説明

緊急対処支援システム

【課題】導入コストやランニングコストを抑えることができ、実社会に充分に普及することが期待できる緊急支援システムを提供する。
【解決手段】ユーザ端末18の緊急情報送信手段20から緊急情報が送信され、配車センター端末9の呼び出し情報受信手段10が緊急情報を受信すると、タクシー端末1の位置情報に基づいて、配車センター端末の配車指示情報送信手段13がユーザのもとへ向かう旨の指示情報を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は緊急対処支援システムに関する。詳しくは、特に身障者や独居老人等に緊急事態が発生した場合に、その対処を支援する緊急対処支援システムに係るものである。
【背景技術】
【0002】
少子高齢化社会を迎えた今、独居老人が増加している。
そして、独居老人が何らかの緊急事態に陥った際に、本人の近くに他の人がいない場合には、本人が電話をかけて人を呼ぶ等の対処が必要となる。
【0003】
ところが、緊急事態に陥った人が電話をかけることができない場合、或いは電話をかけることができたとしても、相手との通話が困難である場合には、緊急事態に陥ったことを通報することは非常に困難であった。
【0004】
そのために、図2で示す様に、監視対象者が携帯可能な形状で、この対象者が緊急事態の発生を通報するための第1の端末装置101と、監視員が携帯可能な形状で、監視対象者の情報を受信したときにアラーム鳴動すると共に受信した監視対象者情報を表示する第2の端末装置102と、監視対象者の情報を予め記憶し、第1の端末装置から緊急通報信号を受信したとき、この第1の端末装置を所持する監視対象者に緊急事態が発生したと判断して、この監視対象者の情報を第2の端末装置に送信する監視装置103とを有する緊急通報システムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
上記した監視対象者が所持する第1の端末装置101は、監視対象者が緊急事態の発生を通報するための呼び出し装置111と、呼び出し装置111からの緊急事態発生を示す信号に応じて緊急通報信号を監視装置103に送信する緊急通報送信装置112と、監視装置103と通信を行なうための通信装置113と、監視装置103からの呼出信号に応じた応答あるいは照会信号に応じた状態通知を監視対象者が行なうための応答装置114と、監視対象者に対して監視装置103からの呼出信号あるいは照会信号に応じた案内を行なうための出力装置115とから構成されている。
【0006】
また、監視員が所持する第2の端末装置102は、監視装置103と通信を行なうための通信装置121と、監視装置103から対象者情報を受信すると、後述する出力装置123をアラーム鳴動させると共に対象者情報を出力装置123に表示させる対象者情報確認装置122と、監視員に対して監視対象者に緊急事態が発生したことを知らせるアラーム鳴動機能と、対象者情報の表示機能を備えた出力装置123から構成されている。
【0007】
更に、監視センター等に設置された監視装置103は、第1の端末装置101,第2の端末装置102と通信を行なうための通信装置131と、監視対象者に緊急事態が発生したと判断したとき、この監視対象者の情報を後述する対象者情報転送装置134に転送する対象者状態問い合わせ装置132と、監視対象者が所持する第1の端末装置101の番号と監視対象者の情報とを対応付けて記憶する対象者情報記憶部133と、対象者状態問い合わせ装置132から転送された対象者情報を第2の端末装置102に送信する対象者情報転送装置134とから構成されている。
【0008】
上記の様に構成された緊急通報システムでは、監視対処者は所持する第1の端末装置を操作するだけで緊急事態の発生を通報することができるので、電話等での通報ができない監視対象者であっても、緊急事態の発生を容易に通報することができるし、第2の端末装置に対象者情報が表示されるので、監視員は、どこの誰に緊急事態が発生したかを表示された対象者情報で確認することができる。
【0009】
