説明

経路探索システム

【課題】
インターネットなどにおける経路探索システムにおいて、ユーザの経路に対する不安を解消すると共に、その探索した経路よりも良い経路を探索できるように、品質改善の支援を可能とする、経路探索システムを提供することを目的とする。
【解決手段】
少なくとも出発地と目的地を条件としてユーザ端末から入力を受け付ける条件入力受付部と、受け付けた出発地と目的地の情報に基づいて経路探索を行う経路探索部と、経路探索の探索結果であるシステム経路をユーザ端末に送る経路探索結果処理部と、ユーザ想定経路の入力をユーザ端末から受け付けるユーザ想定経路入力受付部と、受け付けたユーザ想定経路とシステム経路とを比較し、その結果をユーザ端末に送る比較部と、ユーザ想定経路がシステム経路よりも優れている場合に、その旨を所定の担当者に通知する改善処理部と、を有する経路探索システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインターネットなどにおける経路探索システムにおいて、探索された経路が最適か否かについて、ユーザの不安を解消すると共に、その探索された経路よりも良い経路を探索できるように、品質改善の支援を可能とする、経路探索システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ある目的地から次の目的地までの移動の経路を調べる場合に、インターネットなどで経路探索が行える経路探索システムが提供されている。このような経路探索システムでは、一つの経路をユーザに提示するほか、探索結果における複数の経路の中から任意の経路をユーザに提示し、その中から一つの経路を選ばせるシステムもある。
【0003】
しかしかかる経路探索システムにおいてユーザが不安に思うのは、果たしてその経路が最適なものなのか、という点にある。そこでこのような不安を解消するために、下記特許文献1、特許文献2に記載のような発明が開示されている。
【0004】
これらの特許文献に記載の経路探索システムでは、探索された経路の特徴量を算出し、ユーザが特徴量を変化させるのに応じて、特徴量の変化方向に対応する経路を表示し、ユーザに最適な経路が選択されていると納得させている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−184126号公報
【特許文献1】特開2006−184127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの特許文献に記載されている従来技術では、経路探索システムで探索した経路から、各経路の特徴量を表示し、表示された特徴量に応じて、ユーザに任意の経路を選択させているに過ぎず、必ずしも上記不安が解消できているとは言えない。というのも、ユーザが最適な経路を独自に想定していたとしても、経路探索システムが探索した経路の選択肢としてそれが必ずしも表示されているわけではないので、ユーザが想定した経路が表示されない場合には、ユーザが想定した経路よりも、経路探索システムで探索した経路の方が早い経路である、ということをユーザが納得するわけではないからである。従って、上述の不安感は解消されない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明者は上記問題点に鑑み、ユーザが想定した経路の入力を受け付け、それと、経路探索システムで探索した結果の経路とを比較することによって、ユーザの上記不安感を解消させると共に、ユーザが入力した経路の方が早い経路の場合には、経路探索システムにおける何らかの弱点があると考えられるので、その経路探索システムの品質改善を図るために、その支援を行わせる、経路探索システムを発明した。
【0008】
請求項1の発明は、ユーザが利用するユーザ端末に対して経路探索の探索結果を提供する経路探索システムであって、前記経路探索システムは、少なくとも出発地と目的地を条件として前記ユーザ端末から入力を受け付ける条件入力受付部と、前記受け付けた出発地と目的地の情報に基づいて経路探索を行う経路探索部と、前記経路探索の探索結果であるシステム経路を前記ユーザ端末に送る経路探索結果処理部と、ユーザ想定経路の入力を前記ユーザ端末から受け付けるユーザ想定経路入力受付部と、前記受け付けたユーザ想定経路と前記システム経路とを比較し、その結果を前記ユーザ端末に送る比較部と、前記ユーザ想定経路が前記システム経路よりも優れている場合に、その旨を所定の担当者に通知する改善処理部と、を有する経路探索システムである。
【0009】
