】
一定の態様において、STAT3活性化は、被験者の細胞において低減される。c-mycの発現は、被験者の細胞において低減されてもよい。第一の化合物を、第二の化合物の治療的に関連する量と併用して投与してもよい。第二の化合物は、抗癌化合物であってもよい。第一の化合物は、手術、放射線治療、または遺伝子治療と併用して投与してもよい。
【0028】
本発明の一つの局面に関して本明細書において考察したいかなる態様も、具体的に明記していなければ、本発明の他の局面にも当てはまる。
【0029】
「約」という用語は、値に、値を決定するために使用されている装置または方法に関する誤差の標準偏差が含まれることを示すために用いられる。特許請求の範囲における「または」という用語の使用は、代用物のみを明白に示す場合を除き、または代用物が相互に排他的である場合を除き、「および/または」を意味するために用いられるが、本開示は、代用物のみと「および/または」を指す定義を支持する。特許請求の範囲における「含む」という言葉または他の制限のない用語と共に用いられる場合、「一つの」および「一つの(an)」という言葉は、具体的に明記されていなければ「一つまたは複数」を指す。「含む」、「有する」、および「含まれる」という用語は、両端が制限されていない連結動詞である。「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含まれる(includes)」、および「含まれる(including)」のようなこれらの動詞の一つまたは複数の任意の型または時制も同様に、両端が制限されていない。たとえば、一つまたは複数の段階を「含む」、「有する」、または「含まれる」いかなる方法も、それらの一つまたは複数の段階のみを保有することに限定されず、同様に他の記載されていない段階を範囲に入れる。同様に、一つまたは複数の形質を「含む」、「有する」、または「含まれる」いかなる植物も、それらの一つまたは複数の形質のみを保有すると限定されず、他の記載されていない形質を範囲に入れる。
【0030】
「阻害する」、「低減する」、もしくは「予防」という用語、またはこれらの用語の任意の変化形は、特許請求の範囲および/または明細書において用いられる場合、所望の結果を達成するために任意の測定可能な減少または完全な阻害が含まれる。
【0031】
明細書および/または特許請求の範囲において用いられる「有効な」という用語は、所望の、予測される、または意図される結果を達成するために適切であることを意味する。
【0032】
本明細書において用いられるように、主に一つのエナンチオマー、または他の光学異性体を実質的に含まないとは、化合物が、一つのエナンチオマーを少なくとも95%含有する、より好ましくは一つのエナンチオマーを少なくとも98%含有する、または最も好ましくは一つのエナンチオマーを少なくとも99%含有することを意味する。
【0033】
本発明の他の目的、特色、および長所は、以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。しかし、この詳細な説明から、当業者には本発明の趣旨および範囲に含まれる様々な変化および改変が明らかとなるであろうが、提供される詳細な説明およびいかなる具体的実施例も、本発明の具体的態様を示しているが、説明のために限って提供されると理解すべきである。
【0034】
実例となる態様の説明
I.本発明
これまでの研究から、転写因子を活性化するサイトカイン経路(たとえば、NF-kB、STAT3)が、多数の腫瘍タイプにおいて遺伝子病変またはオートクライン/パラクライン機構によってアップレギュレートまたは活性化されることが証明されている(Hallek et al., 1998;Hideshima et al., 2002)。これらの経路は、腫瘍形成性および癌の進行に関与している。本発明において、新規化合物を合成して、インビトロスクリーニングにより、これらの化合物がIL-6媒介STAT3活性化を低濃度(約1μM)で遮断できることを明らかにした。AG490と比較して、これらの化合物は、腫瘍細胞において、IL-6処置細胞におけるJak2/STAT3シグナル伝達の阻害において有意に強力(20〜50倍)である。これらの化合物はまた、そのJak2/STAT3経路のダウンレギュレーション活性に匹敵する濃度で、広範囲の固形および血液腫瘍細胞においてアポトーシスを誘導することができる。本発明は、腫瘍細胞の生存および進行にとって重要な遺伝子およびシグナル伝達経路を不活化する化合物を開示し、これらの化合物は、癌の処置のために、単独または他の物質と併用して用いてもよい。
【0035】
II.化学的定義
本明細書において用いられるように、「アミノ」という用語は、-NH2を意味し;「ニトロ」という用語は、-NO2を意味し;「ハロ」という用語は、-F、-Cl、-Br、または-Iを表し;「メルカプト」という用語は、-SHを意味し;「シアノ」という用語は-CNを意味し;「シリル」という用語は、-SiH3を意味し;および「ヒドロキシ」という用語は、-OHを意味する。
【0036】
「アルカン」は、非環式の分岐または非分岐炭化水素を指し、多くの場合一般式CnH2n+2を有する。「アルキル」は、任意の炭素原子からの水素原子の除去によるアルカンに由来し、このように多くの場合において式-CnH2n+1を有する一価の基を指す。アルキル基は、直鎖または分岐鎖のいずれかであり、さらなる非環式アルキル、シクロアルキル、または環式アルキル基によって置換されてもよい。アルキル基は、ヘテロ原子置換またはヘテロ原子非置換であってもよく、以下を参照されたい。好ましくは、アルキル基は、炭素1〜12個を有する。より好ましくはアルキル基は炭素1〜7個を有する、より好ましくは炭素1〜4個を有する低級アルキルである。高級アルキルは8個またはそれより多い炭素原子を有する。「二価のアルキル」は、同じ炭素原子(たとえば、メチレン、エチリデン、プロピリデン)または異なる炭素原子(たとえば、-C2H4-)のいずれかからの水素原子2個の除去によるアルカンに由来する二価の基を指す。
【0037】
「シクロアルカン」は、側鎖を有するまたは有しない飽和単環式炭化水素を指す。
【0038】
「シクロアルキル」は、環の炭素原子から水素原子の除去によるシクロアルカンに由来する一価の基を指す。
【0039】
有機ラジカルのクラス(たとえば、アルキル、アリール、アシル等)を改変するために用いる場合の「ヘテロ原子置換」という用語は、そのラジカルの一つまたは一つより多い水素原子がヘテロ原子またはヘテロ原子含有基に置換されていることを意味する。ヘテロ原子およびヘテロ原子含有基の例には、ヒドロキシ、シアノ、アルコキシ、=O、=S、-NO2、-N(CH3)2、アミノ、または-SHが含まれる。特異的ヘテロ原子置換有機ラジカルを以下により詳しく定義する。
【0040】
有機ラジカルのクラス(たとえば、アルキル、アリール、アシル等)を改変するために用いられる「ヘテロ原子非置換」という用語は、そのラジカルの水素原子のいずれもヘテロ原子またはヘテロ原子含有基によって置換されていないことを意味する。水素原子を、炭素原子と、または炭素と水素原子のみをからなる基と置換しても、基をヘテロ原子置換にするために十分ではない。たとえば、-C6H4C≡CH基は、ヘテロ原子非置換アリール基の例であるが、-C6H4Fはヘテロ原子置換アリール基の例である。特異的ヘテロ原子非置換有機ラジカルを以下により詳細に定義する。
【0041】
「ヘテロ原子非置換Cn-アルキル」は、その全てが非芳香族である全体でn個の炭素原子、3個またはそれより多い水素原子をさらに有し、ヘテロ原子を有しないアルキルを指す。たとえば、ヘテロ原子非置換C1-C10-アルキルは、炭素原子1〜10個を有する。基-CH3、シクロプロピルメチル、-CH2CH3、-CH2CH2CH3、-CH(CH3)2、-CH2CH2CH2CH3、-CH(CH3)CH2CH3、-CH2CH(CH3)2、-C(CH3)3、および-CH2C(CH3)3は全て、ヘテロ原子非置換アルキル基の例である。
【0042】
「ヘテロ原子置換Cn-アルキル」という用語は、その全てが非芳香族である全体でn個の炭素原子、0、1、または1個より多い水素原子、少なくとも1個のヘテロ原子をさらに有するアルキルを指し、それぞれのヘテロ原子は、N、O、F、Cl、Br、I、Si、P、およびSからなる群より独立して選択される。たとえば、ヘテロ原子置換C1-C10-アルキルは、炭素原子1〜10個を有する。以下の群は全て、ヘテロ原子置換アルキル基の例である。

【0043】
「ヘテロ原子非置換Cn-シクロアルキル」という用語は、その全てが非芳香族である全体でn個の炭素原子、3個またはそれより多い水素原子をさらに有し、ヘテロ原子を有しないシクロアルキルを指す。たとえば、ヘテロ原子非置換C1-C10-シクロアルキルは、炭素原子1〜10個を有する。基-CH(CH2)2(シクロプロピル)、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルは全て、ヘテロ原子非置換シクロアルキル基の例である。
【0044】
「ヘテロ原子置換Cn-シクロアルキル」という用語は、その全てが非芳香族である全体でn個の炭素原子、0、1、または1個より多い水素原子、少なくとも1個のヘテロ原子をさらに有するシクロアルキルを指し、それぞれのヘテロ原子は、N、O、F、Cl、Br、I、Si、P、およびSからなる群より独立して選択される。たとえば、ヘテロ原子置換C1-C10-シクロアルキルは、炭素原子1〜10個を有する。
【0045】
「ヘテロ原子非置換Cn-アルケニル」は、直鎖または分岐の環式または非環式構造を有し、さらに少なくとも1個の非芳香族炭素-炭素二重結合を有するが、炭素-炭素三重結合を有しない、全体でn固の炭素原子、3個またはそれより多い水素原子を有し、ヘテロ原子を有しないラジカルを指す。たとえば、ヘテロ原子非置換C2-C10-アルケニルは炭素原子2〜10個を有する。ヘテロ原子非置換アルケニル基には

が含まれる。
【0046】
「ヘテロ原子置換Cn-アルケニル」という用語は、付着点として1個の非芳香族炭素原子および少なくも1個の非芳香族炭素-炭素二重結合を有するが、炭素-炭素三重結合を有しない、さらに直鎖または分岐の環式または非環式構造を有し、さらに全体でn個の炭素原子、0、1、または1個より多い水素原子、および少なくとも1個のヘテロ原子をさらに有するラジカルを指し、それぞれのヘテロ原子は、N、O、F、Cl、Br、I、Si、P、およびSからなる群より独立して選択される。たとえば、ヘテロ原子置換C2-C10-アルケニルは、炭素原子2〜10個を有する。基-CH=CHF、-CH=CHCl、および-CH=CHBrは、ヘテロ原子置換アルケニル基の例である。
【0047】
「ヘテロ原子非置換Cn-アルキニル」という用語は、直鎖または分岐の環式または非環式構造を有し、さらに少なくとも1個の炭素-炭素三重結合、全体でn個の炭素原子、少なくとも1個の水素原子を有し、ヘテロ原子を有しないラジカルを指す。たとえば、ヘテロ原子非置換C2-C10-アルキニルは炭素原子2〜10個を有する。基-C≡CH、-C≡CCH3、および-C≡CC6H5は、ヘテロ原子非置換アルキニル基の例である。
【0048】
「ヘテロ原子置換Cn-アルキニル」という用語は、付着点として1個の非芳香族炭素原子および少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を有し、さらに直鎖または分岐の環式または非環式構造を有し、全体でn個の炭素原子、0、1、または1個より多い水素原子、および少なくとも1個のヘテロ原子を有するラジカルを指し、それぞれのヘテロ原子は、N、O、F、Cl、Br、I、Si、P、およびSからなる群より独立して選択される。たとえば、ヘテロ原子置換C2-C10-アルキニルは、炭素原子2〜10個を有する。基-C≡CSi(CH3)3はヘテロ原子置換アルキニル基の例である。
【0049】
「ヘテロ原子非置換Cn-アリール」という用語は、炭素原子のみを含有する芳香族環構造の一部である炭素原子1個を付着点として有し、さらに全体でn個の炭素原子、5個またはそれより多い水素原子を有し、ヘテロ原子を有しないラジカルを指す。たとえば、ヘテロ原子非置換C6-C10-アリールは、炭素原子6〜10個を有する。ヘテロ原子非置換アリール基の例には、フェニル、メチルフェニル、(ジメチル)フェニル、-C6H4CH2CH3、-C6H4CH2CH2CH3、-C6H4CH(CH3)2、-C6H4CH(CH2)2、-C6H3(CH3)CH2CH3、-C6H4CH=CH2、-C6H4CH=CHCH3、-C6H4C≡CH、-C6H4C≡CCH3、ナフチル、キノリル、インドリル、およびビフェニルに由来するラジカルが含まれる。「ヘテロ原子非置換アリール」という用語には、炭素環アリール基、ビアリール基、および縮合多環炭化水素(PAH)に由来するラジカルが含まれる。
【0050】
「ヘテロ原子置換Cn-アリール」という用語は、付着点として1個の芳香族炭素原子または1個の芳香族ヘテロ原子のいずれかを有し、さらに全体でn個の炭素原子、少なくとも1個の水素原子、および少なくとも1個のヘテロ原子を有するラジカルを指し、さらにそれぞれのヘテロ原子はN、O、F、Cl、Br、I、Si、P、およびSからなる群より独立して選択される。たとえば、ヘテロ原子置換C1-C10-ヘテロアリールは、炭素原子1〜10個を有する。「ヘテロ原子置換アリール」という用語には、ヘテロアリールおよび複素環アリール基が含まれる。同様にこの用語には、以下の化合物に由来する基が含まれる:ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン等。ヘテロ原子置換アリール基のさらなる例には、基:

