説明

給水装置及び給水装置を用いた給水システム

【課題】作業時間を増大させることなく、遠隔通信が可能な給水装置及び給水システムを提供すること。
【解決手段】 給水装置1は、水道本管から分岐された分岐管5に接続され、ポンプユニット11と制御盤12を有するポンプ装置10と、ポンプ装置10の下流に給水配管6を介して設けられ、建造物Gに配設された蛇口等の各給水口Tと、前記ポンプ装置10と通信可能に形成された通信装置40とを備え、制御盤12と通信装置40とは、それぞれ通信部28,47を備えており、これら通信部28,47により、無線通信が可能に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水の供給量を制御可能な給水装置及び給水装置を用いた給水システムに関し、特に遠隔通信が可能なものに関する。
【背景技術】
【0002】
建造物へポンプを用いて水を供給する給水装置は、給水量等の制御をポンプの下流に設けた圧力検出器の検出結果に基いて、予め設定しておいた運転制御に基いて、制御回路を有する制御盤がモータの回転数をインバータ制御するものが知られている。
【0003】
このような給水装置を用いた場合、予め、作業員が建造物毎に使用圧力や給水量を設定し、その設定値に近づくように、制御回路がモータの回転数を制御することで、給水装置が運転される。このような給水装置を用いた場合、外部環境の変化、及び、使用水量の急増等により、給水装置に異常が発生した場合には異常を知らせるブザー等により、周囲に報知するものが知られている。この異常ブザーにより、作業員が給水装置を点検するとともに、運転条件の再設定等を行なうことで、給水装置の復旧等を行なう。しかし、このような給水装置では、作業員が給水装置まで移動し、点検及び再設定等を行なう必要があった。
【0004】
また、このような給水装置は、寒冷地等の凍結の可能性がある地域では、例えば地面に穴部を設け、この穴部に給水装置を設置する場合もある。しかし、穴部に給水装置を設ける場合には、人の落下の防止や外部環境からの防備等の理由から、蓋体が設けられている。このような蓋体は、上部に車両等が停止しても耐えうる強度に形成されており、これにより重量がおおきくなっている。
【0005】
このため、蓋体を有する穴部に設けられた給水装置では、ポンプの運転条件を設定することや、異常時の点検等を行なうには、重い蓋体を取り外してから、穴部に作業員が入って作業をする必要があり、作業性が悪い、という問題があった。
【0006】
そこで、穴部に入らなくとも給水装置の設定を可能とするため、給水装置に赤外線通信回路を設け、制御盤カバーやポンプカバーを開けることなく、外部から設定を入力可能とした給水装置(ポンプ装置)が知られている。
【特許文献1】特開2005−201051号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したような給水装置では次のような問題があった。即ち、上述した赤外線通信回路を設け、赤外線通信が可能とした給水装置では、穴部に入らなくとも作業が可能となった。しかし、赤外線通信は、その特性上、遠隔通信距離が短く、給水装置に近づかなくては使用することができなかった。また、赤外線通信は、その通信速度が遅いため、作業効率が悪く、さらに時間がかかる、という問題もあった。また、ポンプカバーや制御盤カバーは開ける必要が無いが、例えば蓋体に覆われた穴部に給水装置が設けられている場合には、重い蓋体を開ける必要があり、作業時間の増大となっていた。
【0008】
そこで本発明は、水の供給量を制御可能な給水装置であって、特に、作業時間を増大させることなく、遠隔通信が可能な給水装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の給水装置及び給水システムは次のように構成されている。
【0010】
モータにより駆動されるポンプ、このポンプの吐出管上に設けられた圧力検出器、及び、前記モータを制御する制御回路部を有するポンプ装置と、前記制御回路部と電波を用いた無線通信を行なう通信部、及び、前記モータの制御指示を入力する入力部を有する通信装置と、を備え、前記通信装置は、少なくとも前記モータの制御情報を前記制御回路部を介して前記無線通信により受信するとともに、前記入力部により入力された前記制御指示を前記無線通信により前記制御回路部へ送信し、前記制御回路部は、前記通信装置からの前記制御指示を受信するとともに、前記制御指示に基づいて前記モータを制御することを特徴とする。
