説明

絶縁膜形成用組成物、ならびに絶縁膜およびその形成方法

【課題】高集積化および多層化が望まれている半導体素子などにおいて好適に用いることができ、機械的強度および薬液耐性に優れた低比誘電率の絶縁膜の形成に用いることができる絶縁膜形成用組成物、ならびに絶縁膜およびその形成方法を提供する。
【解決手段】絶縁膜形成用組成物は、下記一般式(1)で表される化合物1、下記一般式(2)で表される化合物2、および加水分解性ポリカルボシランを加水分解縮合して得られた加水分解縮合物と、有機溶媒とを含む。
Si(OR4−a・・・・・(1)
(式中、Rは炭素数1〜2のアルキル基、ビニル基、アリル基、アセチル基またはフェニル基を示し、aは1〜2の整数を示し、Rは炭素数1〜3のアルキル基、ビニル基、アリル基、アセチル基またはフェニル基を示す。)
(RO)3−bSi−(R−Si(OR3−c・・・・・(2)
(式中、R〜Rは同一または異なり、それぞれ1価の有機基を示し、bおよびcは同一または異なり、0〜1の数を示し、Rはフェニレン基または−(CH−で表される基(ここで、mは1〜6の整数である。)を示し、dは0または1を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁膜形成用組成物、ならびに絶縁膜およびその形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子などにおける層間絶縁膜として、CVD法などの真空プロセスにより形成されたシリカ(SiO)膜が多用されている。そして、近年、より均一な膜厚を有する層間絶縁膜を形成することを目的として、SOG(Spin on Glass)膜と呼ばれるテトラアルコキシランの加水分解生成物を主成分とする塗布型の絶縁膜も使用されるようになっている。また、半導体素子などの高集積化に伴い、有機SOGと呼ばれるポリオルガノシロキサンを主成分とする低比誘電率の層間絶縁膜の開発も行なわれている。
【0003】
しかしながら、半導体素子などのさらなる高集積化や多層化に伴い、より優れた導体間の電気絶縁性が要求されており、したがって、保存安定性が良好で、より低比誘電率で、より機械的強度に優れる層間絶縁膜が求められるようになっている。
【0004】
また、半導体装置の製造過程では、絶縁層を平坦化するためのCMP(Chemical Mechanical Planarization)工程や、各種洗浄工程が行なわれる。そのため、半導体装置の層間絶縁膜や保護膜などに適用するためには、誘電率特性の他に機械的強度や薬液による侵食に耐えられる程の薬液耐性を有することも求められている。
【0005】
低比誘電率の材料としては、アンモニアの存在下にアルコキシシランを縮合して得られる微粒子とアルコキシシランの塩基性部分加水分解物との混合物からなる組成物(特開平5−263045号公報、特開平5−315319号公報)や、ポリアルコキシシランの塩基性加水分解物をアンモニアの存在下で縮合することにより得られた塗布液(特開平11−340219号公報、特開平11−340220号公報)が提案されている。しかしながら、これらの方法で得られる材料は、反応の生成物の性質が安定せず、塗膜の比誘電率、クラック耐性、機械的強度、密着性などのバラツキも大きいため、工業的生産には不向きであった。
【特許文献1】特開平5−263045号公報
【特許文献2】特開平5−315319号公報
【特許文献3】特開平11−340219号公報
【特許文献4】特開平11−340220号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、高集積化および多層化が望まれている半導体素子などにおいて好適に用いることができ、機械的強度および薬液耐性に優れた低比誘電率の絶縁膜の形成に用いることができる絶縁膜形成用組成物を提供することにある。
【0007】
また、本発明は、機械的強度および薬液耐性に優れた低比誘電率の絶縁膜およびその形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る絶縁膜形成用組成物は、
下記一般式(1)で表される化合物1、下記一般式(2)で表される化合物2、および加水分解性ポリカルボシランを加水分解縮合して得られた加水分解縮合物と、有機溶媒とを含む。
Si(OR4−a ・・・・・(1)
(式中、Rは炭素数1〜2のアルキル基、ビニル基、アリル基、アセチル基またはフェニル基を示し、aは1〜2の整数を示し、Rは炭素数1〜3のアルキル基、ビニル基、アリル基、アセチル基またはフェニル基を示す。)
(RO)3−bSi−(R−Si(OR3−c ・・・・・(2)
(式中、R〜Rは同一または異なり、それぞれ1価の有機基を示し、bおよびcは同一または異なり、0〜1の数を示し、Rはフェニレン基または−(CH−で表される基(ここで、mは1〜6の整数である。)を示し、dは0または1を示す。)
上記絶縁膜形成用組成物において、前記加水分解性ポリカルボシランは、下記一般式(3)で表される構造単位を有することができる。
【0009】
【化2】

・・・・・(3)
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシロキシ基、スルホン基、メタンスルホン基、トリフルオロメタンスルホン基、アルキル基、アリール基、アリル基およびグリシジル基からなる群より選ばれる基を示し、Rはハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシロキシ基、スルホン基、メタンスルホン基、トリフルオロメタンスルホン基、アルキル基、アリール基、アリル基およびグリシジル基からなる群より選ばれる基を示し、R10,R11は同一または異なり、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシロキシ基、スルホン基、メタンスルホン基、トリフルオロメタンスルホン基、炭素数2〜6のアルキル基、アリール基、アリル基およびグリシジル基からなる群より選ばれる基を示し、R12〜R14は同一または異なり、置換または非置換のメチレン基、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、またはアリーレン基を示し、x,y,zは、それぞれ0〜10,000の数を示し、5<x+y+z<10,000の条件を満たす。)
上記絶縁膜形成用組成物において、前記加水分解性ポリカルボシラン100重量部(完全加水分解物換算)に対して、前記化合物1および前記化合物2の合計が1〜1000重量部であることができる。
【0010】
上記絶縁膜形成用組成物において、前記化合物1と前記化合物2のモル比(化合物1:化合物2)が80:20〜20:80であることができる。
【0011】
上記絶縁膜形成用組成物において、前記化合物1として、上記一般式(1)におけるRがビニル基である化合物を用いることができる。
【0012】
上記絶縁膜形成用組成物において、空孔形成剤をさらに含むことができる。
【0013】
本発明の別の一態様に係る絶縁膜の形成方法は、上記絶縁膜形成用組成物を基板に塗布し、加熱する工程を含む。この場合、前記加熱する工程において、加熱下で高エネルギー線を照射する工程を含むことができる。この場合、前記高エネルギー線が電子線および紫外線から選ばれる少なくとも1種であることができる。
【0014】
本発明の他の一態様に係る絶縁膜は、上記絶縁膜の形成方法により得られる。
【発明の効果】
【0015】
上記絶縁膜形成用組成物は、上記化合物1、上記化合物2、および上記加水分解性ポリカルボシランを加水分解縮合して得られた加水分解縮合物と、有機溶媒とを含むことにより、機械的強度および薬液耐性に優れた低比誘電率の絶縁膜の形成に用いることができる。
【0016】
上記絶縁膜は比誘電率が小さく、かつ、機械的強度および薬液耐性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る絶縁膜形成用組成物、ならびに絶縁膜およびその形成方法について具体的に説明する。
【0018】
1.絶縁膜形成用組成物
本発明の一実施形態に係る絶縁膜形成用組成物は、下記一般式(1)で表される化合物1、下記一般式(2)で表される化合物2、および加水分解性ポリカルボシランを加水分解縮合して得られた加水分解縮合物と、有機溶媒とを含む。
Si(OR4−a ・・・・・(1)
(式中、Rは炭素数1〜2のアルキル基、ビニル基、アリル基、アセチル基またはフェニル基を示し、aは1〜2の整数を示し、Rは炭素数1〜3のアルキル基、ビニル基、アリル基、アセチル基またはフェニル基を示す。)
(RO)3−bSi−(R−Si(OR3−c ・・・・・(2)
(式中、R〜Rは同一または異なり、それぞれ1価の有機基を示し、bおよびcは同一または異なり、0〜1の数を示し、Rはフェニレン基または−(CH−で表される基(ここで、mは1〜6の整数である。)を示し、dは0または1を示す。)
以下、本実施形態に係る膜形成用組成物を製造するために使用する各成分について説明する。
【0019】
1.1.加水分解縮合物
上述したように、加水分解縮合物は、化合物1、化合物2、および加水分解性ポリカルボシラン(以下、「加水分解性シラン化合物」と総称することもある。)を縮合させて得られる。
【0020】
1.1.1.化合物1
化合物1は、化合物1同士、化合物2、および加水分解性ポリカルボシラン(以下、「加水分解性シラン化合物」と総称することもある。)と縮合し、Si−O−Si結合を形成できる。加水分解縮合物を形成する際に、化合物1の使用は、薬液耐性の向上に寄与する。
【0021】
上記一般式(1)において、Rで表される炭素数1〜2のアルキル基としては、メチル基、エチル基を挙げることができ、Rで表される炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基を挙げることができる。これらのアルキル基は水素原子がフッ素原子等に置換されていてもよい。
【0022】
Rとしては、炭素数1〜2のアルキル基、ビニル基、またはアリル基が好ましく、Rとしては炭素数1〜3のアルキル基、またはビニル基が好ましい。
【0023】
