説明

縦列駐車案内装置

【課題】縦列駐車を行うに際して、最終的に後方車両が自車両の存在に関わらず円滑に発車することができ、また自車両が円滑に発車できる間隔を適切に且つ容易に確保できる「縦列駐車案内装置」とする。
【解決手段】縦列駐車時に後方を撮影するリアカメラの画像をモニタ表示する際、自車両と後方車両の間隔が、後方車両が円滑に駐車位置から脱出できる間隔を示す縦列駐車後方案内マークを表示し、運転者はそのマークに後方車両の画像の下端部分がほぼ一致するように駐車する。それにより自車両の縦列駐車後に前方に他車がほとんど間隔を置かずに駐車した時でも、後方の間隔分だけ後退すると円滑に発車できる。後方車両との間隔は、リアカメラ撮影画像で後方車両の車種を認識し、車種に応じた最小回転半径等の車両データで、後方車両が円滑に発車できる間隔を求め、その間隔位置にマークを表示しても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両が縦列駐車を行う際、車両に取り付けた車外を撮影するカメラの画像を利用して、後方の車両が自車両に影響されずに確実に発車でき、また自車両が前方の車両等の障害物に影響されずに確実に発車できるようにした縦列駐車案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両が駐車する際、駐車する車両が互いに横に並んで駐車する方式以外に、例えば駐車が許可されている道路の路側部分に1列で駐車する等の縦列駐車も存在する。この縦列駐車に際しては、基本的に図13に示すように行う。即ち、同図(a)の自車1が前方車両2と後方車両3との間に駐車しようとする時、最初前方車両2と所定間隔でほぼ平行に停車した状態の位置Aから駐車位置に向けて後退し、位置Bを経て位置Cに至る第1後退態様をたどる。次いで同図(b)に示す前記位置Cから自車両の最小回転半径Rで点Oを中心に回転移動することにより、位置D、Eを経て位置Fにおいて縦列駐車ライン上に至る。その後同図(c)の位置Fにおいて前方車両2との間隔f、及び後方車両3との間隔bが適切になるように前後方向位置の調節を行い、一連の駐車操作を終了する。
【0003】
上記のような縦列駐車を行う時、最終的に図13(c)における前方車両2との間隔fについては、その後この駐車中の状態から発車する時、同図の(b)から(c)の順で前記と逆の操作によって発車しようとする際、できる限り後退せずにそのまま発車できる間隔fが存在することが好ましい。特に、縦列駐車後に後方に他の車両がほとんど車間距離を取らずに駐車してしまい、後退して前方車両との間隔を充分取ってから発車しようとしてもできない状態になっても、自車両が前方車両等に接触せずに安全に発車できる間隔fが存在することが好ましい。更に、前方車両が発車しようとする時、その前方車両の更に前方の車両がほとんど間隔を取らずに駐車してしまった時に、前方車両が自車両側に後退して発車できる間隔fが存在することが好ましい。
【0004】
一方、後方車両3との間隔bについては、自車両が前記のような縦列駐車中に後方車両3が発車しようとする際、できる限りその車が後退せずにそのまま発車できる間隔bが存在することが好ましく、特に後方車両の後に他の車両がほとんど間隔を取らずに駐車してしまい、後退しようとしてもできない場合でも発車できる間隔bが存在することが好ましい。更に、自車両が縦列駐車後に前方に他車がほとんど間隔を取らずに駐車してしまった場合でも、自車両がバックしてから発車できる間隔bが存在することが好ましい。
【0005】
前方車両2との間隔fが充分に存在せず、且つ後方車両との間隔もほとんど無い時でも、前進と後退の繰り返しによって切り返し操作を行ってこの駐車領域から脱出することは理論的には可能である。しかしながらその操作には多くの困難を伴うとがあり、前方或いは後方の車両に接触せずに発車することが極めて困難な場合がある。
【0006】
なお、縦列駐車に際して所定の位置に縦列駐車を行うことができるように、車両の後方を撮影するカメラの画像を表示するモニタに、車両が進むべき方向を示すマーカーを表示する技術は特開平2−36417号公報(特許文献1)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平2−36417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
縦列駐車は基本的には前記のように行われ、最終的に図13(c)に示すように駐車を行うこととなるが、その後自車両が円滑に発車できるために、また前方車両が後退して発車できるためにも前方車両等の障害物との間に所定の間隔fが存在することが好ましく、更に後方車両3との間には、後方車両が円滑に発車できるために、また自車両が後退して発車できるためにも所定の間隔bが存在することが好ましい。
【0009】
それに対して前記特許文献に記載されている技術では、縦列駐車を行う位置に誘導することはできても、上記のような前方車両2との間隔f、及び後方車両との間隔bを適切に維持することはできない。また、例えば後方を撮影するリアカメラの撮影画像をモニタで見ても、実際の距離感をつかむことができず、一旦車両を降りて実際に見て確かめざるを得なくなる。
【0010】
更に、前方車両との間隔は運転者の目でほぼ把握することはできるが、実際に縦列駐車から発車する時に必要となる間隔は、縦列駐車に慣れていない人にとっては的確に把握することができない。特に運転者が小柄な人である時には目の位置が低くなり、前方車両との間隔を的確に把握することができない傾向がある。そのため、縦列駐車中に運転者に対して前記のような間隔が適切であるか否かを確実に判断することができる案内が必要であり、それもできる限り運転者の判断に頼ることなく適切な案内を行うことができる装置の開発が望まれている。
【0011】
