説明

線状被処理物用プラズマ処理装置

【課題】線状に連続する被処理物の表面を効率良く連続的にプラズマ処理することができる、プラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】実質的に細長い開口11を有するプラズマ処理ヘッド10を備える。プラズマ処理ヘッド10の開口11は、連続する被処理物4が真っ直ぐに延在する部分において、被処理物4の表面5に沿って被処理物4の延在方向と略平行かつ被処理物4の表面5との間に隙間を設けて延在するように、配置される。被処理物4が被処理物4の延在方向にプラズマ処理ヘッド10の開口11に対して相対的に移動するとき、プラズマ処理ヘッド10は、開口11から、プラズマ化した処理ガスを被処理物4の表面5に吹き付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線状被処理物用プラズマ処理装置に関し、詳しくは、放電空間から離れた位置にある被処理物をプラズマ処理するプラズマ処理装置に関し、特に、チューブ等の線状に連続する被処理物を略常圧でプラズマ処理を行う場合に好適なプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大気圧近傍の圧力下で発生させたプラズマを利用して、被処理物の表面改質、薄膜形成、アッシング、洗浄などのプラズマ処理を行う常圧プラズマ処理について、種々提案されている。
【0003】
例えば図5に示したように、ベルトコンベア上110上に置かれた基材109が、プラズマ処理ヘッドの下を通過する。プラズマ処理ヘッドは、同心に配置された筒状の内側電極111と外側電極112の間の一方の口113から不活性ガスが導入される。内側電極111と外側電極112とは高周波電源107及びとアース108に接続され、内側電極111と外側電極112との間に高周波電圧が印加される。これによって、内側電極111と外側電極112との間に存在する不活性ガスを励起させ、励起不活性ガスを発生させる。この励起不活性ガスは、内側電極111と外側電極112との間の他方の口114から排出され、内側電極111の一方の口115から導入され他方の口116から排出される反応ガスと接触し、反応ガスをプラズマ化する。基材109は、このプラズマ化された反応ガスに接触して、表面がプラズマ処理される。(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−49272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
チューブ等の連続する被処理物に対して、被覆、印刷、コーティングなどの処理を行うとき、被処理物の表面特性等が問題になることがある。この問題を解決するため、前処理としてプラズマ処理を行うことが考えられる。
【0005】
この場合、図5のようにスポット的に処理ガスを吹き付けるようにすると、所望のプラズマ処理を実現するにはプラズマ化された反応ガスに被処理物の表面が接触する時間を確保する必要があるため、被処理物とプラズマ処理ヘッドとの相対移動速度を大きくするには限界がある。また、被処理物の表面が曲面であると、被処理物の表面に接触するガス量が少なくなるので、プラズマ処理の効率が低下する。
【0006】
本発明は、かかる実情に鑑み、線状に連続する被処理物の表面を効率良く連続的にプラズマ処理することができる、プラズマ処理装置にプラズマ処理装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成したプラズマ処理装置にかかるものである。
【0008】
プラズマ処理装置は、実質的に細長い開口を有するプラズマ処理ヘッドを備える。前記プラズマ処理ヘッドの前記開口は、線状に連続する被処理物が真っ直ぐに延在する部分において、前記被処理物の表面に沿って前記被処理物の延在方向と略平行かつ前記被処理物の前記表面との間に隙間を設けて延在するように、配置される。前記被処理物が前記被処理物の前記延在方向に前記プラズマ処理ヘッドの前記開口に対して相対的に移動するとき、前記プラズマ処理ヘッドは、前記開口から、プラズマ化した処理ガスを前記被処理物の前記表面に吹き付ける。
【0009】
処理ガスは、プラズマ処理ヘッドでプラズマ化しても、プラズマ化した処理ガスがプラズマ処理ヘッドに供給されてもよい。プラズマ処理ヘッドで処理ガスをプラズマ化する場合、例えば、プラズマ処理ヘッドは対向する電極を備え、対向する電極の間に処理ガスが供給された状態で、電極の間に電圧を印加して放電を発生させる。この放電が発生している電極間(放電空間)でプラズマ化した処理ガスを、プラズマ処理ヘッドの開口から被処理物に吹き付ける。