フラニル、チエニル、ピリジル、ピロリル、ピリミジル、ピラジニル、およびイミダゾイルが含まれる。
【0051】
「ヘテロ原子非置換Cn-アラルキル」という用語は、付着点として1個の飽和炭素原子を有し、さらに炭素原子の少なくとも6個が炭素原子のみを含有する芳香環構造を形成する全体でn個の炭素原子、7個またはそれより多い水素原子を有し、ヘテロ原子を有しない、ラジカルを指す。たとえば、ヘテロ原子非置換C7-C10-アラルキルは、炭素原子7〜10個を有する。「アラルキル」には、アリール基によってヘテロ原子置換されたアルキル基が含まれる。ヘテロ原子非置換アラルキルの例には、フェニルメチル(ベンジル)およびフェニルエチルが含まれる。
【0052】
「ヘテロ原子置換Cn-アラルキル」という用語は、付着点として1個の飽和炭素原子を有し、さらに全体でn個の炭素原子、0、1、または1個より多い水素原子、および少なくとも1個のヘテロ原子を有するラジカルを指し、炭素原子の少なくとも1個は芳香環構造に組み入れられ、さらにそれぞれのヘテロ原子はN、O、F、Cl、Br、I、Si、P、およびSからなる群より独立して選択される。たとえば、ヘテロ原子置換C2-C10-ヘテロアラルキルは、炭素原子2〜10個を有する。
【0053】
「ヘテロ原子非置換Cn-アシル」という用語は、付着点としてカルボニル基の1個の炭素原子を有し、さらに直鎖または分岐の環式または非環式構造を有し、さらに全体でn個の炭素原子、1個または複数の水素原子、全体で1個の酸素原子を有し、さらなるヘテロ原子を有しないラジカルを指す。たとえば、ヘテロ原子非置換C1-C10-アシルは、炭素原子1〜10個を有する。基

は、ヘテロ原子非置換アシル基の例である。
【0054】
「ヘテロ原子置換Cn-アシル」という用語は、付着点としてカルボニル基の一部である1個の炭素原子を有し、さらに直鎖または分岐の環式または非環式構造を有し、さらに全体でn個の炭素原子、0、1、または1個より多い水素原子、カルボニル基の酸素のほかに少なくとも1個のさらなるヘテロ原子を有するラジカルを指し、それぞれのさらなるヘテロ原子は、N、O、F、Cl、Br、I、Si、P、およびSからなる群より独立して選択される。たとえば、ヘテロ原子置換C1-C10-アシルは、炭素原子1〜10個を有する。ヘテロ原子置換アシルという用語には、カルバモイル、チオカルボキシレート、およびチオカルボン酸基が含まれる。基

はヘテロ原子置換アシル基の例である。
【0055】
「ヘテロ原子非置換Cn-アルコキシ」という用語は、Rが、先に定義されたヘテロ原子非置換Cn-アルキルである、構造-ORを有する基を指す。ヘテロ原子非置換アルコキシ基の例には、-OCH3、-OCH2CH3、-OCH2CH2CH3、-OCH(CH3)2、および-OCH(CH2)2が含まれる。
【0056】
「ヘテロ原子置換Cn-アルコキシ」という用語は、Rが先に定義されたヘテロ原子置換Cn-アルキルである、構造-ORを有する基を指す。たとえば、-OCH2CF3はヘテロ原子置換アルコキシ基である。
【0057】
「ヘテロ原子非置換Cn-アルケニルオキシ」という用語は、Rが先に定義されたヘテロ原子非置換Cn-アルケニルである、構造-ORを有する基を指す。
【0058】
「ヘテロ原子置換Cn-アルケニルオキシ」という用語は、Rが先に定義されたヘテロ原子置換Cn-アルケニルである、構造-ORを有する基を指す。
【0059】
「ヘテロ原子非置換Cn-アルキニルオキシ」という用語は、Rが先に定義されたヘテロ原子非置換Cn-アルキニルである、構造-ORを有する基を指す。
【0060】
「ヘテロ原子置換Cn-アルキニルオキシ」という用語は、Rが先に定義されたヘテロ原子置換Cn-アルキニルである、構造-ORを有する基を指す。
【0061】
「ヘテロ原子非置換Cn-アリールオキシ」という用語は、Arが先に定義されたヘテロ原子非置換Cn-アリールである、構造-OArを有する基を指す。ヘテロ原子非置換アリールオキシの例は、-OC6H5である。
【0062】
「ヘテロ原子置換Cn-アリールオキシ」という用語は、Arが先に定義されたヘテロ原子置換Cn-アリールである、構造-OArを有する基を指す。
【0063】
「ヘテロ原子非置換Cn-アラルキルオキシ」という用語は、Arが先に定義されたヘテロ原子非置換Cn-アラルキルである、構造-OArを有する基を指す。
【0064】
「ヘテロ原子置換Cn-アラルキルオキシ」という用語は、Arが先に定義されたヘテロ原子置換Cn-アラルキルである、構造-OArを有する基を指す。
【0065】
「ヘテロ原子非置換Cn-アシルオキシ」という用語は、Acが先に定義されたヘテロ原子非置換Cn-アシルである、構造-OAcを有する基を指す。ヘテロ原子非置換アシルオキシ基には、アルキルカルボニルオキシおよびアリールカルボニルオキシ基が含まれる。たとえば、-OCOCH3はヘテロ原子非置換アシルオキシ基の例である。
【0066】
「ヘテロ原子置換Cn-アシルオキシ」という用語は、Acが先に定義されたヘテロ原子置換Cn-アシルである、構造-OAcを有する基を指す。ヘテロ原子置換アシルオキシ基には、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、およびアルキルチオカルボニル基が含まれる。
【0067】
「ヘテロ原子非置換Cn-アルキルアミノ」という用語は、付着点として1個の窒素原子を有し、さらに窒素原子に付着した1個または2個の飽和炭素原子を有し、さらに直鎖または分岐の環式または非環式構造を有し、その全てが非芳香族である全体でn個の炭素原子、4個またはそれより多い水素原子、全体で1個の窒素原子を含有し、さらなるヘテロ原子を含有しないラジカルを指す。たとえば、ヘテロ原子非置換C1-C10-アルキルアミノは、炭素原子1〜10個を有する。「ヘテロ原子非置換Cn-アルキルアミノ」という用語には、Rが先に定義されたヘテロ原子非置換Cn-アルキルである、構造-NHRを有する基が含まれる。ヘテロ原子非置換アルキルアミノ基には、