【0011】
前記給水装置と、前記通信装置にネットワーク接続されたサーバと、前記通信装置から少なくとも前記給水装置により実行された運転の情報を前記サーバで受信するとともに、少なくとも前記給水装置に実行させる運転の情報を前記サーバから前記通信装置に送信する通信手段と、前記サーバに設けられ、前記給水装置に関する情報が記憶された記憶手段と、前記給水装置から送信される前記情報と前記記憶手段に記憶された情報とを比較する比較手段と、この比較手段の比較結果に基づいて、少なくとも前記給水装置の運転の情報を変更可能な変更手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、水の供給量を制御可能な給水装置であって、特に、作業時間を増大させることなく、遠隔通信が可能なものを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の第1の実施の形態に係る給水装置1を図1、2を用いて説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る給水装置1の構成を示す説明図、図2は同給水装置1に用いられるポンプ装置10及び通信装置40の構成を示す説明図である。なお、図1、2中Eは地面、Fは水の流れ方向、Gは建造物、Rは無線通信、Sは信号線、Tは給水口をそれぞれ示している。
【0014】
図1、2に示すように、給水装置1は、例えば水道本管から分岐された分岐管5と、分岐管5に接続されたポンプ装置10と、ポンプ装置10の下流に給水配管6を介して設けられ、建造物Gに配設された蛇口等の各給水口Tと、前記ポンプ装置10と通信可能に形成された通信装置40とを備えている。
【0015】
ポンプ装置10は、分岐管5に接続されたポンプユニット11と、このポンプユニット11に信号線Sにより接続された制御盤(制御回路部)12と、を備えている。また、例えばポンプ装置10は、地面Eに設けられた設置溝13に設けられ、蓋体14により外気に露出しない構成となっている。
【0016】
ポンプユニット11は、その上流側が分岐管5に接続され、下流側に給水配管6を介して接続されている。また、ポンプユニット11は、上流側から、モータ16が回転軸17を介して接続されたポンプ18、流量検出器19、逆止弁20、圧力検出器21、及び、アキュムレータ22とが順次接続されている。なお、モータ16、流量検出器19及び圧力検出器21は、制御盤12に信号線Sを介して接続されており、流量検出器19及び圧力検出器21の検出結果に基づいて制御盤12により制御可能に形成されている。
【0017】
制御盤12は、制御部25を備えている。また、制御盤12は、インバータ26、表示部27、通信部28、入力部29を備えており、制御部25にバスライン30を介して接続されている。インバータ26は、流量検出器19及び圧力検出器21の検出結果に基づいた制御部25の指示により、モータ16を制御可能に形成されている。表示部27は、ポンプユニット11の運転状況やエラー等を表示可能に形成されている。入力部29は、ポンプユニット11の運転指示が入力可能に形成されている。
【0018】
通信部28は、ポンプ装置10の情報を、通信装置40と2.4GHz以上2.485Hz以下のISM帯の周波数帯の電波で無線通信可能に形成されている。このよう無線通信を可能とするために、通信部28は、例えばBlueTooth(登録商標)等の無線通信の規格及び技術を用いたもので形成されている。なお、この電波を用いた無線通信は0〜100m程度迄可能となっている。
【0019】
