説明

縦型ウエハボート

【課題】純化処理の純化効率を向上した、長尺化したウエハ支持部を有する縦型ウエハボートを提供する。
【解決手段】天板7には、載置されるウエハWの中心点を中心として形成された開口部7aと、前記開口部7に通じるウエハの挿入側に形成されたスリット部7bとを備え、前記スリット7の幅Tが前記天板7の幅φDの35%以上45%以下であり、更にウエハ支持部2a,3a,4a,5aの先端部から支柱部2b,3b,4b,5b方向に向かって、ウエハ支持部2a,3a,4a,5aの長さの40%以上60%以下の位置まで上面角部2a1,3a1,4a1,5a1が面取りされ、かつ前記面取り終端位置から前記支柱部2b,3b,4b,5bまでの上面角部2a2,3a2、4a2,5a2が90°以下の角度をもって形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハの熱処理で使用する縦型ウエハボートに関し、特に、長尺なウエハ支持部を有する縦型ウエハボートに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造に使用されるウエハは熱処理が施されており、この熱処理は、熱処理装置内に多数のウエハを載置した縦型ウエハボートを収容することによってなされる。
【0003】
ところで、最近のウエハは大口径化し、それに伴いウエハにスリップが生じ易く、その対策は重要な問題である。このスリップを抑制する対策として、例えば、特許文献1において、ウエハ支持部がウエハの外周部からウエハ半径の40〜60%の位置まで支持することで、ウエハの変形を最小化して、スリップの発生を抑制する発明が提案されている。
【0004】
この提案された縦型ウエハボートについて、図8に基づいて説明する。尚、図8は縦型ウエハボートを、その上部から透視して見た状態を示している。
図8において、ウエハボート100は、鉛直方向に互いに平行状態に配置されたウエハ挿入方向Xから見た前方の支持部材101,102および後方の支持部材103,104を具備しており、これらの各支持部材101,102,103,104は、円板形状の基台(底板)上に立設され、さらに各支持部材の上端部は、円板状の上部固定部材(天板)によって支持されている。
尚、図8に示された外周円を示す符号105は、このウエハボート100の上部固定部材(天板)を示している。また、仮想線で示す符号Wは、このウエハボート100に搭載されるウエハの搭載位置を示している。また矢印Xは、ウエハボート100に対するウエハWの挿入方向を示している。
【0005】
そして、前記各支持部材101〜104は、支柱部101b,102b,103b、104bとこれら支柱部101b,102b,103b、104bの側面よりそれぞれ水平に突出して形成される複数のウエハ支持部101a,102a,103a,104aから構成されている。
【0006】
また、ウエハ挿入方向前方側に位置する支持部材101,102及びウエハ挿入方向後方側に位置する支持部材103,104は、ウエハWの挿入中心点Oを通りウエハWの挿入方向Xに伸びた仮想線hに対して線対称に構成されている。
また、前記ウエハ挿入方向前方側に位置する支持部材101,102は、ウエハ支持部を含む水平断面が略への字状に形成され、一方ウエハ支持部103a,104aは支持部材103,104から略直線状に延設されている。
ここで、ウエハ挿入方向前方側に位置する支持部材101,102のウエハ支持部101a,102aのウエハ挿入中心に向かう先端部、ウエハ挿入方向前方側に位置する支持部材103,104の先端部が、ウエハWの半径の40〜60%に位置するように構成されている。
【0007】
この構成によって、ウエハWは、各ウエハ支持部101a,102a,103a,104aによって支持され、ウエハWの変形を抑制できる。その結果、ウエハ挿入側溝のウエハ挿入側方向前方位置への応力集中を緩和することができ、スリップの低減対策を有効ならしめることができる。
【特許文献1】特開2006−080452号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記したような、載置されるウエハ半径の40〜60%の位置まで延設されたウエハ支持部を有する縦型ウエハボート、いわゆる長尺形状のウエハ支持部を有する縦型ウエハボートの場合、ウエハの変形を最小化する点では極めて有効なものではあるが、ウエハのスリップ発生をより確実に抑制することができないという技術的課題があった。
【0009】
また、縦型ウエハボートは使用するにつれて、縦型ウエハボートに金属不純物が蓄積(転写)され、汚染されることが知られている。そのため、縦型ウエハボートは定期的に洗浄または純化処理することが行われている。