が含まれるであろう。
【0068】
「ヘテロ原子置換Cn-アルキルアミノ」という用語は、付着点として1個の窒素原子を有し、さらに窒素原子に付着した1個または2個の飽和炭素原子を有し、炭素-炭素二重結合または三重結合を有しない、さらに直鎖または分岐の環式または非環式構造を有し、さらにその全てが非芳香族である全体でn個の炭素原子、0、1、または1個より多い水素原子、および付着点での窒素原子のほかに少なくとも1個のさらなるヘテロ原子を有するラジカルを指し、それぞれのさらなるヘテロ原子は、N、O、F、Cl、Br、I、Si、P、およびSからなる群より独立して選択される。たとえば、ヘテロ原子置換C1-C10-アルキルアミノは、炭素原子1〜10個を有する。「ヘテロ原子置換Cn-アルキルアミノ」という用語には、Rが先に定義されたヘテロ原子置換Cn-アルキルである、構造-NHRを有する基が含まれる。
【0069】
「ヘテロ原子非置換Cn-アルケニルアミノ」という用語は、付着点として1個の窒素原子を有し、さらに窒素原子に付着した1個または2個の炭素原子を有し、さらに直鎖または分岐の環式または非環式構造を有し、少なくとも1個の非芳香族炭素-炭素二重結合、全体でn個の炭素原子、4個またはそれより多い水素原子、全体で1個の窒素原子を含有し、さらなるヘテロ原子を含有しないラジカルを指す。たとえば、ヘテロ原子非置換C2-C10-アルケニルアミノは、炭素原子2〜10個を有する。「ヘテロ原子非置換Cn-アルケニルアミノ」という用語には、Rが先に定義されたヘテロ原子非置換Cn-アルケニルである、構造-NHRを有する基が含まれる。ヘテロ原子非置換Cn-アルケニルアミノ基にはまた、ジアルケニルアミノおよびアルキル(アルケニル)アミノ基が含まれる。
【0070】
「ヘテロ原子置換Cn-アルケニルアミノ」という用語は、付着点として1個の窒素原子を有し、少なくとも1個の非芳香族炭素-炭素二重結合を有するが、炭素-炭素三重結合を有しない、窒素原子に付着した1個または2個の炭素原子をさらに有し、さらに直鎖または分岐の環式または非環式構造を有し、さらに全体でn個の炭素原子、0、1、または1個より多い水素原子、および付着点での窒素原子のほかに少なくとも1個のさらなるヘテロ原子を有するラジカルを指し、それぞれのさらなるヘテロ原子は、N、O、F、Cl、Br、I、Si、P、およびSからなる群より独立して選択される。たとえば、ヘテロ原子置換C2-C10-アルケニルアミノは、炭素原子2〜10個を有する。「ヘテロ原子置換Cn-アルケニルアミノ」という用語には、Rが先に定義されたヘテロ原子置換Cn-アルケニルである、構造-NHRを有する基が含まれる。
【0071】
「ヘテロ原子非置換Cn-アルキニルアミノ」という用語は、付着点として1個の窒素原子を有し、さらに窒素原子に付着した1個または2個の炭素原子を有し、さらに直鎖または分岐の環式または非環式構造を有し、少なくとも1個の炭素-炭素三重結合、全体でn個の炭素原子、少なくとも1個の水素原子、全体で1個の窒素原子を含有し、さらなるヘテロ原子を含有しないラジカルを指す。たとえば、ヘテロ原子非置換C2-C10-アルキニルアミノは、炭素原子2〜10個を有する。「ヘテロ原子非置換Cn-アルキニルアミノ」という用語には、Rが先に定義されたヘテロ原子非置換Cn-アルキニルである、構造-NHRを有する基が含まれる。アルキニルアミノ基にはまた、ジアルキニルアミノおよびアルキル(アルキニル)アミノ基が含まれる。
【0072】
「ヘテロ原子置換Cn-アルキニルアミノ」という用語は、付着点として1個の窒素原子を有し、窒素原子に付着した1個または2個の炭素原子をさらに有し、さらに少なくとも1個の非芳香族炭素-炭素三重結合を有し、さらに直鎖または分岐の環式または非環式構造を有し、さらに全体でn個の炭素原子、0、1、または1個より多い水素原子、および付着点での窒素原子のほかに少なくとも1個のさらなるヘテロ原子を有するラジカルを指し、それぞれのさらなるヘテロ原子は、N、O、F、Cl、Br、I、Si、P、およびSからなる群より独立して選択される。たとえば、ヘテロ原子置換C2-C10-アルキニルアミノは、炭素原子2〜10個を有する。「ヘテロ原子置換Cn-アルキニルアミノ」という用語には、Rが先に定義されたヘテロ原子置換Cn-アルキニルである、構造-NHRを有する基が含まれる。
【0073】
「ヘテロ原子非置換Cn-アリールアミノ」という用語は、付着点として1個の窒素原子を有し、さらに窒素原子に付着した、炭素原子のみを含有する少なくとも1個の芳香環構造を有し、さらに全体でn個の炭素原子、6個またはそれより多い水素原子、全体で1個の窒素原子を有し、さらなるヘテロ原子を有しないラジカルを指す。たとえば、ヘテロ原子非置換C6-C10-アリールアミノは、炭素原子6〜10個を有する。「ヘテロ原子非置換Cn-アリールアミノ」という用語には、Rが先に定義されたヘテロ原子非置換Cn-アリールである、構造-NHRを有する基が含まれる。ヘテロ原子非置換アリールアミノ基には、ジアリールアミノおよびアルキル(アリール)アミノ基が含まれる。
【0074】
「ヘテロ原子置換Cn-アリールアミノ」という用語は、付着点として1個の窒素原子を有し、さらに全体でn個の炭素原子、少なくとも1個の水素原子、付着点での窒素原子のほかに少なくとも1個のさらなるヘテロ原子を有するラジカルを指し、炭素原子の少なくとも1個は1個または複数の芳香環構造に組み入れられ、それぞれのさらなるヘテロ原子は、N、O、F、Cl、Br、I、Si、P、およびSからなる群より独立して選択される。たとえば、ヘテロ原子置換C6-C10-アリールアミノは、炭素原子6〜10個を有する。「ヘテロ原子置換Cn-アリールアミノ」という用語には、Rが先に定義されたヘテロ原子置換Cn-アリールである、構造-NHRを有する基が含まれる。ヘテロ原子置換アリールアミノ基には、ヘテロアリールアミノ基が含まれる。
【0075】
「ヘテロ原子非置換Cn-アラルキルアミノ」という用語は、付着点として1個の窒素原子を有し、さらに窒素原子に付着した1個または2個の飽和炭素原子を有し、さらに、炭素原子の少なくとも6個が炭素原子のみを含有する芳香環構造を形成する全体でn個の炭素原子、8個またはそれより多い水素原子、全体で1個の窒素原子を有し、さらなるヘテロ原子を有しないラジカルを指す。たとえば、ヘテロ原子非置換C7-C10-アラルキルアミノは、炭素原子7〜10個を有する。「ヘテロ原子非置換Cn-アラルキルアミノ」という用語には、Rが先に定義されたヘテロ原子非置換Cn-アラルキルである、構造-NHRを有する基が含まれる。アラルキルアミノ基には、ジアラルキルアミノ基が含まれる。
【0076】
「ヘテロ原子置換Cn-アラルキルアミノ」という用語は、付着点として1個の窒素原子を有し、さらに、窒素原子に付着した1個または2個の飽和炭素原子を有し、さらに全体でn個の炭素原子、0、1、または1個より多い水素原子、付着点での窒素原子のほかに少なくとも1個のさらなるヘテロ原子を有するラジカルを指し、炭素原子の少なくとも1個は芳香環に組み入れられ、さらにそれぞれのヘテロ原子は、N、O、F、Cl、Br、I、Si、P、およびSからなる群より独立して選択される。たとえば、ヘテロ原子置換C7-C10アラルキルアミノは、炭素原子7〜10個を有する。「ヘテロ原子置換Cn-アラルキルアミノ」という用語には、Rが先に定義されたヘテロ原子置換Cn-アラルキルである、構造-NHRを有する基が含まれる。「ヘテロ原子置換アラルキルアミノ」という用語には、「ヘテロアラルキルアミノ」という用語が含まれる。
【0077】
「ヘテロ原子非置換Cn-アミド」という用語は、付着点として1個の窒素原子を有し、さらに窒素原子に対してその炭素原子を通して付着したカルボニル基を有し、さらに直鎖または分岐の環式または非環式構造を有し、さらに全体でn個の炭素原子、1個または複数の水素原子、全体で1個の酸素原子、全体で1個の窒素原子を有し、さらなるヘテロ原子を有しないラジカルを指す。たとえば、ヘテロ原子非置換C1-C10-アミドは、炭素原子1〜10個を有する。「ヘテロ原子非置換Cn-アミド」という用語には、Rが先に定義されたヘテロ原子非置換Cn-アシルである、構造-NHRを有する基が含まれる。アミドという用語には、N-アルキルアミド、N-アリールアミド、N-アラルキル-アミド、アシルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、およびウレイド基が含まれる。基-NHCOCH3はヘテロ原子非置換アミド基の例である。
【0078】
「ヘテロ原子置換Cn-アミド」という用語は、付着点として1個の窒素原子を有し、さらに窒素原子に対してその炭素原子を通して付着したカルボニル基を有し、さらに直鎖または分岐の環式または非環式構造を有し、さらに全体でn個の芳香族または非芳香族炭素原子、0、1、または1個より多い水素原子、カルボニル基の酸素のほかに少なくとも1個のさらなるヘテロ原子を有するラジカルを指し、それぞれのさらなるヘテロ原子は、N、O、F、Cl、Br、I、Si、P、およびSからなる群より独立して選択される。たとえば、ヘテロ原子置換C1-C10-アミドは、炭素原子1〜10個を有する。「ヘテロ原子置換Cn-アミド」という用語には、Rが先に定義されたヘテロ原子非置換Cn-アシルである、構造-NHRを有する基が含まれる。基-NHCO2CH3はヘテロ原子置換アミド基の例である。
【0079】
「ヘテロ原子非置換Cn-スルホンアミド」という用語は、付着点として1個の窒素原子を有し、さらに窒素原子に対してその硫黄原子を通して付着するスルホニル基を有し、さらに直鎖または分岐の環式または非環式構造を有し、さらに全体でn個の炭素原子、1個または複数の水素原子、全体で1個の酸素原子、全体で1個の窒素原子を有し、さらなるヘテロ原子を有しないラジカルを指す。たとえばヘテロ原子非置換C1-C10-アミドは、炭素原子1〜10個を有する。アミドという用語には、N-アルキル-スルホンアミド、N-アリール-スルホンアミド、N-アラルキル-スルホンアミド、スルホニルアミノ、アルキルスルホンアミノ、およびアリールスルホンアミノ基が含まれる。基-NHS(O)2CH3は、ヘテロ原子非置換スルホンアミド基の例である。
【0080】
「ヘテロ原子置換Cn-スルホンアミド」という用語は、付着点として1個の窒素原子を有し、さらに窒素原子に対してその硫黄原子を通して付着するスルホニル基を有し、さらに直鎖または分岐の環式または非環式構造を有し、さらに全体でn個の芳香族または非芳香族炭素原子、0、1個または1個より多い水素原子、スルホニル基の硫黄および酸素原子のほかに少なくとも1個のさらなるヘテロ原子を有するラジカルを指し、それぞれのさらなるヘテロ原子は、N、O、F、Cl、Br、I、Si、P、およびSからなる群より独立して選択される。たとえばヘテロ原子置換C1-C10-スルホンアミドは、炭素原子1〜10個を有する。基-NHS(O)2OCH3は、ヘテロ原子置換スルホンアミド基の例である。
【0081】
「ヘテロ原子非置換Cn-アルキルチオ」という用語は、Rが先に定義されたヘテロ原子非置換Cn-アルキルである、構造-SRを有する基を指す。基-SCH3はヘテロ原子非置換アルキルチオ基の例である。
【0082】
「ヘテロ原子置換Cn-アルキルチオ」という用語は、Rが先に定義されたヘテロ原子置換Cn-アルキルである、構造-SRを有する基を指す。
【0083】
「ヘテロ原子非置換Cn-アルケニルチオ」という用語は、Rが先に定義されたヘテロ原子非置換Cn-アルケニルである、構造-SRを有する基を指す。
【0084】
「ヘテロ原子置換Cn-アルケニルチオ」という用語は、Rが先に定義されたヘテロ原子置換Cn-アルケニルである、構造-SRを有する基を指す。
【0085】
「ヘテロ原子非置換Cn-アルキニルチオ」という用語は、Rが先に定義されたヘテロ原子非置換Cn-アルキニルである、構造-SRを有する基を指す。
【0086】
「ヘテロ原子置換Cn-アルキニルチオ」という用語は、Rが先に定義されたヘテロ原子置換Cn-アルキニルである、構造-SRを有する基を指す。
【0087】
「ヘテロ原子非置換Cn-アリールチオ」という用語は、Arが先に定義されたヘテロ原子非置換Cn-アリールである、構造-SArを有する基を指す。基-SC6H5はヘテロ原子非置換アリールチオ基の例である。
【0088】
「ヘテロ原子置換Cn-アリールチオ」という用語は、Arが先に定義されたヘテロ原子置換Cn-アリールである、構造-SArを有する基を指す。
【0089】
「ヘテロ原子非置換Cn-アラルキルチオ」という用語は、Arが先に定義されたヘテロ原子非置換Cn-アラルキルである、構造-SArを有する基を指す。基-SCH2C6H5はヘテロ原子非置換アラルキル基の例である。
【0090】
「ヘテロ原子置換Cn-アラルキルチオ」という用語は、Arが先に定義されたヘテロ原子置換Cn-アラルキルである、構造-SArを有する基を指す。
【0091】
「ヘテロ原子非置換Cn-アシルチオ」という用語は、Acが先に定義されたヘテロ原子非置換Cn-アシルである、構造-SAcを有する基を指す。基-SCOCH3はヘテロ原子非置換アシルチオ基の例である。
【0092】
「ヘテロ原子置換Cn-アシルチオ」という用語は、Acが先に定義されたヘテロ原子置換Cn-アシルである、構造-SAcを有する基を指す。
【0093】
「ヘテロ原子非置換Cn-アルキルシリル」という用語は、付着点として1個のケイ素原子を有し、さらにケイ素原子に付着した1、2、または3個の飽和炭素原子を有し、さらに直鎖または分岐の環式または非環式構造を有し、その全てが非芳香族である全体でn個の炭素原子、5個またはそれより多い水素原子、全体で1個のケイ素原子を含有し、さらなるヘテロ原子を含有しないラジカルを指す。たとえば、ヘテロ原子非置換C1-C10-アルキルシリルは、炭素原子1〜10個を有する。アルキルシリル基には、ジアルキルアミノ基が含まれる。基-Si(CH3)3および-Si(CH3)2C(CH3)3は、ヘテロ原子非置換アルキルシリル基の例である。
【0094】
「ヘテロ原子置換Cn-アルキルシリル」という用語は、付着点として1個のケイ素原子を有し、さらにケイ素原子に付着した1、2、または3個の飽和炭素原子を有し、炭素-炭素二重結合または三重結合を有しない、さらに直鎖または分岐の環式または非環式構造を有し、その全てが非芳香族である全体でn個の炭素原子、0、1個または1個よりより多い水素原子、付着点でのケイ素原子のほかに少なくとも1個のさらなるヘテロ原子を有するラジカルを指し、それぞれのさらなるヘテロ原子は、N、O、F、Cl、Br、I、Si、P、およびSからなる群より独立して選択される。たとえば、ヘテロ原子置換C1-C10-アルキルシリルは、炭素原子1〜10個を有する。
【0095】
本明細書において用いられる「薬学的に許容される塩」という用語は、生きている生物に対して実質的に非毒性である本発明の化合物の塩を指す。典型的な薬学的に許容される塩には、本発明の化合物に存在する置換基に応じて、本発明の化合物と無機もしくは有機酸、または有機塩基との反応によって調製される塩が含まれる。
【0096】
薬学的に許容される塩を調製するために用いてもよい無機酸の例には、塩酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸等が含まれる。薬学的に許容される塩を調製するために用いてもよい有機酸の例には、シュウ酸、カルボン酸、クエン酸、コハク酸、フェニル-ヘテロ原子置換アルカン酸のような脂肪族モノおよびジカルボン酸、脂肪族および芳香族硫酸等が含まれる。無機または有機酸から調製された薬学的に許容される塩には、このように、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、ヨウ化水素酸塩、フッ化水素酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、ギ酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、マレイン酸塩等が含まれる。他の適した塩は当業者に公知である。
【0097】
適した薬学的に許容される塩はまた、本発明の物質をメチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、リジン、オルニチン等のような有機塩基と反応させることによって形成されてもよい。他の適した塩は当業者に公知である。
【0098】
薬学的に許容される塩には、本発明の化合物のいくつかにおいて見いだされるカルボキシレートまたはスルホネート基と、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、もしくはカルシウム、またはイソプロピルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウムおよびイミダゾリウムのような有機陽イオンとのあいだに形成された塩が含まれる。
【0099】
本発明の任意の塩の一部を形成する特定の陰イオンまたは陽イオンは、全体として塩が薬理学的に許容される限り、および陰イオンまたは陽イオンが望ましくない性質または効果に関与しない限り、重要ではないと認識すべきである。さらに、さらなる薬学的に許容される塩が当業者に公知であり、本発明の範囲において用いてもよい。薬学的に許容される塩ならびにその調製および使用法に関するさらなる例は、参照により本明細書に組み入れられる、Pharmaceutical Salts: Properties, Selection and Use - A Handbook (2002)において紹介されている。
【0100】
本明細書において用いられるように、「患者」という用語は、本明細書において記述される一定の条件が起こりうる生きている生物が含まれると意図される。例には、ヒト、サル、ウシ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、およびそのトランスジェニック種が含まれる。好ましい態様において、患者は霊長類である。さらにより好ましい態様において、霊長類はヒトである。被験者の他の例には、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、およびウシのような実験動物が含まれる。実験動物は、障害に関する動物モデル、たとえばアルツハイマー病型神経病理を有するトランスジェニックマウスとなりうる。患者は、アルツハイマー病、またはパーキンソン病のような神経変性疾患に罹っているヒトでありうる。
【0101】
本明細書において用いられるように、「IC50」という用語は、得られた最大反応の50%である阻害用量を指す。
【0102】
本明細書において用いられるように、「水溶性」という用語は、化合物が少なくとも0.010 mol/Lの程度まで水に溶解すること、または文献の先行性に従って可溶性であると分類されていることを意味する。
【0103】
本明細書において用いられるように、「主に一つのエナンチオマー」は、化合物が一つのエナンチオマーを少なくとも85%、より好ましくは一つのエナンチオマーを少なくとも90%、さらにより好ましくは一つのエナンチオマーを少なくとも95%、または最も好ましくは一つのエナンチオマーを少なくとも99%含有することを意味する。同様に、「他の光学異性体を実質的に含まない」という句は、組成物が、もう一つのエナンチオマーまたはジアステレオマーを多くて5%、より好ましくはもう一つのエナンチオマーまたはジアステレオマーを2%、および最も好ましくはもう一つのエナンチオマーまたはジアステレオマーを1%含有することを意味する。
【0104】
本明細書において用いられるように、「一つの(a)」または「一つの(an)」は一つまたは複数を意味してもよい。特許請求の範囲において用いられるように、「含む」または「有する」という言葉と共に用いられる場合、「一つの」または「一つの」という言葉は一つまたは一つより多いことを意味する可能性がある。本明細書において用いられるように、「もう一つの」は、少なくとも第二またはそれより多くを意味してもよい。
【0105】
本明細書において用いられる他の略語は以下の通りである:DMSO、ジメチルスルホキシド;iNOS、誘導型酸化窒素シンターゼ;COX-2、シクロオキシゲナーゼ-2;NGF、神経生長因子;IBMX、イソブチルメチルキサンチン;FBS、ウシ胎児血清;GPDH、グリセロール-3-リン酸デヒドロゲナーゼ;RXR、レチノイドX受容体;TGF-β、トランスフォーミング増殖因子-β;IFN-γ、インターフェロン-γ;LPS、細菌のエンドトキシン性リポ多糖類;TNF-α、腫瘍壊死因子-α;IL-1β、インターロイキン-1β;GAPDH、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ;MTT、3-[4,5-ジメチルチアゾリル-2-イル]-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド;TCA、トリクロロ酢酸;HO-1、誘導型ヘムオキシダーゼ。
【0106】
III.コーヒー酸、その誘導体、およびそれらの類似体
本発明は、癌のような細胞増殖疾患を処置するためのカフェイン様化合物を提供する。本発明の化合物は、上記の本発明の要約、特許請求の範囲と共に以下の実施例において示される。
【0107】
IV.細胞増殖疾患
「細胞増殖疾患」という用語は、それによって多細胞生物に対して害を与える(たとえば、不快感または寿命の減少)、多細胞生物における異常に増加したおよび/または制御されない細胞生育に起因する障害を指す。細胞増殖疾患は動物またはヒトにおいて起こりうる。癌は細胞増殖疾患の例であり、本発明の一定の態様は癌の処置に向けられる。
【0108】
一定の態様において、本発明の化合物および方法は、たとえば、黒色腫、非小細胞肺、小細胞肺、肺、肝臓癌、網膜芽腫、星状細胞腫、膠芽細胞腫、白血病、血液、脳、皮膚、眼、舌、歯肉、神経芽腫、頭部、頚部、乳腺、膵臓、腎臓、骨、精巣、卵巣、中皮腫、子宮頚部、消化管、リンパ腫、結腸、および/または膀胱が含まれる広く多様な癌性状態を処置するために用いられてもよい。癌は癌細胞で構成される腫瘍を含んでもよい。これらの癌性状態には、癌性、前癌性、および/または悪性である細胞が含まれてもよい。
【0109】
同様に、本発明の化合物は癌以外の細胞増殖疾患を処置するために用いてもよいと期待される。本発明の一定の態様において処置される可能性がある他の細胞増殖疾患には、たとえば、リウマチ性関節炎、炎症性腸疾患、変形性関節炎、平滑筋腫、腺腫、脂肪腫、血管腫、線維腫、血管閉塞、再狭窄、アテローム性動脈硬化症(artherosclerosis)、前新生物病変(たとえば、腺腫様過形成、前立腺上皮内新形成)、上皮内癌、口腔毛髪状白斑、および/または乾癬および乾癬性関節炎が含まれる乾癬の変化型、蕁麻疹、エクセマ、アトピー性皮膚炎のような他の皮膚炎症状態、環状肉芽腫、血管腫、基底細胞癌、扁平上皮癌、悪性黒色腫、脂漏性皮膚炎、しゅさ、リウマチ性関節炎のような他の過剰反応性自己免疫障害、慢性活動性肝炎、橋本甲状腺炎、狼瘡、結合組織障害、混合型結合組織障害、および多発性硬化症、炎症性白質脳炎のような神経炎症疾患が含まれる。
【0110】
本発明の化合物は、参照により本明細書に組み入れられるIwamaru et al.,(2006)において記述されるようにSTAT3リン酸化を選択的に阻害することによって機能する可能性がある。それらの研究において、AG490に構造的に関連する阻害剤であるWP1066は、インビトロおよびインビボにおいて、ヒト悪性神経膠腫であるU87-MGおよびU373-MG細胞に対して有意により強力かつ活性である。WP1066に関するIC50値は、U87-MG細胞において5.6μM、およびU373-MG細胞において3.7μMであることが示され、これらはAG490の値に対してそれぞれ18倍および8倍の効力の増加を表す。WP1066はBaxを活性化して、c-myc、Bcl-XLおよびMcl-1の発現を抑制し、アポトーシスを誘導した。マウスにおけるWP1066の全身の腹腔内投与は、30日間の追跡期間のあいだに皮下悪性神経膠腫異種移植片の生育を有意に(P<0.001)阻害した。切除した腫瘍の免疫組織化学分析により、WP1066処置群におけるリン酸化STAT3レベルは、最後のWP1066注射後3週間阻害されたままであるのに対し、対照群の腫瘍は高レベルのリン酸化STAT3を発現することが判明した。本発明の化合物は、WP1066よりさらに強力である可能性がある。たとえば、図34において示されるように、化合物WP1193は、WP1066より強力にSTAT3リン酸化を阻害することが示された。本発明の化合物とIwamaru et al.,(2006)において試験された化合物とのあいだの構造の類似性を考慮すると、本発明は、本発明の化合物が、脳における最も一般的な悪性疾患であるヒト悪性神経膠腫、および世界保健機構のII〜IV期(2002)の星状細胞腫瘍が含まれる様々なタイプの癌を処置するために有効であろうと企図する。本発明はさらに、本発明の化合物が、参照により本明細書に組み入れられる、Yu and Jove(2004)において記述される癌のようなSTAT3が構成的に活性化される腫瘍を処置するために有用となるであろうと企図する。これらの腫瘍には、乳癌、頭頚部癌、黒色腫、卵巣癌、肺癌、膵臓癌、および前立腺癌、ならびに多発性骨髄腫、白血病(たとえば、HTLV-I依存的、急性骨髄性白血病、大型顆粒リンパ球性白血病)、およびリンパ腫(たとえば、EBV-関連/バーキットリンパ腫、菌状息肉腫、皮膚T-細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、および未分化大細胞リンパ腫)のような血液の腫瘍が含まれる。本発明の化合物はまた、WP1066とのその構造類似性に基づいて血液脳関門を浸透できると予想される。
【0111】
さらに、本発明の化合物は、過増殖疾患以外の疾患を処置するために用いてもよい。たとえば、一定のWP化合物は、肥厚および虚血(米国特許第6,433,018号)と共にB型肝炎感染症(米国特許第6,420,338号)の処置にとって有用となる可能性がある。このように、本発明の化合物はまた、肥厚、虚血、およびウイルス感染症(たとえば、B型肝炎感染症)、乾癬、および乾癬性関節炎が含まれる乾癬の変種型、蕁麻疹、エクセマ、アトピー性皮膚炎のような他の皮膚炎症状態、環状肉芽腫、血管腫、基底細胞癌、扁平上皮癌、悪性黒色腫、脂漏性皮膚炎、しゅさ、リウマチ性関節炎のような他の過剰反応性自己免疫障害、慢性活動性肝炎、橋本甲状腺炎、狼瘡、結合組織障害、混合型結合組織障害、および多発性硬化症、炎症性白質脳炎のような神経炎症疾患のような他の疾患を処置するために有用となる可能性がある。
【0112】
V.薬学的組成物
本発明の抗腫瘍化合物は、腫瘍における物質の作用部位に活性成分を接触させる任意の方法によって、腫瘍細胞のような細胞増殖疾患に関係する一定の細胞を殺すために投与することができる。それらは、個々の治療活性成分として、または治療活性成分との併用において薬剤と共に用いるために利用できる任意の通常の方法によって投与されうる。それらは、単独で投与されうるが、一般的に、選択された投与経路および標準的な薬学的実践に基づいて選択される薬学的に許容される担体と共に投与されうる。
【0113】
本発明の水性組成物は、癌細胞を殺すために、または癌細胞の生育を遅らせるために化合物の有効量を有するであろう。そのような組成物は一般的に、薬学的に許容される担体または水性媒体において溶解または分散されるであろう。
【0114】
「AG化合物」および「WP化合物」は、本発明の具体的例を指す。
【0115】
「薬学的または薬理学的に許容される」という句は、適当であれば動物またはヒトに投与した場合に有害な、アレルギー、または他の望ましくない反応を生じない分子実体および組成物を指す。本明細書において用いられるように、「薬学的に許容される担体」には、任意のおよび全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤等が含まれる。薬学的活性物質のためにそのような媒体および物質を用いることは、当技術分野において周知である。いかなる通常の媒体または物質も活性成分と不適合性である場合を除き、その治療的組成物における使用が企図される。他の抗癌剤のような補助活性成分も同様に組成物に組み入れることができる。
【0116】
静脈内または筋肉内注射のような非経口投与のために製剤化された化合物のほかに、他の薬学的に許容される剤形には、たとえば、経口投与のための錠剤または他の固体;放出遅延カプセル;およびクリーム、ローション、マウスウォッシュ、吸入剤、脂質担体、リポソーム等が含まれる、現在用いられている任意の他の剤形が含まれる。
【0117】
A.非経口投与
活性化合物はしばしば、非経口投与のために製剤化され、たとえば静脈内、筋肉内、皮下、または腹腔内経路による注射のために製剤化されるであろう。活性成分として本発明のアントラサイクリンを含有する水性組成物の調製は、本開示に照らして当業者に公知であろう。典型的に、そのような組成物は、液体溶液または懸濁液のいずれかとしての注射剤として調製されうる;注射前に液体を加えることによって溶液または懸濁液を調製するために用いるために適した固体剤形も同様に調製することができ、調製物はまた乳化することができる。
【0118】
遊離の塩基または薬理学的に許容される塩としての活性化合物の溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースのような界面活性剤と適切に混合した水において調製することができる。分散液はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびその混合物、ならびに油において調製することができる。通常の保存および使用条件において、これらの調製物は、微生物の成育を防止するために保存剤を含有する。
【0119】
いくつかの剤形において、一般的に溶解度および生物学的利用率を改善するために、ならびにより容易に同化される活性薬剤形を提供するために、化合物を塩の剤形で製剤化することが望ましいであろう。本明細書において用いられるように、「薬学的に許容される塩」は、適した生理的に認容される酸によって置換アントラサイクリン溶液を酸性にすることによって形成される化合物を指す。適した生理的に認容される酸は、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、サリチル酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、イソチオン酸、乳酸、グルコン酸、グルクロン酸、アミドスルホン酸、安息香酸、酒石酸、およびパモン酸のような有機および無機酸である。典型的に、活性化合物のそのような塩の剤形は、使用前に提供または混合されるであろう。
【0120】
注射での使用にとって適した薬学的剤形には、滅菌水溶液または分散液;ゴマ油、落花生油、または水性プロピレングリコールが含まれる製剤;および滅菌注射用溶液または分散液を即時調製するための滅菌粉末が含まれる。全ての場合において、剤形は無菌的でなければならず、容易なシリンジ操作性が存在する程度に流動性でなければならない。剤形は、製造および保存条件で安定でなければならず、細菌および真菌のような微生物の混入作用に対して保存されなければならない。
【0121】
活性化合物は、中性または塩の剤形で組成物に製剤化されてもよい。薬学的に許容される塩には、酸付加塩、およびたとえば塩酸もしくはリン酸のような無機塩、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸等のような有機酸によって形成される塩が含まれる。
【0122】
本発明の化合物はまた、リポソームまたは任意の他の脂質担体を含む組成物に製剤化してもよい。リポソームには多小胞リポソーム、マルチラメラリポソーム、およびユニラメラリポソームが含まれる。
【0123】
担体はまた、たとえば水、エタノール、ポリオール(たとえば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール等)、その適した混合物、および植物油を含有する溶媒または分散媒体となりうる。適切な流動性は、たとえばレシチンのようなコーティングを用いることによって、分散液の場合には必要な粒子径を維持することによって、および界面活性剤を用いることによって維持することができる。微生物の作用の予防は、様々な抗菌剤または抗真菌剤、たとえばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサル等によってもたらされうる。多くの場合において、等張剤、たとえば糖または塩化ナトリウムを含めることが好ましいであろう。注射用組成物の持続的な吸収は、吸収を遅らせる物質、たとえばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物において用いることによってもたらされうる。
【0124】
滅菌注射溶液は、先に列挙した様々な他の成分と共に適当な溶媒に必要量の活性化合物を組み入れた後に、必要に応じて濾過滅菌することによって調製される。一般的に、分散液は、基本分散培地および先に列挙した成分からの必要な他の成分を含有する滅菌媒体に様々な滅菌活性成分を組み入れることによって調製される。滅菌注射溶液を調製するための滅菌粉末の場合、好ましい調製法は、予め濾過滅菌したその溶液から活性成分プラス任意のさらなる所望の成分の粉末を生じる真空乾燥および凍結乾燥技術である。
【0125】
一定の場合において、本発明の治療製剤はまた、クリームおよびローションのような局所投与にとって適した剤形で調製されうる。これらの剤形は、様々な肉腫のような皮膚関連疾患を処置するために用いてもよい。
【0126】
製剤化された後、溶液を、投与製剤と適合性の方法で、および治療的に有効である量で投与する。製剤は、先に記述したタイプの注射溶液のような多様な投与剤形で容易に投与され、さらに薬物放出カプセル等を用いることができる。
【0127】
水性溶液における非経口投与の場合、たとえば溶液は、必要であれば適切に緩衝剤を加えなければならず、液体希釈剤を十分な生理食塩液またはグルコースによってまず等張にしなければならない。これらの特定の水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下、および腹腔内投与にとって特に適している。この点において、使用することができる滅菌水性媒体は、本開示に照らして当業者に公知であろう。たとえば、一つの用量を等張NaCl溶液1 mlに溶解して、皮下注入液1000 mlに加えるか、または提唱される注入部位で注射することができる(たとえば、"Remington's Pharmaceutical Sciences" 15th Edition, pages 1035-1038 and 1570-1580を参照されたい)用量の何らかの変動は処置される被験者の状態に応じて必然的に起こるであろう。投与の責任者は、いずれにせよ個々の被験者に関して適当な用量を決定するであろう。
【0128】
B.経口投与
一定の態様において、活性化合物は経口投与されてもよい。これは、消化酵素によるタンパク質分解に対して一般的に抵抗性である、または抵抗性にされている物質に関して企図される。そのような化合物には、製造元から錠剤として利用可能である全てのそれらの化合物または薬物、ならびにその誘導体および類似体が含まれると企図される。
【0129】
経口投与の場合、活性化合物を、たとえば不活性希釈剤または同化可能な食用担体と共に投与してもよく、または活性化合物を、硬もしくは軟ゼラチンカプセルに封入してもよく、錠剤に圧縮してもよく、もしくは食品の食物に直接組み入れてもよい。経口治療的投与の場合、活性化合物を賦形剤と共に組み入れて、摂取可能な錠剤、口腔内錠剤、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、ウェーハ等の剤形で用いてもよい。そのような組成物および調製物は、活性化合物を少なくとも0.1%含有すべきである。組成物および調製物の百分率は、当然、変化してもよく、簡便に単位重量の約2〜約60%のあいだであってもよい。そのような治療的に有用な組成物における活性化合物の量は、適した用量が得られるような量である。
【0130】
錠剤、トローチ剤、丸剤、カプセル剤等はまた、以下を含有してもよい:トラガカントゴム、アカシア、コーンスターチ、またはゼラチンのような結合剤;リン酸カルシウムのような賦形剤;コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸等のような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤;および蔗糖、乳糖、またはサッカリンのような甘味料、またはペパーミント、冬緑油、もしくはサクランボ香料のような着香料を加えてもよい。投与単位剤形がカプセル剤である場合、上記のタイプの材料のほかに液体担体を含有してもよい。様々な他の材料がコーティングとして、またはそうでなければ投与単位の物理的剤形を改変するために存在してもよい。たとえば、錠剤、丸剤、またはカプセル剤をシェラック、糖、または双方によってコーティングしてもよい。エリキシル剤のシロップは、活性化合物、甘味料としての蔗糖、保存剤としてのメチルおよびプロピルパラベン、色素、ならびにサクランボまたはオレンジ香料のような着香料を含有してもよい。当然、任意のタンパク質に投与剤形を調製するために用いられるいかなる材料も、薬学的に純粋であるべきで、用いられる量において実質的に非毒性であるべきである。さらに、活性化合物は、徐放性調製物および製剤に組み入れてもよい。
【0131】
製剤化されると、化合物は、投与製剤と適合性であって、治療的に有効である量で投与されるであろう。製剤は、以下の具体的実施例において記述されるような、多様な投与剤形で容易に投与される。
【0132】
VI.治療
今日の腫瘍学における主な難題の一つは、所定の腫瘍の有効な処置である。腫瘍はしばしば、従来の治療に対して抵抗性である。このように、癌の有効な処置を発見することに膨大な努力が向けられている。これを達成する一つの方法は、新規薬剤を従来の治療と併用することである。本発明の文脈において、化合物を用いる治療は、手術、化学療法、放射線療法、および/または遺伝子治療と併用して用いることができると企図される。
【0133】
「有効量」または「治療的に適切な量」は、治療的恩典を生じるために十分な(たとえば、癌細胞の生育を再現性よく、阻害、減少、低減、阻害、またはそうでなければ排除するために有効な)化合物の量である。被験者を処置する文脈における有効量は、治療的恩典を生じるために十分である。本明細書において用いられるように「治療的恩典」という用語は、被験者の細胞増殖疾患の医学的処置に関して被験者の安寧を促進または増強するいかなるものも指す。この非網羅的な例の一覧には、患者の生命の任意の期間の延長、疾患の新生物発生の減少または遅延、過増殖の減少、腫瘍の生育の低減、転移の遅延、癌細胞、腫瘍細胞、または他の任意の過増殖細胞の増殖速度の低減;任意の処置細胞または処置細胞によって影響を受ける任意の細胞におけるアポトーシスの誘導;および/または患者の状態に帰することができる被験者に対する疼痛の減少が含まれる。
【0134】
以下の実施例は、本発明の好ましい態様を証明するために含まれる。以下の実施例において開示される技術は、本発明の実践において十分に機能するように本発明者らによって発見された技術を表し、このように、その実践にとって好ましい様式を構成すると見なされうることは当業者に認識されるべきである。しかし、当業者は、本開示に照らして、開示される具体的態様に多くの変化を行ってもよく、それらも同様または類似の結果を得て、それらもなお本発明の趣旨および範囲に含まれると認識すべきである。
【0135】
実施例1
化合物の一般的合成法
以下のスキームは、特異的コーヒー酸類似体の調製法を示す。示した開始材料の類似体を用いることによって、当業者は、他のコーヒー酸類似体を作製するためにこの方法を用いてもよい。