通信装置40は、例えば建造物G内部のメンテナンス室や守衛室等に配置され、例えばパーソナルコンピュータ等が用いられる。通信装置40は、制御部として例えばCPU(Central Processing Unit)41を搭載している。また、内部記憶装置であり制御プログラム記憶用のROM(Read Only Memory)42と、データ記憶用のRAM(Random Access Memory)43と、外部記憶装置であり多数のデータファイルが格納されたHDD(Hard Disk Drive)44と、各情報を出力するディスプレイ等で形成された表示部45と、外部情報や指示を入力するキーボードやマウス等で形成された入力部46と、通信部47とを備えている。これら構成品は、PCIバス等のバスライン48によりCPU41にそれぞれ接続されている。
【0020】
RAM43には、制御盤12の制御部25に記録されている制御設定値、及び、流量検出器19と圧力検出器21との検出結果を受信可能であって、制御設定値を変更可能なプログラムが記憶されている。
【0021】
このように構成された給水装置1において、給水装置1の通常動作時の説明を行なう。給水装置1の通常動作では、まず、電源がONとなると、モータ16及び制御盤12に電力が供給される。制御盤12の制御部25は、予め制御部25に設定されたモータ16の運転制御の情報(制御設定値)をインバータ26に指示する。インバータ26は、この指示に基づいて、信号線Sによりモータ16を運転(回転)させる。
【0022】
モータ16が回転すると、回転軸17を介してポンプ18が回転(作動)することとなる。ポンプ18が回転すると、分岐管5内部を流れる水がポンプ18により増圧されるとともに、ポンプ18の吐出口から吐出され、建造物Gの各給水口Tに給水されることとなる。このため、各給水口Tをいずれか開とすると、水が給水口Tから吐出される。
【0023】
なお、ポンプ18から吐出された水は、流量検出器19、逆止弁20、圧力検出器21及びアキュムレータ22を介して建造物Gへ給水されることとなる。
【0024】
このとき流量検出器19及び圧力検出器21は、常時、ポンプ18からの吐出圧力(及び流量)を検出し、この検出結果(圧力及び流量)を信号線Sを介して制御部25へ送信する。制御部25は、信号線Sから受信した検出結果と、制御部25に予め設定してある運転制御に対するポンプ18の吐出流量及び吐出圧力等の制御値とを比較し、検出結果が制御値と近似するようにインバータ26にモータ16の制御指示を与える。このように、ポンプ18の吐出量(水の供給量)が一定となるように、制御部25はポンプユニット11を制御する。
【0025】
また、制御部25は、受信した検出結果及び制御設定値を通信部28から、電波を無線通信Rにより通信装置40の通信部47へと送信する。通信装置40のCPU41は、通信部47で受信した検出結果をRAM43(又はHDD44)で記憶させるとともに、表示部45で、これら検出結果を表示させる。
【0026】
例えば、定期点検時等においては、作業員が、通信装置40の表示部45に表示された検出結果を目視確認することで、現在のポンプ装置10の作動確認を行なう。
【0027】
次に、作業員が、給水装置1の給水量を変更する場合や、水道本管の圧力低下等により制御部25の設定値、即ち運転制御設定値の変更を行なう場合について説明する。まず、上述にもあるように、表示部45に表示された流量検出器19及び圧力検出器21による検出結果を作業員は確認する。
【0028】
この確認時に、給水量が不足(又は過多)している場合には、作業員は、入力部46からRAM43に記憶されている制御設定値の変更用プログラムを起動させる指示を入力する。この入力により、CPU41は、RAM43からプログラムを起動させ、この起動させたプログラムを表示部45に表示させる。
【0029】
作業員は、表示されたプログラムに、制御設定値の変更値のデータを入力する。CPU41は、このデータをRAM43(又はHDD44)に記憶させるとともに、通信部47からデータを電波により無線通信Rを行い、制御盤12の通信部28へ送信させる。
【0030】
制御部25は、通信部28で変更した制御設定値のデータを受信すると、この制御設定値を基にインバータ26へ制御指示を行なう。インバータ26は、この制御設定値を基に、モータ16を制御する。
【0031】
このとき、電波はその特性上、蓋体14を透過してデータが移動するため、通信部47と通信部28との間に蓋体14が設けられていても、データが通信されることとなる。
【0032】