ところで、平成3年頃のいわゆるバブル崩壊後、タクシー業界では急激な売り上げの減少が続いている。具体的には、改正道路運送法の施行後の4年間に477社(法人)、17729台の新規参入許可申請等がなされた結果、事業者数で約7.0%、車両数で約8.6%増加し、平成18年1月末における事業者数が約7300社、車両数が223000台と増加しているのにも関わらず、年間の輸送人員は昭和45年度の約42億8900万人をピークに年々減少を続け、現在では約23億5200万人にまで減少している。そして、平成9年度はタクシー一台当たりの一日の平均営業収入が約36200円、実車率が約45.9%であったのに対して、平成16年度はタクシー一台当たりの一日の平均営業収入が約28900円、実車率が約41.1%となっている。
【0010】
【特許文献1】特開平11−328562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記した従来の緊急通報システムでは、電話等での通報ができない監視対象者であっても緊急事態の発生を容易に通報することができるものの、実社会での利用を考えた場合には、主として価格面がネックとなりその普及を阻害してしまっている。
即ち、緊急事態が発生したとの通報を受けると、監視対象者のもとへ監視員若しくは監視員から連絡を受けた監視対象者の近隣者(以下、監視員から連絡を受けた監視対象者の近隣者のことを単に"近隣者"と称する。)が駆け付ける必要があるが、監視員若しくは近隣者の所在地から監視対象者の所在地まで遠距離である場合には、監視員若しくは近隣者が監視対象者の所在地まで駆け付けるのに長時間を要してしまう。そのために、監視対象者若しくは近隣者を広範囲に配置する必要が生じ、結果として、緊急通報システムの導入やランニングコストが高騰してしまうと考えられる。
【0012】
また、一般に監視員や近隣者の数と比較して監視対象者の数が多く、同時に複数の緊急通報があった場合を考えると、監視員や近隣者の数をある程度確保する必要が生じ、このことも結果として、緊急通報システムの導入やランニングコストが高騰してしまう一因となることが考えられる。
【0013】
更に、緊急通報は昼夜を問わずになされ、夜間であるからといって監視員や近隣者が駆け付けなくて良いといった性質のものではなく、24時間、365日の対応が求められることも、緊急通報システムの導入やランニングコストが高騰してしまう一因となることが考えられる。
【0014】
本発明は以上の点に鑑みて創案されたものであって、導入コストやランニングコストを抑えることができ、実社会に普及する可能性が高い緊急対処支援システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
また、本発明に係る緊急対処支援システムは、送信元のユーザを特定可能なタクシー配車情報若しくは緊急通報情報を送信する情報送信手段を有するユーザ端末と、タクシーの現在位置を位置情報として検出する位置情報検出手段と、該位置情報検出手段により検出された位置情報を送信する位置情報送信手段とを有し、タクシーに搭載されたタクシー端末と、前記情報送信手段が送信するタクシー配車情報若しくは緊急通報情報を受信する情報受信手段と、前記位置情報送信手段が送信する位置情報を受信する位置情報受信手段と、該位置情報受信手段が受信する位置情報に基づいて前記タクシーの現在位置を表示する表示手段、若しくは、前記位置情報受信手段が受信する位置情報に基づいて前記タクシーを選択し、選択したタクシーに前記タクシー配車情報若しくは緊急通報情報の送信元ユーザに配車する旨の指示情報を送信する配車指示情報送信手段の少なくとも一方を有する配車センター端末により緊急事態の対処を支援する緊急対処支援システムであって、前記ユーザ端末は第1のボタンスイッチ及び第2のボタンスイッチを備え、前記第1のボタンスイッチが押されることにより前記情報送信手段がタクシー配車情報を前記配車センター端末に向けて送信し、前記第2のボタンスイッチが押されることにより前記情報送信手段が緊急通報情報を前記配車センター端末に向けて送信する。
【0016】
ここで、ユーザ端末の情報送信手段がタクシー配車情報若しくは緊急通報情報を送信すると共に、配車センター端末の情報受信手段で同タクシー配車情報若しくは緊急通報情報を受信することによって、配車センター側でユーザに何らかの緊急事態が生じたことを把握することができる。
また、情報送信手段から送信されるタクシー配車情報若しくは緊急通報情報が、送信元のユーザの特定が可能な情報であることによって、声が出ない場合や耳が不自由な場合等であっても、ユーザの所在地を特定することができる。