【0136】
2-メチル-1-オキシド-6-置換ピリジンの調製
過酸化水素(35%w/vを1 ml、10 mmol)を、氷酢酸(6 ml)においてピリジン化合物(10 mmol)の溶液に加えて、混合物を70〜80℃で撹拌しながら3時間加熱した。35%(w/v)H2O2をさらに少量加えて、反応を70〜80℃で9時間進行させた。反応混合物の容積を真空で低減させて、水(2 ml)を加えて、混合物を真空で濃縮して、無水Na2CO3を用いて残渣をアルカリにした。クロロホルム(5 ml)を加えて、この混合物を25℃で5分間放置して、不溶性のNa2CO3およびNaOAcを濾過によって除去した。濾液(硫酸ナトリウム)を乾燥させて、真空下で溶媒を除去すると、標的産物が得られた。収率は、2位の置換基に応じて55%〜85%であった。産物をさらに精製せずに次の段階に用いた。
【0137】
2-(アセトキシメチル)-6-置換ピリジンの一般的調製法
2-メチル-1-オキシド-3-置換ピリジン(6 mmol)を無水酢酸(4.32 g、42 mmol、4 ml)において1時間還流した。エタノール(3 ml)を反応混合物に加えて、反応を還流しながら10分間進行させた。反応混合物を、水中(10 ml)に注いだ氷水浴において冷却して、10%NaHCO3水溶液によって中和した。エーテル(2×25 ml)による抽出、抽出物の塩水溶液(10 ml)による洗浄、有機分画(硫酸ナトリウム)の乾燥、および真空における溶媒の除去により、残渣が得られた。溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(70/30、v/v)を用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製すると、それぞれの産物が油として得られ、これを次に2-ヒドロキシメチル-6-置換ピリジンの調製のために用いた。
【0138】
2-ヒドロキシメチル-6-置換ピリジンの一般的調製法
2-(アセトキシメチル)-6-置換ピリジン(5 mmol)、1N NaOH(6 ml)、およびMeOH(12 ml)の混合物を25℃で1.5時間撹拌した。反応混合物を水(30 ml)に注いだ。酢酸エチル(2×50 ml)による抽出、EtOAc抽出物の塩水(10 ml)による洗浄、酢酸エチル分画の乾燥(Na2SO4)、および真空下での溶媒の除去により、残渣が得られた。溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(60/40、v/v)を用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって残渣を精製すると、それぞれの産物が油として得られ、これを次に6-置換-2-ピリジンカルボキシアルデヒドの調製のために用いた。
【0139】
6-置換-2-ピリジンカルボキシアルデヒドの一般的調製法
無水H3PO4のDMSO溶液(1.0 Mを1.5 ml)を、DMSO(7 ml)において6-置換-2-(ヒドロキシメチル)-ピリジン(3 mmol)およびN,N-ジシクロヘキシルカルボジイミド(1.86 g、9 mmol)の溶液に加えて、反応を撹拌しながら25℃で1.5時間進行させた。沈殿したジシクロヘキシルウレアを濾過して、濾過した固体をエーテル(15 ml)によって洗浄した。水洗浄液をエーテルによって抽出した(2×30 ml)。合わせた有機溶液を塩水(10 ml)によって洗浄し、有機分画を乾燥させて(硫酸ナトリウム)、溶媒を真空下で除去した。得られた残渣を、溶離液としてエーテル/ヘキサン(40/60、v/v)を用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製すると、それぞれの産物が与えられた。
【0140】
リガンド:(S)-2-アミノ-3-メチル-1,1-ジフェニルブタン-1-オルの調製
臭化フェニルマグネシウム(3.0 M、600 ml、1.7 mol)のジエチルエーテル溶液を0℃で撹拌して、THF(300 ml)によって希釈した後、温度を10℃未満に維持しながらL-バリンメチルエステル塩酸塩(50 g、0.298 mol)を少量ずつ加えた。室温で3時間撹拌後、反応混合物を氷冷塩化アンモニウム溶液に徐々に注いだ。ジエチルエーテル(500 ml)および酢酸エチル(500 ml)を混合物に加えた。相を分離した後、水相をtert-ブチルメチルエーテル(1 L)によって再抽出した。合わせた有機層を0℃で撹拌して、35%塩酸(約40 ml)および水によって徐々に酸性にした。このように形成された塩酸沈殿物を濾去して、tert-ブチルメチルエーテルによってすすいだ。次に、混合物をジクロロメタン(1 L)および水(1 L)に溶解して、35%水酸化ナトリウム(約50 ml)によって0℃で塩基性にした。相を分離した後、水相をジクロロメタン(1 L)によって再抽出した。合わせた有機層を水によって洗浄した後、塩水によって洗浄し、硫酸ナトリウムにおいて乾燥させて濃縮した。イソプロピルエーテルから結晶化させると、(S)-2-アミノ-3-メチル-1,1-ジフェニルブタン-1-オルが得られた(61 g、87%)。
【0141】
エナンチオマーアミンの合成
(S)-2-アミノ-3-メチル-1,1-ジフェニルブタン-1-オル(47 mmol、12 g)のTHF(80 ml)溶液を30℃未満の温度で撹拌した後、ボラン-テトラヒドロフラン溶液(1 M、95 ml)を徐々に加えた。温度を2時間かけて室温まで上昇させた。次に、反応混合物を0℃で撹拌して、純粋なanti-シクロプロピル(フェニル)メタミン-ベンジルオキシム(19 mmol、5 g)のTHF(10 ml)溶液を加えた。混合物を室温で20時間撹拌後、反応混合物を0℃に冷却して、塩酸(2 N、100 ml)によって処置した。混合物を16時間撹拌後、35%水酸化ナトリウム(100 ml)を加えることによって0℃で塩基性にした後、酢酸エチルによって抽出した。抽出物を水および塩水によって洗浄して、硫酸ナトリウムにおいて乾燥させて、蒸発乾固させた。アミンを、クロロホルム:メタノール(25%メタノールまでの勾配)を用いてLC(BIOTAGE SP1 purification system)によって精製すると、(S)-シクロプロピル(フェニル)メタミン2.1 gを得て、収率は72%であった。
【0142】
シアノ酢酸エチルの調製
シアノ酢酸(1 mmol)、エチルアルコール(1 ml)およびp-トルエンスルホン酸(0.1 mmol)の混合物をトルエン(20 ml)と共に12時間還流した。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウムによって洗浄した後、中性になるまで水によって洗浄した。有機溶液を硫酸ナトリウムにおいて乾燥させた。乾燥物質および溶媒を除去して、粗エステルを97〜98℃/21.3 hPa(16 mmHg)の減圧下で蒸留した。収率72%。
【0143】
N-(フェニルアルキル)シナミドの調製(全般的技法)
(S)-シクロプロピル(フェニル)メタナミン(4.12 g、28 mmol)およびシアノ酢酸エチル(9.4 g、84 mmol)の混合物をトルエン(10 ml)において調製して、還流しながら4時間撹拌した。反応の進行をTLC法によってモニターした。反応が完了した後、溶媒を蒸発乾固させた。産物をLC(Biotage SP1, purification system)を用いて精製すると、N-((S)-シクロプロピル(フェニル)メチル)-2-イソシアノアセタミド4.08 g(68%)が中間体として得られた。
【0144】
N-((S)-シクロプロピル(フェニル)メチル)-2-イソシアノアセタミド(1 mmol)、6-置換-2-ピリジンカルボキシアルデヒド(1 mmol)、およびピペリジン(触媒、1滴)の混合物をアセトニトリル(50 ml)において調製して、24時間還流した。溶媒を蒸発乾固させて、産物をLC(Biotage SP1, purification system)を用いて精製すると、WP1140(WP1193)が白色粉末(50%)として得られた。
【0145】
WP1204の合成