したがって本発明は、縦列駐車を行うに際して、最終的に後方車両が自車両の存在に関わらず円滑に発車することができ、また自車両が発車するに際して、前方車両等の障害物が存在しても円滑に発車できるように、自車両の前後の間隔を適切に且つ容易に維持することができる縦列駐車案内を行うことができる縦列駐車案内装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る縦列駐車案内装置は、前記課題を解決するため、車両の後方を撮影するリアカメラと、前記リアカメラの撮影画像を表示するモニタと、自車両が縦列駐車する時に後方に存在する車両が、当該車両と自車両との間隔を用いて縦列駐車位置から発車することができる間隔に対応したモニタの位置に、縦列駐車後方案内マークを表示する縦列駐車後方案内マーク表示処理部とを備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る他の縦列駐車案内装置は、前記縦列駐車案内装置において、前記リアカメラの撮影画像により後方に存在する車両の車種を認識する後方車両車種認識部を備え、前記縦列駐車後方案内マーク表示処理部は、前記後方車両車種認識部で認識した後方車両の車種に対応して、その車種の車両データによって縦列駐車後方案内マークの表示位置を決定することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る他の縦列駐車案内装置は、前記縦列駐車案内装置において、前記縦列駐車後方案内マーク表示処理部は、通常の大部分の車両が、当該車両と自車両との間隔を用いて縦列駐車位置から発車することができる間隔に対応したモニタの位置に、縦列駐車後方案内マークを表示することを特徴とする。
【0015】
本発明に係る他の縦列駐車案内装置は、前記縦列駐車案内装置において、前記リアカメラの撮影画像により後方に存在する車両のナンバーを認識する後方車両ナンバー認識部と、前記後方車両ナンバー認識部で認識した後方車両のナンバーを記憶する後方車両ナンバー記憶部と、前記後方車両ナンバー記憶部に記憶したナンバーを読み込んで出力する縦列駐車後方車両ナンバー読込出力部とを備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明に係る他の縦列駐車案内装置は、車両の前方を撮影するフロントカメラと、前記フロントカメラの撮影画像を表示するモニタと、自車両が縦列駐車する時に前方に障害物が存在する際、自車両が当該障害物と自車両との間隔を用いて縦列駐車位置から発車することができる間隔に対応したモニタの位置に、縦列駐車前方案内マークを表示する縦列駐車前方案内マーク表示処理部とを備えたことを特徴とする。
【0017】
本発明に係る他の縦列駐車案内装置は、前記縦列駐車案内装置において、前記フロントカメラの撮影画像により前方に存在する障害物としての車両のナンバーを認識する前方車両ナンバー認識部と、前記前方車両ナンバー認識部で認識した前方車両のナンバーを記憶する前方車両ナンバー記憶部と、前記前方車両ナンバー記憶部に記憶したナンバーを読み込んで出力する縦列駐車前方車両ナンバー読込出力部とを備えたことを特徴とする。
【0018】
本発明に係る他の縦列駐車案内装置は、前記縦列駐車案内装置において、前記後方車両ナンバー認識部または前記前方車両ナンバー認識部で縦列駐車後に認識したナンバーと、前記縦列駐車後方車両ナンバー読込出力部または前記縦列駐車前方車両ナンバー読込出力部で出力したナンバーとが互いに異なる時警告を出力する縦列駐車駐車両変更警告部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明は上記のように構成したので、縦列駐車を行うに際して、最終的に後方車両が自車両の存在に関わらず円滑に発車することができ、また自車両が発車するに際して、前方車両等の障害物が存在しても円滑に発車できるように、自車両の前後の間隔を適切に且つ容易に維持することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例の機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施例において、縦列駐車案内処理の全体の作動を示す作動フロー図である。
【図3】同実施例において、フロントカメラ撮影画像による前方障害物との間隔確保処理を行う作動フロー図である。
【図4】同実施例において、縦列駐車駐車両の発車時確認処理を行う作動フロー図である。
【図5】同実施例において、縦列駐車時と現在とで前方或いは後方の車両が異なっているかの自動認識処理を行う作動フロー図である。
【図6】同実施例において、縦列駐車中車両の発車時確認処理の他の作動を示す作動フロー図である。
【図7】縦列駐車からの発車態様の基本形を示す図である。
【図8】縦列駐車からの発車態様における車両の各種データと駐車スペースからの脱出に必要な各種距離の関係を示す図である。
【図9】モニタに表示する縦列駐車後方案内マークと、モニタに表示される後方車両の関係を示す図、及びその説明図、並びに後方車両のナンバーを認識する説明図である。
【図10】モニタに表示する縦列駐車前方案内マークと、モニタに表示される前方車両の関係を示す図、及びその説明図、並びに後方車両のナンバーを認識する説明図である。
【図11】縦列駐車後方案内補助マーク、及び縦列駐車前方案内補助マークの表示例を示す図である。
【図12】車両認識処理の態様を示す図である。
【図13】縦列駐車の基本形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0021】
本発明の実施例を図面に沿って説明する。図1は本発明を各種の態様で実施することができるようにした機能ブロック図であり、図示の例では自車両1が前方車両2と後方車両3の間に縦列駐車している状態を示し、この自車両1には前方を撮影するカメラであるフロントカメラ4と、後方を撮影するカメラであるリアカメラ5とを取り付けた例を示している。このフロントカメラ4で撮影した画像は、前方障害物検出部6に入力して、自車両の前方に他の車両等の障害物が存在するとき、これを検出する。この前方障害物検出部6においては、自車両がその障害物に接触することなく縦列駐車状態から発車できる為の検出を行うものであるため、図示するような車両に限らず、縁石や塀等の障害物を検出することが主目的となる。
【0022】
前方酒害物検出部6には前方車両ナンバー認識部7を備え、フロントカメラ4の撮影画像で、縦列駐車を行った時に自車両の前方に他の車両である前方車両が存在することを検出した際に、例えば図10(d)に示すように、その車両のナンバープレートの文字や数字を認識することにより、前方車両のナンバーを認識する。なお、図10(d)の例においては車両のナンバーをABCとして示している。
【0023】