本実施形態に係る絶縁膜形成用組成物では、化合物1として、上記一般式(1)におけるRがビニル基である化合物を用いることが好ましい。化合物1として、上記一般式(1)におけるRがビニル基である化合物を用いることにより、特に紫外線を照射した場合に架橋密度の向上が期待できる。
【0024】
化合物1の具体例としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、メチルトリ−tert−ブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−sec−ブトキシシラン、エチルトリ−tert−ブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、n−プロピルトリフェノキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリ−n−プロポキシシラン、イソプロピルトリイソプロポキシシラン、イソプロピルトリ−n−ブトキシシラン、イソプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、イソプロピルトリ−tert−ブトキシシラン、イソプロピルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリイソプロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、n−ブチルトリフェノキシシラン、sec−ブチルトリメトキシシラン、sec−ブチルイソトリエトキシシラン、sec−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、sec−ブチルトリイソプロポキシシラン、sec−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、sec−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、sec−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、sec−ブチルトリフェノキシシラン、tert−ブチルトリメトキシシラン、tert−ブチルトリエトキシシラン、tert−ブチルト−n−プロポキシシラン、tert−ブチルトリイソプロポキシシラン、tert−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、tert−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、tert−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、tert−ブチルトリフェノキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルトリ−sec−ブトキシシラン、フェニルトリ−tert−ブトキシシラン、フェニルトリフェノキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−n−プロポキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジメチルジ−sec−ブトキシシラン、ジメチルジ−tert−ブトキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジ−n−プロポキシシラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジ−n−ブトキシシラン、ジエチルジ−sec−ブトキシシラン、ジエチルジ−tert−ブトキシシラン、ジエチルジフェノキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−プロピルジイソプロポキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−フェノキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジ−n−プロポキシシラン、ジイソプロピルジイソプロポキシシラン、ジイソプロピルジ−n−ブトキシシラン、ジイソプロピルジ−sec−ブトキシシラン、ジイソプロピルジ−tert−ブトキシシラン、ジイソプロピルジフェノキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−ブチルジイソプロポキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−フェノキシシ
ラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジエトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジイソプロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−フェノキシシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルジエトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチルジイソプロポキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−フェノキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジ−n−プロポキシシラン、ジフェニルジイソプロポキシシラン、ジフェニルジ−n−ブトキシシラン、ジフェニルジ−sec−ブトキシシラン、ジフェニルジ−tert−ブトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシランが挙げられる。これらは1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0025】
化合物1として特に好ましい化合物は、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等である。これらは1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0026】
1.1.2.化合物2
化合物2は、化合物1、化合物2同士、および加水分解性ポリカルボシランと縮合し、得られる加水分解縮合物にSi−(CH−Si結合またはSi−フェニレン−Si結合を導入できる。上記一般式(2)において、Rが−(CHで表される基の場合、比誘電率、薬液耐性の向上という観点で、mが1〜2であるのが好ましい。加水分解縮合物の形成の際に、化合物2の使用は、架橋密度の向上に寄与する。
【0027】
上記一般式(2)において、R〜Rとしては、前記一般式(1)のR,Rとして例示したものと同様の基を挙げることができる。
【0028】
上記一般式(2)においてd=0の化合物2としては、ヘキサメトキシジシラン、ヘキサエトキシジシラン、ヘキサフェノキシジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−フェニルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−フェニルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−フェニルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジフェニル
ジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン等を挙げることができる。
【0029】
これらのうち、ヘキサメトキシジシラン、ヘキサエトキシジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン等を、好ましい例として挙げることができる。
【0030】
また、上記一般式(2)においてd=1の化合物3としては、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリ−n−プロポキシシリル)メタン、ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)メタン、ビス(トリ−n−ブトキシシリル)メタン、ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)メタン、ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)エタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(トリメトキシシリル)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(トリエトキシシリル)メタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−1−(トリ−n−プロポキシシリル)メタン、1−(ジ−iso−プロポキシメチルシリル)−1−(トリ−iso−プロポキシシリル)メタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−n−ブトキシシリル)メタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−sec−ブトキシシリル)メタン、1−(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−tert−ブトキシシリル)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(トリメトキシシリル)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(トリエトキシシリル)エタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−2−(トリ−n−プロポキシシリル)エタン、1−(ジ−iso−プロポキシメチルシリル)−2−(トリ−iso−プロポキシシリル)エタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−n−ブトキシシリル)エタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−sec−ブトキシシリル)エタン、1−(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−tert−ブトキシシリル)エタン、ビス(ジメトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジエトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−n−プロポキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−iso−プロポキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−n−ブトキシメチルシ