本発明のように構成することで、ユーザは自らが想定した経路が表示されない場合であっても、その経路とシステムが算出した経路との優劣を比較することが出来、経路探索システムに対する不安感を解消することが出来る。また優劣の比較の結果、ユーザ想定経路の方が優れている場合には、その旨を担当者に通知することによって、経路探索システムにおける弱点を発見することが出来、そしてその改善がなされることによって、経路探索システムの品質改善がなされることともなる。
【0010】
請求項2の発明において、前記改善処理部における通知には、更に、前記システム経路、ユーザ想定経路、比較結果のうち、少なくとも一以上を記載する、経路探索システムである。
【0011】
担当者に対する通知には、本発明の記載事項を含めておくと好ましい。
【0012】
請求項3の発明は、ユーザが利用するユーザ端末に対して経路探索の探索結果を提供する経路探索システムであって、前記経路探索システムは、少なくとも出発地と目的地を条件として前記ユーザ端末から入力を受け付ける条件入力受付部と、前記受け付けた出発地と目的地の情報に基づいて経路探索を行う経路探索部と、前記経路探索の探索結果であるシステム経路を前記ユーザ端末に送る経路探索結果処理部と、ユーザ想定経路の入力を前記ユーザ端末から受け付けるユーザ想定経路入力受付部と、前記受け付けたユーザ想定経路と前記システム経路とを比較し、その結果を前記ユーザ端末に送る比較部と、前記ユーザ想定経路が前記システム経路よりも優れている場合に、前記ユーザ想定経路を保存する改善処理部と、を有しており、前記経路探索部において、前記ユーザ想定経路と同地点間の新たな経路探索を行う場合には、前記保存したユーザ想定経路も経路探索の対象として経路探索を行う、経路探索システムである。
【0013】
本発明のように構成することで、ユーザは自らが想定した経路が表示されない場合であっても、その経路とシステムが算出した経路との優劣を比較することが出来、経路探索システムに対する不安感を解消することが出来る。また優劣の比較の結果、ユーザ想定経路の方が優れている場合には、ユーザ想定経路を保存しておき、同地点間の経路探索が次に行われる場合に、ユーザ想定経路も経路探索の対象とすることによって、自動的に経路探索システムの品質改善が行われることとなる。
【0014】
請求項4の発明において、前記経路探索システムは、更に、前記ユーザ想定経路入力受付部で、前記ユーザ端末から前記ユーザ想定経路の入力を受け付けた場合には、該ユーザに対してポイントを付与し、そのポイントを累積させるポイント処理部、を有する経路探索システムである。
【0015】
ユーザ想定経路の入力は、ユーザに対して負担を強いることとなる。そこで、積極的にユーザ想定経路の入力を促すために、ポイントを付与することが良い。
【0016】
請求項5の発明において、前記ポイント処理部は、更に、前記比較部における比較の結果、前記ユーザ想定経路が前記システム経路よりも優れている場合には、そのユーザ想定経路を入力したユーザに対して、特別のポイントを付与し、そのポイントを累積させる、経路探索システムである。
【0017】
システム経路よりも優れているユーザ想定経路を入力したユーザは、経路探索システムの弱点発見に貢献した功労者とも言える。そこでそのようなユーザに対しては、通常付与されるポイントよりも特別のポイント(通常よりも多くのポイント)が付与されるように、構成すると良い。
【0018】
請求項6の発明において、前記経路探索結果処理部は、システム経路の探索結果の表示画面にアバターの表示領域を設ける、経路探索システムである。
【0019】
アバターの表示を設けることによって、経路探索についてユーザに親近感を抱かせることとなる。
【0020】
請求項7の発明において、前記経路探索システムは、更に、前記ユーザ端末から所定の操作を受け付けることによって、前記ユーザに対して付与されたポイントから、前記表示画面に表示されるアバターの服のポイント分が減算されることによって、前記アバターの服を前記交換した服に変更して記憶し、次回以降に該アバターが表示される場合には、前記変更された服のアバターが前記表示画面に表示される、経路探索システムである。
【0021】
付与されたポイントについて、アバターの服と交換(購入)出来ると良い。アバターを自分の好みにアレンジすることで、より経路探索についてユーザに親近感を抱かせることとなる。
【0022】
請求項8の発明において、前記経路探索システムは、更に、前記ユーザ端末から所定の操作を受け付けることによって、前記ユーザに対して付与されたポイントの情報を、所定のECサイトのサーバに渡すことによって、前記ECサイトにおいて、前記ポイント交換または決済に用いることが出来る、経路探索システムである。
【0023】