更に、第1のボタンスイッチが押されることによりタクシー配車情報が配車センター端末に向けて送信され、第2のボタンスイッチが押されることにより緊急通報情報が配車センター端末に向けて送信されることによって、緊急事態が生じた場合にユーザは単にボタンスイッチを押すだけで良く、ユーザの作業負担を最小限に抑えることができる。
【0017】
また、タクシーに搭載されたタクシー端末の位置情報検出手段(例えばGPS(Global Positioning system)等)によってタクシーの現在位置を位置情報として検出し、同じくタクシー端末の位置情報送信手段で位置情報を送信すると共に、配車センター端末の位置情報受信手段で同位置情報を受信し、同じく配車センター端末の表示手段でタクシーの現在位置を表示することによって、表示手段の表示に基づいてタクシーの現在位置を把握することができる。なお、タクシーの現在位置を把握することができると、配車センターのオペレータ等がタクシーの現在位置に基づいてタクシーを選択し、配車指示を行なうことができることとなる。
【0018】
更に、タクシーに搭載されたタクシー端末の位置情報検出手段によってタクシーの現在位置を位置情報として検出し、同じくタクシー端末の位置情報送信手段で位置情報を送信すると共に、配車センター端末の位置情報受信手段で同位置情報を受信し、同じく配車センター端末の配車指示情報送信手段でタクシーを選択し、選択したタクシーに呼び出し情報の送信元ユーザに配車する旨の指示情報を送信することによって、指示情報を受信したタクシーの配車が実現することとなる。
【発明の効果】
【0019】
上記した本発明を適用した緊急対処支援システムでは、導入コストやランニングコストを抑えることができ、実社会に充分に普及することが期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1は本発明を適用した緊急支援システムの一例を説明するための模式図を示しており、ここで示すタクシー端末1は、タクシー2に搭載されており、GPS受信機3、送信手段4、ユーザ位置情報受信手段5、ユーザ位置情報表示手段6及び利用状況送信手段7を有している。なお、GPS受信機は位置情報検出手段の一例であり、送信手段は位置情報送信手段の一例である。
【0021】
ここで、GPS受信機は、GPSを構成する複数のGPS衛星8から提供されるGPS信号を受信して、タクシーの現在位置を検出することができる様に構成されている。また、送信手段は、GPS受信機によって検出した位置情報を外部に送信することができる様に構成されている。更に、ユーザ位置情報受信手段は、後述するユーザ位置情報送信手段が送信するユーザ位置情報を受信することができる様に構成され、ユーザ位置情報表示手段は、ユーザ位置情報受信手段が受信したユーザ位置情報を表示することができる様に構成されている。また、利用状況送信手段は、タクシーに客を乗せた状態(実車状態)であるか、タクシーに客を乗せていない状態(空車状態)であるかの利用状況を外部に送信することができる様に構成されている。
【0022】
一方、タクシーの配車管理を行なう配車センター内には配車センター端末機能を有するパソコン9が配置されており、この配車センター端末は、呼び出し情報受信手段10、位置情報受信手段11、表示手段12、配車指示情報送信手段13、ユーザ位置情報送信手段14及び利用状況受信手段15を有している。
【0023】
ここで、呼び出し情報受信手段10は、後述する緊急情報送信手段や配車依頼情報送信手段が送信する"ユーザに緊急事態が発生したことを知らせる情報"及び"ユーザがタクシーの利用を希望している(ユーザがタクシーを配車してもらうことを希望している)ことを知らせる情報"を受信することができる様に構成されている。また、位置情報受信手段11は、タクシー端末の送信手段から送信される位置情報を受信できる様に構成され、表示手段12は、位置情報受信手段で受信したタクシーの現在位置を表示することができる様に構成されている。また、配車指示情報送信手段13は、タクシー端末の送信手段から送信される位置情報に基づいて、"ユーザに緊急事態が発生したことを知らせる情報"や"ユーザがタクシーの利用を希望している(ユーザがタクシーを配車してもらうことを希望している)ことを知らせる情報"の送信元であるユーザのもとまで最も早く到着することができるタクシーを選択し、選択されたタクシーに対してユーザの所在地に向かう様に指示する情報を送信することができる様に構成されている。なお、利用状況受信手段15は、タクシー端末の利用状況送信手段から送信される利用状況情報を受信することができる様に構成されており、配車指示情報送信手段は、タクシーの位置情報とタクシーの利用状況情報の両情報から配車の指示を行なうタクシーを決定することとなる。