リル)メタン、ビス(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)メタン、1,2−ビス(ジメトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジエトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−n−プロポキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−iso−プロポキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−n−ブトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)ベンゼン等を挙げることができる。
【0031】
これらのうち、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(トリメトキシシリル)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(トリエトキシシリル)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(トリメトキシシリル)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(トリエトキシシリル)エタン、ビス(ジメトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジエトキシメチルシリル)メタン、1,2−ビス(ジメトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジエトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン等を好ましい例として挙げることができる。
【0032】
上述した化合物2は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0033】
1.1.3.加水分解性ポリカルボシラン
加水分解性ポリカルボシランは、Si−C−Si結合を有し、化合物1、化合物2、および加水分解性ポリカルボシラン同士と縮合できる。加水分解縮合物の形成の際に、加水分解性ポリカルボシランは薬液耐性の向上に寄与する。
【0034】
加水分解性ポリカルボシランは、例えば、下記一般式(3)で表される構造単位を有するポリカルボシラン化合物(以下、「化合物3」とする)であることができる。
【0035】
【化3】

・・・・・(3)
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシロキシ基、スルホン基、メタンスルホン基、トリフルオロメタンスルホン基、アルキル基、アリール基、アリル基およびグリシジル基からなる群より選ばれる基を示し、Rはハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシロキシ基、スルホン基、メタンスルホン基、トリフルオロメタンスルホン基、アルキル基、アリール基、アリル基およびグリシジル基からなる群より選ばれる基を示し、R10,R11は同一または異なり、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシロキシ基、スルホン基、メタンスルホン基、トリフルオロメタンスルホン基、炭素数2〜6のアルキル基、アリール基、アリル基およびグリシジル基からなる群より選ばれる基を示し、R12〜R14は同一または異なり、置換または非置換のメチレン基、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、またはアリーレン基を示し、x,y,zは、それぞれ0〜10,000の数を示し、5<x+y+z<10,000の条件を満たす。)
上記一般式(3)において、R〜R11で表されるハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子などを挙げることができ、R〜R11で表されるアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基などを挙げることができ、R〜R11で表されるアシロキシ基としては、例えばアセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基などを挙げることができ、R〜R11で表されるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基などを挙げることができ、R〜R11で表されるアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基などを挙げることができる。
【0036】
また、上記一般式(3)において、R12〜R14で表されるアルキレン基としては、例えばエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、へキシレン基、デシレン基等などを挙げることができ、好ましくは炭素数2〜6であり、これらのアルキレン基は鎖状でも分岐していても、さらに環を形成していてもよく、水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。R12〜R14で表されるアルケニレン基としては、炭素数2〜6(好ましくは1〜4)の直鎖あるいは分岐状のアルケニレン基が挙げられ、例えばビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、1−メチルビニレン基、1−メチルプロペニレン基、2−メチルプロペニレン基、1−メチルペンテニレン基、3−メチルペンテニレン基、1−エチルビニレン基、1−エチルプロペニレン基、1−エチルブテニレン基、3−エチルブテニレン基等を挙げることができる。これらのアルケニレン基中の水素原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。R12〜R14で表されるアルキニレン基としては、炭素数2〜6(好ましくは1〜4)の直鎖あるいは分岐状のアルキニレン基が挙げられ、例えばエチニレン基、1−プロピニレン基、1−ブチニレン基、1−ペンチニレン基、1−ヘキシニレン基、2−ブチニレン基、2−ペンチニレン基、1−メチルエチニレン基、3−メチル−1−プロピニレン基、3−メチル−1−ブチニレン基等を挙げることができる。これらのアルキニレン基中の水素原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。R12〜R14で表されるアリーレン基としては、例えばフェニレン基、ナフチレン基等を挙げることができ、水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0037】
また、上記一般式(3)において、x,y,zは、0〜10,000の数で、5<x+y+z<10,000である。x+y+z<5の場合には、ポリマーの保存安定性が劣る場合があり、また10,000<x+y+zの場合には、得られるポリマーが層分離を起こし、均一な膜を形成しないことがある。好ましくは、x,y,zはそれぞれ、0≦x≦800、0≦y≦500、0≦z≦1,000であり、より好ましくは、0≦x≦500
、0≦y≦300、0≦z≦500であり、さらに好ましくは、0≦x≦100、0≦y≦50、0≦z≦100である。
【0038】
また、上記一般式(3)において、5<x+y+z<1,000であるのが好ましく、5<x+y+z<500であるのがより好ましく、5<x+y+z<250であるのがさらに好ましく、5<x+y+z<100であるのが最も好ましい。
【0039】
化合物3は、例えばクロロメチルトリクロロシラン、ブロモメチルトリクロロシラン、クロロメチルメチルジクロロシラン、クロロメチルエチルジクロロシラン、クロロメチルビニルジクロロシラン、クロロメチルフェニルジクロロシラン、ブロモメチルメチルジクロロシラン、ブロモメチルビニルジクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、クロロメチルジビニルクロロシラン、ブロモメチルジメチルクロロシラン、(1−クロロエチル)トリクロロシラン、(1−クロロプロピル)トリクロロシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、ブロモメチルトリメトキシシラン、クロロメチルメチルジメトキシシラン、クロロメチルビニルジメトキシシラン、クロロメチルフェニルジメトキシシラン、ブロモメチルメチルジメトキシシラン、ブロモメチルビニルジメトキシシラン、ブロモメチルフェニルジメトキシシラン、クロロメチルジメチルメトキシシラン、クロロメチルジビニルメトキシシラン、クロロメチルジフェニルメトキシシラン、ブロモメチルジメチルメトキシシラン、ブロモメチルジイソプロピルメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、ブロモメチルトリエトキシシラン、クロロメチルメチルジエトキシシラン、クロロメチルエチルジエトキシシラン、クロロメチルビニルジエトキシシラン、クロロメチルフェニルジエトキシシラン、ブロモメチルメチルジエトキシシラン、ブロモメチルビニルジエトキシシラン、ブロモメチルフェニルジエトキシシラン、クロロメチルジメチルエトキシシラン、クロロメチルジエチルエトキシシラン、ブロモメチルジビニルエトキシシラン、クロロメチルトリイソプロポキシシランおよびブロモメチルトリイソプロポキシシランから選ばれる少なくとも1種の化合物を、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方の存在下に反応させて、必要に応じてさらにアルコール、有機酸、還元剤等で処理することにより得られる。