このような構成の給水装置1とすることで、電波を用いた無線通信Rにより、インバータ26によるモータ16の運転制御は、通信装置40で作業員が制御設定値を設定(変更)し、これを通信部28、47により制御盤12に指示を与えることが可能となる。これにより、作業時間の短縮及び作業性の向上となる。特に、作業員が蓋体14を除去する場合には、蓋体14の重量により、作業性が悪く時間がかかるとともに、足等へ蓋体14が落下することによる怪我等の虞がある。このため、蓋体14をポンプ装置10の設定や故障時等毎に除去することで、作業性及び作業時間が増大する。このため、作業時間の短縮及び作業性の向上となる。また、蓋体14除去時に、蓋体14の落下によるポンプ装置10の破損を防止することも可能となり、信頼性の向上にもつながる。
【0033】
また、蓋体14を除去後、地面Eに設けられたポンプ装置10が接地されている設置溝13に作業員が入って作業をする必要がなくなる。これにより、さらに作業性の向上になるとともに、設置溝13への進入時の怪我やポンプ装置10の破損をも防止することとなる。
【0034】
また、Blue tooth(登録商標)等の2.4GHz以上2.485Hz以下のISM(Industry Science Medical)帯の周波数帯の電波を用いて通信を行なうことで、長距離(10〜100m)の間であっても、通信部28、47で通信が可能となり、作業性の向上となる。特に、2.4GHz程度の周波数帯の電波の使用は、免許も必要なく、汎用性にも優れる。
【0035】
上述したように、本発明の給水装置1とすることで、通信部28、47により、制御盤12と通信装置40とを通信可能とすることで、制御盤12の設定を容易に変更可能となり、作業性の向上及び作業時間の短縮とすることが可能となる。
【0036】
次に、図3を用いて給水装置1の変形例に係る給水装置1Aを説明する。図3は本発明の変形例に係る給水装置1Aの構成を示す説明図である。なお、図3において図1,2と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0037】
図3に示すように、給水装置1Aは、分岐管5に接続されたポンプ装置10Aを備えている。
ポンプ装置10Aは、第1ポンプユニット11a及び第2ポンプユニット11bを有するポンプユニットAと、分岐管5を例えば2方向に分岐する分岐部7と、この分岐部7により分岐された一方の配管8a及び他方の配管8bとをその内部に配置させている。
【0038】
第1ポンプユニット11a及び第2ポンプユニット11bは、一方の配管8a及び他方の配管8bに接続され、モータ16が回転軸17を介して接続されたポンプ18と、流量検出器19と、逆止弁20とがそれぞれ順次接続されている。
【0039】
ポンプユニット11Aは、第1ポンプユニット11a及び第2ポンプユニット11bのそれぞれの逆止弁20の下流で配管が合流する合流部9を備えており、この合流部9の下流側には圧力検出器21及びアキュムレータ22を備えている。
【0040】
なお、各モータ16、各流量検出器19及び圧力検出器21はインバータ26に信号線Sを介して接続されている。
【0041】
このように構成された給水装置1Aでは、通常運転時においては、インバータ26によりポンプユニット11Aが制御されるとともに、例えば、夜間運転においては、第1、第2ポンプユニット11a、11bのどちらか一方を運転させる。例えば、夜間の使用水量が低減した場合には、圧力検出器21及び流量検出器19の検出結果を基に制御部25は、第1ポンプユニット11a又は第2ポンプユニット11bのどちらか一方を運転(片側運転)させるとともに、他方の運転を停止させる。また、検出結果により、給水量が片側運転では給水量が不足していると判断した場合には、制御部25は、インバータ26に指示を与え、第1ポンプユニット11a及び第2ポンプユニット11bにより両側運転を行なう。
【0042】
なお、上述した給水装置1と同様に、作業者は、これらの情報を見ながら、RAM43に記憶されたプログラムを介して、無線通信Rを通信部28,47同士により行い、各運転(制御設定値)を設定することが可能となる。
【0043】