【0146】
N-((S)-1-フェニルエチル)アクリルアミドの合成
S-(α)-メチルベンジルアミン(6 ml)を無水ジクロロメタン(10 ml)に溶解して、0℃まで冷却した後、塩化アクロイル(4 ml)を滴下して加えた。反応混合物を室温で15分間撹拌した後、溶媒を蒸発乾固させた。粗産物をヘキサン、ヘキサン:酢酸エチル9:1を用いるカラムクロマトグラフィーによって精製すると、純粋なN-((S)-1-フェニルエチル)アクリルアミドが良好な収率で得られた。
【0147】
(E)-3-(6-ブロモピリジン-2-イル)-N-((S)-1-フェニルエチル)アクリルアミドの合成
トリフェニルホスフィン(0.496 mmol)のDMF(10 ml)溶液に、酢酸パラジウム(0.245 mmol)を室温でアルゴン雰囲気下で加えた。混合物を5分間撹拌した後、2,6-ジブロモピリジン(12.7 mmol)の後にN-((S)-1-フェニルエチル)アクリルアミド(14.0 mmol)およびトリエチルアミン(35.9 mmol)を加えて、反応混合物を140℃で7時間撹拌した。溶媒の大部分を減圧下で除去した。希HClを加えて、産物を酢酸エチルによって抽出した。有機層を合わせて、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムにおいて乾燥させた。乾燥物質および溶媒を除去して、溶離液としてヘキサンおよびヘキサン:酢酸エチル2:1を用いるカラムクロマトグラフィーによって産物を精製すると、純粋な産物が良好な収率で得られた。
【0148】
実施例2
選択した化合物のNMRケミカルシフト
以下の化合物を先に示した技法に従って調製した。
WP1082
(2E)-N-ベンジル-2-シアノ-3-(シクロヘクス-3-エニル)アクリルアミド