前方車両ナンバー認識部7による前記認識結果は前方車両ナンバー記憶部8に記憶し、その後縦列駐車駐車中の自車両が発車する時に、本発明の機能によって前方の車両と所定の間隔を維持した状態で駐車したにもかかわらず、その後前方車両2が他の車両に変わった時に前記所定の間隔より狭くなってしまい、それに気がつかずに発車して前方車両に接触する事がないようにするために、そのナンバープレートを認識し記憶したデータを利用する。
【0024】
前方撮影画像内縦列駐車前方案内マーク表示処理部10においては、自車両1の前方を撮影するフロントカメラ4の撮影画像を表示するモニタ中に、例えば図10(a)〜(c)に示すような、前方車両等の障害物との間隔の目安となる縦列駐車前方案内マークMFを表示する処理を行う。
【0025】
そのため図1に示す例においては、前方撮影画像内縦列駐車前方案内マーク表示処理部10に自車両データ記憶部11を備え、本発明による縦列駐車案内装置を搭載する自車両の最小回転半径のデータ等の車両データを別途入力し、ここに記憶しておく例を示している。縦列駐車前方案内マーク表示部12においては、前記自車両データ記憶部11に記憶しているデータを用い、前記図10(a)〜(c)に示すような縦列駐車前方案内マークMFを表示する。その際には例えば図8に示すように、縦列駐車中の自車両1が最小の前進によってその駐車領域から抜け出すためには、駐車中の状態から前車輪である操舵輪を最大回転操舵した状態で前進する時、車両に予め設定してある最小回転半径Rで回転しながら前進することとなる。このことは前記図13に示す縦列駐車基本形において、同図(b)の縦列駐車最小回転半径Rによる第2後退態様として示している車両の移動態様を逆に移動させた状態となる。
【0026】
図8の縦列駐車中の車両がその駐車領域から抜け出す説明図に示すように、車両が最小回転半径で回転する時、その車両が前方の車両等に接触しないようにするためには、その車両の前端縁Pの軌跡内に物体が存在しないようにする必要がある。このときの前端縁Pの軌跡は前記最小回転半径Rの中心である点Oを中心とする、前端回転半径rの軌跡である最小回転前端縁円弧Kとなるため、従来から各車両について公表されている車体データが存在すると、この最小回転前端縁円弧Kを求めることができる。
【0027】
その際には車体データとして存在するホイルベースL1、車体の全幅W1、前端突出長L3、最小回転半径Rのデータにより、最小回転前端縁円弧Kをほぼ正確に求めることができ、その軌跡において前方車両2で最も障害になる点である後端縁Qとの間隔である脱出安全スペースS4を、例えば30cm等の所定の安全間隔になるように、必要前方車間距離S1として設定する。なお、脱出安全スペースS4を考慮しない時には、図示するように絶対必要車間距離S2となる。また、前記脱出安全スペースS4が形成される状態の車両位置以降は、図8の二重線矢印に示すような運転操作によって容易に移動することができる。
【0028】
なお、図8において前端縁Pが後輪の軸線である基準線Sに対して回転初期角θ1の位置に存在する時、この縦列駐車領域を脱出するための脱出初動回転角θ2として示し、また、前記必要前方車間距離S1と絶対必要車間距離S2との差を余裕車間距離S3として示し、また、後輪と車体後端との長さを後端突出長L4として示し、また、車輪間隔であるトレッドをW2として示しており、必要に応じてこれらの車体データ及び設定データを用いることにより、必要に応じて更に種々の計算を行うことができる。
【0029】
図1の前方撮影画像内縦列駐車前方案内マーク表示処理部10における縦列駐車前方案内マーク表示部12においては、自車両データ記憶部11に記憶している前記各種のデータを用いることにより、縦列駐車を行った時に前方車両2等の障害物との任意の安全スペースを考慮した距離を演算し、その時の必要前方車間距離S1に相当するモニタ内の位置に、図10(a)〜(c)に示すような縦列駐車前方案内マークMFを表示することができる。
【0030】
このときの縦列駐車前方案内マークMFの表示位置は、この縦列駐車案内装置が搭載される車両に固有のものであり、したがってこの縦列駐車案内装置が車両工場で装備される時には、自車両データ記憶部11を特に必要とせず、別途演算したデータに基づいて縦列駐車前方案内マーク表示部12が常にモニタ内の所定の位置に表示するようにしても良い。
【0031】
それに対してこの縦列駐車案内装置を別途各種の車両に取り付ける態様の製品の時には、取り付ける車両に対応したデータを自車両データ記憶部11に入力して記憶することにより、縦列駐車前方案内マーク表示部13が前記演算を行い、縦列駐車前方案内マークMFを表示し、以降はこのデータを記憶しておくことにより、この縦列駐車案内装置を取り付ける車両が変更するまで、特に表示のための演算を行うことなく、同じ位置にマークを表示することができる。
【0032】
図1の例においては、前方撮影画像内縦列駐車前方案内マーク表示処理部10に縦列駐車前方案内補助マーク表示部13を備えた例を示しており、前記のような自車両の最小回転半径のデータを主として演算し得られる縦列駐車前方案内マークMF以外に、例えば図11(b)に縦列駐車前方案内補助マークMF’として示すような、更に自車両から離れた位置に対応した幾分か余裕をもった位置に、縦列駐車前方案内補助マークを表示する例を示している。
【0033】
この補助マークは縦列駐車を行う場所が比較的駐車車両が少なく、運転者が充分縦列駐車のスペースに余裕があると判断し、前記のような厳密な縦列駐車を行う事は不自然であると感じる時、この縦列駐車前方案内補助マークMF’の位置を目安として、前方車両等の障害物がこのマークの位置に存在するとき、前方障害物とはあまり離れてはおらず、ほぼ適切な駐車位置であることを容易にわかるようにしている。
【0034】
前記のように前方撮影画像内縦列駐車前方案内マーク表示処理部10における縦列駐車前方案内マーク表示部12で、例えば図10(a)〜(c)のような縦列駐車前方案内マークMFをモニタ中に表示することにより、運転者は同図(a)のように表示されている前方車両2の位置では、前方車両2との間隔が開きすぎていると判断し、自車両を前進させる。その後同図(b)のように、前方車両2の後端位置に対応する前方車両2の画像の下端部分が、縦列駐車前方案内マークMFとほぼ重なった時、適切な位置であると運転者が判断し、ここを駐車位置とする。
【0035】