付与されたポイントについて、所定のECサイトで使用できると良い。ECサイトで使用できれば、自発的にユーザは、ユーザ想定経路の入力を行うこととなり、それによって経路探索システムの品質改善に繋げることが出来やすくなる。
【0024】
請求項9の発明は、ユーザが利用するユーザ端末とデータの送受信が可能なサーバで機能させる経路探索プログラムであって、前記経路探索プログラムは、少なくとも出発地と目的地を条件として前記ユーザ端末から入力を受け付ける条件入力受付部と、前記受け付けた出発地と目的地の情報に基づいて経路探索を行う経路探索部と、前記経路探索の探索結果であるシステム経路を前記ユーザ端末に送る経路探索結果処理部と、ユーザ想定経路の入力を前記ユーザ端末から受け付けるユーザ想定経路入力受付部と、前記受け付けたユーザ想定経路と前記システム経路とを比較し、その結果を前記ユーザ端末に送る比較部と、前記ユーザ想定経路が前記システム経路よりも優れている場合に、その旨を所定の担当者に通知する改善処理部と、を有する経路探索プログラムである。
【0025】
請求項10の発明は、ユーザが利用するユーザ端末とデータの送受信が可能なサーバで機能させる経路探索プログラムであって、前記経路探索プログラムは、少なくとも出発地と目的地を条件として前記ユーザ端末から入力を受け付ける条件入力受付部と、前記受け付けた出発地と目的地の情報に基づいて経路探索を行う経路探索部と、前記経路探索の探索結果であるシステム経路を前記ユーザ端末に送る経路探索結果処理部と、ユーザ想定経路の入力を前記ユーザ端末から受け付けるユーザ想定経路入力受付部と、前記受け付けたユーザ想定経路と前記システム経路とを比較し、その結果を前記ユーザ端末に送る比較部と、前記ユーザ想定経路が前記システム経路よりも優れている場合に、前記ユーザ想定経路を保存する改善処理部と、を有しており、前記経路探索部において、前記ユーザ想定経路と同地点間の新たな経路探索を行う場合には、前記保存したユーザ想定経路も経路探索の対象として経路探索を行う、経路探索プログラムである。
【0026】
上述の経路探索システムは、本発明の経路探索プログラムをサーバなどのコンピュータ端末に読み込ませることによって実現できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によって、ユーザは自分が想定した経路と、経路探索システムが探索した経路とを比較することが出来る。それによって、ユーザが想定した経路よりも経路探索システムの方が良い場合にはそれを知ることが出来、ユーザの不安感は解消されるし、また経路探索システムに対する信頼感も高まる。その一方、仮にユーザが想定した経路の方が、経路探索システムが探索した経路よりも早い経路の場合には、経路探索システムに何らかの弱点があることが判明するので、その品質改善に繋げることが出来る。これによって、よりよい経路を探索できるような経路探索システムに改良をすることも出来る。またユーザに対して何らかのインセンティブが付与されるので、ユーザも優越感やお得感が得られ、経路探索システムに対する不安感も高まる可能性が低くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の経路探索システム1のシステム構成の概念図の一例を図1に、経路探索システム1を実現するサーバのハードウェア構成の一例を図2に示す。
【0029】
本発明の経路探索システム1を実現するサーバには、プログラムの演算処理を実行するCPUなどの演算装置20と、情報を記憶するRAMやハードディスクなどの記憶装置21とを少なくとも有している。コンピュータ上で実現する各機能(各手段)は、その処理を実行する手段(プログラムやモジュールなど)が演算装置20に読み込まれることでその処理が実行される。各機能は、記憶装置21に記憶した情報をその処理において使用する場合には、該当する情報を当該記憶装置21から読み出し、読み出した情報を適宜、演算装置20における処理に用いる。当該コンピュータには、演算装置20の処理結果や記憶装置21に記憶する情報をインターネットやLANなどのネットワークを介して送受信する通信装置24、キーボードやマウスやテンキーなどの入力装置23、ディスプレイなどの表示装置22を有していても良い。
【0030】
本発明に於ける各手段、データベースは、その機能が論理的に区別されているのみであって、物理上あるいは事実上は同一の領域を為していても良い。又データベースの代わりにデータファイルであっても良いことは言うまでもなく、データベースとの記載にはデータファイルをも含んでいる。
【0031】
また経路探索システム1は、ユーザが使用するコンピュータ端末や携帯端末(携帯電話機、PHS、PDAなど)(以下、これらを総称して「ユーザ端末」という)とネットワークを介してデータの送受信が可能である。