【0149】
WP1193
(E)-3-(6-ブロモピリジン-2-イル)-2-シアノ-N-((S)-シクロプロピル(フェニル)メチル)アクリルアミド

【0150】
WP1145
(E)-3-(6-ブロモピリジン-2-イル)-2-シアノ-N-((S)-1,2-ジフェニルエチル)アクリルアミド

【0151】
WP1159
(E)-3-(6-ブロモピリジン-2-イル)-2-シアノ-N-(2-フェノキシエチル)アクリルアミド

【0152】
WP1163
(E)-3-(6-ブロモピリジン-2-イル)-2-シアノ-N-((R)-シクロプロピル(フェニル)メチル)アクリルアミド

【0153】
WP1164
(E)-3-(6-ブロモピリジン-2-イル)-2-シアノ-N-((S)-シクロブチル(フェニル)メチル)アクリルアミド

【0154】
WP1166
(E)-3-(6-ブロモピリジン-2-イル)-2-シアノ-N-((S)-シクロヘキシル(フェニル)メチル)アクリルアミド

【0155】
WP1167
(E)-3-(6-ブロモピリジン-2-イル)-2-シアノ-N-((1S,2R)-2,3-ジヒドロ-2-ヒドロキシ-1H-インデン-1-イル)アクリルアミド

【0156】
WP1168
(E)-3-(6-ブロモピリジン-2-イル)-2-シアノ-N-((1R,2S)-2,3-ジヒドロ-2-ヒドロキシ-1H-インデン-1-イル)アクリルアミド

【0157】
WP1169
(E)-N-ベンズヒドリル-3-(6-ブロモピリジン-2-イル)-2-シアノアクリルアミド

【0158】
WP1179
(E)-2-シアノ-3-(6-メチルピリジン-2-イル)-N-((S)-1-フェニルエチル)アクリルアミド

【0159】
WP1180
(E)-2-シアノ-3-(6-メチルピリジン-2-イル)-N-((R)-1-フェニルエチル)アクリルアミド

【0160】
WP1196
(E)-2-シアノ-3-(1H-イミダゾル-2-イル)-N-((S)-1-フェニルエチル)アクリルアミド

【0161】
WP1203
(E)-2-シアノ-3-シクロドデシル-N-((S)-1-フェニルエチル)アクリルアミド

【0162】
WP1225
(E)-3-(6-クロロピリジン-2-イル)-2-シアノ-N-((R)-シクロプロピル(フェニル)メチル)アクリルアミド

【0163】
WP1246
(6-((E)-2-((S)-シクロプロピル(フェニル)メチルカルバモイル)-2-シアノビニル)ピリジン-2-イル)メチルアセテート

【0164】
WP1267
(E)-3-(6-ブロモピリジン-2-イル)-2-シアノ-N-((R)-シクロブチル(フェニル)メチル)アクリルアミド

【0165】
WP1268
(E)-3-(6-ブロモピリジン-2-イル)-2-シアノ-N-((S)-1-ヒドロキシ-3-フェニルプロパン-2-イル)アクリルアミド