それに対して図10(c)のように、前方車両2が縦列駐車前方案内マークMFよりも手前に位置する時、即ち前方車両2の後端位置に対応する前方車両2の画像の下端部分が、縦列駐車前方案内マークMFより内側に大きく進入している時には、運転者はこれでは自車両がもしも後退できない状態の場合は駐車位置から脱出することは極めて困難であると判断し、同図(b)のように前方車両2の一部が縦列駐車前方案内マークMFに重なる迄後退する。
【0036】
図1の縦列駐車前方案内補助マーク表示部13で図11(b)に示すような縦列駐車前方案内補助マークMF’を表示する時には、前記図10に示す態様とほぼ同様にこの縦列駐車前方案内補助マークMF’を用い、運転者は充分余裕を持った前方車両2との間隔で、しかもあまりにも前方車両2と離れていない適切な位置に縦列駐車を行うことができる。
【0037】
図1に示す例においては、前記のような縦列駐車前方案内マークMFの表示によって、運転者がモニタを見ながら前方車両との間隔を判断し、車両の前進或いは後退を行う以外に、自動的に前方車両との間隔が狭すぎる警告を出力することができるように、前方障害物が縦列駐車前方案内マーク内に進入することを検出するための、前方障害物縦列駐車前方案内マーク内進入検出処理部14を備えている。即ち、図1の前方障害物縦列駐車前方案内マーク内進入検出処理部14には、前方障害物縦列駐車前方案内マーク内進入量検出部15を備え、例えば図10(c)のように前方車両2の後端位置に対応する前方車両の画像の下端部分を認識し、この部分が縦列駐車前方案内マークMFより手前側に進入した量TFを測定する。
【0038】
また、図1の前方障害物縦列駐車前方案内補助マーク内進入検出部16では、同様に前記図11(b)に示すような前方障害物縦列駐車前方案内補助マークMF’より手前に前方車両1が進入したとき、その進入量を測定する。これらの進入量の測定によって、所定以上進入したことを検出した時には、前方障害物近接警告部17により運転者に警告表示、警告音声或いはブザー等で警告を出力する。なお、その警告に際しては、予め運転者等により縦列駐車前方案内マークMFを用いるか、或いは縦列駐車前方案内補助マークMF’を用いるかを選択しておき、いずれかの検出によって警告出力を行うようにする。
【0039】
なお、本発明は後述するようにリアカメラ5の撮影画像によって、後方車両と適切な間隔で駐車できるようにし、後方車両が容易に発車できるように、また万が一自車両の駐車後に前方に近接して他の車両が停止してしまった時でも、後方の適切な間隔を利用して、一旦後退した後縦列駐車領域を出る運転操作を行うことができるので、前記フロントカメラ4を用いた前記処理は、リアカメラ5を用いた後述する処理に対しては、従たる処理となり、コストの面等から必要とされない場合もあり得る。
【0040】
図1のリアカメラ5による自車両の後方の撮影画像についても、前記フロントカメラ4の撮影画像を用いた各種処理と同様の処理を行うが、ここでは特に自車両の縦列駐車に際して、主目的として後方車両が無理なく縦列駐車から発車できるようにするための処理を行う点において、前記フロントカメラの撮影画像を用いた各種処理が、特に自車両が無理なく縦列駐車から発車できるようにするための処理を行うことを主目的としている点で大きく異なっている。
【0041】
即ち、リアカメラ5の撮影画像を入力する撮影画像後方障害物検出部21には後方車両車種認識部22を備え、縦列駐車の最終段階で図13(c)のように後方車両3との間隔bを調節するための移動を行う時、リアカメラの撮影画像における広角の撮影領域の画像を利用し、後方車両の全体形状、或いは黄色ナンバープレート等を認識し、例えば図12に示すように後方車両の車種を認識する。このような車種の認識により、それぞれの車種毎の平均的な最小回転半径を初めとする各種の車両データを用い、後方車両が無理なく縦列駐車から発車することができる車間距離を維持して縦列駐車を行うようにする。
【0042】
図12に示す車種認識態様の例においては、同図(a)では特にナンバープレートの色が黄色であるか否かを認識し、黄色である時には軽自動車であると判断する。同図(b)では車両外形が横長であることにより、この第1形状の車種はセダンであることが認識され、同図(c)では車両の外形が正方形に近いことにより、この第2形状の車種はSUV車であることが認識される。
【0043】
また同図(d)では車両の外形が縦長の矩形であることにより、この第3形状の車種はミニバン系統の車種であることが認識される。更に同図(e)では車両の外形が正方形或いは縦長の長方形であり、自車両との間隔の割に特に大きな車体であることを認識するとともに、車両上方の行き先表示部等によって、この第4形状はバスであることを認識する。同図(f)では車両の外形がほぼ正方形から縦長の長方形であり、同様に大きな車体であるものの行き先表示部が無いことと等を認識し、この第5形状はトラックであることが認識される。
【0044】
後方障害物検出部21には後方車両ナンバー認識部23を備え、前記前方車両ナンバー認識部7と同様に、後方車両3のナンバープレートの画像部分からナンバーを認識する。その認識結果は後方車両ナンバー記憶部24に記憶しておく。後方撮影画像内縦列駐車後方案内マーク表示処理部25では、車種別データ記憶部26において、前記後方車両車種認識部22で図12のようにして認識した車種に応じて、最小回転半径を含む各種の車両の長さや幅等の車両データを記憶しておく。
【0045】
このとき記憶するデータは、前記自車両データ記憶部11に記憶する車両のデータとほぼ同様の各種データについて車種毎に記憶する。この車種毎のデータについて、例えば最小回転半径Rは、数年間の間に生産された各車種に含まれる車両のデータを用いて、予め平均値を得ることにより、そのデータを車種別最小回転半径データとして記憶部に入力し記憶しておく。図12の例においては、同図の(a)〜(f)の車種に応じて、例えば最小回転半径Rとして、R=a〜fのデータが存在することを示している。
【0046】
後方撮影画像内縦列駐車後方案内マーク表示処理部25における車種別縦列駐車後方案内マーク表示部27では、前記縦列駐車前方案内マーク表示部12と同様に、例えば図9(a)〜(c)のような縦列駐車後方案内マークMBを表示する処理を行う。その処理に際しては、前記縦列駐車前方案内マークMFの表示に際しては自車両が一旦後退することなく前進のみで容易に縦列駐車状態から容易に発車することができるようにする案内マークであるのに対して、縦列駐車後方案内マークMBについては第1に、後方車両が縦列駐車中から容易に発車することができるようにする点で異なっている。