【0032】
経路探索システム1は、条件入力受付部2と経路探索部3と経路探索結果処理部4とユーザ想定経路入力受付部5と比較部6と改善処理部7とポイント処理部8とを有する。
【0033】
条件入力受付部2は、ユーザが経路探索システム1を用いて検索したい経路の出発地と目的地との入力を少なくとも受け付ける。またユーザが重視する探索条件、例えば最短時間、最短距離、最も安い料金などの入力を受け付けても良い。
【0034】
経路探索部3は、条件入力受付部2で受け付けた、少なくとも出発地と目的地との条件、場合によってはユーザが重視する探索条件とに基づいて、出発地から目的地までの経路探索を行う。経路探索としては、出発地から目的地までの徒歩、車両、鉄道、船舶、飛行機の少なくとも一以上を用いた経路探索がある。なお経路探索には、公知の様々な探索エンジンを用いることが出来る。
【0035】
経路探索結果処理部4は、経路探索部3で探索した探索結果である経路(以下、「システム経路」という)をユーザ端末に渡して表示させる。例えば図4に示すように、出発地から目的地までの経路を地図上に表示する形で、ユーザ端末に情報を渡し、それを受け取ったユーザ端末がそれを表示する。図4の探索結果の表示画面では、アバターを表示する表示領域が設けられていると良い。アバターとは、ウェブブラウザなどの画面上で表示されるキャラクターである。なお人間を模したものに限られず、動物、植物、ロボット、架空の生物など様々なものがある。
【0036】
ユーザ想定経路入力受付部5は、図4に示すような探索結果表示画面などで所定の操作をすることによって、ユーザが想定していた経路の入力を受け付ける。ユーザから入力を受け付けた経路を「ユーザ想定経路」という。条件入力受付部2で入力した出発地から目的地までの経路のうち、経路探索結果処理部4では表示されなかった経路の入力を受け付けたり、また表示された経路の一部分についての経路の入力を受け付けたりする。例えばA地点からB地点までの経路探索において、「A→C→D→E→B」という探索結果が経路探索結果処理部4を介して、ユーザ端末で表示された場合、ユーザがそれよりも良いと思う、「A→F→G→B」の経路を入力し、その入力を受け付ける。あるいは、探索結果における「A→C→D→E→B」において、その一部の経路「A→C→D→H→B」の経路の入力を受け付ける。このようなユーザ想定経路の入力の受付は、ユーザがアバターからの問いかけに応じて入力を開始したり、探索結果表示画面において所定の操作をすることによって入力を開始したりするように構成しても良い。アバターがユーザに対して問いかけを行った場合を模式的に図5に示す。
【0037】
なおユーザ想定経路の入力にあたっては、文字入力やプルダウンメニューなどの選択によって出発地、目的地、経由地の交差点や交通機関名などの入力を受け付けても良いが、図4の探索結果表示画面で表示される地図上でその位置の選択を受け付けることによって入力が行えても良い。
【0038】
比較部6は、ユーザ想定経路入力受付部5で受け付けたユーザ想定経路と、経路探索部3で探索したシステム経路とを比較する。例えば最短時間の探索条件において、どちらの経路が優れているのかを比較する。これはユーザ想定経路の情報を経路探索部3に渡すことによって、その経路における所要時間などを算出し、それをシステム経路における所要時間と比較することで、優劣を比較することが出来る。
【0039】
改善処理部7は、仮にユーザ想定経路がシステム経路よりも良い結果が出た場合、その旨を所定の担当者に電子メールやポップアップメッセージなどにより通知する。この通知内容には、出発地と目的地の情報、システム経路の情報、ユーザ想定経路の情報、比較結果、などを含めると良い。
【0040】
ポイント処理部8は、ユーザ想定経路入力受付部5においてユーザ想定経路の入力を行ったユーザに対して、所定のポイントを付与し、それをユーザ毎に記憶させる。このポイントはユーザ想定経路の入力を行ったユーザに対して一定のポイントを付与し、また、システム経路よりも優れたユーザ想定経路の入力を行ったユーザには更に特別のポイントを付与するとよい。このようにして付与されたポイントは、データベースなど(図示せず)においてユーザ毎に管理され、例えばアバターの洋服の購入や電子商取引などでの現金としての使用など、様々なものに使用できることが好ましい。
【0041】
次に本発明の経路探索システム1における処理プロセスの一例を図3のフローチャート、図1の概念図を用いて説明する。
【0042】
まず経路探索システム1を用いて経路探索を行うことを希望するユーザは、ユーザ端末から所定の操作をすることにより経路探索システム1にアクセスし、出発地と目的地、場合によっては探索条件の入力を行う(S100)。そしてここで入力された出発地と目的地、探索条件の各情報はユーザ端末から経路探索システム1に送られる。
