説明

給湯暖房装置

【課題】給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器の組合せで給湯と暖房と風呂を単一の熱源とし、器具の小型化・軽量化・高効率化を図る。
【解決手段】給水路1から潜熱回収用熱交換器16を通り給湯用熱交換器15を経て出湯路3に至る給湯回路を形成すると共に給湯用熱交換器15から取出し利用側熱交換器18に供給後、循環ポンプ17を介し潜熱回収用熱交換器16に戻す給湯循環回路19を形成し給湯回路3を利用する際予め定めた定格能力範囲内で燃焼を行う第1バーナ2Aと給湯循環回路19を利用する際予め定めた定格能力範囲内で燃焼を行う第2バーナ2Bを備え、第1バーナ或いは第2バーナが作動中に定格能力以上の負荷要求があった時、所定の期間を上限として第2バーナ或いは第1バーナの作動を許可する特別運転モードを設定し特別運転モードは負荷要求が定格能力以下に低下した時又は所定の期間が終了時点で解除し通常運転モードに復帰するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナの燃焼熱により加熱する給湯用熱交換器と、燃焼排ガスの潜熱を回収する潜熱回収熱交換器を備えた給湯装置に関し、特に、前記給湯用熱交換器と潜熱回収熱交換器で加熱された湯水を循環する給湯循環回路に利用側熱交換器を設けた給湯暖房装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の燃焼装置としては、特許文献1のように、給水路を通して供給される水をバーナの燃焼により加熱して給湯路に給湯する給湯用熱交換器と、入路を通して供給される加熱対象流体を前記バーナの燃焼により加熱して出路に流出する流体用熱交換器とが設けられている給湯装置であって、前記給湯用熱交換器が前記バーナの燃焼排ガスの顕熱を回収する給湯用顕熱熱交換部と、その給湯用顕熱熱交換部よりも前記バーナの燃焼排ガスの流動方向の下流側に配置され、前記バーナの燃焼排ガスの潜熱を回収する給湯用潜熱熱交換部とを備えて構成され、前記流体用熱交換器が、前記バーナの燃焼排ガスの顕熱を回収する流体用顕熱熱交換部と、その流体用顕熱熱交換部よりも前記バーナの燃焼排ガスの流動方向の下流側に配置され、前記バーナの燃焼排ガスの潜熱を回収する流体用潜熱熱交換部とを備えて構成され、前記給湯用顕熱熱交換部と流体用顕熱熱交換部とが、互いに熱伝導する状態で一体的に形成され、かつ、前記給湯用潜熱熱交換部と流体用潜熱熱交換部とが、互いに熱伝導する状態で一体的に形成された給湯装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、潜熱回収用熱交換器で潜熱を回収するときに燃焼排ガスが結露して強酸性のドレン水が発生する。このドレン水の排水構成として特許文献2のように、潜熱回収用熱交換器の下方にドレン受けを設け、該ドレン受けで受けたドレン水を中和器を通して排水するようにしたものがあり、中和器の構造として、内部に中和剤を装填するための略U字状のトラップ構造の装填空間を設け、該装填空間の一方の上端部にドレン水の入口を設け、他方の上端部に中和した処理水を排出する出口を設けたものが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、潜熱回収用熱交換器を備えた給湯暖房装置としては、特許文献3のように、それぞれにガスバーナ5、5a、一次熱交換器6、6a、二次熱交換器7、7aを備えた風呂給湯器1Aと給湯暖房機1Bで構成され、給湯及び風呂注湯時は風呂給湯器1Aを用い、暖房及び風呂追い焚き時は給湯暖房機1Bを用いるようにしたものが開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2002−267262号公報
【特許文献2】特開2001−241764号公報
【特許文献3】特開2001−241641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の給湯暖房装置は、バーナの燃焼ガスの流出経路中に給湯用熱交換器と流体用熱交換器をそれぞれ配置し、前記給湯用熱交換器に給湯用顕熱熱交換部と給湯用潜熱熱交換部を設け、前記流体用熱交換器に流体用顕熱熱交換部と流体用潜熱熱交換部を設けた構成としているため、顕熱熱交換部と潜熱熱交換部にそれぞれ給湯用熱交換器と流体用熱交換器を一体的に形成する必要があり、給湯用熱交換器及び流体用熱交換器として極めて複雑な構成を強いられるものであった。特に、潜熱熱交換部の構成として、耐食性を高めるためにステンレスパイプと銅管を用いた2重管構造とする場合などはその加工性に課題を有するものであった。
【0006】
また、バーナで加熱される経路として、給湯用と流体用の2つの経路を形成しているため、配管構成が複雑になるとともに、単独運転時に運転停止側の熱交換器内の残水の沸騰が発生するという課題を有するものであった。
【0007】
また、潜熱回収用熱交換器で発生するドレン水を排出する構成にあっては、中和器で中和された処理水を直接排水溝等に排水する構造であるため、一戸建てのように簡単に屋外に排水できる環境に設置される場合は問題ないが、マンション等の集合住宅においては簡単に屋外に排水することができず、熱源機の近傍に専用の排水管を別途設ける等、設置工事面で困難を強いられるものであった。
【0008】
また、能力面においても、従来の大型の給湯器などでは、器具の最小燃焼から最大燃焼までをカバーするバーナのターンダウンレシオ(TDR)を確保することができないので、バーナを複数の燃焼面に分けて構成し、燃焼させる燃焼面の数や、燃焼面に大小がある場合にはそれらの組み合わせ方を切り替えることで、器具の最小燃焼から最大燃焼までをカバーするようになっているが、器具の最大能力はあくまで予め設定された定格能力で決まるもので、定格能力を越えて燃焼させることはできないものであった。大きな能力を必要とする場合は、定格能力の大きな器具を選定して使用する必要があり、その場合、定格能力の大きさによっては種々の制約を受けることがあり、家庭用などではあまり大きな定格能力を有した給湯器はなかった。
【0009】
さらに、上記特許文献3のように2缶3水路方式の給湯風呂暖房装置は、給湯回路と暖房・風呂回路が別々の缶体で構成され、それぞれの缶体にバーナを備えた独立構成となっていたため、暖房運転時には暖房回路を形成する缶体に備えられたバーナの最大燃焼量の範囲内でしか燃焼させることができず、給湯運転時には給湯回路を形成する缶体に備えられたバーナの最大燃焼量の範囲内でしか燃焼させることができないものであった。
【0010】
よって、複数の場所で同時使用が頻繁に行われるような使い方をされる場合は、給湯器を複数台設置することで対応し、用途に応じてそれぞれの給湯器を使い分けるというものであり、設置場所、配管工事、費用面での負担が大きいものであった。
【0011】
本発明は前記従来の課題を解決するもので、給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器で1つの加熱経路を形成し、前記加熱経路の循環水を利用して暖房回路や風呂回路に熱量を供給する構成とすることで、前記給湯用熱交換器や潜熱回収用熱交換器に関連しない利用側熱交換器の構成を可能とし、配管構成を含む本体構成の簡素化により器具の小型化、軽量化を実現するとともに、前記加熱経路を給湯回路を主体とし、かつ、加熱経路の加熱源として給湯用バーナと暖房用バーナを併設した一体化構成とすることで、給湯性能を優先しつつ、各機能毎に予め定められた定格能力を有するバーナを所定の条件下で定格能力を超えて燃焼することができる、使い勝手のよい給湯装置を提供する。
【0012】