前記純化処理は、ウエハを積載しない縦型ウエハボートを熱処理炉に収容し、純化ガスを一定時間流すことにより、金属不純物を縦型ウエハボート表層から拡散除去することによって行なわれる。
【0010】
しかしながら、前記したように長尺形状のウエハ支持部を備えた縦型ウエハボートを純化する場合、縦型ウエハボートに配置されたウエハ支持部間の距離が小さく、更にウエハ支持部が長いため、純化ガスがウエハ支持部の支柱近傍まで十分に行き届かず、短時間で効率良く純化処理を行なうことができないという技術的課題があった。特に、純化ガスが滞留する領域においては、純化ガスが置換されないため、純化処理が不十分となるという技術的課題があった。
【0011】
本発明者等は、長尺化したウエハ支持部を有する縦型ウエハボートにおいて、ウエハの変形抑制の観点のみならず、この変形により生ずる発生応力の最小化の観点および、当該ボートでのガスの流れの観点から検討を行なった。
その結果、縦型ウエハボートの天板の開口部が特定形状寸法を有し、またウエハ支持部が特定配置ならびに特定構造を有している場合に、ウエハのスリップをより確実に抑制することができ、長尺化したウエハ支持部材の支柱部近傍まで純化処理を効率良く行なうことができることを見出し、本発明を想到するに至った。
【0012】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、ウエハのスリップをより確実に抑制することができ、純化処理の純化効率が向上した、長尺化したウエハ支持部を有する縦型ウエハボートを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明にかかる縦型ウエハボートは、天板と、前記天板に一端が固定され、他端が底板に固定された複数本の支柱と、前記支柱の側面から水平方向に突出し、載置されるウエハの中心からウエハの半径の60%以上75%以下の位置まで延設されたウエハ支持部とを有する縦型ウエハボートにおいて、前記天板には、載置されるウエハの中心点を中心として形成された開口部と、前記開口部に通じるウエハの挿入側に形成されたスリット部とを備え、前記スリットの幅が前記天板の幅の35%以上45%以下であり、更に、前記ウエハ支持部の先端から前記支柱方向に向かって、ウエハ支持部の長さの40%以上60%以下の位置まで上面角部が面取りされ、かつ前記面取り終端位置から前記支柱までの前記上面角部が90°以下の角度をもって形成されていることを特徴としている。
【0014】
ここで、前記天板の開口部面積が天板上面の面積の30〜40%であること、また前記天板のスリット幅がウエハ挿入方向前方側に位置する2つのウエハ支持部先端部の間隔と同一であることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ウエハのスリップをより確実に抑制することができ、純化処理の純化効率が向上した、長尺化したウエハ支持部を有する縦型ウエハボートを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明にかかる縦型ウエハボートの実施形態について、図1乃至図7に基づいて説明する。尚、図1は実施形態にかかる縦型ウエハボートの正面図、図2は図1に示した縦型ウエハボートの側面図、図3は縦型ウエハボートの天板の平面図、図4は、図1のI−I断面図、図5は、実施形態にかかる縦型ウエハボートの支持部の側面図、図6はウエハ挿入方向前方側の支持部の平面図、図7はウエハ挿入方向後方側の支持部の平面図である。
【0017】
図1、図2に示すように、縦型ウエハボート1は、鉛直方向に互いに平行状態に配置されたウエハ挿入方向Xから見た前方の支持部材2,3および後方の支持部材4,5を具備している。前記各支持部材2,3,4,5の下端部は、円板形状の底板6に立設され、さらに各支持部材2,3,4,5の上端部は、円板状の天板7によって支持されている。
【0018】
更に図4に基づいて 各支持部材2,3,4,5の構成を説明する。尚、図8に示した場合と同様に、図4の仮想線で示す符号Wは、この縦型ウエハボート1に搭載されるウエハの搭載位置を示し、矢印Xは、縦型ウエハボート1に対するウエハWの挿入方向を示している。
【0019】
前記各支持部材2,3,4,5は、支柱部2b,3b,4b,5bと、これら支柱部2b,3b,4b,5bの側面より、それぞれ水平に突出して形成される複数のウエハ支持部2a,3a,4a,5aから構成されウエハ支持部を含む水平断面が略への字状に形成されている。