【0047】
そのため、車種別縦列駐車後方案内マーク表示部27では、前記のような後方車両の車種を認識し、その車種に対応した最小回転半径データを含む車両の各種データを車種別データ記憶部26から読み込み、後方車両が容易に縦列駐車から発車するための距離を演算し、その距離に対応した位置に縦列駐車後方案内マークMBをモニタ内に表示する。その距離は前記縦列駐車前方案内マーク表示部12と同様の手法で、図8と同様の演算手法によって、後方車両の車種に応じた適切な位置に縦列駐車後方案内マークMBを表示することができる。
【0048】
図1に示す例においては、後方撮影画像内縦列駐車後方案内マーク表示処理部25に縦列駐車後方案内補助マーク表示部28を備え、前記縦列駐車前方案内補助マーク表示部13と同様に、図11(a)に示すような縦列駐車後方案内マークMBよりも自車両から所定距離遠い位置に、縦列駐車後方案内補助マークMB’を表示する。この表示は前記縦列駐車前方案内補助マーク表示部13と同様の趣旨で表示するものであり、比較的駐車領域の車両が少ない時にこれを選択して表示し、その案内表示を目安にして、後方車両との自然な車間距離が得られるように駐車する。したがってこの補助マークの表示に際しては、後方車両の車種に関わらず所定の距離に設定しても良い。
【0049】
前記縦列駐車後方案内補助マークMF’は、上記趣旨以外に、縦列駐車後方案内マークが前記のように車種毎の最小回転半径等の車両データの平均値によって、モニタ内での表示位置を変化させるのに対して、そのような車種毎の値を用いることなく、現在生産され、通常一般的に使用されている車両、車種について、ほとんどの車両に対して適用できる値である最大値を設定し、その最大値の車両でも縦列駐車から発車できる位置に縦列駐車後方案内補助マークを表示しても良い。その際には、前記縦列駐車後方案内マークMFに替えてこの縦列駐車後方案内補助マークMF’を表示し、或いは上記最大位置に設定した縦列駐車後方案内マークMFを表示する等、種々の態様で実施することができる。
【0050】
モニタに表示された縦列駐車後方案内マークを利用する例を図9に示しており、同図(a)では後方車両3との間が広すぎることわかり、運転者はこれを見て後退し、同図(b)のように後方車両3の画像の前端位置に対応する後方車両の画像の下端部分が、縦列駐車後方案内マークMBと一部が重なる時、後退を停止する。また、同図(c)のように後方車両3の画像の下端部分が、縦列駐車後方案内マークMBよりも下の部分に存在する時、即ち、縦列駐車後方案内マークMFの手前側に進入している時、運転者は同図(b)の画像となる位置まで車両を前進させる。
【0051】
上記後方撮影画像内縦列駐車後方案内マーク表示処理部25の処理により、縦列駐車後方案内マークを表示することによって、運転者はこのマークを目安に縦列駐車の最終段階で前進及び後退を行うことによって、後方車両との適切な車間距離を維持することができるものであるが、図1に示す例においては更に、後方車両との車間距離が適切ではないことを警告することができるようにした例を示している。
【0052】
即ち、図1の例では後方の車両が縦列駐車後方案内マーク内に進入したことを検出する、後方車両縦列駐車後方案内マーク内進入検出処理部29を備え、前記前方障害物縦列駐車前方案内マーク内進入検出処理部14と同様の処理を行う。図2の後方車両縦列駐車後方案内マーク内進入検出処理部29には、後方車両縦列駐車後方案内マーク内進入量検出部30を備え、前記前方障害物縦列駐車前方案内マーク内進入量検出部15と同様の処理を行う。
【0053】
また、後方車両縦列駐車後方案内補助マーク内進入検出部31では、前記前方障害物縦列駐車前方案内補助マーク内進入検出部16と同様の処理を行う。後方車両近接警告部32においては、前記前方障害物近接警告部17と同様の処理を行うものであり、例えば図9(c)のように後方車両3の画像の下端部分が、縦列駐車後方案内マークMBよりも所定量以上下方であるTBだけ下方に存在する時、これを検出して警告を発する。
【0054】
縦列駐車中車両発車時確認処理部35においては、前記のような処理によって所定の縦列駐車を行った後、この縦列駐車中の状態から車両を発車する時、実際に円滑に発車できる状態にあるか否かを確認する処理を行う。図1の縦列駐車中車両発車時確認処理部35には、縦列駐車時前後車両ナンバー読込出力部36を備え、特に前方車両ナンバー記憶部8のデータと、後方車両ナンバー記憶部24のデータとを読み込み、モニタにそのナンバーを表示する等の出力を行う。それにより運転者は縦列駐車からの発車時にフロントカメラ4の画像を取り込んでナンバーを認識し、或いは運転者が前方車両のナンバーを視認することによって、現在の前方車両と前記所定の縦列駐車を行った時の前方車両とが一致するか否かを判断する。
【0055】
ここで特に前方車両が異なっていると判断した時には、この縦列駐車案内装置によって駐車した時の機能は実質的に解除されてしまっているものとして、通常の状態と同様に十分注意しながら縦列駐車領域からの脱出のための運転操作を行うこととなる。また、車両が同じである時には、前方車両とは自車両が余裕をもって縦列駐車領域から脱出することができることがわかるので、後退することなく、または必要に応じて適宜後退し、安心して発車することができる。
【0056】
また、前記のように前方車両が縦列駐車時と同じ時には、特に後方車両が縦列駐車時と同じであるか否かは問題とならないが、もしも異なる時には、一旦後退してから縦列駐車領域から脱出しなければならない場合が存在するので、もしも後方車両が縦列駐車時と同じ時には、後方車両との間に充分な距離が存在することがわかっているので、安心して後退し、発車操作を行うことができる。
【0057】
図1に示す例においては縦列駐車中前後車両変更警告部37を備え、前記縦列駐車時前後車両ナンバー読込出力部36で読み込んだ縦列駐車時の前後車両のナンバーが、現在のフロントカメラの画像によって認識された前方車両ナンバーと一致するか否か、また、現在のリアカメラの画像によって認識された後方車両ナンバーと一致するか否かを判断し、異なっている時は前方、或いは後方、更には両方の車両が縦列駐車時と異なっている旨の警告出力を行うようにしている。
