説明

肺炎及び気管支の治療のためのステロイド及びβ−アゴニストの相互プロドラッグとしての置換されたフェニルホスファート

肺炎及び気管支収縮を阻害するためにエアロゾル化により送達するための製剤用のコルチコステロイドと置換されたフェニルホスファート(β−アゴニスト誘導体)の相互プロドラッグが記載されている。この相互プロドラッグは、噴霧により又は乾燥粉末吸入器により産生された主に1から5μの質量中位平均直径を有するエアロゾルによって、気管の炎症及び気管支収縮を治療するために、好ましくは、5.0と7.0の間のpHを有する1/4通常生理的食塩水中に溶解された小容積溶液(10から500μL)中に製剤化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル化による肺への送達のための、コルチコステロイド及びβ−アゴニストの新規相互プロドラッグの調製に関する。特に、本発明は、肺に送達されたときに、肺組織及び気道中に存在する内在性酵素がプロドラッグを分解して、投与の部位で、コルチコステロイド及びβ−アゴニスト(例えば、サルメテロール、アルブテロール)を放出させるように、相互ステロイド−β−アゴニストプロドラッグとして、置換されたフェニルホスファート−ステロイドを合成、製剤化及び送達することに関する。記載されている相互プロドラッグは、液体又は乾燥粉末の何れかとして製剤化され、この製剤は、主として1から5μの間の質量中央値平均直径を有するエアロゾル中において、気管の肺気管支内腔へプロドラッグの送達を可能にし、このような送達に適している。置換されたフェニルホスファートプロドラッグの製剤化され及び送達された有効量は、気道の疾患、特に、肺炎及び中度から重度の喘息を伴う気管支収縮並びに気管支炎又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療のために、ステロイド及びβ−アゴニストの両方の治療的量を送達するのに十分である。
【背景技術】
【0002】
喘息は、炎症促進性細胞(多くは、好酸球及び活性化されたTリンパ球(Poston, 1992;Walker, 1991))の気管支粘膜及び粘膜下への浸潤から生じる気道の慢性炎症性疾患である。これらの炎症促進性細胞による強力な化学的媒介物質(サイトカインなど)の分泌は、粘膜の透過性、粘膜の産生を変化させ、平滑筋の収縮を引き起こす。これらの因子の全てが、多様な刺激に対して、気道の増加した反応性をもたらす(Kaliner,1988)。
【0003】
1950年(Carryer,1950)に喘息の治療として最初に導入されたグルココルチコイドは、本疾患に対する最も強力且つ一貫して有効な治療法であり続けているが、それらの作用機序は、なお、完全には理解されていない(Morris,1985)。入手可能な証拠は、グルココルチコイドが強力な抗炎症特性を発揮する少なくとも1つの機序は、好酸球などの炎症性細胞を動員及び活性化するサイトカインの放出及び活性を阻害することによるものであることを示唆している(Schleimer,1990)。通常、好酸球は、アポトーシス又はプログラム化された細胞死の現象をもたらすが、インターロイキン5(IL−5)、インターロイキン−3(IL−3)及び顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)などのある種のサイトカインは、1又は2日から、4日又はそれ以上へと、好酸球の生存を増加させ、好酸球の活性化を引き起こす(Kita,1992)。Wallen(1991)は、グルココルチコイドが、好酸球の生存を濃度依存性の様式で増加させるサイトカインの能力を強力に遮断することを初めて示した。
【0004】
不幸なことに、経口のグルココルチコイド療法には、体幹の肥満、高血圧、緑内障、耐糖能障害、白内障形成の加速、骨塩喪失及び心理的効果など、多大な望ましくない副作用が伴い、これらの全てが、長期治療剤としてのグルココルチコイド療法の使用を制限する(Goodman and Gilman, 10th edition, 2001)。全身的な副作用に対する明白な解決策は、炎症の部位へステロイド薬を直接送達することである。従って、経口ステロイドの重い有害な効果を軽減するために、吸入されるコルチコステロイド(ICS)が開発された。ICSは、喘息における炎症を抑制する上で極めて有効であるが、口及び咽頭中に望ましくない副作用(カンジダ症、咽頭炎、発声障害)も生じさせる。経口グルココルチコイド及びICS療法に伴う副作用は、同様の抗炎症効果を発揮する薬剤に対する関心をもたらした。このような様々な薬剤が試験されてきた。例えば、経口投与されるステロイドの使用を患者に停止させる試みで、シクロスポリン(Szczeklik, 1991; Mungan, 1995)、メトトレキサート(Dyer, 1991)、トロレアンドマイシン(TAO)(WaId, 1986; Shivaram, 1991)及び金(Szczeklik, 1991; Dykewicz, 2001; Bernstein, 1988)の調製物が使用されてきた。同様に、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト(例えば、モンテルカスト[Singulair(R)]及びザフィルカスト[Accolate(R)])(Korenblat, 2001; Dykewicz, 2001; Wechsler, 1999)、コルヒチン(Fish, 1997)、サルメテロール(Lazarus, 2001; Lemanske, 2001)及び抗免疫グロブリンE(IgE) (Dykewicz,2001)は、吸入ステロイドの使用を患者に停止させるために使用されてきたが、限られた成功を収めているにすぎない。しかしながら、現在まで、グルココルチコイド療法に対する完全に満足のできる代替法は見出されていない。
【0005】
アルブテロール又はサルメテロールなどの気管支拡張剤は、反対の活動である収縮を遮断することによって、気道の平滑筋を弛緩させる。これらの気管支拡張剤の多くは、それらの作用様式として、β−アドレナリン受容体を活性化させる。その結果、喘息及びCOPDの作用部位である小さな末梢の気道の直径が2から3mm拡張する。
【0006】
ICS(カンジダ症、咽頭炎、発声障害)及びβ−アゴニスト(頻脈症、心室性律動障害、低カリウム症)の有害な副作用特性と関連する全ての問題及び不利益を検討して、このようなプロドラッグが肺に到達するまで、ステロイド及びβ−アゴニストの両者の薬理学的特性を遮蔽する水溶性の相互ステロイド−β−アゴニストプロドラッグを提供することによって、ICSの中咽頭副作用及びβ−アゴニストの心血管副作用を軽減することは極めて有利である。このような相互ステロイドβ−アゴニストプロドラッグは、肺酵素の作用によって、気管支内腔へ効果的に送達されて、活性な薬物へと変換されることにより、両薬物の治療的量を炎症及び気管支収縮の部位へ送達する。
【0007】
相互ステロイド−β−アゴニストプロドラッグは、気道を拡張するための治療剤を提供することにより、第二の成分(ステロイド)が、炎症の部位へ効果的に貫通及び到達できるようにする。投与の部位において、β−アゴニスト及びコルチコステロイドの持続的放出を与える両薬物の相互プロドラッグを有することが極めて望ましい。さらに、このような相互プロドラッグの肺からの吸収を乏しくし、及び十分に水溶性であるようにして、その製剤及び送達系における柔軟性を可能とすることが極めて望ましい。
【0008】
従って、ステロイド及びβ−アゴニストの相互プロドラッグとして、新規置換されたフェニルホスファートを提供することが本発明の第一の目的である。
【0009】
噴霧又は乾燥粉末送達用の液体又は固体剤形として安定である、相互プロドラッグの組成物を提供することが、本発明のさらなる目的である。このような組成物は、定量投薬吸入器、ジェット状の噴霧、超音波、加圧された若しくは振動する多孔性プレート噴霧器によって、又は主に1から5μのサイズ範囲内にあるエアロゾル粒子中への乾燥粉末によって効率的にエアロゾル化されることが可能であり、患者によって良好に耐容される相互プロドラッグエアロゾルを生成できるように塩分及びpHが調整されており、並びに、その製剤がさらに十分な保存寿命を有する活性物質の十分であるが、過剰でない濃度を含有する。
【発明の開示】
【0010】
発明の要旨
本発明は、ステロイド及びβ−アゴニストの相互プロドラッグとしての置換されたフェニルホスファート並びに肺炎及び気管支収縮を治療するための方法としての吸入による送達のためのそれらの使用及び製剤に関する。このプロドラッグは、帯電したホスファート及び四級アンモニウム基を取り込み、これらは、高い極性及び水溶性を分子に与え、肺DNA及びタンパク質に対するその親和性を付与することにより、迅速な全身吸収及び嚥下による吸収を最小限に抑える。さらに、相互プロドラッグは、アルカリホスファターゼの不存在下では活性化できないので、肺などの他の組織に比した、唾液中での本酵素の最小限の活性及び血漿中の低いホスファターゼ活性のために、中咽頭及び全身的副作用が除去される(Testa and Mayer, 2003)。
【0011】
より具体的には、本発明は、式I又はIIの化合物及び医薬として許容されるその塩に関する。
【0012】
【化8】

(Xは、S、N又は含窒素複素環であり(前記複素環中の窒素原子は、R及びRに結合されている。);
Wは、Cl、F、OH、ONO、OCO−アルキル、OCO−アリール、CN、S−アルキル及びS−アリールからなる群から選択され;
Cyclは、シクロアルキルであり、又は炭素原子がS若しくはOで置換されたシクロアルキルであり;
Yは、不存在であり又は−Z(CH(nは0から6であり及びZはS、O、N又はN−アルキルである。)であり;
及びRは、水素、アリール、低級アルキル及び置換された低級アルキルからなる群から独立に選択され若しくは不存在であり又は一緒になってC、O、S及びNから選択される2から10個の原子を有する非芳香環を形成し;
は、
【0013】
【化9】

(Rは、1から12個の炭素原子のアルキル基、アリールアルキル又は(炭素鎖中、O、S及びNから選択される原子で置換された1から3個のCH基を有する)置換されたアリールアルキルである。)
であり;並びに
及びRは、独立に、H、Cl又はFである。)
【0014】
本発明の好ましい実施形態には、Cyclがシクロヘキシルであり、Rがメチルであり、Rが不存在であり、YがXと結合されてピペラジン環を形成するN(CHであり、R
【0015】
【化10】

(Rは、(CHO(CHPh又はtert−ブチルである。)
であり、RがFであり、及びRがHである、式Iの化合物が含まれる。
【0016】
他の好ましい実施形態には、Cyclがシクロヘキシルであり、Rがメチルであり、Rが不存在であり、Yが不存在であり、XがSであり、R
【0017】
【化11】

(Rは、(CHO(CHPh又はtert−ブチルである。)
であり、RがFであり、及びRがHである、式Iの化合物が含まれる。
【0018】
本発明の他の好ましい実施形態には、Y、R及びRが不存在であり、並びにXが4−テトラチオヒドロピラニル環を形成し、WがOH又はCNであり、R
【0019】
【化12】

(Rは、(CHO(CHPh又はtert−ブチルである。)
であり、RがFであり、及びRがHである、式IIの化合物が含まれる。
【0020】
本発明の他の好ましい実施形態には、Y、R及びRが不存在であり、並びにXが3−ピリジル環を形成し、WがOH又はCNであり、Rが、
【0021】
【化13】

(Rは、(CHO(CHPh又はtert−ブチルである。)、
であり、RがFであり、並びにRがHである、式IIの化合物が含まれる。
【0022】
本発明の好ましい化合物の例には、
サルメテロール−ホスファート−16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−(4−メチルピペラジニウム)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)](実施例107);
アルブテロール−ホスファート−16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−(4−メチルピペラジニウム)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)](実施例109);
サルメテロール−ホスファート−16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−メチルスルホニウム−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)](実施例115);
アルブテロール−ホスファート−16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−メチルスルホニウム−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)](実施例117);
サルメテロール−ホスファート−16,17−[(テトラヒドロ−チオピラニリウム)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)](実施例120);
アルブテロール−ホスファート−16,17−[(テトラヒドロ−チオピラニリウム)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)](実施例122);
サルメテロール−ホスファート−16,17−[ピリジニウム−3−メチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16a](実施例133);
アルブテロール−ホスファート−16,17−[ピリジニウム−3−メチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α](実施例135);
サルメテロール−ホスファート−16,17−[ピリジニウム−3−メチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−シアノ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α](実施例137);及び
アルブテロール−ホスファート−16,17−[ピリジニウム−3−メチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−シアノ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α](実施例139)
が含まれる。
【0023】
本発明は、上に列記されている好ましい相互プロドラッグの合成方法及び肺酵素(特に、アルカリホスファターゼ)の作用によって、本発明の好ましい相互プロドラッグから放出される新規ステロイドにも関する。
【0024】
新規ステロイドは、式IIIによって示され、又は医薬として許容されるその塩によって記載される。
【0025】
【化14】