また、給湯回路を主体とする1つの加熱経路構成とすることで、単独運転時における熱交換器内の残水沸騰問題を解消するとともに、潜熱回収用熱交換器の耐食性向上のための構成を容易にし、高効率でランニングコストの低減を図った給湯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記従来の課題を解決するために、本発明の給湯暖房装置は、給水路より供給される水をバーナの燃焼により加熱し出湯路に湯水を供給する給湯用熱交換器と、前記バーナの燃焼排ガス経路中に配置し燃焼排ガスの潜熱を回収する潜熱回収用熱交換器とを備え、前記給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器を直列に接続して、給水路から潜熱回収用熱交換器を通り給湯用熱交換器を経て出湯路に至る給湯回路を形成するとともに、前記出湯路から分岐し循環ポンプを介して利用側熱交換器に供給した後、前記潜熱回収用熱交換器に戻し、潜熱回収用熱交換器から給湯用熱交換器を通り循環ポンプを介して利用側熱交換器に至る給湯循環回路を形成し、前記給湯回路を利用するか、または、給湯循環回路を利用するか、または、給湯回路と給湯循環回路を同時に利用するか、を選択できるようにした給湯暖房装置であって、前記バーナは、給湯回路を利用するときに予め定めた定格能力範囲内で燃焼を行う第1バーナと、給湯循環回路を利用するときに予め定めた定格能力範囲内で燃焼を行う第2バーナで構成し、前記第1バーナあるいは第2バーナが作動中に定格能力以上の負荷要求があったとき、所定の期間を上限として前記第2バーナあるいは第1バーナの作動を許可する特別運転モードを設定し、前記特別運転モードは、負荷要求が定格能力以下に低下したとき、または、所定の期間が終了した時点で解除し、通常運転モードに復帰するようにしたものである。
【0014】
上記発明によれば、給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器で1つの加熱経路を形成し、前記加熱経路の循環水を利用して暖房回路や風呂回路に熱量を供給する構成とすることで、前記給湯用熱交換器や潜熱回収用熱交換器に関連しない利用側熱交換器の構成を可能とし、配管構成を含む本体構成の簡素化により器具の小型化、軽量化を実現するとともに、前記加熱経路を給湯回路を主体とすることで給湯性能を優先した使い勝手のよい給湯装置を提供することができ、また、給湯回路を主体とする1つの加熱経路構成とすることで、単独運転時における熱交換器内の残水沸騰問題を解消するとともに、潜熱回収用熱交換器の耐食性向上のための構成を容易にし、高効率でランニングコストの低減を図った給湯装置を提供することができる。
【0015】
また、給湯使用時に予め想定した通常使用条件の範囲内においては器具の定格能力内でバーナの燃焼を制御することが可能であり、予め定めた器具定格能力を越えることはなく定格表示との整合性を図ることができる。また、一時的に定格能力を越えるような使い方、例えば、通常2カ所で給湯を同時使用するところを3カ所で同時使用した場合、従来であれば定格能力を越えた使い方となって、給湯温度が低下する、または、給湯量が減少するというような不具合が生じていたが、本発明では給湯要求能力が定格能力を越えた場合、給湯循環回路用、例えば、暖房用に設定された能力を一時的に使用することが可能な構成としているため、給湯要求能力に対して給湯定格能力と暖房定格能力を加えた能力範囲内でバーナの燃焼を制御することができ、3カ所同時使用された場合でも所望の給湯温度、給湯量を確保することができる。また、上記特別運転モードは、所定の期間を限定して、給湯定格能力を越える要求があったときのみ変更可能とし、それ以外の使用条件では定格運転モードに戻すようにしているため、給湯定格能力を越えて使用される期間は極短時間であり、定格表示との整合性において問題となることはない。
【発明の効果】
【0016】
本発明の給湯装置は、給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器で1つの加熱経路を形成し、前記加熱経路の循環水を利用して暖房回路や風呂回路に熱量を供給する構成とすることで、前記給湯用熱交換器や潜熱回収用熱交換器に関連しない利用側熱交換器の構成を可能とし、配管構成を含む本体構成の簡素化により器具の小型化、軽量化を実現するとともに、前記加熱経路を給湯回路を主体とすることで給湯性能を優先した使い勝手のよい給湯装置を提供することができる。
【0017】
また、給湯回路を主体とする1つの加熱経路構成とすることで、単独運転時における熱交換器内の残水沸騰問題を解消するとともに、潜熱回収用熱交換器の耐食性向上のための構成を容易にし、高効率でランニングコストの低減を図った給湯装置を提供することができる。
【0018】
また、通常使用条件の範囲内においては器具の定格能力内でバーナの燃焼を制御することが可能で、給湯要求能力が定格能力を越えた場合でも暖房用に設定された能力を一時的に使用することが可能な構成としているため、給湯要求能力に対して給湯定格能力と暖房定格能力を加えた能力範囲内でバーナの燃焼を制御することができ、3カ所同時使用された場合でも所望の給湯温度、給湯量を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
第1の発明は、給水路より供給される水をバーナの燃焼により加熱し出湯路に湯水を供給する給湯用熱交換器と、前記バーナの燃焼排ガス経路中に配置し燃焼排ガスの潜熱を回収する潜熱回収用熱交換器とを備え、前記給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器を直列に接続して、給水路から潜熱回収用熱交換器を通り給湯用熱交換器を経て出湯路に至る給湯回路を形成するとともに、前記出湯路から分岐し循環ポンプを介して利用側熱交換器に供給した後、前記潜熱回収用熱交換器に戻し、潜熱回収用熱交換器から給湯用熱交換器を通り循環ポンプを介して利用側熱交換器に至る給湯循環回路を形成し、前記給湯回路を利用するか、または、給湯循環回路を利用するか、または、給湯回路と給湯循環回路を同時に利用するか、を選択できるようにした給湯暖房装置であって、前記バーナは、給湯回路を利用するときに予め定めた定格能力範囲内で燃焼を行う第1バーナと、給湯循環回路を利用するときに予め定めた定格能力範囲内で燃焼を行う第2バーナで構成し、前記第1バーナあるいは第2バーナが作動中に定格能力以上の負荷要求があったとき、所定の期間を上限として前記第2バーナあるいは第1バーナの作動を許可する特別運転モードを設定し、前記特別運転モードは、負荷要求が定格能力以下に低下したとき、または、所定の期間が終了した時点で解除し、通常運転モードに復帰するようにしたことを特徴としたものである。
【0020】
そして、給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器で1つの加熱経路を形成し、前記加熱経路の循環水を利用して暖房回路や風呂回路に熱量を供給する構成とすることで、前記給湯用熱交換器や潜熱回収用熱交換器に関連しない利用側熱交換器の構成を可能とし、配管構成を含む本体構成の簡素化により器具の小型化、軽量化を実現するとともに、前記加熱経路を給湯回路を主体とすることで給湯性能を優先した使い勝手のよい給湯装置を提供することができ、また、給湯回路を主体とする1つの加熱経路構成とすることで、単独運転時における熱交換器内の残水沸騰問題を解消するとともに、潜熱回収用熱交換器の耐食性向上のための構成を容易にし、高効率でランニングコストの低減を図った給湯装置を提供することができる。
【0021】
また、給湯使用時に予め想定した通常使用条件の範囲内においては器具の定格能力内でバーナの燃焼を制御することが可能であり、予め定めた器具定格能力を越えることはなく定格表示との整合性を図ることができる。また、一時的に定格能力を越えるような使い方、例えば、通常2カ所で給湯を同時使用するところを3カ所で同時使用した場合、従来であれば定格能力を越えた使い方となって、給湯温度が低下する、または、給湯量が減少するというような不具合が生じていたが、本発明では給湯要求能力が定格能力を越えた場合、給湯循環回路用、例えば、暖房用に設定された能力を一時的に使用することが可能な構成としているため、給湯要求能力に対して給湯定格能力と暖房定格能力を加えた能力範囲内でバーナの燃焼を制御することができ、3カ所同時使用された場合でも所望の給湯温度、給湯量を確保することができる。また、上記特別運転モードは、所定の期間を限定して、給湯定格能力を越える要求があったときのみ変更可能とし、それ以外の使用条件では定格運転モードに戻すようにしているため、給湯定格能力を越えて使用される期間は極短時間であり、定格表示との整合性において問題となることはない。
【0022】