【0043】
経路探索システム1の条件入力受付部2は、これらの情報を受け付ける。そして経路探索部3において、出発地と目的地、場合によっては探索条件を加味して、経路探索を行う(S110)。そして探索した経路(システム経路)について、経路探索結果処理部4が、図4に示すような画面上にそのシステム経路を表示するように、ユーザ端末に探索結果を渡す。そしてそれを受け取ったユーザ端末では、システム経路の表示を行う(S120)。
【0044】
このようにしてユーザ端末で表示されたシステム経路を見たユーザが、自発的に、あるいは探索結果表示画面のアバター表示領域に表示されるアバターからの問いかけに応じて(図5)、自らが優れていると考えるユーザ想定経路の入力をユーザ端末に行う(S130)。そして入力されたユーザ想定経路の情報は、ユーザ端末から経路探索システム1に送られる。
【0045】
経路探索システム1のユーザ想定経路入力受付部5でユーザ想定経路を受け付けると、ユーザ想定経路とシステム経路との優劣の比較を比較部6が行う(S140)。例えば、ユーザ想定経路の情報を比較部6が経路探索部3に渡し、経路探索部3はユーザ想定経路に基づいて、例えば所要時間の算出を行う。そしてユーザ想定経路における所要時間を比較部6に返す。それを受け取った比較部6は、ユーザ想定経路における所要時間と、システム経路における所要時間とを比較し、どちらが優れているか(早いか)を判定する(S150)。なおここでは探索条件として「最短時間」を用いたので、所要時間の比較になったが、最短距離の場合には「所要距離」、「最低料金」の場合には「所要料金」など、探索条件において、対応する条件でどちらが優れているかを判定する。
【0046】
比較部6における比較の結果、システム経路の方が優れていた場合、例えば探索条件が「最短時間」において、システム経路の所要時間がユーザ想定経路の所要時間よりも短い場合には、比較部6はその結果をユーザ端末に渡す。
【0047】
一方、比較部6における比較の結果、ユーザ想定経路の方が優れていた場合、例えば探索条件が「最短時間」において、ユーザ想定経路の所要時間がシステム経路の所要時間よりも短い場合には、比較部6はその結果をユーザ端末に渡す。
【0048】
またこのような比較結果をユーザ端末で表示させる場合には、アバターにその結果を告げさせるように構成しても良い。例えばシステム経路の方が優れていた場合、アバターから「私の勝ちです」のような表示をさせ、ユーザ想定経路の方が優れていた場合、アバターから「私の負けです」のような表示をさせる。
【0049】
更に、比較部6における比較の結果、ユーザ想定経路の方が優れていた場合には、改善処理部7が、ユーザ想定経路を保存し(S160)、所定の担当者に電子メールなどにより、システム経路よりも優れているユーザ想定経路の存在を通知する(S170)。この通知には、出発地と目的地の情報、システム経路の情報、ユーザ想定経路の情報、比較結果、などを含めると良い。
【0050】
このような通知を担当者が見ることによって、経路探索部3における当該経路探索エンジンの弱点を調べることが出来、それを修正すれば、経路探索エンジンの品質改善に繋がることとなる。
【0051】
なおこのように担当者に通知を行うのみならず、このユーザ想定経路を所定のデータベースに保存しておき、次回から同地点間の経路探索を経路探索部3で行う場合には、そのデータベースを参照することによって、ユーザ想定経路をシステム経路の一つとしてユーザに提示するようにしても良い。
【0052】
またユーザ想定経路の入力を行ったことに対して、ポイント処理部8は、当該ユーザにポイントを付与し、それをデータベースで記録する(S180)。例えばユーザ想定経路の入力を行ったものの、それよりもシステム経路の方が優れていた場合には、一定のポイントをユーザに付与するが、ユーザ想定経路の方がシステム経路よりも優れていた場合には、特別のポイントを付与する。例えば通常、ユーザ想定経路の入力に対して付与されるポイントよりも更に多いポイントを付与する。
【0053】
またユーザ端末が比較結果を送る際に、ユーザに対して付与されたポイントの情報も併せて送ると良い。これによって、ユーザは自分にどれだけのポイントが加算されたかを知ることが出来る。
【0054】