また、前記各支持部材2,3,4,5におけるウエハ支持部2a,3a,4a,5aは、図1に示すように、縦方向に8mmピッチで50〜150個形成されている。
【0020】
また、ウエハ挿入方向前方側に位置する支持部材2,3は、ウエハWの挿入方向XとウエハWの挿入中心点Oを結ぶ仮想線hに対して線対称に構成されていて、ウエハ支持部2a,3aの先端部S2,S3は上面から見た場合半円形状となっている。
更に、ウエハ挿入方向後方側に位置する支持部材4,5は、ウエハWの挿入中心点Oを通りウエハWの挿入方向Xに伸びた仮想線hに対して線対称に構成されている。
そして、ウエハ挿入方向後方側に位置する支持部材4,5は、ウエハWの挿入中心点Oに向かって略直線状に形成され、ウエハ支持部4a,5aはウエハ挿入方向後方側の支持部材4,5からストレートに延設している。前記ウエハ支持部4a,5aの先端部S4,S5は上面から見た場合半円形状となっている。
【0021】
本発明においては、ウエハ支持部2a,3aの先端部S2,S3及びウエハ支持部4a,5aの先端部S4,S5は、ウエハの中心からウエハWの半径の60%以上75%以下の位置に配されるように構成されている。前記先端部S2,S3,S4,S5の各々が、当該所定位置に配置されることによって、発生応力を極力小さくすることができ、結果、ウエハのスリップ発生を低減できる。
なお、このウエハ支持部の先端部の位置は、上記の通り、ウエハ支持部が4箇所に存在する縦型ウエハボートにおいて最適なものであり、ウエハ中心からウエハ半径方向の65%以上75%以下がより好ましい。
【0022】
また、前記天板7の開口部7aは、純化時のガスの主流を天板7の中央に形成するために、天板7の中央部に形成されている。この開口部7aは、天板7の上面から見たとき、ウエハ支持部2,3,4,5の先端部S2,S3,S4,S5が開口部7a内側に突出しない、直径φAをもって形成されている。このようにすることによって、前記開口部7a内に突出したウエハ支持部2,3,4,5の先端部S2,S3,S4,S5によるウエハ中央側における特異なガスの乱れを生じ難くすることができ、より好ましい。
【0023】
前記開口部7aは、天板の中心(載置されるウエハの中心)を中心とした円形であることが望ましいが、特にこれに限定されるものではなく、その他の形状、例えば、正方形、六角形、八角形等の多角形,楕円径、星型、歯車型であっても良い。
【0024】
また天板7の外形の形状についても、一般的な円形が望ましいが、特にこれに限定されるものではなく、その他の形状、例えば、正方形,六角形,八角形等の多角形,楕円系,略星型,歯車型であっても良い。
【0025】
更に、天板7のウエハWの挿入側には、前記開口部7aに通じるスリット部7bが形成されている。前記スリット部7bの幅方向の中間点が、ウエハWの挿入方向XとウエハWの挿入中心点Oを結ぶ仮想線h上に位置するように、前記スリット部7bが形成されている。
【0026】
また、天板7のスリット部7bの幅Tは、天板の幅の35%以上45%以下の寸法が望ましい。ここで、前記天板7の幅とは、天板7が矩形形状である場合には、ウエハ挿入方向Xと直交する方向の長さを意味し、また天板7が円形である場合にはその直径φDを意味している。
このように、スリット部7bの幅Tを天板の幅の35%以上としたのは、35%未満では天板7を介して十分なガス供給量を確保できないためであり、一方天板の幅の45%以下としたのは、45%を越えた幅ではボートの強度が弱くなるため、好ましくないからである。
【0027】
また、図5、図6に示すように、ウエハ支持部2a,3aの先端部から支柱方向に、ウエハ支持部材2,3長さの40%以上60%以下の位置まで(ウエハ支持部2a,3a長さの40%以上60%以下の長さl1で)、ウエハ支持部2a,3aの上面角部2a1,3a1は面取りがなされている。
そして、前記面取りの終端位置から支柱部2b,3bまで(ウエハ支持部2a,3a長さの40%以上60%以下の長さl2で)、ウエハ支持部2a,3aの上面角部2a2,3a2が90°以下の鋭角の角度をもって形成されている。
【0028】
また、同様に図7に示すように、ウエハ支持部4a,5aの先端部から支柱方向に、ウエハ支持部4a,5a長さの40%以上60%以下位置まで(ウエハ支持部4a,5a長さの40%以上60%以下の長さl3で)、ウエハ支持部4a,5aの上面角部4a1,5a1は面取りがなされている。
そして、前記面取りの終端位置から支柱部4b,5bまで(ウエハ支持部4a,5a長さの40%以上60%以下の長さl4で)、ウエハ支持部4a,5aの上面角部4a2,5a2が90°以下の鋭角の角度をもって形成されている。