【0166】
WP1269
(E)-3-(6-ブロモピリジン-2-イル)-2-シアノ-N-((R)-2-ヒドロキシ-1-フェニルエチル)アクリルアミド

【0167】
WP1271
(E)-2-シアノ-3-(2-フルオロピリジン-3-イル)-N-((S)-1-フェニルエチル)アクリルアミド

【0168】
WP1272
(E)-2-シアノ-N-((S)-シクロプロピル(フェニル)メチル)-3-(2-フルオロピリジン-3-イル)アクリルアミド

【0169】
WP1280
(E)-2-シアノ-3-(3-フルオロピリジン-4-イル)-N-((S)-1-フェニルエチル)アクリルアミド

【0170】
WP1282
(E)-3-(6-ブロモピリジン-2-イル)-2-シアノ-N-((R)-シクロペンチル(フェニル)メチル)アクリルアミド

【0171】
WP1283
(E)-3-(3-ブロモピリジン-4-イル)-2-シアノ-N-((S)-1-フェニルエチル)アクリルアミド

【0172】
WP1284
(E)-3-(5-ブロモピリジン-3-イル)-2-シアノ-N-((S)-1-フェニルエチル)アクリルアミド

【0173】
WP1285
(E)-3-(2-ブロモピリジン-3-イル)-2-シアノ-N-((S)-1-フェニルエチル)アクリルアミド

【0174】
WP1286
(E)-3-(6-ブロモピリジン-3-イル)-2-シアノ-N-((S)-1-フェニルエチル)アクリルアミド

【0175】
WP1293
(R)-2-((E)-3-(6-ブロモピリジン-2-イル)-2-シアノアクリルアミド)-2-フェニルエチルアセテート

【0176】
WP1302
(R)-2-((E)-3-(6-ブロモピリジン-2-イル)-2-シアノアクリルアミド)-2-フェニルエチルピバレート

【0177】
WP1201((S)-N-((E)-2-(6-ブロモピリジン-2-イル)ビニルスルホニル)-1-フェニルエタナミン)の合成

【0178】
2-クロロエタンスルホニルクロリド(5.7 mmol、930 mg)をジクロロメタン(10 ml)に溶解した。得られた溶液を-78℃まで冷却した。トリエチルアミン(TEA)(5.7 mmol、0.8 ml)を加えて、反応混合物を-78℃で30分撹拌した後0℃で45分間撹拌した。反応混合物を-78℃まで冷却して、(S)-メチルベンジルアミン(5.7 mmol、690 mg)およびTEA(5.7 mmol、0.8 ml)のジクロロメタン(10 ml)における混合物を加えた。-78℃での撹拌をさらに20分間継続した後、冷浴を外し、反応混合物を室温で20分間撹拌した。溶媒を蒸発乾固させて、粗産物を、溶離液として50%酢酸エチルまでのヘキサン:酢酸エチル勾配を用いるLCクロマトグラフィー(ISCO LC purification system)によって精製すると、スルホンアミド(A)0.78 gが得られた(収率65%)。
【0179】
トリフェニルホスフィン(1.1 mmol、28 mg)をDMF(3 ml)に溶解した。酢酸パラジウム(II)(0.53 mmol、113.5 mg)を加えて、混合物をアルゴン下で5分間撹拌した。スルホンアミド(A)(2.8 mmol、600 mg)、2,6-ジブロモピリジン(2.8 mmol、640 mg)、TEA(1 ml)、およびDMF(3 ml)を加えて、混合物を2.5時間加熱還流した。反応混合物を冷却した後、水(50 ml)によって希釈した。得られた混合物を酢酸エチル(3×50 ml)によって抽出した。合わせた抽出物を硫酸ナトリウムによって乾燥させた。産物を、溶離液として50%酢酸エチルまでのヘキサン:酢酸エチル勾配を用いるLCクロマトグラフィー(BIOTAGE LC purification system)によって精製すると、WP1201 460 mgが得られた(収率45%)。

【0180】
実施例3
全般的アッセイ法
細胞培養
神経膠芽腫U87および膵臓癌細胞株AsPc-1、Panc-1、Colo357-FG、およびColo357-L3.6を、10%ウシ胎児血清(FBS)、100 mg/mlストレプトマイシン、および100 IU/mlペニシリンを含むDMEMにおいて5%CO2において37℃で維持した。
【0181】
腫瘍細胞株を、10%ウシ胎児血清(FBS)、100 μg/mlストレプトマイシン、および100 IU/mlペニシリンを含むDMEMにおいて5%CO2において37℃で維持した。
【0182】
AsPc-1:膵臓頭部の組織病理学的に確認された腺癌を有する患者の腹水から確立されたヒト膵臓腫瘍細胞株。Chen et al.(1982)を参照されたい。
【0183】
Panc-1:膵管細胞起源のヒト膵臓癌から開始した上皮細胞株。Lieber et al.(1975)を参照されたい。
【0184】
Colo357は、膵臓腺癌の転移に由来した。Morgan et al.(1980)を参照されたい。
【0185】
Colo357-FGおよびColo357-L3:Colo357-FG、ヌードマウスに皮下移植して生育させた後、その58%において限局的リンパ節転移を生じる急速生育変種。この株はまた、腫瘍細胞の脾臓内移植後ヌードマウスの64%において肝転移を生じ、43%において肺転移を生じた。Vezeridis et al.(1990)を参照されたい。
【0186】
Colo357-L3.5は、ヌードマウス肝臓を通してのヒト膵臓癌細胞株の連続継代により確立された。Vezeridis et al.(1992)を参照されたい。
【0187】
WM793ヒト黒色腫腫瘍細胞株は、異なる進行段階からその生物学的および分子分析のために用いられた。Satyamoorthy et al.(1997)を参照されたい。
【0188】
細胞障害アッセイ
細胞障害アッセイに関して、腫瘍細胞1,500個を96ウェル平底組織培養プレートにおいて完全培地において播種した。20時間後、異なる濃度のWP1066を含有する新鮮な培地を加えた。細胞数を72時間後にMTSアッセイ(Promega CellTiter AQ Non-Radioactive Cell Proliferation Assay kit, Madison, WI, USA)を用いて96ウェルプレートリーダーによって490 nmでの吸光度を測定することによって計数した。データを、8回測定の相対的増殖阻害+SDとして表す。DMSOの存在下での細胞数を100%とした。
【0189】
アポトーシスアッセイ
培養膵臓癌細胞6×105個を処置の24時間前に100 mm培養皿に播種した。WP1066またはDMSO(溶媒)の異なる期間および濃度による処置後に、細胞をアネキシンV-FITCによって染色した。Becton Dickinson (San Jose, CA) FACScanにおいて少なくとも10,000事象の蛍光を定量した。
【0190】
ウェスタンブロット分析
WP化合物またはDMSO(溶媒)の異なる期間および濃度によって処置した培養膵臓癌細胞を溶解緩衝液において溶解して、等量のタンパク質抽出物をドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分画して、Hybond-Pメンブレンに転写した。メンブレンを、リン特異的STAT3、総STAT3、Bcl-xL、サバイビン、PARP、カスパーゼ-8、およびGADPH抗体を用いてイムノブロットした。一次抗体を、高感度化学発光(ECF)システムおよびMolecular Dynamics Storm PhosphorImagerを用いて、ヤギ抗ウサギまたはヤギ抗マウスペルオキシダーゼ共役抗体によって可視化した。
【0191】
本明細書において開示および請求される組成物は全て、本開示に照らして過度の実験を行うことなく作製および実行されうる。本発明の組成物および方法は、好ましい態様に関して記述してきたが、本明細書に記述の組成物および方法の段階または段階の順序に変更を適用してもよく、それらも本発明の概念、趣旨、および範囲に含まれることは当業者に明らかであろう。より具体的に、化学的および生理学的に関連する一定の物質を、本明細書において記述される物質の代わりに用いてもよく、それでも同じまたは類似の結果が得られるであろうことは明らかであろう。当業者に明らかなそのような類似の置換および改変は全て、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨、範囲、および概念に含まれると思われる。
【0192】
参考文献
以下の参考文献は、それらが本明細書において記述される内容に対して補助的な例示的な技法またはその詳細を提供する程度に、具体的に参照により本明細書に組み入れられる。
米国特許第6,433,018号
米国特許第6,420,338号
米国特許第6,426,366号

【図面の簡単な説明】
【0193】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明の一定の局面をさらに証明するために含まれる。本発明は、本明細書において紹介される具体的態様の詳細な記述と合わせて、これらの図面の一つまたは複数を参照することによってよりよく理解される可能性がある。
【図1】Colo357-FG細胞における構成的活性化STAT3のWP1066およびWP1193による阻害を示す。Tyr705でのリン酸化STAT3および総STAT3のウェスタンブロットである。
【図2】様々な細胞株の存在下でのWP1193の用量反応曲線を示す。値は、1試料あたり3回の実験の平均値±s.d.(エラーバー)である。
【図3】様々な細胞株の存在下でのWP1145の用量反応曲線を示す。
【図4】U87細胞株の存在下でのWP1163の用量反応曲線を示す。
【図5】U87細胞株の存在下でのWP1164の用量反応曲線を示す。
【図6】Colo357-FG細胞株の存在下でのWP1164の用量反応曲線を示す。
【図7】U87細胞株の存在下でのWP1166の用量反応曲線を示す。
【図8】U87細胞株の存在下でのWP1167の用量反応曲線を示す。
【図9】U87細胞株の存在下でのWP1168の用量反応曲線を示す。
【図10】U87細胞株の存在下でのWP1169の用量反応曲線を示す。
【図11】U87およびFG細胞株の存在下でのWP1229の用量反応曲線を示す。
【図12】U87細胞株の存在下でのWP1229の用量反応曲線を示す。
【図13】U87細胞株の存在下でのWP1146の用量反応曲線を示す。値は、1試料あたり3回の実験の平均値±s.d.(エラーバー)である。
【図14】Colo357-FG細胞株の存在下でのWP1267の用量反応曲線を示す。値は、1試料あたり3回の実験の平均値±s.d.(エラーバー)である。
【図15】U87細胞株の存在下でのWP1267の用量反応曲線を示す。値は、1試料あたり3回の実験の平均値±s.d.(エラーバー)である。
【図16】Colo357-FG細胞株の存在下でのWP1268の用量反応曲線を示す。値は、1試料あたり3回の実験の平均値±s.d.(エラーバー)である。
【図17】U87細胞株の存在下でのWP1268の用量反応曲線を示す。値は、1試料あたり3回の実験の平均値±s.d.(エラーバー)である。
【図18】U87細胞株の存在下でのWP1269の用量反応曲線を示す。値は、1試料あたり3回の実験の平均値±s.d.(エラーバー)である。
【図19】Colo357-FG細胞株の存在下でのWP1269の用量反応曲線を示す。値は、1試料あたり3回の実験の平均値±s.d.(エラーバー)である。
【図20】Colo357-FG細胞株の存在下でのWP1282の用量反応曲線を示す。
【図21】U87細胞株の存在下でのWP1282の用量反応曲線を示す。
【図22】Colo357-FG細胞株の存在下でのWP1283の用量反応曲線を示す。
【図23】U87細胞株の存在下でのWP1283の用量反応曲線を示す。
【図24】U87細胞株の存在下でのWP1284の用量反応曲線を示す。
【図25】Colo357-FG細胞株の存在下でのWP1284の用量反応曲線を示す。
【図26】U87細胞株の存在下でのWP1285の用量反応曲線を示す。
【図27】Colo357-FG細胞株の存在下でのWP1285の用量反応曲線を示す。
【図28】U87細胞株の存在下でのWP1286の用量反応曲線を示す。
【図29】Colo357-FG細胞株の存在下でのWP1286の用量反応曲線を示す。
【図30】Colo357-FG細胞株の存在下でのWP1293の用量反応曲線を示す。
【図31】U87細胞株の存在下でのWP1293の用量反応曲線を示す。
【図32】U87細胞株の存在下でのWP1302の用量反応曲線を示す。
【図33】Colo357-FG細胞株の存在下でのWP1302の用量反応曲線を示す。
【図34】化合物WP1193は、WP1066より強力にSTAT3リン酸化を阻害する。グラフはマイクロモル濃度単位での生存(対照の%)対濃度を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下からなる群より選択される化合物、ならびにその薬学的に許容される塩、水和物、アミン-N-オキシド、イミン-N-オキシド、互変異性体、および光学異性体:

式中、R1は-Hまたはシアノであって、R2はヘテロ原子置換またはヘテロ原子非置換C3-C7-シクロアルキルである;

式中、X1はハロであって、R3はヘテロ原子置換もしくはヘテロ原子非置換C1-C7シクロアルキル、C6-C10-アリール、またはC7-C10-アラルキルである;

式中、X2はハロであって、R4はヒドロキシまたはヘテロ原子置換もしくはヘテロ原子非置換C1-C10-アシルオキシである;

式中、X3はハロまたはヘテロ原子置換もしくはヘテロ原子非置換C1-C10アルキルもしくはC1-C10-アルコキシであり、
R5は-Hまたはシアノであり、および
R6はヘテロ原子置換もしくはヘテロ原子非置換C1-C10-アルキル、C1-C7-シクロアルキル、C1-C10-アシルオキシ、C6-C10-アリール、またはC7-C10-アラルキルである;