(Aは、シクロアルキル(S、O又はNRにより場合によって置換されている炭素原子を有する。)、ピリジル又は置換されたピリジルであり;
Bは、NR、イミダゾリル、CN、SCN、SR、Cl、F、OH、ONO、OCO−アルキル及びOCO−アリールからなる群から選択され;
及びRは、水素、アリール、ヘテロアリール、低級アルキル及び置換された低級アルキルからなる群から独立に選択され、若しくは不存在であり、又は、両者で、C、O、S及びNから選択される2から10個の原子を有する非芳香環を形成する。)
【0026】
式IIIの本発明の好ましい新規ステロイドには、
16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−(4−メチルピペラジン−イル)プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)](実施例27);
16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−メチルチオ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)](実施例51);
16,17−[(テトラヒドロ)−チオピラン−4−イル]ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11,12−ジヒドロキシ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)](実施例53);
16,17−[ピリジニル−3−メチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11,12−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)](実施例62);及び
16,17−[ピリジニル−3−メチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−シアノ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)](実施例83)
が含まれる。
【0027】
本発明は、重度から軽度の喘息、気管支炎、COPD又は肺炎及び気管支収縮に関連する他の疾病から選択される疾患の治療のための医薬として許容される組成物であり、好ましくは式I若しくはIIの少なくとも1つの化合物又は医薬として許容されるその塩の約10μgから約1000μgまでの治療的有効量と、及び医薬として許容される担体とを含む前記組成物にも関する。本組成物は、好ましくは、エアロゾルとして投与され、最も好ましくは、乾燥粉末吸入器によって投与される。本発明は、式I若しくはIIの少なくとも1つの化合物又は医薬として許容されるその塩の治療的有効量を用いて、このような疾病を治療する方法にも関する。
【0028】
本発明は、重度から軽度の喘息、気管支炎、及びCOPD又は肺炎及び気管支収縮に関連するその他の疾病から選択される疾患の治療のためのコルチコステロイド−β−アゴニストプロドラッグの組み合わせの液体又は乾燥粉末製剤であり、好ましくは式I若しくはIIの少なくとも1つの化合物又は医薬として許容されるその塩の約10μgから約1000μgまでの治療的有効量を含む前記製剤にも関する。本組成物は、好ましくは、エアロゾルとして投与され、最も好ましくは、乾燥粉末吸入器によって投与される。
【0029】
さらに、本発明は、肺炎及び気管支収縮の予防及び治療のための方法であり、本発明の相互プロドラッグの約10μgから約1000μgを含むエアロゾル製剤の有効量を、このような治療を必要としている患者に投与することを含む、前記方法に関する。好ましくは、プロドラッグが肺に送達されたときに、内在性酵素アルカリホスファターゼによってホスファート基が切断され、並びにステロイド及びβ−アゴニストが、同時様式で、個別に放出される。
【0030】
図面の簡単な説明
図1及び図2は、相互プロドラッグ及び活性な薬剤の濃度を、プロドラッグの酵素的変換中の時間に対してプロットしている。
【0031】
発明の詳細な説明
本明細書において使用される「アリール」は、水素、アミノ、ヒドロキシ、ハロ、O−アルキル及びNH−アルキルから選択される1から3個の基で置換された芳香環として定義される。アリールは、縮合されて二環式芳香環系を形成するか、又はビフェニルとして直鎖状である1つ又は2つの環であり得る。アリール基は、環中のN、S又はOで置換されて、複素環系を生じることが可能である。
【0032】
本明細書において使用される「アルキル」という用語は、O、S又はNから選択される1つ又はそれ以上の原子を場合によって含むことができる、1から20個の炭素原子を含む分岐鎖又は直鎖を表す。代表的なアルキル基には、メチル、ブチル、ヘキシルなどが含まれる。
【0033】
本明細書において使用される「低級アルキル」は、1から10個までの炭素原子を有する、置換された又は置換されていない直鎖又は分岐鎖アルキル基の両方を意味する。代表的な低級アルキル基には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチルなどが含まれる。ハロ置換された、アミノ置換された及びヒドロキシ置換された低級アルキルの代表例には、クロロメチル、クロロエチル、ヒドロキシエチル、アミノエチルなどが含まれる。
【0034】
本明細書において使用される「シクロアルキル」には、3から10個の炭素原子から構成される非芳香環が含まれる。本明細書において使用される「ハロゲン」という用語は、クロロ、ブロモ、フルオロ及びヨード基を表す。
【0035】
本明細書において使用される「置換された複素環」又は「複素環基」又は「複素環」という用語は、窒素、酸素及び硫黄から選択される複素原子を含有する全ての3員若しくは4員環、又は窒素、酸素若しくは硫黄からなる群から選択される1から3個の複素原子を含有する5員若しくは6員環(5員環は、0から2個の二重結合を有し、6員環は0から3個の二重結合を有し、窒素及び硫黄原子は、場合によって酸化され得、窒素及び硫黄複素原子は、場合によって四級化され得、上記複素環の何れかが、ベンゼン環又は上で独立に定義された5員若しくは6員の別の複素環に縮合されているあらゆる二環式の基を含む。)を表す。窒素が複素原子である複素環が好ましい。完全に飽和した複素環も好ましい。好ましい複素環には、ジアザピニル、ピリル、ピロリニル、ピロリジニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾイル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジル、ピペリジニル、ピラジニル、ピペラジニル、アゼチジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリル、イソアゾリジニル、モルホリニル、チアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フリル、チエニル、トリアゾリル及びベンゾチエニル基が含まれる。
【0036】
複素環は、非置換とすることができ、又は、ヒドロキシ、ハロ、オキソ(C=O)、アルキルイミノ(RN=、Rは低級アルキル又はアルコキシ基である。)、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノアルキル、アルコキシ、チオアルコキシ、低級アルキル、シクロアルキル又はハロアルキルから独立に選択される置換基で一置換若しくは二置換されることができる。最も好ましい複素環には、イミダゾリル、ピリジル、ピペラジニル、アゼチジニル、チアゾリル、トリアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル及びベンゾオキサゾリルが含まれる。
【0037】
本明細書において使用される「医薬として許容される塩」という用語は、式I又はIIの化合物の、無毒の酸又はアルカリ土類金属塩との塩を表す。これらの塩は、塩基又は酸官能基を、それぞれ、適切な有機又は無機の酸又は塩基と反応させることによって、式I若しくはIIの化合物の最終単離及び精製中に原位置で、又は別個に調製することが可能である。代表的な酸塩には、塩化水素酸塩、臭化水素酸塩、重硫酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリル酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩などが含まれる。アルカリ土類金属塩の代表的なアルカリ金属には、ナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムが含まれる。
【0038】
本明細書において使用される「アルコキシ」という用語は、−O−R(Rは、上に定義されている低級アルキルである。)を表す。低級アルコキシ基の代表的な例には、メトキシ、エトキシ、tert−ブトキシなどが含まれる。
【0039】
本明細書において使用される「治療する」という用語は、別段の記載がなければ、このような用語が適用される疾患若しくは症状又はこのような疾患若しくは症状の1つ若しくはそれ以上の症候を回復させ、緩和し、これらの進行を阻害し、又はこれらを予防することを意味する。本明細書において使用される「治療」という用語は、治療する行為を表し、「治療する」は、直前に定義されているとおりである。
【0040】
「正常な生理的食塩水」という用語は、0.9%(w/v)NaClを含有する水溶液を意味する。
【0041】
「希釈された生理的食塩水」という用語は、そのより低い強度になるように希釈された0.9%(w/v)NaClを含有する正常な生理的食塩水を意味する。
【0042】
「1/4の正常な生理的食塩水」又は「1/4NS」という用語は、0.225%(w/v)NaClを含有するその1/4強度に希釈された正常な生理的食塩水を意味する。
【0043】
本明細書において使用される「プロドラッグ」という用語は、化合物の特異的な結合が、酵素の作用によって、又は生物学的プロセスによって破壊又は切断されることにより、薬物及び実質的に生物学的に不活性である化合物断片を生成又は放出する化合物を表す。
【0044】
本明細書において使用される「相互プロドラッグ」という用語は、化合物の特異的な結合が、酵素の作用によって又は生物学的プロセスによって破壊又は切断されることにより、薬物と、及び担体が結合している該薬物の相乗的薬物である担体とを生成又は放出する二部分又は三部分プロドラッグを表す。
【0045】
本発明の化合物は、非対称に置換された炭素原子を含み得る。このような非対照に置換された炭素原子は、特定の非対称に置換された炭素原子における立体異性体の混合物又は単一の立体異性体を含む本発明の化合物をもたらし得る。その結果、本発明の化合物のラセミ混合物、ジアステレオマーの混合物及び単一のジアステレオマーが、本発明に含まれる。本明細書において使用される「S」及び「R」配置という用語は、「IUPAC 1974 RECOMMENDATIONS FOR SECTION E, FUNDAMENTAL STEREOCHEMISTRY, Pure Appl.Chem.45:13−30 (1976)」によって定義されているとおりである。α及びβという用語は、環状化合物の環位置に対して使用される。基準平面のα側とは、好ましい置換基が、より少ない数が付番されている位置に存在する側を表す。基準平面の反対側に位置する置換基は、βという表記が割り当てられる。この使用は、「α」が「平面の下」を意味する環状の立体母核に対するものとは異なり、絶対配置を表すことに留意しなければならない。本明細書において使用されるα及びβ配置という用語は、「CHEMICAL ABSTRACTS INDEX GUIDE− APPENDIX IV (1987) paragraph 203」によって定義されているとおりである。
【0046】
本発明は、以下で詳しく記載されているように、本発明の化合物を調製する方法及びこのような方法において有用な合成中間体にも関する。
【0047】
I.本発明の化合物の調製
本発明の化合物は、スキームIからVIIに示されている方法によって調製することが可能である。
【0048】
相互コルチコステロイド−β−プロドラッグへの収束的経路は、
a)活性化されたホスファート−β−アゴニスト誘導体の合成(スキームI、II及びIII);
b)ステロイド類縁体の調製(スキームIV及びV);
c)活性化されたβ−アゴニスト誘導体によるステロイド類縁体のアルキル化に続く、最終的な脱保護(スキームVI及びVII)を含む。
【0049】
【化15】

【0050】
【化16】

【0051】
【化17】

【0052】
【化18】

【0053】
【化19】

【0054】
【化20】

【0055】
【化21】

【0056】
ホスファートで官能化された、保護されたβアゴニスト誘導体の合成が、スキームIからIIIに示されている。t−ブトキシカルボニルで、市販の(又はRong and Ruoho, 1999に従って調製された)ラセミのサルメテロールを保護した後、活性化されたMnOで、一級ベンジルアルコールをアルデヒドへ選択的に酸化することによって、化合物1を得る(実施例3)。このようにして、潜在的な様式で一級アルコールを保護し、フェノール部分の酸性度が増加し、その後のリン酸化の選択性を助ける。続いて、(実施例1に記載されているように調製された)ホスホブロミダートの若干の過剰量との反応がきれいに進行し、良好な収率と純度で、ホスファート2が得られる(実施例4)。低温(−78℃から0℃)で実施された水素化ホウ素ナトリウムによるアルデヒド部分の還元によってジオールが生成され、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン(PMP)の存在下で塩化メタンスルホニル(MsCl)を使用して、これを選択的にスルホニル化して、ステロイド及びβ−アゴニストの、相互プロドラッグへのアルキル化結合において使用される一級メシラート3(実施例6)を得る。
【0057】
β−アゴニスト部分中に、体積が大きく、立体的に妨害されたR置換基が存在する場合には(例えば、Rが、アルブテロールに対するtert−ブチルに等しい場合)、スキームIIに記されているように、リン酸化の前に、さらなる保護基の操作が必要である。
【0058】
市販のラセミのアルブテロール(サルブタモール)は、O,O−イソプロピリデンの形態で一時的に保護されているので(Stevens,1999)、過剰のジ−tert−ブチルジカルボナートでの長期(48時間)処理によって、立体的に妨害された二級アミンの選択的保護が可能となり、誘導体5が得られる(実施例8)。イソプロピリデン保護の除去は、還流している80%(v/v)酢酸水溶液中での短時間の加熱によって達成され、この間、Boc部分はそのままの状態を保つ(実施例9)。このようにして得られたN−Boc−アルブテロール(6)は、スキームIに記載されているものと同一の4段階の合成系列を通じて、リン酸化された誘導体7へと変換された(実施例10−13)。
【0059】
光学的に純粋なリン酸化されたβアゴニスト誘導体への合成プロセスは、スキームIIIに記載されている。5−ブロモサリチルアルデヒドをリン酸化し、前述のパラグラフに記載されているように、アルデヒド部分を還元し、イミダゾールの存在下でのtert−ブチルジメチルシリルクロリドでの処理によって、このようにして形成されたアルコール部分を保護することが可能であり、化合物8が得られる(実施例13から15)。臭素原子の存在は、以下の工程でのC−C結合の形成を可能とする。Suzuki法を用いて、ビニル置換基を導入するために、トリシクロヘキシルホスフィン及び酢酸パラジウム(II)の触媒量の存在下におけるトリビニルボロキシン−ピリジン錯体を使用した(実施例17)。このようにして形成された化合物9は、(S,S)−(+)N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノマンガン(III)クロリド(Jacobsen,1991)の触媒量の存在下で、不斎次亜塩素酸塩−NMMO酸化を行い、90%を超える鏡像異性純度で、S−エポキシド10が得られる。所望であれば、10の光学対掌体を調製するために、ジャコブセンの触媒のR,R様式を使用することができる。エポキシド開環は、R部分を有するアミンでの求核攻撃によって達成された。キラルのサルメテロール誘導体への途中で、若干上昇した温度で、95%エタノール水溶液中の化合物10と、6−(4−フェニルブトキシ)−ヘキシルアミン(実施例16)を反応させた(実施例19参照)。無水THF中のトリエチルアミン及び触媒的DMAPの存在下で、ジ−t−ブチルジカルボナートでの処理によって、このようにして形成された二級アミン11を保護した。次いで、フッ化テトラブチルアンモニウムを用いて、シリル基を除去し、前パラグラフに記載されているように、得られたジオールを選択的にメシル化して、優れた収率で、光学的に純粋なR−メシラート12を得た(実施例21)。
【0060】
スキームIVは、四級化可能な窒素原子を通じて、あるいは、スルホニウム塩を介して、β−アゴニスト部分の結合を可能する16,17−シクロアルキリデン部分及び21−置換基で修飾されたプレドニソロン誘導体の合成を記載する。Gutterer(1994及び2002)によって記載された手順の修飾を用いて、0℃から室温で、16−α−ヒドロキシプレドニソロン誘導体(例えば、デソニド又はトリアムシノロンアセトニド)を、選択されたシクロアルキルカルボキサルデヒドと反応させた。ある種の事例では(例えば、シクロヘキシル)、22−Rジアステレオ異性体(2DNMR法によって確認された。)が、90%を超えるジアステレオ異性体純度で、主要なエピマーとして得られた(実施例22及び23)。中間のスルホナートエステル、有利には、メタンスルホナートを通じた、21−水酸基の選択的活性化によって、ステロイド類縁体のさらなる修飾を行った(実施例24及び25参照)。塩基(例えば、粉末化された無水の炭酸カリウム)の存在下で還流するアセトニトリルを加熱することによって、アミン、チオール又は複素環での求核置換反応(実施例26から51)によってメシラートを置換した。実施例52から55に記載された化合物は、トランスアセタール化を介して導入された16,17−シクロアルキリデン部分が、リン酸化されたβ−アゴニスト部分を結合するための取っ手としての役割を果たす硫黄原子を含有する事例を示している(実施例120及び122に記載されている相互プロドラッグを参照)。
【0061】
スキームVは、四級アンモニウム塩を通じて、β−アゴニスト部分の結合を可能する窒素原子を含有する複素環アルデヒドに由来する16,17−アセタール部分で修飾されたプレドニソロン誘導体の合成を記載する。反応性がより低いアルデヒドの場合、多くの事例で、アセタール形成(実施例56から81)は、シクロアルキルアルデヒドに対して適用される条件と比べて、加熱(80℃)及び過塩素酸(4当量)の増加した量を必要とした。(1−ニトロプロパンに代えて)、トランスアセタール化のために、より極性が高い溶媒である1−ニトロメタンを使用することも、有利であることが明らかとなり、反応全体を通じて、混合物の均一性が確保される。16,17−アセタールのさらなる修飾は、通常の手順(ジクロロメタン中のPMPの存在下でのMsCl)によって合成された中間体メシラートを介して、スキームIVの記載と同様に行った。ヨウ化ナトリウムの触媒量の存在下で、各メシラートを求核試薬(例えば、実施例82から103ではシアン化物)とともに加熱することによって、最終的な置換を達成した。
【0062】
スキームVI及びVIIは、相互ステロイドβ−アゴニストプロドラッグとして、置換されたフェニルホスファートが、最終的に集合することを示している。アセトニトリルのような極性非プロトン溶媒中のヨウ化ナトリウムの化学量論的量の存在下で、保護されたリン酸化されたβ−アゴニスト誘導体のメシル酸ベンジル(benzylic mesylate)(それぞれ、サルメテロール、アルブテロール又はR−サルメテロールに対して、3、7又は12)を用いて、選択されたステロイド類縁体(スキームIV及びVに記載されている。)でアルキル化した。保護されていない一級21−ヒドロキシルを有するステロイド基質の場合には、アルキル化の前に、さらなる保護段階を含めることが有益である(スキームVII参照)。トリフェニルメチル(Trt)部分は、全体的な保護スキームと適合する最適な保護基であり、(トリエチルアミン及び触媒的DMAPの存在下で)穏やかな塩基性条件において選択的に導入される。最終工程では、穏やかな酸分解によって、有利には、ジオキサン中の4NHClでの短時間(最大1時間)の処理によって、中間体四級アンモニウム(又は、ある事例では、スルホニウム)塩が脱保護されて、それぞれ、実施例107及び133に記載されている目標相互プロドラッグ(例えば、16及び17)を与える。
【0063】
II.相互ステロイド−β−アゴニストプロドラッグとしての置換されたフェニルホスファートの酵素的活性化
本発明の置換されたフェニルホスファート(ステロイド及びβ−アゴニストの相互プロドラッグ)が、スキームVIIIに示された方法に従って、肺内に存在するアルカリホスファターゼによって効率的に切断される。この転換は段階的に発生し、2つの異なる工程からなる。最初、ホスファート基が、アルカリホスファターゼによって切断され、脱リン酸中間体が形成される。次いで、脱リン酸中間体は、ベンジル位置へ水を付加することによって、ゆっくりと加溶媒分解を行うことにより、β−アゴニスト及びステロイドを同時に放出する。
【0064】
【化22】