【0040】
加水分解性ポリカルボシランの重量平均分子量は、300〜100,000であることが好ましく、500〜10,000であることがより好ましい。加水分解性ポリカルボシランの重量平均分子量がこの範囲より大きいと、粒子が生成しやすく、また、得られる加水分解縮合物を用いて形成された絶縁膜内の細孔が大きくなりすぎて好ましくない。
【0041】
1.1.4.各成分の使用量
本実施形態に係る膜形成用組成物においては、加水分解性ポリカルボシラン100重量部(完全加水分解物換算)に対して、化合物1および前記化合物2の合計が1〜1000重量部(完全加水分解物換算)であることが好ましく、5〜200重量部であることがより好ましく、5〜100重量部であることがさらに好ましい。ここで、加水分解性ポリカルボシラン100重量部に対する化合物1および前記化合物2の合計が1重量部未満である場合には、膜の低誘電率化を達成できない場合があり、また、1000重量部を越えると、膜形成後に十分な薬液耐性を発現することができない場合がある。
【0042】
また、化合物1と化合物2のモル比(化合物1:化合物2)が80:20〜20:80であることが好ましく、75:25〜45:55であることがより好ましい。化合物1に対する化合物2のモル比が4を超えると、架橋密度が十分に高くならず十分な機械的強度が得られない場合があり、一方、1/4未満であると、薬液耐性が低下する場合がある。
【0043】
1.1.5.触媒
本実施形態に係る膜形成用組成物に含まれる加水分解縮合物を得る際の触媒は、塩基性化合物、酸性化合物、および金属キレート化合物から選ばれた少なくとも1種の化合物であることが好ましく、塩基性化合物であることがより好ましい。
【0044】
1.1.5.1.金属キレート化合物
触媒として使用可能な金属キレート化合物は、下記一般式(4)で表される。
【0045】
15M(OR16f−e ・・・・・(4)
(式中、R15はキレート剤、Mは金属原子、R16はアルキル基またはアリール基を示し、fは金属Mの原子価を示し、eは1〜fの整数を示す。)
ここで、金属Mとしては、IIIB族金属(アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム)およびIVA族金属(チタン、ジルコニウム、ハフニウム)より選ばれる少なくとも1種の金属であることが好ましく、チタン、アルミニウム、ジルコニウムがより好ましい。また、R16で表されるアルキル基またはアリール基としては、上記一般式(1)におけるRで表されるアルキル基またはアリール基を挙げることができる。
【0046】
金属キレート化合物の具体例としては、トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリイソプロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−tert−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−tert−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノイソプロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−tert−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、テトラキス(アセチルアセトナート)チタン、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリイソプロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−tert−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−tert−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノイソプロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−tert−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、テトラキス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)チタン、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)チタン、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)チタン、等のチタンキレート化合物;トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリイソプロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−tert−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−tert−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノイソプロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−tert−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリイソプロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−tert−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−tert−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノイソプロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−sec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−tert−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、等のジルコニウムキレート化合物;トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリイソプロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリ−tert−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−tert−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノイソプロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ−tert−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、テトラキス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリイソプロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリ−tert−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジ−tert−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノイソプロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−sec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ−tert−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、等のアルミニウムキレート化合物;等の1種または2種以上が挙げられる。
【0047】
特に、(CH(CH)HCO)4−tTi(CHCOCHCOCH,(CH(CH)HCO)4−tTi(CHCOCHCOOC,(CO)4−tTi(CHCOCHCOCH,(CO)4−tTi(CHCOCHCOOC,(C(CH)CO)4−tTi(CHCOCHCOCH,(C(CH)CO)4−tTi(CHCOCHCOOC,(CH(CH)HCO)4−tZr(CHCOCHCOCH,(CH(CH)HCO)4−tZr(CHCOCHCOOC,(CO)4−tZr(CHCOCHCOCH,(CO)4−tZr(CHCOCHCOOC,(C(CH)CO)4−tZr(CHCOCHCOCH,(C(CH)CO)4−tZr(CHCOCHCOOC,(CH(CH)HCO)3−tAl(CHCOCHCOCH,(CH(CH)HCO)3−tAl(CHCOCHCOOC,(CO)3−tAl(CHCOCHCOCH,(CO)3−tAl(CHCOCHCOOC,(C(CH)CO)3−tAl(CHCOCHCOCH,(C(CH)CO)3−tAl(CHCOCHCOOC等の1種または2種以上が、使用される金属キレート化合物として好ましい。
【0048】
金属キレート化合物の使用量は、加水分解性シラン化合物の総量100重量部(完全加水分解縮合物換算)に対して、0.0001〜10重量部、好ましくは0.001〜5重量部である。金属キレート化合物の使用割合が0.0001重量部未満であると、塗膜の塗布性が劣る場合があり、10重量部を超えるとポリマー成長を制御できずゲル化を起こす場合がある。