【0058】
図1に示す縦列駐車中発車時確認処理部35には、縦列駐車中発車時前方障害物間隔検出部38を備えており、縦列駐車中から発車する時、フロントカメラ4の画像によって、自車両の前方の所定距離の範囲に他の車両等の障害物が存在するか否かを判別する。このときの所定距離としては前記縦列駐車後方案内マークMFの表示位置と同じにすることができるが、安全のためにそれよりも離れた距離に設定しても良い。また、前方障害物との間隔の検出に際しては、撮影画像自体によって検出することもできるが、モニタに表示された障害物のモニタ上の位置によっても、更に縦列駐車後方案内マークMFとの位置関係によっても検出することができる。
【0059】
縦列駐車中発車時前方障害物近接警告部39では、前記縦列駐車中発車時前方障害物間隔検出部38で検出した前方障害物との距離が所定距離以内である時、そのまま出発すると障害物と接触する危険性があることを、モニタへの表示、音声による案内、ビープ音等で警告する出力を行う。
【0060】
なお、縦列駐車時前後車両ナンバー読込出力部36、更には縦列駐車中前後車両変更警告部37を備える時は、縦列駐車中発車時前方障害物間隔検出部38、更には縦列駐車中発車時前方障害物近接警告部39を用いなくても良く、逆に縦列駐車中発車時前方障害物間隔検出部38、更には縦列駐車中発車時前方障害物近接警告部39を備える時には、縦列駐車時前後車両ナンバー読込出力部36、更には縦列駐車中前後車両変更警告部37を備えなくても良い。但し、これらを全て備え、必要に応じて使用を切り替え、或いは両方同時に用いるようにしても良い。
【0061】
図1に示すような本発明を各種の態様で実施する縦列駐車案内装置においては、例えば図2に示す作動フローにより順に作動させることにより種々の態様で実施することができる。図2に示す縦列駐車案内処理の例においては、最初縦列駐車のために車両を後退させると(ステップS1)、リアカメラが作動し(ステップS2)、その撮影画像により車両の後方に縦列駐車中の他車が存在するか否かの判別を行う(ステップS3)。
【0062】
ここでリアカメラの撮影画像中には縦列駐車中の車両が存在しないと判断した時には、この縦列駐車において前後の車両の間隔を調整する操作段階に至ったか否かを判別する。なお、図2に示す例では車両後退時に常に以降の縦列駐車案内処理を行うようにした例を示しているが、別途運転者が縦列駐車案内指示を行うことにより、この縦列駐車案内処理を開始するように設定しても良い。
【0063】
即ち、縦列駐車は前記のように、基本的には図13(a)〜(c)のように行われ、最終的に同図(c)に示すように前後の位置調節態様の操作が行われる。したがって同図(a)及び(b)のようなハンドルを大きく回転操作した状態で車両を後退させる態様から、ハンドルをほとんど回転操作することなく車両を前後させる状態に至ったとき、縦列駐車の操作は、前後の車両間隔を調整する操作段階に至ったと判断することができる。
【0064】
ステップS11において未だ縦列駐車の前後車両間隔調整を行う操作段階に至っていないと判別した時、即ち図13(a),(b)のようにハンドルを大きく回転操作している状態で後退を行っている時には、ステップS1に戻ってその後退を継続し、前記作動を繰り返す。また、ステップS11で前後車両間隔を調整する段階に至ったと判別した時には、その段階でも車両の後方に縦列駐車中の他車が存在しないと判別した際は、実際に車両の後方には縦列駐車に際して車間距離を調節する車両が存在しないものとし、以降はステップS9に進んで、図3に示すようなフロントカメラ撮影画像による前方障害物との間隔確保処理を行う。
【0065】
ステップS3で車両後方に縦列駐車中の他車が存在すると判別した時、即ちリアカメラ撮影画像中に車両が存在することを検出した時には、後方車両の車種を認識する(ステップS4)。この車種の認識に際しては、例えば前記図12に示す手法によって認識することができる。次いで、リアカメラ撮影画像中に後方車両の車種に対応した縦列駐車後方案内マークを表示する(ステップS5)。
【0066】
この作動に際しては、図1の後方撮影画像内縦列駐車後方案内マーク表示処理部25における、車種別縦列駐車後方案内マーク表示部27において、後方車両車種認識部22で認識した車種に対応して、車種別データ記憶部26に記録している最小回転半径の車種別平均値等の車両データを読み込み、図8に示すような適宜の余裕車間距離S3を考慮して、縦列駐車後方案内マークを例えば図9(a)〜(c)に示すように、モニタ内に表示する事により行う。
【0067】
その後、後方車両は縦列駐車後方案内マークと重なっているか否かを判別し(ステップS6)、例えば図9(a)のように未だ縦列駐車後方案内マークMBと後方車両2の画像とは重なっていない時には、更に車両を後退する(ステップS12)。この作動を繰り返すことにより、或いは最初から後方車両は縦列駐車後方案内マークと重なっていると判別した時と共にステップS7に進み、重なった量は所定以上か否かを判別する。
【0068】
ここでは例えば図9(c)に示すように、後方車両の画像における下端位置が縦列駐車後方案内マークMBと重なり、更に後方車両が自車両に接近している量、即ち後方車両が縦列駐車後方案内マークMBよりも内側に進入した進入量TBが所定量以上であると運転者が判断した時には、車両を前進させ(ステップS13)、例えば図9(b)のように、縦列駐車後方案内マークと適切に重なる位置とする。その過程でも前進し過ぎて再び同図(a)のような状態になることを考慮し、ステップS6に戻って前記作動を繰り返す。
【0069】
前記の例においては図9に示すように縦列駐車後方案内マークMBを表示している状態で、運転者がそのマークと後方の車両との位置関係を確認しながら車両を前後移動させる例を示したが、図1に示すような後方車両が縦列駐車後方案内マーク内に進入したことを検出する、後方車両縦列駐車後方案内マーク内進入検出処理部29を備える時には、図9(c)のような進入量TBを計測し、その量が所定以上であることを検出した時に後方車両近接警告部32からモニタへの表示或いは音声等で警告を出力するようにしても良い。
【0070】