【0010】
上記構成において、プラズマ処理ヘッドの開口は、それ自体が細長い一つの開口部分のみであっても、細長い領域に配置された複数の開口部分であってもよい。
【0011】
上記構成によれば、プラズマ処理ヘッドの開口の長手方向と被処理物の延在方向とが略平行になるので、被処理物の延在方向に被処理物が相対移動したとき、被処理物の表面の同一箇所には、プラズマ処理ヘッドの開口が長手方向に連続して対向するので、被処理物の相対移動速度を速めても、開口から流出した処理ガス(現にプラズマ化している処理ガスであっても、プラズマを経て活性化した処理ガスであってもよい。)に接触する時間を確保することができる。
【0012】
また、被処理物の表面が曲面であっても、プラズマ処理ヘッドの開口と被処理物の表面との間の隙間をどの位置でも略一定にし、プラズマ処理ヘッドの開口から流出した処理ガスのほとんどが、被処理物の表面に直ちに接触するようにすることができる。
【0013】
したがって、連続する被処理物の表面を効率良く連続的にプラズマ処理することができる。
【0014】
好ましくは、前記プラズマ処理ヘッドの前記開口は、前記被処理物の前記延在方向の略同一位置において、前記被処理物の周りに複数配置される。
【0015】
この場合、被処理物の周方向に、プラズマ処理する面積を増やすことができる。
【0016】
好ましくは、前記被処理物の前記延在方向に前記プラズマ処理ヘッドの前記開口と略同一位置において、前記被処理物の表面に沿って延在し、前記被処理物の周囲を覆う仕切り部材をさらに備える。
【0017】
上記構成によれば、仕切り部材を設けることによって、開口から吹き出した処理ガスが被処理物の周囲に滞留するようになるので、被処理物の周方向にプラズマ処理を促進することができ、処理ガスの利用効率を高めることができる。
【0018】
好ましくは、第2の開口を有する排気ヘッドをさらに備える。前記排気ヘッドの前記第2の開口は、前記被処理物の前記延在方向に前記プラズマ処理ヘッドの前記開口と略同一位置において、前記被処理物の前記表面との間に隙間を設けて延在するように、配置される。前記プラズマ処理ヘッドの前記開口から前記被処理物の前記表面に吹き付けられた前記処理ガスの少なくとも一部が、前記排気ヘッドの前記第2の開口に吸い込まれる。
【0019】
上記構成によれば、プラズマ化した処理ガスの少なくとも一部が、プラズマ処理ヘッドの開口から排気ヘッドの第2の開口に向けて、被処理物の表面に沿って周方向に安定して流れるようにして、被処理物の表面のプラズマ処理を周方向に均一化したり安定化したりすることができる。
【0020】
好ましくは、少なくとも前記プラズマ処理ヘッドの前記開口が、大略、前記被処理物に対して周方向に相対移動する。
【0021】
この場合、被処理物の表面に対してプラズマ処理ヘッドの開口が対向する位置を周方向に動かして、被処理物の表面のプラズマ処理の状態を周方向に均一化することができる。仕切り部材や排気ヘッドを備える場合、プラズマ処理ヘッドの開口は、仕切り部材や排気ヘッドとともに一体となって、被処理物に対して相対移動すればよい。
【0022】
なお、本発明のプラズマ処理装置は、1Pa以上、特に略常圧(大気圧近傍)の開放系、あるいは低気密系の場合に特に好適であるが、これに限るものではない。本発明において、略常圧とは、1.013×10〜50.663×10Paの範囲を言い、圧力調整の容易化や装置構成の簡略化を考慮すると、1.333×10〜10.664×10Paが好ましく、9.331×10〜10.397×10Paがより好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、線状に連続する被処理物の表面を効率良く連続的にプラズマ処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図4を参照しながら説明する。
【0025】
(実施例1) 実施例1のプラズマ処理装置2について、図1を参照しながら説明する。図1(a)は軸直角断面図である。図1(b)は、図1(a)の線B−Bに沿って切断した断面図である。
【0026】
図1(a)に示すように、プラズマ処理装置2は、被処理物4の周囲に、4つのプラズマ処理ヘッド10が配置されている。プラズマ処理装置2は、例えば、1Pa以上、特に略常圧(大気圧近傍)の開放系、あるいは低気密系に配置される。
【0027】