【0049】
金属キレート化合物の存在下で加水分解性シラン化合物を加水分解縮合させる場合、加水分解性シラン化合物の総量1モル当たり0.5〜20モルの水を用いることが好ましく、1〜10モルの水を加えることが特に好ましい。添加する水の量が0.5モル未満であると加水分解反応が十分に進行せず、塗布性および保存安定性に問題が生じる場合があり、20モルを越えると加水分解および縮合反応中のポリマーの析出やゲル化が生じる場合がある。また、水は断続的あるいは連続的に添加されることが好ましい。
【0050】
1.1.5.2.酸性化合物
触媒として使用可能な酸性化合物としては、有機酸または無機酸が例示でき、有機酸が好ましい。有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、シキミ酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、メサコン酸、シトラコン酸、リンゴ酸、マロン酸、グルタル酸の加水分解物、無水マレイン酸の加水分解物、無水フタル酸の加水分解物等を挙げることができる。無機酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸等を挙げることができる。なかでも、加水分解および縮合反応中のポリマーの析出やゲル化のおそれが少ない点で有機酸が好ましく、このうち、カルボキシル基を有する化合物がより好ましく、なかでも、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、ギ酸、マロン酸、フタル酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、メサコン酸、シトラコン酸、リンゴ酸、マロン酸、グルタル酸、無水マレイン酸の加水分解物などの有機酸が特に好ましい。これらは1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0051】
酸性化合物の使用量は、加水分解性シラン化合物の総量100重量部(完全加水分解縮合物換算)に対して、0.0001〜10重量部、好ましくは0.001〜5重量部である。酸性化合物の使用量が加水分解性シラン化合物の総量100重量部に対して0.0001重量部未満であると、塗膜の塗布性が劣る場合があり、一方、10重量部を超えると、急激に加水分解縮合反応が進行しゲル化を起こす場合がある。
【0052】
酸性化合物の存在下で加水分解性シラン化合物を加水分解縮合させる場合、加水分解性シラン化合物の総量1モル当たり0.5〜20モルの水を用いることが好ましく、1〜10モルの水を加えることが特に好ましい。添加する水の量が0.5モル未満であると加水分解反応が十分に進行せず、塗布性および保存安定性に問題が生じる場合があり、20モルを越えると加水分解および縮合反応中のポリマーの析出やゲル化が生じる場合がある。また、水は断続的あるいは連続的に添加されることが好ましい。
【0053】
1.1.5.3.塩基性化合物
触媒として使用可能な塩基性化合物としては、例えば、メタノールアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、N−メチルメタノールアミン、N−エチルメタノールアミン、N−プロピルメタノールアミン、N−ブチルメタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−プロピルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N−メチルプロパノールアミン、N−エチルプロパノールアミン、N−プロピルプロパノールアミン、N−ブチルプロパノールアミン、N−メチルブタノールアミン、N−エチルブタノールアミン、N−プロピルブタノールアミン、N−ブチルブタノールアミン、N,N−ジメチルメタノールアミン、N,N−ジエチルメタノールアミン、N,N−ジプロピルメタノールアミン、N,N−ジブチルメタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジプロピルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N,N−ジメチルプロパノールアミン、N,N−ジエチルプロパノールアミン、N,N−ジプロピルプロパノールアミン、N,N−ジブチルプロパノールアミン、N,N−ジメチルブタノールアミン、N,N−ジエチルブタノールアミン、N,N−ジプロピルブタノールアミン、N,N−ジブチルブタノールアミン、N−メチルジメタノールアミン、N−エチルジメタノールアミン、N−プロピルジメタノールアミン、N−ブチルジメタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N−メチルジプロパノールアミン、N−エチルジプロパノールアミン、N−プロピルジプロパノールアミン、N−ブチルジプロパノールアミン、N−メチルジブタノールアミン、N−エチルジブタノールアミン、N−プロピルジブタノールアミン、N−ブチルジブタノールアミン、N−(アミノメチル)メタノールアミン、N−(アミノメチル)エタノールアミン、N−(アミノメチル)プロパノールアミン、N−(アミノメチル)ブタノールアミン、N−(アミノエチル)メタノールアミン、N−(アミノエチル)エタノールアミン、N−(アミノエチル)プロパノールアミン、N−(アミノエチル)ブタノールアミン、N−(アミノプロピル)メタノールアミン、N−(アミノプロピル)エタノールアミン、N−(アミノプロピル)プロパノールアミン、N−(アミノプロピル)ブタノールアミン、N−(アミノブチル)メタノールアミン、N−(アミノブチル)エタノールアミン、N−(アミノブチル)プロパノールアミン、N−(アミノブチル)ブタノールアミン、メトキシメチルアミン、メトキシエチルアミン、メトキシプロピルアミン、メトキシブチルアミン、エトキシメチルアミン、エトキシエチルアミン、エトキシプロピルアミン、エトキシブチルアミン、プロポキシメチルアミン、プロポキシエチルアミン、プロポキシプロピルアミン、プロポキシブチルアミン、ブトキシメチルアミン、ブトキシエチルアミン、ブトキシプロピルアミン、ブトキシブチルアミン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、N,N−ジプロピルアミン、N,N−ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロキサイド、テトラメチルエチレンジアミン、テトラエチルエチレンジアミン、テトラプロピルエチレンジアミン、テトラブチルエチレンジアミン、メチルアミノメチルアミン、メチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミン、メチルアミノブチルアミン、エチルアミノメチルアミン、エチルアミノエチルアミン、エチルアミノプロピルアミン、エチルアミノブチルアミン、プロピルアミノメチルアミン、プロピルアミノエチルアミン、プロピルアミノプロピルアミン、プロピルアミノブチルアミン、ブチルアミノメチルアミン、ブチルアミノエチルアミン、ブチルアミノプロピルアミン、ブチルアミノブチルアミン、ピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、モルホリン、メチルモルホリン、ジアザビシクロオクラン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセン、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウムなどを挙げることができる。
【0054】
塩基性化合物としては、特に、下記一般式(5)で表される含窒素化合物(以下、化合物5ともいう)であることが好ましい。
【0055】
(XN)Y ・・・・・(5)
上記一般式(5)において、X,X,X,Xは同一または異なり、それぞれ水素原子、炭素数1〜20のアルキル基(好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基など)、ヒドロキシアルキル基(好ましくはヒドロキシエチル基など)、アリール基(好ましくはフェニル基など)、アリールアルキル基(好ましくはフェニルメチル基など)を示し、Yはハロゲン原子(好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、1〜4価のアニオン性基(好ましくはヒドロキシ基など)を示し、gは1〜4の整数を示す。
【0056】
化合物5の具体例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラ−n−プロピルアンモニウム、水酸化テトラ−iso−プロピルアンモニウム、水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウム、水酸化テトラ−iso−ブチルアンモニウム、水酸化テトラ−tert−ブチルアンモニウム、水酸化テトラペンチルアンモニウム、水酸化テトラヘキシルアンモニウム、水酸化テトラヘプチルアンモニウム、水酸化テトラオクチルアンモニウム、水酸化テトラノニルアンモニウム、水酸化テトラデシルアンモニウム、水酸化テトラウンデシルアンモニウム、水酸化テトラドデシルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラ−n−プロピルアンモニウム、塩化テトラ−n−プロピルアンモニウム、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム、塩化テトラ−n−ブチルアンモニウム、水酸化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、臭化−n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、水酸化−n−オクタデシルトリメチルアンモニウム、臭化−n−オクタデシルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化トリデシルメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムハイドロジェンサルフェート、臭化トリブチルメチルアンモニウム、塩化トリオクチルメチルアンモニウム、塩化トリラウリルメチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、臭化ベンジルトリエチルアンモニウム、臭化ベンジルトリブチルアンモニウム、臭化フェニルトリメチルアンモニウム、コリン等を好ましい例として挙げることができる。これらのうち特に好ましくは、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラ−n−プロピルアンモニウム、水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラ−n−プロピルアンモニウム、塩化テトラ−n−プロピルアンモニウムである。化合物5は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0057】