第2の発明は、利用側熱交換器として、暖房や浴室乾燥等を行う暖房装置を有する暖房回路に熱量を供給する暖房用熱交換器として用い、給湯または暖房の単独利用、あるいは給湯と暖房の同時利用、を選択できるようにしたことを特徴とするもので、給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器で構成する給湯循環回路を用いて給湯と暖房を行うように構成した給湯装置に限定したものであり、給湯と暖房を1つの加熱経路で構成することで、配管構成を含む本体構成の簡素化により器具の小型化、軽量化を実現するとともに、潜熱回収により効率アップを図ることで給湯性能と暖房性能を同時に確保することができる。
【0023】
第3の発明は、利用側熱交換器として、風呂の追い焚きを行う風呂回路に熱量を供給する風呂用熱交換器として用い、給湯または風呂追い焚きの単独利用、あるいは給湯と風呂追い焚きの同時利用、を選択できるようにしたことを特徴とするもので、給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器で構成する給湯循環回路を用いて給湯と風呂追い焚きを行うように構成した給湯装置に限定したものであり、給湯と風呂追い焚きを1つの加熱経路で構成することで、配管構成を含む本体構成の簡素化により器具の小型化、軽量化を実現するとともに、潜熱回収により効率アップを図ることで給湯性能と風呂追い焚き性能を同時に確保することができる。
【0024】
第4の発明は、利用側熱交換器として、暖房や浴室乾燥等を行う暖房装置を有する暖房回路に熱量を供給する暖房用熱交換器と、風呂の追い焚きを行う風呂回路に熱量を供給する風呂用熱交換器を設け、給湯または暖房または風呂追い焚きの単独利用、あるいは給湯と暖房と風呂追い焚きのうち少なくとも2つの同時利用、を選択できるようにしたことを特徴とするもので、給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器で構成する給湯循環回路を用いて給湯と暖房と風呂追い焚きを行うように構成した給湯装置に限定したものであり、給湯と暖房と風呂追い焚きを1つの加熱経路で構成することで、配管構成を含む本体構成の簡素化により器具の小型化、軽量化を実現するとともに、潜熱回収により効率アップを図ることで給湯性能と暖房性能と風呂追い焚き性能を同時に確保することができる。
【0025】
第5の発明は、利用側熱交換器として複数個設ける場合、給湯循環回路に対して各熱交換器を並列に接続し、給湯用熱交換器から供給される湯水温度が略同一となるようにしたことを特徴とするもので、給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器で構成する給湯循環回路に複数の利用側熱交換器を並列に接続して使用することで、給湯循環回路の通路抵抗を小さくすることができ、循環ポンプの小型化・軽量化が可能になる。
【0026】
第6の発明は、潜熱回収用熱交換器は、複数のステンレス綱製プレートフィンを貫通してステンレス綱製の受熱管を並設するとともに、前記受熱管に内通させて銅製の通水管を配設し、前記通水管の入水口を集合させて1つの入水経路を形成する入水ヘッダーと、前記通水管の出水口を集合させて1つの出水ヘッダーを設けることで、給水路より供給される水を複数の通水管経路を介して給湯用熱交換器に供給し、その過程で燃焼排ガスの潜熱を回収するようにしたことを特徴とするもので、給水路より供給される1つの加熱経路で構成することで、受熱管と通水管の並設構成が簡素化できるとともに、通水管の入水口と出水口を入水ヘッダーと出水ヘッダーで集合させることにより潜熱回収用熱交換器内を複数の通水経路を介して通水することができ、給湯循環回路の通路抵抗を小さくすることができ、循環ポンプの小型化・軽量化が可能になる。
【0027】
第7の発明は、給水路より供給される水を潜熱回収用熱交換器及び給湯用熱交換器を迂回して出湯路に供給するバイパス通路を設け、前記バイパス通路は給湯循環回路の上流側の給水路より水を供給し、給湯用熱交換器で加熱された高温水と混合して所望の湯水を出湯路より供給するようにしたことを特徴とするもので、給水路より供給される水の一部を潜熱回収用熱交換器及び給湯用熱交換器を経由して加熱し、残りの給水の一部をバイパス通路より前記加熱水に混合して所望の湯水を確保する構成とすることで、加熱水を高温にすることができ、給湯用熱交換器内の湯温を上昇させることで、熱交換器での結露を防止し耐久性の向上を図ることができる。
【0028】
第8の発明は、出湯路より供給される湯水を利用側熱交換器の二次側である風呂回路に供給する注湯回路を設け、前記注湯回路はバイパス通路の下流側の出湯路より混合された湯水を供給するようにしたことを特徴とするもので、潜熱回収用熱交換器と給湯用熱交換器で効率よく加熱された湯水をバイパス通路より供給される水と混合して所望の湯水を確保した後、注湯回路より風呂回路に供給することで、効率のよい風呂運転が可能になる。
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0030】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における給湯暖房装置の構造図を示すものである。
【0031】
図1において、まず給水路1より供給される水をバーナ2の燃焼により加熱し所定の温度に上昇した後、出湯路3に供給し、前記給水路1と出湯路3を連通して形成したバイパス通路4から給水路1より供給される水の一部をバイパス制御弁5を介して供給することで所望の湯水に調整し、給湯栓6より出湯する給湯回路を構成している。
【0032】
ここで、バーナ2はガス元電磁弁7、ガス比例弁8、ガス切替弁9が配設されたガス供給路10より燃料が供給され、燃焼用ファン11より燃焼用空気が供給されて、予め定められたシーケンスに従い燃焼動作が行われる。そして、バーナ2の燃焼により発生する燃焼ガスは燃焼室12を通って排気通路13を経由し排気口14から器具外に排出される。
【0033】
この燃焼ガスの排気経路に燃焼ガスの顕熱を回収する給湯用熱交換器15と燃焼排ガスの潜熱を回収する潜熱回収用熱交換器16を配設している。具体的には、バーナ2の下流側燃焼室12に給湯用熱交換器15を設け、その下流側排気通路13に潜熱回収用熱交換器16を設け、前記給水路1より供給される水を、まず潜熱回収用熱交換器16に供給し燃焼排ガス中の潜熱を回収したのち、給湯用熱交換器15に供給しバーナ2の燃焼により所定の高温水に上昇させて出湯路3に供給する。このように従来の給湯用熱交換器15による熱回収に加え、燃焼排ガスの潜熱を回収する潜熱回収用熱交換器16を設けることで、総合的な熱効率を高め省エネを図るものである。
【0034】
次に、給湯用熱交換器15の出口から直接利用側熱交換器である暖房用熱交換器18に、潜熱回収用熱交換器16および給湯用熱交換器15で加熱された高温水を供給した後、循環ポンプ17を介して前記潜熱回収用熱交換器16の上流側給水路1に戻し、潜熱回収用熱交換器16から給湯用熱交換器15を通り暖房用熱交換器18に至る給湯循環回路19を構成している。この給湯循環回路19は、給湯用熱交換器15の出口から直接利用側熱交換器に温水を供給するようにしているため、バーナ2で加熱された高温の湯水を利用して利用側負荷に熱量を供給することが可能であり、本実施の形態で説明する暖房回路などに用いると最適である。
【0035】
そして、給湯回路3、給湯循環回路19への熱量供給源である給湯用熱交換器15の加熱用バーナ2は、給湯用に設定された定格燃焼入力を有する第1バーナ2Aと暖房用に設定された定格燃焼入力を有する第2バーナ2Bで構成されており、それぞれの負荷要求に応じて定格燃焼入力範囲内で燃焼するようになっている。つまり、給湯運転時には第1バーナ2Aが燃焼可能な定格入力範囲内で給湯負荷に応じて燃焼量が制御され、暖房運転時には第2バーナ2Bが燃焼可能な定格入力範囲内で暖房負荷に応じて燃焼量が制御され、風呂運転時には第1バーナ2Aが燃焼可能な定格入力範囲内で給湯と風呂の同時運転をしたとき給湯性能に支障がでない範囲で設定された風呂用の定格入力範囲内で燃焼量が制御される。この各機能毎に設定された定格燃焼入力範囲内で運転する状態を定格運転モードといい、従来の2缶3水路方式の給湯風呂暖房装置は前記定格運転モードでの運転しかできなかった。つまり、従来の給湯風呂暖房装置は、給湯風呂回路と暖房回路が別々の缶体で構成され、それぞれの缶体にバーナを備えた独立構成となっていたため、暖房運転時には暖房回路を形成する缶体に備えられたバーナの最大燃焼量の範囲内でしか燃焼させることがでず、給湯運転時には給湯回路を形成する缶体に備えられたバーナの最大燃焼量の範囲内でしか燃焼させることができないものであった。