ステップS7で重なった量は所定以上ではないと判別した時には、その重なりは適切な量であると判断し、次いで後方車両のナンバーを認識して記憶する(ステップS8)。その後図2の例では、図3に示すようなフロントカメラ撮影画像による前方障害物との間隔確保処理を行い、後述する図3のステップS26で前方車両のナンバーを記憶した状態で、最終的に車両の電源をオフし(ステップS10)、前記一連の処理を終了する。
【0071】
なお、図2に示す例においては最初にリアカメラの撮影画像により後方車両との適切な間隔を確保する処理を行い、その後ステップS9でフロントカメラの撮影画像により前方の障害物との間隔確保処理を行う例を示したが、先にフロントカメラの撮影画像により前方の障害物との間隔確保処理を行う態様で本発明を実施することができる。
【0072】
図2のステップS9におけるフロントカメラ撮影画像による前方障害物との間隔確保処理は図3に示すように、最初フロントカメラを作動し(ステップS21)、次いでフロントカメラ撮影画像中に縦列駐車前方案内マークを表示する(ステップS22)。この縦列駐車前方案内マークの表示に際しては、図1の縦列駐車前方案内マーク表示部12で、自車両の最小回転半径のデータ等の車両データを用いて得られている位置に、図10(a)〜(c)のように表示する。
【0073】
次いで前方障害物画像は縦列駐車前方案内マークと重なっているか否かを判別する(ステップS23)。ここで例えば図10(a)のように前方車両2が縦列駐車前方案内マークMFと重なっていないと判別した時に運転者は車両を前進させ(ステップS27)、再びステップS23に戻って前記作動を繰り返す。その過程で図10(b)、或いは同図(c)のように前方車両の画像、或いは各種障害物の画像が縦列駐車前方案内マークMFと重なる。
【0074】
その時にはステップS23で前方障害物画像は縦列駐車前方案内マークと重なっていると判別し、次いでその重なった量は所定以上か否かを判別する(ステップS24)。この判別は、運転者が例えば図10(b)または(c)のような画面を見て、同図(c)のように重なった量TFは所定以上であると判断すると、運転者は車両を後退し(ステップS28)、その時の後退のし過ぎ考慮して再びステップS23に戻り、前記作動を繰り返す。
【0075】
その後図10(b)のように重なった量が所定以上ではなく、所定以内であると判断した時、車両前方の障害物は縦列駐車中の他車か否かを判別する(ステップS25)。即ち、フロントカメラで監視するべきものは、縦列駐車からその後出発する時、前方の障害物によってスムーズな発車を行うことができないことを防止するためであり、したがって前方障害物は車両以外の縁石や塀等の物体である場合があるので、ここでは車両前方の障害物は縦列駐車中の他車か否かを判別し、車両である時には前方車両のナンバーを認識して記憶する(ステップS26)。図10の例においては、同図(e)に示すように、ナンバーが「DEF」であると認識し、これを記憶する。
【0076】
その後前記ステップS25で、車両前方の障害物は車両ではなく、例えば縁石や塀等であると判別した時と共にステップS29に進み、図2のステップS10において車両の電源をオフし、一連の縦列駐車案内処理を終了する。
【0077】
上記のような一連の縦列駐車案内を行って縦列駐車を行った後において、その後この縦列駐車の状態から発車する時には、例えば図4に示す作動フローにより、前記図2及び図3の処理において記憶した後方車両及び前方車両のナンバーを記憶している時、このデータを利用して発車時の確認処理を行う。そのための処理を行う図4に示す縦列駐車中車両の発車時確認処理の第1の態様においては、最初に発車のために車両の電源をオンし(ステップS41)、次いで図示の例では縦列駐車案内確認出力要求を行っている(ステップS42)。
【0078】
即ち、図示の例においてはステップS42で運転者が確認出力要求を行うことによって以降の処理を行うものとしているが、このような出力要求を運転者が行わない時でも前記一連の縦列駐車案内処理を行った時には、或いはその案内処理に際して前記のように車両のナンバーを記憶した時には、自動的に以降の確認処理を行うようにしても良い。
【0079】
その後縦列駐車時の前方及び後方の車両のナンバーを読み込んで出力する。図4に示す例においては、次いで縦列駐車時と現在と出前方或いは後方の車両が異なっているかの確認処理を行う。この時の確認処理は、例えば前記ステップS43において、モニタに表示された縦列駐車時の前方及び後方の車両のナンバーを運転者が見て、現在の前方及び後方の車両のナンバーとが一致するか否かを確認し、そのナンバーが異なっている時には発車時の運転に充分注意して運転することによってステップS44の処理を行うことができる。
【0080】
また、そのような確認処理を運転者のみに任せるのではなく、自動的に確認を行う時には、例えば図5に示すような、縦列駐車時と現在とで前方或いは後方の車両が異なっているかの自動確認処理を行っても良い。図5に示す前記自動確認処理においては、最初リアカメラ及びフロントカメラを作動し(ステップS51)、次いで現在の後方及び前方の車両のナンバーを認識する(ステップS52)。
【0081】
その後前記図4のステップS43で読込出力した縦列駐車時の車両ナンバーと、現在の車両ナンバーとでは、そのナンバーが異なるか否かを判別する(ステップS53)。ここでいずれかの車両のナンバーが異なっていると判別した時には、縦列駐車時と現在とでは前方或いは後方の車両が異なっている旨の警告出力を行い(ステップS54)、次いで前記ステップS53で縦列駐車時と現在とでは車両のナンバーが同じであると判別した時と共にステップS55に進んで、この一連の処理を終了する。この処理によって、図2及び図3に示す一連の縦列駐車案内処理を行った後にここから発車する時には、運転者に依存することなく、自動的に確認を行うことができる。
【0082】
縦列駐車中の車両がその場から出発しようとする時、特に前方に存在する障害物を考慮して発車する際の確認処理は、前記のようなナンバーによる確認以外に、フロントカメラの撮影画像と、図10(a)〜(c)に示すような縦列駐車前方案内マークMFの表示を利用して、例えば図6に示す確認処理を行うことによっても実施することができる。
【0083】