塩基性化合物の使用量は、加水分解性シラン化合物中の加水分解性基の総量1モルに対して、通常、0.00001〜10モル、好ましくは0.00005〜5モルである。
【0058】
1.1.6.有機溶媒
本実施形態に係る絶縁膜形成用組成物に含まれる有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール系溶媒;エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコールなどの多価アルコール系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどの多価アルコール部分エーテル系溶媒;エチルエーテル、i−プロピルエーテル、n−ブチルエーテル、n−ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、2−ヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、などのケトン系溶媒が挙げられる。
【0059】
加水分解性シラン化合物の加水分解縮合における反応温度は0〜100℃、好ましくは20〜80℃、反応時間は30〜1000分、好ましくは30〜180分である。
【0060】
1.1.7.加水分解縮合物
本実施形態に係る膜形成用組成物に含まれる加水分解縮合物の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜200,000であることが好ましく、5,000〜150,000であることがより好ましく、8,000〜30,000であることがさらに好ましい。加水分解縮合物の重量平均分子量が200,000より大きいと、ゲル化が生じやすく、また、得られる絶縁膜内の細孔が大きくなりすぎて好ましくない。一方、加水分解縮合物の重量平均分子量が1,000より小さいと、塗布性や保存安定性に問題が生じやすい。
【0061】
1.2.有機溶媒
本実施形態に係る膜形成用組成物で使用される有機溶媒としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族系溶媒および含ハロゲン溶媒の群から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
【0062】
アルコール系溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコールなどのモノアルコール系溶媒;
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコールなどの多価アルコール系溶媒;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルなどの多価アルコール部分エーテル系溶媒;などを挙げることができる。これらのアルコール系溶媒は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0063】
ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、2−ヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、フェンチョンなどのケトン系溶媒を挙げることができる。これらのケトン系溶媒は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0064】
アミド系溶媒としては、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルホルムアミド
、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドンなどの含窒素系溶媒を挙げることができる。これらのアミド系溶媒は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0065】
エーテル系溶媒としては、エチルエーテル、i−プロピルエーテル、n−ブチルエーテル、n−ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソールなどのエーテル系溶媒を挙げることができる。これらのエーテル系溶媒は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0066】
エステル系溶媒としては、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチルなどのエステル系溶媒を挙げることができる。これらのエステル系溶媒は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0067】
脂肪族炭化水素系溶媒としては、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、i−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶媒を挙げることができる。これらの脂肪族炭化水素系溶媒は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
【0068】
芳香族炭化水素系溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンセン、i−プロピルベンセン、ジエチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−i−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン、トリメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒を挙げることができる。これらの芳香族炭化水素系溶媒は、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。含ハロゲン溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、フロン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、などの含ハロゲン溶媒を挙げることができる。
【0069】
本実施形態に係る膜形成用組成物においては、沸点が150℃未満の有機溶媒を使用することが望ましく、このうち、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒が特に望ましく、さらにそれらを1種あるいは2種以上を同時に使用することが望ましい。
【0070】
これらの有機溶媒は、加水分解縮合物の合成に用いたものと同じものであってもよいし、加水分解縮合物の合成が終了した後に溶媒を所望の有機溶媒に置換することもできる。
【0071】
本発明の一実施形態に係る膜形成用組成物の全固形分濃度は、好ましくは0.1〜20質量%であり、使用目的に応じて適宜調整される。本発明の一実施形態に係る膜形成用組成物の全固形分濃度が0.1〜20質量%であることにより、塗膜の膜厚が適当な範囲となり、より優れた保存安定性を有するものとなる。なお、この全固形分濃度の調整は、必要であれば、濃縮および有機溶媒による希釈によって行われる。
【0072】
1.3.その他の添加物
本実施形態に係る膜形成用組成物には、さらに有機ポリマーや界面活性剤などの成分を添加してもよい。
【0073】
1.3.1.有機ポリマー
有機ポリマーとしては、例えば、糖鎖構造を有する重合体、ビニルアミド系重合体、(メタ)アクリル系重合体、芳香族ビニル化合物系重合体、デンドリマー、ポリイミド,ポリアミック酸、ポリアリーレン、ポリアミド、ポリキノキサリン、ポリオキサジアゾール、フッ素系重合体、ポリアルキレンオキサイド構造を有する重合体などを挙げることができる。これらの有機ポリマーは、空孔形成剤として使用することができる。本実施形態に係る膜形成用組成物において、空孔形成剤として有機ポリマーを使用する場合、組成物中の固形分100重量部に対して空孔形成剤の使用量は0〜500重量部であることが好ましく、0〜100重量部であることがより好ましく、0〜50重量部であることがさらに好ましい。
【0074】
ポリアルキレンオキサイド構造を有する重合体としては、ポリメチレンオキサイド構造、ポリエチレンオキサイド構造、ポリプロピレンオキサイド構造、ポリテトラメチレンオキサイド構造、ポリブチレンオキシド構造などが挙げられる。
【0075】
具体的には、ポリオキシメチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエテチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、アルキルフェノールホルマリン縮合物の酸化エチレン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルなどのエーテル型化合物、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩などのエーテルエステル型化合物、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどのエーテルエステル型化合物などを挙げることができる。