被処理物4は、線状に連続し、中心軸6方向に、略同一の寸法・形状(例えば略円形)の軸直角断面が連続する。被処理物4は、少なくともプラズマ処理ヘッド10が配置される領域では、中心軸6が略真っ直ぐに延在している。
【0028】
各プラズマ処理ヘッド10は、互いに平行に配置された一対の電極12,14を備える。各電極12,14は、互いに対向する面に誘電体13,15を備えている。誘電体13,15間の間隔は、図1(b)に示すように、誘電体13,15の左右の辺に沿ってそれぞれ配置されたスペーサ16によって、一定に保持されるようになっている。誘電体13,15とスペーサ16との間には、空間17(「放電空間17」ともいう。)が形成されている。また、誘電体13,15及びスペーサ16の端部によって、細長い開口11が形成されている。すなわち、電極12,14及び誘電体13,15の幅(図1(b)において左右方向の寸法)に比べ、対向する誘電体13,15間の間隔が小さいため、開口11は、対向する誘電体13,15間の寸法よりも、スペーサ16間の寸法の方が大きい。
【0029】
各プラズマ処理ヘッド10は、開口11が被処理物4の表面5に隙間を設けて対向し、開口11の長手方向が被処理物4の中心軸6と略平行になるように、配置されている。
【0030】
プラズマ処理ヘッド10の配置個数や、プラズマ処理ヘッド10の開口11の寸法・形状は、被処理物4の寸法・形状、プラズマ処理の速度等に応じて、適宜に選択すればよい。
【0031】
次に、プラズマ処理装置2の動作について説明する。
【0032】
各プラズマ処理ヘッド10の電極12,14間には、不図示の電源によって、例えば交流電圧やパルス電圧が印加され、空間17で放電が発生する。放電の形態は、グロー放電が均一処理のために好ましいが、コロナ放電や誘電体バリア放電や沿面放電であってもよい。このとき、各プラズマ処理ヘッド10の空間17には処理ガスが供給され、放電によってプラズマ化した処理ガスが、矢印18で示すように、開口11から被処理物4に向けて流出する。開口11から流出した処理ガス(現にプラズマ化している処理ガスであっても、プラズマを経て活性化した処理ガスであってもよい。)は、被処理物4の表面5に接触する。これにより、被処理物4の表面5に対して、放電によるプラズマ(活性種、イオンなど)を用いて、表面改質、薄膜形成、アッシング、洗浄などのプラズマ処理を行なう。
【0033】
処理ガスは、プラズマ処理の目的に応じて選択すればよい。例えば、酸化処理には、窒素と酸素の混合ガスを用いる。還元処理には、窒素と水素を用いる。撥水化やエッチングには、フルオロカーボンを用いる。処理ガスには、希釈ガスとして、窒素、アルゴン等の不活性ガスを混合してもよい。
【0034】
被処理物4は、中心軸6方向に矢印8で示すように搬送され、プラズマ処理ヘッド10が配置される領域を通過する。このときに、被処理物4の表面5は、処理ガスに接触した部分がプラズマ処理される。これによって、被処理物4の表面5を連続的にプラズマ処理することができる。
【0035】
プラズマ処理ヘッド10の開口11は細長く、開口11の長手方向と被処理物4の延在方向とが略平行になるので、被処理物4の表面5のある箇所は、プラズマ処理ヘッド10の開口11の長手方向の一端から他端まで、被処理物4の開口11に対向する状態が続く。そのため、被処理物4の搬送移動速度を速めても、被処理物4の表面5が処理ガスに接触する時間を確保することができる。
【0036】
また、被処理物4の表面5が曲面であっても、プラズマ処理ヘッド10の開口11と被処理物4の表面5との間の隙間をどの位置でも略一定とし、プラズマ処理ヘッド10の開口11から流出した処理ガスのほとんどが、被処理物4の表面5に直ちに接触するようにすることができる。
【0037】
したがって、プラズマ処理装置2は、被処理物4の表面5を、効率良く連続的にプラズマ処理することができる。
【0038】
なお、被処理物4の表面5は、プラズマ処理ヘッド10の開口11に対向する部分を中心にプラズマ処理されるので、被処理物4に対向するプラズマ処理ヘッド10の開口11が複数であれば、被処理物4の周方向に複数個所をプラズマ処理することができる。被処理物4に対向するプラズマ処理ヘッド10の開口11は、1つのみであってもよい。
【0039】
また、プラズマ処理ヘッド10は、図1(a)において矢印9で示すように、被処理物4の周りを周方向に相対移動させてもよい。この場合、被処理物4の表面5がプラズマ処理ヘッド10の開口11に対向する部分が周方向に移動するため、被処理物4の表面5を周方向により均一に処理することが可能となる。なお、プラズマ処理ヘッド10は、所定角度範囲を往復移動するようにしても、一方向にのみ相対回転するようにしてもよい。