【0065】
相互プロドラッグ16及び17の酵素的変換の詳しい説明は、実施例141から143に記載されており、図1及び2に図示されている。
【0066】
III.エアロゾル送達装置
液体噴霧用に、あるいは乾燥粉末として適切に調合された相互ステロイド−β−アゴニストプロドラッグとしての置換されたフェニルホスファートの使用は、肺への相互プロドラッグの十分な量を提供し、両生物活性成分を局所的に放出することを通じて、局所的な治療効果を達成する。本発明の置換されたフェニルホスファート相互プロドラッグは、ジェット、電気又は超音波噴霧器を用いたエアロゾル化に適している。本発明の置換されたフェニルホスファート相互プロドラッグは、乾燥粉末又は定量投薬吸入器による送達にも適している。これらの固体形態は、長期の安定性を有しており、薬物物質を室温で保存することを可能とする。
【0067】
エアロゾル製剤は、4.0と7.5の間のpHを有する水溶液又はエタノール水溶液中に溶解された、相互ステロイド−β−アゴニストプロドラッグ又は医薬として許容されるその塩として、純粋な置換されたフェニルホスファート1から10mg/mLの濃縮された溶液を含む。医薬として許容される好ましい塩は、より低い肺の刺激を引き起こし得るので、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩又はリン酸塩などの無機酸塩である。相互プロドラッグの治療量は、1から5μの間の平均質量中位直径を有する液体エアロゾル又は乾燥粉末の噴霧によって、肺気管支内腔へと送達される。水溶液中での置換されたフェニルホスファート相互プロドラッグの長期安定性は、商業的に許容される保存寿命を与えない場合があり得るので、液体製剤は、適切な希釈剤から相互プロドラッグ塩を分離することが必要であり得、投与の前に再構成を必要とする。
【0068】
本発明の不可分な部分は、本発明の製剤から、主に1から5μのサイズ範囲でエアロゾル粒子中にエアロゾルを生成することが可能な装置である。本願において「主に」とは、全ての生成されたエアロゾル粒子の少なくとも70%、好ましくは、90%超が1から5μのサイズ範囲内にあることを意味する。典型的な装置には、ジェット噴霧器、超音波噴霧器、振動式多孔性プレート噴霧器及び電圧が印加される乾燥粉末吸入器が含まれる。
【0069】
ジェット噴霧器は、液体溶液をエアロゾル液滴に分解するために空気圧を使用する。超音波噴霧器は、液体を小エアロゾル液滴へと剪断する圧電性結晶によって作動する。加圧式噴霧系は、エアロゾル液滴を生成するために、圧力下で、強制的に、溶液を小孔に通過させる。振動式多孔性プレート装置は、液体の流れを適切な液滴サイズへと剪断するために迅速な振動を使用する。しかしながら、装置は、製剤の物理的及び化学的特性に影響されるので、置換されたフェニルホスファート相互プロドラッグの一部の製剤のみを効率的に噴霧化することが可能である。典型的には、噴霧化可能な製剤は、エアロゾルの小容量(50から250μL)で送達される置換されたフェニルホスファート相互プロドラッグの少量を含有しなければならない。
【0070】
IV.用途
本発明の化合物は、肺炎及び気管支収縮を治療するのに(ヒトにおいて)有用である。
【0071】
単一の剤形を作製するために担体材料と組み合わせ得る活性成分の量は、治療される宿主及び具体的な投与様式に応じて変動する。
【0072】
置換されたフェニルホスファートステロイド−β−アゴニストプロドラッグのこの小容量、高濃度製剤は、軽度から重度の喘息、気管支炎又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)に罹患する患者中の気管へ、エアロゾルとして、有効濃度で送達することが可能である。固体剤形製剤は安定であり、容易に製造され、極めて費用効果が高い。さらに、この製剤は、商業的な流通のために十分な保存寿命を提供する。相互プロドラッグが、ステロイドの薬理学的特性を覆い隠すので、口咽頭腔における、咽頭炎、真菌感染症、発声障害及びその他の副作用が完全に消失する。プロドラッグは、β−アゴニスト活性も覆い隠すので、心血管副作用の可能性を最小限に抑える。両薬物は、肺に存在する酵素、特にアルカリホスファターゼによって放出されることにより、炎症及び気管支収縮の部位において、βアゴニスト及びコルチコステロイドの治療量を同時に放出する。
【0073】
前述の記載は、以下の実施例から、よりよく理解することができるが、以下の実施例は、例示のために記載されており、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例1】
【0074】
臭化リン酸ジ−tert−ブチルエステル
【0075】
【化23】

【0076】
Gajda and Zwierzak(1976)に記載のものと比較した修正条件に従い、表題のリン酸化剤を調製した。反応温度を15℃に下げ、反応時間を2.5時間に短縮することにより、手に入れた表題化合物は、文献の条件(25℃を4時間)適用時よりも更に純度が高かった。表題の臭化リン酸は不安定であり、リン酸化反応において直ちに使用した(実施例4、11及び14を参照)。
【0077】
実施例2〜6は、サルメテロールにおけるラセミ体のリン酸化誘導体の合成を例示している(スキームIを参照)。
【実施例2】
【0078】
[2−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−フェニル)−エチル]−[6−(4−フェニル−ブトキシ)−ヘキシル−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0079】
【化24】

【0080】
1,4−ジオキサン/水の混合物(1:1、80mL)中において、市販のキシナホ酸サルメテロール(6.04g、10mmol)及び炭酸カリウム(1.39g、10mmol)を攪拌しながら懸濁した。次いで、室温で攪拌を継続しながら、1,4−ジオキサン(10mL)中で溶解したジ−t−ブチル−ジカルボナート(2.40g、11mmol)を滴下した。30分後のTLC分析では、微量の出発物質のみを示した。2時間後、1,4−ジオキサンを蒸発し、生じた懸濁液を水で希釈して、クロロホルム(計125mL)で二回抽出した。その後、有機層を飽和重炭酸ナトリウム、塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させた。酢酸エチル/ヘキサンの混合物(1:1)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより、デカンテーション及び蒸発後に取得した粗製物質を精製した。表題化合物(4.61g、89%)を冷却時に固化し、ガラス状の残留物として得た。
【0081】
LCMS:100%,MNa538.3(C3045NOに対し算出した正確な質量515.3)。算出した分析結果:C,69.87;H,8.80;N,2.72.検出:C,69.69;H,8.64;N,2.68.
【実施例3】
【0082】
[2−(3−ホルミル−4−ヒドロキシ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−[6−(4−フェニル−ブトキシ)−ヘキシル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0083】
【化25】

【0084】
実施例2に記載のN−Boc−サルメテロール(3.24g、6.28mmol)をクロロホルム(50mL)中で溶解し、激しく攪拌しながら、活性酸化マンガン(IV)(6.44g、85%w/w、63mmol)を少量づつ添加した。室温で24時間後、スラリーをセライトのパッドを通してろ過し、続いてクロロホルム洗浄液と混合したろ液を濃縮した。酢酸エチル/ヘキサンの混合物(1:5)を使用するシリカゲルクロマトグラフィーにより、こうして取得した粗残留物を精製し、表題のアルデヒド(2.45g、77%)を生成した。LCMS:96%,MNa536.3(C3043NOに対し算出した正確な質量513.3)。
【実施例4】
【0085】
{2−[4−(ジ−tert−ブトキシ−ホスホリルオキシ)−3−ホルミル−フェニル]−2−ヒドロキシ−エチル}−[6−(4−フェニル−ブトキシ)−ヘキシル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0086】
【化26】

【0087】
アルデヒド1(3.44g、6.69mmol)を無水THF(10mL)中で溶解し、続いて、窒素下において、激しく攪拌しながら、DMAP(82mg、0.67mmol)及びDBU(1.11mL、7.4mmol)を添加した。反応混合物を0℃に冷却した後、無水THF(5mL)で希釈した実施例1に記載の臭化リン酸(2.19g、8mmol)を15分間にわたり滴下した。窒素下での0℃における攪拌を更に30分間続行し、その後、TLC分析は、リン酸化がほぼ完了したことを示した。更に60分後、反応混合物を濃縮し、残留物を酢酸エチル中で再溶解して、10%クエン酸で三回、0.5N NaOHで二回、塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。次いで、有機相を塩基性アルミナのパッドを通してろ過し、酢酸エチル洗浄液と混合したろ液を真空濃縮した。ヘキサン中の30%酢酸エチル/1%トリエチルアミンを使用するシリカゲルクロマトグラフィーにより、粗生成物を精製し、表題化合物2(3.42g、72%)をガラス状の残留物として生成した。31PNMR(CDCl):−15.107ppm.LCMS:100%,MNa728.0(C3860NOPに対し算出した正確な質量705.4)。算出した分析結果:C,64.66;H,8.57;N,1.98.検出:C,64.09;H,8.54;N,2.02。
【実施例5】
【0088】
{2−[4−(ジ−tert−ブトキシ−ホスホリルオキシ)−3−ヒドロキシメチル−フェニル]−2−ヒドロキシ−エチル}−[6−(4−フェニル−ブトキシ)−ヘキシル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0089】
【化27】

【0090】
リン酸化アルデヒド2(2.68、3.8mmol)を無水THF(10mL)中で溶解し、混合物を−78℃に冷却した。次いで、窒素下で激しく攪拌しながら、固体の水酸化ホウ素ナトリウム(0.432g、11.4mmol)を5分間にわたり少量づつ添加し、続いてメタノール(1mL)を添加した。4時間にわたり、反応混合物を攪拌し、浴内温度を0℃に上昇した(その間、TLC分析は出発物質の消費を示した)。反応混合物をジクロロメタン(50mL)で希釈し、続いて、激しく攪拌しながら10%酢酸(20mL)を添加することにより慎重に急冷した。有機相を分離し、水相を残りのDCMで抽出し、混合した抽出物を飽和重炭酸、塩水で二回洗浄して、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、デカントし、蒸発した。ヘキサン中の40%酢酸エチル/1%トリエチルアミンを使用するクロマトグラフィーにより粗生成物を精製し、表題ジオール(2.01g、75%)を無色のガラス状残留物として生成した。
【0091】
H NMR(CDCl)選択信号:7.17−7.14(m,8H),4.92(m,1H),4.62(bs,2H),3.39(q,2H),2.64(t,2H),1.62(m,4H),1.54(s,9H),1.52(s,9H),1.49(s,9H),1.115−1.49(m,8H)。
【0092】
31PNMR(CDCl):−13.060ppm.LCMS:99%,MNa730.0(C3862NOPに対し算出した正確な質量707.4)。算出した分析結果:C,64.48;H,8.83;N,1.98.検出:C,64.70;H,8.84;N,1.90.
【実施例6】
【0093】
メタンスルホン酸5−(2−{tert−ブトキシカルボニル−[6−(4−フェニル−ブトキシ)−ヘキシル]−アミノ}−1−ヒドロキシ−エチル)−2−(ジ−tert−ブトキシ−ホスホリルオキシ)−ベンジルエステル
【0094】
【化28】

【0095】
激しく攪拌し、水浴で冷却しながら、無水ジクロロメタン中で溶解した1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン(PMP)2当量の存在下において、実施例5に記載のジオールをメタンスルホニルクロリド1.1当量で処理することにより、化合物3を合成した。TLCモニターは、30分後、出発物質の消失を示した。1時間後、反応混合物を真空濃縮し、続いて、トルエンで繰り返し蒸発することにより共沸乾燥させた。ステロイド類縁体の四級化(アルキル化)において、粗製メシラート3を直ちに使用した(スキームVI及びVIIを参照)。
【0096】
実施例7〜13は、アルブテロールにおけるラセミ体のリン酸化誘導体の合成を例示している(スキームIIを参照)。
【実施例7】
【0097】
2−tert−ブチルアミノ−1−(2,2−ジメチル−4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン−6−イル)−エタノール
【0098】
【化29】

【0099】
Stevens(1999)による方法に従い、表題化合物4を合成した。窒素下において、激しく攪拌しながら、乾燥アセトン中で懸濁した市販のアルブテロール(サルブタモール)を三フッ化ホウ素エーテラートと0℃にて2時間処理した。粗生成物は、実施例8に記載の次の段階で使用するにあたり、十分に純粋(90%)であった。
【実施例8】
【0100】
tert−ブチル−[2−(2,2−ジメチル−4H−ベンゾ[1,3]ジオキシ−6−イル)−2−ヒドロキシ−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0101】
【化30】

【0102】
O,O−イソプロピリデン保護のアルブテロール(4)を無水THF(5mL)中で溶解し、続いて、窒素下において攪拌しながら、DMAP(0.1当量)及びトリエチルアミン(1.1当量)を添加した。その後、最少量の無水THF中で溶解したジ−t−ブチルジカルボナート(1.1当量)をセプタムを通して添加し、混合物を室温で一晩攪拌した。翌日、更になる当量のアシル化試薬を添加し、TLCの監視を行いながら、混合物を更に攪拌した。48時間後、THFを蒸発し、残留物を酢酸エチル中で取り出して、10%クエン酸(三回)、飽和重炭酸ナトリウム(二回)、塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。シリカゲルクロマトグラフィーにより、デカンテーション及び真空蒸発後に取得した粗生成物を精製した。表題化合物5を適度な収率でガラス状の残留物として得た。
【0103】
LCMS:95%,MH380.3(C2133NOに対し算出した正確な質量379.3)。
【実施例9】
【0104】
tert−ブチル−[2−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−フェニル)−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0105】
【化31】

【0106】
80%(v/v)酢酸水溶液中における保護誘導体5の還流により、表題化合物6を調製可能である。TLC分析がイソプロピリデンの加水分解の完了を示すと、反応混合物を濃縮し、酢酸エチル中で溶解し、10%クエン酸、塩水で洗浄して、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させることができる。粗生成物6は、次の酸化に対して十分な純度でなければならない。
【実施例10】
【0107】
tert−ブチル−[2−(3−ホルミル−4−ヒドロキシ−フェニル)−2−ヒドロキシ−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0108】
【化32】