このように本願発明の給水装置1Aによれば、上述した給水装置1と同様の効果が得られるとともに、さらに、第1ポンプユニット11a又は第2ポンプユニット11bのいずれか一方の運転も可能となる。これにより、給水量によって、第1ポンプユニット11a及び第2ポンプユニット11bの片側運転や、第1ポンプユニット11a又は第2ポンプユニット11bのどちらか一方が故障した際に、断水させることなく給水が可能となる。ポンプユニット11Aの片側交互運転により、例えば夜間等の給水量が必要のない場合等には、どちらか一方を運転させることで、消費電力等の低減とすることが可能となる。また、第1ポンプユニット11a又は第2ポンプユニット11bのどちらか一方故障しても給水が可能となり、信頼性の向上にもなる。
【0044】
次に、図4、5を用いて本発明の第2の実施の形態に係る給水装置1Bの説明を行なう。
【0045】
図4は本発明の第2の実施の形態に係る給水装置1Bの構成を示す説明図、図5は同給水装置1Bの構成を示す説明図である。なお、図4,5において図1〜3と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。図4,5中Hは作業員を示している。
【0046】
図4に示すように、給水装置1Bは、分岐管5に接続されたポンプ装置10と通信可能に形成された通信装置40Aと、を備えている。
【0047】
通信装置40Aは、例えば作業者が持ち運び可能な、例えばノートPC(パーソナルコンピュータ)、携帯電話、PHS(Public Health Service)、又は、ハンディターミナル等が用いられる。なお、この他持ち運びが可能なものであればよい。
【0048】
通信装置40Aは、例えばCPU等の制御部を搭載している。また、内部記憶装置であり制御プログラム記憶用や、データ記憶用の記憶部を有しており、さらに、各情報を出力する表示部45と、外部情報や指示を入力するキーボード等の入力部46とを備えている。また、通信装置40Aは、アンテナ等の通信部47を有しており、通信部28と通信可能に形成されている。
【0049】
このように構成された給水装置1Bでは、上述した給水装置1と同様に、通常運転時においては、インバータ26によりモータ16が制御され、給水口Tに給水されることとなる。次に、作業者Hの定期点検や、制御設定値の変更等について説明する。
【0050】
図4に示すように、作業者Hは、通信装置40Aを持ちながら、各ポンプ装置10が設けられた個所を巡回する。制御盤12の通信部28からは、ポンプ装置10の運転における、検出結果及び制御設定値が電波として常時発信されている。なお、検出結果及び制御設定値の発信は、通信装置40Aから作業者が指示した際のみ発信されるようにしてもよい。このため、通信装置40Aを持った作業者Hが、電波の受信範囲に移動することで、自動的に通信部47で電波を受信する。
【0051】
このとき、作業者Hにより、運転状況に応じて制御設定値の検討を行なう場合には、通信部28から発信されている電波を通信部47により受信すると、通信装置40Aの制御部は、ポンプ装置10の現在の運転状況を表示部45で表示させる。この表示部45に表示された運転状況を基に、作業者は、制御設定値の変更の有無を検討する。ここで、制御設定値を変更する場合には、作業者は、通信装置40Aの入力部46から変更値を入力し、通信部47から電波として制御盤12の通信部28へと変更値を送信する。制御部25は、通信部28で制御設定値を受信後、ポンプ装置10の運転設定を変更する。
【0052】
なお、ある一定の運転制御設定値に自動で変更する際には、通信装置40Aにその制御設定値を入力しておき、図4に示すように、作業者Hが、ポンプ装置10の近く(電波通信範囲内)を巡回する。これにより、通信部28,47で自動的にデータの通信が行なわれ、通信部47により対応する制御設定値を制御盤12の通信部28に送信させる。
【0053】
このように送信された電波は通信部28に受信されることで、制御盤12の制御部25は制御設定値に設定を変更するとともに、この変更された制御設定値に基づいてインバータ26に指示を行う。
【0054】
なお、この制御設定値の変更後、制御部25は、通信部28から、制御変更完了の情報の電波を通信部47へと送信する。CPU41は、通信部28からこの電波を通信部47で受信すると、制御設定値変更完了の表示を表示部45で表示させる。この表示を作業者Hが確認し、ポンプ装置10の設定が完了となる。