式中、X4はハロまたはヘテロ原子置換もしくはヘテロ原子非置換C1-C10-アルキルもしくはC1-C10-アルコキシであり、
R7は-Hまたはシアノであり、および
R8はヘテロ原子置換もしくはヘテロ原子非置換C1-C10-アルキル、C1-C7-シクロアルキル、C1-C10-アシルオキシ、C6-C10-アリール、またはC7-C10-アラルキルである;

式中、X5はヘテロ原子置換もしくはヘテロ原子非置換C1-C10-アルキルまたはC1-C10-アルコキシであり、
R9は-Hまたはシアノであり、および
R10はヘテロ原子置換もしくはヘテロ原子非置換C1-C10-アルキル、C1-C7-シクロアルキル、C1-C10-アシルオキシ、C6-C10-アリール、またはC7-C10-アラルキルである;

式中、Aは-C(O)-または-S(O2)-であり、および
X6は、ハロまたはヘテロ原子置換もしくはヘテロ原子非置換C1-C10-アルキルもしくはC1-C10-アルコキシであり、
R11は、ヘテロ原子置換もしくはヘテロ原子非置換C1-C10-アルキル、C1-C7-シクロアルキル、C1-C10-アシルオキシ、C6-C10-アリール、またはC7-C10-アラルキルである;

式中、R12は、シクロドデシル、イミダゾイル、またはシクロヘキセニルであり、
R13は、-H、またはヘテロ原子置換もしくはヘテロ原子非置換C1-C10-アルキル、C1-C7-シクロアルキル、C1-C10-アシルオキシ、C6-C10-アリール、もしくはC7-C10-アラルキルである;

式中、X7は、ハロまたはヘテロ原子置換もしくはヘテロ原子非置換C1-C10-アルキルもしくはC1-C10-アルコキシであり、
R14

である。
【請求項2】
R2が、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルからなる群より選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R3が、フェニル、ベンジル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルからなる群より選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
X1またはX2が、-F、-Cl、-Br、および-Iからなる群より選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
R4が、ヒドロキシ、アセトキシ、および2,2-ジメチルプロピオニルオキシからなる群より選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
X3またはX4が、メトキシ、-F、-Cl、-Br、および-Iからなる群より選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
R6またはR8が、メチルおよびシクロプロピルからなる群より選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
X5がメチルおよびアセトキシメチルからなる群より選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
Aが-S(O2)-である、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
他のエナンチオマーを実質的に含まない、以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
他のエナンチオマーを実質的に含まない、以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
他のエナンチオマーを実質的に含まない、以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項13】
他のエナンチオマーを実質的に含まない、以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項14】
他のエナンチオマーを実質的に含まない、以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項15】
他のエナンチオマーを実質的に含まない、以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項16】
他のエナンチオマーを実質的に含まない、以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項17】
他のエナンチオマーを実質的に含まない、以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項18】
他のエナンチオマーを実質的に含まない、以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項19】
他のエナンチオマーを実質的に含まない、以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項20】
他のエナンチオマーを実質的に含まない、以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項21】
他のエナンチオマーを実質的に含まない、以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項22】
他のエナンチオマーを実質的に含まない、以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項23】
他のエナンチオマーを実質的に含まない、以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項24】
他のエナンチオマーを実質的に含まない、以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項25】
他のエナンチオマーを実質的に含まない、以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項26】
他のエナンチオマーを実質的に含まない、以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項27】
他のエナンチオマーを実質的に含まない、以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項28】
他のエナンチオマーを実質的に含まない、以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項29】
他のエナンチオマーを実質的に含まない、以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項30】
他のエナンチオマーを実質的に含まない、以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項31】
他のエナンチオマーを実質的に含まない、以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項32】
他のエナンチオマーを実質的に含まない、以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項33】
他のエナンチオマーを実質的に含まない、以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項34】
他のエナンチオマーを実質的に含まない、以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項35】
他のエナンチオマーを実質的に含まない、以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項36】
他のエナンチオマーを実質的に含まない、以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項37】
以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項38】
他のエナンチオマーを実質的に含まない、以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項39】
他のエナンチオマーを実質的に含まない、以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項40】
他のエナンチオマーを実質的に含まない、以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項41】
他のエナンチオマーを実質的に含まない、以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項42】
他のエナンチオマーを実質的に含まない、以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項43】
以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項44】
他のエナンチオマーを実質的に含まない、以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項45】
他のエナンチオマーを実質的に含まない、以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項46】
以下の式

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項47】
以下の化学式を含む化合物:

式中、Aは-C(O)-および-SO2-からなる群より選択され;
R1は、シクロドデシル、

からなる群より選択され、
式中、X1、X2、X3、およびX4はそれぞれ独立して、水素、ハロ、アルキル、アルコキシル、アセトキシル、アルキルアセトキシル、-OH、トリハロメチル、および-NO2からなる群より選択され、
Y1は、ハロ、-OH、および-NO2からなる群より選択され;ならびに
R2は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアリール、ハロ、水素、-OH、-NO2、チオエーテル、アミノ、-SH、および-NH2からなる群より選択され;
R3は、

からなる群より選択され、
式中、Z3は二価アルキルであり、および
m1=1、2、3、または4であり;ならびに
R4は、水素、-CN、置換アミン、-CH2S-アルキル、アルキル、および-CH2N3からなる群より選択され、
式中、R5およびR6はそれぞれ独立して、

単糖類、単糖類誘導体、多糖類、多糖類誘導体、アリール、およびアルキルアリールからなる群より選択され;
Zは、-NH、-S-、および-O-からなる群より選択され;ならびに
X5およびX6はそれぞれ独立して、水素、高級アルキル、低級アルキル、シクロアルキル、シクロアリールアルキル、アルキルアリール、アリール、アルコキシル、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、アルキルエステル、アルキルエステルアルキル、アルキルアセトキシル、またはアリールオキシルからなる群より選択され;
ただし、R4=-CN、置換アミン、-CH2S-アルキル、アルキル、または-CH2N3である場合、R1は、シクロドデシル、

からなる群より選択され;ならびに
R3

であり、
式中、X5またはX6は、高級アルキル、ヒドロキシル、アリール、アルコキシル、アリールオキシル、シクロアルキル、シクロアリールアルキル、アルキルアリール、アルキルエステル、アルキルエステルアルキル、アルキルアセトキシ、またはアリールオキシルである。
【請求項48】
R4が-CNである、請求項47記載の化合物。
【請求項49】
R4が水素である、請求項47記載の化合物。
【請求項50】
R2が水素である、請求項47記載の化合物。
【請求項51】
Z3が-C2H4-である、請求項47記載の化合物。
【請求項52】
R1

からなる群より選択される、請求項47記載の化合物。
【請求項53】
R1

である、請求項47記載の化合物。
【請求項54】
R1

である、請求項47記載の化合物。
【請求項55】
R1

である、請求項47記載の化合物。
【請求項56】
R1

である、請求項47記載の化合物。
【請求項57】
X1がハロである、請求項56記載の化合物。
【請求項58】
ハロが-Brである、請求項57記載の化合物。
【請求項59】
ハロが-Clである、請求項57記載の化合物。
【請求項60】
X1がアルキルである、請求項56記載の化合物。
【請求項61】
アルキルが-CH3である、請求項60記載の化合物。
【請求項62】
X1がアルキルアセトキシルである、請求項56記載の化合物。
【請求項63】
R1

である、請求項47記載の化合物。
【請求項64】
X1がハロである、請求項63記載の化合物。
【請求項65】
ハロが-Fである、請求項64記載の化合物。
【請求項66】
ハロが-Brである、請求項64記載の化合物。
【請求項67】
X1がメトキシである、請求項63記載の化合物。
【請求項68】
X2がハロである、請求項63記載の化合物。
【請求項69】
ハロが-Brである、請求項68記載の化合物。
【請求項70】
R1

である、請求項47記載の化合物。
【請求項71】
X1がハロである、請求項70記載の化合物。
【請求項72】
ハロが-Brである、請求項71記載の化合物。
【請求項73】
ハロが-Fである、請求項71記載の化合物。
【請求項74】
Aが-C(O)-である、請求項47記載の化合物。
【請求項75】
Aが-SO2-である、請求項47記載の化合物。
【請求項76】
Zが-NH-である、請求項47記載の化合物。
【請求項77】
Zが-O-である、請求項47記載の化合物。
【請求項78】
Aが-C(O)-であって、Zが-NH-である、請求項47記載の化合物。
【請求項79】
Aが-C(O)-であって、Zが-O-である、請求項47記載の化合物。
【請求項80】
Aが-SO2-であって、Zが-NH-である、請求項47記載の化合物。
【請求項81】
R3

からなる群より選択される、請求項47記載の化合物。
【請求項82】
X5またはX6のいずれか一つが独立してまたは共に、水素、シクロプロピル、シクロブチル、-CH3、-CH2OH、シクロペンチル、-CH2OAc、-CH2OC(O)C(CH3)3、-CH2C6H5、シクロヘキシル、およびアリールからなる群より選択される、請求項81記載の化合物。
【請求項83】
R5

である、請求項47記載の化合物。
【請求項84】
R5が、以下の構造

を有するアルキルアリール、および以下の構造

を有するアリールからなる群より選択され、
式中、m=0、1、2、3、4、5、6、または7であり、ならびに
X5およびX6はそれぞれ独立して、水素およびアルキルからなる群より選択され、ならびに
R7、R8、R9、R10、およびR11はそれぞれ独立して、水素、ハロ、アルキル、アルコキシ、-OH、トリハロメチル、および-NO2からなる群より選択される、請求項47記載の化合物。
【請求項85】
R5

からなる群より選択される、請求項47記載の化合物。
【請求項86】
細胞増殖疾患を処置するために有効な量の第一の化合物を被験者に投与する段階を含む、細胞増殖疾患を処置する方法であって、第一の化合物が、コーヒー酸、コーヒー酸のベンジルエステル、または請求項1もしくは47記載の化合物である、方法。
【請求項87】
被験者が哺乳動物である、請求項86記載の方法。
【請求項88】
哺乳動物がヒトである、請求項87記載の方法。
【請求項89】
第一の化合物が、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、または媒体に含まれる、請求項86記載の方法。
【請求項90】
細胞増殖疾患が癌である、請求項86記載の方法。
【請求項91】
癌が、黒色腫、非小細胞肺、小細胞肺、肺、肝臓癌、網膜芽腫、星状細胞腫、膠芽細胞腫、白血病、血液、脳、皮膚、眼、舌、歯肉、神経芽腫、頭部、頚部、乳腺、膵臓、腎臓、骨、精巣、卵巣、中皮腫、子宮頚部、消化管、リンパ腫、結腸、または膀胱である、請求項90記載の方法。
【請求項92】
細胞増殖疾患が、リウマチ性関節炎、炎症性腸疾患、変形性関節炎、平滑筋腫、腺腫、脂肪腫、血管腫、線維腫、血管閉塞、再狭窄、関節硬化症、前新生物病変、上皮内癌、口腔毛髪状白斑、または乾癬である、請求項86記載の方法。
【請求項93】
STAT3活性化が被験者の細胞において低減される、請求項86記載の方法。
【請求項94】
c-myc発現が被験者の細胞において低減される、請求項86記載の方法。
【請求項95】
第一の化合物が、第二の化合物の治療的に関連する量と併用して投与される、請求項86記載の方法。
【請求項96】
第二の化合物が抗癌化合物である、請求項95記載の方法。
【請求項97】
第一の化合物が、手術、放射線治療、または遺伝子治療と併用して投与される、請求項86記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公表番号】特表2009−532387(P2009−532387A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503339(P2009−503339)
【出願日】平成19年4月2日(2007.4.2)
【国際出願番号】PCT/US2007/065805
【国際公開番号】WO2007/115269
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(507410825)ザ ボード オブ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティー オブ テキサス システム (4)
【Fターム(参考)】