【0029】
本発明では、前記ウエハ支持部2a,3a,4a,5aの面取りは、スリップ発生の抑制とウエハ支持部2a,3a,4a,5aの支柱部2b,3b,4b,5bの近傍に発生させるガス乱流の発生効率との兼ね合いで規定される。
即ち、面取りがウエハ支持部2a,3a,4a,5aの先端から支柱方向にその長さの40%未満である場合には、面取りされていない部位がウエハWと接触する機会が増大するのでスリップが発生する可能性が高い。
一方、前記面取りがウエハ支持部2a,3a,4a,5aの先端から支柱方向にその長さの60%を超える場合には、面取りされていない領域が少なくなり(角部が90°以下の鋭角である領域が少なくなり)、前記鋭角な角部による支柱部近傍の乱流発生効果が得られ難くなる。尚、前記面取りはC面取り、R面取りを含むものである。
【0030】
また、前記面取りの終端位置から支柱部まで、ウエハ支持部2a,3a,4a,5aの上面の角部が90°以下の鋭角の角部を形成したのは、ガスが角部に当たった際に支柱部近傍での乱流を発生させることを目的としている。
前記ウエハ支持部2a,3a,4a,5aの上面の角部が90°を超える角部の場合には、角部でのガスの回り込みが小さくなり、特に、支柱部近傍での乱流が発生し難くなり、好ましくない。
なお、ウエハ支持部2,3,4,5の断面の形状は、特に限定されるものではなく、矩形、四角形、三角形、さらに上面以外は他面が曲面であっても良い。
【0031】
更に本発明では、天板7の開口部7aの面積が、天板7の上面の面積の30%以上40%以下に形成されていることがより好ましい。
このように開口部面積を規定したのは、天板7の下部にあるウエハ支持部2a,3a,4a,5aにガスが十分行き届くようにするためである。
具体的には、天板7の開口部7aの面積が、天板の上面の面積の30%未満では、ガスが十分にボートの下部まで供給されにくく、純化効果が十分に得られない虞がある。一方、開口面積が40%を超える場合は、上方から下方にボートを通過するガスの流れが増大して、ガスが支柱及びウエハ支持部に接触せず、単にガスがボート内部を通過するに過ぎない状態となり、やはり純化効果が十分に得られない虞がある。
【0032】
更に、前記天板7のスリット部7bの幅Tは、前記したウエハ挿入始端側の支持部先端部S2,S3の間隔と同一であることがより望ましい。
この場合、天板7の上面から見たときスリット部7bの縁部とウエハ支持部2a,3aの先端部S2,S3とが重なるため、ウエハ支持部2a,3aの先端部S2,S3がスリット部7bの内側に突出することによって生じるウエハ中央側の特異なガスの乱れをより確実に抑制できる。
【実施例】
【0033】
後の比較実験の条件説明で記載する方法の図1〜図4の縦型ウエハボートにおけるウエハ挿入方向前方側の支持部材2,3のウエハ支持部2a,3a及びウエハ挿入方向後方側の支持部材4,5のウエハ支持部4a,5aの長さと支持部2b,3b,4b,5bから延設する方向並びに天板7のスリット部7bの幅を変更し、天板7上方から見た場合に、ウエハ支持部2a,3a,4a,5aの先端が、天板7の開口部7a及びスリット部7bから突出しないボート設計における各部のパラメータをA,B,C,Dとし、それぞれを、
A:天板の幅に対するスリット幅の比率
B:ウエハ支持部の先端の位置(ウエハ半径に対するウエハ中心からの比率)
C:ウエハ支持部の面取り位置(ウエハ支持部長さに対するその先端からの長さ比率)
D:ウエハ支持部の面取り終端部から支柱までの上面角部の角度
とした場合、A〜Dの条件を表1に示すように変えて作製した縦型ウエハボートについて、比較実験を行なった。
【0034】
以下に、この比較実験の条件を説明する。
実験に使用した炉はφ300mm用縦型炉で、炉心管内径390mm×炉心管高さ1650mm、使用した縦型ウエハボートの外形は、天板と底板径330mm×ボート高さ1200mmである。この炉を用いた実験として、各縦型ウエハボートを同一の使用条件で連続10回熱処理したのち、評価用ウエハ1枚をボート中央部(ボート上部からの溝位置50溝目)に配置し、評価用の熱処理を施した。
【0035】
使用条件は、600℃でウエハを100枚積載した縦型ウエハボートを炉入れして1200℃間で昇温後1時間保持し、600℃まで降温したのち取出しした。また、評価用の熱処理としては、600℃で炉入れして1200℃まで昇温後10時間保持し、600℃間で降温したのち炉出しした。どちらの場合も、ガスは全工程アルゴンガス100%を毎分15リットル流した。
【0036】