【0055】
図5に示すように、集合住宅地等に置いて、同様のポンプ装置10を用いている場合には、複数のポンプ装置10へ電波を送信することが可能となる。尚、これらポンプ装置10の台数は、1〜7台となっており、これらポンプ装置10には、例えば識別番号(信号)が設定されている。
【0056】
このような場合でも、通信装置40Aを作業者Hが持ち、ポンプ装置10の周囲を巡回する。このとき、各ポンプ装置10は識別信号及び各ポンプ装置10の運転情報を常時発信しており、通信装置40Aは、これら識別信号及び運転状況を通信部47で受信する。通信装置40Aの制御部は、通信部47で受信した各識別信号及び運転情報と、記憶部に記憶された各ポンプ装置の変更する制御設定値を、通信部47から送信する。各ポンプ装置10は、各対応する電波をそれぞれの通信部28で受信し、制御設定値を変更するとともに、各ポンプ装置10の識別信号とともに、制御値変更完了の情報を電波として各通信部28から通信部47へ送信する。このように、複数台のポンプ装置10を巡回するのみで、その制御設定値等を同時に変更可能となる。
【0057】
このように本発明の給水装置1Bによれば、上述した給水装置1の効果を有するとともに、さらに、通信装置40Aを持ち運ぶことが可能となるため、作業性が向上する。さらに、作業者がポンプ装置10の近くを巡回することで、ポンプ装置10の制御設定値を変更可能となり、作業性の向上及び作業時間の短縮になる。
【0058】
また、複数台のポンプ装置10の制御設定値を変更する際であっても、巡回するだけですみ、作業時間の大幅な短縮となる。さらに、各ポンプ装置10に識別番号を設けることで、各ポンプ装置10それぞれに異なる設定変更値を設定することも可能となる。
【0059】
次に図6を用いて本発明の第3の実施の形態に係る給水装置1を用いた給水システム2の説明を行なう。
【0060】
図6は本発明の第3の実施の形態に係る給水システム2の構成を示す説明図である。なお、図6において図1〜5と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0061】
図6に示すように給水システム2は、複数のポンプ装置10と、こられポンプ装置10に無線通信Rにより通信可能に形成された通信装置40と、これら通信装置40と例えばインターネット回線(ネットワーク)100を介して接続されたパーソナルコンピュータ等のサーバ101と、を備えている。即ち、給水システム2は、給水装置1とインターネット回線100を介して接続されたサーバ101により構成されている。
【0062】
これらポンプ装置10と通信装置40とは、各設置状況によって、例えば通信装置40、1台に対してポンプ装置10は1〜7台とする。また、通信装置40は、インターネット回線100に接続させるネットワークI/F(Inter Face)を備えている。なお、通信装置は、ネットワークI/Fを有し、インターネット回線100に接続可能であれば複数台接続可能となっている。
【0063】
サーバ101は、制御部、ROM、RAM、HDD、表示部、入力部、及び、ネットワークI/F(Inter Face)を備え、RAMには、ポンプ装置10の制御設定が可能な制御プログラムソフトウェアがインストールされている。また、サーバ101は、例えば各営業所等に設けられ、営業所の管轄内の通信装置40及びポンプ装置10にインターネット回線100を用いて接続されている。
【0064】
なお、サーバ101の制御部及びネットワークI/Fにより、通信手段が形成され、ROM、RAM及びHDDにより記憶手段が形成されている。
【0065】
このような構成の給水システム2では、まず、各ポンプ装置10の制御設定値や運転状況等の情報が通信部28から通信部47に送信される。また、ポンプ装置10の制御部25は、それぞれの識別番号等、他のポンプ装置10と差別化可能な信号も同時に発信する。この情報を通信装置40が受信すると、通信装置40は、インターネット回線100を介してサーバ101へ情報を送信する。
【0066】