【0036】
本実施の形態においては、上記した如く、給湯用熱交換器15、潜熱回収用熱交換器16で加熱された湯水を直接給湯用として用いるとともに、給湯循環回路19を形成しその循環水を利用して暖房回路20と風呂回路28に熱量を供給する1缶3水路方式とし、給湯用熱交換器15を加熱するバーナ2として、予め定格入力を設定した第1バーナ2Aと第2バーナ2Bを併設一体化した構成としているため、定格運転モードでの運転はもちろんのこと、所定の条件下ではそれぞれの機能における定格入力を超えた特別運転モードでの運転も可能になる。
【0037】
暖房回路20は、暖房用熱交換器18の2次側に放熱機21等の負荷を接続して閉回路を形成し、暖房用循環ポンプ22で循環させることにより、前記暖房用熱交換器18で給湯循環回路19より供給される高温水と熱交換して暖房熱量を確保するようにしている。
【0038】
以上のように構成された給湯暖房装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0039】
まず、給湯運転時には、給湯栓6を開くと給水路1に配設した給水側流量センサー23が通水を検知し、この通水信号で燃焼用ファン11が動作し同時にガス元電磁弁7、ガス比例弁8が開き、バーナ2Aに燃料と燃焼用空気が供給されて着火動作により燃焼が開始する。このバーナ2Aの燃焼開始により発生した燃焼ガスは燃焼室12から排気通路13を経由して排気口14より排出される。この燃焼ガスの排気動作の過程において燃焼室12に配設した給湯用熱交換器15と排気通路13に配設した潜熱回収用熱交換器16で給水路1より供給される水が加熱される。
【0040】
給湯用熱交換器15で所定の温度まで加熱された湯水は、前記給湯用熱交換器15と潜熱回収用熱交換器16を迂回するように給水路1と出湯路3を連通して設けたバイパス通路4に配設したバイパス制御弁5により入水側の水と混合される。混合された湯は遠隔操作用リモコン24で設定した給湯設定温度になるよう出湯サーミスター25の信号によりバイパス制御弁5の開度を調整し、給湯接続口26を経て給湯栓6より給湯される。
【0041】
このとき、給湯栓6が複数箇所設置されており、この複数の給湯栓6から同時に出湯された場合は、バーナ2Aが定格入力の最大燃焼量で燃焼したとしても遠隔操作用リモコン24で設定した給湯設定温度まで上昇しないことがある。つまり、複数の給湯栓6で同時使用されると、給湯用熱交換器15の通水量が増大してバーナ2Aの定格入力では所定の温度まで加熱することができない能力不足状態となる。このような場合、従来であれば使用箇所を制限してバーナ2Aの定格能力範囲内で使用しなければならなかった。そこで、本実施の形態では、バーナ2Aが定格入力の最大燃焼量で燃焼しても給湯用熱交換器15の出口温度が所定の温度まで上昇しない場合は、給湯循環回路19の加熱用バーナであるバーナ2Bの燃焼を開始させ、バーナ2Aとバーナ2Bを同時燃焼させる特別運転モードに切り替えて給湯用熱交換器15を加熱することで、複数の給湯栓6で同時使用された場合でも所望の湯温を確保するようにしている。
【0042】
そして、特別運転モードは所定の期間を限定して燃焼可能とし、所定の期間が終了した時点、または、それ以内に給湯負荷がバーナ2Aの定格能力範囲内に減少した時点で解除し、通常の定格運転モードに戻すようにしている。この定格入力を超えて運転する特別運転モードの期間を限定することで、器具に表示されるそれぞれの能力表示、例えば、給湯能力表示、暖房能力表示、風呂能力表示との整合性が図れるものである。
【0043】
このように、給湯単独運転を選択する場合は、遠隔操作用リモコン24で所望の温度を設定し給湯栓6を開くことで、給湯負荷に応じて自動的に定格運転モードと特別運転モードを選択して運転を行うため、複数の給湯栓6で同時使用された場合でも設定された湯温の湯水を確保することができる。
【0044】
次に暖房運転時には、放熱機21等の暖房端末装置に内蔵した制御器(図示せず)の運転指令で、暖房回路20に設けた暖房用循環ポンプ22が駆動し、この運転指令に連動して給湯循環回路19の湯水を循環させる循環ポンプ17が駆動し、同時にバーナ2Bの着火動作により燃焼が開始する。このバーナ2Bの燃焼開始により発生した燃焼ガスは燃焼室12から排気通路13を経由して排気口14より排出される。この燃焼ガスの排気動作の過程において燃焼室12に配設した給湯用熱交換器15と排気通路13に配設した潜熱回収用熱交換器16で給水路1より供給される水が加熱される。
【0045】
給湯用熱交換器15で加熱された湯水は循環ポンプ17で暖房用熱交換器18に供給され、水−水熱交換構成により熱交換され暖房回路20へ伝熱される。暖房用熱交換器18で受熱した暖房回路20の熱は、放熱機21で温風として放熱される。そして、暖房用熱交換器18で熱交換された高温水は潜熱回収用熱交換器16の上流側給水路1に戻し、給湯循環回路19を形成し、放熱機21からの暖房運転指令が発せられている間、所定の湯温に維持して循環を継続する。
【0046】
このように、暖房用熱交換器18に供給する湯水を給湯用熱交換器15の出口から直接取り出し給湯循環回路19を形成することで、暖房運転に必要な高温水を確保しつつ、暖房用熱交換器18の下流側の給湯循環回路19から分岐して給湯回路3を取り出すことで、給湯使用範囲の湯水を効率的に供給することが可能な給湯優先動作を確保することができる。
【0047】
ここで、燃焼排ガスの潜熱を回収する潜熱回収用熱交換器16は、排ガス経路に対して給湯用熱交換器15の下流側に位置させ、給水経路に対して給湯用熱交換器15の上流側に位置させて設けており、潜熱回収熱交換器16で余熱された湯水を給湯用熱交換器15で加熱するようにしている。これによりバーナ2Bの燃焼で発生した熱量を効率よく熱交換することができ省エネにつながる。
【0048】
また、暖房運転において、部屋の大きさや外気温等で定まる暖房負荷がバーナ2Bの定格入力範囲内で運転される通常運転の場合は問題ないが、暖房運転の初期において部屋が冷え切った状態の場合は、バーナ2Bの定格入力の最大燃焼量で燃焼したとしても部屋の温度が適温に上昇するまでに長い時間が必要になる。そこで、本実施の形態では、部屋が冷え切った状態で暖房運転を開始するコールドスタート時には、バーナ2Bに加え、給湯回路3の加熱用バーナであるバーナ2Aの燃焼を開始させ、バーナ2Bとバーナ2Aを同時燃焼させる特別運転モードに切り替えて給湯用熱交換器15を加熱することで、コールドスタート時の室温の早期立ち上げ性能を確保するようにしている。
【0049】
そして、特別運転モードは所定の期間を限定して燃焼可能とし、所定の期間が終了した時点、または、それ以内に暖房負荷がバーナ2Bの定格能力範囲内に減少した時点で解除し、通常の定格運転モードに戻すようにしている。この定格入力を超えて運転する特別運転モードの期間を限定することで、器具に表示されるそれぞれの能力表示、例えば、給湯能力表示、暖房能力表示、風呂能力表示との整合性が図れるものである。
【0050】
このように、暖房単独運転を選択する場合は、暖房運転の開始時に暖房負荷に応じて自動的に定格運転モードと特別運転モードを選択して運転を行うため、室温の早期立ち上がり性能を確保することができる。
【0051】
次に、上記定格運転モードと特別運転モードの一例として数値を用いて説明すると、通常の給湯暖房装置の暖房定格入力は15000kcal/h、給湯定格入力は45000kcal/hであり、それぞれ独立して設定されている。そして全燃焼入力が60000kcal/hあり、燃焼入力が15000kcal/hある第2バーナ(暖房用バーナ)2Bと、燃焼入力が45000kcal/hある第1バーナ(給湯用バーナ)2Aの少なくともどちらか一方の燃焼を行うことができるものである。
【0052】
そして、暖房運転が早朝等の最初に要求されるコールドスタート時には、特別運転モードとして循環ポンプ17と暖房循環ポンプ22を駆動し、燃焼ファン11の空気とガスをバーナ2で混合し燃焼入力60000kcal/hの最大燃焼を開始する。すなわち第1バーナ2Aと第2バーナ2Bを同時に燃焼させることで、燃焼熱が給湯用熱交換器15、潜熱回収用熱交換器16を通過する際に、フィンを介して吸熱管へ多量に伝熱する。吸熱管で吸熱した高温水は循環ポンプ17で給湯循環回路19を循環し、暖房用熱交換器18で暖房回路20の温水を加熱することで、暖房の立ち上がり時間を定格燃焼入力15000kcal/hの第2バーナ2Bの単独運転に比べて大幅に短縮することが可能となる。