【0024】
更に、ユーザ位置情報送信手段14は、配車指示情報送信手段により配車指示を行なう際に併せてユーザの位置情報を送信することができる様に構成されている。なお、配車センター端末から送信するユーザの位置情報としては、(1)住所を送信してユーザの位置を把握させる場合、(2)電話番号を送信し、タクシー端末で電話番号に基づいてユーザの位置を把握させる場合、(3)地図情報を送信し、地図によりユーザの位置を把握させる場合等が考えられる。
【0025】
また、本システムを利用するユーザの家には第1の押しボタンスイッチ16及び第2の押ボタンスイッチ17が設けられたユーザ端末18が配置されており、このユーザ端末は、電話番号送信手段19、緊急情報送信手段20及び配車依頼情報送信手段21を有している。
【0026】
ここで、第1の押しボタンスイッチ16は緊急情報送信手段20と連動しており、第1の押しボタンスイッチが押されることで、緊急情報送信手段は、ユーザに緊急事態が発生したことを知らせる情報を送信(通報)することができる様に構成されている。なお、緊急情報送信手段により緊急事態が発生したことを知らせる情報が送信される際には、電話番号送信手段19によりユーザの電話番号も併せて送信されることとなる。同様に、第2の押ボタンスイッチ17は配車依頼情報送信手段21と連動しており、第2の押ボタンスイッチが押されることで、配車依頼情報送信手段は、ユーザがタクシーの利用を希望している(ユーザがタクシーを配車してもらうことを希望している)ことを知らせる情報を送信することができる様に構成されている。なお、配車依頼情報送信手段によりユーザがタクシーの利用を希望していることを知らせる情報が送信される際には、電話番号送信手段19によりユーザの電話番号も併せて送信されることとなる。
【0027】
また、本実施例では、ユーザを特定可能な情報として電話番号を例に挙げて説明を行なっているが、ユーザを特定可能な情報としては必ずしも電話番号である必要は無い。但し、電話番号に基づいてユーザの所在地等を特定する技術が一般に普及していることを考慮すると、汎用の技術を利用することができる電話番号をユーザを特定可能な情報として利用することが好ましい。
【0028】
上記の様に構成された緊急支援システムでは、タクシー端末のGPS受信機によってタクシーの現在位置を配車センターで把握することが可能である。具体的には、タクシー端末のGPS受信機でGPSを構成する複数のGPS衛星から提供されているGPS信号を受信することでタクシーの現在位置を検出すると共に、タクシー端末で検出したタクシーの現在位置を送信手段により配車センター端末に送信し、配車センター端末の位置情報受信手段で位置情報を受信することで、タクシーの現在位置を配車センターで把握することが可能である。
【0029】
また、タクシー端末の利用状況送信手段によってタクシーが実車状態であるか空車状態であるかを配車センターで把握することが可能である。具体的には、タクシー端末の利用状況送信手段によりタクシーが実車状態であるのか空車状態であるのかを外部に送信し、配車センター端末の利用状況受信手段でタクシーの利用状況を受信することで、タクシーが実車状態であるか空車状態であるかを配車センターで把握することが可能である。
【0030】
さて、ユーザに緊急事態が発生した場合には、ユーザが第1の押しボタンスイッチを押すことにより、ユーザ端末の緊急情報送信手段からユーザに緊急事態が発生したことを知らせる情報が送信されることとなる。また、同時にユーザ端末の電話番号送信手段からユーザの電話番号が送信されることとなる。
【0031】