このように付与されたポイントをユーザは、所定のタイミングで、アバターの洋服などと交換(購入)することが出来る。例えばユーザがユーザ端末で所定の操作をすることによって、アバターの洋服を選ぶ画面を表示し(アバターの洋服の情報やそれと交換するのに必要なポイントの情報は、経路探索システム1またはその他のサーバにおいて記憶しておき、そこからユーザ端末に送ると良い)、その画面から洋服とポイントとを交換することを入力する。その情報がユーザ端末から、経路探索システム1または上述のその他のサーバに渡され、自らのアバターの洋服に関する情報が変更されて記憶される。このアバターの情報は、所定のデータベースに記憶されており、そのデータベースの情報が更新されることとなる。この際に、ユーザのポイントは、当該アバターの洋服のポイント分、減算されてデータベースで更新される。そして次回以降に、図4に示すような経路探索結果表示画面がユーザ端末に表示される際に、当該データベースに記憶されたアバターの洋服の情報を抽出し、それに基づいて、アバターの洋服が変更された状態で、表示されることとなる。
【0055】
なお上述ではアバターの洋服を変更するなど、アバターに関する情報をポイントで交換する場合を説明したが、それに限定されず、当該経路探索システム1と提携したECサイトで用いることが出来ても良い。その場合、当該ECサイトのサーバに、ポイントの情報が渡され、そのECサイトにおけるポイント交換や決済の際に使用される。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明によって、ユーザは自分が想定した経路と、経路探索システム1が探索した経路とを比較することが出来る。それによって、ユーザが想定した経路よりも経路探索システム1の方が良い場合にはそれを知ることが出来、ユーザの不安感は解消されるし、また経路探索システム1に対する信頼感も高まる。その一方、仮にユーザが想定した経路の方が、経路探索システム1が探索した経路よりも早い経路の場合には、経路探索システム1に何らかの弱点があることが判明するので、その品質改善に繋げることが出来る。これによって、よりよい経路を探索できるような経路探索システム1に改良をすることも出来る。またユーザに対して何らかのインセンティブが付与されるので、ユーザも優越感やお得感が得られ、経路探索システム1に対する不安感も高まる可能性が低くなる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明のシステム構成の概念図を模式的に示す図である。
【図2】本発明の経路探索システムを実現するサーバのハードウェア構成の一例を模式的に示す図である。
【図3】本発明の処理プロセスの一例を示すフローチャートである。
【図4】探索結果表示画面の一例である。
【図5】アバターによる問いかけを模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1:経路探索システム
2:条件入力受付部
3:経路探索部
4:経路探索結果処理部
5:ユーザ想定経路入力受付部
6:比較部
7:改善処理部
8:ポイント処理部
20:演算装置
21:記憶装置
22:表示装置
23:入力装置
24:通信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが利用するユーザ端末に対して経路探索の探索結果を提供する経路探索システムであって、
前記経路探索システムは、
少なくとも出発地と目的地を条件として前記ユーザ端末から入力を受け付ける条件入力受付部と、
前記受け付けた出発地と目的地の情報に基づいて経路探索を行う経路探索部と、
前記経路探索の探索結果であるシステム経路を前記ユーザ端末に送る経路探索結果処理部と、
ユーザ想定経路の入力を前記ユーザ端末から受け付けるユーザ想定経路入力受付部と、
前記受け付けたユーザ想定経路と前記システム経路とを比較し、その結果を前記ユーザ端末に送る比較部と、
前記ユーザ想定経路が前記システム経路よりも優れている場合に、その旨を所定の担当者に通知する改善処理部と、
を有することを特徴とする経路探索システム。
【請求項2】
前記改善処理部における通知には、更に、
前記システム経路、ユーザ想定経路、比較結果のうち、少なくとも一以上を記載する、
ことを特徴とする請求項1に記載の経路探索システム。
【請求項3】
ユーザが利用するユーザ端末に対して経路探索の探索結果を提供する経路探索システムであって、
前記経路探索システムは、
少なくとも出発地と目的地を条件として前記ユーザ端末から入力を受け付ける条件入力受付部と、
前記受け付けた出発地と目的地の情報に基づいて経路探索を行う経路探索部と、
前記経路探索の探索結果であるシステム経路を前記ユーザ端末に送る経路探索結果処理部と、
ユーザ想定経路の入力を前記ユーザ端末から受け付けるユーザ想定経路入力受付部と、
前記受け付けたユーザ想定経路と前記システム経路とを比較し、その結果を前記ユーザ端末に送る比較部と、