【0053】
実際の例を図2で説明すると、暖房運転が早朝等の最初に要求されるコールドスタート時には7000kcal程度の加熱量が必要であり、定格運転モードである15000kcal/hを超えて、特別運転モードの燃焼入力60000kcal/hまでバーナ2を構成する第1バーナ2Aと第2バーナ2Bを同時に燃焼させることで暖房を急速立ち上げすることにより、室温5℃から20℃に到達するまで60分要していたものが30分で実現可能となる。
【0054】
また、潜熱回収用熱交換器16の構成としては図3に示すように、ステンレス鋼製の側板16a、16bと、前記側板16a、16bの間に配列したステンレス鋼製のプレートフィン16cと、前記側板16a、16bとプレートフィン16cに設けた開口部に貫通させて並設したステンレス鋼製の鞘管16dと、前記鞘管16dに内通させ入水口16eと出水口16fを設けた複数の銅製通水管16gと、前記通水管16gの入水口16eを集合させて1つの入水経路を形成する入水ヘッダー16hと、前記通水管16gの出水口16fを集合させて1つの入水経路を形成する出水ヘッダー16iとを備え、前記通水管16gを排ガス経路内において2重管構造とし、前記入水ヘッダー16h、出水ヘッダー16iを介して並列の熱交換経路を形成するようにしている。
【0055】
この構成により、給水路1より供給される水は入水ヘッダー16hより複数の通水管16gを並列に流れて出水ヘッダー16iで集合され、給湯用熱交換器15に供給される。そして、排ガス経路内はステンレス鋼製の鞘管16dで通水管16gを覆っているため、結露水による腐食の問題も抑制され、燃焼排ガス中の潜熱を回収することで熱効率のアップを図ることができる。
【0056】
また、通水管16gの入水口16eと出水口16fを入水ヘッダー16hと出水ヘッダー16iで集合させることにより潜熱回収用熱交換器16内を複数の通水経路を介して通水することができ、給湯循環回路19の通路抵抗を小さくすることができ、循環ポンプ17の小型化・軽量化が可能になる。さらに、通水管16gの一方側で集合して入水経路と出水経路を形成する構成とすることで、通水管16gの配設構成を簡素化し加工性の向上を図ることができる。
【0057】
以上のように本実施の形態においては、給湯用熱交換器15と潜熱回収用熱交換器16で1つの加熱経路を形成し、前記加熱経路の循環水を利用して利用側負荷回路である暖房回路20に熱量を供給する構成としているため、前記給湯用熱交換器15や潜熱回収用熱交換器16に関連しない利用側熱交換器である暖房用熱交換器18の構成を可能とし、配管構成を含む本体構成の簡素化により器具の小型化、軽量化を実現するとともに、前記加熱経路を給湯回路を主体とすることで給湯性能を優先した使い勝手のよい給湯装置を提供することができ、また、給湯回路を主体とする1つの加熱経路構成とすることで、単独運転時における熱交換器内の残水沸騰問題を解消するとともに、潜熱回収用熱交換器16の耐食性向上のための構成を容易にし、高効率でランニングコストの低減を図った給湯装置を提供することができる。
【0058】
また、通常使用条件の範囲内においては器具の定格能力内でバーナの燃焼を制御することが可能で、給湯要求能力または暖房能力が定格能力を越えた場合でも暖房用または給湯用に設定された能力を一時的に使用することが可能な構成としているため、給湯要求能力または暖房要求能力に対して給湯定格能力と暖房定格能力を加えた能力範囲内でバーナの燃焼を制御することができ、複数箇所で同時使用された場合でも所望の給湯温度、給湯量を確保することができ、また、室温が冷え切ったコールドスタートの暖房運転時にも短時間で室温を適温まで上昇させることができる。
【0059】
(実施の形態2)
次に、本発明の第2の実施の形態における給湯暖房装置について図1を用いて説明する。
【0060】
本実施の形態は、第1の実施の形態における給湯暖房装置の利用側熱交換器として、風呂の追い焚きを行う風呂回路に熱量を供給する風呂用熱交換器を用いた給湯暖房装置に関するものである。
【0061】
風呂用熱交換器27は給湯循環回路19に接続され、潜熱回収用熱交換器16と給湯用熱交換器15で加熱された高温水を循環ポンプ17で循環させながら熱交換し風呂回路28に熱量を供給する。風呂回路28は風呂用循環ポンプ29、水量検知部30を通って浴槽31の湯を風呂用熱交換器27に供給し所定時間循環させることで浴槽水の追い焚きを行う。また、浴槽31へ湯張りを行う注湯回路32として、バイパス通路4の下流側の出湯路3から風呂回路28に連通する経路を形成している。
【0062】
次にその動作、作用を説明すると、風呂運転時には、遠隔操作用リモコン24で風呂運転の指示を行うと、風呂回路28に設けた風呂用循環ポンプ29が駆動し水流検知部30で浴槽水の循環が検知されると、その検知信号で給湯循環回路19の湯水を循環させる循環ポンプ17が駆動し、同時に第1バーナ2Aの着火動作により燃焼が開始される。なお、本実施の形態では風呂運転時の熱源として第1バーナ2Aを用いたが、第2バーナ2Bを用いても同様の作用効果を得られるものである。
【0063】
この第1バーナ2Aの燃焼開始により発生した燃焼ガスは燃焼室12から排気通路13を経由して排気口14より排出される。この燃焼ガスの排気動作の過程において燃焼室12に配設した給湯用熱交換器15と排気通路13に配設した潜熱回収用熱交換器16で給水路1より供給される水が加熱される。
【0064】
給湯用熱交換器15で加熱された湯水は循環ポンプ17で風呂用熱交換器27に供給され、水−水熱交換構成により熱交換され風呂回路28へ伝熱される。風呂用熱交換器27で受熱した風呂回路28の熱は、浴槽31の湯温を上昇させ所定の追い焚き湯温を確保する。そして、風呂用熱交換器27で熱交換された高温水は潜熱回収用熱交換器16の上流側給水路1に戻し、給湯循環回路19を形成し、遠隔操作用リモコン24で設定された所定の追い焚き条件を満足するまで所定の湯温に維持して循環を継続する。
【0065】
また、風呂追い焚き運転において、浴槽水がある程度の温度を保ち、少しの追い焚きを行う程度であれば、予め定められた風呂定格入力範囲内で運転を行う定格運転モードで問題ないが、浴槽水が冷え切った状態において風呂追い焚きを行う場合は、第1バーナ2Aを用いて風呂定格入力の最大燃焼量で燃焼したとしても遠隔操作用リモコン24で設定した風呂設定温度まで上昇するのに長い時間が必要になる。そこで、本実施の形態では、浴槽水が冷え切ったコールドスタート状態で風呂追い焚き運転を開始する時には、第1バーナ2Aに加え、給湯循環回路19の加熱用バーナである第2バーナ2Bの燃焼を開始させ、第1バーナ2Aと第2バーナ2Bを同時燃焼させる特別運転モードに切り替えて給湯用熱交換器15を加熱することで、コールドスタート時の浴槽水温度の早期立ち上げ性能を確保するようにしている。
【0066】
そして、特別運転モードは所定の期間を限定して燃焼可能とし、所定の期間が終了した時点、または、それ以内に浴槽水温度が上昇し負荷が風呂の定格能力範囲内に減少した時点で解除し、通常の定格運転モードに戻すようにしている。この定格入力を超えて運転する特別運転モードの期間を限定することで、器具に表示されるそれぞれの能力表示、例えば、給湯能力表示、暖房能力表示、風呂能力表示との整合性が図れるものである。
【0067】
このように、風呂単独運転を選択する場合は、風呂運転の開始時に風呂負荷に応じて自動的に定格運転モードと特別運転モードを選択して運転を行うため、浴槽水温度の早期立ち上がり性能を確保することができる。
【0068】
実際の例を図4で説明する。冬場前日にためておいた浴槽水を再加熱する時には6000kcal程度の加熱量が必要であり、通常定格運転モードである定格燃焼入力11000kcal/hを超えて、特別運転モードの燃焼入力60000kcal/hまで第1バーナ2Aと第2バーナ2Bを同時に燃焼させる急速追い焚きにより浴槽水200Lで10℃から40℃まで沸き上げるのに32分要していたものが19分で沸き上げ可能となる。
【0069】