【0040】
(実施例2) 実施例2のプラズマ処理装置2aについて、図2を参照しながら説明する。
【0041】
実施例2のプラズマ処理装置2aは、実施例1のプラズマ処理装置2と略同様の構成である。実施例1のプラズマ処理装置2と同じ構成部分には同じ符号を用い、以下では実施例1との相違点を中心に説明する。
【0042】
実施例2のプラズマ処理装置2aは、実施例1と同様に、プラズマ処理ヘッド10が被処理物4の周囲に配置されている。
【0043】
プラズマ処理装置2aは、実施例1と異なり、プラズマ処理ヘッド10の間に仕切り部材20を備える。仕切り部材20は、被処理物4の延在方向にプラズマ処理ヘッド10の開口11と略同一位置において、被処理物4の表面5に沿って延在し、プラズマ処理ヘッド10とともに、被処理物4の周囲を覆っている。仕切り部材20及びプラズマ処理ヘッド10と被処理物4との間には、略筒状の空間22が形成されている。
【0044】
プラズマ処理装置2aにおいて、プラズマ処理ヘッド10の開口11から流出した処理ガスは、仕切り部材20及びプラズマ処理ヘッド10と被処理物4との間の略筒状の空間22内に滞留するので、より多くの処理ガスが被処理物4の表面5に接触し、接触する時間も長くなる。これによって、被処理物4の表面5は、プラズマ処理ヘッド10の開口11に直接対向する部分以外においてもプラズマ処理が促進され、処理ガスの利用効率を高めることができる。
【0045】
(実施例3) 実施例3のプラズマ処理装置2bについて、図3を参照しながら説明する。
【0046】
実施例3のプラズマ処理装置2bは、実施例1及び実施例2と略同様に、プラズマ処理ヘッド10が被処理物4の周囲に配置され、実施例2と略同様に、仕切り部材20を備え、被処理物4の周囲が覆われるようになっている。
【0047】
プラズマ処理装置2bは、実施例1及び実施例2と異なり、2つのプラズマ処理ヘッドが、開口31を有する排気ヘッド30に置き換えられている。
【0048】
排気ヘッド30の開口31は、プラズマ処理ヘッド10の開口11と同様に、被処理物4の表面5に沿って被処理物4の中心軸6と略平行に、被処理物4の表面5との間に隙間を設けて配置される。排気ヘッド30の開口31は、被処理物4の中心軸6方向にはプラズマ処理ヘッド10の開口11と略同じ位置に配置され、プラズマ処理ヘッド10、排気ヘッド30及び仕切り部材20によって、被処理物4の周りを覆う。プラズマ処理ヘッド10、排気ヘッド30及び仕切り部材20と被処理物4との間には、実施例2と略同様に、略筒状の空間24が形成される。
【0049】
プラズマ処理装置2bにおいて、プラズマ化した処理ガスは、矢印18で示すようにプラズマ処理ヘッド10の開口11から流出し、プラズマ処理ヘッド10、排気ヘッド30及び仕切り部材20と被処理物4との間の略筒状の空間22を通り、矢印38で示すように、排気ヘッド30の開口31に流入し、排出される。このとき、プラズマ化した処理ガスは、プラズマ処理ヘッド10の開口11から排気ヘッド30の開口31までを、被処理物4の表面5に沿って周方向に、安定して流れる。そのため、被処理物4の表面5のプラズマ処理を周方向に均一化したり安定化したりすることができる。
【0050】
(実施例4) 実施例3のプラズマ処理装置2bを用いた製造ラインの構成について、図4を参照しながら示す。
【0051】
図4に示すように、押出成形機50が備える金型52から矢印56で示すように流れ出すフッ素樹脂のチューブ4aに対して、1組目のプラズマ処理装置2bを配置する。このプラズマ処理装置2bによって、チューブ4aの表面5aをプラズマ処理し、表面5aの接着性を高める。
【0052】
次いで、矢印57で示すように被覆材4bを供給し、チューブ4aに被覆材4bを接着する。
【0053】
さらに、被覆材4bが接着されたチューブ4aに対して、2組目のプラズマ処理装置2bを配置し、被覆材4bの表面5bをプラズマ処理し、表面5bの印刷性を高める。
【0054】
次いで、被覆材4bの表面5bに、印刷機54を用いて、例えばインクジェット方式で印刷を行った後、矢印58で示す方向に流れるチューブ4a及び被覆材4bを、不図示のリール等に巻き取ったり、所定の長さに切断したりする。
【0055】
なお、図4のような連続工程に限らず、例えば、有限長の素材をバッチ処理する工程においても、同様にプラズマ処理装置2bを用いることができる。また、実施例3のプラズマ処理装置2bの代わりに、他の実施例のプラズマ処理装置2,2aを用いてもよい。
【0056】