前記ユーザ想定経路が前記システム経路よりも優れている場合に、前記ユーザ想定経路を保存する改善処理部と、を有しており、
前記経路探索部において、前記ユーザ想定経路と同地点間の新たな経路探索を行う場合には、前記保存したユーザ想定経路も経路探索の対象として経路探索を行う、
ことを特徴とする経路探索システム。
【請求項4】
前記経路探索システムは、更に、
前記ユーザ想定経路入力受付部で、前記ユーザ端末から前記ユーザ想定経路の入力を受け付けた場合には、該ユーザに対してポイントを付与し、そのポイントを累積させるポイント処理部、
を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の経路探索システム。
【請求項5】
前記ポイント処理部は、更に、
前記比較部における比較の結果、前記ユーザ想定経路が前記システム経路よりも優れている場合には、そのユーザ想定経路を入力したユーザに対して、特別のポイントを付与し、そのポイントを累積させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の経路探索システム。
【請求項6】
前記経路探索結果処理部は、
システム経路の探索結果の表示画面にアバターの表示領域を設ける、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の経路探索システム。
【請求項7】
前記経路探索システムは、更に、
前記ユーザ端末から所定の操作を受け付けることによって、前記ユーザに対して付与されたポイントから、前記表示画面に表示されるアバターの服のポイント分が減算されることによって、前記アバターの服を前記交換した服に変更して記憶し、次回以降に該アバターが表示される場合には、前記変更された服のアバターが前記表示画面に表示される、
ことを特徴とする請求項6に記載の経路探索システム。
【請求項8】
前記経路探索システムは、更に、
前記ユーザ端末から所定の操作を受け付けることによって、前記ユーザに対して付与されたポイントの情報を、所定のECサイトのサーバに渡すことによって、前記ECサイトにおいて、前記ポイント交換または決済に用いることが出来る、
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の経路探索システム。
【請求項9】
ユーザが利用するユーザ端末とデータの送受信が可能なサーバで機能させる経路探索プログラムであって、
前記経路探索プログラムは、
少なくとも出発地と目的地を条件として前記ユーザ端末から入力を受け付ける条件入力受付部と、
前記受け付けた出発地と目的地の情報に基づいて経路探索を行う経路探索部と、
前記経路探索の探索結果であるシステム経路を前記ユーザ端末に送る経路探索結果処理部と、
ユーザ想定経路の入力を前記ユーザ端末から受け付けるユーザ想定経路入力受付部と、
前記受け付けたユーザ想定経路と前記システム経路とを比較し、その結果を前記ユーザ端末に送る比較部と、
前記ユーザ想定経路が前記システム経路よりも優れている場合に、その旨を所定の担当者に通知する改善処理部と、
を有することを特徴とする経路探索プログラム。
【請求項10】
ユーザが利用するユーザ端末とデータの送受信が可能なサーバで機能させる経路探索プログラムであって、
前記経路探索プログラムは、
少なくとも出発地と目的地を条件として前記ユーザ端末から入力を受け付ける条件入力受付部と、
前記受け付けた出発地と目的地の情報に基づいて経路探索を行う経路探索部と、
前記経路探索の探索結果であるシステム経路を前記ユーザ端末に送る経路探索結果処理部と、
ユーザ想定経路の入力を前記ユーザ端末から受け付けるユーザ想定経路入力受付部と、
前記受け付けたユーザ想定経路と前記システム経路とを比較し、その結果を前記ユーザ端末に送る比較部と、
前記ユーザ想定経路が前記システム経路よりも優れている場合に、前記ユーザ想定経路を保存する改善処理部と、を有しており、
前記経路探索部において、前記ユーザ想定経路と同地点間の新たな経路探索を行う場合には、前記保存したユーザ想定経路も経路探索の対象として経路探索を行う、
ことを特徴とする経路探索プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−82783(P2008−82783A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−261270(P2006−261270)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【出願人】(500168811)株式会社ナビタイムジャパン (410)
【Fターム(参考)】