このように、風呂用熱交換器27に供給する湯水を給湯用熱交換器15の出口から直接取り出し給湯循環回路19を形成することで、風呂運転に必要な高温水を確保しつつ、風呂用熱交換器27の下流側の給湯循環回路19から分岐して給湯回路3を取り出すことで、給湯使用範囲の湯水を効率的に供給することが可能な給湯優先動作を確保することができる。
【0070】
ここで、燃焼排ガスの潜熱を回収する潜熱回収用熱交換器16は、排ガス経路に対して給湯用熱交換器15の下流側に位置させ、給水経路に対して給湯用熱交換器15の上流側に位置させて設けており、潜熱回収熱交換器16で余熱された湯水を給湯用熱交換器15で加熱するようにしている。これにより、風呂追い焚き運転時においてもバーナ2の燃焼で発生した熱量を効率よく熱交換することができ省エネにつながる。
【0071】
また、注湯回路32をバイパス通路4の下流側の出湯路3より混合された湯水を供給するようにしたことで、潜熱回収用熱交換器16と給湯用熱交換器15で効率よく加熱された湯水をバイパス通路4より供給される水と混合して所望の湯水を確保した後、注湯回路32より風呂回路28に供給することで、効率のよい風呂運転が可能になる。
【0072】
以上のように本実施の形態においては、給湯と風呂追い焚きを1つの加熱経路で構成することで、配管構成を含む本体構成の簡素化により器具の小型化、軽量化を実現するとともに、潜熱回収により効率アップを図ることで給湯性能と風呂追い焚き性能を同時に確保することができる。
【0073】
また、通常使用条件の範囲内においては器具の定格能力内でバーナの燃焼を制御することが可能で、風呂要求能力が定格能力を越えた場合でも暖房用や給湯用に設定された能力を一時的に使用することが可能な構成としているため、風呂要求能力に対して給湯定格能力と暖房定格能力を加えた能力範囲内でバーナの燃焼を制御することができ、浴槽水が冷え切ったコールドスタートの風呂追い焚き運転時にも短時間で浴槽水を適温まで上昇させることができる。
【0074】
(実施の形態3)
次に、本発明の第3の実施の形態における給湯暖房装置について図1を用いて説明する。
【0075】
本実施の形態は、第1の実施の形態における給湯暖房装置の利用側熱交換器として、暖房や浴室乾燥等を行う放熱機21を有する暖房回路に熱量を供給する暖房用熱交換器と、風呂の追い焚きを行う風呂回路に熱量を供給する風呂用熱交換器を用いた給湯装置に関するものである。
【0076】
暖房用熱交換器18と風呂用熱交換器27は給湯循環回路19に並列に接続され、潜熱回収用熱交換器16と給湯用熱交換器15で加熱された高温水を循環ポンプ17で循環させながら熱交換し、暖房回路20または風呂回路28に熱量を供給する。
【0077】
次にその動作、作用を説明すると、暖房運転時には、放熱機21の運転指令で、暖房回路20に設けた暖房ポンプ22が駆動し、連動して給湯循環回路19の温水を循環させるポンプ17が駆動することにより第2バーナ2Bに着火し、燃焼された熱を回収する給湯用熱交換器15で加熱された温水は暖房用熱交換器18で熱交換され暖房回路20へ伝熱される。暖房用熱交換器18で受熱した暖房回路20の熱は、放熱機21で温風として放熱される。
【0078】
また、風呂運転時には、遠隔操作用リモコン24の運転指令で、風呂回路28に設けた風呂用循環ポンプ29が駆動し水流検知部30にて循環が検知されると、連動して給湯循環回路19の温水を循環させるポンプ17が駆動することにより第1バーナ2Aに着火し、燃焼された熱を回収する給湯用熱交換器15で加熱された温水は風呂用熱交換器27で熱交換され風呂回路28へ伝熱される。風呂用熱交換器27で受熱した風呂回路28の熱は、浴槽31へ循環し追い焚き加熱される。
【0079】
また、暖房と風呂同時運転時には、放熱機21と遠隔操作用リモコン24からの運転指令により、暖房回路20と風呂回路28のポンプ22、29が駆動し第1バーナ2Aと第2バーナ2Bの着火動作により燃焼が開始する。この燃焼により給湯循環回路19の循環水は潜熱回収用熱交換器16と給湯用熱交換器15で加熱され所定の高温水の状態を維持しながら循環する。この高温の循環水は暖房用熱交換器20と風呂用熱交換器27に略同一の温度で供給され、暖房回路20と風呂回路28に伝熱される。
【0080】
また、上記以外の組み合わせによる同時運転も可能であり、暖房用熱交換器20と風呂用熱交換器27とを給湯循環回路19に並列に構成しているため、循環回路の通路抵抗を小さくすることができ、循環ポンプ17の小型化・軽量化が可能となる。
【0081】
ここで各組み合わせによる同時運転について詳細に説明すると、例えば、給湯回路と暖房回路の同時運転の場合、それぞれの回路が定格入力範囲内の負荷で使用されている場合は、第1バーナ2Aと第2バーナ2Bはそれぞれの負荷要求に応じて定格入力範囲内で燃焼量を制御して運転を行うことができる。しかし、どちらかの負荷要求が定格入力範囲を超えた場合はそのまま運転を継続すると、負荷要求に対して供給能力が足りない能力不足の状態で運転をしなければないないことになる。そこで、本実施の形態においては、各運転形態を同時運転する場合、優先順位を定め、優先順位の高い運転形態から定格入力を超える負荷要求があったときは、特別運転モードに切り替えることを許可するようにしている。例えば、給湯運転と暖房運転を同時運転する場合は、給湯運転に優先権を持たせ、給湯負荷が定格入力を超えた使い方をされた場合に、暖房運転を制限または一時停止状態として、暖房用バーナである第2バーナ2Bを給湯用の熱源として利用するものである。これにより、複数箇所で同時使用されるような給湯負荷の大きい状況になった場合でも、所望の湯水を確保することができる。また、給湯負荷が定格入力範囲内に減少するか、所定の期間が終了した時点で特別運転モードを解除し、定格運転モードに戻すようにしているため、一時的に暖房運転を制限または停止したとしても大きな影響はでないものである。
【0082】
また、他の組み合わせ、例えば、給湯運転と風呂追い焚き運転を同時運転する場合も上記同様、給湯運転に優先権を持たせるが、まず、第1バーナ2Aと第2バーナ2Bを同時に燃焼させ、それでも給湯負荷に対する供給能力が不足する場合、風呂追い焚き運転を制限または一時停止状態として、第1バーナ2Aと第2バーナ2Bを給湯用の熱源として利用するものである。これにより、複数箇所で同時使用されるような給湯負荷の大きい状況になった場合でも、所望の湯水を確保することができる。また、給湯負荷が定格入力範囲内に減少するか、所定の期間が終了した時点で特別運転モードを解除し、定格運転モードに戻すようにしているため、一時的に風呂追い焚き運転を制限または停止したとしても大きな影響はでないものである。
【0083】
次に、風呂追い焚き運転と暖房運転を同時運転する場合は、風呂追い焚き運転に優先権を持たせ、風呂負荷が定格入力を超えた使い方をされた場合に、暖房運転を制限または一時停止状態として、暖房用バーナである第2バーナ2Bを風呂追い焚き用の熱源として利用するものである。これにより、浴槽水が冷え切った風呂負荷が大きい状態から追い焚き運転をする場合でも短時間に所望の湯温まで立ち上げることができる。また、風呂負荷が定格入力範囲内に減少するか、所定の期間が終了した時点で特別運転モードを解除し、定格運転モードに戻すようにしているため、一時的に暖房運転を制限または停止したとしても大きな影響はでないものである。
【0084】
また、給湯運転と風呂追い焚き運転と暖房運転を同時運転する場合は、給湯運転に優先権を持たせ、給湯負荷が定格入力を超えた使い方をされた場合に、風呂追い焚き運転及び暖房運転を制限または一時停止状態として、暖房用バーナである第2バーナ2Bを給湯用の熱源として利用するものである。
【0085】
このように、複数の運転形態を同時運転する場合は、運転形態に優先順位を持たせ、優先順位の高い運転形態が定格入力を超える負荷要求をおこなったとき定格運転モードから特別運転モードに切り替えるようにし、所定の条件を満足した時点で特別運転モードを解除することで、給湯優先動作を確保しつつ、複数の同時運転を行うことができる。
【0086】
ここで、燃焼排ガスの潜熱を回収する潜熱回収用熱交換器16は、排ガス経路に対して給湯用熱交換器15の下流側に位置させ、給水経路に対して給湯用熱交換器15の上流側に位置させて設けており、潜熱回収熱交換器16で余熱された湯水を給湯用熱交換器15で加熱するようにしている。これにより、複数の利用側負荷の運転時においてもバーナ2の燃焼で発生した熱量を効率よく熱交換することができ省エネにつながる。