【0109】
N−Boc保護アルブテロールを出発物質として使用し、表題アルデヒドを実施例3に記載どおり合成できる。
【実施例11】
【0110】
tert−ブチル−{2−[4−(ジ−tert−ブトキシ−ホスホリルオキシ)−3−ホルミル−フェニル]−2−ヒドロキシ−エチル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0111】
【化33】

【0112】
実施例11に記載のアルデヒドを出発物質として使用し、表題のリン酸化化合物を実施例4の説明と同様に調製できる。
【実施例12】
【0113】
tert−ブチル−{2−[4−(ジ−tert−ブトキシ−ホスホリルオキシ)−3−ヒドロキシメチル−フェニル]−2−ヒドロキシ−エチル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0114】
【化34】

【0115】
実施例5に記載の方法に従い、実施例11に記載のリン酸化アルデヒドのホウ化水素還元により、表題ジオールを調製できる。
【実施例13】
【0116】
メタンスルホン酸5−[2−(tert−ブトキシカルボニル−tert−ブチル−アミノ)−1−ヒドロキシ−エチル]−2−(ジ−tert−ブトキシ−ホスホリルオキシ)−ベンジルエステル
【0117】
【化35】

【0118】
実施例12に記載のジオールを使用し、実施例6に記載どおり表題メシラート7を調製できる。ステロイド部分の四級化(アルキル化)に対し、活性化合物7を粗製で使用できる(スキームVI及びVIIを参照)。
【0119】
実施例14〜21は、リン酸化β−アゴニスト誘導体における不斉合成を例示している(スキームIIIを参照)。
【実施例14】
【0120】
リン酸4−ブロモ−2−ホルミル−フェニルエステルジ−tert−ブチルエステル
【0121】
【化36】

【0122】
無水THF(50mL)中で溶解したDBU(6.58mL、44mmol)及びDMAP(0.489g、4mmol)を使用し、実施例4の説明と同様に5−ブロモサリチルアルデヒド(8.04g、40mmol)をリン酸化し、0℃に冷却した。実施例1に記載どおり、リン酸化剤を調製し(23.2g、85mmol)、無水THF(20mL)で希釈した。クロマトグラフィー(ヘキサン中の9%酢酸エチル+1%トリエチルアミン)により粗生成物を精製し、分析的に純粋な表題アルデヒドを黄色がかった固体(11.51g、73%)として生成した。
【0123】
H NMR(CDCl):10.35(s,1H),7.99(d,1H,J=2.4Hz),7.67(dd,1H,J=8.8Hz,2.4Hz),7.41(d,1H,J=8.8Hz),1.51(s,18H)。31PNMR(CDCl):−15.239ppm.LCMS:99%,MNa415(C1522BrOPに対し算出した正確な質量392.04)。
【実施例15】
【0124】
リン酸4−ブロモ−2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシメチル)−フェニルエステルジ−tert−ブチルエステル
【0125】
【化37】

【0126】
実施例5の説明と同様に、実施例14に記載のアルデヒドをアルコールに還元した。繰り返しヘキサンを蒸発して粗製物質を固化し、合成続行において十分に純粋なものとなった。過剰(5当量)のイミダゾールの存在下において、DMF中の若干過剰なtert−ブチルジメチルシリルクロリドで処理することにより、中間体のアルコールを化合物8に変換した。室温で一晩の反応後、混合物をジエチルエーテルで希釈し、10%クエン酸、塩水で十分に洗浄して、次いで、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、デカントし、蒸発した。ヘキサン中の10%酢酸エチル+1%トリエチルアミンを使用するクロマトグラフィーにより、粗製物質を精製した。
【実施例16】
【0127】
6−(4−フェニル−ブトキシ)−ヘキシルアミン
【0128】
【化38】

【0129】
Rong and Ruoho(1999)による方法に基づいて、表題化合物を三段階のプロセスで調製した。第一に、触媒のテトラブチルアンモニウムブロミドの存在下において、4−フェニルブタノールからNaHと生じたアルコキシドを1,6−ジブロモヘキサンでアルキル化し、ブロモエーテルを得た(真空蒸留により精製)。80℃にて、DMF中のヨウ化ナトリウム0.5当量の存在下において、ブロモエーテルと過剰(6当量)のアジ化ナトリウムの反応により、アルキルアジドを生成し、シリカゲルクロマトグラフィーにより(酢酸エチル/ヘキサン1:30)精製した。10%Pd/C触媒の存在下において、水素化分解によりアジド中間体を還元し、表題の第一級アミンを得た。
LCMS:98%,MH+250.3(C1627NOに対し算出した正確な質量249.5)。
【実施例17】
【0130】
リン酸ジ−tert−ブチルエステル2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシメチル)−4−ビニル−フェニルエステル
【0131】
【化39】

【0132】
還流コンデンサを備えた二口の丸底フラスコへ、トルエン(8mL/mmol)及びエタノール(1mL/mmol)の混合物中の化合物8の溶液を入れ、続いて、脱気した20%炭酸カリウム溶液(8mL/mmol)を添加した。アルゴン気流をフラスコに通しながら、二相混合物を激しく1時間攪拌した。この混合物へ、トリビニルボロキシン−ピリジン錯体(1.5当量)を添加し、続いて、トリシクロヘキシルホスフィン(0.1当量)を添加した。反応混合物をアルゴンでもう一度30分間パージし、その後、パラジウム(II)アセタート(0.1当量)を添加して、続いて、激しく攪拌し、アルゴンの正圧力下において4時間加熱還流した。その後、TLC分析(クロロホルム/メタノール8:1)は、出発物質の完全消費を示した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し(本来の容量の3倍)、有機相を水(三回)、10%クエン酸溶液(二回)及び塩水で洗浄し、無水MgSO上で乾燥させた。ろ過及び溶媒の蒸発後、シリカゲルクロマトグラフィー(5%トリエチルアミンを伴う酢酸エチル/ヘキサン1:20)により残留物を精製し、80%の所望のオレフィンを粘性油状物として生成した。
【0133】
H NMR(CDCl):7.52(s,1H),7.27(d,1H),7.19(d,1H),6.67(dd,1H),5.66(d,1H),5.17(d,1H),4.71(s,2H),1.48(s,18H),0.95(s,9H),0.10(s,6H)。31P NMR(CDCl):−14.18ppm.LCMS:95%,MNa479(C2341PSiに対し算出した正確な質量456.3)。
【実施例18】
【0134】
リン酸ジ−tert−ブチルエステル2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシメチル)−(S)−4−オキシラニル−フェニルエステル
【0135】
【化40】

【0136】
塩化メチレン(5mL/mmol)及びリン酸バッファー(0.2mL/mmol)の二相混合物中において、化合物9を溶解し、続いて、次亜塩素酸ナトリウム(0.2mL/mmol)、N−メチルモルホリン−N−オキシド(0.25当量)及びS,SバージョンのJacobsen(Jacobsen、1991)の触媒[(S,S)−(+)N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノマンガン(III)クロリド、1当量]を添加した。反応混合物を30℃で4時間攪拌し、その後、TLC分析(クロロホルム/メタノール8:1)は、出発物質の完全消費を示した。反応混合物を分液漏斗中に移し、定着させた。水層を捨て、有機相を水(二回)、10%クエン酸溶液(二回)、塩水で洗浄し、無水MgSO上で乾燥させた。ろ過及び蒸発後、シリカゲルクロマトグラフィー(5%トリエチルアミンを伴う酢酸エチル/ヘキサン1:10)により残留物を精製した。62%の収率及び90%を上回る鏡像異性体過剰率において(Chiral TechnologiesからのDaicel Chiralpak IAのカラム上におけるAPCI−LCMSにより測定)、表題化合物10を取得した。
【0137】
H NMR(CDCl):7.41(s,1H),7.26(d,1H),7.06(d,1H),4.77(s,2H),3.70(s,1H),3.08(dd,1H),2.74(dd,1H),1.46(s,18H),0.92(s,9H),0.08(s.6H)。31P NMR(CDCl):−14.16ppm.LCMS:97%,MNa495.3(C2341PSiに対し算出した正確な質量472.3)。
【実施例19】
【0138】
リン酸ジ−tert−ブチルエステル2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシメチル)−4−{(R)−1−ヒドロキシ−2[6−(4−フェニル−ブトキシ)−ヘキシルアミノ]−エチル}−フェニルエステル
【0139】
【化41】

【0140】
徐々に加熱しながら(リン酸ジエステルの熱による単一脱保護化を避けるため、40℃を超えてはならない。)、95%エタノール水溶液中における若干過剰の6−(4−フェニルブトキシ)−ヘキシルアミン(実施例16に記載)との反応によるキラルエポキシド10の求核的開環により、表題の誘導体11を調製できる。TLC分析が出発エポキシドの消費を示すと、反応混合物を真空蒸発することができ、粗生成物を次の段階(実施例20)で直接使用した。
【実施例20】
【0141】
{2−[3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシメチル)−4−(ジ−tert−ブトキシ−ホスホリルオキシ)−フェニル]−(R)−2−ヒドロキシ−エチル}−[6−(4−フェニル−ブトキシ)−ヘキシル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0142】
【化42】

【0143】
実施例8の説明と同様の方法を適用するが、非ヒンダード第二級アミンのより高い反応性のため、更に低過剰のジ−t−ブチルジカルボナート及び更に短い反応時間(4−16時間)が使用可能であることを除き、第二級アミン11(実施例19に記載)のBoc保護により、表題化合物を調製できる。
【実施例21】
【0144】
メタンスルホン酸5−(2−{tert−ブトキシカルボニル−[6−(4−フェニル−ブトキシ)−ヘキシル]−アミノ}−(R)−1−ヒドロキシ−エチル)−2−(ジ−tert−ブトキシ−ホスホリルオキシ)−ベンジルエステル
【0145】
【化43】

【0146】
室温にて、THF中のTBAFの1M溶液と実施例20に記載の保護誘導体を処理することが可能である。TLC分析が完全な脱保護化を示すと(一般的に1〜2時間)、ヘキサン中の40%酢酸エチル+1%トリエチルアミンを使用するクロマトグラフィーにより、溶媒の蒸発後に取得した粗生成物を精製できる。
【0147】
実施例6の説明と同様に、室温にて、ジクロロメタン中で溶解した1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン2当量の存在下において、こうして取得したジオールをメタンスルホニルクロリド1.1当量と処理することにより、表題化合物12を合成できる。ステロイド類縁体の四級化(アルキル化)に対し、粗製のメシラート12をすぐに使用できる(スキームVI及びVIIを参照)。
【0148】
実施例22〜55は、スキームIVに従ってステロイド類縁体の合成を説明している。
【実施例22】
【0149】
16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0150】
【化44】

【0151】
デソニド(4.16g、10mmol)を1−ニトロプロパン(14mL)中で溶解し、0℃に冷却した。この溶液へ、70%過塩素酸(2.6mL、30mmol)を5分間にわたり滴下し、続いて、シクロヘキシルカルボキシアルデヒド(1.44mL、12mmol)を滴下し、反応混合物をその後3時間0℃で攪拌し、次いで、反応混合物を室温に一晩温めた。TLC分析は(酢酸エチル/ヘキサン1:1)、出発物質の完全消費を示した。反応混合物を酢エチルで希釈し(10倍の容量)、飽和重炭酸ナトリウム溶液(三回)、水及び塩水で二回洗浄した。次いで、有機溶液を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、溶媒を真空濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン1:2)により粗生成物を精製し、最終的に、酢酸エチル/ヘキサンから再結晶化して、表題化合物を白い固体(59%)として生成した。
【0152】
LCMS:97%,MH471.3(C2838に対し算出した正確な質量470.3)。旋光度[α]=+76.0°(c0.5;MeOH)。
【0153】
2D NMR研究では、C−22原子における結合性及びR−立体配置を確認した(NMR法の精度の範囲内において、エピマーの純度は>95%であった。)。
【実施例23】
【0154】
16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0155】
【化45】

【0156】
デソニドをトリアムシノロンアセトニドに置き換え、表題化合物を実施例22に記載どおり調製した。所望のアセタールを白い固体として48%の収率で取得した。
【0157】
19FNMR(CDCl):−165.3ppm.(dd、J=9.6Hz,J=31.6Hz)。LCMS:98%,MH489.3(C2837FOに対し算出した正確な質量488.3)。算出した分析結果:C,68.83;H,7.63.検出:C,68.81;H,7.61.旋光度[α]=+84.0°(c0.5;MeOH)。
【0158】
19FNMR分析によると、不要な22S−エピマーは形成しなかった。
【実施例24】
【0159】
16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−メタンスルホニルオキシ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0160】
【化46】

【0161】
実施例22に記載のステロイドの溶液(DCM5mL/mmol)へ、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン(2当量)を添加し、続いて、水浴で冷却して激しく攪拌しながらメタンスルホニルクロリド(1.1当量)を滴下した。通常3〜4時間後、TLC分析は、出発物質の不在を示した。ジクロロメタンでの希釈後、反応混合物を分液漏斗へと移し、10%クエン酸(三回)、飽和重炭酸ナトリウム溶液で二回、次いで塩水で洗浄し、最後に無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥剤をろ過し、溶媒を真空濃縮して、結晶化を含むジエチルエーテルで粉砕した粗生成物を生成した。こうして形成した沈殿物をろ別し、エーテルで十分洗浄して、乾燥させ、更なる合成に対して十分な純度を持つメシラートを生成した。
【0162】
H NMR(CDCl):7.230(d,1H),6.291(d,1H),6.029(s,1H),4.992(AB,2H),4.849(bs,1H),4.509(bs,1H),4.302(d,1H),3.242(s,3H),2.557(dt,1H),2.330(m,1H),2.170(m,1H),2.070(m,1H),1.722(m,13H),1.447(s,3H),1.339(m,6H),0.855(s,3H)。LCMS:97%,MH549.3(C2940Sに対し算出した正確な質量548.3)。旋光度[α]=+75.1(c0.5;MeOH)。
【実施例25】
【0163】
16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−メタンスルホニルオキシ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0164】
【化47】

【0165】
実施例23に記載のステロイドアセタールを使用し、表題メシラートを実施例24に記載どおり合成した。
【0166】
H NMR(CDCl):7.211(d,1H),6.359(dd,1H),6.139(s,1H),5.009(AB,2H),4.855(d,1H),4.431(m,1H),4.350(d,1H),3.245(s,3H),2.621(dt,1H),2.402(m,4H),2.155(dt,1H),1.845(m,1H),1.645(m,9H),1.54(s,3H),1.115(m,6H),0.96(s,3H)。19F NMR(CDCl):−166.04ppm(dd,J=9.6Hz,J=31.6Hz)。LCMS:98%,MH567.3(C2939FOSに対し算出した正確な質量566.3)。旋光度[α]=+99.4(c0.5;MeOH)。
【実施例26】
【0167】
16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−(4−メチルピペラジン−1−イル)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0168】
【化48】