ユーザ端末から送信されたユーザの緊急事態が発生したことを知らせる情報及びユーザの電話番号は、配車センターのパソコンの呼び出し情報受信手段によって受信され、呼び出し情報受信手段によって情報が受信されると、ユーザの電話番号からユーザの所在地を判断して、表示手段によりユーザの所在地を表示すると共に、最も早くユーザに配車することができるタクシーに対して配車指示情報送信手段によりユーザの所在地に向かう旨の指示情報の送信を行なう。なお、配車指示情報送信手段による指示情報の送信と併せて、ユーザ位置情報送信手段によりユーザの位置情報の送信を行なう。
【0032】
センター端末のユーザ位置情報送信手段が送信したユーザの位置情報は、タクシー端末のユーザ位置情報受信手段によって受信し、ユーザ位置情報受信手段によって受信されたユーザの位置情報は、タクシー端末のユーザ位置情報表示手段により表示されることとなり、タクシードライバーは表示された情報に基づいてユーザのもとに配車することとなる。ユーザのもとに駆けつけたタクシードライバーは応急処置を行ったり、緊急車両の手配を行ったりすることができ、高齢者や持病患者等に緊急事態が生じた場合に、迅速に対処することが可能となる。
【0033】
一方、緊急事態ということではなく、ユーザがタクシーの利用を行いたいと考えた場合には、ユーザは第2の押ボタンスイッチを押すこととなる。ユーザが第2の押ボタンスイッチを押すことにより、ユーザ端末の配車依頼情報送信手段からユーザが配車を希望していることを知らせる情報が送信されることとなる。また、同時にユーザ端末の電話番号送信手段からユーザの電話番号が送信されることとなる。
【0034】
ユーザ端末から送信されたユーザが配車を希望していることを知らせる情報及びユーザの電話番号は、配車センターのパソコンの呼び出し情報受信手段によって受信され、呼び出し情報受信手段によって情報が受信されると、ユーザの電話番号からユーザの所在地を判断して、表示手段によりユーザの所在地を表示すると共に、最も早くユーザに配車することができるタクシーに対して配車指示情報送信手段によりユーザの所在地に向かう旨の指示情報の送信を行なう。なお、配車指示情報送信手段による指示情報の送信と併せて、ユーザ位置情報送信手段によりユーザの位置情報の送信を行なう。
【0035】
本発明を適用した緊急対処支援システムでは、緊急事態が生じた場合に、タクシーを配車せしめるシステムとすることによって、システムの導入やランニングコストの高騰を抑制することができ、実社会に広く普及することを期待することができる。
即ち、現実社会において、非常に広範囲に多数のタクシーが昼夜を問わずに営業活動を行っている実情に鑑みると、緊急事態が生じた場合にタクシードライバーを急行させるべく構成された本発明を適用した緊急支援対処システムでは、新たに監視員若しく近隣者等を配備する必要がなく、システムの導入やランニングコストを非常に安価に抑えることができ、実社会に広く普及することを期待することができるのである。
【0036】
また、緊急事態の際のみならず、日常生活においてタクシーを利用する場合も考えられ、かかる場合には第2の押しボタンを押すことでタクシーの配車依頼をすることができ、緊急事態ということではないものの、タクシーの利用を希望するユーザの利便性の向上を図ることができる。更に、本発明を適用した緊急対処支援システムを導入することで、タクシー会社は他社との差別化を図ることができると共に、ユーザをタクシー利用者として囲い込むことも可能となると考えられる。
【0037】
更に、押しボタンスイッチを押すという極めて簡単な作業を行なうことのみで緊急事態が生じたことを伝えることができ、緊急通報のための操作に必要以上の負担を負わせる必要がないために、迅速かつ確実に緊急通報を行なうことができると考えられる。
【0038】
なお、本実施例では、"ユーザに緊急事態が発生したことを知らせる情報"を送信するためのボタンスイッチとして1つのボタンスイッチが設けられた場合を例に挙げて説明を行ったが、"ユーザに緊急事態が発生したことを知らせる情報"を送信するためのボタンスイッチは必ずしも1つである必要は無く、例えば、"緊急事態であるが故にタクシードライバーに駆けつけて欲しい旨を知らせる情報"を送信するためのボタンスイッチA、"消防車を手配して欲しい旨を知らせる情報"を送信するためのボタンスイッチB、"救急車を手配して欲しい旨を知らせる情報"を送信するためのボタンスイッチC、"パトカーを手配して欲しい旨を知らせる情報"を送信するためのボタンスイッチDを設けて、ボタンスイッチB、ボタンスイッチC及びボタンスイッチDが押された場合には、タクシードライバーに駆けつけさせると共に、配車センターが、消防や救急、警察に通報を行なうといった場合も考えられる。