【0087】
(実施の形態4)
次に、本発明の第4の実施の形態における給湯暖房装置について図1を用いて説明する。
【0088】
本実施の形態も第1から第3の実施の形態と同様、給水路1より供給される水を給湯用熱交換器15により加熱して出湯路3に湯水を供給する給湯回路と、給湯用熱交換器15から取り出し利用側熱交換器に供給した後、給湯用循環ポンプ17を介して前記給湯用熱交換器15に至る給湯循環回路19と、前記利用側熱交換器としての暖房用熱交換器18と暖房や浴室乾燥等を行う暖房装置である放熱機21との間を暖房用循環ポンプ22を介して湯水が循環する暖房回路20と、前記利用側熱交換器としての風呂用熱交換器27と浴槽31との間を風呂用循環ポンプ29を介して湯水が循環する風呂回路28を有している。
【0089】
なお、給湯用循環ポンプ17やバーナ2に供給されるガスの量を調整するガス比例弁8等は制御装置43により制御されており、制御装置43へは遠隔操作用リモコンである台所リモコン24a、暖房リモコン24b、浴室リモコン24c等から温度等の指令を発するようになっている。
【0090】
以上の構成から、水を加熱して湯にするのは給湯用熱交換器15のみであり、この給湯用熱交換器15によって加熱された湯水を給湯、暖房、風呂の追焚き等全ての機能に使用するので、給湯、暖房、風呂の追焚き等のうちのいずれかの機能を行う場合にも、必要ならば給湯用熱交換器15の全能力を用いることができる。これにより、各機能別に加熱手段が設けられている場合と比較して、各機能の能力がアップした結果となる。
【0091】
給湯回路3においては、前述したように、給湯用熱交換器15のバーナ2の燃焼排ガス経路である排気通路13中の下流側でかつ給水路1における上流側に潜熱回収用熱交換器16が配置されている。
【0092】
従って、給水路1から供給された水等は、まず、潜熱回収用熱交換器16によってある程度予備加熱され、その後、給湯用熱交換器15によって本加熱されることになる。
【0093】
潜熱回収用交換器16の下方には潜熱回収用熱交換器16からの結露水を受ける潜熱回収用熱交換器受け皿16jが設けられており、さらに潜熱回収用熱交換器受け皿16jで受けた水を中和して排水する中和装置42が設けられている。
【0094】
なお、中和装置42には、中和装置42内の水位を検出する電極42aが設けられており、制御装置43に電極42aからの信号が送られるようになっている。そして、中和装置42に溜まった水は排水ポンプ42bにより逆止弁42cを介して器具外に排出され、浴槽の排水口等に接続された排水管を通して排水される。前記排水ポンプ42bは電極42aから送られた信号により制御装置43からON/OFF信号が供給されて排水動作を行うようになっている。
【0095】
また、中和装置42は、図5に示すように、仕切板42dで仕切られた複数の中和剤収納室42eと中和水貯留室42fを一体成型した容器42gと、この容器42gの上部開口を覆う蓋体42hよりなり、前記蓋体42hには前記中和剤収納室42eの最上流側に対応した部分に前記潜熱回収用熱交換器受け皿16jから供給される結露水を導く入水口42iが設けられ、前記中和水貯留室42fに対応する蓋体42hには電極42aが設けられ、前記中和水貯留室42fの下方には中和水を取り出す出水口42jが設けられている。そして、中和剤収納室42eには潜熱回収用熱交換器受け皿16jから供給される強酸性の結露水を中和するために酸化マグネシウム、炭酸カルシウム等の粒剤が中和剤42kとして充填されている。
【0096】
このように構成された中和装置42は、排気通路13中に配設された潜熱回収用熱交換器16で熱交換される際に発生する酸性の結露水が潜熱回収用熱交換器受け皿16jで受けられ、パイプを介して入水口42iより供給され、中和剤収納室42eに充填された中和剤42kを略U字状に通過することで中和され、最下流側に設けた仕切板42dの上方のスリット穴から中和水貯留室42fに送られ所定水位になるまで貯めておく。
【0097】
そして、中和水貯留室42fの水位が上方に設けた電極42aまで上昇すると排水ポンプ42bを駆動し出水口42jより排水し、下方に設けた電極42aまで低下すると排水ポンプ42bを停止する。この繰り返しにより潜熱回収用熱交換器16で発生する結露水を強制的に浴室等の排水口に排水するようにしている。また、出水口42jからの排水経路には逆止弁42cを接続し、排水ポンプ42bが停止したときの逆流を防止するようにしている。この逆止弁42cを設けることで中和水貯留室42fの容積を小さくすることができ、中和装置42の小型化により器具内の省スペース化が図れる。
【0098】
また、暖房回路20では、暖房用熱交換器18の2次側において加熱された湯水を暖房用循環ポンプ22により放熱機21に送って放熱し、その戻り湯水を一旦蓄えるタンク44が設けられている。これにより、加熱時に湯水が膨張した際の体積の増加を吸収するとともに、蒸発等により暖房回路20を循環する湯水の量が減少した際に補うようになっている。タンク44には、タンク44に収容されている湯水の量を測定する水位計44aが設けられている。また、タンク44内の水位が一定値よりも下がった場合には、給水路1から分岐してタンク44に接続されている補充管45により水が補充されるようになっており、暖房回路20の水が空になるのを防止している。一方、タンク44をオーバーフローした湯水は、捨てられるようになっている。
【0099】
なお、暖房用循環ポンプ22は暖房リモコン24bにより制御装置43を介して制御されるようになっている。また、水位計44aは制御装置43と接続されており、タンク44内の水位データが制御装置43に送られるようになっている。
【0100】
風呂回路28では、浴槽31に湯張りされた湯水を風呂用循環ポンプ29で汲み上げて風呂用熱交換器27の2次側に送って加熱(追焚き)し、加熱された湯水は浴槽31に戻るようになっている。風呂用循環ポンプ29は、浴室リモコン24cにより制御装置43を介して制御されるようになっている。
【0101】
次に、制御装置43による給湯時、暖房時、追焚き時における給湯用循環ポンプ17の制御について説明する。
【0102】
給湯停止時から給湯を開始した際には、通常、十分に加熱されていないので使用されない湯水(いわゆる「死水」)が発生する。これをなくすために、制御装置43は、給湯停止時であっても時々給湯用循環ポンプ17を作動させて、給湯用熱交換器15により循環する湯水の温度を一定以上に保つようにする。これにより、死水を減少させて給湯開始時に直ちに湯を供給することができる。
【0103】
また、給湯停止時には、給湯栓6を閉じると給湯が停止され、給水も停止するが、給湯用熱交換器15においては余熱により給湯用熱交換器15内に残っている湯水をさらに加熱(いわゆる「後沸き」)することになり、次に給湯栓6を開いたときにまず高温の湯がとび出すことになり危険である。そこで、制御装置43は、給湯を停止した後もしばらく給湯用循環ポンプ17を作動させて湯水を循環させ、給湯用熱交換器15の余熱がおさまってから給湯用循環ポンプ17を停止させるように制御する。
【0104】
次に、暖房時における制御について説明する。
【0105】
制御装置43は、暖房負荷の大きさに応じて給湯用循環ポンプ17の流量を制御する。
【0106】
暖房装置である放熱機21の負荷が大きい場合すなわち放熱機21により暖房として放出される熱量が大きい場合には、暖房用熱交換器18から暖房回路20に供給しなければならない熱量が大きくなるため、給湯用循環ポンプ17によって給湯循環回路19を循環させる湯水の流量を増加させるように制御して、暖房回路20へ多くの熱量を伝達することができるようにしている。
【0107】
一方、暖房負荷が小さいときには給湯用循環ポンプ17の流量を縮小するように制御する。すなわち、暖房負荷が小さいのに給湯用循環ポンプ17により多くの湯水を暖房用熱交換器18に循環させた場合には、高温の湯水がそのまま給湯用熱交換器15に戻ることになって熱効率が低下する。このため、給湯用循環ポンプ17の流量を縮小することにより熱効率が低下するのを防止する。
【0108】