(まとめ) 以上に説明したように、プラズマ処理装置2,2a,2bは、線状に連続する被処理物4の表面5を、効率良く連続的にプラズマ処理することができる。
【0057】
なお、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、種々変更を加えて実施可能である。
【0058】
例えば、プラズマ処理ヘッドの開口は、放電空間から離れていてもよい。本発明のプラズマ処理装置は、被覆工程や印刷工程以外の前工程、例えば表面コーティングの前工程にも、用いることができる。また、前工程に限らず、後工程に用いてもよい。
【0059】
被処理物は、フッ素樹脂チューブに限らず、光ファイバーの被覆前処理や、電線(例えば、銅線)の被覆前還元処理など、種々の処理に用いることができる。被処理物の軸直角断面の形状は、略円形に限らず、例えば、楕円形、略多角形などであってもよい。被処理物の表面は曲面に限らず、平面が含まれていてもよい。
【0060】
被処理物は管状であってもよい。その場合、被処理物の内側にプラズマ処理ヘッドを配置することができれば、被処理物の内側の表面をプラズマ処理することが可能である。
【0061】
さらに、プラズマ処理ヘッドには、一つの開口部分のみによっての細長い開口を形成する代わりに、細長い開口に相当する細長い領域内に複数の開口部分を設けることによって、実質的に細長い開口を形成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】プラズマ処理装置の(a)軸直角断面、(b)軸方向断面である。(実施例1)
【図2】プラズマ処理装置の軸直角断面である。(実施例2)
【図3】プラズマ処理装置の軸直角断面である。(実施例3)
【図4】被処理物の製造工程におけるプラズマ処理装置の利用を説明するための説明図である。(実施例4)
【図5】プラズマ処理装置の斜視図である。(従来例)
【符号の説明】
【0063】
2,2a,2b プラズマ処理装置
4 被処理物
5 表面
6 中心軸
10 プラズマ処理ヘッド
11 開口
17 空間(放電空間)
20 仕切り部材
30 排気ヘッド
31 開口(第2の開口)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に細長い開口を有するプラズマ処理ヘッドを備え、
前記プラズマ処理ヘッドの前記開口は、線状に連続する被処理物が真っ直ぐに延在する部分において、前記被処理物の表面に沿って前記被処理物の延在方向と略平行かつ前記被処理物の前記表面との間に隙間を設けて延在するように、配置され、
前記被処理物が前記被処理物の前記延在方向に前記プラズマ処理ヘッドの前記開口に対して相対的に移動するとき、前記プラズマ処理ヘッドは、前記開口から、プラズマ化した処理ガスを前記被処理物の前記表面に吹き付けることを特徴とする、プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記プラズマ処理ヘッドの前記開口は、前記被処理物の前記延在方向の略同一位置において、前記被処理物の周りに複数配置されることを特徴とする、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記被処理物の前記延在方向に前記プラズマ処理ヘッドの前記開口と略同一位置において、前記被処理物の表面に沿って延在し、前記被処理物の周囲を覆う仕切り部材をさらに備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
第2の開口を有する排気ヘッドをさらに備え、
前記排気ヘッドの前記第2の開口は、前記被処理物の前記延在方向に前記プラズマ処理ヘッドの前記開口と略同一位置において、前記被処理物の前記表面との間に隙間を設けて延在するように、配置され、
前記プラズマ処理ヘッドの前記開口から前記被処理物の前記表面に吹き付けられた前記処理ガスの少なくとも一部が、前記排気ヘッドの前記第2の開口に吸い込まれることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
少なくとも前記プラズマ処理ヘッドの前記開口が、大略、前記被処理物に対して周方向に相対移動することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−111678(P2007−111678A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−308370(P2005−308370)
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】