【0076】
ポリオキシチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーとしては、下記のようなブロック構造を有する化合物が挙げられる。
【0077】
−(X′)−(Y′)
−(X′)−(Y′)−(X′)
(式中、X′は−CHCHO−で表される基を、Y′は−CHCH(CH)O−で表される基を示し、lは1〜90、mは10〜99、nは0〜90の数を示す。)
これらの中で、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、などのエーテル型化合物をより好ましい例として挙げることができる。前述の有機ポリマーは、1種あるいは2種以上を同時に使用しても良い。
【0078】
1.3.2.界面活性剤
界面活性剤としては、たとえば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられ、さらには、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、ポリ(メタ)アクリレート系界面活性剤などを挙げることができ、好ましくはフッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤を挙げることができる。
【0079】
界面活性剤の使用量は、得られるポリマー100重量部に対して、通常、0.00001〜1重量部である。これらは、1種あるいは2種以上を同時に使用しても良い。
【0080】
2.絶縁膜の形成方法
本発明の一実施形態に係る絶縁膜(シリカ系膜)の形成方法は、上記絶縁膜形成用組成物を基板に塗布し、加熱する工程を含む。
【0081】
膜形成用組成物が塗布される基板としては、Si、SiO、SiN、SiC、SiCN等のSi含有層が挙げられる。膜形成用組成物を基板に塗布する方法としては、スピンコート、浸漬法、ロールコート法、スプレー法などの塗装手段が用いられる。基板に膜形成用組成物を塗布した後、溶媒を除去し塗膜を形成する。この際の膜厚は、乾燥膜厚として、1回塗りで厚さ0.05〜2.5μm、2回塗りでは厚さ0.1〜5.0μmの塗膜を形成することができる。その後、得られた塗膜に対して、硬化処理を施すことでシリカ系膜を形成することができる。
【0082】
硬化処理としては、加熱、電子線や紫外線などの高エネルギー線照射、プラズマ処理、およびこれらの組み合わせを挙げることができ、加熱処理および/または高エネルギー線照射が好ましく、加熱下で高エネルギー線を照射することがより好ましい。より具体的には、誘電率の上昇を抑制できる点で、塗膜硬化時の酸素濃度は50ppm以下であるのが好ましい。
【0083】
加熱により硬化を行なう場合は、この塗膜を不活性雰囲気下または減圧下で80〜450℃(好ましくは300℃〜450℃)に加熱する。この際の加熱方法としては、ホットプレート、オーブン、ファーネスなどを使用することができ、加熱雰囲気としては、不活性雰囲気下または減圧下で行なうことができる。
【0084】
また、上記塗膜の硬化速度を制御するため、必要に応じて、段階的に加熱したり、あるいは窒素、空気、酸素、減圧などの雰囲気を選択したりすることができる。このような工程により、シリカ系膜の製造を行なうことができる。
【0085】
3.絶縁膜
本発明の一実施形態に係る絶縁膜(シリカ系膜)は、低誘電率であり、機械的強度が高く、かつ薬液耐性に優れるため、LSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D−RDRAMなどの半導体素子用層間絶縁膜として特に優れており、かつ、エッチングストッパー膜、半導体素子の表面コート膜などの保護膜、多層レジストを用いた半導体作製工程の中間層、多層配線基板の層間絶縁膜、液晶表示素子用の保護膜や絶縁膜などに好適に用いることができる。また、本実施形態に係る絶縁膜は例えば、銅ダマシンプロセスを含む半導体装置に有用である。
【0086】
本実施形態に係る絶縁膜は、その比誘電率が、好ましくは1.5〜3.5、より好ましくは1.8〜3.0、さらに好ましくは1.8〜2.8であり、その弾性率が、好ましくは2.5GPa以上、より好ましくは3.0GPa以上であり、その膜密度が、好ましくは0.7〜1.3g/cm、より好ましくは0.8〜1.27g/cmである。これらのことから、本実施形態に係る絶縁膜は、高い機械的強度、優れた薬液耐性、および低比誘電率を有するため、絶縁膜特性が極めて優れているといえる。
【0087】
4.実施例
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の「部」および「%」は、特記しない限り、それぞれ重量部および質量%であることを示している。
【0088】
4.1.評価方法
各種の評価は、次のようにして行った。
【0089】
なお、弾性率および薬液耐性については、以下の方法で形成されたポリマー膜(シリカ系膜)を用いた。すなわち、各実施例および比較例で得られた組成物をスピンコート法でシリコンウエハ上に塗布したのち、ホットプレート上にて90℃で3分間、窒素雰囲気下200℃で3分間基板を乾燥し、さらに400℃の窒素雰囲気下にてホットプレートで基板を60分間焼成して、膜厚500μmのポリマー膜を得、このポリマー膜を上述の各種評価に使用した。
【0090】
4.1.1.比誘電率測定,Δk
0.1Ω・cm以下の抵抗率を有する8インチのN型シリコンウエハ上に、スピンコート法を用いて膜形成用組成物を塗布し、ホットプレート上にて90℃で3分間、次いで窒素雰囲気下200℃で3分間乾燥し、さらに50mTorrの減圧下(真空雰囲気)420℃の縦型ファーネスで1時間焼成して膜を得た。
【0091】
得られた膜に、蒸着法によりアルミニウム電極パターンを形成し、比誘電率測定用サンプルを作成した。該サンプルについて、周波数100kHzの周波数で、アジデント社製、HP16451B電極およびHP4284AプレシジョンLCRメータを用いてCV法により、200℃における当該膜の比誘電率を測定した。
【0092】
4.1.2.膜の弾性率(ヤング率)評価
MTS社製超微小硬度計(Nanoindentator XP)にバーコビッチ型圧子を取り付け、連続剛性測定法により、下記の方法で形成された絶縁膜の弾性率を測定した。
【0093】
4.1.3.薬液耐性
シリカ系膜が形成された8インチウエハを、室温で0.2%の希フッ酸水溶液中に1分間浸漬し、浸漬前後のシリカ系膜の膜厚変化を観察した。下記に定義する残膜率が99%以上であれば、薬液耐性が良好であると判断する。
【0094】
残膜率(%)=(浸漬後の膜の膜厚)÷(浸漬前の膜の膜厚)×100
A:残膜率が99%以上である。
【0095】
B:残膜率が99%未満である。
【0096】
4.1.4.重量平均分子量Mw
加水分解縮合物の重量平均分子量(Mw)は、下記条件によるサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法により測定した。
【0097】
試料:濃度10mmol/LのLiBr−HPOの2−メトキシエタノール溶液を溶媒として使用し、加水分解縮合物0.1gを100ccの10mmol/L LiBr−HPOの2−メトキシエタノール溶液に溶解して調製した。
【0098】
標準試料:WAKO社製、ポリエチレンオキサイドを使用した。
【0099】
装置:東ソー(株)社製、高速GPC装置(モデル HLC−8120GPC)を使用した。
【0100】
カラム:東ソー(株)社製、TSK−GEL SUPER AWM−H(長さ15cm)を直列に3本設置して使用した。
【0101】
測定温度:40℃
流速:0.6ml/min.
検出器:東ソー(株)社製、高速GPC装置(モデル HLC−8120GPC)内臓のRIにより検出した。
【0102】
4.1.5.薬液耐性
シリカ系膜が形成された8インチウエハーを、室温で0.2%の希フッ酸水溶液中に1分間浸漬し、ポリマー膜の浸漬前後の膜厚変化を観察した。下記に定義する残膜率が99%以上であれば、薬液耐性が良好である(A)と判断し、99%未満であれば、薬液耐性が不良である(B)と判断する。
【0103】
残膜率(%)=(浸漬後の膜の膜厚)÷(浸漬前の膜の膜厚)×100
4.2.膜形成用組成物の製造
4.2.1.合成例1
石英製セパラブルフラスコに、溶液(1):蒸留エタノール263g、イオン交換水12gと10%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液133gを入れ、均一に攪拌した。次いで、溶液(2):メチルトリメトキシシラン27g、ビス(トリエトキシシリル)エタン30g、下記式(6)で表される構造を有するポリカルボシラン(Mw800)19g、蒸留エタノール216gの混合溶液を滴下ロートに充填した。溶液(1)を60℃で攪拌しながら溶液(2)を1時間かけて滴下し、さらにその後2時間反応を行った。反応液を室温まで冷却した後、この溶液にプロピレングリコールモノプロピルエーテル300gおよび酢酸水溶液30gを加えた。その後50℃のエバポレーターを用いて溶液を15%となるまで濃縮し、絶縁膜形成用組成物を得た。本合成例で得られた加水分解縮合物の重量平均分子量は17,500であった。
【0104】
【化4】

・・・・・(6)
4.2.2.合成例2
石英製セパラブルフラスコに、溶液(1):蒸留エタノール250g、イオン交換水38gと10%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液132gを入れ、均一に攪拌した。次いで、溶液(2):メチルトリメトキシシラン23g、ビニルトリメトキシシラン4g、ビス(トリエトキシシリル)エタン30g、上記式(6)で表される構造を有するポリカルボシラン(Mw800)19g、蒸留エタノール210gの混合溶液を滴下ロートに充填した。溶液(1)を60℃で攪拌しながら溶液(2)を1時間かけて滴下し、さらにその後2時間反応を行った。反応液を室温まで冷却した後、この溶液にプロピレングリコールモノプロピルエーテル300gおよび酢酸水溶液30gを加えた。その後50℃のエバポレーターを用いて溶液を15%となるまで濃縮し、加水分解縮合物を含む絶縁膜形成用組成物を得た。本合成例で得られた加水分解縮合物の重量平均分子量は14,800であった。