また、暖房開始時には給湯用循環ポンプ17の流量を増加するように制御して、暖房立ち上がり時に暖房用熱交換器18に多くの湯水が循環するようにしている。これにより、暖房立ち上がり時にすぐに暖かくなるようにすることができる。
【0109】
また、出湯路3から供給される湯水の流量が一定量(例えば10L/分程度)以上である場合には、給湯用循環ポンプ17を回さなくても暖房用熱交換器18に十分な湯水が供給されるので、給湯用循環ポンプ17を停止するように制御する。これにより、消費電力を減少することができる。
【0110】
なお、給湯と並行して暖房を行う場合には、給湯用循環ポンプ17の流量を縮小または停止させるように制御する。すなわち、給湯と暖房を並行して行う場合において、給水の水圧が低い(例えば50kPa程度以下)場合に給湯用循環ポンプ17の流量を大きくすると、循環の湯水の圧力が給水の圧力に勝って給水を押し止め、給水量が低下してしまうことになるので、循環の湯水の量を減少させることにより給水量の低下を防止して給湯量を増加させることができる。
【0111】
以上のように、給湯、暖房または同時運転時に、負荷に応じて定格入力以上の燃焼を行う特別運転モードで負荷要求を満足させると共に、負荷に応じて給湯用循環ポンプ17の流量制御を行うことで、より幅広い負荷要求に対して能力不足のない運転を提供することができる。
【0112】
次に、追焚き時における制御について説明する。
【0113】
制御装置43は、追焚き負荷の大きさに応じて給湯用循環ポンプ17の流量を制御する。風呂の追焚き負荷が大きい場合、すなわち浴槽31に湯張りされているお湯を大きな温度差で追焚きする場合には、風呂用熱交換器27から風呂回路28に供給しなければならない熱量が大きくなる。このため、給湯用循環ポンプ17によって循環させる湯水の流量を増加するように制御することにより、風呂回路28へ多くの熱量を伝達することができるようにしている。
【0114】
また、給湯と並行して風呂の追焚きを行う場合には、給湯用循環ポンプ17の流量を縮小または停止させるように制御する。これは、給湯と風呂の追焚き等を並行して行う場合において、給水の水圧が低い(例えば50kPa程度以下)場合に給湯用循環ポンプ17の流量を大きくすると、循環の湯水の圧力が給水の圧力に勝って給水を押し止め、給水量が低下してしまうことになるためである。従って、循環の湯水の量を減少させることにより給水量の低下を防止して給湯量を増加させることができる。
【0115】
以上のように、給湯、風呂追い焚きまたは同時運転時に、負荷に応じて定格入力以上の燃焼を行う特別運転モードで負荷要求を満足させると共に、負荷に応じて給湯用循環ポンプ17の流量制御を行うことで、より幅広い負荷要求に対して能力不足のない運転を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0116】
以上のように、本発明にかかる給湯暖房装置は、給湯循環回路を主回路として給湯と暖房、または給湯と風呂、または給湯と暖房と風呂を単一の熱源とすることにより、器具の小型化・軽量化ができ、設置スペースの余裕確保、施工性の向上と、潜熱回収熱交換器を備えることにより、高効率化を実現しランニングコストの低減による省エネルギー化を図ることが可能となるため、ガス、石油の給湯風呂装置、給湯暖房機等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明の実施の形態1〜4における給湯暖房装置の構造図
【図2】本発明の実施の形態1における給湯暖房装置の暖房運転の一例を示す図
【図3】同給湯暖房装置の潜熱回収熱交換器の構造図
【図4】本発明の実施の形態2における給湯暖房装置の風呂運転の一例を示す図
【図5】本発明の実施の形態4における中和装置の構造図
【符号の説明】
【0118】
1 給水路
2 バーナ(加熱手段)
2A 第1バーナ
2B 第2バーナ
3 出湯路 13 排気通路(排熱経路)
15 給湯用熱交換器
16 潜熱回収用熱交換器
16j 潜熱回収用熱交換器受け皿
17 給湯用循環ポンプ
18 暖房用熱交換器(利用側熱交換器)
19 給湯循環回路
20 暖房回路
21 放熱機
22 暖房用循環ポンプ
23 流量センサ
27 風呂用熱交換器(利用側熱交換器)
28 風呂回路
29 風呂用循環ポンプ
31 浴槽
42 中和装置
44 タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水路より供給される水をバーナの燃焼により加熱し出湯路に湯水を供給する給湯用熱交換器と、前記バーナの燃焼排ガス経路中に配置し燃焼排ガスの潜熱を回収する潜熱回収用熱交換器とを備え、
前記給湯用熱交換器と潜熱回収用熱交換器を直列に接続して、給水路から潜熱回収用熱交換器を通り給湯用熱交換器を経て出湯路に至る給湯回路を形成するとともに、前記給湯熱交換器から取り出し利用側熱交換器に供給した後、循環ポンプを介して前記潜熱回収用熱交換器に戻す給湯循環回路を形成し、前記給湯回路を利用するか、または、給湯循環回路を利用するか、または、給湯回路と給湯循環回路を同時に利用するか、を選択できるようにした給湯暖房装置であって、
前記バーナは、給湯回路を利用するときに予め定めた定格能力範囲内で燃焼を行う第1バーナと、給湯循環回路を利用するときに予め定めた定格能力範囲内で燃焼を行う第2バーナで構成し、
前記第1バーナあるいは第2バーナが作動中に定格能力以上の負荷要求があったとき、定の期間を上限として前記第2バーナあるいは第1バーナの作動を許可する特別運転モードを設定し、前記特別運転モードは、負荷要求が定格能力以下に低下したとき、または、所定の期間が終了した時点で解除し、通常運転モードに復帰するようにした給湯暖房装置。
【請求項2】
利用側熱交換器として、暖房や浴室乾燥等を行う暖房装置を有する暖房回路に熱量を供給する暖房用熱交換器として用い、給湯または暖房の単独利用、あるいは給湯と暖房の同時利用、を選択できるようにした請求項1記載の給湯暖房装置。
【請求項3】
利用側熱交換器として、風呂の追い焚きを行う風呂回路に熱量を供給する風呂用熱交換器として用い、給湯または風呂追い焚きの単独利用、あるいは給湯と風呂追い焚きの同時利用、を選択できるようにした請求項1記載の給湯暖房装置。
【請求項4】
利用側熱交換器として、暖房や浴室乾燥等を行う暖房装置を有する暖房回路に熱量を供給する暖房用熱交換器と、風呂の追い焚きを行う風呂回路に熱量を供給する風呂用熱交換器を設け、給湯または暖房または風呂追い焚きの単独利用、あるいは給湯と暖房と風呂追い焚きのうち少なくとも2つの同時利用、を選択できるようにした請求項1記載の給湯暖房装置。
【請求項5】
利用側熱交換器として複数個設ける場合、給湯循環回路に対して各熱交換器を並列に接続し、給湯用熱交換器から供給される湯水温度が略同一となるようにした請求項1または4記載の給湯暖房装置。
【請求項6】
潜熱回収用熱交換器は、複数のステンレス綱製プレートフィンを貫通してステンレス綱製の受熱管を並設するとともに、前記受熱管に内通させて銅製の通水管を配設し、前記通水管の入水口を集合させて1つの入水経路を形成する入水ヘッダーと、前記通水管の出水口を集合させて1つの出水ヘッダーを設けることで、給水路より供給される水を複数の通水管経路を介して給湯用熱交換器に供給し、その過程で燃焼排ガスの潜熱を回収するようにした請求項1〜5のいずれか1項記載の給湯暖房装置。
【請求項7】
給水路より供給される水を潜熱回収用熱交換器及び給湯用熱交換器を迂回して出湯路に供給するバイパス通路を設け、前記バイパス通路は給湯循環回路の上流側の給水路より水を供給し、給湯用熱交換器で加熱された高温水と混合して所望の湯水を出湯路より供給するようにした請求項1〜6のいずれか1項記載の給湯暖房装置。
【請求項8】
出湯路より供給される湯水を利用側熱交換器の二次側である風呂回路に供給する注湯回路を設け、前記注湯回路はバイパス回路の下流側の出湯路より混合された湯水を供給するようにした請求項1〜7のいずれか1項記載の給湯暖房装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−266555(P2006−266555A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−83083(P2005−83083)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】