【0039】
なお、ユーザ端末は有線方式で配車センター端末と接続するもの(例えば、固定電話の親機の様なもの)であっても良いし、無線方式で配車センター端末と接続するもの(例えば、固定電話の子機の様なもの)であっても良い。ここで、無線方式で配車センター端末と接続する場合には、首からぶら下げたりすることで、緊急事態が生じた際により迅速に通報を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明を適用した緊急支援システムの一例を説明するための模式図である。
【図2】従来の緊急通報システムを説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0041】
1 タクシー端末
2 タクシー
3 GPS受信機
4 送信手段
5 ユーザ位置情報受信手段
6 ユーザ位置情報表示手段
7 利用状況送信手段
8 GPS衛星
9 パソコン
10 呼び出し情報受信手段
11 位置情報受信手段
12 表示手段
13 配車指示情報送信手段
14 ユーザ位置情報送信手段
15 利用状況受信手段
16 第1の押しボタンスイッチ
17 第2の押しボタンスイッチ
18 ユーザ端末
19 電話番号送信手段
20 緊急情報送信手段
21 配車依頼情報送信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信元のユーザを特定可能なタクシー配車情報若しくは緊急通報情報を送信する情報送信手段を有するユーザ端末と、
タクシーの現在位置を位置情報として検出する位置情報検出手段と、該位置情報検出手段により検出された位置情報を送信する位置情報送信手段とを有し、タクシーに搭載されたタクシー端末と、
前記情報送信手段が送信するタクシー配車情報若しくは緊急通報情報を受信する情報受信手段と、
前記位置情報送信手段が送信する位置情報を受信する位置情報受信手段と、
該位置情報受信手段が受信する位置情報に基づいて前記タクシーの現在位置を表示する表示手段、若しくは、前記位置情報受信手段が受信する位置情報に基づいて前記タクシーを選択し、選択したタクシーに前記タクシー配車情報若しくは緊急通報情報の送信元ユーザに配車する旨の指示情報を送信する配車指示情報送信手段の少なくとも一方を有する配車センター端末により緊急事態の対処を支援する緊急対処支援システムであって、
前記ユーザ端末は第1のボタンスイッチ及び第2のボタンスイッチを備え、前記第1のボタンスイッチが押されることにより前記情報送信手段がタクシー配車情報を前記配車センター端末に向けて送信し、前記第2のボタンスイッチが押されることにより前記情報送信手段が緊急通報情報を前記配車センター端末に向けて送信する
緊急対処支援システム。
【請求項2】
前記配車センター端末は、前記タクシー配車情報若しくは緊急通報情報の送信元ユーザの位置情報をユーザ位置情報として送信するユーザ位置情報送信手段を備え、
前記タクシー端末は、前記ユーザ位置情報送信手段から送信されるユーザ位置情報を受信するユーザ位置情報受信手段と、該ユーザ位置情報受信手段が受信したユーザ位置情報に基づいて、配車先である前記ユーザの位置情報を表示するユーザ位置情報表示手段を備える
請求項1に記載の緊急対処支援システム。
【請求項3】
前記情報送信手段は、送信元のユーザの電話番号を送信する
請求項1に記載の緊急対処支援システム。
【請求項4】
前記タクシー端末は、タクシーが空車状態であるか実車状態であるかの利用状況情報を送信する利用状況送信手段を備え、
前記配車センター端末は、前記利用状況送信手段が送信する利用状況情報を受信する利用状況受信手段を備える
請求項1に記載の緊急対処支援システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−269466(P2008−269466A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−114263(P2007−114263)
【出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【出願人】(507134688)有限会社Shonai観光 (1)
【Fターム(参考)】