【0169】
実施例24に記載のメシラート(1当量)、4−メチルピペラジン(3当量)及び微粉末状の無水炭酸カリウム(2当量)の混合物へ、無水アセトニトリル(5mL/mmol)を添加し、生じた懸濁液を60℃で加熱しながら一晩攪拌した。次いで、反応混合物を酢酸エチルで希釈し(10倍の容量)、水、10%クエン酸、飽和重炭酸ナトリウム、最後に塩水で二回洗浄した。無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、ろ過し、蒸発した後、酢酸エチル/メタノール(10:1)の混合物を使用するシリカゲルクロマトグラフィーにより粗製物質を精製して、表題化合物(42%)を白い固体として生成した。
【0170】
H NMR(CDCl):7.246(d,1H),6.289(dd,1H),6.029(s,1H),4.888(d,1H),4.500(m,1H),4.255(d,1H),3.402(AB,2H),2.561(m,8H),2.328(s,3H),1.737(m,5H),1.671(m,3H),1.561(m,3H),1.446(s,3H),1.155(m,11H),0.902(s,3H),0.819(m,1H)。
【0171】
LCMS:99%,MH553.4(C3348に対し算出した正確な質量552.4)。旋光度[α]=+89.6°(c0.5;MeOH)。
【実施例27】
【0172】
16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−(4−メチルピペラジン−1−イル)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0173】
【化49】

【0174】
実施例25に記載のメシラートを実施例26に記載の4−メチルピペラジンと反応させた。クロマトグラフィー(酢酸エチル/メタノール10:1)により粗生成物を精製し、続いて、クロロホルム/ヘキサンからの再結晶化により、表題化合物13を生成した。
【0175】
H NMR(CDCl):7.211(d,1H),6.365(d,1H),6.135(s,1H),4.895(d,1H),4.295(d,1H),3.412(AB,2H),2.620(dt,1H),2.542(m,6H),2.410(m,4H),2.304(s,3H),2.140(dt,1H),1.840(m,1H),1.697(m,12H),1.548(s,3H),1.120(m,6H),0.907(s,3H)。19FNMR(CDCl):−165.4ppm(dd,J=9.6Hz,J=31.6Hz)。LCMS:99%,MH571.3(C3347FNに対し算出した正確な質量570.4)。旋光度[α]=+89.6°(c0.5;MeOH)。
【実施例28】
【0176】
16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−(4−モルホリン−1−イル)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0177】
【化50】

【0178】
4−メチルピペラジンをモルホリンに置き換え、表題化合物を実施例26の説明と同様に調製した。
【0179】
H NMR(CDCl):7.246(d,1H),6.291(dd,1H),6.036(s,1H),4.882(d,1H),4.511(bs,1H),4.268(d,1H),3.780(t,4H),3.399(AB,2H),2.575(m,3H),2.474(m,1H),2.355(m,1H),2.080(m,3H),1.736(m,12H),1.448(s,3H),1.275(m,3H),1.221(m,4H),0.907(s,3H)。LCMS:100%,MH540.4(C3245NOに対し算出した正確な質量539.4)。旋光度[α]=+61.0°(c0.5;MeOH)。
【実施例29】
【0180】
16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−(1−ピペリジン−1−イル)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0181】
【化51】

【0182】
4−メチルピペラジンをピペリジンと置き換え、表題化合物を実施例26の説明と同様に調製した。酢酸エチルを溶出剤として使用するシリカゲル上のクロマトグラフィー、続いてジクロロメタン/ジエチルエーテルから再結晶化することにより、生成物の最終精製を達成した。
【0183】
H NMR(CDCl):7.246(d,1H),6.290(dd,1H),6.032(s,1H),4.898(d,1H),4.502(s,1H),4.252(d,1H),3.360(AB,2H),2.553(dt,1H),2.480(bs,1H),2.358(m,3H),2.078(m,3H),1.684(m,12H),1.550(m,3H),1.446(s,3H),1.159(m,10H),0.907(s,3H)。LCMS:98%,MH538.4(C3347NOに対し算出した正確な質量537.4)。旋光度[α]=+98.9°(c0.5;MeOH)。
【実施例30】
【0184】
16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−(ピロリジン−1−イル)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0185】
【化52】

【0186】
4−メチルピペラジンをピロリジンと置き換え、表題化合物を実施例26の説明と同様に調製できる。
【実施例31】
【0187】
16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−(N,N−ジエチルアミノ)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0188】
【化53】

【0189】
4−メチルピペラジンをジエチルアミンと置き換え、表題化合物を実施例26の説明と同様に調製できる。
【実施例32】
【0190】
16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−(N,N−ジメチルアミノ)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0191】
【化54】

【0192】
4−メチルピペラジンをジメチルアミン(THF中の2M溶液)と置き換え、表題化合物を実施例26の説明と同様に調製した。
【0193】
H NMR(CDCl):7.261(d,1H),6.306(dd,1H),6.053(s,1H),4.922(d,1H),4.522(m,1H),4.275(d,1H),3.371(AB,2H),2.573(dt,1H),2.333(s,6H),2.114(m,4H),1.683(m,10H),1.467(s,3H),1.180(m,8H),0.930(s,3H)。LCMS:95%,MH498.4(C3043NOに対し算出した正確な質量497.4)。旋光度[α]=+74.8°(c0.5;MeOH)。
【実施例33】
【0194】
16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−(4−メチルホモピペラジン−1−イル)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0195】
【化55】

【0196】
4−メチルピペラジンを4−メチルホモピペラジンと置き換え、表題化合物を実施例26の説明と同様に調製できる。
【実施例34】
【0197】
16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−(4−モルホリン−1−イル)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0198】
【化56】

【0199】
4−メチルピペラジンをモルホリンと置き換え、表題化合物を実施例27の説明と同様に調製した。
【0200】
H NMR(CDCl):7.182(d,1H),6.351(d,1H),6.134(s,1H),4.891(d,1H),4.430(m,1H),4.310(d,1H),3.782(t,4H),3.422(AB,2H),2.609(m,3H),2.451(m,5H),1.850(m,2H),1.650(m,10H),1.541(s,3H),1.142(m,6H),0.914(s,3H)。19F NMR(CDCl):−165.86ppm.LCMS:96%,MH558.4(C3244FNOに対し算出した正確な質量557.4)。旋光度[α]=+78.9°(c0.5;MeOH)。
【実施例35】
【0201】
16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−(1−ピペリジン−1−イル)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0202】
【化57】

【0203】
4−メチルピペラジンをピペリジンと置き換え、表題化合物を実施例27の説明と同様に調製した。酢酸エチル中のメタノール(0〜10%勾配溶出)を使用するシリカゲル上のクロマトグラフィー、次いで酢酸エチル/ジエチルエーテルからの結晶化により粗生成物を精製した。
【0204】
H NMR(CDCl):7.204(d,1H),6.371(dd,1H),6.151(s,1H),4.911(d,1H),4.449(m,1H),4.300(d,1H),3.389(AB,2H),2.495(m,8H),1.751(m,17H),1.561(s,3H),1.157(m,6H),0.932(s,3H),0.845(m,1H)。19F NMR(CDCl):−165.81ppm.LCMS:98%,MH556.4(C3346FNOに対し算出した正確な質量555.4)。旋光度[α]=+75.1°(c0.5;CDCl)。
【実施例36】
【0205】
16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−(1−ピロリジン−1−イル)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0206】
【化58】

【0207】
4−メチルピペラジンをピロリジンと置き換え、表題化合物を実施例27の説明と同様に調製できる。
【実施例37】
【0208】
16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−(N,N−ジエチルアミノ)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0209】
【化59】

【0210】
4−メチルピペラジンをジエチルアミンと置き換え、表題化合物を実施例27の説明と同様に調製できる。
【実施例38】
【0211】
16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−(N,N−ジメチルアミノ)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0212】
【化60】

【0213】
4−メチルピペラジンをジメチルアミン(THF中の2M溶液)と置き換え、表題化合物を実施例27の説明と同様に調製した。
【0214】
H NMR(CDCl):7.195(d,1H),6.349(dd,1H),6.132(s,1H),4.905(d,1H),4.414(d,1H),4.298(d,1H),3.368(AB,2H),2.626(dt,1H),2.410(m,3H),2.331(s,6H),2.151(dt,1H),1.851(m,1H),1.715(m,5H),1.600(m,6H),1.542(s,3H),1.152(m,5H),0.941(s,3H)。19F NMR(CDCl):−165.81ppm.LCMS:98%,MH516.4(C3042FNOに対し算出した正確な質量515.4)。旋光度[α]=+74.6°(c0.5;MeOH)。
【実施例39】
【0215】
16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−(4−メチルホモピペラジン−1−イル)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0216】
【化61】

【0217】
4−メチルピペラジンを4−メチルホモピペラジンと置き換え、表題化合物を実施例27の説明と同様に調製できる。
【実施例40】
【0218】
16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−(4−フルオロピペリジン−1−イル)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0219】
【化62】

【0220】
4−メチルピペラジンを4−フルオロピペリジンヒドロクロリドと置き換え、表題化合物を実施例26の説明と同様に調製した。分取HPLCにより最終精製を達成し、表題化合物をモノトリフルオロアセタートとして生成した。19F NMR(CDCl):−75.573(s,3F),−188.882(m,1F)。LCMS:99%,MH556.4(C3346FNOに対し算出した正確な質量555.3)。
【実施例41】
【0221】
16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−(4−フルオロピペリジン−1−イル)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0222】
【化63】

【0223】
4−メチルピペラジンを4−フルオロピペリジンヒドロクロリドと置き換え、表題化合物を実施例27の説明と同様に調製した。分取HPLCにより最終精製を達成し、表題化合物をモノトリフルオロアセタートとして生成した。19F NMR(CDCl):−75.592(s,3F),−166.933(dd,1F),−188.915(m,1F)。LCMS:100%,MH574.4(C3345NOに対し算出した正確な質量573.3)。
【実施例42】
【0224】
16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−(アゼチジン−1−イル)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0225】
【化64】

【0226】
4−メチルピペラジンをアゼチジンと置き換え、表題化合物を実施例26の説明と同様に調製できる。
【実施例43】
【0227】
16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−(アゼチジン−1−イル)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0228】
【化65】

【0229】
4−メチルピペラジンをアゼチジンと置き換え、表題化合物を実施例27の説明と同様に調製した。分取HPLCにより最終精製を達成し、生成物をモノトリフルオロアセタートとして生成した。
【0230】
H NMR(DMSO−d):10.135(b,1H),7.357(d,1H),6.251(dd,1H),6.025(bs,1H),5.600(d,1H),4.605−4.690(m,2H),4.470(d,1H),4.370−4.420(m,1H),3.950−4.220(m,6H),2.537−2.670(m,1H),2.220−2.490(m,3H),1.907−2.040(m,2H),1.554−1.820(m,10H),1.481(s,3H),1.038−1.410(m,6H),0.826(s,3H)。19F NMR(DMSO−d):−73.526(s,3F),−165.106(dd,1F)。LCMS:98%,MH528.4(C3142FNOに対し算出した正確な質量527.4)。
【実施例44】
【0231】
16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−(イミダゾール−1−イル)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0232】
【化66】

【0233】
4−メチルピペラジンをイミダゾールと置き換え、表題化合物を実施例26に記載どおり調製した。酢酸エチルを溶出剤として使用するシリカゲルクロマトグラフィー、続いてジクロロメタン/ジエチルエーテルからの結晶化により、粗生成物を精製した。
【0234】
H NMR(CDCl):7.692(s,1H),7.384(s,1H),7.277(d,2H),7.106(d,2H),6.849(s,1H),6.298(d,1H),6.041(s,1H),4.874(d,1H),4.815(AB,2H),4.551(bs,1H),4.32(d,1H),2.574(dt,1H),2.354(dd,1H),2.185(m,1H),2.115(m,2H),1.175(m,5H),1.651(m,5H),1.475(s,3H),1.250(m,2H),1.116(m,3H),0.946(s,3H)。LCMS:100%,MH521.4(C3140に対し算出した正確な質量520.4)。
【実施例45】
【0235】
16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−(イミダゾール−1−イル)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0236】
【化67】

【0237】
4−メチルピペラジンをイミダゾールと置き換え、表題化合物を実施例27に記載どおり調製した。酢酸エチル中のメタノール(0〜10%勾配溶出)を使用するシリカゲルクロマトグラフィー、続いてジクロロメタン/ジエチルエーテルからの結晶化により、粗生成物を精製した。
【0238】
H NMR(CDCl):7.373(s,1H),7.280(d,1H),7.082(s,1H),6.875(s,1H),6.345(d,1H),6.141(s,1H),4.880(d,1H),4.831(AB,2H),4.461(m,1H),4.375(d,1H),2.641(dt,1H),2.495(dt,1H),2.410(m,2H),1.870(m,2H),1.740(m,4H),1.620(m,6H),1.593(s,3H),1.205(m,3H),1.110(m,3H),0.960(s,3H)。19F NMR(CDCl):−166.03ppm.LCMS:97%,MH539.4(C3139FNに対し算出した正確な質量538.4)。旋光度[α]=+101.6°(c0.5;CHCl)。
【実施例46】
【0239】
16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−(ピリジン−4−イル−チオ)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0240】
【化68】

【0241】
4−メチルピペラジンをピリジン−4−チオールと置き換え、表題化合物を実施例26に記載どおり調製した。
【実施例47】
【0242】
16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−(ピリジン−4−イル−チオ)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0243】
【化69】

【0244】
4−メチルピペラジンをピリジン−4−チオールと置き換え、表題化合物を実施例27に記載どおり調製した。ヘキサン中の33%酢酸エチル−100%酢酸エチルから開始の勾配溶出を使用するシリカゲルのクロマトグラフィーにより、粗生成物を精製した。
【0245】
H NMR(DMSO−d):8.388(dd,2H),7.270−7.310(m,3H),6.238(dd,1H),6.022(bs,1H),5.434(dd,1H),4.754(bt,1H),4.465(s,1H),4.314(AB,2H),4.197−4.224(m,1H),2.617(dt,1H),2.315−2.413(b,2H),2.132−2.166(m,1H),1.984−2.062(m,1H),1.784−1.826(m,2H),1.658−1.720(m,4H),1.540−1.612(m,4H),1.484(s,3H),1.060−1.393(m,6H),0.828(s,3H)。19F NMR(DMSO−d):−165.392.LCMS:98%,MH582.4(C3340FNOSに対し算出した正確な質量581.4)。
【実施例48】
【0246】
16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−(ピリジン−2−イル−チオ)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0247】
【化70】

【0248】
4−メチルピペラジンをピリジン−2−チオールと置き換え、表題化合物を実施例26に記載どおり調製できる。
【実施例49】
【0249】
16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−(ピリジン−2−イル−チオ)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0250】
【化71】