サーバ101の制御部は、インターネット回線100を介して受信したこれら情報を、サーバ101の例えばHDDに記憶させるとともに、表示部に表示させる。この表示部を目視したサーバ101の管理者(又は作業者等)は、情報を確認するとともに、各通信装置40に保存されている情報等のチェックを行なう。制御部は、比較手段として、これら情報とRAMに予め設定されている制御設定値とを比較するとともに、制御設定値に近似するように、インターネット回線100を介して各通信装置40へ制御指示を送信する。また、新たに管理者が制御設定値を変更する場合には、入力部から新たな制御設定値を入力する。このように、制御部及び入力部が制御設定値等の情報の変更手段として機能することとなる。
【0067】
各通信装置40は、サーバ101からの制御指示を受信すると、ポンプ装置10の通信部28と電波により無線通信Rを行なう。この無線通信Rにより、制御盤12はサーバ101からの運転指示を受信し、この運転指示に従ってインバータ26を制御し、ポンプ装置10を運転させる。
【0068】
なお、サーバ101で受信したポンプ装置10の情報に、例えばエラー発生や、給水量減少(又は増大)等の問題がある場合には、作業者はサーバの入力部から変更する制御設定値を入力する。この入力した制御設定値をサーバ101からインターネット回線100を介して、対応する通信装置40に接続された通信部47に送信する。この情報を通信部47が受信したら、CPU41は、対応するポンプ装置10に通信部47、28を介して送信する。
【0069】
このような制御設定値の変更以外にも、同様に無線通信Rを用いることで、様々な情報の伝達が、ポンプ装置10を直接変更しなくとも行なうことが可能となる。例えば、ポンプ装置10の制御盤12、通信装置40及びサーバ101等に用いられる制御プログラムソフトウェアの更新がなされた場合には、制御プログラムソフトをサーバ101から制御盤12及び通信装置40へDL(Down Load)することもできる。これは、上述した制御設定値の通信において、制御設定値の変わりに、制御プログラムソフトウェアを通信させればよい。
【0070】
このように本発明の第3の実施の形態によれば、営業所等に設けられたサーバ101により、インターネット回線100を介して、サーバ101から遠距離に設置された通信装置40に制御設定値等の情報を送信可能となる。また、通信装置40で受信した情報を、電波により制御盤12に送信し、この情報を基にポンプ装置10を作動させることが可能となる。これにより、作業者が、ポンプ装置10の設置場所へ行き、制御盤12や通信装置40の制御設定値を変更する必要が無い。このため、作業時間の大幅な短縮となる。また、大雪や夜間等であっても、サーバ101からインターネット回線100を介して通信可能となるため、作業性の向上にもなる。
【0071】
さらに、制御プログラムソフトもサーバ101から制御盤12及び通信装置40にDLさせることも可能となり、制御プログラムソフトの最新バージョンを、早急にDL可能となるため、より良い制御が可能な制御プログラムソフトの使用が可能となる。これにより、運転能率の向上等につながる。
【0072】
上述したように給水システム2によれば、インターネット回線100を介してサーバ101及び通信装置40を接続させることで、遠距離であっても、通信装置40とサーバ101とにおいて情報通信が可能となる。さらに、通信装置40とポンプ装置10とを、電波により無線通信Rで情報通信を行なうことで、作業性の向上及び作業時間の大幅な短縮とすることが可能となる。
【0073】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した給水システム2では、インターネット回線100を用いるとしたが、これをPHS等の基地局を中継して接続してもよい。また、携帯電話回線や電話回線、光ケーブルやCATV等の各種通信手段を用いてもよい。また、給水システム2では、通信装置40を用いるとしたが、通信装置40の変わりに通信装置40Aを用いてもよい。また、通信装置40、40Aの両方を用いてもよい。また、給水システム2では、給水装置1を用いるとしたが、給水装置1A,1Bを用いてもよい。
【0074】