MCLの評価は、12インチの鏡面仕上げシリコンウエハを用い、評価用熱処理後にこのウエハのMCL評価を実施した。MCL評価は、JIS K 0102−57.4の規格でICP−MS法による分析で、鉄元素を対象にして評価した。ウエハは、表面のうち中心から外周方向に向かって半径の80%より内側を部位1、その外側を部位2、部位1と部位2の結果を足したものを総合として分類し、それぞれの部位での分析値で比較した。なお、分析方法は特開2002−39927に記載の方法に準じた。
【0037】
MCL評価の判定指標は、分析結果の値によって3区分に分け、ランク付けした。すなわち、MCL値が1.0atoms/cc以上を△、を0.5〜1.0atoms/ccの範囲を○、0.5atoms/cc未満を◎とした。
【0038】
また、スリップ評価は、12インチの鏡面仕上げシリコンウエハ100枚を積載して前述の使用条件で1回熱処理したものを、ボート上部から1枚目,50枚目,100枚目の3枚のウエハについて、X線トポグラフにて面内を測定し、観測されたスリップの中で最も長い最大スリップ長で比較するという評価を行なった。
【0039】
このスリップ評価の判定指標は、最大スリップ長が30mmを越えるものがあった場合を△、最大スリップ長が10mm未満であった場合もしくはスリップ自体が存在しなかった場合を○という指標によって2区分に分け、ランク付けした。
【0040】
表1の比較実験による評価結果から、前記A〜Dいずれの条件もすべて本発明の所定範囲内とすることでウエハのスリップ発生が抑制され、かつ、支持部全体が高純度に純化されることが確認された。
【0041】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は実施形態にかかる縦型ウエハボートの正面図である。
【図2】図2は図1に示した縦型ウエハボートの側面図である。
【図3】図3は縦型ウエハボートの天板の平面図である。
【図4】図4は図1のI−I断面図である。
【図5】図5は実施形態にかかる縦型ウエハボートの支持部の側面図である。
【図6】図6はウエハ挿入方向前方側の支持部の平面図である。
【図7】図7はウエハ挿入方向後方側の支持部の平面図である。
【図8】図8は、従来の縦型ウエハボートのウエハ支持部を示す平面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 縦型ウエハボート
2 支持部材
2a ウエハ支持部
2a1 上面角部
2a2 上面角部
2b 支柱部
3 支持部材
3a ウエハ支持部
3a1 上面角部
3a2 上面角部
3b 支柱部
4 支持部材
4a ウエハ支持部
4a1 上面角部
4a2 上面角部
4b 支柱部
5 支持部材
5a ウエハ支持部
5a1 上面角部
5a2 上面角部
5b 支柱部
6 底板
7 天板
S1〜S4 ウエハ支持部先端部
W ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と、前記天板に一端が固定され、他端が底板に固定された複数本の支柱と、前記支柱の側面から水平方向に突出し、載置されるウエハの中心からウエハの半径の60%以上75%以下の位置まで延設されたウエハ支持部とを有する縦型ウエハボートにおいて、
前記天板には、載置されるウエハの中心点を中心として形成された開口部と、前記開口部に通じるウエハの挿入側に形成されたスリット部とを備え、
前記スリットの幅が前記天板の幅の35%以上45%以下であり、更に、前記ウエハ支持部の先端から前記支柱方向に向かって、ウエハ支持部の長さの40%以上60%以下の位置まで上面角部が面取りされ、かつ前記面取り終端位置から前記支柱までの前記上面角部が90°以下の角度をもって形成されていることを特徴とする縦型ウエハボート。
【請求項2】
前記天板の開口部面積が、天板上面の面積の30%以上40%以下であることを特徴とする請求項1に記載の縦型ウエハボート。
【請求項3】
前記天板のスリット幅が、ウエハ挿入方向前方側に位置する2つのウエハ支持部先端部の間隔と同一であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の縦型ウエハボート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−99576(P2009−99576A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−266479(P2007−266479)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(507182807)コバレントマテリアル株式会社 (506)
【Fターム(参考)】