即ち、図6に示す縦列駐車中車両の発車時確認処理の第2の態様においては、最初車両の電源をオンした後(ステップS61)、図6に示す例においては前記図4のステップS42と同様に、運転者が縦列駐車案内確認出力要求を行ったとき(ステップS62)、フロントカメラを作動する(ステップS63)。次いでフロントカメラの撮影画像を認識処理して、前方に障害物が存在するか否かを判別する(ステップS64)。
【0084】
ステップS64において前方に障害物が存在すると判別した時には、前方の障害物は縦列駐車前方案内マークと所定以上重なっているか否かを判別する(ステップS65)。ここで、例えば図10(c)のように、前方の車両等の障害物と、自車両が安全にこの駐車領域から脱出することができる間隔を示す縦列駐車前方案内マークMFとが所定量以上重なっていることを検出したときには、このまま発車すると障害物と接触して危険である旨の警告を出力する。この警告はモニタへの表示以外に、必要に応じて音声或いはビープ音等で出力する。
【0085】
この警告出力により運転者は前方障害物が縦列駐車前方案内マークに所定量以上重ならなくなる迄車両を後退させ(ステップS67)、その後前記ステップS65において前方に障害物が存在しないと判別した時、及びステップS65で前方の障害物は縦列駐車前方案内マークと所定以上重なっていないと判別した時と共に、ステップS68に進んでこの一連の確認処理を終了する。
【0086】
本発明は前記のように図2及び図3に示すような態様によって縦列駐車の案内を行い、図4〜図6に示すような態様によってその後の縦列駐車位置からの発車時の処理を行うことにより、本発明を実施することができるが、これらは本発明の一部の態様を示しているに過ぎず、更に前記と同様の趣旨によって各種の態様で実施することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0087】
1 自車両
2 前方車両
3 後方車両
4 フロントカメラ
5 リアカメラ
6 前方障害物検出部
7 前方車両ナンバー認識部
8 前方車両ナンバー記憶部
10 前方撮影画像内縦列駐車前方案内マーク表示処理部
11 自車両データ記憶部
12 縦列駐車前方案内マーク表示部
13 縦列駐車前方案相補助マーク表示部
14 前方障害物縦列駐車前方案内マーク内進入検出処理部
15 前方障害物縦列駐車前方案内マーク内進入量検出部
16 前方障害物縦列駐車前方案内補助マーク内進入検出部
17 前方障害物近接警告部
21 後方障害物検出部
22 後方車両車種認識部
23 後方車両ナンバー認識部
24 後方車両ナンバー記憶部
25 後方撮影画像内縦列駐車案内マーク表示処理部
26 車種別データ記憶部
27 車種別縦列駐車後方案内マーク表示部
28 縦列駐車後方案内補助マーク表示部
29 後方車両縦列駐車後方案内マーク内進入検出処理部
30 後方車両縦列駐車後方案内マーク内進入量検出部
31 後方車両縦列駐車後方案内補助マーク内進入検出部
32 後方車両近接警告部
35 縦列駐車駐中車両発車時確認処理部
36 縦列駐車時前後車両ナンバー読込出力部
37 縦列駐車中前後車両変更警告部
38 縦列駐車中発車時前方障害物間隔検出部
39 縦列駐車中発車時前方障害物近接警告部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後方を撮影するリアカメラと、
前記リアカメラの撮影画像を表示するモニタと、
自車両が縦列駐車する時に後方に存在する車両が、当該車両と自車両との間隔を用いて縦列駐車位置から発車することができる間隔に対応したモニタの位置に、縦列駐車後方案内マークを表示する縦列駐車後方案内マーク表示処理部とを備えたことを特徴とする縦列駐車案内装置。
【請求項2】
前記リアカメラの撮影画像により後方に存在する車両の車種を認識する後方車両車種認識部を備え、
前記縦列駐車後方案内マーク表示処理部は、前記後方車両車種認識部で認識した後方車両の車種に対応して、その車種の車両データによって縦列駐車後方案内マークの表示位置を決定することを特徴とする請求項1記載の縦列駐車案内装置。
【請求項3】
前記縦列駐車後方案内マーク表示処理部は、通常の大部分の車両が、当該車両と自車両との間隔を用いて縦列駐車位置から発車することができる間隔に対応したモニタの位置に、縦列駐車後方案内マークを表示することを特徴とする請求項1記載の縦列駐車案内装置。
【請求項4】
前記リアカメラの撮影画像により後方に存在する車両のナンバーを認識する後方車両ナンバー認識部と、
前記後方車両ナンバー認識部で認識した後方車両のナンバーを記憶する後方車両ナンバー記憶部と、
前記後方車両ナンバー記憶部に記憶したナンバーを読み込んで出力する縦列駐車後方車両ナンバー読込出力部とを備えたことを特徴とする請求項1記載の縦列駐車案内装置。
【請求項5】
車両の前方を撮影するフロントカメラと、
前記フロントカメラの撮影画像を表示するモニタと、
自車両が縦列駐車する時に前方に障害物が存在する際、自車両が当該障害物と自車両との間隔を用いて縦列駐車位置から発車することができる間隔に対応したモニタの位置に、縦列駐車前方案内マークを表示する縦列駐車前方案内マーク表示処理部とを備えたことを特徴とする縦列駐車案内装置。
【請求項6】
前記フロントカメラの撮影画像により前方に存在する障害物としての車両のナンバーを認識する前方車両ナンバー認識部と、
前記前方車両ナンバー認識部で認識した前方車両のナンバーを記憶する前方車両ナンバー記憶部と、
前記前方車両ナンバー記憶部に記憶したナンバーを読み込んで出力する縦列駐車前方車両ナンバー読込出力部とを備えたことを特徴とする請求項5記載の縦列駐車案内装置。
【請求項7】
前記後方車両ナンバー認識部または前記前方車両ナンバー認識部で縦列駐車後に認識したナンバーと、前記縦列駐車後方車両ナンバー読込出力部または前記縦列駐車前方車両ナンバー読込出力部で出力したナンバーとが互いに異なる時警告を出力する縦列駐車駐車両変更警告部とを備えたことを特徴とする請求項4または6に記載の縦列駐車案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−16395(P2011−16395A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160891(P2009−160891)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】