また、上述した給水装置1、1Aでは、ポンプ装置10、10Aは、ポンプユニット11、11Aが1系統若しくは2系統としたが、これに限定されるものではなく、各使用状況において適宜ポンプユニット11、11Aの数を変更可能となっている。
【0075】
さらに、上述した給水装置1〜1Bでは、ポンプ装置10を設置溝13に設けるとしたが、これは、建造物G内に設けても、地面E上に設置してもよい。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る給水装置の構成を示す説明図。
【図2】同給水装置に用いられるポンプ装置及び通信装置の構成を示す説明図。
【図3】図3は本発明の変形例に係る給水装置の構成を示す説明図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る給水装置の構成を示す説明図。
【図5】同給水装置1Bの構成を示す説明図。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る給水装置の構成を示す説明図。
【符号の説明】
【0077】
1,1A,1B…給水装置、2…給水システム、5…分岐管、6…給水配管、7…分岐部、8a…一方の配管、8b…他方の配管、9…合流部、10、10A…ポンプ装置、11…ポンプユニット、12…制御盤(制御回路部)、13…設置溝、14…蓋体、16…モータ、17…回転軸、18…ポンプ、19…流量検出器、20…逆止弁、21…圧力検出器、22…アキュムレータ、25…制御部、26…インバータ、27…表示部、28…通信部、29…入力部、30…バスライン、40、40A…通信装置、41…CPU、42…ROM、43…RAM、44…HDD、45…表示部、46…入力部、47…通信部、48…バスライン、100…インターネット回線、101…サーバ、G…建造物、T…給水口、S…信号線、E…地面、R…無線通信、H…作業者。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータにより駆動されるポンプ、このポンプの吐出管上に設けられた圧力検出器、及び、前記モータを制御する制御回路部を有するポンプ装置と、
前記制御回路部と電波を用いた無線通信を行なう通信部、及び、前記モータの制御指示を入力する入力部を有する通信装置と、を備え、
前記通信装置は、少なくとも前記モータの制御情報を前記制御回路部を介して前記無線通信により受信するとともに、前記入力部により入力された前記制御指示を前記無線通信により前記制御回路部へ送信し、
前記制御回路部は、前記通信装置からの前記制御指示を受信するとともに、前記制御指示に基づいて前記モータを制御することを特徴とする給水装置。
【請求項2】
前記ポンプ装置は、前記ポンプを複数備えることを特徴とする請求項1に記載の給水装置。
【請求項3】
前記通信部は、2.4GHz以上2.485Hz以下のISM帯の周波数帯の電波で通信することを特徴とする請求項1に記載の給水装置。
【請求項4】
前記ポンプ装置を1台以上7台以下有することを特徴とする請求項1に記載の給水装置。
【請求項5】
前記請求項1〜4のいずれかに記載の給水装置と、
前記通信装置にネットワーク接続されたサーバと、
前記通信装置から少なくとも前記給水装置により実行された運転の情報を前記サーバで受信するとともに、少なくとも前記給水装置に実行させる運転の情報を前記サーバから前記通信装置に送信する通信手段と、
前記サーバに設けられ、前記給水装置に関する情報が記憶された記憶手段と、
前記給水装置から送信される前記情報と前記記憶手段に記憶された情報とを比較する比較手段と、
この比較手段の比較結果に基づいて、少なくとも前記給水装置の運転の情報を変更可能な変更手段と、を備えることを特徴とする給水システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−52532(P2009−52532A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−222851(P2007−222851)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(000148209)株式会社川本製作所 (161)
【Fターム(参考)】