【0251】
精製過程における変更を除き、4−メチルピペラジンをピリジン−2−チオールと置き換え、表題化合物を実施例27に記載どおり調製できる。反応混合物中に形成した濃厚な沈殿物をろ別し、水で数回、次いでジエチルエーテルで洗浄して、所望の生成物の最初の作物を生成した。エーテル性洗浄液を収集し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、小容量に濃縮した。次いで、大量のヘキサンを添加し、沈殿生成物の第二の作物をろ過により収集した。
【0252】
H NMR(DMSO−d):8.373(d,1H),7.639(dt,1H),7.308−7.369(m,2H),7.116(dd,1H),6.243(dd,1H),6.025(bs,1H),5.50(d,1H),4.715(d,1H),4.553(d,1H),4.302(AB,2H),4.201−4.299(m,1H),2.620(dt,1H),2.320−2.485(m,2H),1.960−2.180(m,3H),1.502−1.848(m,9H),1.495(s,3H),1.336(dq,1H),1.069−1.220(m,5H),0.848(s,3H)。19F NMR(DMSO−d):−164.908.LCMS:98%,MH582.4(C3340FNOSに対し算出した正確な質量581.4)。
【実施例50】
【0253】
16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−メチルチオ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0254】
【化72】

【0255】
実施例24に記載のメシラート(1当量)及びヨウ化ナトリウムの触媒(0.2当量)を無水アセトニトリル(5mL/mmol)中で懸濁し、次いで、室温で激しく攪拌しながら、ナトリウムチオメトキシド(1.1当量)を添加した。時折、反応混合物をTLCにより分析し(酢酸エチル/ヘキサン1:1)、48時間後、溶媒を蒸発して、残留物をジクロロメタン及び水間で分配し、分離した有機層を飽和重炭酸ナトリウム溶液、塩水で二回洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させた。酢酸エチル/ヘキサンの混合物(1:2)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより、有機層のデカンテーション及び蒸発後に取得した粗生成物を精製した。
【実施例51】
【0256】
16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−メチルチオ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0257】
【化73】

【0258】
実施例25に記載のメシラートを出発物質として使用し、表題化合物を実施例50に記載どおり調製できる。
【実施例52】
【0259】
16,17−[(テトラヒドロ−チオピラン−4−イル)ビス(オキシ)]−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0260】
【化74】

【0261】
シクロヘキサンカルボキシアルデヒドをテトラヒドロチオピラン−4−イル−カルボキシアルデヒドと置き換え、表題化合物を実施例22の説明と同様に調製できる。
【実施例53】
【0262】
16,17−[(テトラヒドロ−チオピラン−4−イル)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0263】
【化75】

【0264】
シクロヘキサンカルボキシアルデヒドをテトラヒドロチオピラン−4−イル−カルボキシアルデヒドと置き換え、表題化合物を実施例23の説明と同様に調製できる。
【実施例54】
【0265】
16,17−[(テトラヒドロ−チオピラン−4−イルメチル)ビス(オキシ)]−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0266】
【化76】

【0267】
シクロヘキサン−カルボキシアルデヒドをテトラヒドロチオピラン−4−イル−アセトアルデヒドと置き換え、表題化合物を実施例22の説明と同様に調製できる。
【実施例55】
【0268】
16,17−[(テトラヒドロ−チオピラン−4−イルメチル)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0269】
【化77】

【0270】
シクロヘキサン−カルボキシアルデヒドをテトラヒドロチオピラン−4−イル−アセトアルデヒドと置き換え、表題化合物を実施例23の説明と同様に調製できる。
【0271】
実施例56〜103は、スキームVに従って、ステロイド類縁体の合成を説明している。
【実施例56】
【0272】
16,17−[(1−メチルピペリジル−4−メチレン)ビス(オキシ)]−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0273】
【化78】

【0274】
デソニド(1当量)を1−ニトロメタン中で溶解し(濃度が約0.7Mにおいて)、次いで、Gray(1988)に従って調製した1−メチルピペリジン−4−カルボキシアルデヒド(1.2当量)を攪拌しながら添加し、続いて、70%過塩素酸(4当量)を室温で滴下した。反応混合物を室温で48時間攪拌し、次いで実施例22に記載どおり後処理した。クロロホルム中の増量(10%まで)のメタノールを使用するシリカゲルクロマトグラフィーにより、粗製物質を精製した。表題生成物を22−エピマーの混合物として取得した。LCMS:56:43,両MH486.4(C2839NOに対し算出した正確な質量485.4)。
【実施例57】
【0275】
16,17−[(1−メチルピペリジル−4−メチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0276】
【化79】

【0277】
デソニドをトリアムシノロンアセトニドと置き換え、表題化合物を実施例56に記載どおり合成した。19F NMR(CDCl):−164.385ppm(dd),165.148ppm(dd)。LCMS:45:50,両MH504.4(C2838FNOに対し算出した正確な質量503.4)。
【実施例58】
【0278】
16,17−[(ピリジニル−4−メチレン)ビス(オキシ)]−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0279】
【化80】

【0280】
1−メチル−4−ホルミルピペリジンを4−ピリジルカルボキシアルデヒドに置き換え、更に反応混合物を80℃で30分間加熱したことを除き、表題化合物を実施例56の説明と同様に調製した。シリカゲルクロマトグラフィーにより(ジクロロメタン中の0−10%イソプロパノール)、粗生成物を精製した。
【実施例59】
【0281】
16,17−[(ピリジニル−3−メチレン)ビス(オキシ)]−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0282】
【化81】

【0283】
4−ピリジルカルボキシアルデヒドを3−ピリジルカルボキシアルデヒドと置き換え、表題化合物を実施例58の説明と同様に調製した。分取HPLCによって最終精製を達成し、表題化合物をモノトリフルオロアセタートとして生成した。
【0284】
H NMR(CDCl)は、ほぼ1:1割合の両22−エピマーの存在を示した。LCMS:98%(エピマーの分離なし)MH466.3(C2731NOに対し算出した正確な質量465.2)。
【実施例60】
【0285】
16,17−[(ピリジニル−2−メチレン)ビス(オキシ)]−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0286】
【化82】

【0287】
4−ピリジルカルボキシアルデヒドを2−ピリジルカルボキシアルデヒドと置き換え、表題化合物を実施例58の説明と同様に調製できる。
【実施例61】
【0288】
16,17−[(ピリジニル−4−メチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0289】
【化83】

【0290】
デソニドをトリアムシノロンアセトニドと置き換え、表題化合物を実施例58の説明と同様に調製した。
【実施例62】
【0291】
16,17−[(ピリジニル−3−メチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0292】
【化84】

【0293】
デソニドをトリアムシノロンアセトニドと置き換え、ステロイド類縁体14を実施例59の説明と同様に調製した。ジクロロメタン中の増加勾配の2−プロパノール(0−10%)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより、粗生成物を精製し、22−エピマーを分離した(同様に更なる極性の位置異性体)。分離した画分の蒸発後に取得した物質をジクロロメタン/ジエチルエーテルの混合物から再結晶化した。
【0294】
22−Rエピマーの分析データ(2D NMR研究により確認)−H NMR(DMSO−d):8.604−8,642(m,2H),7.810(dt,1H),7.460(dd,1H),7.282(d,1H),6.230(dd,1H),6.031(bs,1H),5.603(s,1H),5.463(AB,1H),5.131(dd,1H),4.979(d,1H),4.536−4.601(m,1H),4.152−4.245(m,2H),2.510−2.667(m,2H),2.363(dd,1H),2.025−2.176(m,2H),1.836−1.870(m,1H),1.680−1.720(m,2H),1.496(s,3H),1.382(dq,1H),1.235−1.260(m,1H),0.880(s,3H)。19F NMR(DMSO−d):−165.463ppm(dd,1F)。LCMS:99%,MH484.4(C2730FNOに対し算出した正確な質量483.3)。算出した分析結果:C,67.07;H,6.25;N,2.90.検出:C,66.90;H,6.28;N,2.92.
【実施例63】
【0295】
16,17−[(ピリジニル−2−メチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0296】
【化85】

【0297】
デソニドをトリアムシノロンアセトニドと置き換え、表題化合物を実施例60の説明と同様に調製できる。
【実施例64】
【0298】
16,17−[(2−メトキシ−ピリジニル−3−メチレン)ビス(オキシ)]−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0299】
【化86】

【0300】
4−ピリジル−カルボキシアルデヒドを2−メトキシ−3−ピリジル−カルボキシアルデヒドと置き換え、表題化合物を実施例58の説明と同様に調製できる。
【実施例65】
【0301】
16,17−[(2−メトキシ−ピリジニル−3−メチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0302】
【化87】

【0303】
4−ピリジル−カルボキシアルデヒドを2−メトキシ−3−ピリジル−カルボキシアルデヒドと置き換え、表題化合物を実施例59に記載どおり調製できる。
【実施例66】
【0304】
16,17−[2−ブロモ−ピリジニル−3−メチレン)ビス(オキシ)]−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0305】
【化88】

【0306】
4−ピリジル−カルボキシアルデヒドを2−ブロモ−3−ピリジル−カルボキシアルデヒドと置き換え、表題化合物を実施例58に記載どおり調製できる。
【実施例67】
【0307】
16,17−[2−ブロモ−ピリジニル−3−メチレン]ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0308】
【化89】

【0309】
4−ピリジル−カルボキシアルデヒドを2−メトキシ−3−ピリジル−カルボキシアルデヒドと置き換え、表題化合物を実施例59に記載どおり調製できる。
【実施例68】
【0310】
16,17−[6−メトキシ−ピリジニル−3−メチレン]ビス(オキシ)]−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0311】
【化90】

【0312】
4−ピリジル−カルボキシアルデヒドを6−メトキシ−3−ピリジル−カルボキシアルデヒドと置き換え、表題化合物を実施例58に記載どおり調製できる。
【実施例69】
【0313】
16,17−[6−メトキシ−ピリジニル−3−メチレン]ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0314】
【化91】

【0315】
4−ピリジル−カルボキシアルデヒドを6−メトキシ−3−ピリジル−カルボキシアルデヒドと置き換え、表題化合物を実施例59に記載どおり調製できる。
【実施例70】
【0316】
16,17−[3−ブロモ−ピリジニル−4−メチレン]ビス(オキシ)]−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0317】
【化92】

【0318】
4−ピリジル−カルボキシアルデヒドを3−ブロモ4−ピリジル−カルボキシアルデヒドと置き換え、表題化合物を実施例58に記載おどり調製できる。
【実施例71】
【0319】
16,17−[3−ブロモ−ピリジニル−4−メチレン]ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0320】
【化93】

【0321】
4−ピリジル−カルボキシアルデヒドを3−ブロモ4−ピリジル−カルボキシアルデヒドと置き換え、表題化合物を実施例59に記載どおり調製できる。
【実施例72】
【0322】
16,17−[3−クロロ−ピリジニル−4−メチレン]ビス(オキシ)]−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0323】
【化94】

【0324】
4−ピリジル−カルボキシアルデヒドを3−クロロ4−ピリジル−カルボキシアルデヒドと置き換え、表題化合物を実施例58に記載どおり調製できる。
【実施例73】
【0325】
16,17−[3−クロロ−ピリジニル−4−メチレン]ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0326】
【化95】

【0327】
4−ピリジル−カルボキシアルデヒドを3−クロロ−4−ピリジル−カルボキシアルデヒドと置き換え、表題化合物を実施例59に記載どおり調製できる。
【実施例74】
【0328】
16,17−[3−フルオロ−ピリジニル−4−メチレン]ビス(オキシ)]−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0329】
【化96】

【0330】
4−ピリジル−カルボキシアルデヒドを3−フルオロ−4−ピリジル−カルボキシアルデヒドと置き換え、表題化合物を実施例58に記載どおり調製できる。
【実施例75】
【0331】
16,17−[3−フルオロ−ピリジニル−4−メチレン]ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0332】
【化97】

【0333】
4−ピリジル−カルボキシアルデヒドを3−フルオロ−4−ピリジル−カルボキシアルデヒドと置き換え、表題化合物を実施例59に記載どおり調製できる。
【実施例76】
【0334】
16,17−[8−キノリン−3−イル−4−メチレン]ビス(オキシ)]−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0335】
【化98】

【0336】
4−ピリジル−カルボキシアルデヒドを8−キノリン−3−カルボキシアルデヒドと置き換え、表題化合物を実施例58に記載どおり調製できる。
【実施例77】
【0337】
16,17−[8−キノリン−3−イル−4−メチレン]ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0338】
【化99】

【0339】
4−ピリジル−カルボキシアルデヒドを8−キノリン−3−カルボキシアルデヒドと置き換え、表題化合物を実施例59に記載どおり調製できる。
【実施例78】
【0340】
16,17−[8−キノリン−4−イル−4−メチレン]ビス(オキシ)]−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0341】
【化100】

【0342】
4−ピリジル−カルボキシアルデヒドを8−キノリン−4−カルボキシアルデヒドと置き換え、表題化合物を実施例58に記載どおり調製できる。
【実施例79】
【0343】
16,17−[8−キノリン−4−イル−4−メチレン]ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0344】
【化101】

【0345】
4−ピリジル−カルボキシアルデヒドを8−キノリン−4−カルボキシアルデヒドと置き換え、表題化合物を実施例59に記載どおり調製できる。
【実施例80】
【0346】
16,17−[8−キノリン−2−イル−4−メチレン]ビス(オキシ)]−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0347】
【化102】

【0348】
4−ピリジル−カルボキシアルデヒドを8−キノリン−2−カルボキシアルデヒドと置き換え、表題化合物を実施例58に記載どおり調製できる。
【実施例81】
【0349】
16,17−[8−キノリン−2−イル−4−メチレン]ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0350】
【化103】

【0351】
4−ピリジル−カルボキシアルデヒドを8−キノリン−2−カルボキシアルデヒドと置き換え、表題化合物を実施例59に記載どおり調製できる。
【実施例82】
【0352】
16,17−[ピリジニル−3−メチレン]ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−シアノ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0353】
【化104】

【0354】
表題化合物を次の二段階の方法により調製した。実施例24に記載の方法を適用し、実施例59に記載のステロイド類縁体を21−メシラート誘導体に変換した。こうして取得した乾燥の結晶性誘導体を無水アセと二トリル(5mL/mmol)中で懸濁し、続いて、過剰のテトラエチルアンモニウムシアニド(2.2当量)及び触媒(0.2当量)量のヨウ化ナトリウムを添加した。室温で一晩攪拌した後のLCMS分析では、メシラートの完全消費及び一対の位置異性体に隣接した所望の生成物における22−エピマーの形成を示した(20−シアノ−20,21−エポキシステロイドを形成)。次いで、反応混合物を90℃で30分間加熱し、最終段階における混じりけのない所望のβ−シアノ−ケトステロイドの形成をもたらした。後処理では、酢酸エチルで希釈し、続いて飽和重炭酸ナトリウム(二回)、塩水で洗浄して、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させた。ジクロロメタン/ジエチルエーテルからの再結晶化により、粗生成物を精製した。
【実施例83】
【0355】
16,17−[ピリジニル−3−メチレン]ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−シアノ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0356】
【化105】