【0105】
4.2.3.合成例3
石英製セパラブルフラスコに、溶液(1):蒸留エタノール254g、イオン交換水13gと10%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液144gを入れ、均一に攪拌した。次いで、溶液(2):メチルトリメトキシシラン39g、ビス(トリエトキシシリル)エタン43g、蒸留エタノール208gの混合溶液を滴下ロートに充填した。溶液(1)を60℃で攪拌しながら溶液(2)を1時間かけて滴下し、さらにその後2時間反応を行った。反応液を室温まで冷却した後、この溶液にプロピレングリコールモノプロピルエーテル300gおよび酢酸水溶液30gを加えた。その後50℃のエバポレーターを用いて溶液を15%となるまで濃縮し、加水分解縮合物を含む絶縁膜形成用組成物を得た。本合成例で得られた加水分解縮合物の分子量は15,300であった。
【0106】
4.2.4.合成例4
石英製セパラブルフラスコに、溶液(1):蒸留エタノール231g、イオン交換水16gと10%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液176gを入れ、均一に攪拌した。次いで溶液(2):メチルトリメトキシシラン71g、上記構造式(3)を有するポリカルボシラン(Mw800)19g、蒸留エタノール189gの混合溶液を滴下ロートに充填した。溶液(1)を60℃で攪拌しながら溶液(2)を1時間かけて滴下し、さらにその後2時間反応を行った。反応液を室温まで冷却した後、この溶液にプロピレングリコールモノプロピルエーテル300gおよび酢酸水溶液30gを加えた。その後50℃のエバポレーターを用いて溶液を15%となるまで濃縮し、加水分解縮合物を含む絶縁膜形成用組成物(A)を得た。本合成例で得られた加水分解縮合物の重量平均分子量は13,700であった。
【0107】
4.3.膜の形成(実施例1〜12および比較例1〜8)
各合成例で得られた組成物を、表1に示す重量比で混合して塗布用の組成物を調製した。なお、添加剤として「PE-61」(商品名、三洋化成工業製ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン ブロックコポリマー)が用いられている例に関しては、「PE-61」を組成物中の固形分100重量部に対して25重量部添加した。次に、これを8インチシリコンウエハ上にスピンコート法により塗布し、大気中80℃で5分間、次いで窒素下200℃で5分間加熱して塗膜を得た。さらに、各例に示された方法により架橋処理を実施し、無色透明の膜(500nm)を形成した。溶液および膜の評価結果を表1に示す。なお、架橋処理方法については以下の通りである。
【0108】
4.3.1.熱処理
塗膜を真空下420℃で1時間加熱した。
【0109】
4.3.2.電子線照射
酸素分圧0.01kPaのチャンバー内にて、ホットプレート上で塗膜を350℃で加熱しながら、電子線を300μC/cmの照射量、7kevの加速電圧下で4分間照射した。
【0110】
4.3.3.紫外線照射
酸素分圧0.01kPaのチャンバー内にて、ホットプレート上で塗膜を400℃で加熱しながら、紫外線を8分間照射した。紫外線源は、波長250nm以下の波長を含む白色紫外線を用いた。なお、この紫外線は白色紫外光のため、有効な方法で照度の測定は行えなかった。
【0111】
【表1】

【0112】
4.4.結果の考察
(1)実施例1〜4および比較例1〜4は熱による架橋処理を行った例である。実施例1〜4は化合物1、化合物2、および加水分解性ポリカルボシランを全て含むものであり、さらに、実施例3,4では、化合物1としてビニルトリメトキシシランを用いた。比較例1,2は、加水分解性ポリカルボシランを使用しない例であり、比較例1,2で得られた膜は、弾性率が良好であるものの、薬液耐性に劣る。また、比較例3,4は化合物2を使用しない例であり、比較例3,4で得られた膜は、薬液耐性は良好であるが、弾性率が低い。また、実施例1〜4と比較例1〜4の結果から、合成例1、2で得られた組成物を用いた場合には、合成例3、4で得られた組成物を用いた場合と比較して、膜中空孔形成剤を使用した際の比誘電率の低下が大きいことがわかる。
【0113】
(2)実施例5〜8および比較例5〜8は電子線照射による架橋処理を行った例であり、各評価結果はそれぞれ、実施例1〜4および比較例1〜4と同様の傾向を示した。また、電子線照射により得られた膜は、熱処理により得られた膜と比較して、弾性率が高かったことから、電子線照射は、膜の機械的強度を高めることができる点で有効であることが理解できる。また、実施例5〜8と比較例5〜8の結果から、合成例1、2で得られた組成物を用いた場合には、合成例3、4で得られた組成物を用いた場合と比較して、膜中空孔形成剤を使用した際の比誘電率の低下が大きいことがわかる。
【0114】
(3)実施例9〜12は紫外線照射による架橋処理を行った例である。実施例9〜12によれば、電子線照射による架橋処理を行った場合と同様に高い弾性率を有する膜を得ることができることがわかる。この場合、加水分解縮合物を合成する際に、化合物1として、上記一般式(1)におけるRがビニル基である化合物を用いることにより、得られる膜の機械的強度をさらに高められることがわかる。
【0115】
以上により、本発明により得られる絶縁膜は、機械的強度に優れ、比誘電率が低く、かつ、薬液耐性などのプロセス耐性において優れているため、半導体素子などの層間絶縁膜として好適であることが明らかである。
【0116】
本実施形態に係る説明は以上である。本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらなる種々の変形が可能である。また本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および結果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物1、下記一般式(2)で表される化合物2、および加水分解性ポリカルボシランを加水分解縮合して得られた加水分解縮合物と、有機溶媒とを含む、絶縁膜形成用組成物。
Si(OR4−a ・・・・・(1)
(式中、Rは炭素数1〜2のアルキル基、ビニル基、アリル基、アセチル基またはフェニル基を示し、aは1〜2の整数を示し、Rは炭素数1〜3のアルキル基、ビニル基、アリル基、アセチル基またはフェニル基を示す。)
(RO)3−bSi−(R−Si(OR3−c ・・・・・(2)
(式中、R〜Rは同一または異なり、それぞれ1価の有機基を示し、bおよびcは同一または異なり、0〜1の数を示し、Rはフェニレン基または−(CH−で表される基(ここで、mは1〜6の整数である。)を示し、dは0または1を示す。)
【請求項2】
請求項1において、
前記加水分解性ポリカルボシランは、下記一般式(3)で表される構造単位を有する、絶縁膜形成用組成物。
【化1】

・・・・・(3)
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシロキシ基、スルホン基、メタンスルホン基、トリフルオロメタンスルホン基、アルキル基、アリール基、アリル基およびグリシジル基からなる群より選ばれる基を示し、Rはハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシロキシ基、スルホン基、メタンスルホン基、トリフルオロメタンスルホン基、アルキル基、アリール基、アリル基およびグリシジル基からなる群より選ばれる基を示し、R10,R11は同一または異なり、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシロキシ基、スルホン基、メタンスルホン基、トリフルオロメタンスルホン基、炭素数2〜6のアルキル基、アリール基、アリル基およびグリシジル基からなる群より選ばれる基を示し、R12〜R14は同一または異なり、置換または非置換のメチレン基、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、またはアリーレン基を示し、x,y,zは、それぞれ0〜10,000の数を示し、5<x+y+z<10,000の条件を満たす。)
【請求項3】
請求項1または2において、
前記加水分解性ポリカルボシラン100重量部(完全加水分解物換算)に対して、前記化合物1および前記化合物2の合計が1〜1000重量部である、絶縁膜形成用組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記化合物1と前記化合物2のモル比(化合物1:化合物2)が80:20〜20:80である、絶縁膜形成用組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかにおいて、
前記化合物1として、上記一般式(1)におけるRがビニル基である化合物を用いる、絶縁膜形成用組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかにおいて、
空孔形成剤をさらに含む、絶縁膜形成用組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の絶縁膜形成用組成物を基板に塗布し、加熱する工程を含む、絶縁膜の形成方法。
【請求項8】
請求項7において、
前記加熱する工程において、加熱下で高エネルギー線を照射する工程を含む、絶縁膜の形成方法。
【請求項9】
請求項8において、
前記高エネルギー線が電子線および紫外線から選ばれる少なくとも1種である、絶縁膜の形成方法。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれかに記載の絶縁膜の形成方法により得られる、絶縁膜。

【公開番号】特開2010−106099(P2010−106099A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−277828(P2008−277828)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】