【0357】
実施例82に記載の二段階の方法を適用し、表題のステロイド15を類縁体14から合成した(実施例62に記載)。
【0358】
LCMS:99%(エピマー合計値),MH493.2(C2829FNに対し算出した正確な質量492.2)。算出した分析結果:C,68.28;H,5.93.検出:C,67.34;H,5.87;N,5.47。
【実施例84】
【0359】
16,17−[ピリジニル−4−メチレン]ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−シアノ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0360】
【化106】

【0361】
実施例82に記載の二段階の方法を適用し、表題化合物を実施例58に記載のステロイドから合成できる。
【実施例85】
【0362】
16,17−[ピリジニル−4−メチレン]ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−シアノ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0363】
【化107】

【0364】
実施例82に記載の二段階の方法を適用し、表題化合物を実施例61に記載のステロイドから合成できる。
【実施例86】
【0365】
16,17−[2−メトキシ−ピリジニル−3−メチレン]ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−シアノ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0366】
【化108】

【0367】
実施例82に記載の二段階の方法を適用し、表題化合物を実施例64に記載のステロイドから合成できる。
【実施例87】
【0368】
16,17−[2−メトキシ−ピリジニル−3−メチレン]ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−シアノ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0369】
【化109】

【0370】
実施例82に記載の二段階の方法を適用し、表題化合物を実施例65に記載のステロイドから合成できる。
【実施例88】
【0371】
16,17−[2−ブロモ−ピリジニル−3−メチレン]ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−シアノ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0372】
【化110】

【0373】
実施例82に記載の二段階の方法を適用し、表題化合物を実施例66に記載のステロイドから合成できる。
【実施例89】
【0374】
16,17−[2−ブロモ−ピリジニル−3−メチレン]ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−シアノ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0375】
【化111】

【0376】
実施例82に記載の二段階の方法を適用し、表題化合物を実施例67に記載のステロイドから合成できる。
【実施例90】
【0377】
16,17−[6−メトキシ−ピリジニル−3−メチレン]ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−シアノ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0378】
【化112】

【0379】
実施例82に記載の二段階の方法を適用し、表題化合物を実施例68に記載のステロイドから合成できる。
【実施例91】
【0380】
16,17−[6−メトキシ−ピリジニル−3−メチレン]ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−シアノ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0381】
【化113】

【0382】
実施例82に記載の二段階の方法を適用し、表題化合物を実施例69に記載のステロイドから合成できる。
【実施例92】
【0383】
16,17−[3−ブロモ−ピリジニル−4−メチレン]ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−シアノ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0384】
【化114】

【0385】
実施例82に記載の二段階の方法を適用し、表題化合物を実施例70に記載のステロイドから合成できる。
【実施例93】
【0386】
16,17−[3−ブロモ−ピリジニル−4−メチレン]ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−シアノ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0387】
【化115】

【0388】
実施例82に記載の二段階の方法を適用し、表題化合物を実施例71に記載のステロイドから合成できる。
【実施例94】
【0389】
16,17−[3−クロロ−ピリジニル−4−メチレン]ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−シアノ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0390】
【化116】

【0391】
実施例82に記載の二段階の方法を適用し、表題化合物を実施例72に記載のステロイドから合成できる。
【実施例95】
【0392】
16,17−[3−クロロ−ピリジニル−4−メチレン]ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−シアノ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0393】
【化117】

【0394】
実施例82に記載の二段階の方法を適用し、表題化合物を実施例73に記載のステロイドから合成できる。
【実施例96】
【0395】
16,17−[3−フルオロ−ピリジニル−4−メチレン]ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−シアノ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0396】
【化118】

【0397】
実施例82に記載の二段階の方法を適用し、表題化合物を実施例74に記載のステロイドから合成できる。
【実施例97】
【0398】
16,17−[3−フルオロ−ピリジニル−4−メチレン]ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−シアノ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0399】
【化119】

【0400】
実施例82に記載の二段階の方法を適用し、表題化合物を実施例75に記載のステロイドから合成できる。
【実施例98】
【0401】
16,17−[8−キノリン−3−イル−4−メチレン]ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−シアノ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0402】
【化120】

【0403】
実施例82に記載の二段階の方法を適用し、表題化合物を実施例76に記載のステロイドから合成できる。
【実施例99】
【0404】
16,17−[8−キノリン−3−イル−4−メチレン]ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−シアノ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0405】
【化121】

【0406】
実施例82に記載の二段階の方法を適用し、表題化合物を実施例77に記載のステロイドから合成できる。
【実施例100】
【0407】
16,17−[8−キノリン−4−イル−4−メチレン]ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−シアノ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0408】
【化122】

【0409】
実施例82に記載の二段階の方法を適用し、表題化合物を実施例78に記載のステロイドから合成できる。
【実施例101】
【0410】
16,17−[8−キノリン−4−イル−4−メチレン]ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−シアノ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0411】
【化123】

【0412】
実施例82に記載の二段階の方法を適用し、表題化合物を実施例79に記載のステロイドから合成できる。
【実施例102】
【0413】
16,17−[8−キノリン−2−イル−4−メチレン]ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−シアノ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0414】
【化124】

【0415】
実施例82に記載の二段階の方法を適用し、表題化合物を実施例80に記載のステロイドから合成できる。
【実施例103】
【0416】
16,17−[8−キノリン−2−イル−4−メチレン]ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−シアノ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0417】
【化125】

【0418】
実施例82に記載の二段階の方法を適用し、表題化合物を実施例81に記載のステロイドから合成できる。
【0419】
実施例104〜117は、スキームVIで説明する相互プロドラッグの合成を例示している。
【実施例104】
【0420】
N−Boc−サルメテロール−ジ−tert−ブチルホスファート−16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−(4−メチルピペラジニウム)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0421】
【化126】

【0422】
室温にて攪拌しながら、メシラート3(実施例6に記載)を1.1当量、実施例26に記載のステロイド類縁体(1当量)及びヨウ化ナトリウム(1当量)を最少量の無水アセトニトリル中で溶解した。反応混合物をTLC及びLCMSにより監視した。3日後、反応混合物を濃縮し、ジクロロメタン/メタノール/トリエチルアミン(96:3:1)の混合物を使用するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。所望の第四級アンモニウム塩を含有する画分を集め、蒸発し、残留物をジエチルエーテルで粉砕した。こうして形成した固体をろ過し、エーテルで洗浄して、乾燥させた。
【0423】
LCMS:M+1243(C7110913に対して算出した正確な質量1242.7)。
【実施例105】
【0424】
N−Boc−サルメテロール−ジ−tert−ブチルホスファート−16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−(4−メチルピペラジニウム)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0425】
【化127】

【0426】
ステロイド13(実施例27に記載)を出発物質として使用し、表題化合物を実施例104に記載どおり調製した。
【0427】
LCMS:M+1261(C71108FN13に対して算出した正確な質量1260.7)。
【実施例106】
【0428】
サルメテロール−ホスファート−16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−(4−メチルピペラジニウム)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0429】
【化128】

【0430】
室温にて窒素下で攪拌しながら、実施例104に記載の第四級アンモニウム塩をジオキサン(2mL)中の新しい無水4N HClで処理した。脱保護化過程をTLC及びLCMSにより監視した。1時間後、ジエチルエーテルをセプタムを通して添加し、攪拌を更に1時間続行した。次いで、形成した沈殿物をろ別し、エーテルで十分洗浄して、乾燥させ、ジクロロメタン/ジエチルエーテルの混合物から再結晶化した(二塩酸塩を生成)。必要であれば、増加勾配の1%酢酸を伴う水中のアセトニトリルで溶出するIsolute−C18(Biotage)を使用したクロマトグラフィーにより、更なる精製を行うことが可能である(二酢酸塩を生成)。
【0431】
31PNMR(DMSO−d):−5.718ppm.95%,M1030.5(C5886Cl11に対して算出した正確な質量1030.59)。
【実施例107】
【0432】
サルメテロール−ホスファート−16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−(4−メチルピペラジニウム)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0433】
【化129】

【0434】
実施例105に記載の第四級アンモニウム塩を出発物質として使用し、相互プロドラッグ16を実施例106に記載どおり調製した。
【0435】
31P NMR(DMSO−d):−6.018ppm.19F NMR(DMSO−d):−165.361ppm(dd,J=8Hz,J=32Hz)。LCMS:96%,M1049.3(C5884FN11に対して算出した正確な質量1049.2)。
【実施例108】
【0436】
N−Boc−アルブテロール−ジ−tert−ブチルホスファート−16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−(4−メチルピペラジニウム)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0437】
【化130】

【0438】
メシラート(実施例13を参照)及びステロイド13(実施例27を参照)を出発物質として使用し、表題化合物を実施例104に記載の方法に従って調製できる。
【実施例109】
【0439】
アルブテロール−ホスファート−16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−(4−メチルピペラジニウム)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0440】
【化131】

【0441】
実施例106に記載の方法により、表題の相互プロドラッグを実施例108に記載の第四級アンモニウム塩から調製できる。
【実施例110】
【0442】
N−Boc−サルメテロール−ジ−tert−ブチルホスファート−16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−(イミダゾリウム)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0443】
【化132】

【0444】
メシラート3(実施例6を参照)及び実施例45に記載のステロイドを出発物質として使用し、表題化合物を実施例104に記載の方法に従って調製できる。
【実施例111】
【0445】
サルメテロール−ホスファート−16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−(イミダゾリウム)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0446】
【化133】

【0447】
実施例106に記載の方法により、表題の相互プロドラッグを実施例110に記載の第四級イミダゾリウム塩から調製できる。
【実施例112】
【0448】
N−Boc−アルブテロール−ジ−tert−ブチルホスファート−16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−(イミダゾリウム)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0449】
【化134】

【0450】
メシラート7(実施例13を参照)及び実施例45に記載のステロイドを出発物質として使用し、表題化合物を実施例104に記載の方法に従って調製できる。
【実施例113】
【0451】
アルブテロール−ホスファート−16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−(イミダゾリウム)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0452】
【化135】

【0453】
実施例106に記載の方法に従い、表題の相互プロドラッグを実施例112に記載の第四級イミダゾリウム塩から調製できる。
【実施例114】
【0454】
N−Boc−サルメテロール−ジ−tert−ブチルホスファート−16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−メチルスルホニウム−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0455】
【化136】

【0456】
メシラート3(実施例6を参照)及び実施例51に記載のステロイドを出発物質として使用し、表題化合物を実施例104に記載の方法に従って調製できる。
【実施例115】
【0457】
サルメテロール−ホスファート−16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−メチルスルホニウム−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0458】
【化137】

【0459】
実施例106に記載の方法に従い、表題の相互プロドラッグを実施例114に記載の化合物から調製できる。
【実施例116】
【0460】
N−Boc−アルブテロール−ジ−tert−ブチルホスファート−16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−メチルスルホニウム−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0461】
【化138】

【0462】
メシラート7(実施例13を参照)及び実施例51に記載のステロイドを出発物質として使用し、表題化合物を実施例104に記載の方法に従って調製できる。
【実施例117】
【0463】
アルブテロール−ホスファート−16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−メチルスルホニウム−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0464】
【化139】

【0465】
実施例106に記載の方法に従い、表題の相互プロドラッグを実施例116に記載の化合物から調製できる。
【0466】
実施例118〜139は、スキームVIIに従って相互プロドラッグの合成を例示している。
【実施例118】
【0467】
16,17−[(テトラヒドロ−チオピラン−4−イル)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−トリチルオキシ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0468】
【化140】

【0469】
実施例53に記載のステロイド(1当量)及びDMAP(0.1当量)を無水ジクロロメタン(5mL/mmol)中で溶解し、その後、激しく攪拌しながら、トリエチルアミン(2当量)、続いて固体のトリフェニルメチルクロリド(2当量)を少量づつ添加するが、その間、反応混合物を水浴中で冷却した。一晩の反応後のTLC分析では、ほぼ全部の出発ステロイドの消費を示した。混合物を数滴のメタノールで急冷し、ジクロロメタンで希釈して、10%クエン酸、飽和重炭酸ナトリウム、最後に塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウム上で有機層を乾燥させた後、デカンテーション及び蒸発を行い、増加量のヘキサン中の酢酸エチル(1:3−1:1)を使用するシリカゲルクロマトグラフィーにより、粗生成物を精製した。
【実施例119】
【0470】
N−Boc−サルメテロール−ジ−tert−ブチルホスファート−16,17−[(テトラヒドロ−チオピラニリウム)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−トリチルオキシ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0471】
【化141】

【0472】
メシラート3(実施例6を参照)及び実施例118に記載のステロイドを出発物質として使用し、表題化合物を実施例104に記載の方法に従って調製できる。
【実施例120】
【0473】
サルメテロール−ホスファート−16,17−[(テトラヒドロ−チオピラニリウム)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0474】
【化142】

【0475】
実施例106に記載の方法に従い、表題の相互プロドラッグを実施例119に記載のスルホニウム塩から調製できる。
【実施例121】
【0476】
N−Boc−アルブテロール−ジ−tert−ブチルホスファート−16,17−[(テトラヒドロ−チオピラニリウム)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−トリチルオキシ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0477】
【化143】

【0478】
メシラート7(実施例13を参照)及び実施例118に記載のステロイドを出発物質として使用し、表題化合物を実施例104に記載の方法に従って調製できる。
【実施例122】
【0479】
アルブテロール−ホスファート−16,17−[(テトラヒドロ−チオピラニリウム)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
【0480】
【化144】

【0481】
実施例106に記載の方法に従い、表題の相互プロドラッグを実施例121に記載のスルホニウム塩から調製できる。
【実施例123】
【0482】
16,17−[(1−メチルピペリジル−4−メチレン)ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−トリチルオキシ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0483】
【化145】

【0484】
実施例118に記載の方法を使用し、表題化合物を実施例56に記載のステロイドから調製できる。
【実施例124】
【0485】
N−Boc−サルメテロール−ジ−tert−ブチルホスファート−16,17−[(1−メチルピペリジニウム−4−メチレン)ビス(オキシ)]−11−ヒドロキシ−21−トリチルオキシ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0486】
【化146】

【0487】
メシラート3(実施例6を参照)及び実施例123に記載のステロイドを出発物質として使用し、表題化合物を実施例104に記載の方法に従って調製できる。
【実施例125】
【0488】
16,17−[(1−メチルピペリジル−4−メチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−トリチルオキシ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0489】
【化147】

【0490】
実施例118に記載の方法に従い、表題化合物を実施例57に記載のステロイドから合成できる。
【実施例126】
【0491】
N−Boc−サルメテロール−ジ−tert−ブチルホスファート−16,17−[(1−メチルピペリジニウム−4−メチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−トリチルオキシ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0492】
【化148】

【0493】
メシラート3(実施例6を参照)及び実施例125に記載のステロイドを出発物質として使用し、表題化合物を実施例104に記載の方法に従って調製できる。
【実施例127】
【0494】
サルメテロール−ホスファート−16,17−[(1−メチルピペリジニウム−4−メチレン)ビス(オキシ)]−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0495】
【化149】

【0496】
実施例124に記載の第四級アンモニウム塩を使用し、表題化合物を実施例106に記載の方法に従って調製できる。
【実施例128】
【0497】
サルメテロール−ホスファート−16,17−[(1−メチルピペリジニウム−4−メチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0498】
【化150】

【0499】
実施例126に記載の第四級アンモニウム塩を使用し、表題化合物を実施例106に記載の方法に従って調製できる。
【実施例129】
【0500】
N−Boc−アルブテロール−ジ−tert−ブチルホスファート−16,17−[(1−メチルピペリジニウム−4−メチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−トリチルオキシ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0501】
【化151】

【0502】
メシラート7(実施例13を参照)及び実施例125に記載のステロイドを出発物質として使用し、表題化合物を実施例104に記載の方法に従って調製できる。
【実施例130】
【0503】
アルブテロール−ホスファート−16,17−[(1−メチルピペリジニウム−4−メチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11,21−ヒドロキシ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0504】
【化152】

【0505】
実施例106に記載の方法に従い、表題の相互プロドラッグを実施例129に記載の第四級アンモニウム塩から調製できる。
【実施例131】
【0506】
16,17−[(ピリジニル−3−メチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−トリチルオキシ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0507】
【化153】

【0508】
実施例118に記載の方法に従い、表題化合物をステロイド14(実施例62に記載)から合成できる。
【実施例132】
【0509】
N−Boc−サルメテロール−ジ−tert−ブチルホスファート−16,17−[(ピリジニウム−3−メチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−トリチルオキシ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0510】
【化154】

【0511】
メシラート3(実施例6を参照)及び実施例131に記載のステロイドを出発物質として使用し、表題化合物を実施例104に記載の方法に従って調製した。
【0512】
LCMS:M+1414.7(C84105FN14に対し算出した正確な質量1415.7)
【実施例133】
【0513】
サルメテロール−ホスファート−16,17−[(ピリジニウム−3−メチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0514】
【化155】

【0515】
実施例132に記載のピリジニウム塩から、相互プロドラッグ17を実施例106に記載の方法に従って調製し、2%酢酸で酸性化した増加量の水中におけるアセトニトリル(0−50%)で溶出するIsolute−C18カラム(Biotage)を用いた逆相クロマトグラフィーにより精製した。凍結乾燥後、二酢酸塩として得た。
【0516】
31P NMR(DMSO−d):−4.116ppm.19F NMR(DMSO−d):−165.124〜−164.480ppm(多重線)。LCMS:97% M+961.5(C5267FN12に対し算出した正確な質量961.44)。C5674FN16P算出した分析結果 %C62.21;%H6.90;%N2.59.検出 %C62.13;%H6.85;%N2.76。
【実施例134】
【0517】
N−Boc−アルブテロール−ジ−tert−ブチルホスファート−16,17−[(ピリジニウム−3−メチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−トリチルオキシ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0518】
【化156】

【0519】
メシラート7(実施例13を参照)及び実施例131に記載のステロイドを出発物質として使用し、表題化合物を実施例104に記載の方法に従って調製できる。
【実施例135】
【0520】
アルブテロール−ホスファート−16,17−[(ピリジニウム−3−メチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0521】
【化157】

【0522】
実施例134に記載のピリジニウム塩から、表題の相互プロドラッグを実施例106に記載の方法に従って調製できる。
【実施例136】
【0523】
N−Boc−サルメテロール−ジ−tert−ブチルホスファート−16,17−[ピリジニウム−3−メチレン]ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−シアノ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0524】
【化158】

【0525】
メシラート3(実施例6を参照)及びステロイド15(実施例83に記載)を出発物質として使用し、表題化合物を実施例104に記載の方法に従って調製できる。
【実施例137】
【0526】
サルメテロール−ホスファート−16,17−[ピリジニウム−3−メチレン]ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−シアノ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0527】
【化159】

【0528】
実施例136に記載のピリジニウム塩から開始し、表題の相互プロドラッグを実施例106に記載の方法に従って調製できる。
【実施例138】
【0529】
N−Boc−アルブテロール−ジ−tert−ブチルホスファート−16,17−[ピリジニウム−3−メチレン]ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−シアノ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0530】
【化160】

【0531】
メシラート7(実施例13を参照)及びステロイド15(実施例83に記載)を出発物質として使用し、表題化合物を実施例104に記載の方法に従って調製できる。
【実施例139】
【0532】
アルブテロール−ホスファート−16,17−[ピリジニウム−3−メチレン]ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−シアノ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
【0533】
【化161】

【0534】
実施例138に記載のピリジニウム塩から開始し、表題の相互プロドラッグを実施例106に記載の方法に従って調製できる。
【実施例140】
【0535】
サイトカイン放出阻害
【0536】
【表1】

【0537】
【表2】

【0538】
結果の分析及び表示
結果は、検査化合物の存在下で得られた対照値のパーセントとして表されている。Hill式のカーブフィッティングを用いた阻害曲線の非線形回帰分析によって、IC50値(対照値の最大阻害の半分を引き起こす濃度)を求めた。
【0539】
【表3】

【0540】
サイトカイン放出阻害を評価し、これにより、被験物質の抗炎症活性を評価する、細胞を用いた一連の標準的なインビトロアッセイで、本発明の選択された化合物を検査した。幾つかの強力なステロイド類縁体、すなわち、実施例23、27、43、59及び62に記載された化合物が同定された。実施例107及び133(それぞれ、化合物16及び17)の相互プロドラッグは、ステロイド薬物に比べて、より活性が低いか、又は不活性であることが明らかとなった(それぞれ、実施例27及び62)。従って、各ステロイドの薬理学的特性を覆い隠すことによって、相互プロドラッグは中咽頭副作用を軽減し、ステロイドの抗炎症作用を気管支内腔(肺酵素(特に、アルカリホスファターゼ)は、ここで、薬理学的に活性なステロイドを放出する。)に限定する。(実施例141から143参照)。
【実施例141】
【0541】
アルカリホスファターゼへの曝露後に、相互ステロイド−β−アゴニストプロドラッグをサルメテロール及びステロイドへ変換するための一般的な手順
5mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、1mMZnCl、1mMMgClを含有する、pH7.4緩衝溶液500μLに、1:1アセトニトリル/水及び化合物16(あるいは17)中の約200ng/μL溶液の分取試料500μLを添加することによって、反応及び対照溶液を調製した。反応溶液の場合、緩衝液は、アルカリホスファターゼ(Sigma−Aldrich)約600ng/μLも含有したのに対して、対照緩衝溶液は酵素を含有しなかった。37℃で、25から50時間、反応及び対照溶液を温置した。LCMSにより、各相互プロドラッグ及び反応産物に対して、定期的に溶液を分析した。
【実施例142】
【0542】
サロメテロールとステロイド13を得るための、アルカリホスファターゼとの相互プロドラッグ16の反応
サルメテロール及びステロイド13(実施例27に記載されている。)を産生するために、実施例141の一般的な手順に従って、相互プロドラッグ16(実施例107に記載されている。)をアルカリホスファターゼと反応させた。反応緩衝液中のアルカリホスファターゼの濃度は、約600ng/μLであった(溶液の酵素活性は測定しなかった。)。
【0543】
対照溶液(酵素なし)では、相互プロドラッグ16のみが検出された。反応溶液(酵素あり)は、相互プロドラッグ16の消失し、当初、脱リン酸化された中間体が出現した後に消失し、サルメテロール及びステロイド化合物13が出現することを示した(スキームVIIIに示されているとおり)。本実験で測定された幾つかの時点が、表4に記されている。酵素変換のグラフ表示については、図1を参照されたい。
【0544】
【表4】

【実施例143】
【0545】
サロメテロールとステロイド14を得るための、アルカリホスファターゼとの相互プロドラッグ17の反応
サルメテロール及びステロイド14(実施例62に記載されている。)を産生するために、実施例141の一般的な手順に従って、相互プロドラッグ17(実施例133に記載されている。)をアルカリホスファターゼと反応させた。原溶液に添加された緩衝液中のアルカリホスファターゼの濃度は、約600ng/μLであった(溶液の酵素活性は測定しなかった。)。
【0546】
対照溶液(酵素なし)では、相互プロドラッグ17のみが検出された。反応溶液(酵素あり)は、相互プロドラッグの消失し、当初、脱リン酸化された中間体が出現した後に消失し、サルメテロール及びステロイド14が出現することを示した(スキームVIIIに示されているとおり)。本実験で測定された、選択された時点が、表5に記されている。酵素変換のグラフ表示については、図2を参照されたい。
【0547】
【表5】

【0548】
【表6】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I又はIIの化合物及び医薬として許容されるその塩。
【化1】

(Xは、S、N又は含窒素複素環であり(前記複素環中の窒素原子は、R及びRに結合されている。);
Wは、Cl、F、OH、ONO、OCO−アルキル、OCO−アリール、CN、S−アルキル及びS−アリールからなる群から選択され;
Cyclは、シクロアルキルであり、又は炭素原子がS若しくはOで置換されたシクロアルキルであり;
Yは、不存在であり又は−Z(CH(nは0から6であり及びZはS、O、N又はN−アルキルである。)であり;
及びRは、水素、アリール、低級アルキル及び置換された低級アルキルからなる群から独立に選択され若しくは不存在であり又は一緒になってC、O、S及びNから選択される2から10個の原子を有する非芳香環を形成し;
は、
【化2】

(Rは、1から12個の炭素原子のアルキル基、アリールアルキル又は(炭素鎖中、O、S及びNから選択される原子で置換された1から3個のCH基を有する)置換されたアリールアルキルである。)
であり;
及びRは、独立に、H、Cl又はFである。)
【請求項2】
Cyclがシクロヘキシルであり、Rがメチルであり、Rが不存在であり、YがXと結合されてピペラジン環を形成するN(CHであり、R
【化3】

(Rは、(CHO(CHPh又はtert−ブチルである。)
であり、RがFであり、及びRがHである、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項3】
Cyclがシクロヘキシルであり、Rがメチルであり、Rが不存在であり、Yが不存在であり、XがSであり、R
【化4】

(Rは、(CHO(CHPh又はtert−ブチルである。)
であり、RがFであり、及びRがHである、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項4】
Y、R及びRが不存在であり、並びにXが4−テトラチオヒドロピラニル環を形成し、WがOH又はCNであり、R
【化5】

(Rは、(CHO(CHPh又はtert−ブチルである。)
であり、RがFであり、及びRがHである、請求項1に記載の式IIの化合物。
【請求項5】
Y、R及びRが不存在であり、並びにXが3−ピリジル環を形成し、WがOH又はCNであり、Rが、
【化6】

(Rは、(CHO(CHPh又はtert−ブチルである。)、
であり、RがFであり、並びにRがHである、請求項1に記載の式IIの化合物。
【請求項6】
請求項1に記載の化合物の合成方法。
【請求項7】
サルメテロール−ホスファート−16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−(4−メチルピペラジニウム)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)];
アルブテロール−ホスファート−16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−(4−メチルピペラジニウム)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)];
サルメテロール−ホスファート−16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−メチルスルホニウム−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)];
アルブテロール−ホスファート−16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−メチルスルホニウム−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)];
サルメテロール−ホスファート−16,17−[(テトラヒドロ−チオピラニリウム)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)];
アルブテロール−ホスファート−16,17−[(テトラヒドロ−チオピラニリウム)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)];
サルメテロール−ホスファート−16,17−[ピリジニウム−3−メチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16a];
アルブテロール−ホスファート−16,17−[ピリジニウム−3−メチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11,21−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α];
サルメテロール−ホスファート−16,17−[ピリジニウム−3−メチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−シアノ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α];及び
アルブテロール−ホスファート−16,17−[ピリジニウム−3−メチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−シアノ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α]
からなる群から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
式IIIの化合物又は医薬として許容されるその塩。
【化7】

(Aは、シクロアルキル(S、O又はNRにより場合によって置換されている炭素原子を有する。)、ピリジル又は置換されたピリジルであり;
Bは、NR、イミダゾリル、CN、SCN、SR、Cl、F、OH、ONO、OCO−アルキル及びOCO−アリールからなる群から選択され;
及びRは、水素、アリール、ヘテロアリール、低級アルキル及び置換された低級アルキルからなる群から独立に選択され若しくは不存在であり又は一緒になってC、O、S及びNから選択される2から10個の原子を有する非芳香環を形成する。)
【請求項9】
16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−(4−メチルピペラジン−イル)プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)];
16,17−[(シクロヘキシルメチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−メチルチオ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)];
16,17−[(テトラヒドロ)−チオピラン−4−イル]ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11,12−ジヒドロキシ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)];
16,17−[ピリジニル−3−メチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11,12−ジヒドロキシプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)];及び
16,17−[ピリジニル−3−メチレン)ビス(オキシ)]−9−フルオロ−11−ヒドロキシ−21−シアノ−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン[11β,16α(R)]
からなる群から選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
肺炎及び気管支収縮の予防及び治療のためのエアロゾル製剤であり、前記製剤は、請求項1に記載の少なくとも1つの置換されたフェニルホスファート相互プロドラッグの約10μgから約1,000μgまでを含み、前記製剤は、主に1と5μの間のエアロゾル粒子を作製するために、エアロゾル化によって投与されるように適合されている、前記製剤。
【請求項11】
相互プロドラッグが乾燥粉末として調製され、及び前記製剤が乾燥粉末吸入器を用いて投与される、請求項1に記載のエアロゾル製剤。
【請求項12】
肺炎又は気管支収縮の予防及び治療のためのエアロゾル製剤であり、前記製剤は、請求項1に記載の少なくとも1つの相互プロドラッグの約10μgから約1,000μgまでを含み、前記製剤は、主に1と5μの間のエアロゾル粒子を作製するために、エアロゾル化によって投与されるように適合されている、前記製剤。
【請求項13】
肺炎又は気管支収縮の予防及び治療のためのエアロゾル製剤であり、前記製剤は、生理的に適合性及び耐容性のあるマトリックス中でのエアロゾル送達用の乾燥粉末として調製された、請求項1に記載の少なくとも1つの相互プロドラッグの約10μgから約1,000μgまでを含み、前記製剤は、主に1と5μの間のエアロゾル粒子を作製可能とする乾燥粉末吸入器を用いて投与されるように適合されている、前記製剤。
【請求項14】
肺炎又は気管支収縮の予防及び治療のための方法であり、請求項1に記載の少なくとも1つの置換されたフェニルホスファート相互プロドラッグの約10μgから約1000μgを含むエアロゾル製剤の有効量を、このような治療を必要としている患者に投与することを含む、前記方法。
【請求項15】
相互プロドラッグが肺に送達されたときに、内在性酵素によってホスファート基が切断され、並びにステロイド及びβ−アゴニストが、同時様式で、個別に放出される、請求項14に記載の方法。

【公表番号】特表2008−546694(P2008−546694A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516976(P2008−516976)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/022790
【国際公開番号】WO2006/138212
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(506329672)コラス・フアーマ・インコーポレイテツド (2)
【Fターム(参考)】